JPWO2016084734A1 - ニトリルゴム組成物、高飽和ニトリルゴムのラテックス組成物、ゴム架橋物 - Google Patents

ニトリルゴム組成物、高飽和ニトリルゴムのラテックス組成物、ゴム架橋物 Download PDF

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Abstract

α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を8〜60重量%の割合で含有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴム(A)と、アルキル化フェノール化合物(B)とを含有し、前記高飽和ニトリルゴム(A)と、前記アルキル化フェノール化合物(B)との合計に対する、前記アルキル化フェノール化合物(B)の含有割合が、0.01〜1重量%であるニトリルゴム組成物であって、水中に分散させて水分散液とした状態において、70℃、7日間保存した後における可塑度η2と、該保存前の可塑度η1との差(η2−η1)が12以下であることを特徴とするニトリルゴム組成物を提供する。

Description

本発明は、優れた加工性を備え、引張応力に優れたゴム架橋物を与えることのできるニトリルゴム組成物、および高飽和ニトリルゴムのラテックス組成物、ならびに、このようなニトリルゴム組成物、および高飽和ニトリルゴムのラテックス組成物を用いて得られるゴム架橋物に関する。
従来から、ニトリルゴム(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム)は、耐油性、機械的特性、耐薬品性等を活かして、ホースやベルト、チューブなどの自動車用ゴム部品の材料として使用されており、また、ニトリルゴムのポリマー主鎖中の炭素−炭素二重結合を水素化などにより飽和化して得られる高飽和ニトリルゴムはさらに耐熱性に優れるため、シール、ベルト、ホース、ガスケット等のゴム部品に使用されている。
たとえば、特許文献1には、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a)と、共役ジエン単量体単位(b)とを有し、共役ジエン単量体単位(b)の少なくとも一部を水素化してなるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムであって、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a)の含有割合が37〜45重量%、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a)と共役ジエン単量体単位(b)との合計が93重量%以上、ヨウ素価が9以下であり、架橋物とした場合の、粘弾性特性における損失正接tanδのピークの半値幅が5〜20℃の範囲にあることを特徴とするニトリル基含有高飽和共重合体ゴムが開示されている。
しかしながら、上記特許文献1のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを用いて得られるゴム架橋物は、引張応力が十分でなく、そのため、ベルト用途などの引張応力に特に優れていることが求められる用途に適したものではなかった。
国際公開第2009/157533号
本発明は、優れた加工性を備え、引張応力に優れたゴム架橋物を与えることのできるニトリルゴム組成物、および高飽和ニトリルゴムのラテックス組成物、ならびに、このようなニトリルゴム組成物、および高飽和ニトリルゴムのラテックス組成物を用いて得られるゴム架橋物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を8〜60重量%の割合で含有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴムに、所定量のアルキル化フェノール化合物を配合してなり、かつ、水中に分散させて水分散液とした状態において、70℃、7日間保存した後における可塑度の変動量が所定範囲内にあるゴム組成物により、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を8〜60重量%の割合で含有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴム(A)と、アルキル化フェノール化合物(B)とを含有し、前記高飽和ニトリルゴム(A)と、前記アルキル化フェノール化合物(B)との合計に対する、前記アルキル化フェノール化合物(B)の含有割合が、0.01〜1重量%であるニトリルゴム組成物であって、水中に分散させて水分散液とした状態において、70℃、7日間保存した後における可塑度η2と、該保存前の可塑度η1との差(η2−η1)が12以下であることを特徴とするニトリルゴム組成物が提供される。
本発明のニトリルゴム組成物において、前記高飽和ニトリルゴム(A)と、前記アルキル化フェノール化合物(B)との合計に対する、前記アルキル化フェノール化合物(B)の含有割合が、0.01〜0.95重量%であることが好ましい。
本発明のニトリルゴム組成物において、前記アルキル化フェノール化合物(B)が、下記一般式(1)で表される化合物、または下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2016084734
(上記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたアミノ基、または、含窒素複素環基であり、nは1〜5の整数である。また、上記一般式(1)中のRのうち少なくとも1つは、炭素数1〜7のアルキル基である。)
Figure 2016084734
(上記一般式(2)中、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたアミノ基、または、含窒素複素環基であり、Aは、化学的な単結合、または炭素数1〜4のアルキレン基であり、m,kは、それぞれ独立に1〜4の整数である。また、上記一般式(2)中のRのうち少なくとも1つは、炭素数1〜7のアルキル基であり、上記一般式(2)中のRのうち少なくとも1つは、炭素数1〜7のアルキル基である。)
本発明によれば、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を8〜60重量%の割合で含有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴム(A)と、アルキル化フェノール化合物(B)とを含有し、前記高飽和ニトリルゴム(A)と、前記アルキル化フェノール化合物(B)との合計に対する、前記アルキル化フェノール化合物(B)の含有割合が、0.01〜1重量%である高飽和ニトリルゴムのラテックス組成物であって、70℃、7日間保存した後における凝固物の可塑度η2と、該保存前の凝固物の可塑度η1との差(η2−η1)が12以下であることを特徴とする高飽和ニトリルゴムのラテックス組成物が提供される。
本発明の高飽和ニトリルゴムのラテックス組成物において、前記高飽和ニトリルゴム(A)と、前記アルキル化フェノール化合物(B)との合計に対する、前記アルキル化フェノール化合物(B)の含有割合が、0.01〜0.95重量%であることが好ましい。
本発明の高飽和ニトリルゴムのラテックス組成物において、前記アルキル化フェノール化合物(B)が、上記一般式(1)で表される化合物、または上記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
また、本発明によれば、上記のニトリルゴム組成物、または上記の高飽和ニトリルゴムのラテックス組成物を凝固して得られるニトリルゴム組成物に、架橋剤を配合してなる架橋性ニトリルゴム組成物が提供される。本発明の架橋性ニトリルゴム組成物は、有機短繊維をさらに含有することが好ましい。
さらに、本発明によれば、上記の架橋性ニトリルゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物が提供される。
本発明によれば、優れた加工性を備え、引張応力に優れたゴム架橋物を与えることのできるニトリルゴム組成物、および高飽和ニトリルゴムのラテックス組成物、ならびに、このようなニトリルゴム組成物、および高飽和ニトリルゴムのラテックス組成物を用いて得られるゴム架橋物を提供することができる。
ニトリルゴム組成物
本発明のニトリルゴム組成物は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を8〜60重量%の割合で含有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴム(A)と、アルキル化フェノール化合物(B)とを含有し、高飽和ニトリルゴム(A)と、前記アルキル化フェノール化合物(B)との合計に対する、アルキル化フェノール化合物(B)の含有割合が、0.01〜1重量%である高飽和ニトリルゴムの組成物である。
また、本発明のニトリルゴム組成物は、水中に分散させて水分散液とした状態において、70℃、7日間保存した後における可塑度η2と、該保存前の可塑度η1との差(η2−η1)が12以下であるものである。
尚、前記の「可塑度η2」は、後に詳述するが、本発明のニトリルゴム組成物を、水中に分散させて水分散液とした状態において、70℃、7日間保存した後に、該水分散体を凝固させて得られる凝固物の状態で測定される値である。
また、前記の「可塑度η1」は、本発明のニトリルゴム組成物を水分散液として前記条件で保存する前に測定される値であり、保存前のニトリルゴム組成物が水分散体や溶液として得られる場合は、これらを凝固させて得られる凝固物の状態で測定される値である。
高飽和ニトリルゴム(A)
本発明で用いる高飽和ニトリルゴム(A)は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を8〜60重量%の割合で含有し、ヨウ素価が120以下であるゴムである。
本発明で用いる高飽和ニトリルゴム(A)中に含有される、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を形成するα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体は、特に限定されないが、炭素数3〜18のものが好ましく、炭素数3〜9のものが特に好ましい。その具体例としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等が挙げられ、なかでもアクリロニトリルが好ましい。これらのα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
高飽和ニトリルゴム(A)中における、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量は、8〜60重量%であり、好ましくは12〜58重量%、より好ましくは16〜50重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が少なすぎると、得られるゴム架橋物が耐油性に劣るものとなるおそれがあり、逆に多すぎると耐寒性が低下する可能性がある。
また、本発明で用いる高飽和ニトリルゴム(A)は、ゴム弾性による機械的特性の向上の観点から、ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位をさらに含有していることが好ましい。
ジエン単量体単位を形成するジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等の炭素数が4以上の共役ジエン;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン等の炭素数が5〜12の非共役ジエンが挙げられる。これらの中では共役ジエンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。α−オレフィン単量体単位を形成するα−オレフィン単量体としては、好ましくは炭素数が2〜12のものであり、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が例示される。これらのジエン単量体、α−オレフィン単量体は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
高飽和ニトリルゴム(A)中における、ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位の含有量は、好ましくは40〜90重量%、より好ましくは41〜85重量%、さらに好ましくは43〜80重量%である。ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位の含有量を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物を、耐熱性や耐化学的安定性を良好に保ちながら、ゴム弾性に優れたものとすることができる。
