JP2012111792A - 硬化性組成物およびその使用方法 - Google Patents

硬化性組成物およびその使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】毒性が少ない環境対応型材料である、加水分解性ケイ素基を有する重合体を用いた硬化性組成物において、硬化した後に塗膜防水剤としての使用に耐え得る強度、難燃性を併せ持った低粘度の硬化組成物を提供する。
【解決手段】加水分解性ケイ素基を含有する有機重合体とエポキシ樹脂に特定のポリリン酸アンモニウムを併用することで、硬化した後に塗膜防水剤として充分な強度、難燃性を有する低粘度の硬化性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素基(以下、「加水分解性ケイ素基」ともいう。)を有する有機重合体を含む硬化性組成物に関する。
塗膜防水とは液状の樹脂・合成ゴムなどをハケやヘラ、ローラーなどで下地に塗布するか、あるいは吹付機により施工して成膜・硬化させ、防水層を形成する工法である。塗膜防水には長期の防水性能を保つためにそれ自身が強靭である必要があり、さらには安全性の観点から難燃性であることが必要である。またさらには良好な作業性を与えるために、硬化前の組成物は低粘度であることが必要である。
これらの性能を満たす樹脂として、液状塗膜防水材には現在多くの場合、ウレタン系樹脂が使用されている。しかしながらウレタン系樹脂は一般的に粘度が高く、液状塗膜防水用途では良好な作業性を得るために溶剤が使用される傾向にあり、環境に適していないと言う課題がある。
一方、溶剤を使用しない環境対応ウレタン塗膜防水材として例えば特許文献1などが挙げられる。特許文献1では、可塑剤を塗膜防水材全量に対して、5質量%以上含有させることにより溶剤を使用しなくとも、低粘度で作業性が良好な硬化性組成物を提供している。しかしながら、たとえ溶剤を除いても、ウレタン系樹脂はそもそも毒性の高いイソシアネート化合物を含有しており、十分環境に対応した液状塗膜防水はこれまでのところ開発されていないと言うのが現状である。
一方、毒性が少ない環境対応型の材料として、加水分解性ケイ素基を含有する有機重合体が挙げられる。
この加水分解性ケイ素基を含有する有機重合体は低粘度であるため良好な作業性を与えることができ、また特許文献2に示されるように、リン系難燃剤の添加により難燃性能を付与することも可能である。しかしながら、特許文献2で得られる組成物の強度は低く、塗膜防水材として使用に耐え得るものではなかった。
特開2007−169510号公報 特開2006−176786号公報
このような状況の下、毒性が少ない加水分解性ケイ素基を有する重合体を用いた硬化性組成物において、高強度、難燃性を併せ持った硬化組成物の開発が望まれていた。
本発明者は、前記課題を解決する為に鋭意検討した結果、加水分解性ケイ素基を含有する有機重合体とエポキシ樹脂に特定のポリリン酸アンモニウムを併用することにより、強度及び難燃性、作業性にことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(I).(A)加水分解性ケイ素基を有する有機重合体100重量部に対し、(B)エポキシ樹脂10〜100重量部、(C1)ポリリン酸アンモニウム20〜100重量部を含むことを特徴とする硬化性組成物、
(II).(A)加水分解性ケイ素基を有する有機重合体100重量部に対し、(B)エポキシ樹脂10〜100重量部、(C2)ポリリン酸アンモニウム1〜20重量部、多価アルコール1〜20重量部、及び含窒素化合物1〜20重量部を含むことを特徴とする硬化性組成物、
(III).加水分解性ケイ素基を有する有機重合体の主鎖がポリオキシアルキレン系重合体(A1)であることを特徴とするIまたはIIに記載の硬化性組成物、
(IV).加水分解性ケイ素基を有する有機重合体の主鎖がビニル系重合体(A2)であることを特徴とするIまたはIIに記載の硬化性組成物、
(V).加水分解性ケイ素基を有する有機重合体が、ポリオキシアルキレン系重合体(A1)とビニル系重合体(A2)の混合物であることを特徴とするIまたはIIに記載の硬化性組成物、
(VI).ポリオキシアルキレン系重合体(A1)の分子量分布が1.6以下であることを特徴とするIII、Vのいずれかに記載の硬化性組成物、
(VII).加水分解性ケイ素基を有する有機重合体が加水分解性シリル基を重合体末端に少なくとも1個有するビニル系重合体(A2)であることを特徴とするI、II、IV〜VIのいずれかに記載の硬化性組成物、
(VIII).ビニル系重合体(A2)の分子量分布が1.8以下であることを特徴とするIV〜VIIのいずれかに記載の硬化性組成物、
(IX).(C)ポリリン酸アンモニウムが耐水性を与える表面処理剤により表面処理されたポリリン酸アンモニウムであることを特徴とするI〜VIIIのいずれかに記載の硬化性組成物、
(X).硬化性組成物の粘度が23℃でBM型粘度計での粘度が50Pa・s以下であることを特徴とするI〜IXのいずれかに記載の硬化性組成物、
(XI).I〜Xのいずれかに記載の硬化性組成物を含有する塗膜防水材組成物、
に関する。
本発明の硬化性組成物は硬化した後に、難燃性と強度を有している、低粘度の硬化組成物である。
本発明の硬化性組成物は、加水分解性ケイ素基を有する有機重合体を必須成分としているがこれらにはポリオキシアルキレン系重合体(A1)やビニル系重合体(A2)などが挙げられる。
ポリオキシアルキレン系重合体(A1)は、加水分解性ケイ素基を1分子あたり平均して0.8個以上有する。ここで、加水分解性ケイ素基とは、ケイ素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有する有機基である。
加水分解性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A1)は、シラノール縮合触媒によって加速される反応によりシロキサン結合が形成され、架橋する特徴を有する。
