JP2015209744A - 杭基礎構造物の免震化改修方法および仮設構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】既存杭2の杭頭部を切削して配置した第一仮受け部材に既存杭2に作用する力を受け替える工程と、第二仮受け部材8を設置して、第一仮受け部材に作用する力を第二仮受け部材8に受け替える工程と、第一仮受け部材を撤去する工程と、第一仮受け部材の撤去箇所に免震装置9を設置する工程と、第二仮受け部材8に作用する力を免震装置9に受け替える工程とを備える杭基礎構造物の免震化改修方法。
【選択図】図6
Description
また、特許文献2に記載の施工方法は、既存杭が支持していた基礎体の位置に仮受け支柱を設置することにより、基礎体の補強が必要ないという利点がある。しかし、この施工方法は基礎体に仮受け支柱を設置した状態で、免震装置を設置することが空間的に可能で、かつ設置した免震装置にその後荷重を受け替えた場合でも強度的に問題ない場合に限られる。
すなわち、既存杭同士の間隔が、免震装置を設置するために必要な空間を形成するために必要な大きさを有していない場合には、採用できなかった。また、仮に免震装置を設置するために必要な大きさの空間が既存杭同士の間にあったとしても、その空間に免震装置を設置して上載荷重を支えると、既存杭とは異なる位置に免震装置を設置することになるため、基礎梁が弱いなど既存基礎体が上載荷重を支える(伝達する)ための強度を有していない場合には採用できなかった。
また、既存杭の位置に免震装置を設置するため、既存杭同士の間隔が免震装置を設置するために十分な大きさを有していない場合であっても、施工が可能であるとともに、既存基礎体の強度に制限されることなく施工することができる。
ここで、既存基礎体は、例えば、既存建物の底部に設けられたスラブや基礎梁やフーチング等の基礎部材である。
本実施形態の杭基礎構造物の免震化改修方法は、掘削工程と、杭頭部切削工程と、第一受け替え工程と、杭頭部撤去工程と、耐圧版形成工程と、補強梁形成工程と、第二受け替え工程と、第一仮受け部材撤去工程と、免震装置設置工程と、第三受け替え工程とを備えている。
なお、作業空間4の高さ(掘削深さ)は限定されるものではない。
なお、砕石4aおよび捨てコンクリート4bの層厚は、適宜設定すればよい。また、砕石4aおよび捨てコンクリート4bは、必要に応じて施工すればよい。
仮受け材設置部2bは、杭頭部2aの外周面から既存杭2を切削することにより形成された断面凹状縦方向の溝である。仮受け材設置部2bは、杭頭部2aの外周面から杭2をワイヤーソー等で縦方向に切断することにより形成された断面半月状としてもよい。
仮受け材設置部2bは、少なくとも一本の第一仮受け部材5が配置できる断面に形成する必要がある。本実施形態では、既存杭2の中心位置に一本の仮受け部材5を形成可能な断面を有し、作業空間4の底面近傍から既存基礎体3の下面近傍までの高さを有する仮受け材設置部2bを形成した。
本実施形態では、杭頭部2aの断面中心部に一本の第一仮受け部材5を配置したが、第一仮受け部材5の設置個所は杭2の断面中心部でなくてもよいし、第一仮受け部材5は仮受け材設置部2bに複数本設置してもよい。
杭頭部2aの残部の撤去方法は限定されるものではなく、例えば、ブレーカー等で破砕してもよいし、コンクリートカッター等で切削してもよい。
なお、耐圧版6の厚さは限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
また、本実施形態では、図8の(a)に示すように、複数の補強梁7を第一仮受け部材5(上部構造の柱の中心位置)を交点とする格子状に形成するが、補強梁7は必ずしも格子状に形成する必要はない。平面的には少なくとも、上部構造の柱の中心位置に免震装置9を設置するための空間を残して、第二仮受け部材8を設置することが可能な長さが必要である。
