JP2016011224A - 疎水性シリカ系粉末、それを含むゴム成型用組成物およびその製造方法 - Google Patents

疎水性シリカ系粉末、それを含むゴム成型用組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】分散性に優れる疎水性シリカ系粉末の提供【解決手段】粒子径の変動係数(CV値)が10〜50%の範囲にあり、BET法またはシア−ズ法により測定された比表面積(SA1)と、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算した比表面積(SA2)との比である表面粗度(SA1/SA2)の値が1.1〜5.0の範囲にあり、動的光散乱法によって測定された平均粒子径(D3)が0.01〜0.30μmの範囲にあり、同範囲の粒度分布の頻度が60%以上であり、球状粒子の表面に複数の疣状突起を有する金平糖状微粒子からなる疎水性シリカ系粉末。【選択図】図1

Description

本発明は疎水性シリカ系粉末、それを含むゴム成型用組成物およびその製造方法に関する。
従来、シリカ系粉末は種々の技術分野において使用されている。例えば低燃費タイヤの原料としてシリカ系粉末が用いられている。低燃費タイヤの原料として用いる場合、シリカ系粉末は疎水性および分散性の程度が高いことが望まれる。
このような疎水性シリカ系粉末を製造する際、原料として、珪素化合物へ気相法(火炎加水分解法や火炎燃焼法)を適用して得られるシリカ(一般にフュームドシリカといわれる)が、従来、広く用いられている。これに関する従来法として、例えば特許文献1〜3に記載のものが挙げられる。また、原料として水系シリカゾルを用いて疎水性シリカ粉末を得る方法についても提案されている(例えば特許文献4)。
特開2004−67475号公報 国際公開第2004/060803号パンフレット 特開2011−236089号公報 特開2006−169096号公報
しかしながら特許文献1〜4に記載の従来法によって得られる疎水性シリカ粉末は、分散性に改善の余地があった。
本発明は上記のような課題を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、分散性に優れる疎水性シリカ系粉末およびその製造方法を提供することを目的とする。また、その疎水性シリカ系粉末を含み、良好な転がり性を備えるタイヤを得ることができるゴム成型用組成物を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討し、本発明を完成させた。
本発明は以下の(1)〜(5)である。
(1)粒子径の変動係数(CV値)が10〜50%の範囲にあり、
BET法またはシア−ズ法により測定された比表面積(SA1)と、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算した比表面積(SA2)との比である表面粗度(SA1/SA2)の値が1.1〜5.0の範囲にあり、
動的光散乱法によって測定された平均粒子径(D3)が0.01〜0.30μmの範囲にあり、同範囲の粒度分布の頻度が60%以上であり、
球状粒子の表面に複数の疣状突起を有する金平糖状微粒子からなる疎水性シリカ系粉末。
(2)シリカまたはアルミナ−シリカ複合体を主成分として含むことを特徴とする、上記(1)に記載の疎水性シリカ系粉末。
(3)次の工程1〜工程2に続いて、工程3〜工程4を少なくとも1回行うことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の疎水性シリカ系粉末の製造方法。
工程1:平均粒子径(D0)が0.01〜0.20μmの範囲にあり、かつ、同範囲の粒度分布の頻度が95%以上で標準偏差が0.10μm以下であるシリカ微粒子が分散しているシリカゾルに陽イオンの脱離処理および陰イオンの脱離処理を施す工程。
工程2:前工程に続き、前記シリカゾルを噴霧乾燥し、シリカ粉末乾燥品を得る工程。
工程3:前工程に続き、水分存在下、前記シリカ粉末乾燥品に、シラン化合物を加え、混合し、疎水性シリカ粉末を得る工程。
工程4:前工程に続き、前記疎水性シリカ粉末を粉砕する工程。
(4)前記工程1〜工程2に続いて、工程3〜工程4を少なくとも1回行った後、再度、工程3を行うことを特徴とする、上記(3)に記載の疎水性シリカ系粉末の製造方法。
(5)上記(1)または(2)に記載の疎水性シリカ系粉末を含有するゴム成型用組成物。
本発明によれば、分散性に優れる疎水性シリカ系粉末およびその製造方法を提供することができる。また、その疎水性シリカ系粉末を含み、良好な転がり性を備えるタイヤを得ることができるゴム成型用組成物を提供することができる。
実施例1における再表面処理品の走査型電子顕微鏡写真(倍率1500倍)である。 図1の倍率を拡大した走査型電子顕微鏡写真である(倍率5万倍)。 図1の倍率を拡大した走査型電子顕微鏡写真である(倍率20万倍)。
本発明について説明する。
本発明は、粒子径の変動係数(CV値)が10〜50%の範囲にあり、BET法またはシア−ズ法により測定された比表面積(SA1)と、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算した比表面積(SA2)との比である表面粗度(SA1/SA2)の値が1.1〜5.0の範囲にあり、動的光散乱法によって測定された平均粒子径(D3)が0.01〜0.30μmの範囲にあり、同範囲の粒度分布の頻度が60%以上であり、球状粒子の表面に複数の疣状突起を有する金平糖状微粒子からなる疎水性シリカ系粉末である。
