以下に添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る画像形成装置、画像形成システムおよびプログラムについて詳しく説明する。
まず、図1および図2を参照して、本実施形態の画像形成装置1の機械的な構成例について説明する。図1は、画像形成装置1の内部を透視して示す斜視図、図2は、画像形成装置1の内部の機械的構成を示す上面図である。
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置1は、主走査方向(図中矢印A方向)に往復移動するキャリッジ5を備える。キャリッジ5は、主走査方向に沿って延設された主ガイドロッド3により支持されている。また、キャリッジ5には連結片5aが設けられている。連結片5aは、主ガイドロッド3と平行に設けられた副ガイド部材4に係合し、キャリッジ5の姿勢を安定化させる。
キャリッジ5には、図2に示すように、4つの記録ヘッド6y,6m,6c,6kが搭載されている。記録ヘッド6yは、イエロー(Y)インクを吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド6mは、マゼンタ(M)インクを吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド6cは、シアン(C)インクを吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド6kは、ブラック(Bk)インクを吐出する複数の記録ヘッドである。以下、これら記録ヘッド6y,6m,6c,6kを総称する場合は、記録ヘッド6という。記録ヘッド6は、その吐出面(ノズル面)が下方(記録紙P側)に向くように、キャリッジ5に支持されている。
記録ヘッド6にインクを供給するためのカートリッジ7は、画像形成装置100内の所定の位置に配置されている。カートリッジ7と記録ヘッド6とは図示しないパイプで連結されており、このパイプを介して、カートリッジ7から記録ヘッド6に対してインクが供給される。
キャリッジ5は、駆動プーリ9と従動プーリ10との間に張架されたタイミングベルト11に連結されている。駆動プーリ9は、主走査モータ8の駆動により回転する。従動プーリ10は、駆動プーリ9との間の距離を調整する機構を有し、タイミングベルト11に対して所定のテンションを与える役割を持つ。キャリッジ5は、主走査モータ8の駆動によりタイミングベルト11が送り動作されることにより、主走査方向に往復移動する。キャリッジ5の主走査方向の移動は、例えば図2に示すように、キャリッジ5に設けられたエンコーダセンサ13がエンコーダシート(リニアスケール)14のマークを検知して得られるエンコーダ値に基づいて制御される。
また、本実施形態の画像形成装置1は、記録ヘッド6の信頼性を維持するための維持機構15を備える。維持機構15は、記録ヘッド6の吐出面の清掃やキャッピング、記録ヘッド6からの不要なインクの排出などを行う。
記録ヘッド6の吐出面と対向する位置には、図2に示すように、プラテン16が設けられている。プラテン16は、記録ヘッド6から記録紙P上にインクを吐出する際に、記録紙Pを支持するためのものである。記録紙Pは、図示しない副走査モータによって駆動される搬送ローラにより挟持され、プラテン16上を、副走査方向に間欠的に搬送される。
記録ヘッド6は複数のノズルを有しており、画像データに応じて駆動されるノズルからプラテン16上の記録紙Pに向かってインク滴(液滴)を吐出し、記録紙P上にインク滴を付着させることによって、記録紙Pに画像を形成する。
本実施形態の画像形成装置1を構成する上記の各機械的要素は、外装体2の内部に配置されている。外装体2にはカバー部材2aが開閉可能に設けられている。画像形成装置1のメンテナンス時やジャム発生時には、カバー部材2aを開けることにより、外装体2の内部に設けられた各構成要素に対して作業を行うことができる。
本実施形態の画像形成装置1は、記録紙Pを副走査方向(図中矢印B方向)に間欠的に搬送し、記録紙Pの副走査方向の搬送が停止している間に、キャリッジ5を主走査方向に往復移動させる。そして、キャリッジ5の移動中に記録ヘッド6のノズルを画像データに応じて駆動することにより、記録ヘッド6のノズルからプラテン16上の記録紙P上にインク滴を吐出して、記録紙Pに画像を形成する(シリアルヘッド方式)。なお、記録紙Pは画像が形成される印刷媒体の一例であり、使用可能な印刷媒体は紙に限定されるものではない。
次に、記録ヘッド6の詳細について、図3および図4を参照して説明する。図3および図4は記録ヘッド6の断面図であり、図3は記録ヘッド6の短手方向に沿う断面図、図4は記録ヘッド6の長手方向(ノズル列を構成するノズルが並ぶ方向)に沿う断面図である。
記録ヘッド6は、例えば単結晶シリコン基板で形成した流路板61と、この流路板61の下面に接合した振動板62と、流路板61の上面に接合したノズル板63とを有する。ノズル板63には、インク滴を吐出するノズル65が形成されている。また、流路板61には、ノズル65に連通する加圧室66や、加圧室66にインクを供給するためのインク供給口67などが形成されている。振動板62は、後述の圧電素子の駆動により変形する部材であり、変形を容易にするための薄肉部および圧電素子と接合する厚肉部が形成されている。
