JP2019014885A - 硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、優れた難燃性及びゴム弾性を長期間にわたって維持する硬化物を生成することができる硬化性組成物を提供する。【解決手段】 本発明の硬化性組成物は、数平均分子量(Mn)が20000〜50000で且つ分子量分布(Mw/Mn)が1.3以下である加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)と、ポリリン酸アンモニウム(B)及び/又はガラスフリット(E)と、アミノシラン化合物(C)と、シリル化触媒(D)とを含むことを特徴とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、雰囲気中の湿気により硬化して、優れた難燃性及びゴム弾性を長期間にわたって維持する硬化物を与える硬化性組成物に関する。
従来から、架橋可能な加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体を含有する硬化性組成物が知られている(例えば、特許文献1)。硬化性組成物は、雰囲気中に含まれる湿気により架橋可能な加水分解性シリル基が加水分解した後に脱水縮合することによって、接着性に優れた硬化物を生じる。
このような硬化性組成物は、例えば、建築構造物の外壁などにおいて、モルタル板、コンクリート板、ALC(Autoclaved Light-weight Concrete)板、金属板などの外壁部材間の接合部(いわゆる「目地」)に充填することによって、外壁部材同士を接合するために用いられている。このように硬化性組成物を使用することによって、外壁部材間の接合部から建築構造物内部へ雨水が浸入することを抑制している。
建築構造物の外壁では、温度変化に伴って外壁部材が膨張又は収縮したり、地震や強風による振動や外力によって外壁部材が移動したりするために、目地幅は僅かであるが変化を生じる。そのため、硬化性組成物には、硬化後に優れたゴム弾性を有し、伸縮可能とすることによって、目地幅の変化に追随できることが必要とされている。
また、上記目地構造において、硬化性組成物の硬化物は有機物であるため、燃焼に対して弱く、火災時に硬化物が目地部から脱落し、目地部から炎が廻り込むことがあり、目地部における難燃性の向上が所望されている。
そこで、特許文献2には、アルコキシシリル基含有ポリアルキレンオキサイド(A)、平均粒子径0.1〜200μmである金属水酸化物粉体(B)、平均粒子径0.1〜10μmである重質炭酸カルシウム(C)、アマイドワックス(D)を必須成分として含有する難燃性湿気硬化型接着剤組成物が提案されている。
更に、特許文献3には、メラミン被覆ポリリン酸アンモニウム及び/または不溶性ポリリン酸アンモニウムを含有した耐火性シーリング材が提案されている。
特開平2008−1833号公報 特開2010−285462号公報 特開平8−253761号公報
しかしながら、特許文献2の難燃性湿気硬化型接着剤組成物は、金属水酸化物粉体を難燃剤として添加しているために、ゴム弾性が低下して硬くなり、目地幅の変化が生じた際に目地幅の変化に追随して伸縮することが困難となり、接着界面での剥離や外壁部材の損傷が生じたり、硬化性組成物の硬化物に亀裂(クラック)が生じたりして、雨水が建築構造物内へ浸入し、漏水を引き起こすといった問題がある。
また、難燃剤としてポリリン酸アンモニウムを用いた場合、ポリリン酸アンモニウムは耐水性が低く、ポリリン酸アンモニウムが経時的に湿気を吸収し、ポリリン酸アンモニウムが所望の難燃性を発揮せず、硬化性組成物の硬化物に十分な難燃性を付与することができないという問題点を有する。
本発明は、優れた難燃性及びゴム弾性を長期間にわたって維持する硬化物を生成することができる硬化性組成物を提供する。
本発明の硬化性組成物は、
数平均分子量(Mn)が20000〜50000で且つ分子量分布(Mw/Mn)が1.3以下である加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)と、
ポリリン酸アンモニウム(B)及び/又はガラスフリット(E)と、
アミノシラン化合物(C)と、
シリル化触媒(D)とを含むことを特徴とする
[ポリアルキレンオキサイド(A)]
硬化性組成物に含まれているポリアルキレンオキサイド(A)は、加水分解性シリル基を有している。加水分解性シリル基とは、珪素原子に1〜3個の加水分解性基が結合してなる基である。
加水分解性シリル基の加水分解性基としては、特に限定されず、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。
なかでも、加水分解性シリル基としては、加水分解反応が穏やかであることから、アルコキシシリル基が好ましい。アルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、及びトリフェノキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;メチルジメトキシシリル基、及びメチルジエトキシシリル基などのジアルコキシシリル基;並びに、ジメチルメトキシシリル基、及びジメチルエトキシシリル基などのモノアルコキシシリル基が挙げられる。なかでも、ジアルコキシシリル基がより好ましく、メチルジメトキシシリル基が特に好ましい。
