JP2002275367A - メモリーカード用熱可塑性樹脂組成物、その製造方法、メモリーカード - Google Patents

メモリーカード用熱可塑性樹脂組成物、その製造方法、メモリーカード

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JP2002275367A
JP2002275367A JP2001076676A JP2001076676A JP2002275367A JP 2002275367 A JP2002275367 A JP 2002275367A JP 2001076676 A JP2001076676 A JP 2001076676A JP 2001076676 A JP2001076676 A JP 2001076676A JP 2002275367 A JP2002275367 A JP 2002275367A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流動性が良好であって薄肉部を成形性良こと
ができ、しかも耐熱性や耐衝撃性に優れたメモリーカー
ド用熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 (A)ポリカーボネート樹脂、(B)A
BS系樹脂、(C)ポリカーボネート系樹脂セグメント
(a)に対して、ビニル系樹脂セグメント(b)が、分
岐、または架橋構造的に化学結合したグラフト共重合
体、(D)結晶性樹脂、(E)結晶核剤を含有してメモ
リーカード用熱可塑性樹脂組成物を調製する。流動性が
良好であって、薄肉部を成形性良く成形してメモリーカ
ードを得ることができる。また熱変形温度が高くて耐熱
性に優れると共に耐衝撃強度も高いメモリーカードを得
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メモリーカード用
熱可塑性樹脂組成物、このメモリーカード用熱可塑性樹
脂組成物、並びにこの熱可塑性樹脂組成物を用いて得た
メモリーカードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】メモリーカードは基板に半導体メモリー
を実装して形成されるものであり、メモリーカード基板
の半導体メモリーを実装する凹所を形成するため、その
部分を部分的に極薄肉部として成形する必要がある。そ
こでこのような部分的に極薄肉部を成形するのに適した
図1のような射出圧縮成形法が本出願人等によって提案
されている(特願2001−040730として特許出
願)。
【0003】すなわち図1において1は一対の分割金型
1a,1bからなる成形金型であり、各分割金型1a,
1bの対向面にはキャビティ2を形成するための半部2
a,2bがそれぞれ凹設してある。3は圧縮成形用のコ
アであって、一方の分割金型1aにその先部をキャビテ
ィ2内に突出する状態で配設してあり、他方の分割金型
1bの側へさらに突出するようにスライド移動自在にし
てある。4は分割金型1a,1bの間に形成したゲート
である。
【0004】そして、射出成形機から射出された溶融状
態の成形材料5は、まず(A1)及び(B1)に示すよ
うに均一な平行流となってキャビティ2内を流れるが、
コア3が突出する部分に達すると、コア3の先端面とキ
ャビティ2の内面との間の箇所は狭く流動抵抗が大きい
ので、コア3の先端面とキャビティ2の内面の間を流れ
る成形材料5aの流速よりコア3の両側を流れる成形材
料5bの流速が遅くなり、(A2)及び(B2)に示す
ように、両成形材料5a,5bの先端位置に差ができ、
このままでは(A3)及び(B3)に示すように未充填
部分が生じたり、あるいは成形材料5b,5bがキャビ
ティ2の末端部で先に合流してウエルドラインが生じた
りするおそれがある。そこで、(A3)及び(B3)の
ように不完全な状態でキャビティ2内に成形材料5が充
填された後、射出を停止し、さらにコア3を分割金型1
bの側へスライドさせてキャビティ2内に突出させるこ
とによって、(A4)及び(B4)に示すように、コア
3で圧縮成形を行ない、コア3の先端面とキャビティ2
の内面の間に成形材料5を完全に充填させると共に極薄
肉部11を成形することができるものである。
【0005】このようにして、半導体メモリーを実装す
るための凹所12を極薄肉部11の成形によって形成し
たメモリーカード基板10を射出圧縮成形法で作製する
ことができるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
射出圧縮成形法で極薄肉部を成形するにあたって、既存
の成形材料の樹脂では成形性、特に射出時の流動性や圧
縮時の圧縮性に問題があり、成形して得られたメモリー
カード基板に変形が起こり易いという問題があった。
【0007】また、射出圧縮成形法で極薄肉部を成形す
る技術に関連するものとして、特開平10−15735
8号公報で提案されたものがあり、この公報では使用す
る成形材料の原料樹脂としてポリカーボネート樹脂やA
BS樹脂などが挙げられているが、成形性の点でまだ十
分に満足できるレベルではない。
【0008】特に、ポリカーボネート樹脂は耐熱性や耐
衝撃性に優れた熱可塑性樹脂として広く使用されている
ものであり、メモリーカード用の樹脂として好ましいも
のであるが、ポリカーボネート樹脂はその流動性が低
く、又そのポリマー構造から0℃以下での耐衝撃性が低
く、さらに成形品の肉厚によつて耐衝撃性に大幅に差が
あることなどの問題がある。このため従来からこれらの
欠点を改良する方法が多く提案されており、例えばポリ
カーボネート樹脂にABS樹脂をブレンドする方法が特
公昭38−5225号公報、特公昭55−27579号
公報、特公昭57−21530号公報、特公昭58−1
2300号公報、特公昭58−46269号公報、特開
昭57−40536号公報、特開平58−149938
号公報及び特開平57−12047号公報等に開示され
ている。しかし、ポリカーボネート樹脂にABS系樹脂
を添加することによって、成形性と耐衝撃性をある程度
は改善できるものの、まだ十分なレベルでない。その原
因は、両樹脂間の相溶性のレベルが低い為と考えられ
る。そこで、相溶性を高める為に相溶化剤の開発が進め
られており、例えば、特開平7−179741号公報で
提案されている。しかしこのように相溶化剤を添加する
と今度は流動性が低下してしまうとういう問題があっ
た。
【0009】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、流動性が良好であって薄肉部を成形性良く成形す
ることができ、しかも耐熱性や耐衝撃性に優れたメモリ
ーカード用熱可塑性樹脂組成物、その製造方法、メモリ
ーカードを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
メモリーカード用熱可塑性樹脂組成物は、(A)ポリカ
ーボネート樹脂、(B)ABS系樹脂、(C)ポリカー
ボネート系樹脂セグメント(a)に対して、ビニル系樹
脂セグメント(b)が、分岐、または架橋構造的に化学
結合したグラフト共重合体、(D)結晶性樹脂、(E)
結晶核剤を含有して成ることを特徴とするものである。
【0011】また請求項2の発明は、請求項1におい
て、上記(A)ポリカーボネート樹脂が、測定温度28
0℃、荷重2.1kgでのMFR値が20g/分以上の
ものであること特徴とするものである。
【0012】また請求項3の発明は、請求項1又は2に
おいて、上記(B)ABS系樹脂が、アイゾット衝撃強
度が200J/m以上のものであることを特徴とするも
のである。
【0013】また請求項4の発明は、請求項1乃至3の
いずれかにおいて、(A)ポリカーボネート樹脂と
(B)ABS系樹脂の合計中、(A)ポリカーボネート
樹脂を30〜90質量%、(B)ABS系樹脂を70〜
10質量%を含有して成ることを特徴とするものであ
る。
【0014】また請求項5の発明は、請求項1乃至4の
いずれかにおいて、上記(D)結晶性樹脂が、融点が1