振動板62の下面側には、各加圧室66に対応して加圧室66内のインクを加圧するための圧力発生手段(アクチュエータ)である圧電素子70、圧電素子70を支持するベース基板71、およびフレーム部材72が設けられている。フレーム部材72には共通液室73が形成されている。共通液室73は、カートリッジ7(図1参照)から供給されたインクが通る流路であり、ノズル65ごとに設けられている加圧室66にインク供給口67を介して連通している。
本実施形態の記録ヘッド6では、圧電部材にハーフカットのダイシングによるスリット加工が施されることで、各加圧室66に対応する圧電素子70と、加圧室66間の隔壁部61aを支える支柱部74とが一体に形成されている。なお、支柱部74は、圧電素子70と同じ材料で構成されるが、駆動電圧を印加しないので変位せず、隔壁部61aを支える支柱として機能する。
圧電素子70は、例えば、厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層81と、厚さ数μm/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極層82とを交互に積層したものである。内部電極層82は、端面の端面電極(外部電極)である個別電極83と共通電極84とに交互に電気的に接続されている。本実施形態の記録ヘッド6では、例えば、圧電常数がd33である圧電素子70の伸縮により、加圧室66を収縮、膨張させるようになっている。圧電素子70に駆動信号が印加され充電が行われると伸長し、また圧電素子70に充電された電荷が放電すると反対方向に収縮するようになっている。
なお、圧電素子70の一端面の端面電極は圧電素子70ごとに分割されて個別電極83となり、他端面の端面電極は他の圧電素子70の端面電極と一体となってすべての圧電素子70で導通した共通電極84となる。
圧電素子70の個別電極83には、FPCケーブル85が接続されている。FPCケーブル85は、各圧電素子70に選択的に駆動波形を印加するための駆動回路(記録ヘッドドライバ)に接続されている。また、共通電極84は、FPCケーブル85のグラウンド(GND)電極に接続されている。
以上のように構成される記録ヘッド6においては、例えば、圧電素子70に駆動波形(10〜50Vのパルス電圧)が印加されることによって、圧電素子70に積層方向の変位が生起される。そして、振動板62が変形することによって加圧室66内のインクが加圧されて圧力が上昇し、ノズル65からインク滴が吐出される。
その後、インク滴吐出の終了に伴い、加圧室66内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって加圧室66内に負圧が発生する。このとき、カートリッジ7から供給されるインクが共通液室73に流入し、インク供給口67から加圧室66内に充填される。その後、以上の動作の繰り返しにより、インク滴吐出とインクの充填が繰り返される。
ところで、上述したような構造の記録ヘッド6では、圧電素子70の変位を利用してインク滴の吐出を行うために、特に隣接するノズル65の駆動状況が相互に影響し合って加圧室66の圧力が不均一、不安定になり、インク滴の吐出速度Vjなどの特性がノズル65ごとに異なってしまうといった、いわゆる相互干渉の問題が生じ易くなる。
ここで、ノズル65の相互干渉の一例について、図5および図6を参照して説明する。図5は、ノズル65を駆動する様子を模式的に示す図であり、(a)は1つのノズル65のみを駆動した場合(シングル駆動)の例を示し、(b)は隣接する3つのノズル65を同時に駆動した場合(3ch駆動)の例を示し、(c)は多数のノズル65を同時に駆動した場合(マルチ駆動)の例を示している。また、図6は、同時に駆動されるノズル数(駆動チャンネル数)と、図5の矢印で示す位置のノズル65から吐出されるインク滴の吐出速度Vjとの関係を示す図である。なお、ここでの同時に駆動とは、同一駆動タイミング(同じ駆動周期内)で駆動されることを意味する。
図6を参照すると、シングル駆動(a)のときのインクの吐出速度Vjに比べて、3ch駆動(b)のときのインク吐出速度Vjは速くなっていることが分かる。これは、シングル駆動時には、駆動しているノズル65に隣接するノズル65の加圧室66に圧力が逃げるが、3ch駆動時には、この圧力の逃げが抑制されるためである。一方、マルチ駆動(c)のときには、流路板61の全体が持ち上げられることで実行的な排除体積が減少してしまうため、加圧室66の圧力が低下して、インク滴の吐出速度Vjがシングル駆動時よりも遅くなる。
また、このような構造的な要因のほかに、電気的な要因(駆動波形の負荷特性)などによってもインク滴の吐出速度Vjの変動が生じる場合がある。これは、記録ヘッド6の駆動ノズル数や配線長などはキャパシタンス、インダクタンスのような等価回路に置き換えられるため、後述の駆動波形生成回路から出力される波形に変動が生じて、インク滴の吐出速度Vjに影響を与えるためである。
なお、上述した相互干渉の問題は、圧電素子70の変位を利用した記録ヘッド6に限らず、例えば、サーマル方式のインクジェット記録ヘッドなどにおいても同様に生じうる。サーマル方式のインクジェット記録ヘッドでは、加圧室内でバブルを発生させてインクを加圧するので、加圧室を仕切っている隔壁部がバブルによる加圧力で変形し、隣接する加圧室にも圧力変化を発生させる。このため、上述した例と同様にインク滴の吐出速度Vjの変動などの機械的な要因による相互干渉の問題が発生する。
