JPWO2016017735A1 - ニトリル基含有共重合体ゴム、架橋性ゴム組成物およびゴム架橋物 - Google Patents

ニトリル基含有共重合体ゴム、架橋性ゴム組成物およびゴム架橋物

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Abstract

α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を10〜60重量%の割合で含有し、Z平均慣性半径が100nm以上であることを特徴とするニトリル基含有共重合体ゴムを提供する。本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、ヨウ素価が120以下であることが好ましい。また、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、可塑度が14〜90であることが好ましい。本発明によれば、引張応力、耐圧縮永久歪み性、および低発熱性に優れたゴム架橋物を与えることができるニトリル基含有共重合体ゴムを提供することができる。

Description

本発明は、引張応力、耐圧縮永久歪み性、および低発熱性に優れたゴム架橋物を与えることができるニトリル基含有共重合体ゴム、ならびに、該ニトリル基含有共重合体ゴムを用いて得られる架橋性ゴム組成物およびゴム架橋物に関する。
従来から、ニトリル基含有共重合体ゴム(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム)は、耐油性、機械的特性、耐薬品性等を活かして、ホースやベルト、チューブなどの自動車用ゴム部品の材料として使用されており、また、ニトリル基含有共重合体ゴムのポリマー主鎖中の炭素−炭素二重結合を水素化などにより飽和化して得られるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムはさらに耐熱性に優れるため、シール、ベルト、ホース、ダイアフラム等のゴム部品に使用されている。
このような状況に対して、特許文献1は、不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体の炭素−炭素不飽和結合を水素化してなるニトリル基含有共重合体ゴムおよび加硫剤を含有してなるニトリル基含有共重合体ゴム組成物であって、前記ニトリル基含有共重合体ゴムが、ヨウ素価が80以下で、ムーニー粘度(ML1+4 、100℃)が30〜100であり、かつ、ゲルを1〜20重量%含有するものであるニトリル基含有共重合体ゴム組成物を提案している。この特許文献1の技術によれば、加工性に優れ、かつ、引張応力などの常態物性および耐圧縮永久歪み性に優れたゴム架橋物が得られている。
その一方で、近年、市場での品質要求が高度化し、たとえば、シール、ベルト、ロールなどの各種用途において高負荷化が進んでいることから、引張応力が大きく、圧縮永久歪みが小さく、しかも、発熱劣化やエネルギーロスを低減するという観点から低発熱性に優れたゴム架橋物が求められるようになっている。しかしながら、上記特許文献1に記載されたニトリルゴム組成物を架橋して得られるゴム架橋物は、低発熱性が必ずしも十分でなく、近年の高負荷化に対応するため、低発熱性のさらなる向上が求められていた。
特開2005−281498号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、引張応力、耐圧縮永久歪み性、および低発熱性に優れたゴム架橋物を与えることができるニトリル基含有共重合体ゴム、ならびに、該ニトリル基含有共重合体ゴムを用いて得られる架橋性ゴム組成物およびゴム架橋物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を10〜60重量%の割合で含有するニトリル基含有共重合体ゴムにおいて、Z平均慣性半径が、100nm以上となるように制御されたものによれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を10〜60重量%の割合で含有し、Z平均慣性半径が100nm以上であることを特徴とするニトリル基含有共重合体ゴムが提供される。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴムのヨウ素価は120以下であることが好ましい。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴムの可塑度は14〜90であることが好ましい。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、JIS K6238−1に規定されているオーブン法に従って測定されるヒートロスが、20重量%以下であることが好ましい。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位を40〜90重量%の割合で含有することが好ましい。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位を5〜50重量%の割合で含有することが好ましい。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、カルボキシル基含有単量体単位を1〜30重量%の割合で含有することが好ましい。
また、本発明によれば、上記ニトリル基含有共重合体ゴムと、架橋剤とを含有してなる架橋性ゴム組成物、および該架橋性ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物が提供される。
本発明によれば、引張応力、耐圧縮永久歪み性、および低発熱性に優れたゴム架橋物を与えることができるニトリル基含有共重合体ゴム、ならびに、該ニトリル基含有共重合体ゴムを用いて得られる架橋性ゴム組成物およびゴム架橋物を提供することができる。
ニトリル基含有共重合体ゴム
本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を10〜60重量%の割合で含有し、かつ、Z平均慣性半径が100nm以上であることを特徴とするゴムである。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴム中に含有される、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を形成するα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体は、特に限定されないが、炭素数3〜18のものが好ましく、炭素数3〜9のものが特に好ましい。その具体例としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等が挙げられ、なかでもアクリロニトリルが好ましい。これらのα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴム中における、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量は、10〜60重量%であり、好ましくは12〜58重量%、より好ましくは16〜50重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が少なすぎると、得られる架橋物が耐油性に劣るものとなるおそれがあり、逆に多すぎると耐寒性が低下する可能性がある。
また、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、ゴム弾性による機械的特性の向上の観点から、ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位をさらに含有していることが好ましい。
ジエン単量体単位を形成するジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等の炭素数が4以上の共役ジエン;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン等の炭素数が5〜12の非共役ジエンが挙げられる。これらの中では共役ジエンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。α−オレフィン単量体単位を形成するα−オレフィン単量体としては、好ましくは炭素数が2〜12のものであり、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が例示される。これらのジエン単量体、α−オレフィン単量体は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴム中における、ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位の含有量は、好ましくは40〜90重量%、より好ましくは41〜85重量%、さらに好ましくは43〜80重量%である。ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位の含有量を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物を、耐熱性や耐化学的安定性を良好に保ちながら、ゴム弾性に優れたものとすることができる。
また、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、耐寒性の向上の観点から、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位をさらに含有させてもよい。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位を形成するα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体としては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(「メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル」の略記。以下同様。);アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシプロピル、メタクリル酸4−エトキシブチル、アクリル酸6−メトキシヘキシル、メタクリル酸4−エトキシヘプチル、アクリル酸8−メトキシオクチルなどの炭素数2〜12のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;アクリル酸α−シアノエチル、メタクリル酸α−シアノエチル、メタクリル酸シアノブチルなどの炭素数2〜12のシアノアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基を有する(メタ) アクリル酸エステル;アクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸テトラフルオロプロピルなどの炭素数1〜12のフルオロアルキル基を有する(メタ) アクリル酸エステル;などが挙げられる。これらのα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴム中における、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位の含有量は、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜45重量%、さらに好ましくは15〜40重量%である。α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位の含有量を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物の耐疲労性および耐摩耗性を良好なものとしながら、耐寒性の向上が可能となる。
あるいは、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、低発熱性をより高めることができるという観点より、カルボキシル基含有単量体単位をさらに含有させてもよい。
