本発明は紫外線硬化型樹脂組成物及びフィルム並びに導電性フィルムに関する。
プラスチックはその加工性、透明性等に加えて、軽量、安価といったことから、ガラスに代わり自動車業界、家電業界をはじめとして種々の産業で使用されており、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイなどのディスプレイやタッチパネル、パーソナルコンピューターなどのディスプレイ用としても広く用いられている。
近年タッチパネルセンサーはPETフィルム上にインジウムスズ化合物(ITO)をスパッタリング法で形成し必要に応じてパターニングすることで構成されてきた。しかしながらITOでは抵抗値50Ω/□が下限であり、10インチ以上の大画面タッチパネルには感度が不十分で応用できないという欠点がある。
そのため最近では銅や銀の薄膜を蒸着法あるいはスパッタリング法で薄膜形成し必要に応じてパターニングすることで50Ω/□未満の抵抗値を発現させ大画面タッチパネルセンサーとして活用することが検討されている。
また、ITOでは屈曲性に乏しく、フレキシブルなタッチパネルセンサーを実現するには不適である。そういった用途には金属をナノ分散させた導電性インクをフィルム上に塗工し、フレキシブルタッチパネルセンサーとして活用することが検討されている。しかしながらこういった金属などの導電性膜をフィルム上に形成するためにはプライマー処理が必要となる。
特開2004−75934号公報
特開平5−247373号公報
特開平8−27291号公報
しかしながらコロナ処理では有機系コーティング剤との密着性は向上するが、金属薄膜との密着性は不十分である。PETフィルムはポリエステルやアクリル系樹脂の易接着層が形成されている場合があるが、金属薄膜の耐久密着性が不十分である。従来のプライマーコート剤はニッケルやクロムやスズなどの金属薄膜には良く密着するが、近年のタッチパネルセンサーで用いる銅や銀に対しては十分な密着性を有していない。
本発明はかかる状況に鑑み検討されたもので、銅や銀に対して良好な密着性を有する紫外線硬化型樹脂組成物及びこれを塗工した金属用プライマーフィルムを提供することを目的とするものである。
本発明は、(A)(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はアクリレートオリゴマー100重量部と、
(B)シランカップリング剤として、(b1)チオウレア型シランカップリング剤を0.1〜50重量部と、
光重合開始剤と、
を含有する紫外線硬化型樹脂組成物、及びこの組成物を用いたフィルム、並びに導電性フィルムである。
尚、本明細書で、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート、又はメタクリレート」を意味する。
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、銅や銀といった次世代のタッチパネルセンサーに用いられる金属薄膜との密着性に優れる。さらに平均粒径100〜500nmのナノシリカ微粒子を配合することで、塗膜表面に微細な凹凸が形成されブロッキングすることなく、Roll to Rollの生産が可能となる。
本発明で用いる、主成分の(A)(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はアクリレートオリゴマーは塗膜を形成させる役目を有し、具体的にはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれら2種以上の混合物が挙げられる。
前記の(メタ)アクリレートの中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、或いはこれらの混合物が、耐摩耗性、硬化性の点からとりわけ好ましい。
また(A)成分として、ウレタンアクリレートオリゴマーを用いることもできる。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させた後に、水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させる方法や、ポリイソシアネートと、水酸基を有する(メタ)アクリレートとを反応させた後に、ポリオールを反応させる方法や、ポリイソシアネート、ポリオール、水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させる方法などが挙げられるが特に限定はない。
ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールおよびこれらの共重合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,2’−チオジエタノール等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
架橋密度が高すぎるとプライマーとしての性能が落ち金属密着性が低下しやすくなるため、水酸基を有する低官能(メタ)アクリレート(以下、水酸基含有(メタ)アクリレートという)を用いても良い。水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロキル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどがあげられる。上述した(A)成分は単独で用いても2種以上を用いても良い。
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は(B)シランカップリング剤として、(b1)チオウレア型シランカップリング剤を含むことにより、金属薄膜のプライマーとしての密着力が向上する。チオウレア型シランカップリング剤は化1で示される構造を有するアルコキシシランカップリング剤であり、市販品として、X−12−1016M、X−12−1111、X−12−1116、X−12−1117(信越化学株式会社製、商品名)が挙げられる。
更に、(b2)(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤を配合することによりアンチブロッキング性が向上する。(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤としては、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、市販品としては、KR−513、KBM−5103(信越化学株式会社製、商品名)が挙げられる。
(b1)と(b2)を併用する際はb1:b2=1:0.5〜1.5が好ましい。
(B)シランカップリング剤の配合量は、前記(A)(メタ)アクリレートモノマー及び/又は(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部に対して、0.1重量部〜50重量部、より好ましくは1〜20重量部とする。この範囲であると金属薄膜との密着性が向上し、塗膜物性を維持することができる。50重量部を超えると塗膜の濡れ性が低下し、導電性ナノインクの密着性が低下する。
本発明に用いる(C)ナノシリカ微粒子としては、アルキルシランから合成されたオルガノシリカゾルあるいはプラズマアークにより合成されたナノシリカを用いることができる。市販品としては前者であればPL−7−PGME(扶桑化学製、商品名)、後者であればSIRMIBK15WT%−M36(CIKナノテック製、商品名)などが挙げられる。ナノシリカ微粒子の配合割合は前記(A)(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はアクリレートオリゴマーと(B)シランカップリング剤総重量100重量部に対し、5〜30重量部、より好ましくは5〜10重量部であり、下限未満では表面凹凸が少なくブロッキングしてしまうためRoll to Rollの生産ができず、上限を超えると金属薄膜との密着性を劣化させてしまう。
(C)ナノシリカ微粒子の平均粒径は100〜500nmが好ましく、平均粒径100nm未満では表面に凹凸を形成するのに必要な添加量が多くなるために金属薄膜との密着性が得られないのに対し、500nmを越えるとヘイズが大きくなり、視認性が低下する問題が発生する。
