JP2008138048A - 架橋性ニトリルゴム組成物およびゴム架橋物 - Google Patents

架橋性ニトリルゴム組成物およびゴム架橋物 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐熱老化性に優れたゴム架橋物を与える架橋性ニトリルゴム組成物を提供すること。
【解決手段】 α、β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位およびα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位を有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴム(a)、架橋剤(b)および老化防止剤(c)を含有してなり、前記老化防止剤(c)が分子量300以上のヒンダードフェノール系老化防止剤である架橋性ニトリルゴム組成物。好ましくは、前記α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位が、α,β−エチレン性不飽和結合を形成する二つの炭素原子の各々にカルボキシル基を有するジカルボン酸のモノエステル単量体から形成されたものであり、また好ましくは前記α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸がマレイン酸またはフマル酸である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐熱老化性に特に優れたゴム架橋物を与える架橋性ニトリルゴム組成物に関する。
耐油性、耐熱性および耐オゾン性を有するゴムとして、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(「高飽和ニトリルゴム」とも言う。)が知られている。高飽和ニトリルゴムの架橋物は、ベルト、ホース、ガスケット、パッキン、オイルシールなどの種々の用途で、主に自動車用ゴム製品に用いられている。最近、市場での品質要求が高度化し、殊に自動車のエンジンまわりで使用されるベルト、ガスケット、シールなどにおいて耐熱性の一層の向上が望まれるようになった。
特許文献1が提案している、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル単量体単位を含有する高飽和ニトリルゴム、ポリアミン系架橋剤及び塩基性架橋促進剤を含有する架橋性ゴム組成物を架橋して得られるゴム架橋物は、引張応力、引張強さ及び圧縮永久ひずみが改善され、耐熱老化性もある程度向上しているものの、市場では更なる高度の耐熱老化性を備えたゴム架橋物が求められていた。
特開2001−55471号公報
本発明の目的は、耐熱老化性に特に優れたゴム架橋物を与える架橋性ニトリルゴム組成物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究した結果、不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位を含有する高飽和ニトリルゴムと特定の老化防止剤を用いることにより上記の目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに到った。
かくして本発明によれば、α、β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位およびα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位を有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴム(a)、架橋剤(b)および老化防止剤(c)を含有してなり、前記老化防止剤(c)が分子量300以上のヒンダードフェノール系老化防止剤である架橋性ニトリルゴム組成物が提供される。本発明の架橋性ニトリルゴム組成物において、好ましくは前記α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位が、α,β−エチレン性不飽和結合を形成する二つの炭素原子の各々にカルボキシル基を有するジカルボン酸のモノエステル単量体から形成されたものであり、また好ましくは前記α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸がマレイン酸またはフマル酸であり、また好ましくは前記エステルがアルキルエステルであり、さらに好ましくは前記α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位がマレイン酸モノn−ブチル単量体単位である。
また、別の本発明によれば、上記のいずれかの架橋性ニトリルゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物が提供され、好ましくは前記ゴム架橋物がシール用ゴム部材、ベルト、ホースまたはガスケットである。
本発明により耐熱老化性に特に優れたゴム架橋物を与える架橋性ニトリルゴム組成物が提供される。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物は、α、β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位およびα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位を有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴム(a)、架橋剤(b)および老化防止剤(c)を含有してなり、前記老化防止剤(c)が分子量300以上のヒンダードフェノール系老化防止剤からなるものである。
