JP2015222364A - ハードコートフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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義弘 小林
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Abstract

【課題】本発明は、ハードコート層の防汚性の低下を抑制することが可能なハードコートフィルム等を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、基板と、上記基板上に形成され、異形シリカ微粒子、重量平均分子量およびアクリル当量が所定の範囲内であるアクリル系ポリマー、およびマトリクス樹脂を含有するハードコート層とを有するハードコートフィルムであって、上記ハードコート層の上記基板側とは反対側の表面にフッ素系化合物が局在化していることを特徴とするハードコートフィルムを提供することにより、上記目的を達成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイ等の表面を保護する目的等で使用されるハードコートフィルムに関するものである。
液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の画像表示装置における画像表示面は、取り扱い時に傷がつかないように、耐擦傷性を付与することが要求される。このような要求に対して、基板上にハードコート層を設けたハードコートフィルムを利用することにより、画像表示装置の画像表示面の耐擦傷性を向上させることが一般になされている。ハードコートフィルムに要求される性能は、近年益々高くなってきており、硬度および耐擦傷性にさらに優れたものが求められている。
ハードコートフィルムの硬度を向上させる手段として、例えば特許文献1には、特定の構成を有する基板を用い、ハードコートフィルムの総厚み、基板を構成するアクリル樹脂層の厚みおよびハードコート層の厚みを特定の範囲にする方法が開示されている。また特許文献2には、無機酸化物粒子が添加された硬化性組成物を用いてハードコート層を形成する方法が開示されている。さらに特許文献3〜7には、反応性異形シリカ微粒子が添加された硬化性組成物を用いてハードコート層を形成する方法が開示されている。
特開2009−279806号公報 特開2012−148484号公報 特開2010−102123号公報 特開2010−120182号公報 国際公開第2012/018009号パンフレット 特開2010−122325号公報 特開2010−122991号公報
ハードコートフィルムは、画像表示装置等に使用される際に、打ち抜き加工、ルーター加工、切断加工、切削加工、曲げ加工等の加工が施されるため、加工性に優れることも要求される。また、ハードコートフィルムのハードコート層は、画像表示装置の最表面に配置される場合が多いことから、防汚性に優れることも要求される。
本発明者らは、上記実情に鑑みて、鋭意研究を行った結果、反応性異形シリカ微粒子と、モノマーと、特定のポリマーとを含有する硬化性樹脂組成物を用いてハードコート層を形成することにより、高硬度および加工性を兼備するハードコートフィルムが得られることを知見した。
ところで、一般的に、ハードコート層に防汚性を付与する方法としては、例えば、特許文献3、4には、ハードコート層を形成するための硬化性樹脂組成物中にフッ素系のレべリング剤等のフッ素系化合物を添加する方法が開示されている。上記方法においては、上記硬化性樹脂組成物の塗膜を硬化させることにより、ハードコート層表面に上記フッ素系化合物をブリードアウトさせることにより防汚性を付与することができる。
しかしながら、上述した方法を本発明者等が見出したハードコート層に適用した場合、長期保存した場合または高温高湿環境下に置いた場合に、ハードコート層の防汚性が低下するという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ハードコート層の防汚性の低下を抑制することが可能なハードコートフィルムおよびその製造方法を提供することを主目的とする。
本発明者らは上記問題点を解決するべく、鋭意研究を重ねた結果、上記硬化性樹脂組成物を硬化させてハードコート層前駆体を形成し、ハードコート層前駆体上にフッ素系化合物を含む塗工液を塗布して、ハードコート層の基板側とは反対側の表面にフッ素系化合物を局在化させることにより、ハードコート層に良好な防汚性を付与することができ、また防汚性の低下を抑制することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、基板と、上記基板上に形成され、異形シリカ微粒子、重量平均分子量が30,000〜110,000の範囲内であり、アクリル当量が200〜1,200の範囲内であるアクリル系ポリマー、およびマトリクス樹脂を含有するハードコート層とを有するハードコートフィルムであって、上記ハードコート層の上記基板側とは反対側の表面にフッ素系化合物が局在化していることを特徴とするハードコートフィルムを提供する。
また、本発明は、基板と、上記基板上に形成され、反応性異形シリカ微粒子、重量平均分子量が30,000〜110,000の範囲内であり、アクリル当量が200〜1,200の範囲内であるアクリル系ポリマー、およびモノマーを含有する硬化性樹脂組成物の硬化物を含むハードコート層とを有するハードコートフィルムであって、上記ハードコート層の上記基板側とは反対側の表面にフッ素系化合物が局在化していることを特徴とするハードコートフィルムを提供する。
本発明によれば、上記ハードコート層の上記基板側とは反対側の表面にフッ素系化合物が局在化していることにより、ハードコート層の防汚性の低下を抑制することが可能なハードコートフィルムとすることができる。
上記発明においては、上記フッ素系化合物がフッ素系シランカップリング剤であることが好ましい。異形シリカ微粒子とフッ素系シランカップリング剤とを結合させてハードコート層の表面に存在させることができ、ハードコート層の防汚性の低下を好適に抑制することができるからである。
本発明は、基板上に、反応性異形シリカ微粒子と、重量平均分子量が30,000〜110,000の範囲内であり、アクリル当量が200〜1,200の範囲内であるアクリル系ポリマーと、モノマーとを含有する硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させてハードコート層前駆体を形成するハードコート層前駆体形成工程と、上記ハードコート層前駆体上にフッ素系化合物を含む塗工液を塗布して加熱することにより、上記ハードコート層前駆体の上記基板側とは反対側の表面にフッ素系化合物が局在化するようにハードコート層を形成するフッ素系化合物付与工程と、を有することを特徴とするハードコートフィルムの製造方法を提供する。
本発明によれば、上記フッ素系化合物付与工程を有することにより、ハードコート層の防汚性の低下を抑制することが可能なハードコートフィルムを製造することができる。
本発明のハードコートフィルムは、ハードコート層が良好な防汚性を示すことができ、また、上記防汚性の低下を抑制することが可能であるという作用効果を奏する。
本発明のハードコートフィルムの一例を示す概略断面図である。 本発明におけるハードコート層について説明する説明図である。 本発明のハードコートフィルムの他の例を示す概略断面図である。 本発明のハードコートフィルムの他の例を示す概略断面図である。 本発明のハードコートフィルムの他の例を示す概略断面図である。 本発明のハードコートフィルムの他の例を示す概略断面図である。 本発明のハードコートフィルムの製造方法の一例を示す工程である。 フッ素系化合物が添加されたハードコート層について説明する説明図である。
以下、本発明のハードコートフィルムおよびその製造方法についての詳細を説明する。
A.ハードコートフィルム
本発明のハードコートフィルムは、基板と、上記基板上に形成され、異形シリカ微粒子、重量平均分子量が30,000〜110,000の範囲内であり、アクリル当量が200〜1,200の範囲内であるアクリル系ポリマー、およびマトリクス樹脂を含有するハードコート層とを有するものであって、上記ハードコート層の上記基板側とは反対側の表面にフッ素系化合物が局在化していることを特徴とするものである。
以下の説明においては、ハードコート層の基板側とは反対側の表面をハードコート層の最表面と称して説明する場合がある。
なお、本願明細書において、「フィルム」、「シート」、「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「ハードコートフィルム」はシートや板等とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。
本発明のハードコートフィルムについて図を用いて説明する。
図1は本発明のハードコートフィルムの一例を示す概略断面図である。図1に示すように、本発明のハードコートフィルム1は、基板2と、基板2上に形成されたハードコート層3とを有する。また、ハードコート層3は、異形シリカ微粒子、重量平均分子量が30,000〜110,000の範囲内であり、アクリル当量が200〜1,200の範囲内であるアクリル系ポリマー、およびマトリクス樹脂を含有する。すなわち、ハードコート層3は、反応性異形シリカ微粒子と、重量平均分子量およびアクリル等量が所定の範囲内であるアクリル系ポリマーと、モノマーとを含有する硬化性樹脂組成物の硬化物から構成されている。また、本発明においては、ハードコート層3の基板2側とは反対側の表面にフッ素系化合物4が局在化していることを特徴とするものである。
本発明によれば、上記ハードコート層の上記基板側とは反対側の表面にフッ素系化合物が局在化していることにより、ハードコート層の最表面の防汚性の低下を抑制することができる。
上述したように、上記硬化性樹脂組成物中に防汚成分であるフッ素系化合物を添加されたものを硬化させて、ハードコート層を形成した場合、ハードコート層の最表面の防汚性は、経時的に低下するという問題がある。
この理由については、必ずしも明らかではないが以下のように推量される。すなわち、図8(a)に示すように、上述のハードコート層33においては、ハードコート層33の最表面におけるマトリクス樹脂32に防汚成分であるフッ素系化合物4がブリードアウトすることにより、防汚性を発現するものである。上記ハードコート層33においては、図8(b)に示すように、経時的に異形シリカ微粒子31がハードコート層33の最表面側に移行して、異形シリカ微粒子31の一部が表出する。異形シリカ微粒子31の表出部分が、上述したフッ素系化合物4がブリードアウトしたマトリクス樹脂32よりも表面側に存在するようになることから、防汚性が妨げられて低下すると推量される。
なお、図8(a)、(b)はフッ素系化合物が添加されたハードコート層について説明する説明図である。図8(a)、(b)において説明していない符号については、図1で説明した符号と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
これに対して、本発明においては、ハードコート層の最表面にフッ素系化合物を含む塗工液を塗布して乾燥させることにより、ハードコート層の最表面にフッ素系化合物を存在させることができる。これは、図2(a)に示すように、ハードコート層3の最表面に存在する異形シリカ微粒子31とフッ素系化合物4とが結合するためと推量される。このように異形シリカ微粒子31とフッ素系化合物4とが結合して存在するため、図2(b)に示すように、経時的に異形シリカ微粒子31がハードコート層3の最表面側に移行して、マトリクス樹脂32から異形シリカ微粒子31の一部が表出した場合も、表出部分にはフッ素系化合物4が存在することから、防汚性の低下を抑制することができると推量される。
なお、図2(a)、(b)は本発明におけるハードコート層について説明する説明図である。図2(a)、(b)において説明していない符号については、図1で説明した符号と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
