JP2015224324A - ホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂組成物およびそのホットメルト接着フィルム - Google Patents

ホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂組成物およびそのホットメルト接着フィルム Download PDF

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亮二 中山
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Abstract

【課題】耐熱性、加工性及び接着性に優れたホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂組成物の提供。【解決手段】融点が100〜160℃で融解熱量が30mJ/mg以下ポリオレフィン系樹脂を変性したポリオレフィン系樹脂(A)50〜95重量部、融点が130〜180℃で融解熱量が30mJ/mgを超える、変性したポリオレフィン系樹脂(B)2〜25重量部、融点が200℃以上、MFR(260℃、5kg)が10g/10分以上でかつ、ア)MFR(260℃、5kg)が50g/10分以下又はイ)ビカット軟化点が150℃以上、の少なくとも何れかを満たす、変性したポリオレフィン系樹脂(C)3〜40重量部(A,B,C成分の合計は100重量部)からなるホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂組成物。(A)(B),(C)のポリオレフィン樹脂は不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変成したものである。【選択図】なし

Description

本発明はホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物およびそのホットメルト接着フィルムに関する。
ホットメルト接着剤は、熱可塑性樹脂を主成分とする無溶剤タイプの接着剤で、ホットガンなどを用いて加熱溶融させて接着面に塗布する、あるいはホットメルト接着剤をフィルム/シート状に加工したものを加熱し接着面に貼り合わせる等の方法により基材同士を加圧密着した後、冷却固化させることで基材同士を接着させる。ホットメルト接着剤の熱可塑性樹脂として、成形性、剛性、耐薬品性、電気絶縁性などが優れ、さらに安価であるポリオレフィン系樹脂を変性した変性ポリオレフィン系樹脂が用いられている。
また、ホットメルト接着剤を使用した基材の表面に意匠性を向上させるという観点から塗装することがあり、その場合、塗装した表面を高温で乾燥させる必要がある。例えば、アクリル樹脂系塗料を塗布した場合、一般的には150℃程度で塗料を乾燥させる。そのため、その温度において基材同士が剥離しないような剥離強度を有する耐熱性の高いホットメルト接着剤が求められているが、十分に満足したホットメルト接着剤が出来ていない。
例えば、特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂にエポキシ基含有ビニル単量体及び芳香族ビニル単量体を、またはさらに(メタ)アクリル酸エステル単量体をグラフトさせた樹脂組成物であって、融解温度が80〜190℃の範囲で2つ以上有しており、100℃を超える融解温度と100℃以下の融解温度をそれぞれ少なくとも1つ有することを特徴とする変性ポリオレフィン系樹脂組成物が開示されているが、より高い温度における耐熱性については、まだ改善の余地がある。
例えば、特許文献2には、高融点ポリオレフィン系樹脂である4−メチル−1−ペンテン系重合体と不飽和カルボン酸変性α−オレフィン系重合体と不飽和カルボン酸変性エチレン・α−オレフィン共重合体からなる樹脂組成物を接着剤として使用することが開示されており、このような方法によれば確かに耐熱性の向上は期待できる。しかしながら、このような組成物をホットメルト接着剤として使用する場合、高い耐熱性が仇となり一般的な加熱接着条件では十分な接着性が得られないばかりか、フィルム等へ加工する際には厚みが安定しないなど加工面での不具合が生じることがあった。
特開2009−126922号公報 特開平11−124479号公報
本発明の目的は耐熱性、加工性および接着性に優れたホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂組成物、およびそのホットメルト接着フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上述の現状に鑑み鋭意検討した結果、特定の3種の変性ポリオレフィン系樹脂からなる変性ポリオレフィン系樹脂組成物が、上記課題を解決し、ホットメルト接着剤およびホットメルト接着フィルムに好適に使用できることを見出した。すなわち、本発明は以下の内容をなす。
1)下記ポリオレフィン系樹脂(a)を不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性した変性ポリオレフィン系樹脂(A)50〜95重量部、下記ポリオレフィン系樹脂(b)を不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性した変性ポリオレフィン系樹脂(B)2〜25重量部、下記ポリオレフィン系樹脂(c)を不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性した変性ポリオレフィン系樹脂(C)3〜40重量部(A,B,C成分の合計は100重量部)からなることを特徴とするホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂組成物。ポリオレフィン系樹脂(a):融点が100℃以上160℃以下で融解熱量が30mJ/mg以下、ポリオレフィン系樹脂(b):融点が130〜180℃であり、かつ、融解熱量が30mJ/mgを超える、ポリオレフィン系樹脂(c):融点が200℃以上であり、かつ、MFR(260℃、5kg)が10g/10分以上でかつ下記要件i)、ii)の少なくとも何れかを満たす。ア)FR(260℃、5kg)が50g/10分以下、イ)ビカット軟化点が150℃以上。
