JP2016001317A - 粘着剤組成物、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】多官能性架橋剤と速く反応することができる作用基を有する粘着力安定剤を使用して、製造直後に粘着力の経時変化が速く終了することによって、粘着力の迅速な安定化が可能であり、常温または加温条件で再剥離性に優れていて、且つ、高温及び/または高湿条件の下での耐久信頼性、作業性及び低光漏れ特性などが優秀に維持されることができる粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係る硬化状態で相互浸透ネットワーク構造を具現し、粘着力安定剤を含む粘着剤組成物、及び偏光板により、上記課題を解決する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明に係る硬化状態で相互浸透ネットワーク構造を具現し、粘着力安定剤を含む粘着剤組成物、及び偏光板により、上記課題を解決する。
【選択図】なし
Description
本発明は、粘着剤組成物、偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置(liquid crystal display)は、2枚の薄いガラス基板の間に液晶を注入し、画面を表示する装置である。液晶表示装置を製造するためには、基本的に透明電極が形成された基板の間に介在された液晶を含む液晶セル及び偏光板が必要であり、これらを接合するための接着層または粘着剤層が必要である。
偏光板は、一定方向に配列されたヨード系化合物または二色性偏光物質を含み、両面に偏光フィルムまたは素子を保護するためのTAC(triacetyl cellulose)系保護フィルムが形成されている多層構造を有する。ところが、多層の偏光板を構成する各々のフィルムは、互いに異なる分子構造及び組成を有する材料で形成され、これにより、互いに異なる物理的特性を示す。したがって、特に高温及び/または高湿条件の下では、一方性分子配列を有する材料の収縮または膨脹挙動の差異によって寸法安定性が足りない。したがって、偏光板が粘着剤によって固定されている場合、高温または高温高湿条件の下では、TAC層に応力が集中されれば、複屈折が発生し、光漏れ現象が発生するようになる。
上記のような問題を解決するための方法として、粘着剤を非常にハード(hard)に設計する方法が知られている。このように粘着剤が硬い物性を有する場合、高温及び/または高湿条件での偏光板の収縮及び膨脹を最大限抑制することによって、発生する応力を最小化し、偏光板の最外郭に集中させて、比較的優れた光学的物性を具現することができる。しかし、粘着剤をハードに設計するためには、バルクモジュラスを大きく増加させなければならないが、そのため、粘着力が大きく低下し、耐久性が悪くなるという問題がある。
一方、通常的な単一架橋構造だけでは、低光漏れ特性及び耐久性特性を同時に優秀に維持することができる水準のバルクモジュラスの具現が困難であるため、既存の単一架橋構造に光開始剤及び多官能性アクリレートなどの成分を配合し、紫外線の照射などを利用してバルクモジュラスを向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
上記特許文献に開示された技術では、光開始剤を用いた多官能性アクリレートの架橋反応速度が速いため、紫外線の照射による硬化直後、粘着剤のモジュラスが急激に上昇するようになる。そのため、粘着力の経時変化を終了させるのに非常に長時間がかかり、生産性または作業性が非常に劣化するという問題点がある。
すなわち、粘着剤組成物では、通常、硬化剤による硬化反応が常温では徐々に起き、したがって、硬化反応の終了まで数日から数週間の長時間がかかる。このように、硬化反応が終了するように、粘着剤組成物を特定温度で一定期間保管する工程を熟成(aging)工程と言う。このような熟成過程では、粘着剤の粘着力が時間によって変化するようになる。すなわち、粘着力は、塗工直後に最も高い値を有し、熟成の進行につれて徐々に減少し、硬化反応の終了後には、一定の値を有するようになる。このように、粘着剤の熟成過程で粘着力が変化することを粘着力の経時変化と言う。
一方、偏光板用粘着剤の場合、生産性を考慮して、製造後3日〜4日内に出荷され、すぐ適用可能でなければならないので、前述の粘着力の経時変化が迅速に終わる必要があり、再作業性を考慮して、付着後に常温または加温状況で再剥離性が確保される必要があり、このような要求は、液晶表示装置の大型化に伴い、さらに増加している。
しかし、前述の特許文献に開示された粘着剤組成物の場合、硬化のためのUV照射後に、粘着剤のモジュラスが急激に上昇するようになるので、樹脂と架橋剤間の反応が遅くなり、これにより、粘着力の経時変化の終了時まで非常に長い時間が必要になる。また、前述の技術に開示された粘着剤組成物の場合、硬化反応が終了しない状態で、付着後に加温するようになれば、粘着力ビルドアップ(build-up)が非常に大きく起き、再剥離性が非常に劣化するという短所がある。
本発明の目的は、粘着剤組成物、偏光板及び液晶表示装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明による粘着剤組成物は、アクリル樹脂、多官能性架橋剤及び粘着力安定剤を含み、硬化状態で相互浸透ネットワーク(Interpenetrating Polymer Network)構造を具現する。
また、本発明による偏光板は、偏光フィルムまたは偏光素子と;上記偏光フィルムまたは偏光素子の一面または両面に形成され、本発明による粘着剤組成物の硬化物を含有する粘着剤層と;を含む。
また、本発明による液晶表示装置は、本発明の偏光板が液晶セルの一面または両面に接合されている液晶パネルを含む。
本発明においては、多官能性架橋剤と速く反応することができる作用基を有する粘着力安定剤を使用して、製造直後に粘着力の経時変化が速く終了することによって、粘着力の迅速な安定化が可能であり、常温または加温条件で再剥離性に優れていて、且つ、高温及び/または高湿条件の下での耐久信頼性、作業性及び低光漏れ特性などが優秀に維持されることができる粘着剤組成物を提供することができる。
本発明は、アクリル樹脂、多官能性架橋剤及び粘着力安定剤を含み、硬化状態で相互浸透ネットワーク(Interpenetrating Network)構造(以下、『IPN構造』ということがある。)を具現する粘着剤組成物に関する。
以下、本発明の粘着剤組成物をより詳しく説明する。
本発明の粘着剤組成物は、硬化状態でIPN構造を具現する。本明細書で使用する用語『粘着剤組成物の硬化状態』は、放射線照射及び/または加熱工程などを経て本発明の組成物が粘着剤の形態で製造された状態を意味する。用語『放射線』は、粘着剤組成物に含まれた重合性基または重合開始剤などに影響を与えて硬化反応を誘発することができるエネルギー線を意味し、電子線及び紫外線などを含む概念として使用されることができる。また、用語『IPN構造』は、粘着剤内でアクリル樹脂及び多官能性架橋剤の反応によって形成された架橋構造(以下『第1架橋構造』ということがある。)のように、別途の架橋構造(以下、『第2架橋構造』ということがある。)が同時に具現されている状態を意味する。
