JP2015214344A - 多層容器 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、プラスチック容器はガラスに比べて軽量であり、素材によっては耐衝撃性、耐熱性、透明性等に優れることから、ガラス製容器の代替品としてプラスチック容器が検討されている。例えば特許文献1には、ポリエステル樹脂からなる医療用容器について開示されている。また、エンジニアリングプラスチックの一つであるポリカーボネート樹脂(以下、「PC」と略することがある。)は、耐衝撃性、耐熱性、透明性に優れ、ガラス代替材料として一般的に使用されている。
また、N−MXD6に対して結晶化核剤を添加する方法や、加熱殺菌処理時に結晶化核剤として作用するナイロン6等の結晶性ポリアミド樹脂をN−MXD6とブレンドする方法も知られている。しかしながら、これらの方法によっても、PC多層容器における加熱殺菌処理後の白化抑制効果は満足できるものではない。
<1>ポリカーボネート樹脂を主成分とする層(X)及びポリアミド樹脂組成物(P)からなるガスバリア層(Y)が積層されたインジェクションブロー多層容器であって、
前記ポリアミド樹脂組成物(P)が、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位と、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とを含むポリアミド樹脂(A)10〜45質量%及びポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(B)90〜55質量%を含む、インジェクションブロー多層容器。
<2>前記キシリレンジアミンが、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン又はこれらの混合物であり、前記直鎖脂肪族ジカルボン酸が、アジピン酸、セバシン酸又はこれらの混合物である、前記<1>に記載のインジェクションブロー多層容器。
<3>前記ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸単位が、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位及び芳香族ジカルボン酸単位に由来する構成単位を含み、かつ、該直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位と芳香族ジカルボン酸単位に由来する構成単位とのモル比(直鎖脂肪族ジカルボン酸/芳香族ジカルボン酸)が80/20〜99/1である、前記<1>又は<2>に記載のインジェクションブロー多層容器。
<4>内層及び外層として前記層(X)、中間層として少なくとも一層の前記ガスバリア層(Y)を有する、前記<1>〜<3>のいずれかに記載のインジェクションブロー多層容器。
<5>前記ガスバリア層(Y)の厚みが、多層容器の総厚みに対して2〜40%である、前記<1>〜<4>のいずれかに記載のインジェクションブロー多層容器。
<6>医療用容器である、前記<1>〜<5>のいずれかに記載のインジェクションブロー多層容器。
<7>アンプル、バイアル又はプレフィルドシリンジである、前記<1>〜<6>のいずれかに記載のインジェクションブロー多層容器。
本発明の多層容器における層構成は特に限定されず、層(X)及び層(Y)の数や種類は特に限定されない。例えば、1層の層(X)及び1層の層(Y)からなるX/Y構成又はY/X構成であってもよく、2層の層(X)及び1層の層(Y)からなるX/Y/Xの3層構成であってもよい。さらに、本発明の多層容器は、必要に応じて接着性熱可塑性樹脂からなる接着層(AD)等の任意の層を含んでもよい。本発明の多層容器は、PC層(X)/ガスバリア層(Y)/PC層(X)が内層から外層へこの順に積層された3層構造、又はPC層(X)/接着層(AD)/ガスバリア層(Y)/接着層(AD)/PC層(X)が内層から外層へこの順に積層された5層構造であることが好ましい。これらに限らず、目的に応じて様々な熱可塑性樹脂層を更に積層することが可能である。例えば、多層シート及び多層容器製造時にトリミングしてできたトリミングくずを粉砕して、粉砕物を単独で、又はPCや他の熱可塑性樹脂と混合してリサイクル樹脂層として、PC層と接着層との間に中間層として積層することができる。
本発明の多層容器を構成するPC層(X)は、ポリカーボネート樹脂を主成分とする層である。ここで、「主成分とする」とは、層(X)中に、ポリカーボネート樹脂を70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90〜100質量%含まれることを意味する。層(X)は、ポリカーボネート樹脂に加えて、所望する性能等に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で酸化防止剤や艶消剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、結晶化核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。
本発明の多層容器は、層(X)を複数有していてもよく、複数の層(X)の構成は互いに同一であっても異なっていてもよい。
PC層(X)の厚みは特に限定されないが、強度及びコストの観点から、20〜2000μmが好ましく、50〜1500μmがより好ましい。
本発明の多層容器を構成するガスバリア層(Y)は、容器外部から進入する酸素を遮断し、容器内の内容物の酸化劣化を防止する役割を有する。良好なガスバリア性の観点から、ガスバリア層(Y)の23℃、60%RH環境下における酸素透過係数が1.0ml・mm/m2・day・atm以下であることが好ましく、0.05〜0.8ml・mm/m2・day・atmであることがより好ましい。酸素透過係数は、ASTM D3985に準じて測定することができ、例えば「OX−TRAN 2/61」(商品名、Mocon社製)を使用して測定することができる。
