JP3596843B2 - 可燃性ガス濃度制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力発電設備の原子炉格納容器において可燃性ガスが発生したとき、格納容器内雰囲気が可燃限界濃度を超えないよう制御する可燃性ガス濃度制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11は従来の原子炉格納容器の概略系統断面図である。原子炉炉心7を内蔵する原子炉圧力容器1を格納する原子炉格納容器2は、原子炉圧力容器1を包囲する上部ドライウェル3及び下部ドライウェル4と、上部ドライウェル4とベント管6を介して接続し内部にサプレッションプール5aを備えたウェットウェル5とから構成される。また原子炉圧力容器1を包囲して生体遮蔽壁8が設置されている。
【0003】
原子炉圧力容器1に接続する主蒸気管9等の原子炉一次冷却系配管が万一破断した場合、原子炉格納容器2内の上部ドライウェル3に高温・高圧の原子炉一次冷却材が放出され、上部ドライウェル3内の圧力・温度が急激に上昇する。上部ドライウェル3に放出された高温・高圧の冷却材は、上部ドライウェル3内の気体と混合して、ベント管6を通してサプレッションプール水5a中に放出されて冷却される。こうして原子炉圧力容器1から放出される熱エネルギーの多くはこのサプレッションプール5aにおいて吸収される。
【0004】
原子炉一次冷却材が原子炉格納容器2内に放出されると原子炉炉心水位は徐々に低下し、かつ燃料温度は徐々に上昇するが、こうした長期的事象下で水素ガスが発生する。
【0005】
すなわち、原子炉圧力容器1内には非常用炉心冷却系によりサプレッションプール水5aが注入されて炉心が冷却されるが、この注入水は長期的には炉心から崩壊熱を吸収し、破断した配管の破断口からドライウェルへ流出される。このため、このとき上部ドライウェル3内の圧力・温度は常にウェットウェル5よりも高い状態となる。
【0006】
このような長期的事象下で軽水型原子力発電所の原子炉内では、冷却材である水が放射線分解され、水素ガスと酸素ガスが発生する。さらに、燃料被覆管の温度が上昇する場合には、水蒸気と燃料被覆管材料のジルコニウムとの間で反応が起こり(Metal−Water 反応と呼ばれる。)、短時間で水素ガスが発生する。こうして発生する水素ガスが破断した配管の破断口等から原子炉格納容器内に放出され、原子炉格納容器2内の水素ガス濃度は次第に上昇する。また水素ガスは非凝縮性であるから、原子炉格納容器内の圧力も上昇する。
【0007】
この状態に対し何等有効な対策を行うことができずに、水素ガス濃度が4vol %かつ酸素ガス濃度が5vol %以上に上昇する、すなわち可燃性ガス濃度が可燃限界を超えたときには、気体は可燃状態となる。さらに水素ガス濃度が上昇すると過剰な反応が起きる可能性がある。
【0008】
こうした事態への有効な対策として、従来の沸騰水型原子力発電設備の場合には、圧力抑制式の原子炉格納容器内を窒素ガスで置換し酸素濃度を3.5 〜4%以下とすることにより、Metal−Water 反応により短時間で大量に発生する水素ガスに対しても原子炉格納容器内が可燃性雰囲気となることを厳に防止し、固有の安全性を達成している。
【0009】
また従来の沸騰水型原子力発電設備においては、水素ガスを除去するため原子炉格納容器外に設置される可燃性ガス濃度制御装置により、原子炉格納容器内の気体をブロアにより原子炉格納容器外に吸引し、ヒータで昇温させて水素ガスと酸素ガスを再結合させて水に戻し、残りの気体をクーラで冷却してから原子炉格納容器1内へ戻すことで、可燃性ガス濃度の上昇を抑制している。
【0010】
この可燃性ガス濃度制御装置は再結合器やブロア等の電源を必要とする大きな設備から成るものであり、また基本的には水の放射線分解により比較的緩やかに発生する水素ガスの除去を目的として設計されているために処理容量が小さく、燃料被覆管のMetal−Water 反応により比較的短時間に大量の水素が発生する事象に対しては十分な処理容量を有しているとはいえなかった。
【0011】
沸騰水型原子力発電設備における原子炉格納容器は圧力抑制式の小型であるのに対し、加圧水型原子力発電設備における原子炉格納容器は大型であり、通常運転時に原子炉格納容器内雰囲気を窒素置換することは非現実的であるため、現在でも原子炉格納容器内雰囲気は空気のままである。よって特に加圧水型原子力発電設備において、電源を必要とせず静的に可燃性ガス濃度を制御する方法として、水素の酸化触媒を用いて再結合反応を促進させる触媒式再結合装置を原子炉格納容器内に数十個設置する方法が近年開発されている。
【0012】
この触媒式再結合装置の一例の斜視図を図12(a)及び(b)に示す。この装置50及び51は、ケーシング56と、アルミナに白金、パラジウム等の触媒を保持させてなる触媒板52を収めたカートリッジ53とからなる。ケーシング56下部に設けられた気体流入口54から装置内部に流入した気体に含まれる水素が触媒の作用により酸素と結合し水になるが、その際発生する反応熱で触媒板52表面及び周囲の気体を加熱する。高温の水蒸気を含んだ気体はケーシング56上部に設けられた気体放出口55より放出される。
【0013】
