JP2006322768A - 原子炉格納容器の水素除去装置及びその除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 専用の除湿設備やエアロゾル除去設備を設けることなく、水素除去装置の触媒層に流入する水蒸気及びエアロゾルを低減する。
【解決手段】 本発明に係る原子炉格納容器の水素除去装置は、原子炉格納容器2内の雰囲気を吸入して冷却水で冷却する格納容器冷却装置15と、格納容器冷却装置15に設けられ事故時に冷却された雰囲気を排出する不凝縮性ガス排出口17と、不凝縮性ガス排出口17に接続され原子炉格納容器2の壁を貫通して雰囲気を取り出す取出配管18と、取出配管18の他端に接続され雰囲気を移送する移送手段11と、移送手段11で移送された雰囲気中の水素と窒素を反応させる水素反応手段(例えば、アンモニア合成触媒層16)と、水素反応手段16で生成された反応生成物及び未反応物質を原子炉格納容器2の壁を貫通して戻す戻し配管18aと、を有する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、原子炉格納容器内の水素を除去する原子炉格納容器の水素除去装置及びその除去方法に関する。
一般に、沸騰水型原子力発電所における原子炉格納容器は、原子炉の万が一の苛酷事故に備えて、格納容器の除熱手段及び可燃性ガス濃度制御システム等の安全系を有している。従来の沸騰水型原子炉と苛酷事故時の格納容器除熱及び可燃性ガス濃度制御システムについて、図5を用いて説明する。
本図に示すように、原子炉格納容器2は、原子炉炉心7を内蔵する原子炉圧力容器1を格納する。この原子炉格納容器2は、原子炉圧力容器1を包囲する上部ドライウェル3、下部ドライウェル4及びウェットウェル5より構成される。このウェットウェル5には、上部ドライウェル3とベント管6を介して接続し、貯蔵水を保有するサプレッションプール5aが形成されている。また、原子炉圧力容器1の外側面は、生体遮蔽壁8により包囲されている。
この原子炉圧力容器1に接続する主蒸気管9等の原子炉一次冷却系配管が万一破断した場合、原子炉格納容器2内の上部ドライウェル3に高温・高圧の原子炉一次冷却材が放出され、上部ドライウェル3内の圧力・温度が急激に上昇する。
この上部ドライウェル3に放出された高温・高圧の冷却材は、上部ドライウェル3内の気体と混合して、ベント管6を経由してサプレッションプール5a内の貯蔵水中に放出されて冷却される。このようにして、原子炉圧力容器1から放出された熱エネルギーの多くは、このサプレッションプール5a内の貯蔵水中において冷却され吸収される。
なお、原子炉圧力容器1内は、図示しない非常用炉心冷却系によりサプレッションプール5a内の貯蔵水が注入されて炉心が冷却される。この冷却水は、長期的には炉心から崩壊熱を吸収し、破断した配管の破断口から上部ドライウェル3へ流出される。
このように、原子炉一次冷却系配管が万が一破断した場合は、上部ドライウェル3内の圧力・温度は常にウェットウェル5よりも高い状態となり、ベント管6を経由してウェットウェル5内に水蒸気とガスが移動する。このとき、原子炉炉心7から放出され上部ドライウェル3の空間に存在していた核分裂生成物は、ベント管6を経由してサプレッションプール5a内で捕捉される。
このように長期的事象下では、軽水炉型原子力発電所の原子炉内では冷却材である水は放射線分解され、水素ガスと酸素ガスが発生する。さらに、原子炉炉心7内の図示しない燃料被覆管の温度が上昇する場合には、この水蒸気と燃料被覆管材料のジルコニウムとの間で反応が起こり(以下、Metal−Water反応という。)、短時間で水素ガスが発生する。
このようにして発生した水素ガスは、破断した配管の破断口等から冷却材と共に原子炉格納容器2内に放出され、原子炉格納容器2内の水素ガス濃度は次第に上昇する。また、水素ガスは非凝縮性であるので、原子炉格納容器2内の圧力も上昇することになる。
この水素ガスが発生する状態に対して何等有効な対策を行うことができずに、水素ガス濃度が4vol%かつ酸素濃度が5vol%以上に上昇、すなわち可燃性ガス濃度が可燃限界を越えたときには、気体は可燃状態となる。さらに、水素ガス濃度が上昇すると過剰な反応が発生する可能性が生じる。
こうした水素ガス濃度が上昇する事態への有効な対策として、従来の沸騰水型原子力発電設備の場合においては、圧力抑制式の原子炉格納容器2内を窒素ガスで置換して酸素濃度を低く維持する対策がとられている。上述のMetal−Water反応により短時間で大量に発生する水素ガスに対しても、原子炉格納容器2内が可燃性雰囲気となることを厳しく防止して固有の安全性を達成している。
