JP7399405B2 - 原子力プラント - Google Patents

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Description

本発明は、静的格納容器冷却系内の可燃性ガス濃度制御システムを有する原子力プラントに関するものである。
従来の原子力プラントの静的格納容器冷却系内の可燃性ガス濃度制御システムについて図5から図8によりその概要を説明する。
(図5:従来の原子力プラントの説明)
図5は、従来の原子力プラントの原子炉格納容器まわりの構成の例を示す立断面図である。図5において、炉心1は原子炉圧力容器2の内部に収納されている。原子炉圧力容器2は、原子炉格納容器3内に収納されている。原子炉格納容器3は円筒形状をしている(図6を参照。)。
原子炉格納容器3の内部は、原子炉圧力容器2を収納するドライウェル4と、ウェットウェル5とに区分けされており、ドライウェル4とウェットウェル5とは原子炉格納容器3の一部を構成する。ウェットウェル5は内部に圧力抑制プール6を形成している。圧力抑制プール6の上方にはウェットウェル気相部7が形成されている。ドライウェル4とウェットウェル5の外壁部は一体化して原子炉格納容器3の円筒状の外壁部を構成している。ドライウェル4の天井部は平板になっておりこの部分をドライウェル4のトップスラブ4aと呼ぶ。
原子炉格納容器3の雰囲気は、沸騰水型軽水炉の場合には、窒素により置換され酸素濃度を低く制限されている。例えば、酸素濃度は3.5%以下に制限されている。
原子炉格納容器3は、一般にその材質により、鋼製原子炉格納容器、鉄筋コンクリート製原子炉格納容器(RCCV)、プレストレスコンクリート製原子炉格納容器(PCCV)、スチール・コンクリート複合構造(SC造)原子炉格納容器(SCCV)など様々のものがある。RCCVとPCCVの場合には内面に鋼製ライナーが張られている。図6ではRCCVの例を示している。図6に示すように、RCCVは外壁部分は円筒形状をしている。
原子炉圧力容器2は、RPVスカート62およびRPVサポート63を介して、円筒状のペデスタル61により支持されている。ペデスタル61は、鋼製、コンクリート製、両者の複合構造等がある。ドライウェル4のうち原子炉圧力容器2の下方であって、ペデスタル61の円筒状の壁により囲まれるペデスタル61の内側の空間を、ペデスタルキャビティ61aという。ABWRのRCCVの場合はペデスタル61の円筒状の壁はウェットウェル5とドライウェル4の境界の壁を形成していて特にこの空間を下部ドライウェルと呼んでいる。
原子炉圧力容器2の上方に原子炉格納容器上蓋10が配置され、その上方に水遮蔽11が配置されている。
原子炉圧力容器2からは主蒸気配管71がドライウェル4の外部に延びている。主蒸気配管71には、逃がし安全弁(Safety Relief Valve、「SRV」)72が設けられており、逃がし安全弁72が動作したときに圧力抑制プール6内に原子炉圧力容器2の蒸気が放出されるように、逃がし配管73が圧力抑制プール6内に水没するように設けられている。
ドライウェル4と圧力抑制プール6はLOCAベント管8により連結されている。LOCAベント管8はたとえば10本など複数個設置されるが図5では2本のみを表示している(図6を参照)。LOCAベント管8は圧力抑制プール6のプール水に水没している部分に水平ベント管8aがありプール水中に開口している。RCCVの場合は、水平ベント管8aは一つのLOCAベント管8に縦方向に3本設置されている。また、RCCVの場合はLOCAベント管8はペデスタル61の円筒状の壁の内部を通って設置されている。そのためRCCVの場合は、このペデスタル61の円筒状の壁をベント壁とも言う。ベント壁は厚さが約1.7mの鉄筋コンクリート製で内側と外側の表面は鋼製である。LOCAベント管8とペデスタル61は原子炉格納容器3の一部を構成する。
ウェットウェル気相部7内のガスをドライウェル4内に還流する目的で、真空破壊弁9が設けられている。真空破壊弁9はたとえば8個など複数個設置されるが、図5では1個のみを表示している。
真空破壊弁9は、ウェットウェル5の壁面に設ける方法、ウェットウェル5の天井に設ける方法、LOCAベント管8に設ける方法がある。真空破壊弁9は、ウェットウェル5内の圧力がドライウェル4内の圧力よりも高くなり、その差圧が設定圧力を超えると作動して開く。真空破壊弁9の設定圧は、たとえば約2psi(約13.79kPa)である。真空破壊弁9は、原子炉格納容器3の一部を構成する。
(外部ウェルの説明)
さらに、ドライウェル4とウェットウェル5の外部に外部ウェル32が設けられている。外部ウェル32はドライウェル共通部壁4bを介してドライウェル4と隣接し、ウェットウェル共通部壁5aを介してウェットウェル5と隣接している。外部ウェル32の天井部は平板でこの部分を外部ウェル32のトップスラブ32aと呼ぶ。外部ウェル32内の雰囲気は窒素により置換され酸素濃度を低く制限されている。酸素濃度は例えば3.5%以下に制限されている。外部ウェル32はドライウェル4およびウェットウェル5と同等の耐圧性と気密性を有している。
外部ウェル32の材質は、鉄筋コンクリート製(RC)、SC造、鋼製など原子炉格納容器3と同じもの全てが使用可能である。鉄筋コンクリート製の場合は、原子炉格納容器3と同様に内面にライナーが敷設される。図7に示すように、本従来例における外部ウェル32の平面形状は矩形でドライウェル4およびウェットウェル5の外壁の一部を囲むように構成されている。
(図7:スクラビングプールの説明)
さらに、外部ウェル32内に内部に水を貯えたスクラビングプール33が設けられ、上部は上蓋33aで覆われている(図7参照)。上蓋33aとプール水の間には空間33bがある。上蓋33aの上部に空間33bに開口した第1の出口配管33cが設けられている。第1の出口配管33cの一端に金属ファイバーフィルター34が接続して設けられている。さらに、金属ファイバーフィルター34に接続して他端が外部ウェル32の内部に開口する第2の出口配管34aがある。
空間33bはガスベント配管22から原子炉格納容器3内のガスがベントされる際に水位上昇が発生した場合に必要となる。また、上蓋33aは地震時のスロッシングで水が流出することを防止するために必要である。通常時だけではなく事故時に地震が発生してスロッシングで水が流出することを防止する必要がある。スクラビングプール33のプール水量は本従来例では約500m3と大きいためスクラビングプールの平面形状は矩形としている(図6を参照)。
(PCCSの構成の説明)
次に、図5に基づいて静的格納容器冷却系(PCCS)12の構成を説明する。原子炉格納容器3および外部ウェル32の上部に冷却水プール13が設けられ、内部に冷却水14を蓄えている。冷却水プール13はプール型とタンク型の例がある。図5ではプール型のものを表示している。プール型の場合は上部は上蓋で覆われている。
冷却水プール13の水面の上方の気相部から、環境に蒸気を放出する排気口15が設けられている。排気口15の出口には虫よけのスクリーンが設けられることがある。冷却水プール13の位置は、一般に原子炉格納容器3および外部ウェル32の上部に設けられているが、原子炉格納容器3および外部ウェル32の横に設けることもできる。
