JP2015218309A - 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】難燃性が高く、射出成形時に高い流動性を有し、成形品において耐衝撃性が向上した熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】結晶性ポリエステル樹脂100重量部と、有機化合物および無機化合物からなる核剤0.5〜5重量部と、を押出機を用いて溶融混練してポリエステル樹脂混合物を得る工程(1)と、前記ポリエステル樹脂混合物、ポリカーボネート樹脂、難燃剤、および増靭剤を混合する工程(2)と、を有する、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関する。
現在、ポリカーボネート樹脂やポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂およびその樹脂組成物は、優れた成形加工性、機械的物性、耐熱性、耐候性、外観性、衛生性および経済性などの観点から、容器、包装用フィルム、家電機器、OA機器、AV機器、電気・電子部品および自動車部品などの成形材料として幅広い分野で使用されている。
これらの用途に用いられる樹脂成型品は難燃性であることが要求される。熱可塑性樹脂を難燃性化するために、一般的に樹脂に難燃剤を添加することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
近年、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)」や「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)」などの法律が相次いで施行されることにより、このような熱可塑性樹脂およびその樹脂組成物の成形加工品のマテリアルリサイクル技術に対する関心が高まってきている。特に、使用量が急速に増加しているポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」ともいう。)樹脂を材料とするPETボトルのマテリアルリサイクル技術の確立は急務とされている。また、CD、CD−R、DVDおよびMDなどのようなポリカーボネート(以下、「PC」ともいう。)樹脂を材料とする光学記録媒体製品(光ディスク)の普及に伴い、これらの成形加工時に排出される端材の再利用方法や廃棄物となった光ディスクから反射層、記録層などを剥離した後に得られるポリカーボネート樹脂を再利用する方法の検討がなされている。
市場から回収された使用済みのPETボトルなどのPET樹脂に代表される結晶性テレフタレート系ポリエステルや光ディスクなどのPC樹脂の成形加工品を粉砕した樹脂を再度成形する場合、特に射出成形法により再度成形する場合においては、様々な成形体に適用できるようにするために、樹脂の特性として成形時に流動性が高いことが求められる。
さらに樹脂組成物が家電機器やOA機器などの構成部材にポリエステル樹脂およびポリカーボネート樹脂を用いる場合には、高い衝撃強度が必要とされる。
特開2012−136558号公報
しかしながら、PETなどの結晶性ポリエステル樹脂およびポリカーボネート樹脂を溶融混合した系では、成形時の流動性と、成形品の耐衝撃特性とを両立させることが困難であった。
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、高い難燃性を有するとともに、射出成形時に高い流動性を有し、さらに成形品の衝撃強度が高い樹脂組成物が得られる、結晶性ポリエステル樹脂およびポリカーボネート樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、以下の製造方法によって得られた熱可塑性樹脂組成物によって、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた;結晶性ポリエステル樹脂100重量部と、有機化合物および無機化合物の混合物からなる核剤0.5〜5重量部と、を押出機を用いて溶融混練してポリエステル樹脂混合物を得る工程(1)と、前記ポリエステル樹脂混合物、ポリカーボネート樹脂、難燃剤、および増靭剤を混合する工程(2)と、を有する、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
本発明によれば、結晶性ポリエステル樹脂と、有機化合物および無機化合物からなる核剤とを予め溶融混練することによって、難燃性の向上と、高流動性との双方を満たす樹脂組成物が得られる。また、結晶性ポリエステル樹脂と有機化合物および無機化合物の混合物からなる核剤とを予め溶融混練することによって、樹脂組成物の成形品の耐衝撃性が向上しうる。
本発明の一実施形態は、結晶性ポリエステル樹脂100重量部と、有機化合物および無機化合物からなる核剤0.5〜5重量部と、を押出機を用いて溶融混練してポリエステル樹脂混合物を得る工程(1)と、前記ポリエステル樹脂混合物、ポリカーボネート樹脂、難燃剤、および増靭剤を混合する工程(2)と、を有する、熱可塑性樹脂組成物の製造方法である。
以下、本発明の実施形態につき説明する。
本発明においては、結晶性ポリエステル樹脂と、有機化合物および無機化合物からなる核剤とを予め溶融混練した後に、難燃剤等の他の構成成分を添加することに特徴がある。
上述したように、PETなどの結晶性ポリエステル樹脂をリサイクルによって再度成形しようとすると、成形時の流動特性および成形品の耐衝撃性(靱性)の両立が困難なものとなっていた。
本発明者らは、結晶性ポリエステル樹脂を用いた場合に流動性が低下する原因として、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化が流動性や耐衝撃性に悪影響を与えているものと推測した。
そこで、鋭意検討した結果、結晶性ポリエステルと有機化合物および無機化合物からなる核剤(以下、単に核剤とする)とを予め溶融混練(1次練り)した後に他の成分を溶融混合することで、流動性および耐衝撃性を両立させることが可能となることを見出した。
本発明の製造方法により得られる熱可塑性樹脂組成物が、流動性および耐衝撃性の双方を向上させた詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように考えられる。なお、以下メカニズムは本発明を何ら限定するものではない。
核剤中の無機化合物の存在によってポリエステル樹脂結晶の核数が多くなり小さく細かい結晶が多数できる。そして、核剤中の有機化合物が結晶性ポリエステル樹脂の分子鎖に入り込み、結晶性樹脂の分子鎖の折りたたみ(=結晶化)を抑制することにより、結晶が一定の大きさに成長できなくなるものと考えられる。したがって、有機化合物と無機化合物とからなる核剤および結晶性ポリエステルを予め溶融混合することで、ポリエステル樹脂の結晶が小さく均一になるものと考えられる。
結晶性ポリエステル樹脂の結晶サイズが大きいと樹脂は脆くなり靱性は低下する。逆に、結晶性ポリエステル樹脂の結晶が小さく均一な場合には靱性は高くなる。また、結晶サイズが小さいほうが降温過程における粘度上昇が緩やかになり、すなわち、樹脂を金型に流して成形する際(降温過程に相当)、粘度上昇が緩やかなほうが樹脂は金型の隅々まで行きわたる。
このため、核剤および結晶性ポリエステルを予め溶融混合することで、樹脂組成物の靱性と流動性とが向上するものと考えられる。
結晶性ポリエステル樹脂および核剤を(一次練りを行わずに)他の添加成分と一括に溶融混合しても、樹脂の流動性および耐衝撃性の向上の両立は図れない(後述の比較例2参照)。これは、ポリカーボネート樹脂等と、一括に添加して溶融混合しても、結晶性ポリエステルと核剤との反応機会が減少し、結晶化の抑制が効果的に行われないことに起因するものと考えられる。
さらに、本発明の構成とすることで、上記耐衝撃性および高流動性の両立とともに、高い難燃性も維持される。
