以下に図面を用いて本発明に係る実施形態につき、詳細に説明する。以下では、第1モータ及び第2モータとして、電動モータの機能と発電機の機能とを持つモータジェネレータの場合を説明するが、第1モータ及び第2モータは、発電機の機能がないものとしてもよい。また、以下ではDC/DCコンバータが昇降圧機能を有する場合を説明するが、単に昇圧のみの機能を有する構成を用いてもよい。また、以下では制御装置が所定条件の成立に応じて昇圧間欠制御及び降圧間欠制御を切り替えて行うことである昇圧/降圧間欠制御を行う機能を有する場合を説明するが、制御装置は昇圧間欠制御及び降圧間欠制御のうち、昇圧間欠制御のみを行う機能を有する構成としてもよい。また、以下では、車両として、基本的に前輪及び後輪を2つのモータジェネレータで駆動する電動車両を説明するが、エンジン及びモータジェネレータを走行駆動源として有するハイブリッド車両であってもよい。車両は電気自動車または燃料電池車であってもよい。以下では、図1、図2の構成と同様の構成には同一の符号を付して説明する。
図1は、本実施形態の駆動制御システム12を搭載する電動車両10の概略構成を示している。電動車両10は、駆動制御システム12と、前側駆動機構14及び前輪16と、後側駆動機構18及び後輪20とを含んで構成される。駆動制御システム12は、直流電源であるバッテリ22、DC/DCコンバータ24、第1インバータ26、第1モータである第1モータジェネレータ28、第2インバータ30、第2モータである第2モータジェネレータ32、及び制御装置34を含んで構成される。以下、第1モータジェネレータ28は前輪16を駆動するものであるのでFrMG28と記載し、第2モータジェネレータ32は後輪20を駆動するものであるのでRrMG32と記載する。
バッテリ22は、ニッケル水素電池、またはリチウムイオン電池などの二次電池である。直流電源として、バッテリ22以外にキャパシタが用いられてもよい。
DC/DCコンバータ24は、バッテリ22に接続されてバッテリ電圧を昇圧する。DC/DCコンバータ24で昇圧された直流電圧は、第1インバータ26に供給される。第1インバータ26にはFrMG28が接続される。これによって、FrMG28は、バッテリ22にDC/DCコンバータ24及び第1インバータ26を介して接続される。
FrMG28の出力軸は、前側駆動機構14を介して前側車軸36に連結された前輪16に連結される。FrMG28は、バッテリ22から供給される電力によって駆動され、その駆動によって、前側駆動機構14及び前側車軸36を介して、前輪16を駆動する。FrMG28は、車両減速時における回生制動を行う場合に電力回生用の発電機としての機能も有する。FrMG28で発生した電力は、第1インバータ26、DC/DCコンバータ24を介してバッテリ22に供給され、バッテリ22が充電される。
バッテリ22とDC/DCコンバータ24との接続点P1,P2には第2インバータ30が接続されるので、第2インバータ30は、バッテリ22にDC/DCコンバータ24を介さずに接続される。第2インバータ30にはRrMG32が接続される。
RrMG32の出力軸は、後側駆動機構18を介して後側車軸38に連結された後輪20に連結される。RrMG32は、バッテリ22から供給される電力によって駆動され、その駆動によって後側駆動機構18及び後側車軸38を介して、FrMG28が駆動する前輪16とは異なる後輪20を駆動する。RrMG32は、FrMG28と同様、電力回生用の発電機としての機能も有する。RrMG32で発生した電力は、第2インバータ30を介してバッテリ22に供給され、バッテリ22が充電される。
FrMG28にはFrMG28の回転角度または回転速度を検出する第1回転センサ40が取り付けられ、第1回転センサ40の検出信号は制御装置34に送信される。RrMG32にはRrMG32の回転角度または回転速度を検出する第2回転センサ42が取り付けられ、第2回転センサ42の検出信号は制御装置34に送信される。回転角度が制御装置34に送信される場合、制御装置34は回転角度からFrMG28またはRrMG32の回転速度を算出し取得する。この場合、制御装置34の回転速度取得部と回転角度を検出するセンサ40,42とによりMG回転速度取得部が形成される。なお、「回転速度」には、毎分当たりの回転数の意味も含まれる。
なお、FrMG28及びRrMG32のそれぞれは、永久磁石付同期モータであっても、誘導モータであってもよい。
電動車両10がハイブリッド車両である場合に、前側駆動機構14または後側駆動機構18は、エンジンからの動力とFrMG28(またはRrMG32)からの動力とのうち、少なくとも一部を前側車軸36(または後側車軸38)に出力するように構成される動力分割機構を含んでもよい。動力分割機構は、遊星歯車機構により形成される。なお、図1において、電力の伝達系については実線で示し、機械的な動力伝達系については電力伝達系よりも太い実線、信号の伝達系については破線で示している。
アクセルセンサ44は、アクセルペダルの踏み込み量を検出し、その検出値を表す信号を制御装置34に送信する。車軸センサ46は、前側車軸36または後側車軸38の回転速度を検出し、その検出値を表す信号を制御装置34に送信する。制御装置34は、車軸センサ46の検出値から車速を算出する。車速は、第1回転センサ40または第2回転センサ42の検出値またはMG回転速度取得部の取得値から制御装置34によって算出されてもよい。