冷却水プール13内には熱交換器16が設置されている。熱交換器16の少なくとも一部は冷却水14に水没するように設置される。本従来例では、熱交換器16は冷却水14に完全に水没するように設置される例を示している。
熱交換器16は複数個設置される場合が多いが、図5では1基のみを表示してある。熱交換器16は入口プレナム17、出口プレナム18および伝熱管19を有する(図8参照)。熱交換器16は全体で少なくとも崩壊熱相当の蒸気を凝縮する冷却容量を有している。
図5では、熱交換器16全体が、入口プレナム17と出口プレナム18を含めて冷却水プール13の内部に設置例を示しているが、この例には限定されない。たとえば、伝熱管19のみが冷却水プール13の内部に設置され、入口プレナム17と出口プレナム18は冷却水プール13の外部に突出して設置される例もある。
熱交換器16の入口プレナム17にはウェットウェル・ガス供給配管48が接続されている。ウェットウェル・ガス供給配管48は一端がウェットウェル気相部7に開口しウェットウェル5の側壁を貫通しアウターウェル32の内部をとおりアウターウェル32のトップスラブ32aを貫通してもう一端が入口プレナム17に接続している。本従来例では、さらにドライウェル・ガス供給配管20が設けられている。ドライウェル・ガス供給配管20の一端はドライウェル4の内部に開口しドライウェル4の側壁を貫通しアウターウェル32の内部をとおりアウターウェル32のトップスラブ32aを貫通しもう一端はウェットウェル・ガス供給配管48に接続している。ドライウェル・ガス供給配管20には隔離弁20aが設けられ通常運転中は閉鎖している。
また、熱交換器16の出口プレナム18の下部に凝縮水戻り配管21が接続されている。凝縮水戻り配管21は、外部ウェル32のトップスラブ32aを貫通して外部ウェル3
2の内部を通り、先端がウェットウェル5の内部の圧力抑制プール6に浸漬するように設置されている(特許文献1の図1を参照)。このように凝縮水戻り配管21は外部ウェル32の内部を通るように設置されるので、凝縮水が漏洩してCsI等の放射性物質が直接環境に放出されない構造となっている。本従来例では、凝縮水戻り配管21の先端は、一例として圧力抑制プール6に浸漬するように設置されているが、この例には限定されない。ドライウェル4の内部に導く例やLOCAベント管8の内部に導かれている例もある。
しかし、LOCAベント管8の内部に導く方法にはLOCA時にLOCAベント管8の圧損を増加させるという課題がある。また、ドライウェル4に導く場合には水封のためにPCCSドレンタンクを設置する必要がありスペースに余裕がないと採用できないという課題がある。
原子炉格納容器3内の雰囲気には炉心溶融事故が発生した場合には、CsI等の粒子状放射性物質が大量に含まれているが、熱交換器16で蒸気が凝縮する際にCsI等の粒子状放射性物質は凝縮水にほとんど移行する。そのCsIを大量に含んだ凝縮水は凝縮水戻り配管21により圧力抑制プール6のプール水に還流し保持されるので、本従来例の静的格納容器冷却フィルターベントシステムは、原子炉格納容器3内に浮遊する粒子状放射性物質を静的に除去するように構成されている。
したがって、本従来例では、全交流電源喪失(SBO)により炉心溶融事故に至った場合であっても、あたかも動的な格納容器スプレーにより粒子状放射性物資を除去して圧力抑制プール6のプール水に還流しているのと同等の効果が得られる。また、凝縮水戻り配管21はLOCAベント管8の内部に設置しないのでLOCA時にLOCAベント管の圧損を増大させることがない構造となっている。
さらに、熱交換器16の出口プレナム18の上部にはガスベント配管22が接続されている。ガスベント配管22は外部ウェル32のトップスラブ32aを貫通して外部ウェル32の内部を通り、先端はさらにスクラビングプール33の水の中に浸漬して設置されている。このようにガスベント配管22は外部ウェル32の内部を通るように設置されるので、ガスが漏洩して放射性希ガス、有機ヨウ素、CsI等の放射性物質が直接環境に放出されない構造となっている。この内、CsI等の粒子状放射性物質は、スクラビングプール33のプール水で除去され、さらに、金属ファイバーフィルター34により水滴等にキャリーオーバーされたものも除去される構成になっている。
これにより、CsI等の粒子状放射性物質が環境に放出されて土地が汚染され周辺住民の方達に長期間の移住をしていただく必要性を削除することが可能となっている。また、放射性希ガスと有機ヨウ素は第2の出口配管34aから外部ウェル32の内部に放出され外部ウェル32の内部に保持される。これにより従来のフィルタ-ベントシステムが作動時に放射性希ガスと有機ヨウ素を環境に直接放出するため、事前に周辺住民の方達に緊急避難をしていただいたりヨウ素剤を服用していただいたりする必要性を削除することが可能になっている。
また、本従来例では、過酷事故時に燃料被覆管の金属-水反応で大量に発生する水素についても、ガスベント配管22により外部ウェル32の内部に放出されるため、ドライウェル4およびウェットウェル5の過酷事故時の圧力を十分低く保つことが可能である。外部ウェル32の内部の雰囲気は窒素で置換されているので、大量の水素が閉じ込められても爆轟することがない。
(冠水配管の説明)
また、本従来例では、下部ドライウェルを冠水するためにペデスタル61の壁を貫通し一端が下部ドライウェル(ペデスタルキャビティ)61a内に導かれ他端が圧力抑制プール6内に開口する冠水配管68が設けられている。冠水配管68の下部ドライウェル61a内の部分には冠水弁67が設けられている。また、冠水配管68には逆止弁69が設けられている。逆止弁69を設けたことでドライウェル4内の圧力が上昇した場合でも下部ドライウェル61a内の高温水が圧力抑制プール6に逆流することを防止できる。冠水配管68の設置位置はLOCAベント管8と重ならないようにたとえば、LOCAベント管とLOCAベント管の中間の位置として全体で10個設置されている(図6を参照)。
冠水弁67は溶融弁を使用することが可能である。溶融弁はデブリの熱で溶融して開になる。しかし、溶融弁以外にもSBO時に作動用電源を必要としないものは全て使用可能である。たとえば、爆破弁は作動に火薬を使用するので採用可能である。作動にはデブリの熱を検知する温度高の信号を使用する。また、バネ式弁も作動にバネの力を使用するので採用可能である。バネを抑えているワイヤーがデブリの熱で溶融することにより開になる。さらに、信頼性を向上させるため、たとえば、10個の冠水弁の内5個を爆破弁として残りの5個をバネ式弁にすることがある。また、5個を溶融弁として残りの5個を爆破弁とすることがある。あるいは、溶融弁、爆破弁、バネ式弁の少なくとも2種類以上を混在して使用することがある。
(図8:PCCS熱交の説明)
図8は、従来の静的格納容器冷却系内の熱交換器の例を示す立断面図である。図8により、従来の静的格納容器冷却系12の熱交換器16の構造について横型熱交換器の例で説明する。
図8おいて、出口プレナム18は、入口プレナム17の下方に設けられている。多数のU字型の伝熱管19が管板23に接続し、伝熱管19の直管部が水平に設置されている。図8では簡略化して2本のみを表示している。伝熱管19の外部には冷却水14(図5参照)が満たされている。伝熱管19の入口は、入口プレナム17に開口している。また、伝熱管19の出口は出口プレナム18に開口している。
