JP2015523306A - ウエット酸エッチングにおけるスラッジ制御のための方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)スラッジ分離装置が必要であり、これは装置購入及びメンテナンスのためのコストを高める、
(2)加熱のような分離方法の使用はエネルギー消費を高める、
(3)分離はエッチャントからスラッジをある程度しか分離することができない。例えば、大径粒子のスラッジは遠心分離または濾過によって容易に除去できるが、小径スラッジ粒子はエッチャント内にとどまり、リサイクルされたエッチャントの性能に強い影響を与え続ける、及び
(4)スラッジの形成は低速プロセスであり、これは物理的分離の後であってもスラッジが形成されるであろうことを意味する、
を含む限界がある。したがって、物理的方法だけを用いてスラッジ問題を完全に解決することはできない。
(1)実験装置の設置を必要としない、
(2)プロセスが余分のエネルギーを消費しない、
(3)プロセスはスラッジの形成を抑制するかまたはスレッジの量を低減することができる、及び
(4)エッチングに対して適切な化学的方策を適用することにより、ガラスエッチングのための費用を低減することができる、
を含む、いくつかの利点がある。化学的方法を物理的方法と組み合わせれば、スラッジ問題をより効果的及び効率的に管理することができる。
(1)スラッジ形成を制御するための系統的な化学的方法の決定が未だにない、
(2)スラッジ操作へのエッチング化学因子の相関が特許請求されていないかまたは公開されていない、
(3)スラッジ形成の基礎的理解が未知である、及び
(4)スラッジ低減に対する化学的(だけの)方策は、コーニング(Corning)(登録商標)製品コード2318イオン交換アルミノケイ酸ガラスのような限られたタイプのガラスに対してしか開発されていない、
を含むいくつかの課題がある。しかし、関与する原理は他のタイプのガラス、例えば、アルカリ土類アルミノホウケイ酸ガラス、「コーニング」Eagle XG(商標)ガラスに適用可能である。
「A」は溶解ガラスの量である。溶解ガラスレベルを高めると、反応(1)によって溶液内により多くの金属イオンが生成することができ、この金属イオンはフッ素イオンと結合して沈殿を形成する(反応(5))ことができる。
図1は、ガラスエッチングプロセスにおける反応を示す。反応(1)において、ガラスがHFによってエッチングされ、金属イオンが溶液内に放出される。反応(2)において、HFが解離し、プロトン及びフッ素イオンを発生する。反応(3)において、エッチャント内の第2の酸(HClまたはH2SO4のような強酸)がプロトンを発生する。反応(4)において、プロトンとフッ素イオンが結合してHF分子を再生する。反応(5)において、反応(1)からの金属イオンと反応(2)からのフッ素イオンが結合して不溶性塩を沈殿として形成する。
沈殿 (g/L)=1−6.6×10−9/[F−]2.4
であり、ここで[F−]はフッ素イオン濃度である。この結果は、下式1:
沈殿 (g/L)=因子A(Ksp/(因子B/因子C))+因子D (式1)
がスラッジ管理に関して適用でき、実用になることを証明する。
図5A〜5G及び6A〜6Gは、様々な温度において様々な濃度のEXGを含む、HF/HClエッチャント(図6A〜6G)及びHF/H2SO4エッチャント(図5A〜5G)について、スラッジ内の溶解ガラスの量の効果を示す沈殿コンタープロットである。様々なコンター線に対する値が図内に及びそれぞれの図の右側の表に示される。コンター線の数値は左から右に大きくなる。コンター線はそれぞれの図の下辺近くで読み取ると良いであろう。例として図5Aを用いれば、左から右に、コンター線の値は、0.100(太い黒線),0.300,0.500,0.700及び0.900である。それぞれの図における太い黒線は「無沈殿」帯または領域を定める。「無沈殿」帯は、エッチャント内のガラス濃度をその図に示されている値とした場合に、槽内に沈殿がない領域である。図5Aにおいて、エッチャント溶液内のガラス濃度は、凡例最上段に示されているように、4g/Lである。例として図5Aをまた用いれば、4g/LのEXGガラスを含んでいるエッチャント槽に対し、(a1)エッチャント内のHF濃度が0.5Mより高く、ほぼ1.0Mまでの範囲にあれば、また(b1)エッチャント内のH2SO4濃度がほぼ1.2Mからほぼ4Mまでの範囲にあれば、エッチャント槽内の沈殿の量は0.100g/Lより少ない。しかし、(a2)HF能路が1Mより高く、ほぼ1.5〜1.6Mまで上がれば、H2SO4濃度は少なくとも2Mより高く、4Mまでの範囲になければならず、さもないと沈殿(スラッジ)が生じるであろう。最後に、HF濃度が高められ、H2SO4濃度が一定に保たれていれば、コンター線で示されるように、HF濃度が高くなるにつれてスラッジの量が増える。