このような疎水性シリカ系粉末を、以下では「本発明のシリカ系粉末」ともいう。
また、本発明は、次の工程1〜工程2に続いて、工程3〜工程4を少なくとも1回行うことを特徴とする本発明のシリカ系粉末の製造方法である。
工程1:平均粒子径(D0)が0.01〜0.20μmの範囲にあり、かつ、同範囲の粒度分布の頻度が95%以上で標準偏差が0.10μm以下であるシリカ微粒子が分散しているシリカゾルに陽イオンの脱離処理および陰イオンの脱離処理を施す工程。
工程2:前工程に続き、前記シリカゾルを噴霧乾燥し、シリカ粉末乾燥品を得る工程。
工程3:前工程に続き、水分存在下、前記シリカ粉末乾燥品に、シラン化合物を加え、混合し、疎水性シリカ粉末を得る工程。
工程4:前工程に続き、前記疎水性シリカ粉末を粉砕する工程。
このような疎水性シリカ系粉末の製造方法を、以下では「本発明の製造方法」ともいう。
<本発明の製造方法>
本発明の製造方法が備える工程1〜工程4について説明する。
<工程1>
本発明の製造方法が備える工程1では、初めに、特定のシリカゾルを用意する。このシリカゾルは、珪酸ナトリウムを原料として調製されるものであることが好ましい。また、平均粒子径(D0)が0.01〜0.20μmの範囲にあり、かつ、同範囲の粒度分布の頻度が95%以上で標準偏差が0.10μm以下であるシリカ微粒子が分散しているものである。
上記のシリカゾルは、本願出願人による特開2009−91197号公報に記載の方法や、特開2013−47180号公報に記載の、シード粒子として用いられる比較的小さな粒子径を有するシリカ粒子の分散液の製造方法によって得ることができる。
また、このようなシリカゾルは、例えば、カレットを溶解等して得た珪酸ナトリウム水溶液について、陽イオン交換樹脂等を用いて陽イオン成分を除去して酸性珪酸液を得た後、この一部をシード液、別の一部をフィード液とし、前記シード液をアルカリ性(例えばpHを11〜12)に調整し、さらに好ましくは80〜90℃程度に保持し、ここへ、好ましくは1〜20℃とした前記フィード液を徐々に添加して得ることができる。
また、工程1では、上記のような方法で得られたシリカ微粒子の分散液に、さらにアルミン酸ナトリウム水溶液を添加して調整されたアルミナ−シリカ複合体微粒子を、シリカゾルとすることができる。この場合、シリカ微粒子100質量部に対し、アルミン酸ナトリウム(固形分濃度)を好ましくは0.1〜2.5質量部、より好ましくは0.1〜2.0質量部添加する。
工程1において用いるシリカゾルは、例えば上記のような方法によって得られるものであってシリカ微粒子が水に分散してなるものである。
ここでシリカ微粒子の平均粒子径(D0)は0.01〜0.20μmの範囲であるが、0.020μm以上であることが好ましい。また、0.18μm以下であることが好ましく、0.15μm以下であることがより好ましい。
シリカ微粒子の粒度分布における頻度(体積基準)は、その95%(体積%)以上が0.01〜0.20μm(好ましくは0.01〜0.15μm)の範囲内である。この範囲内にある上記頻度は98%以上であることが好ましく、実質的に100%であることがさらに好ましい。
シリカ微粒子の粒度分布における頻度(体積基準)は、その標準偏差(SD)が0.10μm以下であり、0.07μm以下であることが好ましい。
シリカ微粒子の平均粒子径(D0)、粒度分布の頻度および標準偏差は、次のような方法で粒度分布を測定して得る値を意味するものとする。
初めに、シリカ微粒子が分散してなるシリカゾルに純水を添加して、シリカ微粒子の質量濃度を1質量%に調整し、10分超音波にて分散した後、従来公知の動的光散乱粒子径測定装置(例えば、日機装社製、マイクロトラック)にて、粒度分布を測定する。測定条件は、粒子屈折率:1.45、密度:2.2g/cm3、溶媒屈折率:1.333、測定時間:60秒とする。そして、粒度分布(体積基準)を測定し、その粒度分布から平均粒子径(メジアン径、μm)、頻度(体積%)および標準偏差を読み取る。
なお、後述する実施例および比較例においても、シリカ微粒子の平均粒子径(D0)、粒度分布の頻度および標準偏差は、このような方法によって測定した。
シリカ微粒子の比表面積は特に限定されないが、300m2/g以下であることが好ましく、180m2/g以下であることがより好ましく、40〜150m2/gであることがさらに好ましい。より分散性に優れる疎水性シリカ系粉末が得られるからである。
なお、シリカ微粒子の比表面積は、連続流動法によるBET1点法測定で求める値とする。この測定方法について具体的に説明する。初めに、シリカゾル50mlをHNO3でpH3.5に調整し、1−プロパノール40mlを加え、110℃で16時間乾燥した試料について、乳鉢で粉砕後、マッフル炉にて500℃、1時間焼成し、測定用試料とする。そして、試料0.5gを測定セルに取り、窒素30体積%/ヘリウム70体積%混合ガス気流中、300℃で20分間脱ガス処理を行い、その上で試料を上記混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。次に、上記混合ガスを流しながら試料温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により、比表面積を算出する。このようなBET比表面積は、公知のBET式粉体比表面積測定装置(例えば、ユアサアイオニクス製、型番マルチソーブ12)を用いて測定することができる。
シリカ微粒子は金平糖状であることが好ましい。
