JP2016008839A - 原子炉施設 - Google Patents

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基茂 柳生
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Masahito Okamura
雅人 岡村
美香 田原
Mika Tawara
美香 田原
大里 哲夫
Tetsuo Osato
哲夫 大里
敏浩 吉井
Toshihiro Yoshii
敏浩 吉井
雅士 田邊
Masashi Tanabe
雅士 田邊
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Shigehiro Mishin
重広 味森
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Abstract

【課題】シビアアクシデント時に電源、運転員操作を必要とせず、水素による原子炉格納容器の加圧を抑制する。【解決手段】炉心1を内包する原子炉圧力容器2と、この原子炉圧力容器2を格納する原子炉格納容器3と、上記原子炉格納容器3の外部に設けられ、過酷事故時に原子炉格納容器3内で発生した水素ガスを酸化処理反応によって低減する水素処理装置5とを備える原子炉施設において、上記水素処理装置5は上記水素ガスの酸化処理反応で複数の酸化数を取り得る金属酸化物のうち、高次の酸化数を持つ金属過酸化物であり、かつハロゲン元素に対して不活性である金属過酸化物から成る充填層5aを備え、発生した水素ガスを前記充填層5aに流通させ水素処理を行うことを特徴とする原子炉施設である。【選択図】 図1

Description

本発明は、原子炉施設に係り、特に原子炉過酷事故時に電源および運転員操作を必要とせずに、発生した水素ガスの処理を自動的に実施することが可能な原子炉施設に関するものである。
一般に、沸騰水型原子力発電所における原子炉格納容器は、原子炉事故に備えて可燃性ガス濃度制御システムを有している。
原子炉圧力容器に接続する主蒸気管等の原子炉一次冷却系配管がドライウェル内で万一破断した場合、原子炉格納容器内のドライウェルに高温・高圧の原子炉一次冷却材が放出され、ドライウェル内の圧力・温度が急激に上昇する。
このドライウェルに放出された高温・高圧の冷却材は、ドライウェル内の気体と混合して、ベント配管を経由してサプレッションプール内の貯蔵水中に放出されて、貯蔵水で冷却されて液体に凝縮させることにより、圧力を下げる仕組みになっている。このようにして、原子炉容器から放出された熱エネルギーの多くは、このサプレッションプール(ウェットウェル)内の貯蔵水中において冷却され吸収される。
なお、原子炉圧力容器内には、非常用炉心冷却系によりサプレッションプール内の貯蔵水が注入されて、炉心が冷却される。この冷却水は、長期的には炉心から崩壊熱を吸収し、破断した配管の破断口からドライウェルへ流出する。
このように、原子炉一次冷却系配管が万が一破断した場合は、ドライウェル内の圧力・温度は常にウェットウェルよりも高い状態となり、ベント配管を経由してウェットウェル内に水蒸気とガスが移動する。このとき、原子炉炉心から放出されドライウェルの空間に存在していた核分裂生成物は、ベント配管を経由してサプレッションプール内で捕捉される。
原子炉一時冷却系配管が破断しない場合でも、電源喪失等によって原子炉の冷却機能が喪失されると、原子炉圧力容器の圧力が上昇し、主蒸気管に設けられた安全弁が作動して原子炉容器内の水蒸気及び核分裂生成物がサプレッションプール水中に放出される。ウェットウェルの圧力がドライウェルの圧力よりも高くなった場合には真空破壊弁が作動してウェットウェル内のガスがドライウェルに流入する。
このように長期的事象下では、軽水炉型原子力発電所の原子炉内では冷却材である水が放射線分解されて、水素ガスと酸素ガスとが発生する。さらに、原子炉の炉心内の燃料被覆管の温度が上昇する場合には、この水蒸気と燃料被覆管材料のジルコニウムとの間で反応が起こり(以下、Metal−Water反応という。)、短時間で水素ガスが発生する。
このようにして発生した水素ガスは、破断した配管の破断口等から冷却材と共に原子炉格納容器内に放出され、原子炉格納容器内の水素ガス濃度は次第に上昇する。また、水素ガスは非凝縮性を有するので、原子炉格納容器内の圧力も上昇することになる。
この水素ガスが発生する状態に対して何等有効な対策を実施せずに、水素ガス濃度が4vol%以上となり、かつ酸素濃度が5vol%以上に上昇した時、すなわち可燃性ガス濃度が可燃限界を越えたときに、気体は可燃状態となる。さらに、水素ガス濃度が上昇すると過剰な反応が発生する可能性が生じる。