ポリアルキレンオキサイド(A)は、1分子中に平均して、1〜2個の加水分解性シリル基を有していることが好ましい。ポリアルキレンオキサイド(A)における加水分解性シリル基の数が1個以上であると、硬化性組成物の硬化性が向上する。また、ポリアルキレンオキサイド(A)における加水分解性シリル基の数が2個以下であると、硬化性組成物の硬化物の機械的強度又は伸び性が向上する。また、ポリアルキレンオキサイド(A)は、その分子鎖の両末端のうち少なくとも一方に加水分解性シリル基を有していることが好ましい。
なお、ポリアルキレンオキサイド(A)中における、1分子当たりの加水分解性シリル基の平均個数は、1H−NMRにより求められるポリアルキレンオキサイド(A)中の加水分解性シリル基の濃度、及びGPC法により求められるポリアルキレンオキサイド(A)の数平均分子量に基づいて算出することができる。
ポリアルキレンオキサイド(A)としては、主鎖が、一般式:−(R−O)n−(式中、Rは炭素数が1〜14のアルキレン基を表し、nは、繰り返し単位の数であって正の整数である。)で表される繰り返し単位を含有する重合体が好ましく挙げられる。ポリアルキレンオキサイドの主鎖骨格は一種のみの繰り返し単位からなっていてもよいし、二種以上の繰り返し単位からなっていてもよい。
ポリアルキレンオキサイド(A)の主鎖骨格としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体、及びポリプロピレンオキサイド−ポリブチレンオキサイド共重合体などが挙げられる。なかでも、ポリプロピレンオキサイドが好ましい。ポリプロピレンオキサイドによれば、硬化後に優れたゴム弾性及び接着性に優れる硬化性組成物を提供することができる。
ポリアルキレンオキサイド(A)の数平均分子量(Mn)は、20000〜50000であり、20000〜40000が好ましい。ポリアルキレンオキサイド(A)の数平均分子量が20000以上であると、硬化性組成物の硬化物の機械的強度又は伸び性が向上する。ポリアルキレンオキサイド(A)の数平均分子量が50000以下であると、硬化性組成物の塗工性が向上する。
ポリアルキレンオキサイド(A)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、1.3以下であり、1.2以下が好ましい。ポリアルキレンオキサイド(A)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、1.05以上が好ましく、1.1以上がより好ましい。分子量分布が1.3以下であるポリアルキレンオキサイドによれば、硬化性組成物の粘度上昇を抑制し、硬化性組成物の塗工性を向上させることができる。分子量分布が1.05以上であるポリアルキレンオキサイドによれば、硬化後に優れた接着性を有する硬化性組成物を得ることができる。
なお、本発明において、ポリアルキレンオキサイド(A)の数平均分子量及び重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値を意味する。GPC法による測定においては、例えば、GPCカラムとして東ソー製Shodex KF800Dを用い、溶媒としてクロロホルムなどを用いることができる。
加水分解性シリル基を含有しているポリアルキレンオキサイド(A)は、市販されているものを用いることができる。例えば、主鎖骨格がポリプロピレンオキサイドであり、主鎖骨格の末端にメチルジメトキシシリル基を有しているポリアルキレンオキサイドとしては、旭硝子社製 製品名「エクセスター S4530」などが挙げられる。
[ポリリン酸アンモニウム(B)及び/又はガラスフリット(E)]
硬化性組成物は、ポリリン酸アンモニウム及び/又はガラスフリット(ガラス粉末)(E)を含む。即ち、硬化性組成物は、ポリリン酸アンモニウム及びガラスフリット(E)の何れか一方又は双方を含む。硬化性組成物は、ガラスフリット(E)を含有していることが好ましい。
ポリリン酸アンモニウムは、メラミン樹脂でマイクロカプセル化したタイプや、シラン処理したものを用いてもよい。
ポリリン酸アンモニウムは、雰囲気中の湿気を吸収し易いく、経時的に初期の難燃性を維持しにくいという問題点を有している。
上記硬化性組成物においては、上記ポリアルキレンオキサイド(A)とポリリン酸アンモニウム(B)とを組合せて用いると、硬化性組成物の硬化物中に含まれているポリリン酸アンモニウムは、空気中の湿気を吸収し難くなる。従って、硬化性組成物を建築構造物の外壁における目地に充填してシーリング剤として用いた場合などのように、湿気が多い環境下に晒されたとしても、ポリリン酸アンモニウムの吸湿を概ね抑制し、ポリリン酸アンモニウムの優れた難燃性を良好に維持し、硬化性組成物の硬化物は優れた難燃性を有する。
硬化性組成物中において、ポリリン酸アンモニウム(B)の含有量は、ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して5〜100質量部が好ましく、10〜70質量部がより好ましく、15〜60質量部が更に好ましく、20〜45質量部が特に好ましく、23〜35質量部が最も好ましい。ポリリン酸アンモニウム(B)の含有量が5質量部以上であると、硬化性組成物の硬化物は優れた難燃性を有する。ポリリン酸アンモニウム(B)の含有量が70質量部以下であると、硬化性組成物の硬化物は優れた伸び性を有する。
硬化性組成物は、ガラスフリット(E)を含有していると、硬化性組成物の硬化物は優れた難燃性を有する。
ガラスフリット(E)を構成しているガラスとしては、たとえば、リン酸系ガラス、ホウ酸系ガラス、酸化ビスマス系ガラス、珪酸系ガラス、酸化ナトリウム系ガラスなどが挙げられ、リン酸系ガラス、ホウ酸系ガラスが好ましく、リン酸系ガラスがより好ましい。これらのガラスフリットは、B23、P25、ZnO、SiO2、Bi23、Al23、BaO、CaO、MgO、MnO2、ZrO2、TiO2、CeO2、SrO、V25、SnO2、Li2O、Na2O、K2O、CuO、Fe23などを所定の成分割合で調整して得ることができる。
