JP2015229719A - 透湿性フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
さらに、高温で噴霧されるホットメルト接着剤への耐熱性に優れ、フィルムが破れ生産工程のトラブルに発展しないことも非常に重要な性能として求められる。透湿防水用バックシートは不織布と透湿性フィルムとのホットメルトラミネーションを行なうのが一般的な製造法であるが、ホットメルト接着剤は100〜200℃に加熱、溶融させて使用されるからである。
2.上記1に記載の透湿性フィルムからなる層を少なくとも一層有する透湿性フィルム積層体。
本発明の透湿性フィルムは、(A)密度0.910〜0.929g/cm3の直鎖状ポリエチレン樹脂を20〜80質量部、(B)密度0.930〜0.965g/cm3のポリエチレン樹脂を10〜40質量部、(C)密度0.910〜0.929g/cm3の高圧重合法低密度ポリエチレン5〜20質量部、及び(D)プロピレン単独重合体5〜20質量部を含む100質量部の樹脂成分と、該樹脂成分に対して(E)無機充填剤100〜200質量部、及び(F)可塑剤1〜20質量部とを含む樹脂組成物からなり、透気度が50〜5,000秒/100mL、機械流れ方向の引張弾性率が60〜150MPa、滲み出し面積が30%未満、かつ耐熱温度が160℃以上であることを特徴とするものである。
(A)成分の直鎖状ポリエチレン樹脂は、本発明の透湿性シートの基材となる樹脂成分であり、密度0.910〜0.929g/cm3であり、直鎖状であれば特に制限はない。ここで、密度はピクノメーター法(JIS K7112 B法)により測定した密度であり、他の樹脂の密度の測定方法もこれと同じである。
(A)成分の直鎖状ポリエチレン樹脂としては、例えばエチレン単独重合体、又はエチレン−(プロピレン)、エチレン−(1−ブテン)、エチレン−(1−ヘキセン)、エチレン−(4−メチル−1−ペンテン)、及びエチレン−(1−オクテン)などのエチレン−(α−オレフィン)共重合体からなるものを用いることができる。
これらの重合体の重合に用いられる重合触媒としては、例えば、公知のチーグラー系、フィリップス系などのマルチサイト触媒、ジルコノセン、チタノセン、ハフノセン(総称して、メタロセン)などのカミンスキー触媒、ポストメタロセン触媒などの高活性なシングルサイト触媒が挙げられる。
(B)成分のポリエチレン樹脂は、本発明の透湿性フィルムを薄膜化、軽量化させながらも、優れた機械特性を付与する成分であり、密度0.930〜0.965g/cm3であり、直鎖状、枝分かれ状のいずれも用いることができる。
(B)成分のポリエチレン樹脂の融点は、フィルムを薄膜化、軽量化し、かつ優れた機械特性を得る観点から、110〜140℃であることが好ましい。また、メルトフローレート(MFR)は、フィルムを薄膜化、軽量化し、かつ優れた機械特性を得る観点から、0.1〜20g/10minであることが好ましく、0.5〜5g/10minであることがより好ましい。
また、(B)成分のポリエチレン樹脂は、市販品の中から0.930〜0.965g/cm3の密度を有するものを適宜選択して用いることができ、市販品としては、上記(A)成分の市販品として例示した中から適宜選択することができる。
(C)成分の高圧重合法低密度ポリエチレンは、樹脂組成物をフィルム状に成形とする際の溶融張力の確保、厚み安定性、樹脂圧力の低下などの効果が得られ、結果としてフィルムの薄膜化、軽量化に寄与する成分である。(C)成分の高圧重合法低密度ポリエチレンとしては、密度が0.910〜0.929g/cm3であり、高圧重合法により得られるポリエチレン樹脂であれば特に制限はない。
(D)成分のプロピレン単独重合体は、透湿性フィルムに優れた機械特性と耐熱性を付与する成分である。
プロピレン単独重合体としては、例えば、チーグラー系、フィリップス系などのマルチサイト触媒で重合されたものを使用することができる。使用する樹脂がプロピレン単独重合体であることは、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて13C−NMRを測定し、プロピレン以外のモノマーが検出されないことで確認することができる。
さらに、全樹脂成分中の(A)〜(D)成分の合計量は、湿性フィルムを非常に薄く、軽量なものとし、優れた通気性、透湿性、機械方向流れの機械特性、耐液漏れ性、及び耐熱性を得る観点から、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