図12に示した以外にも、例えば特開昭62−202802号公報及び特表平5−507553号公報にも格納容器内に設置する触媒式再結合装置の例が示されている。こうした触媒を用いた装置は、特に原子炉格納容器内を空気雰囲気としている加圧水型原子力発電設備において適用した場合には、水素の反応において空気中の酸素を使用することにより格納容器内の水素ガスの再結合反応を促進することができる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
こうした触媒式再結合装置を沸騰水型原子力発電設備の原子炉格納容器内に複数配置した場合、前述のように沸騰水型原子力発電設備では窒素封入により圧力抑制式原子炉格納容器の内部の酸素ガス濃度を低く保っているため、触媒式再結合装置による水素の反応効率は低く、十分に水素ガス濃度を低減できるとは言い難い。よってこの状況が長期化すれば、水素ガスとの反応に必要な酸素ガスの絶対量が不足するため、相当量の水素ガスが処理されないまま放置され、原子炉格納容器の内圧が異常に高くなる。
【0015】
例えば原子炉圧力容器の内圧が設計圧力の2倍近傍で一定したまま推移すると、原子炉格納容器から過大な雰囲気が継続的に漏洩する可能性もある。
よってこのような事態を厳に防止し原子炉格納容器の健全性を高く維持するためにも、触媒式再結合装置における水素ガスの再結合反応の高効率化が要求される。
【0016】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、配管破断に伴って原子炉格納容器内の水素ガス濃度が急に上昇するという発生確率の非常に小さい事象に対処し、こうした希有の事象において発生が見込まれる大量の水素ガスを効率よく再結合処理する静的な可燃性ガス濃度制御装置を提供することにより、原子力発電設備の安全裕度をより高く確保することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、炉心を内包する原子炉圧力容器と、この原子炉圧力容器を包囲するドライウェルと、このドライウェルに隣接しサプレッションプールを有するウェットウェルとからなる原子炉格納容器内に設置され、水素の酸化触媒を収納し気体流出入開口部を有する触媒式再結合装置を具備する原子炉格納容器の可燃性ガス濃度制御装置において、原子炉格納容器外部に設置され触媒式再結合装置と第1の配管を介して連絡する酸素供給手段を具備し、この酸素供給手段により原子炉格納容器外から酸素を触媒式再結合装置内に供給することを特徴とする可燃性ガス濃度制御装置を提供する。この構成により、原子炉格納容器内が窒素雰囲気であっても、格納容器内に水素ガスが発生したとき、酸素ガスを供給し再結合反応を促進させることにより可燃性ガスの濃度を低減させ適切に制御する。
【0018】
さらに本発明では、原子炉格納容器と第2の配管を介して連絡し原子炉格納容器内雰囲気の一部を内包する第1の気体収容手段と、第2の配管に設けられ原子炉格納容器内雰囲気の一部を第1の気体収容手段内へ移送する格納容器内雰囲気移送手段と、第1の配管に設けられ酸素供給手段により送られる酸素を内包する第2の気体収容手段と、第1の気体収容手段と第2の気体収容手段とを連絡する気体連絡手段とを具備することとする。これにより、第1の気体収容手段内の気体と酸素供給手段により供給される酸素とを第2の気体収容手段内にて混合させる。
【0019】
このとき、第2の配管の原子炉格納容器内開口部を複数設けることとすれば、格納容器内部の各所から格納容器雰囲気を第1の気体収容手段内へ移送することにより、原子炉格納容器内部に水素が局在化した場合においても、この水素を効率よく酸素と混合させることができる。
【0020】
さらに本発明では、第1の気体収容手段に設けられこの第1の気体収容手段内の気体の水素濃度及び酸素濃度を計測する計測手段と、この計測手段及び酸素供給手段と連絡し計測手段の情報に基づいて適正な酸素供給量を算出し酸素供給段に酸素供給信号を発信する酸素供給量制御手段を具備する。すなわち、第1の気体収容手段内の気体の水素濃度等を連続的に監視し第2の気体収容手段内に供給される酸素量を制御することにより、第2の気体収容手段内の気体を、例えば水素と酸素の体積比を2:1の割合で混合するなどにより最適混合気体とし、この最適混合気体が原子炉格納容器内へ移送される循環方式をとることとする。これにより、原子炉格納容器内での水素ガスの再結合反応をより高効率で行うことができる。
【0021】
さらに本発明では、第1の配管に設けられこの第1の配管内を流通する気体中に含まれる粒子状の放射性物質を除去する放射性物質除去手段を具備する。この放射性物質除去手段として、高温高圧条件に耐え得るステンレスファイバ等を利用した粒子フィルタを用いる。これにより、Metal−Water 反応等により原子炉圧力容器に内包された放射性物質の一部が原子炉圧力容器外に放出され、粒子状の放射性物質が触媒式再結合装置に付着し原子炉格納容器内部の水素の再結合反応の効率が低下することを防止することができる。
【0022】
あるいはこの放射性物質除去手段として水を用いるとしてもよい。この場合は、水中を粒子状放射性物質が通過する際のスクラビング効果により粒子状物質を除去すると同時に、水により格納容器内部の蒸気を凝縮することで格納容器内部の過圧状態の回避にも寄与することが可能となる。
【0023】