本発明の粘着剤組成物は、硬化状態でIPN構造を具現する。本明細書で使用する用語『粘着剤組成物の硬化状態』は、放射線照射及び/または加熱工程などを経て本発明の組成物が粘着剤の形態で製造された状態を意味する。用語『放射線』は、粘着剤組成物に含まれた重合性基または重合開始剤などに影響を与えて硬化反応を誘発することができるエネルギー線を意味し、電子線及び紫外線などを含む概念として使用されることができる。また、用語『IPN構造』は、粘着剤内でアクリル樹脂及び多官能性架橋剤の反応によって形成された架橋構造(以下『第1架橋構造』ということがある。)のように、別途の架橋構造(以下、『第2架橋構造』ということがある。)が同時に具現されている状態を意味する。
本発明の粘着剤組成物に含まれるアクリル樹脂及び多官能性架橋剤は、硬化及び/または熟成工程で互いに反応し、粘着剤に前述の第1架橋構造を付与することができる。
本発明の一態様において、上記アクリル樹脂は、重量平均分子量が100万以上であることができる。本発明において、アクリル樹脂の重量平均分子量が100万未満なら、凝集力の低下に起因して高温及び/または高湿条件の下で気泡または剥離現象が発生するなど粘着剤の耐久信頼性が低下するおそれがある。本発明において、上記アクリル樹脂の重量平均分子量の上限は、特に限定されず、例えば、250万以下の範囲で適宜制御されることができる。アクリル樹脂の重量平均分子量が250万を超過すれば、粘着剤耐久信頼性が低下するか、または粘度の上昇に起因してコーティング性が悪化するおそれがある。
本発明において、アクリル樹脂の具体的な組成は、特に限定されるものではない。例えば、本発明の一態様において、上記アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単量体80重量部〜99.9重量部と、架橋性単量体0.1重量部〜20重量部とを含む単量体混合物の重合体であることができる。
本発明において、単量体混合物に含まれる(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体的な種類は、特に限定されず、例えば、アルキル(メタ)アクリレートであることができる。この場合、アルキル(メタ)アクリレートに含まれるアルキル基が長すぎれば、粘着剤の凝集力が低下し、ガラス転移温度(Tg)または粘着性の調節が難しくなるおそれがあるので、炭素数が1〜14のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。このような単量体の例として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレートを挙げることができ、本発明においては、上記のうち1種または2種以上の混合物を使用することができる。本発明の単量体混合物は、上記のような(メタ)アクリル酸エステル単量体を80重量部〜99.9重量部の量で含むことができる。上記含量が80重量部未満なら、粘着剤の初期接着力が低下するおそれがあり、99.9重量部を超過すれば、凝集力の低下に起因して耐久性に問題が発生するおそれがある。
本発明の単量体混合物に含まれる架橋性単量体は、後述する多官能性架橋剤と反応することができる架橋性官能基をアクリル樹脂に付与することができる単量体であって、粘着剤の耐久信頼性、粘着力及び凝集力を調節する役目を行うことができる。
本発明において使用することができる架橋性単量体の例として、ヒドロキシ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体及び窒素含有単量体などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。上記で、ヒドロキシ基含有単量体の具体的な例として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、カルボキシル基含有単量体の例として、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピオン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ酪酸、アクリル酸二量体、イタコン酸、マレイン酸及びマレイン酸無水物などを挙げることができ、窒素含有単量体の例として、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドンまたはN−ビニルカプロラクタムなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。本発明においては、上記のうち1種または2種以上の混合物を使用することができる。
本発明の単量体混合物において、架橋性単量体は、0.1重量部〜20重量部の量で含まれることが好ましい。上記含量が0.1重量部未満なら、粘着剤の耐久信頼性が低下するおそれがあり、20重量部を超過すれば、架橋反応が過度に進行され、粘着性及び/または剥離力が低下するおそれがある。
また、本発明において、上記単量体混合物は、下記化学式1で表示される化合物をさらに含むことができる。上記化学式1の化合物は、粘着剤のガラス転移温度の調節及びその他の機能性付与を目的に付加されることができる。
上記式中、R1〜R3は、各々独立的に水素またはアルキルを示し、R4は、シアノ;アルキルで置換または非置換されたフェニル;アセチルオキシ;またはCOR5を示し、この時、R5は、アルキルまたはアルコキシアルキルで置換または非置換されたアミノまたはグリシジルオキシを示す。
上記式のR1〜R5の定義で、アルキルまたはアルコキシは、炭素数1〜8のアルキルまたはアルコキシを意味し、好ましくは、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシまたはブトキシである。
上記化学式1の単量体の具体的な例として、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミドまたはN−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドのような窒素含有単量体;スチレンまたはメチルスチレンのようなスチレン系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート;またはビニルアセテートのようなカルボン酸ビニルエステルなどの1種または2種以上を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。本発明の単量体混合物が上記化学式1の化合物を含む場合、その含量は20重量部以下であることが好ましい。上記化合物の含量が20重量部を超過すれば、粘着剤の柔軟性及び/または剥離力が低下するおそれがある。