2)前記変性ポリオレフィン系樹脂(A)、(B)、(C)の少なくともいずれか一つが、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と芳香族ビニル化合物を用いて変性したことを特徴とするホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂組成物。
3)前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸グリシジルから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とするホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂組成物。
4)前記ホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂組成物からなり、その厚みが20〜200μmであることを特徴とするホットメルト接着フィルム。
5)前記ホットメルト接着フィルムが、前記ホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂組成物を含有する粘着性を有する接着フィルムと、粘着性を有しない熱可塑性樹脂フィルムが積層されたフィルムであることを特徴とするインサート成形用積層ホットメルト接着フィルム。
本発明によれば、耐熱性、加工性および接着性に優れたホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物およびそのホットメルト接着フィルムを提供することが出来る。
本発明の実施形態を以下に説明する。なお、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
<ホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂組成物>
本発明のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物は、(A)変性ポリオレフィン系樹脂、(B)変性ポリオレフィン系樹脂、(C)変性ポリオレフィン系樹脂からなる。
(A)変性ポリオレフィン系樹脂は、融点が100℃以上160℃以下でありかつ融解熱量が30mJ/mg以下であるポリオレフィン系樹脂(a)を不飽和カルボン酸および/またはその誘導体でグラフト変性したものである。
(B)変性ポリオレフィン系樹脂は、融点が130〜180℃でありかつ融解熱量が30mJ/mgを超えるポリオレフィン系樹脂(b)を不飽和カルボン酸および/またはその誘導体でグラフト変性したものである。
(C)変性ポリオレフィン系樹脂は、融点が200℃以上かつMFR(260℃、5kg)が10g/10分以上であり、かつア)MFR(260℃、5kg)が50g/10分以下であるか、イ)ビカット軟化点が150℃以上であるかのいづれか一つを満たすポリオレフィン系樹脂(c)を不飽和カルボン酸および/またはその誘導体でグラフト変性したものである。
<ポリオレフィン系樹脂(a)>
前記ポリオレフィン系樹脂(a)としては、接着性と耐熱性の両立の面で、融点が100℃以上160℃以下でありかつ融解熱量が30mJ/mg以下であることが好ましい。
融点は110℃以上155℃以下であることがより好ましく、120℃以上150℃以下であることがさらに好ましい。融点が100℃未満であると、耐熱性が低下する場合がある。融点が160℃を超えると所望の接着性が得られない場合がある。
融解熱量は、20mJ/mg以下であることがより好ましく、15mJ/mg以下であることがさらに好ましい。融解熱量が30mJ/mgを超えると所望の接着性が得られない場合がある。
ポリオレフィン系樹脂(a)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン、炭素数5〜20のポリα−オレフィン、それらの共重合体が例示される。共重合体は、二成分でも三成分以上でもよく、ランダム共重合体でも、ブロック共重合体でもよい。その中で、樹脂組成物中での分散性や接着性の観点から、炭素数2〜20のα−オレフィンとプロピレンの共重合体が好ましい。樹脂組成物中での分散性や接着性の観点から、エチレン/プロピレン共重合体がより好ましい。
<不飽和カルボン酸および/またはその誘導体>
