JP2016006132A - 架橋性ゴム組成物、ゴム架橋物および複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】常態物性が良好であり、耐熱性、耐圧縮永久歪み性、及び金属に対する接着性に優れたゴム架橋物を与える架橋性ゴム組成物の提供。
【解決手段】α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)16〜50重量%、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位(a2)1〜10重量%、及び共役ジエン単量体単位(a3)40〜70重量%を有し、共役ジエン単量体単位(a3)の少なくとも一部を水素化してなり、ヨウ素価が20〜75であるニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)と、ポリアミン系架橋剤(B)とを含有する架橋性ゴム組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、常態物性が良好であり、耐熱性、耐圧縮永久歪み性、および金属に対する接着性に優れたゴム架橋物を与える架橋性ゴム組成物、および該架橋性ゴム組成物を用いて得られるゴム架橋物および複合体に関する。
水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムに代表されるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムは、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムなどの、主鎖構造に炭素−炭素間不飽和結合の多い、一般的なニトリル基含有共重合ゴムに比べて、耐熱性、耐油性、耐オゾン性などに優れているため、自動車用の各種燃料油ホース、O−リング、油中ベルト等に多く使用されている。
このようなニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとして、たとえば、特許文献1では、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a)10.0〜40.0重量%、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位(b)5.5〜10.0重量%、アルコキシアルキル基の炭素数が2〜8の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体単位(c)11.0〜30.0重量%、及び共役ジエン単量体単位(d)20.0〜73.5重量%を有し、前記共役ジエン単量体単位(d)の少なくとも一部を水素化してなるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムが開示されている。この特許文献1に開示されているニトリル基含有高飽和共重合体ゴムによれば、常態物性が良好であり、かつ、耐圧縮永久歪み性に特に優れたゴム架橋物を与えることが可能となる。
一方で、このようなニトリル基含有高飽和共重合体ゴムは、用途によっては、金属と接着させることで、ゴム−金属複合体として用いられることがあり、この場合には、常態物性や耐圧縮永久歪み性などに加えて、金属に対する接着性が高いことが求められている。しかしながら、上記特許文献1に開示されたニトリル基含有高飽和共重合体ゴムでは、金属に対する接着性が必ずしも十分ではなく、そのため、金属に対する接着性の向上が望まれていた。
特開2012−31311号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、常態物性が良好であり、耐熱性、耐圧縮永久歪み性、および金属に対する接着性に優れたゴム架橋物を与える架橋性ゴム組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、このような架橋性ゴム組成物を用いて得られるゴム架橋物および複合体を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位、および共役ジエン単量体単位を所定の比率で有し、かつ、ヨウ素価が20〜75であるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムと、ポリアミン系架橋剤とを含有する架橋性ゴム組成物により、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)16〜50重量%、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位(a2)1〜10重量%、および共役ジエン単量体単位(a3)40〜70重量%を有し、前記共役ジエン単量体単位(a3)の少なくとも一部を水素化してなり、ヨウ素価が20〜75であるニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)と、ポリアミン系架橋剤(B)とを含有する架橋性ゴム組成物が提供される。
また、本発明によれば、上記架橋性ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物が提供される。
さらに、本発明によれば、上記ゴム架橋物と金属とからなる複合体が提供される。
本発明によれば、常態物性が良好であり、耐熱性、耐圧縮永久歪み性、および金属に対する接着性に優れたゴム架橋物を与える架橋性ゴム組成物、および該架橋性ゴム組成物を用いて得られ、上記特性を備えたゴム架橋物および複合体を提供することができる。
架橋性ゴム組成物
本発明の架橋性ゴム組成物は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)16〜50重量%、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位(a2)1〜10重量%、および共役ジエン単量体単位(a3)40〜70重量%を有し、前記共役ジエン単量体単位(a3)の少なくとも一部を水素化してなり、ヨウ素価が20〜75であるニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)と、ポリアミン系架橋剤(B)とを含有するニトリル基含有高飽和共重合体ゴムの組成物である。
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)
まず、本発明で用いるニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)について説明する。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)を形成するα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、ニトリル基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物であれば限定されず、アクリロニトリル;α−クロロアクリロニトリル、α−ブロモアクリロニトリルなどのα−ハロゲノアクリロニトリル;メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどのα−アルキルアクリロニトリル;などが挙げられる。これらのなかでも、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルが特に好ましい。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体として、これらの複数種を併用してもよい。
