JP2015231961A - ジクロロメチルアルキルエーテル化合物の製造方法 - Google Patents

ジクロロメチルアルキルエーテル化合物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015231961A
JP2015231961A JP2014118756A JP2014118756A JP2015231961A JP 2015231961 A JP2015231961 A JP 2015231961A JP 2014118756 A JP2014118756 A JP 2014118756A JP 2014118756 A JP2014118756 A JP 2014118756A JP 2015231961 A JP2015231961 A JP 2015231961A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
dichloromethyl
alkyl ether
formate
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014118756A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6399814B2 (ja
Inventor
木村 芳一
Yoshiichi Kimura
芳一 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ihara Nikkei Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Ihara Nikkei Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ihara Nikkei Chemical Industry Co Ltd filed Critical Ihara Nikkei Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2014118756A priority Critical patent/JP6399814B2/ja
Publication of JP2015231961A publication Critical patent/JP2015231961A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6399814B2 publication Critical patent/JP6399814B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】安全で取扱い易く、環境にも影響の少ない、ジクロロメチルアルキルエーテル化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式[1]で表されるホルムアニリド化合物の存在下、下記一般式[2]で表されるギ酸エステル化合物と下記一般式[P]で表されるクロリド化合物とを反応させる、一般式[3]で表されるジクロロメチルアルキルエーテル化合物の製造方法。
【化1】
Figure 2015231961