加水分解性を有するポリオキシアルキレン系重合体(A1)の主鎖骨格としては、−R−O−(Rは炭素数2〜4の2価のアルキレン基を示す。)で示される繰り返し単位を有する重合体である。
前記Rは、炭素数2〜4の2価のアルキレン基であれば特に限定されず、例えば、−CH−、−CHCH−、−CH(CH)CH−、−CH(C)CH−、−CHCHCHCH−、−C(CHCH−などが挙げられる。これらのなかでも、入手が容易なことから、−CH(CH)CH−が好ましい。ポリオキシアルキレン系重合体(A1)は、1種類のみの繰り返し単位から構成されてもよく、複数種の繰り返し単位から構成されていてもよい。
前記ポリオキシアルキレン系重合体(A1)は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、或いは、これらの混合物であってもよい。また、主鎖骨格中には−R−O−(Rは炭素数2〜4の2価のアルキレン基を表す)以外の繰り返し単位を含んでもよい。
また、前記−R−O−(Rは炭素数2〜4の2価のアルキレン基を表す)で示される繰り返し単位が重合体中に50重量%以上存在することが好ましく、80重量%以上存在することがより好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格の製造方法としては、特に限定されず、例えば、(a1)2価アルコール、多価アルコール、水酸基を有する各種オリゴマーなどの開始剤と、KOH、NaOHなどのアルカリ触媒、酸性触媒、アルミノポルフィリン金属錯体やシアン化コバルト亜鉛−グライム錯体触媒など複合金属シアン化物錯体触媒、などのすでに公知である触媒の存在下、エチレンオキシドやプロピレンオキシドなどのモノエポキシドを開環重合することによって得る方法、
(a2)水酸基末端ポリエーテル系重合体をKOH、NaOH、KOCH、NaOCHなどの塩基性化合物の存在下、CHCl、CHBrなど2官能以上のハロゲン化アルキルと鎖延長反応させて得る方法、あるいは水酸基末端ポリエーテル系重合体を2つ以上のイソシアネート基を有する化合物と鎖延長反応させて得る方法などが挙げられる。
これらの中では、分子量分布が狭く、粘度の低い重合体が得られることから、前記(a1)の方法のうちの複合金属シアン化物錯体触媒を用いたモノエポキシドの開環重合が好ましい。
加水分解性ケイ素基としては、特に限定されず、例えば、一般式(1)で示される基が挙げられる。
−(Si(R 2−b)(X)−O)−SiR 3−a (1)
((m×(2−b))個のRおよび(3−a)個のRはそれぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または(RSiO−(3個のRはそれぞれ独立に炭素数1〜20の1価の炭化水素である。)で表わされるトリオルガノシロキシ基からなる群より選択される少なくとも1つである。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。aは0、1,2または3、bは0、1または2をそれぞれ示す。また、m個の(Si(R 2−b)(X)−O)におけるbについて、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。mは0〜19の整数を示し、更にはmb+a≧1である。)。
一般式(1)中に記載のRおよびRとしては、特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基などのアルキル基;フェニル基などのアリール基;等が挙げられる。これらのなかでも、メチル基が特に好ましい。
一般式(1)中にXで示される加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基が挙げられ、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基などが挙げられる。これらのなかでも、加水分解性が穏やかで取扱い易いということから、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基などのアルコキシ基が好ましい。
一般式(1)中にXで示される水酸基や加水分解性基は1個のケイ素原子に1〜3個結合することができ、ポリオキシアルキレン系重合体(A1)1分子中に含まれる加水分解性基や水酸基の総数を示す(a+Σb)は、1〜5であることが好ましい。なお、加水分解性ケイ素基中に存在する水酸基や加水分解性基は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
加水分解性ケイ素基中のケイ素原子の数は1個でもよく2個以上でもよい。また、シロキサン結合などによりケイ素原子の連結された加水分解性ケイ素基の場合には20個程度でもよい。
加水分解性ケイ素基はポリオキシアルキレン系重合体(A1)の分子鎖末端に存在していてもよく、内部に存在していてもよいが、加水分解性ケイ素基が分子鎖末端に存在すると、良好な機械特性を発現する硬化物が得られ易くなるので好ましい。
加水分解性ケイ素基をポリオキシアルキレン系重合体中に導入する方法としては、特に限定されず、種々の方法を用いることができる。
例えば、以下に示す方法が挙げられる。
(イ)分子中に水酸基、エポキシ基やイソシアネート基などの官能基を有する有機重合体に、この官能基に対して反応性を示す官能基および加水分解性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法。
(ロ)分子中に水酸基等の官能基を有する有機重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基および不飽和基を有する有機化合物を反応させ、不飽和基を有する有機重合体を得る。もしくは、たとえばエポキサイドを開環重合して有機重合体を得る際に不飽和基を有するエポキサイドを開環共重合させ不飽和基含有有機重合体を得るなど重合反応に関与しない不飽和基を有するモノマーを共重合させて不飽和基を有する有機重合体を得る。ついで、得られた反応生成物に加水分解性ケイ素基を有するヒドロシランを反応させてヒドロシリル化する方法。