光重合開始剤としては、ベンゾインノルマルブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等のベンジルケタール類、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等のアセトフェノン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−エチレンフェニル)プロパン−1−オン]、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロピルフェニル)プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン類、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−1−モルフォリノプロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン等のα−アミノアルキルフェノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド等のモノアシルホスフィンオキサイド類、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のモノアシルホスフィンオキサイド類などが挙げられる。
樹脂の硬化性、光安定性、樹脂との相溶性、低揮発、低臭気という点から、アルキルフェノン系光重合開始剤が好ましく、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4-[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、がより好ましい。市販品としてはIrgacure127、184、369、651、500、891、907、2959、Darocure1173、TPO(BASFジャパン株式会社製、商品名)などが挙げられる。光重合開始剤は(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はアクリレートオリゴマー100重量部に対して、固形分3〜10重量部配合する。
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、分子内に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート及び/あるいは(メタ)アクリレートオリゴマーを主成分とし、トルエン、酢酸ブチル、イソブタノール、酢酸エチル、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコールなどの溶剤に希釈され、固形分が30〜50%に調整される。
紫外線硬化型樹脂組成物が塗布されるプラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッソ樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。なかでも耐候性、加工性、寸法安定性などの点から二軸延伸処理されたポリエステルフィルムが好ましく用いられる。フィルムの厚みは概ね25μm〜250μmであればよい。
前記のフィルムには、紫外線硬化型樹脂組成物との密着性を向上させる目的で、プライマー処理やサンドブラスト法、溶剤処理法などによる表面の凹凸化処理、あるいはコロナ放電処理、クロム酸処理、オゾン・紫外線照射処理などの表面の酸化処理などの表面処理を施すことができる。
紫外線硬化型樹脂組成物を塗布する方法は、特に制限はなく、公知のスプレーコート、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート、ワイヤーバーなどの塗工法またはグラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成できる。乾燥膜厚は、1μm〜10μmが好ましい。
紫外線硬化型樹脂組成物は、紫外線照射機を用いて500mW/cm2〜3000mW/cm2の照射強度で、仕事量が50〜400mJ/cm2の紫外線処理を行い硬化させる。紫外線発生源としては一般的に紫外線ランプが用いられており、具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプなどが挙げられ、照射する場合は空気中でもよいし、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中でもよい。
以下、本発明を実施例、比較例に基づき詳細に説明するが、具体例を示すものであって特にこれらに限定するものではない。
ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬株式会社製 商品名PET−30 固形分100%)70重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(共栄社製 商品名ライトエステルHOA 固形分100%)30重量部に対し、チオウレア型シランカップリング剤として化1で示される構造を有する3官能アルコシシシラン(信越化学工業株式会社製 商品名X−12−1116 固形分100%)を0.5重量部配合し、光重合開始剤としてIrgacure127(2−ヒドロキシ−1−{4-[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、BASF社製)を上記アクリレートモノマー100重量部に対し5重量部加え、固形分30%となるように溶媒として酢酸エチルを加えることにより、実施例1〜3の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例1において、X−12−1116を10重量部とした以外は同様に実施した。
実施例1において、X−12−1116を30重量部とした以外は同様に実施した。
四ツ口フラスコに2―ヒドロキシプロピルアクリレート260.28g(2モル)、2,4―トリレンジイソシアネート174.16g(1モル)およびハイドロキノン0.143gを配合し、チツ素ガス気流下で30〜40℃において2時間撹拌したのち、温度を80〜90℃に上げ1時間反応を行ない、オクチル酸スズ0.3gを加え、90〜90℃の温度で1時間、105〜115℃の温度で1時間30分反応を行ない、室温まで冷却後、樹脂固形分が85%になる様にメチルエチルケトンを加え、ウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
ウレタンアクリレートオリゴマー117.6重量部に対し、チオウレア型シランカップリング剤として化1で示される構造を有する3官能アルコシシシラン(信越化学工業株式会社製 商品名X−12−1116 固形分100%)を10重量部配合し、開始剤としてIrgacure127(BASF社製)を上記ウレタンアクリレートオリゴマー固形分100重量部に対し5重量部加え、固形分30%となるように溶媒として酢酸エチルを加えることにより、実施例4の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例4において、X−12−1116を1重量部、アクリル基含有シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製 商品名KBM5103 3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 固形分100%)を1重量部配合した他は、同様に配合して実施例5の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例5において、X−12−1116を5重量部、KBM5103を5重量部配合した他は、同様に配合して実施例6の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例5において、X−12−1116を10重量部、KBM5103を10重量部配合した他は、同様に配合して実施例6の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例1において平均粒径200nmのナノシリカ微粒子(CIKナノテック製 商品名SIRMIBK15WT%−M36 固形分15%)を73.3重量部配合した以外は同様に実施して、実施例8の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例2において平均粒径200nmのナノシリカ微粒子(CIKナノテック製 