(式中、Xはメチル基または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。R’は低級アルキル基またはハロゲン原子を表す。mは0〜5の整数を表す。Rは炭素数1〜6のアルキル基を表す。nは1または2を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、ジクロロメチルアルキルエーテル化合物を効率的に製造する方法に関する。
1,1−ジクロロメチル−2−アルキルエーテルは、他の塩素化剤ではできない反応を行うことができる特殊な塩素化剤として利用される(非特許文献1参照)。あるいは、幅広い芳香族化合物等のホルミル化剤としても反応活性が高く有用な化合物である(非特許文献2参照)。一方、その合成方法はこれまで限られており、例えばギ酸エステルに五塩化リンまたはホスゲンを反応させる方法が知られている(非特許文献3、特許文献1参照)。
特開平08−239338号公報
Organic Syntheses, Coll. Vol.7, p.467 (1990), Vol.61, p.1 (1983) Chemical Berichte Jahrg.93, pp.88-94 (1955) Organic Syntheses, Coll. Vol.5, p.365 (1973); Vol.47, p.51 (1967)
五塩化リンはそれ自体の毒性が高く、使用後のリンの廃棄処理が問題となる。ホスゲンも毒性の極めて高い化学品であることが知られている。時代の要請は、有用な化合物を環境に優しい安全な方法で製造することである。そのような観点から、本発明は、安全で取扱い易く、環境にも影響の少ない、ジクロロメチルアルキルエーテル化合物の製造方法の提供を目的とする。また、それにより、農薬、医薬、香料、機能性高分子材料などの分野で有用な塩素化化合物やホルミル化化合物の提供に資することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討し、N−フェニルホルムアミド触媒の存在下、ギ酸エステル化合物とシュウ酸ジクロリド等のクロリド化合物とを反応させることで、安全に収率良く1,1−ジクロロメチル−2−アルキルエーテル(以下、「DCMAE」と略称することがある)を製造できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下の手段を有する。
〔1〕下記一般式[1]で表されるホルムアニリド化合物の存在下、下記一般式[2]で表されるギ酸エステル化合物と下記一般式[P]で表されるクロリド化合物とを反応させる、一般式[3]で表されるジクロロメチルアルキルエーテル化合物の製造方法。
Figure 2015231961
(式中、Xはメチル基または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。R’は低級アルキル基またはハロゲン原子を表す。mは0〜5の整数を表す。Rは炭素数1〜6のアルキル基を表す。nは1または2を表す。)
〔2〕前記ホルムアニリド化合物を前記ギ酸エステル化合物に対して0.05〜0.2当量用いる〔1〕に記載のジクロロメチルアルキルエーテル化合物の製造方法。
〔3〕前記ギ酸エステル化合物と前記クロリド化合物との反応を無溶媒で行う〔1〕または〔2〕に記載のジクロロメチルアルキルエーテル化合物の製造方法。
〔4〕前記ギ酸エステル化合物のRの炭素数が3〜6であり、当該ギ酸エステル化合物と前記クロリド化合物とを反応させる反応温度を60℃以上80℃以下とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載のジクロロメチルアルキルエーテル化合物の製造方法。
〔5〕〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の製造方法でジクロロメチルアルキルエーテル化合物を得た後、当該ジクロロメチルアルキルエーテル化合物と原料化合物とを反応させ、当該原料化合物のホルミル化化合物を得るホルミル化化合物の製造方法。
〔6〕前記原料化合物が、芳香族化合物および複素芳香族化合物から選ばれる〔5〕に記載のホルミル化化合物の製造方法。
本発明の製造方法により、安全で取扱い易く、環境にも影響の少ない、ジクロロメチルアルキルエーテル化合物の製造方法を提供することができる。また、それにより、農薬、医薬、香料、機能性高分子材料などの分野で有用な塩素化化合物やホルミル化化合物の提供に貢献することができる。
以下、本発明について、その好ましい実施形態を中心に詳細に説明する。
・ホルムアニリド化合物
本発明の製造方法において、ホルムアニリド化合物は下記一般式[1]で表され、触媒として用いられる。好ましい適用量は、ギ酸エステル化合物を基準として、0.01当量以上が好ましく、0.03当量以上がより好ましく、0.05当量以上が特に好ましい。上限としては、1当量以下が好ましく、0.5当量以下がさらに好ましく、0.2当量以下が特に好ましい。詳細は後述するが、上記上下限の範囲内とすることで、目的化合物を得る生成反応の逆反応を抑え、一方で十分な反応の活性(触媒作用)を得ることができる。
Figure 2015231961
式中、Xはメチル基または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。R’は低級アルキル基(炭素数1〜6が好ましく、1〜3がより好ましい。)またはハロゲン原子(塩素原子、フッ素原子)を表す。R’はなかでも、メチル基、エチル基、プロピル基、ハロゲン原子(塩素原子、フッ素原子)が好ましい。mは0〜5の整数を表し、0〜2が好ましく、0または1がより好ましい。
置換基を有していてもよいフェニル基の置換基としては、上記R’が挙げられる。置換基を有していてもよいフェニル基は下記式(T−1)で表されることが好ましく、式(T−2)で表される置換基であることがより好ましい。R’は前記式(1)と同義である。R”は水素原子またはR’で表される置換基である。*はNとの結合位置を表す。
Figure 2015231961
・ギ酸エステル化合物
本発明の製造方法における基質の1つは下記式[2]で表されるギ酸エステル化合物である。その適用量は任意に調節すればよく、典型的には化学量論量で適用することができる。
Figure 2015231961
Rは炭素数1〜6のアルキル基を表す。Rの炭素数は3以上が好ましい。上限としては、5以下が好ましい。
ギ酸メチルまたはギ酸エチルはともに引火点がマイナス20℃と低く大量に扱うことが難しいことがある。この観点で、ギ酸ブチルは引火点16℃の液体であり、塩素化剤またはホルミル化剤としても活性を有する。本発明の好ましい実施形態においては、炭素数3〜5のギ酸エステル化合物を選定し、かつ、クロリド化合物としてもシュウ酸ジクロリド(塩化オキサリル)を用いることで、安全性及び取扱い性のきわめて高い製造方法を提供することができる。
