JP2015209525A - 硬化性組成物及びこれを用いてなる目地構造 - Google Patents

硬化性組成物及びこれを用いてなる目地構造 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、短時間で硬化することができ、且つ硬化後に優れたゴム弾性を長期間に亘って維持することができる硬化性組成物を提供する。
【解決手段】本発明の硬化性組成物は、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基を有するポリアルキレンオキサイド系重合体(A)、1分子中に平均して0.5〜1.8個のジメトキシメチルシリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)、及びシラノール縮合触媒(C)として有機錫系化合物を含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、周囲の湿気により硬化して、耐候性に優れた硬化物を与える硬化性組成物及びこれを用いてなる目地構造に関する。
従来から、加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド系重合体を含有する硬化性組成物が知られている(例えば、特許文献1)。加水分解性シリル基は、珪素原子に1〜3個の加水分解性基が結合している基である。雰囲気又は被着体中に含まれている水分により、ポリアルキレンオキサイド系重合体が有している加水分解性シリル基が加水分解及び脱水縮合してシロキサン結合を形成することによって、硬化性組成物が硬化し、これにより接着力に優れた硬化物を与える。
このような硬化性組成物は、例えば、建築構造物の外壁などにおける化粧パネル間の接合部(いわゆる「目地」)に充填され、化粧パネル同士を接合している。このように硬化性組成物を使用することによって、面状構築部材間の接合部から建築構造物内部へ雨水が浸入することを抑制することができる。
建築構造物の外壁では、温度変化に伴って化粧パネルが膨張又は収縮したり、地震や強風による振動や外力によって化粧パネルが移動したりするために、目地幅は僅かであるが変化を生じる。そのため、硬化性組成物には、硬化後に優れたゴム弾性を有し、伸縮可能とすることによって、目地幅の変化に追随できることが必要とされている。
特開平2008−1833号公報
しかしながら、従来の硬化性組成物では、完全に硬化するまでに比較的長い時間を必要とした。そのため、貼り合わせた被着体にズレを生じる場合があった。また、従来の硬化性組成物の硬化物は経時的にゴム弾性が低下して硬くなってしまう。そのため、目地幅の変化が生じた際に目地幅の変化に追随して硬化性組成物の硬化物が伸縮することが困難となる。このような場合、化粧パネルが接着界面で剥離したり、化粧パネルの損傷が生じたり、硬化性組成物の硬化物に亀裂(クラック)が生じたりして、雨水が建築構造物内へ浸入する問題があった。
したがって、本発明は、短時間で硬化することができ、且つ硬化後に優れたゴム弾性を長期間に亘って維持することができる硬化性組成物、及びこれを用いてなる目地構造を提供することを目的とする。
本発明の硬化性組成物は、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基を有するポリアルキレンオキサイド系重合体(A)、1分子中に平均して0.5〜1.8個のジメトキシメチルシリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)、及びシラノール縮合触媒(C)として有機錫系化合物を含有することを特徴とする。
[ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)]
ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)は、加水分解性シリル基として、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基を有している。(メトキシメチル)ジメトキシシリル基によれば、硬化性組成物の貯蔵安定性や熱安定性などを低下させることなく、硬化性組成物の硬化速度を向上させることができる。
ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)は、1分子中に平均して、1〜2個の(メトキシメチル)ジメトキシシリル基を有していることが好ましい。(メトキシメチル)ジメトキシシリル基の平均個数を1個以上とすることにより、硬化性組成物の硬化速度を向上させることができる。また、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基の平均個数を2個以下とすることにより、硬化性組成物の硬化後の優れたゴム弾性を確保することができる。
なお、ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)中における、1分子あたりの(メトキシメチル)ジメトキシシリル基の平均個数は、1H−NMRにより求められるポリアルキレンオキサイド系重合体(A)中の(メトキシメチル)ジメトキシシリル基の濃度、及びGPC法により求められるポリアルキレンオキサイド系重合体(A)の数平均分子量に基づいて算出することができる。
ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)は、主鎖の両末端のうち少なくとも一方に(メトキシメチル)ジメトキシシリル基を有していることが好ましい。
ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)の主鎖は、一般式:-(R-O)n-(式中、Rは炭素数が1〜14のアルキレン基を表し、nは繰り返し単位の数であって正の整数である。)で表される繰り返し単位を含有する重合体を含んでいることが好ましい。ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)の主鎖は一種のみの繰り返し単位からなっていてもよいし、二種以上の繰り返し単位からなっていてもよい。
ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)の主鎖としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体、ポリプロピレンオキサイド−ポリブチレンオキサイド共重合体等が挙げられる。なかでも、ポリプロピレンオキサイドが好ましい。ポリプロピレンオキサイドによれば、高い接着力及びゴム弾性を有している硬化物を形成可能な硬化性組成物を提供することができる。
ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)の数平均分子量は、10,000〜50,000が好ましく、15,000〜30,000がより好ましい。ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)の数平均分子量を10,000以上とすることにより、高い接着力及びゴム弾性を有している硬化物を形成可能な硬化性組成物を提供することができる。また、ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)の数平均分子量を50,000以下とすることにより、硬化性組成物の優れた塗工性を確保することができる。
なお、本発明において、ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)の数平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって、ポリスチレンで換算した値を意味する。GPC法による測定においては、例えば、GPCカラムとして東ソー製Shodex KF800Dを用い、溶媒としてクロロホルムなどを用いることができる。
(メトキシメチル)ジメトキシシリル基を含有しているポリアルキレンオキサイド系重合体(A)は、市販されているものを用いることができる。例えば、主鎖がポリプロピレンオキサイドであり、主鎖の末端に(メトキシメチル)ジメトキシシリル基を有しているポリアルキレンオキサイド系重合体として、カネカ社製 製品名「FCS−2」などが挙げられる。
[(メタ)アクリル系重合体(B)]
本発明の硬化性組成物は、加水分解性シリル基として、ジメトキシメチルシリル基を1分子中に平均して0.5〜1.8個有する(メタ)アクリル系重合体(B)を含んでいる。
(メタ)アクリル系重合体(B)は、1分子中に平均して、0.5〜1.8個、好ましくは1〜1.8個、より好ましくは1〜1.5個のジメトキシメチルシリル基を有している。ジメトキシメチルシリル基の平均個数を0.5個以上とすることによって、高い硬化速度を有する硬化性組成物を提供することができる。また、ジメトキシメチルシリル基の平均個数を1.8個以下とすることによって、硬化後に優れたゴム弾性を長期間に亘って維持することができる硬化性組成物を提供することができる。
なお、(メタ)アクリル系重合体(B)中における、1分子あたりのジメトキシメチルシリル基の平均個数は、1H−NMRにより求められる(メタ)アクリル系重合体(B)中のジメトキシメチルシリル基の濃度、及びGPC法により求められる(メタ)アクリル系重合体(B)の数平均分子量に基づいて算出することができる。
(メタ)アクリル系重合体(B)は、主鎖の両末端のうち少なくとも一方にジメトキシメチルシリル基を有していることが好ましく、主鎖の両末端にジメトキシメチルシリル基を有していることがより好ましい。このような(メタ)アクリル系重合体(B)によれば、硬化後に優れたゴム弾性を長期間に亘って維持することができる硬化性組成物を提供することができる。
(メタ)アクリル系重合体(B)の主鎖としては、(メタ)アクリレート系モノマーをラジカル重合して得られる(メタ)アクリル系重合体が挙げられる。なお、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート又はアクリレートを意味する。
(メタ)アクリル系重合体(B)の主鎖を構成する(メタ)アクリレート系モノマーとして、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−[アクリロイルオキシ]エチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、及び2−[アクリロイルオキシ]エチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸などが挙げられる。これらの(メタ)アクリレート系モノマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
(メタ)アクリル系重合体(B)において、他のモノマーを共重合することも可能である。このようなモノマーとしては、例えば、スチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニルなどのビニルエステル基を持つ化合物、無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルモルフォリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテルなどのビニロキシ基を持つ化合物などを挙げることができる。これらのモノマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
なかでも、(メタ)アクリル系重合体(B)の主鎖としては、n−ブチル(メタ)アクリレートの単独重合体、n−ブチル(メタ)アクリレートとメチル(メタ)アクリレートとの共重合体、n−ブチル(メタ)アクリレートとエチル(メタ)アクリレートとオクタデシル(メタ)アクリレートとの共重合体が好ましい。主鎖が上記重合体からなる(メタ)アクリル系重合体(B)によれば、硬化後に優れたゴム弾性を発揮することが可能な硬化性組成物を提供することができる。
