JP2015526392A - 置換された芳香族化合物を異性化させるための方法 - Google Patents
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Abstract
Description
Ar−Rn (I)
[式中、
Arは、n価の芳香族残基であり、
nは、2以上の自然数、好ましくは2または3、特に好ましくは2であり、
Rは、それぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアミノである]
の混合物を異性化するための方法を提供し
この方法は、
・ 式(II)の少なくとも1種の化合物:
[M1][X1]m1
[式中、
M1は、アルミニウム、ガリウム、インジウム、銅、鉄、コバルト、ニッケル、または銅であり、
X1は、ハロゲン、好ましくは塩素または臭素、特に好ましくは塩素であり、
m1は、アルミニウム、ガリウム、インジウム、鉄の場合には3,ならびにコバルト、ニッケル、および銅の場合は2である];
・ 式(III)の少なくとも1種の化合物:
[M2][X2]m2
[式中、
M2は、アルカリ金属、好ましくはリチウム、ナトリウムまたはカリウム、中でもリチウムがさらにより好ましく、
X2は、ハロゲン、好ましくは塩素または臭素、特に好ましくは塩素であり、
m2は、アルカリ金属の場合、1である]
を含む塩溶融物の存在下にその異性化反応が実施されることを特徴としている。
Arは、好ましくは、6〜24個の骨格炭素原子を有する炭素環芳香族残基、または5〜24個の骨格原子を有し、その中で環あたり0個、1個、2個または3個の骨格原子、しかしながら分子全体の中では少なくとも1個の骨格原子が、窒素、硫黄または酸素の群から選択されるヘテロ原子である芳香族複素環残基を表し、
Arは、特に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、ビフェニル、ビナフチル、フルオレン、ピリジン、オキサゾール、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フラン、インドール、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、トリアゾール、またはキノリンから誘導される芳香族残基を表し、
Arは、極めて特に好ましくは、ベンゼンまたはナフタレンから誘導される芳香族残基を表すが、中でもベンゼンから誘導される芳香族残基が、さらにより好ましい。
機械式攪拌機を備えた0.5Lのガラス製オートクレーブ中、20mol%の塩化アルミニウムおよび10mol%の塩化リチウムを170℃で溶融させ、250gのパラ−ジクロロベンゼンを用いて処理した。その反応溶液を、170℃で4時間撹拌した。反応時間が終わったとき、その反応で生成した混合物中には、53%のメタ−ジクロロベンゼン、44%のパラ−ジクロロベンゼン、および3%のオルト−ジクロロベンゼンの組成が見いだされた。その反応生成物の相について、ICP−AESによって、排出されたアルミニウムおよびリチウムを調べた。アルミニウムの排出量は、典型的には、使用した塩化アルミニウムに対して1%未満であった。リチウムの排出は、認められなかった。
溶融物をリサイクルするために、反応生成物の相を除去した。排出された塩化アルミニウムを補い、250gのフレッシュなパラ−ジクロロベンゼンを加えた。次いで、反応温度を170℃に設定した。撹拌を開始する前に、約1.0barの塩化水素圧力をかけた。少なくとも5回のリサイクルの間、その塩溶融物の活性は一定に維持された。
0.5Lのガラス製反応器におけるリサイクルの際の圧力のバリエーションとして、第1回リサイクルで、0.05〜0.25MPaの圧力を使用した。この目的のために、フレッシュな塩溶融物を用いた異性化反応の後で反応生成物の相を除去し、排出された塩化アルミニウムを補い、250gのフレッシュなパラ−ジクロロベンゼンを加えた。次いで、反応温度を170℃に設定した。撹拌を開始する前に、0.05〜0.25MPaの塩化水素圧力をかけた。4時間の反応時間の後で得られた結果を表3に示す。
反応が完結した後、その有機相を溶融物から分離した。反応で生成した混合物は、本質的には、ジクロロベンゼンの3種の異性体、少量の排出された塩化アルミニウムおよび少量の副反応生成物からなっていた。ジクロロベンゼンは、フラッシュ蒸留によって定量的に分離することができた。この場合においては、塩化アルミニウムと副反応生成物いずれもが、塔底に残った。副反応生成物の割合は、1重量%未満であった。