本発明の多層容器は、ガスバリア層(Y)を複数有していてもよく、複数のガスバリア層(Y)の構成は互いに同一であっても異なっていてもよい。
ガスバリア層(Y)の厚みは特に限定されないが、ガスバリア性、透明性及びコストの観点から、1〜800μmが好ましく、100〜700μmがより好ましい。また、本発明の多層容器におけるガスバリア層(Y)の厚みは、ガスバリア性、透明性及びコストの観点から、多層容器の総厚みに対して2〜40%の範囲であることが好ましく、より好ましくは5〜38%であり、さらに好ましくは10〜35%である。多層容器におけるガスバリア層(Y)の厚みは、容器を切断し、PC層(X)から剥離することによって測定できる。
本発明の多層容器を構成するガスバリア層(Y)は、ポリアミド樹脂組成物(P)からなり、該ポリアミド樹脂組成物(P)は、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位と、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とを含むポリアミド樹脂(A)10〜45質量%及びポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(B)(以下、「N−6I/6T」と略することがある。また、ポリアミド樹脂(B)ともいう。)90〜55質量%を含む。
ポリアミド樹脂(A)は、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位と、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とを含むキシリレン基含有ポリアミドである。
ポリアミド樹脂(A)のジアミン単位は、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含む。ポリアミド樹脂(A)のジアミン単位中における、キシリレンジアミンに由来する構成単位の含有量は、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%である。
ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸単位は、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を70モル%以上含む。ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸単位中における、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位の含有量は、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上であり、上限は100モル%である。
ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸単位中における、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位と芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位とのモル比は、ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸単位を100モル%としたとき、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸とのモル比(直鎖脂肪族ジカルボン酸/芳香族ジカルボン酸)は、好ましくは80/20〜99/1、より好ましくは85/15〜98/2、更に好ましくは90/10〜97/3である。
ポリアミド樹脂(A)の製造は、特に限定されるものではなく、任意の方法、重合条件により行うことができる。例えば、ジアミン成分とジカルボン酸成分とからなる塩を水の存在下に加圧状態で昇温し、加えた水及び縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法によりポリアミド樹脂(A)を製造することができる。また、ジアミン成分を溶融状態のジカルボン酸成分に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によってもポリアミド樹脂(A)を製造することができる。この場合、反応系を均一な液状態で保つために、ジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。重縮合時に分子量調整剤として少量のモノアミンやモノカルボン酸を加えてもよい。
ポリアミド樹脂の重合度の指標としては、相対粘度が一般的に使われる。本発明に用いられるポリアミド樹脂(A)の相対粘度は、PC層(X)の溶融粘度及び共射出成形性の観点から、好ましくは2.2〜4.0、より好ましくは2.3〜3.5、更に好ましくは2.4〜3.0である。
なお、ここで言う相対粘度は、ポリアミド樹脂0.2gを96質量%硫酸20mLに溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて25℃で測定した落下時間(t)と、同様に測定した96質量%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=t/t0
ポリアミド樹脂(B)は、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマーであり、テレフタル酸、イソフタル酸、及びヘキサメチレンジアミンを重縮合して得られる共重合体である。