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)中における、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)の含有割合は、全単量体単位中、16〜50重量%であり、好ましくは18〜50重量%、より好ましくは20〜50重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が少なすぎると、得られるゴム架橋物の耐油性が低下する傾向にある。一方、多すぎると、得られるゴム架橋物のゴム耐寒性が低下する傾向にある。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位(a2)を形成する単量体としては、エステル化されていない無置換の(フリーの)カルボキシル基を1個有する、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノエステル単量体であれば特に限定されない。無置換のカルボキシル基は、主として架橋のために用いられる。α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位(a2)を有することにより、得られるゴム架橋物を伸びなどの機械的特性に優れ、しかも、耐圧縮永久歪み性に一層優れるものとすることができる。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体のエステル部の、酸素原子を介してカルボニル基と結合する有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基及びアルキルシクロアルキル基が好ましく、アルキル基が特に好ましい。このようなカルボニル基と結合する有機基としてのアルキル基は、炭素数が1〜12のものが好ましく、より好ましくは2〜6である。また、カルボニル基と結合する有機基としてのシクロアルキル基は、炭素数が5〜12のものが好ましく、より好ましくは6〜10である。さらに、カルボニル基と結合する有機基としてのアルキルシクロアルキル基は、炭素数が6〜12のものが好ましく、より好ましくは7〜10である。カルボニル基と結合する有機基の炭素数が小さすぎると、架橋性ゴム組成物の加工安定性が低下するおそれがあり、逆に、炭素数が大きすぎると架橋速度が遅くなったり、得られるゴム架橋物の機械的特性が低下したりする可能性がある。
このようなα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体の具体例としては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノn−ブチルなどのマレイン酸モノアルキルエステル;マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノシクロヘプチルなどのマレイン酸モノシクロアルキルエステル;マレイン酸モノメチルシクロペンチル、マレイン酸モノエチルシクロヘキシルなどのマレイン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノn−ブチルなどのフマル酸モノアルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘプチルなどのフマル酸モノシクロアルキルエステル;フマル酸モノメチルシクロペンチル、フマル酸モノエチルシクロヘキシルなどのフマル酸モノアルキルシクロアルキルエステル;シトラコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、シトラコン酸モノプロピル、シトラコン酸モノn−ブチルなどのシトラコン酸モノアルキルエステル;シトラコン酸モノシクロペンチル、シトラコン酸モノシクロヘキシル、シトラコン酸モノシクロヘプチルなどのシトラコン酸モノシクロアルキルエステル;シトラコン酸モノメチルシクロペンチル、シトラコン酸モノエチルシクロヘキシルなどのシトラコン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノn−ブチルなどのイタコン酸モノアルキルエステル;イタコン酸モノシクロペンチル、イタコン酸モノシクロヘキシル、イタコン酸モノシクロヘプチルなどのイタコン酸モノシクロアルキルエステル;イタコン酸モノメチルシクロペンチル、イタコン酸モノエチルシクロヘキシルなどのイタコン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;などが挙げられる。
これらの中でも、本発明の効果がより一層顕著になるという点より、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノn−ブチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノn−ブチル、シトラコン酸モノプロピル、シトラコン酸モノn−ブチル;などのα,β−エチレン性不飽和結合を形成する二つの炭素原子の各々にカルボキシル基を有するジカルボン酸のモノエステルが好ましく、マレイン酸モノn−ブチル、シトラコン酸モノプロピルなどの該二つのカルボキシル基をシス位(シス配置)に有するジカルボン酸のモノエステルがより好ましく、マレイン酸モノn−ブチルが特に好ましい。
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)中における、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位(a2)の含有割合は、全単量体単位中、1〜10重量%であり、好ましくは1.5〜9重量%、より好ましくは2〜8重量%である。α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位(a2)の含有量が少なすぎると、得られるゴム架橋物の機械的特性および耐圧縮永久歪み性が悪化するおそれがある。一方、多すぎると、架橋性ゴム組成物のスコーチ安定性が悪化したり、得られるゴム架橋物の耐疲労性が低下するおそれがある。
共役ジエン単量体単位(a3)を形成する共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。これらのなかでも、1,3−ブタジエンが好ましい。
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)中における、共役ジエン単量体単位(a3)の含有割合は、全単量体単位中、40〜70重量%であり、好ましくは40〜67重量%、より好ましくは40〜65重量%である。共役ジエン単量体単位(a3)の含有割合が低すぎると、得られるゴム架橋物のゴム弾性が低下してしまう。一方、含有割合が高すぎると、得られるゴム架橋物の耐化学的安定性が損なわれる可能性がある。
また、本発明で用いるニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)は、上記α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位(a2)、および共役ジエン単量体単位(a3)に加えて、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位(a4)を含有するものであってもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位(a4)を形成するメタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの炭素数1〜8の鎖状または環状飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体;(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチルなどのアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体;などが挙げられる。これらのなかでも、アルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体が好ましく、アルコキシアルキル基の炭素数が2〜8のものが好ましく、アルコキシアルキル基の炭素数が2〜6のものがより好ましく、アルコキシアルキル基の炭素数が2〜4のものがさらに好ましい。
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)中における、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位(a4)の含有割合は、全単量体単位中、12〜40重量%であり、好ましくは15〜35重量%、より好ましくは18〜35重量%である。(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位(a4)を、上記含有割合にて含有させることにより、(耐油性と耐寒性)に優れたものとすることができる。