カルボキシル基含有単量体単位を形成するカルボキシル基含有単量体としては、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共重合可能であり、かつ、エステル化等されていない無置換の(フリーの)カルボキシル基を1個以上有する単量体であれば特に限定されない。
カルボキシル基含有単量体としては、たとえば、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸単量体、およびα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体などが挙げられる。また、カルボキシル基含有単量体には、これらの単量体のカルボキシル基がカルボン酸塩を形成している単量体も含まれる。さらに、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸の無水物も、共重合後に酸無水物基を開裂させてカルボキシル基を形成するので、カルボキシル基含有単量体として用いることができる。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸単量体としては、フマル酸やマレイン酸などのブテンジオン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アリルマロン酸、テラコン酸などが挙げられる。また、α,β−不飽和多価カルボン酸の無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体としては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノn−ブチルなどのマレイン酸モノアルキルエステル;マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノシクロヘプチルなどのマレイン酸モノシクロアルキルエステル;マレイン酸モノメチルシクロペンチル、マレイン酸モノエチルシクロヘキシルなどのマレイン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノn−ブチルなどのフマル酸モノアルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘプチルなどのフマル酸モノシクロアルキルエステル;フマル酸モノメチルシクロペンチル、フマル酸モノエチルシクロヘキシルなどのフマル酸モノアルキルシクロアルキルエステル;シトラコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、シトラコン酸モノプロピル、シトラコン酸モノn−ブチルなどのシトラコン酸モノアルキルエステル;シトラコン酸モノシクロペンチル、シトラコン酸モノシクロヘキシル、シトラコン酸モノシクロヘプチルなどのシトラコン酸モノシクロアルキルエステル;シトラコン酸モノメチルシクロペンチル、シトラコン酸モノエチルシクロヘキシルなどのシトラコン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノn−ブチルなどのイタコン酸モノアルキルエステル;イタコン酸モノシクロペンチル、イタコン酸モノシクロヘキシル、イタコン酸モノシクロヘプチルなどのイタコン酸モノシクロアルキルエステル;イタコン酸モノメチルシクロペンチル、イタコン酸モノエチルシクロヘキシルなどのイタコン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;などが挙げられる。
カルボキシル基含有単量体は、一種単独でも、複数種を併用してもよい。これらの中でも、本発明の効果がより一層顕著になることから、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体が好ましく、マレイン酸モノアルキルエステルがより好ましく、マレイン酸モノn−ブチルが特に好ましい。なお、上記アルキルエステルのアルキル基の炭素数は、2〜8が好ましい。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴム中における、カルボキシル基含有単量体単位の含有量は、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは2〜25重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。カルボキシル基含有単量体単位の含有量を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物の耐疲労性を良好なものとしながら、低発熱性のさらなる向上が可能となる。
また、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、上記した各単量体の単位に加えて、これらの単量体と共重合可能なその他の単量体の単位を含有するものであってもよい。このようなその他の単量体としては、非共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体、架橋性単量体、共重合性老化防止剤、エポキシ基を有する単量体などが挙げられる。
非共役ジエン単量体としては、炭素数が5〜12のものが好ましく、たとえば、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
架橋性単量体としては、たとえば、ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物;エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリル酸エステル類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのトリメタクリル酸エステル類;などの多官能エチレン性不飽和単量体のほか、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチロール(メタ)アクリルアミドなどの自己架橋性単量体などが挙げられる。
共重合性老化防止剤としては、たとえば、N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、 N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが挙げられる。
エポキシ基を有する単量体としては、アクリル酸2−エチルグリシジル、メタクリル酸2−エチルグリシジル、アクリル酸2−(n−プロピル)グリシジル、メタクリル酸2−(n−プロピル)グリシジル、アクリル酸2−(n−ブチル)グリシジル、メタクリル酸2−(n−ブチル)グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルメチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸(3',4'−エポキシヘプチル)−2−エチル、メタクリル酸(3',4'−エポキシヘプチル)−2−エチル、アクリル酸6',7'−エポキシヘプチル、メタクリル酸6',7'−エポキシヘプチル、アリルグリシジルエーテル、アリル3,4−エポキシヘプチルエーテル、6,7−エポキシヘプチルアリルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、ビニル3,4−エポキシヘプチルエーテル、3,4−エポキシヘプチルビニルエーテル、6,7−エポキシヘプチルビニルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、3−ビニルシクロヘキセンオキシドなどが挙げられる。
これらの共重合可能なその他の単量体は、複数種類を併用してもよい。本発明のニトリル基含有共重合体ゴム中における、その他の単量体の単位の含有量は、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
また、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、Z平均慣性半径が100nm以上に制御されたものであり、好ましくは100〜1000nmの範囲、より好ましくは100〜950nmの範囲に制御されたものである。本発明においては、Z平均慣性半径を上記範囲に制御することにより、このようなニトリル基含有共重合体ゴムを用いて得られるゴム架橋物を引張応力、耐圧縮永久歪み性、および低発熱性に優れたものとすることができるものである。Z平均慣性半径が小さすぎると、得られるゴム架橋物は、引張応力、耐圧縮永久歪み性、および低発熱性に劣るものとなってしまう。
なお、Z平均慣性半径とは、分子鎖の重心からの広がりを示す指標であり、たとえば、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムを可溶な溶媒(たとえば、クロロホルム、テトラヒドロフラン、モノクロロベンゼンやアセトン)に溶解することにより調製されたニトリル基含有共重合体ゴムの溶液について、フィールドフローフラクショネイション(FFF)−多角度光散乱法(MALS)を用いて測定することができる。具体的には、ニトリル基含共重合体ゴムを溶媒に溶解し、得られたニトリル基含有共重合体ゴムの溶液を、多角度光散乱検出器(Multi Angle Light Scattering:MALS)および示差屈折計が備えられたフィールドフローフラクショネイション(FFF)を用いて、Z平均慣性半径を測定することができる。この場合において、多角度光散乱検出器から得られる測定値と、示差屈折計で測定した濃度の値から、Zimmの式を用い、Debyeプロットを行う方法を採用することができる。
ここで、dn/dc値(屈折率の濃度増分:溶質の濃度変化に対して、その重合体溶液の屈折率がどの程度変化するかを表した値)もZ平均慣性半径を求める際に必要であるが、上記フィールドフローフラクショネイション(FFF)での測定とは別に、ゴム濃度の異なる複数のニトリル基含有共重合体ゴムの溶液(たとえば、4種類の濃度の溶液)を調製し、これらの溶液について、屈折率測定器を用いて、dn/dc値を測定しておけばよい。
本発明において、Z平均慣性半径を上記範囲とする方法としては、特に限定されないが、たとえば、ニトリル基含有共重合体ゴムの組成を制御する方法、重合反応を行った後に重合を停止する際の重合転化率を制御する方法、乳化重合法等による重合に用いる分子量調整剤の種類および添加量を調整する方法、複分解反応を利用する方法、RAFT重合による連鎖移動剤の種類および添加量を調整する方法や、重合により得られたニトリル基含有共重合体ゴムに高せん断力を付与して調整する方法等が挙げられる。特に、ニトリル基含有共重合体ゴムを構成する単量体を乳化重合法等により重合する際に用いる、分子量調整剤の種類および添加量を調整する方法が好ましい。具体的には、後述する特定の2種類の分子量調整剤を用い、これらの添加量を後述する所定の範囲に調整する方法が好ましい。
なお、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、重量平均分子量(Mw)が10000〜1000000であることが好ましい。なお、重量平均分子量(Mw)は、GPCを用いて測定することができる。
また、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、可塑度が14〜90の範囲であることが好ましく、14〜85の範囲であることがより好ましく、14〜83の範囲であることがさらに好ましい。本発明においては、Z平均慣性半径を上記範囲とすることに加えて、可塑度をこのような範囲に制御することにより、ゴム架橋物とした場合における、引張応力、耐圧縮永久歪み性、および低発熱性をより高めることができる。なお、ニトリル基含有共重合体ゴムの可塑度は、JIS K6300−3に規定されている「ラピッドプラストメータによる可塑度」に従って測定することができる。