高飽和ニトリルゴム(a)のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を形成する単量体(以下、「α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体」と記すことがある。)は、ニトリル基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物であれば限定されず、アクリロニトリル;α−クロロアクリロニトリル、α−ブロモアクリロニトリルなどのα−ハロゲノアクリロニトリル;メタクリロニトリルなどのα−アルキルアクリロニトリルなどが挙げられ、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが好ましい。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体はこれらの複数種を併用してもよい。
高飽和ニトリルゴム(a)におけるα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量は、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは15〜55重量%、特に好ましくは20〜50重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が少なすぎるとゴム架橋物は耐油性が低下するおそれがあり、逆に、多すぎると耐寒性が低下する可能性がある。
高飽和ニトリルゴム(a)のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位を形成する単量体は、架橋のためのフリーのカルボキシル基を1個有している。ジカルボン酸モノエステル単量体単位を有することにより、得られるゴム架橋物は引張応力の優れたものとなる。
高飽和ニトリルゴム(a)がα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位を含有するための好ましい方法は、上記α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体にα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体を共重合させることである。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体のエステル部の、酸素原子を介してカルボニル基と結合する有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基およびアルキルシクロアルキル基が好ましく、アルキルが特に好ましい。アルキル基の炭素数は好ましくは1〜10、より好ましくは2〜6であり、シクロアルキル基の炭素数は好ましくは5〜12、より好ましくは6〜10であり、アルキルシクロアルキル基の炭素数は好ましくは6〜12、より好ましくは7〜10である。該有機基の炭素数が小さすぎると架橋性ニトリルゴム組成物の加工安定性が低下するおそれがあり、逆に大きすぎると架橋速度が遅くなったり、ゴム架橋物の機械的特性が低下したりする可能性がある。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体の例としては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノn−ブチルなどのマレイン酸モノアルキルエステル;マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノシクロヘプチルなどのマレイン酸モノシクロアルキルエステル;マレイン酸モノメチルシクロペンチル、マレイン酸モノエチルシクロヘキシルなどのマレイン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノn−ブチルなどのフマル酸モノアルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘプチルなどのフマル酸モノシクロアルキルエステル;フマル酸モノメチルシクロペンチル、フマル酸モノエチルシクロヘキシルなどのフマル酸モノアルキルシクロアルキルエステル;シトラコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、シトラコン酸モノプロピル、シトラコン酸モノn−ブチルなどのシトラコン酸モノアルキルエステル;シトラコン酸モノシクロペンチル、シトラコン酸モノシクロヘキシル、シトラコン酸モノシクロヘプチルなどのシトラコン酸モノシクロアルキルエステル;シトラコン酸モノメチルシクロペンチル、シトラコン酸モノエチルシクロヘキシルなどのシトラコン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノn−ブチルなどのイタコン酸モノアルキルエステル;イタコン酸モノシクロペンチル、イタコン酸モノシクロヘキシル、イタコン酸モノシクロヘプチルなどのイタコン酸モノシクロアルキルエステル;イタコン酸モノメチルシクロペンチル、イタコン酸モノエチルシクロヘキシルなどのイタコン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;などが挙げられる。
これらの中でも、本発明の効果がより一層顕著に現れる点で、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノn−ブチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノn−ブチル、シトラコン酸モノプロピル、シトラコン酸モノn−ブチルなどのα,β−エチレン性不飽和結合を形成する二つの炭素原子の各々にカルボキシル基を有するジカルボン酸のモノエステルが好ましく、該ジカルボン酸がマレイン酸またはフマル酸であることがより好ましく、マレイン酸であることが特に好ましい。
なお、マレイン酸のモノエステルの中でも、マレイン酸モノn−ブチルが特に好ましい。