原料に用いるギ酸エステル化合物はその沸点が60℃以上のものが好ましい。市販品の入手、次工程の反応後の副生物を考慮すると式[2]のRは上記のとおり炭素数3〜5のアルキル基であることが好ましい。
・クロリド化合物
本発明の製造方法におけるもう1つの基質は、下記式[P]で表されるクロリド化合物である。当該クロリド化合物は、n=1のときホスゲン、n=2のときシュウ酸ジクロリドとなる。本発明においては、なかでも、n=2のシュウ酸ジクロリドが安全性、取扱い性の観点で特に好ましい。
Figure 2015231961
式中、nは1または2を表し、nは2が好ましい。
・ジクロロメチルアルキルエーテル化合物
Figure 2015231961
Rは前記式[2]と同義である。
以下に、反応スキームに基づく対比により、従来技術と本発明との相違についてより詳しく明らかにする。
特許文献1には、ギ酸メチルまたはギ酸エチルを1,1−ジクロロメチル−2−メチルエーテルまたは1,1−ジクロロメチルー2−エチルエーテルに限定した製造法を開示している。実施例で開示しているのはトリフェニルホスフィンオキシド(TPPO)またはN,N−ジブチルホルムアミド(DBF)を触媒としホスゲンを原料とする方法である。それらの触媒はホスゲンによりクロリド化合物に変化し、これがギ酸メチルあるいはギ酸エチルと反応すると解される(スキーム1)。
しかしながら、特許文献1の実施例5によるとDBFを触媒とした場合にはジクロロメチルメチルエーテルの収率は31%に留まっていた。また特許文献1にはシュウ酸ジクロリドが本文中で記載されているが、実施例はなく収率その他の詳細は不明である。
Figure 2015231961
後記実施例の項で示したとおり、シュウ酸ジクロリドを用いた追試の結果では、TPPOを触媒とする反応(比較例1)のGCによる収率は74%であった。しかし、膨潤した固体が析出し蒸留することができなかった。DBFを触媒とする方法(比較例2)では反応系が汚濁し収率も低かった。もっとも、汎用されるジメチルホルムアミドを触媒とする方法(比較例3)では、さらに反応系が汚濁し目的物を単離することができなかった。このように、ジメチルホルムアミドとシュウ酸ジクロリドを用いる方法では、1,1−ジクロロメチル−2−ブチルエーテルを十分な収率と純度で与えない。
それらの問題点を、本発明においては、ホルムアミド触媒にフェニル基を導入することにより解決した。この改善効果がもたらされる理由として、系内に生じたイミドイルクロリド中間体の熱安定性がフェニル基の導入により向上し、触媒の分解による副反応の増加および反応速度の低下を阻止できることが考えられる。
本発明の好ましい実施形態に係る合成反応をその過程について分解した式で表すと、下記スキーム2のように示される。ここでR、Rは少なくとも1つが置換基を有していてもよいフェニル基である。本発明者の実験事実からの考察によると、以下のように説明することができる。式(1)は室温付近で速やかに反応が進行する。これに対して、式(2)の化合物[iii]は非常に反応性が高く、その逆反応が進行しやすい。式(2)の逆反応の抑制のみを考慮すると、化合物[i]の使用量は少なければ少ないほどよい。しかし、過度に減量すると、式(1)の反応が遅くなるので実用的ではない。両者を考慮し、反応成分の中でも、化合物[i](上記式(1)で表されるホルムアニリド化合物)の使用量が好適な範囲に調節されることが好ましい。
前記ギ酸エステル化合物と前記クロリド化合物とを反応させる反応温度は、20℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。上限としては、80℃以下が好ましい。この温度設定は、式[2]で表されるギ酸エステル化合物のRの炭素数が3〜6であるときに、特に好適である。
本発明においては、反応溶媒を不要化することができる。溶媒を使用してもよいが、容積効率の低下、生成物と溶媒との分離、溶媒の回収など余分な労力を要することが多く、溶媒を用いずに反応を行うことができることが好ましい。
式(1)の反応は速いので、化合物[iv]は滴下することが好ましい。一酸化炭素と二酸化炭素と発生を伴うので、一度に加えるとガスの発生が激しく反応が過度に進行することがある。
Figure 2015231961
本発明によれば、精製操作を要さずに、ジクロロメチルアルキルエーテルを90〜95%の純度で得ることができる。上限としては、ジクロロメチルアルキルエーテルの逆反応により限定されるため、この観点からも上述したようにホルムアミド化合物の量を好適な範囲に調節することが好ましい。生成物は、そのまま芳香族化合物のホルミル化に用いることができる。芳香族化合物との反応は、Chem.Ber.1960、93、88−94に記載している通り幅広い芳香族化合物に適応することができる。触媒として既知のチタン、スズ、アルミの代わりに安価な塩化亜鉛、塩化鉄(III)などを用いても収率良くホルミル化反応が進行する。その実例としてピペロナールの合成を参考例1として記載する。ピペロナールは高級香料として産業界で有用な化合物であるが、多段階の合成法で実施されており、ジクロロメチルブチルエーテルと塩化鉄の反応により高収率で実施できることは興味深いことである。
塩素化反応の例としては、アルキルスルホン酸(例えばメタンスルホン酸)もしくはその塩等のスルホン酸化合物と、1,1−ジクロロメチル−2−アルキルエーテル(DCMAE)を反応させて、アルキルスルホニルクロリド(例えばメタンスルホニルクロリド)を得る反応が知られている(Rieche, A and Gross, H.Chem.Ber. 1959, 92, pp.83-91)。また、ケトン化合物(RCOR’)とDCMAEとを反応させて、ジクロロアルキル化合物を得る反応が知られている(Ottenheijim, H.C.J. and Tijhuis, M.W, OS VII p.467 (1970), Ottenheijim, H.C.J and Deman, J.H.M. Synthesis 1975, pp.163-164)。
ホルミル化反応の例としては、上記のとおり、芳香族化合物や複素芳香族化合物とDCMAEを反応させてホルミル化し、各種の(複素)芳香族ホルミル化化合物を得る方法が知られている(前記非特許文献2、Rieche, A, Gross, H, and Hoft, E.OS V p.49, Rieche, A, Gross, H, and Hoft,E.Chem.Ber. 1960, 93, pp.88-94 参照)。この合成法で得られる化合物としては、例えば、ベンズアルデヒド、クミンアルデヒド、3,4−ジメチルベンズアルデヒド、メシチルアルデヒド、フェニルベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、フルオレンアルデヒド、アントラセンアルデヒド、フェナントレンアルデヒド、ピレンアルデヒド、フルオロベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ベラトラムアルデヒド、メトキシニトロベンズアルデヒド、メトキシナフトアルデヒド、チオフェンアルデヒドなどが挙げられる。
