JP2010228997A - 疎水性シリカ粒の製造方法 - Google Patents

疎水性シリカ粒の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】疎水化度が高く、且つ、吸湿性が格段に低減されている疎水性シリカ粒子の製造方法の提供。
【解決手段】本発明の疎水性シリカ粒子の製造方法は、シリカを基材とする疎水性シリカ粒子の製造方法であって、該シリカが孤立シラノール基含有量が0.01〜0.3mmol/mであり、且つ、比表面積値Ssが、下記式(1)で示される理論表面積Ssに対する比表面積比(Ss/Ss)が2以下を満足するものであり、該シリカにオルガノシリル化剤を反応させることを特徴とする。該シリカはアルコキシシランの加水分解・縮合反応により得られたシリカ粒子を650〜1180℃で焼成することによって、孤立シラノール基含有量並びに比表面積を所定範囲に制御されたシリカを製造する工程と、該シリカにオルガノシリル基を導入する工程とを有する製造方法により製造することが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、疎水化度が高く吸湿性が抑制された疎水性シリカ粒子の製造方法に関する。
シリカ粒子は、PETフィルムなどの高分子フィルムの滑り性改良剤、光拡散フィルムの光拡散剤、半導体封止樹脂用の充填剤等の樹脂添加剤として使用されている。これら樹脂添加剤として用いる場合に粒子が吸湿性を有すると粒子表面の吸着水分により樹脂の耐候性が低下し機械的強度や光学的な機能の劣化をもたらすといった問題があった。またシリカ粒子は表面が親水性であるため、樹脂との親和性が十分でないために耐熱性や機械的特性の改善目的でシリカ粒子を樹脂に配合しても十分な効果が得られなかったり、シリカ粒子と樹脂との界面にボイドが生成し生成したボイドに水分が保持されやすくなり樹脂の劣化をさらに促進するといった問題があった。
したがって、疎水化度が高くしかも吸湿性が抑制されたシリカ粒子が求められている。
疎水性を高めたシリカ粒子は主に、親水性シリカを各種処理剤で表面処理することにより得られ、従来より種々の方法が提案されてきた。例えば、特許文献1ではシリカ粉体を浮遊状態にしてアミノ置換シラン化合物と接触させることを特徴とする疎水性シリカ粉体の製造方法が開示されている。また、特許文献2では所定の水酸基量を有するシリカを水蒸気と塩基性ガス、例えばアンモニアガスの存在下にヘキサメチルジシラザンと接触させる疎水性シリカ粒子の製造方法が開示されている。また、特許文献3にはシリカとトリメチルシリル化剤とを水蒸気の存在下、所定の条件で反応させることを特徴とする疎水性シリカの製造方法が開示されている。しかし、これらの方法により容易に疎水性シリカを得ることはできるが、吸湿性を抑制しつつ、疎水性を高める点では十分ではなかった。すなわち、疎水性をシリカ表面に付与しても水分の吸着性(吸湿性)を同時に抑制しないと、オルガノシリル基近傍に水分子が存在することになり、使用環境によってはシリカ表面に導入したオルガノシリル基が加水分解により脱離するという問題があった。
したがって、吸湿性が抑制された疎水性シリカ粒子の実現が望まれる。
特開平6−227810号公報 特開平8−259216号公報 特開2000−191318号公報
本発明は、上記事情に鑑み、シリカを基材としながら、疎水化度が高く、しかも吸湿性が格段に低減された粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、疎水化度が高く、しかも吸湿性が抑制されたシリカ粒子の製造方法に関し鋭意検討した結果、特定のシリカ粒子を基材として特定の疎水化剤で表面処理することによって、目的とする疎水性シリカ粒子が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の疎水性シリカ粒子の製造方法とは、シリカを基材とする疎水性シリカ粒子の製造方法であって、該シリカが孤立シラノール基含有量が0.01〜0.3mmol/mであり、且つ、比表面積値Ssが、下記式(1)で示される理論表面積Ssに対する比表面積比(Ss/Ss)が2以下を満足するものであり、該シリカにオルガノシリル化剤を反応させることを特徴とする。
Ss(m/g)=6/(ρ×d) (1)
ρ:シリカの真比重
d:シリカの1次粒子径の平均値(μm)
さらに、本発明の疎水性シリカ粒子の製造方法は、前記シリカが、アルコキシシランを加水分解・縮合することによりシリカ粒子を製造する工程(1)と、該シリカ粒子を650〜1180℃の温度範囲で焼成することにより前記シリカを製造する工程(2)とを含む製造方法により得られてなるものであることが好ましい。
本発明の製造方法で得られる疎水性シリカ粒子は、特定のシリカの表面にオルガノシリル基が導入されているために、疎水化度が高いだけでなく、吸湿性が抑制されたものとなる。その結果、樹脂添加剤として用いた場合に、疎水性シリカ粒子を添加した効果が低下することなく耐久性に優れる樹脂フィルム等が得られる。
本発明の疎水性シリカ粒子の製造方法について説明する。
本発明の疎水性シリカ粒子の製造方法は、シリカを基材とする疎水性シリカ粒子の製造方法であって、該シリカが孤立シラノール基含有量が0.01〜0.3mmol/mであり、且つ、比表面積値Ssが、下記式(1)で示される理論表面積Ssに対する比表面積比(Ss/Ss)が2以下を満足するものであり、該シリカにオルガノシリル化剤を反応させることを特徴とするものである。
Ss(m/g)=6/(ρ×d) (1)
ρ:シリカの真比重
d:シリカの1次粒子径の平均値(μm)
(シリカ)
本発明の疎水性シリカ粒子は特定のシリカを基材とするものであることに特徴を有するが、該シリカについて説明する。
本発明の製造方法に用いるシリカは、前記したように、孤立シラノール基含有量が、0.01〜0.3mmol/mであり、且つ、比表面積値Ssが、下記式(1)で示される理論表面積Ssに対する比表面積比(Ss/Ss)が2以下を満足することに特徴を有する。
Ss(m/g)=6/(ρ×d) (1)
ρ:シリカの真比重
d:シリカの1次粒子径の平均値(μm)
孤立シラノール基含有量が0.01〜0.3mmol/mの範囲のシリカをオルガノシリル化剤により表面処理してなる疎水性シリカ粒子は、疎水化度が高く、吸湿性が抑制され含水量の低い粒子となるのである。孤立シラノール基含有量が0.3mmol/mを超えると、粒子の吸湿性が高くなり、オルガノシリル基のケイ素原子とシリカとの間に形成されたシロキサン結合が加水分解され易くなり、疎水化度が経時的に低下するおそれがある。また、孤立シラノール基含有量が0.01mmol/m未満では、オルガノシリル基を効果的な密度でシリカ表面に導入し難くなるおそれがある。
孤立シラノール基の含有量は、さらに、0.016mmol/m以上であることが好ましく、0.020mmol/mがより好ましい。また、0.20mmol/m以下であることが好ましく、より好ましくは0.10mmol/m以下である。孤立シラノール基の含有量は、たとえば、水素化アルミニウムリチウム法、FT−IR法により測定することができる。FT−IR法においては通常3740cm−1付近に観測されるピークが孤立シラノール基に帰属されるものであり、該ピーク面積よりその含有量を測定することができる。なお、孤立シラノール基含有量は、シリカのB.E.T.法により測定された比表面積値を基準にしてその単位表面積(m)あたりで表したものである。