以下、本発明のハードコートフィルムの各構成について説明する。
I.ハードコート層
本発明におけるハードコート層は、上記基板上に形成され、異形シリカ微粒子、重量平均分子量およびアクリル当量が所定の範囲内であるアクリル系ポリマー、およびマトリクス樹脂を含有するものである。
また、本発明におけるハードコート層は、その基板側とは反対側にフッ素系化合物が局在化していることを特徴とする。
1.フッ素系化合物
本発明におけるハードコート層は、その基板側とは反対側の表面にフッ素系化合物が局在化しているものである。
「ハードコート層の基板側とは反対側の表面にフッ素系化合物が局在化している」とは、ハードコート層の最表面から厚さ方向10nmの範囲内のフッ素の存在量が、40atmic%以上であり、最表面から厚さ方向4μmを超える部分のフッ素の存在量が20atmic%以下であることをいう。
上記フッ素の存在量は、X線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy(XPS))を用いて測定することができる。具体的には、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製XPS装置(ESCALAB 220i−XL)を用いて測定することができる。
フッ素系化合物としては、ハードコート層の最表面に存在することができれば特に限定されないが、異形シリカ微粒子と結合可能なものであることが好ましい。このようなフッ素系化合物としては、例えば、フッ素系シランカップリング剤を好適に用いることができる。ハードコート層の最表面において、異形シリカ微粒子と結合することができ、フッ素系化合物を好適に上記最表面に固定することができ、防汚性の低下を好適に抑制することができるからである。
上記フッ素系シランカップリング剤としては、一般的なものを用いることができ、例えば、フルオロアルキルシランの1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が挙げられる。フルオロアルキルシランとしては、例えば、CF(CFCHCHSi(OCH;CF(CFCHCHSi(OCH;CF(CFCHCHSi(OCH;CF(CFCHCHSi(OCH;(CFCF(CFCHCHSi(OCH;(CFCF(CFCHCHSi(OCH;(CFCF(CFCHCHSi(OCH;CF(C)CSi(OCH;CF(CF(C)CSi(OCH;CF(CF(C)CSi(OCH;CF(CF(C)CSi(OCH;CF(CFCHCHSiCH(OCH;CF(CFCHCHSiCH(OCH;CF(CFCHCHSiCH(OCH;CF(CFCHCHSiCH(OCH;(CFCF(CFCHCHSiCH(OCH;(CFCF(CFCHCHSi CH(OCH;(CFCF(CFCHCHSi CH(OCH;CF(C)CSiCH(OCH;CF(CF(C)CSiCH(OCH;CF(CF(C)CSiCH(OCH;CF(CF(C)CSiCH(OCH;CF(CFCHCHSi(OCHCH;CF(CFCHCHSi(OCHCH;CF(CFCHCHSi(OCHCH;CF(CFCHCHSi(OCHCH;CF(CFSON(C)CCHSi(OCH等を挙げることができる。
ハードコート層の最表面にフッ素系化合物を局在化させる方法については、後述する「B.ハードコートフィルムの製造方法」の項で説明するフッ素系化合物付与工程において用いられる方法と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
2.ハードコート層
本発明におけるハードコート層は、基板上に形成されるものであり、2つの態様を有する。第1態様のハードコート層は、異形シリカ微粒子と、重量平均分子量およびアクリル当量が所定の範囲内であるアクリル系ポリマーと、マトリクス樹脂とを含有するものである。また、第2態様のハードコート層は、反応性異形シリカ微粒子と、重量平均分子量およびアクリル当量が所定の範囲内であるアクリル系ポリマーと、モノマーとを含有する硬化性樹脂組成物の硬化物を含むものである。
本発明においては、ハードコート層が異形シリカ微粒子を含むことにより、硬度および耐擦傷性を向上させることができる。また、ハードコート層に重量平均分子量およびアクリル当量が所定の範囲内であるアクリル系ポリマーを用いることにより、高硬度を維持しつつ加工性を改善することが可能である。
以下、ハードコート層の構成について説明する。
(1)硬化性樹脂組成物
本発明に用いられる硬化性樹脂組成物は、反応性異形シリカ微粒子と、重量平均分子量およびアクリル当量が所定の範囲内であるアクリル系ポリマーと、モノマーとを含有するものである。
以下、硬化性樹脂組成物における各成分について説明する。
(a)反応性異形シリカ微粒子
本発明において、反応性異形シリカ微粒子は、ハードコート層の硬度向上に寄与する成分である。
反応性異形シリカ微粒子は、通常、反応性官能基を有する。反応性官能基としては、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合およびエポキシ基等が挙げられる。
なお、本願明細書において、(メタ)アクリロイルはアクリロイルおよびメタクリロイルの少なくともいずれかを意味し、(メタ)アクリレートはアクリレートおよびメタクリレートの少なくともいずれかを意味し、(メタ)アクリルはアクリルおよびメタクリルの少なくともいずれかを意味する。
反応性異形シリカ微粒子としては、複数のシリカ微粒子が無機の化学結合により結合した反応性異形シリカ微粒子が挙げられる。中でも、反応性異形シリカ微粒子は、平均1次粒径1nm〜100nmのシリカ微粒子3個〜20個が無機の化学結合により結合し、表面に反応性官能基を有する反応性異形シリカ微粒子であることが好ましい。反応性異形シリカ微粒子は、反応性官能基を有することにより、反応性異形シリカ微粒子同士、およびモノマーと架橋する硬化反応が可能であり、ハードコート層に耐擦傷性および硬度を付与することができる。
反応性異形シリカ微粒子を構成するシリカ微粒子の平均1次粒径は、1nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、5nm〜80nmの範囲内であることがより好ましい。シリカ微粒子の平均1次粒径が小さいと、平均2次粒径が小さい反応性異形シリカ微粒子しか得られず、ハードコート層に十分な硬度を付与できない場合がある。また、シリカ微粒子の平均1次粒径が大きいと反応性異形シリカ微粒子の平均2次粒径が大きくなりやすく、平均2次粒径が大きいとハードコート層の透明性が低下し、透過率の悪化、ヘイズの上昇を招く場合がある。
反応性異形シリカ微粒子の平均2次粒径は、5nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、10nm〜200nmの範囲内であることがより好ましい。反応性異形シリカ微粒子の平均2粒径が上記範囲内であれば、ハードコート層に硬度を付与しやすく、かつハードコート層の透明性を維持しやすい。
ここで、シリカ微粒子の平均1次粒径は、硬化性樹脂組成物中のシリカ微粒子を動的光散乱方法で測定し、粒子径分布を累積分布で表したときの50%粒子径(d50 メジアン径)を意味する。平均1次粒径は、日機装(株)製のMicrotrac粒度分析計またはNanotrac粒度分析計を用いて測定することができる。また、反応性異形シリカ微粒子の平均2次粒径は、硬化性樹脂組成物においては、平均1次粒径と同様の方法により求めることができる。一方、反応性異形シリカ微粒子の平均2次粒径は、ハードコート層においては、ハードコート層の断面をSEM写真またはTEM写真を用いて観察し、観察された硬化した反応性異形シリカ微粒子を100個選び、その平均値として求めることができる。
シリカ微粒子は、中空粒子のような粒子内部に空孔や多孔質組織を有する粒子の使用を排除するものではないが、粒子内部に空孔や多孔質組織を有しない中実粒子を用いることが硬度向上の点からより好ましい。
反応性異形シリカ微粒子は、上記シリカ微粒子が、好ましくは3個〜20個、より好ましくは3個〜10個、無機の化学結合によって結合してなる。無機の化学結合によって結合したシリカ微粒子数が少ないと、実質的に単分散粒子と変わらず、基板との密着性、耐擦傷性、鉛筆硬度に優れたハードコート層を得ることが困難である。また、無機の化学結合によって結合したシリカ微粒子数が多いと、ハードコート層の透明性が低下し、透過率の悪化、ヘイズの上昇を招く場合がある。
無機の化学結合としては、例えば、イオン結合、金属結合、配位結合、および共有結合が挙げられる。中でも、反応性異形シリカ微粒子を極性溶媒中に添加しても、結合したシリカ微粒子が分散しない結合、具体的には、金属結合、配位結合、および共有結合が好ましく、特に共有結合が好ましい。なお、極性溶媒としては、例えば、水、およびメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール等が挙げられる。
反応性異形シリカ微粒子の粒子状態としては、3個〜20個のシリカ微粒子が無機の化学結合により結合し、凝集した状態の粒子(凝集粒子)、および3個〜20個のシリカ微粒子が無機の化学結合により結合し、鎖状に結合した鎖状粒子が挙げられる。中でも、ハードコート層の硬度を高める観点から、反応性異形シリカ微粒子の粒子状態としては、鎖状粒子が好ましい。また、反応性異形シリカ微粒子の少なくとも一部に、上記鎖状粒子が含まれていることが好ましい。
ここで、反応性異形シリカ微粒子が鎖状粒子の場合、シリカ微粒子の平均結合数は、ハードコート層の断面をSEM写真またはTEM写真を用いて観察し、観察された硬化した反応性異形シリカ微粒子を100個選び、各反応性異形シリカ微粒子中に含まれるシリカ微粒子を数え、その平均値として求めることができる。
反応性異形シリカ微粒子の製造方法は、上記シリカ微粒子が無機の結合により結合したものが得られれば特に限定されず、従来公知の方法を適宜選択して用いることができる。例えば、単分散のシリカ微粒子分散液の濃度、あるいはpHを調節し、100℃以上の高温で水熱処理することによって得ることができる。このとき、必要に応じてバインダー成分を添加してシリカ微粒子の結合を促進することもできる。また、使用されるシリカ微粒子分散液をイオン交換樹脂に通液することで、イオンを除去してもよい。このようなイオン交換処理によってシリカ微粒子の結合を促進することができる。水熱処理後、再度イオン交換処理を行ってもよい。
反応性異形シリカ微粒子は、少なくとも表面の一部に有機成分が被覆され、この有機成分により導入された反応性官能基を表面に有する。ここで、有機成分とは、炭素を含有する成分である。また、少なくとも表面の一部に有機成分が被覆されている態様としては、例えば、シリカ微粒子の表面に存在する水酸基にシランカップリング剤等の有機成分を含む化合物が反応して、表面の一部に有機成分が結合した態様、または、シリカ微粒子の表面に存在する水酸基にイソシアネート基を有する有機成分を含む化合物が反応して、表面の一部に有機成分が結合した態様の他、例えば、シリカ微粒子の表面に存在する水酸基に水素結合等の相互作用により有機成分を付着させた態様や、ポリマー粒子中にシリカ微粒子を含有する態様等が含まれる。
少なくとも表面の一部に有機成分が被覆され、有機成分により導入された反応性官能基を表面に有する反応性異形シリカ微粒子を調製する方法としては、反応性異形シリカ微粒子に導入したい反応性官能基により、従来公知の方法を適宜選択して用いることができる。中でも、反応性異形シリカ微粒子同士の凝集を抑制し、ハードコート層の硬度を向上させる点から、以下の(i)(ii)の反応性異形シリカ微粒子のいずれかを適宜選択して用いることが好ましい。