高飽和ニトリルゴム(a)におけるα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位の含有量は、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.2〜15重量%、特に好ましくは0.5〜10重量%である。α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位の含有量が多すぎると架橋性ニトリルゴム組成物のスコーチ安定性の悪化やゴム架橋物の耐疲労性の低下が起こるおそれがあり、逆に、少なすぎるとゴム架橋物の引張り応力が低下する可能性がある。
高飽和ニトリルゴム(a)は、上記のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位およびα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位の他に、ゴム架橋物がゴム弾性を保有するために、通常、ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位を有する。
ジエン単量体単位を形成するジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどの炭素数が4以上の共役ジエン;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエンなどの炭素数が5〜12の非共役ジエンが挙げられる。これらの中では共役ジエンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
α−オレフィン単量体単位を形成するα−オレフィンとしては、好ましくは炭素数が2〜12のものであり、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが例示される。
高飽和ニトリルゴム(a)におけるジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位の含有量は、好ましくは20〜89.5重量%、より好ましくは30〜84重量%、特に好ましくは40〜78.5重量%である。これらの単量体単位が少なすぎるとゴム架橋物のゴム弾性が低下するおそれがあり、逆に、多すぎると耐熱性や耐化学的安定性が損なわれる可能性がある。
高飽和ニトリルゴム(a)は、また、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体、および、ジエン単量体および/またはα−オレフィン単量体、と共重合可能なその他の単量体の単位を含有することができる。その他の単量体としては、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体以外のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸単量体、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物、芳香族ビニル単量体、フッ素含有ビニル単量体、共重合性老化防止剤などが例示される。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体以外のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどのアクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルであってアルキル基の炭素数が1〜18のもの;アクリル酸メトキシメチル、メタクリル酸メトキシエチルなどのアクリル酸アルコキシアルキルエステルおよびメタクリル酸アルコキシエステルであってアルコキシアルキル基の炭素数が2〜12のもの;アクリル酸ジメチルアミノメチル、アクリル酸ジエチルアミノエチルなどのアミノ基含有α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどのアクリル酸ヒドロキシアルキルエステルおよびメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルであってヒドロキシアルキル基の炭素数が1〜12のもの;アクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸テトラフルオロプロピルなどのフルオロアルキル基含有アクリル酸エステルおよびフルオロアルキル基含有メタクリル酸エステルであってアルキル基の炭素数が1〜12のもの;アクリル酸フルオロベンジル、メタクリル酸フルオロベンジルなどのフッ素置換ベンジル基含有アクリル酸エステルおよびフッ素置換ベンジル基含有メタクリル酸エステル;
マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジn−ブチルなどのマレイン酸ジアルキルエステルであってアルキル基の炭素数が1〜18のもの;フマル酸ジメチル、フマル酸ジn−ブチルなどのフマル酸ジアルキルエステルであってアルキル基の炭素数が1〜18のもの;マレイン酸ジシクロペンチル、マレイン酸ジシクロヘキシルなどのマレイン酸ジシクロアルキルエステルであってシクロアルキル基の炭素数が4〜16のもの;フマル酸ジシクロペンチル、フマル酸ジシクロヘキシルなどのフマル酸ジシクロアルキルエステルであってシクロアルキル基の炭素数が4〜16のもの;イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジn−ブチルなどのイタコン酸ジアルキルエステルであってアルキル基の炭素数が1〜18のもの:イタコン酸ジシクロヘキシルなどのイタコン酸ジシクロアルキルエステルであってシクロアルキル基の炭素数が4〜16のもの;などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸単量体としては、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸などが挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
