JP2016008496A - 制震装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄型の制震装置を提供する。【解決手段】制震装置100の下側伝達部材40は、下側固定部43、44と、制震ユニット10の一対の取付部14に固定された第2ユニット側固定部47と、第2ユニット側固定部47から下方に延びた先端が、下側固定部43、44に連結されたブレース41、42とを備える。制震ユニット10に対して上側伝達部材30と下側伝達部材40とが取り付けられた上下方向Xと、制震部材15に入力されるせん断変位の方向Yとに直交する、制震装置100の厚さ方向において、ブレース41、42の中間位置Cの上側が、当該ブレース41、42の中間位置Cの下側よりも薄い。【選択図】図2

Description

本発明は制震装置に関する。
建物に取り付けられた制震装置は、例えば、特開2009−293658号公報に開示されている。同公報の制震装置は、制震ユニットと、建物に生じたせん断変形を制震ユニットに伝達する伝達機構とを備えている。伝達機構は、建物の上横軸材(例えば、天井梁)に取り付けられた上側伝達部材と、建物の下横軸材(例えば、土台)に取り付けられた下側伝達部材とを備えている。下側伝達部材は、制震ユニットに接続された部位から、互いの間隔が徐々に拡がるように斜め下方に延びた2本のブレースを有しており、2本のブレースの下端が建物の土台に締結されている。
特開2009−293658号公報
ところで、上記構成の制震装置は、建物の矩形の枠組みに取り付けられている。ここで、建物の矩形の枠組みは、例えば、木造軸組工法や、木造枠組壁工法などで、建物の土台と、土台に取り付けられた一対の柱と、柱に架設された天井梁で囲まれた空間である。かかる矩形の枠組みには、適宜に間柱が取り付けられる。これに対して、制震装置は、かかる矩形の枠組みに収められ、かつ、例えば、間柱を取り付け可能なように薄くすることが求められる。
ここで提案される制震装置は、制震ユニットと、上側伝達部材と、下側伝達部材とを備える。制震ユニットは、制震部材と、制震部材に取付けられ、かつ、制震部材に相対的なせん断変位を入力する一対の取付部とを備える。上側伝達部材は、上側固定部と、制震ユニットの一対の取付部のうち一方の取付部に固定された第1ユニット側固定部とを備える。下側伝達部材は、下側固定部と、制震ユニットの一対の取付部のうち他方の取付部に固定された第2ユニット側固定部と、第2ユニット側固定部から下方に延びた先端が、下側固定部に連結されたブレースとを備える。そして、制震ユニットに対して上側伝達部材と下側伝達部材とが取り付けられた上下方向と、制震部材に入力されるせん断変位の方向とに直交する、制震装置の厚さ方向において、ブレースの中間位置の上側が、当該ブレースの中間位置の下側よりも薄い。なお、本明細書において「中間位置」とは、ブレースの一端部と他端部との間に予め設定された位置という意味であり、一端部と他端部との間を2等分した位置を意味するものではない。
かかる制震装置によれば、制震装置の厚さ方向において、ブレースの中間位置の上側が下側よりも薄いので、ブレースの中間位置よりも上側において制震装置が薄く構成される。そのため、薄い壁にも制震装置を設置しやすくなる。また、ブレースの中間位置の下側が上側よりも厚いので、地震時に強い押し付け力(圧縮力)が作用するブレースの下側において十分な強度が確保される。
また、ブレースは、下側固定部に連結された下パイプと、第2ユニット側固定部に連結された上パイプとから構成されていてもよい。この場合、上パイプは、下パイプの内側に挿入可能な外形を有していてもよい。また、上パイプの下端部が下パイプの上端部の内側に差し込まれて接合されていてもよい。このように外形が大小異なる2本のパイプを用いることによって、ブレースの上側のみ、ブレースを薄くする構成が簡易に実現される。また、上パイプの下端部を下パイプの上端部の内側に差し込んで接合することによって、両パイプの継ぎ目に所要の強度が確保される。
また、上パイプと下パイプとは、当該下パイプの上端縁と当該上パイプの外周面とがパイプの全周に亘って溶接されていてもよい。この場合、上パイプと下パイプとが簡易に接合され得る。
また、上パイプが下パイプに差し込まれた部位において、下パイプの外周面には孔が形成されていてもよい。また、下パイプと上パイプとは、当該下パイプの孔の内周縁と上パイプの外周面とが溶接されていてもよい。かかる構成によると、上パイプと下パイプとがより強固に接合され得る。
また、下パイプは、角パイプであってもよい。この場合、下パイプの孔は、角パイプを構成する4つの側面部の各々に形成されていてもよい。この場合、溶接箇所も多く、当該部位の接合強度を十分に強くすることができる。
また、ブレースは、第2ユニット側固定部から離れるにつれて互いの間隔が徐々に拡がった2本のブレースを有していていもよい。この場合、2本のブレースの間において、上下方向に配置される間柱を備えていてもよい。ここで、間柱は、一対の取付部、上側伝達部材および下側伝達部材が存在する領域に、切り欠きが形成されていてもよい。さらに、ブレースの中間位置が、間柱の切り欠きの下端よりも下方に位置していてもよい。
また、制震装置の厚さ方向とブレースの長手方向とに直交するブレースの幅方向において、ブレースの中間位置の上側の幅が、当該ブレースの中間位置の下側の幅よりも小さくてもよい。このようにブレースの上側の幅を下側の幅よりも小さくすることによって、地震時に間柱が傾いた際に、間柱とブレースとが干渉しにくい。
また、上側固定部の上端からブレースの中間位置までの長さL1と、下側固定部の下端から前記ブレースの中間位置までの長さL2との関係が、次式:1<(L1/L2)≦3を満たしてもよい。このようにブレースの中間位置の上側と下側の長さL1、L2を適切に設定することによって、地震時に間柱が傾いた際に、間柱とブレースとの干渉をより確実に回避し得る。
図1は、制震装置100が取り付けられた建物200の壁の構造を示す正面図である。 図2は、制震装置100を示す正面図である。 図3は、制震ユニット10を拡大した図である。 図4は、図3の右側面図である。 図5は、図3のV−V断面矢視図である。 図6は、制震ユニットにせん断変形が作用した状態を示す模式図である。 図7は、制震ユニット10が描くヒステリシスループの概略図である。 図8は、上側伝達部材30の底面図である。 図9は、下側伝達部材の正面図である。 図10は、図9のX―X断面矢視図である。 図11は、第2ユニット側固定部47の下面を描いた底面図である。 図12は、上パイプと下パイプの接合構造を示す図である。 図13は、図12のXIII−XIII断面である。 図14は、左側の基部43を示す拡大図である。 図15(a)、(b)は、制震装置100が取り付けられた建物200について、天井梁50と土台60とが水平方向に相対的に変位した状態を示す図である。 図16は、間柱80の側面図である。 図17は、断熱材の配置箇所を示す図である。
以下、本発明の一実施形態に係る制震装置を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。また、同じ作用を奏する部材または部位には、適宜に同じ符号を付している。また、各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、各図面は、一例を示すのみであり、特に言及されない限りにおいて本発明を限定しない。
《建物200》
図1は、制震装置100が取り付けられた建物200の壁の構造を示す正面図である。ここで、建物200は、例えば、木造軸組工法と、枠組壁工法(ツーバイフォー工法とも称される)のような枠組み工法によって建てられた木造住宅が例示されうる。