制御装置34は、CPU、メモリを有するマイクロコンピュータを含む。図示の例では制御装置34として1つの制御装置34のみを図示しているが、制御装置34は適宜複数の構成要素に分割して、互いに信号ケーブルで接続される構成としてもよい。後述の図2に示すように制御装置34は、CPUを含む演算部48と、メモリを含む記憶部50とを含み、記憶部50には、電動車両10の制御データ及び制御プログラムが記憶される。制御プログラムは、後述する図3A、図3B、図3C、またはこれに加えて図7のフローチャートにより実行される昇圧/降圧間欠制御プログラム52を含む。昇圧/降圧間欠制御プログラム52は、後述する昇圧/降圧間欠制御で用いられる。
制御装置34は、アクセルペダルの踏み込み量、または車速とこの踏み込み量とに基づいて、車両の要求駆動力を算出し、FrMG28及びRrMG32は、モータ走行において全体でこの要求駆動力を発生させるように制御装置34によって制御される。このとき、制御装置34は、FrMG28及びRrMG32の駆動力の分配比率を制御する。ここで、「モータ走行」とは、第1モータ及び第2モータの一方または両方を駆動源とする走行を意味する。「モータ走行」は、電動車両10がエンジン、第1モータ及び第2モータを車両の駆動源として備えるハイブリッド車両の場合に、エンジンに駆動力を発生させずに、第1モータ及び第2モータの一方または両方を駆動源とする、いわゆるEV走行を意味する。
制御装置34は、FrMG28及びRrMG32を制御して全体で要求駆動力を発生させる場合に、第1インバータ26及び第2インバータ30とDC/DCコンバータ24とを制御する。この場合、車両の駆動走行を行う場合に基本的にFrMG28及びRrMG32の要求駆動力の分配比率は予め設定されていてもよい。制御装置34は、予め設定された所定条件の成立に応じて、FrMG28及びRrMG32の駆動力分配の比率を予め設定された複数の比率の間で変更する構成としてもよい。FrMG28及びRrMG32の駆動力配分は、いずれか一方のMG28(または32)の駆動力が0になることを含んでもよい。この場合、モータ走行において、車両が前輪16または後輪20のみを駆動する二輪走行が実現される。
制御装置34は、走行時にアクセルペダルの踏み込み量が0になるなどの所定回生条件が成立した場合にFrMG28及びRrMG32が要求回生制動力を発生するように、第1インバータ26、第2インバータ30及びDC/DCコンバータ24を制御する。このとき、制御装置34は、FrMG28及びRrMG32の回生制動力の分配比率を制御する。要求回生制動力は、予め制御装置34が有する記憶部50に設定された値としてもよい。要求回生制動力は、バッテリ22の充電状態であるSOCの検出値または車速に応じて変更されてもよい。要求駆動力の分配と同様に、要求回生制動力のFrMG28及びRrMG32における分配比率は予め設定されていても、また、所定条件の成立に応じて分配比率が変更されるようにしてもよい。
SOCは、バッテリ22の充放電電流を検出する図示しないバッテリ電流センサの検出値、またはバッテリの出力電圧を検出する図示しないバッテリ電圧センサの検出値から算出されることができる。
バッテリ22の出力側には、バッテリ22の出力電圧を平滑化する低圧側コンデンサCLと、低圧側コンデンサCLの電圧である低圧側電圧VLを検出する低圧側電圧センサSLとが設けられる。DC/DCコンバータ24の出力側であるVH側には、高圧側電圧VHを平滑化する高圧側コンデンサCHと、高圧側電圧VHを検出する高圧側電圧センサSHとが設けられる。各電圧センサSL,SHの検出値を表す信号は制御装置34に送信される。低圧側コンデンサCLは省略されてもよい。
図2は、DC/DCコンバータ24の詳細を示す回路図である。DC/DCコンバータ24は、直列接続された2つのスイッチング素子Sa,Sbと、スイッチング素子Sa,Sbの中間点にIL電流センサ54を介して接続されたリアクトル56とを含んで構成される。各スイッチング素子Sa,SbはIGBTなどのトランジスタである。各スイッチング素子Sa,Sbに対しダイオードDa,Dbが各スイッチング素子Sa,Sbとは逆方向に電流を流すように並列に接続される。リアクトル56の一端はバッテリ22の正極に接続される。
IL電流センサ54は、リアクトル56を流れる電流を検出し、その検出値を表す信号を制御装置34に送信する。IL電流センサ54の検出値は、図2の矢印IL方向に流れる電流を正の値とする。IL電流センサ54は、リアクトル56の一端とバッテリ22との間に接続されてもよい。IL電流センサ54の検出値は、後述する昇圧/降圧間欠制御において、スイッチング停止の可否判定を行う場合に用いられてもよい。リアクトル56を流れる電流は、IL電流センサ54以外の電流センサで検出されてもよい。
制御装置34は、DC/DCコンバータ24のスイッチングを制御することによりDC/DCコンバータ24の動作を制御する。車両の駆動を制御する場合、制御装置34は、スイッチングのオンオフ動作により高圧側電圧の検出値VHが目標電圧VH*になるようにDC/DCコンバータ24の動作を制御する。例えばFrMG28の要求駆動力とFrMG28の回転速度の検出値または取得値とからFrMG28のトルク指令値が算出され、FrMG28の要求駆動力から予め設定された関係に基づいてVHの目標電圧VH*が算出される。なお、回生制動を行う場合、FrMG28の要求回生制動力とFrMG28の回転速度との関係から、FrMG28の負の値のトルク指令値が算出される。回生制動時には駆動走行時に設定された現在の目標電圧VH*が維持される。