本発明において、上記各々の成分を含むアクリル樹脂を製造する方法は、特に限定されず、例えば、溶液重合、光重合、バルク重合、サスペンション重合またはエマルジョン重合のような一般的な重合法を使用して製造することができる。本発明においては、特に溶液重合法を使用してアクリル樹脂を製造することができ、溶液重合は、各々の単量体が均一に混合された状態で開始剤を添加し、50℃〜140℃の重合温度で行うことが好ましい。この過程で使用されることができる開始剤の例として、アゾビスイソブチロニトリルまたはアゾビスシクロヘキサンカルボニトリルなどのようなアゾ系開始剤;及び/または過酸化ベンゾイルまたは過酸化アセチルなどのような過酸化物のような通常の開始剤を挙げることができ、上記のうち1種または2種以上の混合物を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の粘着剤組成物は、前述のアクリル樹脂と反応して架橋構造を具現することができる多官能性架橋剤を含む。
本発明において使用されることができる具体的な架橋剤の種類は、特に限定されず、例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物及び金属キレート系化合物のような一般的な架橋剤を使用することができる。本発明においては、上記化合物のうちイソシアネート系化合物を使用することが好ましいが、これらに限定されるものではない。上記で、イソシアネート系化合物の具体的な例として、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソボロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及び上記のうちいずれか1つのポリオール(例えば、トリメチロールプロパン)との反応物よりなる群から選択された1つ以上を挙げることができ;エポキシ系化合物の具体的な例としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N、N、N’、N’−テトラグリシジルエチレンジアミン及びグリセリンジグリシジルエーテルよりなる群から選択された1つ以上を挙げることができ;アジリジン系化合物の具体的な例として、N、N’−トルエン−2、4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、N、N’−ジフェニルメタン−4、4’−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)及びトリ−1−アジリジニルホスフィンオキシドよりなる群から選択された1つ以上を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、上記で、金属キレート系化合物の具体的な例として、アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、チタン、アンチモン、マグネシウム及び/またはバナジウムのような多価金属がアセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルなどに配位している化合物などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の粘着剤組成物において架橋剤は、アクリル樹脂100重量部に対して0.01重量部〜10重量部、より好ましくは0.01重量部〜5重量部の量で含まれることができる。架橋剤の含量が0.01重量部未満なら、粘着剤の凝集力が劣化するおそれがあり、10重量部を超過すれば、層間剥離や浮き上がり現象が発生するなど耐久信頼性が低下するおそれがある。
本発明の粘着剤組成物は、前述の成分とともに、粘着力安定剤を含む。本発明において使用する用語「粘着力安定剤」は、前述した多官能性架橋剤と反応することができる官能基を含み、例えば、紫外線などの照射によって粘着剤のモジュラスが大きく上昇した場合にも、アクリル樹脂と多官能性架橋剤の反応を促進し、粘着力の経時変化に所要される時間を短縮することができる化合物を意味する。一方、上記粘着力安定剤が含むことができる官能基の例として、ヒドロキシ基、アミン基、カルボキシル基またはエポキシ基などを挙げることができ、これらのうちヒドロキシ基またはアミン基が好ましいが、これらに限定されるものではない。
本発明においては、例えば、上記粘着力安定剤として、ポリオール(多価アルコール)またはポリアミン(多価アミン)を使用することができる。
本発明においては、例えば、2価〜6価、好ましくは2価〜4価、さらに好ましくは2価〜3価のポリオールまたはポリアミンとして、分子量が約50〜3,000の範囲にあるポリオールまたはポリアミンを使用することが好ましいが、これらに限定されるものではない。
本発明において使用することができるポリオールのより具体的な例として、アルキレングリコール、ジアルキレングリコール、ベンゼンジオール(例えば、カテコール(catechol)、レゾルシノール(resorcinol)またはヒドロキノン(hydroquinone)、ベンゼントリオール(例えば、1、2、3−ベンゼントリオール)、ジアルコールアミン、トリアルコールアミン、アラビトール(arabitol)、マンニトール(mannitol)、イソマルト(isomalt)、グリセロール(glycerol)、キシリトール(xylitol)、ソルビトール(sorbitol)、マルチトール(maltitol)、エリスリトール(erythritol)、リビトール(ribitol)、ズルシトール(dulcitol)、ラクチトール(lactitol)、トレイトール(threitol)、イジトール(iditol)またはポリグリシトール(polyglycitol)などを挙げることができ、ポリアミンの例として、アルキレンジアミン、アルケニレンジアミン、フェニレンジアミン(例えば、m−フェニレンジアミン)またはn−アミノアルキルアルカンジアミンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上記で、アルキレングリコールまたはジアルキレングリコールは、具体的には、炭素数1〜12、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4のアルキレングリコールまたはジアルキレングリコールであることができ、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−ブタンジオール、1、4−ブタンジオール、ジエチレングリコールまたはジプロピレングリコールを挙げることができる。
また、上記で、ジアルコールアミンまたはトリアルコールアミンは、炭素数1〜12、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4のジアルコールアミンまたはトリアルコールアミンであることができ、具体的には、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリエタノールアミンまたはトリプロパノールアミンを挙げることができる。
また、上記で、アルキレンジアミンは、炭素数1〜12、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4のアルキレンジアミンであることができ、具体的には、エチレンジアミン、1、2−ジアミノプロパンまたはジアミノブタンなどであることができる。
また、上記で、アルケニレンジアミンは、炭素数2〜12、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜4のアルケニレンジアミンであることができ、具体的には、プロペンジアミンまたはブテンジアミンであることができる。