機械式攪拌機を備えた250mLのガラスフラスコ中、20mol%の塩化アルミニウムおよび10mol%の塩化リチウムを180℃で溶融させ、a)1.5mol%のFeCl3、b)1.5mol%のNiCl2、c)1mol%のCuCl2を用いて処理した。それぞれの場合において、それによって得られた塩溶融物に150gのパラ−ジクロロベンゼンを添加し、その反応混合物を180℃で異性化反応させた。すべての実験において、4時間後に、約20%の割合のメタ−ジクロロベンゼンが得られた。
Hastelloy製の反応容器中、20mol%の塩化アルミニウム、6.25mol%の塩化ナトリウム、および4.37mol%の塩化カリウムを150℃で溶融させ、75gのパラ−ジクロロベンゼンを用いて処理した。その反応溶液を、150℃で3時間撹拌した。反応が完結した後では、26%のメタ−ジクロロベンゼンおよび74%のパラ−ジクロロベンゼンの割合であることが見いだされた。
Hastelloy製の反応容器の中で、20mol%の塩化アルミニウム、6.25mol%の塩化ナトリウム、および4.37mol%の塩化リチウムを、a)110℃、b)130℃、およびc)150℃で溶融させ、75gのパラ−ジクロロベンゼンを用いて処理した。その反応溶液を、それぞれの反応温度で、16.5時間撹拌した。反応が完結した後では、実験a)においては、13%のメタ−ジクロロベンゼンおよび87%のパラ−ジクロロベンゼンの割合、実験b)においては、44%のメタ−ジクロロベンゼンおよび55%のパラ−ジクロロベンゼン、1%のオルト−ジクロロベンゼンの割合、ならびに実験c)においては、58%のメタ−ジクロロベンゼンおよび37%のパラ−ジクロロベンゼンおよび5%のオルト−ジクロロベンゼンの割合であることが、それぞれ分かった。
機械式攪拌機を備えた50mLのガラスフラスコ中、20mol%の塩化ガリウムと10mol%の塩化リチウムとを、170℃で溶融させた。20.87gのパラ−ジクロロベンゼンを添加してから、その反応溶液を25時間撹拌した。その反応が完結した後では、その反応混合物には、3%のメタ−ジクロロベンゼンおよび97%のパラ−ジクロロベンゼンの割合で含まれていた。
機械式攪拌機を備えた0.5Lのガラス製オートクレーブ中、20mol%の塩化アルミニウムおよび10mol%の塩化リチウムを170℃で溶融させ、250gのオルト−ジクロロベンゼンを用いて処理した。その反応溶液を、170℃で3.5時間撹拌した。反応時間の終了時には、その反応で生成した混合物には、31%のメタ−ジクロロベンゼン、9%のパラ−ジクロロベンゼン、および60%のオルト−ジクロロベンゼンの組成が見いだされた。
溶融物をリサイクルさせるために、反応生成物の相を除去した。排出された塩化アルミニウムを補い、250gのフレッシュなオルト−ジクロロベンゼンを加えた。次いで、反応温度を170℃に設定した。撹拌を開始する前に、約1.0barの塩化水素圧力をかけた。反応時間の終了時には、その反応で生成した混合物には、26%のメタ−ジクロロベンゼン、9%のパラ−ジクロロベンゼン、および65%のオルト−ジクロロベンゼンの組成が見いだされた。
機械式攪拌機を備えた50mLのガラスフラスコ中、a)20mol%の塩化アルミニウムと10mol%の塩化リチウム、ならびにb)20mol%の臭化アルミニウムと10mol%の臭化リチウムを、170℃で溶融させた。36.29gの1,2,3−トリクロロベンゼンを添加してから、その反応溶液を、170℃で22時間撹拌した。反応か完結した後では、実験a)では、5%の1,2,4−トリクロロベンゼンおよび95%の1,2,3−トリクロロベンゼンの異性体組成が得られた。実験b)においては、1,2,4−トリクロロベンゼンの割合が27%、1,2,3−トリクロロベンゼンの割合が73%であった。しかし、実験b)においては、ある程度の量の副反応生成物も生成する。トリクロロベンゼンの副反応生成物に対する比率は、86%対14%であった。その副反応生成物は、ジクロロベンゼンと、ある比率での、より高度に塩素化された異性体とからなっていた。
機械式攪拌機を備えた50mLのガラスフラスコ中、20mol%の塩化アルミニウムと10mol%の塩化リチウムとを170℃で溶融させ、25.14gのパラ−クロロトルエンを用いて処理した。20分の反応時間の後では、49%のメタ−クロロトルエン、45%のパラ−クロロトルエン、および6%のオルト−クロロトルエンの異性体比の結果となった。異性化反応に加えて、アルキル交換反応も起きていた。たとえば、クロロベンゼンに加えて、より高次にアルキル化された化合物、たとえばクロロキシレンが、副反応生成物として生成していた。クロロトルエンの副反応生成物に対する比率は、86%対14%であった。
