JP2015529644A - エチレンオキシドおよび一酸化炭素からのアクリル酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

エチレンオキシドが非プロトン性溶媒中でコバルト含有触媒系の存在下で一酸化炭素によりカルボニル化されてポリ−3−ヒドロキシプロピオネートとなり、形成された−3−ヒドロキシプロピオネート中のコバルトの含量を、沈殿液および/または洗浄液としての水および/または水溶液を用いて低減させ、かつ前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートが後に熱分解により分解されてアクリル酸となる、エチレンオキシドおよび一酸化炭素からのアクリル酸の製造方法。

Description

本発明は、エチレンオキシドおよび一酸化炭素からのアクリル酸の製造方法であって、少なくとも以下のプロセスステップ:
− 非プロトン性溶媒中に溶解されたエチレンオキシドを一酸化炭素によって、高められた圧力および高められた温度で、少なくとも1種のコバルト源を含む触媒系の存在下で反応帯域Aにおいてカルボニル化反応させて、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを含む生成物混合物Aを得るステップと、
− ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを前記生成物混合物Aから分離帯域Aにおいて分離するステップと、
− 前記分離帯域Aで分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを熱分解帯域Aにおいて熱分解させて、アクリル酸を形成させるステップと、
を含むアクリル酸の製造方法に関する。
アクリル酸は、そのままでも、そのアルキルエステルの形態でも、および/またはそのアルカリ金属塩の形態でも、ポリマーの製造のために使用される重要なモノマーである。その都度のポリマーの合成のために個別に使用されるアクリルモノマーに応じて、前記ポリマーは、例えば接着剤として、または水もしくは水溶液に対する超吸収剤として使用できる。
アクリル酸の大工業的製造は、目下、本質的に、不均一系触媒による、中間生成物のアクロレインを介したプロピレン(別の呼び方=プロペン)の二段階部分気相酸化によって行われることが一般に知られている(例えばDE 10131297 A1およびWO 2004/031107 A1を参照)。
出発プロピレンとしては、その場合に通常は、化学的に純粋なプロピレンが使用されるのではなく、なおも不純物を有するものの、比較的高い純度を有する粗製プロピレン(例えば「ポリマー等級」もしくは「化学等級」プロピレン;DE 10131297 A1を参照)が使用される。
かかる比較的純粋な粗製プロピレンの製造は、比較的手間と費用がかかるものである。相応の製造方法は、通常は、粗製パラフィン系炭化水素から出発し、一般に、その生成物混合物の複数の精製ステップを必要とし、その際、前記プロピレンは、プロピレンとは異なるオレフィン類ならびにプロピレンとは異なる他の副生成物であって、未反応の粗製パラフィン系炭化水素とこの中に既に含まれている副生成物を含むものから分離せねばならない。
上述の分離は、一般に、設備投資がかかり、かつ同等の鎖長を有するオレフィン系/パラフィン系炭化水素が物理的に類似している結果として、特にエネルギーを消費するものである。前記分離は、従って通常は、ラフィネートクラッカーおよびスチームクラッカーと組み合わせてのみ使用されて、こうしたときにのみ経済的に行うことができる。それというのも、このようにして得られる粗製プロピレン(プロピレン主要所要流れとして)の大部分の量は、一方で、後続の重合(例えばポリプロピレンの製造のために)多量に必要となり(見出語:「economy of scale」)、その場合に他方では高付加価値を獲得するからである。
前記の粗製プロピレンからアクリル酸の製造のための不均一系触媒による部分酸化へと流れる成分は、むしろそれほど重要ではなく、根本において共に生産される副所要流れのみを形成し、前記流れは、前記主要所要流れによって一緒に運ばれて、関連の部分酸化のためにもまだ許容できる原料価格を有する。
飽和炭化水素のクラッキングの間に形成される主生成物は、しかしながらエチレン(別の呼び方=エテン)である。エチレンは、最も多く生産される有機的基礎化学物質であり、とりわけポリエチレン、エチレンオキシド(例えばDE 2159346 A1を参照)、スチレンまたはα−オレフィンなどの一次成果物の製造のために使用される。
欧州とアジアでは、エチレンは、主にナフサまたはガス油を基礎として生産され、合衆国、カナダおよび近東においては、エタン、プロパンおよび液化ガスからも生産される。
アクリル酸の大工業的な製造に付随する原料価格の低下は、従って、アクリル酸の製造のために、「プロピレン」を原料の基礎とするのに代えて、「エチレン」を原料の基礎として出発しうる場合に考えられる。
ウルム大学のMarkus Allmendinger (2003)の学位論文「Multi-Site Catalysis - Novel Strategies to Biodegradable Polyesters from Epoxides/CO und Macrocyclic Complexes as Enzyme Models」から、非プロトン性溶媒中に溶解されたエチレンオキシドを一酸化炭素(一酸化炭素は、同様に、例えば天然ガス、バイオガス、軽ベンジン、重油およびバイオマスなどの数多くの炭素含有原材料から製造できる価格的に好ましい原料である)によって、高められた圧力、高められた温度で、かつ少なくとも1種のコバルト源を含む触媒系の存在下で直接的に(すなわち、β−ヒドロキシプロピオン酸(=3−ヒドロキシプロピオン酸)の分子内環状エステルとしてのプロピオラクトン(オキセタン−2−オン)が中間生成物として形成されずに)ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを含む生成物混合物が得られることは公知である。
J.Am.Chem.Soc. 2002, 124, 第5646-5647頁、DE 10137046 A1、WO 03/011941 A2およびJ.Org.Chem. 2001, 66, 第5424-5426頁において、この状況が確認されている。
ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートという概念は、構造
Figure 2015529644
[nは、2以上の整数であり、かつ例えば150まで、または200まで、または250までとそれより大きい数であってよい]のポリエステルを表す。
a、bは、ポリエステル端部の末端基を形成し、その状態は、製造条件(例えば使用される触媒系)に依存する。
例えば、
Figure 2015529644
であってよい。
一方で、
Figure 2015529644
であってよい。
既に挙げたM. Allmendingerの学位論文とEP 577 206 A2から、とりわけ、コバルト含有触媒系の存在下でエチレンオキシドをカルボニル化する際に形成される生成物混合物をより長期に放置した場合に、そこに含まれるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの少なくとも一部分量が前記生成物混合物から沈殿し、機械的分離作業(例えば濾過)を使用することによって前記生成物混合物から分離することができることは公知である。EP 577 206 A2の例7によれば、前記生成物混合物の濾過によって分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの沈殿物は、引き続き更にメタノールで洗浄される。
上述のM. Allmendingerの学位論文(例えばA179頁の実験パートXにおいて)と、J.Am.Chem.Soc. 2002, 124, 第5646-5647とから、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを、これを含む生成物混合物から沈殿させることは、その一方で、該生成物混合物へとメタノールを添加することによっても引き起こせることも知られている。
少なくとも1種のコバルト源を含む触媒系の存在下でのエチレンオキシドのカルボニル化に際して生ずる生成物混合物から、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを分離するための上述の方法に特徴的なことは、単離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートが、なおも、無視できない含量のコバルトを有するということである。
EP 577 206 A2から、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートが、高められた温度の作用下で(すなわち熱分解によって)アクリル酸(3−ヒドロキシプロピオン酸の脱水物)へと分解されることは公知である。しかしながら、EP 577 206 A2は、かかる熱分解の例を含まない。
WO 2011/100608 A1から、同様に、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解によってアクリル酸が生成されうることは公知である。その場合には、ポリ(3−ヒドロキシプロピオン酸)の製造は、生物工学的に遺伝子改変された生物において(例えば再生原料としての糖類から)、更にコバルト含有触媒の不在下で行われる。ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートからアクリル酸への熱的分解は、更にUS 2,568,636 A、US 2,361,036 AおよびUS 3,002,017 Aから公知である。そこで逆分解のために使用されるβ−ヒドロキシプロピオン酸のポリエステルは、その場合に、β−プロピオラクトンから出発して(コバルト含有触媒の不在下に)開環重合によって得られる。EP 688 806 B1およびWO 2011/163309 A2も相応の開環重合を開示している。更に、アクリル酸へと逆分解可能なポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、コバルト触媒の不在下に、3−ヒドロキシプロピオン酸の脱水重縮合によって得ることができる(例えばChinesische Zeitschrift fuer synthetische Chemie, Vol. 15 (2007) No. 4, 第452-453頁を参照)。
コバルト含有触媒が存在する必要がないアクリル酸の熱分解による生成のための基礎としてのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの前記の公知の製造方法の欠点は、その経済性が満足いくものでないことである。
エチレンを基礎としたエチレンオキシドの少なくとも1種のコバルト源を含む触媒系の存在下でのカルボニル化に際して生じ、かつ生成した生成物混合物から従来技術に準じて分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの欠点は、その既に述べたコバルトの含量であることが判明した。
つまり、本願出願人の独自の調査から、驚くべきことに、分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中に残ったコバルトがアクリル酸へのその熱分解を本質的に妨げることが判明した。
従って、本発明の課題は、少なくとも1種のコバルト源を含む触媒系の存在下でのエチレンオキシドおよび一酸化炭素からのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの改善された製造方法であって、特に該ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートとその生成物混合物中に含まれるコバルトとの改善された分離を含む製造方法を提供することであった。
それに応じて、エチレンオキシドおよび一酸化炭素からのアクリル酸の製造方法であって、少なくとも以下のプロセスステップ:
− 非プロトン性溶媒中に溶解されたエチレンオキシドを一酸化炭素によって、高められた圧力および高められた温度で、少なくとも1種のコバルト源を含む触媒系の存在下で反応帯域Aにおいてカルボニル化反応させて、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを含む生成物混合物Aを得るステップと、
− ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを前記生成物混合物Aから分離帯域Aにおいて分離するステップと、
− 前記分離帯域Aで分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを熱分解帯域Aにおいて熱分解させて、アクリル酸を形成させるステップと、
を含むアクリル酸の製造方法において、更に、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを生成物混合物Aから分離帯域Aにおいて分離するステップが、以下の措置:
− 水及び/又は水溶液を水性沈殿液として、前記生成物混合物Aの1種以上の部分量に、および/または前記生成物混合物Aの全量に添加して、前記生成物混合物Aの部分量において、もしくは前記生成物混合物Aの全量において溶解されて含まれるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを沈殿(および脱コバルト化)させること、
− 前記生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを、水および/または水溶液を水性洗浄液として用いて(分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの脱コバルト化のため)洗浄すること、
の少なくとも1つを含むことを特徴とするアクリル酸の製造方法が提供される。
非プロトン性溶媒とは、その際、定義によれば、(非プロトン性)有機物質=(化学)化合物(ならびにこれらの化合物(物質)2種以上からなる混合物)であって、1.0133・105Paの圧力(=常圧)において、0℃〜50℃の範囲にある温度の少なくとも1つで、好ましくは5℃〜40℃の範囲にある温度の少なくとも1つで、特に好ましくは10℃〜30℃の範囲にある温度の少なくとも1つで液状であり、水素原子が共有結合されている炭素と異なる原子(炭素と異なる原子種)を含まず、かつ(それぞれ一不飽和もしくは多不飽和で)エチレン性不飽和でもなくアルキン性不飽和でもない化合物(物質)を表す。
エチレンオキシドの沸点は、常圧において、10.45℃の温度である。前記エチレンオキシドが、本発明による方法において、使用可能なCOのモル量とカルボニル化反応(カルボニル化)の化学量論量に対して(モル)過剰に使用される場合に、前記エチレンオキシドは、本発明による方法において、それ自体も本発明により必要とされる非プロトン性(=非プロトン性)溶剤を構成しうる(もしくは、かかる非プロトン性溶媒の構成要素であってよい、かかる非プトロン性溶媒によって包含されていてよい)。
本発明による方法に適した更なる非プロトン性(=プロトン性でない)溶媒としては、例えば、飽和の(環状のおよび非環状の)ならびに芳香族の炭化水素、例えばn−ヘキサン、n−ヘプタン、石油エーテル、シクロヘキサン、ベンゼンおよびトルエン、ハロゲン化された飽和のおよび芳香族の炭化水素、例えばジクロロメタン、有機酸(特に有機カルボン酸)のエステル、例えばn−ブチルプロピオネート、フェニルアセテート、グリセリントリアセテートおよびエチルアセテート、有機カルボン酸の無水物、例えば無水酢酸、ケトン、例えばアセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびベンゾフェノン、ニトリル、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、n−ブチロニトリルおよびベンゾニトリル、ジアルキルアミド、例えばジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミド、炭酸エステル、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネート、スルホキシド、例えばジメチルスルホキシド、スルホン、例えばスルホラン、N−アルキルピロリドン、例えばN−メチルピロリドンならびに環状のおよび非環状のエーテル、例えばジエチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジフェニルエーテル、アルキレングリコールジアルキルエーテル(例えばエチレングリコールジアルキルエーテル、例えばエチレングリコールジメチルエーテル)およびポリアルキレングリコールジアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル(=ジグリム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(=トリグリム)およびテトラエチレングリコールジメチルエーテル(=テトラグリム)が挙げられる。
プロトン性溶媒(=(プロトン性)化合物=(プロトン性)物質およびそれらの混合物であって、水素原子に共有結合されている炭素とは異なる少なくとも1つの原子を含むもの)は、本発明による方法に必要とされる反応に関与して、不所望な副生成物形成をもたらすことがある。それというのも、前記溶媒は、本発明による方法のための使用には適性が低いからである(メタノール、エタノール、n−ブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノールおよび他のアルコールは、例えば非プロトン性物質ではなく、プロトン性溶媒である)。エチレン性および/またはアルキン性不飽和の物質である溶媒は、同様に本発明による意味における非プロトン性溶媒ではない。
本発明により好ましいプロトン性でない(=非プロトン性)溶媒は、少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する物質を含む溶媒である。それは、特に、少なくとも1つのエーテル酸素原子(エーテル橋かけを形成する酸素原子)である場合が当てはまる。
更に本発明によれば、非プロトン性溶媒が、炭素および水素とは異なる原子種としてせいぜい酸素および/または硫黄しか含まない1種(またはそれより多くの)物質である(か、もしくは1種以上のかかる物質を含む)場合に好ましい。
非プロトン性溶媒として本発明による方法で併用される物質が、例えば1つ以上の第三級窒素原子を有する場合に、これらの物質は、本発明による方法で得ようとするポリエステル構造に対して限られた範囲でしか対抗しないものであってよい。
本発明による方法で生成されるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、中程度の極性を有するポリエステルである。
好ましくは、本発明によれば、好適な非プロトン性溶媒は、従って、その静比誘電率(=その誘電定数)εが293.15Kの温度および1.0133・105Paの圧力(=常圧)において液状の純物質として、2〜35の範囲、好ましくは3〜20の範囲、特に好ましくは4〜15の範囲、殊に好ましくは5〜10の範囲にある(真空の静比誘電率=1)の物質(化合物)を含む(もしくはそれらである)。
関連の非プロトン性物質が293.15Kおよび常圧において液状ではなく固体である場合には、上述の記述は、該物質の常圧での融点の温度に向けられる。関連の非プロトン性物質(非プロトン性(化学)化合物)が293.15Kおよび常圧において液状ではなく気体である場合には、上述の記述は、293.15Kの温度と対応する飽和蒸気圧(該物質が293.15Kで凝縮する(固有)蒸気圧)に向けられる。
本発明による関連の非プロトン性物質の静比誘電率についての記述を有する好適な出典は、例えばHANDBOOK of CHEMISTRY and PHYSICS, 92th Edition (2010-2011), CRC PRESSである。そこにある記述によれば、関連のεは、例えばテトラヒドロフランについては7.56であり、エチレンオキシドについては12.43であり、1,4−ジオキサンについては2.22であり、エチレングリコールジメチルエーテル(1,2−ジメトキシエタン)については7.41であり、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)については7.38であり、かつトリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグリム)については7.62である。
従って、本発明により殊に好ましい非プロトン性溶媒は、本発明による関連の非プロトン性有機化合物であって、その関連のεが2〜35、好ましくは3〜20、特に好ましくは4〜15、殊に好ましくは5〜10であり、かつ同時に少なくとも1つの共有結合した酸素、特に好ましくはエーテル酸素原子である酸素を含む化合物を含む溶媒である。
エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルおよびトリエチレングリコールジメチルエーテルならびにそれらの任意の混合物を含むもしくはそれらからなる非プロトン性溶媒は、従って、本発明による方法にとって特に適した非プロトン性溶媒であり、なかでもジエチレングリコールジメチルエーテルが更に好ましい。
もちろん、本発明の意味における概念「非プロトン性溶媒」は、その質量の100%までが本発明による非プロトン性有機化合物(非プロトン性有機物質、非プロトン性有機溶媒)からなっていない(その質量の90%までだけ、またはその質量の95%までだけ、またはその質量の98%までだけ、またはその質量の99%までだけが本発明による非プロトン性有機化合物からなる)溶媒さえも含む。
すなわち、使用される「非プロトン性溶媒」の少なくとも90質量%が、好ましくは少なくとも95質量%が、特に好ましくは少なくとも98質量%が、殊に好ましくは少なくとも99質量%が(それぞれ溶媒の質量に対するものである)、本発明による非プロトン性有機化合物からなる場合に、本発明の目的のために既に十分であり、かつ概念「非プロトン性溶媒」によって含まれる。
非プロトン性溶媒のかかる定義によらない構成要素は、例えば水またはアルコールなどのプロトン性物質であってよい。前記物質は、例えば「エステル形成」の過程で、本発明による方法で生長するポリ−3−ヒドロキシプロピオネート鎖の伸長停止を引き起こしうるので、かかるプロトン性物質の存在を制御することによって、本発明による方法の実施に際して得られるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの中程度の分子量を狙い通りにもたらしうる(DE 10137046 A1を参照)。かかるプロトン性物質が無くなるにつれ(例えば、それが、DE 10137046 A1が推奨するような「捕水剤」の添加によって生ずる(もたらされる)と)、それ以外は同じ反応条件下では、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの平均分子量がますます大きくなる。
本発明による方法の範囲において生長するポリ−3−ヒドロキシプロピオネート鎖の、例えば水などのプロトン性物質による伸長停止は、本発明によれば、一方で、その伸長停止に際して(連鎖中断に際して)、おそらく生長するポリエステル鎖が触媒系のコバルトへの結合が断たれる場合には好ましい。
他方で、かかる伸長停止につきものなのは、本発明によるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解に際して、例えばかかる伸長停止を引き起こす水が場合により再び脱離し、それにより再び遊離されるという欠点である。本発明によるカルボニル化反応をかかるプロトン性物質の完全な排除下で(すなわち、例えば空気湿分およびそれ以外の微量の水の排除下で)行う場合に、記載した連鎖停止はまた、形成されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明による沈殿および/または洗浄の間にはじめて起こりうる。
本発明による方法の範囲で得られるポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(すなわち生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート)の典型的な相対(すなわち水素原子の質量に対する)質量平均分子量Mwは、例えば1000〜20000または2000〜15000、しばしば3000〜12000、また4000〜10000であってよい。しかしながら基本的には、より高いおよびより低い相対質量平均分子量Mwも可能である。対応する多分散度Q(質量平均相対分子量Mwの数平均相対分子量Mnに対する比率(Q=Mw/Mn))は、一般には、2.5以上の値、しばしば2以上の値である。多くの場合に、Qは、1.5〜1.8である。しかしながら、多分散度Qは、1.5未満にまたは1.4未満に調節することもできる(DE 10137046 A1を参照)。
本発明による非プロトン性溶媒の定義によらない他の成分としては、例えば製造に関連するその不純物が該当する。
エチレンオキシド自体は、中程度の極性(εに関する関連の値=12.43)を有するので、本発明により使用されるべき非プロトン性溶媒中でのその十分な可溶性は、通常は重要ではない。
つまり、本発明により使用されるべき非プロトン性溶媒の種類と量は、一般に、該溶媒が本発明により使用されるべき反応条件下で、本発明により必要とされるコバルト含有触媒系の量が該反応混合物中で溶解状態が保持されるのに十分であることに主として合わされる。それというのも、本発明による方法は、好ましくは均一系触媒により行われるからである。
本発明による方法の実施に際してカルボニル化反応すべきエチレンオキシドのモル量に対して、前記触媒系の少なくとも1種のコバルト源に含まれるコバルトのモル使用量は、本発明による方法様式では、通常は、0.005〜20モル%の範囲、好ましくは0.05〜10モル%の範囲、特に好ましくは0.1〜8モル%の範囲、殊に好ましくは0.5〜5モル%の範囲である。相応して引き合いに出された、前記触媒系の少なくとも1種のコバルト源に含まれるコバルトの0.0001モル%以下の使用量で、通常は本質的には、本発明によるカルボニル化反応はもはや起きない(「多中心触媒反応」)。
本発明により好適なコバルト源としては、本発明による方法のためには、本質的に、コバルトを含む任意の化学的化合物を使用できる。それというのも、前記化合物は、本発明による方法で使用されるべき一酸化炭素圧力下で、一般にそれぞれコバルトの本来の触媒作用を有する化合物へと変換されるからである。
とりわけ、本発明により好適なコバルト源として、例えばコバルト塩、例えばギ酸コバルト、酢酸コバルト、コバルトアセチルアセトネートおよび硫酸コバルトであって、本発明により使用されるべき一酸化炭素圧力下でカルボニル化されやすいものが該当する(「インサイチュー」;少量の分子水素の存在は、それに関して好ましく作用しうる)。しかしながらまた、微細化されたコバルト金属(例えば粉塵形の)も本発明による方法でコバルト源として使用できる。
本発明によれば好ましくは、コバルト源として、既に予備形成されたコバルトカルボニル化合物(それは、少なくとも1つのコバルト原子と少なくとも1つの一酸化炭素配位子とを含む化合物を表す)が使用され、なかでも、ジコバルトオクタカルボニル(Co2(CO)8)が特に好ましい(これは、[Co(CO)4 +Co(CO)4 -]としてCo(CO)4 -をいわば予備形成して含む)。応用技術的な目的によれば、それは、前記触媒系の唯一のコバルト源として使用される。
以下の仮定にとらわれるべきではないが、本質的な触媒活性種は、本発明による方法の連鎖開始時にはヒドロテトラコバルトカルボニル(HCo(CO)4)であることが推測される(例えばDE 10137046 A1を参照)。
Co(CO)8などのコバルトカルボニル化合物からのヒドロテトラコバルトカルボニルの形成は、一般に、反応混合物中に水素を結合状態で有する化合物が添加されている場合には常に生ずる。アミンおよびパラフィンでさえも、Co2(CO)8などのコバルトカルボニル化合物によって水素が奪い去られることがある(Organische Chemie in Einzeldarstellungen 10, Juergen Falbe, Synthesen mit Kohlenmonoxyd, Springer出版 (1967), 第14頁を参照)。少量の分子水素の存在は、ここでは場合により好ましく作用することがある。
1種(以上)の少量のブレンステッド酸(特性「ブレンステッド酸」についての参照の基礎は、本願において25℃および常圧であり、同様にブレンステッド酸の反応相手としての水である;すなわちブレンステッド酸を水に添加することで(25℃および常圧で)、上述の条件で、純水よりも低いpH値を有する水溶液が得られる)を助触媒(「プロモーター」とも呼ばれる)として併用することによって、ヒドロテトラコバルトカルボニルの形成は、場合により速度を決めるステップとして促されるため、本発明による所望のポリエステル形成は加速されうる(DE 10149269 A1およびDE 10137046 A1を参照)。
かかる本発明により好適なブレンステッド酸(「助触媒A」もしくは「プロモーターA」)としては、通常の鉱酸(無機酸)、例えば塩酸、硫酸もしくはリン酸の希釈された形ならびに特に濃縮形のもの、有機カルボン酸、例えばアルカンモノカルボン酸およびアルカンポリカルボン酸(例えばギ酸、酢酸、アジピン酸およびグルタル酸)、それらのハロゲン化誘導体、例えばトリクロロ酢酸およびトリフルオロ酢酸ならびに芳香族カルボン酸、例えば安息香酸および2,4,6−トリメチル安息香酸、有機スルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸、ヒドロキシ芳香族化合物、例えばフェノール、1−ナフトールおよび2−ナフトールが該当するが、また水も該当する(水は、本願では独断でブレンステッド酸に割り当てる)。
フェノールおよび酢酸は、上述の目的のために、本発明により好ましいブレンステッド酸を形成する。その際に、酢酸は、好ましくはいわゆる氷酢酸の形で添加される。それは、おおむね無水のか、あるいはほぼ無水の酢酸を表すことが望ましい(好ましくはその含水率は、1質量%以下であり、特に好ましくは0.5質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以下であり、殊に好ましくは0.01質量%以下である)。塩酸は、好ましくは本発明により併用されるべき非プロトン性溶媒中に溶解されて併用される。既に認められるように、上述の本発明による目的のためには、挙げられたブレンステッド酸の任意の混合物も使用できる。
一般に、ブレンステッド酸(「プロモーターA」、「助触媒A」)は、本発明による方法において、全体として、使用される触媒系において全体で含まれるコバルトの全モル量MCo(この言い回しは、本願では常に触媒系の全てのコバルト源の全量に全体で含まれるコバルト(原子+イオン)のモル量を意味する)とともに形成される比率MA:MCoが、5:1〜1:5、好ましくは4:1〜1:4、特に好ましくは3:1〜1:3、殊に好ましくは2:1〜1:2であるような全モル量MAにおいて併用される。
注目すべきことに、少量で併用されるブレンステッド塩基(特性「ブレンステッド塩基」についての参照の基礎は、本願において25℃および常圧であり、同様にブレンステッド塩基の反応相手としての水である;すなわちブレンステッド塩基を水に添加することで(25℃および常圧で)、上述の条件で、純水よりも高いpH値を有する水溶液が得られる)は、同様に本発明により好適な助触媒(「プロモーターB」もしくは「助触媒B」)を形成する(例えばUS 2,820,059 A;Organische Chemie in Einzeldarstellungen 10, Juergen Falbe, Synthesen mit Kohlenmonoxyd, Springer出版 (1967), 第16頁;DE 10137046;US 3,260,738 A;およびDE 2901347 A1を参照)。
前記塩基は、本発明によるポリエステル形成に際して求核性物質として連鎖生長を促すと想定される(J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 第5646-5647を参照)。
それは、特に、対応するブレンステッド塩基のための尺度としての、そのpKB値(25℃、常圧および水に対する)が、7以上、好ましくは8以上、好ましくは9以上、特に好ましくは10以上の場合、つまり弱ブレンステッド塩基である場合に当てはまる。一般に、そのpKB値は、30以下で、しばしば25以下である。
該ブレンステッド塩基の対応する求核性中心は、好ましくは少なくとも1つの酸素原子(例えばアセテートイオンの場合に)、1つのリン原子(例えばトリフェニルホスフィンの場合に)、および/または少なくとも1つの窒素原子(例えばアニリンまたはピリジンの場合に)である。しかしながらまた、I-、Cl-およびF-などのハロゲン化物アニオンも、かかる求核性物質を形成しうる。
本発明により求核性の助触媒Bとして特に好適なブレンステッド塩基は、芳香族の、および非芳香族の環状化合物であって、該環中に炭素原子の他に、少なくとも1つの(しばしば2つもしくは3つも)窒素原子を有する化合物(芳香族窒素複素環および窒素複素脂肪族環)である。例えば前記環は、5員、6員または7員であってよい。
本発明により好適なプロモーターBとしては、例えばピロール、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、3−ピロリドン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、インドール、インドリン、イミダゾール、ピラゾール、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアニリドおよびN−メチルイミダゾールが挙げられる。
本発明により好ましいプロモーターBは、弱塩基性窒素複素環式化合物、例えばピロール、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、3−ピロリドン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、イミダゾール、ピラゾールおよびN−メチルイミダゾールである。
もちろん、芳香族の、もしくは非芳香族の窒素複素環式化合物は、一方で同様に1つ以上の窒素(ヘテロ)原子を有してよい脂肪族のまたは芳香族の環系(例えば5員、6員もしくは7員)と縮合されていてもよい。例としては、インドール、インドリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、1,10−フェナントロリンならびに2,2’−、2,3’−、3,3’−、2,4’−、3,4’−および4,4’−ビピリジンが挙げられる。
一般に、プロモーターB(ブレンステッド塩基)は、本発明による方法において、全体として、使用される触媒系において全体で含まれるコバルトの全モル量MCoとともに形成される比率MB:MCoが、5:1〜1:5、好ましくは4:1〜1:4、特に好ましくは3:1〜1:3、殊に好ましくは2:1〜1:2であるような全モル量MBにおいて助触媒Bとして併用される。コバルトの存在するモル量に対してプロモーターBの多すぎる過剰量は回避すべきである。それというのも、その助触媒作用は、過剰が増すにつれ阻害に転じうるからである。
本発明により好ましくは、本発明により使用されるべき触媒系は、少なくとも1種のコバルト源に加えて、更に少なくとも1種の助触媒Aと、少なくとも1種の助触媒Bを含む(例えば助触媒Aとしてのフェノールと、助触媒Bとしてのピリジンとからなる組み合わせ)。