また、上記で、n−アミノアルキルアルカンジアミンは、炭素数1〜12、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4のアルキルを含むことができ、具体的には、スペルミジン(spermidine)などであることができる。
本発明において、上記のような粘着力安定剤は、前述の多官能性架橋剤1当量に対して0.1当量〜10当量、好ましくは、0.1当量〜5当量、より好ましくは、0.5当量〜2当量の割合で含まれることが好ましい。粘着力安定剤の含量が0.1当量未満なら、粘着力の経時変化時間の短縮効果が極めて弱いおそれがあり、10当量を超過すれば、剥離力など粘着剤の他の物性が低下するおそれがある。
一方、本発明の粘着剤組成物において、上記アクリル樹脂及び多官能性架橋剤とともに含まれ、第2架橋構造を具現する成分は、特に限定されるものではない。すなわち、本発明においては、上記アクリル樹脂及び多官能性架橋剤とは反応性が低く、且つ互いに反応して第2架橋構造を粘着剤に具現することができるものなら、いずれの成分も使用されることができる。例えば、本発明において、上記第2架橋構造を具現する成分として、多官能性アクリレート及び重合開始剤を含むことができる。
この場合、使用されることができる多官能性アクリレートの種類は、特に限定されない。本発明においては、例えば、1、4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペート(neopentylglycol adipate)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバル酸(hydroxyl pivalic acid)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(dicyclopentanyl)ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、アリル(allyl)化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレートまたは9、9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(fluorine)などのような2官能性アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、3官能型ウレタン(メタ)アクリレートまたはトリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどの3官能型アクリレート;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレートまたはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能型アクリレート;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能型アクリレート;及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートまたは
ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、イソシアネート単量体及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物などの6官能型アクリレートなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、イソシアネート単量体及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物などの6官能型アクリレートなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明においては、上記のような多官能性アクリレートのうち1種または2種以上を混合して使用することができ、特に分子量が1,000未満であり、3官能性以上であるアクリレートを使用することがさらに優れた耐久性具現の側面で好ましいが、これらに限定されるものではない。
また、本発明の一態様では、上記多官能性アクリレートとして、骨格構造中に環状構造を含むものを使用することが好ましい。このようなアクリレートを使用する場合、粘着剤をよりハード(hard)状態で形成することができ、これにより、光漏れ抑制効果をさらに向上させることができる。この場合、アクリレートに含まれる環状構造は、炭素環式構造または複素環式構造;または単環式または多環式構造のいずれでもよい。環状構造を含む多官能性アクリレートの具体的な例として、トリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどのイソシアヌレート構造を有する単量体及びイソシアネート変性ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、イソシアネート単量体及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物など)などの6官能型アクリレートなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の粘着剤組成物において多官能性アクリレートは、アクリル樹脂100重量部に対して、5重量部〜40重量部の量で含まれることができる。多官能性アクリレートの含量が5重量部未満なら、高温条件での耐久性が低下するか、または光漏れ抑制効果が低下するおそれがあり、40重量部を超過すれば、高温耐久性が低下するおそれがある。
本発明の粘着剤組成物に含まれ、前述の多官能性アクリレートとともに第2架橋構造を具現することができる重合開始剤の種類は、特に限定されるものではない。本発明においては、例えば、重合開始剤として光開始剤及び熱開始剤よりなる群から選択された1つ以上を使用することができ、特に上記光開始剤及び熱開始剤を同時に使用することが好ましい。このように、粘着剤組成物内に光開始剤及び熱開始剤を同時に含ませることによって、粘着剤の低光漏れ特性を含む各種物性をさらに向上させることができる。上記のような重合開始剤は、前述のアクリル樹脂100重量部に対して、0.2重量部〜20重量部の量で含まれることができる。