(ハ)(ロ)法と同様にして得られた不飽和基を含有する有機重合体にメルカプト基と加水分解性ケイ素基とを含有する化合物を反応させる方法。
さらに、(イ)の方法のうち、末端に水酸基を有する重合体とイソシアネート基および加水分解性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法、あるいは末端にイソシアネート基を有する重合体とアミノ基および加水分解性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法は、比較的短い反応時間で高い添加率が得られるために好ましい。このような反応で得られるポリオキシアルキレン系重合体は、加水分解性ケイ素基とともに、下記一般式(1)で表される基を有する重合体となる。
−NR−C(=O)− (2)
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基からなる群より選択される少なくとも1つである。)。
なお、上記一般式(2)で表される基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A1)は、上記以外の方法でも得られ、たとえばトルエン(トリレン)ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族系イソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族系イソシアネート類;などのジイソシアネート化合物と、−R−O−(Rは炭素数2〜4の2価のアルキレン基を示す。)の繰り返し単位を有するポリオールとの鎖延長反応から得られるものがあげられる。これは、加水分解性ケイ素基の導入方法に係わらず、一般式(2)の基を有する重合体である。
(イ)の合成方法のうち末端に水酸基を有する重合体とイソシアネート基および加水分解性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法としては、例えば特開平3−47825号公報に示される方法などが挙げられるが、特に限定されるものではない。前記イソシアネート基および加水分解性ケイ素基を有する化合物の具体例としては、例えば、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシランイソシアネートメチルトリエトキシシラン、イソシアネートメチルトリイソプロペノキシシラン、イソシアネートメチルジエトキシメチルシラン、イソシアネートメチルジプロペノキシメチルシランなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、末端にイソシアネート基を有する重合体とアミノ基および加水分解性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法としては、特に限定されず従来公知の方法を用いることができる。前記アミノ基および加水分解性ケイ素基を有する化合物の具体例としては、例えば、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。 (ロ)の方法において、加水分解性ケイ素基を高い導入率で導入するためには、下記一般式(3)で表される不飽和基を有する有機重合体に、下記一般式(4)で表されるヒドロシラン化合物を8族遷移金属触媒の存在下で反応させる方法が好ましい。8族遷移金属触媒としては、例えば、HPtCl・HO、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体などを挙げることができる。
−O−R−CR=CH (3)
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、Rは炭素数0〜20のアルキレン基)
H−(Si(R 2−b)(X)−O)−SiR 3−a (4)
(R、R、X、a、b、mは一般式(1)の表記に同じ。)
なお、一般式(3)中に記載のRが水素またはメチル基であることがより好ましい。また、一般式(4)で表されるヒドロシラン化合物の具体例としては、例えば、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、フェニルジクロロシランのようなハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、フェニルジメトキシシランのようなアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシランなどのアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシランのようなケトキシメートシラン類などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちでは特に、アルコキシシラン類が得られる組成物の加水分解が穏やかで取扱いやすいために好ましい。
このような反応で得られるポリオキシアルキレン系重合体は、下記一般式(5)で表される基を有する重合体となる。
−O−R−(Si(R 2−b)(X)−O)−SiR 3−a (5)
(式中、Rは炭素数2〜20のアルキレン基である。(m×(2−b))個のRおよび(3−a)個のRはそれぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または(RSiO−(3個のRはそれぞれ独立に炭素数1〜20の1価の炭化水素である。)で表わされるトリオルガノシロキシ基からなる群より選択される少なくとも1つである。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。aは0、1,2または3、bは0、1または2をそれぞれ示す。m個の(Si(R 2−b)(X)−O)中のbはそれぞれ独立に0、1または2である。mは0または、1〜19の整数であり、更にはmb+a≧1である。)。