本発明において、可塑度を上記範囲とする方法としては、特に限定されないが、たとえば、ニトリル基含有共重合体ゴムのヒートロスを特定の範囲とする方法や、ニトリル基含有共重合体ゴム中における残存有機酸量を特定の範囲とする方法などが挙げられる。この場合においては、ニトリル基含有共重合体ゴムのヒートロスを、好ましくは20重量%以下、特に15重量%以下とすることが好ましい。ニトリル基含有共重合体ゴムのヒートロスは、たとえば、JIS K6238−1に規定されている「オーブン法」に従って測定することができる。ヒートロスを上記範囲とする方法としては、たとえば、ニトリル基含有共重合体ゴムの製造過程において、ニトリル基含有共重合体ゴムを劣化させることなく、揮発分を十分に除去できるような条件にて乾燥を行う方法が挙げられる。
また、ニトリル基含有共重合体ゴム中における残存有機酸量については、好ましくは15重量%以下、特に10重量%以下とすることが好ましい。残存有機酸量は、たとえば、ニトリル基含有共重合体ゴムの有機溶剤による抽出成分をアルカリ溶液で滴定する方法により測定することができる。残存有機酸量を上記範囲とする方法としては、たとえば、ニトリル基含有共重合体ゴムの乳化重合体を凝固する際の凝固剤の種類や使用量を調整する方法やニトリル基含有共重合体ゴムの乳化重合体を凝固する際に洗浄のレベルを上げる方法などが挙げられる。あるいは、ニトリル基含有共重合体ゴムの可塑度は、ニトリル基含有共重合体ゴムの分岐度合や、分子の絡まり易さにも影響を受けるため、ヒートロスや残存有機酸量を制御することに加えて、上述したZ平均慣性半径を制御することによっても、調整することができる。
なお、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、好ましくは10〜150、より好ましくは30〜110、特に好ましくは40〜80である。ムーニー粘度を上記範囲とすることにより、本発明の作用効果をより一層顕著なものとすることができる。
また、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムのヨウ素価は、特に限定されないが、耐熱老化性や耐オゾン性をより高めることができるという点より、好ましく120以下、より好ましくは80以下、さらに好ましくは60以下、特に好ましくは30以下である。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴムの製造方法は、特に限定されないが、上述した単量体を共重合し、必要に応じて、得られる共重合体中の炭素−炭素二重結合を水素化することによって得られる。重合方法は、特に限定されず公知の乳化重合法や溶液重合法によればよいが、工業的生産性の観点から乳化重合法が好ましい。乳化重合に際しては、乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤に加えて、通常用いられる重合副資材を使用することができる。
乳化剤としては、特に限定されないが、たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等の非イオン性乳化剤;ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸およびリノレン酸等の脂肪酸の塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性乳化剤;α,β−不飽和カルボン酸のスルホエステル、α,β−不飽和カルボン酸のサルフェートエステル、スルホアルキルアリールエーテル等の共重合性乳化剤;などが挙げられる。乳化剤の添加量は、重合に用いる単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
重合開始剤としては、ラジカル開始剤であれば特に限定されないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物;等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤としては、無機または有機の過酸化物が好ましい。重合開始剤として過酸化物を用いる場合には、重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄等の還元剤や安定剤と組み合わせて、レドックス系重合開始剤として使用することもできる。重合開始剤の添加量は、重合に用いる単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜2重量部である。
また、本発明においては、得られるニトリル基含有共重合体ゴムのZ平均慣性半径を上記範囲とするために、分子量調整剤として、少なくとも3個の第3級以上の炭素原子と、その中の少なくとも1個の第3級炭素原子に直接結合したチオール基とを有する炭素数12〜16のアルキルチオール化合物(以下、適宜「第1アルキルチオール化合物」とする)と、前記「第1アルキルチオール化合物」以外の炭素数9〜16のアルキルチオール化合物(すなわち、第3級以上の炭素原子の数が3個未満である炭素数9〜16のアルキルチオール化合物、または、第3級以上の炭素原子の数が3個以上であり、かつ、第3級炭素原子に直接結合したチオール基を有しない炭素数9〜16のアルキルチオール化合物、以下、適宜「第2アルキルチオール化合物」とする)とを併用する。そして、この際における、第1アルキルチオール化合物の使用量を、乳化重合に用いる単量体100重量部に対して、0.01〜0.6重量部、好ましくは0.02〜0.4重量部とし、また、第2アルキルチオール化合物の使用量を、0.01〜0.8重量部、好ましくは0.1〜0.7重量部とする。本発明においては、このような2種類の分子量調整剤を使用し、その使用量を上記範囲とすることにより、得られるニトリル基含有共重合体ゴムのZ平均慣性半径を適切に制御することができる。なお、本明細書では、Z平均慣性半径を制御する方法としては、このような方法に特定に限定されるものではない。
第1アルキルチオール化合物の具体例としては、特に限定されないが、たとえば、2,2,4,6,6−ペンタメチル−4−ヘプタンチオール、2,4,4,6,6−ペンタメチル−2−ヘプタンチオール、2,3,4,6,6−ペンタメチル−2−ヘプタンチオール、2,3,4,6,6−ペンタメチル−3−ヘプタンチオールなどが挙げられる。
また、第2アルキルチオール化合物の具体例としては、t−ドデシルメルカプタン(2,3,3,4,4,5−ヘキサメチル−2−ヘキサンチオールなどの、炭素数9〜16のアルキルチオール化合物を複数含有する混合物)、デシルメルカプタン、セチルメルカプタン、アルキルジチオールなどを用いることができる。
分子量調整剤としての第1アルキルチオール化合物、第2アルキルチオール化合物の添加タイミングとしては、特に限定されず、重合開始時に一括で添加してもよいし、重合開始時には一部のみを添加し、所定の重合転化率となった段階で、残部を添加するような態様としてもよいが、得られるニトリル基含有共重合体ゴムのZ平均慣性半径を上記範囲とするという観点より、重合開始時に一括で添加する方法が好ましい。
乳化重合の媒体には、通常、水が使用される。水の量は、重合に用いる単量体100重量部に対して、好ましくは80〜500重量部、より好ましくは80〜300重量部である。
乳化重合に際しては、さらに、必要に応じて安定剤、分散剤、pH調整剤、脱酸素剤、粒子径調整剤等の重合副資材を用いることができる。これらを用いる場合においては、その種類、使用量とも特に限定されない。
乳化重合における重合転化率は、特に限定されないが、得られるニトリル基含有共重合体ゴムのZ平均慣性半径を上記範囲とするという観点より、70%以上とすることが好ましく、75%以上とすることがより好ましい。特に、ニトリル基含有共重合体ゴム中における、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が30〜60重量%と比較的多い場合には、乳化重合における重合転化率の、Z平均慣性半径に対する影響が比較的大きくなる傾向にあるため、この場合には、乳化重合における重合転化率は、75%以上とすることが好ましく、79%以上とすることがより好ましい。
なお、乳化重合の温度は、好ましくは0〜70℃、より好ましくは0〜30℃である。
また、本発明においては、得られた共重合体について、必要に応じて、共重合体の水素化(水素添加反応)を行ってもよい。水素添加は公知の方法によればよく、乳化重合で得られた共重合体のラテックスを凝固した後、油層で水素添加する油層水素添加法や、得られた共重合体のラテックスをそのまま水素添加する水層水素添加法などが挙げられる。
水素添加を油層水素添加法で行う場合、好適には上記乳化重合により調製した共重合体のラテックスを塩析による凝固、濾別および乾燥を経て、有機溶媒に溶解する。次いで水素添加反応(油層水素添加法)を行い、得られた水素化物を大量の水中に注いで凝固、濾別および乾燥を行うことによりニトリル基含有共重合体ゴムを得ることができる。
ラテックスの塩析による凝固には、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸アルミニウムなど公知の凝固剤を使用することができる。また、油層水素添加法の溶媒としては、乳化重合により得られた共重合体を溶解する液状有機化合物であれば特に限定されないが、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、シクロヘキサノンおよびアセトンなどが好ましく使用される。
油層水素添加法の触媒としては、公知の選択的水素化触媒であれば限定なく使用でき、パラジウム系触媒およびロジウム系触媒が好ましく、パラジウム系触媒(酢酸パラジウム、塩化パラジウムおよび水酸化パラジウムなど)がより好ましい。これらは2種以上併用してもよいが、その場合はパラジウム系触媒を主たる活性成分とすることが好ましい。これらの触媒は、通常、担体に担持させて使用される。担体としては、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミナ、珪藻土、活性炭などが例示される。触媒使用量は、共重合体に対して好ましくは10〜5000重量ppm、より好ましくは100〜3000重量ppmである。
あるいは、水素添加を水層水素添加法で行う場合、好適には上記乳化重合により調製した共重合体のラテックスに、必要に応じて水を加えて希釈し、水素添加反応を行う。水層水素添加法は、水素化触媒存在下の反応系に水素を供給して水素化する水層直接水素添加法と、酸化剤、還元剤および活性剤の存在下で還元して水素化する水層間接水素添加法とが挙げられるが、これらの中でも、水層直接水素添加法が好ましい。
水層直接水素添加法において、水層における共重合体の濃度(ラテックス状態での濃度)は、凝集を防止するため40重量%以下であることが好ましい。水素化触媒は、水で分解しにくい化合物であれば特に限定されない。その具体例として、パラジウム触媒では、ギ酸、プロピオン酸、ラウリン酸、コハク酸、オレイン酸、フタル酸などのカルボン酸のパラジウム塩;塩化パラジウム、ジクロロ(シクロオクタジエン)パラジウム、ジクロロ(ノルボルナジエン)パラジウム、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸アンモニウムなどのパラジウム塩素化物;ヨウ化パラジウムなどのヨウ素化物;硫酸パラジウム・二水和物などが挙げられる。これらの中でもカルボン酸のパラジウム塩、ジクロロ(ノルボルナジエン)パラジウムおよびヘキサクロロパラジウム(IV)酸アンモニウムが特に好ましい。水素化触媒の使用量は、適宜定めればよいが、ニトリルゴム(a)に対し、好ましくは5〜6000重量ppm、より好ましくは10〜4000重量ppmである。
水層直接水素添加法においては、水素添加反応終了後、ラテックス中の水素化触媒を除去する。その方法として、たとえば、活性炭、イオン交換樹脂などの吸着剤を添加して攪拌下で水素化触媒を吸着させ、次いでラテックスをろ過または遠心分離する方法を採ることができる。水素化触媒を除去せずにラテックス中に残存させることも可能である。
そして、水層直接水素添加法においては、このようにして得られた水素添加反応後のラテックスについて、塩析による凝固、濾別および乾燥などを行なうことにより、ニトリル基含有共重合体ゴムを得ることができる。この場合における、凝固に続く濾別および乾燥の工程はそれぞれ公知の方法によって行なうことができる。