シリカは、また、前記式(1)で示される理論表面積Ssに対する比表面積比(S/Ss)が2以下を満足する。
シリカの比表面積比(Ss/Ss)が、2を越えると、シリカひいては疎水性シリカ粒子の吸湿性が高くなる。シリカは、さらに表面が無孔質又はこれに近いものが好ましい。具体的には、比表面積比(Ss/Ss)が1.5以下を満足することが好ましく、さらに1.3以下を満足することが好ましく、特に1.2以下を満足することが好ましい。また、比表面積比(Ss/Ss)は、0.5以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましく、1.0以上であることがさらに好ましい。なお、比表面積(Ss)は、B.E.T.法により測定した値を用いることができる。
上述の特徴を有するシリカは、吸湿性が低いものとなる。具体的には、温度30℃、相対湿度90%の雰囲気下において24時間放置した後におけるカールフィッシャー法により測定した含水量が、2質量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、1%以下であり、より好ましくは0.6%以下であり、特に好ましくは0.1%以下である。
シリカはまた、アルコキシシランを加水分解・縮合することによりシリカ粒子を製造する工程(1)と、該シリカ粒子を650〜1180℃の温度範囲で焼成することにより前記シリカを製造する工程(2)とを含む製造方法により得られてなるものであることが好ましい。
アルコキシシランを加水分解・縮合することによりシリカ粒子には通常、アルコールが結合しており、シリカ粒子はシラノール基およびアルコキシシリル基を有している。アルコールが低級アルコールの場合は表面に結合したアルコキシシリル基は樹脂中の僅かな水分によっても加水分解され易くシラノール基を生成し易い。したがって、該シリカ粒子をオルガノシリル化剤で処理しても、吸湿性が長期的に低く維持された疎水性シリカとはならない虞がある。またアルコールが高級アルコールである場合は、その立体的な障害により、オルガノシリル化剤を粒子表面に反応させることが困難となる虞がある。したがって、本発明の製造方法において基材とするシリカを製造するためには、上述のシリカ粒子をさらに焼成することによりアルコールを脱離させることが好ましい。アルコールを脱離させるためには通常400〜500℃以上の温度が必要であるが、さらに孤立シラノール基含有量を上述した範囲内とするためには650℃以上、1180℃以下で焼成することが好ましい。また1180℃を超えるとシリカの融着反応による強固な凝集体の生成が起こり、前記比表面積比が0.5未満のシリカとなる。
すなわち、孤立シラノール基含有量および比表面積比が好ましい範囲のシリカを得、さらに吸湿性が長期に抑制されたシリカとするためには、アルコキシシランを加水分解・縮合することにより得られてなるシリカ粒子を650〜1180℃の温度範囲で焼成することが好ましい。
上記工程(1)、(2)に関しする詳細は後術する。
上述した理由から、基材であるシリカは、アルコール結合量が0.1mmol/m以下であるものが好ましく、さらに0.05mmol/m以下であるものが好ましく、0.02mmol/m以下であるものがより好ましく、0.01mmol/m以下であるものが好ましい。
シリカはまた、X線回折学的に非晶質であることが好ましい。結晶性であると結晶子構造に基づき表面に突起が形成され前記した問題を生じる虞がある。シリカが非晶質であるか結晶質であるかは、粉末X線回折測定により確認することができる。結晶性シリカは吸湿性は通常低くなるがオルガノシリル基との反応性が低いために疎水化度が十分な疎水性シリカが得られない虞がある。
シリカの形状は、略球状であることが好ましい。この粒子の最短直径に対する最長直径の比は、0.90以上が好ましく、0.92以上がさらに好ましく、0.95以上がより好ましく、0.98以上が特に好ましい。角張った部分が存在すると半導体封止樹脂用の添加剤として用いた場合に配線等を傷つける原因となるおそれがある。シリカの形状は、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡により観察することにより確認することができる。
シリカは、単一の粒状シリカからなっていることが好ましい。すなわち、シリカは1次粒子の形態であることが好ましい。シリカが1次粒子の2次凝集物や1次粒子が融着したものである場合、オルガノシリル基を有していても、本発明の製造方法で得られる疎水性シリカ粒子の疎水化度が低下するおそれがある。シリカの分散状態は、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡により観察することにより確認することができる。
シリカの1次粒子径の平均値は、その下限が0.01μmであると好ましく、0.1μmであるとさらに好ましく、0.15μmであるとより好ましい。その上限が3μmであると好ましく、2μmであるとさらに好ましく、1μmであるとより好ましく、0.4μmであると特に好ましい。シリカの1次粒子径の平均値は、上記の電子顕微鏡像より例えば50〜100個のシリカの直径を測定しその平均(数平均)を算出することにより求めることができる。
また、シリカの1次粒子径の変動係数は、20%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下であり、特に好ましくは5%以下である。1次粒子径の変動係数は、下記式により算出される。なお、粒子径の標準偏差とは、電子顕微鏡像より例えば50〜100個のシリカの直径を測定して得られた個数基準の粒度分布の算術標準偏差を意味する。
変動係数(%)=(1次粒子径の標準偏差/1次粒子径の平均値)×100
本発明のシリカの分散平均粒子径は、特に限定されないが、前記1次粒子径平均値に対する、分散平均粒子径の比が1に近いことが好ましい。具体的には、10以下が好ましく、さらに好ましくは5以下であり、より好ましくは2以下であり、特に好ましくは1.5以下である。
また、分散平均粒子径の絶対値は、その下限が0.05μmであると好ましく、0.1μmであるとさらに好ましく、0.15μmであるとより好ましい。その上限が3μmであると好ましく、2μmであるとさらに好ましく、1μmであるとより好ましく、0.4μmであると特に好ましい。
当該シリカの分散平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製LA−920)により計測して得られた体積基準粒度分布の算術平均値を意味する。シリカの分散粒子径の変動係数は特に限定されないが、50%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下が特に好ましい。シリカの分散粒子径の変動係数は、下記式により算出される。なお、分散粒子径の標準偏差とは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製LA−920)により計測して得られた体積基準粒度分布の算術標準偏差を意味する。
変動係数(%)=(分散粒子径の標準偏差/分散平均粒子径)×100
(シリカの好ましい製造方法)