Ppt (g/L)=θ1−θ2/[F−]θ3
である。項[F−]はエッチャント内のフッ素イオン濃度である。
(1)本方法はスラッジ管理において簡易及び有効である。単に4つの因子を調整することで、スラッジの量を大きく低減することができる。これらの因子の調整にはガラスエッチングのためのプラントの変更がほとんど必要ではない。1つの因子または複数の因子を調整することでスラッジの量を低減することができ、因子の調整はプラントにおいて容易に実施することができる;
(2)本明細書に開示される方法はガラスエッチングのためのコストを低減することができる。コストは、HFの濃度を低め、同時に第2の酸の濃度を高めることで低減することができる。この変更は、原材料のためのコストを低減することができ、システム内のスラッジの量も低減することができる。スラッジの低減は少なくとも2つの利点を提供する。第1に、エッチャントをリサイクルするまでより長時間、より高い効率で使用することができ、これは材料消費のコストをさらに低減することができる。第2に、操業にスラッジを清掃するための頻繁なメンテナンスが必要にならず、これも生産のためのコストを低減する;
(3)本方法は、アルミノケイ酸ガラスに適用可能であることに加えて、他のガラス組成、限定ではなく、例として、ホウケイ酸ガラス及びアルミノホウケイ酸ガラスに、また沈殿を形成する金属イオンを含むガラス、限定ではなく、例として、アルカリ土類金属、ジルコニウム、鉄及びチタンを含むガラスにも、用いることができる。本開示に主張される理論及び方策はスラッジ形成の化学の基本的理解に基づいて開発された。理論及び方策は、様々なタイプのガラスのスラッジを操作するために、方策を適切に修正して、広く適用することができる;
(4)本開示は実施が容易である。出願人等が開発した数学モデルは意味を容易に理解することができ、スラッジの量を予測するために用いることができる。モデルが開発されてしまえば、予測は容易であり、正確で信頼できる。出願人等の初期の実験がこのことを証明している;
(5)本開示は、LCDのためのガラス薄化、イオン交換できるガラス及びイオン交換できないガラスの表面及び縁端の強化、異なる形状寸法及び穴を生じさせるエッチング、並びに、防眩及び反射防止のような、機能性表面のエッチングを含む、いかなるHF利用エッチングプロセス及び応用にも、また、にも、適用される;及び
(6)エッチング溶液内のスラッジ粒子の低減または排除はエッチング後クリーニングを簡易化することができ、あるいは、エッチングされた製品の表面に損傷を与え、機械特性及び/または光学特性を損なう可能性があり得る、ブラシクリーニングのような接触クリーニングの必要を排除することができる。
(A)エッチャント内の溶解されるガラスの量を低減する;これにより反応(1)による金属イオンの濃度が低められ、続いて、低められた金属イオン濃度により、反応(5)によるスラッジの形成が最小限に抑えられる;
(B)HFの濃度を低める;HFの濃度を低めることによってフッ素イオン濃度が低くなり、続いて、反応(5)にしたがう金属イオンとフッ素イオンの間のスラッジの形成が減じる;及び
(C)第2の酸の濃度を高める;第2の酸の作用はエッチャント内のフッ素イオンの濃度を調節することである。第2の酸からのプロトン(反応(3))はフッ素イオンと結合してHFを再生する(反応(4))ことができるから、HFから放出されるフッ素イオンの量を制限することができる。この結果、第2の酸の添加により、HFからのフッ素イオンの生成が減じられ、フッ素イオンと金属イオンからのスラッジの形成が減じられる;
ことができ、
(D)溶解度定数Kspは金属イオンがフッ素イオンにより沈殿し始める臨界濃度を決定する定数である。Ksp値が大きくなることは沈殿を生じずに溶液内にとどまり得る金属イオン及びフッ素イオンが多くなることを意味する。溶液温度を高め、総イオン強度を低めることにより、Ksp値をより大きくし、スラッジの量をより少なくしておくことができる。
実験手順