(メタ)アクリル系重合体(B)として、市販されている製品を用いることができる。例えば、主鎖の両末端にジメトキシメチルシリル基を有している(メタ)アクリル系重合体(B)としては、例えば、カネカ社製 商品名「KANEKA XMAP」シリーズの「SA100S」、「SA310S」及び「SA420S」などが挙げられる。
(メタ)アクリル系重合体(B)の重合方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができ、例えば、フリーラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、UVラジカル重合法、リビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法、リビングラジカル重合法などの各種重合法が挙げられる。
(メタ)アクリル系重合体(B)への加水分解性シリル基の導入方法としては、特に限定されず、例えば、分子中に不飽和基を導入した(メタ)アクリル系重合体に、加水分解性シリル基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する方法など、公知の方法を利用することができる。
(メタ)アクリル系重合体(B)の数平均分子量は、12,000〜50,000が好ましく、15,000〜30,000がより好ましい。(メタ)アクリル系重合体(B)の数平均分子量を12,000以上とすることによって、接着性に優れていると共に、硬化後に優れたゴム弾性を長期間に亘って維持することができる硬化性組成物を提供することができる。また、(メタ)アクリル系重合体(B)の数平均分子量を50,000以下とすることにより、硬化組成物の優れた塗工性を確保することができる。
なお、本発明において、(メタ)アクリル系重合体の数平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法を用い、ポリスチレンにより換算した値を意味する。GPC法による測定においては、例えば、GPCカラムとして東ソー製Shodex KF800Dを用い、溶媒としてクロロホルムなどを用いることができる。
硬化性組成物中において、(メタ)アクリル系重合体(B)の含有量は、ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)100重量部に対して、30〜200重量部が好ましく、50〜150重量部がより好ましい。(メタ)アクリル系重合体(B)の含有量を30重量部以上とすることによって、硬化後に優れたゴム弾性を長期間に亘って維持することができる硬化性組成物を提供することができる。また、(メタ)アクリル系重合体(B)の含有量を200重量部以下とすることによって、硬化性組成物の優れた塗工性を確保することができる。
[シラノール縮合触媒(C)]
本発明の硬化性組成物は、シラノール縮合触媒(C)として有機錫系化合物を含んでいる。シラノール縮合触媒(C)とは、シラノール基同士の脱水縮合反応を促進させるための触媒である。なお、シラノール基とは、ケイ素原子に直接結合しているヒドロキシ基(≡Si−OH)を意味する。シラノール基は、加水分解性シリル基が加水分解することにより形成される。
有機錫系化合物としては、ジオクチル錫系化合物、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシカルボニル−ジスタノキサン、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジブチル錫ビス(トリエトキシシリケート)、ビス(ジブチル錫ビストリエトキシシリケート)オキサイド、及びジブチル錫オキシビスエトキシシリケートなどが挙げられる。これらの有機錫系化合物は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
ジオクチル錫系化合物としては、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫モノデカネート、ジオクチル錫ジアセチルアセトン、ジオクチル錫ビスエトキシシリケート、ジオクチル錫オキシビスエトキシシリケート、及びジオクチル錫オキサイドやジオクチル錫ジカルボキシレートとアルコキシシラン化合物との反応物などが挙げられるが、ジオクチル錫オキサイド又はジオクチル錫ジカルボキシレートとアルコキシシラン化合物との反応物、及びジオクチル錫モノデカネートが好ましい。
シラノール縮合触媒(C)として、有機錫系化合物が用いられるが、ジオクチル錫系化合物が好ましく用いられる。有機錫系化合物によれば、硬化後に優れたゴム弾性を長期間に亘って維持することができる硬化性組成物を提供することができる。
硬化性組成物中における有機錫系化合物の含有量は、ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)及び(メタ)アクリル系重合体(B)の合計100重量部に対して、1〜10重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましい。硬化性組成物中における有機錫系化合物の含有量を上記範囲内とすることによって、硬化性組成物の貯蔵安定性や取扱性を低下させることなく、硬化性組成物の硬化速度を向上させることができる。
[アミノ系シランカップリング剤]
本発明の硬化性組成物は、アミノ系シランカップリング剤を含んでいることが好ましい。アミノ系シランカップリング剤とは、一分子中にアルコキシ基が結合した珪素原子と、窒素原子を含有する官能基とを含有している化合物を意味する。アミノ系シランカップリング剤を上述した(メタ)アクリル系重合体(B)と組み合わせて用いることにより、硬化性組成物の接着性をより向上させることができる。
アミノ系シランカップリング剤として、具体的には、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミンが挙げられる。これらのアミノ系シランカップリング剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