フッ素含有ビニル単量体としては、フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o−トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
共重合性老化防止剤としては、N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、 N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが例示される。
これらの共重合可能なその他の単量体は、複数種類を併用してもよい。高飽和ニトリルゴム(a)が有するその他の単量体単位の含有量は、好ましくは60重量%以下、より好ましくは30重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。
本発明で使用する高飽和ニトリルゴム(a)100g当たりのカルボキシル基のモル数は、好ましくは5×10−4〜5×10−1ephr、より好ましくは1×10−3〜1×10−1ephr、特に好ましくは5×10−3〜6×10−2ephrである。高飽和ニトリルゴム(a)のカルボキシル基含有量が少なすぎると架橋性ニトリルゴム組成物は十分に架橋せず、ゴム架橋物の引張応力が低下するおそれがあり、逆に、多すぎると架橋性ニトリルゴム組成物のスコーチ安定性が悪化したり、ゴム架橋物の耐疲労性が低下したりする可能性がある。
高飽和ニトリルゴム(a)は、そのヨウ素価が120以下、好ましくは80以下、より好ましくは25以下、特に好ましくは15以下のものである。高飽和ニトリルゴム(a)のヨウ素価が高すぎると、ゴム架橋物の耐オゾン性が低下するおそれがある。
また、高飽和ニトリルゴム(a)のポリマームーニー粘度(ML1+4、100℃)は、好ましくは15〜200、より好ましくは20〜150、特に好ましくは30〜120である。高飽和ニトリルゴム(a)のムーニー粘度が低すぎるとゴム架橋物の強度特性が低下するおそれがあり、逆に、高すぎると架橋性ニトリルゴム組成物の加工性が低下する可能性がある。
上記高飽和ニトリルゴム(a)の製造方法は特に限定されない。一般的には、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体、ジエン単量体および/またはα−オレフィン単量体、並びに、必要に応じて加えられるこれらと共重合可能なその他の単量体を共重合する方法が便利で好ましい。重合法としては、公知の乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法および溶液重合法のいずれをも用いることができるが、重合反応の制御が容易であることから乳化重合法が好ましい。
共重合して得られた共重合体のヨウ素価が上記の範囲より高い場合は、共重合体の水素化(水素添加反応)を行うと良い。水素化の方法は特に限定されず、公知の方法を採用すればよい。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物が含有する架橋剤(b)としては、ポリアミン化合物、有機過酸化物、多価エポキシ化合物、多価イソシアナート化合物、アジリジン化合物、硫黄化合物、塩基性金属酸化物および有機金属ハロゲン化物などのゴムの架橋に通常用いられる従来公知の架橋剤を用いることができる。なかでも機械的特性に優れ、圧縮永久ひずみが小さいゴム架橋物が得られ易いことから、ポリアミン化合物(以下、「ポリアミン系架橋剤」という。)が好ましい。
ポリアミン系架橋剤としては、(1)2つ以上のアミノ基を有する化合物、または(2)架橋時に2つ以上のアミノ基を有する化合物の形態になるもの、であれば特に限定されないが、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素の複数の水素原子が、アミノ基またはヒドラジド構造(−CONHNHで表される構造、COはカルボニル基を表す。)で置換された化合物が好ましい。その具体例として、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、テトラメチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミンシンナムアルデヒド付加物、ヘキサメチレンジアミンジベンゾエート塩などの脂肪族多価アミン類;2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)などの芳香族多価アミン類;イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどのヒドラジド構造を2つ以上有する化合物;などが挙げられるが、脂肪族多価アミン類がより好ましく、ヘキサメチレンジアミンカルバメートが特に好ましい。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物における架橋剤(b)の含有量は、高飽和ニトリルゴム(a)100重量部に対し、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.2〜15重量部、特に好ましくは0.5〜10重量部である。架橋剤(b)の含有量が少なすぎると、引張応力に優れ、圧縮永久ひずみが小さいゴム架橋物が得られないおそれがあり、逆に、多すぎるとゴム架橋物の耐疲労性が低下する可能性がある。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物が含有する老化防止剤(c)である分子量300以上のヒンダードフェノール系老化防止剤は、フェノールの、水酸基が結合した炭素原子に隣接する2個の炭素原子の少なくとも一方に、t−ブチル基、t−ペンチル基で代表される炭素数3〜10の置換基を有していてもよい炭化水素基が結合し、該水酸基が結合した炭素原子のp−位の炭素原子に任意の骨格が結合した化合物である。上記ヒンダードフェノール系老化防止剤の分子量は、300〜2000が好ましく、300〜1000が特に好ましい。また、上記任意の骨格は、アルキル基、イミノ基、カルボニル基、ヒンダードフェノール基およびイソシアヌル酸エステル基を含有する炭化水素基が好ましく、窒素原子および酸素原子を含有する置換基を有する炭化水素基が特に好ましい。さらに上記ヒンダードフェノール系老化防止剤は、下記式(1)の構造(以下、「ヒンダードフェノール基」と称することがある。)を有することが、好ましい。分子量が300以上のヒンダードフェノール系老化防止剤を用いることにより、ゴム架橋物の耐熱老化性が向上する。
