JP7363888B2 - 樹脂組成物、成形品およびフィルム - Google Patents

樹脂組成物、成形品およびフィルム Download PDF

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Description

本発明は、樹脂組成物、これを用いた成形品およびフィルムに関する。
ポリカーボネート樹脂(PC)は高い透明性を活かした用途で利用され、今日、多岐にわたって使用されている。一方、その物性を改良するために、あるいは製造適性を高めるために、他の樹脂とブレンドすることが検討されている。
例えば、特許文献1には、溶融法で得られるポリカーボネート(A)99~1重量部とスチレン系樹脂(B)1~99重量部とを含有する熱可塑性樹脂組成物において、ポリカーボネート(A)の温度250℃、角速度10rad/sの条件で測定した損失角δおよび複素粘度η* (Pa・s)が、所定の関係を満たすことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献2には、粘度平均分子量16,000~23,000の範囲の芳香族ポリカーボネート(A成分)10~90重量%、および対数粘度値(IV値)が0.45~0.57dl/gであり、末端カルボキシル基量が20~35eq/tonであるポリエチレンテレフタレート樹脂(B成分)90~10重量%からなる熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
さらに、特許文献3には、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)50~100質量部と、ポリエステル系樹脂(B-1)および/またはスチレン系樹脂(B-2)とで構成される熱可塑性樹脂(B)0~50質量部とからなる樹脂主成分100質量部に対して、ナフタレン骨格を有する水溶性ポリエステル樹脂バインダで顆粒化された顆粒状無機フィラー(C)を1~30質量部含有することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
特開2003-020395号公報 特開2007-023118号公報 特開2018-119082号公報
上述の通り、ポリカーボネート樹脂に別の樹脂をブレンドして、さらなる機能を付与することが検討されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂に他の樹脂をブレンドすると、透明性が劣ってしまう場合がある。
特に、本発明者は、ポリカーボネート樹脂に、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂をブレンドすることを検討した。しかしながら、得られる成形品において十分な透明性を確保することは容易ではなかった。
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、ポリカーボネート樹脂にキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂をブレンドした樹脂組成物であって、優れた透明性を維持することができる樹脂組成物、およびこれを用いた成形品ならびにフィルムの提供を目的とする。
本発明者が上記課題を検討した結果、ポリカーボネート樹脂にブレンドするキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂として、特定の比率でイソフタル酸変性したものを用いることにより、上記課題を解決しうることを見出した。
具体的には、下記の手段<1>~<9>により、上記課題は解決された。
<1>ポリカーボネート樹脂(A)15~85質量部に対し、ポリアミド樹脂(B)を85~15質量部含み、前記ポリアミド樹脂(B)は、ジアミン由来の構成単位と、ジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の、87~98モル%が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、13~2モル%がイソフタル酸に由来する(但し、合計が100モル%を超えることはない)、樹脂組成物。
<2>前記ポリアミド樹脂(B)におけるジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来する、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>前記ポリアミド樹脂(B)におけるジカルボン酸由来の構成単位の87~98モル%がアジピン酸に由来する、<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
<4>前記ポリアミド樹脂(B)におけるジカルボン酸由来の構成単位の10モル%未満がイソフタル酸に由来する、<1>~<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<5>前記ポリアミド樹脂(B)におけるジカルボン酸由来の構成単位の8~2モル%がイソフタル酸に由来する、<1>~<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<6>前記ポリアミド樹脂(B)におけるジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、
前記ポリアミド樹脂(B)におけるジカルボン酸由来の構成単位の87~98モル%がアジピン酸に由来する、<1>に記載の樹脂組成物。
<7>前記ポリカーボネート樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)の合計含有量が、樹脂組成物の90質量%以上である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<8>前記ポリカーボネート樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)の合計含有量が、樹脂組成物に含まれる樹脂成分の98質量%以上である、<1>~<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<9><1>~<8>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された成形品。