本発明の製造方法で用いるシリカの製造方法は特に限定されないが、シリカが、アルコキシシランを加水分解・縮合することによりシリカ粒子を製造する工程(1)、該シリカ粒子を650〜1180℃で焼成することによりシリカを製造する工程(2)とを含む製造方法で得られるものであることが好ましい。
上記のシリカ粒子を製造する工程(1)(以下、シリカ粒子製造工程ともいう)について説明する。本工程は、好ましくは、アルコキシシランを、塩基性触媒および水の存在下で有機溶媒中で加水分解および縮合させることによりシリカ粒子を製造する工程である。
前記アルコキシシランとしては、組成式R'nSiX4-n(式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、不飽和脂肪酸残基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の有機基を表し、Xはアルコキシ基を表し、nは0〜3の整数を表し、R'およびXはそれぞれ同一あるいは異なっていてもよい)で表されるケイ素化合物およびその誘導体が、工業的に入手し易く安価であるため、好ましく用いられる。ただし、上記組成式中のnで表される整数が2または3であるケイ素化合物および/またはその誘導体を原料として用いた場合には、上記組成式中のnで表される整数が0または1であるケイ素化合物および/またはその誘導体を併用することが好ましい。
前記アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらアルコキシシランは、単独で用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。上記例示のアルコキシシランのうち、nが0であるテトラアルコキシシランが好ましく、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランがより好ましい。
アルコキシシラン、塩基性触媒、水、有機溶媒の添加・混合方法は特に限定されるものではないが、例えば、塩基性触媒および水を含む有機溶媒にアルコキシシランを一括して添加し撹拌する方法、塩基性触媒および水を含む有機溶媒を撹拌しながらアルコキシシランを数回に分けて添加する方法、塩基性触媒および水を含む有機溶媒を撹拌しながらアルコキシシランを連続的に添加する方法等の種々の方法を採用することができる。また、アルコキシシランを有機溶媒に溶解させた溶液を予め調製し、前記溶液を塩基性触媒および水を含む有機溶媒に上記種々の方法を採用して添加することもできる。従って、アルコキシシラン、塩基性触媒、水、有機溶媒を添加・混合する際の互いのタイミングは、適宜工夫されるものとする。
前記塩基性触媒としては、アンモニア;加熱によりアンモニアを発生し得る尿素等のアンモニア発生剤;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、ジメチルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族アミン;シクロヘキシルアミン等の脂環式アミン;ベンジルアミン等の芳香族アミン(以下、脂肪族アミンと脂環式アミンと芳香族アミンとを総じて「アミン類」と称する);テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の4級アンモニウムハイドロオキサイド;テトラメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等が例示される。
これらの中でも、粒子径が制御されたシリカ粒子が得られやすい点で、アンモニア、アミン類、アルカノールアミンが好ましい。また、沸点が低く、得られるシリカ粒子およびその分散体への残存量を少なくしやすい点で、アンモニア、炭素数1〜4の脂肪族アミンが好ましい。さらに、アルコキシシランと水との加水分解反応を促進する効果が高く、得られるシリカ粒子およびその分散体への残存量を少なくしやすい点で、アンモニアが特に好ましい。
有機溶媒は、アルコキシシランを溶解するとともに、塩基性触媒および水を溶解するか、もしくは、塩基性触媒および水が会合した状態で(ミセル状で)均一に分散することができる化合物であればよい。前記有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ペンチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;イソオクタン、シクロヘキサン等の(シクロ)パラフィン類;ジオキサン、ジエチルエーテル等の(環状)エーテル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;等が挙げられる。これら有機溶媒は、単独で用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。前記例示した有機溶媒のうち、アルコール類が特に好ましい。なお、塩基性触媒および水と相溶しない有機溶媒を用いることもできるが、この場合には、塩基性触媒および水を均一に分散させるために界面活性剤を添加してもよい。
有機溶媒に含まれるアルコキシシランの濃度は、0.05mol/L以上が好ましく、3.0mol/L以下が好ましい。水の濃度は、0.1mol/L以上が好ましく、2mol/L以上がより好ましい。また、水の濃度は、50mol/L以下が好ましく、25mol/L以下がより好ましい。塩基性触媒の濃度は、0.1mol/Lを超えることが好ましく、0.8mol/L以上がより好ましい。また、塩基性触媒の濃度は、10mol/L以下が好ましく、9.4mol/L以下がより好ましい。
アルコキシシランを加水分解および縮合する際の反応温度は、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、20℃以上がさらに好ましい。また、前記反応温度は、100℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、50℃以下がさらに好ましい。反応温度が0℃以上であれば、加水分解および縮合反応が速やかに進行し、100℃以下であれば、加水分解および縮合反応の制御が容易になる。前記反応温度は、反応溶液の温度を意味する。
アルコキシシランを加水分解および縮合する際の反応時間は、30分以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、2時間以上がさらに好ましい。また、前記反応時間は、100時間以下が好ましく、20時間以下がより好ましく、10時間以下がさらに好ましい。前記反応時間が30分以上であれば、加水分解および縮合反応が十分進行し、100時間以下であれば、加熱処理に要するエネルギーを低く抑えられ、生産性が向上する。
従って、加水分解および縮合持における最も好ましい反応条件は、有機溶媒に含まれるアルコキシシランの濃度が0.05mol/L〜3.0mol/Lの範囲内であり、水の濃度が2mol/L〜25mol/Lの範囲内であり、塩基性触媒の濃度が0.8mol/L〜9.4mol/Lの範囲内であり、かつ、反応温度が20℃〜50℃の範囲内であり、反応時間が2時間〜10時間の範囲内である。アルコキシシランを、塩基性触媒および水を含む有機溶媒中で加水分解および縮合することにより、球状で粒子径が揃ったシリカ粒子を含有する分散液が得やすくなる。