Figure 2008138048
(RおよびRは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜2の置換基を有していても良い炭化水素基または炭素数3〜10の置換基を有していても良い炭化水素基であり、RおよびRの少なくとも一方は炭素数3〜10の置換基を有していても良い炭化水素基である。)
ここで、本発明の効果がより一層顕著になることから、RおよびRが共に炭素数3〜10の置換基を有していても良い炭化水素基であることが好ましい。
さらに、RおよびRは、アルキル基;シクロアルキル基;アルキルシクロアルキル基;フェニル基;水酸基、チオアルキル基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、イミノ基およびアミド基で置換されたアルキル基およびフェニル基;が好ましく、アルキル基がより好ましく、炭素数3〜8の3級炭素を有するアルキル基がさらに好ましく、t−ブチル基が特に好ましい。
老化防止剤(c)の具体例としては、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−2−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−〔4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ〕フェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N‘−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナムアミド)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等が挙げられる。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物における老化防止剤(c)の含有量は、高飽和ニトリルゴム(a)100重量部に対し、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜8重量部、特に好ましくは0.5〜5重量部である。老化防止剤(c)の含有量が少なすぎると、耐熱老化性に優れたゴム架橋物が得られないおそれがあり、逆に、多すぎるとゴム架橋物の機械的強度が低下する可能性がある。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物においては、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどのリン系老化防止剤を併用することが好ましい。リン系老化防止剤は、上記老化防止剤(c)の重量の5倍以下であることが好ましく、3倍以下であることがより好ましく、2倍以下であることが特に好ましい。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物において、老化防止剤として、上記老化防止剤(c)およびリン系老化防止剤に該当しない他の化学構造の老化防止剤を併用しても良い。その場合は、他の化学構造の老化防止剤が上記老化防止剤(c)の重量の5倍以下であることが好ましく、3倍以下であることがより好ましく、2倍以下であることが特に好ましい。他の化学構造の老化防止剤の量が多すぎると、得られるゴム架橋物の耐熱老化性が改善されないおそれがある。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物には、上記高飽和ニトリルゴム(a)、架橋剤(b)、および老化防止剤(c)以外に、ゴム加工分野において通常使用される配合剤、例えば、架橋促進剤、架橋助剤、架橋遅延剤、補強性充填材(カーボンブラック、シリカなど)、非補強性充填材(炭酸カルシウム、クレー、タルク、珪藻土など)、光安定剤、一級アミンなどのスコーチ防止剤、可塑剤、加工助剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、受酸剤、帯電防止剤、着色剤などを配合することができる。これらの配合剤の配合量は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば特に限定されず、配合目的に応じた量を適宜配合することができる。
また、本発明の架橋性ニトリルゴム組成物には、本発明の効果が阻害されない範囲で、高飽和ニトリルゴム(a)以外のゴムを配合してもよい。高飽和ニトリルゴム(a)以外のゴムを配合する場合は、高飽和ニトリルゴム(a)100重量部当たり30重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましく、10重量部以下が特に好ましい。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物は、上記各成分を好ましくは非水系で混合して調製される。本発明の架橋性ニトリルゴム組成物を調製する方法に限定はないが、通常、架橋剤(b)および熱に不安定な架橋助剤などを除いた成分を、バンバリーミキサ、インターミキサ、ニーダなどの混合機で一次混練した後、ロールなどに移して架橋剤(b)等を加えて二次混練する。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物の水分含有量は、好ましくは3重量%以下であり、より好ましくは1重量%以下である。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4、100℃)(コンパウンドムーニー)は、好ましくは15〜150、より好ましくは50〜130である。本発明の架橋性ニトリルゴム組成物が上記コンパウンドムーニーを有すると、成形加工性に優れる。