そこで、本実施形態では、以上のようなノズルの相互干渉の問題を解消してノズルの吐出特性を安定化させ、高品位な画像形成を行えるようにする。具体的には、本実施形態の画像形成装置100は、入力される画像データ(印刷対象の画像データ)をもとに、同一駆動タイミングで駆動されるノズルの総数である駆動ノズル総数と、同一駆動タイミングで駆動されるノズルが連続している連続駆動領域のノズル数である連続駆動ノズル数とを検出する。そして、検出した駆動ノズル総数と連続駆動ノズル数とに基づいて補正データを生成した補正データを用いて、入力される画像データ(印刷対象の画像データ)を補正し、補正した画像データに応じて記録ヘッド6のノズルを駆動する。
以下では、このような機能を実現する具体的な画像形成装置1の構成例について説明する。なお、本実施形態では、上述したように、圧電素子70の変位を利用してインク滴の吐出を行う記録ヘッド6を備えた画像形成装置1を例示するが、ノズルの相互干渉の問題が発生しうる他の記録ヘッド、例えば上述したサーマル方式のインクジェット記録ヘッドなどを備えた画像形成装置に対しても、本発明は有効に適用できる。
図7は、本実施形態の画像形成装置1のハードウェア構成例を示すブロック図である。画像形成装置1は、メイン制御基板100と、ヘッド中継基板200と、画像処理基板300とを備える。
メイン制御基板100には、CPU(Central Processing Unit)101、FPGA(Field-Programmable Gate Array)102、RAM(Random Access Memory)103、ROM(Read Only Memory)104、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)105、モータドライバ106、駆動波形生成回路107などが実装されている。
CPU101は、画像形成装置1の全体の制御を司る。例えば、CPU101は、RAM103を作業領域として利用して、ROM104に格納された各種の制御プログラムを実行し、画像形成装置1における各種動作を制御するための制御指令を出力する。この際CPU101は、FPGA102と通信しながら、FPGA102と協働して画像形成装置1における各種の動作制御を行う。
FPGA102には、CPU制御部111、メモリ制御部112、I2C制御部113、センサ処理部114、モータ制御部115、および記録ヘッド制御部116が設けられている。
CPU制御部111は、CPU101と通信を行う機能を持つ。メモリ制御部112は、RAM103やROM104にアクセスする機能を持つ。I2C制御部113は、NVRAM105と通信を行う機能を持つ。
センサ処理部114は、各種センサ130のセンサ信号の処理を行う。各種センサ130は、画像形成装置1における各種の状態を検知するセンサの総称である。各種センサ130には、上述したエンコーダセンサ13のほか、記録紙Pの通過を検知する用紙センサ、カバー部材2aの開放を検知するカバーセンサ、環境温度や湿度を検知する温湿度センサ、記録紙Pを固定するレバーの動作状態を検知する用紙固定レバー用センサ、カートリッジ7のインク残量を検知する残量検知センサなどが含まれる。なお、温湿度センサなどから出力されるアナログのセンサ信号は、例えばメイン制御基板100などに実装されるADコンバータによりデジタル信号に変換されてFPGA102に入力される。
モータ制御部115は、各種モータ140の制御を行う。各種モータ140は、画像形成装置1が備えるモータの総称である。各種モータ140には、上述した主走査モータ8のほか、記録紙Pを副走査方向に搬送するための副走査モータ、記録紙Pを給紙するための給紙モータ、維持機構15を動作させるための維持モータなどが含まれる。
ここで、主走査モータ8の動作制御を例に挙げて、CPU101とFPGA102のモータ制御部115との連携による制御の具体例を説明する。まず、CPU101がモータ制御部115に対して、主走査モータ8の動作開始指示とともに、キャリッジ5の移動速度および移動距離を通知する。この指示を受けたモータ制御部115は、CPU101から通知された移動速度および移動指示の情報をもとに駆動プロファイルを生成し、センサ処理部114から供給されるエンコーダ値(エンコーダセンサ13のセンサ信号を処理して得られた値)との比較を行いながら、PWM指令値を算出してモータドライバ106に出力する。モータ制御部115は、所定の動作を終了するとCPU101に対して動作終了を通知する。なお、ここではモータ制御部115が駆動プロファイルを生成する例を説明したが、CPU101が駆動プロファイルを生成してモータ制御部115に指示する構成であってもよい。CPU101は、印字枚数のカウントや主走査モータ8のスキャン数のカウントなども行っている。
記録ヘッド制御部116は、ROM104に格納されたヘッド駆動データを駆動波形生成回路107に渡して、駆動波形生成回路107に共通駆動波形信号Vcomを生成させる。駆動波形生成回路107が生成した共通駆動波形信号Vcomは、ヘッド中継基板200に実装された後述の記録ヘッドドライバ210に入力される。
また、記録ヘッド制御部116は、画像処理基板300に設けられた後述の画像処理部310から画像処理後の画像データSD’を受け取り、この画像データSD’をもとに、記録ヘッド6の各ノズルから吐出させるインク滴の大きさに応じて共通駆動波形信号Vcomの所定波形を選択するためのマスク制御信号MNを生成する。そして、記録ヘッド制御部116は、画像データSD’と、同期クロック信号SCKと、画像データのラッチを命令するラッチ信号LTと、生成したマスク制御信号MNとを、記録ヘッドドライバ210に転送する(図9参照)。
