JP6326946B2 - 多層容器 - Google Patents

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Description

本発明は、多層容器に関し、詳しくは医療包装用のインジェクションブロー多層容器に関する。
従来、薬品を密閉状態で充填し保管するための医療用包装容器として、ガラス製のアンプル、バイアル、プレフィルドシリンジ等の容器が使用されている。しかし、これらのガラス製容器は、アンプル使用時にフレークスという微細なガラス物質が発生する、落下等の衝撃により割れやすい等の問題がある。また、ガラスは比較的に比重が大きいため、容器自体が重いという問題点もある。
一方、プラスチック容器はガラスに比べて軽量であり、素材によっては耐衝撃性、耐熱性、透明性等に優れることから、ガラス製容器の代替品としてプラスチック容器が検討されている。例えば特許文献1には、ポリエステル樹脂からなる医療用容器について開示されている。また、エンジニアリングプラスチックの一つであるポリカーボネート樹脂(以下、「PC」と略することがある。)は、耐衝撃性、耐熱性、透明性に優れ、ガラス代替材料として一般的に使用されている。
しかしながら、プラスチック容器は一般にガラスに比べてガスバリア性に劣るため、ガスバリア性の改善が要求されている。プラスチックからなる容器にガスバリア性を付与するために、ガスバリア層を中間層として有する多層容器の検討が行われている。例えば特許文献2には、最内層及び最外層がポリオレフィン系樹脂からなり、中間層がバリア性に優れた樹脂からなるプレフィルドシリンジが開示されている。
酸素バリア性に優れた熱可塑性樹脂としては、ポリメタキシリレンアジパミド(以下、「N−MXD6」と略することがある。)が知られている。しかしながら、N−MXD6は、PCの熱成形温度である250〜320℃では非常に速く結晶化するため、N−MXD6をガスバリア層として用いたPC多層容器は、成形時に、N−MXD6層の切断や厚みムラ、白化がみられ、ガスバリア性、透明性等の性能が低下したり、変形したりするという欠点を有する。また、加熱殺菌処理後に白化を生じ、透明性が著しく損なわれる。
N−MXD6の白化を抑制する手段としては、白化防止剤として特定の脂肪酸金属塩を添加する方法や特定のジアミド化合物又はジエステル化合物を添加する方法が知られている。しかしながら、これら添加剤による白化抑制は、水に直接晒される単層フィルムや、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略することがある。)を用いたPET/N−MXD6/PET多層延伸ボトルのような延伸される用途には効果があることが知られているが、PC多層容器における加熱殺菌処理後の白化抑制効果は満足できるものではない。
また、N−MXD6に対して結晶化核剤を添加する方法や、加熱殺菌処理時に結晶化核剤として作用するナイロン6等の結晶性ポリアミド樹脂をN−MXD6とブレンドする方法も知られている。しかしながら、これらの方法によっても、PC多層容器における加熱殺菌処理後の白化抑制効果は満足できるものではない。
特開平08−127641号公報 特開2004−229750号公報
本発明が解決しようとする課題は、加熱殺菌処理が必要な医療用包装材料として好適なガスバリア性及び透明性を有する多層容器を提供することにある。
本発明者らは、加熱殺菌処理後のガスバリア性及び透明性を兼ね備えた多層容器について鋭意研究を重ねた結果、特定のポリアミド樹脂組成物をガスバリア層に用いることにより、80℃以上の加熱殺菌処理後においてもガスバリア性及び透明性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下のインジェクションブロー多層容器に関する。
<1>ポリカーボネート樹脂を主成分とする層(X)及びポリアミド樹脂組成物(P)からなるガスバリア層(Y)が積層されたインジェクションブロー多層容器であって、
前記ポリアミド樹脂組成物(P)が、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位と、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とを含むポリアミド樹脂(A)10〜45質量%及びポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(B)90〜55質量%を含む、インジェクションブロー多層容器。
<2>前記キシリレンジアミンが、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン又はこれらの混合物であり、前記直鎖脂肪族ジカルボン酸が、アジピン酸、セバシン酸又はこれらの混合物である、前記<1>に記載のインジェクションブロー多層容器。
<3>前記ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸単位が、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位及び芳香族ジカルボン酸単位に由来する構成単位を含み、かつ、該直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位と芳香族ジカルボン酸単位に由来する構成単位とのモル比(直鎖脂肪族ジカルボン酸/芳香族ジカルボン酸)が80/20〜99/1である、前記<1>又は<2>に記載のインジェクションブロー多層容器。
<4>内層及び外層として前記層(X)、中間層として少なくとも一層の前記ガスバリア層(Y)を有する、前記<1>〜<3>のいずれかに記載のインジェクションブロー多層容器。