入口プレナム17にはウェットウェル・ガス供給配管48が接続し、ウェットウェル気相部7内の窒素、水素、酸素、水蒸気等の混合ガスを入口プレナム17に供給する。この混合ガスは伝熱管19内に導かれ、水蒸気は凝縮して凝縮水となり、伝熱管19の出口から出口プレナム18内に流出し、出口プレナム18内の下部に溜まる。
出口プレナム18の下部には、凝縮水戻り配管21が接続されていて、出口プレナム18内の凝縮水を、重力により原子炉格納容器3の内部に還流する。また、出口プレナム18の上部には、ガスベント配管22が接続されている。伝熱管19内で凝縮しない窒素、水素、酸素等の非凝縮性ガスは、伝熱管19から排出され出口プレナム18の上部に溜まる。
ガスベント配管22の先端は、外部ウェル32内のスクラビングプール33のプール水の中に浸漬して設置されている。出口プレナム18内の非凝縮性ガスは、ガスベント配管22を通りスクラビングプール33のプール水を押し下げて水中にベントされた後、上蓋33aとスクラビング水33cの間の空間33bに移行する。その後、第1の出口配管33d、金属ファイバーフィルター34、第2の出口配管34aを通り外部ウェル32の内部に移行する。
なお、伝熱管19の形状はU字型に限定されない。鉛直方向に直管部のある伝熱管19を、縦型に設置する構造のものもある。入口プレナム17は、必ず出口プレナム18よりも上に位置する。これにより伝熱管19内で凝縮した凝縮水を重力により出口プレナム18に導く。横型の利点は耐震性に優れていることと、冷却水14の有効活用ができることである。一方、縦型の利点は凝縮水の排出性が良いことである。
(機能の説明)
次に、このように構成された従来の静的格納容器冷却系12の機能について説明する。
過酷事故が発生して原子炉圧力容器2内で炉心1の損傷が始まると高温化した炉心燃料の被覆管と冷却水が金属-水反応を起こし大量の水素が発生する。この水素は逃がし安全弁72により圧力抑制プール6に放出されウェットウェル気相部7に移行する。ウェットウェル気相部7は窒素で置換されて酸素濃度を低く抑えてあるため水素の爆轟は発生しない。最初から存在していた窒素に水素が加わりウェットウェル気相部7の圧力が増加する。高圧化したウェットウェル気相部7の混合ガスはウェットウェル・ガス供給配管48により熱交換器16内に導かれさらにガスベント配管22によって外部ウェル32内のスクラビングプール33に放出される。この混合ガスはさらに空間33b、第1の出口配管33d、金属ファイバーフィルター34、第2の出口配管34aをとおり外部ウェル32の内部に放出される。外部ウェル32の内部は窒素置換されて酸素濃度を低く抑えてあるため水素の爆轟は発生しない。
さらに、炉心燃料の溶融が進展すると原子炉圧力容器2の底部を溶融してデブリ(溶融した炉心1の残骸で崩壊熱によって発熱し高温化した物質)がペデスタルキャビティ―(下部ドライウェル)61aの下部に落下する。デブリの熱で冠水弁67が開になり圧力抑制プール6からプール水が冠水配管68をとおり下部ドライウェル61aに流入しデブリを冠水する。その際に大量の蒸気が発生する。この蒸気はドライウェル4内に最初から存在していた窒素と混合しドライウェル4内の圧力を急上昇させる。この蒸気と窒素の混合ガスはLOCAベント管8をとおり圧力抑制プール6に放出される。その際、蒸気は圧力抑制プール6のプール水によって冷却され凝縮する。窒素は凝縮されないためウェットウェル気相部7に放出される。この窒素はさらにウェットウェル・ガス供給配管48によって熱交換器16に導かれさらにガスベント配管22によってスクラビングプール33にベントさ最終的に外部ウェル32の内部にベントされる。この過程によりドライウェル4内の雰囲気はほぼ蒸気によって占められるようになる。一方、ウェットウェル気相部7は主に窒素と水素で占められるようになる。酸素濃度は2%程度に低減している。
下部ドライウェル61aの底部に落下したデブリには崩壊熱があり下部ドライウェル61aの下部に溜まった水を加熱して蒸気を発生し続ける。この蒸気は継続的にLOCAベント管8によって圧力抑制プール6に放出されプール水を高温化させる。プール水はやがて飽和になりその後は蒸気を凝縮できなくなり蒸気はウェットウェル気相部7に放出されるようになる。その結果ウェットウェル気相部7が再び高圧化してウェットウェル気相部7内のガスがウェットウェル・ガス供給配管48によって熱交換器16に導かれる。蒸気は熱交換器16によって冷却され凝縮水となり出口プレナム18の下部に溜まり凝縮水戻り配管21によって圧力抑制プール6に還流する。窒素と水素と酸素はガスベント配管22によって外部ウェル32内のスクラビングプール33にベントされ最終的に外部ウェル32の内部にベントされる。この過程によりウェットウェル気相部7もほぼ蒸気によって占められるようになる。
ウェットウェル気相部7には非凝縮性ガスが存在しなくなるためガスベント配管22からスクラビングプール33へのガスのベントは停止する。この段階で熱交換器16の伝熱管19、出口プレナム18、ガスベント配管22の内部には一部の窒素と水素と酸素が残存するが酸素濃度が低く抑えられているため水素の爆轟は発生しない。
このように図5に示した従来の静的格納容器冷却系の場合には、過酷事故時には静的格納容器冷却系による蒸気の冷却が本格的に開始される段階ではドライウェル4内とウェットウェル気相部7はほぼ蒸気によって占められるようになる。ドライウェル4内とウェットウェル気相部7に存在していた窒素と酸素はほぼ全量外部ウェル32にベントされる。また、炉心から発生した大量の水素もほぼ全量外部ウェル32にベントされる。
このように非凝縮性ガスのほぼ全量が外部ウェル32にベントされると従来の静的格納容器冷却系12による非凝縮性ガスの排気は停止し、ごく一部の非凝縮性ガスが伝熱管19と出口プレナム18とガスベント配管22の内部に残存する。この非凝縮性ガスの主成分は窒素と水素である。このガスには酸素は約2%しか含まれていないため水素が爆轟することはない。
しかし、過酷事故時には、下部ドライウェル61aの下部にデブリ冠水用の水がありこの水がデブリからの放射線によって分解して水素と酸素が発生する。また、圧力抑制プール6のプール水にトラップされた放射性物質からの放射線によってプール水が分解して水素と酸素が発生する。放射線分解による水素と酸素の発生量はG値(100eVあたりの発生分子数)の大きさに依存している。G値は小さいので放射線分解による水素と酸素の発生量は大きくはない。また、水素と酸素の発生量はプラント出力にも依存している。1350MWeクラスのプラントの場合は事故の条件にもよるが事故時の原子炉格納容器内の圧力温度条件で水素が約5m3/h、酸素が約2.5m3/hである。ドライウェル4とウェットウェル気相部7の自由空間体積は合計で約13300m3であり事故時には大量の蒸気で占められているためドライウェル4とウェットウェル気相部7で水素と酸素が可燃性限界を超えることは短時間では発生しない。
ドライウェル4内の放射線分解で発生した水素と酸素は水蒸気に随伴されて逃がし安全弁72もしくはLOCAベント管8によって圧力抑制プール6のプール水に放出されてウェットウェル気相部7に移行する。蒸気の流量は非常に大きい(約10000m3/h)ためドライウェル4内の放射線分解で発生した水素と酸素は蒸気とともにウェットウェル気相部7に移行しドライウェル4内で水素と酸素が長時間でも可燃性限界を超えることはない。ドライウェル4内で発生する大量の蒸気がウェットウェル5に移行することによってドライウェル4は換気されている。これは圧力抑制型格納容器の固有安全性の一つである。
