JP2006162559A - 原子炉格納容器の過圧防止方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】原子炉の通常運転時には常用系としてドライウェルの空調を行い、事故時には静的格納容器除熱系として格納容器過圧を防止して格納容器ベントを回避し、同時にMetal-Water反応によって発生した水素を窒素と反応させて除去することで格納容器内の不凝縮性ガス濃度を低減して格納容器の過圧を緩和することのできる原子炉格納容器の過圧防止方法および装置を提供する。
【解決手段】原子炉格納容器1内の雰囲気を冷却して蒸気を凝縮させる復水器27と、復水器27の出口側配管29上に設けられたブロア20およびブロア20の下流に設けられた弁21と、ブロア20と弁21との間で出口側配管29から分岐した不凝縮性ガス配管23と、不凝縮性ガス配管23上に弁22を介して接続され窒素と水素を反応させてアンモニアを生成する反応器24と、反応器24から排出されるアンモニアガスを冷却する熱交換器25と、熱交換器25の出口と原子炉のサプレッションプールを結ぶアンモニア排出配管26とを備えている構成とする。
【選択図】図1
【解決手段】原子炉格納容器1内の雰囲気を冷却して蒸気を凝縮させる復水器27と、復水器27の出口側配管29上に設けられたブロア20およびブロア20の下流に設けられた弁21と、ブロア20と弁21との間で出口側配管29から分岐した不凝縮性ガス配管23と、不凝縮性ガス配管23上に弁22を介して接続され窒素と水素を反応させてアンモニアを生成する反応器24と、反応器24から排出されるアンモニアガスを冷却する熱交換器25と、熱交換器25の出口と原子炉のサプレッションプールを結ぶアンモニア排出配管26とを備えている構成とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、原子炉格納容器に格納された原子炉圧力容器に接続された主蒸気管の破断等の異常時に原子炉格納容器の過圧を防止する原子炉格納容器の過圧防止方法および装置に関する。
図3は従来の原子炉格納容器の構成を示す概略系統断面図である。原子炉炉心7を収容する原子炉圧力容器2を格納する原子炉格納容器1は、原子炉圧力容器2を包囲する上部ドライウェル3及び下部ドライウェル4と、上部ドライウェル3とベント管6を介して接続し内部にサプレッションプール5aを備えたウェットウェル5とから構成されている。また、原子炉圧力容器2を包囲して生体遮蔽壁8が設置されている。
原子炉圧力容器2に接続する主蒸気管9等の原子炉一次冷却系配管が万が一破断した場合、原子炉格納容器1内の上部ドライウェル3に高温・高圧の原子炉一次冷却材が放出され、上部ドライウェル3内の圧力・温度が急激に上昇する。上部ドライウェル3に放出された高温・高圧の冷却材は、上部ドライウェル3内の気体と混合して、ベント管6を介してサプレッションプール5aの水中に放出されて冷却される。こうして原子炉圧力容器2から放出される熱エネルギーの多くはこのサプレッションプール5aにおいて吸収される。
原子炉圧力容器2内には非常用炉心冷却系によりサプレッションプール5aの水が注入されて炉心7が冷却されるが、この冷却水は長期的には炉心7から崩壊熱を吸収し、破断した配管の破断口からドライウェルへ流出する。このとき、上部ドライウェル3内の圧力・温度は常にウェットウェル5よりも高い状態となり、ベント管6を介してウェットウェル5に水蒸気とガスが移動する。そして、炉心7から放出され上部ドライウェル3に存在していた核分裂生成物はベント管6を通ってサプレッションプール5aに補足される。
このような長期的事象下で軽水炉型原子力発電所の原子炉圧力容器内では冷却材である水が放射線分解され、水素ガスと酸素ガスが発生する。さらに、燃料被覆管の温度が上昇する場合には水蒸気と燃料被覆管材料のジルコニウムとの間でMetal-Water反応が起こり、短時間で水素ガスが発生する。この発生した水素ガスが破断した配管の破断口等から原子炉格納容器1内に放出され、原子炉格納容器1内の水素ガス濃度が次第に上昇する。また、水素ガスは非凝縮性ガスであるから、原子炉格納容器1内の圧力も上昇する。この状態に対し何等有効な対策を行うことができずに、水素ガス濃度が4vol%かつ酸素濃度が5vol%以上に上昇、すなわち可燃性ガス濃度が可燃限界を超えたときには、気体は可燃状態となる。さらに水素ガス濃度が上昇すると爆発等の急激な反応が起きる可能性がある。
