JP5604853B2 - ペーストおよびこれを用いた光導波路 - Google Patents

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Description

本発明は、無機粒子が有機物質中に分散したペースト、およびこれを用いた光導波路に関する。
電子機器の小型化、高性能化に伴い、従来の電気信号により行われてきた機器内のチップ間の信号伝送を光信号に置き換える光インターコネクション技術が開発されつつある。光信号の媒体である光配線材料には、高い透明性と、電気的、熱機械的な信頼性が求められている。これに対し、硫酸バリウム粒子を分散させた分散液とマトリックス樹脂を混合して感光性のペースト組成物を製造し、フォトリソグラフィー法にてパターン加工して、アサーマル性を発現する光導波路を得るという技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術ではカルボキシル基を有する樹脂を硫酸バリウム粒子の分散剤として用いて、有機溶媒中で粒子のナノ分散を実現している。
一方、無機粒子または有機顔料を分散する際にアミン化合物を添加することにより分散体の分散性や保存安定性を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献2〜3参照)。
国際公開WO08/056639号パンフレット 特開2000−321768号公報 特開2004−18690号公報
しかしながら、従来の方法では無機粒子を分散させたペーストを製造または保存している間に、ペーストの粘度が増加することがあった。このようなペーストでは、基板上に良好に塗布することが困難であったり、ペーストの硬化物の線膨張率の増大や絶縁信頼性の劣化が見られたりすることがあった。
本発明はかかる課題を解決し、保存安定性に優れ、硬化後の線膨張率が低く、絶縁信頼性に優れたペースト組成物を提供することを目的とする。
本発明は、(A)無機粒子、(B)下記一般式(2)で表される重合性基およびカルボキシル基を有する化合物、(C)下記一般式(1)で表される重合性基を有するアミン化合物、および(D)有機溶媒を含み、前記重合性基を有するアミン化合物の含有量が前記重合性基およびカルボキシル基を有する化合物に対して、0.1重量%以上10重量%以下であるペーストである。
Figure 0005604853
(上記一般式(1)中、R は水素原子またはメチル基を示す。R およびR はそれぞれ水素原子または炭素数が1〜4のアルキル基を示し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。nは1〜4の整数である。)
Figure 0005604853
(上記一般式(2)中、R は水素原子またはメチル基を示し、R は下記一般式(3)〜(5)のいずれかで表される2価の基を示す。)
Figure 0005604853
(上記一般式(3)〜(5)中、lおよびmはそれぞれ1〜3の整数である。)
本発明のペーストは、製造時または保存時に粘度の増加がない。このペーストは基板上に均一に塗布することができ、その硬化物は線膨張率が小さく、絶縁信頼性に優れ、その性質がペーストの製造や保存時に経時劣化することがない。
チャネル型光導波路の構造を示す概略図 スラブ型光導波路の構造を示す概略図 銅櫛歯電極の上面図
本発明のペーストは、(A)無機粒子、(B)重合性基およびカルボキシル基を有する化合物、(C)重合性基を有するアミン化合物、および(D)有機溶媒を含む。以下、重合性基およびカルボキシル基を有する化合物を「化合物A」、重合性基を有するアミン化合物を「化合物B」と言う。
本発明のペースト中の化合物Aは、ペーストを塗布して乾燥させた後、光照射あるいは加熱により重合するので、ペーストを硬化させて得られる硬化物中のマトリックス樹脂となる。また、ペースト中での無機粒子の分散性を向上させる働きを有する。
本発明のペーストは粘度が低く、かつ、時間による粘度増加が少ない。本発明のペーストがこのような効果を発現する理由は次のように考えられる。化合物Aはカルボキシル基を有する化合物であり、化合物Aのカルボキシル基がある割合で有機溶媒中で水素イオンを解離してイオン化し、無機粒子と親和していると考えられる。ここで、化合物Aのカルボキシル基のうち水素イオンを解離して有機溶媒中に存在している割合は、溶媒中における解離された水素イオン濃度に依存する。ペースト中に水素イオンを捕捉する化合物Bが含まれていると、解離された水素イオンが化合物Bに捕捉されることにより、化合物Aのカルボキシル基がさらに解離する方向に平衡が移動する。したがって、化合物Aのうち解離して存在する量が増加し、無機粒子表面により多くの化合物Aが配位することにより無機粒子の分散性が向上すると考えられる。
また、化合物B中の重合性基は、光または熱により、重付加反応やラジカル反応等によって重合を進めることができる有機基である。本発明のペーストは、後で説明するようにペースト中の化合物Aやその他の重合性基含有樹脂を重合させる際に、化合物Bも化合物Aなどと重合するので、ペーストの硬化物の耐熱性や機械強度を劣化させない。
一方、化合物Bの代わりに重合性基を有しないアミン化合物を用いると、ペーストを硬化させた硬化物中でアミン化合物の主鎖や側鎖が比較的自由に動くことができるので、硬化物の加熱時にアミン化合物が大きく熱運動することになる。したがって、硬化物の熱膨張やそれに伴うクラックの発生、硬化物の熱分解を助長することがある。すなわち、硬化物の熱膨張率が大きくなったり、絶縁信頼性が損なわれたりすることがある。
化合物Bの重合性基は、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、エポキシアクリレート基、エポキシメタクリレート基などが挙げられる。