なかでも、アミノ系シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−(2−アミノエチル)−3−プロピルトリエトキシシランが好ましく挙げられ、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランがより好ましく挙げられる。これらのアミノ系シランカップリング剤によれば、(メタ)アクリル系重合体(B)との相乗効果が得られ易く、硬化性組成物の接着性をより向上させることができる。
硬化性組成物中におけるアミノ系シランカップリング剤の含有量は、ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)及び(メタ)アクリル系重合体(B)の合計100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましい。硬化性組成物中におけるアミノ系シランカップリング剤の含有量を上記範囲内とすることによって、硬化性組成物の貯蔵安定性や取扱性を低下させることなく、硬化性組成物の硬化速度を向上させることができる。
[可塑剤]
本発明の硬化性組成物は、可塑剤をさらに含んでいることが好ましい。可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル類、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレンオキサイドなどが挙げられる。なかでも、ポリアルキレンオキサイドが好ましい。
可塑剤として用いられるポリアルキレンオキサイドの数平均分子量は、十分な可塑化効果を得るためには、10,000以下が好ましい。また、可塑剤として用いられるポリアルキレンオキサイドの数平均分子量は、硬化性組成物の硬化物から可塑剤がブリードアウトすることを抑制し、長期間に亘って優れたゴム弾性を維持することから、800以上が好ましく、1000〜5000が特に好ましい。
なお、本発明において、可塑剤として用いられるポリアルキレンオキサイドの数平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって、ポリスチレンで換算した値を意味する。GPC法による測定においては、例えば、GPCカラムとして東ソー製Shodex KF800Dを用い、溶媒としてクロロホルムなどを用いることができる。
硬化性組成物中における可塑剤の含有量は、ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)及び(メタ)アクリル系重合体(B)の合計100重量部に対して、100重量部以下が好ましく、70重量部以下がより好ましく、1〜70重量部が特に好ましい。硬化性組成物中における可塑剤の含有量が多過ぎると、可塑剤がブリードを起こす虞れがある。
[充填剤]
本発明の硬化性組成物は、充填剤をさらに含んでいることが好ましい。充填剤によれば、硬化後に優れたゴム弾性を発揮することが可能な硬化性組成物を提供できる。
充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、含水ケイ酸、無水ケイ酸、微粉末シリカ、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、タルク、カーボンブラック、及びガラスバルーンなどを挙げることができる。これらの充填剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なかでも、充填剤としては炭酸カルシウムが好ましく用いられる。
炭酸カルシウムとしては、沈降炭酸カルシウム、及び重質炭酸カルシウムが好ましく挙げられる。沈降炭酸カルシウムとしては、軽質炭酸カルシウム、及び膠質炭酸カルシウムが挙げられる。
炭酸カルシウムとしては、沈降炭酸カルシウム又は重質炭酸カルシウムのうちいずれか一方を用いてもよく、双方を用いてもよい。なかでも、沈降炭酸カルシウム及び重質炭酸カルシウムを用いることが好ましい。沈降炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムとを組み合わせて用いることにより、硬化性組成物にチキソトロピー性を付与することができる。
また、重質炭酸カルシウム及び沈降炭酸カルシウムを用いる場合、硬化性組成物中における沈降炭酸カルシウムの含有量は、ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)及び加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)の合計100重量部に対して10〜300重量部が好ましく、10〜150重量部がより好ましい。
重質炭酸カルシウム及び沈降炭酸カルシウムを用いる場合、硬化性組成物中における重質炭酸カルシウムの含有量は、ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)及び(メタ)アクリル系重合体(B)の合計100重量部に対して、30〜500重量部が好ましく、30〜350重量部がより好ましく、30〜150重量部が特に好ましい。
炭酸カルシウムの平均粒径は、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜2.5μmがより好ましい。このような平均粒子径を有している炭酸カルシウムによれば、接着力、機械的強度及び伸び性に優れている硬化物を形成することが可能な硬化性組成物を提供することができる。
また、炭酸カルシウムは、脂肪酸や脂肪酸エステルなどにより表面処理されているのが好ましい。脂肪酸や脂肪酸エステルなどにより表面処理されている炭酸カルシウムによれば、硬化性組成物にチキソトロピー性を付与できると共に炭酸カルシウムが凝集することを抑制することができる。
[脱水剤]
本発明の硬化性組成物は、脱水剤をさらに含んでいること好ましい。脱水剤によれば、硬化性組成物を保存している際に、空気中などに含まれている水分によって硬化性組成物が硬化することを抑制することができる。