また、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、耐寒性の向上の観点から、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位をさらに含有させてもよい。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位を形成するα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体としては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(「メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル」の略記。以下同様。);アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシプロピル、メタクリル酸4−エトキシブチル、アクリル酸6−メトキシヘキシル、メタクリル酸4−エトキシヘプチル、アクリル酸8−メトキシオクチルなどの炭素数2〜12のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;アクリル酸α−シアノエチル、メタクリル酸α−シアノエチル、メタクリル酸シアノブチルなどの炭素数2〜12のシアノアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基を有する(メタ) アクリル酸エステル;アクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸テトラフルオロプロピルなどの炭素数1〜12のフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;などが挙げられる。これらのα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴム中における、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位の含有量は、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜45重量%、さらに好ましくは15〜40重量%である。α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位の含有量を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物の耐疲労性及び耐摩耗性を良好なものとしながら、耐寒性の向上が可能となる。
あるいは、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、低発熱性をより高めることができるという観点より、カルボキシル基含有単量体単位をさらに含有させてもよい。
カルボキシル基含有単量体単位を形成するカルボキシル基含有単量体としては、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共重合可能であり、かつ、エステル化等されていない無置換の(フリーの)カルボキシル基を1個以上有する単量体であれば特に限定されない。
カルボキシル基含有単量体としては、たとえば、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸単量体、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル単量体およびα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体などが挙げられる。また、カルボキシル基含有単量体には、これらの単量体のカルボキシル基がカルボン酸塩を形成している単量体も含まれる。さらに、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸の無水物も、共重合後に酸無水物基を開裂させてカルボキシル基を形成するので、カルボキシル基含有単量体として用いることができる。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸単量体としては、フマル酸やマレイン酸などのブテンジオン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アリルマロン酸、テラコン酸などが挙げられる。また、α,β−不飽和多価カルボン酸の無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル単量体としては、マレイン酸ジエチルなどのマレイン酸ジエステル;フマル酸ジメチルなどのフマル酸ジエステル;シトラコン酸ジメチルなどのシトラコン酸ジエステル;イタコン酸ジブチルなどのイタコン酸ジエステル;などが挙げられる。α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体としては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノn−ブチルなどのマレイン酸モノアルキルエステル;マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノシクロヘプチルなどのマレイン酸モノシクロアルキルエステル;マレイン酸モノメチルシクロペンチル、マレイン酸モノエチルシクロヘキシルなどのマレイン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノn−ブチルなどのフマル酸モノアルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘプチルなどのフマル酸モノシクロアルキルエステル;フマル酸モノメチルシクロペンチル、フマル酸モノエチルシクロヘキシルなどのフマル酸モノアルキルシクロアルキルエステル;シトラコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、シトラコン酸モノプロピル、シトラコン酸モノn−ブチルなどのシトラコン酸モノアルキルエステル;シトラコン酸モノシクロペンチル、シトラコン酸モノシクロヘキシル、シトラコン酸モノシクロヘプチルなどのシトラコン酸モノシクロアルキルエステル;シトラコン酸モノメチルシクロペンチル、シトラコン酸モノエチルシクロヘキシルなどのシトラコン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノn−ブチルなどのイタコン酸モノアルキルエステル;イタコン酸モノシクロペンチル、イタコン酸モノシクロヘキシル、イタコン酸モノシクロヘプチルなどのイタコン酸モノシクロアルキルエステル;イタコン酸モノメチルシクロペンチル、イタコン酸モノエチルシクロヘキシルなどのイタコン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;などが挙げられる。
カルボキシル基含有単量体は、一種単独でも、複数種を併用してもよい。これらの中でも、本発明の効果がより一層顕著になることから、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体が好ましく、マレイン酸モノアルキルエステルがより好ましく、マレイン酸モノn−ブチルが特に好ましい。なお、上記アルキルエステルのアルキル基の炭素数は、2〜8が好ましい。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴム中における、カルボキシル基含有単量体単位の含有量は、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは2〜25重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。カルボキシル基含有単量体単位の含有量を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物の耐疲労性を良好なものとしながら、低発熱性のさらなる向上が可能となる。
また、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、上記した各単量体の単位に加えて、これらの単量体と共重合可能なその他の単量体の単位を含有するものであってもよい。このようなその他の単量体としては、非共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体、架橋性単量体、共重合性老化防止剤などが挙げられる。
非共役ジエン単量体としては、炭素数が5〜12のものが好ましく、たとえば、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
架橋性単量体としては、たとえば、ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物;エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリル酸エステル類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのトリメタクリル酸エステル類;などの多官能エチレン性不飽和単量体のほか、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチロール(メタ)アクリルアミドなどの自己架橋性単量体などが挙げられる。
共重合性老化防止剤としては、たとえば、N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、 N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが挙げられる。
これらの共重合可能なその他の単量体は、複数種類を併用してもよい。本発明のニトリル基含有共重合体ゴム中における、その他の単量体の単位の含有量は、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
本発明で用いる高飽和ニトリルゴム(A)は、重量平均分子量(Mw)が10000〜1000000であることが好ましい。なお、重量平均分子量(Mw)は、GPCを用いて測定することができる。
また、本発明で用いる高飽和ニトリルゴム(A)のヨウ素価は、特に限定されないが、耐熱老化性や耐オゾン性をより高めることができるという点より、好ましく120以下、より好ましくは80以下、さらに好ましくは60以下、特に好ましくは30以下である。
本発明で用いる高飽和ニトリルゴム(A)の製造方法は、特に限定されないが、上述した単量体を共重合し、必要に応じて、得られる共重合体中の炭素−炭素二重結合を水素化することによって得られる。重合方法は、特に限定されず公知の乳化重合法や溶液重合法によればよいが、工業的生産性の観点から乳化重合法が好ましい。乳化重合に際しては、乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤に加えて、通常用いられる重合副資材を使用することができる。
乳化剤としては、特に限定されないが、たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等の非イオン性乳化剤;ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸及びリノレン酸等の脂肪酸の塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性乳化剤;α,β−不飽和カルボン酸のスルホエステル、α,β−不飽和カルボン酸のサルフェートエステル、スルホアルキルアリールエーテル等の共重合性乳化剤;などが挙げられる。乳化剤の添加量は、重合に用いる単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
重合開始剤としては、ラジカル開始剤であれば特に限定されないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物;等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤としては、無機または有機の過酸化物が好ましい。重合開始剤として過酸化物を用いる場合には、重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄等の還元剤と組み合わせて、レドックス系重合開始剤として使用することもできる。重合開始剤の添加量は、重合に用いる単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜2重量部である。
分子量調整剤としては、特に限定されないが、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、塩化メチレン、臭化メチレン等のハロゲン化炭化水素;α−メチルスチレンダイマー;テトラエチルチウラムダイサルファイド、ジペンタメチレンチウラムダイサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンダイサルファイド等の含硫黄化合物等が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、メルカプタン類が好ましく、t−ドデシルメルカプタンがより好ましい。
乳化重合の媒体には、通常、水が使用される。水の量は、重合に用いる単量体100重量部に対して、好ましくは80〜500重量部、より好ましくは80〜300重量部である。
乳化重合に際しては、さらに、必要に応じて安定剤、分散剤、pH調整剤、脱酸素剤、粒子径調整剤等の重合副資材を用いることができる。これらを用いる場合においては、その種類、使用量とも特に限定されない。
また、本発明においては、得られた共重合体について、必要に応じて、共重合体の水素化(水素添加反応)を行ってもよい。水素添加は公知の方法によればよく、乳化重合で得られた共重合体のラテックスを凝固した後、油層で水素添加する油層水素添加法や、得られた共重合体のラテックスをそのまま水素添加する水層水素添加法などが挙げられる。