さらに、本発明で用いるニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)は、上記各単量体単位以外に、これらの単量体単位を形成する単量体と共重合可能な他の単量体の単位を含有していてもよい。共重合可能なその他の単量体単位を形成する単量体としては、たとえば、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体(上述したα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体と(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体とを除く)、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸単量体、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物単量体、芳香族ビニル単量体、フッ素含有ビニル単量体、共重合性老化防止剤などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノメチルなどのアミノ基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル単量体であってアルキル基の炭素数が1〜16のもの;(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸ジフルオロメチルなどのフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジn−ブチルなどのマレイン酸ジアルキルエステル;フマル酸ジメチル、フマル酸ジn−ブチルなどのフマル酸ジアルキルエステル;マレイン酸ジシクロペンチル、マレイン酸ジシクロヘキシルなどのマレイン酸ジシクロアルキルエステル;フマル酸ジシクロペンチル、フマル酸ジシクロヘキシルなどのフマル酸ジシクロアルキルエステル;イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジn−ブチルなどのイタコン酸ジアルキルエステル:イタコン酸ジシクロヘキシルなどのイタコン酸ジシクロアルキルエステル;などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸単量体としては、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物単量体としては、無水マレイン酸などが挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
フッ素含有ビニル単量体としては、フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o−トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
共重合性老化防止剤としては、N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、 N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが例示される。
これらの共重合可能なその他の単量体は、複数種類を併用してもよい。その他の単量体単位の含有量は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)を構成する全単量体単位に対して、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
本発明で用いるニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)は、ヨウ素価が20〜75であり、好ましくは20〜73、より好ましくは20〜70である。本発明においては、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとして、上述した各単量体を上記所定量含有し、かつ、このようにヨウ素価が所定の範囲にあるものを用いるとともに、これを後述するポリアミン系架橋剤(B)と組み合わせることで、得られるゴム架橋物を、常態物性が良好であり、耐熱性、および耐圧縮永久歪み性を優れたものとしながら、金属に対する接着性を向上させることができるものである。ヨウ素価が低すぎると、得られるゴム架橋物が、金属に対する接着性に劣るものとなってしまい、金属と接着させることで、ゴム−金属複合体として用いるのに適さないものとなってしまう。一方、ヨウ素価が高すぎると、得られるゴム架橋物の耐熱性が低下してしまう。
また、本発明で用いるニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)のポリマー・ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、好ましくは10〜200、より好ましくは15〜150、さらに好ましくは15〜100、特に好ましくは30〜70である。ポリマー・ムーニー粘度を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物の機械特性を損なうことなく、架橋性ゴム組成物の加工性を良好なものとすることができる。
なお、本発明で用いるニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)のヨウ素価を上記範囲とする方法としては、たとえば、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)を製造する際における水素添加反応における、水素添加触媒の種類、水素添加触媒の量、反応温度、水素圧力および反応時間などを適宜調整することにより制御することができる。一例を挙げると、水素添加触媒の量を多くするほど、ヨウ素価は低くなる傾向にあり、また、同様に、反応温度、水素圧力を高くしたり、反応時間を長くしたりすることによっても、ヨウ素価は低くなる傾向にある。そのため、本発明においては、これらの条件を適宜調整することで、ヨウ素価を制御することができる。
本発明で用いるニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)の製造方法は、特に限定されないが、乳化剤を用いた乳化重合により上述の単量体を共重合してニトリル基含有共重合体ゴムのラテックスを調製し、これを水素化することにより製造することが好ましい。乳化重合に際しては、乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤等の通常用いられる重合副資材を使用することができる。
乳化剤としては、特に限定されないが、たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等の非イオン性乳化剤;ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸及びリノレン酸等の脂肪酸の塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性乳化剤;α,β−不飽和カルボン酸のスルホエステル、α,β−不飽和カルボン酸のサルフェートエステル、スルホアルキルアリールエーテル等の共重合性乳化剤;などが挙げられる。乳化剤の使用量は、全単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部である。
重合開始剤としては、ラジカル開始剤であれば特に限定されないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物;等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤としては、無機または有機の過酸化物が好ましい。重合開始剤として過酸化物を用いる場合には、重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄等の還元剤と組み合わせて、レドックス系重合開始剤として使用することもできる。重合開始剤の使用量は、全単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜2重量部である。
