WO2023145276A1 - 多層容器および多層容器の製造方法 - Google Patents

多層容器および多層容器の製造方法 Download PDF

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Abstract

ボイル処理後やレトルト処理後の透明性が高く、レトルト処理後の酸素バリア性にも優れ、かつ、成形性に優れた多層容器およびその製造方法の提供。酸変性ポリオレフィンと酸未変性ポリオレフィンとを含むポリオレフィン層と、ポリオレフィン層に接しており、かつ、ポリアミド樹脂を含むポリアミド樹脂層とを有し、ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の30~60モル%が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、70~40モル%がイソフタル酸に由来するポリアミド樹脂(a)を含み、酸未変性ポリオレフィンのメルトフローレートが20g/10分以上であり、温度XPOは、酸未変性ポリオレフィンの融点+65℃である、多層容器。

Description

多層容器および多層容器の製造方法
 本発明は、多層容器および多層容器の製造方法に関する。特に、ポリアミド樹脂をバリア層とする多層容器に関する。
 従来、食品や医薬品を保存する方法としては、食品の劣化、変色、褪色を防ぐことが必要とされることから缶詰や瓶詰が用いられていた。しかしながら、缶詰や瓶詰を用いた場合においては、酸素や水蒸気等の各種ガスバリア性については高い効果を発現するが、電子レンジを用いた加熱処理が出来ない、充填食品を皿等に盛りつける際に食品を取り出しにくい、使用後の廃棄において重ねることが出来ないことから廃棄缶詰がかさばり廃棄処理適正に欠けるという問題があった。
 これに変わる保存容器としては、熱可塑性樹脂からなる熱成形容器が挙げられ、広く利用されている。特にポリオレフィン、中でもポリプロピレン(以下、「PP」と略することがある)からなる容器は、融点がレトルト殺菌処理温度よりも高いことから、レトルト処理を必要とする食品の保存容器としても広く利用されている。しかしながら、PPは防湿性に優れるものの食品や薬品の劣化、変色、褪色の原因となる酸素が透過しやすい性質を有しているため、食品や薬品を長期保存するための容器としては性能が不十分である。
 PPからなる容器で食品や薬品の長期保存を可能とする方法としては、中間層として酸素バリア性を持つ熱可塑性樹脂層を存在させた多層容器を用いる方法が知られている。具体的には、バリア層とその両側に接して積層される外層とを有する共射出成形多層構造体であって、前記バリア層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)と、融点が250℃以下の高級脂肪酸のアルカリ金属塩(B)とを含む樹脂組成物からなり、エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)のエチレン含有量が20~60モル%であり、ケン化度が90%以上であり、かつ190℃、2160gにおけるメルトフローレート(MFR)が3~20g/10分であり、前記バリア層におけるアルカリ金属塩(B)の含有量が金属原子換算で50~1500ppmであり、前記外層が、未変性ポリプロピレン(E)とそれより溶融粘度が低い無水マレイン酸変性ポリプロピレン(F)とを含み、未変性ポリプロピレン(E)と無水マレイン酸変性ポリプロピレン(F)の合計に対する無水マレイン酸変性ポリプロピレン(F)の質量比[F/(E+F)]が0.025~0.2である樹脂組成物からなる、共射出成形多層構造体が公知である(特許文献1)。
国際公開第2018/074445号
 しかしながら、上記多層容器は、ボイル処理後やレトルト処理後を行うと、透明性が劣ってしまうことが分かった。また、多層容器にはレトルト処理後の酸素バリア性も求められる。また、多層容器においては、成形性(外観)が劣る場合があることが分かった。
 本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、ボイル処理後やレトルト処理後の透明性が高く、レトルト処理後の酸素バリア性にも優れ、かつ、成形性に優れた多層容器、およびその製造方法を提供することを目的とする。
 上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、バリア性樹脂として所定のポリアミド樹脂を用い、かつ、ポリオレフィン層に所定のMFRを有する酸変性ポリオレフィンと、酸未変性ポリオレフィンとを配合することにより、上記課題は解決された。
 具体的には、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>酸変性ポリオレフィンと酸未変性ポリオレフィンとを含むポリオレフィン層と、前記ポリオレフィン層に接しており、かつ、ポリアミド樹脂を含むポリアミド樹脂層とを有し、前記ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位とを含み、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の30~60モル%が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、70~40モル%がイソフタル酸に由来するポリアミド樹脂(a)を含み、前記酸未変性ポリオレフィンのJIS K7210-1:2014に準拠して、温度XPO℃、2.16kgfの条件で測定したメルトフローレートが20g/10分以上であり、前記温度XPOは、酸未変性ポリオレフィンの融点+65℃である、多層容器。
<2>前記酸変性ポリオレフィンのJIS K7210-1:2014に準拠して、温度XmPO℃、2.16kgfの条件で測定したメルトフローレートが前記酸未変性ポリオレフィンのメルトフローレートよりも大きく、前記温度XmPOは、酸変性ポリオレフィンの融点+55℃である、<1>に記載の多層容器。
<3>前記ポリアミド樹脂層に含まれる高級脂肪酸のアルカリ金属塩の含有量が、アルカリ金属原子換算で、50質量ppm未満である、<1>または<2>に記載の多層容器。
<4>前記酸変性ポリオレフィンが、酸変性ポリプロピレンを含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の多層容器。
<5>前記酸変性ポリオレフィンのメルトフローレートが20g/10分超500g/10分以下である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の多層容器。
<6>前記酸未変性ポリオレフィンが、ポリプロピレンを含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の多層容器。
<7>前記酸未変性ポリオレフィンのメルトフローレートが20~50g/10分である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の多層容器。
<8>前記ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が10~70μeq/gである、<1>~<7>のいずれか1つに記載の多層容器。
<9>前記多層容器が、多層射出成形容器である、<1>~<8>のいずれか1つに記載の多層容器。
<10>前記多層容器のJIS K-7105に準じて測定したヘイズが10%以下である、<1>~<9>のいずれか1つに記載の多層容器。
<11>85℃で30分間ボイル処理後のJIS K-7105に準じて測定したヘイズが前記ボイル処理前のヘイズの2倍以下である、<1>~<10>のいずれか1つに記載の多層容器。