このような水素ガス濃度が上昇する事態を回避する有効な対策として、従来の沸騰水型原子力発電設備においては、圧力抑制式の原子炉格納容器内を窒素ガスで置換して酸素濃度を低く維持する対策が講じられている。上述のMetal−Water反応により短時間で大量に発生する水素ガスに対しても、原子炉格納容器内が可燃性雰囲気となることを厳重に防止して固有の安全性を達成している。
また、発生した水素ガスを除去するために、水素ガスと酸素ガスとを再結合させる再結合器とブロアとを備えた可燃性ガス濃度制御装置が原子炉格納容器の外部に設置されている。この可燃性ガス濃度制御装置は、原子炉格納容器内の雰囲気を原子炉格納容器の外部に吸引し、昇温させて雰囲気中の水素ガスと酸素ガスとを再結合させて水に戻し、残りの気体を冷却してから原子炉格納容器の内部へ戻すことにより、可燃性ガス濃度の上昇を抑制している。
また、上述の可燃性ガス濃度制御装置とは異なり、外部電源および駆動部を必要とせず、静的に可燃性ガス濃度を制御する方法として、水素の酸化触媒を用いて再結合反応を促進させる触媒式再結合装置を原子炉格納容器内に複数基を配置する方法も採用されている。
しかしながら、前記Metal−Water反応によって大量の水素が発生する事象下において、前述の水素ガスを除去するための触媒式再結合装置は、水素と酸素とを反応させることにより水素を除去する原理であるため、酸素よりも化学量論的に過剰な水素を除去することは困難である。
上述のように沸騰水型原子炉において、運転中の原子炉格納容器内の雰囲気は窒素ガスで置換されているために、Metal−Water反応で発生する水素と結合可能な酸素は原子炉格納容器内に僅かしか存在していない。
また、事故の進展状況や原子炉格納容器に付帯する安全設備の有無および付帯する安全設備の種類、性能により事故時に発生するガスの温度や水蒸気組成が大きく異なるために、水素処理に好適な環境を整えることが困難である。
同時に、事故時に発生するガス中には炉心損傷時に発生するヨウ素などの反応性の高いハロゲンが含まれており、水素処理を行う除去機構に影響を与える可能性がある。
この低酸素雰囲気中およびガスの状態が不明な環境において、水素を選択的に除去するシステムとして、水素吸蔵装置を用いて水素を分離する方法(例えば、特許文献1参照)や、酸化銅で水素を酸化処理する方法(例えば特許文献2参照)が提案されている。また、原子炉格納容器内の雰囲気を吸引し、化学量論的に不足している酸素を酸素ボンベ等によって補充して水素ガスを水に化学変化させ、残余ガスを原子炉格納容器内に戻す方法もある(例えば、特許文献3参照)。さらに、発生した水素と反応させるための酸素を発生させるための金属酸化物を収納した酸素発生器と、発生した水素を酸素と再結合させて水に戻すための触媒が充填された再結合器とを設置する構成も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2010−190868号公報 特開2011−012973号公報 特許第3596843号公報 特開2012−247331号公報
しかしながら、上記従来の原子炉過酷事故時の水素ガス処理技術では、前記のように、事故の進展状況や原子炉格納容器に付帯する安全設備の有無および付帯する安全設備の種類、性能により事故時に発生するガスの温度や水蒸気組成が大きく異なるために、水素処理に好適な環境を整えることが困難であるという課題があった。
特に事故環境が低酸素濃度であり、かつ発生ガスの温度および組成が異なるような過酷事故時の環境において、電源および運転員操作を必要とせず、水素処理を効果的に実行できる処理技術は実用化されていないという技術的課題が残されていた。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、原子炉過酷事故時に電源および運転員操作を必要とせずに、発生した水素ガスの処理を自動的に実施することが可能な原子炉施設を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る原子炉施設は、炉心を内包する原子炉圧力容器と、この原子炉圧力容器を格納する原子炉格納容器と、上記原子炉格納容器の外部に設けられ、過酷事故時に原子炉格納容器内で発生した水素ガスを酸化処理反応によって低減する水素処理装置とを備える原子炉施設において、上記水素処理装置は、上記水素ガスの酸化処理反応で複数の酸化数を取り得る金属酸化物のうち、高次の酸化数を持つ金属過酸化物であり、かつハロゲン元素に対して不活性である金属過酸化物から成る充填層を備え、発生した水素ガスを前記充填層に流通させて水素処理を行うことを特徴とする。