機械式攪拌機を備えた50mLのガラスフラスコ中、a)20mol%の塩化アルミニウムと10mol%の塩化リチウム、ならびにb)20mol%の臭化アルミニウムと10mol%の臭化リチウムを、170℃で溶融させた。38.29gのパラ−ブロモクロロベンゼンを添加してから、その反応混合物を170℃で1時間撹拌した。実験a)では、59%のメタ−ブロモクロロベンゼン、30%のパラ−ブロモクロロベンゼン、および11%のオルト−ブロモクロロベンゼンの異性体分布が得られた。異性化反応に加えて、不均化反応も起きていた。生成した副反応生成物は、クロロベンゼンおよびジブロモクロロベンゼンであった。クロロブロモベンゼン対副反応生成物の比率は、67%対33%であった。実験b)は、1時間の反応で、57%のメタ−ブロモクロロベンゼン、32%のパラ−ブロモクロロベンゼン、および11%のオルト−ブロモクロロベンゼンの異性体分布が得られた。この場合においても実験a)の場合と同じ副反応生成物が生成し、同様にクロロブロモベンゼン対副反応生成物の比率は、67%対33%であった。
機械式攪拌機を備えた50mLのガラスフラスコ中、20mol%の臭化アルミニウムと10mol%の臭化リチウムとを、170℃で溶融させた。次いで、その溶融物に29.40gのパラ−ジクロロベンゼンを加えた。23時間の反応時間の後では、32%のメタ−ジクロロベンゼンと68%のパラ−ジクロロベンゼンの組成が得られた。クロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ブロモクロロベンゼン、またはジブロモベンゼンの存在は、検出できなかった。塩化アルミニウム−塩化リチウム溶融物に比較して、比較実験における臭化アルミニウム溶融物は、より高い活性を示している。
機械式攪拌機を備えた50mLのガラスフラスコ中、a)20mol%の塩化アルミニウムと10mol%の塩化リチウム、ならびにb)20mol%の臭化アルミニウムと10mol%の臭化リチウムを、170℃で溶融させた。次いで、47.18gのパラ−ジブロモベンゼンを加えた。その反応溶液を、170℃で5時間撹拌した。実験a)は、1時間の反応時間の後では、反応混合物中の59%のメタ−ジブロモベンゼン、31%のパラ−ジブロモベンゼン、および10%のオルト−ジブロモベンゼンの異性体比の結果となった。しかし、比較的大量のブロモベンゼンおよびトリブロモベンゼンならびに微量のブロモクロロベンゼンも生成したが、その理由は、異性化反応に加えて、不均化反応も起きていたからである。ジブロモベンゼン対副反応生成物の比率は、62%対38%であった。実験b)は、1時間の反応時間の後では、59%のメタ−ジブロモベンゼン、31%のパラ−ジブロモベンゼン、および10%のオルト−ジブロモベンゼンの組成という結果になった。この場合においては、副反応生成物としてブロモベンゼンおよびトリブロモベンゼンも生成した。ジブロモベンゼン対副反応生成物の比率は、60%対40%であった。
機械式攪拌機を備えた250mLのガラスフラスコ中、20mol%の塩化アルミニウムと、4mol%の塩化リチウムおよび6mol%の塩化ナトリウムとを140℃で溶融させ、100gのパラ−キシレンを用いて処理した。
Claims (15)
- 式(I)の化合物または式(I)の化合物の混合物:
Ar−Rn (I)
[式中、
Arは、n価の芳香族残基であり、
nは、2以上の自然数、好ましくは2または3、特に好ましくは2であり、
Rは、それぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアミノである]
を異性化するための方法であって、
前記異性化反応が、
・ 少なくとも1種の式(II)の化合物:
[M1][X1]m1
[式中、
M1は、アルミニウム、ガリウム、インジウム、銅、鉄、コバルト、ニッケル、または銅であり、
X1は、ハロゲン、好ましくは塩素または臭素、特に好ましくは塩素であり、
m1は、アルミニウム、ガリウム、インジウム、鉄の場合には3であり、コバルト、ニッケル、および銅の場合は2である]、
・ 少なくとも1種の式(III)の化合物:
[M2][X2]m2
[式中、
M2は、アルカリ金属、好ましくはリチウム、ナトリウムまたはカリウム、中でもリチウムがさらにより好ましく、
X2は、ハロゲン、好ましくは塩素または臭素、特に好ましくは塩素であり、
m2は、アルカリ金属の場合には1である]、
を含む塩溶融物の存在下で実施されることを特徴とする、方法。 - 式(I)におけるArが、6〜24個の骨格炭素原子を有する炭素環芳香族残基、または、5〜24個の骨格原子を有し、その中で環あたり0個、1個、2個または3個の骨格原子であって分子全体の中では少なくとも1個の骨格原子が、窒素、硫黄または酸素の群から選択されるヘテロ原子である、芳香族複素環残基を表していることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 式(I)におけるArが、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、ビフェニル、ビナフチル、フルオレン、ピリジン、オキサゾール、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フラン、インドール、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、トリアゾールまたはキノリンから誘導される芳香族残基、極めて特に好ましくは、ベンゼンまたはナフタレンから誘導される芳香族残基を表し、中でもベンゼンから誘導される芳香族残基がさらにより好ましいことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