したがって、本発明の製造方法により得られた熱可塑性樹脂組成物は、複雑な構造を有する、事務機器や情報・通信機器、電気・電子機器、家庭用電化製品等の種々の用途の部品に使用することができる。また、回収した成形加工製品や成形加工時の端材等から得られたポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂の再生樹脂を使用する場合においても難燃性に優れ、弾性率、曲げ強度、耐衝撃強度等の機械的強度に優れた樹脂組成物、および成形体を得ることができる。
以下、各工程について説明する。
<工程(1)>
工程(1)では、結晶性ポリエステル樹脂100重量部および核剤0.5〜5重量部を押出機を用いて溶融混練してポリエステル樹脂混合物を得る。
溶融・混練処理の前に、結晶性ポリエステル樹脂および核剤を予め混合する予備混合処理を行ってもよい。予備混合に用いる混合機としては、V型混合機、リボンミキサー、ナウターミキサー、スーパーミキサー、等の混合機が挙げられる。また、予備混合処理の後においては、溶融混練処理の前に、熱可塑性ポリエステル樹脂の加水分解反応を抑制させる観点から、混合物を十分に乾燥させることが好ましい。この際の乾燥温度としては、特に限定されるものではないが、70〜100℃であることが好ましい。また、乾燥時間については特に限定されるものではないが、2〜6時間であることが好ましい。さらに乾燥の際、減圧下で行うことで、乾燥がより進行しやすくなるため、好ましい。
溶融混練は、押出機を用いて行う。高いせん断性を付与でき、原料を均一に混合出来ることから、溶融混練は多軸混練押出機を用いることが好ましく、二軸混練押出機を用いることがより好ましい。なお、溶融混練とは、結晶性ポリエステル樹脂が溶融する温度以上で混練することを意味する。
溶融混練の際、押出機のシリンダー温度は250〜280℃であることが好ましい。シリンダー温度が250℃以上であると、原料を均一に混合することができるため、流動性が維持され、また、280℃以下であるとポリエステル樹脂が分解する虞が少なく、耐衝撃性が維持されうる。混合圧力は特に限定されないが、1〜20MPaであることが好ましい。
なお、ここでいう押出機のシリンダー温度とは、押出機のシリンダーにおいて複数の温度設定がなされる場合には、最も高いシリンダー部の温度を指す。
溶融混練の際の押出機からの吐出量は特に限定されるものではないが、溶融混練が十分に行われ、原料を均一に混合出来ることから、10〜100kg/時で行うことが好ましく、20〜70kg/時で行うことがより好ましい。
工程(1)で得られたポリエステル樹脂混合物のDSC融解曲線における放熱熱量(ΔH)が、結晶性ポリエステル樹脂のDSC融解曲線における放熱熱量(ΔH)に対して、70%以下である(ΔH/ΔH≦0.7)ことが好ましい。ΔH/ΔHは結晶サイズの均一性を示す一指標であり、ΔH/ΔH≦0.7であることで、ポリエステル樹脂の結晶化度の抑制効果がより顕著に発揮され、流動性および靱性の向上を図ることができる。ΔH/ΔHはより好ましくは0.5以下である。ΔH/ΔHの下限は特に限定されるものではないが、通常0以上である。
ΔHの制御方法は、特に限定されるものではないが、例えば、シリンダー温度、核剤の種類、添加量などを適切に制御することによって、ΔHを制御することができる。
また、工程(1)で得られたポリエステル樹脂混合物のDSC融解曲線における半値幅(Δa)が、結晶性ポリエステル樹脂のDSC融解曲線における半値幅(Δb)に対して、70%以下(Δa/Δb≦0.7)であることが好ましい。DSC融解曲線における半値幅は結晶サイズの均一性を示す一指標であり、半値幅が小さいほど、結晶サイズが均一となる。つまり、Δa/Δbが小さいほど、混合物の結晶サイズが結晶性ポリエステル樹脂の結晶サイズよりも均一であることを示し、Δa/Δb≦0.7であることで、ポリエステル樹脂の結晶化度の抑制効果がより顕著に発揮され、流動性および靱性の向上を図ることができる。Δa/Δbの下限は特に限定されるものではないが、通常0.4以上である。
Δaの制御方法は、特に限定されるものではないが、例えば、シリンダー温度、核剤の種類、添加量などを適切に制御することによって、Δaを制御することができる。
ポリエステル樹脂混合物は、結晶性ポリエステル樹脂100重量部と核剤0.5〜5重量部とを溶融混練することによって得られる。結晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して核剤が5重量部を超えると、靱性、流動性および難燃性が低下する。これは、核剤が5重量部を超えると、大量にできた核が合一してしまい、結果的に、核数が少なくなり、結晶が大きくなるため、流動性および靱性が低下し、また、核剤自身がクラックポイントとなるので、靱性が低下するためであると考えられる。また、核剤が5重量部を超えると、核剤自身が燃えやすいため、難燃性も低下するものと考えられる。核剤が0.5重量部未満であると、靱性および流動性、特に流動性が低下する。これは、核剤が0.5重量部未満であると、結晶性ポリエステル樹脂に対する核剤の結晶化抑制効果が得られなくなるためであると考えられる。
上記のように溶融混練されて得られた溶融状態のポリエステル樹脂混練物は、射出された後、冷却処理することが好ましい。冷却処理は特に限定されず、例えば上記ポリエステル樹脂混練物を0〜60℃の水に浸漬して水冷する方法、−40〜60℃の気体で冷却する方法、−40〜60℃の金属に接触させる方法などが用いられうる。
また、後述の工程(2)の前に、熱可塑性ポリエステル樹脂の加水分解反応を抑制させる観点から、混合物を十分に乾燥させることが好ましい。この際の乾燥温度としては、特に限定されるものではないが、70〜100℃であることが好ましい。また、乾燥時間については特に限定されるものではないが、2〜6時間であることが好ましい。さらに乾燥の際、減圧下で行うことで、乾燥がより進行しやすくなるため、好ましい。
(結晶性ポリエステル樹脂)
結晶性ポリエステル樹脂は、特に制限されないが、好ましくは芳香族ジカルボン酸あるいはそのエステル誘導体成分と、脂肪族ジオールや脂環族ジオールなどのジオール成分とがエステル反応により連結した構造を有する芳香族ポリエステルである。ポリエステル樹脂は、例えば、芳香族ジカルボン酸あるいはそのエステル誘導体成分と、脂肪族ジオールまたは脂環族ジオールなどとを公知の方法で重縮合して得られるものを用いることができる。
芳香族ジカルボン酸の例としては、特に制限されないが、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、2,6−アントラセンジカルボン酸、4,4’−p−ターフェニレンジカルボン酸および2,5−ピリジンジカルボン酸などが挙げられる。
脂肪族ジオールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコールおよびトリエチレングリコールなどが挙げられる。脂環族ジオールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
これらの芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジオールまたは脂環族ジオールは共に上記化合物を各々単独または2種以上組み合わせて用いることができる。さらに、本発明の樹脂組成物を構成するポリエステル樹脂は、全構造単位に基づいて1モル%以下であれば、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3官能以上のモノマーから誘導される構造成分を有していてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、実施例に記載の示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/minで測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
結晶性ポリエステル樹脂は、上記定義したとおりであれば特に限定されず、例えば、結晶性ポリエステル樹脂による主鎖に他成分を共重合させた構造を有する樹脂について、この樹脂が上記のように明確な吸熱ピークを示すものであれば、本発明でいう結晶性ポリエステル樹脂に該当する。