ポリオレフィン系樹脂(a)をグラフト変性するための不飽和カルボン酸および/またはその誘導体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、エンド−ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸(エンディック酸)、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸等の不飽和カルボン酸;塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水エンディック酸、アクリル酸メチル、アクリル酸アミド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アミド、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水ナジック酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル等の不飽和カルボン酸の誘導体が例示される。そのうち、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジルがより好ましく、無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジルがさらに好ましく、変性後の乾燥工程での除去が容易な点で、メタクリル酸グリシジルが特に好ましい。
不飽和カルボン酸および/またはその誘導体の使用量は、ポリオレフィン系樹脂(a)100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、0.1〜7重量部であることがより好ましく、0.1〜5重量部であることがさらに好ましい。0.1重量部より少ないと接着性が低くなる場合がある。一方、10重量部より多いと、残留モノマーが多く発生し、物性が低下したり、シート状やフィルム状の外観が悪くなる場合がある。
<Aの製法>
変性ポリオレフィン系重合体(A)は、ポリオレフィン系樹脂(a)と不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、さらに必要に応じてその他の単量体を、ラジカル重合開始剤の存在下で加熱して反応させることにより得ることができる。
<その他の単量体>
その他の単量体としては、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ビニルエステル化合物、塩化ビニル、オキサゾリン基含有不飽和単量体などが挙げられる。その中で、芳香族ビニル化合物は、ポリプロピレンなどの分子鎖切断型ポリオレフィンへのグラフト変性反応において分子鎖の切断を抑制し、変性ポリオレフィン系樹脂の分子量を低下させない点と、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体を高い比率で導入することができる点で好ましい。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレンなどのメチルスチレン;o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、α−クロロスチレン、β−クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのクロロスチレン;o−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、p−ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレンなどのブロモスチレン;o−フルオロスチレン、m−フルオロスチレン、p−フルオロスチレン、ジフルオロスチレン、トリフルオロスチレンなどのフルオロスチレン;o−ニトロスチレン、m−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン、ジニトロスチレン、トリニトロスチレンなどのニトロスチレン;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ジヒドロキシスチレン、トリヒドロキシスチレンなどのビニルフェノール;o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼンなどのジビニルベンゼン;o−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、p−ジイソプロペニルベンゼンなどのジイソプロペニルベンゼン;などの1種または2種以上が挙げられる。これらのうちスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのメチルスチレン、ジビニルベンゼン単量体またはジビニルベンゼン異性体混合物が安価であるという点で好ましい。なかでも、グラフト変性において分子量を低下させない点と不飽和カルボン酸および/またはその誘導体を高い比率で導入することができる点から、スチレンが特に好ましい。
その他単量体の使用量は、ポリオレフィン系樹脂(a)100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、0.1〜7重量部であることがより好ましく、0.1〜5重量部であることがさらに好ましい。使用量が少なすぎるとポリオレフィン系樹脂に対する不飽和カルボン酸および/またはその誘導体のグラフト率が劣る傾向がある。一方、使用量が10重量部を超えると不飽和カルボン酸および/またはその誘導体のグラフト効率が飽和域に達する場合がある。 上記ポリオレフィン系樹脂(a)と不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、さらに必要に応じてビニル芳香族系単量体を、ラジカル重合開始剤の存在下で加熱して反応させることにより、変性ポリオレフィン系樹脂を得ることができる。
<ラジカル重合開始剤>
ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物あるいはアゾ化合物などを挙げることができる。例示するならば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール;パーメタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどの有機過酸化物の1種または2種以上があげられる。
ラジカル重合開始剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲内にあることが好ましく、0.2〜5重量部の範囲内にあることがより好ましく、0.2〜3重量部の範囲内にあることが特に好ましい。0.01重量部未満では変性が充分に進行せず、10重量部を超えると流動性、機械的特性の低下を招くことがある。
<グラフト変性方法>
グラフト変性のための重合反応としては、溶液重合、含浸重合、溶融重合などが例示できる。その中で、溶融重合が簡便で好ましい。
<溶融重合>
溶融重合は、ポリオレフィン系樹脂とラジカル重合開始剤、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、さらに必要に応じ添加されるその他の単量体を、ポリオレフィン系樹脂の溶融下、混練する方法である。これらの添加順序の中で、低分子量体の生成を抑制するという観点で、まずポリオレフィン系樹脂とラジカル重合開始剤を溶融混練し、不飽和カルボン酸及び/またはその誘導体、さらに必要に応じてその他単量体を加え溶融混練する添加順序がよい。
溶融重合時の温度は、樹脂が充分に溶融し、かつ過剰な熱分解あるいは架橋反応が併発しないという点で、100〜300℃であることが好ましい。溶融重合の時間は、30秒〜60分であることが好ましい。
また、前記の溶融重合の装置としては、一軸または多軸押出機、バンバリーミキサー、プラストミル、加熱ロールニーダー、などが例示される。生産性の面から、減圧装置を装備した単軸あるいは二軸押出機が好ましい。また、材料を充分に均一に混合するために、溶融混練を複数回繰返してもよい。
<変性ポリオレフィン系樹脂の規定/グラフト変性率>
変性ポリオレフィン系樹脂(A)の不飽和カルボン酸及び/またはその誘導体の含有量 は、変性ポリオレフィン系樹脂(A)100重量%に対して、0.01〜5重量%であることが好ましい。ここで、前記含有量とは、ベース樹脂の主鎖に対して、グラフト共重合により導入された不飽和カルボン酸および/またはその誘導体の量である。0.01重量%より少ないと被着体の種類によっては接着性が不充分となる場合があり、5重量%より多いと溶融混練中にグラフト鎖が反応して一部架橋を起こし、フィルム等の成形性が劣ると同時にフィッシュアイ、ブツなどにより製品外観が悪化し、且つ、かつ接着性も低下する。
変性ポリオレフィン系樹脂(A)は各種流動性の異なるものが使用可能であるが、フィルム加工性および接着性の観点から、230℃、2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)は、3.0g/10分以上60.0g/10分以下であることが好ましく、より好ましくは4.0g/10分以上40.0g/10分以下、さらには5.0g/10分以上30.0g/10分以下であることが好ましい。
<変性ポリオレフィン系樹脂(B)>
変性ポリオレフィン系樹脂(B)は、ポリオレフィン系樹脂(b)をポリオレフィン系樹脂(A)の場合と同様にグラフト変性することで得られる。
ポリオレフィン系樹脂(b)としては、融点が130℃以上180℃以下でありかつ融解熱量が30mJ/mgを超えることが好ましい。融点は140℃以上175℃以下であることがより好ましく、さらには150℃から170℃であることが好ましい。融点が130℃未満であると耐熱性が不足する場合があり、180℃を超えると所望の接着性が得られない場合があるばかりか、フィルム等への加工性が悪化する場合がある。融解熱量は50mJ/mg以上であることが好ましく、さらには70mJ/mg以上であることが好ましい。融解熱量が30mJ/mg以下であると耐熱性が不足する場合がある。
ポリオレフィン系樹脂(b)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン、炭素数5〜20のポリα−オレフィン、それらの共重合体が例示される。共重合体は、二成分でも三成分以上でもよく、ランダム共重合体でも、ブロック共重合体でもよい。その中で、樹脂組成物中での分散性や耐熱性の観点から、プロピレン単独重合体、エチレン/プロピレン共重合体、プロピレン/1−ブテン共重合体が好ましく、エチレン/プロピレン共重合体がより好ましい。
またポリオレフィン系樹脂(B)の融点は、ポリオレフィン系樹脂(A)の融点より高
いことが好ましく、10℃以上高いことがより好ましい。このような関係とすることで、接着性と耐熱性を両立し易くなる傾向にある。
<BのMFR>
ポリオレフィン系樹脂(b)のMFR(230℃、2.16kg)は、5.0g/10分以上70.0g/10分以下であることが好ましく、8.0g/10分以上60.0g/10分以下であることがより好ましく、10.0g/10分以上50.0g/10分以下であることがさらに好ましい。
<変性ポリオレフィン系樹脂(C)>
本発明の変性ポリオレフィン系樹脂(C)は、ポリオレフィン系樹脂(c)をポリオレフィン系樹脂(A)の場合と同様にグラフト変性することで得られる。