<10><1>~<8>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成されたフィルム。
本発明により、ポリカーボネート樹脂とキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂のブレンド物であって、透明性を維持した樹脂組成物、ならびに、これを用いた成形品ならびにフィルムを提供可能となった。
さらに、透明性に優れ、かつ高い耐薬品性と弾性率を有する樹脂組成物等を提供可能になった。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
なお、本明細書におけるキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂とは、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来するポリアミド樹脂をいう。
本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)15~85質量部に対し、ポリアミド樹脂(B)を85~15質量部含み、前記ポリアミド樹脂(B)は、ジアミン由来の構成単位と、ジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の、87~98モル%が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、13~2モル%がイソフタル酸に由来する(但し、合計が100モル%を超えることはない)ことを特徴とする。
このような構成とすることにより、ポリカーボネート樹脂とキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂をブレンドしても、高い透明性を維持できる。さらに、耐薬品性や弾性率を向上させることができる。
熱可塑性樹脂の多くの場合は屈折率が異なると、ブレンドしても、透明になりにくい。そのため、ポリカーボネート樹脂とポリアミド樹脂、特に、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂とのブレンドは難しかった。本発明では、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂としてイソフタル酸変性した高屈折率のキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂を用いることにより、ポリカーボネート樹脂とキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂のブレンドに成功した。また、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂とポリカーボネート樹脂の界面があっても、その界面で光が乱反射しにくくなったため、透明性を向上させることが可能になった。さらに、耐薬品性や弾性率も向上可能であることを見出した。
なお、本明細書において透明とは特に断らない限り無色透明を意味するが、各種用途に適合する範囲で有色の半透明の状態であってもよい意味である。
<ポリカーボネート樹脂(A)>
本発明の樹脂組成物に用いられるポリカーボネート樹脂(A)は、公知のポリカーボネート樹脂を広く採用することができる。
ポリカーボネート樹脂は、通常、非晶性樹脂である。
ポリカーボネート樹脂(A)は、主鎖に芳香環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ビフェニル環など)を有する芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましく、下記式(1)で表される構成単位を含むポリカーボネート樹脂であることがより好ましい。
Figure 0007363888000001
式中、RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基を表す。
Xは、単結合または下記式(2)~(4)のいずれかで表される基を表す。
nおよびmは、それぞれ独立に、0~4の整数である。
*は結合手を表す。
Figure 0007363888000002
式中、RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基である。*は結合手である。
式中、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基または炭素数6~30のアリール基であることが好ましい。アルキル基としては、より好ましくは炭素数1~6のアルキル基、特に好ましくは炭素数1~4のアルキル基であり、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。アリール基としては、より好ましくは炭素数6~18のアリール基、特に好ましくは炭素数6~12のアリール基であり、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。これらのアルキル基およびアリール基はさらに置換基を有していてもよい。
nおよびmは、それぞれ独立に0~4の整数であるが、中でも0~2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0がさらに好ましい。
式(1)で表される構成単位を構成するモノマーとして、具体的には、4,4’-ビフェノール、2,4’-ビフェノール、2,2’-ビフェノール、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェノール、3,3’-ジフェニル-4,4’-ビフェノール、ビス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,1’-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1-フェニルエタン、1,1’-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)-1-フェニルエタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)ジフェニルメタン、1,1’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフチルエタン等が挙げられる。