水素添加を油層水素添加法で行う場合、好適には上記乳化重合により調製した共重合体のラテックスを塩析やアルコールによる凝固、濾別および乾燥を経て、有機溶媒に溶解する。次いで水素添加反応(油層水素添加法)を行い、得られた水素化物を大量の水中に注いで凝固、濾別および乾燥を行うことにより高飽和ニトリルゴム(A)を得ることができる。
ラテックスの塩析による凝固には、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸アルミニウムなど公知の凝固剤を使用することができる。また、塩析による凝固に代えて、メタノールなどのアルコールを用いて凝固を行ってもよい。油層水素添加法の溶媒としては、乳化重合により得られた共重合体を溶解する液状有機化合物であれば特に限定されないが、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、シクロヘキサノンおよびアセトンなどが好ましく使用される。
油層水素添加法の触媒としては、公知の選択的水素化触媒であれば限定なく使用でき、パラジウム系触媒及びロジウム系触媒が好ましく、パラジウム系触媒(酢酸パラジウム、塩化パラジウムおよび水酸化パラジウムなど)がより好ましい。これらは2種以上併用してもよいが、その場合はパラジウム系触媒を主たる活性成分とすることが好ましい。これらの触媒は、通常、担体に担持させて使用される。担体としては、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミナ、珪藻土、活性炭などが例示される。触媒使用量は、共重合体に対して好ましくは10〜5000重量ppm、より好ましくは100〜3000重量ppmである。
あるいは、水素添加を水層水素添加法で行う場合、好適には上記乳化重合により調製した共重合体のラテックスに、必要に応じて水を加えて希釈し、水素添加反応を行う。水層水素添加法は、水素化触媒存在下の反応系に水素を供給して水素化する水層直接水素添加法と、酸化剤、還元剤及び活性剤の存在下で還元して水素化する水層間接水素添加法とが挙げられるが、これらの中でも、水層直接水素添加法が好ましい。
水層直接水素添加法において、水層における共重合体の濃度(ラテックス状態での濃度)は、凝集を防止するため40重量%以下であることが好ましい。水素化触媒は、水で分解しにくい化合物であれば特に限定されない。その具体例として、パラジウム触媒では、ギ酸、プロピオン酸、ラウリン酸、コハク酸、オレイン酸、フタル酸などのカルボン酸のパラジウム塩;塩化パラジウム、ジクロロ(シクロオクタジエン)パラジウム、ジクロロ(ノルボルナジエン)パラジウム、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸アンモニウムなどのパラジウム塩素化物;ヨウ化パラジウムなどのヨウ素化物;硫酸パラジウム・二水和物などが挙げられる。これらの中でもカルボン酸のパラジウム塩、ジクロロ(ノルボルナジエン)パラジウムおよびヘキサクロロパラジウム(IV)酸アンモニウムが特に好ましい。水素化触媒の使用量は、適宜定めればよいが、重合により得られた共重合体に対し、好ましくは5〜6000重量ppm、より好ましくは10〜4000重量ppmである。
水層直接水素添加法においては、水素添加反応終了後、ラテックス中の水素化触媒を除去する。その方法として、たとえば、活性炭、イオン交換樹脂などの吸着剤を添加して攪拌下で水素化触媒を吸着させ、次いでラテックスをろ過または遠心分離する方法を採ることができる。水素化触媒を除去せずにラテックス中に残存させることも可能である。
そして、水層直接水素添加法においては、このようにして得られた水素添加反応後のラテックスについて、塩析による凝固、濾別および乾燥などを行なうことにより、高飽和ニトリルゴム(A)を得ることができる。この場合における、凝固に続く濾別および乾燥の工程はそれぞれ公知の方法によって行なうことができる。
アルキル化フェノール化合物(B)
本発明で用いるアルキル化フェノール化合物(B)は、少なくとも1つのフェノール性水酸基と、少なくとも1つのアルキル基とを有するフェノール化合物である。アルキル化フェノール化合物(B)は、本発明のニトリルゴム組成物中において、通常、老化防止剤として作用する。
本発明で用いるアルキル化フェノール化合物(B)としては、少なくとも1つのフェノール性水酸基と、少なくとも1つのアルキル基とを有するものであればよいが、フェノール性水酸基を1つ、あるいは2つ有し、かつ、フェノール性水酸基のオルト位、メタ位、またはパラ位に、少なくとも1つのアルキル基を有するものであることが好ましい。また、フェノール性水酸基のオルト位、メタ位、またはパラ位にアルキル基以外の基を有するものであってもよい。本発明で用いるアルキル化フェノール化合物(B)としては、たとえば、下記一般式(1)で表される化合物、または下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2016084734
Figure 2016084734
上記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたアミノ基、または、含窒素複素環基であり、nは1〜5の整数である。また、上記一般式(1)中のRのうち少なくとも1つは、炭素数1〜7のアルキル基である。
上記一般式(2)中、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたアミノ基、または、含窒素複素環基であり、Aは、化学的な単結合、または炭素数1〜4のアルキレン基であり、m,kは、それぞれ独立に1〜4の整数である。また、上記一般式(2)中のRのうち少なくとも1つは、炭素数1〜7のアルキル基であり、上記一般式(2)中のRのうち少なくとも1つは、炭素数1〜7のアルキル基である。
本発明の作用効果をより顕著なものとすることができるという点より、上記一般式(1)で表される化合物の中でも、Rとしての、炭素数1〜5のアルキル基を、フェノール性水酸基のオルト位、またはパラ位に少なくとも有しているものが好ましく、フェノール性水酸基の2つのオルト位およびパラ位の全てに、炭素数1〜5のアルキル基を有しているものが特に好ましい。
同様に、本発明の作用効果をより顕著なものとすることができるという点より、上記一般式(2)で表される化合物の中でも、下記一般式(3)で表される化合物が好ましく、下記一般式(3)で表される化合物の中でも、R、Rとしての、炭素数1〜5のアルキル基を、2つの芳香環にそれぞれ備えられている2つのフェノール性水酸基のオルト位、またはパラ位に少なくとも有しているものが好ましく、2つの芳香環にそれぞれ備えられている2つのフェノール性水酸基のオルト位およびパラ位の全てに、炭素数1〜5のアルキル基を有しているものが特に好ましい。
Figure 2016084734
(上記一般式(3)において、R、R、A、m、kは、上記一般式(2)と同様。)
アルキル化フェノール化合物(B)の具体例としては、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノールと2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノールとオルト−tert−ブチルフェノールの混合物、モノ(α−メチルベンジル)フェノール、ジ(α−メチルベンジル)フェノール、トリ(α−メチルベンジル)フェノール、アルキルおよびアラルキル置換フェノールの混合物、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−シクロヘキシル・フェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、アルキル化ビスフェノール、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、メチレン架橋した多価アルキルフェノール、p−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化物、ポリブチル化ビスフェノールA、4,4’−チオビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾール、ヒンダード・フェノール、ヒンダード・ビスフェノールなどが挙げられる。これらのなかでも、本発明の作用効果をより高めることができるという点より、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’-メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)がより好ましい。
本発明のニトリルゴム組成物中における、アルキル化フェノール化合物(B)の含有割合は、高飽和ニトリルゴム(A)と、前記アルキル化フェノール化合物(B)との合計に対して、0.01〜1重量%であり、好ましくは0.01〜0.95重量%、より好ましくは0.02〜0.95重量%であり、さらに好ましくは0.02〜0.7重量%、さらにより好ましくは0.02〜0.5重量%、特に好ましくは0.02〜0.4重量%である。アルキル化フェノール化合物(B)の含有割合が少なすぎても、また多すぎても、ニトリルゴム組成物としての加工性の向上効果、およびゴム架橋物とした場合の引張応力の向上効果が得られなくなってしまう。特に、本発明によれば、アルキル化フェノール化合物(B)の含有割合を、0.01重量%以上であり、かつ、好ましくは0.95重量%以下、より好ましくは0.7重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下、特に好ましくは0.4重量%以下とすることにより、可塑度η1,η2の差(η2−η1)を好適に本発明所定の範囲内とすることができ、これにより、ニトリルゴム組成物としての加工性、およびゴム架橋物とした場合の引張応力を適切に向上させることができる。
ニトリルゴム組成物の調製
本発明のニトリルゴム組成物は、上述した高飽和ニトリルゴム(A)と、アルキル化フェノール化合物(B)とを含有してなるものであり、その調製方法は特に限定されず、これらを同時に含有させることのできる方法であればよいが、たとえば、次の方法により得ることができる。
すなわち、まず、本発明で用いる高飽和ニトリルゴム(A)を形成するための単量体を、乳化重合法により共重合し、共重合体のラテックスを得る。次いで、得られた共重合体のラテックスに、アルキル化フェノール化合物(B)を配合し、アルキル化フェノール化合物(B)を配合した状態にて、乳化重合により得られた共重合体について、水素化(水素添加反応)を行い、次いで、凝固や乾燥などを行うことにより、高飽和ニトリルゴム(A)と、アルキル化フェノール化合物(B)とを含有する、本発明のニトリルゴム組成物を得ることができる。なお、本発明のニトリルゴム組成物は、通常、固形物の状態で得ることができる。
なお、水素化(水素添加反応)を行う際においては、アルキル化フェノール化合物(B)を配合した、共重合体のラテックスを凝固した後に、油層で水素添加する油層水素添加法を用いてもよいし、あるいは、アルキル化フェノール化合物(B)を配合した、共重合体のラテックスに、必要に応じて水を加えて希釈し、水層で水素添加する水層水素添加法を用いてもよい。
また、油層水素添加法により水素添加を行った場合には、本発明のニトリルゴム組成物は、通常、高飽和ニトリルゴム(A)およびアルキル化フェノール化合物(B)が、有機溶媒に溶解してなる溶液の状態で得られることとなる。そして、このような本発明のニトリルゴム組成物の溶液について、大量の水中に注いで凝固、濾別および乾燥などを行うことにより、本発明のニトリルゴム組成物を、固形状態で得ることができる。
また、水層水素添加法により水素添加を行った場合には、本発明のニトリルゴム組成物は、通常、高飽和ニトリルゴム(A)およびアルキル化フェノール化合物(B)が、水に分散してなる分散液の状態で得られることとなる。そして、このような本発明のニトリルゴム組成物の水分散液について、塩析による凝固、濾別および乾燥などを行なうことにより、本発明のニトリルゴム組成物を、固形状態で得ることができる。
なお、上記方法のように、本発明のニトリルゴム組成物を調製する際に、水素化前の共重合体のラテックスに、アルキル化フェノール化合物(B)を配合する方法を採用する場合には、後の凝固等の工程により、アルキル化フェノール化合物(B)の量が変動する場合があるが、本発明のニトリルゴム組成物においては、後の凝固等の工程を経た変動後のアルキル化フェノール化合物(B)の含有割合を上述した範囲とすればよい。
また、本発明のニトリルゴム組成物は、水中に分散させて水分散液とした状態において、70℃、7日間保存した後における可塑度η2と、該保存前の可塑度η1との差(η2−η1)が、12以下であり、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。可塑度η1,η2の差(η2−η1)を上記範囲とすることにより、ニトリルゴム組成物を優れた加工性を有し、かつ、引張応力に優れたゴム架橋物を与えるものとすることができる。本発明において、可塑度η2を測定する際には、ニトリルゴム組成物を、水中に分散させて水分散液とした状態として、70℃、7日間保存した後、凝固させて、得られた凝固物について測定を行うものであるが、水中に分散させて水分散液とする方法としては特に限定されない。また、この際における、水分散液中の固形分濃度は、特に限定されないが、好ましくは5〜47重量%、より好ましくは8〜45重量%である。