50℃以上のものであることを特徴とするものである。
【0015】また請求項6の発明は、請求項1乃至5の
いずれかにおいて、上記(D)結晶性樹脂が、溶融させ
たものを液体窒素中に急冷し、これをDSCを用いて、
昇温速度10℃/分で30℃〜300℃の範囲で測定し
た際の、結晶化開始温度が100℃以上のものであるこ
とを特徴とするものである。
【0016】また請求項7の発明は、請求項1乃至6の
いずれかにおいて、上記(D)結晶性樹脂が、ポリエチ
レンテレフタレートであることを特徴とするものであ
る。
【0017】また請求項8の発明は、請求項1乃至7の
いずれかにおいて、上記(D)結晶性樹脂の配合量が、
(A)ポリカーボネート樹脂と(B)ABS系樹脂の合
計量100質量部に対して、0.5〜10質量部である
ことを特徴とするものである。
【0018】また請求項9の発明は、請求項1乃至8の
いずれかにおいて、上記(E)結晶核剤が、タルク、カ
オリン、マイカ、シリカ、ガラスビーズ、フレーク、L
/Dが50未満の無機繊維、ウイスカ−状無機充填材か
ら選択された少なくとも1つであることを特徴とするも
のである。
【0019】また請求項10の発明は、請求項9におい
て、上記(E)結晶核剤のタルクが、焼成タルクと酸処
理タルクの少なくとも一方であることを特徴とするもの
である。
【0020】また請求項11の発明は、請求項9におい
て、上記(E)結晶核剤のウイスカ−状無機充填材が、
酸化亜鉛ウイスカーであることを特徴とするものであ
る。
【0021】また請求項12の発明は、請求項1乃至1
1のいずれかにおいて、上記(E)結晶核剤の配合量
が、(D)結晶性樹脂100質量部に対して、0.05
〜10質量部であることを特徴とするものである。
【0022】また請求項13の発明は、請求項1乃至1
2の上記(C)グラフト共重合体において、ポリカーボ
ネート系樹脂セグメント(a)とビニル系樹脂セグメン
ト(b)の比率が、ポリカーボネート系樹脂セグメント
(a)が5〜95質量%、ビニル系樹脂セグメント(b)
が95〜5質量%であることを特徴とするものである。
【0023】また請求項14の発明は、請求項1乃至1
3の上記(C)グラフト共重合体において、ビニル系樹
脂セグメント(b)が、上記の一般式「化1」で示され
る繰り返し単位からなる重合体セグメント、又はN−置
換マレイミド単位からなる重合体セグメント、又はα,
β−不飽和酸のグリシジルエステル単位からなる重合体
セグメントであることを特徴とするものである。
【0024】また請求項15の発明は、請求項14の上
記(C)グラフト共重合体において、ビニル系樹脂セグ
メント(b)のN−置換マレイミド単位からなる重合体
セグメントが、N−シクロヘキシルマレイミド、又はN
−フェニルマレイミド重合体から選択された少なくとも
1つを含むことを特徴とするものである。
【0025】また請求項16の発明は、請求項14の上
記(C)グラフト共重合体において、ビニル系樹脂セグ
メント(b)のα,β−不飽和酸のグリシジルエステル
単位からなる重合体セグメントが、メタクリル酸のグリ
シジルエステルの重合体を含むことを特徴とするもので
ある。
【0026】また請求項17の発明は、請求項1乃至1
6のいずれかにおいて、上記(C)グラフト共重合体
が、熱重量分析において、昇温10℃/分、温度330
℃での質量減少が、5質量%以下のものであることを特
徴とするものである。
【0027】また請求項18の発明は、請求項1乃至1
7のいずれかにおいて、上記(C)グラフト共重合体の
配合量が、(A)ポリカーボネート樹脂と(B)ABS
系樹脂の合計量100質量部に対して、0.5〜10質
量部であることを特徴とするものである。
【0028】また請求項19の発明は、請求項1乃至1
8のいずれかにおいて、スパイラルフロー金型(金型内
の流路断面の厚み0.8mm、幅6.0mm)に、シリ
ンダー温度300℃、射出圧力98.1MPa(100
0kg/cm2)、金型温度85℃の条件で射出成形し
たときの、成形されたスパイラル長さが80mm以上で
あることを特徴とするものである。
【0029】本発明の請求項20に係るメモリーカード
用熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、上記の請求項1乃
至19のいずれかに記載のメモリーカード用熱可塑性樹
脂組成物を調製するにあたって、まず(D)〜(E)の
成分を混練し、この後、この混練物を他の成分と2度め
の混練をすることを特徴とするものである。
【0030】本発明の請求項21に係るメモリーカード
は、上記の請求項1乃至19のいずれかに記載のメモリ
ーカード用熱可塑性樹脂組成物を用いて、射出圧縮成形
法により形成されて成ることを特徴とするものである。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0032】本発明に係るメモリーカード用熱可塑性樹
脂組成物は、(A)ポリカーボネート樹脂、(B)AB
S系樹脂、(D)結晶性樹脂、(E)結晶核剤、及び
(C)グラフト共重合体からなるものである。
【0033】本発明において用いられるポリカーボネー
ト樹脂(A)は、ジヒドロキシジアリールアルカンから
得られるものであり、任意に枝分かれしていてもよい。
このポリカーボネート樹脂は公知の方法により製造する
ことができるものであり、一般にヒドロキシ及び/又は
ポリヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸のジエステル
と反応させることにより製造される。ジヒドロキシジア
リールアルカンはヒドロキシ基に関しオルトの位置にア
ルキル基、塩素原子又は臭素原子を有するものも含むも
のであり、ジヒドロキシジアリールアルカンの好ましい
具体例としては4,4′−ジヒドロキシ−2,2−ジフ
エニルプロパン(ビスフエノールA)、テトラメチルビ
スフエノールA、ビス−(4−ヒドロキシフエニル)−
p−ジイソフロピルベンゼン等を挙げることができる。
また分岐したポリカーボネート樹脂は、例えばヒドロキ
シ化合物の一部、例えば0.2〜2モル%をポリヒドロ
キシで置換することにより製造される。ポリヒドロキシ
化合物の具体例としては1,4−ビス−(4′,4,
2′−ジヒドロキシトリフエニルメチル)−ベンゼン、
フロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−
トリ−(4−ヒドロキシフエニル)−ヘプテン−2、
4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキ
シフエニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒ
ドロキシフエニル)−ベンゼン、1,1,1−トリ−
(4−ヒドロキシフエニル)−エタン、2,2−ビス
〔4,4−(4,4′−ジヒドロキシフエニル)−シク
ロヘキシル〕−プロパン等を挙げることができる。
【0034】またポリカーボネート樹脂(A)は、MF
R(メルトフローレート;JISK 7210)値が、
測定温度280℃、荷重2.1kgの測定条件で20g
/分以上のものが好ましい。MFR値が20g/分未満
であると、流動性が不十分であって成形性が悪化するお
それがある。またMFR値が100g/分を超えると、
樹脂の機械的強度が低下し実用上使用できなくなるおそ
れがあるので、MFR値が100g/分以下であること
が好ましい。
【0035】ポリカーボネート樹脂(A)は市販品を使
用することができるものであり、例えば、住友ダウ
(株)製の「カリバー」、三菱エンジニアリングプラス
チックス(株)製の「ユーピロン」、帝人化成(株)製
の「パンライト」等(いずれも商品名)を挙げることが
できる。
【0036】上記ポリカーボネート樹脂(A)は1種を
単独で用いる他、2種以上を混合して用いることができ
るものであり、ポリカーボネート樹脂(A)の配合量は
ポリカーボネート樹脂(A)と下記のABS系樹脂
(B)の合計中において、30〜90質量%の範囲にな