<5>前記ガスバリア層(Y)の厚みが、多層容器の総厚みに対して2〜40%である、前記<1>〜<4>のいずれかに記載のインジェクションブロー多層容器。
<6>医療用容器である、前記<1>〜<5>のいずれかに記載のインジェクションブロー多層容器。
<7>アンプル、バイアル又はプレフィルドシリンジである、前記<1>〜<6>のいずれかに記載のインジェクションブロー多層容器。
本発明のインジェクションブロー多層容器は、加熱殺菌処理が必要な医療用包装材料として好適なガスバリア性及び透明性を有する。したがって、内容物を長期保存することができ、しかも加熱殺菌処理後においても内容物を視認することができ、ガラス製容器の代替品として顧客の利便性向上を図ることができる。
本発明のインジェクションブロー多層容器(以下、「本発明の多層容器」ともいう。)は、ポリカーボネート樹脂を主成分とする層(以下、「PC層」と略することがある。)(X)と、ガスバリア層(Y)とを少なくとも含む。
本発明の多層容器における層構成は特に限定されず、層(X)及び層(Y)の数や種類は特に限定されない。例えば、1層の層(X)及び1層の層(Y)からなるX/Y構成又はY/X構成であってもよく、2層の層(X)及び1層の層(Y)からなるX/Y/Xの3層構成であってもよい。さらに、本発明の多層容器は、必要に応じて接着性熱可塑性樹脂からなる接着層(AD)等の任意の層を含んでもよい。本発明の多層容器は、PC層(X)/ガスバリア層(Y)/PC層(X)が内層から外層へこの順に積層された3層構造、又はPC層(X)/接着層(AD)/ガスバリア層(Y)/接着層(AD)/PC層(X)が内層から外層へこの順に積層された5層構造であることが好ましい。これらに限らず、目的に応じて様々な熱可塑性樹脂層を更に積層することが可能である。例えば、多層シート及び多層容器製造時にトリミングしてできたトリミングくずを粉砕して、粉砕物を単独で、又はPCや他の熱可塑性樹脂と混合してリサイクル樹脂層として、PC層と接着層との間に中間層として積層することができる。
1.ポリカーボネート樹脂を主成分とする層(X)
本発明の多層容器を構成するPC層(X)は、ポリカーボネート樹脂を主成分とする層である。ここで、「主成分とする」とは、層(X)中に、ポリカーボネート樹脂を70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90〜100質量%含まれることを意味する。層(X)は、ポリカーボネート樹脂に加えて、所望する性能等に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で酸化防止剤や艶消剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、結晶化核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。
本発明の多層容器は、層(X)を複数有していてもよく、複数の層(X)の構成は互いに同一であっても異なっていてもよい。
PC層(X)の厚みは特に限定されないが、強度及びコストの観点から、20〜2000μmが好ましく、50〜1500μmがより好ましい。
ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させることによって作られる分岐していてもよい芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
芳香族ジヒドロキシ化合物の一例は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン[=テトラメチルビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン[=テトラブロモビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン[=テトラクロロビスフェノールA]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等であり、特にビスフェノールAが好ましい。
また、分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得る目的で、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール[=イサチンビスフェノール]、5−クロロイサチンビスフェノール、5,7−ジクロロイサチンビスフェノール、5−ブロモイサチンビスフェノール等のポリヒドロキシ化合物を前記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部、例えば0.1〜2モル%を使用することができる。
更に、分子量調節剤として、m−又はp−メチルフェノール、m−又はp−プロピルフェノール、p−ブロモフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等の一価芳香族ヒドロキシ化合物を使用してもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、特に限定されないが、25℃における塩化メチレン溶液粘度より換算した粘度平均分子量で16000〜30000、好ましくは17500〜23000の範囲のものが好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂としては代表的には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系ジヒドロキシ化合物、特にビスフェノールAを主原料とするポリカーボネートが挙げられ、更にテトラブロモビスフェノールA等のハロゲンを含むビスフェノールを使用することができ、2種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物を併用して得られるポリカーボネート共重合体、3価以上のポリヒドロキシ化合物を少量併用して得られる分岐化ポリカーボネートも挙げることができる。芳香族ポリカーボネート樹脂は2種以上の混合物であってもよい。