<12>前記ポリアミド樹脂(a)は非晶性樹脂である、<1>~<11>のいずれか1つに記載の多層容器。
<13>酸変性ポリオレフィンと酸未変性ポリオレフィンとを含み、前記酸未変性ポリオレフィンのJIS K7210-1:2014に準拠して、温度XPO℃、2.16kgfの条件で測定したメルトフローレートが20g/10分以上であるポリオレフィン層形成用組成物と、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位とを含み、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の30~60モル%が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、70~40モル%がイソフタル酸に由来するポリアミド樹脂(a)を含むポリアミド樹脂層形成用組成物とを、ポリオレフィン層形成用組成物から形成されるポリオレフィン層と、ポリアミド樹脂層形成用組成物から形成されるポリアミド樹脂層とが接するように、金型に射出して、射出成形することを含み、前記温度XPOは、酸未変性ポリオレフィンの融点+65℃である、多層容器の製造方法。
<14>前記酸変性ポリオレフィンのJIS K7210-1:2014に準拠して、温度XmPO℃、2.16kgfの条件で測定したメルトフローレートが前記酸未変性ポリオレフィンのメルトフローレートよりも大きく、前記温度XmPOは、酸変性ポリオレフィンの融点+55℃である、<13>に記載の多層容器の製造方法。
<15>前記多層容器が、<1>~<12>のいずれか1つに記載の多層容器である、<13>または<14>に記載の多層容器の製造方法。
 本発明により、ボイル処理後やレトルト処理後の透明性が高く、レトルト処理後の酸素バリア性にも優れ、かつ、成形性に優れた多層容器およびその製造方法を提供可能になった。
図1は、本実施形態の多層容器の胴部の断面模式図の一例である。
 以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
 なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
 本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
 本明細書で示す規格が年度によって、測定方法等が異なる場合、特に述べない限り、2022年1月1日時点における規格に基づくものとする。
 本実施形態の多層容器は、酸変性ポリオレフィンと酸未変性ポリオレフィンとを含むポリオレフィン層と、前記ポリオレフィン層に接しており、かつ、ポリアミド樹脂を含むポリアミド樹脂層とを有し、前記ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位とを含み、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の30~60モル%が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、70~40モル%がイソフタル酸に由来するポリアミド樹脂(a)を含み、前記酸未変性ポリオレフィンのJIS K7210-1:2014に準拠して、温度XPO℃、2.16kgfの条件で測定したメルトフローレートが20g/10分以上であり、前記温度XPOは、酸未変性ポリオレフィンの融点+65℃であることを特徴とする。
 このような構成とすることにより、ボイル処理後やレトルト処理後の透明性が高く、レトルト処理後の酸素バリア性にも優れた多層容器(透明多層容器)が得られる。
 さらに、射出成形で成形可能な多層容器が得られる。特に、ウェルドラインやスジが殆どみられない多層容器が得られる。
 また、ポリオレフィン層とポリアミド樹脂層との接着性に優れた多層容器とすることもできる。
 以下、本実施形態の詳細について説明する。
<ポリオレフィン層>
 本実施形態のポリオレフィン層は、酸変性ポリオレフィンと酸未変性ポリオレフィンとを含む。酸変性ポリオレフィンがポリアミド樹脂層との接着性を高め、酸未変性ポリオレフィンを射出成形により成形しても、外観を向上させると推測される。
<<酸未変性ポリオレフィン>>
 本実施形態で用いる酸未変性ポリオレフィンは、JIS K7210-1:2014に準拠して、温度XPO℃、2.16kgfの条件で測定したメルトフローレートが20g/10分以上である。ここで、温度XPOは、酸未変性ポリオレフィンの融点+65℃であり、融点は、DSCに従って測定される値であり、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定される。従来の押出成形で製造されていた多層容器では、ポリオレフィンのMFRは2~3g/10分程度のものが用いられていた。本実施形態では、ポリオレフィンのMFRを20g/10分以上とすることにより、射出成形により成形しても、得られる多層容器の外観を向上させることができる。前記酸未変性ポリオレフィンのMFRは20g/10分以上であることが好ましく、25g/10分以上であることがさらに好ましく、30g/10分以上であることが一層好ましい。また、前記酸未変性ポリオレフィンのMFRは50g/10分以下であることが好ましく、48g/10分以下であることがより好ましい。前記範囲とすることにより、薄肉成形性が向上する傾向にある。
 本実施形態における酸未変性ポリオレフィンとは、酸変性ポリオレフィンに比べて酸基の数が十分に少ないポリオレフィンのことをいい、具体的には、酸基の量が、酸変性ポリオレフィンに含まれる酸基の15モル%以下であり、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましく、3モル%以下であることがさらに好ましく、1モル%以下であることが一層好ましく、酸基を含まないことがより一層好ましい。
 本実施形態における酸未変性ポリオレフィンは、また、酸基以外の極性基も含まないことが好ましい。
 本実施形態における酸未変性ポリオレフィンは、ポリプロピレンを含むことが好ましい。本実施形態におけるポリプロピレンとは、プロピレンのホモポリマーおよび5質量%以下(好ましくは3質量%以下)のエチレン等の他のオレフィンを共重合したコポリマーが挙げられ、プロピレンのホモポリマーであることが好ましい。
 酸未変性ポリオレフィンの融点は、150℃以上であることが好ましく、155℃以上であることがより好ましい。前記下限値以上とすることにより、成形性が向上する傾向にある。また、酸未変性ポリオレフィンの融点は、180℃以下であることが好ましく、170℃以下であることがより好ましい。前記上限値以下とすることにより、成形性が向上する傾向にある。
 本実施形態におけるポリオレフィン層が酸未変性ポリオレフィンを2種以上含む場合、前記融点は、最も含有量が多い酸未変性ポリオレフィンの融点とする。
 前記融点は後述する実施例の記載に従って測定される。
 ポリオレフィン層における酸未変性ポリオレフィン(好ましくは酸未変性ポリプロピレン)の含有量は、ポリオレフィン層中、90質量%以上であることが好ましく、93質量%以上であることがより好ましく、94質量%以上であることがさらに好ましい。
また、ポリオレフィン層における酸未変性ポリオレフィンの含有量は、ポリオレフィン層中、99質量%以下であることが好ましく、98質量%以下であることがより好ましく、96質量%以下であることがさらに好ましい。
 ポリオレフィン層は、酸未変性ポリオレフィンを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<酸変性ポリオレフィン>>