たとえば、本発明のニトリルゴム組成物を調製する際に、水層水素添加法により水素添加を行い、本発明のニトリルゴム組成物を、水に分散してなる分散液の状態で得た場合には、これをそのまま用いることができる。あるいは、本発明のニトリルゴム組成物を調製する際に、油層水素添加法により水素添加を行い、本発明のニトリルゴム組成物を、有機溶媒に溶解してなる溶液の状態で得た場合には、公知の転相法により、該溶液と、乳化剤水溶液とを混合し、強攪拌により水中に乳化分散させ、さらに有機溶媒を除去することにより、水に分散してなる分散液とすることができる。
さらに、本発明のニトリルゴム組成物を固形状態で得た場合には、固形状態のニトリルゴム組成物を、これを溶解可能な有機溶媒に溶解し、次いで、公知の転相法により、該溶液と、乳化剤水溶液とを混合し、強攪拌により水中に乳化分散させ、さらに有機溶媒を除去することにより、水に分散してなる分散液とすることができる。
なお、ニトリルゴム組成物の可塑度η1,η2は、JIS K6300−3に規定されている「ラピッドプラストメータによる可塑度」に従って測定することができる。この場合において、本発明のニトリルゴム組成物を、水に分散してなる分散液の状態として得た場合や、有機溶媒に溶解してなる溶液の状態として得た場合には、これらを凝固させて、得られた凝固物について、JIS K6300−3に規定されている「ラピッドプラストメータによる可塑度」に従って、可塑度η1を測定する。また、可塑度η2については、上述したように、水中に分散させて水分散液とした状態として、70℃、7日間保存した後、凝固させて、得られた凝固物について、JIS K6300−3に規定されている「ラピッドプラストメータによる可塑度」に従って、測定を行う。
本発明において、可塑度η2と可塑度η1との差(η2−η1)を上記範囲とする方法としては、特に限定されないが、たとえば、高飽和ニトリルゴム(A)を乳化重合法により製造する際に用いる、重合停止剤の使用量や種類を調整する方法や、キレート剤などの金属含有化合物の使用量を調整する方法、得られる水分散液のpHを調整する方法などが挙げられる。具体的には、高飽和ニトリルゴム(A)の組成に応じて(たとえば、高飽和ニトリルゴム(A)をα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位を含有しないものとする場合に)、重合停止剤として、キノン系の重合停止剤と、アミン系の重合停止剤とを併用する方法や、重合停止剤の使用量を、重合に用いる単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜1重量部とする方法や、得られる水分散液のpHを、好ましくは6〜13の範囲とする方法、さらには、キレート剤などの金属含有化合物の使用量を、重合に用いる単量体100重量部に対して、金属換算で(金属の重量で)、好ましくは0.001〜0.1重量部に制御する方法などが挙げられる。
また、本発明においては、ニトリルゴム組成物を、水分散液の状態で得た場合には、凝固等せずに、水分散液の状態のまま(すなわち、高飽和ニトリルゴムのラテックス組成物として)、各種用途に用いることもできる。
架橋性ニトリルゴム組成物
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物は、上述した本発明のニトリルゴム組成物に、架橋剤を添加してなる高飽和ニトリルゴムの組成物である。架橋剤としては、特に限定されず、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤が挙げられるが、高飽和ニトリルゴム(A)が、カルボキシル基含有単量体単位を有する場合には、ポリアミン架橋剤を用いることもできる。
硫黄系架橋剤としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降性硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などの硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、ジベンゾチアジルジスルフィド、N,N’−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼノピン−2)、含リンポリスルフィド、高分子多硫化物などの含硫黄化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどの硫黄供与性化合物;などが挙げられる。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
有機過酸化物架橋剤としては、ジクミルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、パラメンタンヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3−トリメチルシクロヘキサン、4,4−ビス−(t−ブチル−ペルオキシ)−n−ブチルバレレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキシン−3、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、p−クロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシベンゾエート等が挙げられる。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
ポリアミン系架橋剤としては、2つ以上のアミノ基を有する化合物、または、架橋時に2つ以上のアミノ基を有する化合物の形態になるもの、であれば特に限定されないが、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素の複数の水素原子が、アミノ基またはヒドラジド構造(−CONHNHで表される構造、COはカルボニル基を表す。)で置換された化合物および架橋時にその化合物の形態になるものが好ましい。
ポリアミン系架橋剤の具体例としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、N,N−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、テトラメチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミンシンナムアルデヒド付加物などの脂肪族多価アミン類;4,4−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルエーテル、3,4−ジアミノジフェニルエーテル、4,4−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4−ジアミノベンズアニリド、4,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミンなどの芳香族多価アミン類;イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジヒドラジド、ナフタレン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタミン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ブラッシル酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、アセトンジカルボン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、トリメリット酸ジヒドラジド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸ジヒドラジド、アコニット酸ジヒドラジド、ピロメリット酸ジヒドラジドなどの多価ヒドラジド類;が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより一層顕著なものとすることができるという点より、脂肪族多価アミン類および芳香族多価アミン類が好ましく、ヘキサメチレンジアミンカルバメートおよび2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンがより好ましく、ヘキサメチレンジアミンカルバメートが特に好ましい。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物中における、架橋剤の含有量は特に限定されないが、高飽和ニトリルゴム(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜5重量部である。
また、架橋剤として、ポリアミン系架橋剤を用いる場合には、塩基性架橋促進剤をさらに含有させることが好ましい。
塩基性架橋促進剤の具体例としては、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(以下「DBU」と略す場合がある)、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5(以下「DBN」と略す場合がある)、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、1−メトキシエチルイミダゾール、1−フェニル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−メチル−2−フェニルイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルイミダゾール、1,4−ジメチルイミダゾール、1,5−ジメチルイミダゾール、1,2,4−トリメチルイミダゾール、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾール、1−メチル−2−メトキシイミダゾール、1−メチル−2−エトキシイミダゾール、1−メチル−4−メトキシイミダゾール、1−メチル−2−メトキシイミダゾール、1−エトキシメチル−2−メチルイミダゾール、1−メチル−4−ニトロイミダゾール、1,2−ジメチル−5−ニトロイミダゾール、1,2−ジメチル−5−アミノイミダゾール、1−メチル−4−(2−アミノエチル)イミダゾール、1−メチルベンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルベンゾイミダゾール、1−メチル−5−ニトロベンゾイミダゾール、1−メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−フェニルイミダゾリン、1−メチル−2−ベンジルイミダゾリン、1−メチル−2−エトキシイミダゾリン、1−メチル−2−ヘプチルイミダゾリン、1−メチル−2−ウンデシルイミダゾリン、1−メチル−2−ヘプタデシルイミダゾリン、1−メチル−2−エトキシメチルイミダゾリン、1−エトキシメチル−2−メチルイミダゾリンなどの環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤;テトラメチルグアニジン、テトラエチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−オルト−トリルグアニジン、オルトトリルビグアニドなどのグアニジン系塩基性架橋促進剤;n−ブチルアルデヒドアニリン、アセトアルデヒドアンモニアなどのアルデヒドアミン系塩基性架橋促進剤;ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘプチルアミンなどのジシクロアルキルアミン;N−メチルシクロペンチルアミン、N−ブチルシクロペンチルアミン、N−ヘプチルシクロペンチルアミン、N−オクチルシクロペンチルアミン、N−エチルシクロヘキシルアミン、N−ブチルシクロヘキシルアミン、N−ヘプチルシクロヘキシルアミン、N−オクチルシクロオクチルアミン、N−ヒドロキシメチルシクロペンチルアミン、N−ヒドロキシブチルシクロヘキシルアミン、N−メトキシエチルシクロペンチルアミン、N−エトキシブチルシクロヘキシルアミン、N−メトキシカルボニルブチルシクロペンチルアミン、N−メトキシカルボニルヘプチルシクロヘキシルアミン、N−アミノプロピルシクロペンチルアミン、N−アミノヘプチルシクロヘキシルアミン、ジ(2−クロロシクロペンチル)アミン、ジ(3−クロロシクロペンチル)アミンなどの二級アミン系塩基性架橋促進剤;などが挙げられる。これらのなかでも、グアニジン系塩基性架橋促進剤、二級アミン系塩基性架橋促進剤および環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤が好ましく、環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤がより好ましく、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7および1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5がさらに好ましく、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7が特に好ましい。なお、上記環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤は、有機カルボン酸やアルキルリン酸などと塩を形成していてもよい。また、上記二級アミン系塩基性架橋促進剤は、アルキレングリコールや炭素数5〜20のアルキルアルコールなどのアルコール類が混合されたものであってもよく、さらに無機酸および/または有機酸を含んでいてもよい。そして、当該二級アミン系塩基性架橋促進剤と前記無機酸および/または有機酸とが塩を形成しさらに前記アルキレングリコールと複合体を形成していてもよい。