前記反応混合物中に含まれる助触媒Aの全モル量MAと前記反応混合物中に含まれる助触媒Bの全モル量MBとから形成される比率MA:MBは、その場合に本発明によれば好ましくは1:4〜4:1、特に1:2〜2:1、しばしば1:1である。
本発明によれば特に好ましいのは、本発明により使用されるべき少なくとも1種のコバルト源を含む(少なくとも1種の)触媒系において、助触媒Cとして、少なくとも1つの求核性のブレンステッド塩基性の(ブレンステッドの意味において塩基性)官能性(例えば助触媒B)も、少なくとも1つのブレンステッド酸性の(ブレンステッドの意味において酸性)官能性(例えば助触媒A)を有するような化合物を併用することである(すなわち、これらの化合物が少なくとも1つのブレンステッド酸性の官能性のみ(少なくとも1つのブレンステッド塩基性の官能性のみ)を含むにすぎず、ブレンステッド塩基性の官能性を含まない(ブレンステッド酸性)場合には、前記化合物は、ブレンステッド酸を、すなわち助触媒A(ブレンステッド塩基、すなわち助触媒B)を形成するものである)。
これらの助触媒C(「プロモーターC」)には、特に芳香族の窒素複素環式化合物(前記化合物は、例えば5員、6員または7員の環であってよい;それらは、少なくとも1つの窒素原子を芳香族環(環)中に有する)であって、分子中にブレンステッド塩基性窒素に加えて、少なくとも1つのブレンステッド酸性の(遊離)ヒドロキシル基(−OH)および/または少なくとも1つのブレンステッド酸性の(遊離)カルボキシル基(−COOH)を共有結合されて有する化合物が該当する。もちろん、芳香族窒素複素環式化合物は、その場合に、また別の芳香族のおよび/または脂肪族の(例えば5員、6員または7員の)環系と縮合されていてよい。その場合に、前記の少なくとも1つのヒドロキシル基および/またはカルボキシル基は、芳香族の基礎的窒素複素環式化合物(好ましくは)にも、(および/または)縮合された脂肪族および/または芳香族の環系にも存在してよい。もちろん、縮合された部分も、1つ以上の窒素原子をヘテロ原子として有してもよい。前記の少なくとも1つのヒドロキシル基および/またはカルボキシル基の他に、追加的になおも、例えば脂肪族の、芳香族の、および/またはハロゲン置換基も存在してもよい。
本発明によれば特に好ましい助触媒Cとしては、例えば、2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、3,4−ジヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシキノリン、4−ヒドロキシ−2−メチルピリジン、3−ヒドロキシ−4−メチルピリジン、2,6−ジヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシイソキノリン、3−ヒドロキシキノリン、2,3−ジヒドロキシキノキサリン、8−ヒドロキシキノリン、2−ピリジルメタノール、3−ピリジルメタノールおよび2−(2−ピリジル)エタノールが挙げられる。もちろん、既に述べたように、ヒドロキシル基に代えて、および/またはヒドロキシル基に加えて、ニコチン酸の場合のようにカルボキシル基が存在してよい。殊に好ましくは、助触媒Cとして、本発明による方法では3−ヒドロキシピリジンが使用される(そして、それは、特に非プロトン性溶媒としてのジグリムおよび触媒系のコバルト源としてのジコバルトオクタカルボニルと組み合わせて使用される)。
一般に、プロモーターCは、本発明による方法において、使用される触媒系において全体で含まれるコバルトの全モル量MCoとともに形成される比率MC:MCoが、5:1〜1:5、好ましくは4:1〜1:4、特に好ましくは3:1〜1:3、殊に好ましくは2:1〜1:2もしくは2:1〜1:1であるような全モル量MCにおいて助触媒Cとして併用される。好ましくは、少なくとも1種のプロモーターCを含む触媒系は、プロモーターAもプロモーターBも含まない(しかしもちろん、かかるプロモーターは、触媒系の追加成分であってもよい)。
以下の第1表において、例として、本発明による方法に適した触媒系が、好適なカルボニル化反応すべき量のエチレンオキシド(EO)ならびに得られる反応混合物について見積もられる非プロトン性溶媒ジグリム(LM)の量を含んで、それらの使用量(比率)に関して定量化されている。使用されるコバルト源Qは、その場合に常にCo2(CO)8である。
第1表
Figure 2015529644
Figure 2015529644
一酸化炭素は、全ての上述の場合において、好ましくは過剰に(反応化学量論量と比較して)使用される。
もちろん、本発明による方法について、アニオンCo(CO)4 -の塩および/またはそのブレンステッド酸HCo(CO)もコバルト源として併用することもできる。かかる塩のための例は、テトラメチルアンモニウムテトラカルボニルコバルト酸塩(−1)(=Et4NCo(CO)4)およびビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムテトラカルボニルコバルト酸塩(−1)である。更なる例は、例えばDE 10149269 A1に開示される。
本発明によるカルボニル化反応に際して使用されるべき反応温度ならびに本発明によるカルボニル化反応に際して使用されるべき作業圧力は、重要ではなく、広い範囲にわたり変更することができる。本発明による方法の好ましい特徴は、前記カルボニル化反応が比較的穏やかな反応条件で実施できることである。好適な反応温度は、25〜150℃の範囲、好ましくは35℃もしくは50〜120℃の範囲、特に好ましくは60〜100℃の範囲、殊に好ましくは70〜90℃の範囲にある。比較的低い温度では、前記カルボニル化反応は確かに多少低くなった反応速度で進行するが、100モル%近くにある比較的高められた目標生成物選択性をもって進行する。
大気圧を上回る作業圧力によって、本発明によるカルボニル化反応は促される。用途に特化した目的に応じて、本発明によるカルボニル化反応における作業圧力(それは、(通常は超過圧反応器中に存在する)反応空間のガス雰囲気中の絶対圧力である)は2.5・107Pa(絶対圧力)を通常は超過しない。それというのも、より高い作業圧力は、通常は過度の設備費用を引き起こすからである。2・105Pa〜2・107Paの作業圧力は、本発明によれば好ましい。本発明により好ましくは、本発明によるカルボニル化反応のためには、作業圧力は、5・105Pa〜1.5・107Paの範囲、特に好ましくは1・106Pa〜1・107Paの範囲、殊に好ましくは2・106Pa〜9・106Paの範囲、もしくは4・106Pa〜8・106Paの範囲で使用される。上述の相応の様式において、本発明によるカルボニル化反応は、通常は、超過圧容器(オートクレーブ、超過圧反応器)において反応帯域Aとして実施される。
酸化性ガス、例えばO2、CO2および水蒸気は、本発明によるカルボニル化反応に関して、通常は触媒毒として作用するため、十分に、もしくは好ましくは完全に、使用されるべき一酸化炭素から(もしくは一般に使用されるべき反応混合物成分から)排除される。使用される一酸化炭素の全体積におけるそれらの個別の体積割合は、1体積%以下、より良好には0.1体積%以下、好ましくは0.01体積%以下、好ましくは0.001体積%であることが望ましく、殊に好ましくはごく僅かであることが望ましい。つまり、好ましくは、本発明によるポリエステル形成は、不活性条件下で、すなわち湿分および空気の不在下で実施される。エチレンオキシドは高可燃性ガスを形成するので、分子酸素の存在は、この観点からも本発明によるカルボニル化に際しては避けるべきである。水蒸気は、更にエチレンオキシド環を不所望にも開環し、そのために、水蒸気の存在は(既に述べた少量を除いて)超過圧容器においては前記の観点からも望ましくない。
本発明によるカルボニル化反応のために使用されるべき一酸化炭素は、従って超過圧反応器に、不活性ガス(例えばN2、アルゴンなどの希ガス)との混合物でも、本質的に純粋な物質としても供給することができる。本発明によれば後者が好ましく、そのために、本発明によるカルボニル化反応について上述された作業圧力は、本発明によるカルボニル化にとって好ましいCO分圧(反応空間のガス雰囲気に存在する)も形成する。
既に述べたように、本発明によるカルボニル化反応は、通常は、超過圧力範囲での反応のために気密封鎖可能な圧力容器において(オートクレーブ=反応帯域Aにおいて)実施される。基本的には、本発明によるポリエステル形成は、超過圧反応器において、断続的にも連続的にも実施できる。前記ポリエステル形成が断続的に実施される場合に、その作業圧力(およびこの圧力と共にCO分圧)を一定に保つことができ、またはカルボニル化反応の後に下げることができる。前者は、消費されたCOを連続的に圧力反応器の反応空間中に後続圧入することによって簡単にすることができる。
本発明によるカルボニル化のためには、例えばGCH Gerling Holz & Handels GmbH社のKohlenmonoxid 2.3が適しており、それは以下の仕様を有する(表記は気相に関するものである):
99.3体積%以上のCO、
4000体積ppm以下のN2
3500体積ppm以下のO2
3500体積ppm以下のAr、
1000体積ppm以下のH2
500体積ppm以下のCO2
500体積ppm以下の炭化水素(全体)、および
20体積ppm以下のH2O。
その一方で、GCH Gerling Holz & Handels GmbH社のKohlenmonoxid 3.0を使用することもでき、それは以下の仕様を有する(表記は気相に関するものである):
99.9体積%以上のCO、
700体積ppm以下のN2
50体積ppm以下のO2
50体積ppm以下のAr、
200体積ppm以下のH2
50体積ppm以下のCO2
25体積ppm以下の炭化水素(全体)、および
20体積ppm以下のH2O。
更に、以下の仕様:
99.9質量%以上のエチレンオキシド、
60質量ppm以下のH2O、
20質量ppm以下の酸(酢酸として)、
50質量ppm以下のアルデヒド(アセトアルデヒドとして)、および
0.1質量%の不活性ガス
を液相中に溶解されて有する、GCH Gerling Holz & Handels GmbH社のKohlenmonoxid 3.0(窒素低減された)を、本発明による方法のための原料として使用することができる。その場合に、エチレンオキシドの残留アルデヒド含量は、自体公知のように行われるべきそのアルデヒド捕捉剤(例えば炭酸水素アミノグアニジン)での処理によって、その本発明による使用の前に完全に無くすことができる。
また、約4〜6バールの窒素を有するEthylenoxid 3.0ならびに約10バール窒素を有するEthylenoxid 3.0(同じ提供会社)は、本発明による方法のための原料として使用することもできる(それは、技術的なことから窒素割合で成層されているEthylenoxid 3.0)だからである。
通常は、エチレンオキシドの断続的な本発明によるカルボニル化の場合には、オートクレーブの反応空間を、用途に特化した目的に応じて、まず不活性ガス(例えばアルゴン)でフラッシングすることが行われる。引き続き、不活性ガス雰囲気下で、そして比較的低い温度において、前記触媒系、前記非プロトン性溶媒およびエチレンオキシドを、オートクレーブの反応空間に入れ、それを閉じる。
好ましくは、前記反応空間は、撹拌しながら作業される。次いで、相応の圧力バルブによって、カルボニル化の目的のために適した量の一酸化炭素をオートクレーブの反応空間中に圧入する。
次いで、反応空間中の温度は、外部加熱装置によって反応温度にまで高められ、そして該反応混合物はオートクレーブ中で、例えばその反応温度を保持しつつ撹拌される。前記反応の過程で一酸化炭素を反応空間へと後続圧入しないと、前記カルボニル化反応は、一般に、該反応空間中の内圧が、時間の経過によりもはや不変の値にまで下がったときに中断される。相応の冷却によって、反応空間内部の温度は低減され、高められた内圧は、後に大気圧にまで放圧され、オートクレーブが開放され、こうしてその反応空間中に存在する生成物混合物Aへと到達がなされる。
既に述べたように、前記一酸化炭素は、特に本発明による方法の断続的な実施に際して、通常は、化学量論量を上回る量で使用される。しかし基本的には、化学量論量に相当する量または化学量論量を下回る量のCOを本発明による方法において使用することもできる。
オートクレーブに導かれたエチレンオキシドの全モル量に対して、ここで比較的短い反応時間(一般に、0.1時間以上10時間以下、しばしば0.25時間以上5時間以下)の場合に、通常は、90モル%以上の転化率、好ましくは95モル%以上もしくは98モル%以上の転化率、より好ましくは99モル%以上の転化率、特に好ましくは99.9モル%以上の転化率が達成できる。通常は、本発明によるエチレンオキシドのカルボニル化に際して生ずる生成物混合物Aは、所望のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを溶解された状態で含有する(形成されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの部分量は、場合により既に沈殿されていてもよい)。
生成物混合物Aを放置および/または冷却することによって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの少なくとも部分量は、その中で沈殿させることができ、そして1つ以上の機械的分離作業(例えば分離帯域Aのエレメントとしてのフィルタもしくは遠心分離器における濾過および/または遠心分離)を使用することによって、生成物混合物Aから分離することができる(その場合にその都度に残留する液相(例えば濾液もしくは上清)は、例えば本願の意味における生成物混合物Aの部分量を形成する)。
その代わりにまたはそれに加えて、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートと生成物混合物Aまたはその部分量とを分離するために、これらに分離帯域Aにおいて沈殿液を添加してよく、前記沈殿液は、場合により追加の温度低下を伴って、温度低下の措置のみよりも十分なポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを強制的に沈殿させる。引き続き、こうして沈殿されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、1つ以上の機械的分離作業を使用することによって分離帯域Aのエレメントにおいてその都度の混合物から分離することができる。その場合に残る液相(それは、生成物混合物Aの更なる部分量を含む)を用いて、(例えば分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの収率向上のために)相応のようにして更なる処理を行うことができる(沈殿液の初期添加量は、しかし基本的には、得ようとするポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの目標量が既に最初の沈殿ステップにおいて沈殿するほど十分に選択することができる)。
そこに更なる沈殿液が添加されると、その場合には、生成物混合物Aの部分量と、ここに添加された沈殿液とで形成される混合物が生ずる。
かかる沈殿液としては、通常は、特に、本発明によるカルボニル化反応のために使用される非プロトン性溶媒の一般に中程度の極性よりも、極性がより低いか、またはより高い(好ましくは「本質的により低い」もしくは「本質的により高い」)液体が該当する。
前記非プロトン性溶媒が、例えばジグリム(=ビス(2−メトキシエチル)エーテル)である場合に、かかる沈殿液としては、例えばメタノール、シクロヘキサン、n−ヘプタン、および/またはt−ブチルメチルエーテルを使用してよい。
しかし、上述の沈殿液を使用して(生成物混合物Aから)上記のとおり分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの欠点は、これが、カルボニル化に使用される触媒系に返送されるべき著しい量のコバルトをなおも含有することである。
前記沈殿液は、それらがポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの後続の熱分解を妨げる場合には不利である。メタノールを沈殿液として併用する場合に、更にポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの末端カルボキシル基とエステル形成が行われる。それは、その後続の熱分解の間に不所望な副生成物としてのメチルアクリレートの形成を引き起こす。
本発明による課題解決は、目下、例えば、沈殿液として水および/または水溶液を少なくとも併用することによって簡単に行うことができる。
すなわち、本発明によれば好ましくは、前記生成物混合物Aの全量に対して、または前記生成物混合物Aの1つ以上の部分量に対して水および/または水溶液を入れて、該生成物混合物Aの部分量中に、または該生成物混合物Aの全量中に溶解されて含まれるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを沈殿させることができる。もちろん、得られる水性混合物の温度を更に下げることができる。また、水もしくは水溶液は、その都度の添加に際して、既に比較的低い温度を有することができる。この温度は、例えば0℃以上25℃以下であってよい。
基本的には本発明によれば、水および/または水溶液を水性沈殿液として前記生成物混合物Aの1つ以上の部分量に、および/または前記生成物混合物Aの全量に添加を行って、該生成物混合物Aの部分量中に、または該生成物混合物Aの全量中に含まれるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを、少なくとも1種の酸化剤の存在下で(酸化数+2未満のCoについて)沈殿させることが好ましい。
例えば、本発明によれば、上述の添加を、空気の存在下で、および/または空気とは異なる分子酸素を含むガスの存在下で行うことが好ましい。それに代えて、またはそれに加えて、前記生成物混合物Aの部分量に、その水性沈殿液自体に、前記生成物混合物Aの全量に、および/または生成物混合物Aの部分量あるいは全量と水性液体との生ずる混合物に、該水性沈殿液の添加の前に、その間に、および/またはその後に、例えばオゾン、過酸化水素、分子酸素、過塩素酸塩および/または酸化作用を有する酸、例えば硝酸および/または過塩素酸などの1種以上の酸化剤を、添加することができる。
沈殿するポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを、少なくとも1つの機械的分離作業によって(例えば濾過および/または遠心分離によって)その都度の水性混合物から分離する前に、前記その都度の水性混合物は用途に特化した目的に応じて激しく完全混和される。既に述べたように、本発明によれば、該水性混合物を、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの機械的分離の前に、分子酸素または分子酸素を含むガス(例えば空気または分子酸素と分子窒素からなる混合物、CO、CO2、希ガスおよび/または水蒸気)で処理することが好ましい。より容易に、それは、激しく完全混和された水性混合物を、分子酸素または分子酸素を含むガスによって貫流させることによって行うことができる。また、水または水溶液は、それを本発明により使用されるべき沈殿液として使用する前に、分子酸素で飽和してよい。相応のように、前記生成物混合物Aの全量または前記生成物混合物Aの相応の部分量は、本発明による水性沈殿液を前記全量もしくは部分量へと添加する前に分子酸素で富化もしくは飽和させることもできる。
もちろん、前記水性混合物の分子酸素でのまたは分子酸素を含むガス(例えば空気または分子酸素と分子窒素とからなる混合物)での処理は、高められた温度で行うこともできる。この温度は、例えば10〜95℃、または20〜95℃、または30〜95℃、好ましくは40〜90℃、特に好ましくは50〜80℃、もしくは50〜60℃であってよい。一般に、数分の処理時間で十分である。引き続き、前記水性混合物を、25℃以下の、好ましくは20℃以下の、特に好ましくは15℃以下の、または10℃以下の温度に冷却して、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの沈殿を促すことができる。最後に、沈殿したポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを、前記水性混合物から、少なくとも1つの機械的分離作業によって分離することができる。もちろん、沈殿したポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの分離は、温かい水性混合物でも行うことができる。
かかる様式で前記生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、かなり低減された、ないしごく僅かのコバルト含量しか有さない(それは、種々の考えられる個別のコバルトの酸化数のそれぞれの全含量について、すなわちCo+2、もしくはCo+1、もしくはCo0、もしくはCo-1の全含量について相応して自明と見なされる)。前記化合物は、例えばメタノールで後洗浄され、引き続き熱の作用下で乾燥され、最後に目標とするアクリル酸への熱分解に供されうる。
上述のことは、特に、沈殿液として使用される水溶液が、25℃の温度および常圧でのpH7.5以下、好ましくは7以下の溶液であるときに該当する。好ましくは、前記水性沈殿液の上述のpH値は、6以下であり、特に好ましくは5以下であり、殊に好ましくは4以下である。一般に、上述の水性沈殿液のpH値は、0の値を超過せず、しばしば1以上または2以上である。本発明によれば好ましくは、上述のpH値(同様に25℃および常圧に関するもの)は、また前記水性沈殿液を前記生成物混合物Aにまたは前記生成物混合物Aの部分量に添加したときに生ずる水性混合物にも当てはまり、前記混合物は、選択的に本発明により好ましくは、分子酸素を含むガスで処理され、そこから沈殿されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートが少なくとも1つの機械的分離作業の使用によって分離される。好ましくは、前記水性混合物のpH値(25℃、常圧)は、2〜4、例えば3である。
示されたpH値は、本願においては、特に明確に述べられない限り、HANNA Instruments Deutschland GmbH社, D-77694 KehlのChecker(登録商標)pH-Elektrode HI 98103での測定値に関するものである。その場合に、前記測定は、用途に特化した目的に応じて、その都度の測定の前に、相応の条件下で、例えばpH値が7.01と4.01の2種類の水性緩衝液(工業用バッファー、モデルTEP 7(注文番号108702)およびTEP 4(注文番号108700)、WTW(Wissenschaftlich Technische Werkstaetten)社、D-82362 Weinheim)で較正される。7を上回るpH値の場合に、前記較正は、別の水性緩衝液を用いて行うこともできる。
関連のpH値の調整のための他の添加剤としては、無機酸および/または有機酸が該当する(ブレンステッドの意味での)。例として、硫酸、炭酸、塩酸および/またはリン酸が可能な無機酸として挙げられる。本発明によれば好ましくは、有機カルボン酸、特にアルカンカルボン酸が他のpH添加剤として使用される。これらのなかでも、例えばアクリル酸、シュウ酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸および/またはマレイン酸が挙げられる。もちろん、関連のpH値の調整のために、有機スルホン酸、例えばメタンスルホン酸を使用もしくは併用することができる。
本発明により適した水性沈殿液としては、従って例えば、1種以上の上述の無機酸および/または有機酸を溶解して有する水溶液が該当する。かかる水性沈殿液は、例えば水性硫酸、水性炭酸、水性塩酸、水性リン酸、水性アクリル酸、水性シュウ酸、水性ギ酸、水性酢酸、水性プロピオン酸、水性フマル酸、水性マレイン酸および/または水性メタンスルホン酸である。もちろん、水および1種以上の酸を、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの沈殿の目的のために添加することは、時間的にも、および/または空間的にも互いに分離して行うことができるので、効果的に添加される酸性の水性沈殿液は、例えばポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを有する水性混合物中ではじめて形成される。
用途に特化した目的に応じて、上述の本発明により使用可能な水性沈殿液の1つは、水性液体の質量に対して、少なくとも10質量%の、より良好には少なくとも20質量%の、もしくは少なくとも30質量%の、好ましくは少なくとも40質量%の、もしくは少なくとも50質量%の、特に好ましくは少なくとも60質量%の、もしくは少なくとも70質量%の、選択的に少なくとも80質量%の、もしくは少なくとも90質量%の、しばしば少なくとも95質量%の、もしくは少なくとも97質量%の、もしくは少なくとも99質量%の水を含有する。
基本的に、沈殿液を、生成物混合物Aの全量および/または生成物混合物Aの部分量に添加することは、小分けにしてかつ高められた温度で、その都度の後続の緩慢な冷却によってはじめて(十分な)結晶化もしくは沈殿が引き起こされるように行うことができる。このようにして、「沈殿種(結晶化種)」の全量は低く保つことができ、そこから最終的に一般には、沈殿されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのより粗粒の品質が得られ、その分離は、後に比較的簡単に可能である。
もちろん、前記生成物混合物Aからの、または前記生成物混合物Aの部分量からの、本発明による方法様式の範囲におけるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの沈殿は、しかしながらまた、その温度の低下によって、および/または非水性沈殿液をそれに添加することによって(例えばメタノール、シクロヘキサン、n−ヘプタンおよび/またはt−ブチルメチルエーテルを沈殿液として添加することによって)引き起こすことができる。
この場合に、沈殿されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、後に、少なくとも1つの機械的分離作業(例えば濾過および/または遠心分離)によって分離され、こうして分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量は、本発明によれば、それを後に水によりおよび/または水溶液により洗浄することによって下げられるか、もしくはごく僅かにされる。
水溶液としては、その場合に、かかる洗浄の目的のために、特に、既に可能な水性沈殿液としても挙げられかつ推奨されたあらゆるものが該当する。水性沈殿液として使用する際に述べられた好ましい事項は、水性洗浄溶液(水性洗浄液)として相応のように使用することに関しても当てはまる。
すなわち、本発明により洗浄液として好ましい水溶液は、25℃および常圧でのpH値が7.5以下、好ましくは7以下である水溶液である。好ましくは、前記水性洗浄液(水性洗浄溶液)の上述のpH値は、6以下であり、特に好ましくは5以下であり、殊に好ましくは4以下である。一般に、上述の水性洗浄液(水性洗浄溶液)のpH値は、0の値を下回らず、しばしば1以上または2以上である。
水性洗浄溶液のpH値を調整するための他の添加剤としては、既に相応の水性沈殿液との関連で挙げた無機酸および/または有機酸(ブレンステッドの意味での)が該当する。
例として、硫酸、炭酸、塩酸および/またはリン酸が可能な無機酸として挙げられる。本発明によれば好ましくは、有機カルボン酸、特にアルカンカルボン酸がかかる他のpH添加剤として使用される。これらのなかでも、例えばアクリル酸、シュウ酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸および/またはマレイン酸が挙げられる。もちろん、関連のpH値の調整のために、有機スルホン酸、例えばメタンスルホン酸を使用もしくは併用することができる。
本発明により適した水性洗浄液としては、従って例えば、1種以上の上述の無機酸および/または有機酸を溶解して有する水溶液が該当する。かかる水性洗浄液は、例えば水性硫酸、水性炭酸、水性塩酸、水性リン酸、水性アクリル酸、水性シュウ酸、水性ギ酸、水性酢酸、水性プロピオン酸、水性フマル酸、水性マレイン酸および/または水性メタンスルホン酸である。
用途に特化した目的に応じて、上述の本発明により使用されるべき水性洗浄液の1つは、水性洗浄液の質量に対して、少なくとも10質量%の、より良好には少なくとも20質量%の、もしくは少なくとも30質量%の、好ましくは少なくとも40質量%の、もしくは少なくとも50質量%の、特に好ましくは少なくとも60質量%の、もしくは少なくとも70質量%の、選択的に少なくとも80質量%の、もしくは少なくとも90質量%の、しばしば少なくとも95質量%の、もしくは少なくとも97質量%の、もしくは少なくとも99質量%の水を含有する。水自体も、本発明により適した沈殿液であるのみならず、本発明により適した洗浄液でもある。
また、分離帯域Aにおいて生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを水および/または水溶液を水性洗浄液として用いて洗浄する場合にも、本発明によれば、該洗浄を少なくとも1種の酸化剤の存在下で(酸化数+2未満のCoについて)行うことが好ましい。例えば、前記洗浄を、空気の存在下で、および/または分子酸素を含むガスの存在下で行うことが好ましい。その代わりにまたはそれに加えて、水性洗浄液および/または洗浄されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネートに、その洗浄の前におよび/またはその間に、1種以上の酸化剤、例えばオゾン、過酸化水素、分子酸素、過塩素酸塩および/または酸化作用を有する酸、例えば硝酸および/または過塩素酸を添加することができる。
本発明によれば好ましくは、上述の水性洗浄液は、それを、生成物混合物Aから分離されたコバルトを含むポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの洗浄のために使用する前に、従って例えば分子酸素で飽和される。
かかる一実施形態において、生成物混合物Aから分離されたコバルトを含むポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの洗浄は、該水性洗浄液をポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(例えばフィルタに濾過ケークとして存在するか、またはスクリーン遠心分離器上に固体ケークとして存在する)中に押し通すまたは吸引して通すように行うことができる。その場合に、水性洗浄液の温度は、例えば10〜95℃、または20〜90℃、または30〜80℃、または40〜70℃、または50〜60℃であってよい。好ましくは、該洗浄液の温度は、その場合に、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの融点を超過しないように選択される。
その一方で、生成物混合物Aから分離されたコバルトを含むポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、それを水性洗浄液で洗浄する目的のためにその中に再懸濁させることもできる。その場合に、本発明によれば、生ずるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの水性懸濁液を、更に、分子酸素を含むガス(例えば空気または分子酸素と分子窒素とからなる混合物、CO、CO2、希ガスおよび/または水蒸気)で処理することが好ましいと見なされる。
それは、該水性懸濁液を激しく完全混和し、そこに分子酸素または分子酸素を含むガス(例えば空気)を貫流させることによって簡単に行うことができる。ここでも水または水溶液は、それを本発明により使用される洗浄液として使用する前に分子酸素で飽和させてよい。記載した方法様式の場合に、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの水性懸濁液の温度は、例えば10〜95℃、または20〜90℃、または30〜80℃、または40〜70℃、または50〜60℃であってよい。場合により、該水性懸濁液は、洗浄に際して、高められた温度で溶液またはエマルジョンへと変わりうる。それを引き続き冷却することによって、この場合に、懸濁液が再度形成されうる。洗浄が完了してから、該ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(選択的に、事前に行われた水性混合物の冷却後に)を、再び少なくとも1つの機械的分離作業(例えば濾過および/または遠心分離)によって前記水性懸濁液から分離することができる。
もちろん、生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの前記の本発明による水性洗浄は、その中に含まれるコバルトを(例えば定量的に)分離するために何度も繰り返すことができる。これは、その中に全体として含まれるコバルトの全量にのみ当てはまるものではない。むしろそれは、その中に含まれる、可能な個別の酸化数におけるコバルトのそれぞれの全量にも当てはまる。すなわち、そのことは、その中に含まれるCo+2の全量について、その中に含まれるCo+1の全量について、その中に含まれるCo0の全量について、そしてその中に含まれるCo-1の全量について当てはまる。
また、生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを水および/または前記水溶液の一つで前記のように本発明により水性洗浄することは、本発明によれば、該ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの該生成物混合物Aからの分離が、既に水および/または水溶液を水性沈殿液として、前記生成物混合物Aの1つ以上の部分量に、または前記生成物混合物Aの全量に添加しつつ行われている場合にも使用できる。
本発明により使用されるべき水性沈殿液および/または水性洗浄液の量、ならびにその中の選択的に調整されるべき無機酸および/または有機酸の含量は、用途に特化した目的に応じて、その都度の沈殿に使用される条件下で、好ましくはコバルト塩の沈殿が起こらないように選択される。
本発明によれば特に好ましくは、水性沈殿液および/または水性洗浄液として、酢酸水溶液および/またはギ酸水溶液が使用され、その際、酢酸水溶液の使用は、(酢酸)水溶液中での酢酸コバルトの高められた可溶性に基づき特に好ましい。
基本的には、本発明による方法において、水性沈殿液および/または水性洗浄液として、pH値(25℃および常圧に対して)が7.5より高い水溶液(例えば少なくとも1種のブレンステッド塩基の水溶液)を使用することもできる。特に、それに関しては、アンモニア水溶液による沈殿および/または洗浄が挙げられる。しかし、この実施形式は、本発明によればあまり好ましくはない。また、本発明により使用されるべき水性沈殿液および水性洗浄液は、錯形成剤(特にキレート形成剤)、例えばエチレンジアミン四酢酸および/またはそれらのアルカリ金属塩であって、コバルトのカチオンを錯化できるもの(例えばそのナトリウム塩)を添加されて有してよい。