(ハ)の合成法としては、たとえばラジカル開始剤および/またはラジカル発生源存在下で、メルカプト基および加水分解性ケイ素基を有する化合物をラジカル付加反応によって有機重合体の不飽和結合部位に導入する方法などが挙げられるが、特に限定されるものではない。前記メルカプト基および加水分解性ケイ素基を有する化合物の具体例としては、例えばγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以上の方法のなかで、(ハ)の方法で得られる重合体はメルカプトシランに起因する臭気が強いことから、(イ)の方法、または(ロ)の方法が好ましい。また、(イ)の方法と(ロ)の方法は一長一短である。(ロ)の方法で得られた加水分解性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、(イ)の方法で得られる重合体よりも低粘度で作業性の良い組成物となり、またウレタン結合、ウレア結合などの耐熱性を低下させる有機基を有さない点、さらには毒性に問題のあるイソシアネート基を有する化合物を使用しない点において好ましい。一方、(イ)の方法は重合体へのシリル基の導入が安価かつ生産性良く準備できる点において好ましい。なお、(イ)、(ロ)、(ハ)の方法により得られるポリオキシアルキレン系重合体は単独で使用してもよく、また数種を混合して使用してもよい。
ポリオキシアルキレン系重合体(A1)の数平均分子量としては、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)で10,000〜100,000が好ましく、10,000〜45,000がより好ましい。
また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、特に限定されず、2.0以下が好ましく、1.6以下がより好ましい。また、粘度が低くなり取扱いが容易となることから1.4以下であることが特に好ましい。
分子量分布は、各種の方法で測定可能であるが、通常はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法による方法が一般的である。
ビニル系(共)重合体(A2)とは、繰り返し単位として1種のビニル系化合物からなる重合体、繰り返し単位として複数のビニル系化合物からなる共重合体、および、繰り返し単位として1種または複数種のビニル系化合物と、これと共重合可能な化合物からなる共重合体を示す。
繰り返し単位として使用されるビニル系化合物としては、特に限定されず、従来から公知のものが挙げられ、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等の芳香族ビニル系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニル系モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアクリロニトリル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。
これらの中で、ビニル系重合体(A2)の主鎖が、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1つのモノマーを主として重合して製造されるものであることが好ましい。ここで「主として」とは、ビニル系重合体(A2)を構成するモノマー単位のうち50モル%以上、好ましくは70モル%以上が、上記モノマーであることを意味する。
なかでも、生成物の物性等から、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーであり、相溶性、安定性の点から、分子鎖(b−1)炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物と、(b−2)炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる共重合体(以下、(共)重合体(A2)−aと記載する場合もある)が好ましい。
(共)重合体(A2)−aにおける(b−1)炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物は、一般式(6):
CH=C(R)COOR (6)
(式中Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数1から8のアルキル基を示す)で示される。
一般式(6)中に記載のRとしては、特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2ーエチルヘキシル基などの炭素数1〜8、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2のアルキル基を挙げられる。
なお、(共)重合体(A2)−a中に含まれるRは必ずしも1種類のアルキル基に限定されるものでは無い。
また、(共)重合体(A2)−aにおける(b−2)炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物は、一般式(7):
CH=C(R)COOR10 (7)
(式中Rは一般式(6)の表記と同じ。R10は炭素数10以上のアルキル基を示す。) で示される化合物である。
一般式(7)中に記載のR10としては、特に限定されず、例えば、ラウリル基、トリデシル基、セチル基、ステアリル基、炭素数22のアルキル基、ビフェニル基などの炭素数10以上、通常は10〜30、好ましくは10〜20の長鎖アルキル基が挙げられる。なお、(共)重合体(A2)−a中に含まれるR10は必ずしも1種類のアルキル基に限定されるものでは無い。
(共)重合体(A2)−aの分子鎖は(b−1)および(b−2)の化合物からなるが、ここでいう(b−1)および(b−2)の化合物からなるとは、(共)重合体(A2)−a中に存在する(b−1)および(b−2)の化合物由来の繰り返し単位の割合が50%をこえることを意味する。