例えば、いわゆる木造軸組工法では、土台と、一対の柱と、梁とで囲まれた矩形の枠組みが構築される。また、いわゆる枠組壁工法では、例えば、2インチ×4インチあるいはその整数倍の断面の木材で木枠を作り、その上に合板などを釘打ちで止めつけて壁が組み立てられている。枠組壁工法には、いわゆる2×6、2×10、4×4、2×8などの断面の木材が用いられる場合もあり、必ずしも2インチ×4インチあるいはその整数倍の断面の木材に限定されるものではない。ここで提案される制震装置は、かかる木造軸組工法および枠組壁工法の何れにも取り付けられうる。この場合、かかる枠組壁工法によって建てられた建物に対しては、壁を構築する木枠に取り付けられうる。例えば、制震装置100は、一対の縦軸材(柱)に相当する竪枠と、一対の横軸材に相当する上枠と、下枠とで囲まれた矩形の枠組みに取り付けられる。なお、枠組壁工法では、後述する間柱は、一対の縦軸材(柱)とは区別されるが、竪枠として扱われうる。
《矩形の枠組み204》
図1に示す例では、建物200は、梁50に取り付けられた上枠50aと、土台60に取り付けられた下枠60aと、柱70a、70bとで囲まれた矩形の枠組み204を備えている。ここで、梁50と土台60と、柱70a、70bは、それぞれ建物200の構造材である。ここで、梁50と土台60は、上下に対向する梁である。なお、図1に示す例では、梁50の下面には、上枠50aおよび頭つなぎ50bが取付けられている。また、土台60の上面には、下枠60aが取付けられている。
この実施形態では、制震装置100は、建物200の1階に取り付けられている。建物200の1階では、コンクリート基礎202の上には、土台60と、基礎パッキン107と、下枠60aとが順に取り付けられている。土台60と、基礎パッキン107と、下枠60aとは、それぞれコンクリート基礎202に埋め込まれたアンカーボルト105が挿通される挿通孔を有しており、アンカーボルト105に装着されている。ここで、基礎パッキン107の厚さは、20mm程度であり、コンクリート基礎202内の通気を確保するために取り付けられている。また、梁50は天井梁(2階建ての住宅では、2階床梁とも称される)であり、以下、適宜に、「天井梁50」という。ここでは、梁50の下面に上枠50aが取り付けられている。柱70a、70bは、土台60に取り付けられた下枠60aと、梁50に取り付けられた上枠50aとの間に取り付けられている。ここで、柱70a、70b、下枠60aおよび上枠50aは、当該凡そ90mm(例えば、89mm)である。なお、基礎パッキン107の厚さや、柱70a、70b、下枠60aおよび上枠50aの寸法は、特に、上記に限定されるものではない。また、図示例では、基礎パッキン107を備えているが、基礎パッキン107は無くてもよい。
ここでは、建物200の矩形の枠組み204は、例えば、土台60(下枠60a)と、天井梁50(上枠50a)と、土台60から立ち上がり、天井梁50を支持する建物200の1階の柱70a、70bとで囲まれた枠組である。制震装置100は、かかる矩形の枠組み204内に配置される。なお、ここでは、制震装置100が配置される建物200の矩形の枠組み204の一例が示されているに過ぎず、制震装置100が配置される建物200の矩形の枠組み204は、ここでの例示に限定されない。
《制震装置100》
次に、制震装置100を説明する。図2は、制震装置100を示す正面図である。図3は、制震ユニット10を拡大した図である。図4は、図3の右側面図である。図5は、図3のV−V断面矢視図である。図6は、制震ユニットにせん断変形が作用した状態を示す模式図である。図7は、制震ユニット10が描くヒステリシスループの概略図である。制震装置100は、図2から図5に示すように、一対のプレート(12、13)、14と、弾性部材15、16と、上側伝達部材30と、下側伝達部材40とを備えている。また、この実施形態では、制震装置100は間柱80を備えている。
《制震ユニット10》
ここでは、制震ユニット10の好適な一例を説明する。ここで例示される制震ユニット10は、図3から図5に示すように、粘弾性体15、16と、粘弾性体15、16に相対的な変位が入力される一対のプレート(12、13)、14とを備えている。
〈プレート12、13、14〉
ここで、一対のプレート(12、13)、14は、それぞれ所要の剛性を有する鋼板である。一対のプレート(12、13)、14は、プレート12、13がプレート14を挟んで、プレート14に対向するように配置されている。プレート12、13は、略長方形の鋼板である。この実施形態では、プレート12、13は、長辺の一片が円弧状に膨らんだ曲線であり、それぞれ向きを揃えて平行に配置されている。プレート14は、長方形である。プレート14の長手方向片側は、プレート12とプレート13の間に配置されている。プレート14の反対側は、プレート12とプレート13の円弧状に膨らんだ一辺からはみ出るように延びている。
つまり、プレート14の長手方向の片側は、プレート12とプレート13が対向する領域に対して介在している。プレート14の長手方向の反対側は当該領域からはみ出ている。当該領域からはみ出たプレート14の一端には、プレート14に直交するようにフランジ17が設けられている。この実施形態では、フランジ17は、プレート14の一端に溶接されている。フランジ17は、プレート14の一端よりも長い、細長い長方形の板材である。当該フランジ17には、プレート14の一端からはみ出た両側にボルト18を挿通するための挿通孔(図示省略)が形成されている。また、プレート12とプレート13の長手方向の両側は、それぞれプレート14が介在した領域からはみ出ている。図6に示すように、プレート14が重なった領域からはみ出た部位には、ボルト37(図3および図5参照)を挿通するための挿通孔22が形成されている。
<粘弾性体15、16>
粘弾性体15、16は、対向するプレート12、13、14の間に配置され、各プレートにそれぞれ接着されている。この実施形態では、粘弾性体15、16は、それぞれ矩形の平板状に成形されている。粘弾性体15、16は、プレート12、13、14の法線方向から見て、プレート12、13、14が重なった四角形の領域内にそれぞれ配置されている。ここで、粘弾性体15は、プレート12とプレート14の間に配置され、それぞれに接着されている。粘弾性体16は、プレート13とプレート14の間に配置され、それぞれに接着されている。粘弾性体15、16は、例えば、高減衰性を有する粘弾性ゴム(制震ゴム)で構成されている。粘弾性体15、16と、プレート12、13、14とは、それぞれ加硫接着によって接着されている。
なお、粘弾性体15、16として用いられる高減衰性を有する粘弾性ゴム(制震ゴム)には、例えば、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム素材(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、クロロプレンゴム(CR)のゴム素材に、高減衰性を発揮する添加剤を加えて生成された高減衰性ゴム組成物を用いることができる。高減衰性を発揮する添加剤としては、例えば、カーボンブラックなど、種々の添加剤が知られている。
〈ヒステリシスループH〉
ここで、制震ユニット10は、図6に示すように、プレート12およびプレート13に対してプレート14が平行移動すると、粘弾性体15、16にせん断変形が生じる。このとき、粘弾性体15、16に生じたせん断変位と、せん断荷重との関係から、図7に示すようなヒステリシスループH(実測ヒステリシス曲線)が描かれる。図7中、横軸はせん断方向の変位を示し、縦軸はその際のせん断荷重を示している。かかるヒステリシスループHによれば、せん断変位の増加につれてせん断荷重が高くなり、粘弾性体15、16の抵抗力が大きくなることが分かる。この粘弾性体15、16は、せん断変形を伴う振動を受けると、一周期毎に、当該ヒステリシスループHで囲まれたエネルギに相当するエネルギを吸収し得る。
