本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、平均粒子径が60〜250nmの範囲である硫酸バリウム微粒子(A)と、(メタ)アクリロイル基を有するマトリックス樹脂(B)とを含有する。
前記硫酸バリウム微粒子(A)は、原料である硫酸バリウム微粒子(a)をマトリックス樹脂(B)、或いはマトリックス樹脂(B)と有機溶剤等との配合物に分散させることにより得られる。前記硫酸バリウム微粒子(A)の平均粒子径とは、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物中に分散している状態での平均粒子径を下記の方法で測定した値である。前記硫酸バリウム微粒子(A)の平均粒子径は60〜250nmであり、硬化物における表面硬度と屈曲性とのバランスにより優れることから、70〜200nmの範囲であることがより好ましく、80〜120nmの範囲であることが特に好ましい。
[硫酸バリウム微粒子(A)の平均粒子径測定方法]
粒子径測定装置:大塚電子株式会社製「ELSZ−2」
粒子径測定サンプル:活性エネルギー線硬化型樹脂組成物をメチルイソブチルケトンで希釈し、硫酸バリウム微粒子(A)濃度を0.2質量%に調整したもの。
原料である前記硫酸バリウム微粒子(a)は、例えば、硫化バリウムと硫酸とを用いて製造されるものや、塩化バリウムと硫酸ナトリウムとを用いて製造されるもの、これらの粒子表面をアルミナ、シリカ、各種シランカップリング剤等で修飾したもの、市販品として入手可能なもの、いずれも好適に用いることができる。市販品の一例としては堺化学工業株式会社製の硫酸バリウムが挙げられ、BARIFINEシリーズや、硫酸バリウム微粒子の粒子表面がアルミナやシリカで修飾されたBARIACEシリーズ、「硫酸バリウムBB−02」等の特殊品シリーズ等が挙げられる。前記硫酸バリウム微粒子(a)の平均粒子径は、0.001〜0.15μmの範囲であることが好ましい。
前記(メタ)アクリロイル基を有するマトリックス樹脂(B)は、活性エネルギー線の照射により重合を生じる(メタ)アクリロイル基を有するものであれば、その具体構造は特に限定されず、多種多様なものを用いることができる。前記マトリックス樹脂(B)は、例えば、(メタ)アクリレート樹脂(B1)と、(メタ)アクリレートモノマー(B2)とに分類することができる。
前記(メタ)アクリレート樹脂(B1)は、例えば、(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(B1−1)、デンドリマー型ポリ(メタ)アクリレート樹脂(B1−2)、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(B1−3)、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(B1−4)等が挙げられる。また、前記(メタ)アクリレート樹脂(B1)は分子量分布を有し、重量平均分子量(Mw)が1,000〜50,000であるものが好ましい。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記(メタ)アクリロイル基を有するアクリル樹脂(B1−1)は、例えば、水酸基やカルボキシ基、イソシアネート基、グリシジル基等の反応性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(α)を必須の成分として重合させて得られるアクリル樹脂中間体に、これらの官能基と反応し得る反応性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(β)を更に反応させることにより(メタ)アクリロイル基を導入して得られるものが挙げられる。
前記反応性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(α)は、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸、(アクリロイルオキシ)酢酸、アクリル酸2−カルボキシエチル、アクリル酸3−カルボキシプロピル、コハク酸1−[2−(アクリロイルオキシ)エチル]、フタル酸−1−(2−アクリロイルオキシエチル)、ヘキサヒドロフタル酸水素2−(アクリロイルオキシ)エチル等のカルボキシ基含有(メタ)アクリレート;
2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等のイソシアネート基含有(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等のグリシジル基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
これらの中でも、前記(メタ)アクリロイル基を有するアクリル樹脂(B1−1)の製造が簡便であることから、前記反応性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(α)としてカルボキシ基含有(メタ)アクリレート又はグリシジル基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
前記アクリル樹脂中間体は、前記反応性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(α)の他、に応じてその他の重合性不飽和基含有化合物を共重合させて得られるものであってもよい。
前記その他の重合性不飽和基含有化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等のシクロ環含有(メタ)アクリレート;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基含有(メタ)アクリレート;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;
2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルオキシエチル(メタ)アクリレート等の(パー)フルオロアルキル基の炭素数が1〜18の範囲である(パー)フルオロアルキル(メタ)アクリレート;
トリフルオロメチルトリフルオロビニルエーテル、ペンタフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル、ヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル等の(パー)フルオロアルキル基の炭素数が1〜18の範囲である(パー)フルオロアルキル・パーフルオロビニルエーテル;
フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、フマル酸メチルエチル、フマル酸メチルブチル、イタコン酸メチルエチル等の不飽和ジカルボン酸エステル;
スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン誘導体;
ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、ジメチルブタジエン等のジエン系化合物;
塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル又はハロゲン化ビニリデン;
メチルビニルケトン、ブチルビニルケトン等の不飽和ケトン;
酢酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル;
メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアン化ビニル;
アクリルアミド又はそのアルキド置換アミド;
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド;
フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンの等のフッ素含有α−オレフィン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。
これらその他の重合性不飽和基含有化合物の中でも、硬化塗膜における表面硬度と屈曲性とに優れる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物となることから、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることが好ましい。
前記アクリル樹脂中間体が、前記反応性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(α)と、前記その他の重合性不飽和基含有化合物とを共重合させて得られるものである場合、両者の反応割合は、硬化性に優れる(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(B1−1)となることから、両者の合計に対する前記反応性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(α)の割合が30〜90質量部%の範囲であることが好ましく、40〜80質量部%の範囲であることがより好ましく、50〜70質量部%の範囲であることが特に好ましい。
前記アクリル樹脂中間体は、例えば、重合開始剤の存在下、60℃〜150℃の温度領域で各種モノマーを重合させることにより製造することができる。重合の方法は、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げられる。また、重合様式は、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等が挙げられる。溶液重合法で行う場合には、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒や、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル溶媒を好ましく用いることができる。
次に、得られたアクリル樹脂中間体と反応させる(メタ)アクリレートモノマー(β)は、前記(メタ)アクリレートモノマー(α)が有する反応性官能基と反応し得るものでれば特に限定されないが、反応性の観点から以下の組み合わせであることが好ましい。即ち、前記(メタ)アクリレートモノマー(α)として前記水酸基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレートモノマー(β)としてイソシアネート基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレートモノマー(α)として前記カルボキシ基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレートモノマー(β)として前記グリシジル基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレートモノマー(α)として前記イソシアネート基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレートモノマー(β)として前記水酸基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレートモノマー(α)として前記グリシジル基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレートモノマー(β)として前記カルボキシ基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
前記アクリル樹脂中間体と(メタ)アクリレートモノマー(β)との反応は、例えば、該反応がエステル化反応である場合には、60〜150℃の温度範囲で、トリフェニルホスフィン等のエステル化触媒を適宜用いるなどの方法が挙げられる。また、該反応がウレタン化反応である場合には、50〜120℃の温度範囲で、アクリル樹脂中間体に化合物(α)を滴下しながら反応させる等の方法が挙げられる。
前記(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(B1−1)の重量平均分子量(Mw)は、硬化塗膜における表面硬度と屈曲性とに優れる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物となることから、5,000〜80,000の範囲であることが好ましく、10,000〜50,000の範囲であることがより好ましい。また、前記(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(B1−1)の(メタ)アクリロイル基当量は200〜500g/当量の範囲であることが好ましい。
尚、本発明において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mn/Mw)は、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定される値である。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL−H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC−8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
前記デンドリマー型ポリ(メタ)アクリレート樹脂(B1−2)とは、規則性のある多分岐構造を有し、各分岐鎖の末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂のことをいい、デンドリマー型の他、ハイパーブランチ型或いはスターポリマーなどと呼ばれている。このような化合物は、例えば、下記構造式(1−1)〜(1−8)で表されるものなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、規則性のある多分岐構造を有し、各分岐鎖の末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂であればいずれのものも用いることができる。