化合物Bとしては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005604853
上記一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を示す。RおよびRはそれぞれ水素原子または炭素数が1〜4のアルキル基を示し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。nは1〜4の整数である。
一般式(1)で表される化合物Bの具体例としては、アミノエチルアクリレート、N−エチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、およびこれらのアクリレートをメタクリレートに変えたものなどが挙げられる。市販品としては、共栄社化学(株)製の“ライトエステルDM”(化学名:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、“ライトエステルDE”(化学名:N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート)などが挙げられる。
本発明のペースト中の化合物Bの含有量は、化合物Aに対して、0.1重量%以上10重量%以下であることが好ましい。ペースト中の化合物Aに対する化合物Bの含有量が0.1重量%以上であると、ペーストの粘度を低い状態で保持することができる。一方、ペースト中の化合物Aに対する化合物Bの含有量が10重量%よりも多いと無機粒子分散の良好なバランスが崩れて、ペースト作製直後の粘度が高くなることがある。ただし、このような場合でも保存中には増粘しない。当初から低い粘度を保つためには化合物Aに対する化合物Bの含有量が10重量%以下であることが好ましい。
本発明で用いる無機粒子は特に限定されないが、Si、Al、Mg、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Ag、In、Sn、Sb、Te、Cs、Ba、Hf、Ta、W、Re、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luなどの酸化物、硫酸塩、炭酸塩、フッ化物などの単独塩もしくは、複塩(MgAlなど)が挙げられる。
本発明の材料のようにマトリックス樹脂中に粒子が分散した材料に光が入射すると、分散粒子によるレイリー散乱が生じる。レイリー散乱が小さいと照射した光が散乱されることなく材料中を透過するので、配線太りなどのない良好なパターン加工が実現できる。また、レイリー散乱が小さいとペーストの硬化物の光透過性が良好となり、例えば、ペーストを硬化させて光導波路を作製した場合、光導波路を伝搬する光信号の散乱が少ないので、光導波路の光伝搬損失が低減する。レイリー散乱は分散粒子の粒子径の3乗に比例することから、その散乱を抑制するためには、ペースト中の無機粒子の数平均粒子径は小さい方が好ましい。
本発明のペースト中の無機粒子の数平均粒子径は1nm以上50nm以下であることが好ましい。ペースト中の無機粒子は、凝集が完全にほぐれた1次粒子の状態にあるものと、複数個の1次粒子が凝集した状態にあるものが存在する。ここで、無機粒子の粒子径とは、凝集していない1次粒子はその粒子の粒子径であり、1次粒子が凝集したものはその凝集体の粒子径である。ペースト中の無機粒子の数平均粒子径を測定する方法としては、SEM(走査型電子顕微鏡)やTEM(透過型電子顕微鏡)により直接粒子を観察し、粒子径の数平均を計算する方法が挙げられる。
無機粒子の数平均粒子径が50nm以下であると、上記レイリー散乱が低減するので、フォトリソグラフィー法にて良好なパターン加工が実現できる。また、ペーストの硬化物の光透過性が良好となる。一方、無機粒子の数平均粒子径が1nm以上であると、粒子の体積に対する比表面積が小さくなるため、粒子の分散性が良好となる。
本発明のペースト中の無機粒子の含有量は、固形成分に対して、30重量%以上80重量%以下であることが好ましい。ペースト中の固形成分に対する無機粒子の含有量が30重量%以上であると、得られる硬化物の温度による屈折率変化率や線膨張率をより小さくすることができる。ペースト中の固形成分に対する無機粒子の含有量は、より好ましくは50重量%以上である。ペースト中の固形成分に対する無機粒子の含有量が80重量%以下であると、ペーストから得られる硬化物が強靭となりクラックが生じにくくなる。また、フォトリソグラフィー法によるパターン加工を行った場合に、現像時の未露光部の残渣が低減する。ペースト中の固形成分に対する無機粒子の含有量は、より好ましくは70重量%以下である。
本発明のペースト中の化合物Aは上記のように無機粒子の分散性を高める働きを有する。また、化合物A中の重合性基は、光または熱により、重付加反応やラジカル反応等によって重合を進めることができる有機基であり、化合物Aはペーストを硬化させて得られる硬化物のマトリックス樹脂となる。
さらに、ペースト中の化合物Aを光により硬化させることで、フォトリソグラフィー法によるパターン加工を行うことができる。この場合、露光部では化合物Aが無機粒子を捕捉した状態で重合するため、無機粒子を起点とした強固なネットワークが形成され、現像時の露光部の膨潤や溶解が抑えられるので、明瞭なパターン形状を実現できる。また、未露光部では、化合物Aが有するカルボキシル基がアルカリ現像液などの現像液に良好に溶解するため、現像後の残渣が少ない。
化合物Aの重合性基は、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、エポキシアクリレート基、エポキシメタクリレート基などが挙げられる。
本発明に用いられる化合物Aは、下記一般式(2)で示されるものが好ましい。