ガラスフリット(E)を構成しているガラスの軟化点は350〜650℃が好ましく、360〜560℃がより好ましく、370〜540℃が特に好ましく、380〜520℃が最も好ましい。なお、ガラスフリット(E)を構成しているガラスの軟化点は、ガラスの粘度が107.6dPa・s(logη=7.6)となる温度である。
硬化性組成物中におけるガラスフリット(E)の含有量は、ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して100質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、10〜40質量部が特に好ましい。ガラスフリット(E)の含有量が上記範囲内であると、硬化性組成物の硬化物は、長期間に亘って優れた難燃性及びゴム弾性を有する。硬化性組成物の硬化物は、加熱後においても優れたゴム弾性を有する。
硬化性組成物中にポリリン酸アンモニウム(B)及びガラスフリット(E)が含有されている場合、ポリリン酸アンモニウム(B)の含有量とガラスフリット(E)の含有量との比[ポリリン酸アンモニウム(B)の含有量/ガラスフリット(E)の含有量]は、0.3〜3が好ましく、0.5〜2がより好ましく、0.7〜1.5がより好ましく、0.8〜1.3が特に好ましい。ポリリン酸アンモニウム(B)の含有量とガラスフリット(E)の含有量との比が0.3以上であると、硬化性組成物の硬化物は、優れたゴム弾性を有している。ポリリン酸アンモニウム(B)の含有量とガラスフリット(E)の含有量との比が3以下であると、硬化性組成物の硬化物は耐久性に優れ、優れたゴム弾性を長期間に亘って維持することができる。
[アミノシラン化合物(C)]
硬化性組成物は、アミノシラン化合物(C)を含む。アミノシラン化合物(C)は、具体的には、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、アルキルアルコキシシランとアミノアルコキシシランとの加水分解縮合物であるアルコキシシランオリゴマーなどが挙げられる。なお、アミノシラン化合物(C)は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
アミノシラン化合物(C)中における窒素原子の含有量は、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、4質量%以上が特に好ましい。アミノシラン化合物(C)中における窒素原子の含有量は、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下が特に好ましい。アミノシラン化合物(C)中における窒素原子の含有量が1質量%以上であると、硬化性組成物の硬化物は長期間に亘って優れたゴム弾性を維持する。なお、アミノシラン化合物(C)中における窒素原子の含有量は、アミノアルコキシシランなどの窒素原子を分子中に含むアルコキシシランにより調整することができる。
アミノシラン化合物(C)中における窒素原子の含有量は、CHN元素分析装置によって測定された値をいう。例えば、下記の測定条件で求めることができる。
・装置:CHN元素分析装置(Elementar製 vario EL III)
・試料の量:10mg
・燃焼管温度:950℃
・還元管温度:500℃
・キャリアーガス:200mL/min
・検出器:TCD
・標準試料:Acetanilide(元素分析用標準試料)C=71.09%, H=6.710%, N=10.36%)
・定量法:標準試料による多点検量線方式
アミノシラン化合物(C)の20℃における粘度は、5〜40mPa・sが好ましく、10〜30mPa・sがより好ましく、15〜25mPa・sが特に好ましい。アミノシラン化合物(C)の粘度が上記範囲内にあると、硬化後に優れた接着性を有する硬化性組成物を得ることができる。なお、アミノシラン化合物(C)の20℃における粘度は、JIS Z8803に準拠して測定された値をいう。
アミノシラン化合物(C)としては、アルキルアルコキシシランとアミノアルコキシシランとの加水分解縮合物であるアルコキシシランオリゴマーが好ましい。即ち、アミノシラン化合物(C)としては、アルキルアルコキシシランとアミノアルコキシシランとを加水分解させた後に縮合させてなるアルコキシシランオリゴマーが好ましい。
アルキルアルコキシシランとは、少なくとも1個のアルキル基と、少なくとも2個のアルコキシ基とがケイ素原子に直接結合している化合物を意味する。アルキルアルコキシシランは、1個のアルキル基と、3個のアルコキシ基とがケイ素原子に直接結合しているモノアルキルトリアルコキシシランが好ましい。アルキルアルコキシシランとして、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、及びヘキシルトリメトキシシランなどが挙げられ、エチルトリエトキシシランが好ましい。
アミノアルコキシシランとは、1分子中に、アミノ基含有官能基を少なくとも1個有し、且つ少なくとも2個のアルコキシ基がケイ素原子に直接結合している化合物を意味する。アミノ基含有官能基は、ケイ素原子に直接結合していることが好ましい。アミノアルコキシシランは、一分子中に、アミノ基含有官能基を1個有し、且つ3個のアルコキシ基がケイ素原子に直接結合している化合物が好ましい。