 本実施形態で用いる酸変性ポリオレフィンは、その種類等特に定めるものでは無いが、JIS K7210-1:2014に準拠して、温度XmPO℃、2.16kgfの条件で測定したMFRが酸未変性ポリオレフィンのMFRよりも大きいことが好ましい。このような構成とすることにより、酸変性ポリオレフィンが酸未変性ポリオレフィン中により相溶しやすくなると推測される。その結果、ポリオレフィン層中の酸変性ポリオレフィンとポリアミド樹脂層との接点が増え、酸変性ポリオレフィンの酸基とポリアミド樹脂(a)のアミノ基の共有結合の割合が増え、接着性がより向上すると推測される。前記温度XmPOは、酸変性ポリオレフィンの融点+55℃であり、融点は、DSCに従って測定される値であり、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定される。
 前記酸変性ポリオレフィンのJIS K7210-1:2014に準拠して、温度XmPO℃、2.16kgfの条件で測定したMFRは、20g/10分超であることが好ましく、30g/10分以上であることがより好ましく、50g/10分以上であることがさらに好ましく、100g/10分以上であることが一層好ましく、200g/10分以上であることがより一層好ましく、300g/10分以上であることがさらに一層好ましく、400g/10分以上であることが特に一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、酸未変性ポリオレフィンとの相溶性がより向上する傾向にある。また、前記酸変性ポリオレフィンのMFRは500g/10分以下であることが好ましい。前記上限値以下とすることにより、全体的な流動性が高くなりすぎず、成形性が良好になる傾向にある。
 本実施形態における酸変性ポリオレフィンを構成するポリオレフィンは、ポリプロピレンを含むことが好ましい。本実施形態におけるポリプロピレンとは、プロピレンのホモポリマーおよび5質量%以下(好ましくは3質量%以下)のエチレン等の他のオレフィンを共重合したコポリマーが挙げられ、プロピレンのホモポリマーであることが好ましい。
 ポリオレフィンを酸変性させ得る化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メチルマレイン酸、メチルフマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、エンドビシクロ[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸およびこれらカルボン酸の金属塩、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸アミノエチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物、マレイミド、N-エチルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジルなどが好ましく挙げられる。これらは1種でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、無水マレイン酸が好ましい。
 本実施形態において、特に好適に用いられる酸変性ポリオレフィンとしては、酸変性ポリプロピレンであり、無水マレイン酸変性ポリプロピレンがより好ましい。
 酸変性ポリオレフィンの融点は、150℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。前記下限値以上とすることにより、成形性が向上する傾向にある。また、酸変性ポリオレフィンの融点は、180℃以下であることが好ましく、170℃以下であることがより好ましい。前記上限値以下とすることにより、成形性が向上する傾向にある。
 本実施形態におけるポリオレフィン層が酸変性ポリオレフィンを2種以上含む場合、前記融点は、最も含有量が多い酸未変性ポリオレフィンの融点とする。
 前記融点は後述する実施例の記載に従って測定される。
 ポリオレフィン層における酸変性ポリオレフィン(好ましくは酸変性ポリプロピレン、より好ましくは無水マレイン酸変性ポリプロピレン)の含有量は、ポリオレフィン層中、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、バリア層との接着性がより向上する傾向にある。また、ポリオレフィン層における酸変性ポリオレフィンの含有量は、ポリオレフィン層中、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましい。前記上限値以下とすることにより、リサイクル時にバリア層が分離しやすい傾向にある。
 ポリオレフィン層は、酸変性ポリオレフィンを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<酸変性ポリオレフィンと酸未変性ポリオレフィン>>
 次に、酸変性ポリオレフィンと酸未変性ポリオレフィンの関係について説明する。
 本実施形態においては、aフィンのMFRの差(酸変性ポリオレフィンのMFR-酸未変性ポリオレフィンのMFR)は、1g/10分以上であることが好ましく、10g/10分以上であることがより好ましく、50g/10分以上であることがさらに好ましく、100g/10分以上であることが一層好ましく、200g/10分以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、酸変性ポリオレフィンが酸未変性ポリオレフィン中により相溶しやすくなり、ポリオレフィン層とポリアミド樹脂層の接着性が向上する傾向にある。また、前記ポリオレフィン層における酸変性ポリオレフィンのMFRと酸未変性ポリオレフィンのMFRの差は、例えば、450g/10分以下であることが好ましい。
 また、ポリオレフィン層における酸変性ポリオレフィンのMFRと酸未変性ポリオレフィンのMFRの比(酸変性ポリオレフィンのMFR/酸未変性ポリオレフィンのMFRの比)は、1超であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましく、7以上であることが一層好ましく、9以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、接着性がより向上する傾向にある。また、前記酸変性ポリオレフィンのMFR/酸未変性ポリオレフィンのMFRの比は、50以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、18以下であることがさらに好ましく、15以下であることが一層好ましく、13以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、成形性が向上する傾向にある。
 ポリオレフィン層における酸変性ポリオレフィンと酸未変性ポリオレフィンの質量比率は、酸変性ポリオレフィン100質量部に対し、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることがさらに好ましく、5質量部以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、接着性がより向上する傾向にある。また、ポリオレフィン層における酸変性ポリオレフィンと酸未変性ポリオレフィンの質量比率は、酸変性ポリオレフィン100質量部に対し、10質量部以下であることが好ましく、7質量部以下であることがより好ましい。前記上限値以下とすることにより、リサイクル時にバリア材が分離しやすくなる傾向にある。
 本実施形態におけるポリオレフィン層におけるポリオレフィンの含有量(酸変性ポリオレフィンと酸未変性ポリオレフィンの合計含有量)は、ポリオレフィン層全体の85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが一層好ましく、99質量%以上であることがより一層好ましい。前記ポリオレフィン層におけるポリオレフィンの含有量(酸変性ポリオレフィンと酸未変性ポリオレフィンの合計含有量)の上限は100質量%以下である。