ここで、金平糖状とは、球状シリカ微粒子の表面に複数の疣状突起が形成された物であり、その形状は概ね金平糖に類似している。このような複数の疣状突起が形成された表面については、後述する本発明のシリカ系粉末の場合と同様の方法で測定した比表面積(SA1)と比表面積(SA2)との比(SA1/SA2)によって規定され、具体的にはこの値が1.7〜10であることが好ましく、1.7〜8であることがより好ましい。
シリカゾルに含まれるシリカ微粒子の濃度(固形分濃度)は特に限定されないが、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
シリカゾルのpHは特に限定されないが、8〜11であることが好ましく、9〜10.5であることがより好ましい。
シリカゾルは、H2SO4、HCl等のpH調整剤やNaOH等の従来公知の安定化剤を含むことができる。
工程1では、上記のようなシリカゾルについて陽イオンの脱離処理および陰イオンの脱離処理を施す。
陽イオンの脱離処理と陰イオンの脱離処理とを施す順番は特に限定されないが、前記シリカゾルに陽イオンの脱離処理を施した後に陰イオンの脱離処理を施すことが好ましい。
陽イオンの脱離処理は、前記シリカゾルに含まれる陽イオン成分の少なくとも一部(好ましくはほとんど全て)を除去できる処理であれば特に限定されず、例えば従来公知の処理を適用することができる。陽イオンの脱離処理は陽イオン交換処理であることが好ましい。陽イオンの交換処理としては、例えば陽イオン交換樹脂とシリカゾルとを接触させる処理が挙げられる。
陰イオンの脱離処理は、前記シリカゾルに含まれる陰イオン成分の少なくとも一部(好ましくはほとんど全て)を除去できる処理であれば特に限定されず、例えば従来公知の処理を適用することができる。陰イオンの脱離処理は陰イオン交換処理であることが好ましい。陰イオン交換処理としては、例えば陰イオン交換樹脂とシリカゾルとを接触させる処理が挙げられる。
<工程2>
工程2では、工程1の処理を施された後のシリカゾルを噴霧乾燥し、シリカ粉末乾燥品を得る。
噴霧乾燥は、シリカゾルをノズルからチャンバー内に噴霧し、チャンバー内で熱風と接触させ、瞬間的に乾燥させる方法である。噴霧乾燥法は、乾燥時間が短いため、比較的熱に弱い物質を用いる場合にも適しており、また、連続的に大量生産できるため低コストでシリカ粉末乾燥品を得ることができる。
噴霧乾燥のための各条件は、得られるシリカ粉末乾燥品の粒子径等を考慮しながら、適宜調整することができる。例えば、熱風気流中に1〜3リットル/分の速度で噴霧することによって行われる。ここでノズル噴霧圧は0.2〜0.6MPaとすることが好ましい。また、この際、熱風の温度を、入口温度が好ましくは70〜400℃、より好ましくは100〜300℃、さらに好ましくは220〜240℃の範囲内、出口温度が好ましくは40〜60℃の範囲にあるように調整する。また、前記シリカゾルは、前記固形分濃度が1〜50質量%、好ましくは5〜30質量%となるように予め調整した後、これをスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥することが好ましい。
ここで出口温度を40〜60℃(好ましくは50〜60℃)とすると、得られるシリカ粉末乾燥品に適量の水分が残存し、次の工程において水分量を適切な範囲に調整する処理を省略することができるので好ましい。
<工程3>
工程3では、工程2において得られたシリカ粉末乾燥品について、水分存在下、シラン化合物を加え、混合し、疎水性シリカ粉末を得る。
シラン化合物として、ジシラザン化合物やシランカップリング剤等が挙げられる。また、本発明の製造方法では、2種以上のシラン化合物を用いることができ、例えば、ジシラザン化合物とシランカップリング剤とを併用してもよい。
ジシラザン化合物として、例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン、1,3−Bis(クロロメチル)テトラメチルジシラザン、1,3−Bis(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、ヘプタメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン等が挙げられる。
ジシラザン化合物は1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(ビス(トリメチルシリル)アミン、以下「HMDS」ともいう)が好ましい。HMDSは、通常、無色透明の液体として存在する。
シランカップリング剤は、YSiX3やY2SiX2の一般式を持つものであり、Xはアルコキシ基などの加水分解性の置換基で無機質と反応し、Yは有機質と反応しやすいスルフィド基、メルカプト基、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、グリキシド基、ニトロ基、クロロ基などである。
本発明の製造方法では、シラン化合物として、シランカップリング剤を用いることが好ましく、スルフィド基含有シランカップリング剤を用いることがより好ましい。
スルフィド基含有シランカップリング剤として、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィドが挙げられる。なかでも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが好ましい。