もちろん、本発明により好適な水性沈殿液および/または水性洗浄液としては、また、無機酸および/または有機酸(ブレンステッド酸)に代えてまたはそれに加えて、(特に本願では個別に挙げられる)少なくとも1種の水中に可溶性の有機溶媒、例えばアルコール(例えばメタノール、エタノールなど)、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン)、アミド(例えばN,N−ジメチルホルムアミドおよびホルムアミド)、スルホキシド(例えばジメチルスルホキシド)、N−メチル−2−ピロリドンまたは環状エーテル(例えばテトラヒドロフランおよび1,4−ジオキサン)を溶解して含むかかる水溶液も該当する。一般に、かかる水溶液の含水量は、その全質量に対して、相応して、少なくとも10質量%、または少なくとも20質量%、または少なくとも30質量%、または少なくとも40質量%、または少なくとも50質量%、または少なくとも60質量%、または少なくとも70質量%、または少なくとも80質量%、または少なくとも90質量%、または少なくとも95質量%、または少なくとも97質量%、または少なくとも99質量%である。
一般に、本発明によれば、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを、例えば水および/または(特に好ましくは)メタノールで後洗浄することが推奨される。
かかる後洗浄によって、前記の不所望な成分をポリ−3−ヒドロキシプロピオネートから取り除くことができる。メタノールでの後洗浄は、更に、比較的純粋なポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの引き続いての乾燥を容易にする。前記乾燥は、例えば複数時間の間で(例えば一晩で)50〜90℃の温度で、好ましくは50〜60℃の温度で、例えば乾燥キャビネットにおいて行うことができる。また、前記乾燥は、低減された圧力で、および/または比較的より低い温度で実施できる。好ましくは、かかる乾燥は、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの融点をなおも超過しない温度で行われる。
もちろん、本発明による方法では、かかる乾燥が行われなくてもよい。この場合に、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートに含まれる残留湿分は、その熱分解のために必要とされる(生ずる)加熱の間に揮発する(特に通常は熱分解の前に使用される)。
水および/または水溶液による本発明による沈殿および/または洗浄の有効性は、部分的に、おそらく、本発明によるカルボニル化反応の過程で、以下の構造
Figure 2015529644
[式中、nは、1以上の整数であり、かつ150までであるか、または200までであるか、または250までであり、それ以上であってよい]のポリエステル鎖が形成されることに起因する(J. Am. Chem. Soc., 2002, 124, 第5646-5647頁を参照)。左末端は、連鎖開始を表し、右端部は、連鎖生長を表す。水は、
Figure 2015529644
の形成下に右の鎖端を加水分解により開裂し、該ポリエステル鎖の終端をこのようにして可能にする。分子酸素(もしくは一般に1種の酸化剤)の存在は、Co2+の形成を促し、その水溶液中での可溶性は比較的高められる。
更に、水/酸化剤もしくは水溶液/酸化剤(例えばO2)からなる組み合わせは、おそらく、分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートに吸収されてのみ含まれるコバルトの化合物にも、相応のように本発明の範囲においては影響を及ぼす。
ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明により製造された生成物混合物Aからの本発明による分離は、従って比較的効率的な様式で、任意に低いコバルト含量(コバルト検出限界を越えるコバルト含量を含む)を有するポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明による熱分解のために入手可能にする。これは、本発明により分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中に全体として含まれるコバルトの全量にのみ当てはまるものではない。むしろそれは、その中に(本発明による熱分解によって分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中に)含まれる、可能な個別の酸化段階におけるコバルトのそれぞれの全量にも当てはまる。すなわち、そのことは、その中に含まれるCo+2の全量について、その中に含まれるCo+1の全量について、その中に含まれるCo0の全量について、そしてその中に含まれるCo-1の全量について当てはまる。
例えば、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量(その全質量に対して)は、本発明による熱分解に際して、2質量%以下、または1質量%以下、または0.5質量%以下、または0.1質量%以下、または0.05質量%以下、または0.01質量%以下、または0.001質量%以下、または10-4質量%以下、または10-5質量%以下、または10-6質量%以下であってよい(または検出限界を越えてよい)。
前記に述べたことと、個別に挙げられた数値的含量は、本発明により分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中にできるだけ全体として含まれるコバルトの全量に対してのみ当てはまるものではない。むしろそれは、その中に(本発明による熱分解によって分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中に)含まれる、可能な個別の酸化段階におけるコバルトのそれぞれの全量にも当てはまる。すなわち、そのことは、また個別に、その中に(本発明による熱分解により分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中に)できるだけ含まれるCo+2の全量について、その中にできるだけ含まれるCo+1の全量について、その中にできるだけ含まれるCo0の全量について、そしてその中にできるだけ含まれるCo-1の全量について当てはまる。
確かに、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解に際してコバルトの妨害作用が低くなるほど、該ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト(全)含量はより少なくなる(これは、特に酸化数+2未満で含まれるコバルトについて当てはまる)。工業的実施においては、使用されるべき総費用は、本発明によるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの脱コバルト化の間に経済的観点によれば通常はしかしながら削減され、熱分解のために残された、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト(全)含量は総合的になおも許容可能と思われる。
この意味において、本発明により生成されるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの、本発明による熱分解に際しての、その全質量に対してのコバルト(全)含量は、例えば0質量%〜1質量%、または10-6質量%〜1質量%、または10-5質量%〜1質量%、または10-4質量%〜1質量%、または0.001質量%〜0.75質量%、または0.01質量%〜0.75質量%、または0.05〜0.75質量%、または0.1質量%〜0.5質量%であってよい。
前記に述べたことと、個別に挙げられた数値的含量範囲は、本発明により分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中にできるだけ全体として含まれるコバルトの全量に対してのみ当てはまるものではない。むしろそれは、その中に(本発明による熱分解によって分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中に)含まれる、可能な個別の酸化数におけるコバルトのそれぞれの全量にも当てはまる。すなわち、そのことは、また個別に、その中に(本発明による熱分解により分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中に)できるだけ含まれるCo+2の全量について、その中にできるだけ含まれるCo+1の全量について、その中にできるだけ含まれるCo0の全量について、そしてその中にできるだけ含まれるCo-1の全量について当てはまる。
従来技術から、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを、高められた温度の作用だけによってアクリル酸に分解できることが知られており(US 2,568,636 A、US 2,361,036 AおよびEP 577206 A2を参照)、その際、この熱分解的な分解は、通常は分子酸素の十分な不在下で行われる。
この特性に基づき、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、アクリル酸の貯留形(貯蔵形)/輸送形を形成し、その形態は、アクリル酸自体とは異なり本質的に劣化プロセスに供されていない(標準条件(=25℃および常圧)で液状のアクリル酸は、それを放置した場合に、例えば不可避的に、アクリル酸のそれ自体への不所望なマイケル付加およびその際に生ずる付加生成物への不所望なマイケル付加の結果として劣化する;アクリル酸とそれ自体との不所望なラジカル重合は、通常(例えば安全の理由から)重合抑制剤をアクリル酸に添加することによって対抗せねばならない更なる劣化経路を成す;かかる重合抑制剤を含むアクリル酸を併用したラジカル開始された重合に際して、この中に含まれる重合抑制剤は、そのラジカル開始された重合を妨害しうる;更に重合抑制剤は、比較的高い作用化合物であり、それらは、更に一般にその作用が尽きることがあるため時々新しくせねばならない)。
特に、標準条件下で一般に固体状態で存在するポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、問題なく貯蔵も輸送もすることができる。
また、見積もられた分解速度に必要な温度は、分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネートへと(もしくはこれを含む分解混合物へと)好適な分解触媒を添加することによって相当下げることができることは知られている(例えばWO 2011/100608およびUS 2,961,036 A)。
一般に使用されるべき分解温度は、従って、50〜350℃の範囲、または100〜300℃の範囲で変動しうる。用途に特化して好ましくは、一般的な分解温度は、150〜220℃、特に好ましくは160〜200℃である。
ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの融点および可溶性に応じて、そのアクリル酸への熱的分解は、その固体物質から、またはその溶融物から、またはその溶媒中の溶液から、またはその有機液体(分散媒)中の懸濁液から、またはその有機液体(分散媒)中のエマルジョンから行うことができる。かかる溶媒/分散媒の沸点(常圧に対する)は、その場合に、応用技術的に好ましくは明らかに、アクリル酸の相応の沸点(=141℃)を(例えば少なくとも20℃だけ、より良好には少なくとも40℃だけ、なおもより良好には少なくとも50℃だけ、または少なくとも60℃だけ、好ましくは少なくとも80℃だけ、特に好ましくは少なくとも100℃だけ)上回る。例えば、かかる溶媒/分散媒としては、イオン性液体も該当する。
作業圧力は、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱的分解の間には、常圧(=1.0133・105Pa)においても、常圧を上回っても、または常圧を下回ってもよい。
作業圧力が常圧を下回る(例えば102Paまでおよびそれより低い圧力)場合に、分解に際して形成されるアクリル酸は存在する圧力降下に続いて生じ、こうして液体分解混合物から連続的に取り除かれる。
作業圧力が常圧であるかまたは常圧を上回る場合に(例えば107Paまでおよびそれ以上の圧力の場合に)、分解に際して形成されたアクリル酸は、用途に特化した目的に応じて、ストリッピングガス(例えば分子窒素、希ガス、二酸化炭素、空気、リーンエアー(好ましくは分子酸素が低減された空気(一般に6体積%未満のO2)))を用いて、連続的に、例えば液状分解混合物(それは、例えばポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの唯一の溶融物であってもよい)からストリッピング除去することができる。
ストリッピングの措置は、分解の範囲内で低減された圧力において併用することもできる。
もちろん、分解に際して形成されるアクリル酸は、慣用のように、相応の温度降下に続き、例えば液状の分解混合物から留去できる。
例えば液状の分解混合物から流れ出てくる、分解に際して生ずるアクリル酸を含むガス流を、下降する還流液に対して向流で、前記分解反応器もしくは1つの分解反応器に搭載された精留塔中に導くときに、アクリル酸は高められた純度でその液状の分解混合物から分離できる。
ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの、高められた温度の作用による全てのかかる分解は、本願では、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの「熱分解」もしくは「パイロリシス」といった概念としてまとめる。
従来技術からポリ(3−ヒドロキシプロピオン酸)について知られるあらゆる分解法は、相応して本発明により得られるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートに対して使用できる。その場合に、典型的な作業圧力範囲は、102〜107Pa、しばしば103〜106Pa、たびたび2・103〜5・105Pa、または5・103〜3・105Paである。
本発明により得られるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの融点は、常圧で、通常は、50℃以上150℃以下であり、大抵は、100℃以下である。
この背景から、本発明によれば、本発明により得られるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのアクリル酸への熱分解は、その溶融物から行うことが合理的である。
その場合に、熱分解は、少なくとも1種の分解触媒であって、分解法の条件(作業圧力、分解温度)下で、それぞれ必要とされるその触媒作用を有する添加されるべき量で熱的に分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの溶融物中に完全に溶解しうる分解触媒の存在下で実施できることが望ましい(「第一の要求」)。
分解触媒の併用により、より低温での熱分解の実施だけでなく、所定の熱分解条件下で、通常、特に高められたアクリル酸の空時収量も保証することを可能にする(前記分解触媒は、所定の条件で、一般に、分解速度も、目標生成物形成(アクリル酸形成)の選択性をも改善する)。
前記の関連において、少なくとも1種の分解触媒が、常圧での沸点が更に少なくとも180℃、好ましくは少なくとも185℃、特に好ましくは少なくとも190℃の作用物質(作用化合物)である場合に更に好ましい(「第二の要求」)。
追加的な利点の理由は、かかる分解触媒が、それにより触媒されるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解の範囲で、通常は必ずではないものの、該分解に際して形成されたアクリル酸と一緒に分解混合物から排出せねばならず、一般に分解混合物中に残留しうることにある(それは、還流して稼働される、分解反応器に搭載された精留塔によって促進できる)。分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを分解混合物中へと連続的に補うことによって、この場合には、1種の同じ分解触媒添加の作用が何度も(繰り返し)利用できる。
本発明により熱分解のための分解触媒として適した作用化合物の更なる好ましい(「第二の要求*」)沸点上限(すなわち、常圧での沸点350℃以下、好ましくは345℃以下、より良好には340℃以下、好ましくは335℃以下、特に好ましくは330℃以下、または325℃以下、殊に好ましくは320℃以下、または315℃以下、なおもより良好には310℃、ならびに最良には300℃以下、または290℃以下、または280℃以下、または270℃以下、または260℃以下、または250℃以下、もしくは240℃以下、または230℃以下、または200℃以下)は、更に、分解が完了した後に(熱分解が完了した後に)、本発明により分解触媒として併用される作用化合物を、本発明による熱分解に際して一般に残る残留物から、後に、場合により高められた温度および/または低減された圧力において、例えば蒸留および/または精留によって分離し、こうして有用生成物として、例えば本発明による熱分解法の有用生成物として再利用可能に得られるという可能性を開くものである。かかる分離が行われない場合には、本発明により分解触媒として使用可能な作用化合物は、分解残分を、例えばそのエネルギーを供給する完全燃焼によって、併用された作用化合物に由来する特に重大な燃焼ガスを懸念することなく廃棄処理可能にすべきである。
更に、分解触媒として使用される少なくとも1種の作用物質(少なくとも1種の作用化合物)の常圧での融点は、更に70℃以下、好ましくは60℃以下、特に好ましくは50℃以下、殊に好ましくは40℃以下、最良には25℃以下であることが好ましい(「第三の要求」)。
前記の第一の要求と第二の要求の他に更に第三の要求も満たしている分解触媒は、該触媒が通常は、分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネート自身よりも低い温度で溶融し、かつそれによって、分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネートに対して場合により溶媒としてまたは分散媒として機能しうる場合に好ましい。極端な場合には、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解は、その溶液から、またはその懸濁液から、またはそのエマルジョンから前記分解触媒中で行うことができる。
更に、分解触媒として使用されるべき作用物質が更に以下の要求を満たす場合に好ましい:
− 分解触媒の溶融物の動粘度が、熱分解の条件下で比較的低いこと(「第四の要求」);
− 分解触媒の溶融物が、固体のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを良好に濡らすこと(「第五の要求」);および
− 作用物質の引火点が、できる限り高い温度であること(「第六の要求」)。
更に、本発明により分解触媒として使用されるべき作用物質は、質量特異的な触媒作用ができる限り高いという基本要求を満たすことが望ましい。すなわち、作用物質(作用化合物)のできる限り低い使用量でも、所望の触媒作用を展開するのに十分であることが望ましい。
本願出願人の独自の調査によって、前記の基本要求とこの要求とともに一般に第一の要求も、有機作用分子もしくは分子状有機作用化合物(分子状有機(作用)物質;「分子状」とは、ここでは、該有機作用化合物が塩ではなく、イオン性化合物ではなく、従って例えば第四級アンモニウム化合物を含まないことを明示的に表している)であって、炭素および水素の他にこれらとは異なるヘテロ原子として少なくとも1つの窒素原子と選択的に少なくとも1つまたはそれ以上の酸素原子を共有結合されて有するが、但し、
− 前記作用分子(前記(作用)物質)が、炭素と水素以外に、窒素および酸素とは異なるヘテロ原子を有さず、かつ
− 少なくとも1つの窒素原子が第三級窒素原子である
化合物によって満たされるという結果に導かれた。
好ましくは、この作用化合物は、1つ以上の水素原子が共有結合されている窒素原子を有さない。更に、これらの作用化合物は、好ましくは、1つの水素原子が共有結合されている酸素原子を有さない。
第三級窒素原子とは、本願においては、炭素原子にのみ共有化学結合を有する窒素原子を表すべきであり、その際、この炭素原子の総数は、3つ以下で、少なくとも2つであり、これらの炭素原子のいずれも、同時に酸素原子への共有化学二重結合を有さない。かかる第三級窒素原子の集合には、特に、ピリジンおよび3−ヒドロキシピリジンが例えば有するような、例えば「イミン系」窒素原子が該当する。
上述のことは、特に、前記分子状有機作用物質のモル質量Mが59.1g/モル以上600g/モル以下、好ましくは75g/モル以上500g/モル以下、特に好ましくは100g/モル以上400g/モル以下、より良好には125g/モル以上300g/モル以下、殊に好ましくは150g/モル以上250g/モル以下、もしくは200g/モル以下である場合に当てはまる。
前記分子状有機作用物質の高められた質量特異的な触媒分解作用は、一般に、前記物質が第三級窒素原子(例えば少なくとも2つの、または少なくとも3つの第三級窒素原子)を有する場合に存在する。
高められた質量特異的な触媒的分解作用について本発明により好ましいのは、また、前記有機作用物質の少なくとも1つの第三級窒素原子が3つの互いに異なる炭素原子に対して共有化学結合を有する(これらの3つより多くも少なくもない炭素原子に対して共有化学結合を有し、また他の原子には共有化学結合を有さない)場合でもある。
本発明によれば好ましくは、関連の分子状有機作用物質は、少なくとも2つの、殊に好ましくは少なくとも3つの第三級窒素原子を含み、そのうち全てが、それぞれ3つの互いに異なる炭素原子に共有化学結合を有する。
殊に好ましくは、関連の作用物質は、第三級窒素原子、好ましくはこれらの窒素原子の全てがそれぞれ互いに異なる3つの炭素原子に共有化学結合を有するかかる第三級窒素原子である窒素原子のみを含む。
本発明による分解触媒として好適な上述の分子状有機作用化合物のうち、従って、とりわけ、形式上、それらの3つの水素原子を3つのアルキル基によって置き換えることによってアンモニアから誘導されうる化合物が強調されるべきである。
これらの第三級脂肪族アミンのうち、一般式I
Figure 2015529644
[式中、R1、R2およびR3は、互いに独立して、1〜8個の炭素原子を、好ましくは1〜6個の炭素原子を、特に好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基(これらの基は、水素と炭素原子のみから構成されており、シクロアルキル基を含まない)またはシクロアルキル基(それは、同様に水素と炭素のみから構成されている)である]のアミンが好ましい。
一般式Iの第三級脂肪族アミンのうち、式中のR1とR2とR3とが同一(かつ好ましくはアルキル基である)に当てはまるアミンが好ましい。好ましい基R1、R2、R3は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基およびn−ヘキシル基ならびにシクロヘキシル基である。
例としては、一般式Iの作用化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ブチルアミンおよびN−エチル−N,N−ジイソプロピルアミンが挙げられる。
更に、かかる分子状有機作用化合物であって、一般式(I)の作用化合物から形式上、基R1、R2、R3の少なくとも1つは、アルキル基またはシクロアルキル基であり、その際に1つ以上の水素原子が、基−OH、−NH2、−NHCH3および−N(CH32によって置き換えられている、および/または(選択的に環状の)炭素鎖が少なくとも1回酸素原子および/または窒素原子によって中断されていることによって誘導される化合物が本発明により好ましい分解触媒として該当する(本願の他の経路において一般式IIの作用化合物として呼称される)。その場合に、前記基の2つは、それらを支持する第三級窒素原子と一緒に1つの環(単環)を形成してもよい。好ましくは、前記作用化合物(II)は、1つ以上の水素原子が共有結合されている窒素原子を有さず、かつ/または1つの水素原子が共有結合されている酸素原子を有さない。
一般式(II)の作用化合物のうち、本発明により特に適した分解触媒(この文献(本願)に挙げられる全ての熱分解のための分解触媒、それは本願に挙げられるアクリル酸へと分解可能なポリ−3−ヒドロキシプロピオネートに対する)として、例として、ペンタメチルジエチレントリアミン(M=173.30g/モル;沸点199℃;融点−20℃未満;BASF SE社のLupragen(登録商標)N301と呼称できる)、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン(M=172.31g/モル;沸点212℃;融点−46℃;BASF SE社のLupragen(登録商標)N500と呼称できる)、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(M=160.3g/モル;沸点189℃;融点60℃;BASF SE社のLupragen(登録商標)N205と呼称できる)、2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル(M=244.33g/モル;沸点309℃;融点=−28℃;BASF SE社のLupragen(登録商標)N106と呼称できる)、N,N−ジエチルエタノールアミン(M=117.19g/モル;沸点=161℃;融点−70℃)、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン(M=130.23g/モル;沸点146℃;融点=−78℃)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(M=127.23g/モル;沸点159℃;融点−60℃;BASF SE社のLupragen(登録商標)N100と呼称できる)およびN,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン(M=102.18g/モル;沸点133℃;融点−60℃)が強調される。
本発明による分解触媒として適した更なる関連の作用化合物(作用化合物III)は、例えば1,3−ジアゾール(イミダゾール)の誘導体であって、該1,3−ジアゾールの1位の窒素上にある水素が1〜8個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子、特に好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基R4によって置き換えられている誘導体である。選択的に、更に、前記ジアゾール環における炭素原子の1つにある水素は、1〜8個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子、特に好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基R5によって置き換えられていてよい。
例として、作用化合物IIIとしては、N−メチルイミダゾール(M=82.12g/モル;沸点198℃;融点−2℃;BASF SE社のLupragen(登録商標)NMIと呼称できる)および1,2−ジメチルイミダゾール(M=96.13g/モル;沸点204℃;融点38℃)が挙げられる。
上述の本発明により特に適した分解触媒として例示された分子状有機作用化合物のうち、ペンタメチルジエチレントリアミンが更に好ましい(特に、この文献(本願)に挙げられる熱分解のために、そしてそれは、本願に挙げられるアクリル酸に分解する全てのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートに対する)。それというのも、前記化合物は、特に好ましくは、本発明により好ましい分解触媒の所望の特性を兼ね備えているからである。
本発明により好適な分解触媒として特に関心が持たれている更なる定義による作用化合物は、ヒドロキシピリジン(2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジンおよび4−ヒドロキシピリジン)である。
それは、とりわけ、これらが既に挙げられるように、本発明によるエチレンオキシドのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートへのカルボニル化反応のためにも適した助触媒Cを構成するからである。一般に、前記生成物混合物Aからのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明による分離の際に、かかる助触媒C(例えば3−ヒドロキシピリジン)および/または場合によりまた助触媒Bが、(少なくとも)部分的に分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートにおいて(例えばそこに吸着されて)残留するため、その熱分解の間に、追加の分解触媒の個別の添加を無視できる。それというのも、例えばポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中にその分離に際して残留する助触媒C化合物(例えば3−ヒドロキシピリジン)は十分な範囲において分解触媒的に作用するからである。
この関連においては、例えばかかる助触媒Cとして3−ヒドロキシピリジンが使用される場合に、少なくとも一部分量の3−ヒドロキシピリジンは、先端基として該ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのポリエステル鎖へと共有結合されることが特に重要である。これは、例えば以下の構造:
Figure 2015529644
[式中、nは、それぞれ1以上の整数であり、かつ150まで、または200まで、または250まで、そしてそれ以上であってよい]のポリエステル鎖をもたらす。
つまり、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートであって、2−ヒドロキシピリジンの、または3−ヒドロキシピリジンの、または4−ヒドロキシピリジンのヒドロキシル基とエーテル化されているものが形成される。
この状況は、このようにポリ−3−ヒドロキシプロピオネートに共有結合された2−ヒドロキシピリジン、または3−ヒドロキシピリジン、または4−ヒドロキシピリジンが、例えば生成物混合物Aからの本発明によるその水性沈殿に際しても、生成物混合物Aからそれを分離した後の本発明によるその水性洗浄に際しても、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中に残留する(そして一緒に洗出されない)ため本発明により注目すべきである。それは、本発明によれば、先端基としてポリ−3−ヒドロキシプロピオネートに化学結合されるヒドロキシピリジン(例えば2−ヒドロキシピリジン、または3−ヒドロキシピリジン、または4−ヒドロキシピリジン)は、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解のための分解触媒として作用するその能力を失わなかったためずっと重要である。それはまた、相応のヒドロキシピリジンを先端基として化学的に結合されて有さないポリ−3−ヒドロキシプロピオネート鎖への作用に関しても該当する。
その他の点で、前記の本発明により分解触媒として好適な分子状有機作用化合物の触媒的有効量は、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの分解されるべき物質の質量に対して、一般に、0.01〜15質量%または0.05〜10質量%、しばしば0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜4質量%、または1.5〜3.5質量%である。
もちろん、本発明による方法での分解触媒の使用量は、上述の値を上回ってもよい。それは、特に、前記分解触媒が、同時に分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネート用の溶媒あるいは(または)分散媒として機能する場合である。とりわけこの場合には、相応して引き合いに出される分解触媒の使用量は、50質量%までに、または100質量%までに、または150質量%までに、または200質量%までに、または250質量%までに、または300質量%までに、それ以上までにゆうに達しうる。
もちろん、別の、例えば高沸点の有機溶媒あるいは(または)分散媒、例えばイオン性液体、アクリル酸のそれ自体への、およびその際に生ずる付加物への、オリゴマーの(とりわけ二量体ないし六量体)のマイケル付加物(付加生成物)、例えばアクリル酸の従来の製造の間に通常(特にアクリル酸の精留に際しての缶出物として)生ずる付加物、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジアルキルホルムアミド、長鎖パラフィン系炭化水素、長鎖アルカノール、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、ジフェニルエーテル、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ビフェニル、トリクレシルホスフェート、ジメチルフタレートおよび/またはジエチルフタレートは、分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネートならびに一般に少なくとも1種の分解触媒を含有する分解混合物の構成成分であってよい。しかしながら、溶媒あるいは(または)分散媒の存在は、その他は同じ条件下で一般に分解速度を下げる。
かかる溶媒あるいは(または)分散媒も含有する分解混合物中のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量割合は、分解混合物の全質量に対して、95質量%未満、または90質量%未満、または80質量%未満、または70質量%未満、または60質量%未満、または50質量%未満、または40質量%未満、または30質量%未満、または20質量%未満、または10質量%未満であってもよい。しかしながら、この質量割合は、5質量%以上である。
前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートが分解混合物中にその溶融物の形で、または溶媒中に溶解されて、または分散媒中で懸濁液もしくはエマルジョンとして分散分布して存在するかどうかとは無関係に、分解触媒として添加される少なくとも1種の分子状有機作用化合物は、分解混合物中に(すなわち溶融物中、溶媒中、または分散媒中に)好ましくは溶解されて存在する。
融点低下の理由から、1種より多くの、例えば2もしくは3種の互いに異なる分解触媒を使用することが適切であることもある。
分解混合物中に形成されるアクリル酸の不所望なラジカル重合に選択的に対抗するために、分解混合物に、付加的になおも相応の重合抑制剤を添加することができる。