ポリオレフィン系樹脂(c)としては、融点が200℃以上でありかつMFR(260℃、5kg)が10g/10分以上で50g/10分以下であるか、あるいは、融点が200℃以上でありかつビカット軟化点が150℃以上であるかのいずれかを満たすものことが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂(c)の融点は、耐熱性の観点から、200℃以上であることが好ましく、220℃以上であることがより好ましく、230℃以上であることが好ましい。また、ポリオレフィン系樹脂(c)の融点は、加工性の観点から、260℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましい、240℃以下であることがさらに好ましい。
ポリオレフィン系樹脂(c)のMFR(260℃、5kg)は、他成分への分散性、加工性およびグラフト変性時の単量体との混練性の観点から、10以上50g/10分以下であることが好ましく、15g/10分以上40g/10分以下、25g/10分以上30g/10分以下であることがさらに好ましい。
ポリオレフィン系樹脂(c)のビカット軟化点は、耐熱性および加工性の観点から、146℃以上200℃以下であることが好ましく、150℃以上180℃以下であることがより好ましく、160℃以上170℃以下であることがより好ましい。
ポリオレフィン系樹脂(c)としては、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体もしくは、4−メチル−1−ペンテンと他のα−オレフィンとの共重合体が例示される。α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン等の炭素数2〜20のα−オレフィンが例示される。
本発明におけるホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂組成物の組成としてはは、変性ポリオレフィン系樹脂(A)と変性ポリオレフィン系樹脂(B)、変性ポリオレフィン系樹脂(C)からなり、その組成比は、耐熱性と接着性の観点から、(A)が50重量%〜95重量%、(B)が2重量%〜25重量%、(C)が3重量%〜40重量%が好ましい。(A)が60重量%〜92重量%、(B)が3重量%〜20重量%、(C)が5重量%〜30重量%がより好ましい。(A)が65重量%〜85重量%、(B)が3重量%〜15重量%、(C)が10重量%〜27重量%であることがさらに好ましい。
<その他配合剤>
ホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂組成物には、他の樹脂またはゴム、粘着付与剤、添加剤を添加してもよい。
<他の樹脂またはゴム>
他の樹脂またはゴムとしては、エチレン/α−オレフィン共重合体、プロピレン/α−オレフィン共重合体;エチレン/α−オレフィン/ジエン共重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン共重合体;スチレン/ブタジエンランダム共重合体、スチレン/イソプレンランダム共重合体などのスチレン/ジエンランダム共重合体;スチレン/ブタジエン/スチレントリブロック共重合体、スチレン/イソプレン/スチレントリブロック共重合体などのスチレン/ジエン/スチレンのトリブロック共重合体;水素化(スチレン/ブタジエンランダム共重合体)、水素化(スチレン/イソプレンランダム共重合体)などの水素化(スチレン/ジエンランダム共重合体);水素化(スチレン/ブタジエン/スチレンブロックトリ共重合体)、水素化(スチレン/イソプレン/スチレントリブロック共重合体)などの水素化(スチレン/ジエン/スチレントリブロック共重合体);アクリロニトリル/ブタジエン/スチレングラフト共重合体、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレングラフト共重合体などのグラフト共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンなどのビニル重合体;塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体などのビニル共重合体などがあげられる。
他の樹脂またはゴムの添加量は、この樹脂の種類またはゴムの種類により異なり、25重量%程度以下であることが好ましい。
本発明のホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂の形状は、は粒子状、ペレット状でもよい。
<粘着付与剤>
粘着付与剤としては、ロジン系樹脂(ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、マレイン化ロジン、ロジンエステル等)、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂(α−ピネン、β-ピネン、リモネンなどの重合体)、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂、石油樹脂(脂肪族系、脂環族系、芳香族系等)、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール樹脂(アルキルフェノール、フェノールキシレンホルムアルデヒド、ロジン変性フェノール樹脂等)、キシレン樹脂などが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上をあわせて用いることができる。これらのうち、熱安定性の観点から、ロジン系樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂、石油樹脂、水添石油樹脂が好ましく、金属への接着性の観点から、ロジン系樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂が特に好ましい。