ここで、酸化数とは、対象原子の電子密度が、単体である場合と比較して、どの程度であるかを表す指標となる。特に酸化数が+2以上の高次の金属過酸化物であれば、金属過酸化物から放出される酸素量が大きくなり、原子炉格納容器内で発生した水素ガスの酸化処理反応が効率的に進行する。
また、事故時に発生するガス中には炉心損傷時に発生するヨウ素などの反応性が高いハロゲンが含まれており、水素処理を行う除去機構に影響を与える可能性がある。しかしながら、本発明のようにハロゲン元素に対して不活性である金属過酸化物を使用することにより、金属過酸化物から放出された酸素がヨウ素などのハロゲンの酸化に使用される割合が少なく発生した水素ガスの酸化を効率的に進行させることが可能になる。
さらに、上記原子炉施設において、前記複数の酸化数を取り得る金属過酸化物であり、かつハロゲン元素に対して不活性である金属過酸化物が、Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Y,Zr,Mo,Tc,Ru,Rh,Cd,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Ptから選択される少なくとも1種の金属の過酸化物であることが好ましい。
上記金属の過酸化物を使用することにより、原子炉格納容器内で発生した水素ガスの酸化処理反応を効率的に進行させることができる。
また、上記原子炉施設において、前記水素処理装置は内部に、Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Y,Zr,Mo,Tc,Ru,Rh,Cd,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Ptから選択される少なくとも2種の金属の過酸化物から成る充填層を備えることが好ましい。
上記2種以上の金属過酸化物を使用することにより、各金属過酸化物の酸素乖離温度、圧力を組み合わせて過酷事故時に想定される酸素発生条件を所定範囲に調整することができる。
さらに、上記原子炉施設において、前記酸化処理反応は金属過酸化物の結晶構造内に含まれる酸素と気相中の水素ガスとが反応し水を生成する反応であることが好ましい。また上記原子炉施設において、前記の金属過酸化物は、過酷事故時の使用条件で金属過酸化物の熱分解により酸素を放出するように混成することも可能である。
本発明に係る原子炉施設によれば、原子炉施設の過酷事故(シビアアクシデント)等の緊急時に際して電源および運転員操作を必要とせず、水素ガス処理を自動的に開始することができる。
水素ガス発生源と水素処理装置とを備える本発明に係る原子炉施設の一実施例の模式的な縦断面図。 本発明で使用する水素処理装置の一実施例を示す模式的な縦断面図。 本発明で使用する水素処理装置の他の実施例を示す模式的な縦断面図。 本発明に係る原子炉施設において、金属過酸化物の水素処理速度と温度との関係を示すグラフ。 本発明に係る原子炉施設において、発生した混合ガスにおける水蒸気の割合と、金属過酸化物と水素との反応速度の減少率との関係を示すグラフ。 本発明に係る原子炉施設において、金属酸化物を用いた水素処理の実施例を示し、特に金属過酸化物の温度と、水素処理装置出口における水素濃度と、処理時間との関係を示すグラフ。
以下、図面を参照して本発明に係る原子炉施設の実施形態について説明する。ここで、各図において、同一または類似する構成要素には、共通の符号を付して重複する説明は省略する。
図1は、本発明に係る原子炉施設の一実施形態を示す模式的な縦断面図であり、図2は本実施形態で使用する水素処理装置の一実施例を示す模式的な縦断面図である。
本実施形態に係る原子炉施設は、炉心1を内包する原子炉圧力容器2と、この原子炉圧力容器2を格納する原子炉格納容器3と、上記原子炉格納容器3の外部に設けられ、過酷事故時に原子炉格納容器3内で発生した水素ガスを酸化処理反応によって低減する水素処理装置5とを備える原子炉施設において、上記水素処理装置5は、上記水素ガスの酸化処理反応で複数の酸化数を取り得る金属酸化物のうち、高次の酸化数を持つ金属過酸化物10であり、かつハロゲン元素に対して不活性である金属過酸化物10から成る充填層5aを備え、発生した水素ガスを前記充填層5aに流通させて水素処理を行うことを特徴とするように構成される。
図1に示すように、本実施形態に係る原子炉施設は、大別して原子炉圧力容器2と、原子炉格納容器3と、水素処理装置5とから構成される。炉心1および原子炉圧力容器2は外部と十分に隔離され内部の酸素ガス濃度が管理された原子炉格納容器3内に配設されている。上記水素処理装置5の内部には、複数の酸化数を取りうる金属酸化物のうち、高次の酸化数を持つ金属酸化物(以下金属過酸化物10という)から成る充填層5aが装備されている。