この制震ユニット10は、上述したように、粘弾性体15、16と、一対のプレート(12、13)、14とを備えている。ここで、粘弾性体15、16が制震部材として機能し、かつ、プレート(12、13)とプレート14とが、粘弾性体15、16に相対的な変位が入力される一対の取付部として機能する。プレート(12、13)とプレート14とのうち一対の取付部として機能する部位は、一対のプレート(12、13)とプレート14とが互いに重なった領域からはみ出た部位にそれぞれ設けられている。具体的には、プレート(12、13)においては、当該部位に形成された、ボルト37(図3および図5参照)を挿通するための挿通孔22が取付部として機能する。また、プレート14においては、プレート(12、13)が重なった領域からはみ出た端部に設けられたフランジ17(さらに具体的には、当該フランジに形成された、ボルト18を挿通させるための挿通孔)が取付部として機能する。
ここでは、プレート12とプレート13の取付部に上側伝達部材30が連結され、プレート14の取付部(フランジ17)に下側伝達部材40が連結される。これにより、上側伝達部材30と下側伝達部材40とを通じて、建物200の梁50と土台60に生じた相対的なせん断変位(ここでは、土台60に対する梁50の水平方向の変位)が一対のプレート(12、13)、14に伝達される。そして、一対のプレート(12、13)、14に伝達されたせん断変位に相当するせん断変位が、制震部材としての粘弾性体15、16に入力される。
以上、ここでは、制震ユニット10の好適例として、粘弾性体15、16をプレート12、13と、プレート14とで挟んだ形態を説明した。この場合、粘弾性体15、16が制震部材として機能し、かつ、プレート(12、13)とプレート14とが、粘弾性体15、16に相対的な変位が入力される一対の取付部として機能する。かかる制震ユニット10は、プレート12、13と、プレート14とのせん断変位を粘弾性体15、16のせん断変形に変換して、せん断変形を生じさせるエネルギを吸収する。これに対して、制震ユニット10は、かかる形態に限らず、例えば、ピストンシリンダ型のダンパでもよい。しかし、装置全体を薄く構成できるという観点において、上述したようにプレート状の粘弾性体を一対のプレートで挟んだ形態が好ましい。
《上側伝達部材30、下側伝達部材40》
この実施形態では、制震ユニット10は、上側伝達部材30と下側伝達部材40を介して建物200に取り付けられている。上側伝達部材30と下側伝達部材40は、建物200の上枠50aと下枠60aに取り付けられ、建物200に生じたせん断変位を制震ユニット10に伝達する。以下、上側伝達部材30と下側伝達部材40を説明する。
《上側伝達部材30》
上側伝達部材30は、図2に示すように、上側固定部31と、第1ユニット側固定部32、33とを備えている。上側固定部31は、建物200の梁50(ここでは上枠50a)に固定される部位である。第1ユニット側固定部32、33は、制震ユニット10の一対の取付部のうち一方の取付部に固定される部位である。この実施形態では、上側伝達部材30は、制震ユニット10の対向する一対のプレート(12、13)、14のうち、一方のプレート(12、13)と、梁50とに接続される部材である。この実施形態では、上側伝達部材30は、上側固定部31として機能するベース31と、第1ユニット側固定部32、33として機能する取付片32、33とを備えている。
〈ベース31〉
図8は、上側伝達部材30の底面図(上枠50aに取り付けられた状態において下から見た図)である。この実施形態では、ベース31は、図8に示すように、制震ユニット10のプレート12、13よりも長い略長方形の板状の部材であり、上枠50aに取り付けられる。取付片32、33は、ベース31よりも短い長方形の板材であり、ベース31に設けられている。取付片32、33は、制震ユニット10のプレート12、13が取り付けられる部位であり、ベース31の中間部において所要の間隔を空けて取り付けられている。また、ベース31は、取付片32、33が設けられた部位の間で幅が狭くなっている。かかる取付片32、33の中間部は、間柱80を取り付ける際の間柱80の端部を配置するスペースになる。ベース31は、取付片32、33が設けられた部位からさらに両側に延びている。当該両側部には、上枠50aに取り付けるボルト孔31aが形成されている。
〈取付片32、33〉
ここで、取付片32、33は、それぞれベース31の幅方向の中央部において、取付片32、33の短辺をベース31の長さ方向に合わせ、ベース31に直交させ、かつ、ベース31から突出するように設けられている。ベース31は、図1に示すように、長さ方向を上枠50aの長さ方向に合わせ、上枠50aの下面に取り付けられる。取付片32、33は、上枠50aの下面に取り付けられたベース31から下方に延びた状態になる。ベース31および取付片32、33は、所要の剛性を備えている。取付片32、33の間隔は、制震ユニット10のプレート14および粘弾性体15、16が収まるのに十分で、かつ、プレート12、13の長さ方向の両側部にそれぞれ取り付けられるように設定されている。取付片32、33には、プレート12、13が取り付けられる。プレート12、13が取り付けられる部位には、ボルト37を挿通させるためのボス32a、33aがそれぞれ設けられている。
〈上側伝達部材30と上枠50aとの取り付け〉
上側伝達部材30は、図1に示すように、建物200の矩形の枠組み204内において、ベース31を上枠50aの下面に沿って配置される。そして、上側伝達部材30は、ベース31に形成されたボルト孔31a(図8参照)に取り付けられる締結具(例えば、ラグスクリューボルトやビス)によって、上枠50aの予め定められた位置に固定される。
〈プレート12、13と上側伝達部材30との取り付け〉
この実施形態では、図2および図5に示すように、制震ユニット10のプレート14および粘弾性体15、16は、上側伝達部材30の取付片32、33の間に配置されている。また、プレート12、13は、上側伝達部材30の取付片32、33に取り付けられている。上側伝達部材30の取付片32、33の間隔は、上記プレート14および粘弾性体15、16が、粘弾性体15、16の変形量を考慮して十分に収まる間隔を有している。
取付片32、33とプレート12、13との間隙には、ボス32a、33aが収まっている。取付片32、33のボス32a、33aは、それぞれ挿通孔34、35を有している。そして、取付片32、33とプレート12、13は、互いの挿通孔22、34、35(図6および図8参照)の位置が合わされている。そして、当該挿通孔22、34、35にボルト37を挿通し、ナット38(図4参照)を締結することによって、取付片32、33とプレート12、13とは、接合されている。ここで、ボス32a、33aは、プレート12、13の間隔を適切に保つ。また、取付片32、33およびボス32a、33aには、粘弾性体15、16に過度に大きな変形が入力された場合にプレート14が当たる。このため、取付片32、33およびボス32a、33aは、粘弾性体15、16が過度に大きく変形するのを規制するストッパとして機能しうる。
《下側伝達部材40》
図9は、下側伝達部材40の正面図である。図10は、図9のX―X断面矢視図である。下側伝達部材40は、図9および図10に示すように、下側固定部43、44と、第2ユニット側固定部47と、ブレース41、42とを備えている。下側固定部43、44は、図1に示すように、建物200の土台60(ここでは下枠60a)に固定される部位である。第2ユニット側固定部47は、制震ユニット10の一対の取付部のうち他方の取付部に固定される部位である。この実施形態では、下側伝達部材40は、制震ユニット10の対向する一対のプレート(12、13)、14のうち他方のプレート14と、土台60とに接続された部材である。
〈第2ユニット側固定部47〉