こうした事態への有効な対策として、従来の沸騰水型原子力発電設備の場合には、圧力抑制式の原子炉格納容器内を窒素ガスで置換し酸素濃度を低く維持することにより、Metal-Water反応により短時間で大量に発生する水素ガスに対しても原子炉格納容器内が可燃性雰囲気となることを厳に防止し、固有の安全性を達成している。また、原子炉格納容器外に入口弁10a、出口弁10bを介して設置された再結合器10及びブロア11からなる可燃性ガス濃度制御装置20により、原子炉格納容器1内の気体を原子炉格納容器1外に吸引し、昇温させて水素ガスと酸素ガスを再結合させて水に戻し、残りの気体を冷却してから原子炉格納容器1内へ戻すことで、可燃性ガス濃度の上昇を抑制している。
また、上述の可燃性ガス濃度制御装置30とは異なり外部電源を必要とせず、静的に可燃性ガス濃度を制御する装置として、水素の酸化触媒を用いて再結合反応を促進させる触媒式再結合装置を原子炉格納容器内に複数配置する技術が開発されている。こうした可燃性ガス除去装置は、下記の特許文献1に記載されている。
上述のように沸騰水型原子炉には、非常用炉心冷却系、崩壊熱除去系が設けられており、炉心に何らかのトラブルが発生した場合でも原子炉を速やかに冷却し安全に維持することができるようになっている。また、万が一、非常用炉心冷却系及び崩壊熱除去系が作動せず、炉心7が溶融するようないわゆる苛酷事故に至った場合でも、原子炉格納容器1内に代替注水して溶融炉心を冷却し、冷却によって発生した水蒸気を格納容器スプレイ12によって凝縮するアクシデントマネジメントガイドラインが設定されている。
しかし、代替注水のように外部水源から冷却水を供給する方法では、時間の経過と共にサプレッションプール5aに冷却水が蓄水し、やがてウェットウェル5の空間部を圧迫し、格納容器過圧破損の原因となりかねない。そのため、格納容器スプレイ12を間欠的に実施し、散水量を低減するなどの工夫がされているが、最終的にはウェットウェル5からベント弁31、格納容器ベントライン13を介して格納容器内のガスをスタック14から大気中に放出する格納容器ベントを行うことで格納容器1の過圧破損を防止することになる。
ウェットウェル5の空間部は上部ドライウェル3の空間部に比べて核分裂生成物の存在量が桁違いに小さいが、それでも、格納容器ベントを実施すれば大気中に核分裂生成物を放出することになり、社会的に容認されがたい。そこで、苛酷事故時に格納容器ベントを行うことなく、格納容器1の過圧破損を防止する手段が提案されている。その代表的な手段が静的格納容器除熱装置(PCCS)である。代表的なものが下記特許文献2,3,4に開示されている。
図4にPCCSを備えた原子炉格納容器の概略図を示す。PCCSは蒸気配管15、伝熱管16、プール水17、炉心注水配管18および凝縮水戻り配管19等を備え、電源を必要とせずに溶融炉心を冷却する際に放出される水蒸気を伝熱管16で凝縮することで自然循環流を発生させ、格納容器1の除熱を行う装置である。
苛酷事故時には発電所内の全交流電源喪失という事態もありうるため、電源を必要としない静的機器を用いたシステムの方が信頼性が高いと考えられている。苛酷事故時に大量の水蒸気が上部ドライウェル3に放出されると、上部ドライウェル3に開口した蒸気配管15から水蒸気が伝熱管16に進入する。伝熱管16はプール水17中に浸漬されており、プール水17への熱伝達によって伝熱管16内の水蒸気は凝縮する。凝縮水は重力によってヘッダ33から弁34を介し、炉心注水配管18を通って原子炉圧力容器2内に注水されるか、あるいは、ヘッダ33から弁35を介し、凝縮水戻り配管19を通ってサプレッションプール5aに戻される。なお、ヘッダ33、弁34,35は必要に応じて三方弁等の分配装置で置き換えることも可能である。そして、下部ドライウェル4に溶融炉心が落下している場合には、サプレッションプール5aの水を下部ドライウェル4に導入し溶融炉心の冷却が行われる。
このように、PCCSを用いることで外部からの冷却水の供給無しに格納容器除熱を継続でき、格納容器ベントをすることなく格納容器内圧力を破損限界圧力未満に維持することが可能になる。前述の特許文献1の触媒式水素再結合装置とPCCSを組み合わせた装置も発明されている(特許文献5,6)。