また、水素ガスを除去するため、原子炉格納容器2の外部に設置され再結合器10及びブロア11を有する可燃性ガス濃度制御装置10aが設けられている。この可燃性ガス濃度制御装置10aは、原子炉格納容器2内の雰囲気を原子炉格納容器2の外部に吸引し、昇温させて雰囲気中の水素ガスと酸素ガスを再結合させて水に戻し、残りの気体を冷却してから原子炉格納容器2の内部へ戻すことにより、可燃性ガス濃度の上昇を抑制している。
また、上述の可燃性ガス濃度制御装置10aとは異なり外部電源、駆動部を必要とせず、静的に可燃性ガス濃度を制御する方法として、水素の酸化触媒を用いて再結合反応を促進させる触媒式再結合装置を原子炉格納容器2内に複数配置する方法も知られている。
しかし、Metal−Water反応によって大量の水素が発生する事象下において、前述の水素ガスを除去するための触媒式再結合装置は、水素と酸素を反応させることにより水素を除去する原理であるため、酸素よりも化学量論的に過剰な水素を除去することはできない。
上述のように沸騰水型原子炉において、運転中の原子炉格納容器2内の雰囲気は窒素ガスで置換しているために、Metal−Water反応で発生する水素と結合可能な酸素は原子炉格納容器2内に僅かしか存在していない。
この窒素雰囲気中において、水素を効率的に除去するシステムとして、アンモニア合成手段によって窒素と水素を反応させて水素を除去する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、上述のように沸騰水型原子炉には、非常用炉心冷却系、崩壊熱除去系が設けられており、原子炉炉心7に何らかの事故が発生した場合でも原子炉を速やかに冷却し安全に維持することができるようになっている。
さらに、万が一、非常用炉心冷却系及び崩壊熱除去系が作動せず、炉心が溶融するような苛酷事故に至った場合でも、外部水源からの代替注水12aによって溶融炉心を冷却できるようになっている。この冷却等によって発生した水蒸気は、格納容器スプレイ12によって凝縮できるアクシデントマネジメントガイドラインが設定されている。
しかし、代替注水12aのように外部水源から冷却水を供給する方法では、時間の経過と共にサプレッションプール5aに冷却水が蓄水し、やがてウェットウェル5の空間部を圧迫し、原子炉格納容器2の過圧破損の原因となりかねない。このため、格納容器スプレイ12を間欠的に実施し、散水量を低減する等の工夫がされている。
最終的にはウェットウェル5から格納容器ベントライン13を介して原子炉格納容器2内のガスをスタック14から大気中に放出することにより、原子炉格納容器2の過圧破損を防止している。
一方、ウェットウェル5の空間部は、上部ドライウェル3の空間部に比べて核分裂生成物の存在量が桁違いに小さい。しかしそれでも、原子炉格納容器2内のベントを実施すれば大気中に核分裂生成物を放出することになり、核分裂生成物が環境中に拡散してしまう恐れがある。
そこで、苛酷事故時に原子炉格納容器2内のベントをすることなく、原子炉格納容器2内の過圧破損を防止する手段が提案されている。その代表的な手段が静的格納容器除熱装置(以下、PCCSという。)である。また、上述の触媒式水素再結合装置とPCCSとを組み合わせた装置も提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
また、PCCSのような設備を新設せずに、既存設備を利用して格納容器除熱を効率的に行うことを目的として、常用のドライウェルクーラ(以下、DWCという。)15を苛酷事故時の原子炉格納容器2の除熱に利用する手段が知られている(例えば、特許文献4参照)。
このDWC15は、通常運転時のドライウェルの空調設備である。DWC15は、ファンを使用して上部ドライウェル3内の雰囲気ガスを熱交換器に取り込んで冷却したガスを、ダクトを通じて原子炉格納容器2内の各所に送風している。苛酷事故時には、シール部の破損を防止するために、送風ダクトのダンパーが閉鎖され、吸気ファンが停止することになっている。
しかし、冷却水の供給手段さえ確保できれば、溶融炉心冷却によって発生する水蒸気を凝縮することが可能である。このような冷却水の供給手段を確保することにより、原子炉格納容器2のベントに至るまでの時間を延長又は原子炉格納容器2のベントの廃止が検討されている。
特開平11−166996号公報
特開平06−130170号公報
特開平10−221477号公報
特開2001−215291号公報