(式中R
1は水素原子又はメチル基を表し、R
2は炭素原子数1〜4の炭化水素基を表す。)
このような分子構造を有するデンドリマー型ポリ(メタ)アクリレート樹脂(B1−2)として、大阪有機化学株式会社製「ビスコート#1000」[重量平均分子量(Mw)1,500〜2,000、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数14]、「ビスコート1020」[重量平均分子量(Mw)1,000〜3,000]、「SIRIUS501」[重量平均分子量(Mw)15,000〜23,000]、MIWON社製「SP−1106」[重量平均分子量(Mw)1,630、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数18]、SARTOMER社製「CN2301」、「CN2302」[一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数16]、「CN2303」[一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数6]、「CN2304」[一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数18]、新日鉄住金化学株式会社製「エスドリマーHU−22」、新中村化学株式会社製「A−HBR−5」、第一工業製薬株式会社製「ニューフロンティアR−1150」、日産化学株式会社製「ハイパーテックUR−101」等の市販品を用いても良い。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記デンドリマー型ポリ(メタ)アクリレート樹脂(B1−2)の中でも、硬化塗膜における表面硬度と屈曲性とのバランスにも優れることから、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数が5〜50の範囲であるものが好ましく、10〜30の範囲であることが特に好ましい。また、その重量平均分子量(Mw)は1,000〜30,000の範囲であることが好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(B1−3)は、例えば、各種のポリイソシアネート化合物、モノヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物、及び必要に応じてジヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物や各種のポリオール化合物を反応させて得られるものが挙げられる。
前記ポリイソシアネート化合物は、例えば、ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;下記構造式(2)で表される繰り返し構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等が挙げられる。
[式中、R
3はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6の炭化水素基の何れかである。R
4はそれぞれ独立に炭素原子数1〜4のアルキル基、又は構造式(2)で表される構造部位と*印が付されたメチレン基を介して連結する結合点の何れかである。mは0又は1〜3の整数であり、lは1以上の整数である。]
前記モノヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物は、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びこれらのポリオキシアルキレン変性体、ポリラクトン変性体等が挙げられる。
前記ジヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物は、例えば、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれらのポリオキシアルキレン変性体、ポリラクトン変性体等が挙げられる。
前記ポリオール化合物は、例えば、エチレングリコール、プロプレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(B1−3)の重量平均分子量(Mw)は1,000〜5,000の範囲であることが好ましい。また、その(メタ)アクリロイル基当量は100〜400g/当量の範囲であることが好ましい。
前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(B1−4)は、ビスフェノール化合物やビフェノール化合物、エチレングリコール、プロプレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール化合物のポリグリシジルエーテルを(メタ)アクリル酸等と反応させて得られるものが挙げられる。
これら(メタ)アクリレート樹脂(B1)の中でも、前記硫酸バリウム微粒子(A)の分散安定性に優れることから、前記(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(B1−1)、前記デンドリマー型ポリ(メタ)アクリレート樹脂(B1−2)、前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(B1−3)の何れか一種類以上を必須の成分として用いることが好ましい。
前記(メタ)アクリレートモノマー(B2)は、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレートなどのモノ(メタ)アクリレート;
ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2―ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレート;
前記各種の(メタ)アクリレートモノマーの分子構造中に(ポリ)オキシアルキレン鎖や(ポリ)ラクトン構造を導入した変性(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
これら(メタ)アクリレートモノマー(B2)の中でも、硬化塗膜における表面硬度と屈曲性とに優れる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物となることから、前記ジ(メタ)アクリレート、前記トリ(メタ)アクリレート、前記4官能以上の(メタ)アクリレート、及びこれらの分子構造中に(ポリ)オキシアルキレン鎖や(ポリ)ラクトン構造を導入した変性(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、前記トリ(メタ)アクリレート、前記4官能以上の(メタ)アクリレート、及びこれらの分子構造中に(ポリ)オキシアルキレン鎖や(ポリ)ラクトン構造を導入した変性(メタ)アクリレートモノマーがより好ましい。また、前記(メタ)アクリレートモノマー(B2)の分子量は1000未満であることが好ましい。