脱水剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及びジフェニルジメトキシシランなどのシラン化合物;並びにオルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、及びオルト酢酸エチル等のエステル化合物などを挙げることができる。これらの脱水剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なかでも、脱水剤としてはビニルトリメトキシシランが好ましい。
硬化性組成物中における脱水剤の含有量は、ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)及び(メタ)アクリル系重合体(B)の合計100重量部に対して、0.5〜20重量部が好ましく、1〜15重量部がより好ましい。脱水剤の含有量を0.5重量部以上とすることにより、脱水剤により得られる効果を十分に発揮させることができる。また、脱水剤の含有量を20重量部以下とすることによって、硬化性組成物の優れた硬化性を確保することができる。
本発明の硬化性組成物は、チキソ性付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、染料、沈降防止剤、及び溶剤など他の添加剤を含んでいてもよい。なかでも、チキソ性付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、及び光安定剤が好ましく挙げられる。
[チキソ性付与剤]
チキソ性付与剤は、硬化性組成物にチキソトロピー性を発現せることができるものであればよい。チキソ性付与剤としては、水添ひまし油、脂肪酸ビスアマイド、ヒュームドシリカなどが好ましく挙げられる。
硬化性組成物中におけるチキソ性付与剤の含有量は、ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)及び(メタ)アクリル系重合体(B)の合計100重量部に対して、0.1〜200重量部が好ましく、1〜150重量部がより好ましい。チキソ性付与剤の含有量を0.1重量部以上とすることによって、硬化性組成物にチキソトロピー性を十分に付与することができる。また、チキソ性付与剤の含有量を200重量部以下とすることによって、硬化性組成物の粘度の上昇を低減することができる。
[紫外線吸収剤]
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられ、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。硬化性組成物中における紫外線吸収剤の含有量は、ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)及び(メタ)アクリル系重合体(B)の合計100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。
[酸化防止剤]
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、モノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、及びポリフェノール系酸化防止剤などが挙げられ、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。硬化性組成物中における酸化防止剤の含有量は、ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)及び(メタ)アクリル系重合体(B)の合計100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、0.3〜10重量部がより好ましい。
[光安定剤]
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤によって、硬化後に優れたゴム弾性を長期間に亘って維持することができる硬化性組成物を提供することができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートの混合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重縮合物などが挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、NOR型ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく挙げられる。NOR型ヒンダードアミン系光安定剤によれば、硬化後に優れたゴム弾性をより長期間に亘って維持することができる硬化性組成物を提供することができる。
NOR型ヒンダードアミン系光安定剤は、ピペリジン環骨格に含まれている窒素原子(N)に酸素原子(O)を介してアルキル基(R)が結合しているNOR構造を有している。NOR構造におけるアルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜18がより好ましく、18が特に好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などの直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基が挙げられる。また、アルキル基を構成している水素原子が、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)又はヒドロキシル基などで置換されていてもよい。
NOR型ヒンダードアミン系光安定剤としては、下記式(I)で示されるヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。
Figure 2015209525