式(1)で表される構成単位は、好ましくは、2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンに由来する構成単位(以下の式(3)で表される構成単位)、1,1’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタンに由来する構成単位(以下の式(4)で表される構成単位)、およびビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタンに由来する構成単位(以下の式(5)で表される構成単位)から選択される少なくとも1種であり、より好ましくは、式(3)で表される構成単位である。
Figure 0007363888000003
ポリカーボネート樹脂(A)は、式(1)で表される構成単位以外の任意の構成単位を含んでいてもよいが、ポリカーボネート樹脂(A)は式(1)で表される構成単位のみからなることが好ましい。式(1)で表される構成単位は、ポリカーボネート樹脂(A)の全構成単位に対して、好ましくは70~100モル%、より好ましくは80~100モル%、さらに好ましくは90~100モル%、特に好ましくは95~100モル%の割合で含まれる。ポリカーボネート樹脂(A)は、式(1)で表される構成単位を1種または2種以上含んでいてよい。2種以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
その他の構成単位としては、従来のポリカーボネート樹脂が含み得るいずれの構成単位であってもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は5.0×10以上であることが好ましく、1.0×10以上であることがより好ましく、1.5×10以上であることがさらに好ましい。上限値としては、1.0×10以下であることが好ましく、5.0×10以下であることがより好ましく、4.0×10以下であることがさらに好ましく、3.0×10以下であってもよい。粘度平均分子量の定義は、特開2019-002023号公報の段落0064の記載に従う。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂(A)は、上記式(1)で表される構成単位を誘導するビスフェノール類および炭酸エステル形成化合物を反応させることによって、製造することができる。具体的にはポリカーボネートを製造する際に用いられている公知の方法、例えばビスフェノール類とホスゲンとの直接反応(ホスゲン法)、あるいはビスフェノール類とビスアリールカーボネートとのエステル交換反応(エステル交換法)などの方法で製造することができる。
炭酸エステル形成化合物としては、例えばホスゲンや、ジフェニルカーボネート、ジ-p-トリルカーボネート、フェニル-p-トリルカーボネート、ジ-p-クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネートなどのビスアリールカーボネートが挙げられる。これらの化合物は1種のみを使用しても、2種以上を併用してもよい。
ホスゲン法においては、通常、酸結合剤および溶媒の存在下において、式(1)で表される構成単位を誘導するモノマーおよび任意に他の構成単位を誘導するモノマーをホスゲンと反応させる。酸結合剤としては、例えばピリジンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが用いられ、また溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルムなどが用いられる。さらに、縮重合反応を促進するために、トリエチルアミンのような第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を加え、また重合度調節のために、フェノール、p-t-ブチルフェノール、p-クミルフェノール、長鎖アルキル置換フェノール等の一官能基化合物を加えることが好ましい。また、所望により亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトなどの酸化防止剤や、フルオログルシン、イサチンビスフェノールなどの分岐化剤を少量添加してもよい。反応温度は、通常0~150℃、好ましくは5~40℃の範囲である。反応時間は反応温度によって左右されるが、通常0.5分~10時間、好ましくは1分~2時間である。また、反応中は、反応系のpHを10以上に保持することが好ましい。
一方、エステル交換法においては、式(1)で表される構成単位を誘導するモノマーおよび任意に他の構成単位を誘導するモノマーを、ビスアリールカーボネートと混合し、高温減圧下で反応させる。反応は、通常150~350℃、好ましくは200~300℃の範囲の温度で行い、最終的には好ましくは133Pa以下まで減圧して、エステル交換反応により生成したビスアリールカーボネートに由来するフェノール類を系外へ留去させる。反応時間は、反応温度や減圧度などによって左右されるが、通常1~24時間程度である。反応は窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。また、所望により、分子量調節剤、酸化防止剤、分岐化剤等を添加してもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)の含有量は適宜定めればよいが、樹脂組成物中、15質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であってもよく、さらには30質量%以上であってもよく、特には、40質量%以上であってもよい。上限値は、85質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが好ましい。
<ポリアミド樹脂(B)>