結晶性ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。広く使用されており、本発明の方法によって流動性が高く、衝撃耐性の高い樹脂にリサイクルしやすいことから、結晶性ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートの少なくとも1種であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の固有粘度に特に制限はないが、耐衝撃性および流動性を考慮すると、好ましくは0.4〜1.5dl/g、より好ましくは0.4〜1.2dl/g、さらに好ましくは、0.7〜1.0dl/gの範囲である。固有粘度は、JIS K7367−5(2000)に従い、フェノール/テトラクロロエタン(質量比:1/1)混合溶媒を用いて30℃で測定したときの値である。
結晶性ポリエステル樹脂として、廃棄されたポリエステル樹脂製品を粉砕して得られる樹脂片を用いることができる。特に、固有粘度が上記範囲にあるPETとして、使用済みの廃棄PETボトル等のPET製品の粉砕品も好適に用いることができる。廃棄物として回収されたPET製品であるボトル、シート、衣類、およびこれら成形品を成形した時に出た成形屑や繊維屑などを、適当な大きさに粉砕した樹脂片を使用することができる。中でも、量的に多い飲料用ボトルの粉砕品を好適に使用することができる。PETボトルは一般に、分別回収後、異材質除去、粉砕、洗浄工程を経て大きさ5〜10mmの透明なクリアフレークに再生される。通常、かかるクリアフレークの固有粘度の範囲は概ね0.60〜0.80dl/gである。
廃棄されたポリエステル樹脂製品のポリエステル樹脂片は、粉砕して洗浄、乾燥後、一旦、180℃以上260℃以下の温度で混練し、冷却・粉砕して得ることもできる。バージン(未使用)のポリエステル樹脂はペレット状の形態で市販されているが、これらをガラス転移温度以上の温度でプレスしたり、または押出機等で一旦溶融させ、溶融ストランドを冷却水中でローラーに通して押し潰し、通常のペレタイザーでカッティングしたりすることで、樹脂片として用いることができる。
ポリエステル樹脂を樹脂片として用いることにより、樹脂組成物の製造時において混練機への供給を容易にし、また溶融までの混練において、混練装置への負荷が少なくなる。ポリエステル樹脂片の形状としては、例えばフレーク状、ブロック状、粉状及びペレット状などが好ましく、特に好ましい形状はフレーク状である。樹脂片の好ましい最大長は30mm以下であり、より好ましくは20mm、さらに好ましくは10mm以下である。最大長が30mmを超える樹脂片が入っていても混練は可能であるが、供給過程で詰まることがあり好ましくない。しかし、供給装置を改善すれば防止できるので本発明の目的を損なわない限り特に制限をしない。
(核剤)
核剤は、無機化合物および有機化合物からなる。核剤とは、結晶性ポリエステル樹脂の結晶成長を促進するものを指し、具体的には常温(25℃)で固体のものが好ましい。核剤としての機能は、少なくとも無機化合物が有する(単独で結晶性ポリエステル樹脂の核剤となりうる無機化合物である)ことが好ましく、有機化合物および無機化合物の双方が結晶性ポリエステル樹脂の核剤であることが好ましい。
核剤は、無機化合物および有機化合物の混合物であってもよいし、無機化合物を有機化合物で表面処理した形態であってもよい。好ましくは、核剤は、無機化合物および有機化合物の混合物である。
核剤として、有機化合物および無機化合物が共存することで、無機化合物の近くに有機化合物が存在することとなる。これにより、上述したように、核剤中の無機化合物の存在によって形成された小さく細かい結晶が、有機化合物の存在によって結晶成長が抑制され、樹脂組成物の靱性および流動性が向上するものと考えられる。
核剤に用いられる無機化合物としては、特に限定されるものではないが、酸化錫、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、シリカなどの金属酸化物;炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの第2族元素化合物;タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、マイカ、セピオライト、ウォラストナイト、ゾノトライトなどの粘土鉱物;グラファイト、カーボンブラックなどの炭素などが挙げられる。中でも、結晶性ポリエステル樹脂への核剤としての有効性が高いことから、無機化合物は、炭酸カルシウム、酸化錫、酸化マグネシウム、シリカ、タルク、水酸化マグネシウム、セピオライト、ウォラストナイトおよびゾノトライトからなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分として含むことが好ましく、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、シリカ、水酸化マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分として含むことがより好ましい。ここで、主成分として含むとは、無機化合物100重量%中、80重量%以上含むことを指し、好ましくは90重量%以上、より好ましくは100重量%である。
無機化合物は1種単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。
無機化合物の形状としては特に限定されず、粒子状、板状、針状などが挙げられる。
無機化合物の、レーザー回折散乱式粒度分布測定法で求められる平均粒子径(D50)は、核剤としての効果がより発揮されることから、5μm以下であることが好ましく、0.1〜1μmであることがより好ましい。
核剤に用いられる有機化合物としては、特に限定されるものではないが、芳香族カルボン酸またはジカルボン酸、脂肪族カルボン酸またはジカルボン酸、あるいはこれらの金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩など、好ましくは、ナトリウム塩、カルシウム塩);リン酸化合物;サリチル酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩など)などが挙げられる。
芳香族カルボン酸としては、好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜11の芳香族カルボン酸を挙げることができ、例えば、安息香酸、トルイル酸などを挙げることができる。
芳香族ジカルボン酸としては、好ましくは炭素数8〜30、より好ましくは炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸を挙げることができ、例えば、テレフタル酸などを挙げることができる。
脂肪族カルボン酸としては、好ましくは炭素数12〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族カルボン酸を挙げることができ、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、オクタコサン酸などを挙げることができる。
脂肪族ジカルボン酸としては、好適には炭素数2〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族ジカルボン酸を挙げることができ、例えば、シュウ酸などを挙げることができる。
カルボン酸の金属塩としては、具体的には、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、トルイル酸ナトリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、シュウ酸カルシウムなどが挙げられる。
リン酸化合物としては、ナトリウムビス(4−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジtert−ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジtert−ブチルフェニル)ホスフェート等のリン酸エステル金属塩を挙げることができる。