架橋性ゴム組成物
本発明の架橋性ゴム組成物は、上述したニトリル基含有共重合体ゴムに、架橋剤を添加してなるニトリル基含有共重合体ゴムの組成物である。架橋剤としては、特に限定されず、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤が挙げられるが、ニトリル基含有共重合体ゴムが、カルボキシル基含有単量体単位を有する場合には、ポリアミン架橋剤を用いることもできる。
硫黄系架橋剤としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降性硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などの硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、ジベンゾチアジルジスルフィド、N,N’−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼピン−2)、含リンポリスルフィド、高分子多硫化物などの含硫黄化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどの硫黄供与性化合物;などが挙げられる。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
有機過酸化物架橋剤としては、ジクミルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、パラメンタンヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3−トリメチルシクロヘキサン、4,4−ビス−(t−ブチル−ペルオキシ)−n−ブチルバレレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキシン−3、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、p−クロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシベンゾエート等が挙げられる。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
ポリアミン系架橋剤としては、2つ以上のアミノ基を有する化合物、または、架橋時に2つ以上のアミノ基を有する化合物の形態になるもの、であれば特に限定されないが、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素の複数の水素原子が、アミノ基またはヒドラジド構造(−CONHNHで表される構造、COはカルボニル基を表す。)で置換された化合物および架橋時にその化合物の形態になるものが好ましい。
ポリアミン系架橋剤の具体例としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、N,N−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、テトラメチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミンシンナムアルデヒド付加物などの脂肪族多価アミン類;4,4−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルエーテル、3,4−ジアミノジフェニルエーテル、4,4−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4−ジアミノベンズアニリド、4,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミンなどの芳香族多価アミン類;イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジヒドラジド、ナフタレン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタミン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ブラッシル酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、アセトンジカルボン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、トリメリット酸ジヒドラジド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸ジヒドラジド、アコニット酸ジヒドラジド、ピロメリット酸ジヒドラジドなどの多価ヒドラジド類;が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより一層顕著なものとすることができるという点より、脂肪族多価アミン類および芳香族多価アミン類が好ましく、ヘキサメチレンジアミンカルバメートおよび2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンがより好ましく、ヘキサメチレンジアミンカルバメートが特に好ましい。
本発明の架橋性ゴム組成物中における、架橋剤の含有量は特に限定されないが、ニトリル基含有共重合体ゴム100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜5重量部である。
また、架橋剤として、ポリアミン系架橋剤を用いる場合には、塩基性架橋促進剤をさらに含有させることが好ましい。
塩基性架橋促進剤の具体例としては、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(以下「DBU」と略す場合がある)、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5(以下「DBN」と略す場合がある)、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、1−メトキシエチルイミダゾール、1−フェニル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−メチル−2−フェニルイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルイミダゾール、1,4−ジメチルイミダゾール、1,5−ジメチルイミダゾール、1,2,4−トリメチルイミダゾール、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾール、1−メチル−2−メトキシイミダゾール、1−メチル−2−エトキシイミダゾール、1−メチル−4−メトキシイミダゾール、1−メチル−2−メトキシイミダゾール、1−エトキシメチル−2−メチルイミダゾール、1−メチル−4−ニトロイミダゾール、1,2−ジメチル−5−ニトロイミダゾール、1,2−ジメチル−5−アミノイミダゾール、1−メチル−4−(2−アミノエチル)イミダゾール、1−メチルベンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルベンゾイミダゾール、1−メチル−5−ニトロベンゾイミダゾール、1−メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−フェニルイミダゾリン、1−メチル−2−ベンジルイミダゾリン、1−メチル−2−エトキシイミダゾリン、1−メチル−2−ヘプチルイミダゾリン、1−メチル−2−ウンデシルイミダゾリン、1−メチル−2−ヘプタデシルイミダゾリン、1−メチル−2−エトキシメチルイミダゾリン、1−エトキシメチル−2−メチルイミダゾリンなどの環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤;テトラメチルグアニジン、テトラエチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−オルト−トリルグアニジン、オルトトリルビグアニドなどのグアニジン系塩基性架橋促進剤;n−ブチルアルデヒドアニリン、アセトアルデヒドアンモニアなどのアルデヒドアミン系塩基性架橋促進剤;ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘプチルアミンなどのジシクロアルキルアミン;N−メチルシクロペンチルアミン、N−ブチルシクロペンチルアミン、N−ヘプチルシクロペンチルアミン、N−オクチルシクロペンチルアミン、N−エチルシクロヘキシルアミン、N−ブチルシクロヘキシルアミン、N−ヘプチルシクロヘキシルアミン、N−オクチルシクロオクチルアミン、N−ヒドロキシメチルシクロペンチルアミン、N−ヒドロキシブチルシクロヘキシルアミン、N−メトキシエチルシクロペンチルアミン、N−エトキシブチルシクロヘキシルアミン、N−メトキシカルボニルブチルシクロペンチルアミン、N−メトキシカルボニルヘプチルシクロヘキシルアミン、N−アミノプロピルシクロペンチルアミン、N−アミノヘプチルシクロヘキシルアミン、ジ(2−クロロシクロペンチル)アミン、ジ(3−クロロシクロペンチル)アミンなどの二級アミン系塩基性架橋促進剤;などが挙げられる。これらのなかでも、グアニジン系塩基性架橋促進剤、二級アミン系塩基性架橋促進剤および環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤が好ましく、環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤がより好ましく、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7および1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5がさらに好ましく、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7が特に好ましい。なお、上記環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤は、有機カルボン酸やアルキルリン酸などと塩を形成していてもよい。また、上記二級アミン系塩基性架橋促進剤は、アルキレングリコールや炭素数5〜20のアルキルアルコールなどのアルコール類が混合されたものであってもよく、さらに無機酸および/または有機酸を含んでいてもよい。そして、当該二級アミン系塩基性架橋促進剤と前記無機酸および/または有機酸とが塩を形成しさらに前記アルキレングリコールと複合体を形成していてもよい。
塩基性架橋促進剤を配合する場合における、本発明の架橋性ゴム組成物中の配合量は、ニトリル基含有共重合体ゴム100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部であり、より好ましくは0.2〜15重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。
本発明の架橋性ゴム組成物中における、架橋剤の含有量は特に限定されないが、ニトリル基含有共重合体ゴム100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜5重量部である。
また、本発明の架橋性ゴム組成物には、ニトリル基含有共重合体ゴムおよび架橋剤に加えて、ゴム加工分野において通常使用されるその他の配合剤を配合してもよい。このような配合剤としては、たとえば、補強剤、充填材、光安定剤、スコーチ防止剤、可塑剤、加工助剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、受酸剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤、シランカップリング剤、架橋助剤、共架橋剤、架橋促進剤、架橋遅延剤、発泡剤、老化防止剤などが挙げられる。これらの配合剤の配合量は、配合目的に応じた量を適宜採用することができる。