前記(メタ)アクリロイル基を有するマトリックス樹脂(B)は、一種類を単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良いが、硬化塗膜における表面硬度と屈曲性とに優れる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物となることから、前記(メタ)アクリレート樹脂(B1)と、前記(メタ)アクリレートモノマー(B2)とを併用することが好ましい。この時、両者の質量比[(B1)/(B2)]は、10/90〜90/10の範囲であることが好ましく、30/70〜70/30の範囲であることがより好ましい。
また、前記硫酸バリウム微粒子(A)と前記マトリックス樹脂(B)との質量比[(A)/(B)]は、硬化塗膜における表面硬度と屈曲性とのバランスに優れ、積層フィルムにおける干渉縞が生じ難い活性エネルギー線硬化型樹脂組成物となることから、30/70〜70/30の範囲であることが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、前記硫酸バリウム微粒子(A)と前記マトリックス樹脂(B)との他、所望の性能に応じて各種の添加剤成分を含有しても良い。添加剤成分は、例えば、光重合開始剤、光増感剤、有機溶剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シリコン系添加剤、フッ素系添加剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、有機ビーズ、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、防曇剤、着色剤等が挙げられる。
前記光重合開始剤は、例えば、ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4,4′−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、3,3′,4,4′-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなど各種のベンゾフェノン;
キサントン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンなどのキサントン、チオキサントン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなど各種のアシロインエーテル;
ベンジル、ジアセチルなどのα-ジケトン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、p−トリルジスルフィドなどのスルフィド類;4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなど各種の安息香酸;
3,3′-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノ)クマリン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2,2′−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4′−メチルジメチルスルフィド、2,2′−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタ−ル、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリルニ量体、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−[ジ−(エトキシカルボニルメチル)アミノ]フェニル−S−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(4−エトキシ)フェニル−S−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−エトキシ)フェニル−S−トリアジンアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。
前記光重合開始剤の中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2′−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オンの群から選ばれる1種または2種類以上の混合系を用いることにより、より広範囲の波長の光に対して活性を示し、硬化性の高い塗料が得られるため好ましい。
前記光重合開始剤の市販品は、例えば、チバスペシャルティケミカルズ社製「イルガキュア−184」、「イルガキュア−149」、「イルガキュア−261」、「イルガキュア−369」、「イルガキュア−500」、「イルガキュア−651」、「イルガキュア−754」、「イルガキュア−784」、「イルガキュア−819」、「イルガキュア−907」、「イルガキュア−1116」、「イルガキュア−1664」、「イルガキュア−1700」、「イルガキュア−1800」、「イルガキュア−1850」、「イルガキュア−2959」、「イルガキュア−4043」、「ダロキュア−1173」;ビーエーエスエフ社製「ルシリンTPO」;日本化薬株式会社製「カヤキュア−DETX」、「カヤキュア−MBP」、「カヤキュア−DMBI」、「カヤキュア−EPA」、「カヤキュア−OA」;ストウファ・ケミカル社製「バイキュア−10」、「バイキュア−55」;アクゾ社製「トリゴナルP1」;サンドズ社製「サンドレイ1000」;アプジョン社製「ディープ」;ワードブレンキンソップ社製「クオンタキュア−PDO」、「クオンタキュア−ITX」、「クオンタキュア−EPD」等が挙げられる。
前記光重合開始剤の使用量は、光重合開始剤としての機能を十分に発揮しうる量であり、かつ、結晶の析出や塗膜物性の劣化が生じない範囲が好ましく、具体的には、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物100質量部に対して0.05〜20質量部の範囲で用いることが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で用いることがより好ましい。
前記光増感剤は、例えば、アミン類、尿素類、含硫黄化合物、含燐化合物、含塩素化合物またはニトリル類もしくはその他の含窒素化合物等が挙げられる。
前記有機溶剤は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記有機溶剤は、主に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の粘度を調整する目的で用いるが、通常、不揮発分が10〜60質量%の範囲となるように調整することが好ましい。