中でも、結晶性ポリエステル樹脂への核剤としての有効性が高いことから、有機化合物は、カルボン酸(芳香族カルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂肪族カルボン酸、脂肪族ジカルボン酸)の金属塩、ならびにリン酸化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分として含むことが好ましく、安息香酸ナトリウム、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジtert−ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウムビス(4−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分として含むことがより好ましい。ここで、主成分として含むとは、有機化合物100重量%中、80重量%以上含むことを指し、好ましくは90重量%以上、より好ましくは100重量%である。
有機化合物は1種単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。
核剤中の無機化合物および有機化合物の混合重量比は特に限定されるものではないが、主要な核剤としての機能は無機化合物が有していることから、無機化合物:有機化合物=2〜50:1であることが好ましく、5〜20:1であることがより好ましい。
無機化合物および有機化合物の混合は特に限定されるものではないが、ボールミル、ヘンシェルミキサ、ビーズミル、スプレードライなどを使用して両者を混合することができる。また、無機化合物の粉砕時に有機化合物を同時に混合しても良い。
核剤としては市販品を用いてもよく、市販品としては、BRUGGOLEN(登録商標)P250(BruggemannChemical社製)などが挙げられる。
核剤の工程(1)における結晶性ポリエステル樹脂100重量部に対する添加量は0.5〜5重量部である。核剤の添加量が0.5重量部未満であると、結晶化抑制の効果が得られない。また、核剤の添加量が5.0重量部より多いと、大量に出来た核が合一してしまい、結果的に、核数は少なくなってしまい結晶が大きくなることと、それ自身がクラックポイントとなるので靱性が低下する。また、核剤自身に燃え易い物質が含まれるため難燃性も低下する。核剤の添加量は好ましくは、靱性向上の観点から、結晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して3重量部以下である。
<工程(2)>
工程(2)において、工程(1)で得られたポリエステル樹脂混合物(以下、単にポリエステル樹脂混合物とも称する)、ポリカーボネート樹脂、難燃剤および増靭剤を混合する。混合は、溶融混練することが好ましい。
溶融・混練処理の前に、各混合成分を予め混合する予備混合処理を行ってもよい。予備混合に用いる混合機としては、V型混合機、リボンミキサー、ナウターミキサー、スーパーミキサー、等の混合機が挙げられる。
溶融混練は、バンバリーミキサー、ロール、および単軸または多軸押出機などで行うことができ、好ましくは二軸押出機にて行う。溶融混練条件は特に制限されないが、例えば、溶融混練時のシリンダー温度は、240〜300℃の範囲であることが好ましく、250〜280℃の範囲であることがより好ましい。混練圧力は特に限定されないが、1〜20MPaであることが好ましい。
溶融混練の際の押出機からの吐出量は特に限定されるものではないが、溶融混練が十分に行われることから、10〜100kg/時で行うことが好ましく、20〜70kg/時で行うことがより好ましい。
ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂混合物との混練重量比率は、特に限定されるものではないが、耐衝撃性、流動性の点から、ポリカーボネート樹脂:ポリエステル樹脂混合物(重量比)=10:90〜98:2であることが好ましく、10:90〜90:10であることがより好ましく、30:70〜90:10であることがさらに好ましい。
難燃剤の混練重量比率は、特に限定されるものではないが、難燃性向上の観点から、ポリエステル樹脂混合物およびポリカーボネート樹脂の合計100重量部に対して難燃剤1〜40重量部であることが好ましく、10〜40重量部であることがより好ましい。
増靱剤の混練重量比率は、特に限定されるものではないが、靱性向上の観点から、ポリエステル樹脂混合物およびポリカーボネート樹脂の合計100重量部に対して、1〜30重量部であることが好ましく、5〜25重量部であることがより好ましい。
上記のように溶融混練されて得られた溶融状態の樹脂混練物は、射出された後、冷却処理することが好ましい。冷却処理は特に限定されず、例えば上記樹脂混練物を0〜60℃の水に浸漬して水冷する方法、−40〜60℃の気体で冷却する方法、−40〜60℃の金属に接触させる方法などが用いられうる。
このようにして得られた樹脂組成物は、射出成形法による射出成形時の処理を容易にするために、例えばペレタイザーによって裁断し、ペレットとすることが好ましい。
(ポリカーボネート樹脂)
ポリカーボネート樹脂とは、芳香族二価フェノール系化合物とホスゲンまたは炭酸ジエステルとを反応させることにより得られる、芳香族ホモまたはコポリカーボネート樹脂でありうる。このようなポリカーボネート樹脂の製造方法としては特に制限されず、公知の方法を採用することができ、例えば、芳香族二価フェノール系化合物にホスゲンなどを直接反応させる方法(界面重合法)や、芳香族二価フェノール系化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルとを溶融状態でエステル交換反応させる方法(溶液法)などが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は、20,000〜70,000であることが好ましい。ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量を20,000以上とすることで、高い流動性となり、また、可燃性ガスに気化しにくいため、難燃性も向上し、70,000以下とすることで、靱性が向上するため好ましい。より好ましくは、ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は、20,000〜55,000である。重量平均分子量は、下記実施例に記載の測定方法により測定されるものである。本発明の製造方法によれば、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性が抑制されることから、通常の結晶性ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂との併用系では耐衝撃性が低下していた比較的低分子量(例えば、重量平均分子量が20,000〜45,000程度)のポリカーボネート樹脂を用いても耐衝撃性が確保される。また、本発明の製造方法によれば、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性が抑制されることから、通常の結晶性ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂との併用系では流動性が低下していた比較的高分子量(例えば、重量平均分子量が40,000〜70,000程度)のポリカーボネート樹脂を用いても高い流動性が確保される。
芳香族二価フェノール系化合物の例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、および1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが挙げられ、これらを単独あるいは混合物として使用することができる。
炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトルイルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネートなどのジアリールカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート、ホスゲンなどのカルボニルハライド、2価フェノールのジハロホルメートなどのハロホルメートなどを用いることができるが、これらに限定されるものではない。これらの中では、ジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルもまた、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリカーボネート樹脂としては、例えば、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンまたは1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンのような三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよい。また、得られたポリカーボネート樹脂を2種またはそれ以上混合して得られた混合物であってもよい。
ポリカーボネート樹脂としては市販品を用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂として、廃棄されたポリカーボネート樹脂製品を粉砕して得られる樹脂片を用いてもよい。特に、上記分子量の範囲にあるポリカーボネートとして、廃棄された光ディスク等の粉砕品も好適に用いることができる。CD、CD−R、DVD、MD等の光ディスクや光学レンズを成形加工した時に出る端材や廃棄物となった光ディスクから反射層、記録層等を剥離したものなどを10mm以下の適当な大きさに粉砕した樹脂片であれば特に限定なく、本発明において使用できる。廃棄されたポリカーボネート樹脂製品のポリカーボネート樹脂片は、粉砕洗浄後、一旦、180℃以上260℃以下の温度で混練し、冷却・粉砕して得ることもできる。
バージン(未使用)のポリカーボネート樹脂はペレット状の形態で市販されているが、これらをガラス転移温度以上の温度でプレスしたり、または押出機等で一旦溶融させ、溶融ストランドを冷却水中でローラーに通して押し潰し、通常のペレタイザーでカッティングしたりすることで、樹脂片として用いることができる。
ポリカーボネート樹脂を樹脂片として用いることにより、樹脂組成物の製造時において混練機への供給を容易にし、また溶融までの混練において、混練装置への負荷が少なくなる。ポリカーボネート樹脂片の形状としては、例えばフレーク状、ブロック状、粉状及びペレット状などが好ましく、特に好ましい形状はフレーク状である。樹脂片の好ましい最大長は30mm以下であり、より好ましくは20mm以下、さらに好ましくは10mm以下である。最大長が30mmを超える樹脂片が入っていても混練は可能であるが、供給過程で詰まることがあり好ましくない。しかし、供給装置を改善すれば防止できるので本発明の目的を損なわない限り特に制限をしない。
(難燃剤)
難燃剤は、有機系難燃剤であっても、無機系難燃剤であってもよい。有機系難燃剤の例には、ブロモ化合物、リン化合物が含まれる。無機系難燃剤の例には、アンチモン化合物や金属水酸化物が含まれる。
難燃剤の少なくとも一部はリン系化合物であることが好ましい。リン系化合物は、樹脂組成物に高い難燃性を付与しやすく、かつ環境毒性もないからである。リン系化合物は、典型的にはリン酸エステル化合物であり、リン酸エステル化合物の例には、亜リン酸エステル、リン酸エステルおよびホスホン酸のエステル化物などが含まれる。特にリン酸エステルが好ましい。
亜リン酸エステルの具体例には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどが含まれる。
リン酸エステルの具体例には、トリフェニルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ジステアリルペンタエリスリトールジホスフェート、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフェート、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフェート、トリブチルホスフェート、ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェート、芳香族縮合リン酸エステルなどが挙げられる。縮合リン酸エステルとしては、例えば、1,3−フェニレンビス(ジ2,6キシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)及び1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。
ホスホン酸エステルの具体例には、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸エステルなどが含まれる。
ブロモ化合物の例には、ポリブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化ポリカーボネートオリゴマーが含まれる。
難燃剤は市販品を用いてもよく、市販のリン系化合物としては、例えば、大八化学工業株式会社製の「CR−733S」、「CR−741」(いずれも縮合リン酸エステル、液状)、「PX−200」(縮合リン酸エステル、固体状)、大塚化学株式会社製の「SPS−100」(ホスファゼン化合物、固体状)等が挙げられる。
(増靭剤)
増靭剤は、樹脂組成物の柔軟性や加工性、耐衝撃性などを向上させる。増靭剤は、一種でもそれ以上でもよい。増靭剤は、例えば、ゴム弾性を有する樹脂である。増靭剤は、ブタジエンを含むモノマーの重合体で構成されるソフトセグメントと、スチレンのような芳香族基を有するモノマーの重合体で構成されるハードセグメントとを含む熱可塑性エラストマーであることが好ましい。上記熱可塑性エラストマーの分子のサイズは、例えば分子サイズが小さすぎると、樹脂組成物の耐衝撃性が低下することがあり、大きすぎると、熱可塑性樹脂組成物の加工性が低下することがある。このような観点から、例えば、熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は、10,000〜500,000であることが好ましい。熱可塑性エラストマーの重量平均分子量も、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーなどの公知の方法を用いて求められる。
上記熱可塑性エラストマーの構造には、例えば、コアシェル構造、グラフト構造、直鎖構造および海島構造(いわゆる「ポリマーアロイ」)が知られている。熱可塑性エラストマーの構造は、そのいずれであってもよい。コアシェル構造は、例えば、架橋したゴム粒子のコアと、コアの存在下でビニル系単量体がグラフト重合してなるシェルとを含む。コアは、主にソフトセグメントで構成され、シェルは、主にハードセグメントで構成される。グラフト構造は、例えば、ソフトセグメントおよびハードセグメントの一方である幹ポリマーと、他方である枝ポリマーとから構成される。直鎖構造は、例えば、ソフトセグメントとハードセグメントとのブロック共重合体で構成される。海島構造は、例えば、主にソフトセグメントで構成される島(分散相)と、主にハードセグメントで構成される海(連続相)とによって構成される。
上記熱可塑性エラストマーの例としては、メチルメタアクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、スチレンブタジエンスチレン共重合体(SBS)、および、ブチルアクリレート−メチルメタアクリレート共重合体などが挙げられる。これらは1種単独で用いても2種以上併用してもよい。中でも、増靭剤がMBS、ABSおよびSBSからなる群から選ばれる一以上であることは、熱可塑性樹脂組成物の相溶化性および難燃性や、熱可塑性樹脂組成物における熱可塑性エラストマーの分散性の観点から好ましい。