上述したように従来の原子炉格納容器においては、原子炉一次冷却系配管が万一破断するような事故時に、冷却水中に移行した核分裂生成物によって水が放射線分解され、水素と酸素が発生し、原子炉格納容器内雰囲気が可燃限界に到達するのを防止するために、可燃性ガス濃度制御系が設けられている。
しかし、放射線分解で発生する水素・酸素によって原子炉格納容器内の雰囲気が可燃限界に到達するような量の核分裂生成物が冷却水中に放出される事象では、同時にMetal−Water反応によって大量の水素が発生していると予測される。
したがって、この大量の水素によって酸素濃度が相対的に低下し、逆に、可燃限界に至ることはないと考えられる。
また、現行の原子炉の安全評価においては、可燃性ガス濃度を保守的に見積もるために、Metal−Water反応の割合を小さく、放射線分解に寄与する冷却材中に移行した核分裂生成物の割合を大きく見積もっているために、可燃性ガス濃度制御系が必要となっている。
このように、沸騰水型原子炉では、原子炉格納容器内は窒素により不活性化されているため、Metal−Water反応によって発生した水素により原子炉格納容器内雰囲気が直ちに可燃限界に達することはない。しかし、大量の水素が発生したときには、原子炉格納容器の過圧の要因になり得る。また、水素は不凝縮性ガスであり、不凝縮性ガス濃度が高くなるとDWCやPCCSの伝熱性能が低下する。
このように、上述の可燃限界防止の観点よりはむしろ、原子炉格納容器の過圧防護又は事故後の原子炉格納容器の雰囲気制御の見地から水素除去を行う必要がある、という課題があった。
また、上述した状況を考慮して、原子炉格納容器内の雰囲気中に大量に存在する窒素とMetal−Water反応によって発生した水素を反応させて除去するシステムが知られている。しかし、水素と窒素の反応に用いる触媒として典型的なRu系触媒は、水蒸気によって活性が低下することが知られている。上述の苛酷事故時には、大量の水蒸気が原子炉格納容器内雰囲気中に存在し、これを直接Ru系触媒層に導けば、触媒活性が著しく損なわれる恐れがある、という課題があった。
また、原子炉一次冷却系配管が万が一破断するような苛酷事故時には、核分裂生成物や構造材・コンクリート分解生成物等のエアロゾルが発生し、格納容器内雰囲気中に浮遊していると予測される。このエアロゾルが触媒層に付着することにより触媒活性が低下する恐れがある、という課題があった。
また、触媒の活性低下を防止するために触媒層の上流側にフィルタや除湿機構を設けることが考えられる。しかし、このような設備を設けたときに、圧力損失が増加して必要となるブロアの容量も増加し、より大きな電源も必要となって物量が雪達磨式に増加してしまう。また、苛酷事故の発生頻度はきわめて低く、苛酷事故対策設備が現実に使用される確率はほとんどないにも拘らず、このような設備に対する多額の投資は難しい。さらに、使用頻度の低い機器については、可搬式にしてプラント間で共有して利用することが考えられるが、その場合にも設備はコンパクトで移動し易いものが望まれる、という課題あった。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、水素と窒素を反応させて水素処理を行う水素除去装置において、専用の除湿設備やエアロゾル除去設備を設けることなく、水素除去装置の触媒層に流入する水蒸気及びエアロゾルを低減することにより、コンパクトで移動しやすく且つ触媒層の劣化を防止することができる原子炉格納容器の水素除去装置及びその除去方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の水素除去方法においては、原子炉格納容器内に設置され原子炉格納容器内の雰囲気を冷却する格納容器冷却装置と、前記格納容器冷却装置に設けられ不凝縮性ガス排出口から取出配管を介して前記原子炉格納容器の外に事故時に前記原子炉格納容器内の雰囲気を取り出しこの雰囲気中の水素と窒素を反応させる水素反応手段と、この水素反応手段で生成された反応生成物及び未反応物質を前記原子炉格納容器内に戻す戻し配管と、を有することを特徴とするものである。
また、上記目的を達成するため、本発明の水素除去方法においては、原子炉格納容器内に設置された格納容器冷却装置で原子炉格納容器内の雰囲気を吸入して冷却水で冷却する冷却ステップと、この冷却ステップおいて冷却された雰囲気を事故時に排出する不凝縮性ガス排出ステップと、この不凝縮性ガス排出ステップにおいて排出された雰囲気を前記原子炉格納容器の外に取り出す雰囲気取出ステップと、この雰囲気取出ステップで取り出された雰囲気を移送する雰囲気移送ステップと、この雰囲気移送ステップで移送された雰囲気中の水素と窒素を反応させる水素反応ステップと、この水素反応ステップで生成された反応生成物及び未反応物質を前記原子炉格納容器内に戻す反応生成物戻しステップと、を有することを特徴とするものである。