可塑剤は、特に限定されないが、トリメリット酸系可塑剤やエーテルエステル系可塑剤などを用いることができる。具体例としては、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸イソノニルエステル、アジピン酸ビス[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]、ジヘプタノエート、ジ−2−エチルヘキサノエート、ジデカノエートなどが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、本発明の架橋性ゴム組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、上述した本発明のニトリル基含有共重合体ゴム以外のゴムを配合してもよい。
このようなゴムとしては、アクリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴムなどが挙げられる。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴム以外のゴムを配合する場合における、架橋性ゴム組成物中の配合量は、ニトリル基含有共重合体ゴム100重量部に対して、好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下である。
また、本発明の架橋性ゴム組成物は、上記各成分を好ましくは非水系で混合することで調製される。本発明の架橋性ゴム組成物を調製する方法に限定はないが、通常、架橋剤および熱に不安定な共架橋剤などを除いた成分を、バンバリーミキサ、インターミキサ、ニーダなどの混合機で一次混練した後、オープンロールなどに移して架橋剤や熱に不安定な共架橋剤などを加えて二次混練することにより調製できる。なお、一次混練は、通常、10〜200℃、好ましくは30〜180℃の温度で、1分間〜1時間、好ましくは1分間〜30分間行い、二次混練は、通常、10〜90℃、好ましくは20〜60℃の温度で、1分間〜1時間、好ましくは1分間〜30分間行う。
このようにして得られる本発明の架橋性ゴム組成物は、コンパウンドムーニー粘度(ML1+4、100℃)が、好ましくは10〜200、より好ましくは40〜140、さらに好ましくは50〜100であり、加工性に優れるものである。
ゴム架橋物
本発明のゴム架橋物は、上述した本発明の架橋性ゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明の架橋性ゴム組成物を用い、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、100〜200℃、好ましくは130〜190℃であり、架橋時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは2分〜1時間である。
また、架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。
このようにして得られる本発明のゴム架橋物は、上述した本発明のニトリル基含有共重合体ゴムを含有する架橋性ゴム組成物を架橋して得られるものであり、引張応力、耐圧縮永久歪み性、および低発熱性に優れるものである。
このため、本発明のゴム架橋物は、このような特性を活かし、O−リング、パッキン、ダイアフラム、オイルシール、シャフトシール、ベアリングシール、ウェルヘッドシール、空気圧機器用シール、エアコンディショナの冷却装置や空調装置の冷凍機用コンプレッサに使用されるフロン若しくはフルオロ炭化水素または二酸化炭素の密封用シール、精密洗浄の洗浄媒体に使用される超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素の密封用シール、転動装置(転がり軸受、自動車用ハブユニット、自動車用ウォーターポンプ、リニアガイド装置およびボールねじ等)用のシール、バルブおよびバルブシート、BOP(Blow Out Preventar)、プラターなどの各種シール材;インテークマニホールドとシリンダヘッドとの連接部に装着されるインテークマニホールドガスケット、シリンダブロックとシリンダヘッドとの連接部に装着されるシリンダヘッドガスケット、ロッカーカバーとシリンダヘッドとの連接部に装着されるロッカーカバーガスケット、オイルパンとシリンダブロックあるいはトランスミッションケースとの連接部に装着されるオイルパンガスケット、正極、電解質板および負極を備えた単位セルを挟み込む一対のハウジング間に装着される燃料電池セパレーター用ガスケット、ハードディスクドライブのトップカバー用ガスケットなどの各種ガスケット;印刷用ロール、製鉄用ロール、製紙用ロール、工業用ロール、事務機用ロールなどの各種ロール;平ベルト(フィルムコア平ベルト、コード平ベルト、積層式平ベルト、単体式平ベルト等)、Vベルト(ラップドVベルト、ローエッジVベルト等)、Vリブドベルト(シングルVリブドベルト、ダブルVリブドベルト、ラップドVリブドベルト、背面ゴムVリブドベルト、上コグVリブドベルト等)、CVT用ベルト、タイミングベルト、歯付ベルト、コンベアーベルト、などの各種ベルト;燃料ホース、ターボエアーホース、オイルホース、ラジェターホース、ヒーターホース、ウォーターホース、バキュームブレーキホース、コントロールホース、エアコンホース、ブレーキホース、パワーステアリングホース、エアーホース、マリンホース、ライザー、フローラインなどの各種ホース;CVJブーツ、プロペラシャフトブーツ、等速ジョイントブーツ、ラックアンドピニオンブーツなどの各種ブーツ;クッション材、ダイナミックダンパ、ゴムカップリング、空気バネ、防振材、クラッチフェーシング材などの減衰材ゴム部品;ダストカバー、自動車内装部材、摩擦材、タイヤ、被覆ケーブル、靴底、電磁波シールド、フレキシブルプリント基板用接着剤等の接着剤、燃料電池セパレーターの他、エレクトロニクス分野など幅広い用途に使用することができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限られるものではない。以下において、特記しない限り、「部」は重量基準である。物性および特性の試験または評価方法は以下のとおりである。
ヨウ素価
ニトリル基含有共重合体ゴムのヨウ素価は、JIS K 6235に準じて測定した。
ニトリル基含有共重合体ゴムを構成する各単量体単位の含有割合
マレイン酸モノn−ブチル単位の含有割合は、2mm角の高飽和ニトリルゴム0.2gに、2−ブタノン100mLを加えて16時間攪拌した後、エタノール20mLおよび水10mLを加え、攪拌しながら水酸化カリウムの0.02N含水エタノール溶液を用いて、室温でチモールフタレインを指示薬とする滴定により、高飽和ニトリルゴム100gに対するカルボキシル基のモル数を求め、求めたモル数をマレイン酸モノn−ブチル単位の量に換算することにより算出した。
1,3−ブタジエン単位および飽和化ブタジエン単位の含有割合は、ニトリル基含有共重合体ゴムを用いて、水素添加反応前と水素添加反応後のヨウ素価(JIS K 6235による)を測定することにより算出した。
アクリロニトリル単位の含有割合は、JIS K6384に従い、ケルダール法により、ニトリル基含有共重合体ゴム中の窒素含量を測定することにより算出した。
アクリル酸n−ブチル単位、およびアクリル酸2−メトキシエチル単位の含有割合は、上記各単量体単位に対する残り成分として算出した。
Z平均慣性半径
ニトリル基含有共重合体ゴムのZ平均慣性半径を、フィールドフローフラクショネイション(FFF)−多角度光散乱法(MALS)を用いて測定した。具体的には、ニトリル基含共重合体ゴムをテトラヒドロフランに溶解し、得られたニトリル基含有共重合体ゴムのテトラヒドロフラン溶液を、多角度光散乱検出器(Multi Angle Light Scattering:MALS)および示差屈折計が備えられたフィールドフローフラクショネイション(FFF)を用いて、Z平均慣性半径を測定した。なお、測定は、以下の条件にしたがって行った。
装置:商品名「ECLIPSE」(Wyatt Technology社製)
測定器1:多角度光散乱検出器 商品名「DAWN HELEOS−II」(Wyatt Technology社製)
測定器2:示差屈折計(商品名「Optilab TrEX」(Wyatt Technology社製)
また、FFF−MALSによる測定により、Z平均慣性半径を決定する際には、dn/dc値(屈折率の濃度増分)を求める必要があるが、本測定においては、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムのテトラヒドロフラン溶液として、濃度の異なる4種類の溶液(0.5mg/mL、1.0mg/mL、1.5mg/mL、および2.0mg/mLの溶液)を調製し、屈折率測定器 商品名「Optilab TrEX」(Wyatt Technology社製)を用いて、dn/dc値を測定した。
可塑度
ニトリル基含有共重合体ゴムの可塑度は、JIS K6300−3に準じて測定した。
ヒートロス
ニトリル基含有共重合体ゴムのヒートロスを、JIS K6238−1に規定されている「オーブン法」に準じて行った。ニトリル基含有共重合体ゴム10gを105±5℃のオーブンに入れ、質量が実質的に変化しなくなるまで乾燥を行い、乾燥前後における質量減少量を算出した。そして、算出した質量減少量から質量減少率を求め、これをヒートロス(単位:%)とした。
100%引張応力
架橋性ゴム組成物を、縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型に入れ、プレス圧10MPaで加圧しながら170℃で20分間プレス成形してシート状のゴム架橋物を得た。次いで、得られたゴム架橋物をギヤー式オーブンに移して170℃で4時間二次架橋を実施し、得られたシート状のゴム架橋物を列理方向に3号形ダンベルで打ち抜いて試験片を作製した。そして、得られた試験片を用いて、JIS K6251に従い、100%引張応力を測定した。
圧縮永久歪み試験(Disk圧縮永久歪み)
架橋性ゴム組成物を内径29mm、深さ12.5mmの円柱状金型に入れ、170℃で20分間、10MPaの圧力でプレスして架橋した後、170℃で4時間二次架橋を行い、ゴム架橋物試験片を得た。圧縮永久歪み(Disk圧縮永久歪み)は、これらの試験片を用いて150℃、25%圧縮状態で168時間保持した後、JIS K6262に従って測定した。なお、圧縮永久歪み(Disk圧縮永久歪み)は、実施例1〜3、比較例1〜3について行った。
圧縮永久歪み試験(O−リング圧縮永久歪み)
架橋性ゴム組成物を、外径30mm、内径23.8mm、リング径3.1mmの金型に入れ、170℃で20分間、10MPaの圧力でプレスして架橋した後、170℃で4時間二次架橋を行い、O−リング状のゴム架橋物を得た。そして、得られたO−リング状のゴム架橋物を用いて、O−リング状のゴム架橋物を挟んだ二つの平面間の距離をリング厚み方向に25%圧縮した状態で150℃にて168時間保持する条件で、JIS K6262に従って、圧縮永久歪み(O−リング圧縮永久歪み)を測定した。この値が小さいほど、耐圧縮永久歪み性に優れる。なお、圧縮永久歪み(O−リング圧縮永久歪み)は、実施例4〜6、比較例4,5について行った。
発熱試験
発熱性は、ASTM D 623−78で規定されるフレクソメータ試験で評価した。具体的には、まず、架橋性ゴム組成物を直径17.8±0.15mm、深さ25±0.25mmの円柱状金型に入れ、170℃で20分間架橋した後、170℃で4時間二次架橋を行うことにより、フレクソメータ試験用試験片を得た。そして、フレクソメータ(GABOメーター4000、GABO社製)を用いて、試験温度100℃、初期荷重1MPa、動的変位4.45mmの条件で25分間動的変位を加えることで、発熱試験を行った。なお、この際において測定周波数は30Hzとした。そして、発熱試験の結果から、HBU(発熱量:測定された試験片の温度と雰囲気温度100℃との差を発熱温度とした。)を測定した。HBUの測定は、試験片の表面と、内部とについて行った。HBUは小さいほど動的発熱が小さく、動的発熱性に優れている。
合成例1(ニトリル基含有共重合体ゴム(A1)の製造)