圧力抑制プール6のプール水の放射線分解で発生した水素と酸素およびドライウェル4から移行してきた放射性分解による水素と酸素は過酷事故時に高温化したプール水から発生する大量の蒸気によって随伴されてウェットウェル・ガス供給配管48から熱交換器16に吸引されその後ガスベント配管22によって外部ウェル32内に排気される。従って、ウェットウェル気相部7内で放射線分解によって発生した水素と酸素が長時間でも可燃性限界を超えることはない。これは図5に示した従来の静的格納容器冷却系と外部ウェル32による固有安全性の一つである。外部ウェル32がなければこの固有安全性は得られない。
また、外部ウェル32の内部には大量の窒素と水素があり酸素濃度が低く制限されている(初期酸素濃度が3.5%の場合は水素による希釈で約2%に低減する)ので放射線分解による水素と酸素がベントされてきても可燃性限界を容易に超えることはない。
しかし、ウェットウェル気相部7内の放射線分解による低濃度の水素と酸素がウェットウェル気相部7の大量の蒸気によってウェットウェル・ガス供給配管48をとおり熱交換器16の伝熱管19に到達すると蒸気が凝縮するので伝熱管19の内部で水素と酸素の濃度が上昇する。伝熱管19の内部にはもともと外部ウェル32にベントされずに残存していた窒素と水素が50%程度の濃度で存在している。つまり、非凝縮性ガスが50%程度存在し残りの50%程度は蒸気が存在している。蒸気は凝縮してもその分の蒸気がウェットウェル・ガス供給配管48から連続的に供給されるためその割合はほぼ一定している。伝熱管19の内部に残存していた窒素と水素の混合ガスには酸素がほとんど含まれていない(水素による希釈で酸素濃度は約2%)ので放射線分解による水素と酸素が伝熱管19の内部に流入してきても直ちに可燃性限界を超えることはない。
しかし、放射線分解による水素と酸素は原子炉格納容器3の内部で連続的に発生し微量ではあるが連続的に伝熱管19の内部に供給されてくる。この追加の水素と酸素によって伝熱管19の内部にあった窒素と水素は出口プレナム18とガスベント管22に押し出され連続的にスクラビングプール33にベントされる。その量は放射線分解よって新たに発生した水素と酸素の発生量と同一である。つまり、かなりゆっくりとしたスピードでガスベント管22内の窒素と水素はスクラビングプール33に押し出されていく。この過程が進行すると伝熱管19、出口プレナム18、ガスベント配管22の内部の非凝縮性ガスの組成はほぼ水素2、酸素1となる。非凝縮性ガスの割合がほぼ50%とすると、蒸気50%、水素33%、酸素17%の混合ガスが静的格納容器冷却系12の内部に形成されることになる。この混合ガスは水素の爆轟限界を超えているので爆轟の恐れがある。スクラビングプール33の上部の空間33bもほぼ同様にこの混合ガスで占められることになり爆轟の恐れがある。この状態に達するのは放射線分解による水素と酸素の発生割合、つまり、G値の大きさに依存している。過酷事故発生後数日でこの状態になると考えられる。このように静的格納容器冷却系12の内部に長期で可燃性ガスが形成されることは防止する必要がある。
従来の可燃性ガス対策として白金パラジウムなどの触媒がある。これはドライウェル4内及びウェットウェル5内に触媒を設置して水素と酸素を再結合させるものである。しかし、ドライウェル4内の可燃性ガスはLOCAベント管8もしくは逃がし安全弁72の逃がし配管73によってウェットウェル5に排気されるのでドライウェル4内に触媒を設置しても再結合の効果は少ない。また、ウェットウェル5内の可燃性ガスは静的格納容器冷却系12のウェットウェル・ガス供給配管48によって熱交換器16に排気されるのでウェットウェル5内に触媒を設置しても再結合の効果は少ない。このように静的格納容器冷却系12の内部に形成される可燃性ガスに対しては、ドライウェル4内及びウェットウェル5内に可燃性ガスが蓄積しないので従来のドライウェル4及びウェットウェル5の内部に触媒を設置する対策は効果が少ない。
触媒を静的格納容器冷却系12の内部に設置することは効果があるが静的格納容器冷却系12の内部で触媒を設置できる空間があるのは出口プレナム18の内部に限られる。伝熱管19及びガスベント配管22の内部はガスの円滑な流れを阻害するため触媒を設置することはできない。このため伝熱管19及びガスベント配管22の内部で可燃性ガスが爆轟する恐れがある。また、出口プレナム18内の触媒が可燃性ガスを再結合させる際に発熱して高温化するため静的格納容器冷却系12の内部の熱バランスが崩れて本来の冷却効果が阻害される恐れがあるという問題がある。
また、触媒による可燃性ガスの再結合には一定の時間を要するため可燃性ガスが徐々に時間をかけて生成される場合には有効であるが伝熱管19の内部で蒸気が凝縮して可燃性ガスの濃度が短時間で高くなる現象には追随することができない。高濃度の可燃性ガスが出口プレナム18に排出されて既に爆轟限界を超えている状況で触媒を設けても爆轟を防止できる保証はなくむしろ爆轟を発生させる恐れがある。
従来の可燃性ガス濃度制御系(FCS)もドライウェル4及びウェットウェル5内の可燃性ガスを原子炉格納容器3の外部に取り出して再結合させる機能である。従って、従来の可燃性ガス濃度制御系(FCS)も静的格納容器冷却系12の内部に形成される可燃性ガスに対しては効果が少ない。可燃性ガス濃度制御系(FCS)が採用される前の旧式の対策である格納容器雰囲気希釈システム(CAD)による格納容器内への窒素注入は効果があるが放射線分解による水素と酸素の発生は停止しないので窒素注入を継続する必要があり格納容器内圧を上昇させるので得策ではない。同様に圧力変動吸着法(PSA)による窒素生成と格納容器内への窒素注入は放射線分解による水素と酸素の発生は停止しないので窒素注入を継続する必要があり格納容器内圧を上昇させるので得策ではない。
特開2016-14640号公報
解決しようとする問題点は、過酷事故時に静的格納容器冷却系12の内部に水の放射線分解により蓄積する水素と酸素の濃度が爆轟限界を超えることに対して従来の触媒と可燃性濃度制御系(FCS)では静的格納容器冷却系12の内部の酸素濃度を可燃性限界以下に制限できない点である。また、従来の原子炉格納容器の外部から窒素を注入する対策では放射線分解による水素と酸素の発生は停止しないため窒素の注入を継続する必要があり原子炉格納容器の内圧を上昇させずに静的格納容器冷却系12の内部の酸素濃度を制限できない点である。
本発明は、アウターウェル32内のガスを原子炉格納容器3内に還流し原子炉格納容器3内の酸素濃度を低減し静的格納容器冷却系12及びスクラビングプール33の内部の酸素濃度を制限し静的格納容器冷却系12及びスクラビングプール33の内部で可燃性ガスの形成を防止することを最も主要な特徴とする。
本発明の実施形態によれば、全交流電源喪失(SBO)等により炉心溶融を伴う過酷事故が発生した場合であっても、静的格納容器冷却系及びスクラビングプール内の酸素濃度を制限して原子炉格納容器の圧力を上昇させることなく水素の爆轟を防止することができる。