ここで、第2ユニット側固定部47は、図3に示すように、制震ユニット10のうちプレート14に固定される部位である。プレート14の端部には、上述したように、プレート14に直交するようにフランジ17が設けられている。フランジ17は、プレート14の一端よりも長い、細長い長方形の板材である。フランジ17の両端部には、ボルト18を挿通させる挿通孔(図示省略)が形成されている。第2ユニット側固定部47は、かかるプレート14のフランジ17と同様に、細長い長方形の板材である(図11参照)。第2ユニット側固定部47の両端部には、フランジ17に形成された挿通孔と同じ間隔で、ボルト18を挿通させる挿通孔47aが形成されている。かかる第2ユニット側固定部47は、図3に示すように、互いの挿通孔の位置が合うようにプレート14のフランジ17に重ねられる。そして、第2ユニット側固定部47は、フランジ17の挿通孔に、位置を合わされた挿通孔47aにボルト18を取付け、ナット20で締結することによってフランジ17に固定されている。かかる第2ユニット側固定部47には、ブレース41、42が連結されている。
〈ブレース41、42〉
ここで、ブレース41、42は、軸材である。ブレース41、42の上端は、第2ユニット側固定部47の下面に連結されている。また、ブレース41、42の下端は、下側固定部43、44に連結されている。
〈ブレース41、42と第2ユニット側固定部47との接合部〉
ここで、ブレース41、42の上端は、第2ユニット側固定部47の下面に接合されている。ブレース41、42の上端と、第2ユニット側固定部47の下面とが接合された角部には、リブ48が設けられている。ここで、リブ48は、制震部材としての粘弾性体15、16に入力されるせん断変位の方向Y(図2参照)に向いたブレース41、42の上端部の側面と、第2ユニット側固定部47の下面とに架け渡されている。そして、リブ48は、ブレース41、42の上端部の側面と、第2ユニット側固定部47の下面とに接合されている。
この場合、ブレース41、42の上端と、第2ユニット側固定部47の下面とが接合された角部にリブ48が設けられているので、ブレース41、42と第2ユニット側固定部47との接合部を補強でき、当該部位に所用の強度を確保することができる。さらに、ブレース41、42に対してリブ48、49が設けられる側面が、制震部材としての粘弾性体15、16に入力されるせん断変位の方向Y(図2参照)に向いた面である。そして、リブ48、49は、当該ブレース41、42の上端部の側面と、第2ユニット側固定部47の下面とに接合されている。このため、制震ユニット10に入力されるせん断変位方向に直交する方向(ここでは、矩形の枠組み204の厚さ方向)において当該ブレース41、42の上端部と第2ユニット側固定部47との接合部の厚さが薄く抑えることができる。このため、制震装置100において、当該接合部に所用の強度を確保しつつ、当該接合部を薄くできる。このため、制震装置100全体を薄くすることに寄与するとともに、後述する間柱80が取付けられる部位についても薄くできる。
ここで、図11は、第2ユニット側固定部47の下面を描いた底面図である。ここでは、第2ユニット側固定部47の下面に接合されるブレース41、42およびリブ48、49が断面で示されている。第2ユニット側固定部47の下面に接合した、ブレース41、42およびリブ48、49の端面の外周縁は、第2ユニット側固定部47の下面に接合されている。当該接合部位には矢印W1が付されている。
ここで、この実施形態では、図11に示すように、ブレース41、42は、パイプ状の部材である。当該ブレース41、42の上端は、第2ユニット側固定部47の下面に当てて溶接されている。この実施形態では、さらに、第2ユニット側固定部47の下面に当てられたブレース41、42の上端は、全周が溶接されている。これにより、ブレース41、42と第2ユニット側固定部47の溶接箇所は、広く確保されている。ここでは、ブレース41、42の上端の外周縁と、第2ユニット側固定部47の下面とが全周にわたって溶接されている。
さらに、この実施形態では、ブレース41、42は、角パイプであり、対向する一対の側面をせん断変位の方向Y(図3参照)に向けて、第2ユニット側固定部47に接合されている。ブレース41、42を角パイプとすることによって、ブレース41、42が丸パイプである場合に比べて、ブレース41、42を矩形の枠組み204の厚さ方向において薄くしつつ、第2ユニット側固定部47の下面との接合面積を広く確保することができる。
また、ここでは、ブレース41、42は、2本のブレースを備えている。2本のブレース41、42の上端は、図3に示すように、第2ユニット側固定部47の下面に間隔を空けて配置されている。リブ48は、当該2本のブレース41、42の間に配置され、2本のブレース41、42の上端部と、第2ユニット側固定部47の下面とにそれぞれ接合されている。ここでリブ48は、第2ユニット側固定部47の下面47と、2本のブレース41、42の上端部とで囲まれる領域に合致する形状に切り出された鋼板である。そして、第2ユニット側固定部47の下面47と、2本のブレース41、42の上端部とで囲まれる領域に嵌められている。かかるリブ48の周縁は、2本のブレース41、42の上端部の内側の側面と、第2ユニット側固定部47の下面とに接した部位が、第2ユニット側固定部47の下面47および2本のブレース41、42の上端部にそれぞれ溶接されている。かかるリブ48を取付けることによって、第2ユニット側固定部47の下面と2本のブレース41、42の上端とを、強固に接合することができる。
また、この実施形態では、2本のブレース41、42の外側にもリブ49が設けられている。ここでは、リブ48は、上述したせん断変位の方向Yにおいて、2本のブレース41、42の両方の外側にそれぞれ設けられている。かかるリブ49は、2本のブレース41、42の両方の外側において、第2ユニット側固定部47の下面47と、ブレース41またはブレース42の上端部の側面とに合致する形状に切り出された鋼板である。そして、2本のブレース41、42の両方の外側において、第2ユニット側固定部47の下面47と、ブレース41またはブレース42の上端部の側面とに合致するように、それぞれ嵌め合わされている。当該リブ49の周縁は、それぞれ第2ユニット側固定部47の下面47と、ブレース41またはブレース42の上端部の側面とに溶接されている。これにより、2本のブレース41、42の両方の外側において、第2ユニット側固定部47の下面47と、ブレース41またはブレース42の上端部との接合強度を確保できる。そして、第2ユニット側固定部47の下面と2本のブレース41、42の上端とを、強固に接合することができる。
このように、リブ48、49は、鋼板からなる部材であってもよい。この場合、リブ48、49を薄く構成し、かつ、所用の強度を確保することができる。また、リブ48、49は、上述したようにブレース41、42と第2ユニット側固定部47とにそれぞれ溶接されていてもよい。溶接によれば、より強固な強度を確保することができる。また、ブレース41、42と第2ユニット側固定部47との接合部が固着され、動かないので、下側伝達部材40によってより適切な相対変位を、制震ユニット10に伝達することができる。即ち、ブレース41、42と第2ユニット側固定部47との接合部がボルトナットのような接合手段で接合されている場合に比べて、当該接合部の動きがなくなるので、下側伝達部材40は、制震ユニット10により適切な相対変位を伝達できる。
〈ブレース41、42の構造〉
次に、この実施形態における、ブレース41、42の構造をより詳しく説明する。