PCCSのような設備を新設せずに、既存設備を利用して格納容器除熱を効率的に行うことを目的として、常用のドライウェルクーラー(DWC)を苛酷事故時の格納容器除熱に利用するという発明もなされている(特許文献7)。
DWCは通常運転時のドライウェルの空調設備であり、ファンを用いてドライウェル内雰囲気ガスを熱交換器に取り込み、冷却したガスをダクトを通じてドライウェルの各所に送風している。苛酷事故時には、シール部の破損を防止するために、送風ダクトのダンパーが閉鎖され、吸気ファンが停止することになっている。しかし、冷却水の供給さえ確保できれば、溶融炉心冷却によって発生する水蒸気を凝縮することが可能であり、格納容器ベントに至るまでの時間を延長、もしくは格納容器ベント無しを達成することができると考えられている。
一方、苛酷事故時には溶融炉心冷却に伴う大量の水蒸気のほかに、Metal-Water反応で発生する大量の水素が格納容器過圧の要因となる。この水素ガスを除去するための再結合器は、水素と酸素を反応させることで水素を除去する装置であるため、酸素よりも化学量論的に過剰な水素を除去することはできない。前述のように日本国内の沸騰水型原子炉では運転中の格納容器内雰囲気は窒素ガスで置換しているために、Metal-Water反応で発生する水素と結合可能な酸素は格納容器内に存在していない。そこで、窒素雰囲気中でも水素を効率的に除去するシステムとして窒素と水素を反応させて水素を除去する方法(特許文献8)が発明されている。
特開平5−188196号公報
特開平2−268295号公報
特開平3−246492号公報
特開平3−180799号公報
特開平6-130170号公報
特開平10-221477号公報
特開2001-215291号公報
特開平11-166996号公報
沸騰水型原子炉には冷却材喪失事故、主蒸気管破断事故などの事故時の格納容器過圧防止を目的としてサプレッションプールが設置されている。しかし、所内全交流電源喪失を伴う過酷事故時にはサプレッションプールから崩壊熱を除去するための系統が機能しないため、サプレッションプールによる圧力抑制機能が低下し、格納容器が過圧状態になる虞れがある。それを回避するために、常用系のドライウェルの空調設備であるDWCを苛酷事故時の除熱システムとして利用する方法が提案されているが、これはDWCに冷却水を供給するシステムの電源が生きていることが前提である。そのため、電源喪失時に適用可能であるとはいえない。また、格納容器内の不凝縮性ガスの存在によって伝熱性能が低下するために、DWCだけで格納容器圧力を破損限界圧力未満に維持できる保障はない。
一方、電源を必要とせず、確実に格納容器除熱を行うシステムであるPCCSが提案されているが、これは純粋に苛酷事故対策設備であるため、仮に採用されたとしてもプラント生涯のうちで現実に使用される確率は極めて低い。言い換えるなら、安全上有効な設備であっても、苛酷事故の時にしか機能を発揮しないのであれば、実機への導入は現実的には難しいと言わざるを得ない。DWCだけでは特定の事象のみにしか対処できず、PCCSだけでは通常運転時のドライウェル空調ができない。DWCとPCCSは、いずれも大規模な設備であり、両者を併設することはコストパフォーマンスの点から現実的ではない。
さらに、事故時に冷却水中に移行した核分裂生成物によって水が放射線分解され、水素と酸素が発生し、格納容器内雰囲気が可燃限界に到達するのを防止するために、可燃性ガス濃度制御系が設けられている。しかし、放射線分解で発生する水素・酸素によって格納容器内雰囲気が可燃限界に到達するような量の核分裂生成物が冷却水中に放出される事象では、同時にMetal-Water反応によって大量の水素が発生しているはずである。したがって、この大量の水素によって酸素濃度が相対的に低下し、逆に、可燃限界に至ることはないと考えられる。しかし、現行の原子炉の安全評価においては、可燃性ガス濃度を保守的に見積もっているので、Metal-Water反応割合を小さく、放射線分解に寄与する冷却材中に移行した核分裂生成物の割合を大きく見積もっているために、可燃性ガス濃度制御系が必要となっている。格納容器雰囲気窒素置換によって可燃限界到達防止がなされているにもかかわらず、さらに可燃性ガス濃度制御系が設けられているが、この可燃性ガス濃度制御系が必要となるような評価の前提となっている仮想的な事象は現実的にはあり得ない。