- 使用される前記式(I)の化合物が、n=2であり、前記残基の一つまたは二つが、ハロゲンたとえば、好ましくは臭素または塩素、特に好ましくは塩素である式(I)の化合物であるか、または、n=3であり、前記残基の二つまたは三つが、ハロゲンたとえば、好ましくは臭素または塩素、特に好ましくは塩素である式(I)の化合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- ジクロロベンゼンの異性体、好ましくはp−ジクロロベンゼンおよびo−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロトルエン、ジブロモベンゼン、またはブロモクロロベンゼンが使用されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記式(II)の化合物の前記式(III)の化合物に対するモル比が、1:1〜10:1、好ましくは1:1〜3:1、特に好ましくは1.8:1〜2.2:1であり、中でも2:1がさらにより好ましいことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記式(II)の化合物が、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、および塩化ガリウムの群から選択され、中でも塩化アルミニウムが好ましいことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記式(III)の化合物が、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、および塩化セシウムの群から選択され、中でも塩化リチウムが好ましいことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記方法が、水系または水基準系をベースとし、25℃で5以下、好ましくは2以下、特に好ましくは1以下のpKを有するプロトンであって、それらと同じプロトンを放出することができる化合物由来のプロトンの存在下で実施されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記式(I)の化合物の前記式(II)の化合物に対するモル比が、1:1000〜100:1、好ましくは1:1〜10:1、特に好ましくは20:1〜3:1、特別に好ましくは2:1〜5:1であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記異性化反応の際の反応温度が、100℃〜220℃、好ましくは120〜200℃、特に好ましくは140〜180℃の間であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記方法を実施した際に形成される前記二つの液相が、混合エネルギーを導入することによって相互に混合されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
- 前記式(II)および(III)の化合物が、前記方法において再使用されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
- 前記式(II)および(III)の化合物に対して、それらの再使用の前または途中に、水系または水基準系をベースとし、25℃で5以下、好ましくは2以下、特に好ましくは1以下のpKを有するプロトンであって、それらと同じプロトンを放出することが可能な化合物由来のプロトンが添加されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
- 前記式(II)および(III)の化合物が、それらの再使用の前または途中に、塩化水素または臭化水素ガスとの接触状態にされ、それらのガスの分圧が、好ましくは50hPa〜1MPa、特に好ましくは500hPa〜2500hPaであることを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
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