<<他の成分>>
 本実施形態におけるポリオレフィン層は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、酸変性ポリオレフィンと酸未変性ポリオレフィン以外の他の成分を含んでいてもよい。
 他の成分としては、ポリオレフィン以外の熱可塑性樹脂、可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、滑剤、無機充填剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤などが挙げられる。これらの他の成分の合計含有量は、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下であり、1質量%以下であってもよい。
<ポリアミド樹脂層>
 本実施形態におけるポリアミド樹脂層は、ポリオレフィン層に接しており、かつ、ポリアミド樹脂(a)を含む。本実施形態では、上述のポリオレフィン層を用いることにより、従来のポリオレフィン層とポリアミド樹脂層を有する多層容器と異なり、ポリオレフィン層とポリアミド樹脂層の間に接着性樹脂層を設けなくても、ポリオレフィン層とポリアミド樹脂層の接着性を確保でき、さらに、ボイル処理、レトルト処理後も高い透明性を維持できる。
<<ポリアミド樹脂(a)>>
 本実施形態におけるポリアミド樹脂層は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位とを含み、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の30~60モル%が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、70~40モル%がイソフタル酸に由来するポリアミド樹脂(a)を含む。
 このようなポリアミド樹脂(a)は酸素バリア性が高い。そのため、ポリアミド樹脂層は、本実施形態の多層容器における酸素バリア層として機能する。また、このようなポリアミド樹脂(a)は、透明性が高い。特に、加熱処理後の透明性にも優れていることから、レトルトされる容器やボイルされる容器に好ましく用いることができる。さらに、ポリアミド樹脂(a)は、ポリオレフィンと構造等が大きく異なっているにもかかわらず、ポリオレフィン層との密着性も高く維持することができる。
 ポリアミド樹脂(a)は、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上が、好ましくは80モル%以上が、より好ましくは90モル%以上が、さらに好ましくは95モル%以上が、一層好ましくは99モル%以上がキシリレンジアミンに由来する。キシリレンジアミンは、メタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミンが好ましく、メタキシリレンジアミンがより好ましい。
 本実施形態におけるポリアミド樹脂(a)の好ましい実施形態の一例は、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上(好ましくは80モル%以上が、より好ましくは90モル%以上が、さらに好ましくは95モル%以上が、一層好ましくは99モル%以上)がメタキシリレンジアミンに由来するポリアミド樹脂である。
 キシリレンジアミン以外のジアミンとしては、パラフェニレンジアミン等の芳香族ジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンが例示される。これらの他のジアミンは、1種のみでも2種以上であってもよい。
 ジアミン成分として、キシリレンジアミン以外のジアミンを用いる場合は、ジアミン由来の構成単位の30モル%以下であり、より好ましくは1~25モル%、特に好ましくは5~20モル%の割合で用いる。
 本実施形態では、上述の通り、ポリアミド樹脂(a)におけるジカルボン酸由来の構成単位は、30~60モル%が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、70~40モル%がイソフタル酸に由来する。
 ポリアミド樹脂(a)におけるジカルボン酸由来の構成単位を構成する全ジカルボン酸のうち、炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸(好ましくは炭素数4~8のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸、より好ましくはアジピン酸)の割合の下限値は、30モル%以上であり、33モル%以上が好ましく、35モル%以上がより好ましく、38モル%以上がさらに好ましく、40モル%以上が一層好ましく、45モル%以上であってもよい。前記炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸の割合の上限値は、60モル%以下であり、55モル%以下が好ましい。このような範囲とすることにより、本実施形態の多層容器の酸素バリア性がより向上すると共に、得られる多層容器の透明性もより向上する傾向にある。
 炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸は、上述のとおり、炭素数4~8のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。
 ポリアミド樹脂の原料ジカルボン酸成分として用いるのに好ましい炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸が例示でき、1種または2種以上を混合して使用できるが、これらの中でもポリアミド樹脂の融点が成形加工するのに適切な範囲となることから、アジピン酸が好ましい。
 ポリアミド樹脂(a)におけるジカルボン酸由来の構成単位を構成する全ジカルボン酸のうち、イソフタル酸の割合の下限値は、40モル%以上であり、45モル%以上が好ましい。前記イソフタル酸の割合の上限値は、70モル%以下であり、67モル%以下が好ましく、65モル%以下がより好ましく、62モル%以下がさらに好ましく、60モル%以下が一層好ましく、55モル%以下であってもよい。このような範囲とすることにより、本実施形態の多層容器の酸素バリア性がより向上する傾向にある。
 ポリアミド樹脂(a)における、ジカルボン酸由来の構成単位のうち、イソフタル酸由来の構成単位と炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位の合計の割合は、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましく、98モル%以上であることがさらに好ましく、99モル%以上であることが一層好ましい。前記イソフタル酸由来の構成単位と炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位の合計の割合の上限は、100モル%を超えることは無い。このような割合とすることにより、本実施形態の多層体の透明性がより向上する傾向にある。
 イソフタル酸と炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、テレフタル酸、オルソフタル酸等のフタル酸化合物、1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、1,7-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸を例示することができ、1種または2種以上を混合して使用できる。