上記水素処理装置5は原子炉格納容器3のドライウェルと送り配管4により接続されている。送り配管4には原子炉圧力容器2と水素処理装置5を隔離することができる隔離弁6が設けられ、この隔離弁6により両設備の接続、隔離が管理される。また、水素処理装置5は戻り配管7により原子炉格納容器3のウェットウェルと接続されており、戻り配管7にも原子炉圧力容器2と水素処理装置5を隔離することができる隔離弁6が設けられている。
原子炉施設の過酷事故時に炉心1や原子炉格納容器3内で発生した水素ガスを含有する原子炉格納容器内雰囲気ガス11は、原子炉格納容器3のドライウェルと接続している送り配管4を通り、水素処理装置5に送られる。図2に示すように、水素処理装置5の充填層5aでは、金属過酸化物A10と原子炉格納容器内雰囲気ガス11中に含まれる水素ガスが反応し、水素が水蒸気へ変化する。水素処理装置5で処理された処理ガス12は戻り配管7を通り、原子炉格納容器3のウェットウェルへ戻る。原子炉格納容器3のウェットウェルには水が貯留されており、その水によりガス成分中の凝縮性ガスが凝縮することにより、原子炉格納容器3のドライウェルから水素処理装置5に至るガスの流れおよび水素処理装置5から原子炉格納容器3に至るガスの流れが維持される。
上記実施形態に係る原子炉施設によれば、原子炉施設の過酷事故(シビアアクシデント)等の緊急時に際して電源および運転員操作を必要とせず、水素ガス処理を自動的に開始することが可能であり、原子炉施設の安全性をさらに高めることができる。
(実施例1)
図2は本発明で使用する水素処理装置の一実施例を示す模式的な縦断面図である。水素処理装置5の内部には金属過酸化物A10から成る充填層5aが配置されている。原子炉格納容器3で発生した水素を含む雰囲気ガス11は、ドライウェルから延びる送り配管4を経由して水素処理装置5に送られる。水素処理装置5の充填層5a内部に原子炉格納容器雰囲気ガス11が供給されると、金属過酸化物A10から放出された酸素と水素とが反応して水蒸気に変化し、この水蒸気を含む雰囲気ガスは処理ガス12として水素処理装置5から排出され、戻り配管7を通り、原子炉格納容器3のウェットウェルに還流される。
水素処理が実施された後は、図2の右側に図示するように、原子炉格納容器雰囲気ガス11と反応した金属過酸化物A10は、金属過酸化物10中に含まれる酸素原子の一部もしくは全てを失い、使用済み金属過酸化物A13として水素処理装置5内部に残留する。
ここで選択される金属過酸化物A10としては、ハロゲンとの反応性が乏しい金属過酸化物であることが好ましい。ハロゲンとの反応性が乏しい金属過酸化物であれば、原子炉格納容器雰囲気ガス11中に含まれるヨウ素などのハロゲン成分の酸化のために、金属過酸化物から発生した酸素が無為に消費されるおそれが無く、原子炉格納容器雰囲気ガス11中に含まれる水素の酸化に効率的に使用されることになり、水素処理を効果的に実行することができる。
具体的に、選択される金属過酸化物としては、Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Y,Zr,Mo,Tc,Ru,Rh,Cd,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Nbから成る群より選択される金属の過酸化物を用いることが好ましい。ここで、例えば金属原子としてNbを用いた場合、酸化数が+4であるNbOはハロゲンであるヨウ素と反応性があるが、酸化数が+5と、より高次であるNbを用いた場合には、熱化学平衡計算によりその反応性はほとんど無視できるため選択が可能である。
また、Cuを用いた場合も酸化数が+1であるCuOはハロゲンと高い反応性を示すため、使用することは好ましくないが、酸化数が+2であり、より高次な酸化数を有するCuOはハロゲンとの反応性を示さないので好適に使用することが可能である。なお、前述の通り、ハロゲンとの反応性は水素処理を行う前の金属過酸化物に対して考慮すべきであり、水素処理後に生成する金属もしくは金属酸化物に対する反応性ではない。
(実施例2)
図3は本発明で使用する水素処理装置の他の実施例を示す模式的な縦断面図であり、充填層5aに複数(2種類)の金属化酸化物A,Bを使用した例を示している。すなわち、水素処理装置5内部には金属過酸化物A10および金属過酸化物A10とは異なる金属過酸化物B14とから成る充填層5aが配置されている。
原子炉格納容器3で発生した水素を含む雰囲気ガス11は、ドライウェルから延びる送り配管4を経由して水素処理装置5に送られる。水素処理装置5の充填層5a内部に原子炉格納容器雰囲気ガス11が供給されると、金属過酸化物A10から放出された酸素と水素とが反応して水蒸気に変化し、この水蒸気を含む雰囲気ガスは処理ガス12として水素処理装置5から排出され、戻り配管7を通り、原子炉格納容器3のウェットウェルに還流される。