さらに本発明では、原子炉格納容器外に気体を排出する排気筒と、放射性物質除去手段と第1の気体収容手段の間の第1の配管と排気筒とを連絡し格納容器ベント系を構成する第3の配管を具備する。これにより、格納容器内が高圧でかつ格納容器内の放射性希ガス濃度が低下した場合には、排気ラインを第1の気体収容手段側から排気筒と連絡する該格納容器ベント系側に切替えることにより、環境中へ希ガス以外の放射性物質を放出することなく格納容器の内圧を低減することができる。またこの格納容器ベント系として第1の配管と連絡する原子炉格納容器フィルタードベント装置を具備するとしてもよい。
【0024】
さらに本発明では酸素供給手段、格納容器内雰囲気移送手段、第1及び第2の気体収容手段、計測手段及び酸素供給量制御手段のうち少なくとも一つが、原子炉隔離時冷却系あるいは高圧ディ−ゼル駆動注入系等により発電される電源と接続し給電を受けることとする。こうして外部電源及び所内非常用電源に依存しない自ら発電機能を有する電源設備からの電源供給を受けることにより、電源構成に関して高い信頼性を有する設計とすることが可能となる。
【0025】
さらに本発明では、第1及び第2の配管に切離し手段を設けることにより、原子炉格納容器外に設置される設備の少なくとも一部をパッケージ化し、このパッケージ化された可燃性ガス濃度制御装置を複数の隣接設置される原子力プラントにおいて共用することとする。すなわち、第1及び第2の気体収容手段と気体連絡手段、格納容器内雰囲気移送手段、放射性物質除去手段、計測手段及び酸素供給手段等の格納容器外に配置された装置のうち少なくとも一部を、原子炉格納容器の外側で取外し可能な可搬式設備としてパッケージ化し複数のプラントに対して1式配備し、これを複数のプラントで共用することにより、この可燃性ガス濃度制御装置を常時設置していないプラントにおいて可燃性ガスが発生した場合にも、当該プラントにパッケ−ジ化した本系統を搬入設置することにより、これらのプラントの安全性を向上させることができる。
【0027】
さらに本発明では、原子炉格納容器内に設けられる複数の触媒式再結合装置のうち少なくとも一つは原子炉格納容器外に設けられた設備と連絡しないよう設定する。この格納容器外設備と連絡しない触媒式再結合装置は設計基準事象に対応し、格納容器内雰囲気を直接吸引することにより格納容器内の少量かつ穏やかな水素の発生に対応する。一方格納容器外設備と連絡する触媒式再結合装置は苛酷事象に対応するものとして設けられ、大量に格納容器内に水素ガスが発生する場合に対応する。こうして可燃性ガス濃度制御装置の機能を設計基準事象に対応するものと苛酷事象に対応するものに分離し、目的に応じて系統設計を高度化する。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下本発明の第1の実施の形態について図を参照して説明する。なお、上記従来の技術と同一の構成部分については同一符号を付し詳細な説明を省略する。図1は本実施形態に係る可燃性ガス濃度制御装置の酸素供給について概略して示す概略系統図である。
【0029】
本実施形態においては、原子炉格納容器2内に複数設置された触媒式再結合装置12が、連絡管11を介して原子炉格納容器2 の外部に設けられた酸素ボンベ15と連絡している。この連絡管11には酸素供給ファン14が設けられ、かつこの酸素供給ファン14と触媒式再結合装置12の間には格納容器隔離弁10a,10bが設けられており、通常運転時は隔離弁10a,10bは閉状態である。
【0030】
なお、触媒式再結合装置12においては、水素の酸化触媒である白金またはパラジウムを用いたものとする。また触媒式再結合装置12の構造としては、上記従来の技術において述べた装置を想定しているが、これに限定されることなく、例えば水滴が触媒表面に付加することを防止した構造を有する特願平8−139797号明細書において示される装置を用いてもよい。
【0031】
また図では触媒式再結合装置12を原子炉格納容器2内の上部ドライウェル3に設置した場合を示したが、設置場所はこれに限定されず、例えば下部ドライウェル4、ウェットウェル5の気相部でもよい。特にドライウェル3,4内の原子炉圧力容器1近傍の水素ガスの発生源となり得る領域や、水素ガスが発生した場合水素ガスの停滞が予想される各室の天井付近に設けることが考えられる。
【0032】
原子炉格納容器2内には図示しない水素、酸素及び窒素濃度の計測手段が設置されている。配管破断等の事象に伴い水の放射線分解あるいはMetal−Water 反応により水素ガス及び酸素ガスが発生し原子炉格納容器2内に拡散し蓄積するような場合には、水素濃度が通常値より大幅に上昇する等の異常を示す情報が、計測手段により伝えられる。この情報に基き格納容器隔離弁10a,10bを開とするとともに酸素供給ファン14を作動させる。酸素供給ファン14の作動により酸素ボンベ15内の酸素を連絡管11を通して触媒式再結合装置12内に供給する。この際、酸素供給ファン14の回転数を制御するなどにより供給する酸素の量を制御する。
【0033】
この構成により、水素ガスと反応させるべき酸素ガスが不足した場合、あるいは水素ガスが例えば10 vol%を超えて増加するような場合、原子炉格納容器外から酸素を注入して水素の酸化反応を促進させることにより、原子炉格納容器内の過度の水素ガス濃度の増加を抑制することができる。
【0034】
なお、隔離弁10a,10bの開閉や酸素供給ファン14の始動については、手動で行うとするか、あるいは水素ガス濃度等に関する起動条件を予め設定しておき、水素ガス濃度の上昇に伴い起動条件に達した場合に自動的に隔離弁10a,10bを開とし酸素供給ファン13を作動させるよう設定することとする。