かかる重合抑制剤としては、基本的に、従来技術において、液相で存在するアクリル酸のラジカル重合を抑制する目的のために推奨されるあらゆるものが該当する。かかる重合抑制剤としては、アルキルフェノール類、例えばo−、m−もしくはp−クレゾール(メチルフェノール)、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、6−t−ブチル−2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノールおよび2−メチル−4−t−ブチルフェノール、ヒドロキシフェノール類、例えばヒドロキノン、ピロカテキン、レゾルシン、2−メチルヒドロキノンおよび2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、アミノフェノール類、例えばパラアミノフェノール、ニトロソフェノール類、例えばパラニトロソフェノール、アルコキシフェノール類、例えば2−メトキシフェノール、2−エトキシフェノール、4−メトキシフェノール(ヒドロキノンモノメチルエーテル)およびモノ−もしくはジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、トコフェロール類、例えばα−トコフェロール、N−オキシル類、例えば4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4,4’,4’’−トリス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル)ホスファイトまたは3−オキソ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−N−オキシル、芳香族アミン類もしくはフェニレンジアミン類、例えばN,N−ジフェニルアミン、N−ニトロソジフェニルアミンおよびN,N’−ジアルキル−パラフェニレンジアミン(その際、前記アルキル基は同一または異なってよく、かつそれぞれ互いに独立して、1〜4個の炭素原子からなり、かつ直鎖状もしくは分枝鎖状であってよい)、ヒドロキシルアミン類、例えばN,N−ジエチルヒドロキシルアミン、リン含有化合物、例えばトリフェニルホスフィン、トリフェニルホスファイト、次リン酸またはトリエチルホスファイト、硫黄含有化合物、例えばジフェニルスルフィドまたはフェノチアジンならびに上述のあらゆる重合抑制剤と、金属塩、例えば銅、マンガン、セリウム、ニッケルおよび/またはクロムの塩化物、ジチオ炭酸塩、硫酸塩、サリチル酸塩もしくは酢酸塩とを組み合わせたものが該当する。
また、上述の重合抑制剤の種々の混合物を使用することもできる。好ましくは、重合抑制剤としては、フェノチアジンおよび/またはヒドロキノン−モノメチルエーテルが使用される。更に、上述の重合抑制剤は、分子酸素を含むガス(例えば空気または窒素で希釈された空気(好ましくは希薄空気))によって支援される。用途に特化した目的に応じて、その際に、ガス状のアクリル酸および酸素を含有する混合物の爆発限界が遵守される(例えばWO 2004/007405 A1を参照)。例えば、前記の支援は、該分解に際して形成されるアクリル酸を、分子酸素を含有するストリッピングガスによって連続的に前記分解混合物からストリッピング除去することで行うことができる(かかるストリッピングは、低圧、常圧または常圧を上回る作業圧力でも行われる)。
使用される重合抑制剤(または重合抑制剤の混合物)に応じて、その使用量は、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの含量に対して、前記分解混合物において、10〜1000質量ppm、しばしば50〜500質量ppm、たびたび150〜350質量ppmである。
さもなくば、本発明により得られるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの分解が、従来技術の公知の分解方法の評価に際して既に挙げられるように起こりうる。すなわち、一般に使用されるべき分解温度(熱分解が行われる温度)は、50〜350℃の範囲、または100〜300℃の範囲で変動しうる。本発明により好ましくは、使用される分解温度は、150〜220℃であり、特に好ましくは160〜200℃である。
同様に、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明による熱分解(ガス雰囲気中)の間の作業圧力は、常圧(=1.0133・105Pa)であっても、常圧を上回っても、または常圧を下回ってもよい。すなわち、前記作業圧力は、102〜107Pa、または103〜106Pa、または2・103〜5・105Pa、または5・103〜3・105Paであってよい。
本発明により分離されるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解に際して生成されるアクリル酸を含有する気相から、アクリル酸は、自体公知のようにして、吸収的措置および/または凝縮的措置によって液相に変換することができる。一般的には、この液相は、既に、後続使用のために、例えばラジカル重合などの使用のために適した本発明により得られるアクリル酸であってよい(特に、こうして得られるアクリル酸がそのラジカル開始重合の範囲での後続使用の前に中間貯蔵されない場合に、上述の液相への変換は、好ましくは(後の)ラジカル開始重合を妨げる重合抑制剤の併用なく行われる)。
1種以上の熱的分離法(かかる熱的分離法は、特に精留、抽出、脱着、蒸留、ストリッピング、吸収、共沸精留および/または結晶化)をアクリル酸を含有する液相に使用すると、アクリル酸は液相から、しかしまた要求に応じて任意の純度にまで精製できる(例えば刊行物DE 10243625 A1、DE 10332758 A1、DE 102007004960 A1およびDE 102012204436 A1ならびにこれらの刊行物で引用される従来技術に記載されるのと同様に)。
好ましい熱的分離法としては、結晶化法が適している。結晶化による分離法の範囲内で、上述の目的のために懸濁結晶化の方法が好ましくは使用できる(例えばDE 102007043759 A1、DE 102008042008 A1およびDE 102008042010 A1ならびにこれらの刊行物で引用される従来技術に記載されるのと同様に)。
結晶懸濁液からの懸濁結晶化物の分離は、応用技術的目的によれば、洗浄溶融洗浄塔(Waschschmelzewaschkolonne)(すなわちWO 01/77056 A1、洗浄液としては、既に相応に適したアクリル酸結晶の溶融物が使用される)において、好ましくは水圧式洗浄溶融洗浄塔において行われる(例えばWO 01/77056 A1、WO 02/09839 A1、WO 03/041832 A1、WO 2006/111565 A2、WO 2010/094637 A1およびWO 2011/045356 A1ならびにこれらの刊行物で引用される従来技術に記載されるのと同様に)。
その他に、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明による分解は、大工業的に断続的にも連続的にも実施できる。
用途に特化した目的に応じて、連続的な運転(およびその運転とともに対応する本発明による熱分解帯域A)は以下のように構成されていてよい。分解反応器としては、分離作用を有する内部取付物を含む分離塔の塔底部空間が機能する(分離作用を有する内部取付物としては、例えば物質交換トレイ、例えばデュアルフロートレイが該当する;基本的に該分離塔は、しかしまた空であってよい、すなわち分離作用を有する内部取付物を有さなくてもよい)。液状の分解混合物(それは溶融物、溶液、懸濁液またはエマルジョンであってよい)は、分離塔の下から三分の一の位置で供給される(基本的には、その供給は、前記塔底部空間中へと直接的にも行うことができる;かかる供給は、原則的に「固体」でも行うことができる)。
供給箇所の下方で(好ましくは前記塔底部空間から)ポンプによって連続的に液状物質流(それは場合により懸濁液であってもよい)が取り出され、間接的な熱交換器を介して分解混合物の供給箇所の下方で再び分離塔へと返送される。間接的な熱交換器の貫流に際して、熱分解に必要とされる熱エネルギーが供給される。応用技術的に好ましくは、前記の間接的な熱交換器は、強制循環式放圧熱交換器である。
塔頂部でまたは側方抜出部を介して、アクリル酸は分離塔から抜き出すことができる。分離塔が分離作用を有する内部取付物を有する場合には、該分離塔の塔頂部領域では凝縮物の形成が生じ、形成された凝縮物の一部は分離塔中で、その中で上昇するアクリル酸に対して向流で(例えばストリッピングガスによって導かれて、および/または低減された塔頂圧で圧力降下に続いて)還流液として下降側で導かれる。最高沸点の副成分のための取出物として、缶出液から連続的に部分量が取り出され、その廃棄(例えば焼却)へと供給される。
本発明による方法様式により製造された(あるいは本発明による製造に由来する)、例えば吸収的な措置および/または凝縮的な措置によって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解に際して生ずる気相から凝縮された相(好ましくは液相)に変換されたアクリル酸に好ましいのは、前記アクリル酸が、不均一系触媒によるC3前駆化合物(プロピレン、プロパン、アクロレイン、グリセリン、プロピオン酸、プロパノールなど)の部分酸化によって生成されたアクリル酸に典型的な、そこに不純物として含まれる低分子量アルデヒドの指紋を有することである(例えばDE 102011076931 A1を参照)。
これらは、ラジカル開始重合によるポリマーの製造のために、アクリル酸および/またはその共役(ブレンステッド)塩基を、選択的に別の一不飽和および/または多不飽和の(例えばエチレン性不飽和の)化合物との混合物で使用する場合に、極めて少量(アクリル酸分の質量に対して1〜10質量ppm)でさえも極めて妨げになると見なされる(例えばそれらは、ラジカル開始重合を不所望に遅延させることがあり、または特に高い分子量を有するポリマーの製造をその「調節作用」のゆえに阻止するか、あるいは妨害することがある)。
従って、アクリル酸の製造方法であって、その方法に続いて、製造されたアクリル酸がそのままで、および/またはその共役塩基(ここでは共役ブレンステッド塩基、つまりアクリレートアニオンを意味する)の形で、かつ選択的に別の一不飽和および/または多不飽和の化合物との混合物で、ラジカル開始的にポリマー中に重合導入されるラジカル重合法が行われるかかる本発明によるアクリル酸の製造方法が特に好ましい。
それは、特に、該ラジカル重合法が、例えば乳児用オムツなどの衛生用品で使用されるような、水を「超吸収する」ポリマーの製造方法である場合に当てはまる(DE 102011076931 A1およびその刊行物で引用される従来技術を参照)。
従って、本発明は、特に以下の本発明による実施形態を含む。
1. エチレンオキシドおよび一酸化炭素からのアクリル酸の製造方法であって、少なくとも以下のプロセスステップ:
− 非プロトン性溶媒中に溶解されたエチレンオキシドを一酸化炭素によって、高められた圧力および高められた温度で、少なくとも1種のコバルト源を含む触媒系の存在下で反応帯域Aにおいてカルボニル化反応させて、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを含む生成物混合物Aを得るステップと、
− ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを前記生成物混合物Aから分離帯域Aにおいて分離するステップと、
− 前記分離帯域Aで分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを熱分解帯域Aにおいて熱分解させて、アクリル酸を形成させるステップと、
を含むアクリル酸の製造方法において、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを生成物混合物Aから分離帯域Aにおいて分離するステップが、以下の措置:
− 水および/または水溶液を水性沈殿液として、前記生成物混合物Aの1種以上の部分量に、および/または前記生成物混合物Aの全量に添加して、前記生成物混合物Aの部分量において、もしくは前記生成物混合物Aの全量において溶解されて含まれるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを沈殿させる措置、
− 前記生成物混合物Aから分離帯域Aにおいて分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを、水および/または水溶液を水性洗浄液として用いて洗浄する措置、
の少なくとも1つを含むことを特徴とするアクリル酸の製造方法。
2. 実施形態1に記載の方法であって、前記非プロトン性溶媒が、飽和炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化された飽和炭化水素、ハロゲン化された芳香族炭化水素、有機酸のエステル、ケトン、ニトリル、ジアルキルアミド、炭酸エステル、スルホキシド、スルホン、N−アルキルピロリドン、環状エーテルおよび非環状エーテルからなる群からの少なくとも1種の溶媒を含む、または該溶媒であることを特徴とする方法。
3. 実施形態1または2に記載の方法であって、前記非プロトン性溶媒が、n−ヘキサン、n−ヘプタン、石油エーテル、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、n−ブチルプロピオネート、フェニルアセテート、グリセリンアセテート、酢酸エチルエステル、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、ベンゾフェノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、n−ブチロニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N−メチルピロリドン、エチレンオキシド、ジエチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジフェニルエーテル、アルキレングリコールジアルキルエーテルおよびポリアルキレングリコールジアルキルエーテルからなる群からの少なくとも1種の溶媒を含む、または該溶媒であることを特徴とする方法。
4. 実施形態3に記載の方法であって、前記アルキレングリコールジアルキルエーテルが、エチレングリコールジアルキルエーテルであることを特徴とする方法。
5. 実施形態3に記載の方法であって、前記エチレングリコールジアルキルエーテルが、エチレングリコールジメチルエーテルであることを特徴とする方法。
6. 実施形態3に記載の方法であって、前記ポリアルキレングリコールエーテルが、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルおよび/またはテトラエチレングリコールジメチルエーテルであることを特徴とする方法。
7. 実施形態1から3までのいずれかに記載の方法であって、前記非プロトン性溶媒が、少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有することを特徴とする方法。
8. 実施形態7による方法であって、前記酸素原子が、エーテル酸素原子であることを特徴とする方法。
9. 実施形態1から3までのいずれかに記載の方法であって、前記非プロトン性溶媒は、炭素および水素とは異なる原子種としてせいぜい酸素および/または硫黄しか含まない、1種以上の物質を含む、または該物質であることを特徴とする方法。
10. 実施形態1から9までのいずれかに記載の方法であって、前記非プロトン性溶媒は、1.0133・105Paの圧力および0℃から50℃の範囲にある少なくとも1つの温度において液状であることを特徴とする方法。
11. 実施形態1から10までのいずれかに記載の方法であって、前記非プロトン性溶媒は、1.0133・105Paの圧力および5℃から40℃の範囲にある少なくとも1つの温度において液状であることを特徴とする方法。
12. 実施形態1から10までのいずれかに記載の方法であって、前記非プロトン性溶媒は、1.0133・105Paの圧力および10℃から30℃の範囲にある少なくとも1つの温度において液状であることを特徴とする方法。
13. 実施形態1から12までのいずれかに記載の方法であって、前記非プトロン性溶媒は、その静比誘電率εが純物質として293.15Kの温度および1.0133・105Paの圧力で2〜35の範囲にある少なくとも1種の溶媒を含む、または該溶媒であることを特徴とする方法。
14. 実施形態1から13までのいずれかに記載の方法であって、前記非プトロン性溶媒は、その静比誘電率εが純物質として293.15Kの温度および1.0133・105Paの圧力で3〜20の範囲にある少なくとも1種の溶媒を含む、または該溶媒であることを特徴とする方法。
15. 実施形態1から14までのいずれかに記載の方法であって、前記非プトロン性溶媒は、その静比誘電率εが純物質として293.15Kの温度および1.0133・105Paの圧力で4〜15の範囲にある少なくとも1種の溶媒を含む、または該溶媒であることを特徴とする方法。
16. 実施形態1から15までのいずれかに記載の方法であって、前記非プトロン性溶媒は、その静比誘電率εが純物質として293.15Kの温度および1.0133・105Paの圧力で5〜10の範囲にある少なくとも1種の溶媒を含む、または該溶媒であることを特徴とする方法。
17. 実施形態1に記載の方法であって、前記非プロトン性溶媒は、テトラヒドロフラン、エチレンオキシド、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルおよびトリエチレングリコールジメチルエーテルからなる群からの少なくとも1種の溶媒を含む、または該溶媒であることを特徴とする方法。
18. 実施形態1に記載の方法であって、前記非プロトン性溶媒は、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルおよびトリエチレングリコールジメチルエーテルからなる群からの少なくとも1種の溶媒を含む、または該溶媒であることを特徴とする方法。
19. 実施形態1から18までのいずれかに記載の方法であって、前記非プロトン性溶媒は、その質量の少なくとも90%だけが非プロトン性溶媒であることを特徴とする方法。
20. 実施形態1から18までのいずれかに記載の方法であって、前記非プロトン性溶媒は、その質量の少なくとも95%だけが非プロトン性溶媒であることを特徴とする方法。
21. 実施形態1から18までのいずれかに記載の方法であって、前記非プロトン性溶媒は、その質量の少なくとも98%だけが非プロトン性溶媒であることを特徴とする方法。
22. 実施形態1から18までのいずれかに記載の方法であって、前記非プロトン性溶媒は、その質量の少なくとも99%だけが非プロトン性溶媒であることを特徴とする方法。
23. 実施形態1から22までのいずれかに記載の方法であって、生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、1000〜20000の、または2000〜15000の相対質量平均分子量を有することを特徴とする方法。
24. 実施形態1から23までのいずれかに記載の方法であって、生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの多分散度Qは、2.5未満または2.5以上であることを特徴とする方法。
25. 実施形態1から24までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、前記少なくとも1種のコバルト源を、これがカルボニル化反応されるべきエチレンオキシドのモル量に対して0.005〜20モル%のコバルトを含有する量で含むことを特徴とする方法。
26. 実施形態1から25までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、前記少なくとも1種のコバルト源を、これがカルボニル化反応されるべきエチレンオキシドのモル量に対して0.05〜10モル%のコバルトを含有する量で含むことを特徴とする方法。
27. 実施形態1から26までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、前記少なくとも1種のコバルト源を、これがカルボニル化反応されるべきエチレンオキシドのモル量に対して0.1〜8モル%のコバルトを含有する量で含むことを特徴とする方法。
28. 実施形態1から27までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、前記少なくとも1種のコバルト源を、これがカルボニル化反応されるべきエチレンオキシドのモル量に対して0.5〜5モル%のコバルトを含有する量で含むことを特徴とする方法。
29. 実施形態1から28までのいずれかに記載の方法であって、少なくとも1種のコバルト源が、コバルトの塩であることを特徴とする方法。
30. 実施形態29に記載の方法であって、前記コバルトの塩が、ギ酸コバルト、酢酸コバルト、アセチルアセトン酸コバルトおよび/または硫酸コバルトであることを特徴とする方法。
31. 実施形態1から28までのいずれかに記載の方法であって、少なくとも1種のコバルト源が、微細なコバルト金属であることを特徴とする方法。
32. 実施形態1から28までのいずれかに記載の方法であって、少なくとも1種のコバルト源が、コバルトカルボニル化合物であることを特徴とする方法。
33. 実施形態1から28までのいずれかに記載の方法であって、少なくとも1種のコバルト源が、ジコバルトオクタカルボニルであることを特徴とする方法。
34. 実施形態1から33までのいずれかに記載の方法であって、前記コバルト触媒系が、少なくとも1種のブレンステッド酸を助触媒Aとして含むことを特徴とする方法。
35. 実施形態34に記載の方法であって、前記少なくとも1種のブレンステッド酸が、無機酸、有機カルボン酸、有機スルホン酸、水およびヒドロキシ芳香族化合物からなる群から選択される少なくとも1種の酸であることを特徴とする方法。
36. 実施形態35に記載の方法であって、前記少なくとも1種のブレンステッド酸が、水、塩酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸、アジピン酸、グルタル酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、2,4,6−トリメチル安息香酸、p−トルエンスルホン酸、フェノール、1−ナフトールおよび2−ナフトールからなる群からの少なくとも1種の酸であることを特徴とする方法。
37. 実施形態36に記載の方法であって、前記少なくとも1種のブレンステッド酸が、フェノールおよび/または酢酸であることを特徴とする方法。
38. 実施形態34から37までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、少なくとも1種のコバルト源と、少なくとも1種の助触媒Aとを、前記触媒系中に全体として含まれる助触媒Aのモル量MAと、前記触媒系中に全体として含まれるコバルトのモル量MCoとから形成される比率MA:MCoが、5:1〜1:5である量で含有することを特徴とする方法。
39. 実施形態34から38までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、少なくとも1種のコバルト源と、少なくとも1種の助触媒Aとを、前記触媒系中に全体として含まれる助触媒Aのモル量MAと、前記触媒系中に全体として含まれるコバルトのモル量MCoとから形成される比率MA:MCoが、4:1〜1:4である量で含有することを特徴とする方法。
40. 実施形態34から39までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、少なくとも1種のコバルト源と、少なくとも1種の助触媒Aとを、前記触媒系中に全体として含まれる助触媒Aのモル量MAと、前記触媒系中に全体として含まれるコバルトのモル量MCoとから形成される比率MA:MCoが、3:1〜1:3である量で含有することを特徴とする方法。
41. 実施形態34から40までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、少なくとも1種のコバルト源と、少なくとも1種の助触媒Aとを、前記触媒系中に全体として含まれる助触媒Aのモル量MAと、前記触媒系中に全体として含まれるコバルトのモル量MCoとから形成される比率MA:MCoが、2:1〜1:2である量で含有することを特徴とする方法。
42. 実施形態1から41までのいずれかに記載の方法であって、前記コバルト触媒系が、少なくとも1種のブレンステッド塩基を助触媒Bとして含むことを特徴とする方法。
43. 実施形態42に記載の方法であって、前記少なくとも1種のブレンステッド塩基のpKB値が7以上であることを特徴とする方法。
44. 実施形態42に記載の方法であって、前記少なくとも1種のブレンステッド塩基のpKB値が8以上であることを特徴とする方法。
45. 実施形態42に記載の方法であって、前記少なくとも1種のブレンステッド塩基のpKB値が9以上であることを特徴とする方法。
46. 実施形態42に記載の方法であって、前記少なくとも1種のブレンステッド塩基のpKB値が10以上であることを特徴とする方法。
47. 実施形態42から46までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種のブレンステッド塩基が、環中に炭素原子の他に少なくとも1つの窒素原子を有する芳香族性もしくは非芳香族性の環状化合物であることを特徴とする方法。
48. 実施形態42に記載の方法であって、前記少なくとも1種のブレンステッド塩基が、ハロゲン化物アニオンI-、Cl-およびF-、酢酸アニオン、ピロール、N−メチル−2−ピロリドン、3−ピロリドン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、インドール、インドリン、イミダゾール、ピラゾール、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアニリン、N−メチル−イミダゾール、N−メチル−2−ピロリドン、3−ピロリドン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、インドール、インドリン、イミダゾール、ピラゾール、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアニリド、N−メチル−イミダゾール、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、ピリミジン、ニコチン酸のアミド、ピラジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、1,10−フェナントロリン、ビピリジンおよびピリジンからなる群からの少なくとも1種のブレンステッド塩基であることを特徴とする方法。
49. 実施形態42から48までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、少なくとも1種のコバルト源と、少なくとも1種の助触媒Bとを、前記触媒系中に全体として含まれる助触媒Bのモル量MBと、前記触媒系中に全体として含まれるコバルトのモル量MCoとから形成される比率MB:MCoが、5:1〜1:5である量で含有することを特徴とする方法。
50. 実施形態42から49までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、少なくとも1種のコバルト源と、少なくとも1種の助触媒Bとを、前記触媒系中に全体として含まれる助触媒Bのモル量MBと、前記触媒系中に全体として含まれるコバルトのモル量MCoとから形成される比率MB:MCoが、4:1〜1:4である量で含有することを特徴とする方法。
51. 実施形態42から50までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、少なくとも1種のコバルト源と、少なくとも1種の助触媒Bとを、前記触媒系中に全体として含まれる助触媒Bのモル量MBと、前記触媒系中に全体として含まれるコバルトのモル量MCoとから形成される比率MB:MCoが、3:1〜1:3である量で含有することを特徴とする方法。
52. 実施形態42から51までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、少なくとも1種のコバルト源と、少なくとも1種の助触媒Bとを、前記触媒系中に全体として含まれる助触媒Bのモル量MBと、前記触媒系中に全体として含まれるコバルトのモル量MCoとから形成される比率MB:MCoが、2:1〜1:2である量で含有することを特徴とする方法。
53. 実施形態1から52までのいずれかに記載の方法であって、前記コバルト触媒系が、少なくとも1種のブレンステッド酸を助触媒Aとして含み、かつ少なくとも1種のブレンステッド塩基を助触媒Bとして含むことを特徴とする方法。
54. 実施形態53に記載の方法であって、前記助触媒Aがフェノールであり、かつ前記助触媒Bがピリジンであることを特徴とする方法。
55. 実施形態53または54に記載の方法であって、前記触媒系が、少なくとも1種の助触媒Aと、少なくとも1種の助触媒Bとを、前記触媒系中に全体として含まれる助触媒Aのモル量MAと、前記触媒系中に全体として含まれる助触媒Bのモル量MBとから形成される比率MA:MBが、1:4〜4:1である量で含有することを特徴とする方法。
56. 実施形態53から55までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、少なくとも1種の助触媒Aと、少なくとも1種の助触媒Bとを、前記触媒系中に全体として含まれる助触媒Aのモル量MAと、前記触媒系中に全体として含まれる助触媒Bのモル量MBとから形成される比率MA:MBが、1:2〜2:1である量で含有することを特徴とする方法。
57. 実施形態53から56までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、少なくとも1種の助触媒Aと、少なくとも1種の助触媒Bとを、前記触媒系中に全体として含まれる助触媒Aのモル量MAと、前記触媒系中に全体として含まれる助触媒Bのモル量MBとから形成される比率MA:MBが、1:1である量で含有することを特徴とする方法。
58. 実施形態1から57までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、助触媒Bのような少なくとも1種の求核性のブレンステッド塩基性官能性も、助触媒Aのような少なくとも1種の、ブレンステッドの意味で酸性の官能性も有する、少なくとも1種の化合物を、少なくとも1種の助触媒Cとして含むことを特徴とする方法。
59. 実施形態58に記載の方法であって、前記少なくとも1種の助触媒Cが、付加的に少なくとも1つのヒドロキシル基および/または少なくとも1つのカルボキシル基を共有結合されて有する芳香族窒素複素環であることを特徴とする方法。
60. 実施形態59に記載の方法であって、前記芳香族窒素複素環が、1つ以上の別の芳香族および/または脂肪族の環系に縮合されていることを特徴とする方法。
61. 実施形態60に記載の方法であって、前記少なくとも1つのヒドロキシル基および/またはカルボキシル基が、縮合された環系に共有結合されていることを特徴とする方法。
62. 実施形態58または59に記載の方法であって、前記少なくとも1種の助触媒Cが、2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、3,4−ジヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシキノリン、4−ヒドロキシ−2−メチルピリジン、3−ヒドロキシ−4−メチルピリジン、2,6−ジヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシイソキノリン、3−ヒドロキシキノリン、2,3−ジヒドロキシキノキサリン、8−ヒドロキシキノリン、2−ピリジルメタノール、3−ピリジルメタノール、2−(2−ピリジル)エタノールおよびニコチン酸からなる群からの少なくとも1種の化合物であることを特徴とする方法。
63. 実施形態58から62までのいずれかに記載の方法であって、前記非プロトン性溶媒がジグリムを含み、前記少なくとも1種のコバルト源がジコバルトオクタカルボニルを含み、かつ前記触媒系が付加的に3−ヒドロキシピリジンを少なくとも1種の助触媒Cとして含むことを特徴とする方法。
64. 実施形態58から63までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、少なくとも1種のコバルト源と、少なくとも1種の助触媒Cとを、前記触媒系中に全体として含まれる助触媒Cのモル量MCと、前記触媒系中に全体として含まれるコバルトのモル量MCoとから形成される比率MC:MCoが、5:1〜1:5である量で含有することを特徴とする方法。
65. 実施形態58から64までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、少なくとも1種のコバルト源と、少なくとも1種の助触媒Cとを、前記触媒系中に全体として含まれる助触媒Cのモル量MCと、前記触媒系中に全体として含まれるコバルトのモル量MCoとから形成される比率MC:MCoが、4:1〜1:4である量で含有することを特徴とする方法。
66. 実施形態58から65までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、少なくとも1種のコバルト源と、少なくとも1種の助触媒Cとを、前記触媒系中に全体として含まれる助触媒Cのモル量MCと、前記触媒系中に全体として含まれるコバルトのモル量MCoとから形成される比率MC:MCoが、3:1〜1:3である量で含有することを特徴とする方法。
67. 実施形態58から66までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、少なくとも1種のコバルト源と、少なくとも1種の助触媒Cとを、前記触媒系中に全体として含まれる助触媒Cのモル量MCと、前記触媒系中に全体として含まれるコバルトのモル量MCoとから形成される比率MC:MCoが、2:1〜1:2である量で含有することを特徴とする方法。
68. 実施形態1から67までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、コバルト源として、アニオンCo(CO)4 -の少なくとも1種の塩および/またはそのブレンステッド酸HCo(CO)4を含むことを特徴とする方法。
69. 実施形態1から68までのいずれかに記載の方法であって、前記触媒系が、本願の第1表に挙げられる触媒系の少なくとも1種を含むことを特徴とする方法。
70. 実施形態1から69までのいずれかに記載の方法であって、前記カルボニル化反応を、25〜150℃の範囲の反応温度で実施することを特徴とする方法。
71. 実施形態1から70までのいずれかに記載の方法であって、前記カルボニル化反応を、35〜120℃の範囲の反応温度で実施することを特徴とする方法。
72. 実施形態1から71までのいずれかに記載の方法であって、前記カルボニル化反応を、50〜120℃の範囲の反応温度で実施することを特徴とする方法。
73. 実施形態1から72までのいずれかに記載の方法であって、前記カルボニル化反応を、60〜100℃の範囲の反応温度で実施することを特徴とする方法。
74. 実施形態1から73までのいずれかに記載の方法であって、前記カルボニル化反応を、70〜90℃の範囲の反応温度で実施することを特徴とする方法。
75. 実施形態1から74までのいずれかに記載の方法であって、前記カルボニル化反応を、1.0133・105Pa〜2.5・107Paの作業圧力で実施することを特徴とする方法。
76. 実施形態1から75までのいずれかに記載の方法であって、前記カルボニル化反応を、2・105Pa〜2・107Paの作業圧力で実施することを特徴とする方法。
77. 実施形態1から76までのいずれかに記載の方法であって、前記カルボニル化反応を、5・105Pa〜1.5・107Paの作業圧力で実施することを特徴とする方法。
78. 実施形態1から77までのいずれかに記載の方法であって、前記カルボニル化反応を、1・106Pa〜1・107Paの作業圧力で実施することを特徴とする方法。