2.ガスバリア層(Y)
本発明の多層容器を構成するガスバリア層(Y)は、容器外部から進入する酸素を遮断し、容器内の内容物の酸化劣化を防止する役割を有する。良好なガスバリア性の観点から、ガスバリア層(Y)の23℃、60%RH環境下における酸素透過係数が1.0ml・mm/m2・day・atm以下であることが好ましく、0.05〜0.8ml・mm/m2・day・atmであることがより好ましい。酸素透過係数は、ASTM D3985に準じて測定することができ、例えば「OX−TRAN 2/61」(商品名、Mocon社製)を使用して測定することができる。
本発明の多層容器は、ガスバリア層(Y)を複数有していてもよく、複数のガスバリア層(Y)の構成は互いに同一であっても異なっていてもよい。
ガスバリア層(Y)の厚みは特に限定されないが、ガスバリア性、透明性及びコストの観点から、1〜800μmが好ましく、100〜700μmがより好ましい。また、本発明の多層容器におけるガスバリア層(Y)の厚みは、ガスバリア性、透明性及びコストの観点から、多層容器の総厚みに対して2〜40%の範囲であることが好ましく、より好ましくは5〜38%であり、さらに好ましくは10〜35%である。多層容器におけるガスバリア層(Y)の厚みは、容器を切断し、PC層(X)から剥離することによって測定できる。
3.ポリアミド樹脂組成物(P)
本発明の多層容器を構成するガスバリア層(Y)は、ポリアミド樹脂組成物(P)からなり、該ポリアミド樹脂組成物(P)は、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位と、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とを含むポリアミド樹脂(A)10〜45質量%及びポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(B)(以下、「N−6I/6T」と略することがある。また、ポリアミド樹脂(B)ともいう。)90〜55質量%を含む。
3−1.ポリアミド樹脂(A)
ポリアミド樹脂(A)は、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位と、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とを含むキシリレン基含有ポリアミドである。
<ジアミン単位>
ポリアミド樹脂(A)のジアミン単位は、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含む。ポリアミド樹脂(A)のジアミン単位中における、キシリレンジアミンに由来する構成単位の含有量は、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%である。
キシリレンジアミンとしては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン又はこれらの混合物が好ましく、メタキシリレンジアミン、又はメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物がより好ましい。優れたガスバリア性を発現させる観点からは、ポリアミド樹脂(A)のジアミン単位中に、メタキシリレンジアミンに由来する構成単位を好ましくは70モル%以上、より好ましくは80〜100モル%、更に好ましくは90〜100モル%含む。
キシリレンジアミン以外のジアミン単位を構成しうるジアミン化合物としては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環族ジアミン;ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン類等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
<ジカルボン酸単位>
ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸単位は、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を70モル%以上含む。ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸単位中における、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位の含有量は、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上であり、上限は100モル%である。
炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸等を例示できる。これらの中でも、優れた酸素バリア性を発現させる観点から、アジピン酸及びセバシン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アジピン酸がより好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