【0035】
またこの起動条件としては、水素ガス濃度が一定値を超えたときという条件の他に、水素ガス濃度と酸素ガス濃度の比が一定値を超えたときという条件も考えられる。この条件は、水素と酸素は体積比2:1で反応することに鑑み、水素ガスと酸素ガスの量の不均衡により処理されない水素ガスが原子炉格納容器内に停滞するのを防ぐため、濃度の比により制御を行うものである。なお、原子炉格納容器内の圧力・温度条件をもとに原子炉格納容器内に供給すべき酸素量を演算し制御を行う方法については、特願平8−306140号明細書に詳述されており、ここでは説明を省略する。
【0036】
なお、本実施形態の変形例として、酸素供給ファン14を設置しない場合を考えることができる。この場合、酸素ボンベ15の圧力と格納容器隔離弁10a,10bの開度のみで流量を制御する。これにより酸素供給量の制御の精度はやや劣るものの、酸素供給ファン14を不要とすることで装置をより簡素な構成とすることができる。
【0037】
以下本発明の参考例について図を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同一の構成部分については同一符号を付し詳細な説明を省略する。図2は参考例である可燃性ガス濃度制御装置の概略系統図である。
【0038】
参考例においては、第1の実施形態における酸素ボンベ15を有する連絡管11に代えて、触媒式再結合装置12と連絡しかつ原子炉格納容器2外に開口部を有する連絡管11cを設け、連絡管11cに外気吸入ファン13を設けたものである。この外気吸入ファン13と触媒式再結合装置12の間には格納容器隔離弁10a,10bが設けられており、通常運転時は隔離弁10a,10bは閉状態である。
【0039】
この構成により、上記第1の実施形態とほぼ同様の作用効果を奏する。本実施形態は第1の実施形態と比較して酸素供給量の制御の精度についてはやや劣るものの、酸素ボンベが不要となり装置をより簡素な構成とすることができる。
【0040】
以下本発明の第1の実施の形態について図を参照して酸素供給以外の部分について詳細に説明する。なお、上記図1に示した実施形態と同一の構成部分については同一符号を付し詳細な説明を省略する。図3は本実施形態に係る可燃性ガス濃度制御装置の概略系統図である。
【0041】
本実施形態においては、原子炉格納容器2内に複数設置された触媒式再結合装置12が、連絡管11aを介して原子炉格納容器2の外部に設けられた酸素ボンベ15と連絡している。この連絡管11aにはミキシングチェンバ16が設けられ、このミキシングチェンバ16と触媒式再結合装置12の間には格納容器隔離弁10a,10bが、ミキシングチェンバ16と酸素ボンベ15の間には流量制御弁21がそれぞれ設けられており、通常運転時は隔離弁10a,10b及び流量制御弁21は閉状態である。
【0042】
また、原子炉格納容器2内に開口部を有する連絡管11bが、原子炉格納容器2外に設置された計測チェンバ18と接続している。連絡管11bには排気隔離弁19a,19bが設けられ、この排気隔離弁19a,19bと計測チェンバ18との間に格納容器雰囲気移送ファン17が設けられており、通常運転時は排気隔離弁19a,19bは閉状態である。またこの計測チェンバ18はミキシングチェンバ16とチェンバ間連絡配管20により接続している。この計測チェンバ18及びミキシングチェンバ16は気密室として構成されるが、例えば太径の配管等のように気体を内包することが可能な形状であれば形状は特に限定されない。
【0043】
配管破断等の事象の発生に伴い水の放射線分解あるいはMetal−Water 反応により水素ガス及び酸素ガスが発生し、原子炉格納容器2内に拡散し蓄積し水素濃度が通常値より大幅に上昇する場合には、格納容器隔離弁10a,10b及び排気隔離弁19a,19bを開とするとともに格納容器雰囲気移送ファン17を作動させる。格納容器雰囲気移送ファン17により原子炉圧力容器2内の高濃度水素ガスを含む雰囲気を計測チェンバ18内に移送する。計測チェンバ18に設けられたセンサ40により計測チェンバ18内の水素、酸素、窒素及び水蒸気の濃度等を測定する。センサ40と接続する酸素流量制御手段22においては、計測チェンバ18内の気体の水素濃度等の測定値に対応して、酸素ボンベ15とミキシングチェンバ16の間に位置する流量制御弁21の開度を最適に制御する。これにより、ミキシングチェンバ16内に適正量の酸素ガスを供給することで、ミキシングチェンバ16内では最適比率の混合気体が生成される。この混合気体を連絡管11aを介して触媒式再結合装置12内に供給する。
【0044】
この際、ミキシングチェンバ16から原子炉格納容器2内部へ供給される水素ガス及び酸素ガスを含む混合気体を駆動力として、原子炉格納容器2内部の水素ガスを多く含む気体が触媒式再結合装置12内に吸引される。よって原子炉格納容器2内の水素ガスは効率良く酸素と反応を行うことができる。
【0045】
この構成により、ミキシングチェンバから供給される混合気体を駆動力として、可燃性ガス濃度が発生した場合に水素ガスを継続的に効率良く再結合反応させることで、過度の水素ガス濃度の増加を早期にかつ継続的に抑制することができる。
【0046】