79. 実施形態1から78までのいずれかに記載の方法であって、前記カルボニル化反応を、2・106Pa〜9・106Paの作業圧力で実施することを特徴とする方法。
80. 実施形態1から79までのいずれかに記載の方法であって、前記カルボニル化反応を、4・106Pa〜8・106Paの作業圧力で実施することを特徴とする方法。
81. 実施形態1から80までのいずれかに記載の方法であって、カルボニル化反応のために使用される一酸化炭素が、その全体積に対して、1体積%以下の、COとは異なる成分を含有することを特徴とする方法。
82. 実施形態1から80までのいずれかに記載の方法であって、カルボニル化反応のために使用される一酸化炭素が、その全体積に対して、0.1体積%以下の、COとは異なる成分を含有することを特徴とする方法。
83. 実施形態1から80までのいずれかに記載の方法であって、カルボニル化反応のために使用される一酸化炭素が、その全体積に対して、0.01体積%以下の、COとは異なる成分を含有することを特徴とする方法。
84. 実施形態1から80までのいずれかに記載の方法であって、カルボニル化反応のために使用される一酸化炭素が、その全体積に対して、0.001体積%以下の、COとは異なる成分を含有することを特徴とする方法。
85. 実施形態1から80までのいずれかに記載の方法であって、カルボニル化反応のために使用される一酸化炭素は、一酸化炭素と少なくとも1種の不活性ガスとからなる混合物中に含まれていることを特徴とする方法。
86. 実施形態85に記載の方法であって、前記不活性ガスが、分子窒素および/または希ガスであることを特徴とする方法。
87. 実施形態1から86までのいずれかに記載の方法であって、前記カルボニル化反応を、1.0133・105Pa〜2.5・107PaのCOの分圧で実施することを特徴とする方法。
88. 実施形態1から87までのいずれかに記載の方法であって、前記カルボニル化反応を、2・105Pa〜2・107PaのCOの分圧で実施することを特徴とする方法。
89. 実施形態1から88までのいずれかに記載の方法であって、前記カルボニル化反応を、5・105Pa〜1.5・107PaのCOの分圧で実施することを特徴とする方法。
90. 実施形態1から89までのいずれかに記載の方法であって、前記カルボニル化反応を、1・106Pa〜1・107PaのCOの分圧で実施することを特徴とする方法。
91. 実施形態1から90までのいずれかに記載の方法であって、前記カルボニル化反応を、2・106Pa〜9・106PaのCOの分圧で実施することを特徴とする方法。
92. 実施形態1から91までのいずれかに記載の方法であって、前記カルボニル化反応を、4・106Pa〜8・106PaのCOの分圧で実施することを特徴とする方法。
93. 実施形態1から92までのいずれかに記載の方法であって、カルボニル化反応に際してのエチレンオキシドの転化率が90モル%以上であることを特徴とする方法。
94. 実施形態1から92までのいずれかに記載の方法であって、カルボニル化反応に際してのエチレンオキシドの転化率が95モル%以上であることを特徴とする方法。
95. 実施形態1から92までのいずれかに記載の方法であって、カルボニル化反応に際してのエチレンオキシドの転化率が98モル%以上であることを特徴とする方法。
96. 実施形態1から92までのいずれかに記載の方法であって、カルボニル化反応に際してのエチレンオキシドの転化率が99モル%以上であることを特徴とする方法。
97. 実施形態1から92までのいずれかに記載の方法であって、カルボニル化反応に際してのエチレンオキシドの転化率が99.9モル%以上であることを特徴とする方法。
98. 実施形態1から97までのいずれかに記載の方法であって、前記カルボニル化反応を、分子酸素の排除下に実施することを特徴とする方法。
99. 実施形態1から98までのいずれかに記載の方法であって、水性沈殿液のpH値が、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、7.5以下であることを特徴とする方法。
100. 実施形態1から98までのいずれかに記載の方法であって、水性沈殿液のpH値が、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、7.0以下であることを特徴とする方法。
101. 実施形態1から98までのいずれかに記載の方法であって、水性沈殿液のpH値が、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、6以下であることを特徴とする方法。
102. 実施形態1から98までのいずれかに記載の方法であって、水性沈殿液のpH値が、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、5以下であることを特徴とする方法。
103. 実施形態1から98までのいずれかに記載の方法であって、水性沈殿液のpH値が、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、4以下であることを特徴とする方法。
104. 実施形態1から103までのいずれかに記載の方法であって、水性沈殿液のpH値が、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、0以上であることを特徴とする方法。
105. 実施形態1から104までのいずれかに記載の方法であって、水性沈殿液のpH値が、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、1以上であることを特徴とする方法。
106. 実施形態1から105までのいずれかに記載の方法であって、水性沈殿液のpH値が、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、2以上であることを特徴とする方法。
107. 実施形態1から106までのいずれかに記載の方法であって、生成物混合物Aまたは生成物混合物Aの部分量のpH値が、水性沈殿液の添加を行った後に、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、7.5以下であることを特徴とする方法。
108. 実施形態1から106までのいずれかに記載の方法であって、生成物混合物Aまたは生成物混合物Aの部分量のpH値が、水性沈殿液の添加を行った後に、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、7.0以下であることを特徴とする方法。
109. 実施形態1から106までのいずれかに記載の方法であって、生成物混合物Aまたは生成物混合物Aの部分量のpH値が、水性沈殿液の添加を行った後に、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、6以下であることを特徴とする方法。
110. 実施形態1から106までのいずれかに記載の方法であって、生成物混合物Aまたは生成物混合物Aの部分量のpH値が、水性沈殿液の添加を行った後に、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、5以下であることを特徴とする方法。
111. 実施形態1から106までのいずれかに記載の方法であって、生成物混合物Aまたは生成物混合物Aの部分量のpH値が、水性沈殿液の添加を行った後に、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、4以下であることを特徴とする方法。
112. 実施形態1から111までのいずれかに記載の方法であって、生成物混合物Aまたは生成物混合物Aの部分量のpH値が、水性沈殿液の添加を行った後に、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、0以上であることを特徴とする方法。
113. 実施形態1から112までのいずれかに記載の方法であって、生成物混合物Aまたは生成物混合物Aの部分量のpH値が、水性沈殿液の添加を行った後に、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、1以上であることを特徴とする方法。
114. 実施形態1から113までのいずれかに記載の方法であって、生成物混合物Aまたは生成物混合物Aの部分量のpH値が、水性沈殿液の添加を行った後に、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、2以上であることを特徴とする方法。
115. 実施形態1から114までのいずれかに記載の方法であって、前記水性沈殿液が、無機酸および/または有機酸の水溶液であることを特徴とする方法。
116. 実施形態115に記載の方法であって、前記水性沈殿液が、硫酸水溶液、炭酸水溶液、塩酸水溶液、リン酸水溶液、アクリル酸水溶液、シュウ酸水溶液、ギ酸水溶液、酢酸水溶液、プロピオン酸水溶液、フマル酸水溶液、マレイン酸水溶液およびメタンスルホン酸水溶液からなる群からの少なくとも1種の水溶液であることを特徴とする方法。
117. 実施形態1から114までのいずれかに記載の方法であって、前記水性沈殿液が、酢酸水溶液であることを特徴とする方法。
118. 実施形態1から117までのいずれかに記載の方法であって、前記水性沈殿液の含水量が、その質量に対して、少なくとも10質量%または少なくとも20質量%であることを特徴とする方法。
119. 実施形態1から117までのいずれかに記載の方法であって、前記水性沈殿液の含水量が、その質量に対して、少なくとも30質量%であることを特徴とする方法。
120. 実施形態1から117までのいずれかに記載の方法であって、前記水性沈殿液の含水量が、その質量に対して、少なくとも40質量%であることを特徴とする方法。
121. 実施形態1から117までのいずれかに記載の方法であって、前記水性沈殿液の含水量が、その質量に対して、少なくとも50質量%であることを特徴とする方法。
122. 実施形態1から117までのいずれかに記載の方法であって、前記水性沈殿液の含水量が、その質量に対して、少なくとも60質量%であることを特徴とする方法。
123. 実施形態1から117までのいずれかに記載の方法であって、前記水性沈殿液の含水量が、その質量に対して、少なくとも70質量%であることを特徴とする方法。
124. 実施形態1から117までのいずれかに記載の方法であって、前記水性沈殿液の含水量が、その質量に対して、少なくとも80質量%であることを特徴とする方法。
125. 実施形態1から117までのいずれかに記載の方法であって、前記水性沈殿液の含水量が、その質量に対して、少なくとも90質量%であることを特徴とする方法。
126. 実施形態1から117までのいずれかに記載の方法であって、前記水性沈殿液の含水量が、その質量に対して、少なくとも95質量%であることを特徴とする方法。
127. 実施形態1から117までのいずれかに記載の方法であって、前記水性沈殿液の含水量が、その質量に対して、少なくとも97質量%であることを特徴とする方法。
128. 実施形態1から117までのいずれかに記載の方法であって、前記水性沈殿液の含水量が、その質量に対して、少なくとも99質量%であることを特徴とする方法。
129. 実施形態1から128までのいずれかに記載の方法であって、前記水性沈殿液の添加は、少なくとも1種の酸化剤の存在下で(+2未満の酸化数のコバルトについて)行うことを特徴とする方法。
130. 実施形態129に記載の方法であって、前記水性沈殿液の添加は、空気または空気とは異なる分子酸素含有ガスの存在下で行うことを特徴とする方法。
131. 実施形態1から130までのいずれかに記載の方法であって、前記水性沈殿液の添加の前、その間、および/またはその後に、生成物混合物Aの部分量に、該水性沈殿液自体に、生成物混合物Aの全量に、および/または生成物混合物Aの部分量あるいは全量と前記水性沈殿液とからなる生成する混合物に、1種以上の酸化剤を添加することを特徴とする方法。
132. 実施形態131に記載の方法であって、オゾン、過酸化水素、分子酸素、過塩素酸塩、過塩素酸および硝酸からなる群からの1種以上の酸化剤が添加されることを特徴とする方法。
133. 実施形態1から132までのいずれかに記載の方法であって、前記水性沈殿液が、分子酸素を溶解して含むことを特徴とする方法。
134. 実施形態1から133までのいずれかに記載の方法であって、前記水性沈殿液が、分子酸素で飽和されていることを特徴とする方法。
135. 実施形態1から134までのいずれかに記載の方法であって、前記生成物混合物Aおよび/または前記生成物混合物Aの部分量に、前記水性沈殿液に加えて、分子酸素含有ガスを供給することを特徴とする方法。
136. 実施形態135に記載の方法であって、前記分子酸素含有ガスが空気であるか、または空気を含有することを特徴とする方法。
137. 実施形態135または136に記載の方法であって、前記分子酸素含有ガスの供給が、前記生成物混合物Aもしくは前記生成物混合物Aの部分量から前記水性沈殿液の添加によって生ずる水性混合物へと行われることを特徴とする方法。
138. 実施形態137に記載の方法であって、前記分子酸素含有ガスの供給を、10〜95℃の、または20〜95℃の、または30〜95℃の水性混合物の温度で行うことを特徴とする方法。
139. 実施形態137または138に記載の方法であって、前記分子酸素含有ガスの供給を、40〜90℃の水性混合物の温度で行うことを特徴とする方法。
140. 実施形態137または139に記載の方法であって、前記分子酸素含有ガスの供給を、50〜80℃の、または50〜60℃の水性混合物の温度で行うことを特徴とする方法。
141. 実施形態137から140までのいずれかに記載の方法であって、前記水性混合物の温度は、前記分子酸素含有ガスの供給の間におよび/またはその後に低減されることを特徴とする方法。
142. 実施形態1から141までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液のpH値が、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、7.5以下であることを特徴とする方法。
143. 実施形態1から141までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液のpH値が、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、7.0以下であることを特徴とする方法。
144. 実施形態1から141までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液のpH値が、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、6以下であることを特徴とする方法。
145. 実施形態1から141までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液のpH値が、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、5以下であることを特徴とする方法。
146. 実施形態1から141までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液のpH値が、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、4以下であることを特徴とする方法。
147. 実施形態1から146までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液のpH値が、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、0以上であることを特徴とする方法。
148. 実施形態1から147までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液のpH値が、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、1以上であることを特徴とする方法。
149. 実施形態1から148までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液のpH値が、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、2以上であることを特徴とする方法。
150. 実施形態1から149までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液が、無機酸および/または有機酸の水溶液であることを特徴とする方法。
151. 実施形態150に記載の方法であって、前記水性洗浄液が、硫酸水溶液、炭酸水溶液、塩酸水溶液、リン酸水溶液、アクリル酸水溶液、シュウ酸水溶液、ギ酸水溶液、酢酸水溶液、プロピオン酸水溶液、フマル酸水溶液、マレイン酸水溶液およびメタンスルホン酸水溶液からなる群からの少なくとも1種の水溶液であることを特徴とする方法。
152. 実施形態1から151までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液が、酢酸水溶液であることを特徴とする方法。
153. 実施形態1から152までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液の含水量が、その質量に対して、少なくとも10質量%または少なくとも20質量%であることを特徴とする方法。
154. 実施形態1から152までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液の含水量が、その質量に対して、少なくとも30質量%であることを特徴とする方法。
155. 実施形態1から152までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液の含水量が、その質量に対して、少なくとも40質量%であることを特徴とする方法。
156. 実施形態1から152までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液の含水量が、その質量に対して、少なくとも50質量%であることを特徴とする方法。
157. 実施形態1から152までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液の含水量が、その質量に対して、少なくとも60質量%であることを特徴とする方法。
158. 実施形態1から152までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液の含水量が、その質量に対して、少なくとも70質量%であることを特徴とする方法。
159. 実施形態1から152までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液の含水量が、その質量に対して、少なくとも80質量%であることを特徴とする方法。
160. 実施形態1から152までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液の含水量が、その質量に対して、少なくとも90質量%であることを特徴とする方法。
161. 実施形態1から152までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液の含水量が、その質量に対して、少なくとも95質量%であることを特徴とする方法。
162. 実施形態1から152までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液の含水量が、その質量に対して、少なくとも97質量%であることを特徴とする方法。
163. 実施形態1から152までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液の含水量が、その質量に対して、少なくとも99質量%であることを特徴とする方法。
164. 実施形態1から163までのいずれかに記載の方法であって、前記生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの洗浄は、少なくとも1種の酸化剤の存在下で(+2未満の酸化数のコバルトについて)行うことを特徴とする方法。
165. 実施形態1から164までのいずれかに記載の方法であって、前記生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの洗浄は、空気および/または空気とは異なる分子酸素含有ガスの存在下で行うことを特徴とする方法。
166. 実施形態164に記載の方法であって、前記少なくとも1種の酸化剤が、オゾン、過酸化水素、分子酸素、過塩素酸塩、過塩素酸および硝酸からなる群からの酸化剤であることを特徴とする方法。
167. 実施形態1から166までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液が、分子酸素または空気を溶解して含むことを特徴とする方法。
168. 実施形態1から167までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液が、分子酸素または空気で飽和されていることを特徴とする方法。
169. 実施形態1から168までのいずれかに記載の方法であって、前記生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの洗浄は、水性洗浄液を生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中に吸引して通す、および/または押し通すように行われることを特徴とする方法。
170. 実施形態169に記載の方法であって、前記水性洗浄液の温度が、10〜95℃であることを特徴とする方法。
171. 実施形態169または170に記載の方法であって、前記水性洗浄液の温度が、20〜90℃であることを特徴とする方法。
172. 実施形態169から171までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液の温度が、30〜80℃であることを特徴とする方法。
173. 実施形態169から172までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液の温度が、40〜70℃であることを特徴とする方法。
174. 実施形態169または173に記載の方法であって、前記水性洗浄液の温度が、50〜60℃であることを特徴とする方法。
175. 実施形態1から168までのいずれかに記載の方法であって、前記生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの前記水性洗浄液での洗浄は、前記生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを、前記水性洗浄液中に懸濁させ、その際に生ずる水性懸濁液から後に少なくとも1つの機械的分離作業を使用することによって再び分離するようにして行うことを特徴とする方法。
176. 実施形態175に記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの水性懸濁液に、前記分子酸素含有ガスを貫流させることを特徴とする方法。
177. 実施形態176に記載の方法であって、前記分子酸素含有ガスが、空気、分子酸素および/または分子酸素と少なくとも1種の不活性ガスからなる混合物であることを特徴とする方法。
178. 実施形態175から177までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの水性懸濁液を、10〜95℃の温度で完全混和させることを特徴とする方法。
179. 実施形態178に記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの水性懸濁液を、20〜90℃の温度で完全混和させることを特徴とする方法。
180. 実施形態178または179に記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの水性懸濁液を、30〜80℃の温度で完全混和させることを特徴とする方法。
181. 実施形態178から180までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの水性懸濁液を、40〜70℃の温度で完全混和させることを特徴とする方法。
182. 実施形態178から181までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの水性懸濁液を、50〜60℃の温度で完全混和させることを特徴とする方法。
183. 実施形態175から182までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の機械的分離作業が、濾過および/または遠心分離であることを特徴とする方法。
184. 実施形態1から183までのいずれかに記載の方法であって、前記の(分離帯域Aで)分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを、その熱分解の前に乾燥させることを特徴とする方法。
185. 実施形態184に記載の方法であって、前記の(分離帯域Aで)分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを、その乾燥前にメタノールで洗浄することを特徴とする方法。
186. 実施形態1から185までのいずれかに記載の方法であって、前記の(分離帯域Aで分離された)ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解を、その固形物質から、またはその溶融物から、または溶媒中のその溶液から、または分散媒中のその懸濁液から、または分散媒中のそのエマルジョンから行うことを特徴とする方法。
187. 実施形態1から185までのいずれかに記載の方法であって、前記の(分離帯域Aで分離された)ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートに、少なくとも1種の、前記熱分解を触媒する分解触媒を(選択的に例えば、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量に対して、0.01〜15質量%の、または0.05〜10質量%の、または0.1〜5質量%の、または0.4〜4質量%の、または1.5〜3.5質量%の量で)添加することを特徴とする方法。
188. 実施形態186に記載の方法であって、前記の固形物質、または溶融物、または溶液、または懸濁液、またはエマルジョンに、少なくとも1種の前記熱分解を触媒する分解触媒を添加することを特徴とする方法。
189. 実施形態187または188に記載の方法であって、前記少なくとも1種の分解触媒は、炭素および水素の他にこれらとは異なるヘテロ原子として少なくとも1つの窒素原子と選択的に少なくとも1つまたはそれ以上の酸素原子を共有結合されて有する分子状有機作用物質であるが、但し、
− 前記有機作用分子が、炭素と水素以外に、窒素と酸素とは異なるヘテロ原子を有さないことと、
− 少なくとも1つの窒素原子が、第三級窒素原子であることと、
を特徴とする方法。
190. 実施形態189に記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、1つより多くの第三級窒素原子を有することを特徴とする方法。
191. 実施形態190に記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、少なくとも2つのまたは少なくとも3つの第三級窒素原子を有することを特徴とする方法。
192. 実施形態189から191までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、3つの互いに異なる炭素原子に1つの共有結合を有する少なくとも1つの第三級窒素原子を有することを特徴とする方法。
193. 実施形態189から192までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、3つの互いに異なる炭素原子にそれぞれ1つの共有結合を有する、少なくとも2つの第三級窒素原子または少なくとも3つの第三級窒素原子を有することを特徴とする方法。
194. 実施形態189から192までのいずれかに記載の方法であって、少なくとも1つの第三級窒素原子が、イミン性窒素原子であることを特徴とする方法。
195. 実施形態189から194までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1つ以上の水素原子が共有結合されている窒素原子を有さず、かつ/または1つの水素原子が共有結合されている酸素原子を有さないことを特徴とする方法。
196. 実施形態189から195までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物のモル質量が、59.1g/モル以上で600g/モル以下であることを特徴とする方法。
197. 実施形態189から196までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物のモル質量が、75g/モル以上で500g/モル以下であることを特徴とする方法。
198. 実施形態189から197までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物のモル質量が、100g/モル以上で400g/モル以下であることを特徴とする方法。
199. 実施形態189から198までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物のモル質量が、125g/モル以上で300g/モル以下であることを特徴とする方法。
200. 実施形態189から199までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物のモル質量が、150g/モル以上で250g/モル以下であることを特徴とする方法。
201. 実施形態189から200までのいずれかに記載の方法であって、1.0133・105Paの圧力に対する、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物の沸点が、180℃以上であることを特徴とする方法。
202. 実施形態189から200までのいずれかに記載の方法であって、1.0133・105Paの圧力に対する、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物の沸点が、185℃以上であることを特徴とする方法。
203. 実施形態189から200までのいずれかに記載の方法であって、1.0133・105Paの圧力に対する、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物の沸点が、190℃以上であることを特徴とする方法。
204. 実施形態189から203までのいずれかに記載の方法であって、1.0133・105Paの圧力に対する、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物の沸点が、350℃以下であることを特徴とする方法。
205. 実施形態189から204までのいずれかに記載の方法であって、1.0133・105Paの圧力に対する、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物の沸点が、330℃以下であることを特徴とする方法。
206. 実施形態189から205までのいずれかに記載の方法であって、1.0133・105Paの圧力に対する、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物の沸点が、310℃以下であることを特徴とする方法。
207. 実施形態189から206までのいずれかに記載の方法であって、1.0133・105Paの圧力に対する、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物の沸点が、290℃以下であることを特徴とする方法。
208. 実施形態189から207までのいずれかに記載の方法であって、1.0133・105Paの圧力に対する、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物の沸点が、270℃以下であることを特徴とする方法。
209. 実施形態189から208までのいずれかに記載の方法であって、1.0133・105Paの圧力に対する、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物の沸点が、250℃以下であることを特徴とする方法。
210. 実施形態189から209までのいずれかに記載の方法であって、1.0133・105Paの圧力に対する、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物の沸点が、230℃以下であることを特徴とする方法。
211. 実施形態189から210までのいずれかに記載の方法であって、1.0133・105Paの圧力に対する、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物の沸点が、200℃以下であることを特徴とする方法。
212. 実施形態189に記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N−エチル−N,N−ジイソプロピルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジンおよび4−ヒドロキシピリジンからなる群から選択されることを特徴とする方法。
213. 実施形態189に記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、2−ヒドロキシピリジンの、もしくは3−ヒドロキシピリジンの、もしくは4−ヒドロキシピリジンのヒドロキシル基とエーテル化されている、少なくとも1種のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートであることを特徴とする方法。
214. 実施形態213に記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、一般構造
Figure 2015529644
[式中、nは、1以上の整数である]の少なくとも1種のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートであることを特徴とする方法。
215. 実施形態214に記載の方法であって、nが、250以下、または200以下、または150以下であることを特徴とする方法。
216. 実施形態189から215までのいずれかに記載の方法であって、前記の(分離帯域Aで分離された)ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解を、含まれるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量に対して0.01〜15質量%の少なくとも1種の分子状有機作用化合物を含有する、その固形物質から、またはその溶融物から、またはその溶媒中の溶液から、またはその分散媒中の懸濁液から、またはその分散媒中のエマルジョンから行われることを特徴とする方法。