るように設定するのが好ましい。ポリカーボネート樹脂
(A)の配合量が30質量%未満では、耐熱性が不十分
になり、逆に90質量%を超える場合は、成形性や耐薬
品性等の点で劣るので、それぞれ好ましくない。
【0037】次に、本発明において用いられるABS系
樹脂(B)は、ゴム状重合体の存在下に、スチレン、α
−メチルスチレン等で代表される芳香族ビニル系単量
体、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等で代表さ
れる(メタ)アクリル酸エステル系単量体、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル等で代表されるシアン化ビ
ニル系単量体、N−フェニルマレイミドで代表される
α,β−不飽和ジカルボン酸イミド系単量体などから選
ばれた少なくとも1種のビニル系単量体を、グラフト共
重合させて得られるものであり、その代表例としてはA
BS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹
脂、MBS(メチルメタクリレート−スチレン−ブタジ
エン)樹脂、AES(アクリロニトリル−エチレン−ス
チレン)樹脂などを挙げることができる。
【0038】ここでゴム状重合体としてはポリブタジエ
ンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム
(NBR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SB
R)等のジエン系ゴム、ポリブチルアクリレート、ポリ
プロピルアクリレート等のアクリル系ゴムおよびエチレ
ン−プロピレン−ジエン系ゴム(EPDM)等を用いる
ことができる。
【0039】またこのゴム状重合体にグラフト共重合せ
しめるビニル系単量体は芳香族ビニル系単量体0〜90
質量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体0〜10
0質量%およびシアン化ビニル系単量体及び/又はα,
β−不飽和ジカルボン酸イミド系単量体0〜40質量%
の割合が適当であり、この組成外においては耐衝撃性や
他の機械的性質が阻害される場合がある。ゴム状重合体
にグラフト共重合せしめるビニル系単量体の組合せとし
てはスチレン/アクリロニトリル、スチレン/メタクリ
ル酸メチル/アクリロニトリル、メタクリル酸メチル単
独、メタクリル酸メチル/アクリロニトリル、スチレン
/メタクリル酸メチル、α−メチルスチレン/メタクリ
ル酸メチル/アクリロニトリルなどが挙げられる。ただ
しABS系樹脂(A)におけるゴム状重合体とビニル系
単量体の割合は重要であり、ゴム状重合体5〜80質量
部、特に15〜70質量部の存在下に、ビニル系単量体
95〜20質量部、特に85〜30質量部(合計100
質量部)を重合することが必要である。ゴム状重合体の
割合が5質量部未満では得られるABS系樹脂の耐衝撃
性が不充分になり、また80質量部を超えると、得られ
るABS系樹脂の機械的性質が劣り、耐衝撃性改良効果
も発現しないため好ましくない。
【0040】ABS系樹脂(B)は、アイゾット衝撃強
度が、200J/m以上であるものが好ましい。アイゾ
ット衝撃強度が200J/m未満であると、組成物を成
形して得られた成形品の衝撃強度が不十分になるおそれ
がある。アイゾット衝撃強度の上限値は特に設定される
ものではないが、実用上の上限は320J/mである。
尚、このアイゾット衝撃強度の数値は、ASTM D2
56に従って、13mm×65mm×6.4mmのアイ
ゾット試験片(ノッチ付き)について測定されたもので
ある。
【0041】尚、上記のABS系樹脂(B)は乳化重
合、塊状重合および塊状−懸濁重合などの公知の重合法
により製造することができるものであるが、ABS系樹
脂としては上記のグラフト法によって得られたもののみ
ならず、グラフト・ブレンド法によって得られたものも
同様に使用できるものであり、この方法によって得られ
るABS系樹脂も同様に広く知られている。ABS系樹
脂(B)は市販品を使用することができるものであり、
例えば、日本エイアンドエル(株)製の「クララスチッ
ク」、「サンタック」、東レ(株)製の「トヨラック」
等(いずれも商品名)を挙げることができる。
【0042】上記のABS樹脂(B)は1種を単独で用
いる他、2種以上を混合して用いることができるもので
あり、ABS樹脂(B)の配合量は、ポリカーボネート
樹脂(A)とABS系樹脂(B)の合計中において、1
0〜70質量%の範囲になるように設定8するのが好ま
しい。ABS樹脂(B)の配合量が10質量%未満で
は、成形性が悪化するおそれがあり、逆に70質量%を
超える場合は、成形品の耐熱性が低下するおそれがあ
る。次に、本発明で(D)成分として用いる結晶性樹脂
は、融点150℃以上のものが使用される。耐熱性を高
く得る点で融点が150℃以上であることが好ましいの
である。結晶性樹脂(D)はポリカーボネート樹脂
(A)とABS系樹脂(B)と併用して使用されるた
め、融点が高すぎると成形温度が高くなって樹脂の分解
が生じるので、結晶性樹脂(D)は350℃以下である
ことが好ましい。
【0043】この結晶性樹脂(D)として具体的には、
ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、シンジオタクチック構造を有す
るポリスチレン共重合体等などを用いることができ、こ
れらを1種単独で用いる他、複数種を併用することもで
きる。特に好ましいのは、溶融させたものを液体窒素中
に急冷したサンプルを、DSC(Differential Scannin
g Calorimeter;差動走査熱量計)を用いて10℃/分の
昇温速度30℃〜300℃の範囲で測定した際に、結晶
化開始温度が100℃以上で観察されるものである。こ
のように100℃以上で結晶化温度が観察されるもの
は、実際の成形時において、金型中での溶融状態が長く
なり射出圧縮成形方法において外観良好な成形品を得る
ことができるものである。結晶性樹脂(D)として最も
好ましいのは、結晶化の遅いポリエチレンテレフタレー
トである。これらは市販品を使用することができる。
【0044】結晶性樹脂(D)の配合量は、ポリカーボ
ネート樹脂(A)とABS系樹脂(B)の合計量100
質量部に対して、0.5〜10質量部の範囲が好まし
い。結晶性樹脂(D)の配合量が0.5質量部満では、
成形性の向上の効果を十分に得ることができず、逆に1
0質量部を超える場合は、成形品の外観が悪化する傾向
がある。
【0045】次に、本発明で(E)成分として用いる結
晶核剤としては、タルク、マイカ、カオリン、ガラスビ
ーズ、珪藻土、シリカ、炭酸カルシウム、フレーク、L
/D(Lは平均長さ、Dは平均直径)<50の無機繊
維、ウイスカー状無機充填材などを挙げることができ、
これらは1種単独で用いる他、複数種を併用することも
できる。結晶核剤(E)は粒径が50μm以下のものが
好ましい。これらの無機粉末である結晶核剤(E)は市
販のカップリング剤で処理をしておいてもよい。
【0046】上記のタルクとしては、焼成タルクや酸処
理タルクが好ましい。また無機繊維として、ガラスファ
イバー、ミルドファイバーなどを挙げることができるも
のであり、これらは市販品を使用できる。さらにウイス
カー状無機充填材としては、例えば四国化成工業(株)
製の「アルボレックス」、松下アムテック(株)製の
「パナテトラ」などを挙げることができる。このウイス
カー状無機充填材の中では、酸化亜鉛ウイスカーが特に
好ましい。この酸化亜鉛ウイスカーの中でも、3次元構
造を有するものが好ましい。3次元構造とは、核部とこ
の核部から異なる複数軸方向に伸びた針状結晶部とから
なるものをいい、前期針状結晶部の基部の径が、0.3
〜14μmであり、基部から先端までの長さが3〜20
0μmであるものが好ましく用いられる。これらは、p
Hが中性付近の為、ポリカーボネート樹脂の分子量低下
等を引き起こし難いので適している。