制御装置34は、FrMG28の駆動時または回生制動時に、検出電圧VHが目標電圧VH*になるようにフィードバック制御を行う。このフィードバック制御では、IL電流センサ54の検出値を目標値に一致させる制御を、検出電圧VHを目標電圧VH*に近づける制御と組み合わせてもよい。
次に昇圧/降圧間欠制御を説明する。制御装置34は、所定のタイミングまたは所定の条件成立によって昇圧/降圧間欠制御プログラム52の実行を開始する。この実行が開始されると、制御装置34は、昇圧/降圧間欠制御を行う。この場合、制御装置34は、DC/DCコンバータ24の昇圧動作中、または降圧動作中に予め設定された所定停止条件が成立した場合に、DC/DCコンバータ24のスイッチングの停止によってDC/DCコンバータ24を停止する。
さらに制御装置34は、昇圧間欠制御よるDC/DCコンバータ24の停止中において、車両のモータ走行における要求駆動力Wrqが増大し、その増大が第1の所定値A1以上の場合に、RrMG32及びFrMG28の駆動力の分担割合を変化させる。具体的には、要求駆動力Wrqが昇圧動作停止を開始した際の初期要求駆動力Wrq0から増大した場合に、要求駆動力Wrqの変動が第1の所定値A1以上の場合には、車両の要求駆動力の変動が第1の所定値A1であるときのFrMG28の駆動力を第2の所定値Wf1(図4A、図4Bの(b)参照)とする。そして制御装置34は、要求駆動力Wrqの変動が第1の所定値A1以上の場合に、FrMG28の駆動力を第2の所定値Wf1に保持するか、または第2の所定値Wf1よりも低下させるように制御する。これによって、制御装置34は、FrMG28の駆動力が第2の所定値Wf1を超えないように制御する。これとともに制御装置34は、車両の要求駆動力Wrqの残余分をRrMG32に発生させるように制御する。ここで、FrMG28の駆動力を第2の所定値Wf1に保持する場合、RrMG32には、車両の要求駆動力Wrqの内の第2の所定値Wf1を超える部分を、要求駆動力の残余分としてRrMG32に発生させる。これによって、後述のようにDC/DCコンバータ24の損失低減と運転性の確保との両立を図れる。
これについて以下でより具体的に説明する。まず図3A、図3B、図3Cのフローチャートと図4Aとを用いてDC/DCコンバータ24の停止中に要求駆動力Wrqが初期要求駆動力Wrq0から第1の所定値A1以上増大した場合に、FrMG28の駆動力を第2の所定値Wf1に保持する場合を説明する。
図4Aは、本実施形態において、車両要求駆動力(a)、FrMG28及びRrMG32の駆動力(b)(c)の時間変化の1例と、その1例に対応する高圧側電圧の検出電圧VH(d)、リアクトル電流IL(e)及びスイッチング停止フラグ(f)の時間変化とを示している。図4(a)は、昇圧間欠制御によるスイッチング停止における車両要求駆動力Wrqであり、図4(b)(c)はそれぞれFrMG28及びRrMG32の駆動力の時間変化の例である。図4A(a)に示すように、DC/DCコンバータ24のスイッチング停止から時間t3までの時間において、実線b1で示す車両要求駆動力は一定に維持されているが、例えば時間t3以降で車両が平地走行から登坂走行に移行して急に車両要求駆動力が増大している。
図4Aでは実線c1、d1でFrMG28,RrMG32の駆動力を示している。時間t3以前で車両要求駆動力が一定値Wrq0に維持される場合、FrMG28の駆動力も一定値Wf0に維持され、RrMG32の駆動力も一定値WR0に維持される。
昇圧/降圧間欠制御が開始された場合、図3AのステップS20において、昇圧間欠制御による所定停止条件が成立したか否かが判定される。以下ではステップSは単にSと記載する。所定停止条件は、例えばIL電流センサ54の検出値が0付近となったことを含む。所定停止条件は、VHが安定していることを含んでもよい。「VHが安定している」とは、目標電圧VH*が所定時間以上変化しないこと、または検出電圧VHが目標電圧VH*に収束していると判定されることである。後者の意味では、例えば、目標電圧VHと検出電圧VHとの差が「停止用所定値」以下である状態が所定時間以上維持されること、所定時間において検出電圧VHの変動が所定値以下であることなどにより判断されてもよい。
S20の判定でYESの場合に図3BのS21に移行して、制御装置34は例えば図4Aの時間t1でスイッチング停止フラグ(図4Aの(f))を0から1に変化させ、昇圧間欠制御においてDC/DCコンバータ24のスイッチングを停止、すなわちDC/DCコンバータ24を停止する。このとき、図2の2つのスイッチング素子Sa,Sbがオフされる。この状態で電圧VHが電圧VLよりも高ければ、図2の矢印B1側の範囲が矢印B2側の範囲から切り離された回路と同じとみなされる。このため、DC/DCコンバータ24に対してFrMG28側の電力消費があった場合に高圧側コンデンサCHの電荷が徐々に減少することで、図4Aの(d)の時間t1以降で示すように電圧VHは徐々に低下する。この場合、検出電圧VHと目標電圧VH*との差が予め設定された所定電圧差ΔVH以上となった場合にスイッチングの停止、すなわちDC/DCコンバータ24の停止が解除される(図4Aの時間t2)。