図1は本発明の第1の実施形態に係わる原子力プラントの原子炉格納容器まわりの構成を示す立断面図である。 図2は本発明の第1の実施形態に係わる原子力プラントの原子炉格納容器まわりの構成を示す平面図である。 図3は本発明の第2の実施形態に係わる原子力プラントの原子炉格納容器まわりの構成を示す立断面図である。 図4は本発明の第3の実施形態に係わる原子力プラントの原子炉格納容器まわりの構成を示す立断面図である。 図5は従来の静的格納容器冷却系と原子炉格納容器の構成の例を示す立断面図である。 図6は従来の原子力プラントの原子炉格納容器まわりの構成の例を示す平面図である。 図7は従来の原子力プラントのスクラビングプールの構成を示す立断面図である。 図8は従来の静的格納容器冷却系の熱交換器の例を示す立断面図である。
以下、図1~図4を参照して本発明の実施形態に係る静的格納容器冷却系内の可燃性ガス濃度制御システムを有する原子力プラントについて説明する。ここで、前述の従来技術と同一または類似の部分について、また下記の実施形態どうしで同一または類似の部分については、共通の符号を付して、重複説明は省略し要部のみを説明する。
(原子炉格納容器の説明)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる原子力プラントの原子炉格納容器まわりの構成を示す立断面図である。また、図2は、本発明の第1の実施形態に係わる原子力プラントの原子炉格納容器まわりの構成を示す平面図である。図1および図2に示す実施形態は、RCCVと呼ばれる原子炉格納容器を使用しているが、原子炉格納容器の型式はRCCVに限定されない。圧力抑制プールによる圧力抑制機能を持つ全ての圧力抑制型の原子炉格納容器に普遍的に適用される。また、材質もSC造や鋼製など他のものも使用可能である。
図1において、炉心1は原子炉圧力容器2の内部に収納されている。原子炉圧力容器2は、原子炉格納容器3内に収納されている。原子炉格納容器3は円筒形状をしている。(図2を参照。)
原子炉格納容器3の内部は、原子炉圧力容器2を収納するドライウェル4と、ウェットウェル5とに区分けされており、ドライウェル4とウェットウェル5とは原子炉格納容器
3の一部を構成する。ウェットウェル5は内部に圧力抑制プール6を形成している。圧力抑制プール6の上方にはウェットウェル気相部7が形成されている。ドライウェル4とウェットウェル5の外壁部は一体化して原子炉格納容器3の円筒状の外壁部を構成している。ドライウェル4の天井部は平板になっておりこの部分をドライウェル4のトップスラブ4aと呼ぶ。原子炉格納容器3内の雰囲気は窒素で置換されている。これにより通常運転中の原子炉格納容器3内の酸素濃度は例えば3.5%以下に制限される。
(アウターウェルの説明)
本実施形態においては、さらに、ドライウェル4とウェットウェル5の外部に外部ウェル32を設ける。外部ウェル32はドライウェル共通部壁4bを介してドライウェル4と隣接し、ウェットウェル共通部壁5aを介してウェットウェル5と隣接している。外部ウェル32の天井部は平板でこの部分を外部ウェル32のトップスラブ32aと呼ぶ。外部ウェル32内の雰囲気は窒素で置換されている。これにより通常運転中のアウターウェル32内の酸素濃度は例えば3.5%以下に制限される。外部ウェル32はドライウェル4およびウェットウェル5と同等の耐圧性と気密性を有する。外部ウェル32の材質は鉄筋コンクリート製(RC)、SC造、鋼製など原子炉格納容器3と同じもの全てが使用可能である。鉄筋コンクリート製の場合は、原子炉格納容器3と同様に内面にライナーが敷設される。図2に示すように、本実施形態における外部ウェル32の平面形状は円形で原子炉格納容器3のドライウェル共通部壁4bとウェットウェル共通部壁5aの周囲を完全に取り囲むように構成されているが、外部ウェル32の平面形状はこれに限定されない。原子炉格納容器3のドライウェル共通部壁4bとウェットウェル共通部壁5aの周囲を完全に取り囲むように隣接していれば任意の形状で良い。例えば、台形、多角形、楕円形などがある。
(スクラビングプールの説明)
さらに、外部ウェル32内に内部に水を貯えたスクラビングプール33を設け、上部を上蓋33aで覆う(図7を参照)。上蓋33aとプール水の間には空間33bを設ける。上蓋33aの上部に空間33bに開口した出口配管33cを設ける。出口配管33cの一端に金属ファイバーフィルター34を接続して設ける。さらに、金属ファイバーフィルター34に接続して他端がアウターウェル32の内部に開口する第2の出口配管34aを設ける。空間33bは静的格納容器冷却系12のベント管22から原子炉格納容器3内のガスがベントされる際に水位上昇が発生した場合に必要となる。また、上蓋33aは地震時のスロッシングで水が流出することを防止するために必要である。スクラビングプール33と金属ファイバーフィルター34は図では1個のみを表示しているが複数個設置することもある。例えば、静的格納容器冷却系12の熱交換器16を4基設置し、ガスベント管22を4本設置し、スクラビングプール33と金属ファイバーフィルター34を4基設置する。あるいは、熱交換器16を4基設置し、ガスベント管22を2本に統合し、スクラビングプール33と金属ファイバーフィルター34を2基設置するなどが考えられる。スクラビングプール33、上蓋、空間33bは一体化したタンクとしても良い。
スクラビングプール33の体積は合計で約240m3である。例えば、プール水が約200m3、空間33bは約40m3である。但し、この数値は設計に応じて変動する。冷却材喪失事故時にドライウェル4内に破断流から発生する崩壊熱相当を大幅に超える大量の蒸気はLOCAベント管8をとおり圧力抑制プール6のプール水によって凝縮する。本実施形態の静的格納容器冷却系12はウェットウェル気相部7からガスを吸引するため冷却材喪失事故時の大量の蒸気を吸引することがない。また、過酷事故時にウェットウェル気相部7に発生する崩壊熱相当の蒸気は静的格納容器冷却系12の熱交換器16で凝縮する。そのためスクラビングプール33に大量の蒸気がベントされることはない。本実施形態のスクラビングプール33は冷却材喪失事故時の大量の蒸気を凝縮する機能はない。このためプール水の量は少なくできスクラビングプール33の体積も小さくできる。
(PCCSの説明)
次に、静的格納容器冷却系(PCCS)12について説明する。図1に示すように原子炉格納容器3および外部ウェル32の上部に冷却水プール13が設けられ内部に冷却水14を蓄えている。冷却水プール13はプール型とタンク型のいずれでも良い。図1ではプール型のものを表示している。プール型の場合は上部を上蓋で覆う。また、冷却水プール13の上部の気相部分には環境へ蒸気を放出する排気口15が設けられている。
冷却水プール13内には熱交換器16が設置されている。熱交換器16の少なくも一部は冷却水14に水没するように設置される。本実施形態では、熱交換器16は冷却水14に完全に水没するように設置される例を示している。熱交換器16は全体で少なくとも崩壊熱相当の蒸気を凝縮する冷却容量を有している。熱交換器16の入口プレナム17にはウェットウェル・ガス供給配管48が接続されている。