(i)飽和または不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステルおよび酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β−ジカルボニル化合物、シラン、および官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水および有機溶媒の少なくともいずれの中に異形シリカ微粒子を分散させることにより得られる、表面に反応性官能基を有する反応性異形シリカ微粒子。
(ii)被覆前の異形シリカ微粒子に導入する反応性官能基、下記化学式(1)に示す基、およびシラノール基または加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物と、金属酸化物微粒子とを結合することにより得られる、表面に反応性官能基を有する反応性異形シリカ微粒子。
−Q−C(=Q)−Q− (1)
(式(1)中、QはNH、OまたはSを示し、QはOまたはSを示し、QはNHまたは2価以上の有機基を示す。)
以下、好適に用いられる反応性異形シリカ微粒子について説明する。
(i)飽和または不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β−ジカルボニル化合物、シラン、および官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水および有機溶媒の少なくともいずれかの中に異形シリカ微粒子を分散させることにより得られる、表面に反応性官能基を有する反応性異形シリカ微粒子。
上記(i)の反応性異形シリカ微粒子を用いる場合には、有機成分含量が少なくてもハードコート層の強度を向上できるという利点がある。
上記(i)の反応性異形シリカ微粒子に用いられる表面修飾化合物は、カルボキシル基、酸無水物基、酸塩化物基、酸アミド基、エステル基、イミノ基、ニトリル基、イソニトリル基、水酸基、チオール基、エポキシ基、第一級、第二級及び第三級アミノ基、Si−OH基、シランの加水分解性残基、またはβ−ジカルボニル化合物のようなC−H酸基等の、分散条件下において異形シリカ微粒子の表面に存在する基と化学結合可能な官能基を有する。ここでの化学結合は、好ましくは、共有結合、イオン結合または配位結合が含まれるが、水素結合も含まれる。配位結合は錯体形成であると考えられる。例えば、ブレンステッドまたはルイスに従う酸塩基反応、錯体形成またはエステル化が、上記表面修飾化合物の官能基と異形シリカ微粒子表面の基の間で生じる。上記(i)の反応性異形シリカ微粒子に用いられる表面修飾化合物は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
上記表面修飾化合物は通常、異形シリカ微粒子の表面の基との化学結合に関与できる少なくとも1つの官能基に加えて、この官能基を介して上記表面修飾化合物に結びついた後に、異形シリカ微粒子に新たな特性を付与する分子残基を有する。なお、以下、異形シリカ微粒子の表面の基との化学結合に関与できる少なくとも1つの官能基を第1の官能基という。分子残基またはその一部は疎水性または親水性であり、例えば、異形シリカ微粒子を安定化、融和化、または活性化させる。例えば、疎水性分子残基としては、不活性化または反発作用をもたらす、アルキル、アリール、アルカリル、アラルキルまたはフッ素含有アルキル基等が挙げられる。親水性基としてはヒドロキシ基、アルコキシ基またはポリエステル基等が挙げられる。
反応性異形シリカ微粒子が後述するモノマーと反応できるように表面に導入される反応性官能基は、モノマーに応じて適宜選択される。反応性官能基としては、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合およびエポキシ基等が挙げられる。
上記表面修飾化合物の上記分子残基中に、後述するモノマーと反応できる反応性官能基が含まれる場合には、上記表面修飾化合物中に含まれる第1の官能基を異形シリカ微粒子表面に反応させることによって、上記(i)の反応性異形シリカ微粒子の表面にモノマーと反応できる反応性官能基を導入することが可能である。例えば、第1の官能基の他に、さらに重合性不飽和基を有する表面修飾化合物が、好適なものとして挙げられる。
一方で、上記表面修飾化合物の上記分子残基中に、第2の反応性官能基を含有させ、当該第2の反応性官能基を足掛かりにして、上記(i)の反応性異形シリカ微粒子の表面にモノマーと反応できる反応性官能基が導入されてもよい。例えば、第2の反応性官能基として水酸基およびオキシ基のような水素結合が可能な水素結合形成基を導入し、この微粒子表面に導入された水素結合形成基に、さらに別の表面修飾化合物の水素結合形成基が反応することにより、モノマーと反応できる反応性官能基を導入することが好ましい。すなわち、表面修飾化合物として、水素結合形成基を有する化合物と、重合性不飽和基等のモノマーと反応できる反応性官能基と水素結合形成基を有する化合物とを併用して用いることが好適な例として挙げられる。水素結合形成基の具体例としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミド基といった官能基、もしくはアミド結合を示すものである。ここで、アミド結合とは、−NHC(O)や>NC(O)−を結合単位に含むものを示す旨である。表面修飾化合物に用いられる水素結合形成基としては、中でもカルボキシル基、水酸基、アミド基が好ましい。
上記(i)の反応性異形シリカ微粒子に用いられる上記表面修飾化合物は500以下の分子量、中でも400を超えない分子量、特に200を超えない分子量を有することが好ましい。このような低分子量を有するため、シリカ微粒子表面を急速に占有し、反応性異形シリカ微粒子同士の凝集を妨げることが可能であると推定される。
上記(i)の反応性異形シリカ微粒子に用いられる上記表面修飾化合物は、表面修飾のための反応条件下で好ましくは液体であり、分散媒中で溶解性または少なくとも乳化可能であるのが好ましい。中でも分散媒中で溶解し、分散媒中で離散した分子または分子イオンとして一様に分布して存在することが好ましい。
飽和または不飽和カルボン酸としては、1〜24の炭素原子を有しており、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、クエン酸、アジピン酸、琥珀酸、グルタル酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびステアリン酸、ならびに対応する酸無水物、塩化物、エステルおよびアミド、例えば、カプロラクタム等が挙げられる。また、不飽和カルボン酸を用いると、重合性不飽和基を導入することができる。
好ましいアミンの例は、下記化学式を有するものである。
3−nNH
上記式において、nは0,1または2である。残基Qは独立して、1〜12、中でも1〜6、特に好ましくは1〜4の炭素原子を有するアルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルおよびブチル、ならびに6〜24の炭素原子を有するアリール、アルカリルまたはアラルキル、例えば、フェニル、ナフチル、トリルおよびベンジルを表す。また、好ましいアミンの例としては、ポリアルキレンアミンが挙げられ、具体例は、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トルイジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンである。
好ましいβ−ジカルボニル化合物は4〜12、特に5〜8の炭素原子を有するものであり、例えば、アセチルアセトン等のジケトン、2,3−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、アセト酢酸、アセト酢酸エチルエステル等のアセト酢酸−C−C−アルキルエステル、ジアセチルおよびアセトニルアセトンが挙げられる。
アミノ酸の例としては、β−アラニン、グリシン、バリン、アミノカプロン酸、ロイシンおよびイソロイシンが挙げられる。
好ましいシランは、少なくとも1つの加水分解性基またはヒドロキシ基と、少なくとも1つの非加水分解性残基とを有する加水分解性オルガノシランである。ここで加水分解性基としては、例えば、ハロゲン、アルコキシ基およびアシルオキシ基が挙げられる。非加水分解性残基としては、反応性官能基を有するまたは反応性官能基を有しない非加水分解性残基が用いられる。また、フッ素で置換されている有機残基を少なくとも部分的に有するシランを使用してもよい。
用いられるシランとしては特に限定されないが、例えば、CH=CHSi(OOCCH、CH=CHSiCl、CH=CHSi(OC、CH=CH−Si(OCOCH、CH=CH−CH−Si(OC、CH=CH−CH−Si(OOCCH、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)、γ−グリシジルオキシプロピルジメチルクロロシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTS)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−[N′−(2′−アミノエチル)−2−アミノエチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、ビス−(ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシランおよび3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
上記シランカップリング剤としては、特に限定されず、公知のものを挙げることができ、例えば、信越化学工業(株)製のKBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503等を挙げることができる。
官能基を有する金属化合物としては、元素周期表の第1群III〜Vおよび第2群II〜IVの少なくともいずれかからの金属Mの金属化合物が挙げられる。具体的には、下記化学式で表されるジルコニウムおよびチタニウムのアルコキシドが挙げられる。
M(OR)
上記式において、MはTi、Zrである。OR基の一部はβ−ジカルボニル化合物またはモノカルボン酸等の錯生成剤により置換される。メタクリル酸等の重合性不飽和基を有する化合物が錯生成剤として使用される場合には、重合性不飽和基を導入することができる。
分散媒として、水および有機溶媒の少なくともいずれかが好適に使用される。特に好ましい分散媒は、蒸留された純粋な水である。有機溶媒として、極性、非極性および非プロトン性溶媒が好ましい。それらの例として、メタノール、エタノール、n−およびi−プロパノールおよびブタノール等の炭素数1〜6の脂肪族アルコール等のアルコール、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトンおよびブタノン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよびテトラヒドロピラン等のエーテル類;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類;スルホランおよびジメチルスルホキシド等のスルホキシド類およびスルホン類;およびペンタン、ヘキサンおよびシクロヘキサン等の任意にハロゲン化されていてもよい脂肪族炭化水素類が挙げられる。これらの分散媒は混合物として使用することができる。
分散媒は、蒸留、任意には減圧下により容易に除去できる沸点を有することが好ましく、沸点が200℃以下、特に150℃以下の溶媒が好ましい。
(i)の反応性異形シリカ微粒子の調製に際し、分散媒の濃度は、通常40質量%〜90質量%の範囲内、好ましくは50質量%〜80質量%の範囲内、特に55質量%〜75質量%の範囲内である。分散液の残りは、未処理のシリカ微粒子および上記表面修飾化合物から構成される。ここで、シリカ微粒子:表面修飾化合物の重量比は、100:1〜4:1とすることが好ましく、中でも50:1〜8:1、特に25:1〜10:1とすることが好ましい。