(1)HFと第2の酸(HClまたはH2SO4)を含むエッチャントを作製する;
(2)エッチングのために選ばれたガラス粉末の重量を測定する;
(3)ガラス粉末とエッチャントをプラスチック槽、例えばNalgenプラスチックボトル、内で600rpmの磁気撹拌を用いて混合する;
(4)溶液を磁気撹拌しながら一定温度(例えば、22℃、27℃または32℃)で5日間おき、溶液の変化及び沈殿の推移をモニタする;
(5)6日目に、溶液の撹拌を停止し、全ての沈殿をボトルの底に落ち着かせて、溶液を透明にする。透明溶液のほとんどを廃液容器に移し(または以降の検査のためにとっておき)、溶液の残り及び全ての沈殿を先に重量を測定してある遠心分離チューブ内に移す。沈殿は4500rpmで5分間の遠心分離によってエッチャントから分離された。上澄み液を移し、エッチャントの残りを洗い流し、沈殿の乾燥を加速するため、ペレット(沈殿)を15mLの100%エタノール内に再び懸濁させ、再び4500rpmで5分間の遠心分離を行った;
(6)分離した沈殿をドラフトチャンバ内において室温で1〜2日間乾燥した。乾燥した沈殿の重量を量り、その後、結晶相を調べるためにXRDを用いて、あるいは組成を調べるためにICP(誘導結合プラズマ)を用いて、沈殿を分析した;
(7)ステップ(5)で収集した上澄み液もICPを用いて調べた。
I.組成及び相分析
Eagle XGガラスの主成分には、酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化アルミニウム及び酸化マグネシウムがある。これらの金属酸化物がHFまたはHFを含むエッチャントによって溶解された後、金属イオンはフッ素イオンのような陰イオンとともに析出し得る。表1は沈殿とそれらの水中溶解度の考え得る組合せを示す。これらの値に基づけば、カルシウム及びマグネシウムが沈殿への主要な寄与金属であり、成分金属である。H2SiF6は水性溶液内の溶解度が非常に高いから、析出するとは思えない。アルミニウムはAlF3として析出することはないが、他の金属イオンとともに析出することはできる。
沈殿の量は乾燥させた沈殿の重さを量ることで測定した。データは図5A〜5G及び6A〜6Gのコンタープロットにおいて線の隣にある数値(単位:g/L)として示される。これらの図における沈殿の量は、上記の、図2に示し、上述した、4つの因子によって調節される。
沈殿 (g/L)=1−6.6×10−9/[F−]2.4
である。この結果は、出願人等が導いた式がスラッジ管理の研究に適用可能であり、実用になることを確証する。ここで、沈殿の量はゼロより小さくなり得ず、よってシミュレーションにおけるゼロより小さい値は、実研究においてはゼロとすべきであることに注意されたい。式1は:
沈殿 (g/L)=因子A−(Ksp/(因子B/因子C))+因子D
である。
沈殿 (g/L)=因子A−(Ksp/(因子B/因子C))+因子D
にしたがって選ばれたレベルに制御され、式1の4つの因子は、
因子A:溶解ガラスのレベル、
因子B:HFの濃度、
因子C:第2の酸の濃度−第2の酸は強酸である、及び
因子D:温度またはイオン強度を変えることによって制御される、沈殿の溶解度定数、Ksp,
である。第2の強酸は、HCl、HClO4,HNO3及びH2SO4からなる群から選ばれる。一実施形態において、第2の強酸はHCl及びH2SO4からなる群から選ばれる。エッチングされるガラスは、イオン交換されている及びイオン交換されていない、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス及びアルミノホウケイ酸ガラスからなる群から選ばれる酸化物ガラスである。一実施形態において、エッチングされるガラスは、金属元素の中でもとりわけ、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、ジルコニウム、鉄及びチタンからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属を含む、酸化物ガラスである。本方法において、エッチングプロセスは15℃〜40℃の範囲にある温度で実施される。本方法の一実施形態において、エッチングプロセスは20℃〜35℃の範囲にある温度で実施される。別の実施形態において、温度は22℃〜32℃の範囲にある。一実施形態において、エッチャント槽内の遊離プロトン濃度は、1.0M〜4Mの範囲にあるHF濃度に対して0.5M〜5.0Mの範囲に維持される。別の実施形態において、エッチャント槽は酸HF及びHClを含み、エッチャント槽内の遊離プロトン濃度は、1.0M〜3.5Mの範囲にあるHF濃度に対して0.5M〜6.0Mの範囲に維持される。別の実施形態において、エッチャント槽は酸HF及びH2SO4を含み、エッチャント槽内の遊離プロトン濃度は、1.0M〜4Mの範囲にあるHF濃度に対して0.5M〜5.0Mの範囲に維持される。