なお、DC/DCコンバータ24のスイッチング停止に移行するための条件は、DC/DCコンバータ24の負荷が極小負荷状態または無負荷になることに限定されない。例えばスイッチング停止を開始するための「所定停止条件」は、IL電流センサ54の検出値が0付近であることを含まなくてもよい。
上記のようにDC/DCコンバータ24の停止が解除されると通常の昇圧動作に復帰してスイッチング損失が生じるので、DC/DCコンバータ24の停止時間(図4Aの時間t1からt2の期間)を長くすることがDC/DCコンバータ24の損失低減の面から望まれる。そこで本実施形態では、所定条件の成立で車両の要求駆動力の変動分に対応するトルクをRrMG32によって出力させることで、FrMG28の駆動力の増大を抑制してFrMG28のトルク増大を抑制する。そして、検出電圧VHと目標電圧VH*との差が短時間で増大することを抑制する。
具体的には図3BのS22で車両のモータ走行において、昇圧動作停止を開始した際の要求駆動力からの変動としての増大量が予め設定された第1の所定値A1以上か否かを判定する。
図3BのS22の判定がNOの場合は、車両の要求駆動力の変動が第1の所定値A1未満の場合であり、所定条件が成立しない場合である。この場合、図4A(a)(b)(c)の時間t3からt4までに対応する。制御装置34は、所定の分配比で要求駆動力の変化分をFrMG28の駆動力とRrMG32の駆動力とに分配し、分配された各要求駆動力の変化分をFrMG28及びRrMG32のそれぞれの駆動力であるWf0,WR0に加算するように制御する。
そして、図4AのS22の判定がYESの場合、所定条件が成立する場合であり、S23で制御装置34は、図4A(b)に示すように時間t4以降でFrMG28の駆動力を第2の所定値Wf1に保持する。これとともに制御装置34は、図4A(c)に示すように時間t4以降で、車両の要求駆動力Wrqの内の第2の所定値Wf1を超える部分の駆動力をRrMG32に発生させるように制御してRrMG32のトルクを増大させる。
時間t3からt4まではFrMG28及びRrMG32の駆動力が通常の分配比率で配分され、それに応じてトルクが出力される。図4Aでは、車両要求駆動力Wrqに対するFrMG28の駆動力の分配比率をRrMG32の分配比率よりも大きくしている。一方、時間t4で車両要求駆動力Wrqの増大量ΔWrqが第1の所定値A1に達すると、第1の所定値A1以上の駆動力の増大分はRrMG32の駆動力の増大で補われる。そして、実線d1で示すようにRrMG32の駆動力の増大速度が上昇し、実線c1で示すようにFrMG28の駆動力は一定の第2の所定値Wf1に保持される。
時間t4より後の時間t4aを考える。時間t4aは、図4Aの時間t4からt2の間の時点である。時間t4aでも、車両要求駆動力Wrqの変動は、第1の所定値A1以上である。このときも、制御装置34は、FrMG28の駆動力を第2の所定値Wf1に一定に保持する。「第2の所定値Wf1」は、車両の要求駆動力Wrqの変動が第1の所定値A1であるとき(t4時点)のFrMG28の駆動力である。そして、制御装置34は、車両要求駆動力WrqをFrMG28及びRrMG32の駆動力で実現するために、残余分として、時間t4aでの車両の要求駆動力Wrq1の内の第2の所定値Wf1を超える部分の駆動力Wr1(=Wrq1−Wf1)を、RrMG32に発生させる。
このとき、図4Aに示すように、時間t4aにおいて、車両要求駆動力のWrq0からの増大量がΔWrqであり、FrMG28の駆動力のWf0からの増大量は、時間t4における増大量と同じA0で一定に保持される。したがって、時間t4aにおいて、RrMG32の駆動力のWR0からの増大量ΔWrfは、車両要求駆動力の増大量ΔWrqからA0を減算した値(ΔWrq−A0)となる。これによって、制御装置34はFrMG28及びRrMG32によって、要求駆動力Wrqを実現する。
一方、図3Bに戻ってS22の判定がNOの場合とS23の処理を行った後とで、S24でスイッチング停止の所定停止解除条件が成立したか否かが判定される。
図3BのS24の「所定停止解除条件」は、検出電圧VHと目標電圧VH*との差が予め設定された「所定電圧差ΔVH」以上となったときに成立する。この場合、スイッチングの停止を開始するための「所定停止条件」が、検出電圧VHと目標電圧VH*との差が「停止用所定値」以下であることを含む場合に、所定電圧差ΔVHは停止用所定値よりも大きく設定してもよい。なお、「所定電圧差ΔVH」は目標電圧VH*の変動に応じて予め設定された関係で変更されるようにしてもよい。
S24の判定がYESの場合にS25で制御装置34は図4A(f)のスイッチング停止フラグを1から0に変化させ、スイッチング停止を解除する。図4Aの時間t2で検出電圧VHと目標電圧VH*との差が所定電圧差ΔVH以上となるので、スイッチング停止が解除される。この結果、DC/DCコンバータ24は通常の昇圧動作に復帰して、図3AのS20の処理に戻る。S24の判定がNOの場合、S22に戻って処理が繰り返される。