【0047】結晶核剤(E)の配合量は、結晶性樹脂
(D)100質量部に対して、0.05〜10質量部の
範囲が好ましい。結晶核剤(E)の配合量が0.05質
量部満では、添加による効果を十分に得ることができ
ず、逆に10質量部を超える場合は、成形時の外観が低
下する傾向がある。
【0048】次に、本発明において使用されるグラフト
共重合体(C)は、ポリカーボネート系樹脂セグメント
(a)とビニル系樹脂セグメント(b)から構成される
ものであり、ポリカーボネート系樹脂セグメント(a)
にビニル系樹脂セグメント(b)が分岐、または架橋構
造的に化学結合したものである。
【0049】ポリカーボネート系樹脂セグメント(a)
には既述したポリカーボネート樹脂(A)と同じものを
使用することができる。このときのポリカーボネート樹
脂は粒径が0.1〜5mm程度の粉状又はペレット状で
あることが好ましい。粒径が0.1mm未満であると、
グラフト共重合体(C)を合成する際の作業性が低下
し、粒径が5mmを超えると、グラフト共重合体(C)
を合成する際の懸濁液中での分散が困難であるばかりで
なく、ビニル系樹脂セグメント(b)を構成するビニル
単量体等の含浸時間が長くなる問題が生じる。またポリ
カーボネート樹脂は多孔質であることが含浸する上でよ
り好ましい。
【0050】また、ビニル系樹脂セグメント(b)と
は、上記の一般式「化1」で示される繰り返し単位から
なる重合体セグメント、N−置換マレイミド単位からな
る重合体セグメント、α,β−不飽和酸のグリシジルエ
ステル単位からなる重合体セグメントであり、具体的に
は、スチレン、核置換スチレン、α−置換スチレンなど
の芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、(メ
タ)アクリル酸エステル単量体、マレイミド単量体から
選択される1種以上の単量体を重合して得られるビニル
系樹脂のことである。特に、芳香族ビニル単量体を50
質量%以上含むビニル系重合体は、相溶化効果が良好な
ために好ましい。
【0051】また、グラフト共重合体(C)において、
ビニル系樹脂セグメント(b)のN−置換マレイミド単
位からなる重合体セグメントとして、N−シクロヘキシ
ルマレイミド、又はN−フェニルマレイミド重合体から
選択された少なくとも1つを含むグラフト共重合体であ
るものが好ましい。このグラフト共重合体(C)は、耐
熱性が高いので好ましい。
【0052】さらにグラフト共重合体(C)において、
ビニル系樹脂セグメント(b)のα,β−不飽和酸のグ
リシジルエステル単位からなる重合体セグメントとして
は、メタクリル酸のグリシジルエステルの重合体を含む
グラフト共重合体が好ましい。このグラフト共重合体
(C)は、グリシジル基を有することで更に相溶性を高
めることができる為好ましい。
【0053】グラフト共重合体(C)中のビニル系樹脂
セグメント(b)の数平均重合度は好ましくは10〜5
000、さらに好ましくは100〜2000である。数
平均重合度が10未満であると、熱可塑性樹脂組成物を
成形して得られた成形品の耐衝撃性を向上させることは
可能であるが、耐熱性が低下するため好ましくない。ま
た、数平均重合度が5000を超えると、溶融粘度が高
くなり、成形性が低下したり、表面光沢が低下したりす
るために好ましくない。
【0054】またグラフト共重合体(C)において、ポ
リカーボネート系樹脂セグメント(a)とビニル系樹脂
セグメント(b)の比率は、ポリカーボネート系樹脂セ
グメントが好ましくは5〜95質量%、さらに好ましく
は30〜90質量%、最も好ましくは50〜80質量
%、従って、ビニル系樹脂は好ましくは95〜5質量
%、さらに好ましくは70〜10質量%、最も好ましく
は50〜20質量%である。ポリカーボネート系樹脂セ
グメントが5質量%未満あるいは95質量%を超える
と、グラフト共重合体(C)の相溶化能力が低下するた
め、耐衝撃性などの機械的物性や耐熱性が低下するとと
もに、外観が悪化して好ましくない。
【0055】そしてグラフト共重合体(C)の配合量
は、ポリカーボネート系樹脂(A)とABS系樹脂
(B)との合計量100質量部に対して0.5〜10質
量部が好ましく、さらに好ましくは1〜10質量部の範
囲である。グラフト共重合体(C)の配合量が0.5質
量部未満であると、ポリカーボネート系樹脂(A)とA
BS系樹脂(B)の相溶性が改善されにくく、層状剥離
を起こしたり、充分な衝撃強度が得られ難くなる。ま
た、グラフト共重合体(C)の配合量が100質量部を
超えると、機械的物性や耐熱性が低下するおそれがあ
り、好ましくない。従って、グラフト共重合体(C)の
配合量を0.5〜10質量部の範囲に設定することによ
り、ポリカーボネート系樹脂(A)とABS系樹脂
(B)の相溶性を改善して、熱可塑性樹脂組成物を成形
して得られる成形品の機械的物性や耐熱性、さらには成
形加工性や外観を効果的に改善することができるもので
ある。
【0056】上記のグラフト共重合体(C)を調製する
際のグラフト化法は、一般によく知られている連鎖移動
法、電離性放射線照射法等いずれの方法によってもよい
が、最も好ましいのは、下記に示す方法によるものであ
る。以下の方法によれば、グラフト効率が高く、熱によ
る二次的凝集が起こらないため、性能の発現がより効果
的であり、また製造方法が簡便であるからである。
【0057】すなわち、まず、ポリカーボネート系樹脂
粒子100質量部を水に懸濁せしめる。この懸濁液に、
別に調製した次の溶液を加える。この溶液はビニル単量
体の1種又は2種以上の混合物5〜99質量部に、下記
一般式「化2」又は「化3」で表されるラジカル重合性
有機過酸化物の1種又は2種以上の混合物を該ビニル単
量体100質量部に対して0.1〜10質量部と、10
時間の半減期を得るための分解温度が40〜90℃であ
るラジカル重合開始剤をビニル単量体とラジカル重合性
有機過酸化物との合計100質量部に対して0.01〜
5質量部とを溶解せしめたものである。
【0058】そして、ラジカル重合開始剤の分解が実質
的に起こらない条件で加熱し、ビニル単量体、ラジカル
重合性有機過酸化物及びラジカル重合開始剤をポリカー
ボネート系樹脂粒子中に含浸せしめる。次いで、この水
性懸濁液の温度を上昇せしめ、ビニル単量体とラジカル
重合性有機過酸化物とをポリカーボネート系樹脂粒子中
で共重合せしめて、グラフト化前駆体を得る。このグラ
フト化前駆体を直接ポリカーボネート樹脂(A)とAB
S系樹脂(B)と共に溶融混合してもよい。
【0059】また、グラフト化前駆体を150〜350
℃の溶融下、混練することにより、グラフト共重合体
(C)を得ることもできる。このとき、グラフト化前駆
体に、別にポリカーボネート系樹脂、ビニル系重合体又
はABS系樹脂を混合し、溶融下に混練してもグラフト
共重合体(C)を得ることができる。最も好ましいのは
グラフト化前駆体を混練し得られたグラフト共重合体
(C)である。
【0060】ここで、前記一般式「化2」で表されるラ
ジカル重合性有機過酸化物を次に示す。
【0061】
【化2】
【0062】(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜2
のアルキル基、R2は水素原子又はメチル基、R3及びR
4はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R5は炭素数1
〜12のアルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニ
ル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。m
は1又は2である。) また、前記一般式「化3」で表されるラジカル重合性有
機過酸化物を次に示す。
【0063】
【化3】
【0064】(式中、R6は水素原子又は炭素数1〜4
のアルキル基、R7は水素原子又はメチル基、R8及びR
9はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R10は炭素数