217. 実施形態189から216までのいずれかに記載の方法であって、前記のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解を、含まれるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量に対して0.05〜10質量%の少なくとも1種の分子状有機作用化合物を含有する、その固形物質から、またはその溶融物から、またはその溶媒中の溶液から、またはその分散媒中の懸濁液から、またはその分散媒中のエマルジョンから行われることを特徴とする方法。
218. 実施形態189から217までのいずれかに記載の方法であって、前記のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解を、含まれるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量に対して0.1〜5質量%の少なくとも1種の分子状有機作用化合物を含有する、その固形物質から、またはその溶融物から、またはその溶媒中の溶液から、またはその分散媒中の懸濁液から、またはその分散媒中のエマルジョンから行われることを特徴とする方法。
219. 実施形態189から218までのいずれかに記載の方法であって、前記のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解を、含まれるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量に対して0.5〜4質量%の少なくとも1種の分子状有機作用化合物を含有する、その固形物質から、またはその溶融物から、またはその溶媒中の溶液から、またはその分散媒中の懸濁液から、またはその分散媒中のエマルジョンから行われることを特徴とする方法。
220. 実施形態189から219までのいずれかに記載の方法であって、前記のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解を、含まれるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量に対して1.5〜3.5質量%の少なくとも1種の分子状有機作用化合物を含有する、その固形物質から、またはその溶融物から、またはその溶媒中の溶液から、またはその分散媒中の懸濁液から、またはその分散媒中のエマルジョンから行われることを特徴とする方法。
221. 実施形態1から220までのいずれかに記載の方法であって、前記熱分解を、50〜350℃の、または100〜300℃の、または150〜220℃の、または160〜200℃のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの温度で実施することを特徴とする方法。
222. 実施形態186または実施形態188から221までのいずれかに記載の方法であって、前記熱分解を、50〜350℃の、固形物質の、または溶融物の、または溶液の、または懸濁液の、またはエマルジョンの温度で実施することを特徴とする方法。
223. 実施形態186または実施形態188から222までのいずれかに記載の方法であって、前記熱分解を、100〜300℃の、固形物質の、または溶融物の、または溶液の、または懸濁液の、またはエマルジョンの温度で実施することを特徴とする方法。
224. 実施形態186または実施形態188から223までのいずれかに記載の方法であって、前記熱分解を、150〜220℃の、固形物質の、または溶融物の、または溶液の、または懸濁液の、またはエマルジョンの温度で実施することを特徴とする方法。
225. 実施形態186または実施形態188から224までのいずれかに記載の方法であって、前記熱分解を、160〜200℃の、固形物質の、または溶融物の、または溶液の、または懸濁液の、またはエマルジョンの温度で実施することを特徴とする方法。
226. 実施形態1から225までのいずれかに記載の方法であって、前記熱分解を、大気圧で、大気圧を上回って、または大気圧を下回って実施することを特徴とする方法。
227. 実施形態1から226までのいずれかに記載の方法であって、前記熱分解を、102〜107Paの範囲の作業圧力で実施することを特徴とする方法。
228. 実施形態1から227までのいずれかに記載の方法であって、前記熱分解を、103〜106Paの範囲の作業圧力で実施することを特徴とする方法。
229. 実施形態1から228までのいずれかに記載の方法であって、前記熱分解を、2・103〜5・105Paの範囲の作業圧力で実施することを特徴とする方法。
230. 実施形態1から229までのいずれかに記載の方法であって、前記熱分解を、5・103〜3・105Paの範囲の作業圧力で実施することを特徴とする方法。
231. 実施形態186または実施形態188から230までのいずれかに記載の方法であって、前記熱分解の間に、ストリッピングガスを、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの固形物質中に、または溶融物中に、または溶液中に、または懸濁液中に、またはエマルジョン中に導通させることを特徴とする方法。
232. 実施形態231に記載の方法であって、前記ストリッピングガスが、分子酸素を含有するか、または分子酸素を含まないことを特徴とする方法。
233. 実施形態1から232までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解を、少なくとも1種の重合抑制剤の存在下で(前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量に対して、例えば10〜1000質量ppmの、または50〜500質量ppmの、または150〜350質量ppmの少なくとも1種の重合抑制剤の存在下で)行うことを特徴とする方法。
234. 実施形態186または実施形態188から232までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解を、その固形物質から、またはその溶融物から、またはその溶液から、またはその懸濁液から、またはそのエマルジョンから行い、かつこれは少なくとも1種の重合抑制剤を添加されて含むことを特徴とする方法。
235. 実施形態233または234に記載の方法であって、前記少なくとも1種の重合抑制剤が、o−、m−およびp−クレゾール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、6−t−ブチル−2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2−メチル−4−t−ブチルフェノール、ヒドロキノン、ピロカテキン、レゾルシン、2−メチルヒドロキノンおよび2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、パラアミノフェノール、パラニトロソフェノール、2−メトキシフェノール、2−エトキシフェノール、4−メトキシフェノール、モノ−およびジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、α−トコフェロール、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4,4’,4’’−トリス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル)ホスファイト、3−オキソ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−N−オキシル、N,N−ジフェニルアミン、N−ニトロソジフェニルアミン、N,N’−ジアルキル−パラフェニレンジアミン(その際、前記アルキル基は同一または異なってよく、かつそれぞれ互いに独立して、1〜4個の炭素原子からなり、かつ直鎖状もしくは分枝鎖状であってよい)、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスファイト、次リン酸、トリエチルホスファイト、ジフェニルスルフィド、フェノチアジンならびに上述のあらゆる重合抑制剤と、場合によび金属塩、例えば銅、マンガン、セリウム、ニッケルおよび/またはクロムの塩化物、ジチオ炭酸塩、硫酸塩、サリチル酸塩もしくは酢酸塩とを組み合わせたものからなる群からの少なくとも1種の重合抑制剤であることを特徴とする方法。
236. 実施形態234または235に記載の方法であって、添加される重合抑制剤の全量は、固形物質中に、または溶融物中に、または溶液中に、または懸濁液中に、またはエマルジョン中に含まれるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの全量に対して、10〜1000質量ppmであることを特徴とする方法。
237. 実施形態1から236までのいずれかに記載の方法であって、前記アクリル酸が、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解に際して形成されるアクリル酸を含有する気相から、吸収的および/または凝縮的な措置によって液相に変換されることを特徴とする方法。
238. 実施形態237に記載の方法であって、前記アクリル酸が、少なくとも1つの熱的分離法を使用して前記液相から、該液相と比較して高められた純度で分離され、かつ前記少なくとも1つの熱的分離法が、該液相に含まれるアクリル酸の少なくとも1つの精留および/または結晶化を含むことを特徴とする方法。
239. 実施形態238に記載の方法であって、前記結晶化は、アクリル酸結晶を含む結晶懸濁液が得られる懸濁結晶化であることを特徴とする方法。
240. 実施形態239に記載の方法であって、アクリル酸結晶を結晶懸濁液から洗浄溶融洗浄塔において分離する分離法が引き続き行われることを特徴とする方法。
241. 実施形態240に記載の方法であって、前記洗浄溶融洗浄塔が、水圧式洗浄溶融洗浄塔であることを特徴とする方法。
242. 実施形態1から241までのいずれかに記載の方法であって、前記アクリル酸の製造方法に続き、製造されたアクリル酸がそのままで、および/またはその共役ブレンステッド塩基の形で、かつ選択的に別の一不飽和および/または多不飽和の化合物との混合物で、ラジカル開始的にポリマー中に重合導入されるラジカル重合法が行われることを特徴とする方法。
243. 実施形態1から242までのいずれかに記載の方法であって、前記(分離帯域Aで分離された)ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量が、熱分解に際して、0〜1質量%であることを特徴とする方法。
244. 実施形態1から243までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量が、熱分解に際して、10-6〜1質量%であることを特徴とする方法。
245. 実施形態1から244までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量が、熱分解に際して、10-5〜1質量%であることを特徴とする方法。
246. 実施形態1から245までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量が、熱分解に際して、10-4〜1質量%であることを特徴とする方法。
247. 実施形態1から246までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量が、熱分解に際して、0.001〜0.75質量%であることを特徴とする方法。
248. 実施形態1から247までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量が、熱分解に際して、0.01〜0.75質量%であることを特徴とする方法。
249. 実施形態1から248までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量が、熱分解に際して、0.05〜0.75質量%であることを特徴とする方法。
250. 実施形態1から249までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量が、熱分解に際して、0.1〜0.5質量%であることを特徴とする方法。
251. 実施形態1から242までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量が、熱分解に際して、1質量%以下であることを特徴とする方法。
252. 実施形態1から242までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量が、熱分解に際して、0.5質量%以下であることを特徴とする方法。
253. 実施形態1から242までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量が、熱分解に際して、0.1質量%以下であることを特徴とする方法。
254. 実施形態1から242までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量が、熱分解に際して、0.01質量%以下であることを特徴とする方法。
255. 実施形態1から242までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量が、熱分解に際して、0.001質量%以下であることを特徴とする方法。
256. 実施形態1から242までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量が、熱分解に際して、10-5質量%以下であることを特徴とする方法。
257. 実施形態187から256までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の、熱分解を分解触媒として触媒する有機作用化合物が、ペンタメチルジエチレントリアミンであることを特徴とする方法。
258. 実施形態187から256までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の、熱分解を分解触媒として触媒する有機作用化合物が、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミンであることを特徴とする方法。
259. 実施形態187から256までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の、熱分解を分解触媒として触媒する有機作用化合物が、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルであることを特徴とする方法。
260. 実施形態187から256までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の、熱分解を分解触媒として触媒する有機作用化合物が、2,2’−ジモルホリノジエチルエーテルであることを特徴とする方法。
261. 実施形態187から256までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の、熱分解を分解触媒として触媒する有機作用化合物が、N,N−ジエチルエタノールアミンであることを特徴とする方法。
262. 実施形態187から256までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の、熱分解を分解触媒として触媒する有機作用化合物が、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミンであることを特徴とする方法。
263. 実施形態187から256までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の、熱分解を分解触媒として触媒する有機作用化合物が、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンであることを特徴とする方法。
264. 実施形態187から256までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の、熱分解を分解触媒として触媒する有機作用化合物が、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパンであることを特徴とする方法。
265. 実施形態187から256までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の、熱分解を分解触媒として触媒する有機作用化合物が、N−メチルイミダゾールであることを特徴とする方法。
266. 実施形態187から256までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の、熱分解を分解触媒として触媒する有機作用化合物が、ジメチルイミダゾールであることを特徴とする方法。
267. 実施形態187から256までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の、熱分解を分解触媒として触媒する有機作用化合物が、3−ヒドロキシピリジンであることを特徴とする方法。
268. 実施形態187から256までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の、熱分解を分解触媒として触媒する有機作用化合物が、2−ヒドロキシピリジンであることを特徴とする方法。
269. 実施形態187から256までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の、熱分解を分解触媒として触媒する有機作用化合物が、4−ヒドロキシピリジンであることを特徴とする方法。
270. 実施形態1から269までのいずれかに記載の方法であって、(熱分解帯域Aにおいて)生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの多分散度Qは、2.0未満または2.0以上であることを特徴とする方法。
271. 実施形態1から269までのいずれかに記載の方法であって、(熱分解帯域Aにおいて)生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの多分散度Qは、1.5未満または1.5以上であることを特徴とする方法。
272. 実施形態1から271までのいずれかに記載の方法であって、(熱分解帯域Aにおいて)生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの多分散度Qは、1.2〜2であることを特徴とする方法。
273. 実施形態1から272までのいずれかに記載の方法であって、(熱分解帯域Aにおいて)生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの多分散度Qは、1.5〜1.8であることを特徴とする方法。
274. 実施形態1から273までのいずれかに記載の方法であって、(熱分解帯域Aにおいて)生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、3000〜12000の相対質量平均分子量を有することを特徴とする方法。
275. 実施形態1から274までのいずれかに記載の方法であって、(熱分解帯域Aにおいて)生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、4000〜10000の相対質量平均分子量を有することを特徴とする方法。
276. 実施形態234から275までのいずれかに記載の方法であって、添加される重合抑制剤の全量は、固形物質中に、または溶融物中に、または溶液中に、または懸濁液中に、またはエマルジョン中に含まれるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの全量に対して、50〜500質量ppmであることを特徴とする方法。
277. 実施形態234から276までのいずれかに記載の方法であって、添加される重合抑制剤の全量は、固形物質中に、または溶融物中に、または溶液中に、または懸濁液中に、またはエマルジョン中に含まれるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの全量に対して、150〜350質量ppmであることを特徴とする方法。
278. 実施形態1から277までのいずれかに記載の方法であって、実施形態243から256までのいずれかに記載の方法におけるコバルト含量が、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中のCo+2の全含量であることを特徴とする方法。
279. 実施形態1から278までのいずれかに記載の方法であって、実施形態243から256までのいずれかに記載の方法におけるコバルト含量が、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中のCo+1の全含量であることを特徴とする方法。
280. 実施形態1から279までのいずれかに記載の方法であって、実施形態243から256までのいずれかに記載の方法におけるコバルト含量が、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中のCo0の全含量であることを特徴とする方法。
281. 実施形態1から280までのいずれかに記載の方法であって、実施形態243から256までのいずれかに記載の方法におけるコバルト含量が、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中のCo-1の全含量であることを特徴とする方法。
282. 実施形態1から281までのいずれかに記載の方法であって、前記水性沈殿液が、少なくとも1種の、無機酸および/または有機酸とは異なる有機溶媒を含有することを特徴とする方法。
283. 実施形態1から282までのいずれかに記載の方法であって、前記水性洗浄液が、少なくとも1種の、無機酸および/または有機酸とは異なる有機溶媒を含有することを特徴とする方法。
284. 実施形態282または283に記載の方法であって、前記有機溶媒が、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランおよび1,4−ジオキサンからなる群からの少なくとも1種の有機溶媒であることを特徴とする方法。
実施例および比較例(実験「1.」ないし「23.」)
(以下の実施例および比較例を表すための以下の実験「1.」ないし「23.」においてそれぞれ最初に挙げられかつ特定される使用材料および実験法は、そこに特段の明示的な言及がない限りは、その後に実験において相応の箇所で相応のように使用される;ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの全ての沈殿および洗浄は、空気中で行った)。
1. ジグリム中に溶解されたエチレンオキシドのコバルトを含む触媒系の存在下でのカルボニル化反応によるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明によるものではない製造(比較例1)
カルボニル化反応は、パドル型撹拌機で撹拌可能なオートクレーブA中で行った(該パドル型撹拌機の稼働は磁気カップリングを介して行った)。その反応空間は外側から選択的に加熱または冷却することができる。反応空間に触れる全ての表面は、ハステロイHC4から構成されていた。前記オートクレーブの反応空間は、円筒形状を有していた。前記円筒の高さは、335mmであった。前記円筒の内径は、107mmであった。前記反応空間の外被は、19mmの壁厚(ハステロイHC4)を有していた。前記オートクレーブの頂部は、その反応空間中へと開放するガス入口/ガス出口バルブVを備えていた。反応空間中の温度は、熱電素子によって測定された。反応温度の調節は、電気制御で行われた。反応空間中の内圧は、相応のセンサで連続的に観察した。
前記オートクレーブの反応空間をまずはアルゴンで不活性化した(アルゴン含量:99.999体積%以上のAr、2体積ppm以下のO2、3体積ppm以下のH2O、および0.5体積ppm以下の炭化水素全量)。
引き続き、10℃に温度調節されたオートクレーブAに、アルゴン下で、8.2gのジコバルトオクタカルボニル(Co2(CO)8;供給会社:Sigma-Aldrich;仕様:1〜10%ヘキサン、90%以上のCo、注文番号:H60811)、4.4gの3−ヒドロキシピリジン(供給会社:Sigma-Aldrich;仕様:99%含量、注文番号H57009)および802.4gのジグリム(供給会社:Sigma-Aldrich;仕様:99%含量、注文番号:M1402)を装填し、引き続きオートクレーブを閉めた。両方の固体の温度は、25℃であり、ジグリムの温度は10℃であった。次いで、10℃の内部温度を保持しつつ、バルブVを通じて一酸化炭素を該オートクレーブ中へと、反応空間中の圧力が1.5・106Paになるまで圧入した(BASF SE社製の一酸化炭素、仕様:99.2%のCO)。引き続き、反応空間中の温度を、オートクレーブAの気密性を検証するために、35℃にまで高めた(90分の時間にわたり)。次いで、反応空間中の雰囲気を、バルブVの開放によって106Paの内圧にまで放圧した。内部空間中の温度は、その後30℃であった。
引き続き、バルブVを通じて51.0gのエチレンオキシド(1.5g/分)を反応空間へとポンプ圧入した(供給会社:BASF SE;仕様:99.9%純度)。その際に、反応空間中の温度は25℃にまで下がった。次いで、一酸化炭素をオートクレーブへと、反応空間中の圧力が6・106Paに達するまで圧入した(25℃の内部温度を保持しながら)。
ここで撹拌(700回転/分)をしつつ、オートクレーブAの反応空間中の温度を45分かけて本質的に線形に75℃に高めた。この温度を撹拌しながら8時間にわたり保持した。反応空間中の圧力は、この時間において5・106Paにまで下がった。次いで、オートクレーブAの加熱を停止した。5時間50分かけて、撹拌された反応空間中の温度は本質的に指数的に25℃に冷えた(50分後に、内部温度は60℃に下がり、150分後に40℃に下がり、かつ235分後に30℃に下がった)。該反応空間中の対応する圧力は4.3・106Paであった。ここで、オートクレーブAを常圧に放圧し、そして反応空間を続けてアルゴン(106Pa)で3回フラッシングした。
該反応空間には、860.2gの暗赤ないし褐色の溶液が生成物混合物Aとして存在した。前記溶液をオートクレーブに取り出し、引き続き閉じたガラスフラスコ中で12時間にわたり7℃の温度を有する冷却空間内で放置した。その際に生ずるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを濾別し、そして濾過ケークを252gのメタノール(供給会社:BASF SE;仕様:99.8%純度)で洗浄した。前記メタノールは25℃の温度を有し、それを前記濾過ケーク中に吸引して通した。こうして洗浄された濾過ケークを、次いで低減された圧力で10時間にわたり乾燥させた(10hPa、乾燥温度:25℃)。
こうして前記生成物混合物Aから第一のフラクションとして分離された8.1gのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、その質量に対して、なおも2.8質量%のコバルトを含有していた(理論上最大で考えられる形成量のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量に対する、生成物混合物A中のコバルトの初期秤量は、3.39質量%であった)。
その質量平均相対分子量Mwは、7270であった(≒7270g/モルの質量平均モル質量)。
ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの濾別に際して生ずる濾液をガスクロマトグラフィーにより分析した(そのために、ヒューレットパッカード社の水素火炎イオン化検出器付きのガスクロマトグラフ(HP Model 5890 Series II)を使用した)。その濾液は、(GCピークの全面積の面積パーセントとして示して)0.7%のエチレンオキシド、97.1%のジグリム、0.2%の副生成物のβ−プロピオラクトンおよび0.3%の副生成物の無水コハク酸を含有していた。
前記濾液を、濾別されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの洗浄に際してそれを吸引して通されたメタノールと一緒にした。こうして生成された混合物を12時間にわたり7℃の温度を有する冷却空間で放置した。その際に生ずるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを再び濾別し、そしてその際に生ずる濾過ケークを250gのメタノールで洗浄した。前記メタノールは25℃の温度を有し、それを前記濾過ケーク中に吸引して通した。洗浄された濾過ケークを、再び10hPaおよび25℃で10時間にわたり乾燥させた。
こうして生成物混合物Aから第二のフラクションとして分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの量は、18.7gであった。その材料の質量に対して、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートはなおも1.1質量%のコバルトを含有していた。その質量平均相対分子量Mwは、5190であった(≒5190g/モルの質量平均モル質量)。
全体として26.8gのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートが生成物混合物Aから分離された。それは、理論的に考えられる最高収率の32.1%である。
コバルト含量の測定は、誘導結合プラズマを用いた光学的イオン発光分光分析(ICP-OES)によって行った。
測定装置としては、Varian 720-ES ICP-OES分光分析計を使用した。分析のために考慮されるコバルトのスペクトル線の波長は、237.86nmであった。
サンプルの準備のために、調査されるべきサンプルのそれぞれ0.1gを、濃硫酸、濃硝酸および濃過塩素酸からなる混合物(強酸化性の酸として)を用いて石英ガラス中で灰化した(320℃までの温度を使用して前記酸を定量的に発煙蒸発させた)。その際に残る残留物を、濃塩酸中に取り、加熱しながら水を添加して溶解させた。得られた溶液を引き続き分析した。
分子量測定は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC/GPC)によって行った。溶出曲線を、ポリメチルメタクリレート(PMMA)検量線を用いて本来の分布曲線に換算した。その較正は、相対分子量がM=800〜M=1820000の範囲にある分布の狭いPMMA標準を用いて行った。この溶出範囲外の値は、外挿した。
2. ジグリム中に溶解されたエチレンオキシドのコバルトを含む触媒系の存在下でのカルボニル化反応によるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明によるものではない製造(比較例2)
比較例1と同様に行ったが、以下の相違点を有した:
− ジコバルトオクタカルボニルの使用量は、16.0gであった;
− 3−ヒドロキシピリジンの使用量は、8.7gであった;
− ジグリムの使用量は、1001.2gであった;
− エチレンオキシドの使用量は、97.8gであった;
− オートクレーブの気密性実験は50分だけにまたがり、28℃に高められた温度で反応空間中で行った;
− エチレンオキシドの供給は、28℃を保持して反応空間中で、一酸化炭素の最後の供給と同様に行った(6・106Pa);
− 8時間の反応時間の終わりでは、オートクレーブの反応空間中の圧力は、3・106Paであった;
− 25℃での冷却は、6時間の期間にまたがった;
60℃の内部温度は、66分後に達した;
40℃の内部温度は、165分後に達した;
30℃の内部温度は、255分後に達した;
25℃に達した時の反応空間中の圧力は、2.8・106Paであった;
− 反応空間中には生成物混合物Aとして暗赤色ないし褐色の溶液1106.3gが存在していた。
該生成物混合物Aを、閉じたガラスフラスコ中で12時間にわたり7℃の温度を有する冷却空間内で放置した。その際に生ずるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを濾別し、そして濾過ケークを300gの温度25℃のメタノールで洗浄した。洗浄された濾過ケークを10時間にわたり乾燥させた(10hPa、25℃)。前記生成物混合物Aから分離された41.1gのポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(第一のフラクション)は、その質量に対して、なおも1.6質量%のコバルトを含有していた(最大の考えられる形成量のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量に対する、生成物混合物A中のコバルトの初期秤量は、2.97質量%であった)。質量平均相対分子量は、Mw=7220であった。
ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの濾別に際して生ずる濾液をガスクロマトグラフィーによって分析した。その濾液は、(GCピークの全面積の面積パーセントとして示して)0.9%のエチレンオキシド、92.7%のジグリム、1.0%の副生成物のβ−プロピオラクトンおよび0.6%の副生成物の無水コハク酸を含有していた。
前記濾液を、濾別されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(第一のフラクション)の洗浄に際してそれを吸引して通されたメタノールと一緒にした。こうして生成された混合物を12時間にわたり7℃の温度を有する冷却空間で放置した。その際に生ずるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを再び濾別し、その際に生ずる濾過ケークを300gの温度25℃のメタノールで洗浄した(そのメタノールは、同様に濾過ケーク中に吸引して通した)。洗浄された濾過ケークを、再び10hPaおよび25℃で10時間にわたり乾燥させた。
こうして生成物混合物Aから第二のフラクションとして分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量は、88.0gであった。その材料の質量に対して、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートはなおも1.6質量%のコバルトを含有していた。その質量平均相対分子量Mwは、5640であった。
ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの第二のフラクションの濾別に際して生ずる濾液を、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの第二のフラクションの洗浄に際してそれを吸引して通されたメタノールと一緒にした。こうして生成された混合物を12時間にわたり7℃の温度を有する冷却空間で放置した。その際に生ずるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを再び濾別し(第三のフラクション)、そしてその際に生ずる濾過ケークを300gの温度25℃のメタノールで洗浄した。洗浄された濾過ケークを、再び10hPaおよび25℃で10時間にわたり乾燥させた。