なお本実施形態においては、図3に示した連絡管11の原子炉格納容器2内の開口部を、上部ドライウェル3、下部ドライウェル4及びウェットウェル5の気相部に複数設けることが考えられる。図4はその一例として上部ドライウェル3及びウェットウェル5の気相部に連絡管11の開口部を複数有する可燃性ガス濃度制御装置の概略系統図を示した。
【0047】
原子炉格納容器2内部各所に複数の開口部を設けることにより、水素ガスを多く含む格納容器雰囲気をほぼ均一に吸引することにより、原子炉格納容器2内で局所的に可燃性ガス濃度が高くなることを防ぐことができるから、水素の再結合反応をより効率良く行うことができる。
【0048】
以下本発明の第2の実施の形態について図を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同一の構成部分については同一符号を付し詳細な説明を省略する。図5は本実施形態に係る可燃性ガス濃度制御装置の概略系統図である。
【0049】
本実施形態においては、原子炉格納容器2内に複数設置された触媒式再結合装置12が、連絡管11aを介して原子炉格納容器2 の外部に設けられた酸素ボンベ15と連絡している。この連絡管11aにはミキシングチェンバ16が設けられ、このミキシングチェンバ16と触媒式再結合装置12の間には格納容器隔離弁10a,10bが、ミキシングチェンバ16と酸素ボンベ15の間には流量制御弁21がそれぞれ設けられており、通常運転時は隔離弁10a,10b及び流量制御弁21は閉状態である。
【0050】
また、原子炉格納容器2内に開口部を有する連絡管11bが、原子炉格納容器2外に設置された計測チェンバ18と接続している。連絡管11bには格納容器側から3つの排気隔離弁19a,19b,19cが設けられ、排気隔離弁19cと計測チェンバ18との間に格納容器雰囲気移送ファン17が、排気隔離弁19bと19cとの間に粒子除去装置23がそれぞれ設けられており、通常運転時は排気隔離弁19a,19b,19cは閉状態である。粒子除去装置23は内部を流通する気体中の粒子状放射性物質を除去するものであり、高温高圧に耐え得るステンレスファイバ等を利用した粒子フィルタにより構成されたものである。またこの計測チェンバ18はミキシングチェンバ16とチェンバ間連絡配管20により接続している。
【0051】
配管破断等の事象が発生した場合に水の放射線分解あるいはMetal−Water 反応により水素ガス及び酸素ガスが発生し、原子炉格納容器2内に拡散し蓄積し水素濃度が通常値より大幅に上昇する場合には、格納容器隔離弁10a,10b及び排気隔離弁19a,19bを開とするとともに格納容器雰囲気移送ファン17を作動させる。格納容器雰囲気移送ファン17により原子炉圧力容器2内の高濃度水素ガスを含む雰囲気を、粒子除去装置23により粒子状放射性物質を除去した後に計測チェンバ18内に移送する。酸素流量制御手段22においては、センサ40により測定された計測チェンバ18内に移送された気体の水素濃度等の測定値に対応して流量制御弁21の開度を最適に制御する。これにより、ミキシングチェンバ16内に適正量の酸素ガスを供給することで、ミキシングチェンバ16内では最適比率の混合気体が生成される。この混合気体を連絡管11aを介して触媒式再結合装置12内に供給する。
【0052】
この構成により、上記第1の実施形態と同様の作用効果が得られると同時に、Metal-Water 反応等により発生する粒子状の放射性物質を除去することにより、原子炉格納容器2内に粒子状放射性物質が停滞するのを防ぐことができる。
【0053】
なお、本実施形態における粒子除去装置23としては、粒子状放射性物質を除去するフィルタにより構成された装置に代えて、水フィルタにより構成される装置としてもよい。水フィルタ内の水に気体を通すことにより、粒子状放射性物質が通過する際のスクラビング効果により粒子状放射性物質を除去する。この場合も、粒子フィルタを用いた場合とほぼ同様の作用効果が得られるとともに、粒子状不純物と併せて水蒸気の一部を除去することにより計測チェンバ18内に移送される気体の水蒸気による圧力を少し低下させることで格納容器内の過圧状態の回避に寄与するという効果を併せもつ。
【0054】
以下本発明の第3の実施の形態について図を参照して説明する。なお、上記第1及び第2の実施形態と同一の構成部分については同一符号を付し詳細な説明を省略する。図6は本実施形態に係る可燃性ガス濃度制御装置の概略系統図である。
【0055】
本実施形態は、図5に示した上記第2の実施形態において、粒子除去装置23に隣接配置される排気隔離弁19cと格納容器雰囲気移送ファン17の間で連絡管11bに排気管24を連絡し、この排気管24と主排気筒25を連絡させている。排気管24には、連絡管11b側から順に、切替弁26、逆止弁27、圧力制御手段28及びラプチャーディスク29が配置され、主排気筒25へ至る。この排気管24上に構成される改良型格納容器ベント系により原子炉格納容器2内雰囲気の一部を外部に放出する。
【0056】
切替弁26は通常運転時は閉状態である。切替弁26を開とすることにより、排気ラインを計測チェンバ18側からこの改良型格納容器ベント系側に切り替える。また逆止弁27は排気筒25側から連絡管11b側への流れを防止するものである。圧力制御手段28としては例えば配管にオリフィスを設けてなる圧力制御用スロットルを用いる。またラプチャーディスク29は通常は閉じており排気管24内が高圧となると開状態となるものである。
【0057】