有機溶媒に含まれるアルコキシシランの濃度、塩基性触媒の濃度、水の濃度、反応温度は、シリカ粒子の粒子径等に影響を及ぼす場合があるため、所望する平均粒子径や粒度分布に応じて適宜調整されることが好ましい。
上記の加水分解縮合反応により、略球状の平均粒子径が0.01〜3μm、粒子径の変動係数が50%以下であり、分散性に優れるシリカ粒子が、シリカ粒子濃度0.3〜18質量%程度の割合で、有機溶媒に分散した分散液として得られる。
分散体中には、加水分解縮合反応時に生成した粗大粒子や凝集粒子が含まれることがある、このような場合、分散液を、シリカ粒子の平均粒子径よりも1μm以上孔径の大きいフィルターを通過させることにより、粗大粒子や凝集物等を除去することも採用される。上記フィルターは、適宜設定した空隙や空隙直径を持つメッシュであってもよい。
該シリカ粒子を、焼成することによりシリカを製造する工程(2)(以下、焼成工程ともいう)に供すためには、好ましくは、該シリカ粒子を含有する分散体からシリカ粒子を単離し、さらに好ましくは、単離されたシリカ粒子を乾燥することが好ましい。単離方法としては、特に限定されない。たとえば、濾過、遠心分離など従来公知の分離方法を採用し得る。あるいは、分散体を加熱し溶媒を蒸発させる蒸発法により、分離と乾燥を同時に行うこともできる。あるいは上記の方法を組み合わせてもよい。
シリカ粒子を含有する分散体から、シリカ粒子を分離し、乾燥されたシリカ粒子粉体を調製するに際し、シリカ粒子の凝集、固着を抑制して行えることが好ましい。このような観点から、シリカ粒子粉体を調製する好ましい方法としては、気流乾燥方式、噴霧乾燥方式を採用することが好ましい。アルコキシシランの加水分解縮合反応により得られたシリカ粒子の分散体をそのまま、上記乾燥方式に供することもできるが、分散体を加熱して溶媒の一部を蒸発除去する、濃縮操作を行うことにより、シリカ粒子濃縮分散体を調製し、該濃縮分散体を原料とすることが、凝集、固着等の抑制された粉体が得られる点で好ましい。
気流乾燥方式を採用した場合、気流および/または乾燥装置の内壁との衝突により、シリカ粒子の凝集が抑制される。本方式で分散体を加熱する方式は、直接加熱方式および間接加熱方式のいずれを選択しても構わない。直接加熱方式であれば、熱風発生炉等により発生させた熱風を濃縮分散液と接触させることにより、分散液の溶媒を蒸発させることができ、且つ、熱風の気流により、溶媒蒸発に伴って生成したシリカ粒子の凝集体の解砕を促進させることができる。間接加熱方式であれば、熱伝導材料を介して濃縮分散体を加熱することにより、分散体の溶媒を蒸発させることができ、且つ、外部から導入された気流または内部で循環している気流により、分散体の分散およびシリカ粒子の凝集体の解砕を促進させることができる。
乾燥方式として、噴霧乾燥方式を採用した場合、濃縮された分散体が噴霧されることで、分散体の分散およびシリカ粒子の凝集体の解砕を促進させることができる。分散体の溶媒の蒸発に伴うシリカ粒子の凝集を抑制するためには、噴霧乾燥方式が、分散体の溶媒を瞬時に高温に加熱し、且つ、乾燥系内の圧力を低圧に維持するための真空排気を行って溶媒を蒸発させる真空瞬間乾燥法であると好適である。さらに、シリカ粒子凝集体の十分な解砕を行うためには、溶媒の蒸発が行われる直線部と屈曲部とで構成された管を備え、管の出口側(屈曲部側)から真空排気しつつ、管の入口側(直線部側)から分散体を供給できる装置を使用する。このような装置を使用すれば、溶媒蒸発に伴うシリカ粒子の凝集が生じても、屈曲部の壁にその凝集体が衝突することで凝集体が解砕される。
なお、選択した上記乾燥方式を用いても条件によっては、シリカ粒子粉体中に凝集物が生成あるいは残存している場合がある。この場合、別途、解砕処理を行ってもよい。以上、シリカ粒子製造工程により、略球状の平均粒子径が0.05〜3μm、粒子径の変動係数が50%以下であり、分散性に優れるシリカ粒子が、粉体状態で得られる。
通常、シリカ粒子には、加水分解縮合反応の原料として用いたアルコキシシランに由来するアルコキシ基または有機溶媒にアルコールを用いた場合には用いたアルコールに由来するアルコキシ基が、シリカ粒子の一部の珪素原子に結合している。
シリカ粒子製造工程で得られたシリカ粒子は上述した理由により、結合したアルコールを除去し、孤立シラノール基含有量および比表面積比が特定範囲のシリカに調製するためには、特定の条件下で焼成することが好ましい。
焼成工程は、シリカ粒子を上記特徴を有するシリカとするために実施する好適な工程である。
本工程における、焼成温度は、650〜1180℃が好ましい。さらに好ましくは800〜1150℃である。焼成温度が650℃未満であると、孤立シラノール基含有量が3mmol/mより大きく、また、比表面積比が2を超えるものとなる虞がある。その結果、吸湿性が十分低くならないおそれがあり、その結果、オルガノシリル基が分解するおそれがある。また、焼成温度が1180℃を超えると、シリカ粒子同士が融着し凝集する虞がある。
焼成する際の雰囲気としては、特に限定されないが、空気、窒素―酸素混合ガスなどの酸化雰囲気、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガス雰囲気いずれも採用し得るが、
酸化雰囲気が好ましい。シリカ粒子に結合したアルコキシ基を効率的に燃焼除去し、アルコキシ基脱離に伴い生成したシラノール間の縮合反応を促進しやすい為である。
焼成する際、シリカ粒子を加熱路中で常温付近より昇温し、焼成温度において所定時間加熱する。この際、昇温速度は、特に限定されないが、アルコキシ基の燃焼残渣を生成させ難い理由から、0.5〜10℃/分であることが好ましい。より好ましくは、1〜5℃/分である。また、焼成温度における加熱保持時間は、特に限定されないが、好ましくは、0.5〜2時間、より好ましくは1〜12時間、特に好ましくは、2〜6時間である。
焼成温度で所定時間加熱保持した後、冷却することが好ましい。冷却する際の降温速度は、好ましくは、0.5〜10℃/分、より好ましくは1〜5℃/分である。
上述した好ましい条件で焼成を行うことにより、孤立シラノール基含有量が、0.004〜0.3mmol/mであり、且つ、比表面積値Ssが、前記式(1)で示される理論表面積Ssに対する比表面積比(Ss/Ss)が2以下を満足するシリカが得られる。
上述した好ましいシリカの製造方法によって分散平均粒子径が、0.05〜3μmであり、1次粒子径平均値に対する分散平均粒子径の比が10以下であるシリカが得られる。
(シリカにオルガノシリル化剤を反応させる工程)
シリカにオルガノシリル化剤を反応させる工程について説明する。
本工程は、焼成工程により得られた基材シリカに、オルガノシリル化剤を反応させて、オルガノシリル基をシリカに導入する工程である。
オルガノシリル化剤としては、下記式(2)で示されるシラン化合物(I)またはシラザン化合物が好ましい。
SiX(4−m) ・・・・・(2)
(式中、Rは、置換基を有していてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、および不飽和脂肪族残基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を表し、Xは水酸基、アルコキシ基、およびアシロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を表し、mは1から3までの整数である。)