この実施形態では、ブレース41、42は、ブレース41、42は、図2に示すように、フランジ17から離れるにつれて互いの間隔が徐々に拡がった2本のブレースで構成されている。また、ブレース41、42の長さ方向の中間には、ブレース41、42間に架け渡されたブリッジ45が取り付けられている。この実施形態では、ブリッジ45は、角パイプで構成されており、その両端は、2本のブレース41、42の側面に接合されている。ここでは、ブリッジ45は、2本のブレース41、42にそれぞれ溶接されており、固着している。なお、図示された例では、ブリッジ45は一本であるが、複数本のブリッジ45が、ブレース41、42間に設けられていてもよい。この実施形態では、ブリッジ45が中空の部材で有り、所用の強度を確保するとともに、軽量化が図られている。また、ブリッジ45の両端を2本のブレース41、42に溶接し、固着することによって、2本のブレース41、42の間隔を強固に確保することができる。また、この場合、上述したように、2本のブレース41、42と第2ユニット側固定部47との接合部が溶接されていることに合わせて、2本のブレース41、42の間隔に架設したブリッジ45が2本のブレース41、42に溶接されている。このため、下側伝達部材40の剛性が高く、下側伝達部材40によってより適切な相対変位を、制震ユニット10に伝達することができる。
さらに、この実施形態では、ブレース41、42は、図9および図10に示すように、下パイプ41B、42Bの上端部と、上パイプ41A、42Aの下端部とを接合した構造を備えている。ここで、上パイプ41A、42Aは、下パイプ41B、42Bの内側に挿入可能程度に細いパイプである。そして、上パイプ41A、42Aの下端部が下パイプ41B、42Bの上端部の内側に差し込まれて接合されている。
図12は、左側のブレース41について、上パイプ41Aと下パイプ41Bとの接続構造を示している。図13は、図12のXIII−XIII断面図である。右側のブレース42も同様の構造を有する。
上パイプ41Aおよび下パイプ41Bは、図12および図13に示すように、横断面が矩形の角パイプである。この実施形態では、上パイプ41Aの下端部が下パイプ41Bの上端部の内側に差し込まれている。そして、重なり合った状態で、下パイプ41Bの上端縁41Baと上パイプ41Aの外周面とが当該パイプ41A、41Bの全周に亘って溶接されている。図12中の当該溶接箇所には、矢印P1が付されている。
また、上パイプ41Aが下パイプ41Bに差し込まれた部位において、下パイプ41Bの外周面には孔41Bbが形成されている。そして、下パイプ41Bと上パイプ41Aとは、当該下パイプ41Bの孔41Bbの内周縁と上パイプ41Aの外周面とが溶接されている。図12中の当該溶接箇所には、矢印P2が付されている。
さらに、この実施形態では、下パイプ41Bの孔41Bbは、角パイプを構成する4つの側面部41Bcの各々に形成されている。そして、各々の側面部41Bcに形成された孔41Bbの内周縁と、上パイプ41Aの外周面とが、それぞれ溶接されている。図12中の当該溶接箇所には、矢印P2が付されている。
なお、図示された例では、孔41Bbは側面部41Bcに1つであるが、複数の孔41Bbが、下パイプ41Bの側面部41Bcの各々に設けられていてもよい。また、この実施形態では、接合手段が溶接である場合を例示しているが、これに限定されない。例えば、上パイプ41Aと下パイプ41Bとが、接着により接合されてもよい。
この実施形態では、そして、反対側の端部には、基部43、44が設けられている。基部43、44は、矩形の枠組み204(この実施形態では、下枠60a)に取り付けられる部位である。この実施形態では、左右のブレース41、42には、それぞれ基部43、44が独立して設けられている。
〈基部43、44〉
次に、下側伝達部材40の基部43、44を説明する。図14は、左側の基部43を図示している。図9に示すように、右側の基部44も左側の基部43と同様の構造を有する。基部43、44は、図9および図14に示すように、ベース部43a、44aと、フランジ部43b、44bとを備えている。ベース部43a、44aは、下枠60aに沿って取り付けられる部位である。この実施形態では、ベース部43aは、ブレース41、42の下端部41b、42bの下側において、ブレース41、42の下端41b1、42b1に対向するように配置される。フランジ部43b、44bは、ベース部43a、44aから立ち上がっている。この実施形態では、フランジ部43b、44bは、それぞれ当該ブレース41、42の下端部41b、42bを挟むように、ベース部43aの両側に設けられている。図14ではベース部43aの前面のフランジ部43bを一部切り欠いて背面側のフランジ部43bが図示されている。ブレース41、42の当該下端部41b、42bは、前面と背面のフランジ部43b、44bにそれぞれ溶接されている。
図1に示すように、ベース部43a、44aは、コンクリート基礎202に埋設されたアンカーボルト105に取り付けられる。このため、図14に示すように、ベース部43aには、アンカーボルト105を挿通する挿通孔43a1が設けられている。アンカーボルト105を挿通する挿通孔43a1は、例えば、ベース部43aの長手方向に長い長孔であるとよい。また、当該挿通孔43a1の周囲には、ベース部43aを補強する補強板43cが取り付けられている。また、ベース部43aには、下枠60aと締結するための締結具(例えば、ボルト(図1に示された例では、ラグスクリューボルト106))を挿通するための挿通孔43a2が設けられている。なお、図示例では、ベース部43aに補強板43cが取り付けられているが、例えば、ベース部43aに所要の強度が確保されている場合には補強板43cは取り付けられていなくてもよい。
また、この実施形態では、2本のブレース41、42の下端部41b、42bは、離れて配置されている。基部43、44のベース部43a、44aは、2本のブレース41、42の下端部41b、42bがフランジ部43b、44bに接合された部位よりも、外側において、アンカーボルト105が取付けられている。つまり、アンカーボルト105は、離れて配置される2本のブレース41、42の下端部41b、42bの外側において、ベース部43a、44aに取付けられている。ベース部43a、44aは、2本のブレース41、42の下端部41b、42bがフランジ部43b、44bに接合された部位より、離れて配置される2本のブレース41、42の下端部41b、42bの内側に長く延びている。この場合、下側伝達部材40がせん断変位を伝達する場合に、アンカーボルト105が取付けられた部位に近い部位や、2本のブレース41、42の下端部41b、42bに近い部位は、大きな力が作用する。これに対して、離れて配置される2本のブレース41、42の下端部41b、42bの内側ほど、2本のブレース41、42の下端部41b、42bやアンカーボルト105から遠くなり、ベース部43a、44aに作用する力は小さい。
このため、離れて配置される2本のブレース41、42の下端部41b、42bの内側にベース部43a、44aを長く延ばすほど、ベース部43a、44aを安定して下枠60aに取付けることができる。そして、このように、離れて配置される2本のブレース41、42の下端部41b、42bの内側に長くベース部43a、44aを延ばした場合には、当該内側ほどベース部43a、44aに作用する力は小さく、フランジ部43b、44bに作用する力も小さい。このため、当該内側ほど、フランジ部43b、44bの高さを低くしてもよい。
つまり、この実施形態では、離れて配置される2本のブレース41、42の下端部41b、42bに取付けられた部位では、フランジ部43b、44bは高くなっている。これにより、2本のブレース41、42の下端部41b、42bがフランジ部43b、44bに溶接される面積を広く確保できる。これに対して、フランジ部43b、44bは、離れて配置される2本のブレース41、42の内側に向けて徐々に低くなっている。離れて配置される2本のブレース41、42の内側ほど、フランジ部43b、44bに作用する力は小さいので、当該部位でフランジ部43b、44bが低くしても、所用の剛性を確保することができる。また、このようにフランジ部43b、44bの内側が徐々に低くなっているので、基部43、44(下側伝達部材40)の軽量化を図ることができる。