また、熱交換器16の出口プレナム18の下部に凝縮水戻り配管21が接続されている。凝縮水戻り配管21は外部ウェル32のトップスラブ32aを貫通して外部ウェル32の内部を通り、先端がウェットウェル5の内部の圧力抑制プール6に浸漬するように設置されている。このように凝縮水戻り配管21は外部ウェル32の内部を通るように設置されるので凝縮水が漏洩してCsI等の放射性物質が直接環境に放出されない構造となっている。原子炉格納容器3内の雰囲気には炉心溶融事故が発生した場合にはCsI等の粒子状放射性物質が大量に含まれているが、熱交換器16で蒸気が凝縮する際にCsI等の粒子状放射性物質は凝縮水にほとんど移行する。そのCsIを大量に含んだ凝縮水は凝縮水戻り配管21により圧力抑制プール6のプール水に還流し保持されるので本実施形態の静的格納容器冷却系は原子炉格納容器3内に浮遊する粒子状放射性物質を静的に除去するように構成されている。従って、本実施形態では、全交流電源喪失(SBO)により炉心溶融事故に至った場合であっても、あたかも動的な格納容器スプレーにより粒子状放射性物資を除去して圧力抑制プール6のプール水に還流しているのと同等の効果が得られる。また、凝縮水戻り配管21はLOCAベント管8の内部に設置しないのでLOCA時にLOCAベント管の圧損を増大させることがない構造となっている。
さらに、熱交換器16の出口プレナム18の上部にはガスベント配管22が接続されている。ガスベント配管22は外部ウェル32のトップスラブ32aを貫通して外部ウェル32の内部を通り先端はさらにスクラビングプール33のプール水の中に浸漬して設置されている。このようにガスベント配管22は外部ウェル32の内部を通るように設置されるのでガスが漏洩して放射性希ガス、有機ヨウ素、CsI等の放射性物質が直接環境に放出されない構造となっている。この内、CsI等の粒子状放射性物質は、スクラビングプール33のプール水で除去され、さらに、金属ファイバーフィルター34により水滴等にキャリーオーバーされたものも除去される構成になっている。これによりCsI等の粒子状放射性物質が環境に放出されて土地が汚染され周辺住民の方達に長期間の移住をしていただく必要性を削除することが可能となっている。また、放射性希ガスと有機ヨウ素は出口配管34aから外部ウェル32の内部に放出され外部ウェル32の内部に保持される。これにより従来のフィルターベントシステムが作動時に放射性希ガスと有機ヨウ素を環境に直接放出するため事前に周辺住民の方達に緊急避難をしていただいたりヨウ素剤を服用していただいたりする必要性を削除することが可能になっている。
また、本実施形態では、過酷事故に高温化した燃料被覆管の金属-水反応により大量に発生する水素についても、前記ガスベント配管22により前記外部ウェル32の内部に放出されるためドライウェル4及びウェットウェル5の過酷事故時の圧力を十分低く保つことが可能である。外部ウェル32の内部の雰囲気は窒素で置換されているので大量の水素が閉じ込められても爆轟することがない。
(冠水配管の説明)
また、本実施形態では、下部ドライウェルを冠水するためにペデスタル61の壁を貫通し一端が下部ドライウェル61b内に導かれ他端が圧力抑制プール6内に開口する冠水配管68を設ける。冠水配管68の下部ドライウェル61b内の部分には冠水弁67を設ける。また、冠水配管68には逆止弁69を設ける。逆止弁69を設けたことでドライウェル4内の圧力が上昇した場合でも下部ドライウェル61b内の高温水が圧力抑制プール6に逆流することを防止できる。冠水配管68の設置位置はLOCAベント管8と重ならないように例えば、LOCAベント管とLOCAベント管の中間の位置として全体で10個設置する(図2を参照)。
冠水弁67は従来と同じ溶融弁を使用することが可能である。しかし、溶融弁以外にもSBO時に作動用電源を必要としないものは全て使用可能である。例えば、爆破弁は作動に火薬を使用するので採用可能である。また、バネ式弁も作動にバネの力を使用するので採用可能である。さらに、信頼性を向上させるため、例えば、10個の冠水弁の内5個を爆破弁として残りの5個をバネ式弁にすることがある。また、5個を溶融弁として残りの5個を爆破弁とすることがある。あるいは、溶融弁、爆破弁、バネ式弁の少なくとも2種類以上を混在して使用することがある。
(iCADの説明)
本実施形態では、さらに、アウターウェル32の内部に格納容器内雰囲気希釈システム(以下、iCADと略記する。)80を設ける。iCAD80は送風手段81、吸気配管82及び排気配管83からなる。送風手段81は送風し得る全てのものが使用可能である。例えば、コンプレッサー、ポンプ、ファンなどが使用可能である。送風手段81の送風量は例えば約100m3/hである。但し、この送風量は設計によって変動する。送風手段81には吸気配管82と排気配管83が接続している。吸気配管82の他端はアウターウェル32の内部に開口している。排気配管83の他端は原子炉格納容器3の気相部に開口している。本実施形態ではウェットウェル気相部7に開口している例を示している。吸気配管82には入口弁84を設ける。入口弁84は電動弁を一例として示しているが他の弁も使用可能である。例えば、空気作動弁、爆破弁、逆止弁、バネ弁などの弁が使用可能である。排気配管83には出口弁85を設ける。出口弁85は一例として逆止弁を示しているが他の弁も使用可能である。例えば、電動弁、空気作動弁、爆破弁、バネ弁などの弁が使用可能である。ただし、送風手段81自体に閉鎖機能がある場合は入口弁84及び出口弁85は必須ではない。iCAD80には電源86から電力を供給する。電源86は恒設のものを設けてもよいが時間余裕がある場合は可搬式の電源を使用してもよい。
(アキュムレーターの説明)
本実施形態では、さらに、アキュムレーター87を設ける。アキュムレーター87の内部には蓄圧された窒素ガスが保存されている。アキュムレーター87の容量は例えば原子炉格納容器3の設計圧力(例えば、310kPa)において窒素ガスを約100m3放出可能である。アキュムレーター87の体積は例えば15m3である。アキュムレーター87には原子炉格納容器3の気相部に開口した注入配管88が接続している。注入配管88には注入弁89が設けられている。注入弁89は一例として電動弁を示しているが空気作動弁及び爆破弁も使用可能である。
(機能の説明)
このように構成される本実施形態では、過酷事故時に高温化した燃料被覆管の金属-水反応で発生する大量の水素とドライウェル4内に通常運転時に存在していた窒素と酸素はウェットウェル気相部7に移行する。原子炉圧力容器1内で発生した大量の水素は主に逃がし安全弁72の逃がし配管73をとおりウェットウェル気相部7に移行する(図5を参照)。ドライウェル4内の窒素、水素、酸素などの非凝縮性ガスは過酷事故時に発生する大量の蒸気に押し出されてLOCAベント管8をとおりウェットウェル気相部7に移行する。また、ウェットウェル気相部7には通常運転時に存在していた大気圧の窒素と酸素がある。大量の水素とドライウェル4内の非凝縮性ガスがウェットウェル気相部7に追加で移行することによりウェットウェル気相部7の圧力上昇が発生する。ウェットウェル気相部7内の非凝縮性ガスは短期では自らの圧力上昇により長期では過酷事故時に圧力抑制プール6のプール水から発生する蒸気とともにウェットウェル気相部7に開口したウェットウェル・ガス供給配管48をとおり静的格納容器冷却系12の熱交換器16に流入する。蒸気は熱交換器16の伝熱管19で凝縮されて凝縮水となり出口プレナム18と凝縮水戻り配管21をとおり圧力抑制プール6に還流する。伝熱管19で凝縮されない非凝縮性ガスは出口プレナム18とガスベント配管22をとおりスクラビングプール33に導かれ最終的にほぼ全てアウターウェル32の内部に移行する。その結果、ドライウェル4内とウェットウェル気相部7内はほぼ蒸気だけで占められることになる。また、静的格納容器冷却系12の伝熱管19、出口プレナム18、ガスベント配管の内部にはアウターウェル32に移行しきれなかった非凝縮性ガスが蒸気とともに存在する。その割合は非凝縮性ガスが約50%、蒸気が約50%である。このうち非凝縮性ガスが占める体積は10m3程度で非常にわずかである。これは静的格納容器冷却系12の伝熱管19、出口プレナム18、ベント配管22の体積の合計が20m3程度しかないためである。また、この混合ガスの酸素濃度は蒸気によって希釈され1%程度まで低下している。