疎水化度が高い疎水性シリカ粒子を得やすい点から、Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基などが好ましい。また、Rとしては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、不飽和脂肪族残基に置換基があってもよい。たとえば、3−グリシドキシプロピル基、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、クロロプロピル基、3,3,3−トロフルオロプロピル基などが挙げられる。
シラン化合物(I)の中でも、m=2、または3である化合物が好ましい。m=3のシラン化合物(I)としては、たとえば、トリメチルメトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、メチルジフェニルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、トリペンチルメトキシシラン、トリヘキシルメトキシシラン、トリシクロヘキシルメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリビニルメトキシシラン、トリメチルシラノールなどである。
m=2のシラン化合物(I)としては、たとえば、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジペンチルジメトキシシラン、ジヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジベンジルジメトキシシラン、メチルベンジルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジフェニルシランジオールなどである。
m=1のシラン化合物(I)としては、たとえば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、2−エチルヘキシルトリメトキシシラン、ラウリルトリメトキシシラン、ステアリルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トロフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシランなどである。
Rの種類によって、特に限定されないが、ジベンジルジメトキシシラン、メチルベンジルジメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシランなどのRがアラルキル基である化合物;ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、メチルジフェニルメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、ジフェニルシランジオールなどのRがアリール基である化合物;トリヘキシルメトキシシラン、トリシクロヘキシルメトキシシラン、 シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジヘキシルジメトキシシラン、2−エチルヘキシルトリメトキシシラン、ラウリルトリメトキシシラン、ステアリルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、などのRが炭素数6〜20のアルキル基である化合物;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリビニルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、1−ヘキセニルトリメトキシシラン、1−ヘキセニルトリエトキシシランなどのRが不飽和脂肪族残基であるシラン化合物(I)は好ましく採用し得る。
シラザン化合物としては、ヘキメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザンなどが挙げられる。シラザン化合物の中でも、ヘキサメチルジシラザンなどが特に好ましい。
表面処理方法は特に限定されない。たとえば、ヘンシェルミキサー等の公知の混合機内でシリカを攪拌しつつ、このシリカに、シラン化合物(I)またはシラザン化合物(以下、表面処理剤ともいう)を噴霧するとよい。噴霧の際には、シリカを窒素等の雰囲気中に供す。表面処理剤を噴霧後、シリカを加熱することが好ましい。加熱温度は、100℃以上、250℃以下が好ましく、120℃以上、230℃以下がさらに好ましく、150℃以上、200℃以下がより好ましい。また、加熱時間は、1時間以上、10時間以下が好ましく、2時間以上、8時間以下がさらに好ましく、3時間以上、6時間以下がより好ましい。
表面処理剤の使用量は、シリカ100質量%に対して、1〜30質量%であることが好ましい。さらに好ましくは、2.5〜25質量%であり、より好ましくは、5〜20質量%である。
シリカの比表面積Ssと表面処理剤固有の理論最少被覆面積から算定される理論処理量に対して表面処理剤の使用量は、1〜20質量倍であることが好ましく、より好ましくは3〜15質量倍である。
以上説明した製造方法に従うことにより、疎水性シリカ粒子が得られる。
(疎水性シリカ粒子)
本発明の製造方法で得られる疎水性シリカ粒子に関し説明する。
該疎水性シリカ粒子は、上述した特定のシリカを基材とする疎水性シリカであって、その表面にはオルガノシリル基が導入されてなる。そのため、疎水化度が高くしかも吸湿性が抑制されているという特徴を有する。
疎水性シリカ粒子は、基材であるシリカの表面にオルガノシリル基が導入されていることを第1の特徴とし、疎水化度が30%以上であることを第2の特徴とする。さらにその含水量が、温度30℃、相対湿度90%の雰囲気下において24時間放置した後において、2%以下であることを第3の特徴とする。これらの特徴を併せもつことにより、樹脂添加剤として十分に機能を発揮する。
シリカ表面に導入されてなるオルガノシリル基は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、不飽和脂肪族残基からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機基が、ケイ素原子に1個〜3個の割合で結合してなる。ケイ素原子に結合してなる前記有機基が2個または3個の場合、これらの有機基は同一であっても異なっていてもよい。また、有機基が結合してなるケイ素原子は、基材であるシリカを構成する表面ケイ素原子と酸素原子を介して結合(Si−O−Si結合)してなることが好ましい。
疎水化度が高く、吸湿性が抑制され易い点で、オルガノシリル基が、1つのケイ素原子に2つまたは3つの有機基が結合してなる形態が好ましく、さらに、3つの有機基が結合してなる形態が好ましい。
また、オルガノシリル基を構成するケイ素原子は、4つの結合手を有しているが、有機基と結合している手、シリカを構成する表面ケイ素原子と酸素原子を介して結合している手の合計が4である場合、3である場合、あるいは2である場合のいずれかである。3または2である場合、残りの1つの手または2つの手は、アルコキシ基、アシロキシ基、水酸基のいずれかと結合しているか、あるいは、隣接するオルガノシリル基のケイ素原子と酸素原子を介して結合している。アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。