Figure 0005604853
一般式(2)において、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは下記一般式(3)〜(5)のいずれかで表される2価の基を示す。
Figure 0005604853
一般式(3)〜(5)において、lおよびmはそれぞれ1〜3の整数である。
一般式(3)〜(5)におけるlおよびmは、その数が小さいと単位重量当たりの重合性基およびカルボキシル基の数が多くなるため、重合性がより良好となり、かつ、無機粒子の分散性が向上する。一方、lおよびmの数が大きいと化合物Aが無機粒子に配位したときの立体障害となる効果が大きくなるため、分散性が向上する。これらのバランスから、lおよびmは2であることが好ましい。
一般式(2)で表される化合物Aの具体例としては、共栄社化学(株)製の“HOA−MS”(下記式(6)で表される化合物)、“HOA−HH”(下記式(7)で表される化合物)、“HOA−MPL”(下記式(8)で表される化合物)が挙げられる。
Figure 0005604853
本発明のペーストは、化合物Aが重合して硬化物中のマトリックスを形成するが、その他にもマトリックスを形成する樹脂を含有してもよい。このとき用いられる樹脂として、ポリアミック酸、ビニル樹脂、ノルボルネン樹脂、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、シロキサン樹脂などの、重合性基を有する熱硬化型あるいは紫外線硬化型の樹脂が挙げられる。また、アラミド樹脂、ポリスチレン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、熱可塑性ポリイミドなどの、熱可塑性樹脂が挙げられる。なお、これらの中で重合性基とカルボキシル基をともに有するものは、「化合物A」に含めるものとする。
プロセス中で耐熱性などが要求される用途では、上記樹脂の中でも、熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂など重合性基を有する樹脂が好ましい。また、ペーストから得られる硬化物を光透過性が要求される用途に用いる場合は、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、シロキサン樹脂などが好適に用いられる。
これらのマトリックスを形成する樹脂は単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、本発明のペーストにおいて、マトリックス樹脂である化合物Aと他のマトリックス樹脂を合わせた好ましい含有量は、ペースト中の固形成分に対して20重量%以上70重量%以下であることが好ましい。化合物Aと他のマトリックス樹脂を合わせた含有量が、ペースト中の固形成分に対して20重量%以上であると、ペーストから得られる硬化物が強靭となりクラックが生じにくくなる。化合物Aと他のマトリックス樹脂を合わせた含有量が、ペースト中の固形成分に対して30重量%以上であると、これら効果がより高まりさらに好ましい。化合物Aと他のマトリックス樹脂を合わせた含有量が、ペースト中の固形成分に対して70重量%以下であると、得られる硬化物の温度による屈折率変化率や線膨張率をより小さくすることができる。化合物Aと他のマトリックス樹脂を合わせた含有量が、ペースト中の固形成分に対して50重量%以下であると、これら効果がより高まりさらに好ましい。
また、上記のように粒子が分散したマトリックス樹脂中に光が入射すると、粒子による入射光のレイリー散乱が生じて、ペーストのパターン加工性やペーストの硬化物の光透過性を劣化させることがある。レイリー散乱を低減させるには、上記、無機粒子の数平均粒子径を小さくする方法の他にペースト中のマトリックス樹脂と粒子の屈折率差を小さくすることが有効である。
本発明のペーストを硬化させて光導波路を作製する場合に、マトリックス樹脂として使用する化合物Aまたはその他のマトリックス樹脂の好ましい条件の例を以下に示す。光導波路は屈折率が大きいコア部とコア部を囲う屈折率がコア部よりも小さなクラッディング部からなり、コア部とクラッディング部との屈折率差が大きいと光導波路の屈曲部での光信号の散乱が低減できる。マトリックス樹脂として一般に使用できる樹脂の屈折率は1.40〜1.65程度であるので、コア部に用いるマトリックス樹脂を屈折率が高屈折率側の1.55〜1.65、クラッディング部に用いるマトリックス樹脂を屈折率が低屈折率側の1.45〜1.55のものを用いると上記の理由により好ましい。
また、上記のように、レイリー散乱を低減させるには、ペースト中のマトリックス樹脂と粒子の屈折率差を小さくすることが有効である。したがって、上記のマトリックス樹脂の屈折率に合わせて、コア部には屈折率が1.55〜1.65である無機粒子、また、クラッディング部には屈折率が1.45〜1.55である無機粒子を使用することが好ましい。例えば、コア部には屈折率が1.60の硫酸バリウム粒子、また、クラッディング部には屈折率が1.45のシリカ粒子が好ましく用いられる。
本発明のペーストは重合禁止剤を含むことが好ましい。ペースト中の化合物Aや化合物B、あるいはその他の重合性基含有樹脂は重合性基を持ち、室温であっても徐々に重合が進む。したがって、ペーストを保存している間にこれら樹脂の分子量が上がりペーストの粘度が増加することがある。ペーストの粘度が上がると、ペーストの塗布性や乾燥性に影響を与えて生産性を悪化させることがある。また、化合物Aは無機粒子の分散性を良好にさせる機能を持つので、化合物Aの構造が重合により変化すると、無機粒子の分散性が悪化して無機粒子が凝集することがある。ペースト中に化合物Bが含まれることによりこれらの現象は改善されるが、重合禁止剤を含むとさらにその効果が大きくなる。