アミノ基含有官能基としては、硬化後に優れた接着性を有する硬化性組成物を得ることができるので、アミノプロピル官能基が好ましい。アミノプロピル官能基としては、−(CH23−NH2、−(CH23−NHR1、−(CH23−NH(CH22−NH2(3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピル基)、及び、−(CH23−NH(CH22−NH(CH22−NH2(3−[[2−(2−アミノエチルアミノ)エチル]アミノ]プロピル基)からなる群から選ばれた少なくとも一種のアミノプロピル官能基が好ましい。アミノプロピル官能基としては、無機物に対する接着性に優れた硬化性組成物を得ることができるので、−(CH23−NH(CH22−NH2がより好ましい。
−(CH23−NHR1において、R1は、炭素数が1〜18個のアルキル基、炭素数が3〜18個の一価の飽和脂環式炭化水素基、又は、炭素数が6〜12個のアリール基である。
炭素数が1〜18のアルキル基としては、直鎖状のアルキル基及び分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基などが挙げられる。直鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基及びn−ブチル基が好ましい。分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
炭素数が3〜18個の一価の飽和脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基,シクロヘプチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられ、シクロヘキシル基が好ましい。
炭素数が6〜12個のアリール基としては、例えば、フェニル基などが挙げられる。
アミノアルコキシシランとしては、具体的には、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチル−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチル−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−n−ブチル−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−n−ブチル−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリエトキシシラン、[3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル]トリメトキシシラン、[3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル]トリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−メチル−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−メチル−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−n−ブチル−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−n−ブチル−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジエトキシシラン、[3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル]メチルジメトキシシラン、[3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル]メチルジエトキシシラン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、及びN,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。アミノアルコキシシランとしては、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリエトキシシランが好ましく、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリエトキシシランがより好ましい。
アルコキシシランオリゴマー(C)は、モノアルキルトリアルコキシシランと、1個のアミノプロピル官能基及び3個のアルコキシ基がケイ素原子に直接結合しているアミノアルコキシシランとの加水分解縮合物が好ましい。
アルコキシシランオリゴマー(C)は、モノアルキルトリアルコキシシランと、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリアルコキシシランとの加水分解縮合物が好ましい。
アルコキシシランオリゴマー(C)は、モノアルキルトリエトキシシランと、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリアルコキシシランとの加水分解縮合物が好ましい。
アルコキシシランオリゴマー(C)は、モノアルキルトリアルコキシシランと、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリエトキシシランとの加水分解縮合物が特に好ましい。
アルコキシシランオリゴマー(C)は、エチルトリエトキシシランと、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリエトキシシランとの加水分解縮合物が特に好ましい。