分子量調整剤としては、特に限定されないが、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、塩化メチレン、臭化メチレン等のハロゲン化炭化水素;α−メチルスチレンダイマー;テトラエチルチウラムダイサルファイド、ジペンタメチレンチウラムダイサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンダイサルファイド等の含硫黄化合物等が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、メルカプタン類が好ましく、t−ドデシルメルカプタンがより好ましい。分子量調整剤の使用量は、全単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜0.8重量部である。
乳化重合の媒体には、通常、水が使用される。水の量は、全単量体100重量部に対して、好ましくは80〜500重量部である。
乳化重合に際しては、さらに、必要に応じて安定剤、分散剤、pH調整剤、脱酸素剤、粒子径調整剤等の重合副資材を用いることができる。これらを用いる場合においては、その種類、使用量とも特に限定されない。
そして、得られたニトリル基含有共重合体ゴムのラテックス中のニトリル基含有共重合体ゴムに対して、共役ジエン単量体単位(a3)の二重結合を選択的に水素添加する水素化反応を行うことにより、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)を製造することができる。
水素添加は公知の方法によればよく、乳化重合で得られたニトリルゴムのラテックスを凝固した後、油層で水素添加する油層水素添加法や、重合で得られたラテックスをそのまま水素添加する水層水素添加法などが挙げられるが、これらのなかでも、水層水素添加法が好ましい。
ニトリルゴムの水層水素添加法による水素添加に際しては、乳化重合により調製したニトリル基含有共重合体ゴムのラテックスに、必要に応じて水を加えて希釈し、水素添加反応を行なうのが好ましい。水層水素添加法としては、水素添加触媒存在下の反応系に水素を供給して水素添加する水層直接水素添加法と、酸化剤、還元剤および活性剤の存在下で還元することにより水素添加する水層間接水素添加法とがあるが、水層直接水素添加法が、より好ましい。
水層直接水素添加法に用いる水素添加触媒としては、水で分解しにくい化合物であればよく、特に限定されないが、たとえば、パラジウム触媒などが挙げられる。
パラジウム触媒の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、コハク酸、オレイン酸、フタル酸等のカルボン酸のパラジウム塩;塩化パラジウム、ジクロロ(シクロオクタジエン)パラジウム、ジクロロ(ノルボルナジエン)パラジウム、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸アンモニウム等のパラジウム塩素化物;ヨウ化パラジウム等のパラジウムヨウ素化物;硫酸パラジウム・二水和物等が挙げられる。
これらの中でもカルボン酸のパラジウム塩、ジクロロ(ノルボルナジエン)パラジウム及びヘキサクロロパラジウム(IV)酸アンモニウムが特に好ましい。
水素添加触媒の使用量は、使用する水素添加触媒の種類および目的とするヨウ素価に応じて、適宜定めればよいが、水素添加前のニトリル基含有共重合体ゴムに対し、好ましくは200〜2500重量ppm、より好ましくは300〜2000重量ppmである。
水層直接水素添加法における反応温度、水素圧力および反応時間は、目的とするヨウ素価に応じて、適宜定めればよいが、反応温度は、好ましくは30〜70℃、より好ましくは40〜70℃、特に好ましくは40〜60℃である。また、水素圧力は、好ましくは1〜5MPa、より好ましくは2〜4MPaである。反応時間は、好ましくは4〜8時間、特に好ましくは5〜8時間である。
そして、このようにして得られた水素添加反応後のラテックスについて、塩析による凝固、濾別および乾燥などを行なうことにより、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)を得ることができる。この場合における、凝固に続く濾別および乾燥の工程はそれぞれ公知の方法によって行なうことができる。
ポリアミン系架橋剤(B)
本発明の架橋性ゴム組成物は、上述したニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)に加えて、ポリアミン系架橋剤(B)を含有する。架橋剤として、ポリアミン系架橋剤(B)を用いることにより、得られるゴム架橋物の耐圧縮永久歪み性をより高めることができる。
ポリアミン系架橋剤(B)としては、2つ以上のアミノ基を有する化合物、または、架橋時に2つ以上のアミノ基を有する化合物の形態になるもの、であれば特に限定されないが、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素の複数の水素原子が、アミノ基またはヒドラジド構造(−CONHNHで表される構造、COはカルボニル基を表す。)で置換された化合物および架橋時にその化合物の形態になるものが好ましい。
ポリアミン系架橋剤(B)の具体例としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、N,N−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、テトラメチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミンシンナムアルデヒド付加物などの脂肪族多価アミン類;4,4−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルエーテル、3,4−ジアミノジフェニルエーテル、4,4−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4−ジアミノベンズアニリド、4,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミンなどの芳香族多価アミン類;イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジヒドラジド、ナフタレン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタミン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ブラッシル酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、アセトンジカルボン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、トリメリット酸ジヒドラジド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸ジヒドラジド、アコニット酸ジヒドラジド、ピロメリット酸ジヒドラジドなどの多価ヒドラジド類;が挙げられる。これらのなかでも、ヘキサメチレンジアミンカルバメートが特に好ましい。
本発明の架橋性ゴム組成物中における、ポリアミン系架橋剤(B)の配合量は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部であり、より好ましくは0.2〜15重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。ポリアミン系架橋剤(B)の配合量を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物の機械特性および耐圧縮永久歪み性をより向上させることができる。
なお、本発明の架橋性ゴム組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリアミン系架橋剤(B)以外の架橋剤、たとえば、硫黄架橋剤や、有機過酸化物架橋剤を併用してもよい。