重合禁止剤の具体例としては、フェノチアジン、ヒドロキノン、2,5−ジブチルヒドロキノン、N−フェニルナフチルアミン、クロラニール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロールなどが挙げられる。
本発明のペースト中の重合禁止剤の含有量は、化合物Aと他のマトリックス樹脂を合わせた量に対して、0.05重量%以上5重量%以下であることが好ましい。ペースト中の化合物Aと他のマトリックス樹脂を合わせた量に対する重合禁止剤の含有量が0.05重量%以上であると、ペーストの粘度を低い状態で保持することができる。ペースト中の化合物Aと他のマトリックス樹脂を合わせた量に対する重合禁止剤の含有量が5重量%以下であると、硬化時の化合物Aや他のマトリックス樹脂の重合性が良好となるので得られる硬化物の温度による屈折率変化率や線膨張率をより小さくすることができる。
本発明のペーストはシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤を含有することにより、フォトリソグラフィー法によるパターン加工において露光部のパターンの細りや剥がれを低減し、クラックの発生を抑制できるため、明瞭なパターン形状を実現できる。また、未露光部の残渣をより低減することもできる。
シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが好ましい。また、ペースト中のシランカップリング剤の含有量は、固形成分に対して、0.1重量%以上10重量%以下であることが好ましい。ペースト中の固形成分に対するシランカップリング剤の含有量が0.1重量%以上であると、上記シランカップリング剤による十分な効果が得られる。また、ペースト中の固形成分に対するシランカップリング剤の含有量が10重量%以下であると、ペーストから得られる硬化物が強靭となりクラックが生じにくくなる。
本発明のペーストは(D)有機溶媒を含有する。有機溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、イソプロピルアルコール、酢酸−n−ブチル、メチルイソブチルケトン、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラヒドロフルフリルアルコールなどが挙げられる。
本発明のペーストは重合開始剤を含有してもよい。重合開始剤は熱や光によりラジカルやカチオン、アニオンなどの活性種を発生させ、樹脂の重合を開始させる働きがある。特に、光照射により活性種を発生させる光重合開始剤を使用すると、フォトリソグラフィー法によるパターン加工が可能となる。
次に、本発明のペーストの製造方法を詳細に説明する。
ペーストを製造する方法としては、例えば、無機粒子を有機溶媒中で分散装置にて分散処理し、次いで、得られた無機粒子の分散液と化合物Aおよび化合物Bを混合する方法が挙げられる。または、有機溶媒中に無機粒子が分散している市販の分散液と化合物Aおよび化合物Bを混合する方法が挙げられる。
まず、無機粒子を有機溶媒中に分散させた分散液の製造方法の例を示す。無機粒子(2次粒子、凝集状態のものを含む)、有機溶媒、および必要に応じて化合物A、化合物B、分散剤、他のマトリックス樹脂、消泡剤、pH調整剤、酸化防止剤、重合禁止剤、シランカップリング剤などを所定の分量で混合し、液が均一となるように攪拌する。
次いで、得られた混合液を分散装置にて処理し、無機粒子の分散を行って無機粒子の分散液を製造する。分散装置としては、例えば、寿工業(株)製の“ウルトラアペックスミル”やアシザワ・ファインテック(株)製の“スターミル”などのビーズミルが挙げられる。ビーズミルで使用するビーズの粒子径は0.01mm以上0.5mm以下であることが好ましい。ビーズの粒子径が0.5mm以下である場合、ビーズミル内で無機粒子とビーズとが接触する頻度が高いため、十分な分散効果が得られる。一方、ビーズの粒子径が0.01mm以上である場合、個々のビーズの持つ運動量が大きいため、凝集した無機粒子を分散するのに十分なせん断応力が得られる。
ビーズの材質としては、セラミックやガラス、金属製のものなどが使用できる。具体的には、例えば、ソーダガラス、石英、チタニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、スチール、ステンレスなどが挙げられる。これらの中でも特に硬度が高いジルコニアビーズが好適に使用できる。
ビーズミルによる分散は小さいビーズを用いた一度の処理で実施してもよく、段階的にビーズの大きさを変えて実施してもよい。例えば、まず、粒子径が5mmのビーズを用いて無機粒子の分散粒子径が100nm程度になるまで分散処理を行ってから、次に、より微小なビーズを用いて分散処理を施してもよい。
分散処理に費やす時間は無機粒子や有機溶媒などの混合液を構成する物質の種類や組成比により適宜設定する。また、一定時間ごとに混合液をサンプリングし、混合液中での無機粒子の分散粒子径を測定することは、分散状態の経時変化を把握でき、分散処理の終了時点を判断することができるので好ましい。混合液中の無機粒子の分散粒子径の測定装置としては、動的光散乱方式であるシスメックス(株)製の“ゼータサイザーナノZS”が挙げられる。
次に、上記方法で得られた無機粒子の分散液あるいは市販の無機粒子の分散液と化合物Aや化合物B、他のマトリックス樹脂など必要な物質を所定量混合してペーストを製造する。ここで、分散液製造時に化合物Aおよび化合物Bを混合している場合は、分散処理後の分散液は本発明のペーストであり、これに他のマトリックス樹脂などを混合したものも本発明のペーストである。