この架橋性ニトリルゴム組成物を架橋して本発明のゴム架橋物を得るには、所望の形状に対応した成形機、例えば押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、架橋反応により架橋物として形状を固定化する。予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、100〜200℃、好ましくは130〜190℃であり、架橋時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは2分〜1時間である。
また、ゴム架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
本発明のゴム架橋物は、耐油性および耐オゾン性に優れる高飽和ニトリルゴムの特性に加えて、特に耐熱老化性が大いに改善され、170℃、504時間の空気加熱後の伸び変化率の絶対値を70%未満に抑えることができる。
本発明のゴム架橋物の好適な用途としては、O−リング、パッキン、ダイアフラム、オイルシールおよび空気圧機器用シールなどの各種シール用ゴム部材;動力平ベルト、コンベアーベルト、Vベルト、タイミングベルトおよび歯付ベルトなどの各種ベルト;燃料ホース、オイルホース、マリンホース、ライザーおよびフローラインなどの各種ホース;印刷用ロール、製鉄用ロール、製紙用ロール、工業用ロールおよび事務機用ロールなどの各種ロール;CVJブーツおよびプロペラシャフトブーツなどの各種ブーツ;バルブおよびバルブシート、BOP(Blow Out Preventar)、およびプラターなどの油田用シールゴム部品;クッション材、ダイナミックダンパ、ゴムカップリング、空気バネ、防振材などの減衰材ゴム部品;自動車エンジン用のガスケット、インテークマニホールドガスケット、ロッカーカバーガスケット、オイルパンガスケットなどの各種ガスケット;ダストカバー;自動車内装部材;被覆ケーブルおよび靴底などが挙げられるが、シール用ゴム部材、ベルト、ホースおよびガスケットとしてより有用であり、高度な耐熱性が要求される自動車のエンジンまわりに特に好適に用いられる。
以下に製造例、実施例および比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。ただし本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。以下の配合において「部」および「ppm」は、特に断わりのない限り重量基準である。
試験、評価は下記によった。
(1)カルボキシル基含有量
ゴムのカルボキシル基含有量は、水酸化カリウムの0.02N含水エタノール溶液を用いて、室温でチモールフタレインを指示薬とする滴定により、ゴム100グラムに対するカルボキシル基のモル数を求めた。単位はephrである。
(2)ムーニー粘度(ポリマームーニー、コンパウンドムーニー)
JIS K6300−1に従って測定した。単位は(ML1+4、100℃)。
(3)常態物性(引張強さ、伸び、100%引張応力)
架橋性ニトリルゴム組成物を縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型に入れ、加圧しながら170℃で20分間プレス成形してシート状架橋物を得た。これをギヤー式オーブンに移して170℃で4時間二次架橋して得られたシート状架橋物を3号形ダンベルで打ち抜いて試験片を作製した。この試験片を用いて、JIS K6251に従い、ゴム架橋物の引張強さ、伸びおよび100%引張応力を測定した。
(4)常態物性(硬さ)
上記(3)と同様に一次および二次架橋して得たシート状ゴム架橋物につき、JIS K6253に従い、デュロメータ硬さ試験機タイプAを用いてゴム架橋物の硬さを測定した。
(5)熱老化試験
上記(3)と同様に一次および二次架橋して得たシート状ゴム架橋物をギヤー式オーブンに170℃で504時間置いてから取り出し、JIS K6251に従ってゴム架橋物の引張強さおよび伸びを、また、JIS K6253に従ってデュロメータ硬さ試験機タイプAによる硬さを測定した。引張強さおよび伸びについては熱老化試験前からの変化率を、硬さについては熱老化試験前からの変化幅を求めた。
(製造例1)
金属製ボトルに、イオン交換水180部、濃度10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25部、アクリロニトリル37部、マレイン酸モノn−ブチル6部、t−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.5部の順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン57部を仕込んだ。金属製ボトルを5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部を仕込み、金属製ボトルを回転させながら16時間重合反応を行った。濃度10重量%のハイドロキノン水溶液(重合停止剤)0.1部を加えて重合反応を停止した後、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去し、アクリロニトリル単量体単位34重量%、ブタジエン単量体単位60重量%およびマレイン酸モノn−ブチル単量体単位6重量%のアクリロニトリル−ブタジエン−マレイン酸モノn−ブチル共重合体ゴムラテックス(固形分濃度約30重量%)を得た。
該ラテックスに含有される乾燥ゴム重量に対してパラジウム含有量が1,000ppmになるようにオートクレーブにパラジウム触媒(1重量%酢酸パラジウムアセトン溶液と等重量のイオン交換水を混合した溶液)を添加して、温度50℃、水素圧3MPaで6時間水素添加反応を行い、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムラテックスを得た。