インジェクションブロー多層容器の透明性、特に加熱殺菌後の透明性の観点からは、ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸単位が、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位及び芳香族ジカルボン酸単位に由来する構成単位を含むことが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく、イソフタル酸がより好ましい。
ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸単位中における、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位と芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位とのモル比は、ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸単位を100モル%としたとき、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸とのモル比(直鎖脂肪族ジカルボン酸/芳香族ジカルボン酸)は、好ましくは80/20〜99/1、より好ましくは85/15〜98/2、更に好ましくは90/10〜97/3である。
<ポリアミド樹脂(A)の製造>
ポリアミド樹脂(A)の製造は、特に限定されるものではなく、任意の方法、重合条件により行うことができる。例えば、ジアミン成分とジカルボン酸成分とからなる塩を水の存在下に加圧状態で昇温し、加えた水及び縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法によりポリアミド樹脂(A)を製造することができる。また、ジアミン成分を溶融状態のジカルボン酸成分に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によってもポリアミド樹脂(A)を製造することができる。この場合、反応系を均一な液状態で保つために、ジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。重縮合時に分子量調整剤として少量のモノアミンやモノカルボン酸を加えてもよい。
ポリアミド樹脂(A)は、溶融重合法により重縮合した後、さらに固相重合することにより製造されたものであることが好ましい。溶融重縮合法としては、例えばジアミン成分とジカルボン酸成分とからなるナイロン塩を、水の存在下に加圧下で昇温し、加えた水および縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法が挙げられる。また、ジアミン成分を溶融状態のジカルボン酸成分に直接加えて、重縮合する方法を挙げることもできる。この場合、反応系を均一な液状状態に保つために、ジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミド樹脂の融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ重縮合が進められる。
固相重合は、溶融重縮合で得られたポリマーを一旦取り出した後に行うことが好ましい。固相重合で用いられる加熱装置としては、連続式の加熱装置よりも、気密性に優れ高度に酸素とポリアミド樹脂との接触を絶つことができる回分式加熱装置が好ましく、特にタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置およびナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好適に使用できるが、これらに限定されるものではない。
ポリアミド樹脂の固相重合工程は、例えば、ポリアミド樹脂ペレット同士が融着したり、ポリアミド樹脂ペレットが装置内壁に付着したりしないように、ポリアミド樹脂の結晶化度を高める第一の工程、ポリアミド樹脂の分子量を高める第二の工程、所望の分子量まで固相重合を進めた後にポリアミド樹脂を冷却する第三の工程により進められることが好ましい。第一の工程はポリアミド樹脂のガラス転移温度以下で行うことが好ましい。第二の工程は減圧下でポリアミド樹脂の融点よりも低い温度で行うことが好ましいが、これに限定されるものではない。
<ポリアミド樹脂(A)の物性>
ポリアミド樹脂の重合度の指標としては、相対粘度が一般的に使われる。本発明に用いられるポリアミド樹脂(A)の相対粘度は、PC層(X)の溶融粘度及び共射出成形性の観点から、好ましくは2.2〜4.0、より好ましくは2.3〜3.5、更に好ましくは2.4〜3.0である。
なお、ここで言う相対粘度は、ポリアミド樹脂0.2gを96質量%硫酸20mLに溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて25℃で測定した落下時間(t)と、同様に測定した96質量%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=t/t0
また、ポリアミド樹脂(A)の融点は、成形加工性の観点から、好ましくは200〜250℃、より好ましくは210〜245℃、更に好ましくは220〜240℃である。
3−2.ポリアミド樹脂(B)
ポリアミド樹脂(B)は、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマーであり、テレフタル酸、イソフタル酸、及びヘキサメチレンジアミンを重縮合して得られる共重合体である。