(共)重合体(A2)−a中に存在する(b−1)および(b−2)の化合物由来の繰り返し単位の割合は、70%以上が好ましい。(共)重合体(A2)−a中に存在する(b−1)および(b−2)の化合物由来の繰り返し単位の割合が50%未満になると加水分解性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A1)と(共)重合体(A2)−aの相溶性が低下し、白濁する傾向があり、硬化物の接着特性が低下する傾向がある。
また、(共)重合体(A2)−a中に存在する(b−1)、(b−2)の化合物由来の繰り返し単位の割合は、重量比((b−1)由来:(b−2)由来)で95:5〜40:60が好ましく、90:10〜60:40がより好ましい。前記割合が95:5より大きくなると相溶性が低下し、40:60より小さくなるとコスト的に不利になる傾向がある。
ビニル系重合体(A2)成分の分子量には特に制限はないが、GPCにおけるポリスチレン換算での数平均分子量が500から100,000のものが好ましく、1,000〜50,000のものがより好ましく、2,000〜20,000のものが、取扱いが容易なこと、粘着特性に優れることなどから特に好ましい。
ビニル系重合体(A2)の製造方法としては、特に限定されず、通常のビニル重合の方法例えば、ラジカル反応による溶液重合法や塊重合法などが挙げられる。反応は、通常前記の化合物およびラジカル開始剤や連鎖移動剤、溶剤などを加えて50〜150℃で行われる。
前記ラジカル開始剤の例としては、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイドなど、連鎖移動剤の例としては、n−ドデシルメルカプタン,tert−ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタンなどのメルカプタン類や含ハロゲン化合物などが挙げられる。溶剤としては、例えば、エーテル類、炭化水素類、エステル類などの非反応性の溶剤を使用するのが好ましい。
またリビングラジカル重合および原子移動ラジカル重合によって、分子量分布が狭いビニル系重合体を製造することができる。原子移動ラジカル重合法は、ラジカル重合法、さらにはリビングラジカル重合法の一種である。
ラジカル重合は一般に重合速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどによる停止反応が起こりやすいため制御の難しいとされる。しかしリビングラジカル重合や原子移動ラジカル重合は、ラジカル重合でありながら、停止反応が起こりにくく、分子量分布の狭い(Mw/Mnが1.1〜1.5程度)重合体が得られるとともに、モノマーと開始剤の仕込み比によって分子量は自由にコントロールすることができる。従ってリビングラジカル重合法は、分子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることができる上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の位置に導入することができる。
なお、リビング重合とは狭義においては、末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく重合のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら生長していく擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後者である。このリビング重合、特に原子移動ラジカル重合法としては、例えばMatyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、7901頁,サイエンス(Science)1996年、272巻、866頁、WO96/30421号公報,WO97/18247号公報あるいはSawamotoら、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、1721頁、特開2000−44626号公報、特開2000−72809号公報、特開2000−191728号公報などが挙げられる。
・重合触媒
この重合法で用いられる触媒としては、例えば周期律表第7族、第8族、第9族、第10族または第11族元素、好ましくは第8族、第9族、第10族または第11族元素を中心金属とする遷移金属触媒が用いられる。前記中心金属としては、例えば鉄、ニッケル、ルテニウム、銅などが挙げられ、この中でも1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄が重合制御の容易さ等の観点から好ましい。
前記遷移金属触媒を構成する配位子としては、たとえば2,2’−ビピリジル 、その誘導体、1,10−フェナントロリン、その誘導体、トリブチルアミンなどのアルキルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラアミンなどのポリアミン、トリフェニルホスフィンなどがあげられる。これらは単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのうちではポリアミン、さらにはペンタメチルジエチレントリアミンが反応制御の面から好ましい。
・重合開始剤
この重合法で用いられる重合開始剤としては、例えば有機ハロゲン化物、とくに反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(たとえばα位にハロゲン原子を有するエステル化合物や、ベンジル位にハロゲン原子を有する化合物)、ハロゲン化スルホニル化合物などが挙げられる。
また、重合を開始する基以外の官能基を併せ持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を用いると、末端に官能基が導入された重合体が得られる。このような官能基としては、アルケニル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シリル基等が挙げられる。