1〜12のアルキル基、フェニル基、アルキル置換フェ
ニル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。
nは0、1又は2である。) 上記の一般式「化2」で表されるラジカル重合性有機過
酸化物として、具体的には、t−ブチルペルオキシアク
リロイロキシエチルカーボネート;t−アミルペルオキ
シアクリロイロキシエチルカーボネート;t−ヘキシル
ペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート;1,
1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシアクリロイ
ロキシエチルカーボネート;クミルペルオキシアクリロ
イロキシエチルカーボネート;p−イソプロピルクミル
ペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート;t−
ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネー
ト;t−アミルペルオキシメタクリロイロキシエチルカ
ーボネート;t−ヘキシルペルオキシメタクリロイロキ
シエチルカーボネート;1,1,3,3−テトラメチル
ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネー
ト;クミルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボ
ネート;p−イソプロピルクミルペルオキシメタクリロ
イロキシエチルカーボネート;t−ブチルペルオキシメ
タクリロイロキシエチルカーボネート;t−アミルペル
オキシアクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;
t−ヘキシルペルオキシアクリロイロキシエトキシエチ
ルカーボネート;1,1,3,3−テトラメチルブチル
ペルオキシアクリロイロキシエトキシエチルカーボネー
ト;クミルペルオキシアクリロイロキシエトキシエチル
カーボネート;p−イソプロピルクミルペルオキシアク
リロイロキシエトキシエチルカーボネート;t―ブチル
ペルオキシメタクリロイロキシエトキシエチルカーボネ
ート;t−アミルペルオキシメタクリロイロキシエトキ
シエチルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシメタク
リロイロキシエトキシエチルカーボネート;1,1,
3,3−テトラメチルブチルペルオキシメタクリロイロ
キシエトキシエチルカーボネート;クミルペルオキシメ
タクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;p−イ
ソプロピルクミルペルオキシメタクリロイロキシエトキ
シエチルカーボネート;t−ブチルペルオキシアクリロ
イロキシイソプロピルカーボネート;t−アミルペルオ
キシアクリロイロキシイソプロピルカーボネート;t−
ヘキシルペルオキシアクリロイロキシイソプロピルカー
ボネート;1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオ
キシアクリロイロキシイソプロピルカーボネート;クミ
ルペルオキシアクリロイロキシイソプロピルカーボネー
ト;p−イソプロピルクミルペルオキシアクリロイロキ
シイソプロピルカーボネート;t−ブチルペルオキシメ
タクリロイロキシイソプロピルカーボネート;t−アミ
ルペルオキシメタクリロイロキシイソプロピルカーボネ
ート;t−ヘキシルペルオキシメタクリロイロキシイソ
プロピルカーボネート;1,1,3,3−テトラメチル
ブチルペルオキシメタクリロイロキシイソプロピルカー
ボネート;クミルペルオキシメタクリロイロキシイソプ
ロピルカーボネート;p−イソプロピルクミルペルオキ
シメタクリロイロキシイソプロピルカーボネート等が例
示される。
【0065】また上記の一般式「化3」で表されるラジ
カル重合性有機過酸化物としては、t−ブチルペルオキ
シアリルカーボネート;t−アミルペルオキシアリルカ
ーボネート;t−ヘキシルペルオキシアリルカーボネー
ト;1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシア
リルカーボネート;p−メンタンペルオキシアリルカー
ボネート;クミルペルオキシアリルカーボネート;t−
ブチルペルオキシメタリルカーボネート;t−アミルペ
ルオキシメタリルカーボネート;t−ヘキシルペルオキ
シメタリルカーボネート;1,1,3,3−テトラメチ
ルブチルペルオキシメタリルカーボネート;p−メンタ
ンペルオキシメタリルカーボネート;クミルペルオキシ
メタリルカーボネート;t−ブチルペルオキシアリロキ
シエチルカーボネート;t−アミルペルオキシアリロキ
シエチルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシアリロ
キシエチルカーボネート;t−ブチルペルオキシメタリ
ロキシエチルカーボネート;t−アミルペルキシメタリ
ロキシエチルカーボネート;t―ヘキシルペルオキシメ
タリロキシエチルカーボネート;t−ブチルペルオキシ
アリロキシイソプロピルカーボネート;t−アミルペル
オキシアリロキシイソプロピルカーボネート;t−ヘキ
シルペルオキシアリロキシイソプロピルカーボネート;
t−ブチルペルオキシメタリロキシイソプロピルカーボ
ネート;t−アミルペルオキシメタリロキシイソプロピ
ルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシメタリロキシ
イソプロピルカーボネート等が例示される。
【0066】中でも好ましい化合物は、t−ブチルペル
オキシアクリロイロキシエチルカーボネート;t−ブチ
ルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート;
t−ブチルペルオキシアリルカーボネート;t−ブチル
ペルオキシメタリルカーボネートである。
【0067】また、グラフト共重合体(C)としては、
熱重量分析において、昇温10℃/分、温度330℃で
の質量減少が、5質量%以下であるものが望ましい。こ
れは、質量減少が5質量%を超えるものであると、材料
溶融混練時や成形時に揮発分により成形性が悪化するお
それがあるためである。質量減少は小さい程好ましく、
理想的には0質量%であるが、実用上の下限は0.1質
量%である。このようなグラフト共重合体(C)として
は、日本油脂(株)製の「モディパー」として市販され
ているものを使用することができる。
【0068】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に
応じて、本発明の目的を損なわない限り、他の合成樹
脂、エラストマー、酸化防止剤、結晶化促進剤、カップ
リング剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等を配合
することができる。合成樹脂やエラストマーとしては、
例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ
オキシメチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩
化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリア
ミド樹脂(ナイロン6樹脂、ナイロン66樹脂、ナイロ
ン610樹脂 、共重合ナイロン樹脂)、ポリアリレー
ト樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン
樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルエー
テルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド
イミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹
脂、石油樹脂、石炭樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエーテ
ルニトリル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、エ
ポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ウレタ
ン樹脂等の合成樹脂やポリオレフィンゴム、オレフィン
系共重合体、水素添加ゴム等のエラストマーを挙げるこ
とができる。これらは、2種類以上を混合して使用する
ことができる。
【0069】また酸化防止剤としては、リン系酸化防止
剤、フェノール系酸化防止剤等があげられる。また、こ
れらは、単独で使用しても良いし、2種類以上を混合し
て使用することができる。
【0070】またカップリング剤としては、シラン系化
合物、チタネート系化合物、アルミニウム系化合物等が
あげられ、特にシラン系化合物が好ましい。シラン系と
しては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−
β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチ
ルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン等のアミノシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエト
キシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、p−スチ
リルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビ
ニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリ
メトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラ
ン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメ
ルカプトシラン、イミダゾールシラン、更に、エポキシ
系、アミノ系、ビニル系の高分子タイプのシラン等があ
る。また、これらは、単独で使用しても良いし、2種類
以上を混合して使用することができる。
【0071】着色剤としては、公知の各種顔量又は染料
を使用することができ、例えば、カーボンブラック等の
黒色顔量、赤口黄鉛等の橙色顔量、弁柄等の赤色染顔
量、コバルトバイオレット等の紫色染顔量、コバルトブ
ルー等の青色染顔量、フタロシアニングリーン等の緑色
染顔量等を使用することができる。更に、最新顔量便覧
(日本顔料技術協会編、昭和52年発行)を参考にして
適宜選択して使用することができる。
【0072】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を製造す
るにあたっては、上記の各成分をヘンシェルミキサー等
の混合機で混合・混練し、これをペレタイズすることに
よって行なうことができるが、予め必要成分の一部をマ
スターバッチ化して混合・混練した後、他の成分を加え
てエクストルーダ等の混練機で再度混練し、これをペレ
タイズすることによっても行なうことができる。後者の
方法では、まず結晶性樹脂(D)と結晶核剤(E)の成
分を混練し、この後、この混練物をポリカーボネート樹
脂(A)とABS樹脂(B)やグラフト共重合体(C)
など他の成分と共に2度めの混練をするようにするのが
好ましい。結晶性樹脂(D)と結晶核剤(E)を先に混
合しておくことによって、結晶性樹脂と結晶核剤の分散
性を向上させることができるものである。
【0073】このようにして得られる熱可塑性樹脂組成
物の成形の際の流動性は、スパイラルフロー試験によっ
て評価することができるが、スパイラルフロー金型(金
型内のスパイラル流路の断面の厚み0.8mm、幅6.
0mm)に、シリンダー温度300℃、射出圧力98.
1MPa(1000kg/cm2)、金型温度85℃の
条件で射出成形したときに、成形されるスパイラル長さ
が80mm以上であることが好ましい。スパイラル長さ
が80mm未満であると、流動性が不十分であって良好
な成形性を得ることができない。しかし、スパイラル長
さが500mm以上ある場合には、得られた成形品は機
械的強度が低下して実用上使用できなくなるおそれがあ
るので、これが上限である。
【0074】そして上記のようにして調製した熱可塑性
樹脂組成物を用い、既述の図1の方法で射出圧縮成形を
行なうことによって、極薄肉部を有するメモリーカード
の基板を作製することができるものである。
【0075】
【実施例】次に、本発明を実施例によって説明する。
【0076】(実施例1)ポリカーボネート樹脂として
住友ダウ(株)製「カリバー(品番301−30)」、
ABS系樹脂として日本A&L(株)製「クララステッ
ク(品番GA501)」、結晶性樹脂としてクラレ
(株)製ポリエチレンテレフタレート「クラペット(品
番KL236R)」、結晶核剤として林化成(株)製タ
ルク「ミクロンホワイト(品番5000R)」を用い、
まず結晶性樹脂5質量部と結晶核剤1質量部とを混練し
た後、さらにこれにポリカーボネート樹脂75質量部と
ABS系樹脂25質量部を配合して溶融混練し、熱可塑
性樹脂組成物を得た。
【0077】そしてこの熱可塑性樹脂組成物を成形材料
として用い、図1のようにして射出圧縮成形することに
よって、図2のような成形品を作製した。
【0078】(実施例2〜27、比較例1〜4)ポリカ
ーボネート樹脂、ABS系樹脂、グラフト共重合体、結
晶性樹脂、結晶核剤として、下記のものを用い、表1〜
4に示す配合量で、まず結晶性樹脂と結晶核剤とを混練
した後、さらにこれにポリカーボネート樹脂、ABS系
樹脂、グラフト共重合体を配合して溶融混練し、熱可塑
性樹脂組成物を得た。そしてこの熱可塑性樹脂組成物成
形材料として用い、上記実施例1と同様にして成形品を
作製した。 ○ポリカーボネート樹脂(PC樹脂) ・樹脂A:ポリカーボネート樹脂(住友ダウ(株)製
「カリバー(品番301−30)」、MFR:30g/
分(280℃/2.1kg)) ・樹脂B:ポリカーボネート樹脂(住友ダウ(株)製
「カリバー(品番1080DVD)」、MFR:60g
/分(280℃/2.1kg)) ・樹脂C:ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリン
グプラスチック(株)製「ユーピロン(品番H400
0)」、MFR:70g/分(280℃/2.1k
g)) ○ABS系樹脂 ・樹脂A:日本エイアンドエル(株)製「クララステッ
ク(品番GA501)」(アイゾット衝撃強度294J
/m) ・樹脂B:日本エイアンドエル(株)製「クララステッ
ク(品番GA704)」(アイゾット衝撃強度245J
/m) ・樹脂C:日本エイアンドエル(株)製「クララステッ
ク(品番MVF1K)」(アイゾット衝撃強度373J
/m) ○結晶性樹脂 ・樹脂A:ポリエチレンテレフタレート(PET)(ク
ラレ(株)製「クラペット(品番KL236R)」、融
点260℃、結晶化温度139℃) ・樹脂B:ポリアセタール(POM)(三菱エンジニア
リングプラスチック(株)製「ユピタール(品番F4
0)」、融点165℃) ・樹脂C:シンジオタクチックポリスチレン(SPS)
(出光石油化学(株)製「ザレック(品番S10
0)」、融点270℃、結晶化温度150℃) ・樹脂D:ポリブチレンテレフタレート(PBT)(三
菱レイヨン(株)製「タフペット(品番N130
0)」、融点230℃) ○結晶核剤 ・核剤A:タルク(林化成(株)製「ミクロンホワイト
(品番5000R)」、平均粒径2.8μm) ・核剤B:焼成タルク(富士タルク(株)製「品番ST
100」、平均粒径6μm、pH8.6) ・核剤C:酸性処理タルク(日本タルク(株)製「品番
ROSE TALC」、平均粒径15μm、pH7.