また、本発明の架橋性ゴム組成物は、塩基性架橋促進剤をさらに含有していることが好ましい。塩基性架橋促進剤をさらに含有させることにより、本発明の効果がより一層顕著になる。
塩基性架橋促進剤の具体例としては、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(以下「DBU」と略す場合がある)及び1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5(以下「DBN」と略す場合がある)、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、1−メトキシエチルイミダゾール、1−フェニル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−メチル−2−フェニルイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルイミダゾール、1,4−ジメチルイミダゾール、1,5−ジメチルイミダゾール、1,2,4−トリメチルイミダゾール、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾール、1−メチル−2−メトキシイミダゾール、1−メチル−2−エトキシイミダゾール、1−メチル−4−メトキシイミダゾール、1−メチル−2−メトキシイミダゾール、1−エトキシメチル−2−メチルイミダゾール、1−メチル−4−ニトロイミダゾール、1,2−ジメチル−5−ニトロイミダゾール、1,2−ジメチル−5−アミノイミダゾール、1−メチル−4−(2−アミノエチル)イミダゾール、1−メチルベンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルベンゾイミダゾール、1−メチル−5−ニトロベンゾイミダゾール、1−メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−フェニルイミダゾリン、1−メチル−2−ベンジルイミダゾリン、1−メチル−2−エトキシイミダゾリン、1−メチル−2−ヘプチルイミダゾリン、1−メチル−2−ウンデシルイミダゾリン、1−メチル−2−ヘプタデシルイミダゾリン、1−メチル−2−エトキシメチルイミダゾリン、1−エトキシメチル−2−メチルイミダゾリンなどの環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤;テトラメチルグアニジン、テトラエチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−オルト−トリルグアニジン、オルトトリルビグアニドなどのグアニジン系塩基性架橋促進剤;n−ブチルアルデヒドアニリン、アセトアルデヒドアンモニアなどのアルデヒドアミン系塩基性架橋促進剤;ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘプチルアミンなどのジシクロアルキルアミン;N−メチルシクロペンチルアミン、N−ブチルシクロペンチルアミン、N−ヘプチルシクロペンチルアミン、N−オクチルシクロペンチルアミン、N−エチルシクロヘキシルアミン、N−ブチルシクロヘキシルアミン、N−ヘプチルシクロヘキシルアミン、N−オクチルシクロオクチルアミン、N−ヒドロキシメチルシクロペンチルアミン、N−ヒドロキシブチルシクロヘキシルアミン、N−メトキシエチルシクロペンチルアミン、N−エトキシブチルシクロヘキシルアミン、N−メトキシカルボニルブチルシクロペンチルアミン、N−メトキシカルボニルヘプチルシクロヘキシルアミン、N−アミノプロピルシクロペンチルアミン、N−アミノヘプチルシクロヘキシルアミン、ジ(2−クロロシクロペンチル)アミン、ジ(3−クロロシクロペンチル)アミンなどの二級アミン系塩基性促進剤;などが挙げられる。これらのなかでも、グアニジン系塩基性架橋促進剤、二級アミン系塩基性架橋促進剤および環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤が好ましく、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7および1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5がさらに好ましく、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7が特に好ましい。なお、上記環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤は、有機カルボン酸やアルキルリン酸などと塩を形成していてもよい。また、上記二級アミン系塩基性架橋促進剤は、アルキレングリコールや炭素数5〜20のアルキルアルコールなどのアルコール類が混合されたものであってもよく、さらに無機酸および/または有機酸を含んでいてもよい。そして、当該二級アミン系塩基性架橋促進剤と前記無機酸および/または有機酸とが塩を形成しさらに前記アルキレングリコールと複合体を形成していてもよい。
本発明の架橋性ゴム組成物中における、塩基性架橋促進剤の配合量は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部であり、より好ましくは0.2〜15重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。塩基性架橋促進剤の配合量を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物の耐圧縮永久歪み性をより向上させることができる。
また、本発明の架橋性ゴム組成物には、上記以外に、ゴム分野において通常使用される配合剤、たとえば、カーボンブラックやシリカなどの補強性充填材、炭酸カルシウムやクレイなどの非補強性充填材、塩基性架橋促進剤以外の架橋促進剤、架橋助剤、架橋遅延剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、一級アミンなどのスコーチ防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、加工助剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、受酸剤、帯電防止剤、顔料などを配合することができる。これらの配合剤の配合量は、本発明の目的や効果を阻害しない範囲であれば特に限定されず、配合目的に応じた量を配合することができる。
さらに、本発明の架橋性ゴム組成物には、本発明の効果が阻害されない範囲で、上述したニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)以外のその他の重合体を配合してもよい。その他の重合体としては、アクリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体ゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム、天然ゴムおよびポリイソプレンゴムなどを挙げることができる。その他の重合体を配合する場合における、架橋性ゴム組成物中の配合量は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)100重量部に対して、好ましくは30重量部以下であり、より好ましくは20重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下である。
本発明の架橋性ゴム組成物は、上記各成分を好ましくは非水系で混合して調製される。本発明の架橋性ゴム組成物を調製する方法に限定はないが、通常、ポリアミン系架橋剤(B)および熱に不安定な架橋助剤などを除いた成分を、バンバリーミキサ、インターミキサ、ニーダなどの混合機で一次混練した後、ロールなどに移してポリアミン系架橋剤(B)や熱に不安定な架橋助剤などを加えて二次混練することにより調製できる。
ゴム架橋物
本発明のゴム架橋物は、上述した本発明の架橋性ゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明の架橋性ゴム組成物を用い、たとえば、所望の形状に対応した成形機、例えば押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、100〜200℃、好ましくは130〜190℃であり、架橋時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは2分〜6時間である。