(E)無機充填剤は、ボイド(微孔)の形成に寄与する成分であり、透湿性フィルムに通気性及び透湿性と耐液漏れ性とを付与する成分である。
(E)無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、タルク、クレイ、カオリナイト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイトなどの微粒子、及び鉱物が挙げられ、これらを単独で又は複数種を用いることができる。これらの中でも、ボイド(微孔)の発現、汎用性の高さ、低価格、及び銘柄の豊富さなどに優れることから、炭酸カルシウム、及び硫酸バリウムが好ましい。
(E)無機充填剤のD50平均粒子径は、0.5〜3μmが好ましく、0.8〜2μmがより好ましい。平均粒子径が0.5μm以上であると、無機充填剤の分散分配不良、及び二次凝集がなく、より均一に分散させることができる。一方、3μm以下とすることで、薄膜化した際にボイド(微孔)の大きさが適度なものとなり、優れた通気性、及び透湿性とともに、機械特性、及び耐水性、耐液漏れ性が得られる。
(F)可塑剤は、樹脂組成物をフィルム状に成形とする際の加工性の向上に寄与する成分である。(F)可塑剤としては、例えば、ひまし油、水添ひまし油、硬化ひまし油、脱水ひまし油などのひまし油類、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、金属石鹸、高級アルコール、ワセリン、パラフィンワックス、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、芳香族エステル、芳香族アミドおよびポリエーテル、ポリエステルなどの低分子量ポリマー(オリゴマー)などが挙げられ、これらを単独で又は複数種を用いることができる。
本発明の透湿性フィルムは、透気度が50〜5,000秒/100mLという、優れた通気性を有するものである。透気度が50秒/100mL以上であることにより、優れた機械特性、耐水性、及び耐液漏れ性が得られ、5,000秒/100mL以下であることにより優れた通気性、透湿性が得られ、本発明の透湿性フィルムを紙おむつ、生理処理用品などの透湿防水用バックシートなどの衛生材料に用いる場合に優れた快適性が得られる。これと同様の観点から、透気度は100〜2,000秒/100mLが好ましく、200〜1,000秒/100mLがより好ましい。ここで、透気度は、JIS P8117:2009(ガーレー試験機法)に規定される方法に準じて測定される100mLの空気が紙片を通過する秒数であり、例えば透気度測定装置(旭精工製 王研式透気度測定機 EGO1−55型)を用いて測定することができる。本発明においては、サンプルは無作為に10点測定し、その算術平均値を透気度とした。
引張弾性率=Δρ/Δε
Δρ:直線上の2点間の元平均断面積による応力差
Δε:同じ2点間のひずみ差
ここで、滲み出し面積は、以下のように求めた値である。
蒸留水99.8質量部に、カチオン型界面活性剤(「エレガン263−40(商品名)」,日油(株)製)0.2質量部、赤色102号顔料(和光純薬工業(株)製)0.30質量部を徐々に加えて、一時間攪拌し、均一に溶解、分散させて赤色の試験液を準備した。
温度23℃、相対湿度50%に調温湿された恒温恒湿屋内で、図1に示されるように、ろ紙(「FILTER PAPER No.2(商品名)」,アドバンテック(株)製,直径:70mm)の上に、100mm×100mm角に切り出した透湿性フィルム、70mm×70mm角に切り出した市販のキッチンペーパーを重ねて、試験液を該キッチンペーパーの中心部分にスポイトで静かに2.0mL滴下した。滴下した後、前記水分保持シートの上に、樹脂プレート(直径:60mm,厚み:5mm)を重ねて、さらに質量が2kgの分銅を載せて30分間放置した。ろ紙が試験液の滲み出しにより赤色に着色された部分(図1の試験後のろ紙に示される着色部分)の面積を測定して、加圧したろ紙全体において、該面積の占める割合を算出した値を滲み出し面積とする。
本発明の透湿性フィルムは、例えば、工程(1)(A)密度0.910〜0.929g/cm3の直鎖状ポリエチレン樹脂を20〜80質量部、(B)密度0.930〜0.965g/cm3のポリエチレン樹脂を10〜40質量部、(C)密度0.910〜0.929g/cm3の高圧法低密度ポリエチレン5〜20質量部、及び(D)プロピレン単独重合体5〜20質量部を含む樹脂成分と、該樹脂成分100質量部に対して(E)無機充填剤100〜200質量部、及び(F)可塑剤1〜20質量部とを含む樹脂組成物をフィルム状に成形する工程、及び工程(2)フィルム状にした樹脂組成物を、少なくとも機械流れ方向に0〜100℃で1.5〜4.0倍延伸を行う延伸工程を順に有する製造方法により製造することができる。