スルフィド基含有シランカップリング剤以外のシランカップリング剤として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの炭酸塩、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランが挙げられる。特に、正電荷の疎水性シリカ系粉末を得たい場合は、3−アミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノシランカップリング剤を用いることが好ましい。
スルフィド基含有シランカップリング剤以外のシラン化合物をシリカ粉末乾燥品へ添加する添加量は特に限定されないが、シリカ粉末乾燥品100質量部(ドライベース)に対して、0.5〜100質量部であることが好ましく、4〜60質量部であることがより好ましい。
スルフィド基含有シランカップリング剤のシリカ粉末乾燥品への添加量は特に限定されないが、シリカ粉末乾燥品100質量部(ドライベース)に対して、15質量部以下であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。
シラン化合物をシリカ粉末乾燥品へ加える際には、予め、シリカ粉末乾燥品の水分を含んでいる状態とする。すなわち、水分存在下にて、シリカ粉末乾燥品へシラン化合物を加える。前述のように、工程2によって得られたシリカ粉末乾燥品に適量の水分が残存している場合は、その状態のまま、シリカ粉末乾燥品へシラン化合物を加えてよいが、工程2によって得られたシリカ粉末乾燥品の水分量が不足している場合は水を加えて調整する。具体的にはシリカ粉末乾燥品の水分量が1〜30質量%である場合、水分量が適量であるとしてよい。この水分量は5〜25質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることがより好ましい。
シラン化合物をシリカ粉末乾燥品へ加え、混合する際は、高速撹拌装置等を用いて強撹拌することでシリカ粉末乾燥品とシラン化合物との接触を促すことが好ましい。
シラン化合物をシリカ粉末乾燥品へ加える際は、所定量のシラン化合物を複数回に分けてシリカ粉末乾燥品へ加えることが好ましい。具体的には5回程度に分けて加えることが好ましい。すなわち、シリカ粉末乾燥品へ所望量のシラン化合物を加えた後、撹拌し、その後、再び、所定量のシラン化合物を加えて撹拌する操作を繰り返すことが好ましい。シリカ粉末乾燥品とシラン化合物との接触をより促すことができ、得られる疎水性シリカ系粉末における疎水性の程度が高まる傾向があるからである。
シリカ粉末乾燥品へシラン化合物を加え、混合した後、乾燥処理を施すことが好ましい。例えば100〜200℃程度(好ましくは130〜160℃)の温度にて1〜5時間程度、乾燥処理することが好ましい。本発明の製造方法によって得られる疎水性シリカ系粉末における疎水性の程度が高まる傾向があるからである。また、余剰のシラン化合物またはシランカップリング剤や副生成のメタノールやアンモニアを除去できるからである。
シランカップリング剤と、それ以外のシラン化合物とをシリカ粉末乾燥品へ加える際には、先にシランカップリング剤を加え、その後、シランカップリング剤以外のシラン化合物を加えることが好ましい。シランカップリング剤以外のシラン化合物を加えた後に、シランカップリング剤を加えると、立体障害の影響を受け、所定量のシランカップリング剤を粉末に付与することが比較的難しいからである。また、スルフィド基含有シランカップリング剤は、シリカとゴムとの連結を加速し、ゴムの強度を高める効果を与えるために優れている。
<工程4>
工程4では、工程3において得られた疎水性シリカ粉末を粉砕する。
粉砕は、高圧ガス(空気等)をミル内に噴射し原料を粉砕する高速旋回粉砕装置(ジェットミル)を用いることが好ましい。
本発明の製造方法では、上記のような工程1および工程2を行った後、工程3〜工程4を少なくとも1回行うことが好ましい。また、工程1および工程2を行った後、工程3〜工程4を2〜6回反復して行うことがより好ましい。例えば工程1、工程2、工程3および工程4を行った後に得られた疎水性シリカ系粉末の平均粒子径(D3)や粒度分布が所望のものではなかった場合、再度、工程3および工程4を反復して行うことができる。すなわち、工程3および工程4を1セットとし、このセットを繰り返して行うことができる。したがって、工程4を行った後、得られた疎水性シリカ系粉末の粒度分布を測定して、平均粒子径(D3)や粒度分布が所望の範囲内であるかを確認する操作を行うことが好ましい。
なお、工程1、工程2、工程3および工程4を行った後、工程3および工程4のセットを1回行った場合、反復回数は2回とカウントする。
また、前記工程1〜工程2に続いて、工程3〜工程4を少なくとも1回行った後、再度、工程3を行うことが好ましい。
このような本発明の製造方法によって、本発明のシリカ系粉末を得ることができる。ただし、本発明のシリカ系粉末は、珪酸ナトリウムを原料として調整されるのであれば、その製造方法は限定されない。
<本発明のシリカ系粉末>
本発明のシリカ系粉末について説明する。
本発明のシリカ系粉末の平均粒子径(D3)は0.01〜0.30μmの範囲であるが、0.02μm以上であることが好ましい。また、0.25μm以下であることが好ましい。
本発明のシリカ系粉末の粒度分布における頻度(体積基準)は、その60%(体積%)以上が0.01〜0.30μm(好ましくは0.01〜0.25μm)の範囲内である。この範囲内にある上記頻度は70%以上であることが好ましく、実質的に100%であることがさらに好ましい。