前記紫外線吸収剤は、例えば、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン誘導体、2−(2′−キサンテンカルボキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−o−ニトロベンジロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−キサンテンカルボキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−o−ニトロベンジロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記酸化防止剤は、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤、リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記シリコン系添加剤は、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロゲンポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、フッ素変性ジメチルポリシロキサン共重合体、アミノ変性ジメチルポリシロキサン共重合体など如きアルキル基やフェニル基を有するポリオルガノシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記フッ素系添加剤は、例えば、DIC株式会社「メガフェース」シリーズ等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記帯電防止剤は、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド又はビス(フルオロスルホニル)イミドのピリジニウム、イミダゾリウム、ホスホニウム、アンモニウム、又はリチウム塩が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、二種類以上を併用しても良い。
前記シランカップリング剤は、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル・ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、特殊アミノシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等、ビニル系のシランカップリング剤;
ジエトキシ(グリシディルオキシプロピル)メチルシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−ブリシドキシプロピルトリエトキシシラン等、エポキシ系のシランカップリング剤;
p−スチリルトリメトキシシラン等、スチレン系のシランカップリング剤;
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等、(メタ)アクリロキシ系のシランカップリング剤;
N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等、アミノ系のシランカップリング剤;
3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等、ウレイド系のシランカップリング剤;
3−クロロプロピルトリメトキシシラン等、クロロプロピル系のシランカップリング剤;
3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキンシラン等、メルカプロ系のシランカップリング剤;
ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファイド等、スルフィド系のシランカップリング剤;
3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等、イソシアネート系のシランカップリング剤が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記有機ビーズは、例えば、ポリメタクリル酸メチルビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリスチレンビーズ、ポリアクリルスチレンビーズ、シリコーンビ−ズ、ガラスビーズ、アクリルビーズ、ベンゾグアナミン系樹脂ビーズ、メラミン系樹脂ビーズ、ポリオレフィン系樹脂ビーズ、ポリエステル系樹脂ビーズ、ポリアミド樹脂ビーズ、ポリイミド系樹脂ビーズ、ポリフッ化エチレン樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズ等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。これら有機ビーズの平均粒径は1〜10μmの範囲であることが好ましい。
これら各種の添加剤は、所望の性能等に応じて任意の量添加することができるが、通常、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物100質量部中、0.01〜40質量部の範囲で用いることが好ましい。
前記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を製造する方法は特に限定されず、どのような方法にて製造したものであっても良い。製造方法の一例としては、例えば、ディスパー、タービン翼等攪拌翼を有する分散機、ペイントシェイカー、ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等の分散機を用い、前記硫酸バリウム微粒子(a)を前記(メタ)アクリロイル基を有するマトリックス樹脂(B)、有機溶媒等のマトリックス成分中に混合分散する方法にて製造することができる。中でも、均一かつ安定な分散体が得られることからボールミル又はビーズミルを用いることが好ましい。前記硫酸バリウム微粒子(a)をマトリックス成分中に混合分散する方法は、例えば、マトリックス成分全量に硫酸バリウム微粒子(a)を分散させて一括で活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を製造する方法でも良いし、マトリックス成分の一部に硫酸バリウム微粒子(a)を分散させてプレ分散体を製造した後、残りのマトリックス成分を配合する方法でも良い。また、各種の添加剤は分散工程で添加しても良いし、硫酸バリウム微粒子(a)をマトリックス成分中に分散した後添加しても良い。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、硬化塗膜における表面硬度が高い特徴を有することから、成型品やディスプレイ部材、各種フィルム材料を傷付きから保護するための塗料用途に好適に用いることができる。更に、硬化物における屈曲性が高く、積層フィルム用途に用いた際の干渉縞が生じ難い特徴を生かし、特にプラスチックフィルム用の塗料として好適に用いることができる。