《制震装置100の取り付け構造》
この制震装置100は、図2に示すように、制震ユニット10と、上側伝達部材30と、下側伝達部材40とを備えている。かかる制震装置100は、図1に示すように、建物200の矩形の枠組み204内に配置される。この実施形態では、例えば、下側伝達部材40を建物200の下枠60aに取り付ける。次に上側伝達部材30を建物200の上枠50aに取り付ける。そして、制震ユニット10を上側伝達部材30と下側伝達部材40の間に配置し、それぞれに取り付けるとよい。上側伝達部材30と上枠50aとの取り付け、プレート12、13と上側伝達部材30との取り付け、下側伝達部材40と下枠60aとの取り付け、および、プレート14と下側伝達部材40との取り付けは、既に説明した通りである。ここでは、これらについて重複する説明を省略する。
この制震装置100では、上側伝達部材30と下側伝達部材40によって、建物200に生じたせん断変位が制震ユニット10に伝達される。図15(a)、(b)は、制震装置100が取り付けられた建物200について、天井梁50と土台60とが水平方向に相対的に変位した状態を示している。ここで、図15(a)は、天井梁50が、土台60に対して右側に変位した状態を示しており、図15(b)は、天井梁50が、土台60に対して左側に変位した状態を示している。なお、ここでは、後述する間柱80が取付けられた状態が図示されている。図15(a)、(b)は、適宜に図を簡素化しており、例えば、上枠50aや下枠60aは、図示を省略している。
かかる建物200において、大きな地震時には、天井梁50と土台60とが水平方向に相対的な変位を伴って揺れる。このため、天井梁50に取り付けられた上側伝達部材30と、土台60に取り付けられた下側伝達部材40との間に相対的な変位が生じる。上側伝達部材30と、下側伝達部材40とが相対的に変位すると、制震ユニット10の対向するプレート(12、13)、14に相対的な変位が生じる。対向するプレート(12、13)、14に相対的な変位が生じると、図6に示すように、粘弾性体15、16にせん断変形が生じる。大きな地震時には、天井梁50(上側伝達部材30)およびプレート(12、13)と、土台60(下側伝達部材40)およびプレート14とが水平方向に相対的な変位を伴って揺れる。この際、粘弾性体15、16に、繰返しせん断荷重が入力される。
粘弾性体15、16は、図7に示すように、せん断荷重に対して抵抗力を有するとともに、せん断変形を伴う振動を受けると、一周期毎に、当該ヒステリシスループHで囲まれたエネルギに相当するエネルギを吸収し得る。このため、この制震装置100は、地震時に建物200の揺れを小さく抑えるとともに、振動を早期に減衰させることができ、建物200に生じる損傷や被害の程度を小さくすることができる。
《間柱80》
次に、間柱80を説明する。
間柱80は、図1に示すように、矩形の枠組み204において、一対の柱70a、70bの中間位置において、天井梁50(図1では、上枠50a)と土台60(図1では、下枠60a)に取り付けられる。この実施形態では、制震装置100の2本のブレース41、42の間に配置されている。そして、間柱80は、制震ユニット10(対向するプレート(12、13)、14および粘弾性体15、16)が設けられた部位を通るように上下方向に沿って延びている。
この実施形態では、間柱80は、図1に示すように、矩形の枠組み204の中間部位において、制震装置100を上下に縦断するように上枠50aと下枠60aに取り付けられている。図16は、間柱80の側面図である。図16に示すように、間柱80には、制震装置100を上下に縦断する部位に切り欠き81、82が形成されている。この実施形態では、切り欠き81は、制震ユニット10、上側伝達部材30および下側伝達部材40が間柱80を横切る部位に設けられている。特に、この実施形態では、下側伝達部材40のブレース41、42の中間位置Cより上側が細くなっている。ここで、切り欠き81は、図15(a)、(b)に示すように、建物200が揺れた際に、かかるブレース41、42の中間位置Cより上側が間柱80に重なる部分に合わせて所定の長さで形成されている。
また、切り欠き82は、図16に示すように、ブリッジ45が間柱80を横切る部位に設けられている。各切り欠き81、82には、切り欠き81、82の底よりも一段高くなった段差81a、82aが設けられている。また、各切り欠き81、82には、これに被せる蓋83、84を備えている。当該蓋83、84は、段差81a、82aに取り付けられる。これにより、切り欠き81、82には、蓋83、84を取り付けた状態で、制震装置100が収まる空隙が間柱80に形成される。
この実施形態では、図1に示すように、間柱80の切り欠き81には、制震ユニット10、上側伝達部材30および下側伝達部材40が収められる。また、切り欠き82には、ブリッジ45が収められる。また、間柱80の上端と下端は、例えば、釘やビスを斜めに打ち付けることで、上枠50aと下枠60aに固定するとよい。
この実施形態では、矩形の枠組み204の厚さ方向において、間柱80、上枠50a、下枠60aおよび柱70a、70bを凡そ同じ幅とする。そして、制震装置100を構成する部材が横切る部位において、つまり間柱80に蓋83、84が取り付けられた部位についても、矩形の枠組み204の厚さ方向において、上枠50a、下枠60aおよび柱70a、70bと凡そ同じ幅にする。これによって、かかる間柱80は、矩形の枠組み204の空間を適切に区切ることができる。このような間柱80を取り付けることによって、制震装置100が取り付けられた建物200は、建築基準法で定められる準耐火構造に準じる防火性能を持つ構造としてみなされるようになる。
なお、この実施形態では、矩形の枠組み204の左右の空間が間柱80によって仕切られている。しかしながら、上側伝達部材30と、制震ユニット10と、下側伝達部材40とは、図1に示すように、間柱80に形成された切り欠き81、82を横切っている。このような切り欠き81、82が設けられた部位では、間柱80に空隙が生じる。このため、建築基準法で定められる準耐火構造の基準に照らすと、矩形の枠組み204の左右の空間は間柱80によって仕切られているとは言えない。このため、建物200は、建築基準法で定められる準耐火構造に準じる防火性能を持つ構造としてみなされない場合がある。
これに対して、間柱80に切り欠きが設けることによって生じた空隙を断熱材で埋めることによって、建築基準法で定められる準耐火構造の基準に照らし、矩形の枠組み204の左右の空間が間柱80によって仕切られた状態となる。さらに、建物200は、建築基準法で定められる準耐火構造に準じる防火性能を持つ構造としてみなされるようになる。
このため、間柱80に切り欠きが設けることによって生じた空隙を断熱材によって埋めるとよい。この場合、例えば、図17に示すように、上側伝達部材30と、制震ユニット10と、下側伝達部材40とが、間柱80に形成された切り欠きを横切る部位に予め断熱材90、92、94、96を取り付けるとよい。ここで、図17は、上側伝達部材30と、制震ユニット10と、下側伝達部材40とに、断熱材90、92、94を取り付ける配置箇所を示す図である。ここでは断熱材90、92、94、96が配置される箇所を斜線で示している。かかる断熱材90、92、94、96としては、例えば、グラスウールが使用され得る。この場合、グラスウールが外部に露呈しないように、グラスウールをビニル袋などの包装材に充填して用いてもよい。
また、この場合、間柱80に切り欠きを設けることによって生じた空隙を埋めるように、上側伝達部材30と、制震ユニット10と、下側伝達部材40とに予め断熱材90、92、94、96が取り付けられていてもよい。上側伝達部材30と、制震ユニット10と、下側伝達部材40とに予め断熱材90、92、94、96を取り付けておくことによって、間柱80を取り付けた際に、切り欠き81、82に生じる空隙が断熱材90、92、94、96によって埋められるように構成するとよい。間柱80の切り欠き81、82に生じる空隙を埋める断熱材90、92、94、96を取り付ける手間が軽減される。