ポリアミド樹脂(B)は非晶性ポリアミド樹脂であり、ポリアミド樹脂組成物(P)においてポリアミド樹脂(A)の結晶化速度を低下させ、成形性を向上させる。N−6I/6Tは、ブロック共重合体であってもランダム共重合体であってもよい。N−6I/6Tとしては市販品を用いることができ、例えば「ノバミッドX21」(商品名、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)、「Selar PA 3426」(商品名、三井デュポン(株)製)、「Grivory G21」(商品名、EMS社製)を用いてもよい。
ポリアミド樹脂組成物(P)におけるポリアミド樹脂(A)及びポリアミド樹脂(B)の含有量は、(A):(B)が10〜45質量%:90〜55質量%であり、好ましくは15〜40質量%:85〜60質量%、より好ましくは20〜35質量%:80〜65質量%である。ポリアミド樹脂(B)の含有量が55質量%未満では、ポリアミド樹脂(A)の結晶化を遅延させる効果が不十分であるため、射出ブロー成形の際に結晶化によるブロー不良、白化等の不良を生じる。ポリアミド樹脂(B)の含有量が90質量%を超えると、熱成形性は良好となるが、ガスバリア性が低下するため好ましくない。
3−3.添加剤
ポリアミド樹脂組成物(P)は、本発明の効果を損なわない範囲で、滑剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、結晶化核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の任意の添加剤を含有してもよい。
3−4.ポリアミド樹脂組成物(P)の製造
ポリアミド樹脂組成物(P)は、任意の混合方法及び/又は混練方法を適用して、ポリアミド樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)とを混合及び/又は混練することにより調製することができる。混合方法としては、例えば、回転中空容器内にポリアミド樹脂ペレットを投入し混合してもよく、定量フィーダーを用いてホッパーに所定量投入してもよい。混練方法としては、例えば溶融混練が挙げられる。所定量のポリアミド樹脂(A)及びポリアミド樹脂(B)をドライブレンドし、混合物をホッパーに一括投入して、ポリアミド樹脂組成物(P)を調製することが特に好ましい。
また、ポリアミド樹脂組成物に添加剤を配合する場合、ポリアミド樹脂(A)及び/又はポリアミド樹脂(B)に添加剤を添加してからポリアミド樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)とを混合及び/又は混練してもよく、ポリアミド樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)とを混合及び/又は混練する際に同時に添加剤を混合及び/又は混練してもよい。
4.任意の層
本発明の多層容器は、前記層(X)及び(Y)に加えて、所望する性能等に応じて任意の層を含んでいてもよい。そのような任意の層としては、例えば、接着層等が挙げられる。
<接着層>
本発明の多層容器において、隣接する2つの層の間で実用的な層間接着強度が得られない場合には、当該2つの層の間に接着剤層を設けることが好ましい。
接着層は、接着性を有する熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。接着性を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリエステル系ブロック共重合体を主成分とした、ポリエステル系熱可塑性エラストマーが挙げられる。接着層としては、接着性の観点から、層(X)として用いられているPC樹脂と同種の樹脂を変性したものを用いることが好ましい。
接着層の厚みは、実用的な接着強度を発揮しつつ成形加工性を確保するという観点から、好ましくは2〜100μm、より好ましくは5〜90μm、更に好ましくは10〜80μmである。
5.インジェクションブロー多層容器及びその製造方法
本発明のインジェクションブロー多層容器はインジェクションブロー成形により製造される。インジェクションブロー成形では、まず射出成形により試験管状のプリフォーム(パリソン)を成形し、次いでプリフォームをある程度加熱された状態を保ったまま最終形状金型(ブロー金型)に嵌め、口部から空気を吹込み、プリフォームを膨らませて金型に密着させ、冷却固化させることでボトル状に成形することができる。
プリフォームの成形には、通常の射出成形法を適用することができる。
本発明では、例えば、2台以上の射出機を備えた成形機及び射出用金型を用いて、PC層(X)を構成する材料及びガスバリア層(Y)を構成する材料をそれぞれの射出シリンダーから金型ホットランナーを通して、キャビティー内に射出して、射出用金型の形状に対応した多層プリフォームを製造することができる。
また、先ず、PC層(X)を構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いでガスバリア層(Y)を構成する材料を別の射出シリンダーからPC層(X)を構成する樹脂と同時に射出し、次にPC層(X)を構成する樹脂を必要量射出してキャビティーを満たすことにより3層構造X/Y/Xの多層プリフォームを製造できる。
また、先ず、PC層(X)を構成する材料を射出し、次いでガスバリア層(Y)を構成する材料を単独で射出し、最後にPC層(X)を構成する材料を必要量射出して金型キャビティーを満たすことにより、5層構造X/Y/X/Y/Xの多層プリフォームを製造できる。
また、先ず、PC層(X1)を構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いでPC層(X2)を構成する材料を別の射出シリンダーからPC層(X1)を構成する樹脂と同時に射出し、次にガスバリア層(Y)を構成する樹脂をPC層(X1)、PC層(X2)を構成する樹脂と同時に射出し、次にPC層(X1)を構成する樹脂を必要量射出してキャビティーを満たすことにより5層構造X1/X2/Y/X2/X1の多層プリフォームを製造できる。