 ポリアミド樹脂(a)はテレフタル酸由来の構成単位を実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、ポリアミド樹脂(a)に含まれるイソフタル酸のモル量の5モル%以下であり、3モル%以下が好ましく、1モル%以下がさらに好ましく、0モル%であることが一層好ましい。このような構成とすることにより、適度な成形加工性が維持され、ガスバリア性が湿度によってより変化しにくくなる。
 ポリアミド樹脂(a)は、末端アミノ基濃度が10~70μeq/gであることが好ましい。前記下限値以上とすることにより、酸変性ポリオレフィンとの接着性をより高くすることができる。前記末端アミノ基濃度は、0.3gのポリアミド樹脂(a)を、フェノール/エタノール=4/1(体積比)の混合溶剤に投入して、20~30℃で撹拌し、完全に溶解させた後、撹拌しつつ、メタノール5mLで容器内壁を洗い流し、0.01mol/L塩酸水溶液で中和滴定して末端アミノ基濃度[NH2]を求めた値とする。
 また、本実施形態におけるポリアミド樹脂層に含まれるポリアミド樹脂、すなわち、ポリアミド樹脂(a)および他のポリアミド樹脂の混合物の末端アミノ基濃度が上記範囲を満たすことが好ましい。
 なお、本実施形態で用いるポリアミド樹脂(a)は、ジカルボン酸由来の構成単位とジアミン由来の構成単位を主成分として含むが、ジカルボン酸由来の構成単位およびジアミン由来の構成単位以外の構成単位や、末端基等の他の部位を含みうる。他の構成単位としては、ε-カプロラクタム、バレロラクタム、ラウロラクタム、ウンデカラクタム等のラクタム、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸等由来の構成単位が例示できるが、これらに限定されるものではない。さらに、本実施形態で用いるポリアミド樹脂(a)は、合成に用いた添加剤等の微量成分が含まれる。本実施形態で用いるポリアミド樹脂(a)は、通常、95質量%以上、好ましくは98質量%以上が、ジカルボン酸由来の構成単位またはジアミン由来の構成単位である。
 本実施形態で用いるポリアミド樹脂(a)は非晶性樹脂であることが好ましい。非晶性樹脂を用いることにより、ボイル処理やレトルト処理をしても、ポリアミド樹脂(a)が白化しにくく、高い透明性を維持することができる。
 非晶性樹脂とは、明確な融点を有さない樹脂をいう。融点は、国際公開第2017/090556号の段落0036の記載に従って測定した融点とする。
 本実施形態におけるポリアミド樹脂層は、ポリアミド樹脂(a)の含有量が、ポリアミド樹脂層全体の85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが一層好ましく、99質量%以上であることがより一層好ましい。ポリアミド樹脂層におけるポリアミド樹脂(a)の含有量の上限は100質量%以下である。
 ポリアミド樹脂層は、ポリアミド樹脂(a)を1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。2種以上含んでいる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<他の成分>>
 本実施形態におけるポリアミド樹脂層は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、ポリアミド樹脂(a)以外の他の成分を含んでいてもよい。
 他の成分としては、ポリアミド樹脂(a)以外の熱可塑性樹脂、ガラス繊維、炭素繊維などの無機充填剤;ガラスフレーク、タルク、カオリン、マイカ、モンモリロナイト、有機化クレイなどの板状無機充填剤;各種エラストマー類などの耐衝撃性改質材;結晶核剤;脂肪酸アミド系、脂肪酸アマイド系化合物等の滑剤;銅化合物、有機もしくは無機ハロゲン系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ヒドラジン系、硫黄系化合物、リン系化合物等の酸化防止剤;着色防止剤;ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤;離型剤、可塑剤、着色剤、難燃剤等の添加剤;酸化反応促進剤、リサイクル助剤、ベンゾキノン類、アントラキノン類、ナフトキノン類を含む化合物等の添加剤を含んでいてもよい。これらの他の成分の合計含有量は、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下であり、1質量%以下であってもよい。
 酸化反応促進剤は、国際公開第2019/058986号の段落0034~0036の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
 ポリアミド樹脂(a)以外のポリアミド樹脂としては、脂肪族ポリアミド樹脂であっても、半芳香族ポリアミド樹脂であってもよく、脂肪族ポリアミド樹脂が好ましい。脂肪族ポリアミド樹脂は、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド666等を挙げられ、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド666が好ましく、さらにポリアミド6が好ましい。半芳香族ポリアミド樹脂としては、6T、6T/6I、9T、9N(ノナンジアミンとナフタレンジカルボン酸の重縮合物)等が例示される。これらのポリアミド樹脂(a)以外のポリアミド樹脂は、1種のみ用いても、2種以上用いてもよい。
 本実施形態においては、ポリアミド樹脂層が高級脂肪酸のアルカリ金属塩を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
 本実施形態においては、ポリアミド樹脂層に含まれる高級脂肪酸のアルカリ金属塩の含有量は、アルカリ金属原子換算で、50質量ppm未満であることが好ましく、40質量ppm未満であることがより好ましく、30質量ppm未満であることがさらに好ましい。ポリアミド樹脂層中の高級脂肪酸のアルカリ金属塩を減らすことにより、得られる多層容器の外観が向上する等の利点がある。
 高級脂肪酸のアルカリ金属塩としては、炭素数が12~30の脂肪酸の塩であることが好ましい。塩を形成する脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸などの飽和脂肪酸が好適なものとして例示される。アルカリ金属は、カリウムおよびナトリウムが好ましい。
<多層容器の層構成>
 本実施形態の多層容器は、ポリオレフィン層と、前記ポリオレフィン層に接しているポリアミド樹脂層を有する。通常は、ポリオレフィン層が外側である。さらに、本実施形態の多層容器は、ポリオレフィン層/ポリアミド樹脂層/ポリオレフィン層の3層構造を有することが好ましい。具体的には、図1に例示されるように、多層容器の胴部の断面が、外側から順にポリオレフィン層1、ポリアミド樹脂層2、ポリオレフィン層3となっており、ポリオレフィン層1とポリアミド樹脂層2とが胴部の断面に垂直な面方向で接しており、ポリアミド樹脂層2とポリオレフィン層3も胴部の断面に垂直な面方向で接している態様である。尚、図1における厚さは、実際の厚さに必ずしも比例するものではない。本実施形態の多層容器は、その底部など胴部以外の部分も、前記ポリオレフィン層/ポリアミド樹脂層/ポリオレフィン層の3層構造を有することが好ましいが、必ずしもこの限りではない。また、このとき、2つのポリオレフィン層は同じ組成からなるポリオレフィン層であってもよいし、異なる組成からなるポリオレフィン層であってもよい。しかしながら、前記2つのポリオレフィン層のいずれも、酸変性ポリオレフィンと酸未変性ポリオレフィンとを含み、未変性ポリオレフィンのMFRが20g/10分以上であることが好ましい。さらには、前記2つのポリオレフィン層のいずれも、酸変性ポリオレフィンのMFRが酸未変性ポリオレフィンのMFRよりも大きいことが好ましい。