本発明においては、上記光開始剤として、紫外線の照射などを利用した粘着剤の硬化過程で前述の多官能性アクリレートと反応し、第2架橋構造を具現することができるものなら、いずれも使用することができる。本発明において使用されることができる光開始剤の種類は、特に限定されず、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2、2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4、4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン(thioxanthone)、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2、4−ジメチルチオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]及び2、4、6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシドなどを挙げることができる。本発明においては、上記のうち1種または2種以上を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の粘着剤組成物において上記光開始剤は、アクリル樹脂100重量部に対して、0.2重量部〜20重量部、好ましくは、0.2重量部〜10重量部、さらに好ましくは、0.2重量部〜5重量部の量で含まれることができる。具体的に、本発明の組成物において光開始剤は、前述の多官能性アクリレート100重量部に対して0.2重量部〜20重量の量で含まれることが好ましい。光開始剤の含量が上記範囲を脱すれば、多官能アクリレートとの反応が円滑に行われないか、または、反応後に残存成分に起因して粘着剤物性が悪くなるおそれがある。
また、本発明において使用されることができる熱開始剤の種類は、特に限定されず、具現しようとする物性を考慮して適宜選択されることができる。例えば、本発明においては、10時間半減期温度が40℃以上、100℃未満の熱開始剤を使用することができる。熱開始剤の半減期温度を上記のように設定することによって、可使時間(pot-life)を十分に確保することができ、熱開始剤の分解のための乾燥温度も適宜維持することができる。
本発明において使用されることができる熱開始剤の種類は、前述の物性を有するものなら特に限定されず、例えば、アゾ系化合物、過酸化物系化合物またはレドックス(redox)系化合物のような通常の開始剤を使用することができる。上記で、アゾ系化合物の例として、2、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2、2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2、2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、2、2’−アゾビス−2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル、ジメチル−2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)及び2、2’−アゾビス(4−メトキシ−2、4−ジメチルバレロニトリル)などを挙げることができ、過酸化物系化合物の例として、過乳酸カリウム、過硫酸アンモニウムまたは過酸化水素のような無機過酸化物;またはジアシルペルオキシド、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシエステル、テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート(例えば、Perocta ND、NOF社製)、ビス(4−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(例えば、Peroyl TCP、NOF社製)、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシカーボネート、ブチルペルオキシネオデカノエート(例えば、Perbutyl ND、NOF社製)、ジプロピルペルオキシジカーボネート(例えば、Peroyl NPP、NOF社製)、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート(例えば、Peroyl IPP、NOF社製)、ジエトキシエチルペルオキシジカーボネート(例えば、Peroyl EEP、NOF社製)、ジエトキシヘキシルペルオキシジカーボネート(例えば、Peroyl OEP、NOF社製)、ヘキシルペルオキシジカーボネート(例えば、Perhexyl ND、NOF社製)、ジメトキシブチルペルオキシジカーボネート(例えば、Peroyl MBP、NOF社製)、ビス(3−メトキシ−3−メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート(例えば、Peroyl SOP、NOF社製)、ジブチルペルオキシジカーボネート、ジセチル(dicetyl)ペルオキシジカーボネート、ジミリスチル(dimyristyl)ペルオキシジカーボネート、1、1、3、3−テトラメチルブチルペルオキシピバレート(peroxypivalate)、ヘキシルペルオキシピバレート(例えば、Perhexyl PV、NOF社製)、ブチルペルオキシピバレート(例えば、Perbutyl、NOF社製)、トリメチルヘキサノイルペルオキシド(例えば、Peroyl 355、NOF社製)、ジメチルヒドロキシブチルペルオキシネオデカノエート(例えば、Luperox 610M75、Atofina社製)、アミルペルオキシネオデカノエート(例えば、Luperox 546M75、Atofina社製)、ブチルペルオキシネオデカノエート(例えば、Luperox 10M75、Atofina社製)、t−ブチルペルオキシネオヘプタノエート、アミルペルオキシピバレート(pivalate)(例えば、Luperox 546M75、Alofina社製)、t−ブチルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、ラウリルペルオキシド、ジラウロイル(dilauroyl)ペルオキシド、ジデカイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドまたはジベンゾイルペルオキシドなどのような有機過酸化物を挙げることができ、レドックス系化合物の例として、過酸化物系化合物と還元剤を併用した混合物などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。本発明においては、上記のようなアゾ系、過酸化物系またはレドックス系化合物の1種または2種以上の混合物を使用することができる。
本発明の組成物において熱開始剤は、アクリル樹脂100重量部に対して0.2重量部〜20重量部、好ましくは0.2重量部〜5重量部の量で含まれることができる。熱開始剤の含量が0.2重量部未満なら、粘着剤の低光漏れ特性が低下するおそれがあり、20重量部を超過すれば、粘着剤の耐久信頼性が低下するおそれがある。