上述した最終形状金型を好ましくは120〜170℃、より好ましくは130〜160℃に加熱してブロー時に、成形体の器壁の外側を金型内面に所定時間接触させる。
他のブロー成形体の製造方法としては、前記多層プリフォームを、一次ストレッチブロー金型を用いて最終ブロー成形体よりも大きい寸法の一次ブロー成形体とし、次いでこの一次ブロー成形体を加熱収縮させた後、二次金型を用いてストレッチブロー成形を行って最終ブロー成形体とする二段ブロー成形を採用してもよい。このブロー成形体の製造方法によれば、ブロー成形体の底部が十分に延伸薄肉化され、熱間充填、加熱滅菌時の底部の変形、耐衝撃性に優れたブロー成形体を得ることができる。
本発明の多層容器には、無機物又は無機酸化物の蒸着膜や、アモルファスカーボン膜をコーティングしてもよい。
無機物又は無機酸化物としては、アルミニウムやアルミナ、酸化珪素等が挙げられる。無機物又は無機酸化物の蒸着膜は、本発明の多層容器から、アセトアルデヒドやホルムアルデヒド等の溶出物を遮蔽できる。蒸着膜の形成方法は特に限定されず、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法や、PECVD等の化学蒸着法等が挙げられる。蒸着膜の厚みは、ガスバリア性、遮光性及び耐屈曲性等の観点から、好ましくは5〜500nm、より好ましくは5〜200nmである。
アモルファスカーボン膜はダイヤモンド状炭素膜で、iカーボン膜または水素化アモルファスカーボン膜とも呼ばれる硬質炭素膜である。膜の形成法としては、排気により中空成形体の内部を真空にし、そこへ炭素源ガスを供給し、プラズマ発生用エネルギーを供給することにより、その炭素源ガスをプラズマ化させる方法が例示され、これにより、容器内面にアモルファスカーボン膜を形成させることができる。アモルファスカーボン膜は酸素や二酸化炭素のような低分子無機ガスの透過度を著しく減少させることができるだけでなく、臭いを有する各種の低分子有機化合物の収着を抑制することができる。アモルファスカーボン膜の厚みは、低分子有機化合物の収着抑制効果、ガスバリア性の向上効果、プラスチックとの密着性、耐久性および透明性等の観点から、50〜5000nmが好ましい。
本発明の多層容器は、医療用容器であることが好ましく、特にアンプル、バイアル又はプレフィルドシリンジとして好適である。
本発明の多層容器を加熱殺菌処理する方法としては、例えば水蒸気式、熱水貯湯式、シャワー式等が挙げられる。また、殺菌処理温度としては、好ましくは80℃〜140℃の範囲であり、殺菌時間としては好ましくは10〜120分である。
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、本実施例において各種測定は以下の方法により行った。
(1)相対粘度
ポリアミド樹脂0.2gを精秤し、96質量%硫酸100mlに20〜30℃で撹拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温漕中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96質量%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。t及びt0から次式により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0
(2)多層容器のガスバリア性
多層容器の23℃、容器内部の相対湿度100%、外部の相対湿度50%の環境下における酸素透過率(OTR)を、ASTM D3985に準じて、酸素透過率測定装置(Mocon社製、製品名:「OX−TRAN 2/61」)を使用して測定した。測定値が低いほど、ガスバリア性が良好であることを示す。
(3)加熱殺菌処理後の多層容器の透明性(ヘイズ及び全光線透過率)
オートクレーブ((株)トミー精工製、製品名:「SR−240」)を用いて多層容器を121℃30分レトルト処理し、加熱殺菌処理前後の容器側面部を切り出して測定した。ヘイズの測定は、JIS K7136に準じて行った。また、全光線透過率の測定は、JIS K7375に準じて行った。なお、前記加熱殺菌処理時間には加熱及び冷却時間は含まれない。測定装置は、色彩・濁度測定器(日本電色工業(株)製、製品名:「COH−300A」)を使用した。測定箇所における厚さを測定し、厚さ300μmに換算した値とした。
実施例1
まず、メタキシリレンジアミン単位とアジピン酸単位とからなるN−MXD6(三菱ガス化学(株)製、商品名:「MXナイロンS6007」、相対粘度=2.65)(ポリアミド樹脂(A1))及びN−6I/6T(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名:「ノバミッドX21」)(ポリアミド樹脂(B1))をそれぞれ所定量、単軸押出機に投入して混練、ペレット化することで、ポリアミド樹脂(A1)30質量%とポリアミド樹脂(B1)70質量%とからなるポリアミド樹脂組成物(P1)を調製した。
次に、下記の条件により、層(X)を構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層(Y)を構成する材料を別の射出シリンダーから、層(X)を構成する樹脂と同時に射出し、次に層(X)を構成する樹脂を必要量射出してキャビティーを満たすことにより、(X)/(Y)/(X)の3層構成の多層プリフォーム(21.5g)を得た。なお、層(X)を構成する樹脂としては、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名:「ユーピロンS2000」)を使用した。層(Y)を構成する樹脂としては、上記ポリアミド樹脂組成物(P1)を使用した。