(i)の反応性異形シリカ微粒子の調製は、好ましくは20℃程度の室温から分散媒の沸点までの温度範囲で行われる。特に好ましくは、分散温度は50℃〜100℃である。分散時間は、特に使用される材料のタイプに依存するが、一般に数分から数時間、例えば、1時間〜24時間である。
(ii)被覆前の異形シリカ微粒子に導入する反応性官能基、下記化学式(1)に示す基、およびシラノール基または加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物と、コアとなるシリカ微粒子としての金属酸化物微粒子とを結合することにより得られる、表面に反応性官能基を有する反応性異形シリカ微粒子。
−Q−C(=Q)−Q− (1)
(式(1)中、QはNH、OまたはSを示し、QはOまたはSを示し、QはNHまたは2価以上の有機基を示す。)
上記(ii)の反応性異形シリカ微粒子を用いる場合には、有機成分量が高まり、分散性、およびハードコート層の強度がより高まるという利点がある。
まず、被覆前のシリカ微粒子に導入したい反応性官能基、上記化学式(1)に示す基、およびシラノール基または加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物について説明する。なお、以下、上記化合物を反応性官能基修飾加水分解性シランという場合がある。
上記反応性官能基修飾加水分解性シランにおいて、シリカ微粒子に導入したい反応性官能基は、後述するモノマーと反応可能なように適宜選択すれば特に限定されない。上述したような重合性不飽和基を導入するのに適している。
上記反応性官能基修飾加水分解性シランにおいて、上記化学式(1)に示す基の[−Q−C(=Q)−]部分は、具体的には、[−O−C(=O)−]、[−O−C(=S)−]、[−S−C(=O)−]、[−NH−C(=O)−]、[−NH−C(=S)−]、および[−S−C(=S)−]の6種である。これらの基は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−]基と、[−O−C(=S)−]基および[−S−C(=O)−]基の少なくとも1種とを併用することが好ましい。上記式(1)に示す基[−Q−C(=Q)−Q−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基板との密着性および耐熱性等の特性を付与することが可能になると考えられる。
また、加水分解によってシラノ−ル基を生成する基としては、ケイ素原子上にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等を有する基を挙げることができ、アルコキシシリル基またはアリールオキシシリル基が好ましい。シラノール基または、加水分解によってシラノ−ル基を生成する基は、縮合反応または加水分解に続いて生じる縮合反応によって、金属酸化物微粒子と結合することができる。
上記反応性官能基修飾加水分解性シランの好ましい具体例としては、例えば、下記化学式(2)および(3)に示す化合物を挙げることができ、下記化学式(3)に示す化合物が硬度の点からより好ましく用いられる。
Figure 2015222364
上記式(2)および(3)中、R、Rは同一でも異なっていてもよいが、水素原子またはCからCのアルキル基もしくはアリール基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。ここでmは1、2または3である。
[(RO) 3−mSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基またはトリエトキシシリル基等が好ましい。
式(2)および(3)中、RはCからC12の脂肪族または芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状または環状の構造を含んでいてもよい。そのような有機基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、フェニレン、キシリレン、ドデカメチレン等を挙げることができる。これらのうち好ましい例は、メチレン、プロピレン、シクロヘキシレン、フェニレン等である。
式(2)中、Rは2価の有機基であり、通常、分子量14〜10,000、好ましくは、分子量76〜500の2価の有機基の中から選ばれる。例えば、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式または多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;およびこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素および水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合、さらには上記式(1)に示す基を含むこともできる。
式(2)および(3)中、Rは(n+1)価の有機基であり、好ましくは鎖状、分岐状または環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
式(2)および(3)中、Y′は反応性官能基を有する1価の有機基を示す。上述のような反応性官能基そのものであってもよい。例えば、反応性官能基を重合性不飽和基から選択する場合、(メタ)アクリロイル(オキシ)基、ビニル(オキシ)基、プロペニル(オキシ)基、ブタジエニル(オキシ)基、スチリル(オキシ)基、エチニル(オキシ)基、シンナモイル(オキシ)基、マレエート基、(メタ)アクリルアミド基等を挙げることができる。また、nは好ましくは1〜20の正の整数であり、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5である。
反応性官能基修飾加水分解性シランの合成は、例えば、特開平9−100111号公報に記載された方法を用いることができる。すなわち、例えば、重合性不飽和基を導入したい場合、(A)メルカプトアルコキシシランと、ポリイソシアネート化合物と、イソシアネート基と反応可能な活性水素基含有重合性不飽和化合物との付加反応により行うことができる。また、(B)分子中にアルコキシシリル基およびイソシアネート基を有する化合物と、活性水素基含有重合性不飽和化合物との直接的反応により行うことができる。さらに、(C)分子中に重合性不飽和基およびイソシアネート基を有する化合物と、メルカプトアルコキシシランまたはアミノシランとの付加反応により直接合成することもできる。
(ii)の反応性異形シリカ微粒子の製造においては、反応性官能基修飾加水分解性シランを別途加水分解操作を行った後、これと異形シリカ微粒子を混合し、加熱、攪拌操作を行う方法、もしくは反応性官能基修飾加水分解性シランの加水分解を異形シリカ微粒子の存在下に行う方法、また、他の成分、例えば、多価不飽和有機化合物、単価不飽和有機化合物、放射線重合開始剤等の存在下、異形シリカ微粒子の表面処理を行う方法を選ぶことができるが、反応性官能基修飾加水分解性シランの加水分解を異形シリカ微粒子の存在下行う方法が好ましい。(ii)の反応性異形シリカ微粒子を製造する際、その温度は、通常20℃以上150℃以下であり、また処理時間は5分〜24時間の範囲である。
加水分解反応を促進するため、触媒として酸、塩もしくは塩基を添加してもよい。酸としては有機酸および不飽和有機酸;塩基としては3級アミンまたは4級アンモニウムヒドロキシドが好適な物として挙げられる。これら酸もしくは塩基触媒の添加量は反応性官能基修飾加水分解性シランに対して0.001質量%〜1.0質量%の範囲内、好ましくは0.01質量%〜0.1質量%の範囲内である。
反応性異形シリカ微粒子としては、分散媒を含有しない粉末状の微粒子を用いてもよいが、分散工程を省略でき、生産性が高い点から微粒子を溶剤分散ゾルとしたものを用いることが好ましい。
なお、ハードコート層は、反応性異形シリカ微粒子が有する反応性官能基が反応したものだけでなく、反応性異形シリカ微粒子の反応性官能基が反応していないものを含んでいてもよい。
反応性異形シリカ微粒子の含有量は、硬化性樹脂組成物の全固形分に対して40質量%〜70質量%の範囲内であることが好ましく、50質量%〜60質量%の範囲内であることがより好ましい。含有量が少ないとハードコート層に十分な硬度を付与できないおそれがある。含有量が多いと、充填率が上がり過ぎ、反応性異形シリカ微粒子とモノマーとの密着性が悪化し、かえってハードコート層の硬度を低下させてしまうおそれがある。
ここで、固形分とは、硬化性樹脂組成物中に含まれる成分のうち溶剤以外のものを意味する。
(b)アクリル系ポリマー
本発明に用いられるアクリル系ポリマーは、重量平均分子量およびアクリル当量が所定の範囲内であり、ハードコートフィルムの加工性向上に寄与する成分である。
アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、ハードコート層に柔軟性を与え、加工時にクラックを防止する点から、30,000〜110,000の範囲内であり、中でも50,000〜110,000の範囲内であることが好ましく、特に60,000〜80,000の範囲内であることが好ましい。
ここで、重量平均分子量とは、下記条件のゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値をいう。
また、アクリル系ポリマーは、アクリル当量が200〜1,200の範囲内であり、中でも200〜1,000の範囲内であることが好ましい。
ここで、アクリル当量とは、アクリル系ポリマーの重量平均分子量を1分子中の(メタ)アクリル基の数で除した値を示す。
アクリル系ポリマーとしては、上記重量平均分子量およびアクリル当量を満たすものであれば特に限定されないが、グリセロール(メタ)アクリレートの重合体、またはメタクリル酸グリシジルに(メタ)アクリル酸を付加重合した化合物の重合体であることが好ましい。具体的には、下記化学式(4)または(5)で表されるアクリルモノマーの重合体が好ましく用いられる。
Figure 2015222364
上記式(4)において、R〜Rはそれぞれ独立してアクリレート基、メタクリレート基または水素原子であり、R〜Rのうち1つ以上はアクリレート基またはメタクリレート基である。すなわち、上記式(4)で表されるグリセロール(メタ)アクリレートは、単官能、2官能および3官能のいずれであってもよい。
また、上記式(5)において、Rはアクリル酸基またはメタクリル酸基である。
このようなアクリル系ポリマーとしては、例えば、星光PMC(株)製のBL−2002が挙げられる。
また、アクリル系ポリマーとしては、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜混合して用いてもよい。
アクリル系ポリマーの含有量は、硬化性樹脂組成物の全固形分に対して3質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましく、5質量%〜10質量%であることがより好ましく、6質量%〜8質量%の範囲内であることがさらに好ましい。アクリル系ポリマーの含有量が上記範囲内であれば、ハードコート層の硬さを維持しつつハードコートフィルムの加工性を向上させることができる。
また、アクリル系ポリマーの含有量は、後述のモノマー100重量部に対して5重量部〜80重量部の範囲内で設定することができ、20重量部〜40重量部の範囲内であることが好ましく、10重量部〜30重量部の範囲内であることがさらに好ましい。
(c)モノマー
本発明において、モノマーは、ハードコート層のマトリクス樹脂となる成分である。
モノマーは、通常、反応性官能基を有する。モノマーは、硬化した際にモノマー同士で架橋する。また、モノマーの反応性官能基は、反応性異形シリカ微粒子の反応性官能基と架橋反応性を有するため、モノマーは反応性異形シリカ微粒子と架橋し、網目構造が形成され、ハードコート層の硬度および耐擦傷性をさらに高める。反応性官能基としては、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合およびエポキシ基等が挙げられる。モノマーの反応性官能基は、反応性異形シリカ微粒子の反応性官能基と同じであっても異なっていてもよい。