さらに、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いると、末端を2つ以上有する重合体(例えば多分岐/星形重合体)が得られる。
・溶媒
この重合は無溶剤または各種の溶剤中で行うことができる。これらは特に限定されないが、例示するならば、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒等が挙げられ、単独又は2種以上を混合して用いることができる。また超臨界流体を用いてもよい。
なお重合温度は、特に限定されないが、0〜200℃の範囲で行うことができ、50〜150℃で行うことがより好ましい。
ビニル系重合体(A2)は、得られる硬化物の接着強度や耐熱性が優れることから、加水分解性ケイ素基を有していることが好ましい。
ビニル系重合体(A2)に加水分解性ケイ素基を導入する方法としては、特に限定されず、種々の方法が挙げられ、例えば、
(ニ)、重合性不飽和結合と加水分解性ケイ素基を有する化合物を、化合物(b−1)、(b−2)とともに共重合させる方法、
(ホ)、重合性不飽和結合と反応性官能基(以下Y’基という)を有する化合物(例えば、アクリル酸)を化合物(b−1)、(b−2)とともに共重合させたのち、生成した共重合体を加水分解性ケイ素基およびY’基と反応しうる官能基(以下Y’’基という)を有する化合物(例えば、イソシアネート基と−Si(OCH基を有する化合物)と反応させる方法、
(へ)、連鎖移動剤として加水分解性ケイ素基を有するメルカプタンの存在下、化合物(b−1)、(b−2)を共重合させる方法、
(ト)、加水分解性ケイ素基を有するアゾビスニトリル化合物やジスルフィド化合物を開始剤として化合物(b−1)、(b−2)を共重合させる方法、
(チ)、リビングラジカル重合法によって化合物(b−1)、(b−2)を重合させ、分子末端に加水分解性ケイ素基を導入する方法、などが挙げられる。
また、(ニ)〜(チ)の方法を各々任意に組み合わせることも可能である。例えば、(ニ)と(へ)の組み合わせとして、連鎖移動剤として加水分解性ケイ素基を有するメルカプタンの存在下、重合性不飽和結合と加水分解性ケイ素基を有する化合物を、化合物(b−1)、(b−2)とともに共重合させる方法をとることも可能である。
(ニ)記載の重合性不飽和結合と加水分解性ケイ素基を有する化合物としては、一般式(8):
CH=C(R)−COOR11−(Si(R 2−b)(X)−O)−SiR 3−a (8)
(式中Rは一般式(6)の表記と同じ。R11は炭素数1〜6の2価のアルキレン基を示す。R、R、X、a、b、mは一般式(1)の表記と同じ。)で示される化合物、
または、一般式(9):
CH=C(R)−(Si(R 2−b)(X)−O)−SiR 3−a(9)
(式中Rは一般式(6)の表記と同じ、R、R、X、a、b、mは一般式(1)の表記と同じ。)で示される化合物があげられる。
一般式(8)中に記載のR11としては、特に限定されず、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などの炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基が挙げられる。
一般式(8)または(9)記載の化合物は、共重合の際1種類のみを使用してもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
一般式(8)または(9)記載の化合物としては、特に限定されず、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのγ−メタクリロキシプロピルアルキルポリアルコキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのγ−アクリロキシプロピルアルキルポリアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニルアルキルポリアルコキシシランなどが挙げられる。
(ホ)記載のY’基およびY’’基の例としては、種々の基の組み合わせが可能であるが、例えば、Y’基としてアミノ基、水酸基、カルボン酸基を、Y’’基としてイソシアネート基を挙げることができる。
また別の一例として、特開昭62−70405号公報、特開平09−272714号公報、特開昭59−168014号公報に記載されているように、Y’基としてはアリル基、Y’’基としては水素化ケイ素基(H−Si)を挙げることができる。この場合、VIII族遷移金属の存在下で、ヒドロシリル化反応によりY’基とY’’基は結合しうる。
(へ)記載の連鎖移動剤として使用する加水分解性ケイ素基を有するメルカプタンとしては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。また、特開昭60−228516号公報に記載されているように、化合物(b−1)および(b−2)を、2官能ラジカル重合性化合物および連鎖移動剤としてアルコキシシリル基を有するメルカプタンの存在下で共重合させる方法も可能である。
(ト)記載の、加水分解性ケイ素基を有するアゾビスニトリル化合物やジスルフィド化合物としては、例えば、特開昭60−23405号公報、特開昭62−70405号公報などに記載されている、アルコキシシリル基を有するアゾビスニトリル化合物やアルコキシシリル基を有するジスルフィド化合物が挙げられる。
(チ)記載の方法としては、特開平09−272714号公報などに記載されている方法が挙げられる。
その他、特開昭59−168014号公報、特開昭60−228516号公報などに記載されている、加水分解性ケイ素基をもつメルカプタンと加水分解性ケイ素基をもつラジカル重合開始剤を併用する方法も挙げられる。