アルコキシシランオリゴマー(C)は、アルキルアルコキシシランが有するアルコキシ基と、アミノアルコキシシランが有するアルコキシ基とを加水分解させてシラノール基を形成させた後、これらのシラノール基同士を縮合させることにより得られる。なお、シラノール基とは、ケイ素原子に直接結合しているヒドロキシ基(≡Si−OH)を意味する。
アルコキシシランオリゴマー(C)は、アミノプロピル官能基を有していることが好ましい。アルコキシシランオリゴマー(C)は、−(CH23−NH2、−(CH23−NHR1、−(CH23−NH(CH22−NH2(3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピル基)、及び、−(CH23−NH(CH22−NH(CH22−NH2(3−[[2−(2−アミノエチルアミノ)エチル]アミノ]プロピル基)からなる群から選ばれた少なくとも一種のアミノプロピル官能基を有していることがより好ましい。アルコキシシランオリゴマー(C)は、−(CH23−NH(CH22−NH2を有していることが特に好ましい。なお、R1は、アミノアルコキシシランにおいて説明したR1と同様であるから説明を省略する。
また、アルコキシシランオリゴマー(C)は、市販されているものを用いることができる。例えば、エボニックデクサ社製 製品名「ダイナシラン1146」などが挙げられる。
[シリル化触媒(D)]
硬化性組成物は、シリル化触媒(D)を含有している。シリル化触媒(D)とは、ポリアルキレンオキサイド(A)が含有する加水分解性シリル基、アミノシラン化合物(C)が含有するアルコキシシリル基、及び、後述するアクリル系重合体が含有する加水分解性シリル基などが加水分解することにより形成されたシラノール基同士の脱水縮合反応を促進させるための触媒である。
シリル化触媒(D)としては、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシカルボニル−ジスタノキサン、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫モノデカネート、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(トリエトキシシリケート)、ビス(ジブチル錫ビストリエトキシシリケート)オキサイド、及びジブチル錫オキシビスエトキシシリケートなどの有機錫系化合物;テトラ−n−ブトキシチタネート、及びテトライソプロポキシチタネートなどの有機チタン系化合物などが挙げられる。これらのシリル化触媒(D)は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
硬化性組成物中におけるシリル化触媒(D)の含有量は、ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、1〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。硬化性組成物中におけるシリル化触媒の含有量が1質量部以上であると、硬化性組成物の硬化速度を速くして、硬化性組成物の硬化に要する時間の短縮化を図ることができる。また、硬化性組成物中におけるシリル化触媒の含有量が10質量部以下であると、硬化性組成物が適度な硬化速度を有し、硬化性組成物の貯蔵安定性及び取扱性を向上させることができる。
[可塑剤(F)]
硬化性組成物は、可塑剤(F)を更に含んでいてもよい。可塑剤(F)として、分子量300〜10000の化合物が用いられることが好ましい。具体的には、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル類、ポリプロピレンオキサイドなどのポリアルキレンオキサイド類、及びアクリル系重合体などが挙げられ、アクリル系重合体が好ましい。アクリル系重合体は、加水分解性シリル基を含有していないアクリル系重合体を少なくとも含む。硬化性組成物の硬化物の経時でのゴム弾性低下を防ぐため、アクリル重合体は、加水分解性シリル基を含んでいてもよく、1分子中に平均して、加水分解性シリル基を0.1〜0.5個含んでいることが好ましい。また、アクリル系重合体の重量平均分子量は、500〜10000が好ましく、1000〜5000がより好ましい。アクリル系重合体の重量平均分子量が500以上であると、アクリル系重合体のブリードアウトを抑制することができる。また、アクリル系重合体の重量平均分子量が10000以下であると。硬化性組成物を十分に可塑化して、硬化性組成物の硬化物が優れたゴム弾性を有する。
硬化性組成物において、可塑剤(F)の含有量とポリリン酸アンモニウム(B)の含有量との比[可塑剤(F)の含有量/ポリリン酸アンモニウム(B)の含有量]が2〜4であることが好ましい。可塑剤(F)の含有量とポリリン酸アンモニウム(B)の含有量との比が2以上であると、硬化性組成物の硬化物は優れた伸び性を有する。可塑剤(F)の含有量とポリリン酸アンモニウム(B)の含有量との比が4以下であると、硬化性組成物の硬化物は優れた耐熱性を有し、優れた難燃性を発現する。
硬化性組成物中における可塑剤(F)の含有量は、ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して100質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましく、1〜70質量部が特に好ましい。硬化性組成物中における可塑剤(F)の含有量が上記範囲内であると、硬化性組成物の硬化物は優れた伸び性を有する。