モノマーとしては、硬化性有機樹脂が好ましく、塗膜とした時に光が透過する透光性のものが好ましく、紫外線または電子線で代表される電離放射線により硬化する樹脂である電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂等を要求性能等に応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系等が挙げられる。モノマーとして、1種または2種以上のモノマーを用いることができる。
モノマーは、反応性官能基を3つ以上有することが、架橋密度を高められる点から好ましい。反応性官能基を3つ以上有する多官能モノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート、およびこれらの変性体が挙げられる。なお、変性体としては、エチレンオキサイド変性体、プロピレンオキサイド変性体、カプロラクトン変性体、およびイソシアヌル酸変性体等が挙げられる。
中でも、多官能モノマーとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートが好ましく用いられ、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートが特に好ましく用いられる。
なお、ハードコート層は、モノマーが架橋したものだけでなく、架橋していないモノマーを含んでいてもよい。
モノマーの含有量は、硬化性樹脂組成物の全固形分に対して25質量%〜44質量%の範囲内であることが好ましく、30質量%〜40質量%の範囲内であることがより好ましい。含有量が少ないとハードコート層に十分な硬度を付与できないおそれがある。また、含有量が多いと、ハードコート層の硬度が上がり過ぎ、また上記アクリル系ポリマーの含有量が相対的に少なくなり、ハードコートフィルムの加工性を低下させてしまうおそれがある。
(d)重合開始剤
本発明において、硬化性樹脂組成物は重合開始剤を含有していてもよい。硬化性樹脂組成物を紫外線照射または加熱等により硬化させる場合には重合開始剤が用いられるが、電子線照射により硬化させる場合には重合開始剤が不要である。
重合開始剤は、光および熱の少なくともいずれかにより分解されて、ラジカルもしくはカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカルおよびカチオン重合開始剤等を適宜選択して用いることができる。
ラジカル重合開始剤は、光および熱の少なくともいずれかによりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。例えば、光ラジカル重合開始剤としては、イミダゾール誘導体、ビスイミダゾール誘導体、N−アリールグリシン誘導体、有機アジド化合物、チタノセン類、アルミナート錯体、有機過酸化物、N−アルコキシピリジニウム塩、チオキサントン誘導体等が挙げられる。具体例としては、特開2010−102123号公報および特開2010−120182号公報に記載のものを挙げることができる。
また、カチオン重合開始剤は、光および熱の少なくともいずれかによりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。カチオン重合開始剤としては、スルホン酸エステル、イミドスルホネート、ジアルキル−4−ヒドロキシスルホニウム塩、アリールスルホン酸−p−ニトロベンジルエステル、シラノール−アルミニウム錯体、(η−ベンゼン)(η−シクロペンタジエニル)鉄(II)等が例示される。具体例としては、特開2010−102123号公報および特開2010−120182号公報に記載のものを挙げることができる。
ラジカル重合開始剤としてもカチオン重合開始剤としても用いられるものとしては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、トリアジン化合物、鉄アレーン錯体等が例示される。具体例としては、特開2010−102123号公報および特開2010−120182号公報に記載のものを挙げることができる。
中でも、重合開始剤は、可視光領域における吸収率が比較的低いことが好ましい。可視光領域における吸収率が高いと、ハードコートフィルムの光透過性が低下するおそれがあるからである。
重合開始剤の含有量は、硬化性樹脂組成物の全固形分に対して2質量%〜5質量%の範囲内であることが好ましく、2質量%〜2.5質量%の範囲内であることがより好ましい。含有量が少ないとモノマー等の重合反応が十分に進行せず、ハードコート層に十分な硬度を付与できないおそれがある。また、含有量が多いとモノマー等の重合反応が速く進行し、作業性が低下したり不均一な硬化物となったりするおそれがある。
(e)界面活性剤
本発明に用いられる硬化性樹脂組成物は、界面活性剤をさらに含有していてもよい。界面活性剤は、塗工安定性、滑り性、防汚性および耐擦傷性を付与する成分である。
界面活性剤としては、例えば、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素シリコン系界面活性剤等を挙げることができる。
界面活性剤は市販のものを使用することができ、例えば特開2010−102123号公報および特開2010−120182号公報に記載のレベリング剤を用いることができる。
また、フッ素シリコン系界面活性剤としては、例えばパーフルオロアルキル基およびシロキサン結合を有する化合物を挙げることができ、具体的にはパーフルオロアルキル基を有し、シロキサンとポリエーテルとが共重合した化合物が挙げられる。パーフルオロアルキル基の炭素数は例えば4〜10である。パーフルオロアルキル基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。ポリエーテル基としては、ポリエチレンオキシド鎖、ポリプロピレンオキシド鎖、それらの共重合体等が挙げられる。
このようなフッ素シリコン系界面活性剤としては、具体的には下記化学式(6)で表わされる化合物を挙げることができる。
Figure 2015222364
上記式(6)中、Rは炭素数4〜10のパーフルオロアルキル基、Qはポリエチレンオキシド鎖またはポリプロピレンオキシド鎖であり、kおよびmはそれぞれ0または1であり、nは1、2または3である。
界面活性剤の含有量は、硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0.2質量%以下であることが好ましく、0.08質量%〜0.1質量%の範囲内であることがより好ましい。
界面活性剤として、フッ素系界面活性剤、フッ素シリコン系界面活性剤を用いる場合は、ハードコート層表面にフッ素系化合物を局在化させることを阻害しない程度に含有量が調整される。
(f)青色色材
本発明に用いられる硬化性樹脂組成物は、青色色材をさらに含有していてもよい。本発明のハードコートフィルムを画像表示装置に用いた場合には、黄色味を抑え、視認性や色再現性を向上させることができるからである。
青色色材としては、一般的な顔料および染料を用いることができる。具体的には、フタロシアニン系顔料、インダンスレンブルー系顔料等が挙げられる。
青色色材の含有量は、後述するハードコート層の透過率が85%以上、好ましくは90%以上になるような量であればよく、適宜調整される。例えば、青色色材の含有量は、硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0.05質量%以下であることが好ましい。
(g)ウレタンアクリレート
本発明に用いられる硬化性樹脂組成物は、ウレタンアクリレートをさらに含有していてもよい。ウレタンアクリレートを添加することにより、ハードコート層に柔軟性を付与することができ、反りの発生を抑制することができるからである。特に、図4および図5に例示するように基板2の両面にそれぞれハードコート層3および第2のハードコート層5が形成されている場合には、ウレタンアクリレートが添加された硬化性樹脂組成物を用いてハードコート層3および第2のハードコート層5を形成することにより、反りの発生をさらに抑制するとともに、耐衝撃性を向上させることができる。
ウレタンアクリレートとしては、例えばハードコート層に用いられる一般的なウレタンアクリレートを使用することができる。具体的には、特開2011−31527号公報、特開2009−84328号公報、国際公開第2012/8444号パンフレットに記載されているものが挙げられる。
ウレタンアクリレートの含有量は、後述するハードコート層の鉛筆硬度が所定の範囲になるような量であればよく、適宜調整される。例えば、ウレタンアクリレートの含有量は、上記モノマー100重量部に対して4重量部〜100重量部の範囲内で設定することができる。
(h)溶剤
本発明に用いられる硬化性樹脂組成物は、通常、溶剤を含有する。
溶剤は特に限定されないが、ハードコートフィルムの硬度を高める観点から非浸透性溶剤が好ましい。ここで、浸透とは、基板を溶解または膨潤させることをいう。
非浸透性溶剤の具体例としては、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、およびtert−ブタノール等が挙げられる。
(i)その他の成分
本発明に用いられる硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、帯電防止剤、防眩剤、各種増感剤等を含有していてもよい。
(j)硬化性樹脂組成物
硬化性樹脂組成物は、溶剤に反応性異形シリカ微粒子、アクリル系ポリマー、モノマー、重合開始剤等を一般的な調製方法に従って混合し分散処理することにより調製することができる。混合分散には、ペイントシェーカーまたはビーズミル等を用いることができる。
また、本発明における硬化性樹脂組成物は、フッ素系化合物を含有しないものであることが好ましい。上記硬化性樹脂組成物を硬化させてハードコート層前駆体を形成した後、フッ素系化合物を含む塗工液を塗布する際に、ハードコート層前駆体表面に上記塗工液を塗布しやすくなるからである。
(2)異形シリカ微粒子
本発明におけるハードコート層に含有される異形シリカ微粒子は、上記硬化性樹脂組成物に含有される反応性異形シリカ微粒子同士が架橋することにより、または反応性異形シリカ微粒子がモノマーと架橋することにより形成される。すなわち、ハードコート層には、異形シリカ微粒子同士が架橋されたものや、マトリクス樹脂と架橋された異形シリカ微粒子が含有される。
なお、ハードコート層には、異形シリカ微粒子として、反応性異形シリカ微粒子が有する反応性官能基が反応したものだけでなく、反応性異形シリカ微粒子の反応性官能基が反応していないものが含まれていてもよい。
ハードコート層中の異形シリカ微粒子の含有量としては、上記硬化性樹脂組成物の全固形分中の反応性異形シリカ微粒子の含有量と同様とすることができる。
(3)アクリル系ポリマー
本発明におけるハードコート層に含有されるアクリル系ポリマーは、重量平均分子量およびアクリル当量が所定の範囲内であるものである。
なお、アクリル系ポリマーについては、上記硬化性樹脂組成物に含有されるアクリル系ポリマーと同様であるので、ここでの説明は省略する。
ハードコート層中のアクリル系ポリマーの含有量としては、上記硬化性樹脂組成物の全固形分中のアクリル系ポリマーの含有量と同様とすることができる。
(4)マトリクス樹脂
本発明におけるハードコート層に含有されるマトリクス樹脂は、異形シリカ微粒子およびアクリル系ポリマーと複合体を形成している樹脂である。マトリクス樹脂と異形シリカ微粒子とアクリル系ポリマーとにより三次元的な網目構造が形成されていることにより、ハードコート層の硬度や耐擦傷性が高くなると考えられる。
このようなマトリクス樹脂としては、例えばアクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエーテル等を挙げることができる。中でも、アクリル樹脂が好ましい。アクリル系ポリマーと親和性が高いため、ハードコート層の特性が向上するためである。