こうして生成物混合物Aから第三のフラクションとして分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量は、5.8gであった。その材料の質量に対して、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートはなおも1.8質量%のコバルトを含有していた。その質量平均相対分子量Mwは、5240であった。ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの第三のフラクションの濾別に際して生ずる濾液を、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの第三のフラクションの洗浄に際してそれを吸引して通されたメタノールと一緒にした。得られた混合物を12時間にわたり7℃の温度を有する冷却空間で放置した。その際に生ずるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを再び濾別し(第四のフラクション)、そしてその際に生ずる濾過ケークを300gの温度25℃のメタノールで洗浄した。洗浄された濾過ケークを、再び10hPaおよび25℃で10時間にわたり乾燥させた。
こうして生成物混合物Aから第三のフラクションとして分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量は、5.3gであった。その材料の質量に対して、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは2.7質量%のコバルトを含有していた。その質量平均相対分子量Mwは、4230であった。
第三のフラクションの高められたコバルト含量は、得られた溶媒混合物においてここで明らかに事前に更に溶解されたコバルトが別個のコバルト塩として共沈することに起因する。
全体として140.2gのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートが生成物混合物Aから分離された。それは、理論的に考えられる最高収率の87.6%である。
3. ジグリム中に溶解されたエチレンオキシドのコバルトを含む触媒系の存在下でのカルボニル化反応によるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明によるものではない製造(比較例3)
カルボニル化反応は、ロッド型撹拌機(Stabruehrer)で撹拌可能なオートクレーブB中で行った(該ロッド型撹拌機の稼働は磁気カップリングを介して行った)。その反応空間は外側から選択的に加熱または冷却することができる。反応空間に触れる全ての表面は、ハステロイHC4から構成されていた。前記オートクレーブの反応空間は、円筒形状を有していた。前記円筒の高さは、90mmであった。前記円筒の内径は、59.1mmであった。前記反応空間の外被は、15.5mmの壁厚(ハステロイHC4)を有していた。
前記オートクレーブの頂部は、その反応空間中へと開放するガス入口/ガス出口バルブVを備えていた。反応空間中の温度は、熱電素子によって測定された。反応温度の調節は、電気制御で行われた。反応空間中の内圧は、相応のセンサで連続的に観察した。互いに相応する使用物質の仕様は、比較例1からのものに相当するものであった。
まず、前記オートクレーブの反応空間を分子窒素で不活性化した(N2の含量:99.99体積%以上のN2、20体積ppm以下のO2および5体積ppm以下のH2O)。
引き続き、10℃に温度調節されたオートクレーブBを、N2下で1.58gのジコバルトオクタカルボニル、0.87gの3−ヒドロキシピリジンおよび88.10gのジグリムで満たし、引き続き該オートクレーブBを閉じた。両方の固体の温度は、25℃であり、ジグリムの温度は10℃であった。次いで、10℃の内部温度を保持しつつ、バルブVを通じて一酸化炭素を該オートクレーブ中へと、反応空間中の圧力が1.5・106Paになるまで圧入した。引き続き、反応空間中の温度を、オートクレーブBの気密性を検証するために、25℃にまで高めた(30分の時間にわたり)。次いで、オートクレーブBの反応空間中の雰囲気を、バルブVの開放によって2・105Paにまで放圧した。引き続き、バルブVを通じて11.66gのエチレンオキシド(0.3g/分)を反応空間へとポンプ圧入した。その後に該反応空間中の温度は、19℃であった。最後に、再び一酸化炭素をオートクレーブへと、反応空間中の圧力が6・106Paに達するまで圧入した(19℃の内部温度で)。ここで、オートクレーブBの反応空間中の温度を、撹拌(700回転/分)をしつつ、45分かけて本質的に線形に75℃に高めた。この温度を撹拌しながら4時間にわたり保持した。次いで、オートクレーブBの加熱を停止し、該オートクレーブを(反応空間中で撹拌をせずに)氷水中で0℃に冷却した。ここで、オートクレーブBを常圧へと放圧し、該生成物混合物Aを撹拌せずに30分間放置することによってガスを放出させた。次いで、オートクレーブBの反応空間を、分子窒素(106Pa)で連続して3回フラッシングした。オートクレーブBの反応空間中の0℃の温度を全時間にわたって常に保持した。
反応空間中に存在する生成物混合物Aは、赤褐色の懸濁液(106.8g)であった。比較的低い0℃の温度で沈殿したポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを濾別し、60gのメタノールで洗浄した(該メタノールは0℃の温度を有し、濾過ケーク中で吸引した)。メタノール性洗浄液を廃棄した。洗浄された濾過ケークを、低減された圧力で10時間にわたり乾燥させた(10hPa、乾燥温度:25℃)。こうして前記生成物混合物Aから分離された5.7gのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、その質量に対して、なおも1.95質量%のコバルトを含有していた(理論上最大で考えられる形成量のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量に対する、生成物混合物A中のコバルトの初期秤量は、2.83質量%であった)。
ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの濾別に際して前記生成物混合物Aから生ずる濾液をガスクロマトグラフィーによって分析した。その濾液は、(GCピークの全面積の面積パーセントとして示して)0.5%のエチレンオキシド、92.7%のジグリム、0%のβ−プロピオラクトンおよび0.8%の副生成物の無水コハク酸を含有していた。
4. ジグリム中に溶解されたエチレンオキシドのコバルトを含む触媒系の存在下でのカルボニル化反応によるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明によるものではない製造(比較例4a、4bおよび4c)
比較例3を2回繰り返し、沈殿したポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのその都度の生成物混合物Aからの濾過に際して生ずる両者の濾液を一緒にして全濾液とした。
その全濾液から、それぞれ30gまでの4種の同じ部分量を取り出した。4番目の部分量は、本願の例1についての基礎をなすものであった。全濾液の他の3種の部分量に、それぞれ25℃の温度を有する以下の沈殿液FFの1種16gを加えた:メタノール(=比較例4a)、シクロヘキサン(供給会社:Sigma-Aldrich;仕様0.01%以下の水(カール・フィッシャー)、0.001%以下の非揮発性物質;注文番号:34496)(=比較例4b)ならびにt−ブチルメチルエーテル=メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)(供給会社:Sigma-Aldrich;仕様:0.003%未満の水、99.8%含量;注文番号:306975)(=比較例4c)。その際に得られた混合物を12時間にわたり7℃の温度を有する冷却空間で放置した。
その都度に沈殿するポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを濾別し、その際にそれぞれ生ずる濾過ケークを、それぞれ20gの相応の沈殿液を洗浄液として用いて洗浄した(該洗浄液は、それぞれ25℃の温度で濾過ケーク中に吸引して通した)。洗浄された濾過ケークを、10hPaおよび25℃で10時間にわたり乾燥させた。
以下の第2表は、使用される沈殿液FFに依存して、こうしてそれぞれ分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の質量と、この材料の質量に対してなおも含まれるコバルトの量(質量%)と、それぞれ対応する相対質量平均分子量Mwを示している。更に、第2表は、それぞれ分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの色をなおも示している。
第2表
Figure 2015529644
存在する末端基と分離された固体の構造の調査のために、それを、沈殿液としてメタノールを使用する場合に、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI-MS)を用いた質量分光分析によっても、ゲル浸透クロマトグラフィー質量分光分析(GPC-MS)によっても分析した。
MALDI-MS調査のために、調査されるべきサンプル量を、まず完全に水性アセトニトリル(50容量%の水、50容量%のアセトニトリル)中に溶解させ、次いで2,5−ジヒドロキシ安息香酸およびトリフルオロ酢酸ナトリウムをマトリックス物質(両者は同様に水性アセトニトリルに溶解させた)として用いてMALDIの鋼製ターゲットに塗布し、溶媒を除去した。窒素レーザ(3nsパルス時間、波長=337nm)を用いて、マトリックスとの混合物中の分析物を鋼製ターゲットから蒸発させ、イオン化させた。
GPC-MS調査のために、調査されるべきサンプル量のテトラヒドロフラン(THF)中の抽出物から出発し(サンプルは、THF中に完全に溶けなかった)、溶解されて含まれるそれらの成分をGPCによるそのMS調査の前に分離した。イオン化は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)によって行った。
以下の構造/末端基を割り当てることができた:
Figure 2015529644
上述の構造の定量的な量測定は、Bruker社製のDPX 400/1 FT-NMR分光分析装置での1H−NMR分光分析によって1Hキャリヤ周波数400MHzで行った。
サンプル濃度は、1mlのCDCl3中5mgのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートであった。励起パルスの幅は、8012.82Hzであった。スペクトル記録時のサンプル温度は、常に26.8℃であった。励起のために、30°のパルス列を使用した。それぞれ32個の個々の記録を、結果スペクトルのために累積した。結果的に、調査されたサンプルは99質量%以上が構造1からなっていた。構造2におけるビニル基のプロトンは、その1H−NMRシグナルで確認できた。構造4の芳香族性プロトンの1H−NMRシグナルは検出できなかった。
この結果は、特に、前記反応混合物中になおも存在する微量の水に起因するものである。
5. ジグリム中に溶解されたエチレンオキシドのコバルトを含む触媒系の存在下でのカルボニル化反応と分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの水による洗浄によるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明による製造(例1)
比較例4からの全濾液の4番目の部分量(30g)に16gの水(25℃の温度を有する)を加え、その際に生ずる水性混合物を、12時間にわたり7℃の温度を有する冷却空間中で放置した。
その際に生ずるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを濾別し、その際に生ずる濾過ケークを、20gの水で洗浄した(その水は、25℃の温度で濾過ケーク中に吸引して通した)。洗浄された濾過ケークを、10hPaおよび60℃で72時間にわたり乾燥させた。
以下の第3表は、既に記載した調査方法で測定された、その生成物混合物Aからこうして分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの特性を示している。
第3表
Figure 2015529644
それらの結果は、その水が、生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの脱コバルト化の目的のために特に好適な洗浄液であることを示している。
6. ジグリム中に溶解されたエチレンオキシドのコバルトを含む触媒系の存在下でのカルボニル化反応と、分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの酢酸水溶液による洗浄によるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明による製造(例2)
比較例2を何度も繰り返し、種々の分離されたフラクションの混合によってポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを生成させたが、当該ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、その材料の質量に対してなおも2質量%のコバルトを含有していた。
このポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのサンプル80gを、水中の酢酸の12.5質量%溶液658gで洗浄した(酢酸溶液の温度は25℃であった;該溶液は、P3HPを吸引して通された)。引き続き、200gの水(温度=25℃)で後洗浄し、その後に200gのメタノール(温度=25℃)で後洗浄し、残りの固体を10hPaおよび25℃で10時間にわたり乾燥させた。こうして生成されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量は、0.2質量%であった。
洗浄前の質量平均分子量は、Mw=5930であり、洗浄後にはMw=5810であった。
溶融挙動の調査(この調査は、動的示差熱量測定(DSC)によりTA(Thermal Analysis)Instruments社の示差熱量計Q2000で行った;サンプル量は、それぞれ8.2mgであり、加熱/冷却速度は、20K/分であった)によれば、P3HPについて洗浄前に65.7℃〜79℃の溶融範囲であり、洗浄後に65.4℃〜71.6℃であった。
P3HPの元素分析(前記分析は、それぞれのサンプルの完全燃焼と、それに引き続いての燃焼生成物のガスクロマトグラフィー分析に基づき、Elementar Analysensysteme GmbH社製のvario EL cubeタイプのCHNアナライザと、EuroVektor社のEAタイプのOアナライザで実施した)によれば、(質量%での表記)
C:47.8%;
O:42.6%;
H:5.6%;および
N:0.5%
であった。
洗浄後に、相応の元素分析は
C:49.3%;
O:43.5%;
H:5.7%;および
N:<0.5%
であった。
MALDI-MSおよびGPC-MSによる構造分析および末端基分析によれば、洗浄されたP3HPについて、以下のように分類された:
Figure 2015529644
上述の構造の定量的な量測定は、既に記載した1H-NMR法によって行った。
結果的に、調査されたサンプルは99%以上が構造1からなっていた。構造2におけるビニル基のプロトンは、その1H−NMRシグナルで確認できた。エチレングリコール末端基のプロトンも同様であった。構造3の芳香族性プロトンの1H−NMRシグナルは検出できなかった。
7. ジグリム中に溶解されたエチレンオキシドのコバルトを含む触媒系の存在下でのカルボニル化反応と、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを、沈殿液として酢酸水溶液を使用して沈殿させることによるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明による製造(例3)
比較例3を繰り返した。しかし、生成物混合物Aとして得られる赤褐色の水性懸濁液106.8gに、温度が50℃の酢酸の水中の12.5質量%溶液534gを加えた。得られた水性混合物を、空気(25℃、5l/h)のバブリング下に1時間にわたり45℃の温度で撹拌した(700回転/分)。その際に変色が起こった。液相の色調は、淡いローズ色に変わり、そこに懸濁された固体の色はクリーム色に変わった。
前記懸濁液中に懸濁されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを濾別し、減圧下で72時間にわたり乾燥させた(10hPa、乾燥温度:60℃)。こうして前記生成物混合物Aから分離された18gのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、その物質の質量に対して、わずか0.05質量%のみのコバルトしか含有しなかった。対応する相対質量平均分子量Mwは、5120であった。前記の分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート18gは、理論的に可能な最大収量の94%である。
8. ジグリム中に溶解されたエチレンオキシドのコバルトを含む触媒系の存在下でのカルボニル化反応と、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを、沈殿液として酢酸水溶液を使用して沈殿させることによるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明による製造(例4)
比較例3を繰り返した。しかし、0.87gの3−ヒドロキシピリジンの代わりに、単独の助触媒Bとして0.78gのピリジンを使用した。更に、使用されたエチレンオキシドの量は、たった10.07gであった。
生成物混合物Aとして生ずる水性懸濁液(橙赤色の固体を有する赤褐色の液相)103.6gに、温度が50℃の酢酸の水中の12.5質量%溶液518gを加えた。得られた水性混合物を、空気(25℃、5l/h)のバブリング下に1時間にわたり45℃の温度で撹拌した(700回転/分)。その際に変色が起こった。液相の色調は、淡いローズ色に変わり、そこに懸濁された固体の色はクリーム色に変わった。
前記懸濁液中に懸濁されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを濾別し、減圧下で72時間にわたり乾燥させた(10hPa、乾燥温度:60℃)。
こうして前記生成物混合物Aから分離された8.0gのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、その物質の質量に対して、わずか0.12質量%のみのコバルトしか含有しなかった。対応する相対質量平均分子量Mwは、4022であった。前記の分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート8.0gは、理論的に可能な最大収量の48.7%である。
9. ジグリム中に溶解されたエチレンオキシドのコバルトを含む触媒系の存在下でのカルボニル化反応によるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明によるものではない製造(比較例5a、5b、5cおよび5d)
比較例2を繰り返したが、以下の軽微な相違点を有した:
− ジコバルトオクタカルボニルの使用量は、16.1gであった;
− ジグリムの使用量は、944.1gであった;
− エチレンオキシドの使用量は、99.8gであった。
該反応空間には、それぞれ約1112.1gの暗赤ないし褐色の溶液が生成物混合物Aとして存在した。
この生成物混合物Aから、それぞれ250gまでの4種の同じ部分量を取り出した。1番目の部分量を12時間にわたり7℃の温度を有する冷却空間で放置した。その際に沈殿するポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを濾別し、そして生ずる濾過ケークを10hPaおよび60℃で10時間にわたり乾燥させた(=比較例5a)。
2番目の部分量に、沈殿液としての75gのメタノール(25℃)を加え、そして生ずる混合物を、12時間にわたり7℃の温度を有する冷却空間中で放置した。その際に沈殿するポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを濾別し、そして生ずる濾過ケークを10hPaおよび60℃で10時間にわたり乾燥させた(=比較例5b)。
比較例5cでは比較例5bと同様に実施したが、濾過ケークは、その乾燥前に、温度が60℃であるメタノール50gで更に洗浄した(そのメタノールは、濾過ケークを吸引して通された)。
比較例5dでは比較例5cと同様に実施したが、使用された洗浄液のメタノールの量は75gであった。
以下の第4表は、その都度の比較例について、それぞれ分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の質量と、この材料の質量に対してなおも含まれるコバルトの量(質量%)と、それぞれ対応する相対質量平均分子量Mwならびに対応する多分散度Qを示している。更に、第4表は、それぞれ分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの色をなおも示している。
第4表
Figure 2015529644
10. ジグリム中に溶解されたエチレンオキシドのコバルトを含む触媒系の存在下で、かつ沈殿液として酢酸水溶液を使用したカルボニル化反応によるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明による製造(例5)
比較例5aを繰り返したが、250gの生成物混合物Aに、更に酢酸の水中の12.5質量%溶液50gを加え、それから得られた混合物を12時間にわたり7℃の温度を有する冷却空間において放置した。その際に生ずるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを濾別し、生ずる濾過ケークを、更に50gのメタノールで洗浄した(このメタノールは、25℃の温度を有し、そして濾過ケーク中に吸引して通した)。
以下の第5表は、分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の質量と、この材料の質量に対してなおも含まれるコバルトの量(質量%)と、対応する相対質量平均分子量Mwと、対応する多分散度Qを示している。更に、第5表は、分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの色をなおも示している。
第5表
Figure 2015529644
11. ジグリム中に溶解されたエチレンオキシドのコバルトを含む触媒系の存在下での、種々の水溶液を沈殿液および洗浄液として使用したカルボニル化反応によるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明による製造(例6a、6b、6cおよび6d)
比較例5を同様に繰り返し、その際に生ずる生成物混合物Aから、それぞれ250gまでの4種の同じ部分量を取り出した。
各々の部分量に、水性沈殿液75gを加え、そしてそれぞれ生ずる混合物を、12時間にわたり7℃の温度を有する冷却空間中で放置した。
その際にそれぞれ沈殿するポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを濾別し、生ずる濾過ケークを、沈殿液として使用される液体種75gで洗浄した(該洗浄液の温度は、それぞれ25℃であり、前記洗浄液は、それぞれ濾過ケーク中に吸引して通した)。
最後に、洗浄された濾過ケークを、それぞれ10hPaおよび60℃で72時間にわたり乾燥させた。
以下の第6表は、その都度の例のために使用される水性沈殿液/洗浄液FFと、それぞれ分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の質量と、この材料の質量に対してそれぞれなおも含まれるコバルトの量(質量%)と、その都度の対応する相対質量平均分子量Mwと、それぞれの多分散度Qを示している。更に、第6表は、それぞれ分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの色をなおも示している。
第6表
Figure 2015529644
12. コバルトの不在下でのβ−プロピオラクトンの開環重合によるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明によるものでない製造(比較例6;その合成は、US 4,357,462 Aおよび「巨大分子化学(Die Makromolekulare Chemie) - New York - Huethig & Wepf出版, Vol.56, 1962, 第179頁以降」の「ラクトンの重合、第1部:4員、6員および7員のラクトンのカチオン性開始剤を用いた重合(Die Polymerisation von Lactonen, Teil 1: Homopolymerisation 4-, 6- und 7-gliedriger Lactone mit kationischen Initiatoren)」に従って行った)
乾燥剤としてのモレキュラーシーブ(3Å)上に貯留されている300mlの塩化メチレン(=溶媒;供給会社:BASF SE;仕様:98〜100%)において、1mlの三フッ化ホウ素−エーテレート(=触媒;BF3×(CH3−CH2−O−CH2−CH32;供給会社:Fluka;仕様:高純度級、注文番号:15719)を溶解させた(750mlの内容積を有するガラス製3つ口フラスコ中で磁気的に撹拌され、内部温度は20℃であった)。
シリコーン浴を用いて該溶液を沸騰させた(常圧で)。引き続き、還流下に沸騰している溶液に、撹拌しながら、24.9gのβ−プロピオラクトン(供給会社:Alfa Aesar;仕様:97%、注文番号:B23197、LOT 10140573)を20分をかけて連続的に滴加した。
添加が完了した後に、該反応混合物を撹拌しながら更に8時間にわたり還流下で保持した。反応の進行中に、該溶液はその色を無色から黄色を経て橙色へと変えた。
次いで、溶媒を、低減された圧力と65℃の油浴の温度で30分にわたり撹拌しながら蒸留により除去した。
27.2gの橙色の油状物が残留し、それを25℃に冷却し、そしてこの温度でワックス様に固化した。触媒系の分離のために、400mlのメタノール(25℃)を添加し、該混合物の温度を50℃に加熱し、該混合物をこの温度で1時間50分にわたり、固体が完全に溶けるまで撹拌した。次いで、前記溶液を再び25℃に冷却し、その際、無色の沈殿物が沈殿した。
これを濾別し、濾過ケークを続けて2回、それぞれ10mlのメタノールで洗浄し(メタノールの温度は25℃であった;該メタノールは濾過ケークを吸引して通された)、次いで25℃および10hPaで8時間にわたり乾燥させた。12.4gの無色の粉末が残留した。その質量平均相対分子量Mwは、多分散度Qが1.4で、3000であった。
対応する1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルならびにATR−FT−IRスペクトルは、純度95質量%超を有するポリ−3−ヒドロキシプロピオネートに相当するものであった。
1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルは、Bruker社のDRX 500 FT-NMR分光分析装置でCDCl3中のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの溶液で記録した。磁場強度は、500MHzの1Hキャリア周波数に相当するものであった。
ATR赤外スペクトルは、Bruker社製のVertex 70分光分析装置を用いてATR(「全反射減衰」)およびFT−IR分光分析法で記録した。固体のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを調査した。それらのサンプルを、この目的のために、付加的に60℃および10hPaで12時間にわたり乾燥させ、引き続きATR結晶(この中で全反射が起こる)との最適な接触を可能にするために微細粉末化させた。
13. コバルトの不在下でのβ−プロピオラクトンの開環重合によるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明によるものでない製造(比較例7;その合成は、US 4,357,462 Aおよび「巨大分子化学(Die Makromolekulare Chemie) - New York - Huethig & Wepf出版, Vol.56, 1962, 第179頁以降」の「ラクトンの重合、第1部:4員、6員および7員のラクトンのカチオン性開始剤を用いた重合(Die Polymerisation von Lactonen, Teil 1: Homopolymerisation 4-, 6- und 7-gliedriger Lactone mit kationischen Initiatoren)」に従って行った)
乾燥剤としてのモレキュラーシーブ(3Å)上に貯留されている150mlのトルエン(=溶媒;供給元:BASF SE;仕様:99.9%)において、0.5mgの四塩化チタン(=触媒;供給会社:Acros、仕様:99.9%、注文番号197231000)を溶解させた(250mlの内容積を有するガラス製3つ口フラスコ中で磁気的に撹拌され、内部温度は20℃であった)。
得られた橙色の溶液に、5gのβ−プロピオラクトンを撹拌しながら、該反応溶液の温度が25℃を上回らないようにゆっくりと滴加した。添加が完了した後に、その反応混合物を撹拌しながらシリコーン浴で80℃に温め、この温度で1時間にわたり保持した。その際に第二の橙色の液状の油相が形成した。該反応混合物の温度を100℃に高め、その混合物を前記温度で更に4時間にわたり撹拌した。次いで25℃に冷却することで、分離した橙色の油相はワックス様に固化した。
デカンテーションによって、液状のトルエン相を前記ワックスから分離し、廃棄した。次いで、前記の橙色のワックスに分離剤として100mlのメタノール(25℃)を加え、その混合物を50℃に温め、この温度で固体が完全に溶解されるまで1時間にわたり撹拌した。最後に、前記溶液を再び25℃に冷却し、その際、ベージュ色の沈殿物が沈殿した。
これを濾別し、それぞれ10mlのメタノール(25℃)で続けて2回洗浄した(メタノールは濾過ケークを吸引して通された)。
残りの濾過ケークを、60℃および300Paで60時間にわたり乾燥させた。3.4gの若干黄色がかった粉末が残留した。その質量平均相対分子量Mwは、多分散度Qが1.8で、7200であった。
対応する1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルならびにATR−FT−IRスペクトルは、純度95質量%超を有するポリ−3−ヒドロキシプロピオネートに相当するものであった。
14. 比較例6からの、本発明によらずに製造されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の熱分解(比較例8)
a)ガラス製の分解装置(熱分解帯域A)は、分解丸底フラスコ(25mlの内容積、3つ口)とそれに被せられた蒸留ブリッジと、温度計、リービッヒ冷却器、生成物フラスコ(10mlの内容積、1つ口)と、大気に対して開放した排ガス用のグランドとからなるものであった。
前記分解丸底フラスコにおいて、比較例7からの3.0gのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを量り入れた。分解フラスコの第二の口を介して、このフラスコに、全熱分解の間に分子窒素からなる流れ(99.9体積%以上のN2;流れ強さ:1.4l/h;温度:25℃)をストリッピングガスとして供給した。前記流れは、分解装置を貫流し、そして該装置を、そこから温度が−78℃で保持された冷却トラップを介して導かれる排ガスの成分として排ガスチューブを介して再び出て行く。P3HPで満たされた分解フラスコは、真ん中の口まで、180℃に予熱されたシリコーン浴中に沈め、1.0133・105Pa(常圧)の作業圧力で油浴によって温めた。マグネットスターラーで、該分解フラスコの内容物を撹拌した。
該分解フラスコ中の温度が60℃に達すると、P3HPは溶け始めた。内部温度が80℃に達すると、該ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは完全に溶融した。内部温度が175℃に達した後に、この温度を撹拌しながら300分にわたり保持した。リービッヒ冷却器は、流入温度20℃を有する水で向流で冷却した。窒素流によって輸送された凝縮可能な分解生成物をリービッヒ冷却器において凝縮させ、その凝縮物を、同様に20℃の温度に保持された生成物フラスコで受け止めた。上述の300分にわたり、生成物フラスコ中で凝縮物は生じなかった。
b)比較例6からの34.86mgのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのサンプルを、Al23製の坩堝中に量り入れ、同時にその温度増加に際しての挙動を、熱重量測定法と、動的示差熱量測定の方法とを用いて調査した(「同時のTG-DSC分析」)。
前記調査は、Netzsch Geraetebau GmbH社製の熱分析装置「NETZSCH STA 449 F3 Jupiter(登録商標)」を用いて行った。FT-IR分光分析法によって、熱分析に伴う熱分解に際して形成される分解ガスを、その主成分について調査した。
前記調査の間に、サンプルをまず10分にわたり35℃に温度調節し、次いでアルゴン流(40ml/分)のもと、サンプル温度を5K/分の一定速度で610℃まで高めた。温度の関数として、サンプル質量と該サンプルを通過する熱流量を検出した(すなわち動的示差熱量測定は、熱流量動的示差熱量測定として実施した)。
得られた温度記録図は、FT-IR分光分析法を含め、以下の3つの吸熱プロセスを示した:
1. P3HPの質量損失を伴わない溶融;
開始温度(oTs):70.1℃
ピーク温度(pTs):93.6℃
oTs=サンプルの溶融が明白に始まる温度
pTs=溶融過程がその最高速度を示す温度
2. サンプルのアクリル酸への熱分解;
開始温度(oTT):286.5℃
ピーク温度(pTT):340.0℃
oTT=熱分解が明白に始まる温度
pTT=熱分解がその最大分解速度を示す温度
質量損失:出発質量の98.8%;
分解ガスは、主成分としてアクリル酸を含み、微量のCO2を含む
3. 400℃超での残留物質の分解;
610℃で測定範囲の端に達したので開始温度もしくはピーク温度は測定できなかった;
測定範囲の端までの質量損失:出発質量の0.5%。
15. 比較例6からの、本発明によらずに製造されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の、分解触媒としての3−ヒドロキシピリジンの存在下での熱分解(比較例9)
実験「14.a)」と同様に行ったが、P3HPの溶融の後に97mgの3−ヒドロキシピリジンを溶融物に入れたという相違点をもって行った。分解フラスコ中で175℃の内部温度に達した15分後に既に、生成物フラスコ中では第一の凝縮物が生じた(該生成物フラスコは、この実験「15.」と、全ての以下の熱分解実験において、添加された重合抑制剤を含有しなかった)。175℃の内部温度での全部で90分後に、分解フラスコ中になおも存在する残留溶融物は固体になった。従って、分解実験は中断された。蒸留ブリッジ中に付着している凝縮物小滴を、その熱風送風機(ドライヤー)を用いた加熱によって蒸発させ、リービッヒ冷却器において液化し、そして生成物フラスコで受け入れた。