[充填剤]
硬化性組成物は、充填剤を更に含んでいることが好ましい。充填剤によれば、機械的強度に優れている硬化物を得ることが可能な硬化性組成物を提供することができる。
充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、含水ケイ酸、無水ケイ酸、微粉末シリカ、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、タルク、カーボンブラック、及びガラスバルーンなどを挙げることができる。これらの充填剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なかでも、炭酸カルシウムが好ましく用いられる。
炭酸カルシウムの平均粒子径は、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜2.5μmがより好ましい。このような平均粒子径を有している炭酸カルシウムによれば、機械的強度及びゴム弾性に優れている硬化物を得ることができ、且つ優れた接着性を有している硬化性組成物を提供することができる。
また、炭酸カルシウムは、脂肪酸や脂肪酸エステルなどにより表面処理されているのが好ましい。脂肪酸や脂肪酸エステルなどにより表面処理されている炭酸カルシウムによれば、硬化性組成物にチキソトロピー性を付与できると共に炭酸カルシムが凝集することを抑制することができる。
硬化性組成物中における充填剤の含有量は、ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して1〜700質量部が好ましく、10〜200質量部がより好ましい。硬化性組成物中における充填剤の含有量が1質量部以上であると、充填剤の添加による効果が十分に得られる。また、硬化性組成物中における充填剤の含有量が700質量部以下であると、硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物が優れたゴム弾性を有する。
[脱水剤]
硬化性組成物は、脱水剤を更に含んでいるのが好ましい。脱水剤によれば、硬化性組成物を保存している時に、空気中などに含まれている水分によって硬化性組成物が硬化することを抑制することができる。
脱水剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及びジフェニルジメトキシシランなどのシラン化合物;並びにオルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、及びオルト酢酸エチル等のエステル化合物などを挙げることができる。これらの脱水剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なかでも、ビニルトリメトキシシランが好ましい。
硬化性組成物中における脱水剤の含有量は、ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して0.5〜20質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましい。硬化性組成物中における脱水剤の含有量が0.5質量部以上であると、脱水剤により得られる効果が十分に得られる。また、硬化性組成物中における脱水剤の含有量が20質量部以下であると、硬化性組成物が優れた硬化性を有する。
[他の添加剤]
硬化性組成物は、チキソ性付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、沈降防止剤及び溶剤など他の添加剤を含んでいてもよい。なかでも、チキソ性付与剤、紫外線吸収剤、及び酸化防止剤が好ましく挙げられる。
チキソ性付与剤は、硬化性組成物にチキソトロピー性を発現せることができるものであればよい。チキソ性付与剤としては、水添ひまし油、脂肪酸ビスアマイド、ヒュームドシリカなどが好ましく挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられ、及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。硬化性組成物中における紫外線吸収剤の含有量は、ポリアルキレンオキサイド100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、モノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、及びポリフェノール系酸化防止剤などが挙げられ、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく挙げられる。硬化性組成物中における酸化防止剤の含有量は、ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、0.3〜10質量部がより好ましい。
[光安定剤]
硬化性組成物は、ヒンダードアミン系光安定剤を含んでいることが好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤によれば、硬化後に優れたゴム弾性をより長期間に亘って維持することができる硬化性組成物を提供することができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートの混合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重縮合物などが挙げられる。