5) ・核剤D:カオリン(富士タルク(株)製「品番特月中
和」、平均粒径3μm、pH8.4) ・核剤E:マイカ(林化成(株)製「品番#800
0)」、平均粒径5μm) ・核剤F:酸化亜鉛ウイスカ(松下アムテック(株)製
「パナテトラ(品番WZ0501)」、針状短繊維長2
〜50μm、針状短繊維径0.2〜3μm) ・核剤G:ウイスカ(四国化成工業(株)製「アルボレ
ックス(品番M20)」、平均繊維長20μm、平均繊
維径0.75μm) ○グラフト共重合体 ・共重合体A:ポリカーボネート−ポリスチレングラフ
ト共重合体(日本油脂(株)製流動性改善グレード「モ
ディパ(品番C L150D)」、PC/PS=50/
50、質量減少1.2%) ・共重合体B:ポリカーボネート−アクリロニトリルス
チレングラフト共重合体(日本油脂(株)製「モディパ
(品番C L430D)」、PC/AS=70/30、
質量減少1.5%、MFR3g/分) ・共重合体C:ポリカーボネート−アクリロニトリルス
チレングラフト共重合体(日本油脂(株)製「モディパ
(品番C H430D)」、PC/AS=70/30、
質量減少1.2%、MFR5g/分) ・共重合体D:ポリカーボネート−アクリロニトリルス
チレン−フェニルマレイミドグラフト共重合体(日本油
脂(株)製「モディパ試作品」、PC/AS/PMI=
70/25/5、質量減少1.0%、MFR5g/分) ・共重合体E:ポリカーボネート−アクリロニトリルス
チレン−シクロヘキシルマレイミト゛グラフト共重合体
(日本油脂(株)製「モディパ試作品」、PC/AS/
CHMI=70/25/5、質量減少1.0%) ・共重合体F:ポリカーボネート−アクリロニトリルス
チレン−グリシジルメタクリレートグラフト共重合体
(日本油脂(株)製「モディパ試作品)」、PC/AS
/GMA=70/25/5、質量減少1.1%) (評価) (1)薄肉成形性 図2に示す、寸法が20mm×20mm×0.15m
m、外周部分の厚みが2mmの薄肉成形品を10個射出
圧縮成形し、外観を観察して変形の認められる成形品の
個数をカウントすることによって、薄肉の成形性を評価
した。結果を表1〜4に示す。
【0079】(2)流動性 スパイラルフロー金型(金型内の流路断面の厚み0.8
mm、幅6.0mm)に、シリンダー温度300℃、射
出圧力98.1MPa(1000kg/cm2)、金型
温度85℃の条件で射出成形を行ない、成形されたスパ
イラル長さを測定し、流動性の指標として評価した。結
果を表1〜4に示す。
【0080】(3)熱変形温度 ASTM D648に従って、1.82MPaの条件で
評価した。結果を表1〜4に示す。
【0081】(4)ノッチ付きアイゾット衝撃強度 ASTM D256に従って、13mm×65mm×
3.2mmのアイゾット衝撃試験片(ノッチ付き)を成
形し、これを23℃で評価した。結果を表1〜表4に示
す。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】表1〜表4にみられるように、各実施例の
ものは、流動性が良好であって、薄肉成形性が良く、ま
た熱変形温度が高くで耐熱性に優れると共に耐衝撃強度
も高いものであった。
【0087】
【発明の効果】上記のように本発明に係るメモリーカー
ド用熱可塑性樹脂組成物は、(A)ポリカーボネート樹
脂、(B)ABS系樹脂、(D)結晶性樹脂、(E)結
晶核剤を含有するので、流動性が良好であって、薄肉部
を成形性良く成形してメモリーカードを得ることがで
き、また熱変形温度が高くて耐熱性に優れると共に耐衝
撃強度も高いメモリーカードを得ることができるもので
ある。
【0088】また本発明に係るメモリーカードは、上記
のメモリーカード用熱可塑性樹脂組成物を用いて、射出
圧縮成形法により形成されたものであるから、薄肉部を
成形性良く成形して形成することができ、また熱変形温
度が高くで耐熱性に優れると共に耐衝撃強度も高いもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】射出圧縮成形工法を工程順に示す説明図であ
り、(A)は概略平面図、(B)は概略断面図である。
【図2】実施例及び比較例で成形した薄肉成形品の形状
及び寸法を示すものであり、(a)は平面図、(b)は
断面図である。
【符号の説明】
1 成形金型 2 キャビティ 3 コア 4 ゲート 5 成形材料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 3/00 C08K 3/00 C08L 55/02 C08L 55/02 G06K 19/077 (C08L 69/00 //(C08L 69/00 55:02 55:02 51:08 51:08 101:00) 101:00) (C08L 55/02 (C08L 55/02 69:00 69:00 51:08 51:08 101:00) 101:00) G06K 19/00 K Fターム(参考) 2C005 MA07 MA19 MB03 PA04 RA07 RA12 4F070 AA18 AA42 AA47 AA50 AB08 AB09 AC11 AC13 AC22 AC23 AC27 AC28 AC76 AC84 AC88 AD01 AD02 AE30 FA03 FA17 FB03 FB07 FB09 4J002 BC034 BN15X BN173 CB004 CF064 CF074 CG00W DE106 DJ016 DJ036 DJ046 DJ056 DL006 FA016 FA066 FA086 FD206 GC00 4J026 AB17 BA05 BA06 BA26 BA27 BA30 BA31 BA32 BB01 BB02 DB03 DB15 5B035 AA07 BA03 BB09 CA01

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリカーボネート樹脂、(B)A
    BS系樹脂、(C)ポリカーボネート系樹脂セグメント
    (a)に対して、ビニル系樹脂セグメント(b)が、分
    岐、または架橋構造的に化学結合したグラフト共重合
    体、(D)結晶性樹脂、(E)結晶核剤、を含有して成
    ることを特徴とするメモリーカード用熱可塑性樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 (A)ポリカーボネート樹脂が、測定温
    度280℃、荷重2.1kgでのMFR値が20g/分
    以上のものであることを特徴とする請求項1に記載のメ
    モリーカード用熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (B)ABS系樹脂が、アイゾット衝撃
    強度が200J/m以上のものであることを特徴とする
    請求項1又は2に記載のメモリーカード用熱可塑性樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】 (A)ポリカーボネート樹脂と(B)A
    BS系樹脂の合計中において、(A)ポリカーボネート