このように、沸騰水型原子炉では格納容器内は窒素により不活性化されているため、Metal-Water反応によって発生した水素により格納容器内雰囲気が直ちに可燃限界に達することはないが、大量の水素が発生した場合には格納容器過圧の要因になり得る。また、水素は不凝縮性ガスであり、不凝縮性ガス濃度が高くなるとDWCやPCCSの伝熱性能が低下する。そのため、可燃限界防止の観点よりもむしろ、格納容器過圧防護あるいは、事故後の格納容器雰囲気制御の観点で水素除去を行う必要がある。
上記のように、Metal-Water反応によって発生した水素を格納容器内雰囲気中に大量に存在する窒素と反応させて除去するシステムが提案されているが、水素と窒素の反応に用いる触媒として代表的なRu系触媒は、水蒸気によって活性が低下することが知られている。苛酷事故時には、大量の水蒸気が格納容器内雰囲気中に存在し、これを直接触媒層に導けば、触媒活性が著しく損なわれる恐れがある。また、苛酷事故時には核分裂生成物や構造材・コンクリート分解生成物などのエアロゾルが発生し、格納容器内雰囲気中に浮遊している。これらが触媒層に付着することにより触媒活性が低下する恐れもある。
本発明は上述した様々な課題を解決するためになされたものであり、原子炉の通常運転時には常用系としてドライウェルの空調を行い、事故時には静的格納容器除熱系として格納容器過圧を防止して格納容器ベントを回避し、同時にMetal-Water反応によって発生した水素を窒素と反応させて除去することで格納容器内の不凝縮性ガス濃度を低減して格納容器の過圧を緩和することのできる原子炉格納容器の過圧防止方法および装置を提供することを目的とする。
本発明の原子炉格納容器の過圧防止装置は、原子炉格納容器内の雰囲気を冷却して蒸気を凝縮させる復水器と、前記復水器の出口側配管上に設けられたブロアおよび前記ブロアの下流に設けられた弁と、前記ブロアと前記弁との間で前記出口側配管から分岐した不凝縮性ガス配管と、前記不凝縮性ガス配管上に弁を介して接続され窒素と水素を反応させてアンモニアを生成する反応器と、前記反応器から排出されるアンモニアガスを冷却する熱交換器と、前記熱交換器の出口と原子炉のサプレッションプールを結ぶアンモニア排出配管とを備えている構成とする。
また本発明の原子炉格納容器の過圧防止方法は、原子炉格納容器内の雰囲気を冷却して凝縮水をサプレッションプールへ戻すとともに、凝縮しなかったガス中の水素を窒素と反応させてアンモニアを生成させてサプレッションプールへ戻す方法とする。
本発明によれば、原子炉の通常運転時には常用系としてドライウェルの空調を行い、事故時には静的格納容器除熱系として格納容器過圧を防止して格納容器ベントを回避し、同時にMetal-Water反応によって発生した水素を窒素と反応させて除去することで格納容器内の不凝縮性ガス濃度を低減して格納容器の過圧を緩和することのできる原子炉格納容器の過圧防止方法および装置を提供することができる。
以下、本発明に係る原子炉格納容器の過圧防止装置の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の原子炉格納容器の過圧防止装置40は、図1に示すように、原子炉格納容器1内の蒸気を冷却して凝縮させ凝縮水とする復水器27と、この復水器27を収容する冷却槽28と、復水器27の出口側配管29に設けられたブロア20と、ブロア20の下流に設けられた弁21と、弁21の下流に設けられ原子炉格納容器1の各所にブロア20から排出されたガスを送風するダクト32と、ブロア20と弁21との間で分岐した不凝縮性ガス配管23と、不凝縮性ガス配管23に設けられた弁22と、不凝縮性ガス配管23に接続し窒素と水素を反応させてアンモニアを生成する反応器24と、反応器24から排出されたガスを冷却槽28に導き冷却する熱交換器25と、熱交換器25と原子炉のサプレッションプールを結ぶアンモニア排出配管26を備えている。反応器24にはRu系触媒が充填されている。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の原子炉格納容器の過圧防止装置40は、図1に示すように、原子炉格納容器1内の蒸気を冷却して凝縮させ凝縮水とする復水器27と、この復水器27を収容する冷却槽28と、復水器27の出口側配管29に設けられたブロア20と、ブロア20の下流に設けられた弁21と、弁21の下流に設けられ原子炉格納容器1の各所にブロア20から排出されたガスを送風するダクト32と、ブロア20と弁21との間で分岐した不凝縮性ガス配管23と、不凝縮性ガス配管23に設けられた弁22と、不凝縮性ガス配管23に接続し窒素と水素を反応させてアンモニアを生成する反応器24と、反応器24から排出されたガスを冷却槽28に導き冷却する熱交換器25と、熱交換器25と原子炉のサプレッションプールを結ぶアンモニア排出配管26を備えている。反応器24にはRu系触媒が充填されている。