原子炉格納容器3及びアウターウェル32の内部は通常運転時に窒素で置換されていて酸素濃度は3.5%以下に制限されているので大量の水素が発生して静的格納容器冷却系12やアウターウェル32に移動しても水素の爆轟は発生しない。むしろ、大量の水素の発生によってアウターウェル32内の酸素濃度は初期の3.5%よりも低下して2%程度になる。また、静的格納容器冷却系12内の酸素濃度は蒸気によって希釈されて1%程度になる。
過酷事故時に炉心1が溶融すると原子炉圧力容器2の底部に落下しさらに原子炉圧力容器2の底部を溶融貫通して下部ドライウェル61aの下部にデブリが落下する。デブリの熱で冠水弁67が開になり圧力抑制プール6の水が冠水配管68をとおり下部ドライウェル61aに流入しデブリを冠水する。この冠水した水はデブリによって加熱され大量の蒸気を発生し続ける。この蒸気はLOCAベント管8をとおり圧力抑制プール6にベントされて凝縮する。圧力抑制プール6の水が飽和に達すると蒸気の凝縮ができなくなりその後は蒸気はウェットウェル気相部7に移行しさらにウェットウェル・ガス供給配管48をとおり静的格納容器冷却系12の熱交換器16の伝熱管19に移行して凝縮される。凝縮水は出口プレナム18に移行し凝縮水戻り配管21をとおり圧力抑制プール6に還流する。圧力抑制プール6の水は再び冠水配管68をとおり下部ドライウェル61aに還流する。このように蒸気と水は原子炉格納容器3と静的格納容器冷却系12の内部を還流しその際に蒸気の熱が冷却水プール13の冷却水14に移行し冷却水14が飽和に達した後は冷却水14から蒸気が発生し排気口15から環境に放出される。
下部ドライウェル61aの底部でデブリを冠水している水はデブリの内部に含まれる大量の核分裂生成物(FP)が発生する放射線を吸収して放射線分解によって水素と酸素を発生する。この放射線分解によって発生する水素と酸素も蒸気に随伴されてLOCAベント管8をとおりウェットウェル気相部7に移行する。下部ドライウェル61aでデブリの熱で発生する蒸気の流量は約10000m3/hと非常に大きいため放射線分解で発生する水素と酸素はドライウェル4内にとどまることはなく発生してもすぐにウェットウェル気相部7にベントされる。このためドライウェル4内はほぼ蒸気だけで占められるようになる。従って、ドライウェル4内で水素が爆轟することはない。また、ドライウェル4内に可燃性ガスはほとんど存在しないため従来の可燃性ガス濃度制御系(FCS)のようにドライウェル4内のガスを吸引して再結合する設備は効果がない。
過酷事故時には溶融炉心及びデブリからFPのかなりの部分が原子炉格納容器3の内部に放出される。放出されたFPの一部は原子炉格納容器3の壁や床にプレートアウトやフォールアウトする。しかし、放出されたFPの一部は圧力抑制プール6の水に移行する。これは逃がし安全弁72の逃がし配管73やLOCAベント管8をとおり移行する蒸気やガスに随伴されてFPも圧力抑制プール6に移行するために発生する。その量は過酷事故のシナリオによって異なっている。圧力抑制プール6の水は水中に存在するFPが発生する放射線を吸収し放射線分解により水素と酸素を発生する。この放射線分解による水素と酸素はプール水からかなりの量が離脱してウェットウェル気相部7に移行する。
上述のように過酷事故時にはドライウェル4内で放射線分解によって発生した水素と酸素はごく短時間でウェットウェル気相部7に移行する。また。圧力抑制プール6の水から放射線分解で発生した水素と酸素もウェットウェル気相部7に移行する。放射線分解による水素と酸素の発生のスピードはG値によって決まっていてG値は小さいため水素と酸素の発生は非常に穏やかである。ウェットウェル気相部7は通常運転時に窒素置換されていて酸素濃度を3.5%以下に制限している。さらに金属-水反応で発生した大量の水素によって酸素濃度はさらに希釈されて2%程度に低下している。従って、放射線分解で水素と酸素が発生してもウェットウェル気相部7内で水素の爆轟は発生しない。過酷事故時には圧力抑制プール6の水は崩壊熱によって10数時間で飽和になりその後は崩壊熱相当の大量の蒸気が発生し続ける。この蒸気の流量は約10000m3/hと非常に大きいため放射線分解で発生する水素と酸素はウェットウェル気相部7に留まることはなく発生してもすぐに大量の蒸気に随伴されてウェットウェル・ガス供給配管48をとおり静的格納容器冷却系12の熱交換器16に流入する。水素と酸素は凝縮しないためさらに出口プレナム18とガスベント配管22をとおりスクラビングプール33にベントされ最終的にアウターウェル32の内部にベントされる。アウターウェル32の内部は通常運転時に窒素で置換され酸素濃度を3.5%以下に制限されている。さらに金属-水反応で発生した大量の水素が移行してくることによって酸素濃度は希釈されて2%程度に低下している。従って、放射線分解で発生した水素と酸素がアウターウェル32内に移行してもアウターウェル32内で水素の爆轟は発生しない。
放射線分解による水素と酸素の発生は穏やかではあるが長期にわたって継続し停止しない。放射線分解で発生した水素と酸素はウェットウェル気相部7に移行し大量の蒸気とともに静的格納容器冷却系12の内部に流入し続ける。この状態を継続すると静的格納容器冷却系12の伝熱管19、出口プレナム18、ベント配管22内の酸素濃度は当初の1%程度から上昇し17%程度になる。また、水素は33%程度になる。さらに、スクラビングプール33の空間33b内の酸素濃度は当初の2%程度から上昇し34%程度になる。また、水素濃度は66%程度になる。これらの機器は静的機器で作動部分がないため発火源となるものはない。しかし、このような高濃度の可燃性ガスの形成は防止する必要がある。放射線分解は穏やかな現象なのでこのような高濃度の可燃性ガスが形成されるまでにはかなりの時間余裕がある。
本実施例では格納容器内雰囲気希釈システム(iCAD)80を作動させることによりアウターウェル32内の低酸素濃度の非凝縮性ガスをウェットウェル気相部7に還流させる。弁84を開にして電源86からの電源供給により送風手段81を作動させる。そうするとアウターウェル32内の非凝縮性ガスが吸入配管82から吸引されて送風手段81により排気配管84と逆止弁85をとおりウェットウェル気相部7に流入する。その流量は約100m3/hである。この流量は設計により変動する。アウターウェル32内の非凝縮性ガスの酸素濃度は2%程度に制限されている。すなわち、低酸素濃度の非凝縮性ガスである。iCAD80によってウェットウェル気相部7に注入された低酸素濃度の非凝縮性ガスはウェットウェル気相部7に放射線分解で発生してくる水素及び酸素と混合して静的格納容器冷却系12の内部に導かれる。放射線分解で発生する酸素の流量は非常に小さいためこの混合ガスの酸素濃度は可燃限界(5%)以下に制限される。その結果、iCAD80を作動させると静的格納容器冷却系12及びスクラビングプール33の内部に可燃性ガスが形成されることを防止することが可能になる。iCAD80によりウェットウェル気相部7に注入された低酸素濃度の非凝縮性ガスはウェットウェル・ガス供給配管48により静的格納容器冷却系12の熱交換器16にベントされガスベント配管22をとおり再びアウターウェル32の内部に還流する。このようにアウターウェル32と原子炉格納容器3の間で非凝縮性ガスが還流しているだけなのでiCAD80の作動によって原子炉格納容器3の圧力が上昇することはない。