所定量の分散液と樹脂などを混合して得られたペーストに対し、さらに均質になるようにするために、ボールミルやロールミルを用いた混合処理を行うことができる。また、混合処理によりペースト中に気泡が混入した場合は、静置する、減圧下に置く、あるいは攪拌脱泡機を用いるなどして気泡を除去すると、ペーストを用いて製造する硬化物中への気泡の混入を避けることができる。
次に、製造したペーストを用いて硬化物を作製する方法を説明する。
まず、製造したペーストを基板上に塗布し、有機溶媒を除去して、ペーストの乾燥膜を作製する。塗布方法としては、スクリーン印刷、スプレーコーター、バーコーター、ブレードコーター、ダイコーター、スピンコーターなどを用いることができる。有機溶媒を除去する方法としては、オーブンやホットプレートによる加熱の他、真空乾燥、赤外線やマイクロ波などの電磁波による加熱などが挙げられる。ここで、有機溶媒の除去が不十分である場合、次の硬化処理により得られる硬化物が未硬化状態となったり、熱機械特性が不良となったりすることがある。
次いで、用いたペースト中の化合物Aあるいは樹脂の硬化機構に応じて、加熱処理や光照射などにより乾燥後のペーストの硬化反応を進行させてペーストの硬化物を作製する。この場合、光照射後に加熱処理をするなど硬化をさらに進めるために複数の処理を組み合わせてもよい。また、加熱処理を100℃以上で行う場合は、窒素などの不活性雰囲気での処理とすると、重合を阻害しないので好ましい。
本発明では、上記のようにペーストを直接基板上に塗布してペーストの硬化物を作製することもできるが、以下に示すように予めペーストの未硬化シートを作製して、これを基板上に貼り合わせることによりペーストの硬化物を作製してもよい。
まず、上記のようにして製造したペーストを基材上に塗布し、有機溶媒を除去し、未硬化シートを作製する。ペーストを塗布する基材にはポリエチレンテレフタレート(PET)などを用いることができる。未硬化シートをシリコンウエハーなどの基板に貼り合わせて用いる際に、基材であるPETフィルムを剥離除去する必要がある場合は、表面にシリコーン樹脂などの離型剤がコーティングされているPETフィルムを用いると、容易に未硬化シートとPETフィルムを剥離できるので好ましい。
ペーストをPETフィルム上へ塗布する方法としては、スクリーン印刷、スプレーコーター、バーコーター、ブレードコーター、ダイコーター、スピンコーターなどを用いることができる。有機溶媒を除去する方法としては、オーブンやホットプレートによる加熱の他、真空乾燥、赤外線やマイクロ波などの電磁波による加熱などが挙げられる。ここで、有機溶媒の除去が不十分である場合、次の硬化処理により得られる硬化物が未硬化状態となったり、熱機械特性が不良となったりすることがある。
PETフィルムの厚さは特に限定されないが、作業性の観点から、30〜80μmの範囲であることが好ましい。また、未硬化シートの表面を大気中のゴミ等から保護するために、表面にカバーフィルムを貼り合わせてもよい。また、ペーストの固形分濃度が低く、所望する膜厚の未硬化シートを作製できない場合は、有機溶媒除去後の未硬化シートを2枚以上貼り合わせても良い。
上記の方法にて製造した未硬化シートを別の基板上に貼り合わせる場合は、ロールラミネーターや真空ラミネーターなどのラミネート装置を使用しても、ホットプレート上で加熱した基板上にゴムローラーを用いて手動で貼り合わせても良い。基板へ貼り合わせた後、十分に冷却してからPETフィルムを剥離することにより、基板上にペーストの乾燥膜を形成できる。
未硬化シートを基板上に貼り合わせることにより得られたペーストの乾燥膜に対して、加熱処理や光照射などを施し、ペーストの硬化反応を進行させてペーストの硬化物を作製する。この場合、光照射後に加熱処理をするなど硬化をさらに進めるために複数の処理を組み合わせてもよい。また、加熱処理を100℃以上で行う場合は、窒素などの不活性雰囲気での処理とすると、重合を阻害しないので好ましい。
次に、上記のようにして製造したペーストの乾燥膜に対して、フォトリソグラフィー法によりパターン加工を行う方法について説明する。
まず、ペーストを基板上に塗布し乾燥する方法あるいは未硬化シートを基板上に貼り合わせる方法により基板上にペーストの乾燥膜を形成する。次いで、パターンに対応した必要部分のみ光を通すように設計されたマスクを介して光を照射する。光源としては超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ、ヘリウム−ネオンレーザー、YAGレーザーなどが挙げられる。露光装置としては、超高圧水銀灯露光装置“PEM−6M”(ユニオン光学(株)製)などが挙げられる。本発明のペーストの硬化機構がラジカル重合である場合は、ラジカル活性種が酸化により失活することを防ぐために、窒素雰囲気下での露光処理をすることが好ましい。また、パターンの解像度を高めるために、露光装置の照射光の平行度を高くする方が好ましく、さらに、マスクによる回折光の影響を低減するために、マスクと基板を接触させる、またはマスクと基板とのギャップを小さくすることが好ましい。
露光時に照射光がペースト内部で散乱することにより、パターンが太ることがある。この場合は、紫外線吸収剤をペースト中に添加しておくと紫外線吸収剤が露光部から漏れ出る微弱光を吸収して散乱を抑えるため、パターンエッジをシャープに保つことができるので好ましい。ペースト内部の光の散乱は無機粒子からのレイリー散乱によるものが大きく、短波長の光ほどその散乱は大きい。よって、短波長の光を選択的に吸収する紫外線吸収剤も好ましく用いることができる。また、光源とマスクとの間に短波長光をカットするフィルターを挿入することにより、散乱を抑えることも可能である。