水素処理が実施された後は、図3の右側に図示するように、原子炉格納容器雰囲気ガス11と反応した金属過酸化物A10および金属過酸化物B14は、金属過酸化物10および14中に含まれる酸素原子の一部もしくは全てを失い、使用済み金属過酸化物13として水素処理装置5内部に残留する。
なお、本実施例では2種類の金属過酸化物A,Bを積層混合した構成例を示しているが、金属過酸化物の種類は2種類に限定するものでは無い。特に2種以上の金属過酸化物を使用することにより、各金属過酸化物の酸素乖離温度、圧力を組み合わせて過酷事故時に想定される酸素発生条件を所定範囲に調整することができる。本発明の作用効果は、1種類以上の金属過酸化物が使用されれば十分に発揮される。
金属過酸化物10および金属過酸化物14の配置については特に限定するものではないが、例えば金属過酸化物10および14を雰囲気ガスの供給方向に対してそれぞれ上流および下流に設置した場合には、水素との反応熱の相違により水素処理装置内部の温度分布を制御することができる。
図4は本実施例に係る原子炉施設において、金属過酸化物の水素処理速度と温度との関係を示すグラフである。すなわち、金属過酸化物と水素との反応速度の温度依存性を示しており、水素処理速度は処理温度の上昇と共に増加することが判明している。
図5は本実施例に係る原子炉施設において、発生した混合ガスにおける水蒸気の割合と、金属過酸化物と水素との反応速度の減少率との関係を示すグラフである。被処理ガス(原子炉格納容器雰囲気ガス)中に含まれる水蒸気の割合が上昇すると、水蒸気が含まれない場合(乾燥時の反応速度)と比較して反応速度の減少率が大きくなることが確認されている。
図6は本実施例に係る原子炉施設において、金属過酸化物を用いた水素処理の実施例を示し、特に金属過酸化物の温度と、水素処理装置出口における水素濃度と、処理時間との関係を示すグラフである。目標とする水素処理装置出口における水素濃度から金属過酸化物の温度(水素処理温度)および処理時間が決定され水素処理装置の容量等が計算できる。
1…炉心、2…原子炉圧力容器、3…原子炉格納容器、4…送り配管、5…水素処理装置、6…隔離弁、7…戻り配管、10…金属過酸化物A、11…原子炉格納容器雰囲気ガス、12…処理ガス、13…使用済み金属過酸化物A、14…金属過酸化物B。

Claims (5)

  1. 炉心を内包する原子炉圧力容器と、この原子炉圧力容器を格納する原子炉格納容器と、上記原子炉格納容器の外部に設けられ、過酷事故時に原子炉格納容器内で発生した水素ガスを酸化処理反応によって低減する水素処理装置とを備える原子炉施設において、上記水素処理装置は、上記水素ガスの酸化処理反応で複数の酸化数を取り得る金属酸化物のうち、高次の酸化数を持つ金属過酸化物であり、かつハロゲン元素に対して不活性である金属過酸化物から成る充填層を備え、発生した水素ガスを前記充填層に流通させ水素処理を行うことを特徴とする原子炉施設。
  2. 請求項1記載の原子炉施設において、前記複数の酸化数を取り得る金属過酸化物であり、かつハロゲン元素に対して不活性である金属過酸化物が、Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Y,Zr,Mo,Tc,Ru,Rh,Cd,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Ptから選択される少なくとも1種の金属の過酸化物であることを特徴とする原子炉施設。
  3. 請求項1記載の原子炉施設において、前記水素処理装置は内部に、Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Y,Zr,Mo,Tc,Ru,Rh,Cd,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Ptから選択される少なくとも2種の金属の過酸化物から成る充填層を備えることを特徴とする原子炉施設。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の原子炉施設において、前記酸化処理反応は金属過酸化物の結晶構造内に含まれる酸素と気相中の水素ガスとが反応し水を生成する反応であることを特徴とする原子炉施設。
  5. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の原子炉施設において、前記の金属過酸化物は、過酷事故時の使用条件で金属過酸化物の熱分解により酸素を放出することを特徴とする原子炉施設。
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