この反応を応用することにより、上述のように、ピロナールなどの複雑な構造の化合物の合成も可能となる。あるいは、フルオロベンゼンのように官能基の導入が難しい化合物であっても、これとDCMAEを反応させることで、簡便に、フルオロベンズアルデヒドを得ることができる(US5,138,099)。
以下に、実施例を通じて本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
実施例1
N−メチルホルムアニリド 1.40g(10.4ミリモル)、ギ酸ブチル 10.2g(100ミリモル)を60℃のオイルバスにつけ撹拌しながらシュウ酸ジクロリド 16.2g(128ミリモル)を1時間30分かけて滴下した。その後、同じ温度で気体の発生がなくなるまで7時間30分撹拌を続けた。GC分析で87%のジクロロメチルブチルエーテルが生成していることを確認した。反応液は薄い褐色であった。反応液を減圧蒸留し、20torr、59℃の留分、13.0g(粗収率83%)GC純度92%を得た。(文献値 48−49℃/15torr:Rieche, A, Gross, H, and Hoft, E. Chem. Ber. 1960, 93, 88―94)GCMSで標品と一致することを確認した。m/z=113、83、57(最大)、41.
GC純度はモレキュラーシーブスで乾燥したジクロロメタンでジクロロメチルブチルエーテルを希釈し、その溶液を直接GCに導入し測定した。
実施例2〜4
実施例1のギ酸ブチルの代わりに、炭素数3〜6のギ酸エステルを使用した以外は同様に反応し、それぞれジクロロメチルアルキルエーテルを製造した。それらの結果を他の例の結果と合わせて表1に示す。
反応条件:原料(100ミリモル)、N−メチルホルムアニリド(10ミリモル)、シュウ酸ジクロリド(130ミリモル)滴下60℃で2時間、その後60℃で7時間撹拌
実施例5
N,N−ジフェニルホルムアミド 1.97g(4.9ミリモル)、ギ酸ブチル 10.2g(100ミリモル)を60℃のオイルバスにつけ撹拌しながらシュウ酸ジクロリド 16.2g(128ミリモル)を1時間30分かけて滴下した。その後、同じ温度で2時間撹拌を続けた。GC分析で80%のジクロロメチルブチルエーテルが生成していることを確認した。その後、反応を続けたが生成量の変化はなかった。反応液は薄い褐色であった。
実施例6
実施例5のN,N−ジフェニルホルムアミドの量を半分 0.96g(4.9ミリモル)とした以外は実施例5と同様に反応した。滴下1時間、撹拌3時間での分析ではジクロロメチルブチルエーテルの生成は60%であり、さらに4時間撹拌しても生成量の変化はなかった。シュウ酸ジクロリドを1.0g(7.9ミリモル)追加して2時間撹拌すると、ジクロロメチルブチルエーテルの生成は67%となった。
実施例7
N−メチルホルムアニリド 2.72g(20.1ミリモル)、ギ酸メチル 12.0g(200ミリモル)を30℃のオイルバスにつけ撹拌しながらシュウ酸ジクロリド 32.0g(252ミリモル)を6時間かけて滴下した。その間、穏やかな還流が認められた。その後、同じ温度で気体の発生がなくなるまで3時間撹拌を続けた。GC分析でギ酸メチルがほとんど残っていないことを確認した。反応液は薄い褐色であった。これを蒸留し沸点70―72℃の留分を14g得た。GCMS分析すると、57%のジクロロメチルメチルエーテルと43%のシュウ酸ジクロリドの混合物であった。それぞれは標品のマススペクトルと完全に一致した。初留分には36%のジクロロメチルメチルエーテルが含まれていた。それらを合計すると純分換算でジクロロメチルメチルエーテルの単離収率は52%であった。
実施例8
N−メチルホルムアニリド 1.38g(10.2ミリモル)、ギ酸ブチル 10.2g(100ミリモル)を25−30℃のオイルバスにつけ撹拌しながらシュウ酸ジクロリド 16.0g(126ミリモル)を1時間30分かけて滴下した。その後、同じ温度で気体の発生がなくなるまで27時間撹拌を続けた。GC分析で80%のジクロロメチルブチルエーテルが生成していることを確認した。反応液は薄い褐色であった。
比較例1
トリフェニルホスフィンオキシド 2.86g(10.0ミリモル)、ギ酸ブチル 10.4g(102ミリモル)の混合物にシュウ酸ジクロリド 16.2g(128ミリモル)を60℃にて2時間かけて滴下し、続いて7時間撹拌した。滴下の途中から白色結晶が析出し最後までスラリーのままであった。GC分析をすると74%のジクロロメチルブチルエーテルが生成していたが、トリフェニルホスフィンオキシドと思われる白色の結晶が大量に析出し蒸留は困難であった。
比較例2
N,N−ジブチルホルムアミド 1.57g(10.0ミリモル)、ギ酸イソブチル 8.23g(80.7ミリモル)を50℃のオイルバスにつけ撹拌しながらシュウ酸ジクロリド 13.4g(106ミリモル)を3時間かけて滴下した。その後、70℃にて5時間撹拌を続けGC分析すると、全面積で43%のジクロロメチルイソブチルエーテルが生成しているが、57%のギ酸イソブチルが残存していた。反応液は濃い褐色であった。
比較例3
N,N−ジメチルホルムアミド 0.77g(10.5ミリモル)、ギ酸イソプロピル 8.8g(100ミリモル)を60℃のオイルバスにつけ撹拌しながらシュウ酸ジクロリド 16g(126ミリモル)を1時間30分かけて滴下した。その後、60℃にて6時間30分撹拌した。静置すると、濃い褐色成分が底に沈み、上層部は透明な薄い褐色であった。上層部をGC分析すると原料のギ酸イソプロピルは消失し、ジクロロメチルイソプロピルエーテルの生成を確認したが、蒸留するとほとんど目的物が得られなかった。
参考例1
1,2−メチレンジオキシベンゼン 1.20g(10ミリモル)、塩化鉄(III) 1.6g(10ミリモル)をジクロロメタン 5mLに懸濁させた液を氷浴で冷却し、実施例1で得られたジクロロメチルジブチルエーテル 1.90g(12ミリモル)を加え0.5時間撹拌した。その後、室温にて0.5時間撹拌したのち、2M−HClを加え反応を停止した。有機層をGCMS分析すると、ピペロナールが91%収率で生成していることを確認した。m/z=150(M)で標品のマススペクトルと一致した。ジクロロメタン層を分離し、クーゲルロール(180℃/5torr)にて蒸留し1.0g(収率67%)の白色ピペロナールを単離した。融点36.1℃(文献値、36℃ 日本化学会誌1940年61巻583−591頁)。
Figure 2015231961