また、ゴム架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。
このようにして得られる本発明のゴム架橋物は、常態物性が良好であり、耐圧縮永久ひずみ性に特に優れたものである。
複合体
本発明の複合体は、上述した本発明のゴム架橋物と金属とからなるゴム−金属複合体である。
本発明の複合体を形成する金属としては、特に限定されないが、ステンレス鋼、SPCC鋼、鉄、銅、アルミニウム、真鍮などが挙げられる。
本発明の複合体を製造する方法としては、特に限定されないが、たとえば、以下の方法により製造することができる。
すなわち、まず、上述した金属材料を準備し、ゴム架橋物との接着面となる面に、ショットブラスト、スコッチブライド、ヘアーライン、ダル仕上げなどにより粗面化処理を施して、接着面を形成する。
次いで、接着面に粗面化処理を施した金属材料の上に、接着剤層を形成する。接着剤層の形成は、公知の接着剤、たとえば、塩化ゴム系の接着剤、ポリオレフィン系の接着剤、合成樹脂系の接着剤を使用して行うことができる。具体的には、このような接着剤を、刷毛塗り法、浸漬法、スプレー法、噴霧法、ロールコータ法などにより、金属材料の接着面に塗布し、その後、室温下または温風で乾燥させた後、必要に応じて、温度100〜250℃、10〜30分間焼付処理することにより、接着剤層を形成することができる。また、接着剤層を形成する場合に、前記金属材料における接着剤層形成面に、予め、プライマー層を形成してから接着剤層を形成することもできる。このプライマー層の形成は、場合により、金属材料の粗面化処理に代えて行うこともできる。
次いで、上述した本発明の架橋性ゴム組成物を所望の形状に成形することにより、ゴム成形体を準備する。ゴム成形体は、上述した本発明の架橋性ゴム組成を、押出成形、射出成形、トランスファー成形、圧縮成形などのゴムの加工で一般的な成形法で、成形することにより、得ることができる。
たとえば、押出成形法を採用する場合には、ロール混合などによって調製した極性ゴム組成物を、押出機のフィード口に供給し、スクリューでヘッド部に送る過程でバレルからの加熱により軟化させ、ヘッド部に設けた所定形状のダイスに通すことにより、目的の断面形状を有する長尺のシート状の押出成形品を得ることができる。
そして、得られたシート状の押出成形品を、所定の大きさ、形状に切断することにより、ゴム成形体を得ることができる。
次いで、上記にて得られたゴム成形体と金属材料とを、接着剤層を介して、積層して積層体とし、電気、熱風、蒸気などを熱源とするオーブンで130℃〜220℃、より好ましくは140℃〜200℃に加熱して、ゴム成形体と金属材料とを架橋接着させ、これにより本発明のゴム架橋物と金属とからなるゴム−金属複合体を得ることができる。なお、架橋接着させる際には、必要に応じて、プレス成形機を用いて、ゴム成形体とあらかじめ接着剤層を形成した金属材料とを金型中で、加圧した状態で、加熱成形する方法を採用してもよい。さらに、必要に応じて、電気、熱風、蒸気などを熱源とするオーブンなどで130℃〜220℃、より好ましくは140℃〜200℃で1〜48時間加熱して二次架橋させてもよい。
本発明の複合体は、上述した本発明の架橋性ゴム組成物を用いて得られるものであるため、常態物性が良好であり、耐熱性、耐圧縮永久歪み性に優れたゴム層を備え、しかも、このようなゴム層と金属との接着性に優れるものである。そのため、本発明の複合体は、たとえば、自動車用や工作機械用などのメタルガスケット、オイルシール、防振ゴム、ウォーターポンプシール、メカニカルシールなどの幅広い用途に好適に用いることができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限られるものではない。以下において、特記しない限り、「部」は重量基準である。物性および特性の試験または評価方法は以下のとおりである。
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムの組成
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを構成する各単量体単位の含有割合は、以下の方法により測定した。
すなわち、マレイン酸モノn−ブチル単位およびマレイン酸モノプロピル単位の含有割合は、2mm角のニトリル基含有高飽和共重合体ゴム0.2gに、2−ブタノン100mlを加えて4時間攪拌した後、エタノール20mlおよび水10mlを加え、攪拌しながら水酸化カリウムの0.02N含水エタノール溶液を用いて、室温でチモールフタレインを指示薬とする滴定により、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム100gに対するカルボキシル基のモル数を求め、求めたモル数をマレイン酸モノn−ブチル単位の量に換算することにより算出した。
1,3−ブタジエン単位および飽和化ブタジエン単位の含有割合は、水素添加前のニトリル基含有共重合体ゴムを用いて、ヨウ素価(JIS K6235による)を測定することにより算出した。
アクリロニトリル単位の含有割合は、JIS K6383に従い、ケルダール法により、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム中の窒素含量を測定することにより算出した。
アクリル酸2−メトキシエチル単位、アクリル酸エトキシエチル単位、アクリル酸2−ブチル単位、およびアクリル酸n−ブトキシエチルの含有割合は、上記各単量体単位に対する残り成分として算出した。
ヨウ素価
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムのヨウ素価は、JIS K6235に準じて測定した。
ポリマー・ムーニー粘度
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムのムーニー粘度(ポリマー・ムーニー粘度)(ML1+4、100℃)は、JIS K6300に従って測定した。
常態物性(引張強さ、伸び)
内径30mm 、リング径3mmの金型を用いて、架橋性ゴム組成物を170℃で20 分間、プレス圧10MPaで架橋した後、170℃で4時間二次架橋を行うことにより、O−リング状の試験片を得た。そして、得られたO−リング状の試験片を用いて、O−リング状の試験片を挟んだ二つの平面間の距離をリング厚み方向に25%圧縮した状態で150℃にて168時間保持する条件で、JIS K6262に従って、圧縮永久ひずみを測定した。この値が小さいほど、耐圧縮永久ひずみ性に優れる。
耐熱老化性
上記常態物性の評価に用いたシート状のゴム架橋物と同様のものを得た後、JIS3号形ダンベルで打ち抜き、試験片を作製した。得られた試験片を用いて、JIS K6257「加硫ゴムの老化試験方法」の4項「空気加熱老化試験(ノーマルオーブン法)」の規定に準拠して、150℃、168時間の条件でギヤーオーブンに保持することで空気加熱老化処理を行った。空気加熱老化処理を行った試験片(熱老化後の試験片)について、JIS K6251に従い、伸びを測定した。そして、得られた測定結果から、下記式より、伸び変化率を求めた。伸び変化率の絶対値が小さいほど、耐熱老化性に優れると判断できる。
伸び変化率(%)={((熱老化後の伸び)−(常態での伸び))/(常態での伸び)}×100
耐圧縮永久歪み性
内径30mm 、リング径3mmの金型を用いて、架橋性ゴム組成物を170℃で20 分間、プレス圧10MPaで架橋した後、170℃で4時間二次架橋を行うことにより、O−リング状の試験片を得た。そして、得られたO−リング状の試験片を用いて、O−リング状の試験片を挟んだ二つの平面間の距離をリング厚み方向に25%圧縮した状態で150℃にて168時間保持する条件で、JIS K6262に従って、圧縮永久ひずみを測定した。この値が小さいほど、耐圧縮永久ひずみ性に優れる。
金属接着性
まず、架橋性ゴム組成物を使用して、ゴム層と金属層とを、接着剤層を介して、架橋接着させた積層体サンプルを、以下の方法により製造した。