また、マトリクス樹脂は、上記硬化性樹脂組成物に含有されるモノマー同士が架橋することにより、またはモノマーが反応性異形シリカ微粒子と架橋することにより形成されるものであることが好ましい。すなわち、ハードコート層には、架橋結合を有するマトリクス樹脂や、異形シリカ微粒子と架橋されたマトリクス樹脂が含有されていることが好ましい。
上記の場合、マトリクス樹脂は、モノマーに由来する構成単位を有する重合体であることが好ましい。特に、アクリル系ポリマーとの親和性や分子設計のしやすさのため、マトリクス樹脂は、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等のヒドロキシ基含有のモノマーに由来する構成単位を有する重合体であることが好ましい。この構成単位としては、中でも、ペンタエリスリトールのモノマーに由来する構成単位であることが好ましい。例えば、ペンタエリスリトールのモノマーがエーテル結合やエステル結合等の化学結合をすることで得られる構造が挙げられる。より具体的には、ペンタエリスリトールトリメチルエーテル、類似骨格としてペンタエリスリトールテトラメチルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサメチルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタメチルエーテル等の構造を挙げることができる。
ハードコート層中のマトリクス樹脂の含有量としては、上記硬化性樹脂組成物の全固形分中のモノマーの含有量と同様とすることができる。
(5)重合開始剤
本発明におけるハードコート層は重合開始剤を含有していてもよい。
なお、重合開始剤については、上記硬化性樹脂組成物に含有される重合開始剤と同様であるので、ここでの説明は省略する。
ハードコート層中の重合開始剤の含有量としては、上記硬化性樹脂組成物の全固形分中の重合開始剤の含有量と同様とすることができる。
(6)界面活性剤
本発明におけるハードコート層は界面活性剤を含有していてもよい。
なお、界面活性剤については、上記硬化性樹脂組成物に含有される界面活性剤と同様であるので、ここでの説明は省略する。
ハードコート層中の界面活性剤の含有量としては、上記硬化性樹脂組成物の全固形分中の界面活性剤の含有量と同様とすることができる。
(7)青色色材
本発明におけるハードコート層は青色色材を含有していてもよい。
なお、青色色材については、上記硬化性樹脂組成物に含有される青色色材と同様であるので、ここでの説明は省略する。
ハードコート層中の青色色材の含有量としては、上記硬化性樹脂組成物の全固形分中の青色色材の含有量と同様とすることができる。
(8)ウレタンアクリレート
本発明におけるハードコート層はウレタンアクリレートを含有していてもよい。
なお、ウレタンアクリレートについては、上記硬化性樹脂組成物に含有されるウレタンアクリレートと同様であるので、ここでの説明は省略する。
ハードコート層中のウレタンアクリレートの含有量としては、上記硬化性樹脂組成物中のウレタンアクリレートの含有量と同様とすることができる。
(9)ハードコート層
ハードコート層の硬度は、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験(4.9N荷重および9.8N荷重)で評価できる。ハードコート層の4.9N荷重における鉛筆硬度は6H以上であることが好ましく、中でも7H以上、特に9H以上であることが好ましい。また、ハードコート層の9.8N荷重の鉛筆硬度は4H以上であることが好ましい。
ハードコート層は光透過性を有するものである。ハードコート層の可視光領域における透過率としては、具体的には、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。上記透過率が上記範囲であることにより、光透過性に優れたハードコート層を形成することができるからである。
ここで、ハードコート層の透過率は、JIS K 7105で規定する方法により測定した全光線透過率とする。
また、ハードコート層のヘイズ値としては、反応性異形シリカ微粒子の種類等に応じて適宜決定されるものであり、特に限定されないが、例えば、1.0以下、中でも0.8以下、特に0.5以下であることが好ましい。ヘイズ値が上記範囲であることにより、光透過性の良好なハードコート層とすることができるからである。
なお、ヘイズ値は、JIS−K−7136に準拠した方法で測定することができ、例えば準積分球を用いて、東洋精機製作所(株)製の直読ヘイズメーターにより測定することができる。また、ヘイズ値は、JIS K−7105に準拠した方法で測定することもでき、例えば村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM150により測定することができる。
ハードコート層は防汚性を有するものである。防汚性は濡れ性で評価することができ、具体的には、ハードコート層表面の濡れ性は、硬化性樹脂組成物に用いられる成分に応じて適宜決定されるものであり、特に限定されないが、ハードコート層表面での水滴の接触角が90°以上であることが好ましく、100°以上であることがより好ましく、110°以上であることがさらに好ましい。上記のような濡れ性であれば、ハードコート層が良好な防汚性を発揮できるからである。一方、上記水滴の接触角は、通常120°以下である。
なお、水滴の接触角は、協和界面科学(株)製の接触角測定器CA−Z型を用い、マイクロシリンジから水滴を滴下して30秒後の水との接触角を測定することで求めることができる。
また、本発明のハードコートフィルムがタッチパネル等に用いられる場合には、ハードコート層は易滑性を有することが好ましい。易滑性は動摩擦係数で評価することができ、動摩擦係数が小さいほど良好な易滑性を示す。ハードコート層の表面の動摩擦係数としては、例えば、0.300以下であり、0.200以下であることが好ましく、0.100以下であることがより好ましい。動摩擦係数が大きすぎると、ハードコート層の表面でのタッチ操作を良好に行うことが困難となる可能性があるからである。
なお、動摩擦係数は、JIS K7125に準拠した方法により測定することができ、例えば、新東科学(株)社製の動摩擦試験機HEIDON Type HHS2000で、直径10mmのステンレス剛球を用い、荷重200g、速度5mm/secにて動摩擦係数を測定することができる。
ハードコート層の厚みとしては、所望の硬度および加工性を発揮することが可能であれば特に限定されるものではなく、例えば5μm〜40μm程度にすることができ、中でも10μm〜30μmの範囲内、特に16μm〜26μmの範囲内であることが好ましい。ハードコート層が薄いと十分な硬度を発揮できず、厚いとクラックや反りが発生するおそれがあるからである。
また、ハードコート層表面における異形シリカ微粒子の存在量としては、フッ素系化合物と結合することができれば特に限定されないが、Siの存在量が2atmic%以上であることが好ましい。
上記ハードコート層表面における異形シリカ微粒子の存在量が少なすぎるとフッ素系化合物を十分に有することが困難となる可能性があるからである。また、上記ハードコート層表面における異形シリカ微粒子の存在量が多すぎると、硬度が高くなりすぎて破損し易くなる可能性があるからである。
上記ハードコート層表面における異形シリカ微粒子の存在量は、ハードコート層の最表面から厚さ方向10nmまでにおける異形シリカ微粒子の存在量をいい、X線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy(XPS))を用いて測定することができる。具体的には、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製XPS装置(ESCALAB 220i−XL)を用いて測定することができる。
3.ハードコート層の形成方法
本発明におけるハードコート層の形成方法については、特に限定されず、例えば、後述する「B.ハードコートフィルムの製造方法」の項で説明する方法を用いて形成することができる。
II.基板
本発明に用いられる基板は、光透過性を有するものであり、ハードコートフィルムの基板として用い得る物性を満たすものであれば特に限定されない。通常、ハードコートフィルムに用いられる基板には、透明、半透明、無色または有色を問わないが、光透過性が要求される。
基板の材料としては、例えばアクリレート系ポリマー、ポリカーボネート、ポリエステル、セルロースアシレート、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。アクリレート系ポリマーの具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等が挙げられる。ポリカーボネートの具体例としては、ビスフェノールA等のビスフェノール類をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の脂肪族ポリカーボネート等が挙げられる。ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。セルロースアシレートの具体例としては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート等が挙げられる。シクロオレフィンポリマーの具体例としては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体樹脂等が挙げられる。
基板は、単層であってもよく、複数層が積層されたものであってもよい。単層の場合、基板の材料はアクリレート系ポリマーであることが好ましく、アクリレート系ポリマーのなかでもポリメタクリル酸メチルがより好ましい。透明性が高いからである。また、単層の場合、基板の材料はポリカーボネートであることも好ましい。一方、複数層の場合、基板は複数の樹脂層を有することになる。樹脂層の積層数は、2層以上であればよく、3層〜5層の範囲内であることが好ましく、3層であることがより好ましい。
基板が3層以上の樹脂層を有する場合、最も外に位置する2つの層を最外樹脂層とし、2つの最外樹脂層の内側に位置する層を内側樹脂層とする。図3に示すように、例えば基板2が3層の樹脂層2a〜2cを有する場合、最も外に位置する2つの樹脂層を最外樹脂層2b、2cとし、2つの最外樹脂層2b、2cの内側に位置する層を内側樹脂層2aとする。なお、内側樹脂層2aは単層であってもよく複数層であってもよい。
基板が3層以上の樹脂層を有する場合、基板の両面にそれぞれ位置する2つの最外樹脂層の鉛筆硬度は、内側樹脂層の鉛筆硬度よりも高いことが好ましい。最外樹脂層の硬度を高くすることで、硬度の高いハードコートフィルムを形成しやすくなり、内側樹脂層の硬度を低くすることで、熱膨張率等の違いにより生じる応力を緩和でき、すなわち内側樹脂層がクッション層となり、例えば耐落球試験性のような耐衝撃性が向上するからである。最外樹脂層と内側樹脂層との硬度の差は、鉛筆硬度の基準において、2段階以上離れていることが好ましく、3段階以上離れていることがより好ましい。最外樹脂層の鉛筆硬度は、例えばHB以上であることが好ましく、H以上5H以下であることがより好ましい。内側樹脂層の鉛筆硬度は、例えばH以下であることが好ましく、3B以上HB以下であることがより好ましい。
また、基板が複数層の樹脂層を有する場合、基板の鉛筆硬度は2H以上であることが好ましく、3H以上であることがより好ましい。ハードコートフィルムの硬度をさらに向上させることができるからである。なお、基板の鉛筆硬度は高いことが好ましいが、通常は4H以下である。
一方、基板が単層の場合でも、基板の鉛筆硬度は2H以上であることが好ましい。
基板の鉛筆硬度はJIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験(4.9N荷重)により測定することができる。