上記のようにS22,S23で車両要求駆動力Wrqの増大が第1の所定値A1以上の場合に、FrMG28の駆動力が第2の所定値Wf1に一定に保持される。したがって、FrMG28の駆動力が急激に増大するのを抑制できるので、FrMG28の消費電力を小さくできる。このとき、図4A(d)に示すDC/DCコンバータ24の高圧側の検出電圧VHは、時間t3から時間t4までの低下の程度に比べて、時間t4以降で電圧VHの低下が緩やかになる。時間t4は、車両要求駆動力Wrqの増大が第1の所定値A1に達する時間である。そして検出電圧VHと目標電圧VH*との差が所定電圧差ΔVHになり、スイッチング停止が解除されるのを時間t2まで遅らせることができる。これによって、DC/DCコンバータ24が短時間でスイッチング停止が解除されるのを防止できる。この結果、DC/DCコンバータ24の停止時間を長くでき、スイッチング損失の低減を図れるとともに要求駆動力を実現できることで運転性の確保を図れる。
一方、図3Aに戻ってS20の判定がNOの場合、降圧間欠制御における所定停止条件が成立したか否かが判定される(S30)。この所定停止条件は、降圧間欠制御であることを除けば、S20の昇圧間欠制御における所定停止条件と同じである。
S30の判定でYESの場合に制御装置34はスイッチング停止フラグを0から1に変化させ、図3CのS31で降圧間欠制御においてDC/DCコンバータ24のスイッチングを停止させる。S30の判定がNOであればS40で所定の昇圧/降圧間欠制御解除条件が成立したか否かを判定する。S40の判定がNOであればS20に戻り、YESであれば昇圧/降圧間欠制御処理を終了する。S31でスイッチングが停止されると、制御装置34は、S32で降圧動作停止を開始した際の車両の要求回生制動力の変動としての増大量が予め設定された第3の所定値A2以上か否かを判定する。S32の判定がYESの場合、S33で第3の所定値A2に達したときからの要求回生制動力Frqの変動分をRrMG32によって発生させるように制御する。より具体的には、車両の要求回生制動力の変動が第3の所定値A2であるときのFrMG28の回生制動力を第4の所定値Ff1(図5A(b)参照)とする。そして制御装置34は、要求回生制動力Frqの変動が第3の所定値A2以上の場合に、FrMG28の回生制動力を第4の所定値Ff1に保持するか、または第4の所定値Ff1よりも低下させるように制御する。これによって、制御装置34は、FrMG28の回生制動力が第4の所定値Ff1を超えないように制御する。これとともに制御装置34は、要求回生制動力Frqの残余分をRrMG32に発生させるように制御する。ここで、FrMG28の回生制動力を第4の所定値Ff1に保持する場合、RrMG32には、車両の要求回生制動力Frqの内の第4の所定値Ff1を超える部分を、要求回生制動力の残余分としてRrMG32に発生させる。これによって、DC/DCコンバータ24のさらなる損失低減と運転性の確保との両立を図れる。以下では、まず、DC/DCコンバータ24の停止中に、要求回生制動力Frqが初期要求回生制動力Frq0から第3の所定値A2以上増大した場合に、FrMG28の回生制動力を第3の所定値Ff1に保持する場合を説明する。
図5Aは、本実施形態において、車両要求回生制動力(a)、FrMG28及びRrMG32の回生制動力(b)(c)の時間変化の1例と、その1例に対応する高圧側電圧の検出電圧VH1(d)、リアクトル電流IL(e)及びスイッチング停止フラグ(f)の時間変化とを示している。図5(a)は、降圧間欠制御によるスイッチング停止における要求回生制動力Frqであり、図5(b)(c)はそれぞれFrMG28及びRrMG32の回生制動力の時間変化の例である。図5A(a)に示すようにDC/DCコンバータ24のスイッチング停止から時間t3までの時間において、実線b1で示す要求回生制動力は一定に維持されているが、例えば時間t3以降で車両が平地走行から降坂走行に移行して急に要求回生制動力が増大している。
図5Aでは実線e1、f1でFrMG28,RrMG32の回生制動力を示している。時間t3以前で要求回生制動力が一定値Frq0に維持される場合、FrMG28の回生制動力も一定値Ff0に維持され、RrMG32の回生制動力も一定値FR0に維持される。制御装置34は例えば図5Aの時間t1で図3AのS30の所定停止条件が成立したと判定されると、図5Aの時間t1でスイッチング停止フラグ(図5Aの(f))を0から1に変化させ、DC/DCコンバータ24を停止する(S31)。
図3CのS32で降圧動作停止を開始した際の要求回生制動力からの変動としての増大量が予め設定された第3の所定値A2以上である、すなわち、S32の判定がYESの場合、S33で制御装置34は、図5A(b)に示すように時間t4以降でFrMG28の回生制動力を第4の所定値Ff1に保持する。これとともに制御装置34は、図5A(c)に示すように時間t4以降で、RrMG32に車両の要求回生制動力Frqの内の第4の所定値Ff1を超える部分の回生制動力を発生させるようにRrMG32の回生制動力を増大させる。
時間t3以前で要求回生制動力が一定値Frq0に維持される場合、FrMG28の回生制動力も一定値Ff0に維持され、RrMG32の回生制動力も一定値FR0に維持される。時間t3からt4まではFrMG28及びRrMG32の回生制動力が通常の分配比率で配分され、それに応じて回生制動力が発生する。図5Aでは、車両要求回生制動力に対するFrMG28の回生制動力の分配比率をRrMG32の分配比率よりも大きくしている。
一方、図5Aの時間t4で要求回生制動力の増大量ΔFrqが第3の所定値A2に達すると、第3の所定値A2以上の要求回生制動力Frqの増大分はRrMG32の回生制動力の増大で補われる。そして、実線f1で示すようにRrMG32の回生制動力の増大速度が上昇し、実線e1で示すようにFrMG28の回生制動力は一定の第3の所定値Ff1に保持される。