得られたプリフォームを所定の温度まで冷却後、二次加工として、ブロー金型へ移行しブロー成形を行うことで多層バイアルを製造した。
(多層バイアルの形状)
全長89mm、外径40mmφ、肉厚1.8mm、外側PC層(X)厚み670μm、ガスバリア層(Y)厚み460μm、内側PC層(X)厚み670μmとした(総厚みに対するガスバリア層(Y)厚みは25.6%)。なお、多層バイアルの製造には、射出ブロー一体型成形機(UNILOY社製、型式:「IBS 85」、4個取り)を使用した。
(バイアルの成形条件)
層X用の射出シリンダー温度:300℃
層Y用の射出シリンダー温度:280℃
射出金型内樹脂流路温度 :300℃
ブロー温度 :150℃
ブロー金型冷却水温度 : 40℃
実施例2
撹拌機、分縮器、冷却器、滴下槽、および窒素ガス導入管を備えたジャケット付きの3L反応缶にアジピン酸(AA)4.70molとイソフタル酸(IPA)(エイ・ジイ・インタナショナル・ケミカル(株)製)0.30molとを秤量して仕込み、十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下に160℃で撹拌混合しながら溶融させスラリー状とした。これに、メタキシリレンジアミン(MXDA)4.97molを撹拌下に160分を要して滴下した。この間、内温は連続的に250℃まで上昇させた。メタキシリレンジアミンの滴下とともに留出する水は、分縮器および冷却器を通して系外に除いた。メタキシリレンジアミン滴下終了後、内温を260℃まで昇温し、1時間反応を継続した。得られたポリマーを反応缶下部のノズルからストランドとして取り出し、水冷した後ペレット形状に切断し、アジピン酸とイソフタル酸のモル比が94:6となるポリアミド樹脂ペレットを得た。
次に、このペレットをステンレス製の回転ドラム式の加熱装置に仕込み、5rpmで回転させた。十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下にて反応系内を室温から140℃まで昇温した。反応系内温度が140℃に達した時点で1torr以下まで減圧を行い、更に系内温度を130分間で190℃まで昇温した。系内温度が190℃に達した時点から、同温度にて30分間、固相重合反応を継続した。
反応終了後、減圧を終了し窒素気流下にて系内温度を下げ、60℃に達した時点でペレットを取り出し、ポリアミド樹脂(A2)を得た。ポリアミド樹脂(A2)の相対粘度は2.68であった。
ポリアミド樹脂(A1)に代えてポリアミド樹脂(A2)を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物(P2)を調製した。
ポリアミド樹脂組成物(P1)に代えてポリアミド樹脂組成物(P2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。
実施例3
実施例2において、ポリアミド樹脂(A2)及びポリアミド樹脂(B1)の配合比を変更して、混練、ペレット化することで、ポリアミド樹脂(A2)40質量%とポリアミド樹脂(B1)60質量%とからなるポリアミド樹脂組成物(P3)を調製した。
ポリアミド樹脂組成物(P1)に代えてポリアミド樹脂組成物(P3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。
実施例4
実施例2において、ポリアミド樹脂(A2)及びポリアミド樹脂(B1)の配合比を変更して、混練、ペレット化することで、ポリアミド樹脂(A2)15質量%とポリアミド樹脂(B1)85質量%とからなるポリアミド樹脂組成物(P4)を調製した。
ポリアミド樹脂組成物(P1)に代えてポリアミド樹脂組成物(P4)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。
比較例1
ポリアミド樹脂組成物(P1)に代えてポリアミド樹脂(B1)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。
比較例2
ポリアミド樹脂組成物(P1)に代えてポリアミド樹脂(A1)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。
比較例3
ポリアミド樹脂組成物(P1)に代えてポリアミド樹脂(A2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。
比較例4
実施例1において、ポリアミド樹脂(A1)及びポリアミド樹脂(B1)の配合比を変更して、混練、ペレット化することで、ポリアミド樹脂(A1)70質量%とポリアミド樹脂(B1)30質量%とからなるポリアミド樹脂組成物(P5)を調製した。
ポリアミド樹脂組成物(P1)に代えてポリアミド樹脂組成物(P5)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。
比較例5
実施例2において、ポリアミド樹脂(A2)及びポリアミド樹脂(B1)の配合比を変更して、混練、ペレット化することで、ポリアミド樹脂(A2)70質量%とポリアミド樹脂(B1)30質量%とからなるポリアミド樹脂組成物(P6)を調製した。
ポリアミド樹脂組成物(P1)に代えてポリアミド樹脂組成物(P6)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。
比較例6
ポリアミド樹脂(B1)に代えて、ポリアミド樹脂(B2)としてナイロン6(宇部興産(株)製、商品名:「UBEナイロン」、グレード名:1015B)を使用し、所定量のポリアミド樹脂(A1)及びポリアミド樹脂(B2)を単軸押出機に投入して混練、ペレット化することで、ポリアミド樹脂(A1)90質量%とポリアミド樹脂(B2)10質量%とからなるポリアミド樹脂組成物(P7)を調製した。