工程(1)は、所定の樹脂組成物をフィルム状に成形する工程である。該樹脂組成物は、上記の本発明の透湿性フィルムを形成する樹脂組成物と同じである。
まず、樹脂組成物に含まれる成分、すなわち樹脂成分、無機充填剤、可塑剤、及び必要に応じて各種添加剤を混合機で混合し、混練機を用いて溶融混練することが好ましい。混合機としては、例えばタンブラーミキサー、ミキシングロール、バンバリーミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサーなどが挙げられ、通常5分〜1時間程度混合する。
工程(2)は、上記工程(1)でフィルム状にした樹脂組成物を、少なくとも機械流れ方向に0〜100℃で1.5〜4.0倍延伸を行う延伸工程であり、この工程により樹脂組成物のフィルムにボイド(微孔)が形成し、微多孔質化するので、透湿性フィルムが得られる。
工程(1)で得られた樹脂組成物のフィルムにボイド(微孔)を形成し、微多孔質化する方法としては、延伸開孔法が一般的であるが、その方法についても限定はない。延伸方法としては、一軸延伸方式、二軸延伸方式のいずれでもよく、例えば、ロール延伸方式、テンター方式、同時式、及び逐次式などの二軸延伸方式などの公知の延伸方式を適用することができる。本発明においては少なくとも機械流れ方向に1回、または延伸ムラ、通気性との兼ね合いより2回以上行なってもよい。
延伸倍率は1.5倍以上とすることで、延伸ムラがなく均一に延伸された透湿性フィルムが得られる。また、延伸倍率を4.0倍以下とすることで、優れた透湿性、耐水性、及び耐液漏れ性をバランスよく得られる。これと同様の観点から、2.0〜3.5倍が好ましい。
例えば、延伸倍率を大きくするほど、通気性が向上する(透気度が小さくなり、透気度が大きくなる)一方、耐水性、及び耐液漏れ性が低下する傾向となり、引張弾性率、及び引張強さは大きくなるため生産ラインにおける優れた機械適性が得られる一方、硬さ、シャリ感、及びゴワゴワ感が発現する傾向となる。また、延伸倍率を小さくするほど、耐水性、及び耐液漏れ性が向上する傾向となる一方、通気性が低下する傾向となり、引張弾性率、及び強さは小さくなるので肌触りが良く、優れたはき心地が得られる一方、機械適性が低下する傾向にある。
また、延伸温度を低くするほど、ボイド(微孔)が形成しやすく、より微多孔質化するため、優れた通気性が得られる一方、耐水性、及び耐液漏れ性が低下する傾向となる。極めて優れた通気性を得るためには、延伸温度を低くして、延伸倍率を大きめとすればよく、一方、通気性を低くしたいときには、延伸温度を高くして、延伸倍率を小さめとする、といったように、延伸温度と延伸倍率との組み合わせにより調整することも可能である。
負数のドロー比としては、−20〜−5%が好ましい。負数のドロー比を上記範囲内とすると、製造面で熱固定がトラブルなく施され、十分な熱寸法安定性を得ることができる。
また、前記延伸処理と同様に熱固定も複数回分割して実施してもよい。
上記の方法に従い、坪量を測定した。
(2)厚さの測定
上記の方法に従い、厚さを測定した。
(3)透気度の測定
上記の方法に従い、透気度を測定した。透気度測定装置として、王研式透気度測定機(「EGO1−55型(型番)」,旭精工(株)製)を用いた。
(4)透湿度の測定
上記の方法に従い、透湿度を測定した。
(5)機械流れ方向(MD方向)引張破断強度の測定
上記の方法に従い、機械流れ方向(MD方向)引張破断強度を測定した。
(6)機械流れ方向(MD方向)引張伸びの測定
上記の方法に従い、機械流れ方向(MD方向)引張伸びを測定した。
(7)機械流れ方向(MD方向)引張弾性率の測定
上記の方法に従い、機械流れ方向(MD方向)引張弾性率を測定した。
(8)滲み出し面積の測定(耐液漏れ性の評価)
上記の方法に従い、滲み出し面積を算出し、以下の基準で評価した。
A :滲み出し面積が10%未満だった。
B :滲み出し面積が10%以上、20%未満だった。
C :滲み出し面積が20%以上、30%未満だった。
D :滲み出し面積が30%以上だった。
(9)耐熱性の評価
上記の方法に従い、破れ及び穴あきがないものを耐熱温度160℃以上(A評価)とし、破れ及び穴あきが確認されたものは耐熱温度160℃未満(B評価)とした。