図17に示された例では、断熱材90、92、94は、間柱80の上部の切り欠き81に生じる空隙を埋める。このうち、断熱材90は、上側伝達部材30のベース31の下側の空隙を埋める。かかる断熱材90は、例えば、上側伝達部材30のベース31に下面に取り付けるとよい。この場合、断熱材90は、例えば、ベース31に下面に両面テープによって貼り付けられているとよい。断熱材92は、制震ユニット10の粘弾性体15、16の下側かつフランジ17の上側の空隙を埋める。かかる断熱材92は、制震ユニット10のプレート14の両面に取り付けるとよい。この場合、断熱材92は、プレート14に両面テープによって貼り付けられているとよい。
また、断熱材94は、下側伝達部材40の第2ユニット側固定部47の下側の空隙を埋める。かかる断熱材94は、例えば、下側伝達部材40のリブ48の両面およびブレース41、42(ここでは上パイプ41A、42A)の向かい合う内側の側面に取り付けるとよい。この場合、断熱材94は、リブ48の両面およびブレース41、42の向かい合う内側の側面に両面テープによって貼り付けられているとよい。さらに、断熱材96は、ブリッジ45を挿通させるために間柱80に形成された切り欠き82に生じる空隙を埋める。ここでは、断熱材96は、ブリッジ45に巻き付けるとよい。例えば、ブリッジ45に巻き付けた断熱材96の端部は、ブリッジ45の下側の側面にテープで貼り付けられているとよい。
《制震装置100のまとめ》
以上のように、ここで提案される制震装置100は、例えば、図2から図5に示すように、制震ユニット10と、上側伝達部材30と、下側伝達部材40とを備える。制震ユニット10は、制震部材15、16と、制震部材15、16に取付けられ、かつ、制震部材15、16に相対的なせん断変位を入力する一対のプレート(12、13)、14とを備える。上側伝達部材30は、上側固定部31と、制震ユニット10の一対のプレート(12、13)、14のうち一方のプレート12、13に固定された第1ユニット側固定部32、33とを備える。下側伝達部材40は、下側固定部43、44と、制震ユニット10の一対のプレート(12、13)、14のうち他方のプレート14に固定された第2ユニット側固定部47と、第2ユニット側固定部47から下方に延びた先端が、下側固定部32、33に連結されたブレース41、42とを備える。
ここで、ブレース41、42は、図9および図10に示すように、下パイプ41B、42Bの上端部と、上パイプ41A、42Aの下端部とを接合した構造を備える。上パイプ41A、42Aは、下パイプ41B、42Bの内側に挿入可能程度に細いパイプである。そして、上パイプ41A、42Aの下端部が下パイプ41B、42Bの上端部の内側に差し込まれて接合されている。この場合、上パイプ41A、42Aが下パイプ41B、42Bよりも細い分、ブレース41、42の中間位置Cより上側が下側よりも細くなる。そのため、制震ユニット10に対して上側伝達部材30と下側伝達部材40とが取り付けられた上下方向X(図2参照)と、制震部材15、16に入力されるせん断変位の方向Y(図2参照)とに直交する、制震装置100の厚さ方向Z(図10参照)において、ブレース41、42の中間位置Cの上側が、当該ブレース41、42の中間位置Cの下側よりも薄くなる。
かかる制震装置100によると、制震装置100の厚さ方向Zにおいて、ブレース41、42の中間位置Cの上側が下側よりも薄いので、ブレース41、42の中間位置Cよりも上側において制震装置100が薄く構成される。そのため、薄い壁にも制震装置100を設置しやすくなる。また、ブレース41、42の中間位置Cの下側が上側よりも厚いので、地震時に強い押し付け力(圧縮力)が作用するブレース41、42の下側において十分な強度が確保される。
ここで、一般的には、ブレース41、42と第2ユニット側固定部47とを連結する部位は、厚くなりやすい。これに対して、本願で提案される制震装置100によれば、制震装置100の厚さ方向において、第2ユニット側固定部47に連結されるブレース41、42の上側が薄いので、当該連結する部位を薄くできる。このように当該部位を薄くすることによって、例えば、図1に示すように、間柱80を取り付ける場合などに、間柱80の切り欠き81を少なくできる。
ブレース41、42の中間位置Cの上側は、図10に示すように、厚みD1が中間位置Cの下側よりも薄ければよい。通常は、ブレース41、42の上側の厚みD1が50mm未満であることが好ましい。例えば、ブレース41、42の上側の厚みD1は、好ましくは45mm以下、より好ましくは40mm以下である。また、剛性を確保する観点から、ブレース41、42の上側の厚みD1は、概ね20mm以上であることが好ましく、30mm以上であることがより好ましく、35mm以上であることが特に好ましい。
一方、ブレース41、42の中間位置Cの下側としては、厚みD2が中間位置Cの上側よりも厚ければよく、特に限定されない。通常は、ブレース41、42の下側の厚みD2が50mm以上であり得る。また、ブレース41、42の下側の厚みD2は、概ね80mm以下、好ましくは70mm以下、より好ましくは60mm以下である。
ここに開示される技術は、例えば、ブレース41、42の上側の厚みD1が、ブレース41、42の下側の厚みD2の0.8倍以下(すなわち(D1/D2)≦0.8)である態様で好ましく実施され得る。典型的には、ブレース41、42の上側の厚みD1は、ブレース41、42の下側の厚みD2よりも5mm以上小さいことが好ましく、10mm以上小さいことがさらに好ましい。この実施形態では、ブレース41、42の上側の厚みD1が40mm、下側の厚みD2が50mmである。
また、この実施形態では、図1に示すように、ブレース41、42は、第2ユニット側固定部47から離れるにつれて互いの間隔が徐々に拡がった2本のブレース41、42を有する。また、2本のブレース41、42の間において、上下方向に配置される間柱80を備える。また、ブレース41、42の中間位置Cは、間柱80の切り欠き81の下端81bよりも下方に位置している。そして、図9に示すように、制震装置100の厚さ方向とブレース41、42の長手方向とに直交するブレース41、42の幅方向において、ブレース41、42の中間位置Cの上側の幅E1が、当該ブレース41、42の中間位置Cの下側の幅E2よりも小さい。
ここで、図15(a)(b)に示すように、建物200が揺れると、間柱80が傾くため、間柱80とブレース41、42とが干渉する虞がある。例えば、ブレース41、42が間柱80の切り欠き81の下端81b(図1、図16参照)の縁に接触する虞がある。これに対して、本願で提案される制震装置100によれば、図1および図9に示すように、ブレース41、42の中間位置Cの上側の幅E1が下側の幅E2よりも小さいので、ブレース41、42の中間位置Cよりも上側において、ブレース41、42と間柱80との間隔を広くできる。そのため、間柱80が傾いた際に、間柱80とブレース41、42とが干渉しにくい。
ブレース41、42の上側の幅E1は、概ね50mm未満(例えば20mm以上50mm未満)であることが適当であり、好ましくは45mm以下、特に好ましくは40mm以下である。また、剛性を確保する観点から、ブレース41、42の下側の幅E2は、50mm以上(例えば50mm以上80mm以下)であることが適当である。例えば、ブレース41、42の上側の幅E1は、ブレース41、42の下側の幅E2よりも5mm以上小さいことが好ましく、10mm以上小さいことがさらに好ましい。この実施形態では、ブレース41、42の上側の幅E1が40mm、下側の幅E2が50mmである。