前記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を含有する塗料は、各種基材上に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させることにより、基材表面を保護する塗膜を形成することができる。本発明の塗料は、被表面保護部材に直接塗布して用いても良いし、プラスチックフィルム上に塗布したものを保護フィルムとして用いてもよい。或いは、本発明の塗料をプラスチックフィルム上に塗布し、塗膜を形成したものを反射防止フィルム、拡散フィルム、及びプリズムシート等の光学フィルムとして用いても良い。
前記プラスチックフィルムは、例えば、トリアセチルセルロースフィルム、ポリエステルフィルム、アクリルフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。
上記プラスチックフィルムのうち、トリアセチルセルロースフィルムは、液晶ディスプレイの偏光版用途に特に好適に用いられるフィルムであるが、一般に厚さが40〜100μmと薄いため、ハードコート層を設置した場合にも表面硬度を十分に高くすることが難しく、また、大きくカールしやすい特徴がある。本願発明の樹脂組成物からなる塗膜は、トリアセチルセルロースフィルムを基材として用いた場合にも、表面硬度が高く、耐カール性や靭性、透明性にも優れるという効果を奏し、好適に用いることが出来る。該トリアセチルセルロースフィルムを基材として用いる場合、本願発明の塗料を塗布する際の塗布量は、乾燥後の膜厚が4〜20μmの範囲、好ましくは6〜15μmの範囲となるように塗布することが好ましい。その際の塗布方法は、例えば、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が挙げられる。
上記プラスチックフィルムのうち、ポリエステルフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレートが挙げられ、その厚さは一般に100〜300μm程度である。安価で加工しやすいことからタッチパネルディスプレイなど様々な用途に用いられるフィルムであるが、非常に柔らかく、ハードコート層を設置した場合にも表面硬度を十分に高くすることが難しい特徴がある。該ポリエチレンフィルムを基材として用いる場合、本願発明の塗料を塗布する際の塗布量は、その用途に合わせて、乾燥後の膜厚が5〜100μmの範囲、好ましくは7〜80μmの範囲となるように塗布することが好ましい。一般に、30μmを超えるような膜厚で塗料を塗布した場合には、比較的薄い膜厚で塗布した場合と比較して大きくカールし易い傾向があるが、本願発明の塗料は耐カール性に優れる特徴を有するため、30μmを越える比較的高い膜厚で塗った場合にもカールが生じ難く、好適に用いることが出来る。その際の塗布方法は、例えば、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が挙げられる。
上記プラスチックフィルムのうち、ポリメチルメタクリレートフィルムは、一般に厚さが100〜2,000μm程度と比較的厚く丈夫であるため、液晶ディスプレイの前面板用途など、特に高い表面硬度を要求される用途に好適に用いられるフィルムである。該ポリメチルメタクリレートフィルムを基材として用いる場合、本願発明の塗料を塗布する際の塗布量は、その用途に合わせて、乾燥後の膜厚が5〜100μmの範囲、好ましくは7〜80μmの範囲となるように塗布することが好ましい。一般に、ポリメチルメタクリレートフィルムのような比較的厚いフィルムの上に30μmを超えるような膜厚で塗料を塗布した場合には、表面硬度の高い積層フィルムとなる反面、透明性が低下する傾向があるが、本願発明の塗料は従来の塗料と比べて非常に高い透明性を有するため、高い表面硬度と透明性とを兼備する積層フィルムが得られる。その際の塗布方法は、例えば、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が挙げられる。
本発明の塗料を硬化させ塗膜とする際に照射する活性エネルギー線は、例えば、紫外線や電子線が挙げられる。紫外線により硬化させる場合には、光源としてキセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプを有する紫外線照射装置が使用され、必要に応じて光量、光源の配置などが調整される。高圧水銀灯を使用する場合には、通常80〜160W/cmの範囲である光量を有したランプ1灯に対して搬送速度5〜50m/分の範囲で硬化させることが好ましい。一方、電子線により硬化させる場合には、通常10〜300kVの範囲である加速電圧を有する電子線加速装置にて、搬送速度5〜50m/分の範囲で硬化させることが好ましい。
また、本発明の塗料を塗布する基材は、プラスチックフィルムのみならず、各種のプラスチック成形品、例えば、携帯電話、電家製品、自動車のバンパー等の表面コーティング剤としても好適に用いることができる。この場合、その塗膜の形成方法としては、例えば、塗装法、転写法、シート接着法等が挙げられる。
前記塗装法は、前記塗料をスプレーコートするか、もしくはカーテンコーター、ロールコーター、グラビアコーター等の印刷機器を用いて成形品にトップコートとして塗装した後、活性エネルギー線を照射して硬化させる方法である。
前記転写法は、離型性を有する基体シート上に前記した本発明の塗料を塗布して得られる転写材を成形品表面に接着させた後、基体シートを剥離して成型品表面にトップコートを転写し、次いで活性エネルギー線を照射し硬化させる方法、又は、該転写材を成形品表面に接着させた後、活性エネルギー線を照射して硬化させ、次いで基体シートを剥離する事により成型品表面にトップコートを転写する方法が挙げられる。
他方、前記シート接着法は、基体シート上に前記本発明の塗料からなる塗膜を有する保護シート、又は、基体シート上に前記塗料からなる塗膜と加飾層とを有する保護シートをプラスチック成形品に接着することにより、成形品表面に保護層を形成する方法である。
これらの中でも、本発明の塗料は転写法及びシート接着法用途に好ましく用いることができる。
前記転写法では先ず転写材を作成する。該転写材は、例えば、前記塗料を単独、またはポリイソシアネート化合物と混合したものを基材シート上に塗布し、加熱して塗膜を半硬化(B−ステージ化)させて製造することができる。
ここで、本発明の活性エネルギー線硬化型化合物が含有する前記(メタ)アクリロイル基を有するマトリックス樹脂(B)が分子構造中水酸基を有する化合物である場合、前記B−ステージ化工程をより効率的に行う目的で、ポリイソシアネート化合物と併用してもよい。
転写材を製造するには、まず、基材シート上に前記した本発明の塗料を塗装する。前記塗料を塗装する方法は、例えば、グラビアコート法、ロールコート法、スプレーコート法、リップコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法等が挙げられる。塗装する際の膜厚は、耐摩耗性および耐薬品性が良好となることから、硬化後の塗膜の厚さが0.5〜30μmとなる様に塗装するのが好ましく、1〜6μmとなるように塗装することがより好ましい。