得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴムラテックスに2倍容量のメタノールを加えてゴムを凝固した後、60℃で12時間真空乾燥して高飽和ニトリルゴム(a1)を得た。高飽和ニトリルゴム(a1)のヨウ素価は10、カルボキシル基含有量は3.2×10−2ephr、ポリマームーニー粘度(ML1+4、100℃) は60であった。
(実施例1)
バンバリーミキサを用いて高飽和ニトリルゴム(a1)100部にFEFカーボンブラック(商品名「旭60」、旭カーボン社製)40部、トリメリット酸エステル(商品名「アデカサイザーC−8」、旭電化社製、可塑剤)5部、ステアリン酸(架橋促進助剤)1部、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナムアミド)〔商品名「イルガノックス1098」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、ヒンダードフェノール系老化防止剤、分子量637、構造式は下記式(2)参照〕1.5部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト〔商品名「イルガフォス168」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、リン系老化防止剤、構造式は下記式(3)参照〕1.5部を添加して混合し、次いで、混合物をロールに移して1,3−ジ−o−トリルグアニジン(商品名「ノクセラーDT」、大内新興社製、架橋促進剤)2部、および、ヘキサメチレンジアミンカルバメート(商品名「Diak#1」、デュポン・ダウ・エラストマー社製、ポリアミン系架橋剤)2.6部を添加して混練し、架橋性ニトリルゴム組成物を調製した。
この架橋性ニトリルゴム組成物を用いてコンパウンドムーニー粘度、常態物性および熱老化試験を試験、評価した結果を表1に記す。
Figure 2008138048
Figure 2008138048
(実施例2)
実施例1においてN,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナムアミド)に代えてトリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート〔商品名「イルガノックス3114」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、ヒンダードフェノール系老化防止剤、分子量784、構造式は下記式(4)参照〕1.5部を用いた他は実施例1と同様に行って架橋性ニトリルゴム組成物を調製した。
この架橋性ニトリルゴム組成物を用いてコンパウンドムーニー粘度、常態物性および熱老化試験を試験、評価した結果を表1に記す。
Figure 2008138048
(比較例1)
実施例1において使用した2種の老化防止剤に代えて、4,4’−ジ−(α,α’−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名「ナウガード445」、クロンプトン社製、アミン系老化防止剤)1.5部および2−メルカプトベンズイミダゾール(商品名「ノクラックMB」、大内新興社製、ベンズイミダゾール系老化防止剤)1.5部を用いた他は実施例1と同様に行って架橋性ニトリルゴム組成物を調製した。
この架橋性ニトリルゴム組成物を用いてコンパウンドムーニー粘度、常態物性および熱老化試験を試験、評価した結果を表1に記す。
Figure 2008138048
表1が示すように、本発明例の架橋性ニトリルゴム組成物による高飽和ニトリルゴム架橋物は、熱老化試験後も物性の低下度が小さく、特に熱老化試験前に対する伸びの変化率が約60%減と小さかった(実施例1、2を比較例1と対比)。
一方、本発明例におけるのと同じゴム(a1)を用いても、老化防止剤としてヒンダードフェノール系老化防止剤(c)を使用しないゴム架橋物は熱老化試験後の物性の低下がいずれも大きく、特に伸び変化率が約90%減と著しく大きかった(比較例1)。

Claims (7)

  1. α、β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位およびα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位を有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴム(a)、架橋剤(b)および老化防止剤(c)を含有してなり、
    前記老化防止剤(c)が分子量300以上のヒンダードフェノール系老化防止剤である架橋性ニトリルゴム組成物。
  2. 前記α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位が、α,β−エチレン性不飽和結合を形成する二つの炭素原子の各々にカルボキシル基を有するジカルボン酸のモノエステル単量体から形成されたものである請求項1に記載の架橋性ニトリルゴム組成物。
  3. 前記α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸がマレイン酸またはフマル酸である請求項2に記載の架橋性ニトリルゴム組成物。
  4. 前記エステルがアルキルエステルである請求項1ないし3のいずれかに記載の架橋性ニトリルゴム組成物。
  5. 前記α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体単位がマレイン酸モノn−ブチル単量体単位である請求項1ないし4のいずれかに記載の架橋性ニトリルゴム組成物。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の架橋性ニトリルゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物。
  7. シール用ゴム部材、ベルト、ホースまたはガスケットである請求項6に記載のゴム架橋物。
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