本実施の形態の原子炉格納容器1の過圧防止装置40は、復水器27の出口ヘッダーから出た出口側配管29にブロア20が設けられており、通常運転時にはこのブロア20によって上部ドライウェル3の雰囲気ガスを蒸気配管15を介して復水器27に導入して冷却槽28のプール水17と熱交換を行うことによりドライウェルの空調を行う。ブロア20より下流側において不凝縮性ガス配管23が分岐されており、この分岐よりも下流側の配管29に弁21が設けられ、不凝縮性ガス配管23に弁22が設けられている。通常運転時には弁21を開に、弁22を閉にしてドライウェル各所に冷却ガスを送風する。
苛酷事故が発生し、ブロア20が作動しない状態になった場合、弁21を閉鎖する。事故後最初の数時間は溶融炉心の顕熱除去のために大量の水蒸気が発生し、事故後24時間ほどは崩壊熱の除去のために格納容器1の健全性を脅かす量の水蒸気が発生し続ける。この間は本実施の形態の原子炉格納容器1の加圧防止装置はPCCSの機能を発揮し、電源や動的機器を必要とせずに水蒸気を凝縮し、サプレッションプールあるいは炉心へと凝縮水を戻す。
Metal-Water反応によって水素が発生した場合には、弁22を開き、反応器24に不凝縮性ガスを導く。反応器24に導かれる不凝縮性ガスは、復水器27を通って水蒸気が凝縮した後のガスであるため、復水器27での熱伝達が良好に行われていればプール水17の温度に対応する飽和水蒸気分圧程度の水蒸気しか含んでいない。そのため、反応器24内に設けられている触媒の水蒸気による劣化を低減することができる。さらに、復水器27での水蒸気凝縮に伴って、復水器27に流入したエアロゾルが凝縮水中にトラップされるため、反応器24に到達するエアロゾル量はほとんど存在せず、エアロゾル付着による触媒の劣化を防ぐことができる。
反応器24を出たガスは未反応の窒素と水素、及び水蒸気とアンモニアの蒸気を含んでいる。これらを熱交換器25に導いてプール水17と熱交換させて水とアンモニアを凝縮させ、アンモニア排出配管26を通してサプレッションプール5aへ導く。事故後数十時間で電源が復旧しブロア20が機能回復したら、ブロア20を起動して格納容器内雰囲気ガスを動的に反応器24に導き、速やかに格納容器内水素濃度を低下させることができる。
苛酷事故時の復水器27の出口水蒸気分圧を低下させる観点から、冷却槽28のプール水17はなるべく低い水温(〜30℃未満)に維持できることが望ましい。復水器27の必要伝熱面積は通常運転時の除熱能力で決まるため、通常運転時においてもプール水17の温度はなるべく低く維持した方が機器をコンパクト化できる。そこで、プール水17をさらに海水と熱交換するあるいは、チラーを設けてプール水17を冷却する方法も有効である。
また、復水器27による水蒸気凝縮だけでは反応器24に進入する水蒸気量を低減しきれない場合には、弁22より下流の不凝縮性ガス配管23に水蒸気を分離することができる水蒸気分離膜(除湿膜)を設けた構成としてもよい。
本実施の形態の原子炉格納容器の過圧防止装置によれば、原子炉の通常運転時には常用系としてドライウェルの空調を行い、事故時には静的格納容器除熱系として格納容器過圧を防止して格納容器ベントを回避し、同時にMetal-Water反応によって発生した水素を窒素と反応させて除去することで格納容器内の不凝縮性ガス濃度を低減して格納容器の過圧を緩和させることができる。また、不凝縮性ガス濃度の低下によって静的格納容器除熱系の伝熱性能を向上させ、同時に水素と窒素を反応させる反応器に導くガス中の水蒸気分圧とエアロゾル濃度を低減して触媒の劣化を防ぐことができる。