時間t4より後の時間t4aを考える。時間t4aは、図5Aの時間t4からt2の間の時点である。時間t4aでも、要求回生制動力Frqの変動は、第3の所定値A2以上である。このときも、制御装置34は、FrMG28の回生制動力を第4の所定値Ff1に一定に保持する。「第4の所定値Ff1」は、要求回生制動力Frqの変動が第3の所定値A2であるとき(t4時点)のFrMG28の回生制動力である。そして、制御装置34は、要求回生制動力FrqをFrMG28及びRrMG32の回生制動力で実現するために、時間t4aでの要求回生制動力Frq1の内の第4の所定値Ff1を超える部分の回生制動力Fr1(=Frq1−Ff1)を、RrMG32に発生させる。
このとき、図5Aに示すように、時間t4aにおいて、要求回生制動力のFrq0からの増大量がΔFrqであり、FrMG28の回生制動力のFf0からの増大量は、時間t4における増大量と同じA0で一定に保持される。したがって、時間t4aにおいて、RrMG32の回生制動力のFR0からの増大量ΔFrfは、要求回生制動力の増大量ΔFrqからA0を減算した値(ΔFrq−A0)となる。これによって、制御装置34はFrMG28及びRrMG32によって、要求回生制動力Frqを実現する。
一方、図3Cに戻ってS32の判定がNOの場合とS33の処理を行った後とで、S34でスイッチング停止の所定停止解除条件が成立したか否かが判定される。図3CのS32の判定がNOの場合は、要求回生制動力Frqの変動が第3の所定値A2未満の場合である。この場合、図5A(a)(b)(c)の時間t3からt4までに対応する。制御装置34は、所定の分配比で要求回生制動力の変化分をFrMG28の回生制動力とRrMG32の回生制動力とに分配し、分配された各要求回生制動力の変化分をFrMG28及びRrMG32のそれぞれの回生制動力であるFf0,FR0(図5A、図5B)に加算するように制御する。
図3CのS34の所定停止解除条件は、降圧間欠制御であることを除けば、図3BのS24で説明した昇圧間欠制御における所定停止解除条件と同じである。
S34の判定がYESの場合にS35でスイッチング停止が解除され通常の降圧動作に復帰して、図3AのS20の処理に戻り、S34の判定がNOの場合、S32に戻って処理が繰り返される。
上記のようにS32,S33で要求回生制動力Frqの増大が第3の所定値A2以上の場合に、FrMG28の回生制動力が第4の所定値Ff1に一定に保持される。したがって、FrMG28の回生制動力が急激に増大するのを抑制できるので、FrMG28による発電電力の増大を抑制できる。このとき、図5A(d)に示すDC/DCコンバータ24の高圧側の検出電圧VHは、発電電力が増大することに伴って増大するが、時間t3から時間t4までの増大の程度に比べて、時間t4以降で電圧VHの増大が緩やかになる。時間t4は、車両要求駆動力Wrqの増大が第1の所定値A1に達する時間である。そして検出電圧VHと目標電圧VH*との差が所定電圧差ΔVHになると、スイッチング停止が解除されるが、この解除の時間を時間t2まで遅らせることができる。これによって、DC/DCコンバータ24が短時間でスイッチング停止が解除されるのを防止できる。この結果、DC/DCコンバータ24の停止時間を長くでき、スイッチング損失のさらなる低減を図れるとともに要求回生制動力を実現できることで運転性の確保を図れる。
次に、別例として、昇圧間欠制御によるDC/DCコンバータ24の停止中に要求駆動力Wrqが初期要求駆動力Wrq0から第1の所定値A1以上増大した場合に、FrMG28の駆動力を第2の所定値Wf1より低下させる場合を説明する。図4Bは、本実施形態において、車両要求駆動力(a)、FrMG28及びRrMG32の駆動力(b)(c)の時間変化の別例と、その別例に対応する高圧側電圧の検出電圧VH(d)、リアクトル電流IL(e)及びスイッチング停止フラグ(f)の時間変化とを示している。
制御装置34は、図3BのS23で、FrMG28の駆動力を第2の所定値Wf1に保持しないで、その代わりに、FrMG28の駆動力を第2の所定値Wf1より低下させる(図4B(b)の実線c1の時間t4以降)。そして、制御装置34は、車両の要求駆動力Wrqの内の第2の所定値Wf1を超える部分と、FrMG28の駆動力の低下分の絶対値とを加算して得た駆動力を、要求駆動力Wrqの残余分としてRrMG32に発生させるように制御する。「駆動力の低下分」とは、FrMG28の駆動力を第2の所定値Wf1より低下させた場合の低下分である。例えば図4Bに示すように、時間t5においてFrMG28の駆動力を第2の所定値Wf1より低下分Adだけ低下させる場合を考える。この場合、時間t5において車両の要求駆動力Wrq2の内の第2の所定値Wf1を超える部分(=Wrq2−Wf1)と、FrMG28の駆動力の低下分の絶対値Adとを加算して得た駆動力Wr2(=Wrq2−Wf1+Ad)を、RrMG32に発生させる。そしてRrMG32の駆動力の増大速度をさらに大きくする(図4B(c)の実線d1の時間t4以降)。これによって、制御装置34はFrMG28及びRrMG32によって要求駆動力Wrqを実現する。したがって、FrMG28の駆動力が第2の所定値Wf1より低下するので、FrMG28の消費電力をより小さくできる。このため、図4B(d)の実線VHで示すように時間t4からの検出電圧VHの低下をさらに緩やかにして、検出電圧VHと目標電圧VH*との差が所定電圧差ΔVHになることを時間t2より後の時間t5まで遅らせることができる。図4B(d)の一点鎖線Hは、図4Aを用いて説明したように、FrMG28の駆動力を第2の所定値Wf1に保持する場合である。したがって、別例ではDC/DCコンバータ24の停止時間をさらに長くすることができ、スイッチング損失のさらなる低減を図れる。このようにFrMG28の駆動力を低下させる場合において、FrMG28の駆動力の低下が緩やかになるように調整されたり、駆動力が低下する場合の下限が設定されてもよい。