NOR型ヒンダードアミン系光安定剤を用いる場合、NOR型ヒンダードアミン系光安定剤と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤又はトリアジン系紫外線吸収剤とを組み合わせて用いることが好ましい。これにより、硬化後に優れたゴム弾性をより長期間に亘って維持することができる硬化性組成物を提供する
硬化性組成物中におけるヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)及び(メタ)アクリル系重合体(B)の合計100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。
本発明の硬化性組成物は、空気中の湿気や、被着体に含まれている湿気によって硬化することができる。本発明の硬化性組成物は、上述した通り、短時間で硬化することができ、且つ硬化後に優れたゴム弾性を長期間に亘って維持することができる。したがって、このような硬化性組成物は、シーリング材、コーティング材、接着剤、及び塗料など各種用途に使用することができる。なかでも、シーリング材として用いられることが好ましく、目地構造用シーリング材として用いられることがより好ましい。
目地構造は、下地材と、下地材上に所定間隔を存して配設された複数の化粧パネルと、複数の化粧パネル間に形成された目地部と、目地部に充填されている硬化性組成物の硬化物とを含んでいることが好ましい。硬化性組成物の硬化物は、目地部に硬化性組成物を充填し養生させることにより形成することができる。
下地材としては、特に制限されないが、建築構造物の外壁、内壁、及び天井などが挙げられる。建築構造物の外壁、内壁、及び天井などにおいては、温度変化によって化粧パネルが膨張や収縮したり、地震や風などによって化粧パネルが移動したりし、これらによって目地部の幅が変化し易い。このような変化し易い目地部は、「ワーキングジョイント」とも呼ばれている。しかしながら、本発明の硬化性組成物は、硬化後に優れたゴム弾性を長期間に亘って維持することができることから、目地部の幅の変化に対して優れた追随性を長期間に亘って発揮することができる。したがって、本発明の硬化性組成物は、ワーキングジョイントなどの目地部に充填されるシーリング材として好適に用いられ、これにより化粧パネルの損傷や建築構造物内への漏水を長期間に亘って高く低減することができる。
化粧パネルとしては、煉瓦、モルタル板、コンクリート板、窯業系サイディングボード、金属系サイディングボード、ALC板、及び金属板などが挙げられる。
本発明によれば、短時間で硬化することができ、且つ硬化後に優れたゴム弾性を長期間に亘って維持することができる硬化性組成物を提供することができる。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(合成例1:アクリル系重合体(B1))
撹拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた0.5Lセパラブルフラスコに、n−ブチルアクリレート(日本触媒社製)100g、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学社製、商品名「KBM−502」)0.6g、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学社製、商品名「KBM−802」)0.9g及び酢酸エチル100gを投入して、混合し、モノマー混合溶液を調製した。
このモノマー混合溶液を窒素ガスを用いて20分間バブリングすることによって溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ内を窒素ガスで置換し、撹拌しながら環流に達するまで昇温した。
環流した後、重合開始剤として1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.024gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を、モノマー混合溶液に投入した。1時間後、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.036gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を、モノマー混合溶液にさらに投入した。
さらに、重合開始剤の投入から、2、3及び4時間後に、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド0.048g、0.12g及び0.36gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液をそれぞれモノマー混合溶液に投入した。
一回目の重合開始剤投入から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。これにより、ジメトキシメチルシリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B1)を含む酢酸エチル溶液を得た。次に、エバポレーターで酢酸エチルを除去して、(メタ)アクリル系重合体(B1)を得た。得られた(メタ)アクリル系重合体(B1)は、一分子中に平均してジメトキシメチルシリル基を1.47個有しており、数平均分子量が20,000であった。
(合成例2:アクリル系重合体(B3))
撹拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた0.5Lセパラブルフラスコに、n−ブチルアクリレート(日本触媒社製)100g、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学社製、商品名「KBM−502」)0.9g、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学社製、商品名「KBM−802」)0.9g及び酢酸エチル100gを投入して、混合し、モノマー混合溶液を調製した。