また、MBSの構造がコアシェル構造であり、MBSのゴム量が50〜80重量%であることが、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性や、熱可塑性樹脂組成物におけるMBSの分散性などの観点から好ましい。また、ABSの構造がグラフト構造であり、ABSのゴム量が10〜55重量%であることが、熱可塑性樹脂組成物の相溶化性および加工性の観点から好ましい。また、SBSの構造が直鎖構造であり、SBSのゴム量が50〜80重量%であることが、熱可塑性樹脂組成物の柔軟性および耐衝撃性の観点から好ましい。上記「ゴム量」とは、上記熱可塑性エラストマー中のソフトセグメントの含有量を意味する。
MBSの例としては、EM500(LG Chemical, Ltd.)が挙げられる。ABSの例には、TFX−610(三菱化学株式会社)が挙げられる。SBSの例には、カリフレックス TRKX65S(シェル株式会社)が挙げられる。
工程(2)においては、上記成分の他、ドリップ防止剤および相溶化剤を添加して混合してもよい。
(ドリップ防止剤)
ドリップ防止剤としては、燃焼時に樹脂材料の滴下(ドリップ)を防止し、難燃性を向上させる目的で添加されるものであり、フッ素系ドリップ防止剤やシリコンゴム類、層状ケイ酸塩等が挙げられる。
上記層状ケイ酸塩としては、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ、タルク等が挙げられ、その層間に、有機カチオン、第4級アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオンがインターカレートされているものでもよい。
上記ドリップ防止剤の中でも、特にフッ素系のドリップ防止剤が好ましく、フッ素系のドリップ防止剤の具体例としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素系樹脂やパーフルオロメタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ−n−ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロ−t−ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ−2−エチルヘキサンスルホン酸カルシウム塩等のパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩化合物又はパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。上記フッ素系のドリップ防止剤の中でも、ドリップ防止性の点から、ポリテトラフルオロエチレンが最も好ましい。
ドリップ防止剤の添加量としては、ポリエステル樹脂組成物およびポリカーボネート樹脂の合計が100重量部に対して、0.1〜1重量部であることが好ましい。
(相溶化剤)
相溶化剤は、二重結合、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基などを有する化合物(低分子化合物又はポリマー)であって、成形加工工程で相溶化させようとするポリマーの一方または両方と反応してグラフトまたはブロック構造に基づく界面活性剤的な働きをして相溶化剤として機能するものであり(参考文献:「ポリマーアロイ」基礎と応用、高分子学会編、1993年発行)、特開2013−133369号公報で開示されている反応性官能基を有する樹脂などが挙げられる。相溶化剤としては、例えば、エチレングリシジルメタクリレート共重合体(E−GMA;共重合重量組成、例えばE/GMA=100/6〜12)、エチレングリシジルメタクリレート−ビニルアルコール共重合体(E−GMA−VA;共重合重量組成、例えばE/GMA/VA=100/3〜12/8〜5)、エチレングリシジルメタクリレート−メタクリレート共重合体(E−GMA−MA;共重合重量組成、例えばE/GMA/MA=100/3〜12/30)などのグリシジルメタクリレート(GMA)由来の構成単位を有する共重合体;エチレングリシジルメタクリレート−アクリロニトリルスチレン(EGMA−AS;共重合重量組成、例えばEGMA/AS=70/30)、エチレングリシジルメタクリレート−ポリスチレン(EGMA−PS;共重合重量組成、例えばEGMA/PS=70/30)、エチレングリシジルメタクリレート−ポリメチルメタクリレート(EGMA−PMMA、例えばEGMA/PMMA=70/30)、スチレン−アクリロニトリル−グリシジルメタクリレート(SAN−GMA、例えば、SAN/GMA=スチレン/アクリロニトリル/グリシジルメタクリレート=70/50/10〜75/23/2)などのグリシジルメタクリレートが導入された樹脂;エチレン無水マレイン酸エチルアクリレート共重合体(E−MAH−EA);酸変性型ポリエチレンワックス;COOH化ポリエチレングラフトポリマー、COOH化ポリプロピレングラフトポリマー;イソシアネート基を5〜30重量%含むポリイソシアネート等が挙げられる。
相溶化剤は市販品を用いてもよく、具体的には、ボンドファーストE、ボンドファースト2C(住友化学社製);レクスパールRA、レクスパールET、レクスパールRC(日本ポリオレフィン社製);ボンダイン(住友化学社製);モディパー(日本油脂社製);ハイワックス(APEW;三井化学社製);VESTANAT T1890(デグサ社製)等が挙げられる。
これら相溶化剤のうちの1種のみを用いてもよく、必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
中でも、ポリエステル樹脂との反応のし易さという点から、相溶化剤は、グリシジルメタクリレート(GMA)由来の構成単位を有する共重合体またはグリシジルメタクリレートが導入された樹脂であることが好ましい。
相溶化剤の添加量としては、ポリエステル樹脂組成物およびポリカーボネート樹脂の合計が100重量部に対して、0.5〜20重量部であることが好ましい。
(他の樹脂成分、任意成分)
工程(2)においては、本発明の目的が達成される範囲で、他の樹脂成分や必要に応じて任意の添加成分を添加することができる。
他の樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミドなどを加えて、成形用樹脂としての性能を改良することができる。他の樹脂成分の含有量は、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂との合計重量100重量%に対して、0.1〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜10重量%である。
また、他の任意成分としては、例えば、架橋剤(例えばフェノール樹脂など)、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系、含硫黄有機化合物系、含リン有機化合物系など)、熱安定剤(フェノール系、アクリレート系など)、エステル交換抑制剤(モノステアリルアシッドホスフェ−トとジステアリルアシッドホスフェ−トの混合物など)、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系など)、光安定剤(有機ニッケル系、ヒンダードアミン系など)、滑剤(高級脂肪酸の金属塩類、高級脂肪酸アミド類など)、顔料(カーボンブラック、酸化チタン)や染料、帯電防止剤、発泡剤などが挙げられる。
任意成分のさらに他の例には、金属繊維、アラミド繊維、アスベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラステナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンおよび酸化アルミニウムなどの充填材が含まれる。なかでも、ガラス繊維、炭素繊維および金属繊維が好ましく、最も好ましいのは炭素繊維である。これら繊維状充填材の種類は、一般に樹脂の強化用に用いられているものならば特に限定はなく、例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョプドストランドや、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、任意成分の含有量は、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂との合計重量100重量%に対して、0.01〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