商品名SIRMIBK15WT%−M36 固形分15%)を73.3重量部配合した以外は同様に実施して、実施例9の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例3において平均粒径200nmのナノシリカ微粒子(CIKナノテック製 商品名SIRMIBK15WT%−M36 固形分15%)を73.3重量部配合した以外は同様に実施して、実施例10の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例5において、平均粒径200nmのナノシリカ微粒子(CIKナノテック製 商品名SIRMIBK15WT%−M36 固形分15%)を73.3重量部配合した以外は同様に実施して、実施例11の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例6において、平均粒径200nmのナノシリカ微粒子(CIKナノテック製 商品名SIRMIBK15WT%−M36 固形分15%)を73.3重量部配合した以外は同様に実施して、実施例12の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例7において、平均粒径200nmのナノシリカ微粒子(CIKナノテック製 商品名SIRMIBK15WT%−M36 固形分15%)を73.3重量部配合した以外は同様に実施して、実施例13の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
比較例1、2
実施例1において、X−12−1116の配合量を0.05重量部、55重量部とした他は、同様に配合して比較例1、2の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
比較例3
実施例2において、チオウレア型シランカップリング剤に代えて、エポキシ系シランカップリング剤を用いた以外は同様に実施した。
比較例4
実施例2において、チオウレア型シランカップリング剤に代えて、メタクリル系シランカップリング剤を用いた以外は同様に実施した。
実施例・比較例で作成した樹脂組成物を125umのPETフィルム(東洋紡製A4300)に乾燥膜厚1umで形成し、高圧水銀ランプ200mJにて硬化させコートフィルムとした。
次いで、真空蒸着法で銅、銀の薄膜を形成し導電性フィルムを得た。
試験方法、評価方法は以下の通りとした。
全光線透過率:JIS K7361の規定に基づいて行った。測定装置としては、株式会社東洋精機製作所製のヘイズガードIIを用いた。
ヘイズ:JIS K7136の規定に基づいて行った。測定装置としては、株式会社東洋精機製作所製のヘイズガードIIを用いた。
銅密着性:作成したフィルム上に真空蒸着法を用いて銅の薄膜を膜厚400nmで形成し、導電性フィルムを得た。その後碁盤目密着試験にて密着性を評価した。評価基準は下記の通りとした。
◎:100/100、○:80〜99/100、△:50〜79/100、×:0〜49/100 ※剥離しなかったマス目の数
銀密着性:作成したフィルム上に真空蒸着法を用いて銀の薄膜を膜厚200nmで形成し、導電性フィルムを得た。その後碁盤目密着試験にて密着性を評価した。評価基準は下記の通りとした。
◎:100/100、○:80〜99/100、△:50〜79/100、×:0〜49/100 ※剥離しなかったマス目の数
銀ナノインク密着性:作成したフィルム上にバーコーターで銀をナノ分散したインク(Suzhou ColdStones Technology社製 CST−INK−S11)を乾燥膜厚3umで形成し、導電性フィルムを得た。その後碁盤目密着試験にて密着性を評価した。評価基準は下記の通りとした。
◎:100/100、○:80〜99/100、△:50〜79/100、×:0〜49/100 ※剥離しなかったマス目の数
濡れ性:JIS K6768の規定に基づいて行った。和光純薬製ぬれ張力試験用混合液を使用した。
アンチブロッキング性:125umのPETフィルム(東洋紡製A4300)に乾燥膜厚1umで形成し、高圧水銀ランプ200mJで硬化させたのち、裏面にも全くの同条件で塗膜を形成した。両面塗工したフィルムを5cm角に切り出し10枚重ね合わせ、5cm角×厚さ1cmのガラス板に挟み込み、その上から10kgの重りを乗せ室温にて静置させた。フィルムの張り付き具合を目視にて確認し、下記の基準にて評価した。
◎:6日間静置し、張り付きなし
○:3日間静置し、張り付きなし、
×:3日間静置し、張り付きあり。
本発明は、(A)(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又は(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部と、
(B)シランカップリング剤として、(b1)チオウレア型シランカップリング剤を0.1〜50重量部と、
光重合開始剤と、
を含有する紫外線硬化型樹脂組成物、及びこの組成物を用いたフィルム、並びに導電性フィルムである。
尚、本明細書で、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート、又はメタクリレート」を意味する。
本発明で用いる、主成分の(A)(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又は(メタ)アクリレートオリゴマーは塗膜を形成させる役目を有し、具体的にはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれら2種以上の混合物が挙げられる。
また(A)成分として、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることもできる。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させた後に、水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させる方法や、ポリイソシアネートと、水酸基を有する(メタ)アクリレートとを反応させた後に、ポリオールを反応させる方法や、ポリイソシアネート、ポリオール、水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させる方法などが挙げられるが特に限定はない。
本発明は紫外線硬化型樹脂組成物及びフィルム並びに導電性フィルムに関する。
プラスチックはその加工性、透明性等に加えて、軽量、安価といったことから、ガラスに代わり自動車業界、家電業界をはじめとして種々の産業で使用されており、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイなどのディスプレイやタッチパネル、パーソナルコンピューターなどのディスプレイ用としても広く用いられている。
近年タッチパネルセンサーはPETフィルム上にインジウムスズ化合物(ITO)をスパッタリング法で形成し必要に応じてパターニングすることで構成されてきた。しかしながらITOでは抵抗値50Ω/□が下限であり、10インチ以上の大画面タッチパネルには感度が不十分で応用できないという欠点がある。
そのため最近では銅や銀の薄膜を蒸着法あるいはスパッタリング法で薄膜形成し必要に応じてパターニングすることで50Ω/□未満の抵抗値を発現させ大画面タッチパネルセンサーとして活用することが検討されている。
また、ITOでは屈曲性に乏しく、フレキシブルなタッチパネルセンサーを実現するには不適である。そういった用途には金属をナノ分散させた導電性インクをフィルム上に塗工し、フレキシブルタッチパネルセンサーとして活用することが検討されている。しかしながらこういった金属などの導電性膜をフィルム上に形成するためにはプライマー処理が必要となる。
特開2004−75934号公報
特開平5−247373号公報
特開平8−27291号公報
しかしながらコロナ処理では有機系コーティング剤との密着性は向上するが、金属薄膜との密着性は不十分である。PETフィルムはポリエステルやアクリル系樹脂の易接着層が形成されている場合があるが、金属薄膜の耐久密着性が不十分である。従来のプライマーコート剤はニッケルやクロムやスズなどの金属薄膜には良く密着するが、近年のタッチパネルセンサーで用いる銅や銀に対しては十分な密着性を有していない。