本発明の粘着剤組成物は、前述の成分にシラン系カップリング剤をさらに含むことができる。このようなカップリング剤は、粘着剤とガラス基板間の密着性及び接着安定性を向上させて、耐熱性及び耐湿性を改善し、また、高温及び/または高湿条件の下で粘着剤が長期間放置された場合に接着信頼性を向上させる作用をする。本発明において使用されることができるカップリング剤の例として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−アセトアセテートプロピルトリメトキシシラン、γ−アセトアセテートプロピルトリエトキシシラン、β−シアノアセチルトリメトキシシラン、β−シアノアセチルトリエトキシシラン、アセトキシアセトトリメトキシシランを挙げることができ、上記のうち1種または2種以上の混合物を使用することができる。本発明においては、アセトアセテートギまたはβ−シアノアセチル基を有するシラン系カップリング剤を使用することが好ましいが、これらに限定されるものではない。本発明の組成物においてシラン系カップリング剤は、アクリル樹脂100重量部に対して0.01重量部〜5重量部、好ましくは、0.01重量部〜1重量部の量で含まれることができる。カップリング剤の含量が0.01重量部未満なら、粘着力増加効果が極めて弱いおそれがあり、5重量部を超過すれば、耐久信頼性が低下するおそれがある。
また、本発明の粘着剤組成物は、粘着性能の調節の観点から、アクリル樹脂100重量部に対して1重量部〜100重量部の粘着性付与樹脂をさらに含むことができる。このような粘着性付与樹脂の種類は、特に限定されず、例えば、(水添)ヒドロカーボン系樹脂、(水添)ロジン樹脂、(水添)ロジンエステル樹脂、(水添)テルペン樹脂、(水添)テルペンフェノール樹脂、重合ロジン樹脂または重合ロジンエステル樹脂などの1種または2種以上の混合物を使用することができる。上記粘着性付与樹脂の含量が1重量部より小さければ、添加効果が極めて弱いおそれがあり、100重量部を超過すれば、相溶性及び/または凝集力向上効果が低下するおそれがある。
また、本発明の粘着剤組成物は、発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、エポキシ樹脂、硬化剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、展色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤及び可塑剤よりなる群から選択された1つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
また、本発明は、偏光フィルムまたは偏光素子と;上記偏光フィルムまたは偏光素子の一面または両面に形成され、前述の本発明による粘着剤組成物の硬化物を含有する粘着剤層と;を含む偏光板に関する。
本発明の偏光板を構成する偏光フィルムまたは偏光素子の種類は、特に限定されるものではない。例えば、本発明においては、上記偏光フィルムまたは偏光素子として、ポリビニルアルコール系樹脂よりなるフィルムにヨードまたは二色性染料などの偏光成分を含有させ、延伸して製造されるフィルムを使用することができる。上記で、ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマル、ポリビニルアセタールまたはエチレン酢酸ビニル共重合体の鹸化物などを使用することができる。また、本発明において、上記偏光フィルムまたは偏光素子の厚さは、特に限定されず、通常的な厚さで形成すれば良い。
また、本発明の偏光板では、上記偏光フィルムまたは偏光素子の一面または両面にトリアセチルセルロースのようなセルロース系フィルム;ポリカーボネートフィルムまたはポリエチレンテレフタレートフィルムのようなポリエステル系フィルム;ポリエーテルスルホン系フィルム;及び/またはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムまたはシクロ系やノルボルネン構造を有するポリオレフインフィルムまたはエチレンプロピレン共重合体のようなポリオレフイン系フィルムなどで構成される保護フィルムが積層された多層フィルムで形成されることができる。この時、上記保護フィルムの厚さも、特に限定されず、通常的な厚さで形成することができる。
本発明において偏光フィルムまたは偏光素子に粘着剤層を形成する方法は、特に限定されず、例えば、上記フィルムまたは素子にバーコーターなどの通常の手段で粘着剤組成物(コーティング液)を塗布し、硬化させる方法、または粘着剤組成物をまず剥離性基材の表面に塗布して硬化させた後、形成された粘着剤層を偏光フィルムまたは素子の表面に転写する方法などを使用することができる。この過程で、粘着剤組成物(コーティング液)に含まれる多官能性架橋剤は、コーティング過程では作用基の架橋反応が進行されないように制御されることが、均一なコーティング工程の実行の観点から好ましい。これにより、架橋剤がコーティング作業後の硬化及び熟成過程で架橋構造を形成して粘着剤の凝集力を向上させ、粘着物性及び切断性(cuttability)などを向上させることができる。
また、本発明において粘着剤層の形成過程は、粘着剤組成物(コーティング液)内部の揮発成分または反応残留物のような気泡誘発成分を充分に除去した後、行うことが好ましい。これにより、粘着剤の架橋密度または分子量などが低すぎるため、弾性率が劣化し、高温状態でガラス板と粘着剤層の間に存在する気泡が大きくなり、内部で散乱体を形成する問題点などを防止することができる。
また、偏光板の製造時に本発明の粘着剤組成物を硬化させる方法も、特に限定されず、例えば、組成物内に含まれた熱開始剤が活性化され得る程度の適切な熱を加えるか、または、光開始剤の活性化を誘導することができる紫外線または電子線のような放射線を照射して行うことができる。また、本発明において熱硬化及び放射線硬化方式を同時に採用して粘着剤層を形成させることもできる。
一方、本発明において放射線、例えば、紫外線の照射方式を適用する場合に、上記紫外線の照射は、例えば、高圧水銀ランプ、無電極ランプまたはキセノンランプ(xenon lamp)などの手段を使用して行うことができる。また、紫外線硬化方式において照射量は、諸物性を損傷させることなく、十分な硬化が行われる程度に制御されれば、特に限定されず、例えば、照度が50mW/cm2〜1,000mW/cm2であり、光量が50mJ/cm2〜1,000mJ/cm2であることが好ましい。
本発明において上記のような過程を経て製造される粘着剤層は、下記一般式1で表示されるゲル(gel)の含量が80%〜99%であることが好ましく、90%〜99%であることがより好ましい。
[一般式1]
ゲル含量(%)=B/A×100
ゲル含量(%)=B/A×100
上記一般式1において、Aは、粘着剤の質量を示し、Bは、常温でエチルアセテートで48時間沈積後の粘着剤の不溶解分の乾燥質量を示す。
上記ゲル含量が80%未満なら、高温及び/または高湿条件の下で粘着剤の耐久信頼性が低下するおそれがあり、99%を超過すれば、粘着剤の応力緩和特性が低下するおそれがある。
また、本発明の粘着偏光板には、保護層、反射層、防眩層、位相差板、広視野角補償フィルム及び輝度向上フィルムよりなる群から選択された1つ以上の機能性層をさらに含むことができる。
また、本発明は、前述した本発明による偏光板が液晶セルの一面または両面に接合されている液晶パネルを含む液晶表示装置に関する。
上記のような本発明の液晶表示装置を構成する液晶セルの種類は、特に限定されず、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In Plane Switching)またはVA(Vertical Alignment)方式のような一般的な液晶セルをすべて含む。また、本発明の液晶表示装置に含まれるその他の構成の種類及びその製造方法も特に限定されず、この分野における一般的な構成を制限なく採用して使用することができる。