第1表に示される樹脂組成物の各成分を用意し、これらをスーパーミキサーに投入し、10分間混合、分散させて、同方向二軸押出機を用いて設定押出温度を180℃として溶融混練させて樹脂組成物を得て、これをストランドカット方式でコンパウンドペレットを得た。得られたペレットを用いて、単軸押出機とインフレーション・ダイを用いてフィルム状に成形し、ロール式縦延伸機を用いて、延伸温度65℃、延伸倍率2.5倍で機械流れ方向(MD方向)に延伸を一回行い、次いで、90℃で熱固定、弛緩することで透湿性フィルムを得た。得られた透湿性フィルムについて、上記の(1)〜(9)に示す方法に従い、各性能の測定及び評価を行った。その結果を第2表に示す。
実施例1において、樹脂組成物の各成分を第1表に示されるものにかえた以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムについて、上記の(1)〜(9)に示す方法に従い、各性能の測定及び評価を行った。その結果を第2表に示す。
(A)成分:ノバテックLL UF230、日本ポリエチレン(株)製
(B)成分1:ノバテックLL UF961、日本ポリエチレン(株)製
(B)成分2:ノバテックHD HY331、日本ポリエチレン(株)製
(C)成分:ノバテックLD LF441、日本ポリエチレン(株)製
(D)成分:ノバテックPP SA03、日本ポリプロ(株)製
m−EOC:カーネル KF360T、日本ポリエチレン(株)製、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂
(E)無機充填剤:ライトン2200、備北粉化工業(株)製、炭酸カルシウム
(F)可塑剤:HCP−P3、(株)ケイエフ・トレーディング製、硬化ひまし油
一方、樹脂成分として(B)成分及び(D)成分を含まず、(A)成分の含有量が本願発明で規定する範囲よりも多いものを用いた比較例1のフィルムは、耐液漏れ性は良好であるものの、機械流れ方向の引張弾性率が本願発明に規定する範囲外となり、生産ラインにおける優れた機械適性が得られず、また透湿性、及び耐熱性の点で劣っていることが確認された。樹脂成分として(A)成分及び(D)成分を含まず、二種の(B)成分を含む樹脂組成物を用いた比較例2のフィルムは、通気性、透湿性、及び機械特性に優れるものの、耐液漏れ性、及び耐熱性の点で劣っていることが確認された。また、樹脂成分として(B)成分及び(D)成分を含まず、本願発明で規定する密度よりも小さい低密度の直鎖状ポリエチレン樹脂を含む樹脂組成物を用いた比較例3のフィルムは、機械流れ方向の引張弾性率が本願発明に規定する範囲外となり、生産ラインにおける優れた機械適性が得られず、また耐熱性の点で劣っていることが確認された。
Claims (7)
- (A)密度0.910〜0.929g/cm3の直鎖状ポリエチレン樹脂を20〜80質量部、(B)密度0.930〜0.965g/cm3のポリエチレン樹脂を10〜40質量部、(C)密度0.910〜0.929g/cm3の高圧重合法低密度ポリエチレン5〜20質量部、及び(D)プロピレン単独重合体5〜20質量部を含む100質量部の樹脂成分と、該樹脂成分に対して(E)無機充填剤100〜200質量部、及び(F)可塑剤1〜20質量部とを含む樹脂組成物からなり、透気度が50〜5,000秒/100mL、機械流れ方向の引張弾性率が60〜150MPa、滲み出し面積が30%未満、かつ耐熱温度が160℃以上である透湿性フィルム。
- (A)直鎖状ポリエチレン樹脂の融点が110〜140℃であり、(B)ポリエチレン樹脂の融点が110〜140℃であり、(C)高圧重合法低密度ポリエチレンの融点が100〜120℃である請求項1に記載の透湿性フィルム。
- (F)可塑剤が、ひまし油、水添ひまし油、硬化ひまし油、及び脱水ひまし油から選ばれる少なくとも一種以上のひまし油類である請求項1又は2に記載の透湿性フィルム。
- 坪量が5〜50g/m2であり、透湿度が1,000〜20,000g/(m2・24h)である請求項1〜3のいずれかに記載の透湿性フィルム。
- 延伸されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の透湿性フィルム。
- 衛生用品の透湿防水用バックシートに用いられる請求項1〜5のいずれかに記載の透湿性フィルム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の透湿性フィルムからなる層を少なくとも一層有する透湿性フィルム積層体。
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