本発明はかかる状況に鑑み検討されたもので、銅や銀に対して良好な密着性を有する紫外線硬化型樹脂組成物及びこれを塗工した金属用プライマーフィルムを提供することを目的とするものである。
本発明は、(A)(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はアクリレートオリゴマー100重量部と、
(B)シランカップリング剤として、
(b1)化1で示される構造を有するアルコキシシランカップリング剤を0.1〜50重量部と、
光重合開始剤と、
を含有する紫外線硬化型樹脂組成物、及びこの組成物を用いたフィルム、並びに導電性フィルムである。
尚、本明細書で、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート、又はメタクリレート」を意味する。
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、銅や銀といった次世代のタッチパネルセンサーに用いられる金属薄膜との密着性に優れる。さらに平均粒径100〜500nmのナノシリカ微粒子を配合することで、塗膜表面に微細な凹凸が形成されブロッキングすることなく、Roll to Rollの生産が可能となる。
本発明で用いる、主成分の(A)(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はアクリレートオリゴマーは塗膜を形成させる役目を有し、具体的にはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれら2種以上の混合物が挙げられる。
前記の(メタ)アクリレートの中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、或いはこれらの混合物が、耐摩耗性、硬化性の点からとりわけ好ましい。
また(A)成分として、ウレタンアクリレートオリゴマーを用いることもできる。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させた後に、水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させる方法や、ポリイソシアネートと、水酸基を有する(メタ)アクリレートとを反応させた後に、ポリオールを反応させる方法や、ポリイソシアネート、ポリオール、水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させる方法などが挙げられるが特に限定はない。
ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールおよびこれらの共重合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,2’−チオジエタノール等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
架橋密度が高すぎるとプライマーとしての性能が落ち金属密着性が低下しやすくなるため、水酸基を有する低官能(メタ)アクリレート(以下、水酸基含有(メタ)アクリレートという)を用いても良い。水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロキル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどがあげられる。上述した(A)成分は単独で用いても2種以上を用いても良い。
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は(B)シランカップリング剤として、(b1)チオウレア型シランカップリング剤を含むことにより、金属薄膜のプライマーとしての密着力が向上する。チオウレア型シランカップリング剤は化1で示される構造を有するアルコキシシランカップリング剤であり、市販品として、X−12−1016M、X−12−1111、X−12−1116、X−12−1117(信越化学株式会社製、商品名)が挙げられる。
更に、(b2)(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤を配合することによりアンチブロッキング性が向上する。(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤としては、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、市販品としては、KR−513、KBM−5103(信越化学株式会社製、商品名)が挙げられる。
(b1)と(b2)を併用する際は重量比でb1:b2=1:0.5〜1.5が好ましい。
(B)シランカップリング剤の配合量は、前記(A)(メタ)アクリレートモノマー及び/又は(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部に対して、0.1重量部〜50重量部、より好ましくは1〜20重量部とする。この範囲であると金属薄膜との密着性が向上し、塗膜物性を維持することができる。50重量部を超えると塗膜の濡れ性が低下し、導電性ナノインクの密着性が低下する。
本発明に用いる(C)ナノシリカ微粒子としては、アルキルシランから合成されたオルガノシリカゾルあるいはプラズマアークにより合成されたナノシリカを用いることができる。市販品としては前者であればPL−7−PGME(扶桑化学製、商品名)、後者であればSIRMIBK15WT%−M36(CIKナノテック製、商品名)などが挙げられる。ナノシリカ微粒子の配合割合は前記(A)(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はアクリレートオリゴマーと(B)シランカップリング剤総重量100重量部に対し、5〜30重量部、より好ましくは5〜10重量部であり、下限未満では表面凹凸が少なくブロッキングしてしまうためRoll to Rollの生産ができず、上限を超えると金属薄膜との密着性を劣化させてしまう。
(C)ナノシリカ微粒子の平均粒径は100〜500nmが好ましく、平均粒径100nm未満では表面に凹凸を形成するのに必要な添加量が多くなるために金属薄膜との密着性が得られないのに対し、500nmを越えるとヘイズが大きくなり、視認性が低下する問題が発生する。
光重合開始剤としては、ベンゾインノルマルブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等のベンジルケタール類、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等のアセトフェノン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−エチレンフェニル)プロパン−1−オン]、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロピルフェニル)プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン類、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−1−モルフォリノプロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン等のα−アミノアルキルフェノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド等のモノアシルホスフィンオキサイド類、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のモノアシルホスフィンオキサイド類などが挙げられる。
樹脂の硬化性、光安定性、樹脂との相溶性、低揮発、低臭気という点から、アルキルフェノン系光重合開始剤が好ましく、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、(2−ヒドロキシ−1−{4-[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンがより好ましい。市販品としてはIrgacure127、184、369、651、500、891、907、2959、Darocure1173、TPO(BASFジャパン株式会社製、商品名)などが挙げられる。光重合開始剤は(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はアクリレートオリゴマー100重量部に対して、固形分3〜10重量部配合する。