以下、本発明による実施例及び比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の範囲が下記提示された実施例によって限定されるものではない。
実施例1
アクリル系共重合体の製造
窒素ガスが還流され且つ温度調節が容易な冷却装置を設置した1L反応器にn−ブチルアクリレート(n−BA)99重量部及びヒドロキシブチルアクリレート(HBA)1.0重量部を投与した。次に、溶剤としてエチルアセテート(EAc)120重量部を投入し、酸素を除去するために窒素ガスを60分間パージング(purging)した。その後、反応器の温度を60℃に維持し、反応開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.03重量部を投入した後、8時間反応させて、重量平均分子量が170万であり、分子量分布(Mw/Mn)が3.4であるアクリル樹脂を製造した。
アクリル系共重合体の製造
窒素ガスが還流され且つ温度調節が容易な冷却装置を設置した1L反応器にn−ブチルアクリレート(n−BA)99重量部及びヒドロキシブチルアクリレート(HBA)1.0重量部を投与した。次に、溶剤としてエチルアセテート(EAc)120重量部を投入し、酸素を除去するために窒素ガスを60分間パージング(purging)した。その後、反応器の温度を60℃に維持し、反応開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.03重量部を投入した後、8時間反応させて、重量平均分子量が170万であり、分子量分布(Mw/Mn)が3.4であるアクリル樹脂を製造した。
粘着剤組成物の製造
上記製造されたアクリル樹脂100重量部に対して、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート(分子量:423、3官能型、aronix M−315)15重量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1.5重量部、架橋剤としてトリメチロール−変性トリレンジイソシアネート(coronate−L)1.5重量部、シラン系カップリング剤0.12重量部及び粘着力安定剤として1、4−ブタンジオール1.5重量部を混合し、粘着剤組成物を製造した。
上記製造されたアクリル樹脂100重量部に対して、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート(分子量:423、3官能型、aronix M−315)15重量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1.5重量部、架橋剤としてトリメチロール−変性トリレンジイソシアネート(coronate−L)1.5重量部、シラン系カップリング剤0.12重量部及び粘着力安定剤として1、4−ブタンジオール1.5重量部を混合し、粘着剤組成物を製造した。
粘着偏光板の製造
上記製造された粘着剤組成物を剥離シートで離型処理された厚さ38μmのPETフィルム(三菱社製、MRF−38)上に乾燥後の厚さが25μmとなるようにコーティングし、110℃のオーブンで3分間乾燥させた。次に、乾燥したコーティング層を約24時間恒温恒湿室(23℃、55%RH)で保管した後、片面にWV(Wide View)液晶層がコーティングされた偏光板のWVコーティング層に上記粘着剤層をラミネーション処理した。次に、下記条件で紫外線の照射処理を行い、粘着偏光板を製造した。
紫外線照射器:高圧水銀ランプ
照射条件:照度=600mW/cm2、光量=150mJ/cm2
上記製造された粘着剤組成物を剥離シートで離型処理された厚さ38μmのPETフィルム(三菱社製、MRF−38)上に乾燥後の厚さが25μmとなるようにコーティングし、110℃のオーブンで3分間乾燥させた。次に、乾燥したコーティング層を約24時間恒温恒湿室(23℃、55%RH)で保管した後、片面にWV(Wide View)液晶層がコーティングされた偏光板のWVコーティング層に上記粘着剤層をラミネーション処理した。次に、下記条件で紫外線の照射処理を行い、粘着偏光板を製造した。
紫外線照射器:高圧水銀ランプ
照射条件:照度=600mW/cm2、光量=150mJ/cm2
実施例2
粘着力安定剤として、1、4−ブタンジオールの代わりに1、6−ブタンジオール1.5重量部を添加したことを除いて、実施例1と同一の方式で粘着偏光板を製造した。
粘着力安定剤として、1、4−ブタンジオールの代わりに1、6−ブタンジオール1.5重量部を添加したことを除いて、実施例1と同一の方式で粘着偏光板を製造した。
実施例3
粘着力安定剤として、1、4−ブタンジオールの代わりにヘキサメチレンジアミン1.5重量部を添加したことを除いて、実施例1と同一の方式で粘着偏光板を製造した。
粘着力安定剤として、1、4−ブタンジオールの代わりにヘキサメチレンジアミン1.5重量部を添加したことを除いて、実施例1と同一の方式で粘着偏光板を製造した。
比較例1
粘着力安定剤である1、4−ブタンジオールを配合しないことを除いて、実施例1と同一の方式で粘着偏光板を製造した。
粘着力安定剤である1、4−ブタンジオールを配合しないことを除いて、実施例1と同一の方式で粘着偏光板を製造した。
実施例及び比較例で製造された粘着剤について、下記方法で性能を測定した。
1.剥離力評価
実施例及び比較例で製造された粘着偏光板を25mm×100mmのサイズで切断してサンプルを製造し、剥離シートを除去した後、無アルカリガラスにラミネータを利用して付着した。次に、オートクレーブ(50℃、5気圧)で約20分間圧着処理し、恒温恒湿条件(23℃、50%RH)で4時間保管した。その後、物性測定器(Texture analyzer、英国ステイブルマイクロシステム)を利用して、300mm/minの剥離速度及び180度の剥離角度の条件で粘着力を測定した。粘着力の測定は、付着後、23℃の温度条件で2日、4日及び9日経過後の粘着力と50℃の温度で4時間熟成させた後、2日、4日及び9日経過後の粘着力を各々測定した。
1.剥離力評価
実施例及び比較例で製造された粘着偏光板を25mm×100mmのサイズで切断してサンプルを製造し、剥離シートを除去した後、無アルカリガラスにラミネータを利用して付着した。次に、オートクレーブ(50℃、5気圧)で約20分間圧着処理し、恒温恒湿条件(23℃、50%RH)で4時間保管した。その後、物性測定器(Texture analyzer、英国ステイブルマイクロシステム)を利用して、300mm/minの剥離速度及び180度の剥離角度の条件で粘着力を測定した。粘着力の測定は、付着後、23℃の温度条件で2日、4日及び9日経過後の粘着力と50℃の温度で4時間熟成させた後、2日、4日及び9日経過後の粘着力を各々測定した。
2.耐久信頼性評価