図8は、駆動波生成回路107の構成を説明する図である。駆動波形生成回路107は、図8に示すように、DAC121、電圧増幅部122、および電流増幅部123を備える。記録ヘッド制御部116から転送されたヘッド駆動データは、DAC121によりアナログ変換され、電圧増幅部122により電圧増幅される。電圧増幅された駆動波形は、SEEP回路(NPNトランジスタおよびPNPトランジスタ)などで構成される低インピーダンス回路からなる電流増幅部123を介して、共通駆動波形信号Vcomとして記録ヘッドドライバ210に入力される。
ヘッド中継基板200は、キャリッジ5に搭載されている。ヘッド中継基板200には、図7に示すように、記録ヘッド6と記録ヘッドドライバ210とが実装されている。記録ヘッドドライバ210は、駆動波形生成回路107から入力される共通駆動波形信号Vcomと、記録ヘッド制御部116から転送される画像データSD’などに基づいて、記録ヘッド6のノズルを駆動してインク滴を吐出させる。なお、図7では記録ヘッドドライバ210を1つのみ図示しているが、記録ヘッドドライバ210は、キャリッジ5に搭載される(ヘッド中継基板200に実装される)記録ヘッド6ごとに存在する。
図9は、記録ヘッドドライバ210の構成例を示すブロック図である。記録ヘッドドライバ210は、図9に示すように、シフトレジスタ211、ラッチ回路212、階調デコーダ213、レベルシフタ214、およびアナログスイッチ215を備える。
シフトレジスタ211は、記録ヘッド制御部116から転送される画像データSD’および同期クロック信号SCKを入力する。ラッチ回路212は、シフトレジスタ211の各レジスト値を、記録ヘッド制御部116から転送されるラッチ信号LTによってラッチする。
階調デコーダ213は、ラッチ回路212でラッチした値(画像データSD’)とマスク制御信号MNとをデコードして結果を出力する。レベルシフタ214は、階調デコーダ213のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチ215が動作可能なレベルへとレベル変換する。
アナログスイッチ215は、レベルシフタ214を介して与えられる階調デコーダ213の出力でオン/オフするスイッチである。このアナログスイッチ215は、記録ヘッド6が備える上述したノズルごとに設けられ、各ノズルに対応する圧電素子70の個別電極83に接続されている。また、アナログスイッチ215には、駆動波形生成回路107からの共通駆動波形信号Vcomが入力されている。したがって、レベルシフタ214を介して与えられる階調デコーダ213の出力に応じてアナログスイッチ215のオン/オフが切り替えられることにより、共通駆動波形信号Vcomを構成する駆動波形の中から各ノズルに対応する圧電素子70に印加される波形が選択される。その結果、ノズルから吐出されるインク滴の大きさが制御される。
画像処理基板300には、図7に示すように、画像処理部310が設けられている。画像処理部310は、入力される画像データに対して、画素値を濃度(輝度)に変換する階調処理や、階調処理後の画像データをシリアルヘッド方式の記録ヘッド6に対応する形式に変換(データの並び替え)するレンダリング処理などを行い、記録ヘッド制御部116に供給する画像データSD(シリアルデータ)を生成する。本実施形態では、この画像処理部310に、上述した駆動ノズル総数および連続駆動ノズル数を検出し、検出した駆動ノズル総数および連続駆動ノズル数に基づいて補正データを生成し、この補正データを用いて、入力される画像データを補正する機能を持たせている。
図10は、画像処理部310の機能的な構成例を示すブロック図である。画像処理部310は、図10に示すように、画像I/F部311、階調処理部312、フレームメモリ313、レンダリング部314、補正用演算部315、および補正部316を備える。
画像I/F部311は、印刷対象の画像データおよび同期クロック信号SCKを入力する。以下、画像I/F部311に入力される画像データを、画像処理部310によって処理された画像データKD,SDと区別して、元画像データと表記する。画像I/F部311に入力された元画像データは、階調処理部312に渡されるとともに、フレームメモリ313に一時記憶される。画像I/F部311に入力された同期クロック信号SCKは、画像処理部310内の各部に渡される。
階調処理部312は、画像I/F部311から受け取った元画像データに対して上述した階調処理を行って、階調処理後の画像データKDをレンダリング部314に渡す。
レンダリング部314は、階調処理部312から受け取った画像データKDに対して上述したレンダリング処理を行って、レンダリング処理後の画像データSDを補正用演算部315に渡す。
補正用演算部315は、レンダリング部314から受け取った画像データSDと同期クロック信号SCKとに基づいて、駆動ノズル総数および連続駆動ノズル数を検出する。そして、補正用演算部315は、検出した駆動ノズル総数および連続駆動ノズル数に基づいて、記録ヘッド6のノズルごとの補正率α1〜α192(ここでは、記録ヘッド6のノズル数が192個であるものとする)を含む補正データを生成し、生成した補正データを補正部316に渡す。なお、補正用演算部315の具体例については、詳細を後述する。