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、分子内に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート及び/あるいは(メタ)アクリレートオリゴマーを主成分とし、トルエン、酢酸ブチル、イソブタノール、酢酸エチル、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコールなどの溶剤に希釈され、固形分が30〜50%に調整される。
紫外線硬化型樹脂組成物が塗布されるプラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッソ樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。なかでも耐候性、加工性、寸法安定性などの点から二軸延伸処理されたポリエステルフィルムが好ましく用いられる。フィルムの厚みは概ね25μm〜250μmであればよい。
前記のフィルムには、紫外線硬化型樹脂組成物との密着性を向上させる目的で、プライマー処理やサンドブラスト法、溶剤処理法などによる表面の凹凸化処理、あるいはコロナ放電処理、クロム酸処理、オゾン・紫外線照射処理などの表面の酸化処理などの表面処理を施すことができる。
紫外線硬化型樹脂組成物を塗布する方法は、特に制限はなく、公知のスプレーコート、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート、ワイヤーバーなどの塗工法またはグラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成できる。乾燥膜厚は、1μm〜10μmが好ましい。
紫外線硬化型樹脂組成物は、紫外線照射機を用いて500mW/cm2〜3000mW/cm2の照射強度で、仕事量が50〜400mJ/cm2の紫外線処理を行い硬化させる。紫外線発生源としては一般的に紫外線ランプが用いられており、具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプなどが挙げられ、照射する場合は空気中でもよいし、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中でもよい。
以下、本発明を実施例、比較例に基づき詳細に説明するが、具体例を示すものであって特にこれらに限定するものではない。
ペンタエリスリトールトリアクリレートモノマー(日本化薬株式会社製 商品名PET−30 固形分100%)70重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレートモノマー(共栄社製 商品名ライトエステルHOA 固形分100%)30重量部に対し、チオウレア型シランカップリング剤として化1で示される構造を有する3官能アルコシシシラン(信越化学工業株式会社製 商品名X−12−1116 固形分100%)を0.5重量部配合し、開始剤としてIrgacure127(2−ヒドロキシ−1−{4-[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、BASF社製)を上記アクリレートモノマー100重量部に対し5重量部加え、固形分30%となるように溶媒として酢酸エチルを加えることにより、実施例1の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例1において、X−12−1116を10重量部とした以外は同様に実施した。
実施例1において、X−12−1116を30重量部とした以外は同様に実施した。
四ツ口フラスコに2―ヒドロキシプロピルアクリレートモノマー260.28g(2モル)、2,4―トリレンジイソシアネート174.16g(1モル)およびハイドロキノン0.143gを配合し、チツ素ガス気流下で30〜40℃において2時間撹拌したのち、温度を80〜90℃に上げ1時間反応を行ない、オクチル酸スズ0.3gを加え、90〜90℃の温度で1時間、105〜115℃の温度で1時間30分反応を行ない、室温まで冷却後、樹脂固形分が85%になる様にメチルエチルケトンを加え、ウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
ウレタンアクリレートオリゴマー117.6重量部に対し、チオウレア型シランカップリング剤として化1で示される構造を有する3官能アルコシシシラン(信越化学工業株式会社製 商品名X−12−1116 固形分100%)を10重量部配合し、開始剤としてIrgacure127(BASF社製)を上記ウレタンアクリレートオリゴマー固形分100重量部に対し5重量部加え、固形分30%となるように溶媒として酢酸エチルを加えることにより、実施例4の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例4において、X−12−1116を1重量部、アクリル基含有シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製 商品名KBM5103 3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 固形分100%)を1重量部配合した他は、同様に配合して実施例5の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例5において、X−12−1116を5重量部、KBM5103を5重量部配合した他は、同様に配合して実施例6の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例5において、X−12−1116を10重量部、KBM5103を10重量部配合した他は、同様に配合して実施例7の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例1において平均粒径200nmのナノシリカ微粒子(CIKナノテック製 商品名SIRMIBK15WT%−M36 固形分15%)を73.3重量部配合した以外は同様に実施して、実施例8の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例2において平均粒径200nmのナノシリカ微粒子(CIKナノテック製 商品名SIRMIBK15WT%−M36 固形分15%)を73.3重量部配合した以外は同様に実施して、実施例9の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例3において平均粒径200nmのナノシリカ微粒子(CIKナノテック製 商品名SIRMIBK15WT%−M36 固形分15%)を73.3重量部配合した以外は同様に実施して、実施例10の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例5において、平均粒径200nmのナノシリカ微粒子(CIKナノテック製 商品名SIRMIBK15WT%−M36 固形分15%)を73.3重量部配合した以外は同様に実施して、実施例11の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例6において、平均粒径200nmのナノシリカ微粒子(CIKナノテック製 商品名SIRMIBK15WT%−M36 固形分15%)を73.3重量部配合した以外は同様に実施して、実施例12の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例7において、平均粒径200nmのナノシリカ微粒子(CIKナノテック製 商品名SIRMIBK15WT%−M36 固形分15%)を73.3重量部配合した以外は同様に実施して、実施例13の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
比較例1、2
実施例1において、X−12−1116の配合量を0.05重量部、55重量部とした他は、同様に配合して比較例1、2の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
比較例3
実施例2において、チオウレア型シランカップリング剤に代えて、エポキシ系シランカップリング剤を用いた以外は同様に実施した。