Claims (6)

  1. 下記一般式[1]で表されるホルムアニリド化合物の存在下、下記一般式[2]で表されるギ酸エステル化合物と下記一般式[P]で表されるクロリド化合物とを反応させる、一般式[3]で表されるジクロロメチルアルキルエーテル化合物の製造方法。
    Figure 2015231961
    (式中、Xはメチル基または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。R’は低級アルキル基またはハロゲン原子を表す。mは0〜5の整数を表す。Rは炭素数1〜6のアルキル基を表す。nは1または2を表す。)
  2. 前記ホルムアニリド化合物を前記ギ酸エステル化合物に対して0.05〜0.2当量用いる請求項1に記載のジクロロメチルアルキルエーテル化合物の製造方法。
  3. 前記ギ酸エステル化合物と前記クロリド化合物との反応を無溶媒で行う請求項1または2に記載のジクロロメチルアルキルエーテル化合物の製造方法。
  4. 前記ギ酸エステル化合物のRの炭素数が3〜6であり、当該ギ酸エステル化合物と前記クロリド化合物とを反応させる反応温度を60℃以上80℃以下とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のジクロロメチルアルキルエーテル化合物の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法でジクロロメチルアルキルエーテル化合物を得た後、当該ジクロロメチルアルキルエーテル化合物と原料化合物とを反応させ、当該原料化合物のホルミル化化合物を得るホルミル化化合物の製造方法。
  6. 前記原料化合物が、芳香族化合物および複素芳香族化合物から選ばれる請求項5に記載のホルミル化化合物の製造方法。
JP2014118756A 2014-06-09 2014-06-09 ジクロロメチルアルキルエーテル化合物の製造方法 Active JP6399814B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014118756A JP6399814B2 (ja) 2014-06-09 2014-06-09 ジクロロメチルアルキルエーテル化合物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014118756A JP6399814B2 (ja) 2014-06-09 2014-06-09 ジクロロメチルアルキルエーテル化合物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015231961A true JP2015231961A (ja) 2015-12-24
JP6399814B2 JP6399814B2 (ja) 2018-10-03