粘着付与剤の配合量としては、特に制限されないが、変性ポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に対して、5〜60重量部であることが好ましい。
<添加剤>
ホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂組成物には、酸化防止剤、金属不活性剤、脱水剤、制酸吸着剤などの安定剤、または架橋剤、連鎖移動剤、核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤などの添加剤を添加してもよい。
<樹脂組成物のMFR>
ホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂組成物のMFR(260℃、5kg)は、15g/10分以上50g/10分以下であることが好ましく、15g/10分以上40g/10分以下がより好ましく、15g/10分以上30g/10分以下がさらに好ましい。メルトフローレートが15g/10分未満であると、樹脂の流動性が低いため、フィルム状などに加工する際の加工性が低下する傾向にあり、50g/10分を超えると樹脂の流動性が高いため、接着性や耐熱性が低下する恐れがある。
<シートまたはフィルム状成形体について>
ホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン樹脂組成物は、熱接着性を有するシートまたはフィルム状成形体にすることができ、ホットメルト接着フィルムとして好適に用いることが出来る。ここでいう熱接着性とは、熱で溶けて被着体と接合する性質のことである。本発明のホットメルト接着フィルムは、成形体の厚みとしては3μm〜3mmが例示でき、好ましくは10μm〜1mmであり、シートまたはフィルムとして利用することができるものである。
熱接着性を有するフィルム状成形体の製造方法としては、本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物を溶融混練した後に、先端にT型ダイスを有する押出成形機、カレンダー成形機、インフレーション成形機、ロール成形機、あるいは加熱プレス成形機などを用いてフィルム状に成形加工することが可能である。
本発明のホットメルト接着フィルム状は、他の熱可塑性樹脂フィルムと共に積層してもよい。積層する熱可塑性樹脂フィルムとしてはポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂からなるフィルムなどが好適に用いることが出来る。また、これら熱可塑性樹脂フィルムは、延伸されたフィルムでも無延伸のフィルムでも好適に用いることが出来る。これら熱可塑性樹脂フィルムの厚みとしては3μm〜3mmが例示でき、好ましくは10μm〜1mmである。
本発明のホットメルト接着フィルムと他の熱可塑性樹脂フィルムとの積層方法としては、変性ポリオレフィン系樹脂組成物を押出機に入れ、押出機先端に設けたT型ダイスからフィルム状に成形した溶融樹脂に対して熱可塑性樹脂フィルムを積層する押出ラミネート法や、熱接着性を有するフィルム状成形体と熱可塑性樹脂フィルムをロール成形機にて熱圧着するドライラミネート法、変性ポリオレフィン樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂を共に溶融させ、共押出しすることにより積層する方法などが挙げられる。被着体としては、本発明のホットメルト接着フィルムと接着し得る材料である。例えば、金、銀、銅、鉄、錫、鉛、アルミニウム、シリコンなどの金属;ガラス、セラミックスなどの無機材料;紙、布などのセルロース系高分子材料;メラミン樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの合成高分子材料等が挙げられる。 被着体の材料として、異なる2種類以上の材料を混合、複合してもよい。また、積層体が本発明の接着性フィルムを介して、異なる2つの被着体が接着してなるものである場合、2つの被着体を構成する材料は、同じ種類の材料でも異なる種類の材料のいずれでもよい。被着体の性状としては例えば、フィルム状、シート状、板状、繊維状などが挙げられる。また、被着体には、必要に応じて、離型剤、メッキなどの被膜、塗料による塗膜、プラズマやレーザーなどによる表面改質、表面酸化、エッチングなどの表面処理等を実施してもよい。被着体の具体例としては、トリム類(ドアトリム、内装トリムなど)、成形天井、シート材(内装シート、インパネ表皮、装飾シートなど)等の自動車部材や、室内ドア、パーティション、内装壁板、家具、システムキッチン等の住宅資材で使用される化粧フィルムが挙げられる。
以下、実施例により本発明を説明する。下記実施例および比較例中「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を示す。
<メルトフローレート(MFR)>
MFRは、JIS K 7210(1999)記載のA法の規定に準拠し、メルトインデクサーS−01(東洋精機製作所製)を用い、所定温度、一定荷重下でダイから一定時間に押し出される樹脂量から、10分間に押し出される量に換算した値とした。
前記所定温度および一定荷重は、ポリオレフィン系樹脂(A)、(B)の場合は230℃、2.16kg、ポリオレフィン系樹脂(C)の場合は260℃、5.00kgとした。なお、前記一定時間とは、メルトフローレートが0.5g/10分を超え1.0g/10分以下の場合は120秒間、1.0g/10分を超え3.5g/10分以下の場合は、60秒間、3.5g/10分を超え10g/10分以下の場合は30秒間、10g/10分を超え25g/10分以下の場合は10秒間、25g/10分を超え100g/10分以下の場合は5秒間、100g/10分を超える場合は3秒間である。