硬化性組成物中におけるヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
硬化性組成物は、加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)と、ポリリン酸アンモニウム(B)及び/又はガラスフリット(E)と、アミノシラン化合物(C)と、シリル化触媒(D)とを混合することによって製造することができる。
硬化性組成物は、優れた難燃性及びゴム弾性を長期間に亘って維持することができる硬化物を形成することができることから、シーリング材、コーティング材、接着剤、及び塗料など各種用途に使用することができる。なかでも、シーリング材として用いられることが好ましく、目地構造用シーリング材として用いられることがより好ましい。
硬化性組成物を目地に施工して目地構造を得る方法としては、硬化性組成物を目地に充填した後に養生させて硬化させる方法が用いられる。得られる目地構造は、建築構造物の壁部を構成している壁部材と、互いに隣接する壁部材間に形成された目地に充填された、硬化性組成物の硬化物とを有している。建築構造物の壁部としては、例えば、外壁、内壁、天井部などが挙げられる。壁部材としては、例えば、外壁部材、内壁部材、天井部材などが挙げられる。
目地は、特に制限されないが、建築構造物の外壁、内壁、及び天井における目地などが挙げられる。本発明の硬化性組成物は、硬化後に優れたゴム弾性を長期間に亘って維持することができることから、気温や日照等の温度変化による部材の膨張や収縮による、或いは振動や風圧などの作用による目地の幅の変化に対して優れた追随性を呈し、部材の損傷や建築構造物内への漏水を防止することができる。従って、建築構造物の外壁における目地など、所謂、「ワーキングジョイント」とも呼ばれる幅の変化が大きい目地をシーリングするために好適に用いられる。
建築構造物の外壁における目地としては、例えば、モルタル板、コンクリート板、窯業系サイディングボード、金属系サイディングボード、ALC板、及び金属板などの外壁部材間の接合部にできる目地が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、上述の如き構成を有していることから、優れた難燃性及びゴム弾性を長期間に亘って維持する硬化物を生成することができる。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
以下に実施例及び比較例で用いた化合物を示す。
[ポリアルキレンオキサイド(A)]
・メチルジメトキシシリル基を含有し且つ主鎖骨格がポリプロピレンオキサイドからなるポリアルキレンオキサイド(A1)(数平均分子量Mn:25000、分子量分布(Mw/Mn):1.16、旭硝子株式会社製 製品名「エクセスター S4530」)
・加水分解性シリル基を含有しないポリアルキレンオキサイド(A2)(数平均分子量Mn:20000、分子量分布:1.49、旭硝子株式会社製 製品名「エクセスター S2420」)
[ポリリン酸アンモニウム(B)]
・ポリリン酸アンモニウム(B)(クラリアントジャパン株式会社製 「Exolit AP462」
[アミノシラン化合物(C)]
・アルコキシシランオリゴマー(C1)(エチルトリエトキシシランと3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリエトキシシランとの加水分解縮合物、窒素原子の含有量:6質量%、粘度(20℃):20mPa・s、エボニックデグサジャパン社製 製品名「ダイナシラン1146」)
・アミノシラン化合物(C2)[N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製 製品名「KBM−603」]
[シリル化触媒(D)]
・シリル化触媒(ジオクチル錫モノデカネート、日東化成株式会社製 製品名「ネオスタンU−830」)
[ガラスフリット(E)]
・ガラスフリット(E)(リン酸系ガラス、ガラスの軟化点:404℃、日本フリット社製 商品名「VYO144」)
[可塑剤(F)]
・可塑剤(F1)(ポリプロピレンオキサイド、重量平均分子量:3000、旭硝子社製 製品名「エクセスター3020」)
・可塑剤(F2)(加水分解性シリル基を含有していないアクリル系重合体、重量平均分子量:2000、東亞合成社製 製品名「UP1110」)
[充填剤]
・コロイダル炭酸カルシウム(平均粒子径:0.1μm、神島化学工業社製 製品名「PLS−505」)
・重質炭酸カルシウム(平均粒子径:1.0μm、日東粉化工業株式会社社製 製品名「NCC2310」)
[脱水剤]
・ビニルトリメトシシラン(信越化学工業社製 製品名「KBM−1003」)
[紫外線吸収剤]
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASFジャパン社製 製品名「チヌビン326」)
[酸化防止剤]
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASFジャパン社製 製品名「イルガノックス1010」)
[光安定剤]
・NH型ヒンダードアミン系光安定剤(BASFジャパン社製 製品名「チヌビン770」)
(実施例1〜11及び比較例1〜3)
上述した、ポリアルキレンオキサイド(A)、ポリリン酸アンモニウム(B)、アミノシラン化合物(C)、シリル化触媒(D)、ガラスフリット(E)、可塑剤(F)、充填剤、脱水剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤及び光安定剤をそれぞれ表1に示した配合量となるようにして、密封した攪拌機中で減圧しながら均一になるまで混合することにより硬化性組成物を得た。