    樹脂を30〜90質量%、(B)ABS系樹脂を70〜
    10質量%含有して成ることを特徴とする請求項1乃至
    3のいずれかに記載のメモリーカード用熱可塑性樹脂組
    成物。
  5. 【請求項5】 (D)結晶性樹脂が、融点が150℃以
    上のものであることを特徴とする請求項1乃至4のいず
    れかに記載のメモリーカード用熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 (D)結晶性樹脂が、溶融させたものを
    液体窒素中に急冷し、これをDSCを用いて、昇温速度
    10℃/分で30℃〜300℃の範囲で測定した際の、
    結晶化開始温度が100℃以上のものであることを特徴
    とする請求項1乃至5のいずれかに記載のメモリーカー
    ド用熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 (D)結晶性樹脂が、ポリエチレンテレ
    フタレートであることを特徴とする請求項1乃至6のい
    ずれかに記載のメモリーカード用熱可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 (D)結晶性樹脂の配合量が、(A)ポ
    リカーボネート樹脂と(B)ABS系樹脂の合計量10
    0質量部に対して、0.5〜10質量部であることを特
    徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のメモリーカ
    ード用熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 (E)結晶核剤が、タルク、カオリン、
    マイカ、シリカ、ガラスビーズ、フレーク、L/Dが5
    0未満の無機繊維、ウイスカ−状無機充填材から選択さ
    れた少なくとも1つであることを特徴とする請求項1乃
    至8のいずれかに記載のメモリーカード用熱可塑性樹脂
    組成物。
  10. 【請求項10】 (E)結晶核剤のタルクが、焼成タル
    クと酸処理タルクの少なくとも一方であることを特徴と
    する請求項9に記載のメモリーカード用熱可塑性樹脂組
    成物。
  11. 【請求項11】 (E)結晶核剤のウイスカ−状無機充
    填材が、酸化亜鉛ウイスカーであることを特徴とする請
    求項9に記載のメモリーカード用熱可塑性樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 (E)結晶核剤の配合量が、(D)結
    晶性樹脂100質量部に対して、0.05〜10質量部
    であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに
    記載のメモリーカード用熱可塑性樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 (C)グラフト共重合体において、ポ
    リカーボネート系樹脂セグメント(a)とビニル系樹脂
    セグメント(b)の比率が、ポリカーボネート系樹脂セグ
    メント(a)が5〜95質量%、ビニル系樹脂セグメン
    ト(b)が95〜5質量%であることを特徴とする請求項
    1乃至12のいずれかに記載のメモリーカード用熱可塑
    性樹脂組成物。
  14. 【請求項14】 (C)グラフト共重合体において、ビ
    ニル系樹脂セグメント(b)が、下記一般式「化1」で
    示される繰り返し単位からなる重合体セグメント、又は
    N−置換マレイミド単位からなる重合体セグメント、又
    はα,β−不飽和酸のグリシジルエステル単位からなる
    重合体セグメントであることを特徴とする請求項1乃至
    13のいずれかに記載のメモリーカード用熱可塑性樹脂
    組成物。 【化1】 (ただし、R1は水素、またはC数1〜3の低級アルキ
    ル基、X1は、−COOCH3、−COOC2H5、−COOC4H9、−COO
    CH2CH(C2H5)C4H9、−C6H5、−CNから選ばれた1種また
    は2種以上の基を表す。)
  15. 【請求項15】 (C)グラフト共重合体において、ビ
    ニル系樹脂セグメント(b)のN−置換マレイミド単位
    からなる重合体セグメントが、N−シクロヘキシルマレ
    イミド、又はN−フェニルマレイミド重合体から選択さ
    れた少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項14
    に記載のメモリーカード用熱可塑性樹脂組成物。
  16. 【請求項16】 (C)グラフト共重合体において、ビ
    ニル系樹脂セグメント(b)のα,β−不飽和酸のグリ
    シジルエステル単位からなる重合体セグメントが、メタ
    クリル酸のグリシジルエステルの重合体を含むことを特
    徴とする請求項14に記載のメモリーカード用熱可塑性
    樹脂組成物。
  17. 【請求項17】 (C)グラフト共重合体が、熱重量分
    析において、昇温10℃/分、温度330℃での質量減
    少が、5質量%以下のものであることを特徴とする請求
    項1乃至16のいずれか記載のメモリーカード用熱可塑
    性樹脂組成物。
  18. 【請求項18】 (C)グラフト共重合体の配合量が、
    (A)ポリカーボネート樹脂と(B)ABS系樹脂の合
    計量100質量部に対して、0.5〜10質量部である
    ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の
    メモリーカード用熱可塑性樹脂組成物。
  19. 【請求項19】 スパイラルフロー金型(金型内の流路
    断面の厚み0.8mm、幅6.0mm)に、シリンダー
    温度300℃、射出圧力98.1MPa(1000kg
    /cm2)、金型温度85℃の条件で射出成形したとき
    の、成形されたスパイラル長さが80mm以上であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載のメ
    モリーカード用熱可塑性樹脂組成物。
  20. 【請求項20】 請求項1乃至19のいずれかに記載の
    メモリーカード用熱可塑性樹脂組成物を調製するにあた
    って、まず(D)〜(E)の成分を混練し、この後、こ
    の混練物を他の成分と2度めの混練をすることを特徴と
    するメモリーカード用熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  21. 【請求項21】 請求項1乃至19のいずれかに記載の
    メモリーカード用熱可塑性樹脂組成物を用いて、射出圧
    縮成形法により形成されて成ることを特徴とするメモリ
    ーカード。
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