前記一定時間で切り取った切り取り片を3個採取しその平均値を算出することとし、一回の測定で3個採取できない場合は3個採取できるまで測定を継続する。仮に、ある秒数で測定した際のメルトフローレートが対応する範囲に無かった場合は、そのメルトフローレートに応じた秒数で再度測定するものとする。
<示差走査熱量測定(DSC)による融点、融解熱量測定>
変性ポリオレフィン樹脂組成物を6.0mg秤量した。これをアルミニウム製のセルに入れ、Shimadzu DSC−50(島津製作所製)にて昇温速度20℃/分で20℃から300度まで昇温した。この時得られたDSC曲線から融点を求めた。融点とは、一般的に得られたDSC曲線の吸熱ピークにおけるピークトップの温度である。融解熱量は、DSC曲線とベースラインとで囲まれた面積から算出される熱量から求めた。
<ビカット軟化点測定>
ASTM−D1525に準拠し測定した。加熱浴槽の中にセットされた試験片に断面積1mmの針を押し当てた状態で浴槽の温度を上昇させ、試験片への針の侵入深さが1mmになった時の温度をビカット軟化点とした。
<ホットメルト接着フィルムの評価>
(フィルム外観評価)
ホットメルト接着フィルム(幅130mmx長さ500mmx厚み50μm)を目視で観察し、ゲル状物の有無を確認した。評価は以下のようにした。
○:ゲル状物なし
×:ゲル状物あり
(耐熱性評価/160℃下でのT字剥離試験の接着強度)
アルミ箔(幅100mm×長さ150mm×厚み50μm)で、変性ポリオレフィン系樹脂からなるホットメルト接着フィルム(幅80mm×長さ120mm×厚み50μm)を挟み込み、160℃に加熱したラミネーター装置(フジプラ製 LPD3212)で挟み込みアルミ箔とホットメルト接着フィルム間のエア抜きを行った。次に、積層体を220℃、3分間オーブンで加熱し、アルミ箔とフィルム状成形体を接着させた。次に、この積層体を幅25mm×長さ120mmに切り出し剥離試験用の試験片とした。
このようにして得られた試験片を23℃ 50%RHの恒温室に一晩静置させた。次にAUTOGRAPH(島津製作所製)を用いて160℃下にて引張り速度50mm/分でT字剥離試験を行い、剥離強度(N/25mm)を評価した。
耐熱性評価:剥離試験時の剥離強度を下記基準にてランク分けした。
・1.6N以上:A
・1.3N以上1.6N未満:B
・1.0N以上1.3N未満:C
・1.0N未満:D
<実施例、比較例において用いた試料>
(製造例1)変性ポリオレフィン系樹脂(A1)
・A1:ポリオレフィン系樹脂(a)として、エチレン/プロピレン共重合体(ダウケミカル製Versify3401.05、MFR(230℃、2.16kg)=8g/10分、融解温度140℃)100重量部に対して、1,3−ジ(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(日本油脂製:パーブチルP、1分間半減期175℃)0.5重量部をホッパー口よりシリンダー温度200℃、スクリュー回転数150rpmに設定した二軸押出機(神戸製鋼所製、品名KTX46;φ46mm)に供給して溶融混練した後、次いで、シリンダー途中よりスチレン4重量部、メタクリル酸グリシジル4重量部を加え溶融混練して変性ポリオレフィン系樹脂(A1)を得た。
(製造例2)ポリオレフィン系樹脂(B1)
・B1:ポリオレフィン系樹脂(b)として、ホモポリプロピレン(プライムポリマー製「プライムポリプロJ106G」、MFR(230℃、2.16kg)=15g/10分、融点=164℃、融解熱量=103mJ/mg)を用いた以外はA1と同様に、変性ポリオレフィン系樹脂(B1)を得た。
(製造例3−6)
ポリオレフィン系樹脂(C1−C4)
(製造例3)
・C1:ポリオレフィン系樹脂(c)として、ポリメチルペンテン(三井化学製「TPX RT18」、MFR(260℃、5kg)=26、融点=232℃、ビカット軟化点=168℃)を用いた以外はPOA1と同様に、変性ポリオレフィン系樹脂(C1)
を得た。
(製造例4)
・C2:ポリオレフィン系樹脂(c)として、ポリメチルペンテン(三井化学製「TPX DX231」、MFR(260℃、5kg)=100g/10分、融点=232℃、ビカット軟化点=178℃)を用いた以外はPOA1と同様に、変性ポリオレフィン系樹脂(C2)を得た。
(製造例5)
・C3:ポリオレフィン系樹脂(c)として、ポリメチルペンテン(三井化学製「TPX MX002」、MFR(260℃、5kg)=21g/10分、融点=224℃、ビカット軟化点=149℃)を用いた以外はPOA1と同様に変性ポリオレフィン系樹脂を得た。
(製造例6)
・C4:ポリオレフィン系樹脂(c)として、ポリメチルペンテン(三井化学製「TPX DX310」、MFR(260℃、5kg)=100g/10分、融点=226℃、ビカット軟化点=145℃)を用いた以外はPOA1と同様に変性ポリオレフィン系樹脂を得た。
(比較例に用いた変性していないポリオレフィン系樹脂)
・a1:エチレン/プロピレン共重合体(ダウケミカル製Versify3401.05、MFR(230℃、2.16kg)=8g/10分、融解温度140℃)
・c1:ポリメチルペンテン(三井化学製「TPX RT18」、MFR(260℃、5kg)=26g/10分、融点=232℃、ビカット軟化点=168℃)
(実施例1)