比較例4
実施例2において、チオウレア型シランカップリング剤に代えて、メタクリル系シランカップリング剤を用いた以外は同様に実施した。
実験例、実施例・比較例で作成した樹脂組成物を125umのPETフィルム(東洋紡製A4300)に乾燥膜厚1umで形成し、高圧水銀ランプ200mJにて硬化させコートフィルムとした。
次いで、真空蒸着法で銅、銀の薄膜を形成し導電性フィルムを得た。
試験方法、評価方法は以下の通りとした。
全光線透過率:JIS K7361の規定に基づいて行った。測定装置としては、株式会社東洋精機製作所製のヘイズガードIIを用いた。
ヘイズ:JIS K7136の規定に基づいて行った。測定装置としては、株式会社東洋精機製作所製のヘイズガードIIを用いた。
銅密着性:作成したフィルム上に真空蒸着法を用いて銅の薄膜を膜厚400nmで形成し、導電性フィルムを得た。その後碁盤目密着試験にて密着性を評価した。評価基準は下記の通りとした。
◎:100/100、○:80〜99/100、△:50〜79/100、×:0〜49/100 ※剥離しなかったマス目の数
銀密着性:作成したフィルム上に真空蒸着法を用いて銀の薄膜を膜厚200nmで形成し、導電性フィルムを得た。その後碁盤目密着試験にて密着性を評価した。評価基準は下記の通りとした。
◎:100/100、○:80〜99/100、△:50〜79/100、×:0〜49/100 ※剥離しなかったマス目の数
銀ナノインク密着性:作成したフィルム上にバーコーターで銀をナノ分散したインク(Suzhou ColdStones Technology社製 CST−INK−S11)を乾燥膜厚3umで形成し、導電性フィルムを得た。その後碁盤目密着試験にて密着性を評価した。評価基準は下記の通りとした。
◎:100/100、○:80〜99/100、△:50〜79/100、×:0〜49/100 ※剥離しなかったマス目の数
濡れ性:JIS K6768の規定に基づいて行った。和光純薬製ぬれ張力試験用混合液を使用した。
アンチブロッキング性:125umのPETフィルム(東洋紡製A4300)に乾燥膜厚1umで形成し、高圧水銀ランプ200mJで硬化させたのち、裏面にも全くの同条件で塗膜を形成した。両面塗工したフィルムを5cm角に切り出し10枚重ね合わせ、5cm角×厚さ1cmのガラス板に挟み込み、その上から10kgの重りを乗せ室温にて静置させた。フィルムの張り付き具合を目視にて確認し、下記の基準にて評価した。
◎:6日間静置し、張り付きなし
○:3日間静置し、張り付きなし、
×:3日間静置し、張り付きあり。
本発明は紫外線硬化型樹脂組成物及びフィルム並びに導電性フィルムに関する。
プラスチックはその加工性、透明性等に加えて、軽量、安価といったことから、ガラスに代わり自動車業界、家電業界をはじめとして種々の産業で使用されており、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイなどのディスプレイやタッチパネル、パーソナルコンピューターなどのディスプレイ用としても広く用いられている。
近年タッチパネルセンサーはPETフィルム上にインジウムスズ化合物(ITO)をスパッタリング法で形成し必要に応じてパターニングすることで構成されてきた。しかしながらITOでは抵抗値50Ω/□が下限であり、10インチ以上の大画面タッチパネルには感度が不十分で応用できないという欠点がある。
そのため最近では銅や銀の薄膜を蒸着法あるいはスパッタリング法で薄膜形成し必要に応じてパターニングすることで50Ω/□未満の抵抗値を発現させ大画面タッチパネルセンサーとして活用することが検討されている。
また、ITOでは屈曲性に乏しく、フレキシブルなタッチパネルセンサーを実現するには不適である。そういった用途には金属をナノ分散させた導電性インクをフィルム上に塗工し、フレキシブルタッチパネルセンサーとして活用することが検討されている。しかしながらこういった金属などの導電性膜をフィルム上に形成するためにはプライマー処理が必要となる。
特開2004−75934号公報
特開平5−247373号公報
特開平8−27291号公報
しかしながらコロナ処理では有機系コーティング剤との密着性は向上するが、金属薄膜との密着性は不十分である。PETフィルムはポリエステルやアクリル系樹脂の易接着層が形成されている場合があるが、金属薄膜の耐久密着性が不十分である。従来のプライマーコート剤はニッケルやクロムやスズなどの金属薄膜には良く密着するが、近年のタッチパネルセンサーで用いる銅や銀に対しては十分な密着性を有していない。
本発明はかかる状況に鑑み検討されたもので、銅や銀に対して良好な密着性を有する紫外線硬化型樹脂組成物及びこれを塗工した金属用プライマーフィルムを提供することを目的とするものである。
本発明は、(A)(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はアクリレートオリゴマー100重量部と、
(B)シランカップリング剤として、(b1)化1で示される構造を有するアルコキシシランカップリング剤を0.1〜50重量部と、
(b2)(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤と、
光重合開始剤と、
を含有
し、前記(b1)と前記(b2)とが重量比でb1:b2=1:0.5〜1.5であることを特徴とする紫外線硬化型樹脂組成物、及びこの組成物を用いたフィルム、並びに導電性フィルムである。
尚、本明細書で、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート、又はメタクリレート」を意味する。
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、銅や銀といった次世代のタッチパネルセンサーに用いられる金属薄膜との密着性に優れる。さらに平均粒径100〜500nmのナノシリカ微粒子を配合することで、塗膜表面に微細な凹凸が形成されブロッキングすることなく、Roll to Rollの生産が可能となる。
本発明で用いる、主成分の(A)(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はアクリレートオリゴマーは塗膜を形成させる役目を有し、具体的にはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれら2種以上の混合物が挙げられる。
前記の(メタ)アクリレートの中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、或いはこれらの混合物が、耐摩耗性、硬化性の点からとりわけ好ましい。
また(A)成分として、ウレタンアクリレートオリゴマーを用いることもできる。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させた後に、水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させる方法や、ポリイソシアネートと、水酸基を有する(メタ)アクリレートとを反応させた後に、ポリオールを反応させる方法や、ポリイソシアネート、ポリオール、水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させる方法などが挙げられるが特に限定はない。
ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールおよびこれらの共重合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,2’−チオジエタノール等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
架橋密度が高すぎるとプライマーとしての性能が落ち金属密着性が低下しやすくなるため、水酸基を有する低官能(メタ)アクリレート(以下、水酸基含有(メタ)アクリレートという)を用いても良い。水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロキル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどがあげられる。上述した(A)成分は単独で用いても2種以上を用いても良い。