本発明のシリカ系粉末は、その粒子径の変動係数(CV値)が10〜50%の範囲にある。このような本発明のシリカ系粉末は、粒子径の均一性が高いため、より分散性に優れる。
ここで粒子径の変動係数(CV値)は、次の式1で定義される。
式1:粒子径の変動係数(CV値(%))=粒子径標準偏差(σ)/平均粒子径(D3)×100
粒子径の変動係数(CV値)の範囲は10〜45%が好ましく、15〜40%がより好ましい。
本発明のシリカ系粉末の平均粒子径(D3)、粒度分布の頻度および粒子径標準偏差(σ)は、次のような方法で粒度分布を測定して得る値を意味するものとする。
初めに、測定粉末0.3gを秤量し、30gのメタノールで1%に希釈し、10分超音波にて分散した後、従来公知の動的光散乱法を用いた粒子径測定装置(例えば、日機装社製、マイクロトラック)にて、粒度分布を測定する。測定条件は、粒子屈折率1.45、密度2.2g/cm3、溶媒屈折率1.329、測定時間60秒とする。そして、粒度分布(体積基準)を測定し、その粒度分布から平均粒子径(メジアン径、μm)を算出し、さらに上記範囲内の頻度(体積%)および粒子径標準偏差(σ)を読み取る。
なお、後述する実施例および比較例においても、本発明のシリカ系粉末(疎水性シリカ系粉末)の平均粒子径(D3)、粒度分布の頻度および粒子径標準偏差(σ)は、このような方法によって測定した。
本発明のシリカ系粉末は、BET法またはシア−ズ法により測定された比表面積(SA1)と、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算した比表面積(SA2)との比である表面粗度(SA1/SA2)の値が1.1〜5.0の範囲である。
ここでシアーズ法とは、シリカ系粉末に対して水酸化ナトリウム溶液を滴定したときの水酸化ナトリウム溶液の消費量から、本発明のシリカ系粉末の比表面積を求めるものである。具体的には以下のような方法で比表面積(SA1)を求める方法である。
1)SiO2として1.5gに相当する試料をビーカーに採取してから、恒温反応槽(25℃)に移し、純水を加えて液量を90mlにする。(以下の操作は、25℃に保持した恒温反応槽中にて行う。)
2)pH3.6になるように0.1モル/L塩酸水溶液を加える。
3)塩化ナトリウムを30g加え、純水で150mlに希釈し、10分間攪拌する。
4)pH電極をセットし、攪拌しながら0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液を滴下して、pH4.0に調整する。
5)pH4.0に調整した試料を0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液で滴定し、pH8.7〜9.3の範囲での滴定量とpH値を4点以上記録して、0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量をX、その時のpH値をYとして、検量線を作る。
6)次の式(2)からSiO21.5g当たりのpH4.0〜9.0までに要する0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の消費量V(ml)を求め、後記式(3)に従って比表面積SA1[m2/g]を求める。
V=(A×f×100×1.5)/(W×C)・・・式(2)
SA1=29.0V−28・・・式(3)
但し、上記式(2)における記号の意味は次の通りである。
A:SiO21.5g当たりpH4.0〜9.0までに要する0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量(ml)
f:0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の力価
C:試料のSiO2濃度(%)
W:試料採取量(g)
また、BET法は、前述のシリカ微粒子の比表面積を測定する場合と同様に、BET1点法によって測定して得る値を意味する。
BET法またはシアーズ法により測定された比表面積をSA1とする。
本発明のシリカ系粉末におけるシアーズ法またはBET法により測定された比表面積(SA1)は、300m2/g以下であることが好ましく、200m2/g以下であることがより好ましく、30〜150m2/gであることがさらに好ましい。より分散性に優れる疎水性シリカ系粉末が得られるからである。
画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算された比表面積(SA2)について説明する。まず、透過型電子顕微鏡により、本発明のシリカ系粉末を撮影し、得られる写真投影図における、任意の50個の粒子について、その最大径(DL)を測定したときの平均値を平均粒子径(D2)とする。次にシリカ系粉末を理想的な球状粒子と仮定して、次の式4より比表面積(SA2)を求める。
式4:SA2=6000/(D2×ρ)
ただし、式4において、ρは試料粒子の密度(g/cm3)であり、シリカ系粉末にシリカ単体の微粒子が用いられている場合2.2である。また、アルミナ−シリカ複合体の微粒子が用いられている場合、シリカとアルミナの質量比率において、シリカが大幅に多いため、試料密度ρはシリカの密度を使用してよい。
この関係式は、前記仮定に基づくものであるので、この比表面積(SA2)の値は、平均粒子径(D2)に対応した、球状で表面が平滑なシリカ微粒子の比表面積を表すものと言える。