(熱可塑性樹脂組成物)
上記製造方法で得られた熱可塑性樹脂組成物は、高い難燃性を有する。
難燃性とは、耐燃性の一つで、燃焼する速さは遅いが、ある程度は燃え続ける性質を指す。耐燃性の評価については、JIS、ASTMなどがあるが、一般には、特にUL規格が重視されている。UL規格とはアメリカの「Underwriters Laboratorie社」が定め、同社によって評価される規格である。一般的にはUL94にて規定される試験片に炎を当て燃焼時間と滴下物の有無を確認する試験法を用い、遅燃性物質は「UL94−HB」、自己消火性物質は程度により「UL94−V2」、「UL94−V1」、「UL94−V0」、「UL94−5V」という区分のいずれかに分類される。自己消化性とは、難燃性の性質のうち、火源があれば燃え続けるが、火源を取り除けば自ら消火する性質を言う。
一般に事務機器、情報・通信機器、電気・電子機器、家庭用電化製品、自動車分野、建築分野等の様々な分野において、使用される材料については、使用部品においてUL−94で規定された難燃性を持つことが要求されている。得られる熱可塑性樹脂組成物の難燃性は、UL94−V1以上であることが好ましく、V0以上であることがより好ましい。
(樹脂成形体)
上記製造方法で得られた熱可塑性樹脂組成物は、任意の手法で樹脂成形体に成形することができる。成形の手法の例には、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、異形押出成形、圧縮成形、ガスアシスト成形などが含まれる。上述のように本発明の樹脂組成物は、流動性が高く、射出成形に適していることから、射出成型用の樹脂組成物であることが好ましい。
上記製造方法で得られた熱可塑性樹脂組成物の樹脂成形体は、電気・電子部品、自動車部品、機械機構部品、OA機器または家電機器のハウジング部品などに使用可能である。特に、プリンターなどのOA機器の筐体に好ましく用いられる。
本発明の効果を以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
<測定方法>
(重量平均分子量(M)の測定)
4〜7μgの範囲で試料を秤量して、THFに添加した後、超音波を30分かけ、溶けた部分をGPC装置の測定に用いた。重量平均分子量(M)(ポリスチレン換算)は、GPC装置として、東ソー(株)製HLC−8120GPC、SC−8020装置を用い、カラムはTSKgel,SuperHM−H(6.0mmID×15cm×2)を用い、溶離液として和光純薬社製クロマトグラフ用THF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、流速0.6ml/min.、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、RI検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:A−500、F−1、F−10、F−80、F−380、A−2500、F−4、F−40、F−128、F−700の10サンプルから作製した。また試料解析におけるデータ収集間隔は300msとした。
(示差走査熱量測定(DSC))
結晶性ポリエステル樹脂の吸熱ピーク温度、ポリエステル樹脂の融解曲線における放熱熱量と半値幅は、ASTM D3418に準拠して、示差走査熱量計(島津製作所製:DSC−60A)を用いて得た。この装置(DSC−60A)の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛との融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いた。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、30℃から270℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、270℃で5分間ホールドし、270℃から30℃まで液体窒素を用いて−10℃/分で降温を行った。ポリエステル樹脂の融解曲線における放熱熱量と半値幅は、降温時の吸熱曲線から解析をおこった。放熱熱量は放熱ピークの面積であり、半値幅は放熱ピークの強度比が50%になる波長の幅とした。
[実施例1]
(1)核剤の準備
100重量部のNANO ACE D−600(タルク;日本タルク株式会社)と、10重量部のナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジtert−ブチルフェニル)ホスフェート(ChemSpecial社製)とを、室温で15分間、ヘンシェルミキサの攪拌翼の周速度で25m/秒以上の攪拌速度で攪拌し、混合物1を得た。
(1)工程(1)
ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度[η]=0.780dl/g、商品名ダイヤナイトMA521H−D25、三菱レイヨン社製)100重量部および混合物1の核剤1重量部をV型混合機を用いてドライブレンドし、真空乾燥機を用いて混合物を減圧下で80℃、4時間乾燥させた。
乾燥させた混合物を二軸混練押出機の原材料供給口から投入し、シリンダー温度260℃及び吐出量30kg/時の条件にて溶融混練した。二軸混練押出機から吐出した混練物を30℃の水に浸漬することによって急冷し、ペレタイザーによりペレット状に粉砕して、ポリエステル樹脂混合物を得た。得られたポリエステル樹脂混合物は、真空乾燥機を用いて混合物を減圧下で80℃、4時間乾燥させた。
(2)工程(2)
工程(1)で得られたポリエステル樹脂混合物10重量部、ポリカーボネート樹脂(重量平均分子量50,000、商品名タフロンA−1900、出光興産社製)55重量部、難燃剤(縮合リン酸系化合物;商品名PX−200、大八化学社製)20重量部および増靭剤(MBS;商品名EM500、LG Chemical社製およびABS;商品名TFX−610、三菱化学社製の1:1(重量比)混合物)15重量部を、V型混合機を用いてドライブレンドした。
混合物を二軸混練押出機の原材料供給口から投入し、吐出量30kg/時の条件にて250℃、混練圧力1.0MPaにて溶融混練した。二軸混練押出機から吐出した混練物を30℃の水に浸漬することによって急冷し、ペレタイザーによりペレット状に粉砕して、熱可塑性樹脂組成物を得た。
[実施例2]
工程(2)において、重量平均分子量が50,000のポリカーボネート樹脂の代わりに重量平均分子量が20,000であるポリカーボネート樹脂(商品名novarex7020R、出光興産株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を得た。
[実施例3]
工程(2)において、重量平均分子量が50,000のポリカーボネート樹脂の代わりに重量平均分子量が70,000であるポリカーボネート樹脂(商品名novarex7027U、出光興産株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を得た。
[実施例4]
工程(1)において、核剤1重量部の代わりに核剤0.5重量部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を得た。
[実施例5]
工程(1)において、核剤1重量部の代わりに核剤5重量部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を得た。
[実施例6]
工程(1)において、混合物1の代わりに、下記混合物2を核剤として用いたこと以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を得た。
(1)核剤の準備