本実施形態では、第一仮受け部材5を挟んで2つの第二仮受け部材8,8を配設する場合について説明するが、第二仮受け部材8の配置や数は限定されない。
第二仮受け部材8を補強梁7および耐圧版6の間に配設したら、ジャッキを伸長させる。こうすることで、第一仮受け部材5に作用する力(上載荷重等)を第二仮受け部材8に受け替える。
第一仮受け部材5は、支柱部5b,5bを切断することにより撤去すればよい。なお、第一仮受け部材5の撤去は、ジャッキ部5aのみを取り外すことにより行ってもよい。この場合には、残置された支柱部5b,5bの露出部分は後記する上部コンクリート9bまたは下部コンクリート9cに埋設すればよい。
本実施形態の免震装置本体9aは、積層ゴムにより構成されているが、免震装置9の構造は限定されなく、例えばすべり支承を採用してもよい。
なお、上部コンクリート9bは、既存基礎体3の下面に形成してもよい。
第二仮受け部材8から免震装置9への力の受け替えは、第二仮受け部材8のジャッキの収縮することにより行う。
第二仮受け部材8に作用する力を免震装置9に受け替えたら、図7に示すように、第二仮受け部材8を撤去する。
また、免震装置9は、既存杭2の頭部の位置に設置するため、既存杭2同士の間隔が狭く、免震装置9を既存杭2同士の間に設置することができない場合であっても、既存構造物に免震化改修を行うことができる。
また、一つの柱の荷重を一つの杭で支える基礎構造であっても、既存杭に作用する力を安全かつスムーズに受け替えることができる。
斜材10aは、ジャッキ部10dと、ジャッキ部10dの上下に配設された支柱部10e,10eとからなる。
固定部10bは、耐圧版6の上面から上部が突出するように、下端部を耐圧版6に根入れさせておく。
なお、固定部10bおよび連結部10cの構成や、材料は限定されない。
2 既存杭
2a 杭頭部
2b 仮受け材設置部
3 既存基礎体
4 作業空間
5 第一仮受け部材
6 耐圧版
7 補強梁
8 第二仮受け部材
9 免震装置
Claims (3)
- 既存杭と既存基礎体とを備える杭基礎構造物の免震化改修方法であって、
前記既存基礎体の下方を掘削して作業空間を形成し、前記既存杭の杭頭部を露出させる工程と、
前記杭頭部を切削して当該杭頭部に仮受け材設置部を形成する工程と、
前記仮受け材設置部に第一仮受け部材を設置して、前記既存杭に作用する力を前記第一仮受け部材に受け替える工程と、
前記既存杭の杭頭部の残部を撤去する工程と、
前記作業空間の底面に耐圧版を形成する工程と、
前記既存基礎体に沿って補強梁を形成する工程と、
前記既存基礎体と前記耐圧版との間に第二仮受け部材を設置して、前記第一仮受け部材に作用する力を前記第二仮受け部材に受け替える工程と、
前記既存基礎体と前記耐圧版との間において前記第一仮受け部材を撤去する工程と、
前記第一仮受け部材の撤去箇所に免震装置を設置する工程と、
前記第二仮受け部材に作用する力を前記免震装置に受け替える工程と、を備えていることを特徴とする、杭基礎構造物の免震化改修方法。 - 前記既存基礎体の下方および/または側方に、コンクリートを増打ちすることで、前記補強梁を形成することを特徴とする、請求項1に記載の杭基礎構造物の免震化改修方法。
- 既存杭と既存基礎体とを備える杭基礎構造物を免震化改修するための仮設構造であって、
前記既存杭と前記既存基礎体との間に設置される第一仮受け部材と、
前記第一仮受け部材の下部を巻き込んだ状態で形成された耐圧版と、
前記第一仮受け部材の上部を巻き込んだ状態で前記既存基礎体に沿って形成された補強梁と、
前記耐圧版と前記補強梁との間に設置された第二仮受け部材と、を備えることを特徴とする仮設構造。
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