Family

ID=54933696

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014118756A Active JP6399814B2 (ja) 2014-06-09 2014-06-09 ジクロロメチルアルキルエーテル化合物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6399814B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115873286A (zh) * 2022-12-14 2023-03-31 武汉轻工大学 一种半互穿网络阴离子交换膜及其制备方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS52156867A (en) * 1976-06-23 1977-12-27 Mitsui Toatsu Chem Inc Preparation of piperonal
US5138099A (en) * 1991-07-31 1992-08-11 Mallinckrodt Specialty Chemicals Company Synthesis of fluorobenzaldehydes
JPH08239338A (ja) * 1994-11-04 1996-09-17 Soc Natl Poudres Explosifs メチル−1,1−ジクロロメチルエーテルまたはエチル−1,1−ジクロロメチルエーテルの合成方法
JPH10503186A (ja) * 1994-07-20 1998-03-24 モンサント・カンパニー ベンゾイル誘導体およびそれらの合成
JP2003535068A (ja) * 2000-05-29 2003-11-25 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング 有機化合物をホルミル化するための方法
JP2005232073A (ja) * 2004-02-19 2005-09-02 Sumitomo Chemical Co Ltd 芳香族アルデヒドの製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS52156867A (en) * 1976-06-23 1977-12-27 Mitsui Toatsu Chem Inc Preparation of piperonal
US5138099A (en) * 1991-07-31 1992-08-11 Mallinckrodt Specialty Chemicals Company Synthesis of fluorobenzaldehydes
JPH10503186A (ja) * 1994-07-20 1998-03-24 モンサント・カンパニー ベンゾイル誘導体およびそれらの合成
JPH08239338A (ja) * 1994-11-04 1996-09-17 Soc Natl Poudres Explosifs メチル−1,1−ジクロロメチルエーテルまたはエチル−1,1−ジクロロメチルエーテルの合成方法
JP2003535068A (ja) * 2000-05-29 2003-11-25 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング 有機化合物をホルミル化するための方法
JP2005232073A (ja) * 2004-02-19 2005-09-02 Sumitomo Chemical Co Ltd 芳香族アルデヒドの製造方法