塩基性架橋促進剤を配合する場合における、本発明の架橋性ニトリルゴム組成物中の配合量は、高飽和ニトリルゴム(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部であり、より好ましくは0.2〜15重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。
また、本発明の架橋性ニトリルゴム組成物は、有機短繊維をさらに含有していることが好ましい。
有機短繊維としては、平均繊維長が0.1〜12mmの範囲にある繊維状の有機材料であればよく特に限定されない。なお、有機短繊維の平均繊維長は、たとえば、光学顕微鏡により写真撮影を行い、得られた写真において無作為に選んだ100個の短繊維の長さを測定し、これを算術平均することにより求めることができる。平均繊維長が上記範囲にあると、短繊維同士の絡まりに起因する、架橋性ニトリルゴム組成物に対する分散性の低下を有効に防止しながら、得られるゴム架橋物の引張応力を適切に高めることができる。有機短繊維の平均繊維長は、好ましくは0.5〜10mmであり、より好ましくは0.5〜6mmである。
また、有機短繊維の平均繊維径は、特に限定されないが、好ましくは0.5〜100μm、より好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは2〜20μmである。なお、有機短繊維の平均繊維径は、たとえば、光学顕微鏡により写真撮影を行い、得られた写真において無作為に選んだ100個の短繊維の最も太い部分の径(直径)を測定し、これを算術平均することにより求めることができる。また、有機短繊維のアスペクト比(「有機短繊維の平均繊維長」/「有機短繊維の平均繊維径」)は、特に限定されないが、好ましくは5〜1000、より好ましくは50〜800である。
本発明で用いる有機短繊維としては、綿、木材セルロース繊維等の天然繊維;ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、レーヨン、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、フッ素系ポリマー等の合成樹脂からなる繊維;等が例示される。これらの中でも、その添加効果がより一層顕著になることから、合成樹脂からなる短繊維を用いることが好ましく、ポリアミドからなる短繊維を用いることがより好ましい。
ポリアミドとしては、ポリカプラミド、ポリ−ω−アミノヘプタン酸、ポリ−ω−アミノノナン酸、ポリウンデカンアミド、ポリエチレンジアミンアジパミド、ポリテトラメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカミド、ポリオクタメチレンアジパミド、ポリデカメチレンアジパミドなどの脂肪族ポリアミド;ポリパラフェニレンテレフタラミド(商品名「Kevlar」、東レ・デュポン社製)、ポリメタフェニレンイソフタラミド(商品名「コーネックス」、帝人テクノプロダクツ社製)、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド(商品名「テクノーラ」、帝人テクノプロダクツ社製)、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンデカナミドなどの芳香族ポリアミド(アラミド);などが挙げられる。これらのなかでも、得られるゴム架橋物の引張応力をより向上させることができるという点より、芳香族ポリアミド、すなわち、アラミドが好ましく、ポリパラフェニレンテレフタラミド、ポリメタフェニレンイソフタラミドおよびコポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミドがより好ましく、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミドが特に好ましい。
すなわち、ポリアミドからなる短繊維としては、アラミド短繊維が好ましく、ポリパラフェニレンテレフタラミド短繊維、ポリメタフェニレンイソフタラミド短繊維およびコポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド短繊維がより好ましく、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド短繊維が特に好ましい。
なお、有機短繊維としては、チョップドファイバー(カットファイバー)状でも、フィブリルを有するパルプ状のものでもよく、さらに、エポキシ系接着剤、イソシアネート系接着剤、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂/ラテックス等により各種処理を施したものであってもよい。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物中における、有機短繊維の配合量は、高飽和ニトリルゴム(A)100重量部に対して、好ましくは0.5〜80重量部、より好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは1〜30重量部である。有機短繊維の配合量を上記範囲とすることにより、混練時の加工性を良好なものとしながら、得られるゴム架橋物の引張応力を適切に向上させることできる。
また、本発明の架橋性ニトリルゴム組成物には、ゴム加工分野において通常使用されるその他の配合剤を配合してもよい。このような配合剤としては、たとえば、補強剤、充填材、光安定剤、スコーチ防止剤、可塑剤、加工助剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、受酸剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤、シランカップリング剤、架橋助剤、共架橋剤、架橋促進剤、架橋遅延剤、発泡剤などが挙げられる。これらの配合剤の配合量は、配合目的に応じた量を適宜採用することができる。
可塑剤は、特に限定されないが、トリメリット酸系可塑剤やエーテルエステル系可塑剤などを用いることができる。具体例としては、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸イソノニルエステル、アジピン酸ビス[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]、ジヘプタノエート、ジ−2−エチルヘキサノエート、ジデカノエートなどが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、本発明の架橋性ニトリルゴム組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、上述した高飽和ニトリルゴム(A)以外のゴムを配合してもよい。
このようなゴムとしては、アクリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴムなどが挙げられる。
高飽和ニトリルゴム(A)以外のゴムを配合する場合における、架橋性ニトリルゴム組成物中の配合量は、高飽和ニトリルゴム(A)100重量部に対して、好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下である。
また、本発明の架橋性ニトリルゴム組成物は、上記各成分を好ましくは非水系で混合することで調製される。本発明の架橋性ニトリルゴム組成物を調製する方法に限定はないが、通常、架橋剤および熱に不安定な共架橋剤などを除いた成分を、バンバリーミキサ、インターミキサ、ニーダなどの混合機で一次混練した後、オープンロールなどに移して架橋剤や熱に不安定な共架橋剤などを加えて二次混練することにより調製できる。なお、一次混練は、通常、10〜200℃、好ましくは30〜180℃の温度で、1分間〜1時間、好ましくは1分間〜30分間行い、二次混練は、通常、10〜90℃、好ましくは20〜60℃の温度で、1分間〜1時間、好ましくは1分間〜30分間行う。
このようにして得られる本発明の架橋性ニトリルゴム組成物は、コンパウンドムーニー粘度(ML1+4、100℃)が、好ましくは10〜200、より好ましくは40〜140、さらに好ましくは50〜100であり、加工性に優れるものである。
ゴム架橋物
本発明のゴム架橋物は、上述した本発明の架橋性ニトリルゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明の架橋性ニトリルゴム組成物を用い、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、100〜200℃、好ましくは130〜190℃であり、架橋時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは2分〜1時間である。
また、架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。
このようにして得られる本発明のゴム架橋物は、上述した本発明の架橋性ニトリルゴム組成物を架橋して得られるものであり、引張応力に優れるものである。
このため、本発明のゴム架橋物は、このような特性を活かし、O−リング、パッキン、ダイアフラム、オイルシール、シャフトシール、ベアリングシール、ウェルヘッドシール、空気圧機器用シール、エアコンディショナの冷却装置や空調装置の冷凍機用コンプレッサに使用されるフロン若しくはフルオロ炭化水素または二酸化炭素の密封用シール、精密洗浄の洗浄媒体に使用される超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素の密封用シール、転動装置(転がり軸受、自動車用ハブユニット、自動車用ウォーターポンプ、リニアガイド装置およびボールねじ等)用のシール、バルブおよびバルブシート、BOP(Blow Out Preventar)、プラターなどの各種シール材;インテークマニホールドとシリンダヘッドとの連接部に装着されるインテークマニホールドガスケット、シリンダブロックとシリンダヘッドとの連接部に装着されるシリンダヘッドガスケット、ロッカーカバーとシリンダヘッドとの連接部に装着されるロッカーカバーガスケット、オイルパンとシリンダブロックあるいはトランスミッションケースとの連接部に装着されるオイルパンガスケット、正極、電解質板および負極を備えた単位セルを挟み込む一対のハウジング間に装着される燃料電池セパレーター用ガスケット、ハードディスクドライブのトップカバー用ガスケットなどの各種ガスケット;印刷用ロール、製鉄用ロール、製紙用ロール、工業用ロール、事務機用ロールなどの各種ロール;平ベルト(フィルムコア平ベルト、コード平ベルト、積層式平ベルト、単体式平ベルト等)、Vベルト(ラップドVベルト、ローエッジVベルト等)、Vリブドベルト(シングルVリブドベルト、ダブルVリブドベルト、ラップドVリブドベルト、背面ゴムVリブドベルト、上コグVリブドベルト等)、CVT用ベルト、タイミングベルト、歯付ベルト、コンベアーベルト、などの各種ベルト;燃料ホース、ターボエアーホース、オイルホース、ラジェターホース、ヒーターホース、ウォーターホース、バキュームブレーキホース、コントロールホース、エアコンホース、ブレーキホース、パワーステアリングホース、エアーホース、マリンホース、ライザー、フローラインなどの各種ホース;CVJブーツ、プロペラシャフトブーツ、等速ジョイントブーツ、ラックアンドピニオンブーツなどの各種ブーツ;クッション材、ダイナミックダンパ、ゴムカップリング、空気バネ、防振材、クラッチフェーシング材などの減衰材ゴム部品;ダストカバー、自動車内装部材、摩擦材、タイヤ、被覆ケーブル、靴底、電磁波シールド、フレキシブルプリント基板用接着剤等の接着剤、燃料電池セパレーターの他、エレクトロニクス分野など幅広い用途に使用することができる。これらのなかでも、本発明のゴム架橋物は、引張応力に特に優れるものであるため、ベルトとして特に好適である。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験および評価は下記によった。
ヨウ素価
高飽和ニトリルゴムのヨウ素価は、JIS K6235に準じて測定した。
可塑度
ニトリルゴム組成物の可塑度η1,η2は、可塑度η1測定用の試料、および可塑度η2測定用の試料を用いて、JIS K6300−3に準じて、測定装置として、「RAPID PLASTIMETER P14VT(Wallace社製)」を用いて測定した。そして、測定の結果得られた可塑度η1,η2について、これらの差(η2−η1)を算出した。
キャピラリー押し出し性
ニトリルゴム組成物について、ゴム用キャピラリーレオメータ(商品名「Rubber Capillary Rheometer」、Goettfert社製)を用いて、流動性の評価を行った。具体的には、ピストン温度100℃、チャンバー温度100℃に設定し、ニトリルゴム組成物を投入し、3分間余熱した後、ピストンにより200barの圧力で押し出し、60秒後の押出量(mm)を測定した。この時の押出量が多いほど、加工性(流動性)に優れると判断できる。
ニトリルゴム組成物中のアルキル化フェノール化合物の含有量