ここで比表面積は単位質量当りの表面積を示すから、SA1/SA2の値については、粒子が球状であって、粒子表面が多くの疣状突起を有する程、SA1/SA2の値は大きくなる。逆に、粒子表面の疣状突起が少なく平滑であるほど、SA1/SA2の値は小さくなり、その値は1に近くなる。このSA1/SA2の値を表面粗度ともいう。
本発明のシリカ系粉末の表面粗度は1.1〜5.0であり、1.1〜4.0であることが好ましい。
本発明のシリカ系粉末は、球状粒子の表面に複数の疣状突起を有する形状であり、概ね金平糖に類似したものである。
本発明のシリカ系粉末は上記範囲の表面粗度(SA1/SA2)を備える金平糖状であり、本発明のシリカ系粉末を低燃費タイヤの原料として利用したときに、分散効果と反応性向上によって本発明のシリカ系粉末がゴム成分と反応して脱落し難くなり、転がり抵抗の低減性、グリップ性能が向上し好ましい。
本発明のシリカ系粉末は、シリカまたはアルミナ−シリカ複合体を主成分として含むことが好ましい。ここで、主成分とはシリカ系粉末全体において70質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことがさらに好ましい。
本発明のシリカ系粉末は疎水性を呈する。その程度は、次に説明する疎水性評価方法によって得られる値が40〜70%となることが好ましく、45〜65%となることがより好ましく、49〜62%となることがさらに好ましい。
疎水性評価方法について説明する。
初めに、ガラス容器に純水50.0mlを加えた後、回転子を入れ、測定粉末0.5gを加える。そして、回転数600rpmにて撹拌しながらガラス容器内の純水の表面へメタノールを滴下し、液上部に浮いている粉末が全て分散された時点のメタノール量を確認し、以下の式3にて疎水性を算出する。
式3:疎水性(%)=メタノール量(ml)÷(純水量(ml)+メタノール量(ml))×100
なお、後述する実施例および比較例においても、本発明のシリカ系粉末(疎水性シリカ系粉末)の疎水性の程度は、このような方法によって測定した。
本発明のシリカ系粉末は、低燃費タイヤの原料として使用出来る。本発明のシリカ系粉末の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは、60質量部以上である。10質量部未満であると、シリカ配合による十分な効果が得られない傾向がある。該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは110質量部以下、さらに好ましくは90質量部以下である。150質量部を超えると、シリカのゴム成分への分散が困難となり、混練加工性が悪化する傾向がある。
従来品は気相法(スプレー法)で粉体シリカを得ている。このシリカ粉体がゴム成分と表面処理剤と同時に混合してタイヤ用ゴムを形成している。この場合、シリカの表面処理を行う上で多量の表面処理剤が必要であり、高価格のタイヤとなっている。シリカとゴムの均一な結合が不足していると考えられる。本発明は、予め個々のシリカを表面処理してゴム成分との反応を効率的に行わせるものであり、少ない表面処理剤で目的とする良好な転がり性やグリップ性能を備えるタイヤを得ることができる。
本発明のシリカ系粉末は、前述のように低燃費タイヤの原料として好ましく利用でき、その他にもフィルムやコート材として好ましく利用することができる。
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例における物性の測定方法および評価方法について説明する。
比表面積(SA1)は、測定装置としてユアサアイオニクス製、型番マルチソーブ12を用いて、前述のBET1点法によって測定した。比表面積(SA2)は、透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)を用いて、前述の方法で測定した。また、これらの測定値をもとに、表面粗度(SA1/SA2)を算出した。
シリカ微粒子(シリカゾル)の平均粒子径(D0)および粒度分布の頻度、ならびに、疎水性シリカ系粉末の平均粒子径(D3)、粒度分布の頻度および粒子径標準偏差(σ)は、動的光散乱粒子径測定装置として日機装社製、マイクロトラックを用い、前述の方法によって測定した。また、粒子径標準偏差(σ)と平均粒子径の測定値をもとに、粒子径の変動係数(CV値)を算出した。
疎水性シリカ系粉末の疎水性の評価は、前述の方法によって測定し、値を算出した。
また、以下の実施例および比較例の各々において用いた出発原料(シリカゾル)の粒子径は、第1表における平均粒子径(D0)とは必ずしも一致しない。
<実施例1>
工程A:金平糖80nmシリカゾル(日揮触媒化成株式会社製、CO−80A、粒度分布における標準偏差は0.10μm以下)20kgに陽イオン交換樹脂5.4Lを加えて30分陽イオン交換を行った後、樹脂を分離して得た陽イオン交換品に、陰イオン交換樹脂0.36Lを加えて30分撹拌し、樹脂を分離して、陰イオン交換品19kgを得た。
工程B:陰イオン交換品2.2kgを、NIROスプレー装置にて、スラリー流量2L/Hr、ノズル噴霧圧0.4MPa、入口温度220〜240℃の条件で噴霧して、シリカ粉末乾燥品243.8gを得た。このシリカ粉末乾燥品の水分含有率は10〜20質量%と考えられる。
工程C:得られたシリカ粉末乾燥品100gを高速ミキサーへ投入し、10分ミキサー粉砕を行った後、TESPT(ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ダイソー社製)を11.8g(0.022モル)加え、ミキサー粉砕による表面処理を行い、本操作を合計5回繰り返したのち、150℃で3Hr乾燥させ表面処理品109gを得た。本操作を2回実施し、合計218gの表面処理品を得た。