ビニル系重合体(A2)中の加水分解性ケイ素基の数は、特に限定されず、接着力への効果、コストの点から、ビニル系重合体(A2)1分子中に平均0.1個以上4.0個以下、さらに好ましくは0.5個以上2.0個以下が好ましい。
(A1)と(A2)の配合比に関して、(A1)100重量部に対して、(A2)20〜60重量部が好ましい。(A2)が20重量部以下になると硬化物の耐候性が低下する傾向にあり、60重量部以上になると硬化物の伸びが低下する傾向がある。
本発明はエポキシ樹脂(B)を必須成分とする。エポキシ樹脂としては、従来公知のものを広く使用でき、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂やこれらを水添したエポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、フッ素化エポキシ樹脂、ポリブタジエンあるいはNBRを含有するゴム変性エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテル等の難燃型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は単独で用いてもよく2種類以上併用しても良い。その中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂及び水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂が強度の観点から好ましく、更に好ましくは耐候性の観点から水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好ましい。エポキシ樹脂は(A)成分100重量部に対し、1〜80重量部が好ましく、特に好ましくは10〜70重量部の範囲で使用されるのが良い。
本発明の必須成分であるポリリン酸アンモニウム(C)としては、従来公知のものを広く使用することができる。これらの中でも、耐水性の観点から、樹脂により被覆し、マイクロカプセル化されたポリリン酸アンモニウムや表面改質されたポリリン酸アンモニウム等の表面処理されたポリリン酸アンモニウムが好ましく、更に好ましくは表面をメラミンホルムアルデヒド樹脂で被覆されたものが好ましい。
ポリリン酸アンモニウム(C)は単独で用いても良く、多価アルコール及び含窒素化合物と併用しても良い。
多価アルコールの具体例としてはモノ、ジ、又はトリペンタエリスリトール、ソルビトール、エチレングリコール、グリセリンが挙げられ、含窒素化合物としてはメラミン、メラミンシアヌレート、ピロリン酸メラミン、リン酸メラミン、グアニジン、ベンゾグアナミン、尿素、ジシアンジアミドなどが挙げられる。
ここで多価アルコールは加熱により膨張し、脱水触媒により炭化され、発泡炭化層を形成する作用があり、含窒素化合物は発泡剤として作用する。
ポリリン酸アンモニウム(C)は単独で用いる場合は、(A)成分100重量部に対し、20〜100重量部用いる事が好ましく、40〜100重量部が更に好ましい。併用する場合は、ポリリン酸アンモニウム1〜20重量部、多価アルコール1〜20重量部、含窒素化合物1〜20重量部用いることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、上記以外に縮合触媒、エポキシ樹脂用硬化剤、充填剤、チクソ性付与剤、シランカップリング剤、可塑剤、及び安定剤などを添加することができる。
縮合触媒としては、特に限定されず、通常使用される加水分解性ケイ素基の反応を促進するシラノール縮合触媒が挙げられ、例えば、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、チタンテトラアセチルアセトナート、ビスアセチルアセトナトジイソプロポキシチタンなどのチタン化合物;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫フタレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノレート、ジブチル錫ジメチルマレエート、ジブチル錫ジエチルマレエート、ジブチル錫ジブチルマレエート、ジブチル錫ジオクチルマレエート、ジブチル錫ジトリデシルマレエート、ジブチル錫ジベンジルマレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジエチルマレエート、ジオクチル錫ジオクチルマレエート、ジブチル錫ジメトキサイド、ジブチル錫ジノニルフェノキサイド、ジブテニル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ジエチルアセトアセトナート、ジブチル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物などの4価の有機錫化合物;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどの有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナートなどのジルコニウム化合物類が挙げられる。
また、前記の化合物に加えてアミン化合物、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルとアミン化合物との反応物、飽和または不飽和の多価カルボン酸またはその酸無水物、カルボン酸化合物とアミン化合物との塩など反応物、オクチル酸鉛などが挙げられる。
縮合触媒の配合量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A1)とビニル系(共)重合体(A2)の合計量100重量部に対して0.1〜20重量部である必要がある。配合量が0.1重量部未満では硬化速度が遅くなり、一方、20重量部以上では可使時間が短くなりすぎて、作業性が低下する傾向がある。適切な硬化速度を得る為には、配合量は0.3〜8重量部がより好ましく、0.5〜5重量部が特に好ましい。