具体的には、3mm×25mm×60mmの金属板を準備し、320メッシュのサンドペーパーを使用して、この金属板の表面を粗面化し、粗面化した金属板の表面を、トルエンおよびアセトンを使用して洗浄した。次いで、接着剤を、粗面化した金属板の表面に塗布し、30分間放置して風乾し、その後、オーブンにて、温度150℃、20分の条件で加熱して、焼付処理を行い、接着剤層を形成した。
次いで、接着剤層を形成した金属板の上に、2.5mm×25mm×125mmの架橋性ゴム組成物のシートを載せて架橋前の積層体を得た。そして、この架橋前の積層体を、5mm×25mm×125mmの金型に入れ、プレス成形機にて、圧力10MPa、温度170℃、20分の条件で加熱圧縮し、架橋性ゴム組成物の架橋反応を進行させ、金属接着性試験用の積層体サンプル(ゴムと金属板との接触面積は、25mm×60mm)を得た。
そして、このようにして得られた金属接着性試験用の積層体サンプルを使用して、JIS K 6256にしたがって、90度剥離試験を行い、90度剥離試験を行った際のゴム層の剥離破壊の割合を求めることにより、金属接着性を、以下の基準により評価した。
○:ゴム層の剥離破壊の割合が90%以上であった。
×:ゴム層の剥離破壊の割合が90%未満であった。
なお、金属接着性の評価は、金属板として、「真鍮」、「アルミニウム」、「鉄」、「ステンレス(SUS316)」、および「SPCC鋼」を、また、接着剤として、プライマーとして「ケムロック205」を使用し、「ケムロック233X」、「ケムロック220」、「ケムロック6108」を用いたもの、プライマーとして「ケムロックXPJ−113」を使用し、「ケムロック233X」を用いたもの、およびプライマーを使用せずに「ケムロック201」、「ケムロックAP133」を用いたもの(以上、いずれも、LORD社製)の、それぞれのサンプルを作製し、それぞれ評価を行った。
ここで、「ケムロック205」は、塩化ゴム系の接着剤であり、「ケムロック233X」は、ポリオレフィン系の接着剤であり、「ケムロックXPJ−113」は、合成樹脂系の接着剤であり、「ケムロック220」は、塩化ゴム系の接着剤であり、「ケムロック6108」は、ポリオレフィン系の接着剤であり、「ケムロック201」は、フェノール樹脂系の接着剤であり、「ケムロックAP133」は、シリコーン系の接着剤である。
実施例1
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A1)の合成
金属製ボトルに、イオン交換水180部、濃度10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25部、アクリロニトリル50部、マレイン酸モノn−ブチル4.5部、および、t−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.5部の順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン46部を仕込んだ。金属製ボトルを5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部を仕込み、金属製ボトルを回転させながら16時間重合反応した。次いで、濃度10重量%のハイドロキノン水溶液(重合停止剤)0.1部を加えて重合反応を停止した後、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去し、ニトリル基含有共重合体ゴムのラテックス(固形分濃度約30重量%)を得た。
次いで、上記にて得られたラテックスに含有されるゴムの乾燥重量に対するパラジウム含有量が750ppmになるように、オートクレーブ中に、上記にて製造したラテックスおよびパラジウム触媒(1重量%酢酸パラジウムアセトン溶液と等重量のイオン交換水を混合した溶液)を添加して、水素圧3MPa、温度50℃で6時間水素添加反応を行い、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムのラテックスを得た。
得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴムのラテックスに2倍容量のメタノールを加えて凝固した後、ろ過して固形物(クラム)を取り出し、それを、60℃で12時間真空乾燥することにより、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A1)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A1)を構成する各単量体単位の含有割合、ヨウ素価、およびポリマー・ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕を表1に示す。
架橋性ゴム組成物の調製
バンバリーミキサを用いて、上記にて得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A1)100部に、FEFカーボン(商品名「シーストSO」、東海カーボン社製、カーボンブラック)40部、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル(商品名「ADK Cizer C−8」、ADEKA社製、可塑剤)5部、ステアリン酸(架橋促進助剤)1部、および、4,4’−ジ−(α,α’−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名「Naugard 445」、Crompton社製、老化防止剤)1.5部を添加して混練し、次いで、混合物をロールに移して1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)(商品名:「RHENOGRAN XLA−60(GE2014)」、RheinChemie社製、DBU60%(ジンクジアルキルジフォスフェイト塩になっている部分を含む)、および、アクリル酸ポリマーと分散剤40%からなるもの、塩基性架橋促進剤)4部、および、ヘキサメチレンジアミンカルバメート(商品名「Diak#1」、デュポン社製、脂肪族多価アミン類に属するポリアミン系架橋剤)2.2部を添加して混練することで、架橋性ゴム組成物を調製した。
そして、得られた架橋性ゴム組成物を用いて、上記した方法にしたがって、常態物性(引張強さ、伸び)、耐熱老化性、耐圧縮永久歪み性、および金属接着性の各測定・評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2〜11
各単量体単位の含有割合が表1に示す量となるように、重合に用いる単量体およびその使用量を変更するとともに、水素化反応を行う際における、用いるパラジウム触媒の量(パラジウム換算の使用量)および水素圧を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A2)〜(A11)を合成した。
そして、得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A2)〜(A11)をそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ゴム組成物を調製し、同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
実施例12〜22
各単量体単位の含有割合が表2に示す量となるように、重合に用いる単量体およびその使用量を変更するとともに、水素化反応を行う際における、用いるパラジウム触媒の量(パラジウム換算の使用量)および水素圧を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A12)〜(A22)を合成した。
そして、得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A12)〜(A22)をそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ゴム組成物を調製し、同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
実施例23〜29
各単量体単位の含有割合が表3に示す量となるように、重合に用いる単量体およびその使用量を変更するとともに、水素化反応を行う際における、用いるパラジウム触媒の量(パラジウム換算の使用量)および水素圧を表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A23)〜(A29)を合成した。