本発明の樹脂組成物に用いられるポリアミド樹脂(B)は、ジアミン由来の構成単位と、ジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の、87~98モル%が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、13~2モル%がイソフタル酸に由来する(但し、合計が100モル%を超えることはない)。
本発明に用いられるポリアミド樹脂(B)は、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、好ましくは80モル%以上が、より好ましくは90モル%以上が、さらに好ましくは95モル%以上が、一層好ましくは99モル%以上がキシリレンジアミンに由来する。上記キシリレンジアミンはメタキシリレンジアミンであることが好ましい。
キシリレンジアミン以外のジアミンは、パラフェニレンジアミン等の芳香族ジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンが例示される。これらの他のジアミンは、1種のみでも2種以上であってもよい。
本発明に用いられるポリアミド樹脂(B)は、好ましくは、87~98モル%が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸(好ましくは、アジピン酸)に由来する。炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸の割合の下限値は、88モル%以上が好ましく、89モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、91モル%以上が一層好ましく、92モル%以上がより一層好ましい。上限値は、97モル%以下が好ましく、96モル%以下がより好ましく、95モル%以下であってもよい。
炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸は、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸が例示され、アジピン酸およびセバシン酸が好ましく、アジピン酸がより好ましい。炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明に用いられるポリアミド樹脂(B)においては、ジカルボン酸由来の構成単位を構成する全ジカルボン酸のうち、イソフタル酸に由来する構成単位の割合が13~2モル%である。前記イソフタル酸に由来する構成単位の割合の下限値は、3モル%以上が好ましく、4モル%以上がより好ましく、5モル%以上であってもよい。前記イソフタル酸に由来する構成単位の割合の上限値は、12モル%以下が好ましく、11モル%以下がより好ましく、10モル%未満がさらに好ましく、9モル%以下が一層好ましく、8モル%以下がより一層好ましい。本発明においてはイソフタル酸に由来する構成単位の割合を上記範囲とすることにより、成形品の高い透明性を実現することができる。さらに、優れた耐薬品性を付与することができ、成形品に高い弾性率を付与することができる。
ジカルボン酸由来の構成単位は、イソフタル酸と炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸以外の他のジカルボン酸を含んでいてもよい。他のジカルボン酸としては、テレフタル酸、オルソフタル酸等のフタル酸化合物、1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、1,7-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸化合物を例示することができ、1種または2種以上を混合して使用できる。
ポリアミド樹脂(B)は、イソフタル酸由来の構成単位と炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位の合計が、ジカルボン酸由来の構成単位の90モル%以上を占めることが好ましく、95モル%以上を占めることがさらに好ましく、98モル%以上を占めることが一層好ましく、99モル%以上を占めることがより一層好ましい。上限値は、100モル%である。
本発明に用いられるポリアミド樹脂(B)は、ジカルボン酸由来の構成単位とジアミン由来の構成単位とから構成されるが、ジカルボン酸由来の構成単位およびジアミン由来の構成単位以外の構成単位や、末端基等の他の構造の部位を含みうる。他の構成単位としては、ε-カプロラクタム、バレロラクタム、ラウロラクタム、ウンデカラクタム等のラクタム、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸等由来の構成単位が例示できるが、これらに限定されるものではない。さらに、本発明に用いられるポリアミド樹脂(B)は、合成に用いた添加剤等の微量成分が含まれていてもよい。ポリアミド樹脂(B)は、通常、95質量%以上、好ましくは98質量%以上が、ジカルボン酸由来の構成単位またはジアミン由来の構成単位で構成される。
本発明においてポリアミド樹脂(B)は、結晶性ポリアミド樹脂であっても、非晶性ポリアミド樹脂であってもよい。なお、本明細書において非晶性樹脂とは、結晶融解エンタルピーΔHmが10J/g未満である樹脂をいう。
本発明に用いられるポリアミド樹脂(B)の数平均分子量(Mn)は、下限値が6,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、12,000以上であってもよい。また、前記数平均分子量(Mn)の上限値は、50,000以下であることが好ましく、30,000以下であることがより好ましく、25,000以下、18,000以下、14,500以下であってもよい。
ポリアミド樹脂(B)は、ジアミンとジカルボン酸とを触媒の存在下で重縮合することを含む製造方法によって製造することができる。ここでのジアミンとジカルボン酸は、上記で述べたものと同義であり、好ましい範囲も同じである。触媒としては公知のものを利用することができるが、ナトリウムを含む触媒としては、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸水素ナトリウム等が例示される。カルシウムを含む触媒としては、次亜リン酸カルシウム、亜リン酸カルシウム等が挙げられる。