ケイ素原子に3つの有機基が結合してなる形態としては、例えば、トリメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリブチルシリル基、トリペンチルシリル基、トリヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基、トリビニルシリル基である。
ケイ素原子に2つの有機基が結合してなる形態としては、例えば、ジメチルシリル基、メチルフェニルシリル基、ジエチルシリル基、ジプロピルシリル基、ジブチルシリル基、ジペンチルシリル基、ジヘキシルシリル基、ジシクロヘキシルシリル基、ジフェニルシリル基、ジベンジルシリル基、メチルベンジルシリル基である。
ケイ素原子に1つの有機基が結合してなる形態としては、例えば、メチルシリル基、エチルシリル基、プロピルシリル基、ブチルシリル基、ペンチルシリル基、ヘキシルシリル基、2−エチルヘキシルシリル基、ラウリルシリル基、ステアリルシリル基、シクロヘキシルシリル基、フェニルシリル基、ナフチルシリル基、ベンジルシリル基、3−アクリロキシプロピルシリル基、3−メタクリロキシプロピルシリル基である。
また、有機基はアルキル基、アリール基、アラルキル基、不飽和脂肪族残基に置換基があってもよい。このような場合のアルガノシリル基としては、たとえば、3−グリシドキシプロピルシリル基、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルシリル基、クロロプロピルシリル基、3,3,3−トロフルオロプロピルシリル基などが挙げられる。
本発明の製造方法で得られる疎水性シリカ粒子はまた、疎水化度が30%以上であることを第2の特徴とする。樹脂との親和性が高いためには疎水性が高いことが好ましい。疎水性の尺度としての疎水化度が、50〜100%であることが好ましく、さらに好ましくは60〜90%である。疎水化度は、50ccの水の表面に粒子を浮かせた後、この粒子が沈むまで水中にメタノールを徐々に導入することで求められる。すなわち、水の容量と粒子が沈むまでに導入したメタノールの容量の総量中におけるメタノール導入容量の百分率(%)が、疎水化度である。
本発明の製造方法で得られる疎水性シリカ粒子は、また、その含水量が、温度30℃、相対湿度90%の雰囲気下において24時間放置した後において、2%以下であることを第3の特徴とする。これは該疎水性シリカ粒子の飽和吸湿量が2%以下であることを意味する。該含水量は、好ましくは0.3%以下であり、特に好ましくは0.1%以下である。含水量が小さい方が樹脂中に分散した状態でも経時的に粒子表面に水分が吸着し難く樹脂の劣化や機能低下が抑制される。粒子の含水量は、カールフィッシャー法により測定することができる。
疎水性シリカ粒子のさらに好ましい態様について説明する。
疎水性シリカ粒子は、単一の粒状シリカからなっていることが好ましい。すなわち、基材であるシリカは1次粒子の形態であることが好ましい。シリカが1次粒子の2次凝集物や1次粒子が融着したものである場合、オルガノシリル基を有していても、本発明の粒子の疎水化度が低下するおそれがある。本発明の粒子がシリカの2次凝集物や融着物からなるものであるか、シリカの1次粒子からなるものであるかは、粒子を走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡により観察することにより確認することができる。
疎水性シリカ粒子の1次粒子径の平均値は、その下限が0.05μmであると好ましく、0.1μmであるとさらに好ましく、0.15μmであるとより好ましい。その上限が3μmであると好ましく、2μmであるとさらに好ましく、1μmであるとより好ましく、0.4μmであると特に好ましい。また、粒子の1次粒子径の平均値は、上記の電子顕微鏡像より例えば50〜100個の粒子の直径を測定しその平均(数平均)を算出することにより求めることができる。
また、粒子の1次粒子径の変動係数は、20%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下であり、特に好ましくは5%以下である。粒子の1次粒子径の変動係数は、下記式により算出される。なお、粒子径の標準偏差とは、電子顕微鏡像より例えば50〜100個の粒子の直径を測定して得られた個数基準の粒度分布の算術標準偏差を意味する。
変動係数(%)=(1次粒子径の標準偏差/1次粒子径の平均値)×100
疎水性シリカ粒子の分散平均粒子径は、特に限定されないが、前記1次粒子径平均値に対する、分散平均粒子径の比が1に近いことが好ましい。具体的には、10以下が好ましく、さらに好ましくは5以下であり、より好ましくは2以下であり、特に好ましくは1.5以下である。
また、分散平均粒子径は、その下限が0.05μmであると好ましく、0.1μmであるとさらに好ましく、0.15μmであるとより好ましい。その上限が3μmであると好ましく、2μmであるとさらに好ましく、1μmであるとより好ましく、0.4μmであると特に好ましい。粒子の分散平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製LA−920)により計測して得られた体積基準粒度分布の算術平均値を意味する。
疎水性シリカ粒子の分散粒子径の変動係数は特に限定されないが、50%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下が特に好ましい。粒子の分散粒子径の変動係数は、下記式により算出される。なお、分散粒子径の標準偏差とは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製LA−920)により計測して得られた体積基準粒度分布の算術標準偏差を意味する。
変動係数(%)=(分散粒子径の標準偏差/分散平均粒子径)×100
疎水性シリカ粒子の形状は、特に限定されないが、略球状が好ましい。角張った部分が存在すると半導体封止樹脂用の添加剤として用いた場合に配線等を傷つける原因となるおそれがある。略球状とは具体的には、粒子の最短直径に対する最長直径の比は、0.90以上が好ましく、0.92以上がさらに好ましく、0.95以上がより好ましく、0.98以上が特に好ましい。粒子の形状は、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡により観察することにより確認することができる。
疎水性シリカ粒子は、その比表面積(Sp)が、下記式(2)で示される理論表面積Spに対する比表面積比(S/Sp)が2以下を満足することが好ましい。
Sp(m/g)=6/(ρ×d) ・・・・・(2)
ρ:粒子の真比重
d:粒子の1次粒子径の平均値(μm)
上記好ましい特徴は、本発明の粒子が、実質的に表面に細孔を有しないか、たとえ有していても僅かな量であることを意味し、従って、水分が極めて凝縮し難く、飽和吸湿性の極めて抑制されたものとなる。本発明の粒子は、実質的に無孔質であることが好ましい。従って、前記比表面積比(Sp/Sp)が1.5以下を満足するものであることが好ましい。さらに好ましくは、比表面積比(Sp/Sp)が1.2以下を満足するものである。また、比表面積比(Sp/Sp)が、0.8以上を満足することが好ましい。