得られた硬化性組成物について、初期及び耐熱後の最大荷重時伸びを下記の方法で測定し、その結果を表1に示した。なお、初期の最大荷重時伸びは「初期」の欄に、耐熱後の最大荷重時伸びは「耐熱」の欄にそれぞれ記載した。
得られた硬化性組成物について、難燃性を下記の要領で測定した。
(最大荷重時伸び)
硬化性組成物を用いて、JIS A1439 4.21に準拠して、H型試験体を作製した。具体的には、アルマイト処理を施したアルミニウム板(縦50mm×横50mm×厚み3mm)2枚を用い、これらのアルミニウム板の間にスペーサーを挟むことによってアルミニウム板間の中央部に直方体状の空間(縦12mm×横50mm×高さ12mm)を形成した。この空間に硬化性組成物を空気が入らないように充填した。硬化性組成物の充填後、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で硬化性組成物を14日間放置した。しかる後、硬化性組成物を更に温度30℃の雰囲気下で14日間放置した。硬化性組成物を養生させて硬化させることにより、2枚のアルミニウム板が硬化性組成物の硬化物によって接着一体化されてなるH型試験体を作製した。
そして、作製直後のH型試験体について、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で、引張速度50mm/分での引張試験をJIS A1439に準拠して行い、最大荷重時伸び[%]を測定した。得られた最大荷重時伸びを「初期」の欄に記載した。
又、上述と同様にして作製された、作製直後のH型試験体を80℃に90日又は120日暴露した後、H型試験体を23℃、相対湿度50%の雰囲気下に24時間放置した。
H型試験体について、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で、引張速度50mm/分での引張試験をJIS A1439に準拠して行い、最大荷重時伸び[%]を測定した。得られた最大荷重時伸びを「耐熱(90日後)」及び「耐熱(120日後)」の欄にそれぞれ記載した。
(難燃性)
硬化性組成物の難燃性をUL94−VO評価に準拠して測定した。具体的には、硬化性組成物をポリプロピレン板上に厚み2mmとなるように塗工し、硬化性組成物を23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて1ヶ月に亘って養生して硬化物を得た。得られた硬化物を80℃にて14日暴露した後、硬化物を23℃、相対湿度50%の雰囲気下に24時間放置して試料を作製した。
得られた試料を5個用意し、各試料を垂直に保持した上で、各試料の下端に10秒間に亘ってガスバーナーの炎を接炎させた。燃焼が30秒以内に止まった場合には、試料の下端に10秒間に亘ってガスバーナーの炎を接炎させた。
それぞれの評価において、下記の(1)〜(5)の何れの条件も満たす場合を「○」、下記の(1)〜(5)の条件のうち、一つでも満たさない場合を「×」とした。
判定基準
[V−0]
(1)いずれの接炎の後も、10秒以上燃焼を続ける試料がない。
(2)5個の試料に対する10回の接炎に対する総燃焼時間が50秒を超えない。
(3)固定用クランプの位置まで燃焼する試料がない。
(4)試料の下方に置かれた脱脂綿を発火させる燃焼する粒子を落下させる試料がない。
(5)2回目の接炎の後、30秒以上赤熱を続ける試料がない。
[V−1]
(1)いずれの接炎の後も、30秒以上燃焼を続ける試料がない。
(2)5個の試料に対する10回の接炎に対する総燃焼時間が250秒を超えない。
(3)固定用クランプの位置まで燃焼する試料がない。
(4)試料の下方に置かれた脱脂綿を発火させる燃焼する粒子を落下させる試料がない。
(5)2回目の接炎の後、60秒以上赤熱を続ける試料がない。
[V−2]
(1)いずれの接炎の後も、10秒以上燃焼を続ける試料がない。
(2)5個の試験シートの10回の接炎による総燃焼時間が250秒を超えない。
(3)固定用クランプの位置まで燃焼する試験シートがない。
(4)試験シートの下方に置かれた脱脂綿を発火させる、燃焼する粒子の落下が許容される。
(5)2回目の接炎の後、60秒以上赤熱を続ける試験シートがない。
Figure 2019014885

Claims (3)

  1. 数平均分子量(Mn)が20000〜50000で且つ分子量分布(Mw/Mn)が1.3以下である加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)と、
    ポリリン酸アンモニウム(B)及び/又はガラスフリット(E)と、
    アミノシラン化合物(C)と、
    シリル化触媒(D)とを含むことを特徴とする硬化性組成物。
  2. アミノシラン化合物(C)が、アルキルアルコキシシランとアミノアルコキシシランとの加水分解縮合物であり且つ窒素原子の含有量が1質量%以上であるアルコキシシランオリゴマーを含有することを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 可塑剤(F)を更に含有し、可塑剤(F)の含有量とポリリン酸アンモニウム(B)の含有量との比[可塑剤(F)の含有量/ポリリン酸アンモニウム(B)の含有量]が2〜4であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物。
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