露光後に硬化反応をさらに進行させるため、一定時間、基板を室温で保存したり、熱処理を行うこともできる。露光処理後、基板を現像液に浸し、露光していない部分のペーストを除去し、硬化物のパターンが形成された基板を洗浄し乾燥させる。硬化反応を進めるために、さらに加熱処理をしてもよい。
本発明のペーストを現像する際に用いる現像液としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。
本発明のペーストや硬化物は光導波路に好ましく使用される。光導波路は、電子機器などの回路基板上に形成され、基板上に実装されたIC間の光信号を伝送する働きを持つ。光導波路は光信号が伝搬するコア部と、コア部を囲むコア部よりも屈折率の低いクラッディング部からなる。チャネル型光導波路の構造を図1に、スラブ型光導波路の構造を図2に示す。チャネル型光導波路は、線状のコア部1の周囲をクラッディング部2が囲む構造を有する。スラブ型光導波路は、層状のコア部1の上下を層状のクラッディング部2が覆う構造を有する。本発明のペーストをコア部とクラッディング部の両方に用いてもよいし、どちらか一方のみに用いてもよい。
次に、本発明のペーストを用いた光導波路の製造方法について説明する。まず、基板にアンダークラッディング部用未硬化シートを貼り合わせる。ロールラミネーターや真空ラミネーターなどの装置を用いて貼り合わせても、ホットプレート上でゴムローラーを用いて手動で貼り合わせても良い。十分に冷却後、PETフィルムを剥離し、加熱処理を行う。次いで、アンダークラッディング部上にコア部用未硬化シートを上記と同様の方法で貼り合わせた後、PETフィルムを剥離し、コア部を形成する。ここで、以下の方法によりコア部を光導波路パターンに加工することもできる。コア部用未硬化シートが光照射により重合する場合は、フォトリソグラフィー法によりパターン加工を行うことができる。また、コア部用未硬化シートが熱により重合する場合は、リアクティブイオンエッチングなどによりパターン加工を行うことができる。最後に、アンダークラッディング部上に作製したコア部上面にオーバークラッディング部用未硬化シートを上記と同様の方法で貼り合わせ、PETフィルムを剥離する。これらを熱硬化させることにより光導波路を形成することができる。
光導波路のクラッディング部およびコア部の屈折率や厚さは、設計する光導波路により任意に選択することができる。マルチモード光導波路の場合は、コア部とクラッディング部の屈折率差を大きくして、コア部を厚くすることが適している。シングルモード光導波路の場合は、コア部とクラッディング部の屈折率差を小さくして、コア部を薄くして、シングルモード伝搬が実現するようにする。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
本実施例で使用した化合物を以下に列挙する。
<無機粒子>
・硫酸バリウム粒子“BF−40”(平均1次粒子径:10nm、堺化学工業(株)製)
・硫酸バリウム粒子“BF−20”(平均1次粒子径:30nm、堺化学工業(株)製)
・硫酸バリウム粒子“BF−10”(平均1次粒子径:60nm、堺化学工業(株)製)
・チタン酸バリウム粒子“T−BTO−030R”(平均1次粒子径:30nm、戸田工業(株)製)
<化合物A>
・“HOA−MPL”(共栄社化学(株)製)
・“樹脂A”(下記式(9)で表される化合物)
Figure 0005604853
<化合物B>
・“ライトエステルDE”(化学名:N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、共栄社化学(株)製)
・“ライトエステルDM”(化学名:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、共栄社化学(株)製)
<光重合開始剤>
・“IRGACURE 819”(チバ・ジャパン(株)製)
<シランカップリング剤>
・“KBM−503”(化学名:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)
<分散液>
・シリカ粒子分散液“PMA−ST”(数平均粒子径:10nm、濃度:30重量%、日産化学工業(株)製)
また、実施例で用いた化合物のうち、略語を使用しているものについて以下に示す。
THFA:テトラヒドロフルフリルアルコール。
無機粒子の分散したペースト、あるいはペーストから得られる硬化物の各特性の測定方法は以下の通りである。
<ペースト中の無機粒子の数平均粒子径の測定方法>
カーボン蒸着したコロジオン膜上に、ペーストを滴下し、有機溶媒を乾燥除去後、透過型電子顕微鏡“H−7100FA”(日立製作所(株)製)にて粒子を観察した。加速電圧は100kVとした。観察像はデジタル画像としてコンピューターに取り込み、画像処理ソフト“FlvFs”((株)フローベル製)にて、観察された任意の100個の粒子に対し、球形近似したときの粒子径を求め、数平均粒子径を算出した。なお、1次粒子が凝集して存在する場合は、凝集体としての粒子径を測定した。
<ペーストの粘度の測定方法>
粘度計“RE−115L”(東機産業(株)製)を用いて25℃で測定した。回転数2.5rpm、1.0rpm、0.5rpmにて測定し、その平均値を算出した。
<硬化物の線膨張率の測定方法>
90℃のホットプレート上に載置した膜厚50μmのペーストの未硬化シート上に、ゴムローラーを用いてもう1枚の膜厚50μmの未硬化シートを貼り合わせた。次いで、超高圧水銀灯露光装置“PEM−6M”(ユニオン光学(株)製)を用いて、露光量300mJ/cm(波長365nm換算)で全線露光した後、PETフィルムを剥離して、窒素中200℃で1時間加熱し、硬化物を作製した。得られた硬化物を1辺が5mm程度の正方形に切断し、数枚重ねたものの厚さ方向の寸法の変位をエスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製のTMA測定装置“TMA/SS6100”を用いて測定した。押し込み荷重50mNで、窒素雰囲気中で、室温から120℃まで昇温し、再び室温まで降温したときの変位値を測定し、50℃から70℃における昇降温の平均の線膨張率を算出した。線膨張率の温度履歴を除去するために、昇降温を連続して2度繰り返し、2度目の測定結果を変位値として用いた。