また、この実施形態では、図1に示すように、上側固定部31の上端31dからブレース41、42の中間位置Cまでの長さL1と、基部43、44の下端43d、44dからブレース41、42の中間位置Cまでの長さL2との関係が、1<(L1/L2)≦3を満たす。ここに開示される技術は、例えば、上側固定部31の上端31dからブレース41、42の中間位置Cまでの長さL1と、基部43、44の下端43d、44dからブレース41、42の中間位置Cまでの長さL2との関係が、2≦(L1/L2)≦2.5である態様で好ましく実施され得る。このようにブレース41、42の中間位置Cの上側と下側の長さL1、L2を適切に設定することによって、間柱80が傾いた際に、間柱80とブレース41、42との干渉をより確実に回避し得る。
また、本制震装置100によると、図9および図10に示すように、ブレース41、42は、下側固定部43、44に連結された下パイプ41B、42Bと、第2ユニット側固定部47に連結された上パイプ41A、42Aとから構成されている。上パイプ41A、42Aは、下パイプ41B、42Bの内側に挿入可能な外形を有する。そして、上パイプ41A、42Aの下端部が下パイプ41B、42Bの上端部の内側に差し込まれて接合されている。このように外形が大小異なる2本のパイプを用いることによって、ブレース41、42の上側のみ、ブレース41、42を薄くする構成が簡易に実現される。また、上パイプ41A、42Aの下端部を下パイプ41B、42Bの内側に差し込んで接合することによって、両パイプの継ぎ目に所要の強度が確保され得る。
また、この実施形態では、図12に示すように、上パイプ41Aと下パイプ41Bとは、当該下パイプ41Bの上端縁41Baと当該上パイプ41Aの外周面とがパイプの全周に亘って溶接されている。このように下パイプ41Bの上端縁41Baと上パイプ41Aの外周面とを全周に亘って溶接することによって、上パイプ41Aと下パイプ41Bとが簡易かつ強固に接合される。
また、本制震装置100によると、上パイプ41Aが下パイプ41Bに差し込まれた部位において、下パイプ41Bの外周面には孔41Bbが形成されている。そして、下パイプ41Bと上パイプ41Aとは、当該下パイプ41Bの孔41Bbの内周縁と上パイプ41Aの外周面とが溶接されている。かかる構成によると、溶接箇所がさらに増えるので、当該部位の接合強度を強くできる。
また、この実施形態では、図13に示すように、下パイプ41Bは角パイプであり、下パイプ41Bの孔41Bbは、角パイプを構成する4つの側面部41Bcの各々に形成されている。そして、各々の側面部41Bcに形成された孔41Bbの内周縁と、上パイプ41Aの外周面とが、それぞれ溶接されている。この場合、溶接箇所も多く、当該部位の接合強度を十分に強くすることができる。
以上、本発明の一実施形態に係る制震装置100を説明した。制震装置100は、上述した実施形態に限定されない。
例えば、上述した実施形態では、制震装置100は、建物200の1階に取り付けた例を例示したが、制震装置100は、建物200の2階以上の階に取り付けてもよい。また、上述した実施形態では、制震装置100は、制震ユニット10の粘弾性体15、16によって振動エネルギを吸収する形態を例示したが、制震ユニット10の構造は、上記に限定されない。上側伝達部材30や下側伝達部材40の形状や構造も、特に言及されない限りにおいて、種々変更が許容される。また、例えば、間柱80に形成された切り欠き81、82に取り付けられる蓋83、84は、例えば、間柱80と同じ木材を用いるとよい。また、蓋83、84は、例えば、金物にしてもよい。
10 制震ユニット
12、13、14 取付部(プレート)
15、16 弾性部材(粘弾性体)
17 フランジ
18 ボルト
30 上側伝達部材
31 ベース
31a ボルト孔
32、33 取付片
32a、33a ボス
34、35 挿通孔
37 ボルト
38 ナット
40 下側伝達部材
41、42 ブレース
41A、42A 上パイプ
41B、42B 下パイプ
43、44 下側固定部(基部)
43a、44a ベース部
43a1、43a2、44a1、44a2 挿通孔
43b、44b フランジ部
43c、44c 補強板
45 ブリッジ
47 第2ユニット側固定部
48、49 リブ
50 天井梁
50a 上枠
60 土台
60a 下枠
70a、70b 柱
80 間柱
81、82 切り欠き
81a、82a 段差
83、84 蓋
90、92、94、96 断熱材
100 制震装置
105 アンカーボルト
106 ラグスクリューボルト
107 基礎パッキン
200 建物
202 コンクリート基礎
204 矩形の枠組み
H ヒステリシスループ

Claims (10)

  1. 制震ユニットと、
    上側伝達部材と、
    下側伝達部材と
    を備え、
    前記制震ユニットは、
    制震部材と、
    前記制震部材に取付けられ、かつ、前記制震部材に相対的なせん断変位を入力する一対の取付部と
    を備え、
    前記上側伝達部材は、
    上側固定部と、
    前記制震ユニットの一対の取付部のうち一方の取付部に固定された第1ユニット側固定部と
    を備え、
    前記下側伝達部材は、
    下側固定部と、
    前記制震ユニットの一対の取付部のうち他方の取付部に固定された第2ユニット側固定部と、
    前記第2ユニット側固定部から下方に延びた先端が、前記下側固定部に連結されたブレースと
    を備え、
    前記制震ユニットに対して上側伝達部材と下側伝達部材とが取り付けられた上下方向と、前記制震部材に入力されるせん断変位の方向とに直交する、制震装置の厚さ方向において、
    前記ブレースの中間位置の上側が、当該ブレースの中間位置の下側よりも薄い、
    制震装置。
  2. 前記ブレースは、前記下側固定部に連結された下パイプと、前記第2ユニット側固定部に連結された上パイプとからなり、
    前記上パイプは、前記下パイプの内側に挿入可能な外形を有し、
    前記上パイプの下端部が前記下パイプの上端部の内側に差し込まれて接合された、請求項1に記載された制震装置。
  3. 前記上パイプと前記下パイプとは、当該下パイプの上端縁と当該上パイプの外周面とが
    パイプの全周に亘って溶接されている、請求項2に記載された制震装置。
  4. 前記上パイプが前記下パイプに差し込まれた部位において、前記下パイプの外周面には孔が形成されており、
    前記下パイプと上パイプとは、当該下パイプの孔の内周縁と前記上パイプの外周面とが溶接されている、請求項2または3に記載された制震装置。
  5. 前記下パイプは、角パイプであり、
    前記下パイプの孔は、前記角パイプを構成する4つの側面部の各々に形成されている、請求項4に記載された制震装置。
  6. 前記ブレースは、前記第2ユニット側固定部から離れるにつれて互いの間隔が徐々に拡がった2本のブレースを有する、請求項1から5までの何れか一項に記載された制震装置。
  7. 前記2本のブレースの間において、前記上下方向に配置される間柱を備え、
    前記間柱は、前記一対の取付部、前記上側伝達部材および前記下側伝達部材が存在する領域に、切り欠きが形成されている、請求項6に記載された制震装置。
  8. 前記ブレースの中間位置が、前記間柱の切り欠きの下端よりも下方に位置している、請求項7に記載された制震装置。
  9. 前記制震装置の厚さ方向と前記ブレースの長手方向とに直交するブレースの幅方向において、
    前記ブレースの中間位置の上側の幅が、当該ブレースの中間位置の下側の幅よりも小さい、請求項7または8に記載された制震装置。
  10. 前記上側固定部の上端から前記ブレースの中間位置までの長さL1と、前記下側固定部の下端から前記ブレースの中間位置までの長さL2との関係が、次式:1<(L1/L2)≦3を満たす、請求項9に記載された制震装置。
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