補正部316は、補正用演算部315から受け取った補正データを用いて、フレームメモリ313に一時記憶した元画像データを補正する。例えば補正部316は、フレームメモリ313から元画像データを読み出し、記録ヘッド6のノズル数に対応する元画像データの画素領域ごとに、補正データに含まれるノズルごとの補正率α1〜α192をかけ合わせることによって、元画像データを補正する。なお、補正部316が元画像データを補正する処理の具体例は後述する。
本実施形態では、補正部316により補正された元画像データに対して、階調処理部312によって再度階調処理が行われ、階調処理後の画像データKD’がレンダリング部314に渡される。そして、レンダリング部314によって画像データKD’に対してレンダリング処理が行われ、レンダリング処理後の画像データSD’がFPGA102の記録ヘッド制御部116へと送られる。
次に、図11および図12を参照して、補正用演算部315の具体例について説明する。図11は、補正用演算部315の構成例を示すブロック図であり、図12は、補正用演算部315に入力される画像データSDおよび同期クロック信号SCKと、記録ヘッド6の駆動ノズルおよび非駆動ノズルとの関係を説明する図である。
補正用演算部315は、図11に示すように、検出部321と、補正データ生成部322と、テーブル記憶部323とを備える。
検出部321は、レンダリング部314から受け取った画像データSDと同期クロック信号SCKとに基づいて、駆動ノズル総数および連続駆動ノズル数を検出する。
レンダリング部314から補正用演算部315に入力される画像データSDは、図12に示すように、記録ヘッド6における各ノズルの並び順に対応させて、駆動ノズルについてはHレベル、非駆動ノズルについてはLレベルとなるシリアルデータである。検出部321は、この画像データSDのパルス幅(Hレベルが継続しているクロック数)をカウントし、そのカウント値を記録ヘッド6の駆動周期ごとに保持する。そして、検出部321は、記録ヘッド6の1駆動周期内でカウントされたカウント値の総計を求めることにより、駆動ノズル総数を検出することができる。例えば、図12の例では、画像データSDの1パルスが1ノズル分に相当し、カウント値は1→1→1→20→5と変化する。したがって、検出部321は、1+1+1+20+5=28を駆動ノズル総数として検出し、駆動ノズル総数A(28)を出力する。
また、検出部321は、記録ヘッド6の1駆動周期ごとに同期クロックSCKをカウントすることで、駆動ノズルの位置、およびその駆動ノズルが含まれている連続駆動領域(駆動ノズルが連続している領域)のノズル数(連続駆動ノズル数)を検出することができる。例えば、図12の例では、駆動ノズルが20個連続している連続駆動領域に対応する同期クロックSCKのカウント値は11〜31である。したがって、検出部321は、記録ヘッド6における並び順が11〜31番目のノズルが駆動ノズルであり、その領域の連続駆動ノズル数が20であることを検出し、連続駆動ノズル数B(20,11〜31)を出力する。また、図12の例では、駆動ノズルが5個連続している連続駆動領域に対応する同期クロックSCKのカウント値は35〜39である。したがって、検出部321は、記録ヘッド6における並び順が35〜39番目のノズルが駆動ノズルであり、その領域の連続駆動ノズル数が5であることを検出し、連続駆動ノズル数B(5,35〜39)を出力する。
補正データ生成部322は、検出部321により検出された駆動ノズル総数Aおよび連続駆動ノズル数Bに基づき、記録ヘッド6のノズルごとの補正率を含む補正データを生成する。記録ヘッド6のノズルごとの補正率は、例えば、テーブル記憶部323が記憶する補正テーブルを参照して求めることができる。
テーブル記憶部323は、例えば、記録ヘッド6におけるノズルの位置、駆動ノズル総数、および連続駆動ノズル数のそれぞれを次元として補正率を定めた補正テーブルを記憶している。この補正テーブルは、例えば事前の検証実験などを通じて作成され、テーブル記憶部323に予め格納される。図13は、テーブル記憶部323が記憶する補正テーブルの一例を示す図である。なお、図13では便宜上、テーブル記憶部323が記憶する3次元の補正テーブルを、ノズルの位置ごとの2次元のテーブルの集合(α11のテーブル、α12のテーブル、α31のテーブルのみを図示)として表している。
なお、キャリッジ5が主走査方向に往復移動する際の往路と復路とでは、同じ位置のノズルに対応する補正率の正負が入れ替わるが、往路用の補正テーブルと復路用の補正テーブルとを用意して往路と復路とで参照する補正テーブルを切り替えることで対応してもよいし、往路と復路とで補正率の正負を回路的に反転させる構成としてもよい。
補正データ生成部322は、例えば図13に示す補正テーブルを参照して、検出部321により検出された駆動ノズル総数Aおよび連続駆動ノズル数Bに対応する各駆動ノズルの補正率を求める。例えば、図12の例では、検出部321から補正データ生成部322に対して、駆動ノズル総数A(28)、連続駆動ノズル数B(20,11〜31)、および連続駆動ノズル数B(5,35〜39)が入力される。補正データ生成部322は、記録ヘッド6における並び順が11〜31番目の各ノズルについては、例えば図13に示す補正テーブルを参照し、駆動ノズル総数が28、連続駆動ノズル数が20に対応する補正率α11〜α31を取得する。また、補正データ生成部322は、記録ヘッド6における並び順が35〜39番目の各ノズルについては、例えば図13に示す補正テーブルを参照し、駆動ノズル総数が28、連続駆動ノズル数が5に対応する補正率α35〜α39を取得する。なお、非駆動ノズルについては補正の必要がないため、補正率を1とすればよい。