このモノマー混合溶液を窒素ガスを用いて20分間バブリングすることによって溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ内を窒素ガスで置換し、撹拌しながら環流に達するまで昇温した。
環流した後、重合開始剤として1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.024gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を、モノマー混合溶液に投入した。1時間後、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.036gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を、モノマー混合溶液にさらに投入した。
さらに、重合開始剤の投入から、2、3及び4時間後に、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド0.048g,0.12g及び0.36gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液をそれぞれモノマー混合溶液に投入した。
一回目の重合開始剤投入から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。これにより、ジメトキシメチルシリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B3)を含む酢酸エチル溶液を得た。次に、エバポレーターで酢酸エチルを除去して、(メタ)アクリル系重合体(B3)を得た。得られた(メタ)アクリル系重合体(B3)は、一分子中に平均してジメトキシメチルシリル基を1.85個有しており、数平均分子量が20,000であった。
(合成例3:アクリル系重合体(B4))
撹拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた0.5Lセパラブルフラスコに、n−ブチルアクリレート(日本触媒社製)100g、3−メタクリロキシプロピルメチルトリメトキシシラン(信越化学社製、商品名「KBM−503」)0.6g、3−メルカプトプロピルメチルトリメトキシシラン(信越化学社製、商品名「KBM−803」)0.9g及び酢酸エチル100gを投入して混合し、モノマー混合溶液を調製した。
このモノマー混合溶液を窒素ガスを用いて20分間バブリングすることによって溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ内を窒素ガスで置換し、撹拌しながら環流に達するまで昇温した。
環流した後、重合開始剤として1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.024gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を、モノマー混合溶液に投入した。1時間後、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.036gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を、モノマー混合溶液にさらに投入した。
さらに、重合開始剤の投入から、2、3及び4時間後に、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド0.048g,0.12g及び0.36gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液をそれぞれモノマー混合溶液に投入した。
一回目の重合開始剤投入から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。これによりトリメトキシシリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B4)を含む酢酸エチル溶液を得た。次に、エバポレーターで酢酸エチルを除去して、(メタ)アクリル系重合体(B4)を得た。得られた(メタ)アクリル系重合体(B4)は、一分子中に平均してトリメトキシシリル基を1.45個有しており、数平均分子量が20,000であった。
下記する実施例及び比較例において硬化性組成物の合成に用いた各成分の詳細について、記載する。
[ポリアルキレンオキサイド系重合体(A)]
・(メトキシメチル)ジメトキシシリル基を含有し且つ主鎖がポリプロピレンオキサイドであるポリアルキレンオキサイド系重合体(A1)[1分子あたりの(メトキシメチル)ジメトキシシリル基の平均個数:1.7個、数平均分子量:21,000、カネカ社製 商品名「FCS−2」]
・ジメトキシメチルシリル基を含有し且つ主鎖骨格がポリプロピレンオキサイドであるポリアルキレンオキサイド系重合体(A2)[1分子あたりのジメトキシメチルシリル基の平均個数:1.3個、数平均分子量:20,000、カネカ社製 商品名「S303」]
[(メタ)アクリル系重合体(B)]
・上記合成例1で得られたジメトキシメチルシリル基を有し且つ主鎖がn−ブチルアクリレートの単独重合体である(メタ)アクリル系重合体(B1)[1分子あたりのジメトキシメチルシリル基の平均個数:1.47個、数平均分子量:20,000]
・ジメトキシメチルシリル基を有し且つ主鎖がn−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、及びオクタデシルアクリレートの共重合体である(メタ)アクリル系重合体(B2)[1分子あたりのジメトキシメチルシリル基の平均個数:1.7個、数平均分子量:28,000、カネカ社製 商品名「SA310S」]
・上記合成例2で得られたジメトキシメチルシリル基を有し且つ主鎖がn−ブチルアクリレートの単独重合体である(メタ)アクリル系重合体(B3)[1分子あたりのジメトキシメチルシリル基の平均個数:1.85個、数平均分子量:20,000]