重縮合は、通常、溶融重縮合法であり、溶融させた原料ジカルボン酸に原料ジアミンを滴下しつつ加圧下で昇温し、縮合水を除きながら重合させる方法が挙げられる。あるいは、原料ジアミンと原料ジカルボン酸から構成される塩を水の存在下で、加圧下で昇温し、加えた水および縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法が挙げられる。
ポリアミド樹脂(B)の含有量は適宜定めればよいが、樹脂組成物中で、15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であってもよく、さらには40質量%以上であってもよい。上限値としては、85質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であってもよく、さらには70質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよい。
<ブレンド形態>
本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)15~85質量部に対し、ポリアミド樹脂(B)を85~15質量部で含む。ポリカーボネート樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)の合計は、100質量部を超えてもよいが、100質量部が好ましい。
また、ポリカーボネート樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)の合計を100質量部としたとき、ポリカーボネート樹脂(A)の割合の下限値は、18質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、さらには、用途等に応じて、30質量部以上、40質量部以上、55質量部以上、75質量部以上であってもよい。また、ポリカーボネート樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)の合計を100質量部としたとき、ポリカーボネート樹脂(A)の割合の上限値は、82質量部以下であることが好ましく、80質量部以下であることがより好ましく、さらには、用途等に応じて、70質量部以下、65質量部以下、55質量部以下であってもよい。
本発明の樹脂組成物の第一のブレンド形態は、ポリカーボネート樹脂(A)45~65質量部に対し、ポリアミド樹脂(B)を55~35質量部含む形態である。本ブレンド形態とすることにより、透明性に優れ、かつ、耐薬品性と弾性率にバランスよく優れた樹脂組成物が得られる。
本発明の樹脂組成物の第二のブレンド形態は、ポリカーボネート樹脂(A)70~85質量部に対し、ポリアミド樹脂(B)を30~15質量部含む形態である。本ブレンド形態とすることにより、特に透明性に優れた樹脂組成物が得られる。
本発明の樹脂組成物の第三のブレンド形態は、ポリカーボネート樹脂(A)15~30質量部に対し、ポリアミド樹脂(B)を85~70質量部含む形態である。本ブレンド形態とすることにより、特に耐薬品性および弾性率に優れた樹脂組成物が得られる。
本発明の樹脂組成物は、上記のポリカーボネート樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)のみからなっていてもよいし、他の成分を含んでいてもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)およびポリアミド樹脂(B)は、それぞれ1種を用いてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上を含む場合には、その合計が上記の範囲を満たすことが好ましい。
本発明の樹脂組成物における、ポリカーボネート樹脂(A)およびポリアミド樹脂(B)以外の他の成分としては、上記で示したポリアミド樹脂(B)以外の他のポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂、滑剤、充填剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。これらの添加剤は、それぞれ、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
滑剤としては、高級脂肪酸金属塩が例示され、ステアリン酸カルシウムが好ましい。
他のポリアミド樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド6/66(ポリアミド6成分およびポリアミド66成分からなる共重合体)、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、MPXD6(ポリメタパラキシリレンアジパミド)、MXD10(ポリメタキシリレンセバサミド)、MPXD10(ポリメタパラキシリレンセバサミド)およびPXD10(ポリパラキシリレンセバサミド)、ポリアミド6I、ポリアミド6T、ポリアミド9I、ポリアミド9T、ポリアミド10T、ポリアミド6I/6T、ポリアミド9I/9T等が例示される。これらの他のポリアミド樹脂は、それぞれ、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂等を例示することができる。これらのポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂は、それぞれ、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)の合計含有量を、樹脂組成物に含まれる樹脂成分の98質量%以上とすることができ、99質量%以上であってもよい。
本発明の樹脂組成物は、また、ポリカーボネート樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)の合計含有量を、樹脂組成物の90質量%以上(好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上)とすることができる。
本発明の樹脂組成物は、公知の方法で製造することができる。例えば、ポリカーボネート樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)を溶融混練することによって得られる。