補正データ生成部322は、以上のようにして記録ヘッド6のノズルごとに補正率α1〜α192(記録ヘッド6のノズル数が192個の場合)を求め、ノズルごとの補正率α1〜α192を含む補正データを生成する。補正データ生成部322により生成された補正データは、補正部316に渡される。そして、補正部316において、ノズルごとの補正率α1〜α192を用いた元画像データの補正が行われ、補正後の元画像データから得られる画像データSD’に応じて記録ヘッド6のノズルが駆動される。これにより、上述したノズルの相互干渉の問題を解消してノズルの吐出特性を安定化させ、高品位な画像形成を行うことができる。
なお、図13に例示した補正テーブルは、記録ヘッド6におけるノズルの位置、駆動ノズル総数、および連続駆動ノズル数のそれぞれを次元として補正率を定めたものであるが、記録ヘッド6におけるノズルの位置は、予め区分けされた記録ヘッド6の領域のうち、各ノズルが属する領域の位置であってもよい。例えば、記録ヘッド6を一方の端部側の領域、中央の領域、および他方の端部側の領域の3つの領域に区分けし、それぞれの領域ごと駆動ノズル総数と連続駆動ノズル数とに対応する補正率を定めた構成の補正テーブルを用いてもよい。この場合、同じ領域に属する駆動ノズルに対しては同じ補正率が与えられることになるが、補正の効果は十分に見込める。また、この場合は、テーブルサイズを小さくして、必要なメモリ資源の削減を図ることができる。
また、キャリッジ5の移動速度(記録ヘッド6の移動速度)が異なる複数の印刷モードが指定可能な構成の場合は、上述した補正テーブルを印刷モードごとに用意してテーブル記憶部323に格納しておき、指定された印刷モードに対応する補正テーブルを選択してノズルごとの補正率を求めるようにしてもよい。記録ヘッド6の移動速度が異なる印刷モードとしては、例えば、印刷速度優先の高速印刷モードや、画質優先の高画質印刷モードなどが挙げられる。このような印刷モードに応じて補正率を求める構成とした場合には、記録ヘッド6の移動速度の違いによるノズルの吐出特性の変動も吸収できるように元画像データを補正することができ、さらに高品位な画像形成を行うことができる。
また、インクの吐出速度Vjが異なる環境温度ごとに上述した補正テーブルを用意してテーブル記憶部323に格納しておき、上述した温湿度センサにより検出された環境温度に対応する補正テーブルを選択してノズルごとの補正率を求めるようにしてもよい。このように構成した場合には、環境温度の違いによるノズルの吐出特性の変動も吸収できるように元画像データを補正することができ、さらに高品位な画像形成を行うことができる。
ここで、図14を参照して、本実施形態の画像処理部310における処理手順について説明する。図14は、画像処理部310による一連の処理の流れを示すフローチャートである。
図14のフローチャートで示す処理が開始されると、まず、画像I/F部311が元画像データを入力する(ステップS101)。画像I/F部311が入力した元画像データは階調処理部312に渡されるとともに、フレームメモリ313に一時記憶される(ステップS102)。
次に、階調処理部312が、画像I/F部311から受け取った元画像データに対して階調処理を行い、階調処理後の画像データKDをレンダリング部314に渡す(ステップS103)。
次に、レンダリング部314が、階調処理部312から受け取った画像データKDに対してレンダリング処理を行い、レンダリング処理後の画像データSDを補正用演算部315に渡す(ステップS104)。
次に、補正用演算部315の検出部321が、レンダリング部314から受け取った画像データSDと同期クロック信号SCKとに基づいて、駆動ノズル総数および連続駆動ノズル数を検出し、検出した駆動ノズル総数および連続駆動ノズル数を補正データ生成部322に渡す(ステップS105)。
次に、補正データ生成部322が、検出部321から受け取った駆動ノズル総数および連続駆動ノズル数に基づき、テーブル記憶部323が記憶する補正テーブルを参照して、記録ヘッド6のノズルごとの補正率を含む補正データを生成し、この補正データを補正部316に渡す(ステップS106)。
次に、補正部316が、フレームメモリ313に一時記憶された元画像データを読み出し(ステップS107)、補正用演算部315から受け取った補正データを用いて、フレームメモリ313から読み出した元画像データを補正する(ステップS108)。補正部316によって補正された元画像データは、階調処理部312に再度渡される。
次に、階調処理部312が、補正部316から受け取った補正後の元画像データに対して階調処理を行い、階調処理後の画像データKD’をレンダリング部314に渡す(ステップS109)。
次に、レンダリング部314が、階調処理部312から受け取った画像データKD’に対してレンダリング処理を行い(ステップS110)、レンダリング処理後の画像データSD’を、FPGA102の記録ヘッド制御部116に転送する(ステップS111)。以上により、図14のフローチャートで示す一連の処理が終了する。