表1に示す通り、ポリオレフィン系樹脂(A)として、A1を80重量部、ポリオレフィン系樹脂(B)として、B1を5重量部、ポリオレフィン系樹脂(C)としてC1を5重量部配合したポリオレフィン系樹脂組成物をシリンダー及びダイス温度240℃、スクリュー回転数30rpmに設定した単軸押出機(東洋精機製、品名ラボプラストミル;φ20mm、L/D=20)のホッパーに投入し、ダイス先端に取り付けたT型ダイスより、離型処理したPETフィルムにラミネートする形で、幅約130mm、厚み約50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの外観評価および耐熱性評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例2〜3)
ポリオレフィン系樹脂(A)、(B)、(C)の配合量を表1の通り変更した以外は実施例1と同様にしてホットメルト接着フィルムを得た。得られたホットメルト接着フィルムの外観評価および耐熱性評価を実施し、その結果を表1に示した。
(実施例4)
ポリオレフィン系樹脂(C)をC2に変更した以外は実施例1と同様にしてホットメルト接着フィルムを得た。得られたホットメルト接着フィルムの外観評価および耐熱性評価を実施し、その結果を表1に示した。
(実施例5)
ポリオレフィン系樹脂(C)をC3に変更した以外は実施例1と同様にしてホットメルト接着フィルムを得た。得られたホットメルト接着フィルムの外観評価および耐熱性評価を実施し、その結果を表1に示した。
(比較例1) ポリオレフィン系樹脂(A)、(B)、(C)を表1の通り配合((B)、(C)を過剰配合)した以外は実施例1と同様にしてホットメルト接着フィルムを得た。得られたホットメルト接着フィルムは耐熱性に劣るものであった。
(比較例2) A1の代わりにa1を使用した以外は実施例1と同様にしてホットメルト接着フィルムを得た。得られたホットメルト接着フィルムは耐熱性に劣るものであった。
(比較例3) C1の代わりにc1を使用した以外は実施例2と同様にしてホットメルト接着フィルムを得た。得られたホットメルト接着フィルムは外観の悪い物であった。
(比較例4) C1の代わりにc1を使用した以外は実施例3と同様にしてホットメルト接着フィルムを得た。得られたホットメルト接着フィルムは外観の悪い物であった。
(比較例5)
C1の代わりにC4を使用した以外は実施例2と同様にしてホットメルト接着フィルムを得た。得られたホットメルト接着フィルムは耐熱性に劣るものであった。
(比較例6〜7)
ポリオレフィン系樹脂(C)を使用せずにポリオレフィン系樹脂(A),(B)を表1の通り配合した以外は実施例1と同様にしてホットメルト接着フィルムを得た。得られたホットメルト接着フィルムは耐熱性に劣るものであった。
(比較例8〜9)
ポリオレフィン系樹脂(B)を使用せずにポリオレフィン系樹脂(A),(C)を表1の通り配合した以外は実施例1と同様にしてホットメルト接着フィルムを得た。得られたホットメルト接着フィルムは耐熱性に劣るものであった。
Figure 2015224324

Claims (5)

  1. 下記ポリオレフィン系樹脂(a)を不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性した変性ポリオレフィン系樹脂(A)50〜95重量部、下記ポリオレフィン系樹脂(b)を不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性した変性ポリオレフィン系樹脂(B)2〜25重量部、下記ポリオレフィン系樹脂(c)を不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性した変性ポリオレフィン系樹脂(C)3〜40重量部(A,B,C成分の合計は100重量部)からなることを特徴とするホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂組成物。
    ポリオレフィン系樹脂(a):融点が100℃以上160℃以下で融解熱量が30mJ/mg以下
    ポリオレフィン系樹脂(b):融点が130〜180℃であり、かつ、融解熱量が30mJ/mgを超える
    ポリオレフィン系樹脂(c):融点が200℃以上であり、かつ、MFR(260℃、5kg)が10g/10分以上でかつ下記要件i)、ii)の少なくとも何れかを満たす
    ア)MFR(260℃、5kg)が50g/10分以下
    イ)ビカット軟化点が150℃以上
  2. 前記変性ポリオレフィン系樹脂(A)、(B)、(C)の少なくともいずれか一つが、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と芳香族ビニル化合物を用いて変性したことを特徴とする請求項1に記載のホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂組成物。
  3. 前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸グリシジルから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂組成物。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂組成物からなり、その厚みが20〜200μmであることを特徴とするホットメルト接着フィルム。
  5. 請求項4記載のホットメルト接着フィルムが、前記ホットメルト接着剤用変性ポリオレフィン系樹脂組成物を含有する粘着性を有する接着フィルムと、粘着性を有しない熱可塑性樹脂フィルムが積層されたフィルムであることを特徴とするインサート成形用積層ホットメルト接着フィルム。
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