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
EUROPEAN JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY, JPN6017050712, 2013, pages pp. 5381-5386 *
TETRAHEDRON LETTERS, vol. Vol. 44, JPN6017050714, 2003, pages pp. 4961-4963 *
THE JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY, vol. Vol. 78, JPN6017050715, 2013, pages pp. 3438-3444 *
人名反応に学ぶ有機合成戦略, vol. 第1版第2刷, JPN6017050713, 2007, pages 第468−469頁 *

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115873286A (zh) * 2022-12-14 2023-03-31 武汉轻工大学 一种半互穿网络阴离子交换膜及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6399814B2 (ja) 2018-10-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6987930B2 (ja) 1−(3,5−ジクロロフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノン及びその誘導体の製造方法
JP7049604B2 (ja) ペンタフルオロスルファニル芳香族化合物の製造方法
JP6399814B2 (ja) ジクロロメチルアルキルエーテル化合物の製造方法
JP2019081748A (ja) ハロゲン化合物の製造方法
WO2011021492A1 (ja) ホルミル基置換芳香族化合物の製造方法
JP2009155280A (ja) γ−ブチロラクトン化合物の製造方法
JP4879907B2 (ja) フェニル2−ピリミジニルケトン類の製造方法及びその新規中間体
JP6535915B2 (ja) 1−(5,5−ジメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル)エタノンおよび1−(5,5−ジメチルシクロヘキサ−6−エン−1−イル)エタノンの生成のプロセス
JP2011140474A (ja) ジフルオロシクロプロパン化合物の製造方法
JP5219086B2 (ja) トリフルオロメチルアレーン類の製造方法
JP6249472B2 (ja) ビス(トリフルオロメチル)亜鉛・dmpu錯体、その製造方法並びにそれを用いたトリフルオロメチル基含有化合物の製造方法
JP6764158B2 (ja) カルボニル化合物の製造方法
JP4092111B2 (ja) 含フッ素芳香族化合物及びその製法
JP5482233B2 (ja) ジアリールジスルフィド化合物の製造方法
JP5238172B2 (ja) パーフルオロアルキル基を有する含窒素六員環化合物およびその製造方法
JP6256577B2 (ja) ジオールの製造方法
JP6347460B2 (ja) (トリハロメチル)ベンゼン誘導体及びその製造方法
JP4243683B2 (ja) 1−テトラロン類の製造方法
JP6556476B2 (ja) ジフルオロメチル亜鉛化合物
WO2017170884A1 (ja) 新規なヒドロキサム酸誘導体の製造方法およびその中間体
WO2023048244A1 (ja) テトラフルオロスルファニル基含有アリール化合物の製造方法
JP2019123673A (ja) ジクロロキノン誘導体の製造方法
JP2013129616A (ja) 臭素化剤及びその利用
JP2019127449A (ja) 光学活性1−クロロ−3,3−ジフルオロイソプロピルアルコールの製造方法
JP2004244398A (ja) ベンジルイソニトリルの製法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170428

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180116

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20180226

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180226

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20180226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180328

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180807

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180904

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6399814

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250