JIS K6229に従い、ニトリルゴム組成物についてメタノール抽出を行った。そして、得られた抽出物をクロロホルムに溶解し、JIS K0114およびJIS K6231を参照して、ガスクロマトグラフィーによりピーク面積の測定を行い、検量線法によって、ニトリルゴム組成物中のアルキル化フェノール化合物の含有量(すなわち、高飽和ニトリルゴムと、アルキル化フェノール化合物との合計に対する、アルキル化フェノール化合物の含有割合)を測定した。ガスクロマト装置としては、GC−2010(島津製作所社製)水素炎イオン化型検出器を用い、ZebronZB130m×0.25mm×0.3μmのカラムを使用した。なお、製造例9については、アルキル化フェノール化合物の含有量に代えて、N-フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミンの含有量を測定した。
常態物性(20%引張応力)
架橋性ニトリルゴム組成物を、縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型に入れ、プレス圧10MPaで加圧しながら170℃で20分間プレス成形してシート状のゴム架橋物を得た。得られたシート状のゴム架橋物を3号形ダンベルで打ち抜いて試験片を作製した。そして、得られた試験片を用いて、JIS K6251に従い、ゴム架橋物の20%引張応力を測定した。
製造例1(ニトリルゴム組成物(a−1)の製造)
反応器内でイオン交換水200部に、炭酸ナトリウム0.2部を溶解し、それに脂肪酸カリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)2.25部を添加して石鹸水溶液を調製した。そして、この石鹸水溶液に、アクリロニトリル38部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.45部をこの順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン62部を仕込んだ。次いで、反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部、還元剤、およびキレート剤適量を仕込み、重合反応を開始した。そして、重合転化率が80%になった時点で、濃度10%のハイドロキノン(重合停止剤)水溶液0.05部とN−イソプロピルヒドロキシルアミン(重合停止剤)0.05部とを加えて重合反応を停止し、アルキル化フェノール化合物(B)としての2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.4部添加し、水温60℃のロータリーエバポレ−タを用いて残留単量体を除去して、ニトリルゴムのラテックス(固形分濃度約25重量%)を得た。なお、得られたラテックスのpHは9.6であった。
次いで、上記にて得られたラテックスのニトリルゴム分に対して3重量%となる量の硫酸アルミニウムの水溶液に加えて撹拌してラテックスを凝固し、水で洗浄しつつ濾別した後、60℃で12時間真空乾燥してニトリルゴムを得た。そして、得られたニトリルゴムを、濃度12重量%となるようにアセトンに溶解し、これをオートクレーブに入れ、パラジウム・シリカ触媒をニトリルゴムに対して600重量ppm加え、水素圧3.0MPaで水素添加反応を行なうことで、高飽和ニトリルゴム(A−1)、およびアルキル化フェノール化合物(B)としての2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを含有するニトリルゴム組成物(a−1)の溶液を得た。
そして、得られたニトリルゴム組成物(a−1)の溶液のうちの一部を取り出し、大量の水中に注いで凝固させ、濾別および乾燥を行なって、固形状のニトリルゴム組成物(a−1)を得た。得られたニトリルゴム組成物(a−1)に含有される、高飽和ニトリルゴム(A−1)の組成は、アクリロニトリル単位36重量%、ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)74重量%であり、ヨウ素価は8、ポリマー・ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕は63であった。得られた固形状のニトリルゴム組成物(a−1)のうち、一部を「可塑度η1測定用の試料」とした。
また、上記とは別に、得られたニトリルゴム組成物(a−1)の溶液のうちの残部を、乳化剤としてのオレイン酸カリウムを含有する水と混合し、スチームストリッピングによりアセトンを除去することにより、ニトリルゴム組成物(a−1)の水分散液を得た。そして、得られたニトリルゴム組成物(a−1)の水分散液を、70℃で、7日間保存した。次いで、70℃、7日間保存後の水分散液に2倍容量のメタノールを加えて凝固した後、ろ過して固形物(クラム)を取り出し、これを60℃で12時間真空乾燥することにより、70℃、7日間保存後のニトリルゴム組成物(a−1)を得た。そして、得られた70℃、7日間保存後のニトリルゴム組成物(a−1)のうち一部を用いて、上記方法に従って、キャピラリー押し出し性の評価を行うとともに、得られた70℃、7日間保存後のニトリルゴム組成物(a−1)のうち、別に採取した一部を「可塑度η2測定用の試料」とした。そして、上記にて得られた「可塑度η1測定用の試料」および「可塑度η2測定用の試料」を用いて、上記方法に従い、可塑度η2と可塑度η1との差(η2−η1)を測定した。
製造例2(ニトリルゴム組成物(a−2)の製造)
反応器内でイオン交換水200部に、炭酸ナトリウム0.2部を溶解し、それに脂肪酸カリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)2.25部を添加して石鹸水溶液を調製した。そして、この石鹸水溶液に、アクリロニトリル13部、アクリル酸n−ブチル29部および、t−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.45部を仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン21部を仕込んだ。次いで、反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部、還元剤、およびキレート剤適量を仕込み、重合反応を開始した。反応転化率が60%になった時点で、アクリロニトリル12部、1,3−ブタジエン25部を添加し、重合転化率が85%になった時点で、濃度10%のハイドロキノン(重合停止剤)水溶液0.05部とN-イソプロピルヒドロキシルアミン(重合停止剤)0.05部を加えて重合反応を停止し、アルキル化フェノール化合物(B)としての2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.45部を添加した後、水温60℃のロータリーエバポレ−タを用いて残留単量体を除去して、ニトリルゴムのラテックス(固形分濃度約25重量%)を得た。なお、得られたラテックスのpHは10.1であった。
次いで、上記にて得られたラテックスのニトリルゴム分に対して3重量%となる量の硫酸アルミニウムの水溶液に加えて撹拌してラテックスを凝固し、水で洗浄しつつ濾別した後、60℃で12時間真空乾燥してニトリルゴムを得た。そして、得られたニトリルゴムを、濃度12重量%となるようにアセトンに溶解し、これをオートクレーブに入れ、パラジウム・シリカ触媒をニトリルゴムに対して500重量ppm加え、水素圧3.0MPaで水素添加反応を行なうことで、高飽和ニトリルゴム(A−2)、およびアルキル化フェノール化合物(B)としての2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを含有するニトリルゴム組成物(a−2)の溶液を得た。
そして、得られたニトリルゴム組成物(a−2)の溶液のうちの一部を取り出し、大量の水中に注いで凝固させ、濾別および乾燥を行なって、固形状のニトリルゴム組成物(a−2)を得た。得られたニトリルゴム組成物(a−2)に含有される、高飽和ニトリルゴム(A−2)の組成は、アクリロニトリル単位26.2重量%、アクリル酸n‐ブチル単位29.3重量%、ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)44.5重量%であり、ヨウ素価は15、ポリマー・ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕は68であった。得られた固形状のニトリルゴム組成物(a−2)のうち、一部を「可塑度η1測定用の試料」とした。
また、製造例1と同様に、上記とは別に、得られたニトリルゴム組成物(a−2)の溶液のうちの残部を用いて、ニトリルゴム組成物(a−2)の水分散液を得て、これを、70℃で、7日間保存した。そして、70℃、7日間保存後の水分散液に2倍容量のメタノールを加えて凝固した後、ろ過して固形物(クラム)を取り出し、これを60℃で12時間真空乾燥することにより、70℃、7日間保存後のニトリルゴム組成物(a−2)を得た。そして、得られた70℃、7日間保存後のニトリルゴム組成物(a−2)のうち一部を用いて、上記方法に従って、キャピラリー押し出し性の評価を行うとともに、得られた70℃、7日間保存後のニトリルゴム組成物(a−2)のうち、別に採取した一部を「可塑度η2測定用の試料」とした。そして、上記にて得られた「可塑度η1測定用の試料および「可塑度η2測定用の試料」を用いて、上記方法に従い、可塑度η2と可塑度η1との差(η2−η1)を測定した。
製造例3(ニトリルゴム組成物(a−3)の製造)
反応器に、イオン交換水180部、濃度10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25部、アクリロニトリル37部、マレイン酸モノn−ブチル6部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.5部を、この順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン57部を仕込んだ。反応器を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部を仕込み、攪拌しながら16時間重合反応を継続した。次いで、濃度10重量%のハイドロキノン水溶液(重合停止剤)0.1部を加えて重合反応を停止した後、アルキル化フェノール化合物(B)としての2,2’-メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)0.25部を添加した。次いで、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去し、ニトリルゴムのラテックス(固形分濃度約30重量%)を得た。なお、得られたラテックスのpHは3.0であった。
次いで、ラテックスに含有されるゴムの乾燥重量に対して、パラジウム量が1,000重量ppmになるように、オートクレーブ中に、ラテックスおよびパラジウム触媒(1重量%酢酸パラジウムアセトン溶液と等重量のイオン交換水を混合した溶液)を添加して、水素圧3MPa、温度50℃で6時間水素添加反応を行い、高飽和ニトリルゴム(A−3)、およびアルキル化フェノール化合物(B)としての2,2’-メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を含有するニトリルゴム組成物(a−3)の水分散液を得た。
そして、得られたニトリルゴム組成物(a−3)の水分散液のうちの一部を取り出し、2倍容量のメタノールを加えて凝固した後、ろ過して固形物(クラム)を取り出し、これを60℃で12時間真空乾燥することにより、固形状のニトリルゴム組成物(a−3)を得た。得られたニトリルゴム組成物(a−3)に含有される、高飽和ニトリルゴム(A−3)の組成は、アクリロニトリル単位35.6重量%、ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)59.0重量%、マレイン酸モノn−ブチル単位5.4重量%であり、ヨウ素価は8、カルボキシル基含有量は3.1×10−2ephr、ポリマー・ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕は49であった。得られた固形状のニトリルゴム組成物(a−3)のうち、一部を「可塑度η1測定用の試料」とした。
また、上記とは別に、得られたニトリルゴム組成物(a−3)の水分散液のうちの残部を、70℃で、7日間保存した。そして、70℃、7日間保存後の水分散液に2倍容量のメタノールを加えて凝固した後、ろ過して固形物(クラム)を取り出し、これを60℃で12時間真空乾燥することにより、70℃、7日間保存後のニトリルゴム組成物(a−3)を得た。そして、得られた70℃、7日間保存後のニトリルゴム組成物(a−3)のうち一部を用いて、上記方法に従って、キャピラリー押し出し性の評価を行うとともに、得られた70℃、7日間保存後のニトリルゴム組成物(a−3)のうち、別に採取した一部を「可塑度η2測定用の試料」とした。そして、上記にて得られた「可塑度η1測定用の試料」および「可塑度η2測定用の試料」を用いて、上記方法に従い、可塑度η2と可塑度η1との差(η2−η1)を測定した。
製造例4(ニトリルゴム組成物(a−4)の製造)
重合反応を停止した後、アルキル化フェノール化合物(B)として、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.4部に代えて、2,2’-メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)0.13部を添加した以外は、製造例1と同様にして、高飽和ニトリルゴム(A−1)、およびアルキル化フェノール化合物(B)としての2,2’-メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を含有するニトリルゴム組成物(a−4)の溶液を得て、同様に70℃、7日間の保存、および各測定を行った。