ポリアミド樹脂(B)は非晶性ポリアミド樹脂であり、ポリアミド樹脂組成物(P)においてポリアミド樹脂(A)の結晶化速度を低下させ、成形性を向上させる。N−6I/6Tは、ブロック共重合体であってもランダム共重合体であってもよい。N−6I/6Tとしては市販品を用いることができ、例えば「ノバミッドX21」(商品名、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)、「Selar PA 3426」(商品名、三井デュポン(株)製)、「Grivory G21」(商品名、EMS社製)を用いてもよい。
ポリアミド樹脂組成物(P)は、本発明の効果を損なわない範囲で、滑剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、結晶化核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の任意の添加剤を含有してもよい。
ポリアミド樹脂組成物(P)は、任意の混合方法及び/又は混練方法を適用して、ポリアミド樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)とを混合及び/又は混練することにより調製することができる。混合方法としては、例えば、回転中空容器内にポリアミド樹脂ペレットを投入し混合してもよく、定量フィーダーを用いてホッパーに所定量投入してもよい。混練方法としては、例えば溶融混練が挙げられる。所定量のポリアミド樹脂(A)及びポリアミド樹脂(B)をドライブレンドし、混合物をホッパーに一括投入して、ポリアミド樹脂組成物(P)を調製することが特に好ましい。
また、ポリアミド樹脂組成物に添加剤を配合する場合、ポリアミド樹脂(A)及び/又はポリアミド樹脂(B)に添加剤を添加してからポリアミド樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)とを混合及び/又は混練してもよく、ポリアミド樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)とを混合及び/又は混練する際に同時に添加剤を混合及び/又は混練してもよい。
本発明の多層容器は、前記層(X)及び(Y)に加えて、所望する性能等に応じて任意の層を含んでいてもよい。そのような任意の層としては、例えば、接着層等が挙げられる。
本発明の多層容器において、隣接する2つの層の間で実用的な層間接着強度が得られない場合には、当該2つの層の間に接着剤層を設けることが好ましい。
接着層は、接着性を有する熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。接着性を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリエステル系ブロック共重合体を主成分とした、ポリエステル系熱可塑性エラストマーが挙げられる。接着層としては、接着性の観点から、層(X)として用いられているPC樹脂と同種の樹脂を変性したものを用いることが好ましい。
接着層の厚みは、実用的な接着強度を発揮しつつ成形加工性を確保するという観点から、好ましくは2〜100μm、より好ましくは5〜90μm、更に好ましくは10〜80μmである。
本発明のインジェクションブロー多層容器はインジェクションブロー成形により製造される。インジェクションブロー成形では、まず射出成形により試験管状のプリフォーム(パリソン)を成形し、次いでプリフォームをある程度加熱された状態を保ったまま最終形状金型(ブロー金型)に嵌め、口部から空気を吹込み、プリフォームを膨らませて金型に密着させ、冷却固化させることでボトル状に成形することができる。
本発明では、例えば、2台以上の射出機を備えた成形機及び射出用金型を用いて、PC層(X)を構成する材料及びガスバリア層(Y)を構成する材料をそれぞれの射出シリンダーから金型ホットランナーを通して、キャビティー内に射出して、射出用金型の形状に対応した多層プリフォームを製造することができる。
また、先ず、PC層(X)を構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いでガスバリア層(Y)を構成する材料を別の射出シリンダーからPC層(X)を構成する樹脂と同時に射出し、次にPC層(X)を構成する樹脂を必要量射出してキャビティーを満たすことにより3層構造X/Y/Xの多層プリフォームを製造できる。
また、先ず、PC層(X)を構成する材料を射出し、次いでガスバリア層(Y)を構成する材料を単独で射出し、最後にPC層(X)を構成する材料を必要量射出して金型キャビティーを満たすことにより、5層構造X/Y/X/Y/Xの多層プリフォームを製造できる。
また、先ず、PC層(X1)を構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いでPC層(X2)を構成する材料を別の射出シリンダーからPC層(X1)を構成する樹脂と同時に射出し、次にガスバリア層(Y)を構成する樹脂をPC層(X1)、PC層(X2)を構成する樹脂と同時に射出し、次にPC層(X1)を構成する樹脂を必要量射出してキャビティーを満たすことにより5層構造X1/X2/Y/X2/X1の多層プリフォームを製造できる。
無機物又は無機酸化物としては、アルミニウムやアルミナ、酸化珪素等が挙げられる。無機物又は無機酸化物の蒸着膜は、本発明の多層容器から、アセトアルデヒドやホルムアルデヒド等の溶出物を遮蔽できる。蒸着膜の形成方法は特に限定されず、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法や、PECVD等の化学蒸着法等が挙げられる。蒸着膜の厚みは、ガスバリア性、遮光性及び耐屈曲性等の観点から、好ましくは5〜500nm、より好ましくは5〜200nmである。