・上記合成例3で得られたトリメトキシシリル基を有し且つ主鎖がn−ブチルアクリレートの単独重合体である(メタ)アクリル系重合体(B4)[1分子あたりのトリメトキシシリル基の平均個数:1.45個、数平均分子量:20,000)]
[シラノール縮合触媒(C)]
・シラノール縮合触媒(C1)[1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシカルボニル−ジスタノキサン、日東化成社製 商品名「ネオスタンU−130」]
・シラノール縮合触媒(C2)[ジオクチル錫モノデカネート、日東化成社製 商品名「ネオスタンU830」)
・シラノール縮合触媒(C3)[1,8−ジアザビシクロウンデセン−7(DBU)、サンアプロ社製 商品名「DBU」)
・アミノ系シランカップリング剤[N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製 商品名「KBM−603」]
・可塑剤[ポリプロピレングリコール、数平均分子量3000、旭硝子社製 商品名「エクセノール3020」]
・充填材(1)[脂肪酸によって表面処理された膠質炭酸カルシウム、白石工業社製 商品名「白艶華CC−R」]
・充填材(2)[重質炭酸カルシウム、日東粉化社製 商品名「NCC2310」]
・脱水剤(ビニルトリメトキシシラン、信越化学工業社製 商品名「KBM−1003」)
・紫外線吸収剤[ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、BASFジャパン社製 商品名「チヌビン326」]
・酸化防止剤[ヒンダードフェノール系酸化防止剤、BASFジャパン社製 商品名「イルガノックス1010」]
・光安定剤[ヒンダードアミン系光安定剤、BASFジャパン社製 商品名「チヌビン123」]
(実施例1〜3及び比較例1〜4)
それぞれ上述した、ポリアルキレンオキサイド系重合体(A1)〜(A2)、(メタ)アクリル系重合体(B1)〜(B4)、シラノール縮合触媒(C1)〜(C3)、アミノ系シランカップリング剤、可塑剤、充填材(1)〜(2)、脱水剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、及び光安定剤を、それぞれ表1に示す配合量で、密閉した攪拌機中で減圧しながら均一になるまで混合することにより硬化性組成物を得た。
(評価)
比較例及び実施例で作製した硬化性組成物について、下記要領に従って、硬化性及び引っ張り物性を評価した。結果を表1に示す。
(硬化性)
23℃、50%RH雰囲気下で、金属板上に硬化性組成物を塗工厚み2mmで塗布し、塗布してから5分毎に塗布した硬化性組成物の表面を金属製のスパチュラで触れ、スパチュラに塗布した硬化性組成物が付着しなくなるまでの時間を硬化時間[時間]として測定した。
(引張物性)
硬化性組成物を用いて、JIS A1439 4.21に準拠して、H型試験体を作製した。具体的には、アルマイト処理を施したアルミニウム板(縦50mm×横50mm×厚み3mm)2枚を用い、これらのアルミニウム板の間にスペーサーを挟むことによってアルミニウム板間の中央部に直方体状の空間(縦12mm×横50mm×高さ12mm)を形成し、この空間に硬化性組成物を空気が入らないように充填し、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で14日間放置した後、さらに温度30℃の雰囲気下で14日間放置することにより、硬化性組成物を養生させて硬化させることにより、2枚のアルミニウム板が硬化性組成物の硬化物によって接着一体化されてなるH型試験体を作製した。同様の手順にて、H型試験体を2個作製した。
そして、作製直後の一方のH型試験体について、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で、引張速度50mm/分での引張試験をJIS A1439に準拠して行い、50%モジュラス[N/cm2]及び最大荷重時伸び[%]を測定した。得られた結果を、表1における「引張物性(初期)」の欄にそれぞれ記載した。
次に、他方のH型試験体を、さらに温度90℃の雰囲気下で70日間放置した。この放置後のH型試験体について、上記と同様にして、50%モジュラス[N/cm2]及び最大荷重時伸び[%]を測定した。得られた結果を、表1における「引張物性(90℃、70日後)」の欄にそれぞれ記載した。
Figure 2015209525

Claims (5)

  1. (メトキシメチル)ジメトキシシリル基を有するポリアルキレンオキサイド系重合体(A)、1分子中に平均して0.5〜1.8個のジメトキシメチルシリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)、及びシラノール縮合触媒(C)として有機錫系化合物を含有することを特徴とする硬化性組成物。
  2. (メタ)アクリル系重合体(B)が、主鎖の両末端のうち少なくとも一方にジメトキシメチルシリル基を有することを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. (メタ)アクリル系重合体(B)の主鎖が、n−ブチル(メタ)アクリレートの単独重合体、n−ブチル(メタ)アクリレートとメチル(メタ)アクリレートとの共重合体、又はn−ブチル(メタ)アクリレートとエチル(メタ)アクリレートとオクタデシル(メタ)アクリレートとの共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 有機錫系化合物が、ジオクチル錫系化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. 下地材と、上記下地材上に所定間隔を存して配設された複数の化粧パネルと、複数の上記化粧パネル間に形成された目地部と、上記目地部に充填されている硬化性組成物の硬化物とを含み、上記硬化性組成物が請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物であることを特徴とする目地構造。
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