また、図3に例示するように、基板2が3層の樹脂層2a〜2cを有する場合、内側樹脂層2aがポリカーボネートであり、2つの最外樹脂層2b、2cがアクリレート系ポリマーであることが好ましい。耐衝撃性が向上するからである。この場合、1つの最外樹脂層の厚さは、60μm〜110μmの範囲内であることが好ましい。
また、基板は青色色材を含有していてもよい。青色色材をハードコート層に添加する代わりに、基板に添加することにより、画像表示装置に用いた場合に黄色味を抑え視認性や色再現性を向上させることが可能なハードコートフィルムを得ることができる。なお、青色色材については、上記ハードコート層に記載したものと同様とすることができる。
基板は、より多くの光を透過することが好ましい。可視光領域における全光線透過率としては、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。なお、全光線透過率は、JIS K 7105で規定する方法により測定した値とする。
また、基板は可撓性を有していてもよく有さなくてもよい。
基板の厚さは、特に限定されるものではないが、可撓性を有さない基板の場合、0.3mm以上であることが好ましく、0.3mm〜5mmの範囲内であることがより好ましい。上記範囲内であれば、十分な耐衝撃性を維持できるからである。一方、可撓性を有する基板の場合、基板の厚さは、材料や構成等により異なるが、例えば10μm〜500μmの範囲内で設定することができる。
また、基板には、例えば、けん化処理、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線処理、火炎処理等の表面処理が施されていてもよい。
III.第2のハードコート層
本発明においては、図4および図5に例示するように、基板2のハードコート層3の形成面とは反対側の面に第2のハードコート層5が形成されていてもよい。第2のハードコート層5が形成されていることにより、ハードコートフィルムの硬度をさらに向上させることができる。
第2のハードコート層5は、図5に示すように、その最表面にフッ素系化合物4が局在化していてもよく、図4に示すように、その最表面にフッ素系化合物が局在化していてなくてもよい。
なお、第2のハードコート層に用いられる硬化性樹脂組成物については、上記ハードコート層に用いられる硬化性樹脂組成物と同様である。
中でも、第2のハードコート層に用いられる硬化性樹脂組成物はウレタンアクリレートを含有することが好ましい。この場合、上記ハードコート層に用いられる硬化性樹脂組成物もウレタンアクリレートを含有することが好ましい。上述したように、ウレタンアクリレートを添加することにより、ハードコート層および第2のハードコート層に柔軟性を付与することができ、反りの発生を抑制するとともに、耐衝撃性を向上させることができるからである。
第2のハードコート層に用いられる硬化性樹脂組成物は、上記ハードコート層に用いられる硬化性樹脂組成物と同じであってもよく異なっていてもよい。中でも、第2のハードコート層に用いられる硬化性樹脂組成物は、上記ハードコート層に用いられる硬化性樹脂組成物と同じであることが好ましい。反りの発生をさらに抑制できるからである。
また、第2のハードコート層の厚みについては、上記ハードコート層の厚みと同様である。第2のハードコート層の厚みは、上記ハードコート層の厚みと同一であってもよく異なっていてもよい。中でも、第2のハードコート層の厚みは、上記ハードコート層の厚みと同一であることが好ましい。上記の場合と同様に、反りの発生をさらに抑制できるからである。
第2のハードコート層の特性や形成方法等については、上記ハードコート層と同様である。
IV.その他の構成
本発明のハードコートフィルムは、基板およびハードコート層を有していればよいが、ハードコートフィルムの用途等に応じて他の層をさらに有していてもよい。
1.加飾層
また、本発明のハードコートフィルムが、例えば、タッチパネルの前面板として用いられる場合は、基板上に加飾層が形成されていてもよい。加飾層を有することにより、タッチパネルとした際に、タッチパネルの額縁に装飾を施すことができるからである。
加飾層は、タッチパネルのセンサ部が配置される領域の外側に形成されるものであり、通常、額縁形状で形成されるものである。
図6に例示するように、加飾層8は基板2のハードコート層3の形成面に形成されていてもよく、図示はしないが、上記形成面とは反対側の面に形成されていてもよい。また、図6に例示するように、加飾層5がハードコート層3の形成面に形成される場合は、基板2上に、直接、加飾層8が形成され、加飾層8上にハードコート層3が形成される構成を有する。
加飾層の材料については、一般的なタッチパネルの加飾層に用いられるものと同様とすることができ、通常、顔料等の色材とバインダー樹脂とを含有する。
加飾層の厚さとしては、タッチパネルに所望の装飾を施すことができれば特に限定されないが、例えば、1μm〜100μmの範囲内、なかでも1μm〜80μmの範囲内、特に1μm〜60μmの範囲内であることが好ましい。
加飾層の厚さが厚すぎると、加飾層にクラックが発生する可能性がある。また、加飾層の厚さが薄すぎると加飾層を用いて十分な装飾を行うことが困難となる可能性があるからである。
2.他の層
他の層としては、上述した加飾層以外にも、例えばプライマー層、帯電防止層、低屈折率層等が挙げられる。
また本発明においては、基板のハードコート層の形成面とは反対側の面に青色色材を含有する着色層が形成されていてもよい。青色色材をハードコート層に添加する代わりに、青色色材を含有する着色層を形成することにより、画像表示装置に用いた場合に黄色味を抑え視認性や色再現性を向上させることができるハードコートフィルムを得ることができる。
着色層は青色色材およびバインダー樹脂を含有するものである。なお、青色色材については、上記ハードコート層に記載したものと同様とすることができる。バインダー樹脂としては、一般的なものを用いることができ、例えば特開2000−57976号公報に記載の着色層に用いられる樹脂を使用することができる。
V.その他
本発明のハードコートフィルムは可撓性を有していてもよく有さなくてもよい。
本発明のハードコートフィルムの用途は特に限定されるものではなく、例えば、タッチパネル等の接触式画像表示装置用途、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の非接触式画像表示装置用途、色素増感型太陽電池等の太陽電池用途等が挙げられる。中でも、本発明のハードコートフィルムは、タッチパネルの前面板として用いられることが好ましい。タッチパネルの前面板は、指が直接接触する部材であり、高い硬度および耐擦傷性が求められているからである。
B.ハードコートフィルムの製造方法
本発明のハードコートフィルムの製造方法は、基板上に、反応性異形シリカ微粒子と、重量平均分子量が30,000〜110,000の範囲内であり、アクリル当量が200〜1,200の範囲内であるアクリル系ポリマーと、モノマーとを含有する硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させてハードコート層前駆体を形成するハードコート層前駆体形成工程と、上記ハードコート層前駆体上にフッ素系化合物を含む塗工液を塗布して加熱することにより、上記ハードコート層前駆体の上記基板側とは反対側の表面にフッ素系化合物が局在化するようにハードコート層を形成するフッ素系化合物付与工程と、を有することを特徴とする製造方法である。
本発明のハードコートフィルムの製造方法について図を用いて説明する。
図7(a)、(b)は、本発明のハードコートフィルムの製造方法の一例を示す工程図である。本発明のハードコートフィルムの製造方法においては、図7(a)に示すように、基板2上に、反応性異形シリカ微粒子と、重量平均分子量およびアクリル当量が所定の範囲内であるアクリル系ポリマーと、モノマーとを含有する硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させてハードコート層前駆体3’を形成する(ハードコート層前駆体形成工程)。つぎに、図示はしないが、ハードコート層前駆体上にフッ素系化合物を含む塗工液を塗布して加熱することにより、図7(b)に示すように、ハードコート層前駆体の基板側とは反対側の表面にフッ素系化合物4が局在化するようにハードコート層3を形成する(フッ素系化合物付与工程)。以上の工程を経て、ハードコートフィルム1を製造する。
本発明によれば、上記フッ素系化合物付与工程を有することにより、ハードコート層の基板側とは反対側の表面上にフッ素系化合物を有することができることから、防汚性の低下を抑制可能なハードコート層を形成することができる。
以下、本発明のハードコートフィルムの製造方法の各工程について説明する。
I.ハードコート層前駆体形成工程
本発明におけるハードコート層前駆体形成工程は、基板上に、反応性異形シリカ微粒子と、重量平均分子量が30,000〜110,000の範囲内であり、アクリル当量が200〜1,200の範囲内であるアクリル系ポリマーと、モノマーとを含有する硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させてハードコート層前駆体を形成する工程である。
本工程に用いられるハードコート層用硬化性樹脂組成物、および基板については、上述した「A.ハードコートフィルム」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
硬化性樹脂組成物の塗布方法は、基板上に硬化性樹脂組成物を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の各種方法を用いることができる。また、基板上への硬化性樹脂組成物の塗工量としては、所望の膜厚のハードコート層が得られるように調節することが好ましい。
塗膜の乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥、およびこれらの組み合わせ等が挙げられる。常圧で乾燥させる場合、基板が劣化しない温度範囲で乾燥させることが好ましく、例えば30℃〜110℃の範囲内で乾燥させることが好ましい。
塗膜の硬化方法としては、光照射および加熱の少なくともいずれかを用いることができる。
光照射には、主に、紫外線、可視光、電子線、電離放射線等が使用され、中でも紫外線が好ましく用いられる。紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線を使用する。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、例えば50mJ/cm〜5000mJ/cmの範囲内であることが好ましい。
また、加熱する場合、基板が劣化しない温度範囲で加熱することが好ましく、例えば40℃〜120℃の範囲内で加熱することが好ましい。また、25℃程度の室温で24時間以上放置することにより反応を行ってもよい。
II.フッ素系化合物付与工程
本発明におけるフッ素系化合物付与工程は、上記ハードコート層前駆体上にフッ素系化合物を含む塗工液を塗布して加熱することにより、上記ハードコート層前駆体の上記基板側とは反対側の表面にフッ素系化合物が局在化するようにハードコート層を形成する工程である。
本工程に用いられるフッ素系化合物については、上述した「A.ハードコートフィルム」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
また、上記塗工液に用いられる溶剤としては、フッ素系化合物を溶解または分散させることができればよく、例えば、フッ素系溶剤を好適に用いることができる。フッ素系溶剤としては、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、パーフルオロポリエーテル等を挙げることができる。
上記塗工液中のフッ素系化合物の含有量としては、ハードコート層の最表面に必要な防汚性の程度、フッ素系化合物の種類、上記塗工液の塗布方法等に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。