アモルファスカーボン膜はダイヤモンド状炭素膜で、iカーボン膜または水素化アモルファスカーボン膜とも呼ばれる硬質炭素膜である。膜の形成法としては、排気により中空成形体の内部を真空にし、そこへ炭素源ガスを供給し、プラズマ発生用エネルギーを供給することにより、その炭素源ガスをプラズマ化させる方法が例示され、これにより、容器内面にアモルファスカーボン膜を形成させることができる。アモルファスカーボン膜は酸素や二酸化炭素のような低分子無機ガスの透過度を著しく減少させることができるだけでなく、臭いを有する各種の低分子有機化合物の収着を抑制することができる。アモルファスカーボン膜の厚みは、低分子有機化合物の収着抑制効果、ガスバリア性の向上効果、プラスチックとの密着性、耐久性および透明性等の観点から、50〜5000nmが好ましい。
ポリアミド樹脂0.2gを精秤し、96質量%硫酸100mlに20〜30℃で撹拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温漕中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96質量%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。t及びt0から次式により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0
多層容器の23℃、容器内部の相対湿度100%、外部の相対湿度50%の環境下における酸素透過率(OTR)を、ASTM D3985に準じて、酸素透過率測定装置(Mocon社製、製品名:「OX−TRAN 2/61」)を使用して測定した。測定値が低いほど、ガスバリア性が良好であることを示す。
オートクレーブ((株)トミー精工製、製品名:「SR−240」)を用いて多層容器を121℃30分レトルト処理し、加熱殺菌処理前後の容器側面部を切り出して測定した。ヘイズの測定は、JIS K7136に準じて行った。また、全光線透過率の測定は、JIS K7375に準じて行った。なお、前記加熱殺菌処理時間には加熱及び冷却時間は含まれない。測定装置は、色彩・濁度測定器(日本電色工業(株)製、製品名:「COH−300A」)を使用した。測定箇所における厚さを測定し、厚さ300μmに換算した値とした。
まず、メタキシリレンジアミン単位とアジピン酸単位とからなるN−MXD6(三菱ガス化学(株)製、商品名:「MXナイロンS6007」、相対粘度=2.65)(ポリアミド樹脂(A1))及びN−6I/6T(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名:「ノバミッドX21」)(ポリアミド樹脂(B1))をそれぞれ所定量、単軸押出機に投入して混練、ペレット化することで、ポリアミド樹脂(A1)30質量%とポリアミド樹脂(B1)70質量%とからなるポリアミド樹脂組成物(P1)を調製した。
得られたプリフォームを所定の温度まで冷却後、二次加工として、ブロー金型へ移行しブロー成形を行うことで多層バイアルを製造した。
全長89mm、外径40mmφ、肉厚1.8mm、外側PC層(X)厚み670μm、ガスバリア層(Y)厚み460μm、内側PC層(X)厚み670μmとした(総厚みに対するガスバリア層(Y)厚みは25.6%)。なお、多層バイアルの製造には、射出ブロー一体型成形機(UNILOY社製、型式:「IBS 85」、4個取り)を使用した。
(バイアルの成形条件)
層X用の射出シリンダー温度:300℃
層Y用の射出シリンダー温度:280℃
射出金型内樹脂流路温度 :300℃
ブロー温度 :150℃
ブロー金型冷却水温度 : 40℃
撹拌機、分縮器、冷却器、滴下槽、および窒素ガス導入管を備えたジャケット付きの3L反応缶にアジピン酸(AA)4.70molとイソフタル酸(IPA)(エイ・ジイ・インタナショナル・ケミカル(株)製)0.30molとを秤量して仕込み、十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下に160℃で撹拌混合しながら溶融させスラリー状とした。これに、メタキシリレンジアミン(MXDA)4.97molを撹拌下に160分を要して滴下した。この間、内温は連続的に250℃まで上昇させた。メタキシリレンジアミンの滴下とともに留出する水は、分縮器および冷却器を通して系外に除いた。メタキシリレンジアミン滴下終了後、内温を260℃まで昇温し、1時間反応を継続した。得られたポリマーを反応缶下部のノズルからストランドとして取り出し、水冷した後ペレット形状に切断し、アジピン酸とイソフタル酸のモル比が94:6となるポリアミド樹脂ペレットを得た。
次に、このペレットをステンレス製の回転ドラム式の加熱装置に仕込み、5rpmで回転させた。十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下にて反応系内を室温から140℃まで昇温した。反応系内温度が140℃に達した時点で1torr以下まで減圧を行い、更に系内温度を130分間で190℃まで昇温した。系内温度が190℃に達した時点から、同温度にて30分間、固相重合反応を継続した。
反応終了後、減圧を終了し窒素気流下にて系内温度を下げ、60℃に達した時点でペレットを取り出し、ポリアミド樹脂(A2)を得た。ポリアミド樹脂(A2)の相対粘度は2.68であった。
ポリアミド樹脂組成物(P1)に代えてポリアミド樹脂組成物(P2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。
実施例2において、ポリアミド樹脂(A2)及びポリアミド樹脂(B1)の配合比を変更して、混練、ペレット化することで、ポリアミド樹脂(A2)40質量%とポリアミド樹脂(B1)60質量%とからなるポリアミド樹脂組成物(P3)を調製した。