前記方法で基材シート上に前記塗料を塗装した後、加熱乾燥させて塗膜を半硬化(B−ステージ化)させる。加熱は通常55〜160℃、好ましくは100〜140℃である。加熱時間は通常30秒〜30分間、好ましくは1〜10分、より好ましくは1〜5分である。
前記転写材を用いた成形品の表面保護層の形成は、例えば、前記転写材のB−ステージ化された樹脂層と成形品とを接着した後、活性エネルギー線を照射して樹脂層を硬化させて行う。具体的には、例えば、転写材のB−ステージ化された樹脂層を成形品表面に接着させ、その後、転写材の基体シートを剥離することにより転写材のB−ステージ化された樹脂層を成形品表面上に転写させた後、活性エネルギー線照射によりエネルギー線硬化させて樹脂層の架橋硬化を行う方法(転写法)や、前記転写材を成形金型内に挟み込み、キャビテイ内に樹脂を射出充満させ、樹脂成形品を得るのと同時にその表面に転写材を接着させ、基体シートを剥離して成形品上に転写した後、活性エネルギー線照射によりエネルギー線硬化せしめて樹脂層の架橋硬化を行う方法(成形同時転写法)等が挙げられる。
次にシート接着法は、具体的には、予め作成しておいた保護層形成用シートの基体シートと成形品とを接着させた後、加熱により熱硬化せしめてB−ステージ化してなる樹脂層の架橋硬化を行う方法(後接着法)や、前記保護層形成用シートを成形金型内に挟み込み、キャビテイ内に樹脂を射出充満させ、樹脂成形品を得るのと同時にその表面と保護層形成用シートを接着させ後、加熱により熱硬化せしめて樹脂層の架橋硬化を行う方法(成形同時接着法)等が挙げられる。
次に、本発明の塗膜は、前記したプラスチックフィルム上に本発明の塗料を塗布、硬化させて形成された塗膜、又は、プラスチック成形品の表面保護剤として本発明の塗料をコーティング、硬化して形成された塗膜であり、また、本発明のフィルムは、プラスチックフィルム上に塗膜が形成されたフィルムである。
前記フィルムの各種用途のなかでも、前記した通り、プラスチックフィルム上に本発明の塗料を塗布、活性エネルギー線を照射して得られるフィルムを、液晶ディスプレイやタッチパネルディスプレイ等に用いられる偏光板用保護フィルムとして用いることが塗膜硬度に優れる点から好ましい。具体的には、液晶ディスプレイやタッチパネルディスプレイ等に用いられる偏光板の保護フィルム上に本発明の塗料を塗布、活性エネルギー線を照射・硬化させてなるフィルムにした場合、硬化塗膜が高硬度と高い透明性とを兼備した保護フィルムとなる。偏光板の保護フィルム用途においては、本発明の塗料を塗布したコーティング層の反対側の面には粘着剤層が形成されていてもよい。
本発明の積層フィルムは、表面硬度及び屈曲性が高く、干渉縞が生じ難い特徴を生かし、ディスプレイ部材や自動車部材、建材用途の他、各種の電子機器や家電、家具等の表面保護フィルム、メッキ代替、塗装代替等、様々な用途に好適に用いることができる。
以下に本発明を具体的な製造例、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。例中の部及び%は、特に記載のない限り、すべて質量基準である。
尚、本発明の実施例では、重量平均分子量(Mw)、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用い、下記の条件により測定した値である。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL−H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC−8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
本願実施例において硫酸バリウム微粒子(A)の平均粒子径は、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物中の粒子径を以下の条件で測定した値である。
粒子径測定装置:大塚電子株式会社製「ELSZ−2」
粒子径測定サンプル:活性エネルギー線硬化型樹脂組成物をメチルイソブチルケトンで希釈し、硫酸バリウム微粒子(A)濃度を0.2質量%に調整したもの。
製造例1 アクリロイル基含有アクリル樹脂(B−1)の製造
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応装置に、メチルイソブチルケトン453質量部を仕込み、撹拌しながら系内温度が110℃になるまで昇温し、次いで、グリシジルメタアクリレート720質量部、メチルメタアクリレート480質量部およびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本乳化剤株式会社製「パーブチルO」)48質量部からなる混合液を3時間かけて滴下ロートより滴下した後、110℃で15時間保持した。次いで、90℃まで降温した後、メトキノン1.6質量部およびアクリル酸367質量部を仕込んだ後、トリフェニルホスフィン7.8質量部を添加後、さらに100℃まで昇温して8時間保持し、前記アクリロイル基含有アクリル樹脂(B−1)のメチルイソブチルケトン溶液3000質量部(不揮発分50.0質量%)を得た。前記アクリロイル基含有アクリル樹脂(B−1)の重量平均分子量(Mw)は13,000、固形分換算の理論アクリロイル基当量は321g/eq、水酸基価は108mgKOH/gであった。
製造例2 ウレタンアクリレート樹脂(B−2)の製造
撹拌装置を備えた反応装置にジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート166質量部、ジブチル錫ジラウリート0.2質量部及びメトキノン0.2質量部を加え、攪拌しながら60℃まで昇温した。次いで、東亞合成株式会社製「アロニクスM−305」(*1)630質量部を10回に分けて10分毎に仕込んだ。更に10時間反応させ、赤外線スペクトルで22500cm−1のイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して反応を終了し、ウレタンアクリレート樹脂(B−2)を得た。ウレタンアクリレート樹脂(B−2)の重量平均分子量(Mw)は1,400、理論アクリロイル基当量は120g/eqであった。
(*1)東亞合成株式会社製「アロニクスM−305」:ペンタエリスリトールトリアクリレートを約60%含有するペンタエリスリトールポリアクリレート組成物
製造例3 ウレタンアクリレート樹脂(B−3)の製造
撹拌装置を備えた反応装置に東亞合成株式会社製「アロニクスM−403」(*2)735質量部を加え、撹拌しながら60℃まで昇温した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート79質量部、ジブチル錫ジラウリート0.2質量部及びメトキノン0.2質量部を10回に分けて10分毎に仕込んだ。更に10時間反応させ、赤外線スペクトルで22500cm−1のイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して反応を終了し、ウレタンアクリレート樹脂(B−3)を得た。ウレタンアクリレート樹脂(B−3)の重量平均分子量(Mw)は4,500、理論アクリロイル基当量は350g/eqであった。