 さらに、本実施形態の多層容器は、ポリオレフィン層/ポリアミド樹脂層/ポリオレフィン層/ポリアミド樹脂層/ポリオレフィン層のような5層構造であってもよい。この場合、少なくとも1層のポリアミド樹脂層が隣接する少なくとも1層のポリオレフィン層と接していればよいが、すべてのポリアミド樹脂層が隣接するポリオレフィン層と接していることが好ましい。また、本実施形態の多層容器は、ポリオレフィン層と、前記ポリオレフィン層に接しているポリアミド樹脂層を有する限り、他の層を有していてもよい。
 本実施形態の多層容器の、ポリオレフィン層とポリアミド樹脂層の厚み比率は特に限定されないが、ポリオレフィン層1層の厚みを100とした場合のポリアミド樹脂層1層の厚みが0.5~40であることが好ましく、1~30であることがより好ましい。また、本実施形態の多層容器がポリオレフィン層/ポリアミド樹脂層/ポリオレフィン層の層構成を有する場合、ポリオレフィン層の合計厚みを100とした場合のポリアミド樹脂層の厚みが1~20であることが好ましく、2~15であることがより好ましい。
 ポリアミド樹脂層の厚さは、1層あたり、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、また、150μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、90μmであることがさらに好ましい。
 ポリオレフィン層の厚さは、1層あたり、0.2mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることがより好ましく、また、1.4mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがより好ましい。
 また、多層容器の厚さは、0.4mm以上であることが好ましく、0.7mm以上であることがより好ましく、また、3mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがより好ましい。
 本実施形態の多層容器は、ボイル処理後も透明性が高いことが好ましい。具体的には、85℃で30分間ボイル処理後のJIS K-7105に準じて測定したヘイズが前記ボイル処理前のヘイズの2倍以下であることが好ましく、1.5倍以下であることがより好ましく、1.2倍以下であることがさらに好ましい。下限値については、1.0倍が理想であるが、ボイル処理後の方が、透明性が優れる場合(例えば、0.8倍以上)も好ましく用いられる。
 また、本実施形態の多層容器のJIS K-7105に準じて測定した初期ヘイズ(ボイル処理、レトルト処理をしていない成形後のヘイズ)は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。前記ヘイズの下限値は0%が理想であるが、0.1%以上であっても十分に性能要求を満たす。
<多層容器の製造方法>
 本実施形態の多層容器は、好ましくは射出成形により形成される。すなわち、本実施形態の多層容器は、多層射出成形容器であることが好ましい。従って、本実施形態の多層容器には金型由来のウエルド部が形成されてしまうが、本実施形態では所望のポリオレフィン層(ポリオレフィン層形成用組成物)を採用することにより、ウエルド部をより小さくできる。
 より具体的には、本実施形態の多層容器の製造方法は、酸変性ポリオレフィンと酸未変性ポリオレフィンとを含み、前記酸未変性ポリオレフィンのJIS K7210-1:2014に準拠して、温度XPO℃、2.16kgfの条件で測定したメルトフローレートが20g/10分以上であるポリオレフィン層形成用組成物と、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位とを含み、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の30~60モル%が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、70~40モル%がイソフタル酸に由来するポリアミド樹脂(a)を含むポリアミド樹脂層形成用組成物とを、ポリオレフィン層形成用組成物から形成されるポリオレフィン層と、ポリアミド樹脂層形成用組成物から形成されるポリアミド樹脂層とが接するように、金型に射出して、射出成形することを含み、前記温度XPOは、酸未変性ポリオレフィンの融点+65℃であることが好ましい。特に、金型に接する部位がポリオレフィン層となるように(例えば、ポリオレフィン層/ポリアミド樹脂層/ポリオレフィン層となるように)、射出することが好ましい。
 前記多層容器は、上述の本実施形態の多層容器であることが好ましい。すなわち、前記多層容器は、前記酸変性ポリオレフィンのJIS K7210-1:2014に準拠して、温度XmPO℃、2.16kgfの条件で測定したメルトフローレートが前記酸未変性ポリオレフィンのメルトフローレートよりも大きく、前記温度XmPOは、酸変性ポリオレフィンの融点+55℃であることが好ましい。さらには、ポリオレフィン層形成用組成物を構成する好ましい材料やその含有量は上記ポリオレフィン層の所で述べたものと同義である。また、ポリアミド樹脂層形成用組成物を構成する好ましい材料やその含有量も上記ポリアミド樹脂層の所で述べたものと同義である。
 本実施形態の製造方法における射出成形とは、例えば、ポリオレフィン層形成用組成物の溶融物とポリアミド樹脂層形成用組成物の溶融物とを、それぞれ、予め閉じられた金型内に射出充填し、固化させて多層容器とする成形方法である。そのため、金型内でのポリオレフィン層形成用組成物の溶融物とポリアミド樹脂層形成用組成物の溶融物(特に、ポリオレフィン層形成用組成物の溶融物)の流動性が高いことが望ましい。本実施形態では、ポリオレフィンとして、MFRが高いポリオレフィンを用いているため、射出成形(好ましくは共射出成形)により、成形が可能である。すなわち、二色成形ではなく、ほぼ同時にポリオレフィン層形成用組成物とポリアミド樹脂層形成用組成物を金型に射出充填しても優れた多層容器が成形できる。また、後述する二軸延伸ブロー成形と異なり、最初にポリオレフィン層形成用組成物の溶融物とポリアミド樹脂層形成用組成物の溶融物とを充填する金型の形状がそのまま最終製品の形状となるため、前記溶融物の流動性が重要となる。すなわち、本実施形態における射出成形には、二軸延伸ブロー成形方法は含まれない。また、本実施形態で多層容器は、通常、射出成形で成形されるため、ウエルド部を有する。
 これに対し、成形材料を加熱熔融させて筒状に押し出し、金型で挟み、内部に空気を吹き込んで中空品を成形する押し出しブロー成形では、材料の流動性が射出成形の場合ほど問題とならない。また、射出成形法によって得られたプリフォーム(半製品)の胴壁部のみ再加熱し、ブロー用金型内で内部に延伸ロッドを突き出し、高圧空気を吹き込んで中空品を成形する二軸延伸ブロー成形方法でも、材料の流動性が射出成形の場合ほど問題とならない。
 尚、本実施形態の多層容器は射出成形で製造することに適しているが、ブロー成形や二軸延伸成形を含む他の成形方法で成形された多層容器を排除するものではない。
 また、共射出成形するに際しては、ポリアミド樹脂層形成用組成物とポリオレフィン層形成用組成物を共射出成形して成形されるが、好ましくは、ポリアミド樹脂層形成用組成物を中間層とし、ポリオレフィン層形成用組成物がポリアミド樹脂層形成用組成物の両側に接する様に(例えば、ポリオレフィン層/ポリアミド樹脂層/ポリオレフィン層となるように)成形される。ポリオレフィン層のさらに外側に追加の層を形成することも可能である。また、最内層を別途形成することも可能である。