反応器に、イオン交換水200部、および炭酸ナトリウム0.2部を仕込み、炭酸ナトリウムを溶解させた後、脂肪酸カリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)2.25部を添加して石鹸水溶液を調製した。そして、得られた石鹸水溶液に、アクリロニトリル13部、アクリル酸n−ブチル29部、t−ドデシルメルカプタン(第2アルキルチオール化合物)0.45部、および2,2,4,6,6−ペンタメチル−4−ヘプタンチオール(第1アルキルチオール化合物)0.03部をこの順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン21部を仕込んだ。次いで、反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部、還元剤、およびキレート剤適量を仕込み、重合反応を開始した。そして、重合転化率が60%になった時点で、アクリロニトリル12部、1,3−ブタジエン25部を添加し、重合転化率が85%になった時点で、濃度10%のハイドロキノン(重合停止剤)水溶液0.1部を加えて重合反応を停止し、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去して、共重合体ゴムのラテックス(固形分濃度約25重量%)を得た。
次いで、上記にて得られたラテックスを、その共重合体ゴム分に対して3重量%となる量の硫酸アルミニウムの水溶液に加えて攪拌してラテックスを凝固し、水で洗浄しつつ濾別した後、60℃で12時間真空乾燥して共重合体ゴムを得た。
そして、得られた共重合体ゴムを、濃度12%となるようにアセトンに溶解し、これをオートクレーブに入れ、パラジウム・シリカ触媒をニトリルゴムに対して500重量ppm加え、水素圧3.0MPaで水素添加反応を行なった。水素添加反応終了後、大量の水中に注いで凝固させ、濾別および乾燥を行なうことでニトリル基含有共重合体ゴム(A1)を得た。得られたニトリル基含有共重合体ゴム(A1)の組成は、アクリロニトリル単位25.6重量%、アクリル酸n−ブチル単位29.4重量%、ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)45重量%であり、ヨウ素価は15であった。また、得られたニトリル基含有共重合体ゴム(A1)のZ平均慣性半径、可塑度およびヒートロスの測定結果を表1に示す。なお、上述した方法にしたがって、ニトリル基含有共重合体ゴム(A1)の残存有機酸量を測定したところ、10重量%以下であった。
合成例2(ニトリル基含有共重合体ゴム(A2)の製造)
反応器に、イオン交換水200部、および炭酸ナトリウム0.2部を仕込み、炭酸ナトリウムを溶解させた後、脂肪酸カリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)2.25部を添加して石鹸水溶液を調製した。そして、得られた石鹸水溶液に、アクリロニトリル9部、アクリル酸n−ブチル25部、t−ドデシルメルカプタン(第2アルキルチオール化合物)0.5部、および2,2,4,6,6−ペンタメチル−4−ヘプタンチオール(第1アルキルチオール化合物)0.04部をこの順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン35部を仕込んだ。次いで、反応器内を10℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部、還元剤、およびキレート剤適量を仕込み、重合反応を開始した。重合転化率が60%になった時点で、アクリロニトリル10部、アクリル酸n−ブチル10部、1,3−ブタジエン11部を添加し、重合転化率が80%になった時点で、濃度10%のハイドロキノン(重合停止剤)水溶液0.1部を加えて重合反応を停止し、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去して、共重合体ゴムのラテックス(固形分濃度約25重量%)を得た。
次いで、上記にて得られたラテックスを、その共重合体ゴム分に対して3重量%となる量の硫酸アルミニウムの水溶液に加えて攪拌してラテックスを凝固し、水で洗浄しつつ濾別した後、60℃で12時間真空乾燥して共重合体ゴムを得た。
そして、得られた共重合体ゴムを、濃度12%となるようにアセトンに溶解し、これをオートクレーブに入れ、パラジウム・シリカ触媒をニトリルゴムに対して500重量ppm加え、水素圧3.0MPaで水素添加反応を行なった。水素添加反応終了後、大量の水中に注いで凝固させ、濾別および乾燥を行なうことでニトリル基含有共重合体ゴム(A2)を得た。得られたニトリル基含有共重合体ゴム(A2)の組成は、アクリロニトリル単位17.9重量%、アクリル酸n−ブチル単位35.5重量%、ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)46.6重量%であり、ヨウ素価は18であった。また、得られたニトリル基含有共重合体ゴム(A2)のZ平均慣性半径、可塑度およびヒートロスの測定結果を表1に示す。なお、上述した方法にしたがって、ニトリル基含有共重合体ゴム(A2)の残存有機酸量を測定したところ、10重量%以下であった。
合成例3(ニトリル基含有共重合体ゴム(A3)の製造)
反応器に、イオン交換水200部、および炭酸ナトリウム0.2部を仕込み、炭酸ナトリウムを溶解させた後、脂肪酸カリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)2.25部を添加して石鹸水溶液を調製した。そして、得られた石鹸水溶液に、アクリロニトリル38部、t−ドデシルメルカプタン(第2アルキルチオール化合物)0.3部、および2,2,4,6,6−ペンタメチル−4−ヘプタンチオール(第1アルキルチオール化合物)0.027部をこの順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン62部を仕込んだ。次いで、反応器内を10℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部、還元剤、およびキレート剤適量を仕込み、重合反応を開始した。重合転化率が90%になった時点で、濃度10%のハイドロキノン(重合停止剤)水溶液0.1部を加えて重合反応を停止し、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去して、共重合体ゴムのラテックス(固形分濃度約25重量%)を得た。
次いで、上記にて得られたラテックスを、その共重合体ゴム分に対して3重量%となる量の硫酸アルミニウムの水溶液に加えて攪拌してラテックスを凝固し、水で洗浄しつつ濾別した後、60℃で12時間真空乾燥して共重合体ゴムを得た。
そして、得られた共重合体ゴムを、濃度12%となるようにアセトンに溶解し、これをオートクレーブに入れ、パラジウム・シリカ触媒をニトリルゴムに対して300重量ppm加え、水素圧3.0MPaで水素添加反応を行なった。水素添加反応終了後、大量の水中に注いで凝固させ、濾別および乾燥を行なうことでニトリル基含有共重合体ゴム(A3)を得た。得られたニトリル基含有共重合体ゴム(A3)の組成は、アクリロニトリル単位37.1重量%、ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)62.9重量%であり、ヨウ素価は11であった。また、得られたニトリル基含有共重合体ゴム(A3)のZ平均慣性半径、可塑度およびヒートロスの測定結果を表1に示す。なお、上述した方法にしたがって、ニトリル基含有共重合体ゴム(A3)の残存有機酸量を測定したところ、10重量%以下であった。
合成例4(ニトリル基含有共重合体ゴム(B1)の製造)
反応器に、イオン交換水200部、および炭酸ナトリウム0.2部を仕込み、炭酸ナトリウムを溶解させた後、脂肪酸カリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)2.25部を添加して石鹸水溶液を調製した。そして、得られた石鹸水溶液に、アクリロニトリル38部、およびt−ドデシルメルカプタン(第2アルキルチオール化合物)0.35部をこの順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン62部を仕込んだ。次いで、反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部、還元剤、およびキレート剤適量を仕込み、重合反応を開始した。重合転化率が80%になった時点で、濃度10%のハイドロキノン(重合停止剤)水溶液0.1部を加えて重合反応を停止し、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去して、共重合体ゴムのラテックス(固形分濃度約25重量%)を得た。
次いで、上記にて得られたラテックスを、その共重合体ゴム分に対して3重量%となる量の硫酸アルミニウムの水溶液に加えて攪拌してラテックスを凝固し、水で洗浄しつつ濾別した後、60℃で10時間真空乾燥して共重合体ゴムを得た。
そして、得られた共重合体ゴムを、濃度12%となるようにアセトンに溶解し、これをオートクレーブに入れ、パラジウム・シリカ触媒をニトリルゴムに対して300重量ppm加え、水素圧3.0MPaで水素添加反応を行なった。水素添加反応終了後、大量の水中に注いで凝固させ、濾別および乾燥を行なうことでニトリル基含有共重合体ゴム(B1)を得た。得られたニトリル基含有共重合体ゴム(B1)の組成は、アクリロニトリル単位36.8重量%、ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)63.2重量%であり、ヨウ素価は14であった。また、得られたニトリル基含有共重合体ゴム(B1)のZ平均慣性半径、可塑度およびヒートロスの測定結果を表1に示す。
合成例5(ニトリル基含有共重合体ゴム(B2)の製造)
反応器に、イオン交換水200部、および炭酸ナトリウム0.2部を仕込み、炭酸ナトリウムを溶解させた後、脂肪酸カリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)2.25部を添加して石鹸水溶液を調製した。そして、この石鹸水溶液に、アクリロニトリル27.8部、およびt−ドデシルメルカプタン(第2アルキルチオール化合物)0.45部をこの順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン65.6部を仕込んだ。次いで、反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部、還元剤、およびキレート剤適量を仕込み、重合反応を開始した。重合転化率が50%になった時点で、アクリロニトリル6.6部を加え、重合転化率が80%になった時点で、濃度10%のハイドロキノン(重合停止剤)水溶液0.1部を加えて重合反応を停止し、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去して、共重合体ゴムのラテックス(固形分濃度約25重量%)を得た。
次いで、上記にて得られたラテックスを、その共重合体ゴム分に対して3重量%となる量の硫酸アルミニウムの水溶液に加えて攪拌してラテックスを凝固し、水で洗浄しつつ濾別した後、60℃で12時間真空乾燥してニトリルゴムを得た。
そして、得られたニトリルゴムを、濃度12%となるようにアセトンに溶解し、これをオートクレーブに入れ、パラジウム・シリカ触媒をニトリルゴムに対して300重量ppm加え、水素圧3.0MPaで水素添加反応を行なった。水素添加反応終了後、大量の水中に注いで凝固させ、濾別および乾燥を行なってニトリル基含有共重合体ゴム(B2)を得た。得られたニトリル基含有共重合体ゴム(B2)の組成は、アクリロニトリル単位29.9重量%、ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)70.1重量%であり、ヨウ素価は14であった。また、得られたニトリル基含有共重合体ゴム(B2)のZ平均慣性半径、可塑度およびヒートロスの測定結果を表1に示す。
合成例6(ニトリル基含有共重合体ゴム(B3)の製造)