100重量部のBrilliant−1500(炭酸カルシウム;白石工業株式会社)と、10重量部のナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジtert−ブチルフェニル)ホスフェート(ChemSpecial社製)とを、室温で15分間、ヘンシェルミキサの攪拌翼の周速度で25m/秒以上の攪拌速度で攪拌し、混合物2を得た。
[実施例7]
工程(1)において、混合物1の代わりに、下記混合物3を核剤として用いたこと以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を得た。
(1)核剤の準備
100重量部のsicastar 43−00−102(シリカ;コアフロント株式会社)と、10重量部のナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジtert−ブチルフェニル)ホスフェート(ChemSpecial社製)とを、室温で15分間、ヘンシェルミキサの攪拌翼の周速度で25m/秒以上の攪拌速度で攪拌し、混合物3を得た。
[実施例8]
工程(1)において、混合物1の代わりに、下記混合物4を核剤として用いたこと以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を得た。
(1)核剤の準備
100重量部のNANO ACE D−600(日本タルク株式会社製)と、10重量部の安息香酸ナトリウム(東京化成工業株式会社)とを、室温で15分間、ヘンシェルミキサの攪拌翼の周速度で25m/秒以上の攪拌速度で攪拌し、混合物4を得た。
[実施例9]
工程(1)において、混合物1の代わりに、商品名BRUGGOLEN(登録商標)P250、BruggemannChemical社製)を核剤として用いたこと以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を得た。
[実施例10]
工程(1)において、ポリエチレンナフタレート樹脂からポリブチレンナフタレート樹脂(固有粘度[η]=0.5〜1.5dl/g、商品名PBN樹脂、帝人化成株式会社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を得た。
[比較例1]
ポリエチレンテレフタレート樹脂(商品名ダイヤナイトMA521H−D25、三菱レイヨン社製)10重量部、ポリカーボネート樹脂(重量平均分子量50,000、商品名タフロンA−1900、出光興産社製)55重量部、難燃剤(縮合リン酸系化合物;商品名PX−200、大八化学社製)20重量部および増靭剤(MBS;商品名EM500、LG Chemical社製およびABS;商品名TFX−610、三菱化学社製の1:1(質量比)混合物)15重量部を、V型混合機を用いてドライブレンドした。
混合物を二軸混練押出機の原材料供給口から投入し、吐出量30kg/時の条件にて溶融混練した。二軸混練押出機から吐出した混練物を30℃の水に浸漬することによって急冷し、ペレタイザーによりペレット状に粉砕して、熱可塑性樹脂組成物を得た。
[比較例2]
ポリエチレンテレフタレート樹脂(商品名ダイヤナイトMA521H−D25、三菱レイヨン社製)10重量部、核剤として商品名BRUGGOLEN(登録商標)P250、BruggemannChemical社製)0.5重量部、ポリカーボネート樹脂(重量平均分子量50,000、商品名タフロンA−1900、出光興産社製)55重量部、難燃剤(縮合リン酸系化合物;商品名PX−200、大八化学社製)20重量部および増靭剤(MBS;商品名EM500、LG Chemical社製およびABS;商品名TFX−610、三菱化学社製の1:1(重量比)混合物)15重量部を、V型混合機を用いてドライブレンドした。
混合物を二軸混練押出機の原材料供給口から投入し、吐出量30kg/時の条件にて溶融混練した。二軸混練押出機から吐出した混練物を30℃の水に浸漬することによって急冷し、ペレタイザーによりペレット状に粉砕して、熱可塑性樹脂組成物を得た。
[比較例3]
工程(1)において、核剤1重量部の代わりに核剤10重量部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を得た。
各実施例および比較例で得た熱可塑性樹脂組成物について以下の評価を行った。
<評価方法>
(1)流動性
樹脂組成物を80℃で4時間乾燥させた後、射出成形機「ROBOSHOT_S−2000i 50BP」(FANUC社製)を用い、アルキメデススパイラルフロー試験片(流路厚さ2mm、流路幅10mm)にて流動長を下記評価基準により評価した。条件は、射出速度60mm/s、シリンダー温度250℃、金型温度50℃、射出圧力860MPaとした。流動長が大きいほど流動性が良い。
◎:350mm以上
○:330mm以上350mm未満
△:300mm以上330mm未満(実用上問題なし)
×:300mm未満(実用上問題あり)
(2)シャルピー衝撃強度
試験片Aを用いて、「JIS−K7111」に準拠してシャルピー衝撃試験(Uノッチ、R=1mm)を行い、衝撃強度を測定し、下記評価基準により評価した。
◎:42kJ/m以上
○:32kJ/m以上42kJ/m未満
△:6kJ/m以上32kJ/m未満
×:6kJ/m未満(実用上問題あり)
(3)難燃性
試験片Bを、UL−94に準拠した手法によって評価した。判定基準は、難燃性が高い順に、5VA、5VB、V−0、V−1、V−2およびHB、である。なお、HBにも該当しない程難燃性が低かった場合を、「規格外」と評価した。「規格外」は、上記の用途では実用上問題が生じることを意味する。
◎:5VA、5VB
○:V0
△:V1, V2, HB
×:規格外(実用上問題あり)
各実施例の製造条件および評価結果を表1に、各比較例の製造条件および評価結果を表2に示す。
本発明の実施例1〜10の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃度、流動性および難燃性のいずれの項目においても△以上の評価であり、すべての項目の物性が良好であることが示された。
一方、工程(1)において結晶性ポリエステル樹脂および核剤の溶融混練を行わない(比較例1)、工程(1)において結晶性ポリエステル樹脂および核剤の溶融混練を行わず、工程(2)において核剤を他の添加物とともに一括添加した(比較例2)場合、流動性が悪くなった。また、工程(1)における核剤の配合量が高い(比較例3)場合、靱性、流動性および難燃性が低下した。

Claims (5)

  1. 結晶性ポリエステル樹脂100重量部と、有機化合物および無機化合物からなる核剤0.5〜5重量部と、を押出機を用いて溶融混練してポリエステル樹脂混合物を得る工程(1)と、
    前記ポリエステル樹脂混合物、ポリカーボネート樹脂、難燃剤、および増靭剤を混合する工程(2)と、
    を有する、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記ポリエステル樹脂混合物のDSC融解曲線における融解熱量(ΔH)が、前記結晶性ポリエステル樹脂のDSC融解曲線における融解熱量(ΔH)に対して、70%以下(ΔH/ΔH≦0.7)である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記ポリエステル樹脂混合物のDSC融解曲線における半値幅(Δa)が、結晶性ポリエステル樹脂のDSC融解曲線における半値幅(Δb)に対して、70%以下(Δa/Δb≦0.7)である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記工程(2)において、ポリエステル樹脂混合物10〜90重量部、ポリカーボネート樹脂10〜90重量部(ここで、ポリエステル樹脂組成物およびポリカーボネート樹脂の合計が100重量部)、難燃剤1〜40重量部、および増靭剤1〜30重量部を混合する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記ポリカーボネート樹脂の分子量(Mw)が20,000〜70,000である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
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