実施例及び比較例で製造された粘着偏光板を90mm×170mmのサイズで切断して試験片を製造し、ガラス基板(110mm×190mm×0.7mm)に両面に光学吸収軸がクロスされた状態で付着させてサンプルを製造した。この時に加えられた圧力は、約5Kg/cm2であって、気泡や異物が生じないようにクリーンルームで作業を行った。製造されたサンプルの耐湿熱特性を把握するために60℃の温度及び90%の相対湿度条件の下で1,000時間放置し、気泡や剥離の発生有無を観察した。また、耐熱特性は、80℃の温度で1,000時間放置した後に気泡や剥離の発生有無を観察した。試験片の状態は、評価直前に常温で24時間放置した後に評価した。信頼性に対する評価基準は、次の通りである。
○:気泡や剥離現象無し
△:気泡や剥離現象が若干発生
×:気泡や剥離現象が多量発生
実施例及び比較例で製造された粘着偏光板を90mm×170mmのサイズで切断して試験片を製造し、ガラス基板(110mm×190mm×0.7mm)に両面に光学吸収軸がクロスされた状態で付着させてサンプルを製造した。この時に加えられた圧力は、約5Kg/cm2であって、気泡や異物が生じないようにクリーンルームで作業を行った。製造されたサンプルの耐湿熱特性を把握するために60℃の温度及び90%の相対湿度条件の下で1,000時間放置し、気泡や剥離の発生有無を観察した。また、耐熱特性は、80℃の温度で1,000時間放置した後に気泡や剥離の発生有無を観察した。試験片の状態は、評価直前に常温で24時間放置した後に評価した。信頼性に対する評価基準は、次の通りである。
○:気泡や剥離現象無し
△:気泡や剥離現象が若干発生
×:気泡や剥離現象が多量発生
3.光透過均一性(光漏れ)評価
耐久信頼性評価と同一の試験片を使用して光透過均一性を測定した。上記試験片にバックライトを照射し、暗室から光が漏れる部分があるか否かを観察した。具体的に、光透過均一性は、粘着偏光板(200mm×200mm)をガラス基板(210mm×210mm×0.7mm)に90度で交差して両面に付着し、観察する方法で評価した。光透過均一性の評価基準は、下記の通りである。
◎:光透過性の不均一現象が目視で判断しにくい
○:光透過性の不均一現象が若干ある
△:光透過性の不均一現象が多少ある
×:光透過性の不均一現象が多量ある
耐久信頼性評価と同一の試験片を使用して光透過均一性を測定した。上記試験片にバックライトを照射し、暗室から光が漏れる部分があるか否かを観察した。具体的に、光透過均一性は、粘着偏光板(200mm×200mm)をガラス基板(210mm×210mm×0.7mm)に90度で交差して両面に付着し、観察する方法で評価した。光透過均一性の評価基準は、下記の通りである。
◎:光透過性の不均一現象が目視で判断しにくい
○:光透過性の不均一現象が若干ある
△:光透過性の不均一現象が多少ある
×:光透過性の不均一現象が多量ある
上記の評価結果を下記表1にまとめて示した。
上記表1から、本発明によって粘着力安定剤を含む実施例1〜3の場合、常温及び加温下で粘着剤の粘着力が速く安定化され、且つ、耐久信頼性、耐熱条件及び光透過均一性などの他の物性も優秀に維持されていることを確認することができる。一方、粘着力安定剤を含まない比較例1の場合、常温または加温条件の下で4日が経過した時点でも相変らず高い粘着力を示し、熟成工程など粘着力の安定化のために長時間がかかることを予測することができる。
Claims (17)
- 偏光フィルムまたは偏光素子;及び上記偏光フィルムまたは偏光素子の一面または両面に形成されている粘着剤層を含み、
前記粘着剤層は、アクリル樹脂、多官能性架橋剤、多官能性アクリレート、重合開始剤、及び前記多官能性架橋剤と反応することができる官能基を含む粘着力安定剤であるポリオールまたはポリアミンを含む粘着剤組成物の硬化物を含み、
前記粘着剤層は、前記アクリル樹脂と前記多官能性架橋剤との反応により形成される第1架橋構造、及び前記多官能性アクリレートと前記重合開始剤との反応により形成される第2架橋構造を含む相互貫入ネットワーク構造を含み、
前記粘着剤層は、前記粘着剤組成物から硬化されて無アルカリガラスに付着された状態で、23℃の温度条件で4日経過後、前記無アルカリガラスに対して570g/25mm以下の粘着力を現す偏光板。 - 前記粘着剤層は、前記粘着剤組成物から硬化されて無アルカリガラスに付着された状態で、50℃の温度で4時間熟成させた後4日経過後、前記無アルカリガラスに対して1,423g/25mm以下の粘着力を現す、請求項1に記載の偏光板。
- 前記アクリル樹脂は、重量平均分子量が100万以上である、請求項1に記載の偏光板。
- 前記アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単量体80重量部〜99.9重量部;及び架橋性単量体0.1重量部〜20重量部とを含む単量体混合物の重合体である、請求項1に記載の偏光板。
- 前記多官能性架橋剤が、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物及び金属キレート系化合物よりなる群から選択された1つ以上である、請求項1に記載の偏光板。
- 前記多官能性架橋剤がイソシアネート系化合物である、請求項1に記載の偏光板。
- 前記多官能性架橋剤は、アクリル樹脂100重量部に対して0.01重量部〜10重量部で含まれる、請求項1に記載の偏光板。
- 前記ポリオールまたは前記ポリアミンは、2価〜6価のポリオールまたはポリアミンであり、分子量が50〜3,000である、請求項1に記載の偏光板。
- 前記粘着力安定剤が、アルキレングリコール、ジアルキレングリコール、ベンゼンジオール、ベンゼントリオール、ジアルコールアミン、トリアルコールアミン、アラビトール、マンニトール、イソマルト、グリセロール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、リビトール、ズルシトール、ラクチトール、トレイトール、イジトール、ポリグリシトール、アルキレンジアミン、アルケニレンジアミン、フェニレンジアミン及びn−アミノアルキルアルカンジアミンよりなる群から選択された1つ以上である、請求項1に記載の偏光板。
- 前記粘着力安定剤は、多官能性架橋剤1当量に対して0.1当量〜10当量の量で含まれる、請求項1に記載の偏光板。
- 前記多官能性アクリレートは、2官能型、3官能型、4官能型、5官能型または6官能型である、請求項1に記載の偏光板。
- 前記多官能性アクリレートは、アクリル樹脂100重量部に対して5重量部〜40重量部の量で含まれる、請求項1に記載の偏光板。
- 前記重合開始剤は、熱開始剤及び光開始剤よりなる群から選択された1つ以上である、請求項1に記載の偏光板。
- 前記重合開始剤は、アクリル樹脂100重量部に対して0.2重量部〜20重量部の量で含まれる、請求項1に記載の偏光板。
- 前記粘着剤組成物は、前記アクリル樹脂100重量部に対して0.01重量部〜5重量部のシラン系カップリング剤をさらに含む、請求項1に記載の偏光板。
- 前記粘着剤層は、下記一般式1で表示されるゲル含量が80%〜99%である、請求項1に記載の偏光板:
[一般式1]
ゲル含量(%)=B/A×100
上記一般式1で、Aは、粘着剤の質量を示し、Bは、常温でエチルアセテートで48時間沈積後の粘着剤の不溶解分の乾燥質量を示す。 - 請求項1に記載の偏光板が液晶セルの一面または両面に接合されている液晶パネルを含む液晶表示装置。
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