本実施例の作用は上述の第2の実施形態とほぼ同様である。さらに本実施形態においては、配管破断等の事象が発生した場合に水の放射線分解あるいはMetal-Water 反応により水素ガス及び酸素ガスが発生し原子炉格納容器2内に拡散し蓄積するような場合には、格納容器雰囲気移送ファン17により原子炉圧力容器2外に排出されかつ粒子状不純物が取り除かれた原子炉圧力容器1内の高濃度水素ガスを含む雰囲気の一部が、切替弁26を開とすることにより、圧力制御用手段28及びラプチャーディスク29を介して主排気筒25に送られ、主排気筒25から大気中へ放出される。
【0058】
この構成により、上記第2の実施形態と同様の作用効果が得られると同時に、原子炉格納容器内雰囲気を粒子状不純物を除去した後に排気することで、環境中への放射性物質の放出を防止するとともに、原子炉格納容器2内部の圧力を低減することが可能であるから、より効率良く水素の再結合反応を促進することができる。
【0059】
以下本発明の第4の実施の形態について図を参照して説明する。なお、上記第1乃至第3の実施形態と同一の構成部分については同一符号を付し詳細な説明を省略する。図7は本実施形態に係る可燃性ガス濃度制御装置の概略系統図である。
【0060】
本実施形態においては、図6に示した第3の実施形態における可燃性ガス濃度制御装置において、改良型原子炉格納容器ベント系として特開平4―216497号公報に開示された原子炉格納容器フィルタードベント装置を用いたものである。
【0061】
この原子炉格納容器フィルタードベント装置とは、原子炉格納容器に苛酷事象に対応して設けられたフィルタードベント系を接続する一方、このフィルタードベント系に備えられるフィルタ装置の上流側のベント配管に非常用ガス処理系(standby gas treatment system;以下SGTSという。)を接続したものであり、フィルタ装置をSGTSの放射線物質除去用フィルタとして使用可能に設定したものである。なお、この原子炉格納容器フィルタードベント装置は図7において破線30で示している。
【0062】
本実施形態の原子炉格納容器ベント系以外の主要な構成は、図6に示した第3の実施形態と同様であるから、相違点のみを述べることとする。
第3の実施形態における排気隔離弁19aと19bの間に、連絡管11bと分岐してSGTS配管35が配置されている。このSGTS配管35は逆止弁31を有し、連絡管11b側から順にSGTS隔離弁32a,32bと、SGTS排気ファン33a,33b及びSGTS吸気弁34a,34bが並列配置されており、図示しない原子炉建屋の雰囲気中に開口している。通常運転時はSGTSの隔離弁32a,32b及び吸気弁34a,34bは閉となっている。
【0063】
本実施例の作用は上述の第3の実施形態とほぼ同様である。さらに本実施形態においては、原子力発電プラントに苛酷事象までには至らない設計基準事象が万一発生した場合、SGTSの隔離弁32a,32b及び吸気弁34a,34bを開としSGTS排気ファン33a,33bを起動することにより、原子炉建屋内雰囲気は23内へと導入されるから、雰囲気中の放射性物質が除去され排気管24を通して主排気筒25から大気中に放出される。
【0064】
この構成により、上記第3の実施形態と同様の作用効果が得られると同時に、苛酷事象対策用フィルタ装置をSGTS用の放射性物質除去用フィルタと兼用することで、SGTS専用の高価なフィルタトレインを必要とせず、信頼性の高いインテグレーテッドフィルタードベント系を併せて実現することができる。
【0065】
以下本発明の第5の実施の形態について図を参照して説明する。なお、上記第1乃至第4の実施形態と同一の構成部分については同一符号を付し詳細な説明を省略する。図8は本実施形態に係る可燃性ガス濃度制御装置の概略系統図である。
【0066】
本実施形態においては、図3に示した上記第1の実施形態に係る可燃性ガス濃度制御装置において、新たに新型原子炉隔離時冷却系(advanced reactor coreisolation cooling system;以下ARCICという。)のタービン37に直結した発電機36により、可燃性ガス濃度制御装置における各種動的機器の給電を実施するものである。ARCICタービン37はARCIC配管35a及び35bを介してそれぞれ原子炉圧力容器1及びサプレッションプール5aと連絡している。
【0067】
本実施形態の作用は上記第4の実施形態と同様である。原子炉格納容器2内の水素濃度の上昇に伴い、格納容器隔離弁10a,10b及び排気隔離弁19a,19bを開とするとともに原子炉格納容器2内の雰囲気を計測チェンバ18へと移送する格納容器雰囲気移送ファン17を起動する。また計測チェンバ18内に移送された気体の水素濃度の測定値に対応して酸素流量制御手段22において流量制御弁21の弁開度すなわちミキシングチェンバ16内に供給する酸素量を最適に制御する。また連絡管11aを介してミキシングチェンバ16内の気体が原子炉格納容器2内部に供給される。
【0068】
本実施形態においては、こうした一連の気体移送に使われる弁や配管、酸素流量制御手段等の各種動的機器に対してARCICの発電機36から電力を供給することとする。図中この電力供給の流れを破線で示している。
【0069】
この構成により、上記第1の実施形態と同様の作用効果が得られると同時に、ファンや弁等の動的機器に対しARCICの発電機により給電を行うことにより、外部電源及び所内依存用電源に依存しない可燃性ガス濃度制御装置を実現することができる。