図3BのS23で、FrMG28の駆動力を一定に保つかまたは低下させるかは、予め設定される。また、FrMG28の駆動力を一定に保つかまたは低下させるかを予め設定された所定条件の成立に応じて変更してもよい。S23でFrMG28の駆動力を低下させ、RrMG32の駆動力を増大させる場合、S24からS22,S23に戻る処理においてFrMG28,RrMG32のそれぞれの所定駆動力に達するまで設定された所定変化分ずつ変化させてもよい。図3CのS33の回生制動力の変化でも同様である。
次に、別例として、降圧間欠制御によるDC/DCコンバータ24の停止中に要求回生制動力Frqが初期要求回生制動力Frq0から第3の所定値A2以上増大した場合に、FrMG28の回生制動力を第4の所定値Ff1より低下させる場合を説明する。図5Bは、本実施形態において、車両要求回生制動力(a)、FrMG28及びRrMG32の回生制動力(b)(c)の時間変化の別例と、その別例に対応する高圧側電圧の検出電圧VH1(d)、リアクトル電流IL(e)及びスイッチング停止フラグ(f)の時間変化とを示している。
制御装置34は、図3CのS33で、FrMG28の回生制動力を第4の所定値Ff1に保持しないで、その代わりに、FrMG28の回生制動力を第4の所定値Ff1より低下させる(図5B(b)の実線e1の時間t4以降)。そして、制御装置34は、車両の要求回生制動力Frqの内の第4の所定値Ff1を超える部分と、FrMG28の回生制動力の低下分の絶対値とを加算して得た駆動力を、要求回生制動力Frqの残余分としてRrMG32に発生させるように制御する。「回生制動力の低下分」とは、FrMG28の回生制動力を第4の所定値Ff1より低下させた場合の低下分である。例えば図5Bに示すように、時間t5においてFrMG28の回生制動力を第4の所定値Ff1より低下分Adaだけ低下させる場合を考える。この場合、時間t5において要求回生制動力Frq2の内の第4の所定値Ff1を超える部分(=Frq2−Ff1)と、FrMG28の回生制動力の低下分の絶対値Adaとを加算して得た回生制動力Fr2(=Frq2−Ff1+Ada)を、RrMG32に発生させる。そしてRrMG32の回生制動力の増大速度をさらに大きくする(図5B(c)の実線f1の時間t4以降)。これによって、制御装置34はFrMG28及びRrMG32によって要求回生制動力Frqを実現する。したがって、FrMG28の回生制動力が第4の所定値Ff1より低下するので、FrMG28の発電電力の増大をより抑制できる。このため、図5B(d)の実線VH1で示すように時間t4からの検出電圧VH1の増加をさらに緩やかにして、検出電圧VH1と目標電圧VH*との差が所定電圧差ΔVHになることを時間t2より後の時間t5まで遅らせることができる。図5B(d)の一点鎖線Gは、図5Aを用いて説明したように、FrMG28の回生制動力を第2の所定値Wf1に保持する場合である。したがって、別例ではDC/DCコンバータ24の停止時間をさらに長くすることができ、スイッチング損失のさらなる低減を図れる。このようにFrMG28の回生制動力を低下させる場合において、FrMG28の回生制動力の低下が緩やかになるように調整されたり、回生制動力が低下する場合の下限が設定されてもよい。
図3CのS33で、FrMG28の回生制動力を一定に保つかまたは低下させるかは、予め設定される。また、FrMG28の回生制動力を一定に保つかまたは低下させるかを予め設定された所定条件の成立に応じて変更してもよい。
上記の構成によれば、昇圧間欠制御及び降圧間欠制御のそれぞれでDC/DCコンバータ24が停止される場合に要求駆動力または要求回生制動力が増大しても、RrMG32の駆動力変化または回生制動力変化によってFrMG28の駆動力または回生制動力が急激に増大することを抑制できる。このため、DC/DCコンバータ24に対して電圧VH(またはVH1)と目標電圧VH*との差が短時間で大きくなることを抑制できるので、DC/DCコンバータ24の停止時間を長くでき、DC/DCコンバータ24のスイッチング損失の低減を図れる。また、車両の要求駆動力または要求回生制動力がFrMG28で制限されずに実現できる。この結果、DC/DCコンバータ24の損失低減と運転性の確保との両立を図れる。