反応器に、イオン交換水200部、および炭酸ナトリウム0.2部を仕込み、炭酸ナトリウムを溶解させた後、脂肪酸カリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)2.25部を添加して石鹸水溶液を調製した。そして、得られた石鹸水溶液に、アクリロニトリル9部、アクリル酸n−ブチル15部、およびt−ドデシルメルカプタン(第2アルキルチオール化合物)0.55部、をこの順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン35部を仕込んだ。次いで、反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部、還元剤、およびキレート剤適量を仕込み、重合反応を開始した。重合転化率が60%になった時点で、アクリロニトリル10部、アクリル酸n−ブチル10部、1,3−ブタジエン21部を添加し、重合転化率が80%になった時点で、濃度10%のハイドロキノン(重合停止剤)水溶液0.1部を加えて重合反応を停止し、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去して、共重合体ゴムのラテックス(固形分濃度約25重量%)を得た。
次いで、上記にて得られたラテックスを、その共重合体ゴム分に対して3重量%となる量の硫酸アルミニウムの水溶液に加えて攪拌してラテックスを凝固し、水で洗浄しつつ濾別した後、60℃で12時間真空乾燥してニトリルゴムを得た。
そして、得られた共重合体ゴムを、濃度12%となるようにアセトンに溶解し、これをオートクレーブに入れ、パラジウム・シリカ触媒をニトリルゴムに対して500重量ppm加え、水素圧3.0MPaで水素添加反応を行なった。水素添加反応終了後、大量の水中に注いで凝固させ、濾別および乾燥を行なってニトリル基含有共重合体ゴム(B3)を得た。得られたニトリル基含有共重合体ゴム(B3)の組成は、アクリロニトリル単位18.9重量%、アクリル酸n‐ブチル単位35.5重量%、ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)45.6重量%であり、ヨウ素価は13であった。また、得られたニトリル基含有共重合体ゴム(B3)のZ平均慣性半径、可塑度およびヒートロスの測定結果を表1に示す。
合成例7(ニトリル基含有共重合体ゴム(A4)の製造)
反応器に、イオン交換水180部、濃度10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25部、アクリロニトリル37部、マレイン酸モノn−ブチル6部、t−ドデシルメルカプタン(第2アルキルチオール化合物)0.4部、および2,2,4,6,6−ペンタメチル−4−ヘプタンチオール(第1アルキルチオール化合物)0.01部を、この順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン57部を仕込んだ。次いで、反応器内を10℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部を仕込み、攪拌しながら重合反応を継続した。そして、重合転化率が85%になった時点で、濃度10重量%のハイドロキノン水溶液(重合停止剤)0.1部を加えて重合反応を停止した後、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去し、共重合体ゴムのラテックス(固形分濃度約30重量%)を得た。
次いで、上記にて得られたラテックスに、ラテックスに含有される共重合体ゴム分に対して、パラジウム量が2,000重量ppmになるように、オートクレーブ中に、ラテックスおよびパラジウム触媒(1重量%酢酸パラジウムアセトン溶液と等重量のイオン交換水を混合した溶液)を添加して、水素圧3MPa、温度50℃で6時間水素添加反応を行い、ニトリル基含有共重合体ゴム(A4)のラテックスを得た。
そして、得られたラテックスに2倍容量のメタノールを加えて凝固した後、ろ過して固形物(クラム)を取り出し、これを60℃で12時間真空乾燥することにより、ニトリル基含有共重合体ゴム(A4)を得た。得られたニトリル基含有共重合体ゴム(A4)の組成は、アクリロニトリル単位35.1重量%、ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)59.0重量%、マレイン酸モノn−ブチル単位5.9重量%であり、ヨウ素価は8であった。また、得られたニトリル基含有共重合体ゴム(A4)のZ平均慣性半径、可塑度およびヒートロスの測定結果を表2に示す。なお、上述した方法にしたがって、ニトリル基含有共重合体ゴム(A4)の残存有機酸量を測定したところ、10重量%以下であった。
合成例8(ニトリル基含有共重合体ゴム(A5)の製造)
反応器に、イオン交換水180部、濃度10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25部、アクリロニトリル20.4部、マレイン酸モノn−ブチル5部、アクリル酸n−ブチル35.2部、t−ドデシルメルカプタン(第2アルキルチオール化合物)0.35部、および2,2,4,6,6−ペンタメチル−4−ヘプタンチオール(第1アルキルチオール化合物)0.03部を、この順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン39.4部を仕込んだ。次いで、反応器内を10℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部を仕込み、攪拌しながら重合反応を継続した。そして、重合転化率が90%になった時点で、濃度10重量%のハイドロキノン水溶液(重合停止剤)0.1部を加えて重合反応を停止した。次いで、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去し、共重合体ゴムのラテックス(固形分濃度約30重量%)を得た。
次いで、上記にて得られたラテックスに、ラテックスに含有される共重合体ゴム分に対して、パラジウム量が2,000重量ppmになるように、オートクレーブ中に、ラテックスおよびパラジウム触媒(1重量%酢酸パラジウムアセトン溶液と等重量のイオン交換水を混合した溶液)を添加して、水素圧3MPa、温度50℃で6時間水素添加反応を行い、ニトリル基含有共重合体ゴム(A5)のラテックスを得た。
そして、得られたラテックスに2倍容量のメタノールを加えて凝固した後、ろ過して固形物(クラム)を取り出し、これを60℃で12時間真空乾燥することにより、ニトリル基含有共重合体ゴム(A5)を得た。得られたニトリル基含有共重合体ゴム(A5)の組成は、アクリロニトリル単位20.8重量%、ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)44.2重量%、マレイン酸モノn−ブチル単位4.5重量%、アクリル酸n−ブチル単位30.5重量%であり、ヨウ素価は10であった。また、得られたニトリル基含有共重合体ゴム(A5)のZ平均慣性半径、可塑度およびヒートロスの測定結果を表2に示す。なお、上述した方法にしたがって、ニトリル基含有共重合体ゴム(A5)の残存有機酸量を測定したところ、10重量%以下であった。
合成例9(ニトリル基含有共重合体ゴム(A6)の製造)
反応器に、イオン交換水180部、濃度10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25部、アクリロニトリル20部、マレイン酸モノn−ブチル4.5部、アクリル酸2−メトキシエチル35.5部、t−ドデシルメルカプタン(第2アルキルチオール化合物)0.5部、および2,2,4,6,6−ペンタメチル−4−ヘプタンチオール(第1アルキルチオール化合物)0.01部を、この順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン40部を仕込んだ。次いで、反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部を仕込み、攪拌しながら重合反応を継続した。そして、重合転化率が90%になった時点で、濃度10重量%のハイドロキノン水溶液(重合停止剤)0.1部を加えて重合反応を停止した。次いで、水温60℃で減圧にして残留単量体を除去し、共重合体ゴムのラテックス(固形分濃度約30重量%)を得た。
次いで、上記にて得られたラテックスに、ラテックスに含有される共重合体ゴム分に対して、パラジウム量が2,000重量ppmになるように、オートクレーブ中に、ラテックスおよびパラジウム触媒(1重量%酢酸パラジウムアセトン溶液と等重量のイオン交換水を混合した溶液)を添加して、水素圧3MPa、温度50℃で6時間水素添加反応を行い、ニトリル基含有共重合体ゴム(A6)のラテックスを得た。
そして、得られたラテックスに2倍容量のメタノールを加えて凝固した後、ろ過して固形物(クラム)を取り出し、これを60℃で12時間真空乾燥することにより、ニトリル基含有共重合体ゴム(A6)を得た。得られたニトリル基含有共重合体ゴム(A6)の組成は、アクリロニトリル単位24.0重量%、ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)47.8重量%、マレイン酸モノn−ブチル単位5.2重量%、アクリル酸2−メトキシエチル単位23.0重量%であり、ヨウ素価は9であった。また、得られたニトリル基含有共重合体ゴム(A6)のZ平均慣性半径、可塑度およびヒートロスの測定結果を表2に示す。なお、上述した方法にしたがって、ニトリル基含有共重合体ゴム(A6)の残存有機酸量を測定したところ、10重量%以下であった。
合成例10(ニトリル基含有共重合体ゴム(B4)の製造)
反応器に、イオン交換水180部、濃度10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25部、アクリロニトリル37部、マレイン酸モノn−ブチル6部、およびt−ドデシルメルカプタン(第2アルキルチオール化合物)0.45部を、この順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン57部を仕込んだ。反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部を仕込み、攪拌しながら16時間重合反応を継続した。そして、重合転化率が80%になった時点で濃度10重量%のハイドロキノン水溶液(重合停止剤)0.1部を加えて重合反応を停止した後、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去し、共重合体ゴムのラテックス(固形分濃度約30重量%)を得た。
次いで、上記にて得られたラテックスに、ラテックスに含有される共重合体ゴム分に対して、パラジウム量が2,000重量ppmになるように、オートクレーブ中に、ラテックスおよびパラジウム触媒(1重量%酢酸パラジウムアセトン溶液と等重量のイオン交換水を混合した溶液)を添加して、水素圧3MPa、温度50℃で6時間水素添加反応を行い、ニトリル基含有共重合体ゴム(B4)のラテックスを得た。
そして、得られたラテックスに2倍容量のメタノールを加えて凝固した後、ろ過して固形物(クラム)を取り出し、これを60℃で8時間真空乾燥することにより、ニトリル基含有共重合体ゴム(B4)を得た。得られたニトリル基含有共重合体ゴム(B4)の組成は、アクリロニトリル単位36.2重量%、ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)58.8重量%、マレイン酸モノn−ブチル単位5.0重量%であり、ヨウ素価は8であった。また、得られたニトリル基含有共重合体ゴム(B4)のZ平均慣性半径、可塑度およびヒートロスの測定結果を表2に示す。
合成例11(ニトリル基含有共重合体ゴム(B5)の製造)