ポリアミド樹脂組成物(P1)に代えてポリアミド樹脂組成物(P7)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。
得られた多層バイアルについて、上記方法により酸素透過率を測定した。また、得られた多層バイアルを加熱殺菌処理し、上記方法により加熱殺菌処理後のヘイズ及び全光線透過率を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006326946
Figure 0006326946
キシリレン基含有ポリアミド(ポリアミド樹脂(A))を使用しない比較例1では、酸素透過率が高く、ガスバリア性に劣るものであった。
また、N−6I/6T(ポリアミド樹脂(B))を使用しない比較例2及び3では、加熱殺菌処理により容器が白化し透明性に劣るものであった。これは、121℃の加熱殺菌処理時に緩やかにN−MXD6が結晶化することによりN−MXD6の球晶が大きく成長したためである。
N−6I/6Tの代わりに結晶性ポリアミドであるナイロン6を配合した比較例6でも、加熱殺菌処理により容器が白化し透明性に劣るものであった。結晶性ポリアミド樹脂は、加熱殺菌処理時においてN−MXD6の結晶化核剤として作用し、N−MXD6の球晶サイズを微細化させて、加熱処理した際における白化を抑制することができることが知られているが、本発明のPC多層容器における加熱殺菌処理後の白化抑制には不十分であることがわかった。特に、出願人は、PP多層容器におけるガスバリア層として、N−MXD6とN−6I/6Tとナイロン6とを含む樹脂組成物を用いることで、PP多層容器を加熱処理した際における白化を抑制できることを見出しているが(特開2011−037498号公報を参照)、本発明のPC多層容器においてはそのような樹脂組成物を用いても加熱殺菌処理後の白化抑制には不十分であることがわかった。PP多層容器と本発明のPC多層容器とで異なる挙動を示す理由は定かではないが、インジェクションブロー成形の金型温度がPP多層容器よりも高いことから、バリア層中に結晶核を生じていること、外層のポリカーボネート樹脂の透湿度がポリプロピレンの透湿度に比べて高いことから、外層を透過した水分がガスバリア層の白化に何らかの影響を与えていると推定される。
さらに、ポリアミド樹脂(B)の含有量が55質量%未満である比較例3及び4では、ポリアミド樹脂(A)の結晶化を遅延させる効果が不十分であり、結晶化による白化を生じ、透明性に劣るものであった。
これらに対し、実施例1〜4の多層容器は、加熱殺菌処理後においてもガスバリア性及び透明性に優れるものであることがわかった。
本発明の多層容器は、加熱殺菌処理が必要な医療用包装材料として好適なガスバリア性及び透明性を有する。したがって、内容物を長期保存することができ、しかも加熱殺菌処理後においても内容物を視認することができ、ガラス製容器の代替品として顧客の利便性向上を図ることができる。

Claims (7)

  1. ポリカーボネート樹脂を主成分とする層(X)及びポリアミド樹脂組成物(P)からなるガスバリア層(Y)が積層されたインジェクションブロー多層容器であって、
    前記ポリアミド樹脂組成物(P)が、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位と、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とを含むポリアミド樹脂(A)10〜45質量%及びポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(B)90〜55質量%を含み、
    前記ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸単位が、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位及び芳香族ジカルボン酸単位に由来する構成単位を含み、かつ、該直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位と芳香族ジカルボン酸単位に由来する構成単位とのモル比(直鎖脂肪族ジカルボン酸/芳香族ジカルボン酸)が80/20〜99/1である、インジェクションブロー多層容器。
  2. 前記キシリレンジアミンが、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン又はこれらの混合物であり、前記直鎖脂肪族ジカルボン酸が、アジピン酸、セバシン酸又はこれらの混合物である、請求項1に記載のインジェクションブロー多層容器。
  3. 前記芳香族ジカルボン酸がイソフタル酸である、請求項1又は2に記載のインジェクションブロー多層容器。
  4. 内層及び外層として前記層(X)、中間層として少なくとも一層の前記ガスバリア層(Y)を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のインジェクションブロー多層容器。
  5. 前記ガスバリア層(Y)の厚みが、多層容器の総厚みに対して2〜40%である、請求項1〜4のいずれかに記載のインジェクションブロー多層容器。
  6. 医療用容器である、請求項1〜5のいずれかに記載のインジェクションブロー多層容器。
  7. アンプル、バイアル又はプレフィルドシリンジである、請求項1〜6のいずれかに記載のインジェクションブロー多層容器。
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