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、通常運転時の格納容器1の空調を複数の原子炉格納容器過圧防止装置(ユニットA,B)を用いて行うようにしたものである。図1に示した復水器27と反応器24を組み合わせた原子炉格納容器過圧防止装置ユニットA40は反応器24の能力によってその数を決定し、他は図2に示す復水器27とブロア20だけを有する原子炉格納容器過圧防止装置ユニットB41とする。ユニットB41の数は、ユニットA40とあわせた全ユニット40,41の除熱量が通常運転時に必要な除熱量となるように決定する。
本実施の形態は、通常運転時の格納容器1の空調を複数の原子炉格納容器過圧防止装置(ユニットA,B)を用いて行うようにしたものである。図1に示した復水器27と反応器24を組み合わせた原子炉格納容器過圧防止装置ユニットA40は反応器24の能力によってその数を決定し、他は図2に示す復水器27とブロア20だけを有する原子炉格納容器過圧防止装置ユニットB41とする。ユニットB41の数は、ユニットA40とあわせた全ユニット40,41の除熱量が通常運転時に必要な除熱量となるように決定する。
過圧防止装置ユニットB41は、図2に示すように、原子炉格納容器1内の蒸気を冷却して凝縮させ凝縮水とする復水器27と、この復水器27を収容する冷却槽28と、復水器27の出口側配管29に設けられたブロア20と、ブロア20の下流に設けられた弁21と、弁21の下流に設けられ原子炉格納容器の各所にブロアから排出されたガスを送風するダクト30を備えている。
本実施の形態によれば、通常運転時の除熱能力と異常時の過圧防止能力を適正化しやすく、性能あたりのコストの安い原子炉格納容器の過圧防止装置を提供することができる。
本実施の形態によれば、通常運転時の除熱能力と異常時の過圧防止能力を適正化しやすく、性能あたりのコストの安い原子炉格納容器の過圧防止装置を提供することができる。
1…原子炉格納容器、2…原子炉圧力容器、3…上部ドライウェル、4…下部ドライウェル、5…ウェットウェル、5a…サプレッションプール、6…ベント管、7…原子炉炉心、8…生体遮蔽壁、9…主蒸気管、10…再結合器、10a…入口弁、10b…出口弁、11…ブロア、12…格納容器スプレイ、13…格納容器ベントライン、14…スタック、15…蒸気配管、16…伝熱管、17…プール水、18…炉心注水配管、19…凝縮水戻り配管、20…ブロア、21…弁、22…弁、23…不凝縮性ガス配管、24…反応器、25…熱交換器、26…アンモニア排出配管、27…復水器、28…冷却槽、29…出口側配管、30…可燃性ガス濃度制御装置、31…ベント弁、32…ダクト、33…ヘッダ、34,35…弁、40…原子炉格納容器過圧防止装置(ユニットA)、41…原子炉格納容器過圧防止装置(ユニットB)。
Claims (5)
- 原子炉格納容器内の雰囲気を冷却して蒸気を凝縮させる復水器と、前記復水器の出口側配管上に設けられたブロアおよび前記ブロアの下流に設けられた弁と、前記ブロアと前記弁との間で前記出口側配管から分岐した不凝縮性ガス配管と、前記不凝縮性ガス配管上に弁を介して接続され窒素と水素を反応させてアンモニアを生成する反応器と、前記反応器から排出されるアンモニアガスを冷却する熱交換器と、前記熱交換器の出口と原子炉のサプレッションプールを結ぶアンモニア排出配管とを備えていることを特徴とする原子炉格納容器の過圧防止装置。
- 前記復水器を収容する冷却槽の冷却流体を冷却するための熱交換器が設置されていることを特徴とする請求項1記載の原子炉格納容器の過圧防止装置。
- 前記反応器の上流に水蒸気分離膜が設けられていることを特徴とする請求項1乃至2記載の原子炉格納容器の過圧防止装置。
- 原子炉格納容器内の雰囲気を冷却して蒸気を凝縮させる復水器と、前記復水器の出口側配管上に設けられたブロアおよび前記ブロアの下流に設けられた弁とを備えた原子炉格納容器の過圧防止装置をユニットBとし、請求項1乃至3に記載の原子炉格納容器の過圧防止装置をユニットAとしてユニットA,Bから構成され、ユニットAの数は前記反応器の処理能力に応じて決定され、ユニットBの数は、ユニットAの寄与も含めて通常運転時に必要な除熱能力に応じて決定されていることを特徴とする原子炉格納容器の過圧防止装置。
- 原子炉格納容器内の雰囲気を冷却して凝縮水をサプレッションプールへ戻すとともに、凝縮しなかったガス中の水素を窒素と反応させアンモニアを生成させてサプレッションプールへ戻すことを特徴とする原子炉格納容器の過圧防止方法。
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