本発明の樹脂組成物は、4mm×10mm×80mmのISO試験片に成形し、JIS K7171に従った曲げ弾性率を、2.2GPa以上とすることができ、2.6GPa以上とすることもでき、さらには、3.0GPa以上とすることもできる。前記曲げ弾性率の上限は、例えば、5.0GPa以下、さらには4.0GPa以下でも、要求される性能を満たすものである。
<成形品>
本発明の成形品は、本発明の樹脂組成物から形成される。
本発明の樹脂組成物を用いた成形品の具体的な製造方法は、特に制限されず、熱可塑性樹脂について一般に使用されている成形方法を採用することができる。具体的には、射出成形、中空成形、押出成形、プレス成形などの成形方法を適用することができる。
成形品としては、単層フィルム(単層シートを含む)、多層フィルム(多層シートを含む)、繊維、糸、モノフィラメント、マルチフィラメント、ロープ、チューブ、ホース、各種成形材料、容器、各種部品、完成品、筐体等が例示される。さらに成形品(特に、フィルム、モノフィラメント、マルチフィラメント)は、延伸してもよい。前記成形品は、薄肉成形品や中空成形品等であってもよい。なかでも、本発明においては、高い透明性の利点が活かされる観点から、フィルム(シートを含む)製品であることが好ましい。フィルムの厚さは、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、60μm以下であることがさらに好ましい。下限値は0.1μm以上であることが実際的である。厚みのあるシートとしては、厚みが100μm以上であることが好ましく、500μm以上であることがより好ましく、1mm以上であることがさらに好ましい。上限値としては、10mm以下であることが実際的である。成形品の具体例としては、特に限定されるものではないが、ラップ、シュリンクフィルム等の食品包装用フィルム等の日用品、各種形状のパウチ、容器の蓋材、ボトル、カップ、トレイ、チューブ、電子機器等の表示画面の透明部材、照明機器の透明部材、記録媒体の表面部材、医薬品の包装部材、自動車等輸送機部品、一般機械部品、精密機械部品、OA機器部品、建材・住設関連部品、医療装置、レジャースポーツ用品、遊戯具、医療品等として好適に用いられる。
成形品の利用分野としては、特に限定されるものではないが、自動車等輸送機部品、自動車内装品、一般機械部品、精密機械部品、電子・電気機器部品、OA機器部品、建材・住設関連部品、医療装置、レジャースポーツ用品、遊戯具、医療品、食品包装用フィルム、装飾品、塗料やオイルの容器、防衛および航空宇宙製品等が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<合成例1 MXD6の合成>
撹拌機、分縮器、冷却器、温度計、滴下槽および窒素ガス導入管を備えたジャケット付きの50L反応缶に、アジピン酸9000g(61.6mol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物2.6g(ポリアミド樹脂中のリン原子濃度換算で100質量ppm)および酢酸ナトリウム0.8gを仕込み、十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下にて180℃に昇温し、アジピン酸を均一に溶融させた後、系内を撹拌しつつ、これにメタキシリレンジアミン8600g(63.2mol)を滴下した。この間、内温は連続的に245℃まで上昇させた。なお重縮合により生成する水は、分縮器および冷却器を通して系外に除いた。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温をさらに260℃まで昇温し、1時間反応を継続した後、ポリマーを反応缶下部のノズルからストランドとして取り出し、水冷後ペレット化してポリマーを得た。数平均分子量(Mn)は15000であった。
MXD6は、後述する比較例2で用いた。
<合成例2 MXD6Iの合成>
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロートおよび窒素導入管、ストランドダイを備えた反応容器に、精秤したアジピン酸8000gとイソフタル酸740g(合計59.2mol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物2.5g(NaHPO・HO)を配合し、十分に窒素置換した後、窒素を内圧0.4MPaまで充填し、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら190℃まで加熱した。
これにメタキシリレンジアミン8270g(60.7mol)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を上昇させ、255℃に達した時点で反応容器内を減圧にし、さらに内温を上昇させて260℃で10分間、溶融重縮合反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、得られた重合物をストランドダイから取り出して、これをペレット化し、約15kgのポリアミド樹脂(MXD6I)を得た。
アジピン酸とイソフタル酸は表1に示すイソフタル酸変性率となるように、モノマー量のモル比率を調整した。実施例3の場合、59.2molのジカルボン酸のうち、アジピン酸が92.5モル%、イソフタル酸が7.5モル%となる。
ポリアミド樹脂の数平均分子量は、以下の通り求めた。ポリアミド樹脂0.3gを、フェノール/エタノール=4/1(体積比)の混合溶剤に投入して、25℃で撹拌し、完全に溶解させた後、撹拌しつつ、メタノール5mLで容器内壁を洗い流し、0.01mol/L塩酸水溶液で中和滴定して末端アミノ基濃度[NH]を求めた。また、ポリアミド樹脂0.3gを、ベンジルアルコールに、窒素気流下170℃で撹拌し、完全に溶解させた後、窒素気流下80℃以下まで冷却し、撹拌しつつメタノール10mLで容器内壁を洗い流し、0.01mol/L水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定して末端カルボキシ基濃度[COOH]を求めた。測定した末端アミノ基濃度[NH](単位:μ当量/g)および末端カルボキシ基濃度[COOH](単位:μ当量/g)から、次式によって数平均分子量を求めた。