図6は、本実施形態において、高圧側電圧の検出電圧VH(またはVH1)、リアクトル電流ILの絶対値及びスイッチング停止フラグの時間変化の1例を示している。図6は、図4A、図5Aの(d)(e)(f)を組み合わせた拡大図に相当する。図6では、時間t1でスイッチング停止解除からスイッチング停止に移行する。これによって、FrMG28において徐々に検出電圧VHが低下して目標電圧VH*との差が大きくなる。この場合、リアクトル電流ILはほぼ0に維持される。そして時間t2で目標電圧VH*と検出電圧VHとの差が所定電圧差ΔVHに達してスイッチングの停止が解除される。この場合、時間t2以降で通常の昇圧動作が行われるので電圧VHが目標電圧VH*に近づく。本実施形態では要求駆動力の増大量が第1の所定値A1以上でRrMG32の駆動力として要求駆動力の内、第1の所定値A1を超える分以上を発生させ、FrMG28の駆動力が第1の所定値A1を超えないようにする。これによって、FrMG32での消費電力を抑制できる。このため、実線VHで示すように変化を緩やかにして、スイッチング停止時間、すなわちDC/DCコンバータ24の停止時間を長くできる。
一方、図6では一点鎖線αで比較例を示している。比較例は、本実施形態と異なり、スイッチング停止時において、要求駆動力が増大する場合に増大量が第1の所定値A1以上でもFrMG28の駆動力の増大を継続する。この場合、比較例ではDC/DCコンバータ24に対してFrMG28側の電力消費が大きくなって一点鎖線αで示すように電圧VHが目標電圧VH*から短時間で大きく離れ、時間txで電圧VHと目標電圧VH*との差が短時間で所定電圧差ΔVHに達してスイッチングの停止が解除されてしまう。このため、スイッチング停止時間が短くなるのでスイッチング損失が増大する。本実施形態はこのような不都合を防止できる。
一方、降圧間欠制御におけるスイッチングの停止では、FrMG28の回生制動力が急激に増大した場合にFrMG28の発電量が大きくなる。このため、図6の二点鎖線βで示すように検出電圧VHが急激に増大して目標電圧VH*から大きく離れて検出電圧VHと目標電圧VH*との差が短時間で所定電圧差ΔVHに達しスイッチングの停止が短時間で解除される場合がある。本実施形態では、要求回生制動力の増大量が第3の所定値A2以上で、RrMG32の回生制動力として要求回生制動力の内、第3の所定値A2を超える分以上を発生させ、FrMG28の回生制動力が第3の所定値A2を超えないようにする。これによって、DC/DCコンバータ24のFrMG28側の急激な発電量の増大を抑制できるので、二点鎖線VH1で示すように変化を緩やかにしてスイッチング停止時間を長くできる。
図7は、図3Bのフローチャートにおいて、別例の制御の追加処理に用いるフローチャートを示している。図7のフローチャートは、図3Bの破線枠γで示す部分の処理の代わりに実行される処理である。この制御では、図3AのS20において昇圧間欠制御中に所定停止条件が成立し、S21でスイッチングが停止された後、図3BのS22に移行する前に、S211,S212の処理を追加する。S211では車両要求駆動力の全体量に対してFrMG28の分配比率がRrMG32の分配比率よりも小さいか否かを判定する。S211の判定がYESであればそのままS22へ移行する。一方、S211の判定がNOの場合、S212でFrMG28の駆動力の分配比率を減少させるように、FrMG28の駆動力を低下させ、RrMG32の駆動力を増大させ、S211に戻って処理を繰り返す。S212ではFrMG28,RrMG32のそれぞれの駆動力の変化分が設定され、その変化分に対応して駆動力を変化させる。これによって、制御装置34は、車両の要求駆動力に対してFrMG28の駆動力の分配比率を、RrMG32の駆動力の分配比率よりも小さくするように制御する。
上記構成によれば、スイッチング停止中に車両の要求駆動力の変化分に対してFrMG28の駆動力の変化分が、S211,S212の処理を行わない場合に比べて小さくなるので、電圧VHがより低下しにくくなる。このためスイッチング停止時間を長くしてスイッチング損失をさらに抑制できる。
なお、上記の実施形態では、DC/DCコンバータ24の停止時の要求駆動力または要求回生制動力の増大量が第1の所定値A1または第3の所定値A2以上となるときにそれ以上の増大分以上に対応してRrMG32の駆動力または回生制動力を増大させている。この場合、第1の所定値A1または第3の所定値A2は、0に極めて近い正の値に設定してもよい。このように設定する場合、実質上、制御装置34は、第1の所定値及び第3の所定値を設定しない構成と同様である。この構成では、制御装置34は、DC/DCコンバータ24の停止中に停止時点からの要求駆動力または要求回生制動力の変化、例えば増大があったときに、その停止時点からの変化分、例えば増大分を実質上すべてRrMG32が出力するように制御する。
また、上記ではRrMG32はDC/DCコンバータを介さずにバッテリ22に接続しているが、RrMG32には、図1の一点鎖線Qで示す位置に、FrMG28に接続されるDC/DCコンバータ24とは別のDC/DCコンバータを設けてもよい。この場合、RrMG32は、このDC/DCコンバータを介してバッテリ22に接続される。また、DC/DCコンバータ24に接続される第1モータと、DC/DCコンバータ24を介さずにバッテリ22に接続される第2モータとは、前輪駆動用と後輪駆動用とを逆にしてもよい。また、第1モータは、応答性及び制御性が良好な同期モータにより構成され、第2モータは、応答性及び制御性が低いが安価な誘導モータにより構成されてもよい。また、車両をモータ走行させる場合に、基本的に第1モータの出力を大きくして第2モータの出力を小さくするように設定してもよい。このような構成に本発明を適用することでモータの特性に応じて高い運転性を確保できる車両において、DC/DCコンバータの損失低減を図れる効果を得られる。