工程D:表面処理品134gをアイシンナノテクノロジーズ社製、ナノジェットマイザーNJ−50にて、処理量2g/min、押込み圧1.5MPa、粉砕圧0.4MPaにて粉砕を行い、粉砕品121gを得た。
工程E:得られた粉砕品100gを高速ミキサーへ投入し、10分ミキサー粉砕を行った後、TESPT(ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ダイソー社製)を11.8g(0.022モル)加え、ミキサー粉砕による表面処理を行い、本操作を合計5回繰り返したのち、150℃で3Hr乾燥させ再表面処理品109gを得た。
得られた再表面処理品の動的光散乱粒子径測定装置による平均粒子径(D3)は0.14μm、頻度100%の1ピークを示し、変動係数は15%であった。また、BET比表面積(SA1)は35m2/gを示し、画像解析法より求めた平均粒子径(D2)は94nmであり、換算した比表面積(SA2)は29m2/gで、SA1/SA2の比は1.2で、疎水性は60%であった。
<実施例2>
実施例1の金平糖80nmシリカゾルを金平糖45nmシリカゾル(日揮触媒化成株式会社製、CO−45A、粒度分布における標準偏差は0.10μm以下)に変更した以外は、実施例1と同様に工程A、Bを行い、シリカ粉末乾燥品100gに対してTESPT(ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ダイソー社製)を43.0g(0.08モル)を加えた以外は同様とした工程Cを行い、その後、工程D、Eを実施した。
得られた再表面処理品の動的光散乱粒子径測定装置による平均粒子径(D3)は0.25μmで、0.12μmのピーク頻度が88%で、0.42μmのピークの頻度が12%を示し、変動係数は25%であった。また、BET比表面積(SA1)は50m2/gを示し、画像解析法より求めた平均粒子径(D2)は76nmであり、換算した比表面積(SA2)は36m2/gで、SA1/SA2の比は1.4で、疎水性は58%であった。
<実施例3>
実施例2における再表面処理品について、さらに工程D、Eを実施した。
得られた再表面処理品の動的光散乱粒子径測定装置による平均粒子径(D3)は0.09μm、頻度100%の1ピークを示し、変動係数は30%であった。また、BET比表面積(SA1)は47m2/gを示し、画像解析法より求めた平均粒子径(D2)は88nmであり、換算した比表面積(SA2)は31m2/gで、SA1/SA2の比は1.5で、疎水性は62%であった。
<実施例4>
BET比表面積が148m2/gで、平均粒子径(D0)が0.07μmである金平糖45nmシリカゾル(粒度分布における標準偏差は0.10μm以下)を出発原料とし、工程C、Eにてシリカ粉末乾燥品100gに対してTESPT(ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ダイソー社製)を83.0g(0.164モル)を加えた以外は、実施例2と同様に工程A〜Eを行い、さらに工程D、Eを実施した。
得られた粉砕品の動的光散乱粒子径測定装置による平均粒子径(D3)は0.08μm、頻度100%の1ピークを示し、変動係数は32%であった。また、BET比表面積(SA1)は134m2/gを示し、画像解析法より求めた平均粒子径(D2)は72nmであり、換算した比表面積(SA2)は35m2/gで、SA1/SA2の比は3.8で、疎水性は62%であった。
<実施例5>
金平糖25nmシリカゾル(日揮触媒化成株式会社製、CO−25A、粒度分布における標準偏差は0.10μm以下)を用いて、工程C、Eにてシリカ粉末乾燥品100gに対してTESPT(ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ダイソー社製)を75.3g(0.14モル)を加えた以外は実施例2と同様に工程A〜Eを行い、さらに工程D、Eを2回繰り返した。
得られた再表面処理品の動的光散乱粒子径測定装置による平均粒子径(D3)は0.05μm、頻度100%の1ピークを示し、変動係数は40%であった。また、BET比表面積(SA1)は67m2/gを示し、画像解析法より求めた平均粒子径(D2)は74nmであり、換算した比表面積(SA2)は37m2/gで、SA1/SA2の比は1.8で、疎水性は61%であった。
<比較例1>
金平糖45nmシリカゾル(日揮触媒化成株式会社製、CO−45A)を用いて、実施例2と同様に工程A、B、Cを実施した。
得られた表面処理品の動的光散乱粒子径測定装置による平均粒子径(D3)は2.36μm、頻度100%の1ピークを示し、変動係数は10%であった。また、BET比表面積(SA1)は39m2/gを示し、画像解析法より求めた平均粒子径(D2)は78nmであり、換算した比表面積(SA2)は35m2/gで、SA1/SA2の比は1.1で、疎水性は60%であった。
<比較例2>
金平糖45nmシリカゾル(日揮触媒化成株式会社製、CO−45A)を用いて、実施例2と同様に工程A〜Dを実施した。
得られた粉砕品の動的光散乱粒子径測定装置による平均粒子径(D3)は0.82μmで、0.19μmのピーク頻度が48%で、1.10μmのピークの頻度が52%を示し、変動係数は10%であった。また、BET比表面積(SA1)は35m2/gを示し、画像解析法より求めた平均粒子径(D2)は94nmであり、換算した比表面積(SA2)は29m2/gで、SA1/SA2の比は1.2で、疎水性は57%であった。