【0070】
なお、本実施形態は第1の実施形態に係る各種設備の給電手段を設けたものであるが、第1の実施形態に限らず他の実施形態においても適用可能である。また、弁やファン等の動的機器への電源供給源としては、ARCICに代えて図示しない高圧ディ−ゼル発電注入系(HDIS)にて発電される電力を利用するとしてもよい。
【0071】
以下本発明の第6の実施の形態について図を参照して説明する。なお、上記第1乃至第5の実施形態と同一の構成部分については同一符号を付し詳細な説明を省略する。図9は本実施形態に係る可燃性ガス濃度制御装置の概略系統図である。
【0072】
本実施形態においては、図3に示した上記第1の実施形態に係る可燃性ガス濃度制御装置において、新たに連絡管11a及び11bにおいて原子炉格納容器2の外壁と格納容器隔離弁10a及び排気隔離弁19aの間に、切離しの手段としてフランジ41a及び41b,41cを設けたものである。
【0073】
本実施形態では、連絡管11a上の隔離弁10a,10b、ミキシングチェンバ16、流量制御弁21及び酸素ボンベ15と、連絡管11b上の排気隔離弁19a,19b、格納容器雰囲気移送ファン17、ミキシングチェンバ18、及びセンサ40や流量制御手段22からなる可燃性ガス濃度制御装置の格納容器外に設置された設備を、フランジ41a,41b,41cによってパッケージ化し1系統としたものである。
【0074】
本実施形態は、隣接する複数のプラントに対し可燃性ガス濃度制御装置として共通の系統を用いることとする。すなわち、あるプラントAに可燃性ガス濃度制御装置の系統がフランジ41a,41b,41cを介して接続しているものとする。このプラントAに隣接するプラントBにおいて配管破断等の事象が発生した場合、フランジ41a,41b,41cによりプラントAと可燃性ガス濃度制御装置の系統とを切り離し、プラントBにこの系統を接続して使用することにより、プラントBの原子炉格納容器内の可燃性ガス濃度を低減するものである。
【0075】
これにより、複数の隣接するプラントに対して1系統の可燃性ガス濃度制御装置を用いることで、複数のプラントにおいて上記第1の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0076】
なお本実施形態においては、パッケ−ジ化し複数プラントで共用化する設備の範囲は、格納容器外に設置された可燃性ガス濃度制御装置において任意に設置が可能であるから、フランジ41の設置位置は図9に示したものには限定されず、パッケージ化の範囲の設定に基いて任意に設定することが可能である。
【0077】
以下本発明の第7の実施の形態について図を参照して説明する。なお、上記第1乃至第6の実施形態と同一の構成部分については同一符号を付し詳細な説明を省略する。図10は本実施形態に係る可燃性ガス濃度制御装置の概略系統図である。
【0078】
本実施形態においては、図3に示した上記第1の実施形態に係る可燃性ガス濃度制御装置において、原子炉格納容器2外の粒子除去手段23等の各種設備と連絡する触媒式再結合装置12を設けるとともに、これとは別に原子炉格納容器2内に触媒式再結合装置42を配置したものである。この触媒式再結合装置42は例えば原子炉格納容器2内の2箇所に設置することとし、主に設計基準事象の対策として原子炉格納容器2内の少量かつ緩やかな水素の発生に対応するものとする。この触媒式再結合装置42は格納容器外とは連絡しておらず、駆動用の電源の設置を要しない。
【0079】
この構成により、第1の実施形態と同様の作用効果を奏することにより苛酷事象時において原子炉格納容器内の可燃性ガス濃度の制御を行うことに加えて、苛酷事象までには至らない設計基準事象において少量かつ緩やかに発生する水素ガスに対しても、駆動用電源を要することなく再結合反応を促進させることにより、設計基準事象発生時の原子力発電設備の信頼性をさらに向上させることができる。
【0080】
以上説明した各実施形態においては、例えば上記第2の実施形態に対し上記第9の実施形態にかかるパッケージ化を適用するなど、各実施形態を任意に組み合わせて適用することが可能である。また、以上の各実施形態は沸騰水型原子力発電設備における適用例として説明したが、本発明の全ての実施形態が加圧水型原子力発電設備を含むあらゆる原子力プラントに適用可能であることはいうまでもない。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、Metal-Water 反応などにより発生する可能性のある大量の水素ガスを速やかに再結合処理することにより、原子炉格納容器の長期間にわたる過圧を防止して原子炉格納容器からの過大な雰囲気が継続的に漏洩することをを回避することが可能であるから、より高いプラント安全裕度を確保することができる。
また、第1の気体収容手段内の気体の水素濃度等を連続的に監視し第2の気体収容手段内に供給される酸素量を制御することにより、原子炉格納容器内での水素ガスの再結合反応をより高効率で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる酸素供給について概略して示す可燃性ガス濃度制御装置及び原子炉格納容器の概略系統図。