生成物フラスコ中に含まれる凝縮物量は、2.48gであった。ガスクロマトグラフィー分析によれば、凝縮物は(その質量に対して)95.5質量%のアクリル酸、3.6質量%のジアクリル酸(マイケル付加物)および0.8質量%のアクリル酸のそれ自体へのより高度のマイケル付加物を含有していた。アルデヒドは、該凝縮物中では検出できなかった。該凝縮物は、3−ヒドロキシピリジンを含有していなかった。
前記分解フラスコ中の残りの淡褐色の粘着性残留物の質量は、330mg(P3HPの使用量の11質量%)であった。ストリッピングガスによって共にストリッピングされたマイケル付加物は、ここで(かつ全ての以下の場合に)必要に応じて、物質流を還流下に作動される精留カラム(例えばビグリューカラム)を介して生成物フラスコに送ることによって簡単に留めることができる。アクリル酸の分解収量は、その際に相応して高めることができる。
16. 比較例6からの、本発明によらずに製造されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の、分解触媒としてのペンタメチルエチレントリアミン(Lupragen(登録商標)N301)の存在下での熱分解(比較例10)
a)実験「14.a)」と同様に行ったが、P3HPの溶融の後に87mgのペンタメチルエチレントリアミン(供給会社:BASF SE;仕様:>98%、商品名:Lupragen(登録商標)N301)を溶融物に入れたという相違点をもって行った。分解フラスコ中で175℃の内部温度に達した15分後に既に、生成物フラスコ中で第一の凝縮物が生じた。175℃の内部温度での全部で120分後に、分解フラスコ中になおも存在する残留溶融物は固体(粘着性ないし固形)になった。従って、分解実験は中断された。蒸留ブリッジ中に付着している凝縮物小滴を、その熱風送風機(ドライヤー)を用いた加熱によって蒸発させ、リービッヒ冷却器において液化し、そして生成物フラスコで受け入れた。
生成物フラスコ中に含まれる凝縮物量は、2.71gであった。凝縮物は、95.7質量%のアクリル酸、3.3質量%のジアクリル酸(マイケル付加物)および0.5質量%のアクリル酸のそれ自体へのより高度のマイケル付加物を含有していた。アルデヒドは、該凝縮物中では検出できなかった。該凝縮物は、ペンタメチルエチレントリアミンを含有していなかった。前記分解フラスコ中の残りの淡褐色の粘着性残留物の質量は、150mg(P3HPの使用量の5質量%)であった。
b)実験「14.b)」と同様に行ったが、P3HPのサンプル量が36.65mgであり、かつこのサンプル量へと、熱分析の前に、その質量に対して0.68質量%のペンタメチルエチレントリアミンを添加したという相違点をもって行った。
得られた温度記録図は、FT-IR分光分析法を含め、以下の3つの吸熱プロセスを示した:
1. P3HPの質量損失を伴わない溶融;
開始温度:69.6℃
ピーク温度:93.3℃
2. サンプルのアクリル酸への熱分解;
開始温度:208.7℃
ピーク温度:259.7℃
質量損失:出発質量の98.9%;
分解ガスは、主成分としてアクリル酸を含み、微量のCO2を含む
3. 300℃超での残留物質の分解;
開始温度もしくはピーク温度は測定できなかった;
測定範囲の端までの質量損失:出発質量の0.3%。
実験「14.a)およびb)」、実験「15.」および実験「16.a)およびb)」を繰り返すが、(比較例6の代わりに)比較例7からの本発明によらずに製造されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)を分解すべき材料として使用した場合に、これは、比較例6からの本発明によらずに製造されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)に相当する分解挙動を示した。
17. 実験「6.」からの、本発明によらずに製造されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の熱分解(比較例11)
実験「6.」において、比較例2を何度も繰り返し、種々の分離されたフラクションの混合によってポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを生成させたが、当該ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、その材料の質量に対してなおも2質量%のコバルトを含有していた。このポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、この実験17の対象であった。
a)実験「14.a)」と同様に行ったが、分解フラスコにおいて、2質量%のコバルトを含むポリポリ−3−ヒドロキシプロピオネート3.0gを量り入れた。分解フラスコ中で175℃の内部温度に達した30分後に、生成物フラスコ中で第一の凝縮物が生じた。175℃の内部温度で全部で90分後に、分解フラスコ中になおも存在する残留溶融物は、極めて粘性ないし粘着性になったので、該分解実験は中断された。蒸留ブリッジ中に付着している凝縮物小滴を、その熱風送風機(ドライヤー)を用いた加熱によって蒸発させ、リービッヒ冷却器において液化し、そして生成物フラスコで受け入れた。
生成物フラスコ中に含まれる凝縮物量は、2.14gであった。凝縮物は、95.3質量%のアクリル酸、3.7質量%のジアクリル酸(マイケル付加物)および0.5質量%のアクリル酸のそれ自体へのより高度のマイケル付加物を含有していた。アルデヒドは、該凝縮物中では検出できなかった。
前記分解フラスコ中に残留する暗褐色の25℃でガラス様に脆い残留物の質量は、710mg(P3HPの使用量の24質量%)であった。
分解残留物の元素分析は、その質量に対する以下の含有率であった(12質量%のCo、46.6質量%のC、4.5質量%のH、2.9質量%のNおよび34質量%のO)。
この結果は、12質量%のコバルトと、19.7質量%の3−ヒドロキシピリジンと、68.3質量%の、元素組成50.1質量%のCと5.1質量%のHと44.9質量%のOを有する物質とからなる物質混合物と相関している。最後の物質は、十分にP3HPの理論的元素組成:50.0質量%のCと5.59質量%のHと44.4質量%のOに相当するものであった。
実験「17.a)」を、重合抑制剤としての種々の量のフェノチアジンもしくは4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−N−オキシルを添加しつつ繰り返しても、アクリル酸の収率の向上も、残留する分解残留物の減少ももたらされなかった。
b)実験「14.b)」と同様に行ったが、調査されたサンプルが、2質量%のコバルトを含むポリ−3−ヒドロキシプロピオネート37.70mgであったという相違点をもって行った。
得られた温度記録図は、FT-IR分光分析法を含め、以下の3つの吸熱プロセスを示した:
1. P3HPの溶融(初期秤量の0.4%の質量損失を伴う);
開始温度:62.9℃
ピーク温度:76.0℃
2. サンプルのアクリル酸への熱分解;
開始温度:204.3℃
ピーク温度:235.1℃
質量損失:出発質量の86.0%;
分解ガスは、主成分としてアクリル酸を含み、微量にCO2とメタンを含む
3. 300℃超での残留物質の分解;
開始温度もしくはピーク温度は測定できなかった;
測定範囲の端までの質量損失:出発質量の4.7%。
18. 実験「6.」からの、本発明によらずに製造されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の、ペンタメチルエチレントリアミンの存在下での熱分解(比較例12)
a)実験「17.a)」と同様に行ったが、2質量%のコバルトを含むポリ−3−ヒドロキシプロピオネート3.0gに加えて、その溶融後に更に87mgのペンタメチルエチレントリアミンを分解フラスコ中に入れた。分解フラスコ中で175℃の内部温度に達した15分後に既に、生成物フラスコ中で第一の凝縮物が生じた。175℃の内部温度での全部で90分後に、分解フラスコ中になおも存在する残留溶融物は、極めて粘性ないし粘着性になったので、該分解実験は中断された。蒸留ブリッジ中に付着している凝縮物小滴を、その熱風送風機(ドライヤー)を用いた加熱によって蒸発させ、リービッヒ冷却器において液化し、そして生成物フラスコで受け入れた。
生成物フラスコ中に含まれる凝縮物量は、2.21gであった。凝縮物は、96.1質量%のアクリル酸、3.2質量%のジアクリル酸(マイケル付加物)および0.6質量%のアクリル酸のそれ自体へのより高度のマイケル付加物を含有していた。アルデヒドは、該凝縮物中では検出できなかった。該凝縮物は、ペンタメチルエチレントリアミンを含有していなかった。
前記分解フラスコ中に残留する暗褐色の25℃でガラス様に脆い残留物の質量は、690mg(P3HPの使用量の23質量%)であった。すなわち、分解触媒として添加されたペンタメチルエチレントリアミンは、コバルトの存在下では、実験「17.a)」と比較して分解残留物を本質的に低減できなかった。
b)実験「17.b)」と同様に行ったが、P3HPのサンプル量が35.43mgの、2質量%のコバルトを含むポリ−3−ヒドロキシプロピオネートであり、かつこのサンプル量へと、熱分析の前に、その質量に対して0.58質量%のペンタメチルエチレントリアミンを添加したという相違点をもって行った。得られた温度記録図は、FT-IR分光分析法を含め、以下の3つの吸熱プロセスを示した:
1. P3HPの溶融(初期秤量の0.4%の質量損失を伴う);
開始温度:62.6℃
ピーク温度:75.5℃
2. サンプルのアクリル酸への熱分解;
開始温度:191.5℃
ピーク温度:222.6℃
質量損失:出発質量の88.4%;
分解ガスは、主成分としてアクリル酸を含み、微量にCO2とメタンを含む
3. 290℃超での残留物質の分解;
開始温度とピーク温度は測定できなかった;
測定範囲の端までの質量損失:出発質量の4.6%。
すなわち、添加されたペンタメチルエチレントリアミンは、実験「17.b)」と比較して、そのコバルト含量にもかかわらず、熱分解に必要とされる活性化エネルギーを大きく下げる。
19. 例2からの、本発明により製造されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の熱分解(例7)
a)実験「14.a)」と同様に行ったが、分解フラスコにおいて、例2からの、0.2質量%のコバルトを含むポリ−3−ヒドロキシプロピオネート3.0gを量り入れた。分解フラスコ中で175℃の内部温度に達した30分後に、生成物フラスコ中で第一の凝縮物が生じた。175℃の内部温度での全部で135分後に、分解フラスコ中になおも存在する残留溶融物は、極めて粘性ないし粘着性になったので、該分解実験は中断された。蒸留ブリッジ中に付着している凝縮物小滴を、その熱風送風機(ドライヤー)を用いた加熱によって蒸発させ、リービッヒ冷却器において液化し、そして生成物フラスコで受け入れた。
生成物フラスコ中に含まれる凝縮物量は、2.51gであった。凝縮物は、95.6質量%のアクリル酸、3.2質量%のジアクリル酸(マイケル付加物)および0.6質量%のアクリル酸のそれ自体へのより高度のマイケル付加物を含有していた。アルデヒドは、該凝縮物中では検出できなかった。
前記分解フラスコ中に残留する暗褐色の25℃でガラス様に脆い残留物の質量は、360mg(P3HPの使用量の12質量%)であった。
b)実験「14.b)」と同様に行ったが、調査されたサンプルが、例2からの、0.2質量%のコバルトを含むポリ−3−ヒドロキシプロピオネート36.65mgであったという相違点をもって行った。
得られた温度記録図は、FT-IR分光分析法を含め、以下の3つの吸熱プロセスを示した:
1. P3HPの質量損失を伴わない溶融;
開始温度:60.9℃
ピーク温度:86.9℃
2. サンプルのアクリル酸への熱分解;
開始温度:197.2℃
ピーク温度:236.4℃
質量損失:出発質量の97.3%;
分解ガスは、主成分としてアクリル酸を含み、微量のCO2を含む
3. 290℃超での残留物質の分解;
開始温度もしくはピーク温度は測定できなかった;
測定範囲の端までの質量損失:出発質量の1.0%。
20. 例2からの、本発明により製造されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の、ペンタメチルエチレントリアミンの存在下での熱分解(例8)
a)実験「19.a)」と同様に行ったが、0.2質量%のコバルトを含むポリ−3−ヒドロキシプロピオネート3.0gに加えて、その溶融後に更に87mgのペンタメチルエチレントリアミンを分解フラスコ中に入れた。分解フラスコ中で175℃の内部温度に達した15分後に既に、生成物フラスコ中で第一の凝縮物が生じた。175℃の内部温度での全部で90分後に、分解フラスコ中になおも存在する残留溶融物は、極めて粘性ないし粘着性になったので、該分解実験は中断された。蒸留ブリッジ中に付着している凝縮物小滴を、その熱風送風機(ドライヤー)を用いた加熱によって蒸発させ、リービッヒ冷却器において液化し、そして生成物フラスコで受け入れた。
生成物フラスコ中に含まれる凝縮物量は、2.56gであった。凝縮物は、96.2質量%のアクリル酸、2.9質量%のジアクリル酸(マイケル付加物)および0.5質量%のアクリル酸のそれ自体へのより高度のマイケル付加物を含有していた。アルデヒドは、該凝縮物中では検出できなかった。該凝縮物は、ペンタメチルエチレントリアミンを含有していなかった。
前記分解フラスコ中に残留する暗褐色の25℃でガラス様に脆い残留物の質量は、240mg(P3HPの使用量の8質量%)であった。
b)実験「19.b)」と同様に行ったが、P3HPのサンプル量が35.02mgの、0.2質量%のコバルトを含む、例2からのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートであり、かつこのサンプル量へと、熱分析の前に、その質量に対して0.56質量%のペンタメチルエチレントリアミンを添加したという相違点をもって行った。
得られた温度記録図は、FT-IR分光分析法を含め、以下の3つの吸熱プロセスを示した:
1. P3HPの質量損失を伴わない溶融;
開始温度:60.6℃
ピーク温度:84.8℃
2. サンプルのアクリル酸への熱分解;
開始温度:192.9℃
ピーク温度:228.3℃
質量損失:出発質量の97.4%;
分解ガスは、主成分としてアクリル酸を含み、微量のCO2を含む
3. 290℃超での残留物質の分解;
開始温度もしくはピーク温度は測定できなかった;
測定範囲の端までの質量損失:出発質量の1.2%。
21. 本発明によらずに製造された2つのポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)、つまり比較例6からのP3HPと、その質量に対して2質量%のコバルトを含む、実験「6.」からのP3HPとの混合物の熱分解(比較例13)
実験「14.a)」と同様に行ったが、分解フラスコに、比較例6からのP3HP2.5gと、その物質の質量に対して2質量%のコバルトを含む、実験「6.」からのP3HP2.5gとからなる混合物を量り入れた。分解フラスコ中で175℃の内部温度に達した30分後に、生成物フラスコ中で第一の凝縮物が生じた。175℃の内部温度での全部で120分後に、分解フラスコ中になおも存在する残留溶融物は、極めて粘性ないし粘着性になったので、該分解実験は中断された。蒸留ブリッジ中に付着している凝縮物小滴を、その熱風送風機(ドライヤー)を用いた加熱によって蒸発させ、リービッヒ冷却器において液化し、そして生成物フラスコで受け入れた。
生成物フラスコ中に含まれる凝縮物量は、4.15gであった。凝縮物は、96.8質量%のアクリル酸、2.7質量%のジアクリル酸(マイケル付加物)および0.3質量%のアクリル酸のそれ自体へのより高度のマイケル付加物を含有していた。アルデヒドは、該凝縮物中では検出できなかった。
前記分解フラスコ中に残留する暗褐色の25℃でガラス様に脆い残留物の質量は、580mg(P3HPの使用量の12質量%)であった。
22. 分解触媒としてのN−ベンジルアミンの存在下での、比較例6からの本発明によらずに製造されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の熱分解(比較例14)
実験「14.a)」と同様に行ったが、P3HPの溶融の後に90mgのN−ベンジルアミン(供給会社:Sigma-Aldrich;仕様:>99%、商品番号:185701)を溶融物に入れたという相違点をもって行った。内部温度が175℃に達した後に、この温度を撹拌しながら更に300分にわたり保持した。その後、熱分解実験は中断された。
上述の300分にわたり、生成物フラスコ中で凝縮物は生じなかった。
分解フラスコ中に残留する内容物は、55℃の内部温度で固化して、淡いベージュ色を呈するワックスとなった。該ワックスの量は、3.06g(P3HPおよびベンジルアミンの使用量の99.0質量%)であった。P3HP成分の質量平均相対分子量Mwは、実験によれば、多分散度Qが2.7で、1900であった。
23. 分解触媒として併用されるペンタメチルエチレントリアミンの、実験「16.a)」の分解残留物からの分離可能性の、この分解残留物の熱処理に際してガス状で抜け出る成分のガスクロマトグラフィー分離と、引き続いてのこれらの成分の、質量分光分析法(プログラムされた熱分解とGC/MSのカップリングした方法)およびFT-IRによる構造の解明による実証
前記分解残留物の熱処理は、V2A鋼製の円筒形坩堝(高さ:6.2mm;壁厚:0.2mm;外径:2.5mm)において行った。該坩堝に量り入れられた、実験「16.a)」の分解残留物のサンプル量は、0.23mgであった。前記坩堝は、石英ガラス製の円筒管中に中心を合わせて入れた(25mmの高さ;5mmの内径;0.5mmの壁厚)。前記石英ガラス管は、外側から電気加熱できるものであった。
石英ガラス製の管中にヘリウムからなるガス流を導通させた(20ml/分、石英ガラス管中への導入温度=25℃)。前記ガス流は、前記管中に存在する坩堝の方向に流れる(該坩堝の開口部はヘリウム流の方向を向いていた)。そこから場合により出て行くガス状成分を取り、かつ流動方向でガスクロマトグラフィー分離カラム中に運んだ。前記分離カラムの長さは、30mであり、その内径は、0.25mmであった。固定相として、前記カラムは、ポリジメチルシロキサン製の層厚1μmの被膜を有した(このカラムは、Agilent Technologies社から「HP-1ms」として購入した)。
石英管の電気加熱の開始温度は、100℃であった。この温度は、10℃/分のランプで400℃まで高め、引き続きこの温度に保持した。
400℃に達するまで、ヘリウム流と一緒に分離カラムに運ばれた、坩堝内で熱処理されたサンプルからガス状で出てくる成分を、その出口で低温濃縮した。この目的のために、分離カラム全体は、液体窒素で充填されたデュワー容器に存在していた。
引き続き、カラム全体の温度は40℃にまで高め、この温度で2分間保持した。次いで、カラム全体の温度を6℃/分の加熱速度で、320℃の最終温度まで高めた。引き続き、この最終温度を、更に13分にわたり保持した。全時間の間に、ヘリウム流は、前記坩堝を収容する加熱式の石英ガラス製の管を通じて分離カラム中に流れ、そして分離カラムから質量分析計へと流れた。追加的に、更なる実験において、前記分離カラムから流出するガス流をFT-IRによって分析した。
ペンタメチルエチレントリアミンは、ヘリウム流中の主成分として明らかに検出できた。
2012年7月16日に出願された米国仮特許出願第61/671852号は、本願では文献を参照することによって組み込まれたものとする。上述の教示に関しては、本発明からの数多くの変更および逸脱も可能である。従って、本発明を、添付の特許請求の範囲においては、ここに特に記載されるのとは異なるように実施できることから出発しうる。

Claims (43)

  1. エチレンオキシドおよび一酸化炭素からのアクリル酸の製造方法であって、少なくとも以下のプロセスステップ:
    − 非プロトン性溶媒中に溶解されたエチレンオキシドを一酸化炭素によって、高められた圧力および高められた温度で、少なくとも1種のコバルト源を含む触媒系の存在下で反応帯域Aにおいてカルボニル化反応させて、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを含む生成物混合物Aを得るステップと、
    − ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを前記生成物混合物Aから分離帯域Aにおいて分離するステップと、
    − 前記分離帯域Aで分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを熱分解帯域Aにおいて熱分解させて、アクリル酸を形成させるステップと、
    を含むアクリル酸の製造方法において、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを生成物混合物Aから分離帯域Aにおいて分離するステップが、以下の措置:
    − 水および/または水溶液を水性沈殿液として、前記生成物混合物Aの1種以上の部分量に、および/または前記生成物混合物Aの全量に添加して、前記生成物混合物Aの部分量において、もしくは前記生成物混合物Aの全量において溶解されて含まれるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを沈殿させる措置、
    − 前記生成物混合物Aから分離帯域Aにおいて分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを、水および/または水溶液を水性洗浄液として用いて洗浄する措置、
    の少なくとも1つを含むことを特徴とするアクリル酸の製造方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記非プロトン性溶媒が、飽和炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化された飽和炭化水素、ハロゲン化された芳香族炭化水素、有機酸のエステル、ケトン、ニトリル、ジアルキルアミド、炭酸エステル、スルホキシド、スルホン、N−アルキルピロリドン、環状エーテルおよび非環状エーテルからなる群からの少なくとも1種の溶媒を含む、または該溶媒であることを特徴とする方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法であって、前記非プロトン性溶媒が、n−ヘキサン、n−ヘプタン、石油エーテル、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、n−ブチルプロピオネート、フェニルアセテート、グリセリンアセテート、酢酸エチルエステル、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、ベンゾフェノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、n−ブチロニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N−メチルピロリドン、エチレンオキシド、ジエチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジフェニルエーテル、アルキレングリコールジアルキルエーテルおよびポリアルキレングリコールジアルキルエーテルからなる群からの少なくとも1種の溶媒を含む、または該溶媒であることを特徴とする方法。
  4. 請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法であって、前記非プロトン性溶媒は、その質量の少なくとも90%だけが非プロトン性溶媒であることを特徴とする方法。
  5. 請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法であって、生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、1000〜20000の相対質量平均分子量を有することを特徴とする方法。
  6. 請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法であって、前記触媒系が、前記少なくとも1種のコバルト源を、これがカルボニル化反応されるべきエチレンオキシドのモル量に対して0.005〜20モル%のコバルトを含有する量で含むことを特徴とする方法。
  7. 請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法であって、少なくとも1種のコバルト源が、コバルトの塩であることを特徴とする方法。
  8. 請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法であって、少なくとも1種のコバルト源が、ジコバルトオクタカルボニルであることを特徴とする方法。
  9. 請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法であって、前記触媒系が、少なくとも1種のブレンステッド酸を助触媒Aとして含むか、もしくは少なくとも1種のブレンステッド塩基を助触媒Bとして含むか、または少なくとも1種のブレンステッド酸を助触媒Aとして含み、かつ少なくとも1種のブレンステッド塩基を助触媒Bとして含むことを特徴とする方法。
  10. 請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法であって、前記触媒系が、助触媒Bのような少なくとも1種の求核性のブレンステッド塩基性官能性も、助触媒Aのような少なくとも1種の、ブレンステッドの意味で酸性の官能性も有する、少なくとも1種の化合物を、少なくとも1種の助触媒Cとして含むことを特徴とする方法。
  11. 請求項10に記載の方法であって、前記少なくとも1種の助触媒Cが、2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、3,4−ジヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシキノリン、4−ヒドロキシ−2−メチルピリジン、3−ヒドロキシ−4−メチルピリジン、2,6−ジヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシイソキノリン、3−ヒドロキシキノリン、2,3−ジヒドロキシキノキサリン、8−ヒドロキシキノリン、2−ピリジルメタノール、3−ピリジルメタノール、2−(2−ピリジル)エタノールおよびニコチン酸からなる群からの少なくとも1種の化合物であることを特徴とする方法。
  12. 請求項10または11に記載の方法であって、前記非プロトン性溶媒がジグリムを含み、前記少なくとも1種のコバルト源がジコバルトオクタカルボニルを含み、かつ前記触媒系が付加的に3−ヒドロキシピリジンを少なくとも1種の助触媒Cとして含むことを特徴とする方法。
  13. 請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法であって、カルボニル化反応に際してのエチレンオキシドの転化率が90モル%以上であることを特徴とする方法。
  14. 請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法であって、水性沈殿液のpH値が、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、7.5以下であることを特徴とする方法。
  15. 請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法であって、水性沈殿液のpH値が、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、0以上であることを特徴とする方法。
  16. 請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法であって、生成物混合物Aまたは生成物混合物Aの部分量のpH値が、水性沈殿液の添加を行った後に、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、7.5以下であることを特徴とする方法。
  17. 請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法であって、生成物混合物Aまたは生成物混合物Aの部分量のpH値が、水性沈殿液の添加を行った後に、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、0以上であることを特徴とする方法。
  18. 請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法であって、前記水性沈殿液が、無機酸および/または有機酸の水溶液であることを特徴とする方法。
  19. 請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法であって、前記水性沈殿液が、酢酸水溶液であることを特徴とする方法。
  20. 請求項1から19までのいずれか1項に記載の方法であって、前記水性沈殿液の添加は、少なくとも1種の酸化剤の存在下で+2未満の酸化数のコバルトについて行うことを特徴とする方法。
  21. 請求項20に記載の方法であって、前記水性沈殿液の添加は、空気または空気とは異なる分子酸素含有ガスの存在下で行うことを特徴とする方法。
  22. 請求項1から21までのいずれか1項に記載の方法であって、前記水性洗浄液のpH値が、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、7.5以下であることを特徴とする方法。
  23. 請求項1から22までのいずれか1項に記載の方法であって、前記水性洗浄液のpH値が、25℃の温度および1.0133・105Paの圧力に対して、0以上であることを特徴とする方法。
  24. 請求項1から23までのいずれか1項に記載の方法であって、前記水性洗浄液が、無機酸および/または有機酸の水溶液であることを特徴とする方法。
  25. 請求項1から24までのいずれか1項に記載の方法であって、前記水性洗浄液が、酢酸水溶液であることを特徴とする方法。
  26. 請求項1から25までのいずれか1項に記載の方法であって、前記生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの洗浄は、少なくとも1種の酸化剤の存在下で+2未満の酸化数のコバルトについて行うことを特徴とする方法。
  27. 請求項1から26までのいずれか1項に記載の方法であって、前記生成物混合物Aから分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの洗浄は、空気および/または空気とは異なる分子酸素含有ガスの存在下で行うことを特徴とする方法。
  28. 請求項1から27までのいずれか1項に記載の方法であって、前記分離帯域Aで分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解を、その固形物質から、またはその溶融物から、または溶媒中のその溶液から、または分散媒中のその懸濁液から、または分散媒中のそのエマルジョンから行うことを特徴とする方法。
  29. 請求項1から27までのいずれか1項に記載の方法であって、分離帯域Aで分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートに、前記熱分解を触媒する少なくとも1種の分解触媒を添加することを特徴とする方法。
  30. 請求項28に記載の方法であって、前記の固形物質に、または溶融物に、または溶液に、または懸濁液に、またはエマルジョンに、少なくとも1種の前記熱分解を触媒する分解触媒を添加することを特徴とする方法。
  31. 請求項29または30に記載の方法であって、前記少なくとも1種の分解触媒は、炭素と水素以外に、これらとは異なるヘテロ原子として、少なくとも1つの窒素原子と、選択的に少なくとも1つまたはそれ以上の酸素原子を共有結合されて有する分子状有機作用化合物であるが、但し、
    − 前記有機作用化合物が、炭素と水素以外に、窒素および酸素とは異なるヘテロ原子を有さないことと、
    − 少なくとも1つの窒素原子が、第三級窒素原子であることと、
    を特徴とする方法。
  32. 請求項31に記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、3つの互いに異なる炭素原子に1つの共有結合を有する少なくとも1つの第三級窒素原子を有することを特徴とする方法。
  33. 請求項31または32に記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、3つの互いに異なる炭素原子にそれぞれ1つの共有結合を有する、少なくとも2つの第三級窒素原子または少なくとも3つの第三級窒素原子を有することを特徴とする方法。
  34. 請求項31から33までのいずれか1項に記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物のモル質量が、59.1g/モル以上で600g/モル以下であることを特徴とする方法。
  35. 請求項1から34までのいずれか1項に記載の方法であって、前記アクリル酸の製造方法に続き、製造されたアクリル酸がそのままで、および/またはその共役ブレンステッド塩基の形で、かつ選択的に別の一不飽和および/または多不飽和の化合物との混合物で、ラジカル開始的にポリマー中に重合導入されるラジカル重合法が行われることを特徴とする方法。
  36. 請求項1から35までのいずれか1項に記載の方法であって、前記分離帯域Aで分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量が、熱分解に際して、0〜1質量%であることを特徴とする方法。
  37. 請求項1から35までのいずれか1項に記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量が、熱分解に際して、10-6〜1質量%であることを特徴とする方法。
  38. 請求項1から37までのいずれか1項に記載の方法であって、請求項36または37に記載の方法におけるコバルト含量が、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中のCo+2の全含量であることを特徴とする方法。
  39. 請求項1から38までのいずれか1項に記載の方法であって、請求項36または37に記載の方法におけるコバルト含量が、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中のCo+1の全含量であることを特徴とする方法。
  40. 請求項1から39までのいずれか1項に記載の方法であって、請求項36または37に記載の方法におけるコバルト含量が、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中のCo0の全含量であることを特徴とする方法。
  41. 請求項1から40までのいずれか1項に記載の方法であって、請求項36または37に記載の方法におけるコバルト含量が、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中のCo-1の全含量であることを特徴とする方法。
  42. 請求項1から41までのいずれか1項に記載の方法であって、前記水性沈殿液が、少なくとも1種の、無機酸および/または有機酸とは異なる有機溶媒を含有することを特徴とする方法。
  43. 請求項1から42までのいずれか1項に記載の方法であって、前記水性洗浄液が、少なくとも1種の、無機酸および/または有機酸とは異なる有機溶媒を含有することを特徴とする方法。
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