疎水性シリカ粒子は、X線回折学的に非晶質であることが好ましい。すなわち、シリカが非晶質構造であり、結晶性シリカに帰属される回折ピークパターンを有しないことが好ましい。結晶性であると結晶子構造に基づき表面に突起が形成され前記した問題を生じる虞がある。粒子が非晶質であるか結晶質であるかは、粉末X線回折測定により確認することができる。
(疎水性シリカ粒子の用途)
本発明の製造方法で得られる疎水性シリカ粒子は、疎水化度が高く、吸湿性が抑制されるために、PETフィルムなどの高分子フィルムの滑り性改良剤、アンチブロッキング剤、光拡散フィルムの光拡散剤、半導体封止樹脂用の充填剤等の各種樹脂用添加剤に好適に使用し得る。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前記・後記の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
各実施例および比較例における、シリカおよび疎水性シリカ粒子(単に粒子ともいう)に関する1次粒子径平均値、分散平均粒子径、粒子径の変動係数、比表面積・比表面積比、含水量・吸湿性、孤立シラノール基含有量、炭素含有量、疎水化度は次のとおりにして評価した。
<シリカ、粒子の1次粒子径平均値>
SEM(日立製作所社製走査型電子顕微鏡「S−3500N」)を使用し、50〜100個程度の試料(シリカ、疎水性シリカ粒子)を確認できる1万倍率程度でこの試料観察像を無作為に5枚撮影し、全撮影像から確認できる試料の1次粒子の直径を無作為に測定した。この測定値から、平均値を算出し、これを1次粒子径平均値とした。また、該1次粒子径平均値と、粒子径の標準偏差とを次式に当てはめ、1次粒子径の変動係数を求めた。
変動係数(%)=(粒子径の標準偏差/1次粒子径平均値)×100
<シリカ、粒子の分散平均粒子径、分散粒子径の標準偏差の測定方法>
10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム溶液に粒子を2質量%濃度となるように混合し、超音波分散機により10分間以上かけて試料を分散させ、測定用試料とした。この試料を、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製LA−920)を用いて計測した。得られた体積基準の粒度分布の算術平均値をもって平均粒子径とし、体積基準の粒度分布の算術標準偏差値をもって粒子径の標準偏差とした。シリカについても同様にして測定した。
<シリカ、粒子の分散粒子径の変動係数の算出方法>
粒子径の変動係数は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製LA−920)により計測して得られた平均粒子径と標準偏差から、以下のようにして算出した。
変動係数(%)=(粒子径の標準偏差/平均粒子径)×100
<シリカ、粒子の比表面積、比表面積比>
比表面積は,B.E.T.法により測定した。
なお、測定装置は、マウンテック社製Macsorb1201用いた。
また、理論表面積に対する、測定により得られた比表面積値の比:比表面積比(S/S)を算出した。なお、理論表面積Sは以下の式にしたがって求めた。
(m/g)=6/(ρ・d)
ρ:試料(シリカまたは粒子)の真比重
d:試料(シリカまたは粒子)の1次粒子径の平均値(μm)
<シリカ、粒子の含水量>
試料(シリカ、粒子)5gを、直径10cmの時計皿にのせ、均一に薄く広げる。その後、温度30℃、相対湿度90%の雰囲気下において24時間放置する。放置後の試料(シリカ、粒子)の含水量を、カールフィッシャー法により測定して、これを含水量とした。
<シリカの単位表面積あたりの孤立シラノール基含有量>
焼成600℃、800℃、1000℃で焼成した孤立シラノール基量が異なるシリカ粒子を水素化リチウムアルミニウム法にてシラノール基濃度を測定した。次にそれらシリカ粒子をFT−IR法に測定し、3740cm−1付近にピークを持つ孤立シラノール基の面積比と上記の水素化リチウムアルミ法で得られた定量値から検量線を作成した。各シリカ粒子はFT−IRを測定し、その検量線から、単位重量あたりの孤立シラノール基含有量(mmol/g)を求め、シリカのB.E.T.法により測定された比表面積値(m/g)で除すことにより、単位表面積あたりの孤立シラノール基含有量を求めた。
<シリカ、粒子の炭素含有量>
元素分析により測定した。
<シリカのアルコール結合量>
シリカを0.5NのNaOH水溶液50gに添加混合し24時間攪拌した後、粒子を分離した上澄みをガスクロマトグラフィーで分析することによってシリカ1gあたりのアルコール結合量を求めた。該アルコール結合量をシリカのB.E.T.法により測定された比表面積値(m/g)で除すことにより、単位表面積あたりのアルコール結合量を求めた。
<シリカ、粒子の疎水化度>
底部に攪拌子を置いた200ccのガラスビーカーにイオン交換水50ccを投入し、その水面に試料(シリカ、粒子)0.2gを置いた後、拡販子を緩やかに回転させた。その後、ビーカー内の水中にビュレットの先端部を挿入し、このビュレットから水中にメタノールを徐々に導入した。この導入を、水面のシリカが完全に沈んだことを目視確認できるまで行った。そして、疎水化度を次式に基づき求めた。
疎水化度(%)={メタノールの導入量(cc)×100}/{水の量(cc)+メタノール導入量(cc)}
ここで、メタノールの導入量とは、シリカが完全に沈んだことが確認できた時点までに導入したメタノール量のことである。
[実施例1]
(シリカ粒子の調製)
攪拌機、滴下装置、温度計、コンデンサーを兼ね備えた要領200Lの反応機にメチルアルコール67.54kgと28質量%アンモニア水(水及び触媒)26.33kgとを仕込み、攪拌しながら液温を33±0.5℃に調節した。一方、滴下装置にテトラメトキシシラン13.45kgとメチルアルコール5.59kgに溶解させた溶液を仕込んだ。反応器中の液温を33±0.5℃に保持しながら、滴下装置から前記温度に保持しながら攪拌することにより、テトラメトキシシランの加水分解及び縮合を行い、シリカ粒子を含有する分散液を得た。その後、該分散液を減圧下で加熱することにより、シリカ粒子濃度が30%になるように濃縮を行った。
得られた濃縮分散液を原料として、瞬間真空蒸発装置により気流乾燥させることにより乾燥したシリカ粒子を得た。瞬間真空蒸発装置としてはクラックス・システム8B型(ホソカワミクロン製)を使用した。乾燥条件としては加熱管温度175℃、減圧度200torr(27kPa)を採用した。瞬間真空蒸発装置は加熱水蒸気が供給されるジャケットで覆われた内径8mm、長さ9mのステンレス鋼管と前記鋼管の一端部にシリカ粒子を含有する分散液を供給する供給部と鋼管の他端部に接続された粉体と蒸気とを分離するバグフィルターが設けられた減圧状態の粉体捕集室を備えている。鋼管内では供給部から供給されたシリカ粒子含有分散液が間接加熱されることにより溶媒が蒸発するとともに粉体捕集側が減圧されることにより作り出された気流によりシリカ粒子含有分散液の分散とシリカ粒子凝集物の解砕が促進される。シリカ粒子粉体は粉体捕集側が減圧されることにより作り出された気流により鋼管内を移送され、バグフィルターにより捕集される。蒸気はバグフィルターを通過後、凝縮された後、装置外に排出される。