上記塗工液の塗布方法としては、ハードコート層上に上記塗工液を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の各種方法を用いることができる。また、ハードコート層上への上記塗工液の塗工量については、ハードコート層の最表面に所望のフッ素系化合物を付与することができるように調節することが好ましい。
上記塗工液の塗膜の乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥、およびこれらの組み合わせ等が挙げられる。常圧で乾燥させる場合、基板が劣化しない温度範囲で乾燥させることが好ましく、例えば30℃〜110℃の範囲内で乾燥させることが好ましい。また、フッ素系化合物がフッ素系シランカップリング剤である場合は、加水分解縮合、共加水分解縮合が生じるように加熱温度を調節することが好ましい。
III.その他
本発明のハードコートフィルムの製造方法は、上述したハードコート層前駆体形成工程と、フッ素系化合物付与工程とを有していれば特に限定されず、必要な工程を適宜選択して追加することができる。例えば、上述した第2のハードコート層を形成する工程や、加飾層を形成する工程や、青色着色層を形成する工程等を挙げることができる。
本発明の製造方法により製造されるハードコートフィルムについては、上述した「A.ハードコートフィルム」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例]
(準備)
基板として、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)およびポリメタクリル酸メチル(PMMA)をこの順に積層した積層体を用意した。積層体は全体の厚さ1.0mm、PMMAの厚さ100μm、鉛筆硬度3Hであった。
反応性異形シリカ微粒子として、平均1次粒径55nmのシリカ微粒子3〜10個が無機の化学結合により結合した平均2次粒径100nm〜300nm、反応性官能基として光硬化性不飽和基を有する反応性異形シリカ微粒子を用い、固形分濃度40.0質量%、プロピレングリコール−1−メチルエーテルアセテート(PGMEA)溶剤の分散液を用意した。
モノマーとして、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を用意した。重合開始剤として、チバ・ジャパン(株)製のイルガキュア184を用意した。溶剤として、プロピレングリコール−1−メチルエーテルアセテート(PGMEA)を用意した。
ポリマーとして、重量平均分子量70,000、アクリル当量265のアクリル系ポリマーの星光PMC(株)のBL−2002を用いた。なお、星光PMC(株)製のBL−2002の組成は、アクリル樹脂30重量部〜40重量部、メチルエチルケトン60重量部〜70重量部、酢酸1重量部未満、2,6−ジ−tert−ブチル−4−クレゾール1重量部未満である。
(硬化性樹脂組成物の調製)
下記組成で、硬化性樹脂組成物を調製した。
<硬化性樹脂組成物の組成>
・反応性異形シリカ微粒子分散液:65.0重量部(固形分濃度40質量%)
・モノマー:19.0重量部
・ポリマー:11.0重量部
・重合開始剤:1.0重量部
・溶剤:3.8重量部
上記硬化性樹脂組成物の全固形分に対する反応性異形シリカ微粒子の含有量は52.5質量%、ポリマーの含有量は7.5質量%、モノマーの含有量は37.6質量%である。
また、上記反応性異形シリカ微粒子、ポリマーおよびモノマーの含有量は、ハードコート層中の異形シリカ微粒子、ポリマーおよびマトリクス樹脂の含有量を示す。
(ハードコート層前駆体の形成)
基板の片面に、硬化性樹脂組成物をスピンコート法にて塗布し、温度80℃のホットプレートで180秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させ、中心波長365nmの紫外線を積算光量が3000mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、膜厚20μmのハードコート層前駆体を形成した。
(フッ素系化合物付与工程)
フッ素系化合物を含む塗工液として、信越化学工業社製のKY-164を3M社製のフッ素系溶剤(Novec HFE7200)で20wt%濃度に調整した。
ハードコート層前駆体上に、フッ素系化合物を含む塗工液をスピンコート法にて塗布し、温度80℃のホットプレートで180秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させることにより、ハードコート層前駆体の最表面にフッ素系化合物を局在化させて、ハードコート層を形成した。
以上の手順によりハードコートフィルムを得た。
[比較例]
(準備)
基板として、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)およびポリメタクリル酸メチル(PMMA)をこの順に積層した積層体を用意した。積層体は全体の厚さ1.0mm、PMMAの厚さ100μm、鉛筆硬度3Hであった。
反応性異形シリカ微粒子として、平均1次粒径55nmのシリカ微粒子3〜10個が無機の化学結合により結合した平均2次粒径100nm〜300nm、反応性官能基として光硬化性不飽和基を有する反応性異形シリカ微粒子を用い、固形分濃度40.0質量%、プロピレングリコール−1−メチルエーテルアセテート(PGMEA)溶剤の分散液を用意した。
モノマーとして、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を用意した。重合開始剤として、チバ・ジャパン(株)製のイルガキュア184を用意した。界面活性剤として、信越化学工業社製のフッ素シリコン系界面活性剤X−71−1203Mを用意した。溶剤として、プロピレングリコール−1−メチルエーテルアセテート(PGMEA)を用意した。
ポリマーとして、重量平均分子量70,000、アクリル当量265のアクリル系ポリマーの星光PMC(株)のBL−2002を用いた。なお、星光PMC(株)製のBL−2002の組成は、アクリル樹脂30重量部〜40重量部、メチルエチルケトン60重量部〜70重量部、酢酸1重量部未満、2,6−ジ−tert−ブチル−4−クレゾール1重量部未満である。
(硬化性樹脂組成物の調製)
下記組成で、硬化性樹脂組成物を調製した。
<硬化性樹脂組成物の組成>
・反応性異形シリカ微粒子分散液:65.0重量部(固形分濃度40質量%)
・モノマー:19.0重量部
・ポリマー:11.0重量部
・重合開始剤:1.0重量部
・界面活性剤:0.2重量部
・溶剤:3.8重量部
上記硬化性樹脂組成物の全固形分に対する反応性異形シリカ微粒子の含有量は52.5質量%、ポリマーの含有量は7.5質量%、モノマーの含有量は37.6質量%である。
また、上記反応性異形シリカ微粒子、ポリマーおよびモノマーの含有量は、ハードコート層中の異形シリカ微粒子、ポリマーおよびマトリクス樹脂の含有量を示す。
(ハードコート層の形成)
基板の片面に、硬化性樹脂組成物をスピンコート法にて塗布し、温度80℃のホットプレートで180秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させ、中心波長365nmの紫外線を積算光量が3000mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、膜厚20μmのハードコート層を形成した。
[評価]
(信頼性試験後の防汚性維持状態観察)
信頼性試験として、ハードコートフィルムを温度85℃、湿度85%環境下で240時間放置した。ハードコート層の最表面に油性ペンでのインクのはじき具合から防汚性の有無を観察した結果、実施例においては信頼性試験の前後の両方で、ハードコート層の最表面ではインクがはじかれたことから、防汚性が維持されていることを確認した。一方、比較例においては、信頼性試験前ではハードコート層の最表面ではインクがはじかれたが、信頼性試験後はハードコート層の最表面ではインクがはじかれず防汚性が低下していることを確認した。
(ハードコート層表面の定量分析結果)
実施例のハードコートフィルムについて、上述した信頼性試験前のハードコート層の最表面から厚さ方向10nmの範囲内の元素組成、および最表面から厚さ方向4μmを超える部分の元素組成をサーモフィッシャーサイエンティフィック社製XPS装置(ESCALAB 220i−XL)を用いて測定した。結果を表1および表2に示す。
表1は、ハードコート層の最表面から厚さ方向10nmの範囲内の元素組成の測定結果、表2は、ハードコート層の最表面から厚さ方向4μmを超える部分の元素組成の測定結果である。
測定結果から、実施例におけるハードコート層表面には、フッ素系化合物が局在化していると考えられる。
また、実施例および比較例のハードコートフィルムについて、上述した信頼性試験前後のハードコート層の最表面から厚さ方向10nmの範囲内の元素組成をサーモフィッシャーサイエンティフィック社製XPS装置(ESCALAB 220i−XL)を用いて測定した。結果を表1に示す。
比較例においては、信頼性試験後において、Siの存在量が増加し、Fの存在量が減少していることから、異形シリカ微粒子がフッ素化合物よりもハードコート層表面側に移行し、フッ素化合物による防汚性が妨げられていることが推量される。
一方、実施例においては、ハードコート層の最表面にフッ素化合物が局在化していることにより、信頼性試験後において異形シリカ微粒子がハードコート層表面側に移行した場合も、フッ素化合物による防汚性を維持することができると推量される。
Figure 2015222364
Figure 2015222364
1 … ハードコートフィルム
2 … 基板
3 … ハードコート層
4 … フッ素系化合物
5 … 第2のハードコート層
8 … 加飾層

Claims (4)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成され、異形シリカ微粒子、重量平均分子量が30,000〜110,000の範囲内であり、アクリル当量が200〜1,200の範囲内であるアクリル系ポリマー、およびマトリクス樹脂を含有するハードコート層とを有するハードコートフィルムであって、
    前記ハードコート層の前記基板側とは反対側の表面にフッ素系化合物が局在化していることを特徴とするハードコートフィルム。
  2. 基板と、
    前記基板上に形成され、反応性異形シリカ微粒子、重量平均分子量が30,000〜110,000の範囲内であり、アクリル当量が200〜1,200の範囲内であるアクリル系ポリマー、およびモノマーを含有する硬化性樹脂組成物の硬化物を含むハードコート層とを有するハードコートフィルムであって、
    前記ハードコート層の前記基板側とは反対側の表面にフッ素系化合物が局在化していることを特徴とするハードコートフィルム。
  3. 前記フッ素系化合物がフッ素系シランカップリング剤であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハードコートフィルム。
  4. 基板上に、反応性異形シリカ微粒子と、重量平均分子量が30,000〜110,000の範囲内であり、アクリル当量が200〜1,200の範囲内であるアクリル系ポリマーと、モノマーとを含有する硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させてハードコート層前駆体を形成するハードコート層前駆体形成工程と、
    前記ハードコート層前駆体上にフッ素系化合物を含む塗工液を塗布して加熱することにより、前記ハードコート層前駆体の前記基板側とは反対側の表面にフッ素系化合物が局在化するようにハードコート層を形成するフッ素系化合物付与工程と、
    を有することを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。
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