製造例5(ニトリルゴム組成物(a−5)の製造)
重合反応を停止した後、アルキル化フェノール化合物(B)として、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)0.25部に代えて、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.4部を添加した以外は、製造例3と同様にして、高飽和ニトリルゴム(A−3)、およびアルキル化フェノール化合物(B)としての2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを含有するニトリルゴム組成物(a−5)の水分散液を得て、同様に70℃、7日間の保存、および各測定を行った。
製造例6(ニトリルゴム組成物(a−6)の製造)
重合反応を停止した後、アルキル化フェノール化合物(B)としての2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)0.25部を添加しなかった以外は、製造例3と同様にして、高飽和ニトリルゴム(A−3)を含有するニトリルゴム組成物(a−6)の水分散液を得て、同様に70℃、7日間の保存、および各測定を行った。
製造例7(ニトリルゴム組成物(a−7)の製造)
重合反応を停止した後、アルキル化フェノール化合物(B)としての2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.4部を添加しなかった以外は、製造例1と同様にして、高飽和ニトリルゴム(A−1)を含有するニトリルゴム組成物(a−7)の溶液を得て、同様に70℃、7日間の保存、および各測定を行った。
製造例8(ニトリルゴム組成物(a−8)の製造)
重合反応を停止した後、アルキル化フェノール化合物(B)としての2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.45部を添加しなかった以外は、製造例2と同様にして、高飽和ニトリルゴム(A−2)を含有するニトリルゴム組成物(a−8)の溶液を得て、同様に70℃、7日間の保存、および各測定を行った。
製造例9(ニトリルゴム組成物(a−9)の製造)
反応器内でイオン交換水200部に、炭酸ナトリウム0.2部を溶解し、それに脂肪酸カリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)2.25部を添加して石鹸水溶液を調製した。そして、この石鹸水溶液に、アクリロニトリル38部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.45部をこの順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン62部を仕込んだ。次いで、反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部、還元剤、およびキレート剤適量を仕込み、重合反応を開始した。重合転化率が80%になった時点で、濃度10%のハイドロキノン(重合停止剤)水溶液0.05部およびN-イソプロピルヒドロキシルアミン(重合停止剤)0.05部を加えて重合反応を停止し、N-フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン0.45部添加し、水温60℃のロータリーエバポレ−タを用いて残留単量体を除去して、ニトリルゴムのラテックス(固形分濃度約25重量%)を得た。
次いで、上記にて得られたラテックスのニトリルゴム分に対して3重量%となる量の硫酸アルミニウムの水溶液に加えて撹拌してラテックスを凝固し、水で洗浄しつつ濾別した後、60℃で12時間真空乾燥してニトリルゴムを得た。そして、得られたニトリルゴムを、濃度12重量%となるようにアセトンに溶解し、これをオートクレーブに入れ、パラジウム・シリカ触媒をニトリルゴムに対して500重量ppm加え、水素圧3.0MPaで水素添加反応を行なうことで、高飽和ニトリルゴム(A−4)、およびN-フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミンを含有するニトリルゴム組成物(a−9)の溶液を得た。
そして、得られたニトリルゴム組成物(a−9)の溶液のうちの一部を取り出し、大量の水中に注いで凝固させ、濾別および乾燥を行なって、固形状のニトリルゴム組成物(a−9)を得た。得られたニトリルゴム組成物(a−9)に含有される、高飽和ニトリルゴム(A−4)の組成は、アクリロニトリル単位36重量%、ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)74重量%であり、ヨウ素価は13、ポリマー・ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕は83であった。得られた固形状のニトリルゴム組成物(a−9)のうち、一部を「可塑度η1測定用の試料」とした。
また、製造例1と同様に、上記とは別に、得られたニトリルゴム組成物(a−9)の溶液のうちの残部を用いて、ニトリルゴム組成物(a−9)の水分散液を得て、これを、70℃で、7日間保存した。そして、70℃、7日間保存後の水分散液に2倍容量のメタノールを加えて凝固した後、ろ過して固形物(クラム)を取り出し、これを60℃で12時間真空乾燥することにより、70℃、7日間保存後のニトリルゴム組成物(a−9)を得た。そして、得られた70℃、7日間保存後のニトリルゴム組成物(a−9)のうち一部を用いて、上記方法に従って、キャピラリー押し出し性の評価を行うとともに、得られた70℃、7日間保存後のニトリルゴム組成物(a−9)のうち、別に採取した一部を「可塑度η2測定用の試料」とした。そして、上記にて得られた「可塑度η1測定用の試料」および「可塑度η2測定用の試料」を用いて、上記方法に従い、可塑度η2と可塑度η1との差(η2−η1)を測定した。
製造例10(ニトリルゴム組成物(a−10)の製造)
反応器内でイオン交換水200部に、炭酸ナトリウム0.2部を溶解し、それに脂肪酸カリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)2.25部を添加して石鹸水溶液を調製した。そして、この石鹸水溶液に、アクリロニトリル38部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.45部をこの順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン62部を仕込んだ。次いで、反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部、還元剤、およびキレート剤適量を仕込み、重合反応を開始した。そして、重合転化率が80%になった時点で、濃度10%のハイドロキノン(重合停止剤)水溶液0.05部を加えて重合反応を停止し、アルキル化フェノール化合物(B)としての2,2’-メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)0.1部添加し、水温60℃のロータリーエバポレ−タを用いて残留単量体を除去して、ニトリルゴムのラテックス(固形分濃度約25重量%)を得た。
次いで、上記にて得られたラテックスのニトリルゴム分に対して3重量%となる量の硫酸アルミニウムの水溶液に加えて撹拌してラテックスを凝固し、水で洗浄しつつ濾別した後、60℃で12時間真空乾燥してニトリルゴムを得た。そして、得られたニトリルゴムを、濃度12重量%となるようにアセトンに溶解し、これをオートクレーブに入れ、パラジウム・シリカ触媒をニトリルゴムに対して500重量ppm加え、水素圧3.0MPaで水素添加反応を行なうことで、高飽和ニトリルゴム(A−5)、およびアルキル化フェノール化合物(B)としての2,2’-メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を含有するニトリルゴム組成物(a−10)の溶液を得た。
そして、得られたニトリルゴム組成物(a−10)の溶液のうちの一部を取り出し、大量の水中に注いで凝固させ、濾別および乾燥を行なうことで、固形状のニトリルゴム組成物(a−10)を得た。得られたニトリルゴム組成物(a−10)に含有される、高飽和ニトリルゴム(A−5)の組成は、アクリロニトリル単位36重量%、ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)74重量%であり、ヨウ素価は13、ポリマー・ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕は83であった。得られた固形状のニトリルゴム組成物(a−10)のうち、一部を「可塑度η1測定用の試料」とした。
また、製造例1と同様に、上記とは別に、得られたニトリルゴム組成物(a−10)の溶液のうちの残部を用いて、ニトリルゴム組成物(a−10)の水分散液を得て、これを、70℃で、7日間保存した。そして、70℃、7日間保存後の水分散液に2倍容量のメタノールを加えて凝固した後、ろ過して固形物(クラム)を取り出し、これを60℃で12時間真空乾燥することにより、70℃、7日間保存後のニトリルゴム組成物(a−10)を得た。そして、得られた70℃、7日間保存後のニトリルゴム組成物(a−10)のうち一部を用いて、上記方法に従って、キャピラリー押し出し性の評価を行うとともに、得られた70℃、7日間保存後のニトリルゴム組成物(a−10)のうち、別に採取した一部を「可塑度η2測定用の試料」とした。そして、上記にて得られた「可塑度η1測定用の試料」および「可塑度η2測定用の試料」を用いて、上記方法に従い、可塑度η2と可塑度η1との差(η2−η1)を測定した。
製造例11(ニトリルゴム組成物(a−11)の製造)
反応器内でイオン交換水200部に、炭酸ナトリウム0.2部を溶解し、それに脂肪酸カリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)2.25部を添加して石鹸水溶液を調製した。そして、この石鹸水溶液に、アクリロニトリル13部、アクリル酸n−ブチル29部および、分子量調整剤0.45部を仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン21部を仕込んだ。次いで、反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.5部、適量の還元剤、およびキレート剤を仕込み、攪拌しながら8時間重合反応を継続した。なお、本製造例においては、キレート剤の仕込み量を製造例1における仕込み量に対し、50倍の量(金属換算で(金属の重量で)、1.2部)とした。次いで、濃度10重量%のハイドロキノン水溶液(重合停止剤)0.2部およびN-イソプロピルヒドロキシルアミン(重合停止剤)0.3部を加えて重合反応を停止し、アルキル化フェノール化合物(B)としての2,2’-メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)0.4部を添加した後、pH調整剤を適量仕込み、pHを4とし、水温70℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去し、ニトリルゴムのラテックス(固形分濃度約30重量%)を得た。
次いで、上記にて得られたラテックスのニトリルゴム分に対して3重量%となる量の硫酸アルミニウムの水溶液に加えて撹拌してラテックスを凝固し、水で洗浄しつつ濾別した後、60℃で12時間真空乾燥してニトリルゴムを得た。そして、得られたニトリルゴムを、濃度12重量%となるようにアセトンに溶解し、これをオートクレーブに入れ、パラジウム・シリカ触媒をニトリルゴムに対して500重量ppm加え、水素圧3.0MPaで水素添加反応を行なうことで、高飽和ニトリルゴム(A−6)、およびアルキル化フェノール化合物(B)としての2,2’-メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を含有するニトリルゴム組成物(a−11)の溶液を得た。
そして、得られたニトリルゴム組成物(a−11)の溶液のうちの一部を取り出し、大量の水中に注いで凝固させ、濾別および乾燥を行なうことで、固形状のニトリルゴム組成物(a−11)を得た。得られたニトリルゴム組成物(a−11)に含有される、高飽和ニトリルゴム(A−6)の組成は、アクリロニトリル単位26.2重量%、アクリル酸n‐ブチル単位29.3重量%、ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)44.5重量%であり、ヨウ素価は15、ポリマー・ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕は70であった。得られた固形状のニトリルゴム組成物(a−11)のうち、一部を「可塑度η1測定用の試料」とした。
また、製造例1と同様に、上記とは別に、得られたニトリルゴム組成物(a−11)の溶液のうちの残部を用いて、ニトリルゴム組成物(a−11)の水分散液を得て、これを、70℃で、7日間保存した。そして、70℃、7日間保存後の水分散液に2倍容量のメタノールを加えて凝固した後、ろ過して固形物(クラム)を取り出し、これを60℃で12時間真空乾燥することにより、70℃、7日間保存後のニトリルゴム組成物(a−11)を得た。そして、得られた70℃、7日間保存後のニトリルゴム組成物(a−11)のうち一部を用いて、上記方法に従って、キャピラリー押し出し性の評価を行うとともに、得られた70℃、7日間保存後のニトリルゴム組成物(a−11)のうち、別に採取した一部を「可塑度η2測定用の試料」とした。そして、上記にて得られた「可塑度η1測定用の試料」および「可塑度η2測定用の試料」を用いて、上記方法に従い、可塑度η2と可塑度η1との差(η2−η1)を測定した。