 ポリオレフィン層形成用組成物およびポリアミド樹脂層形成用組成物の射出タイミングは、目的とする多層容器の形状に応じて適宜調整することができる。例えば、まず、両外層であるポリオレフィン層形成用組成物の射出を開始し、その後、ポリアミド樹脂層形成用組成物の射出を開始することによって先端部でポリアミド樹脂層が露出するのを防ぐことができる。射出成形時の温度は、用いる樹脂の融点や軟化点を考慮して調整できる。本実施形態において、射出成形温度は、例えば、220~290℃とすることができる。
<用途>
 本実施形態の多層容器は、容器のふた材、ボトル、カップ、トレイ、チューブなどに好ましく利用できる。
 本実施形態の多層容器は、薬品、食品(水産加工品、畜産加工品、飯類、液体食品)等の包装・保存に好ましく用いられる。これらの詳細は、特開2011-37199号公報の段落0033~0035の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
 特に、透明な容器であって、レトルト食品やボイルして用いられる食品の容器として好ましく用いられる。
 以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
 実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
 MFR(メルトフローレート)の測定に際し、メルトインデクサーとして、(株)東洋精機製作所製のものを用いた。
1.原料
MXD6I:
メタキシリレンジアミンと、アジピン酸と、イソフタル酸から合成されたポリアミド樹脂、ジカルボン酸中のイソフタル酸の割合は50モル%である。非晶性樹脂。末端アミノ基濃度は10~70μeq/gの範囲内である。
EVOH:
三菱ケミカル株式会社製、ソアノールDC3212B、エチレン-ビニルアルコール共重合体。結晶性樹脂。
PP1:
酸未変性ポリプロピレン、JIS K7210-1:2014に準拠して、温度XPO℃=融点+65℃、2.16kgfの条件で測定したMFR45g/10分、日本ポリプロ株式会社製、ノバテックBX05FS
PP2:
酸未変性ポリプロピレン、JIS K7210-1:2014に準拠して、温度XPO℃=融点+65℃、2.16kgfの条件で測定したMFR10g/10分、日本ポリプロ株式会社製、ノバテックMA3H
Mah-PP1:
無水マレイン酸変性ポリプロピレン、JIS K7210-1:2014に準拠して、温度XmPO℃=融点+55℃、2.16kgfの条件で測定したMFR450g/10分、DuPont社製、Bynel50E803
Mah-PP2:
無水マレイン酸変性ポリプロピレン、三井化学株式会社製、アドマーQF551
JIS K7210-1:2014に準拠して、温度XmPO℃=融点+55℃では、MVRが低すぎるため測定不可であった。なお、JIS K7210-1:2014に準拠して、温度XmPO℃=融点+95℃、2.16kgfの条件で測定したMFR5.7g/10分であった。
<融点およびガラス転移温度>
 樹脂の融点およびガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量測定)法に従って測定した。
 具体的には、融点とは、DSC(示差走査熱量測定)法により観測される昇温時の吸熱ピークのピークトップの温度である。また、ガラス転移温度とは、試料を一度加熱溶融させ熱履歴による結晶性への影響をなくした後、再度昇温して測定されるガラス転移温度をいう。
 測定には、示差走査熱量測定を用い、試料量は約5mgとし、雰囲気ガスとしては窒素を30ml/分で流し、昇温速度は10℃/分の条件で室温から予想される融点以上の温度まで加熱し溶融させた際に観測される吸熱ピークのピークトップの温度から融点を求める。次いで、溶融した樹脂を、ドライアイスで急冷し、10℃/分の速度で融点以上の温度まで再度昇温し、ガラス転移温度を求めた。
 示差走査熱量測定は、島津製作所社(SHIMADZU CORPORATION)製「DSC-60」を用いた。
<MXD6Iの合成例>
 撹拌機、分縮器、冷却器、温度計、滴下槽および窒素ガス導入管を備えたジャケット付きの50L反応缶に、アジピン酸7.5kg、イソフタル酸8.5kg、次亜リン酸ナトリウム一水和物9.3gおよび酢酸ナトリウム4.8gを仕込み、十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下にて180℃に昇温し、アジピン酸とイソフタル酸を均一に溶融させた後、系内を撹拌しつつ、これにメタキシリレンジアミン13.9kgを、170分を要して滴下した。この間、内温は連続的に265℃まで上昇させた。なお重縮合により生成する水は、分縮器および冷却器を通して系外に除いた。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温をさらに270℃まで昇温し、10分間反応を継続した後、ポリマーを反応缶下部のノズルからストランドとして取り出し、水冷後ペレット化してポリマーを得た。
 次に、上記の操作にて得たポリマーを加熱ジャケット、窒素ガス導入管、真空ラインを備えた250L回転式タンブラーに入れ、回転させつつ系内を減圧にした後、純度99容量%以上の窒素で常圧にする操作を3回行った。その後、窒素流通下にて系内を115℃まで昇温させた。次に系内を減圧にし、115℃で24時間保持した後、窒素を導入して系内を常圧に戻した後、冷却してポリアミド樹脂(MXD6I)を得た。
 高級脂肪酸のアルカリ金属塩は配合していない。また、国際公開第2017/090556号の段落0036の記載に従って融点の測定を試みたところ、明確な融点を有さず、非晶性樹脂であった。
2.実施例1、2、比較例1~4
<ポリオレフィン層形成用組成物の調製>
 表1に示す酸変性ポリオレフィン(Mah-PP)のペレットと酸未変性ポリオレフィン(PP)のペレットを、5:95の質量比率でドライブレンドした。
<多層射出成形容器の製造>
 内層が、上記で得られたポリアミド樹脂組成物(ペレット)からなり、その両外層が、上記で得られたポリオレフィン層形成用組成物(ペレット)からなるように(ポリオレフィン樹脂層/ポリアミド樹脂層/ポリオレフィン樹脂層)、各樹脂組成物(ペレット)を3層ほぼ同時に共射出し、射出多層構造体を得た。詳細の条件は以下の通りである。
装置:射出成形機、住友重工機械工業株式会社、SE130DU-CI
・スクリュー径
ポリアミド樹脂組成物:直径16mm
ポリオレフィン層形成用樹脂組成物(未変性PPおよび変性PPを含む樹脂組成物):直径32mm
・ホットランナー:Kortec社製
・温度条件
 ポリアミド樹脂組成物:ゾーン1=230℃~250℃、ゾーン2~4=240℃~280℃、ゾーン5=250℃~280℃
 ポリオレフィン層形成用樹脂組成物:ゾーン1=230℃、ゾーン2~4=240℃~250℃、ゾーン5=250℃
ホットランナー温度:240℃~270℃
・金型温度:15℃
 得られた多層射出成形容器は、ポリアミド樹脂層の厚みが80μmであり、ポリオレフィン層の合計の厚みが800μmであり(各ポリオレフィン層の厚みは400μm)であった。
<HAZE(ヘイズ)>
 得られた多層射出成形容器(成形直後のもの)から、ポリアミド樹脂層を分離し、ヘイズを測定した。ヘイズの測定は、JIS K-7105に準じて測定した。ヘイズ値(単位:%)が小さいほど、透明性が高いことを示す。
 測定装置は、色彩・濁度測定器(商品名:COH-400A、日本電色工業社製)を使用した。
 また、下記ボイル処理をした多層容器、および、下記レトルト処理をした多層容器について、上記と同様にヘイズを測定した。
<<ボイル処理>>
処理装置:トミー精工製SR-240