画像処理部310からFPGA102の記録ヘッド制御部116に対して画像データSD’が転送されると、この画像データSD’に応じて、記録ヘッドドライバ210により記録ヘッド6のノズルが駆動され、ノズルからインク滴が吐出されることにより、記録紙Pに画像が形成される。
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置1は、印刷対象となる画像データをもとに駆動ノズル総数および連続駆動ノズル数を検出し、検出した駆動ノズル総数および連続駆動ノズル数に基づいて補正データを生成する。そして、この補正データを用いて印刷対象となる画像データを補正し、補正後の画像データに応じて記録ヘッド6のノズルを駆動することにより、画像を形成する。したがって、本実施形態の画像形成装置1によれば、記録ヘッド6のノズルの相互干渉による影響を精度よく補正して、高品位な画像形成を行うことができる。
特に本実施形態の画像形成装置1では、記録ヘッド6のノズルごとの補正率α1〜α192を含む補正データを生成し、ノズルごとの補正率α1〜α192を用いて元画像データを補正するようにしているので、1ノズル単位で元画像データを高精度に補正することができる。
ここで、元画像データのある画素の画素値nに対して+0.6dotの補正が必要な場合(補正率が+0.6dotの場合)を例に挙げて、元画像データの補正方法の一例を説明する。この補正は、例えばバイキュービック法と呼ばれる補間演算の方法を利用して実施することができる。図15は、バイキュービック法による画像補正を概念的に示す模式図である。
元画像データのある画素の画素値nに対して+0.6dot(図15のd)の補正が必要な場合、補正対象の画素値nと、その近隣にある3点の画素値(n−1,n+1,n+2)を下記(1)に代入することにより、補正後の画素値n’を求めることができる。すなわち、補正対象の画素値nとその近隣にある3点の画素値(n−1,n+1,n+2)とを用いた下記式(1)の補間演算により、元画像データのある画素を+0.6dotずらしたときの画素値n’を求めることができる。
n’=W1×(n−1)+W2×n+W3×(n+1)+W4×(n+2) …(1)
バイキュービック法は、画像を拡大する際の画素値を補間演算する方法として知られる技術である。例えば、画像を主走査方向および副走査方向ともに2倍に拡大する倍密処理を行う場合、W1=W4=−0.125、W2=W3=0.625として上記式(1)による補間演算を行うことで、画素値nの画素から+0.5dotずれた位置の新たなサンプリング点の画素値n’を求めることができる。ここで、上記式(1)の係数W1〜W4の値を変えれば、任意の位置の画素値を求めることができる。つまり、元画像データのある画素に対する補正率α(例えば+0.6dot)に応じて係数W1〜W4を変えることにより、元画像データのある画素を補正率α分だけずらしたときの画素値を求めることができる。
本実施形態は、次に示される捉え方が可能である。すなわち、本実施形態の画像形成装置1は、インク滴を吐出する複数のノズルを有する記録ヘッド6と、入力される画像データに基づいて、同一駆動タイミングで駆動されるノズルの総数である駆動ノズル総数と、同一駆動タイミングで駆動されるノズルが連続している連続駆動領域のノズル数である連続駆動ノズル数とを検出する検出部321と、前記駆動ノズル総数と前記連続駆動ノズル数とに基づいて補正データを生成する補正データ生成部322と、前記補正データを用いて、入力される画像データを補正する補正部316と、前記補正部316により補正された画像データに応じて、前記記録ヘッド6のノズルを駆動する記録ヘッドドライバ210と、を備える。
なお、本発明は、上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で様々な変形や変更を加えて具体化することができる。例えば、上述した実施形態では、メイン制御基板100とは別に画像処理基板300を設け、この画像処理基板300に画像処理部310を実装しているが、画像処理部310における各部の機能を、例えばメイン制御基板100に実装されたCPU101が実行するプログラムにより実現する構成であってもよい。この場合、画像処理部310における各部の機能を実現するためのプログラムは、例えばROM104に予め組み込まれて提供される。CPU101は、RAM103をワークエリアとして利用し、ROM104からこのプログラムを読み出して実行する。これにより、画像処理部310における各部の機能がRAM103上に生成される。
また、画像処理部310における各部の機能を実現するためのプログラムは、例えば、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される構成であってもよい。また、画像処理部310における各部の機能を実現するためのプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
また、画像処理部310における各部の機能を、例えばメイン制御基板100に実装されたFPGA102に設ける構成としてもよい。
また、上述した画像処理部310の機能を、画像形成装置に接続された外部のコンピュータ(情報処理装置)に持たせる構成としてもよい。例えば、画像形成装置にDFE(Digital Front End)と呼ばれる情報処理装置を接続し、このDFEにおいて、画像形成装置に与える画像データの前処理や画像形成装置の動作制御などを行う画像形成システムが知られている。この画像形成システムにおけるDFEに、上述した画像処理部310の機能を持たせるようにしてもよい。