【図2】参考例である可燃性ガス濃度制御装置及び原子炉格納容器の概略系統図。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる可燃性ガス濃度制御装置及び原子炉格納容器の概略系統図。
【図4】本発明の第1の実施形態の変形例にかかる可燃性ガス濃度制御装置及び原子炉格納容器の概略系統図。
【図5】本発明の第2の実施形態にかかる可燃性ガス濃度制御装置及び原子炉格納容器の概略系統図。
【図6】本発明の第3の実施形態にかかる可燃性ガス濃度制御装置及び原子炉格納容器の概略系統図。
【図7】本発明の第4の実施形態にかかる可燃性ガス濃度制御装置及び原子炉格納容器の概略系統図。
【図8】本発明の第5の実施形態にかかる可燃性ガス濃度制御装置及び原子炉格納容器の概略系統図。
【図9】本発明の第6の実施形態にかかる可燃性ガス濃度制御装置及び原子炉格納容器の概略系統図。
【図10】本発明の第7の実施形態にかかる可燃性ガス濃度制御装置及び原子炉格納容器の概略系統図。
【図11】従来の沸騰水型原子力発電設備の原子炉格納容器の概略系統断面図。
【図12】(a),(b)ともに従来用いられている触媒式再結合装置の一例を示す斜視図。
【符号の説明】
1…原子炉圧力容器、2…原子炉格納容器、3…上部ドライウェル、4…下部ドライウェル、5…ウェットウェル、5a…サプレッションプール、6…ベント管、7…原子炉炉心、8…生体遮蔽壁、9…主蒸気管、10a,10b…隔離弁、11,11a,11b,11c…連絡管、12,42,50,51…触媒式再結合装置、13…外気吸入ファン、14…酸素供給ファン、15…酸素ボンベ、16…ミキシングチェンバ、17…格納容器雰囲気移送ファン、18…計測チェンバ、19a,19b…排気隔離弁、20…チェンバ間連絡配管、21…流量制御弁、22…酸素流量制御手段、23…粒子除去装置、24…排気管、25…主排気筒、26…切替弁、27,31…逆止弁、28…圧力制御手段、29…ラプチャーディスク、30…非常用ガス処理系(SGTS)、32a,32b…SGTS隔離弁、33a,33b…SGTS排気ファン、34a,34b…SGTS吸気弁、35…SGTS配管、36…新型原子炉隔離時冷却系(ARCIC)発電機、37…ARCICタービン、38a,38b…ARCIC配管、40…計測チェンバセンサ、41a,41b,41c…フランジ。
Claims (9)
- 炉心を内包する原子炉圧力容器と、この原子炉圧力容器を包囲するドライウェルと、このドライウェルに隣接しサプレッションプールを有するウェットウェルとからなる原子炉格納容器内に設置され、水素の酸化触媒を収納し気体流出入開口部を有する触媒式再結合装置を具備する前記原子炉格納容器の可燃性ガス濃度制御装置において、前記原子炉格納容器外部に設置され前記触媒式再結合装置と第1の配管を介して連絡し前記原子炉格納容器外から酸素を前記触媒式再結合装置内に供給するする酸素供給手段と、 前記原子炉格納容器と第2の配管を介して連絡し前記原子炉格納容器内雰囲気の一部を内包する第1の気体収容手段と、前記第2の配管に設けられ前記原子炉格納容器内雰囲気の一部を前記第1の気体収容手段内へ移送する格納容器内雰囲気移送手段と、前記第1の配管に設けられ前記酸素供給手段により送られる酸素を内包する第2の気体収容手段と、前記第1の気体収容手段と前記第2の気体収容手段とを連絡する気体連絡手段と、前記第1の気体収容手段に設けられこの第1の気体収容手段内の気体の水素濃度及び酸素濃度を計測する計測手段と、この計測手段及び前記酸素供給手段と連絡し前記計測手段の情報に基づいて適正な酸素供給量を算出し前記酸素供給手段に酸素供給信号を発信する酸素供給量制御手段を具備することを特徴とする可燃性ガス濃度制御装置。
- 前記第1の配管に設けられこの第1の配管内を流通する気体中に含まれる粒子状の放射性物質を除去する放射性物質除去手段を具備することを特徴とする請求項1記載の可燃性ガス濃度制御装置。
- 前記放射性物質除去手段として粒子フィルタを用いることを特徴とする請求項2記載の可燃性ガス濃度制御装置。
- 前記放射性物質除去手段として水を用いることを特徴とする請求項2記載の可燃性ガス濃度制御装置。
- 前記原子炉格納容器外に気体を排出する排気筒と、前記放射性物質除去手段と前記第1の気体収容手段の間の前記第1の配管と前記排気筒とを連絡し格納容器ベント系を構成する第3の配管を具備することを特徴とする請求項2記載の可燃性ガス濃度制御装置。
- 前記格納容器ベント系として前記第1の配管と連絡する原子炉格納容器フィルタードベント装置を具備することを特徴とする請求項5記載の可燃性ガス濃度制御装置。
- 前記酸素供給手段、前記格納容器内雰囲気移送手段、前記第1及び第2の気体収容手段、前記計測手段及び前記酸素供給量制御手段のうち少なくとも一つが、原子炉隔離時冷却系あるいは高圧ディ−ゼル駆動注入系により発電される電源と接続し給電を受けることを特徴とする請求項1記載の可燃性ガス濃度制御装置。
- 前記第1及び第2の配管に切離し手段を設け、前記可燃性ガス濃度制御装置を複数の隣接設置される原子力プラントにおいて共用することを特徴とする請求項1記載の可燃性ガス濃度制御装置。
- 前記原子炉格納容器内に前記原子炉格納容器外に設けられた機器と連絡しない前記触媒式再結合装置を少なくとも一つ設けることを特徴とする請求項1記載の可燃性ガス濃度制御装置。
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