本発明の原子炉格納容器の水素除去装置及びその除去方法によれば、水素と窒素を反応させて水素処理を行う水素除去装置において、専用の除湿設備やエアロゾル除去設備を設けることなく、水素除去装置の触媒層に流入する水蒸気及びエアロゾルを低減することにより、コンパクトで移動し易く且つ触媒層の劣化を防止することができる。
以下、本発明に係る原子炉格納容器の水素除去装置及びその除去方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
図1は、本発明の実施の形態の原子炉格納容器の水素除去装置の概略構成を示す縦断面図である。
本図に示すように、原子炉格納容器2内の上部ドライウェル3内には、DWC15が設置されている。このDWC15のケーシング24には不凝縮性ガス排出口17が設けられている。不凝縮性ガス排出口17には、原子炉格納容器2内の雰囲気を取り出すために取出配管18が接続されている。この取出配管18は、原子炉格納容器2の隔壁2aを貫通して、原子炉格納容器2の外部に導出されている。原子炉格納容器2の外部に導出された取出配管18は、バルブ35を経由して、水素反応装置37に接続されている。この水素反応装置37は、原子炉格納容器2の雰囲気38を移送する移送手段であるブロア11及びアンモニア合成触媒層16から構成されている。
このアンモニア合成触媒層16の排出口には戻し配管18aが接続されている。この戻し配管18aの他端は、バルブ36を経由して、原子炉格納容器2の隔壁2aを貫通して、サプレッションプール5aのプール水中に導かれている。
このように構成された本実施の形態において、水素ガスを除去するため原子炉格納容器2の外側に設置されアンモニア合成触媒層16とブロア11とから構成される水素反応装置37により、原子炉格納容器2内の雰囲気は原子炉格納容器2の外側に吸引される。この吸引された原子炉格納容器2内の気体は、昇温した状態でアンモニア合成触媒層16により水素ガスと酸素ガスを再結合させて水に戻される。再結合しなかった残りの気体は冷却してから原子炉格納容器2内部のサプレッションプール5aのプール水中へ戻し配管18aを介して戻される。
本実施の形態によれば、水素と窒素を反応させて水素処理を行う水素除去装置において、専用の除湿設備やエアロゾル除去設備を設けることなく、水素除去装置の触媒層に流入する水蒸気及びエアロゾルを低減することにより、原子炉格納容器内の可燃性ガス濃度の上昇は抑制できる。このため、コンパクトで移動し易く且つ触媒層の劣化を防止することができる水素除去装置を得ることができる。
このとき、アンモニア合成触媒層16によるアンモニア合成の反応速度を上昇させるために、アンモニア合成触媒層16の触媒層を加熱するヒーターを触媒層に組み込んでもよい。
ここで、上述のドライウェルクーラ(DWC)15について以下に詳述する。
図2は、図1のDWC15の構造を示す透視図であり、図3は、図1のDWC15の構造を示す斜視図である。
本図に示すように、原子炉の通常運転時には、DWC15のケーシング24の内部に設置されたファン22の作動によって、上部ドライウェル3内の雰囲気38が開口部25を通ってDWC15のケーシング24の内部に取り込まれる。ケーシング24の内部には冷却コイル20が設置されている。この冷却コイル20内の冷却水は、冷却水入口19より供給して、冷却水出口21より排出している。このように、冷却コイル20内に冷却水を通水することによって、冷却コイル20の周囲を通過する雰囲気38を冷却する。冷却された雰囲気38は、ダクト23を経由して原子炉格納容器2内の各所に送風される。
一方、原子炉一次冷却系配管が万一破断するような事故時には、ファン22が停止しダクト23のダンパーが閉鎖される。しかし、冷却コイル20への通水を継続することによって、原子炉格納容器2内の水蒸気を凝縮し、原子炉格納容器2の除熱を行うことが可能である。
このとき、開口部25及び冷却コイル20で隔てられたケーシング24の奥の部分は、不凝縮性ガス濃度が高くなり、冷却コイル20を通る冷却水温度に相当する飽和水蒸気分圧程度の水蒸気が存在する。