(*2)東亞合成株式会社製「アロニクスM−403」:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートを約55%含有するジペンタエリスリトールポリアクリレート組成物
実施例1 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の製造と評価
前記製造例1で得た(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(B−1)のメチルイソブチルケトン溶液40質量部(樹脂固形分20質量部)、(メタ)アクリレートモノマー(東亞合成株式会社製「ルミキュアDPA−600T」(*3))25質量部、硫酸バリウム微粒子(a−1)(堺化学工業株式会社製「BARIFINE BF−1」平均粒子径0.05μm)50質量部、分散補助剤(ビックケミー社製「BYK−111」)5質量部を配合し、更にメチルイソブチルケトン(MIBK)を適量加えて不揮発分40質量%のスラリーとしたものを、湿式ボールミル(アシザワ株式会社製「スターミルLMZ015」)を用いて混合分散し、分散体を得た。
(*3)東亞合成株式会社製「ルミキュアDPA−600T」:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとをモル比40/60で含有する組成物
前記湿式ボールミルによる分散の各条件は以下の通りである。
メディア:メジアン径100μmのジルコニアビーズ
ミルの内容積に対する樹脂組成物の充填率:70体積%
攪拌翼の先端部の周速:12m/sec
樹脂組成物の流速:200ml/min
分散時間:60分
得られた分散体に、光開始剤(チバスペシャルティケミカルズ社製「イルガキュア#184」)2質量部を加え、更にメチルイソブチルケトンとプロピレングリコールモノメチルエーテルとを加えて不揮発分率を40質量%に調整し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物について、下記各種試験により評価した。結果を表1に示す。
貯蔵安定性評価
前記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を、40℃の温度条件下で1か月間静置し、各経過時における沈降物の有無を評価した。
A:沈降物が見られない
B:3週間後に沈降物が見られる
C:1週間後に沈降物が見られる
積層フィルムの作成
前記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(膜厚125μm)上に、硬化後の膜厚が5μmとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で1分乾燥させ、窒素下で高圧水銀灯を用いて250mJ/cm2の照射量で通過させて硬化させることにより、積層フィルムを得た。
積層フィルムの透明性評価
スガ試験機株式会社製「ヘイズコンピュータ HZ−2」を用いて積層フィルムのヘイズ値を測定した。ヘイズ値が低いほど塗膜の透明性は高い。
積層フィルムの干渉縞評価
積層フィルム表面の干渉縞の発生について、目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:干渉縞が認められない。
B:干渉縞が認められる。
積層フィルムの鉛筆硬度試験
前記積層フィルムの樹脂塗膜側の表面硬度をJIS K 5400に従い、荷重750gの鉛筆引っかき試験によって評価した。5回試験を行い、1回以上傷がついた硬度の一つ下の硬度を、その塗膜の鉛筆硬度とした。
積層フィルムの耐カール性試験
積層フィルムを10cm四方に切り、4角の水平からの浮きを測定し、その平均値で評価した。
積層フィルムの屈曲性試験
マンドレル試験機(TP技研社製「屈曲試験機」)を用いて積層フィルムを試験棒に巻きつけ、クラックが生じるか否かを目視確認する試験を行った。クラックが生じない試験棒の最小径(mm)を評価結果とした。試験棒は直径2mmのものから13mmまで1mm刻みのものを用いた。
実施例2〜14 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の製造と評価
分散体の配合を表1及び2に示す通りに変更した以外は実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を得、実施例1と同様にして各種試験を行った。結果を表1及び2に示す。
[用いた原料]
・硫酸バリウム微粒子(a−2):堺化学工業株式会社製「BARIACE B−30」
・硫酸バリウム微粒子(a−3):堺化学工業株式会社製「BARIACE B−31」
・硫酸バリウム微粒子(a−4):堺化学工業株式会社製「BARIACE B−34」
・硫酸バリウム微粒子(a−5):堺化学工業株式会社製「硫酸バリウム BB−02」
・MIWON社製「Miramer SP-1106」:デンドリマー型ポリ(メタ)アクリレート樹脂、重量平均分子量(Mw)1,630、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数18
・KBM−503:シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製「KBM−503」3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
・BYK−145:分散補助剤、ビックケミー社製「BYK−145」
・MEK:メチルエチルケトン
・PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル
・MRK/PGM:メチルエチルケトンとプロピレングリコールモノメチルエーテルとの質量比50/50混合溶剤
比較例1 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の製造と評価
前記製造例1で得た(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(B−1)のメチルイソブチルケトン溶液40質量部(樹脂固形分20質量部)、(メタ)アクリレートモノマー(東亞合成株式会社製「ルミキュアDPA−600T」)30質量部、シリカゾル(*4)167質量部、光開始剤(チバスペシャルティケミカルズ社製「イルガキュア#184」)2質量部を配合し、メチルイソブチルケトン(MIBK)を加えて不揮発分率を40質量%に調整して、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物について、実施例1と同様にして各種試験を行った。結果を表2に示す。
(*4)日産化学株式会社製シリカ分散体「MEK−ST」:シリカ固形分30質量%、平均粒子径10〜15nm