 処理温度:85℃
 処理時間:30分(処理時間に加熱および冷却時間は含まない)
<<レトルト処理>>
 処理装置:トミー精工製SR-240
 処理温度:121℃
 処理時間:30分(処理時間に加熱および冷却時間は含まない)
<OTR(累積酸素透過量)>
 ASTM D3985に準じて測定した。
 23℃、容器内部の相対湿度100%、外部の相対湿度50%の雰囲気下にて、上記レトルト処理後の多層容器の酸素透過率(cc/0.21atm・day・package)を測定した。測定した酸素透過率から容器内へ透過した累積酸素透過量(cc/0.21atm・package)を算出した。
 測定に際しては、モダンコントロールズ社製、OX-TRAN 2/61を使用した。
<接着強さ>
 得られた多層容器に水を充填させアルミでヒートシールしたものを1mの高さから同一側面が落下面となるように10回繰り返して落下させた後のカップを目視で観察し下記の基準により評価した。
3:層間剥離(デラミ)はみられなかった。
2:若干デラミが認められた。
1:著しいデラミが認められた。
<成形性(外観)>
 得られた多層容器について、比較例1を2として基準とし、これに対する、ウエルドおよびスジの量を比較した。5人の専門家が評価し多数決とした。
3:ウエルドおよびスジが無い、または、ほとんどなし
2:ウエルドおよび/またはスジが、わずかにみられる
1:ウエルドおよび/またはスジが、みられる
 上記結果から明らかなとおり、本発明の多層容器は、ボイル後およびレトルト後もヘイズが低く、透明性に優れていた(実施例1、2)。さらに、本発明の多層容器は、ポリオレフィン層にウエルドが少なく、成形性(外観)に優れていた。さらに、本発明では、バリア性樹脂としてEVOHを用いた場合と異なり、バリア性樹脂層(ポリアミド樹脂層)とポリオレフィン層との接着性が劣ることが懸念されたが、十分に接着していた。また、本発明の多層容器は、レトルト処理後の酸素バリア性にも優れていた。
 これに対し、バリア性樹脂として、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)を用いた比較例1~3は、ボイル後のヘイズが格段に劣っていた。さらに、レトルト処理後の酸素バリア性も劣っていた。
 また、酸未変性ポリオレフィンのMFRが本発明の範囲を外れる場合(比較例2、4)、得られる多層容器は、ポリオレフィン層にウエルドがみられ、成形性(外観)に劣っていた。
 さらに、酸変性ポリオレフィンのMFRを酸未変性ポリオレフィンのMFRよりも大きくすることにより、ポリアミド樹脂層とポリオレフィン層との接着強さをより向上させることができた(実施例1と実施例2の比較)。
1 ポリオレフィン層
2 ポリアミド樹脂層
3 ポリオレフィン層

Claims (15)

  1. 酸変性ポリオレフィンと酸未変性ポリオレフィンとを含むポリオレフィン層と、
    前記ポリオレフィン層に接しており、かつ、ポリアミド樹脂を含むポリアミド樹脂層とを有し、
    前記ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位とを含み、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の30~60モル%が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、70~40モル%がイソフタル酸に由来するポリアミド樹脂(a)を含み、
    前記酸未変性ポリオレフィンのJIS K7210-1:2014に準拠して、温度XPO℃、2.16kgfの条件で測定したメルトフローレートが20g/10分以上であり、
    前記温度XPOは、酸未変性ポリオレフィンの融点+65℃である、
    多層容器。
  2. 前記酸変性ポリオレフィンのJIS K7210-1:2014に準拠して、温度XmPO℃、2.16kgfの条件で測定したメルトフローレートが前記酸未変性ポリオレフィンのメルトフローレートよりも大きく、
    前記温度XmPOは、酸変性ポリオレフィンの融点+55℃である、
    請求項1に記載の多層容器。
  3. 前記ポリアミド樹脂層に含まれる高級脂肪酸のアルカリ金属塩の含有量が、アルカリ金属原子換算で、50質量ppm未満である、請求項1または2に記載の多層容器。
  4. 前記酸変性ポリオレフィンが、酸変性ポリプロピレンを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の多層容器。
  5. 前記酸変性ポリオレフィンのメルトフローレートが20g/10分超500g/10分以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の多層容器。
  6. 前記酸未変性ポリオレフィンが、ポリプロピレンを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の多層容器。
  7. 前記酸未変性ポリオレフィンのメルトフローレートが20~50g/10分である、請求項1~6のいずれか1項に記載の多層容器。
  8. 前記ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が10~70μeq/gである、請求項1~7のいずれか1項に記載の多層容器。
  9. 前記多層容器が、多層射出成形容器である、請求項1~8のいずれか1項に記載の多層容器。
  10. 前記多層容器のJIS K-7105に準じて測定したヘイズが10%以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の多層容器。
  11. 85℃で30分間ボイル処理後のJIS K-7105に準じて測定したヘイズが前記ボイル処理前のヘイズの2倍以下である、請求項1~10のいずれか1項に記載の多層容器。
  12. 前記ポリアミド樹脂(a)は非晶性樹脂である、請求項1~11のいずれか1項に記載の多層容器。
  13. 酸変性ポリオレフィンと酸未変性ポリオレフィンとを含み、前記酸未変性ポリオレフィンのJIS K7210-1:2014に準拠して、温度XPO℃、2.16kgfの条件で測定したメルトフローレートが20g/10分以上であるポリオレフィン層形成用組成物と、
    ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位とを含み、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の30~60モル%が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、70~40モル%がイソフタル酸に由来するポリアミド樹脂(a)を含むポリアミド樹脂層形成用組成物とを、
    ポリオレフィン層形成用組成物から形成されるポリオレフィン層と、ポリアミド樹脂層形成用組成物から形成されるポリアミド樹脂層とが接するように、金型に射出して、射出成形することを含み、
    前記温度XPOは、酸未変性ポリオレフィンの融点+65℃である、
    多層容器の製造方法。
  14. 前記酸変性ポリオレフィンのJIS K7210-1:2014に準拠して、温度XmPO℃、2.16kgfの条件で測定したメルトフローレートが前記酸未変性ポリオレフィンのメルトフローレートよりも大きく、
    前記温度XmPOは、酸変性ポリオレフィンの融点+55℃である、
    請求項13に記載の多層容器の製造方法。
  15. 前記多層容器が、請求項1~12のいずれか1項に記載の多層容器である、請求項13または14に記載の多層容器の製造方法。
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