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は(B)シランカップリング剤として、(b1)チオウレア型シランカップリング剤を含むことにより、金属薄膜のプライマーとしての密着力が向上する。チオウレア型シランカップリング剤は化1で示される構造を有するアルコキシシランカップリング剤であり、市販品として、X−12−1016M、X−12−1111、X−12−1116、X−12−1117(信越化学株式会社製、商品名)が挙げられる。
更に、(b2)(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤を配合することによりアンチブロッキング性が向上する。(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤としては、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、市販品としては、KR−513、KBM−5103(信越化学株式会社製、商品名)が挙げられる。
(b1)と(b2)を併用する際は重量比でb1:b2=1:0.5〜1.5が好ましい。
(B)シランカップリング剤の配合量は、前記(A)(メタ)アクリレートモノマー及び/又は(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部に対して、0.1重量部〜50重量部、より好ましくは1〜20重量部とする。この範囲であると金属薄膜との密着性が向上し、塗膜物性を維持することができる。50重量部を超えると塗膜の濡れ性が低下し、導電性ナノインクの密着性が低下する。
本発明に用いる(C)ナノシリカ微粒子としては、アルキルシランから合成されたオルガノシリカゾルあるいはプラズマアークにより合成されたナノシリカを用いることができる。市販品としては前者であればPL−7−PGME(扶桑化学製、商品名)、後者であればSIRMIBK15WT%−M36(CIKナノテック製、商品名)などが挙げられる。ナノシリカ微粒子の配合割合は前記(A)(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はアクリレートオリゴマーと(B)シランカップリング剤総重量100重量部に対し、5〜30重量部、より好ましくは5〜10重量部であり、下限未満では表面凹凸が少なくブロッキングしてしまうためRoll to Rollの生産ができず、上限を超えると金属薄膜との密着性を劣化させてしまう。
(C)ナノシリカ微粒子の平均粒径は100〜500nmが好ましく、平均粒径100nm未満では表面に凹凸を形成するのに必要な添加量が多くなるために金属薄膜との密着性が得られないのに対し、500nmを越えるとヘイズが大きくなり、視認性が低下する問題が発生する。
光重合開始剤としては、ベンゾインノルマルブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等のベンジルケタール類、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等のアセトフェノン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−エチレンフェニル)プロパン−1−オン]、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロピルフェニル)プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン類、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−1−モルフォリノプロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン等のα−アミノアルキルフェノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド等のモノアシルホスフィンオキサイド類、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のモノアシルホスフィンオキサイド類などが挙げられる。
樹脂の硬化性、光安定性、樹脂との相溶性、低揮発、低臭気という点から、アルキルフェノン系光重合開始剤が好ましく、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、(2−ヒドロキシ−1−{4-[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンがより好ましい。市販品としてはIrgacure127、184、369、651、500、891、907、2959、Darocure1173、TPO(BASFジャパン株式会社製、商品名)などが挙げられる。光重合開始剤は(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はアクリレートオリゴマー100重量部に対して、固形分3〜10重量部配合する。
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、分子内に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート及び/あるいは(メタ)アクリレートオリゴマーを主成分とし、トルエン、酢酸ブチル、イソブタノール、酢酸エチル、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコールなどの溶剤に希釈され、固形分が30〜50%に調整される。
紫外線硬化型樹脂組成物が塗布されるプラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッソ樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。なかでも耐候性、加工性、寸法安定性などの点から二軸延伸処理されたポリエステルフィルムが好ましく用いられる。フィルムの厚みは概ね25μm〜250μmであればよい。
前記のフィルムには、紫外線硬化型樹脂組成物との密着性を向上させる目的で、プライマー処理やサンドブラスト法、溶剤処理法などによる表面の凹凸化処理、あるいはコロナ放電処理、クロム酸処理、オゾン・紫外線照射処理などの表面の酸化処理などの表面処理を施すことができる。
紫外線硬化型樹脂組成物を塗布する方法は、特に制限はなく、公知のスプレーコート、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート、ワイヤーバーなどの塗工法またはグラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成できる。乾燥膜厚は、1μm〜10μmが好ましい。
紫外線硬化型樹脂組成物は、紫外線照射機を用いて500mW/cm2〜3000mW/cm2の照射強度で、仕事量が50〜400mJ/cm2の紫外線処理を行い硬化させる。紫外線発生源としては一般的に紫外線ランプが用いられており、具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプなどが挙げられ、照射する場合は空気中でもよいし、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中でもよい。
以下、本発明を参考例、実施例、比較例に基づき詳細に説明するが、具体例を示すものであって特にこれらに限定するものではない。
[参考例1]
ペンタエリスリトールトリアクリレートモノマー(日本化薬株式会社製 商品名PET−30 固形分100%)70重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレートモノマー(共栄社製 商品名ライトエステルHOA 固形分100%)30重量部に対し、チオウレア型シランカップリング剤として化1で示される構造を有する3官能アルコシシシラン(信越化学工業株式会社製 商品名X−12−1116 固形分100%)を0.5重量部配合し、開始剤としてIrgacure127(2−ヒドロキシ−1−{4-[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、BASF社製)を上記アクリレートモノマー100重量部に対し5重量部加え、固形分30%となるように溶媒として酢酸エチルを加えることにより、参考例1の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