(シリカ粒子の焼成によるシリカの調製)
得られたシリカ粒子粉体をルツボに入れ、電気炉を用いて、空気雰囲気下で、常温より昇温速度4℃/分で昇温し、1050℃に到達後、さらに1050℃で1時間加熱保持した後、冷却した。冷却後、得られたシリカを取り出し、粉砕機を用いて粉砕することにより約0.13kgのシリカを得た。尚、焼成温度は電気炉内の雰囲気温度を計測した値である。
得られたシリカの分散平均粒子径は0.26μm、分散粒子径の変動係数は14%、比表面積は12m/g、含水量は0.09%、炭素含有量は0%、孤立シラノール基量は0.024mmol/m、疎水化度は0%であった。
(オルガノシリル化剤処理)
前記シリカ5kgを加熱ジャケットを備えた容量20Lのヘンシェルミキサー(三井鉱山製FM20J型)に仕込んだ。ヘンシェルミキサーには被混合物を入れる容器と攪拌羽根が付いた回転軸が容器底部に備わっていると共に壁面付着物の掻き落とし装置として壁面に沿うように設置された板状の羽根が付いた回転軸が容器上面に設置されている。シリカを攪拌しているところに オルガノシリル化剤としてヘキサメチルジシラザン(信越化学製HMDS−3,最小被覆面積:485m2/g)1.0kg(理論添加量の約8倍に相当する)を30分かけて均一に滴下した。その後、シリカとヘキサメチルジシラザンとの混合物を150℃まで約1時間かけて昇温し、150℃で3時間保持して加熱処理を行なった。尚、150℃の温度はシリカとヘキサメチルジシラザンの混合物の温度を測定した値である。加熱処理は、該混合物を攪拌により壁面付着物の掻き落としを行ないながら行った。また、適宜、ヘラを用いて壁面付着物を掻き落とすことも行なった。加熱後、冷却することにより、表面処理粉体を得た。該粉体を、粉砕圧6kg/cmのジェット粉砕分級機(カウンタージェット100型ホソカワミクロン製)を用いて解砕及び分級を行うことによって、ヘキサメチルジシラザンで処理されたシリカからなる粒子粉体:粒子(1)を得た。
得られた粒子(1)の分散平均粒子径は0.26μm、分散粒子径の変動係数14%、吸湿量は0.03%、含有炭素分は0.15%、疎水化度は63%であった。
[実施例2]
実施例1において、焼成温度を800℃にした以外は実施例1と同様にして行い、ヘキサメチルジシラザンで処理されたシリカからなる粒子粉体:粒子(2)を得た。
[実施例3]
実施例1において、焼成温度を650℃にした以外は実施例1と同様にして行い、ヘキサメチルジシラザンで処理されたシリカからなる粒子粉体:粒子(3)を得た。
[実施例4]
(シリカ粒子の調製〜焼成による基材シリカの調製)
実施例1と同様にして、シリカ粒子の調製、シリカ粒子の焼成によるシリカの調製を行い、平均粒子径は0.26μm、粒子の変動係数は14%、比表面積は12.5m2/g、含水量は0.09%、炭素含有量は0%、孤立シラノール基量は0.30mmol/g、疎水化度は0%のシリカを得た。
(オルガノシリル化剤処理)
得られたシリカ100gとメタノール500gを1Lビーカーに計り取り、超音波分散機にて1hr照射し、分散させることによりメタノール分散体を得た。該分散体に28%アンモニア水50gを追加し、液温を30℃に保ちながら、スターラーにて攪拌させ1hr保持させた。その後、メチルトリメトキシシラン(信越化学製KBM−13、最小被覆面積575m2/g)10g(理論添加量の約5倍に相当する)を一括添加し、その後30℃で保持しながら2時間攪拌することにより、表面処理シリカ前駆体分散液を得た。得られた表面処理シリカ前駆体分散液全量を1Lのナス型フラスコに入れて、エバポレーターにセットし、常圧下、オイルバス温度120℃で加熱することにより、アンモニア、メタノール、水を蒸発、留去し、系内が固形化した段階で系内圧を200torr(27kPa)に減圧し、3時間加熱保持することにより表面処理シリカからなる固形物を得た。冷却後、該固形物を抜き出し、実施例1と同条件でジェット粉砕分級機を用いて解砕分級を行い、メチルトリメトキシシランで処理されたシリカからなる粒子粉体:粒子(4)を得た。
[実施例5]
(シリカ粒子の調製〜焼成による基材シリカの調製)
実施例1と同様にして、シリカ粒子の調製を行った後、焼成温度を650℃に変える以外は同様にして、シリカを得た。
(オルガノシリル化剤処理)
得られたシリカを、実施例4における(オルガノシリル化剤処理)と同様にしてオルガノシリル化剤処理を行い、メチルトリメトキシシランで処理されたシリカからなる粒子粉体:粒子(5)を得た。
[比較例1]
実施例1において、シリカ粒子の焼成工程における焼成温度を550℃にしてシリカを製造した以外は、実施例1と同様にして、ヘキサメチルジシラザンで処理されたシリカからなる粒子粉体:粒子(c1)を得た。
[比較例2]
実施例1において、シリカ粒子の焼成工程における焼成温度を1200℃にしてシリカを製造した以外は、実施例1と同様にして、ヘキサメチルジシラザンで処理されたシリカからなる粒子粉体:粒子(c2)を得た。
各実施例、比較例でそれぞれ得られた粒子およびシリカに関する各種評価結果を表1に示す。
表1より次のことを確認することができる。
(1)シリカ製造時の焼成を650〜1180℃の温度範囲で行った実施例1〜5においては比表面積比が2以下であり,且つ孤立シラノール基含有量が0.01〜0.3mmol/mの範囲のシリカが得られ、該シリカをオルガノシリル化処理して得られた疎水性シリカ粒子は、疎水化度が30%以上であり、且つ含水率が2%以下である。
(2)シリカ製造時の焼成を550℃で行った比較例1では比表面積値が11と高く、該シリカをオルガノシリル化処理して得られた粒子は疎水化度は32であるが、含水率が8.3%と高い。また、シリカ製造時の焼成を1200℃で行った参考例1では比表面積比が0.11と低いが孤立シラノール基含有量が0.01mmol/m未満であり、該シリカをオルガノシリル化処理して得られた粒子は疎水化度が12と低い結果となった。
以上のことから、疎水性粒子の疎水化度が高く且つ吸湿性の抑制された疎水性シリカ粒子を得るためには、オルガノシリル化処理に供するシリカの比表面積比、孤立シラノール基含有量が特定の範囲にあることが重要であり、本発明の効果が示されているといえる。
Figure 2010228997

Claims (2)

  1. シリカを基材とする疎水性シリカ粒子の製造方法であって、該シリカが孤立シラノール基含有量が0.01〜0.3mmol/mであり、且つ、比表面積値Ssが下記式(1)で示される理論表面積Ssに対する比表面積比(Ss/Ss)が2以下を満足するものであり、該シリカにオルガノシリル化剤を反応させることを特徴とする、疎水性シリカ粒子の製造方法。
    Ss(m/g)=6/(ρ×d) (1)
    ρ:シリカの真比重
    d:シリカの1次粒子径の平均値(μm)
  2. 前記シリカが、アルコキシシランを加水分解・縮合することによりシリカ粒子を製造する工程(1)と、該シリカ粒子を650〜1180℃の温度範囲で焼成することにより前記シリカを製造する工程(2)とを含む製造方法により得られるものであることを特徴とする、請求項1記載の疎水性シリカ粒子の製造方法。
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