そこで、このケーシング24の奥の部分に不凝縮性ガス排出口17を設ける。この不凝縮性ガス排出口17に配管18を接続し、この配管18の他端は、水素反応装置37内のアンモニア合成触媒層16に接続される。このとき、水蒸気分圧の低いドライウェル雰囲気ガスを選択的に水素反応装置37に供給するようにする。同時に、原子炉格納容器2内に浮遊するエアロゾル等の不純物も水蒸気と共にDWC15の冷却コイル20表面の液膜に取り込まれ洗い出される。このため、配管18を介してアンモニア合成触媒層16に移送されるガス中のエアロゾル濃度を低減することができる。
アンモニア合成触媒16として代表的なRu系触媒は、水蒸気によって触媒性能が被毒されることが知られている。しかし、エアロゾル物質がこの触媒層16に付着することにより触媒性能が低下するけれども、水蒸気及びエアロゾルの触媒層への流入を制限することによって触媒性能の低下を抑制することができる。
一方、ファン22が停止したときのDWC15の雰囲気の取り込みは、従来であれば水蒸気凝縮によるガスの吸込みと凝縮前後のガスの密度差による自然循環が基本的に行われており、不凝縮性ガス中の窒素に対する水素の割合が高くなると、凝縮前後のガスが付き難くなることから、自然循環速度が低下して、除熱量が減少することが知られている。
本実施の形態によれば、DWC15からの不凝縮性ガスの排出を促すために、不凝縮性ガス濃度が高く且つ不凝縮性ガス中の水素割合が高い場合にも、DWC15による除熱性能を良好に保つことが可能である。
図4は、本発明の他の実施の形態の原子炉格納容器の水素除去装置の概略構成を示す縦断面図である。本図は、図1に記載の水素反応装置27を可搬式としたものであり、図1の実施の形態と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
本実施の形態において、水素反応装置37内のアンモニア合成触媒層16と原子炉格納容器2を結ぶ取出配管18および戻し配管18aには、バルブ35、36を介してフランジ26、26が設けられている。水素反応装置37は、台車27上に載置して移動可能な構成となっている。この水素除去装置37は、ブロア11とアンモニア合成触媒層16とから構成されている。
本実施の形態によれば、原子炉格納容器2から水素反応装置37を容易に取り外しすることができる。なお、図示してはいないが、台車27上にはブロア11とアンモニア合成触媒層16の他に、これらを起動するのに必要な電源設備を設置してもよい。
上述のように、苛酷事故対策設備は現実的には使用される確率は極めて低い。このため、現行の再結合器10では、可搬式としてプラント間で共有しているものが存在する。同様の見地から、アンモニア合成による水素反応装置を可搬式にする方法が考えられる。アンモニア合成触媒層16に水蒸気やエアロゾルが流入しないようにするために、除湿機構やフィルタ等を設置することを考慮しなければならない。このような設備に付加して、圧力損失によるブロアの容量増加とそれに伴う電源設備の容量増加も必要となり、設備が大規模になって移動が困難になる恐れがある。さらに、設備が複雑化し移動にも手間がかかると事故時の運転員の負担が増加するだけでなく、訓練に要する時間等にも影響を及ぼす。
ところが、本実施の形態によれば、DWC15が上述の除湿機構やフィルタの機能を兼用することができる。このため、可般部分の台車27に載置した水素反応装置37は、これらの除湿機構及びフィルタを付属する必要がなくなり、コンパクトで移動し易い装置とすることができる。
ここで、アンモニア合成触媒層16に流入するドライウェル雰囲気ガス中の水蒸気分圧を制御するための方法について以下に説明する。
上述のように、アンモニア合成触媒層16に流入する水蒸気の分圧は、図2に示すように、DWC15の冷却コイル20に流入する冷却水温度に相当した飽和水蒸気分圧相当である。冷却水温度が上昇すれば、不凝縮性ガス排出口17を経由して移送されるドライウェル雰囲気中の水蒸気分圧も上昇する。この水蒸気分圧がアンモニア合成触媒の活性を著しく低下させる閾値未満であれば特に問題はない。しかし、この閾値を越えてしまうと触媒の活性は低下する。
そこで、DWC15の冷却水出口温度を検出し、その水温がアンモニア合成触媒の活性低下の閾値である水蒸気分圧の飽和温度以上である場合には、移送配管を閉鎖する。その水温が飽和温度未満の場合には、開放する制御弁を設けることにより、アンモニア合成触媒の活性低下を防止する。
または、アンモニア合成触媒層16の上流側に除湿膜を設けてもよい。ドライウェル内雰囲気温度は百数十℃から二百℃程度まで達する場合がある。現在一般に使用されている除湿膜は、100℃を超えるような高温条件での性能を保証していないものが多い。このため、除湿膜を通す前にガスを冷却する必要がある。