ポリアミド樹脂組成物(P1)に代えてポリアミド樹脂組成物(P3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。
実施例2において、ポリアミド樹脂(A2)及びポリアミド樹脂(B1)の配合比を変更して、混練、ペレット化することで、ポリアミド樹脂(A2)15質量%とポリアミド樹脂(B1)85質量%とからなるポリアミド樹脂組成物(P4)を調製した。
ポリアミド樹脂組成物(P1)に代えてポリアミド樹脂組成物(P4)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。
ポリアミド樹脂組成物(P1)に代えてポリアミド樹脂(B1)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。
ポリアミド樹脂組成物(P1)に代えてポリアミド樹脂(A1)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。
ポリアミド樹脂組成物(P1)に代えてポリアミド樹脂(A2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。
実施例1において、ポリアミド樹脂(A1)及びポリアミド樹脂(B1)の配合比を変更して、混練、ペレット化することで、ポリアミド樹脂(A1)70質量%とポリアミド樹脂(B1)30質量%とからなるポリアミド樹脂組成物(P5)を調製した。
ポリアミド樹脂組成物(P1)に代えてポリアミド樹脂組成物(P5)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。
実施例2において、ポリアミド樹脂(A2)及びポリアミド樹脂(B1)の配合比を変更して、混練、ペレット化することで、ポリアミド樹脂(A2)70質量%とポリアミド樹脂(B1)30質量%とからなるポリアミド樹脂組成物(P6)を調製した。
ポリアミド樹脂組成物(P1)に代えてポリアミド樹脂組成物(P6)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。
ポリアミド樹脂(B1)に代えて、ポリアミド樹脂(B2)としてナイロン6(宇部興産(株)製、商品名:「UBEナイロン」、グレード名:1015B)を使用し、所定量のポリアミド樹脂(A1)及びポリアミド樹脂(B2)を単軸押出機に投入して混練、ペレット化することで、ポリアミド樹脂(A1)90質量%とポリアミド樹脂(B2)10質量%とからなるポリアミド樹脂組成物(P7)を調製した。
ポリアミド樹脂組成物(P1)に代えてポリアミド樹脂組成物(P7)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。
また、N−6I/6T(ポリアミド樹脂(B))を使用しない比較例2及び3では、加熱殺菌処理により容器が白化し透明性に劣るものであった。これは、121℃の加熱殺菌処理時に緩やかにN−MXD6が結晶化することによりN−MXD6の球晶が大きく成長したためである。
Claims (7)
- ポリカーボネート樹脂を主成分とする層(X)及びポリアミド樹脂組成物(P)からなるガスバリア層(Y)が積層されたインジェクションブロー多層容器であって、
前記ポリアミド樹脂組成物(P)が、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位と、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とを含むポリアミド樹脂(A)10〜45質量%及びポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(B)90〜55質量%を含む、インジェクションブロー多層容器。 - 前記キシリレンジアミンが、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン又はこれらの混合物であり、前記直鎖脂肪族ジカルボン酸が、アジピン酸、セバシン酸又はこれらの混合物である、請求項1に記載のインジェクションブロー多層容器。
- 前記ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸単位が、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位及び芳香族ジカルボン酸単位に由来する構成単位を含み、かつ、該直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位と芳香族ジカルボン酸単位に由来する構成単位とのモル比(直鎖脂肪族ジカルボン酸/芳香族ジカルボン酸)が80/20〜99/1である、請求項1又は2に記載のインジェクションブロー多層容器。
- 内層及び外層として前記層(X)、中間層として少なくとも一層の前記ガスバリア層(Y)を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のインジェクションブロー多層容器。
- 前記ガスバリア層(Y)の厚みが、多層容器の総厚みに対して2〜40%である、請求項1〜4のいずれかに記載のインジェクションブロー多層容器。
- 医療用容器である、請求項1〜5のいずれかに記載のインジェクションブロー多層容器。
- アンプル、バイアル又はプレフィルドシリンジである、請求項1〜6のいずれかに記載のインジェクションブロー多層容器。
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JP2014097022A JP6326946B2 (ja) | 2014-05-08 | 2014-05-08 | 多層容器 |
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