実施例1で得られた再表面処理品をメタノールに分散させたものを走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ S−5500形)により撮影した画像を図1(倍率1500倍)、図2(倍率5万倍)、図3(20万倍)に示す。
実施例1〜5および比較例1〜2における出発原料、工程の特徴および製品の特長について、第1表に示す。
<耐摩耗性試験・引張試験>
次に、上記の実施例1〜5および比較例1〜2の各々において得られたもの(粉砕品、再表面処理品または表面処理品。第1表においては「シリカ」と示す。)を原料として用いて試験用タイヤおよび試験片を作成し、耐摩耗性試験および引張試験を行った。以下に詳しく説明する。
上記の実施例1〜5および比較例1〜2の各々において使用した各種薬品について説明する。
SBR:日本ゼオン(株)製のSBR Nipol NS210
カーボンブラック(CB):三菱化学(株)製のダイアブラックI(N2SA:114m2/g)
アロマオイル:ジャパンエナジー社製のX140
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−フェニル−N´−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:鶴見化学(株)製の硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
(第一ベース練り工程)
第1表に示す配合にしたがい、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を150℃の条件下で3分間混練し、混練物1を得た。
(第二ベース練り工程)
次に、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、上記混練物1に老化防止剤、ステアリン酸および酸化亜鉛を添加し、150℃の条件下で2分間混練し、混練物2を得た。
(仕上げ練り工程)
さらに、オープンロールを用いて、上記混練物2に硫黄および加硫促進剤を添加し、60℃の条件下で4分間混練して未加硫ゴム組成物を得た。
(加硫工程)
得られた未加硫ゴム組成物を170℃で20分間、0.5mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、170℃で12分間加硫することにより、試験用タイヤ(カートタイヤ、タイヤサイズ:11×7.10−5)を製造した。
得られた加硫ゴム組成物および試験用タイヤについて下記の評価を行った。結果を第1表に示す。
(耐摩耗性)
試験用タイヤを装着した試験用カートで1周2kmのテストコース(ウェット路面)を8周走行した後、試験用タイヤの摩耗状態を目視で確認し、耐摩耗性を評価した。評価結果は、比較例1を2.7点とし、5点満点で表示した。数値が大きいほど、耐摩耗性が良好であることを示す。
(引張り試験)
得られた加硫ゴム組成物から試験片を作製しJIS−K6251に準じて3号ダンベルを用いて引張り試験を実施し、破断強度(TB)と破断時伸び(EB)を測定した。そして、TB×EB/2の値をゴム強度として、比較例1のゴム強度を82とし、結果を指数表示した。指数が大きいほどゴム強度に優れることを示す。

Claims (5)

  1. 粒子径の変動係数(CV値)が10〜50%の範囲にあり、
    BET法またはシア−ズ法により測定された比表面積(SA1)と、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算した比表面積(SA2)との比である表面粗度(SA1/SA2)の値が1.1〜5.0の範囲にあり、
    動的光散乱法によって測定された平均粒子径(D3)が0.01〜0.30μmの範囲にあり、同範囲の粒度分布の頻度が60%以上であり、
    球状粒子の表面に複数の疣状突起を有する金平糖状微粒子からなる疎水性シリカ系粉末。
  2. シリカまたはアルミナ−シリカ複合体を主成分として含むことを特徴とする、請求項1に記載の疎水性シリカ系粉末。
  3. 次の工程1〜工程2に続いて、工程3〜工程4を少なくとも1回行うことを特徴とする請求項1または2に記載の疎水性シリカ系粉末の製造方法。
    工程1:平均粒子径(D0)が0.01〜0.20μmの範囲にあり、かつ、同範囲の粒度分布の頻度が95%以上で標準偏差が0.10μm以下であるシリカ微粒子が分散しているシリカゾルに陽イオンの脱離処理および陰イオンの脱離処理を施す工程。
    工程2:前工程に続き、前記シリカゾルを噴霧乾燥し、シリカ粉末乾燥品を得る工程。
    工程3:前工程に続き、水分存在下、前記シリカ粉末乾燥品に、シラン化合物を加え、混合し、疎水性シリカ粉末を得る工程。
    工程4:前工程に続き、前記疎水性シリカ粉末を粉砕する工程。
  4. 前記工程1〜工程2に続いて、工程3〜工程4を少なくとも1回行った後、再度、工程3を行うことを特徴とする、請求項3に記載の疎水性シリカ系粉末の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の疎水性シリカ系粉末を含有するゴム成型用組成物。
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