本実施の形態では、DWC15がその冷却器の機能を果たすことになるので、特別な除湿膜専用の冷却器を必要としないために経済的である。
さらに、本発明は、上述したような各実施の形態に何ら限定されるものではなく、原子炉格納容器2の外側に、アンモニア合成触媒層16とブロア11とを有する水素反応装置37を複数台設置してもよく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
1…原子炉圧力容器、2…原子炉格納容器、3…上部ドライウェル、4…下部ドライウェル、5…ウェットウェル、5a…サプレッションプール、6…ベント管、7…原子炉炉心、8…生体遮蔽壁、9…主蒸気管、10…再結合器、11…ブロア、12…格納容器スプレイ、13…格納容器ベントライン、14…スタック、15…ドライウェルクーラ(DWC)、16…アンモニア合成触媒層、17…不凝縮性ガス排出口、18…取出配管、18a…戻し配管、19…冷却水入口、20…冷却コイル、21…冷却水出口、22…ファン、23…ダクト、24…ケーシング、25…開口部、26…フランジ、27…台車、37…水素反応装置。
Claims (6)
- 原子炉格納容器内に設置され原子炉格納容器内の雰囲気を冷却する格納容器冷却装置と、
前記格納容器冷却装置に設けられ不凝縮性ガス排出口から取出配管を介して前記原子炉格納容器の外に事故時に前記原子炉格納容器内の雰囲気を取り出しこの雰囲気中の水素と窒素を反応させる水素反応手段と、
この水素反応手段で生成された反応生成物及び未反応物質を前記原子炉格納容器内に戻す戻し配管と、
を有することを特徴とする原子炉格納容器の水素除去装置。 - 前記水素反応手段は、アンモニア合成触媒層を具備すること、を特徴とする請求項1記載の原子炉格納容器の水素除去装置。
- 前記水素反応手段は、台車上に載置され、前記取出配管及び戻し配管とはそれぞれフランジを介して接続されること、を特徴とする請求項1又は2記載の原子炉格納容器の水素除去装置。
- 前記格納容器冷却装置は、前記冷却水の温度を計測する冷却水温度計測手段を有し、この冷却水温度計測手段で測定された冷却水の出口温度が規定値以下になったときに前記雰囲気を不凝縮性ガス排出口へ排出する制御弁を含むこと、を特徴とする請求項1記載の原子炉格納容器の水素除去装置。
- 前記不凝縮性ガス排出口と水素反応手段との間に除湿膜を具備すること、を特徴とする請求項1記載の原子炉格納容器の水素除去装置。
- 原子炉格納容器内に設置された格納容器冷却装置で原子炉格納容器内の雰囲気を吸入して冷却水で冷却する冷却ステップと、
この冷却ステップおいて冷却された雰囲気を事故時に排出する不凝縮性ガス排出ステップと、
この不凝縮性ガス排出ステップにおいて排出された雰囲気を前記原子炉格納容器の外に取り出す雰囲気取出ステップと、
この雰囲気取出ステップで取り出された雰囲気を移送する雰囲気移送ステップと、
この雰囲気移送ステップで移送された雰囲気中の水素と窒素を反応させる水素反応ステップと、
この水素反応ステップで生成された反応生成物及び未反応物質を前記原子炉格納容器内に戻す反応生成物戻しステップと、
を有することを特徴とする原子炉格納容器の水素除去方法。
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JP (1) | JP2006322768A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2704153A2 (en) | 2012-08-29 | 2014-03-05 | Hitachi-GE Nuclear Energy, Ltd. | Gas treatment equipment of nuclear power plant |
JP2020041834A (ja) * | 2018-09-06 | 2020-03-19 | 東芝エネルギーシステムズ株式会社 | 水素処理システム、原子炉施設および水素処理方法 |
TWI807514B (zh) * | 2021-12-03 | 2023-07-01 | 鼎佳能源股份有限公司 | 氫氣處理系統 |
-
2005
- 2005-05-18 JP JP2005144935A patent/JP2006322768A/ja not_active Withdrawn
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