製造例12(ニトリルゴム組成物(a−12)の製造)
重合反応を停止した後における、アルキル化フェノール化合物(B)としての2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)の添加量を0.13部から3.0部に変更した以外は、製造例4と同様にして、高飽和ニトリルゴム(A−1)、およびアルキル化フェノール化合物(B)としての2,2’-メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を含有するニトリルゴム組成物(a−12)の溶液を得て、同様に70℃、7日間の保存、および各測定を行った。
表1に、各製造例で得られたニトリルゴム組成物について、まとめて示す。
Figure 2016084734
実施例1
バンバリーミキサを用いて、製造例1にて得られたニトリルゴム組成物(a−1)100部、およびコポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド短繊維(商品名「テクノーラZCF T323SB 1mm」、帝人テクノプロダクツ社製、平均繊維長1mm、平均繊維径12μmのアラミド短繊維)10部を混練した。次いで、混合物をロールに移して、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン40%品(商品名「Vul Cup 40KE」、アルケマ社製、有機過酸化物架橋剤)8部を添加して混練することで、架橋性ニトリルゴム組成物を得た。なお、本実施例においては、ニトリルゴム組成物(a−1)として、水分散液の状態で70℃、7日間保存した後、凝固することにより得られたものを使用した(後述する実施例2〜5、比較例1〜8も同様。)。
そして、得られた架橋性ニトリルゴム組成物を用いて、上述した方法に従って、20%引張応力試験を行った。結果を表2に示す。
実施例2
製造例1で得られたニトリルゴム組成物(a−1)に代えて、製造例2で得られたニトリルゴム組成物(a−2)を使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
実施例3
バンバリーミキサを用いて、製造例3にて得られたニトリルゴム組成物(a−3)100部、およびコポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド短繊維(商品名「テクノーラZCF T323SB 1mm」、帝人テクノプロダクツ社製、平均繊維長1mm、平均繊維径12μmのアラミド短繊維)10部を混練した。次いで、混合物をロールに移して、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(ポリアミン架橋剤)6.3部、および1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)(商品名「RHENOGRAN XLA−60(GE2014)」、RheinChemie社製、DBU60%(ジンクジアルキルジフォスフェイト塩になっている部分も含む)、塩基性架橋促進剤)4部を添加して混練することで、架橋性ニトリルゴム組成物を得た。
そして、得られた架橋性ニトリルゴム組成物を用いて、上述した方法に従って、20%引張応力試験を行った。結果を表2に示す。
実施例4
製造例1で得られたニトリルゴム組成物(a−1)に代えて、製造例4で得られたニトリルゴム組成物(a−4)を使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
実施例5
製造例3で得られたニトリルゴム組成物(a−3)に代えて、製造例5で得られたニトリルゴム組成物(a−5)を使用した以外は、実施例3と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
比較例1
製造例3で得られたニトリルゴム組成物(a−3)に代えて、製造例6で得られたニトリルゴム組成物(a−6)を使用した以外は、実施例3と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
比較例2
製造例1で得られたニトリルゴム組成物(a−1)に代えて、製造例7で得られたニトリルゴム組成物(a−7)を使用するとともに、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド短繊維10部を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
比較例3
製造例1で得られたニトリルゴム組成物(a−1)に代えて、製造例7で得られたニトリルゴム組成物(a−7)を使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
比較例4
製造例7で得られたニトリルゴム組成物(a−7)に代えて、製造例8で得られたニトリルゴム組成物(a−8)を使用した以外は、比較例2と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
比較例5
製造例1で得られたニトリルゴム組成物(a−1)に代えて、製造例9で得られたニトリルゴム組成物(a−9)を使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
比較例6
製造例1で得られたニトリルゴム組成物(a−1)に代えて、製造例10で得られたニトリルゴム組成物(a−10)を使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
比較例7
製造例1で得られたニトリルゴム組成物(a−1)に代えて、製造例11で得られたニトリルゴム組成物(a−11)を使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
比較例8
製造例1で得られたニトリルゴム組成物(a−1)に代えて、製造例12で得られたニトリルゴム組成物(a−12)を使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2016084734
表1,2より、高飽和ニトリルゴム(A)と、所定量のアルキル化フェノール化合物(B)とを含有し、かつ、70℃、7日間保存した後における可塑度η2と、該保存前の可塑度η1との差(η2−η1)が12以下であるニトリルゴム組成物は、キャピラリー押し出し性評価における押し出し量が多く、加工性(流動性)に優れるものであり、さらには、得られるゴム架橋物は、20%引張応力に優れるものであった(製造例1〜5、実施例1〜5)。なお、本実施例においては、キャピラリー押し出し性、および20%引張応力の評価を、水分散液の状態で70℃、7日間保存した後、凝固したものを用いたが、これは、本発明のニトリルゴム組成物などのゴム組成物の分野においては、製造から比較的長い時間保存された後(たとえば、常温で、1440時間以上)、使用される場合が多いため、このようなことを考慮したものである。
一方、アルキル化フェノール化合物(B)を配合しなかった場合には、得られるニトリルゴム組成物は、キャピラリー押し出し性評価における押し出し量が少なく、加工性(流動性)に劣るものであり、さらには、得られるゴム架橋物は、20%引張応力にも劣るものであった(製造例6〜8、比較例1〜4)。
アルキル化フェノール化合物(B)の代わりに、N-フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミンを使用した場合には、ゴム架橋物とした場合の20%引張応力に劣るものであった(製造例9、比較例5)。
また、アルキル化フェノール化合物(B)を配合した場合でも、70℃、7日間保存した後における可塑度η2と、保存前の可塑度η1との差(η2−η1)が12を超える場合には、キャピラリー押し出し性評価における押し出し量が少なく、加工性(流動性)に劣るものとなったり、さらには、ゴム架橋物とした場合の20%引張応力に劣るものであった(製造例10,11、比較例6,7)。
さらに、アルキル化フェノール化合物(B)の含有量が多すぎる場合には、ゴム架橋物とした場合の20%引張応力に劣るものであった(製造例12、比較例8)。

Claims (9)

  1. α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を8〜60重量%の割合で含有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴム(A)と、
    アルキル化フェノール化合物(B)とを含有し、
    前記高飽和ニトリルゴム(A)と、前記アルキル化フェノール化合物(B)との合計に対する、前記アルキル化フェノール化合物(B)の含有割合が、0.01〜1重量%であるニトリルゴム組成物であって、
    水中に分散させて水分散液とした状態において、70℃、7日間保存した後における可塑度η2と、該保存前の可塑度η1との差(η2−η1)が12以下であることを特徴とするニトリルゴム組成物。
  2. 前記高飽和ニトリルゴム(A)と、前記アルキル化フェノール化合物(B)との合計に対する、前記アルキル化フェノール化合物(B)の含有割合が、0.01〜0.95重量%である請求項1に記載のニトリルゴム組成物。
  3. 前記アルキル化フェノール化合物(B)が、下記一般式(1)で表される化合物、または下記一般式(2)で表される化合物である請求項1または2に記載のニトリルゴム組成物。
    Figure 2016084734
    (上記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたアミノ基、または、含窒素複素環基であり、nは1〜5の整数である。また、上記一般式(1)中のRのうち少なくとも1つは、炭素数1〜7のアルキル基である。)
    Figure 2016084734
    (上記一般式(2)中、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたアミノ基、または、含窒素複素環基であり、Aは、化学的な単結合、または炭素数1〜4のアルキレン基であり、m,kは、それぞれ独立に1〜4の整数である。また、上記一般式(2)中のRのうち少なくとも1つは、炭素数1〜7のアルキル基であり、上記一般式(2)中のRのうち少なくとも1つは、炭素数1〜7のアルキル基である。)
  4. α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を8〜60重量%の割合で含有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴム(A)と、
    アルキル化フェノール化合物(B)とを含有し、
    前記高飽和ニトリルゴム(A)と、前記アルキル化フェノール化合物(B)との合計に対する、前記アルキル化フェノール化合物(B)の含有割合が、0.01〜1重量%である高飽和ニトリルゴムのラテックス組成物であって、
    70℃、7日間保存した後における凝固物の可塑度η2と、該保存前の凝固物の可塑度η1との差(η2−η1)が12以下であることを特徴とする高飽和ニトリルゴムのラテックス組成物。
  5. 前記高飽和ニトリルゴム(A)と、前記アルキル化フェノール化合物(B)との合計に対する、前記アルキル化フェノール化合物(B)の含有割合が、0.01〜0.95重量%である請求項4に記載の高飽和ニトリルゴムのラテックス組成物。
  6. 前記アルキル化フェノール化合物(B)が、下記一般式(1)で表される化合物、または下記一般式(2)で表される化合物である請求項4または5に記載の高飽和ニトリルゴムのラテックス組成物。
    Figure 2016084734
    (上記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたアミノ基、または、含窒素複素環基であり、nは1〜5の整数である。また、上記一般式(1)中のRのうち少なくとも1つは、炭素数1〜7のアルキル基である。)
    Figure 2016084734
    (上記一般式(2)中、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたアミノ基、または、含窒素複素環基であり、Aは、化学的な単結合、または炭素数1〜4のアルキレン基であり、m,kは、それぞれ独立に1〜4の整数である。また、上記一般式(2)中のRのうち少なくとも1つは、炭素数1〜7のアルキル基であり、上記一般式(2)中のRのうち少なくとも1つは、炭素数1〜7のアルキル基である。)
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載のニトリルゴム組成物、または請求項4〜6のいずれかに記載の高飽和ニトリルゴムのラテックス組成物を凝固して得られるニトリルゴム組成物に、架橋剤を配合してなる架橋性ニトリルゴム組成物。
  8. 有機短繊維をさらに含有する請求項7に記載の架橋性ニトリルゴム組成物。
  9. 請求項7または8に記載の架橋性ニトリルゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物。
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