そして、得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A23)〜(A29)をそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ゴム組成物を調製し、同様にして評価を行った。結果を表3に示す。
実施例30〜33
実施例12で得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A12)を用いるとともに、用いる配合剤および配合量を表3に示すように変更した以外は、実施例12と同様にして、架橋性ゴム組成物を調製し、同様にして評価を行った。結果を表3に示す。なお、実施例30〜33においては、架橋性ゴム組成物を調製する際に、表3に示すように、実施例12で使用した配合剤に加えて、また、実施例12で使用した配合剤に代えて、合成シリカ(商品名「Nipsil ER」、東ソー・シリカ社製)、ポリエーテルエステル(商品名「ADKcizer RS700」、ADEKA社製)、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名「DOW CORNING TORAY Z−6011」、東レ・ダウコーニング社製)、および1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(40%品)(商品名「バルカップ40KE」、GEO Specialty Chemicals Inc社製)をそれぞれ使用した。
比較例1〜11
各単量体単位の含有割合が表4に示す量となるように、重合に用いる単量体およびその使用量を変更するとともに、水素化反応を行う際における、用いるパラジウム触媒の量(パラジウム換算の使用量)および水素圧を表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A30)〜(A40)を合成した。
そして、得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A30)〜(A40)をそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ゴム組成物を調製し、同様にして評価を行った。結果を表4に示す。
比較例12〜16
各単量体単位の含有割合が表5に示す量となるように、重合に用いる単量体およびその使用量を変更するとともに、水素化反応を行う際における、用いるパラジウム触媒の量(パラジウム換算の使用量)および水素圧を表5に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A41)〜(A45)を合成した。
そして、得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A41)〜(A45)をそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ゴム組成物を調製し、同様にして評価を行った。結果を表5に示す。
比較例17〜22
各単量体単位の含有割合が表5に示す量となるように、重合に用いる単量体およびその使用量を変更するとともに、水素化反応を行う際における、用いるパラジウム触媒の量(パラジウム換算の使用量)および水素圧を表5に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A46)〜(A51)を合成した。
そして、得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A46)〜(A51)を用い、かつ、用いる配合剤および配合量を表5に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ゴム組成物を調製し、同様にして評価を行った。結果を表5に示す。なお、比較例17〜22においては、架橋性ゴム組成物を調製する際に、表5に示すように、実施例1で使用した配合剤に加えて、また、実施例1で使用した配合剤に代えて、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(40%品)(商品名「バルカップ40KE」、GEO Specialty Chemicals Inc社製)を使用した。
比較例23〜32
各単量体単位の含有割合が表6に示す量となるように、重合に用いる単量体およびその使用量を変更するとともに、水素化反応を行う際における、用いるパラジウム触媒の量(パラジウム換算の使用量)および水素圧を表6に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A52)〜(A61)を合成した。
そして、得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A52)〜(A61)を用い、かつ、用いる配合剤および配合量を表6に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ゴム組成物を調製し、同様にして評価を行った。結果を表6に示す。なお、比較例23〜32においては、架橋性ゴム組成物を調製する際に、表6に示すように、実施例1で使用した配合剤に加えて、また、実施例1で使用した配合剤に代えて、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(40%品)(商品名「バルカップ40KE」、GEO Specialty Chemicals Inc社製)を使用した。
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表1に示すように、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位(a2)、および共役ジエン単量体単位(a3)を有しヨウ素価が20〜75であるニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)に、ポリアミン系架橋剤(B)を配合してなる架橋性ゴム組成物を用いて得られるゴム架橋物は、常態物性が良好であり、耐熱性、耐圧縮永久歪み性に優れ、各種金属に対する接着性に優れるものであることが確認できる(実施例1〜33)。
一方、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとして、ヨウ素価が低すぎるものを用いた場合には、得られるゴム架橋物は、金属に対する接着性に劣る結果となった(比較例1〜8)。
また、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとして、ヨウ素価が高すぎるものを用いた場合には、得られるゴム架橋物は、耐熱老化性に劣る結果となった(比較例9〜16)。
さらに、ポリアミン系架橋剤に代えて、過酸化物架橋剤としての1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンを用いた場合には、得られるゴム架橋物は、耐圧縮永久歪み性に劣る結果となった(比較例17〜32)。

Claims (3)

  1. α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)16〜50重量%、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位(a2)1〜10重量%、および共役ジエン単量体単位(a3)40〜70重量%を有し、前記共役ジエン単量体単位(a3)の少なくとも一部を水素化してなり、ヨウ素価が20〜75であるニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)と、
    ポリアミン系架橋剤(B)とを含有する架橋性ゴム組成物。
  2. 請求項1に記載の架橋性ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物。
  3. 請求項2に記載のゴム架橋物と金属とからなる複合体。
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