また、本実施形態では、弁89を開にしてアキュムレーター87の内部に蓄圧して保存しておいた窒素を注入配管88によりドライウェル4内に注入することができる。その量は原子炉格納容器3の設計圧力(例えば、約310kPa)において約100m3である。約100m3の窒素を注入しても原子炉格納容器3の自由空間体積は約13300m3あるので過酷事故時の原子炉格納容器3の圧力をほとんど上昇させることはない。約100m3の窒素をドライウェル4の内部に注入するとドライウェル4内の大量の蒸気の流れに随伴されて窒素は短時間でウェットウェル気相部7に移行する。そしてさらにウェットウェル・ガス供給配管48をとおり静的格納容器冷却系12の内部に流入する。静的格納容器冷却系12の伝熱管19、出口プレナム18、ベント配管22の内部には蒸気による希釈効果で酸素濃度が約1%に低減した混合ガスが存在し、スクラビングプール33の空間33bには水素による希釈効果によって酸素濃度が約2%の非凝縮性ガスが存在している。しかし、アキュムレーター87から約100m3の窒素を注入することによってこれらの機器内の酸素濃度をほぼ0にまで一旦低減することが可能になる。これによって放射線分解によって発生する水素と酸素によってこれらの機器の内部に可燃性ガスが形成されるまでの時間を遅らせることが可能になる。これによってiCAD80の作動開始時間を遅くすることが可能になる。
図3は、本発明の第2の実施形態に係わる原子力プラントの原子炉格納容器まわりの構成を示す立断面図である。本実施形態では、iCAD80の送風手段81、吸引配管82の一部、入口弁84はアウターウェル32の外部に設置されている。また、アキュムレーター87、注入配管88の一部、注入弁89はアウターウェル32の外部に設置されている。このように構成された本実施形態では、過酷事故時にiCAD80及びアキュムレーター87の主要部分にアクセスしてこれらが故障した場合などに手動操作を行うことが可能になる。
図4は、本発明の第3の実施形態に係わる原子力プラントの原子炉格納容器まわりの構成を示す立断面図である。本実施形態では、iCAD80の排気配管83はドライウェル4に接続している。また、アキュムレーター87の注入配管88はウェットウェル気相部7に接続している。本実施形態では、アキュムレーター87の窒素をより早くウェットウェル気相部7に注入することができ静的格納容器冷却系12及びスクラビングプール33内をより早く窒素でイナートすることができる。
(その他の実施形態)
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…炉心、2…原子炉圧力容器、3…原子炉格納容器、4…ドライウェル、4a…トップスラブ、4b…ドライウェル共通部壁、5…ウェットウェル、5a…ウェットウェル共通部壁、6…圧力抑制プール、7…ウェットウェル気相部、8…LOCAベント管、8a…水平ベント管、9…真空破壊弁、10…原子炉格納容器上蓋、11…水遮蔽、12…静的格納容器冷却系(PCCS)、13…冷却水プール、14…冷却水、15…排気口、16…熱交換器、17…入口プレナム、18…出口プレナム、19…伝熱管、20…ドライウェル・ガス供給配管、20b…隔離弁、21…凝縮水戻り配管、22…ガスベント配管、23…管板、32…外部ウェル、32a…トップスラブ、33…スクラビングプール、33a…上蓋、33b…空間、33c…第1の出口配管、34…金属ファイバーフィルター、34a…第2の出口配管、48…ウェットウェル・ガス供給配管、49…逆流防止装置、61…ペデスタル、61a…ペデスタルキャビティ(下部ドライウェル)、62…RPVスカート(ベッセル・スカート)、63…RPVサポート(ベッセル・サポート)、66…開口部、67…冠水弁、68…冠水配管、69…逆止弁、71…主蒸気配管、72…逃がし安全弁、73…逃がし配管、80…格納容器内雰囲気希釈システム(iCAD)、81…送風手段、82…吸気配管、83…排気配管、84…入口弁、85…出口弁、86…電源、87…アキュムレーター、88…注入配管、89…注入弁

Claims (2)

  1. 炉心と、
    前記炉心を収容する原子炉圧力容器と、
    前記原子炉圧力容器を収納するドライウェルと、前記ドライウェルとLOCAベント管を介して連結された圧力抑制プールを下部に収納し上部にウェットウェル気相部を有するウェットウェルと、前記ウェットウェル気相部内のガスを前記ドライウェルに環流する真空破壊弁と、を有する原子炉格納容器と、
    前記原子炉格納容器内で前記原子炉圧力容器をRPVスカートを介して支えてその内部にペデスタルキャビティを形成するペデスタルと、
    前記ドライウェルと前記ウェットウェルの外部に設けられ前記ドライウェルとドライウェル共通部壁を介して隣接し前記ウェットウェルとウェットウェル共通部壁を介して隣接し前記ドライウェル共通部壁とウェットウェル共通部壁の周囲を完全に取り囲み前記ドライウェルおよび前記ウェットウェルと同等の耐圧性と気密性を有する外部ウェルと、
    前記外部ウェル内に設けられ内部に水を蓄えたスクラビングプールと、
    前記ドライウェルおよび前記外部ウェルの上部に設置されて冷却水を貯留する冷却水プールと、
    入口プレナムと出口プレナムと伝熱管とを有し少なくとも一部が前記冷却水に水没した熱交換器と、
    一端が前記熱交換器の前記入口プレナムに接続されもう一端が前記ウェットウェル気相部に接続されて前記ウェットウェル気相部内のガスを前記熱交換器に導くウェットウェル・ガス供給配管と、
    一端が前記熱交換器の前記出口プレナムに接続され前記外部ウェル内を通りもう一端が前記原子炉格納容器内に接続されて前記熱交換器内の凝縮水を前記原子炉格納容器内に導く凝縮水戻り配管と、
    一端が前記熱交換器の前記出口プレナムに接続され前記外部ウェル内を通りもう一端が前記外部ウェル内の前記スクラビングプール内の水に浸漬して設置され前記熱交換器内のガスを前記外部ウェルに放出するガスベント配管と、
    を有する静的格納容器冷却系と、
    送風手段と、一端が前記送風手段に接続されもう一端が前記外部ウェルの内部に開口した吸気配管と、一端が前記送風手段に接続されもう一端が前記原子炉格納容器の内部に開口した排気配管と、を有し前記外部ウェル内のガスを前記原子炉格納容器内に注入する格納容器内雰囲気希釈システムと、
    を備えたことを特徴とする原子力プラント。
  2. 高圧の窒素を内部に蓄えたアキュムレーターと一端が前記アキュムレーターに接続されもう一端が前記原子炉格納容器の内部に開口した注入配管と前記注入配管に設けられた注入弁と、
    をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の原子力プラント。
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