反応器に、イオン交換水180部、濃度10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25部、アクリロニトリル20.4部、マレイン酸モノn−ブチル5部、アクリル酸n−ブチル35.2部、およびt−ドデシルメルカプタン(第2アルキルチオール化合物)0.4部をこの順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン39.4部を仕込んだ。次いで、反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部を仕込み、攪拌しながら重合反応を継続した。そして、重合転化率が80%になった時点で、濃度10重量%のハイドロキノン水溶液(重合停止剤)0.1部を加えて重合反応を停止した。次いで、水温60℃で減圧にして残留単量体を除去し、共重合体ゴムのラテックス(固形分濃度約30重量%)を得た。
次いで、上記にて得られたラテックスに、ラテックスに含有される共重合体ゴム分に対して、パラジウム量が2,000重量ppmになるように、オートクレーブ中に、ラテックスおよびパラジウム触媒(1重量%酢酸パラジウムアセトン溶液と等重量のイオン交換水を混合した溶液)を添加して、水素圧3MPa、温度50℃で6時間水素添加反応を行い、ニトリル基含有共重合体ゴム(B5)のラテックスを得た。
そして、得られたラテックスに2倍容量のメタノールを加えて凝固した後、ろ過して固形物(クラム)を取り出し、これを60℃で8時間真空乾燥することにより、ニトリル基含有共重合体ゴム(B5)を得た。得られたニトリル基含有共重合体ゴム(B5)の組成は、アクリロニトリル単位19.7重量%、ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)44.3重量%、マレイン酸モノn―ブチル単位4.8重量%、アクリル酸n−ブチル単位31.2重量%であり、ヨウ素価は9であった。また、得られたニトリル基含有共重合体ゴム(B5)のZ平均慣性半径、可塑度およびヒートロスの測定結果を表2に示す。
実施例1
バンバリーミキサを用いて、合成例1で得られたニトリル基含有共重合体ゴム(A1)100部に、FEFカーボン(商品名「シーストSO」、東海カーボン社製、カーボンブラック)50部、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル(商品名「アデカサイザー C−8」、ADEKA社製、可塑剤)4部、ポリエーテルエステル系可塑剤(商品名「アデカサイザー RS−700」、ADEKA社製)1部、4,4’−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名「ノクラックCD」、大内振興化学社製、老化防止剤)1.5部、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩(商品名「ノクラック MBZ」、大内振興化学社製、老化防止剤)1.5部、ステアリン酸1部、酸化亜鉛(亜鉛華1号、正同化学社製)5部、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン40%品(商品名「Vul Cup 40KE」、アルケマ社製、有機過酸化物架橋剤)8部を添加して混練することで、架橋性ゴム組成物を得た。
そして、得られた架橋性ゴム組成物を用いて、上述した方法により、100%引張応力、耐圧縮永久歪み試験(Disk圧縮永久歪み)、発熱試験の各測定・試験を行った。結果を表1に示す。
実施例2
ニトリル基含有共重合体ゴム(A1)100部に代えて、合成例2で得られたニトリル基含有共重合体ゴム(A2)100部を使用するとともに、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシルの配合量を4部から3部に変更し、ポリエーテルエステル系可塑剤(商品名「アデカサイザー RS−700」、ADEKA社製)を使用せずに、ポリエーテルエステル系可塑剤(商品名「アデカサイザー RS−735」、ADEKA社製)2部を使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
ニトリル基含有共重合体ゴム(A1)100部に代えて、合成例3で得られたニトリル基含有共重合体ゴム(A3)100部を使用するとともに、FEFカーボンの配合量を50部から40部に変更しトリメリット酸トリ−2−エチルヘキシルの配合量を4部から3部に変更し、ポリエーテルエステル系可塑剤(商品名「アデカサイザー RS−700」、ADEKA社製)を使用せずに、トリメリット酸イソノニルエステル(商品名「アデカサイザー C−9N」、ADEKA社製)2部を使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1,2
ニトリル基含有共重合体ゴム(A1)100部に代えて、合成例4、5で得られたニトリル基含有共重合体ゴム(B1)およびニトリル基含有共重合体ゴム(B2)を、それぞれ100部使用するとともに、FEFカーボンの配合量を50部から40部に変更し、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシルの配合量を4部から5部に変更し、ポリエーテルエステル系可塑剤を使用しない以外は、実施例1と同様にして、架橋性ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3
ニトリル基含有共重合体ゴム(A1)100部に代えて、合成例6で得られたニトリル基含有共重合体ゴム(B3)100部を使用した以外は、実施例2と同様にして、架橋性ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例4
バンバリーミキサを用いて、合成例7で得られたニトリル基含有共重合体ゴム(A4)100部に、FEFカーボンブラック(商品名「シーストSO」、東海カーボン社製)40部、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル(商品名「アデカサイザーC−8」、ADEKA社製、可塑剤)5部、4,4’−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名「ノクラックCD」、大内新興化学社製、老化防止剤)1.5部、ステアリン酸1部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル(商品名「フォスファノールRL210」、東邦化学工業社製、加工助剤)1部、ヘキサメチレンジアミンカルバメート(商品名「Diak#1」、デュポンダウエラストマー社製、脂肪族多価アミン類に属するポリアミン架橋剤)2.6部、および1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデセン−7(DBU)(商品名「RHENOGRAN XLA−60(GE2014)」、RheinChemie社製、DBU60%(ジンクジアルキルジフォスフェイト塩になっている部分も含む)、塩基性架橋促進剤)4部を配合して、混練することにより、架橋性ゴム組成物を得た。
そして、得られた架橋性ゴム組成物を用いて、上述した方法により、100%引張応力、耐圧縮永久歪み試験(O−リング圧縮永久歪み)、発熱試験の各測定・試験を行った。結果を表2に示す。
実施例5
ニトリル基含有共重合体ゴム(A4)100部に代えて、合成例8で得られたニトリル基含有共重合体ゴム(A5)100部を使用するとともに、FEFカーボンの配合量を40部から50部に変更し、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシルの配合量を5部から3部に変更し、ポリエーテルエステル系可塑剤(商品名「アデカサイザー RS−735」、ADEKA社製)2部を使用し、ヘキサメチレンジアミンカルバメートの配合量を2.6部から1.9部に変更した以外は、実施例4と同様にして、架橋性ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
実施例6
ニトリル基含有共重合体ゴム(A4)100部に代えて、合成例9で得られたニトリル基含有共重合体ゴム(A6)100部を使用するとともに、FEFカーボンの配合量を40部から45部に変更し、ヘキサメチレンジアミンカルバメートの配合量を2.6部から2.7部に変更し、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシルの配合量を5部から3部に変更し、アジピン酸エーテルエステル系可塑剤(商品名「アデカサイザー RS−107」、ADEKA社製)2部を使用した以外は、実施例4と同様にして、架橋性ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
比較例4
ニトリル基含有共重合体ゴム(A4)100部に代えて、合成例10で得られたニトリル基含有共重合体ゴム(B4)100部を使用した以外は、実施例4と同様にして、架橋性ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
比較例5
ニトリル基含有共重合体ゴム(A4)100部に代えて、合成例11で得られたニトリル基含有共重合体ゴム(B5)100部を使用するとともに、FEFカーボンの配合量を40部から50部に変更し、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシルの配合量を5部から3部に変更し、ポリエーテルエステル系可塑剤(商品名「アデカサイザー RS−700」、ADEKA社製)2部を使用し、ヘキサメチレンジアミンカルバメートの配合量を2.6部から1.9部に変更した以外は、実施例4と同様にして、架橋性ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2016017735
Figure 2016017735
表1、2に示すように、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を10〜60重量%の割合で含有し、Z平均慣性半径が100nm以上である、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムを用いて得られるゴム架橋物は、引張応力、および耐圧縮永久歪み性に優れ、低発熱性であった(実施例1〜6)。
一方、Z平均慣性半径が100nm以下であるニトリル基含有共重合体ゴムを用いて得られるゴム架橋物は、引張応力、耐圧縮永久歪み性、および低発熱性のいずれにも劣るものであった(比較例1〜5)。

Claims (9)

  1. α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を10〜60重量%の割合で含有し、Z平均慣性半径が100nm以上であることを特徴とするニトリル基含有共重合体ゴム。
  2. 前記ニトリル基含有共重合体ゴムのヨウ素価が120以下である請求項1に記載のニトリル基含有共重合体ゴム。
  3. 前記ニトリル基含有共重合体ゴムの可塑度が14〜90である請求項1または2に記載のニトリル基含有共重合体ゴム。
  4. JIS K6238−1に規定されているオーブン法に従って測定される、前記ニトリル基含有共重合体ゴムのヒートロスが、20重量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のニトリル基含有共重合体ゴム。
  5. ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位を40〜90重量%の割合で含有する請求項1〜4のいずれかに記載のニトリル基含有共重合体ゴム。
  6. α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位を5〜50重量%の割合で含有する請求項5に記載のニトリル基含有共重合体ゴム。
  7. カルボキシル基含有単量体単位を1〜30重量%の割合で含有する請求項5に記載のニトリル基含有共重合体ゴム。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のニトリル基含有共重合体ゴムと、架橋剤とを含有してなる架橋性ゴム組成物。
  9. 請求項8に記載の架橋性ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物。
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