<硬化物の絶縁信頼性試験の方法>
ラインアンドスペースが10μm/10μmの銅櫛歯電極(図3)上にペーストをピンセットの先端部を用いて塗布し、大気中90℃で1時間乾燥させた。次いで、超高圧水銀灯露光装置“PEM−6M”(ユニオン光学(株)製)を用いて、露光量300mJ/cm(波長365nm換算)で全線露光した後、窒素中200℃で1時間加熱し、評価用サンプルを作製した。得られた評価用サンプルの電極間に、温度85℃、相対湿度85%の雰囲気下で、電圧20Vを印加し続け1000時間の絶縁信頼性試験を行った。電極間の抵抗値が10Ω未満となった時間を測定し絶縁抵抗保持時間とし、1000時間以上抵抗値が10Ω以上であった場合には保持時間を1000時間とした。銅櫛歯電極には、厚さ0.4μmの熱酸化膜とその上に厚さ0.8μmの窒化珪素膜が形成されたシリコンウエハー上に、厚さ0.08μmのクロム下地電極とその上に厚さ10μmの銅電極がパターン加工されたものを用いた。
<光導波路の光伝搬損失の測定方法>
JPCA規格(JPCA−PE02−05−01S−2004)に準じてカットバック法で測定した。入射側および出射側の光ファイバーは、コア径が50μmで開口数が0.28のマルチモードタイプを用いた。測定温度は23℃で、測定光源の波長は850nmであった。
実施例1
硫酸バリウム粒子“BF−40”200gと化合物A“HOA−MPL”20g、化合物B“ライトエステルDE”0.2g、重合禁止剤フェノチアジン0.2g、有機溶媒THFA220gを混合し、粒子径が5mmであるジルコニアビーズ((株)ニッカトー製、YTZボール)1kgが充填された500mlのポリ容器へ投入し、ボールミル架台上で200rpm、24時間回転させて、硫酸バリウム粒子を分散した。
次いで、ボールミル架台にて処理した上記の分散液を、ビーズミルである“ウルトラアペックスミルUAM−015”(寿工業(株)製)を用いて分散処理した。ビーズは材質がジルコニアであり、粒子径は0.05mm((株)ニッカトー製、YTZボール)、投入量は400gとした。また、ビーズミルのローターの周速は9.5m/sとし、送液圧力は0.1MPaとした。分散処理を20時間行い、分散処理終了後に液を回収し硫酸バリウム粒子の分散したペーストAを得た。回収後のペーストAの粘度は89mPa・s、ペーストA中の硫酸バリウム粒子の数平均粒子径は18nmであった。
次いで、ペーストAを冷蔵庫(室温5℃)中で3週間保存した。また、保存中1週間ごとのペーストAの粘度およびペーストA中の粒子の数平均粒子径を測定した。評価結果を表2に示す。
次いで、3週間冷蔵保存したペーストA10gと、化合物A“樹脂A”4g、化合物B“ライトエステルDE”0.04g、光重合開始剤“IRGACURE 819”0.1g、シランカップリング剤“KBM−503”0.2gをボールミルを用いて混合した。
上記ペーストをバーコーターを用いて、PETフィルム“SR−1”(厚さ38μm、大槻工業(株)製)上に塗布し、大気中90℃で15分間乾燥し、乾燥後の膜厚が50μmの未硬化シートを製造した。未硬化シートから得られたペーストの硬化物の線膨張率は39ppm/℃であった。
また、ペーストから得られる硬化物の絶縁信頼性試験を行ったところ、1000時間以上抵抗値10Ω以上を保持し続けた。
実施例2〜13
表1に示す組成にて、実施例1と同様の方法で無機粒子の分散したペーストを製造して、3週間の冷蔵保存中の評価を行った。評価結果を表2に示す。また、得られたペースト(3週間冷蔵保存したもの)を用いて実施例1と同様の方法にて表3に示す組成となるよう各材料を混合し、さらにペーストの硬化物を作製した。評価結果を表4に示す。
比較例1〜5
表1に示す組成にて、実施例1と同様の方法で無機粒子の分散したペーストを製造して、3週間の冷蔵保存中の評価を行った。評価結果を表2に示す。ペーストの粘度は保存時間と共に増加した。また、得られたペースト(3週間冷蔵保存したもの)を用いて実施例1と同様の方法にて表3に示す組成となるよう各材料を混合し、さらにペーストの硬化物を作製した。評価結果を表4に示す。ペーストの塗布時に塗布膜表面にバーコーターの跡が線状に残り、乾燥後も消えなかった。また、線膨張率は大きく、絶縁抵抗保持時間は短かった。
なお、比較例1において、ペーストを3週間冷蔵保存せずに製造直後に使用したものは、ペーストの塗布性は良好であり、硬化物の線膨張率は40ppm/℃と小さく、絶縁抵抗保持時間も1000時間以上であり良好な絶縁信頼性を示した。このことから、化合物Bがペーストの保存安定性を向上させていることがわかる。
Figure 0005604853
Figure 0005604853
Figure 0005604853
Figure 0005604853
比較例6
表1に示す組成にて、実施例1と同様の方法で無機粒子の分散したペーストSを製造して、3週間の冷蔵保存中の評価を行った。ここで、化合物Bの代わりに重合性基を有しないアミンであるトリエタノールアミンを用いた。評価結果を表2に示す。また、得られたペーストSを用いて実施例1と同様の方法にて表3に示す組成となるよう各材料を混合し、さらにペーストの硬化物を作製した。ペーストの塗布性は良好であったが、硬化物の線膨張率は73ppm/℃と大きく、絶縁抵抗保持時間は130時間と短かった。
実施例14