Ppt (g/L)=θ1−θ2/[F−]θ3
である。項[F−]はエッチャント内のフッ素イオン濃度である。
Claims (10)
- ガラスウエットエッチングプロセスにおいてスラッジの量を制御する方法であって、HFエッチャント溶液内の水素イオン濃度をエッチャント槽への第2の強酸の添加によって制御しながらガラスをエッチングする工程を含む方法において、
前記第2の強酸が、HCl、HClO4,HNO3及びH2SO4からなる群から選ばれ、前記エッチングプロセスが15℃から40℃の範囲にある温度において実施され、前記エッチャント溶液内の溶解ガラスの量が10g/Lより少ない、
ことを特徴とする方法。 - 前記エッチャント槽内の前記スラッジ量が下の式1:
沈殿 (g/L)=因子A−(Ksp/(因子B/因子C))+因子D
にしたがって選ばれるレベルに制御され、前記式1の4つの因子が、
因子A:前記溶解ガラスのレベル、
因子B:前記HFの濃度、
因子C:前記第2の酸の濃度−前記第2の酸は強酸である、及び
因子D:温度またはイオン強度を変えることで制御される前記沈殿の溶解度定数,Ksp、
であることを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 前記第2の強酸がHCl及びH2SO4からなる群からなることを特徴とする請求項2に記載の方法。
- エッチングされる前記ガラスが、イオン交換されている及びイオン交換されていない、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス及びアルミノホウケイ酸ガラスからなる群から選ばれる、酸化物ガラスであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方法。
- エッチングされる前記ガラスが、金属元素の中でもとりわけ、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、ジルコニウム、鉄及びチタンからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属を含む、酸化物ガラスであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方法。
- 前記エッチングプロセスが20℃から35℃の範囲にある温度で実施されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の方法。
- 前記エッチャント槽内の遊離プロトン濃度が、1.0Mから4Mの範囲にあるHF濃度に対して0.5Mから5.0Mの範囲に維持され、前記第2の強酸が、HCl、HClO4,HNO3及びH2SO4からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法。
- HFと、HCl、HClO4,HNO3及びH2SO4からなる群から選ばれる、強酸の酸混合液を含む酸性ガラスエッチング溶液において、前記溶液が15℃から40℃の範囲内の温度にあり、
エッチャント槽内の遊離プロトン濃度が、前記選ばれた強酸がHCl、HNO3またはHClO4である場合に、1.0Mから3.5Mの範囲にあるHF濃度に対して、0.5Mから6.0Mの範囲に維持される、及び
エッチャント槽内の遊離プロトン濃度が、前記選ばれた強酸がH2SO4である場合に、1.0Mから4Mの範囲にあるHF濃度に対して、0.5Mから5.0Mの範囲に維持される、及び
前記溶液内の溶解ガラスが7g/Lより少ない、
ことを特徴とする溶液。 - 前記溶液内の前記溶解ガラスが4g/Lより少ないことを特徴とする請求項8に記載の溶液。
- 20℃から35℃の範囲にある温度においてエッチングプロセスが実施されることを特徴とする請求項8または9に記載の溶液。
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