図16は、このような画像形成システムの構成例を示すブロック図である。この図16に示す画像形成システムは、画像形成装置400と、この画像形成装置400に接続されたDFE500とを含む。
画像形成装置400は、エンジン401、操作表示部402、I/F部403およびその他のI/F部404などを備えており、これらの各部がバスにより接続されている。また、DFE500は、CPU501、メモリ部502、画像処理部503、通信I/F部504およびI/F部505などを備えており、これらの各部がバスにより接続されている。メモリ部502は、ROM511、RAM512およびハードディスク(HDD)513などを備えている。
画像形成装置400とDFE500は、I/F部403およびI/F部505により接続されている。画像形成装置400は、DFE500による制御下で、DFE500から送られてくる画像データに基づいてエンジン401を動作させ、記録紙に画像を形成する。エンジン401はインクジェット方式による画像形成を行うものであり、上述した画像形成装置1の記録ヘッド6や記録ヘッドドライバ210に相当する構成を備える。また、操作表示部402は、各種操作キーおよびLCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイを備えており、画像形成装置400の動作に必要な各種操作が操作キーによって行われるとともに、画像形成装置400からユーザに通知する各種情報をディスプレイに表示出力する。その他I/F部404は、拡張ユニットの接続などに使用される。
DFE500は、画像形成装置400の動作制御を行う制御プログラムや必要なデータなどをROM511またはHDD513に格納している。CPU501がROM511またはHDD513内のプログラムに基づいて画像形成装置400の動作を制御することで、画像形成装置400としての基本的な処理が実行されることになる。
通信I/F部504は、ネットワーク等の回線を介してホストPCなどに接続されており、画像形成装置400に画像形成させる画像データを受信する。また、画像処理部503、通信I/F部504が受信した画像データに対して、画像形成装置400のエンジン401で画像形成するのに必要な各種の画像処理を施す。この画像処理部503に、上述した画像形成装置1の画像処理部310の機能を持たせる。また、画像形成装置1の画像処理部310の機能は、CPU501が、ROM511またはHDD513内のプログラムを実行することによって実現される構成としてもよい。
なお、図16に例示した画像形成システムでは、画像形成装置400の動作をDFE500が制御しているが、画像形成装置400における画像形成動作は画像形成装置400が自律的に制御し、DFE500は画像データの前処理のみを行う構成であってもよい。
また、上述した実施形態では、シリアルヘッド方式の記録ヘッド6を備える画像形成装置1について説明したが、本発明は、ラインヘッド方式の記録ヘッドを備える画像形成装置に対しても有効に適用可能である。
図17は、ラインヘッド方式の記録ヘッドを備える画像形成装置600の要部構成例を示す図である。この図17に示す画像形成装置600では、複数の記録ヘッド601を主走査方向に繋ぎ、全体として記録紙Pの全幅をカバーできるように構成している。このため、記録ヘッド601が主走査方向に移動することはない。
記録ヘッド601は、アジャストプレート602に対し高精度に配置固定され、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)のインク色ごとのラインヘッドを構成している。各ラインヘッドは、フラットケーブル603を介して、駆動制御基板604と電気的に接続されている。アジャストプレート602は、記録ヘッド601の吐出面(ノズル面)が搬送される記録紙P側に向くように、記録紙P上に所定の隙間を保って支持されている。
ラインヘッドを構成する各記録ヘッド601は、上述した記録ヘッド6と同様に、圧電素子を内蔵し、共通駆動波形信号や画像データに応じて圧電素子が駆動されることにより、ノズルからインク滴を吐出して記録紙Pに画像を形成する。駆動制御基板604は、上述した記録ヘッドドライバ210と同様のヘッド駆動部が設けられており、共通駆動波形信号や画像データに応じてヘッド駆動部の動作を制御することにより、記録ヘッド601のノズルからインク滴を吐出させる。このヘッド駆動部の動作制御に用いる画像データは、上述した画像形成装置1と同様に、駆動ノズル総数および連続駆動ノズル数に基づいて補正された画像データである。なお、ラインヘッド方式の記録ヘッドを備える画像形成装置600では、シリアル型にデータ並び替えを行う必要がないため、上述したレンダリング部314によるレンダリング処理は不要となる。
このラインヘッド方式の記録ヘッドを備える画像形成装置600においても、上述したシリアルヘッド方式の記録ヘッド6を備える画像形成装置1と同様に、駆動ノズル総数および連続駆動ノズル数に基づいて補正された画像データに応じて記録ヘッド601のノズルを駆動することにより、記録ヘッド601のノズルの相互干渉による影響を精度よく補正して、高品位な画像形成を行うことができる。