[参考例2]
参考例1において、X−12−1116を10重量部とした以外は同様に実施した。
[参考例3]
参考例1において、X−12−1116を30重量部とした以外は同様に実施した。
[参考例4]
四ツ口フラスコに2―ヒドロキシプロピルアクリレートモノマー260.28g(2モル)、2,4―トリレンジイソシアネート174.16g(1モル)およびハイドロキノン0.143gを配合し、チツ素ガス気流下で30〜40℃において2時間撹拌したのち、温度を80〜90℃に上げ1時間反応を行ない、オクチル酸スズ0.3gを加え、90〜90℃の温度で1時間、105〜115℃の温度で1時間30分反応を行ない、室温まで冷却後、樹脂固形分が85%になる様にメチルエチルケトンを加え、ウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
ウレタンアクリレートオリゴマー117.6重量部に対し、チオウレア型シランカップリング剤として化1で示される構造を有する3官能アルコシシシラン(信越化学工業株式会社製 商品名X−12−1116 固形分100%)を10重量部配合し、開始剤としてIrgacure127(BASF社製)を上記ウレタンアクリレートオリゴマー固形分100重量部に対し5重量部加え、固形分30%となるように溶媒として酢酸エチルを加えることにより、参考例4の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
参考例4において、X−12−1116を1重量部、アクリル基含有シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製 商品名KBM5103 3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 固形分100%)を1重量部配合した他は、同様に配合して実施例1の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例1において、X−12−1116を5重量部、KBM5103を5重量部配合した他は、同様に配合して実施例2の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例1において、X−12−1116を10重量部、KBM5103を10重量部配合した他は、同様に配合して実施例3の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
[参考例5]
参考例1において平均粒径200nmのナノシリカ微粒子(CIKナノテック製 商品名SIRMIBK15WT%−M36 固形分15%)を73.3重量部配合した以外は同様に実施して、参考例5の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
[参考例6]
参考例2において平均粒径200nmのナノシリカ微粒子(CIKナノテック製 商品名SIRMIBK15WT%−M36 固形分15%)を73.3重量部配合した以外は同様に実施して、参考例6の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
[参考例7]
参考例3において平均粒径200nmのナノシリカ微粒子(CIKナノテック製 商品名SIRMIBK15WT%−M36 固形分15%)を73.3重量部配合した以外は同様に実施して、参考例7の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例1において、平均粒径200nmのナノシリカ微粒子(CIKナノテック製 商品名SIRMIBK15WT%−M36 固形分15%)を73.3重量部配合した以外は同様に実施して、実施例4の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例2において、平均粒径200nmのナノシリカ微粒子(CIKナノテック製 商品名SIRMIBK15WT%−M36 固形分15%)を73.3重量部配合した以外は同様に実施して、実施例5の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例3において、平均粒径200nmのナノシリカ微粒子(CIKナノテック製 商品名SIRMIBK15WT%−M36 固形分15%)を73.3重量部配合した以外は同様に実施して、実施例6の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
比較例1、2
参考例1において、X−12−1116の配合量を0.05重量部、55重量部とした他は、同様に配合して比較例1、2の紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
比較例3
参考例2において、チオウレア型シランカップリング剤に代えて、エポキシ系シランカップリング剤を用いた以外は同様に実施した。
比較例4
参考例2において、チオウレア型シランカップリング剤に代えて、メタクリル系シランカップリング剤を用いた以外は同様に実施した。
参考例、実施例・比較例で作成した樹脂組成物を125umのPETフィルム(東洋紡製A4300)に乾燥膜厚1umで形成し、高圧水銀ランプ200mJにて硬化させコートフィルムとした。
次いで、真空蒸着法で銅、銀の薄膜を形成し導電性フィルムを得た。
試験方法、評価方法は以下の通りとした。
全光線透過率:JIS K7361の規定に基づいて行った。測定装置としては、株式会社東洋精機製作所製のヘイズガードIIを用いた。
ヘイズ:JIS K7136の規定に基づいて行った。測定装置としては、株式会社東洋精機製作所製のヘイズガードIIを用いた。
銅密着性:作成したフィルム上に真空蒸着法を用いて銅の薄膜を膜厚400nmで形成し、導電性フィルムを得た。その後碁盤目密着試験にて密着性を評価した。評価基準は下記の通りとした。
◎:100/100、○:80〜99/100、△:50〜79/100、×:0〜49/100 ※剥離しなかったマス目の数
銀密着性:作成したフィルム上に真空蒸着法を用いて銀の薄膜を膜厚200nmで形成し、導電性フィルムを得た。その後碁盤目密着試験にて密着性を評価した。評価基準は下記の通りとした。
◎:100/100、○:80〜99/100、△:50〜79/100、×:0〜49/100 ※剥離しなかったマス目の数
銀ナノインク密着性:作成したフィルム上にバーコーターで銀をナノ分散したインク(Suzhou ColdStones Technology社製 CST−INK−S11)を乾燥膜厚3umで形成し、導電性フィルムを得た。その後碁盤目密着試験にて密着性を評価した。評価基準は下記の通りとした。
◎:100/100、○:80〜99/100、△:50〜79/100、×:0〜49/100 ※剥離しなかったマス目の数
濡れ性:JIS K6768の規定に基づいて行った。和光純薬製ぬれ張力試験用混合液を使用した。
アンチブロッキング性:125umのPETフィルム(東洋紡製A4300)に乾燥膜厚1umで形成し、高圧水銀ランプ200mJで硬化させたのち、裏面にも全くの同条件で塗膜を形成した。両面塗工したフィルムを5cm角に切り出し10枚重ね合わせ、5cm角×厚さ1cmのガラス板に挟み込み、その上から10kgの重りを乗せ室温にて静置させた。フィルムの張り付き具合を目視にて確認し、下記の基準にて評価した。
◎:6日間静置し、張り付きなし
○:3日間静置し、張り付きなし、
×:3日間静置し、張り付きあり。
本発明は、
(A)(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はアクリレートオリゴマー100重量部と、
(B)シランカップリング剤
を0.1〜50重量部と、
光重合開始剤と、
を含有し、
前記(B)シランカップリング剤は、(b1)化1で示される構造を有するアルコキシシランカップリング剤と(b2)(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤との併用であり、
前記(b1)と前記(b2)は重量比でb1:b2=1:0.5〜1.5であることを特徴とする紫外線硬化型樹脂組成物、及びこの組成物を用いたフィルム、並びに導電性フィルムである。
尚、本明細書で、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート、又はメタクリレート」を意味する。