シリカ粒子分散液“PMA−ST”15gと、化合物A“樹脂A”4g、化合物B“ライトエステルDE”0.04g、光重合開始剤“IRGACURE 819”0.1g、シランカップリング剤“KBM−503”0.2gをボールミルを用いて混合し、ペーストを製造した。
上記ペーストをバーコーターを用いて、PETフィルム“SR−1”(厚さ38μm、大槻工業(株)製)上に塗布し、大気中90℃で15分間乾燥し、乾燥後の膜厚が50μmの未硬化シートを製造した。未硬化シートから得られたペーストの硬化物の線膨張率は35ppm/℃であった。
また、ペーストから得られる硬化物の絶縁信頼性試験を行ったところ、1000時間以上抵抗値10Ω以上を保持し続けた。
比較例7
シリカ粒子分散液“PMA−ST”15gと、化合物A“樹脂A”4g、光重合開始剤“IRGACURE 819”0.1g、シランカップリング剤“KBM−503”0.2gをボールミルを用いて混合し、ペーストを製造した。混合液は速やかに増粘し、ゲル化したため、ペーストの評価を行うことができなかった。
実施例15
実施例1で得られたペーストA(3週間冷蔵保存したもの)10gと、化合物A“樹脂A”4g、化合物B“ライトエステルDE”0.04g、光重合開始剤“IRGACURE 819”0.1g、シランカップリング剤“KBM−503”0.2gをボールミルを用いて混合したペーストをバーコーターを用いて、PETフィルム“SR−1”(厚さ38μm、大槻工業(株)製)上に塗布し、大気中90℃で15分間乾燥し、乾燥後の膜厚が50μmの未硬化シートを製造した。これを光導波路のコア部用未硬化シートとした。また、実施例14で得られたペーストをバーコーターを用いて、PETフィルム“SR−1”上に塗布し、大気中90℃で15分間乾燥し、乾燥後の膜厚が10μmと60μmの未硬化シートを製造し、それぞれアンダークラッディング部用未硬化シート、オーバークラッディング部用未硬化シートとした。
シリコンウエハーをホットプレート上で90℃に加熱し、ゴムローラーを用いてアンダークラッディング部用未硬化シートを貼り合わせた。十分に冷却し、PETフィルムを剥離した。その後、硬化のために窒素中200℃で1時間加熱し、基板上にアンダークラッディング部を形成した。続いて、アンダークラッディング部を形成した基板をホットプレート上で90℃に加熱し、ゴムローラーを用いてコア部用未硬化シートを貼り合わせた。十分に冷却し、PETフィルムを剥離した。アンダークラッディング部上に作製したコア部に、超高圧水銀灯露光装置(ユニオン光学(株)製、PEM−6M)を用いて、石英製マスクを介して、露光量50mJ/cm(波長365nm換算)で全線露光した。石英製マスクは幅50μmで長さ9cmのスリット部を250μmピッチで有し、スリット部以外の部分で遮光する設計とした。露光後の基板を現像液“PMER P−7G”(東京応化工業(株)製)中に5分間浸し、未露光部の膜を除去し、幅50μmで長さ9cmの形状であるコア部を形成した。現像後のパターンは明瞭な矩形でありクラックの発生もなく、未露光部にも残渣は見られず、現像性は良好であった。
さらにこの上にオーバークラッディング部を形成するため、基板をホットプレート上で90℃に加熱し、オーバークラッディング部用未硬化シートをゴムローラーを用いてラミネートした。十分に冷却し、PETフィルムを剥離した。硬化のために窒素中200℃で1時間加熱し、光導波路を得た。
ダイシング装置を用いて基板ごと光導波路の両端を切断し、光伝搬損失を求めたところ0.1dB/cmであった。
実施例16〜17
表5に示す組成(各ペーストは3週間冷蔵保存したもの)にて、実施例15と同様にコア部用未硬化シートを製造した。また、得られたコア部用未硬化シートを用いて、実施例15と同様に光導波路を作製した。評価結果を表5に示す。平均1次粒子径が60nmである硫酸バリウム粒子を用いた実施例17では得られた光導波路の光伝搬損失が3.3dB/cmと大きかった。これは、粒子径が大きい粒子を用いたことにより、入射光のレイリー散乱が大きくなったためであると考えられる。なお、実施例17でパターン加工されたコア部の幅は67μmでありパターンの太りが見られた。これも、パターン加工時に照射光のレイリー散乱が増大したためであると説明することができる。
Figure 0005604853
1 コア部
2 クラッディング部
3 光信号
4 銅電極
5 シリコンウエハー

Claims (4)

  1. (A)無機粒子、(B)下記一般式(2)で表される重合性基およびカルボキシル基を有する化合物、(C)下記一般式(1)で表される重合性基を有するアミン化合物、および(D)有機溶媒を含み、前記重合性基を有するアミン化合物の含有量が前記重合性基およびカルボキシル基を有する化合物に対して、0.1重量%以上10重量%以下であるペースト。
    Figure 0005604853
    (上記一般式(1)中、R は水素原子またはメチル基を示す。R およびR はそれぞれ水素原子または炭素数が1〜4のアルキル基を示し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。nは1〜4の整数である。)
    Figure 0005604853
    (上記一般式(2)中、R は水素原子またはメチル基を示し、R は下記一般式(3)〜(5)のいずれかで表される2価の基を示す。)
    Figure 0005604853
    (上記一般式(3)〜(5)中、lおよびmはそれぞれ1〜3の整数である。)
  2. 前記無機粒子の数平均粒子径が1nm以上50nm以下である、請求項1記載のペースト。
  3. さらに、重合禁止剤を含む請求項1または2記載のペースト。
  4. 請求項1〜のいずれか記載のペーストを硬化させてなる光導波路。
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