数平均分子量(Mn)=2,000,000/([COOH]+[NH])
ポリカーボネート樹脂:三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名ユーピロン(登録商標) S-2000、粘度平均分子量22,000
実施例1~7、比較例1~3
ペレットを110℃で4時間乾燥させた後、ポリカーボネート樹脂ペレットとポリアミド樹脂ペレットとを表1に示す質量比率となるようにドライブレンドし、滑剤としてステアリン酸カルシウム100質量ppmを加え、射出成形機(住友重機械工業(株)製、SE130DU-HP)に導入し、4mm×10mm×80mmのISO試験片を作製した。成形に際し、シリンダー温度は280℃、金型表面温度は100℃にて実施した。
以下の評価を行い、表1に示した。
<外観評価>
上記試験片を印刷物上に置いた。その際に背景に見える印刷画像の視認性を目視にて評価した。結果は以下のように区分して対比した。評価は5人の専門家で行い、多数決で判断した。結果を表1に示す。
(評価)
A:印刷画像を容易に視認できた。
B:白濁が見られるものの印刷画像は視認可能であった。
C:白濁が著しく印刷画像が視認できなかった。
<耐薬品性>
上記試験片を23℃の条件でトルエンに浸漬し、5日間静置し、その外観を評価した。印刷物上に上記で浸漬後の試験片を置いた。その際に背景に見える印刷画像の視認性を目視にて評価した。結果は以下のように区分して対比した。評価は5人の専門家で行い、多数決で判断した。結果を表1に示す。
(評価)
A:試験片形状に変化はなく、その透明性への影響はなかった。
B:試験片形状に変化はなかったが、透明性は悪化した(視認は可能)。
C:試験片形状に変化はなかったが、透明性は悪化した(視認は不可能)。
D:試験片形状は変化し、透明性も悪化した。
また視認の可否については、浸漬前の時点で白濁しており、視認性のないものについては、試験片形状に変化のない場合は、「C」、試験片の形状に変化があった場合は、「D」とした。
<弾性率測定(曲げ試験)>
上記で得られたISO試験片について、JIS K7171に従った方法により、曲げ弾性率を測定した。
本実施例では、曲げ試験機として、(株)東洋精機製作所製のベンドグラフIIを用いた。
Figure 0007363888000004
上記の結果から分かるとおり、イソフタル酸の変性率(共重合率)が2~13モル%のキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂をポリカーボネート樹脂にブレンドした場合(実施例1~7)では、透明性が高く優れた外観を有していた。さらに、曲げ弾性率も高かった。また、イソフタル酸の変性率(共重合率)が2~13モル%のキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂の割合を多くすることにより、耐薬品性も高くなった。
これに対し、ポリカーボネート樹脂とキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂とのブレンドであっても、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂がイソフタル酸由来の構成単位を有さないもの(比較例2)や、イソフタル酸変性率が高すぎるもの(比較例3)では、ポリカーボネート樹脂単独(比較例1)と比して、透明性が格段に劣っていた。さらに、比較例の樹脂組成物は耐薬品性にも劣っていた。

Claims (10)

  1. 芳香族ポリカーボネート樹脂(A)15~85質量部に対し、ポリアミド樹脂(B)を85~15質量部含み、
    前記ポリアミド樹脂(B)は、ジアミン由来の構成単位と、ジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の、87~98モル%が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、13~2モル%がイソフタル酸に由来する(但し、合計が100モル%を超えることはない)、樹脂組成物。
  2. 前記ポリアミド樹脂(B)におけるジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリアミド樹脂(B)におけるジカルボン酸由来の構成単位の87~98モル%がアジピン酸に由来する、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ポリアミド樹脂(B)におけるジカルボン酸由来の構成単位の10モル%未満がイソフタル酸に由来する、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記ポリアミド樹脂(B)におけるジカルボン酸由来の構成単位の8~2モル%がイソフタル酸に由来する、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記ポリアミド樹脂(B)におけるジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、
    前記ポリアミド樹脂(B)におけるジカルボン酸由来の構成単位の87~98モル%がアジピン酸に由来する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  7. 前記芳香族ポリカーボネート樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)の合計含有量が、樹脂組成物の90質量%以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 前記芳香族ポリカーボネート樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)の合計含有量が、樹脂組成物に含まれる樹脂成分の98質量%以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成された成形品。
  10. 請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成されたフィルム。
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