エポキシ樹脂用硬化剤としては、従来公知のものを広く使用することができる。例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルペンタメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、グアニジン、オレイルアミン、等の脂肪族アミン類;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、ピペリジン、N、N―ジメチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノー3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ポリシクロヘキシルポリアミン、1、8−ジアザビシクロ0〔5,4,0〕ウンデセン(DBU)等の脂環族アミン類;メタフェニレンジアミン、4、4−ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン類、m−キシリレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2、4、6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の脂肪芳香族アミン類;3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2、4、8、10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン(ATU)、モルホリン、N−メチルモルホリン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリオキシエチレンジアミン等のエーテル結合を有するアミン類;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の水酸基含有アミン類;テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヒキサヒドロ無水フタル酸、ドデシル無水コハク酸等の酸無水物類;ダイマー酸にジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン等のポリアミンを反応させて得られるポリアミド、ダイマー酸以外のポリカルボン酸を使ったポリアミド等のポリアミドアミン類;2−エチルー4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;ジシアンジアミド;ポリオキシプロピレン系ジアミン、ポリオキシプロピレン系トリアミン等のポリオキシプロピレン系アミン類;フェノール類;上記アミン類にエポキシ化合物を反応させて得られるエポキシ変性アミン、上記アミン類にホルマリン、フィノール類を反応させて得られるマンニッヒ変性アミン、マイケル付加変性アミン、ケチミンといった変性アミン類、2、4、6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールのアミン塩等が挙げられる。これらの硬化剤は、単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。これらエポキシ樹脂用硬化剤の中では、2、4、6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールやポリオキシプロピレン系ジアミンが好ましい。斯かるエポキシ樹脂用硬化剤はエポキシ樹脂100重量部に対し、通常1〜60重量部程度の範囲、好ましくは2〜50重量部程度の範囲で使用されるのが良い。1重量部未満ではエポキシ樹脂の硬化が不十分となり接着強度が低下する。また、60重量部を超えると界面へのブリード等が起こって接着性が低下し、好ましくない。
充填剤としては、特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、カーボンブラック、溶融シリカ、沈降性シリカ、けいそう土、白土、カオリン、クレー、タルク、木粉、クルミ殻粉、もみ殻粉、無水ケイ酸、石英粉末、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスビーズ、アルミナ、ガラスバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素などの無機充填剤や、パルプ、木綿チップなどの木質充填剤、粉末ゴム、再生ゴム、熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂の微粉末、ポリエチレンなどの中空体などの有機充填剤が挙げられる。充填剤は、1種類のみを添加してもよく、複数種を組み合わせて添加してもよい。
チクソ性付与剤としては、特に限定されず、例えば、水添ヒマシ油誘導体類、ポリアミドワックス類、有機ベントナイト、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム等の金属石鹸類などがあげられ、これらチクソ性付与剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤の具体例としては、例えば、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シラン類;ビニルトリメトキシシランなどのビニル型不飽和基含有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネート基含有シラン類などをあげることができ、これらシランカップリング剤は1種類のみで使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。特に接着性の点より、アミノシランやその反応物、エポキシシラン、イソシアネートシランが好ましい。
シランカップリング剤は、ポリオキシアルキレン系重合体(A1)とビニル系重合体(A2)の合計量100重量部に対して1〜10重量部使用することが好ましい。
可塑剤の具体例はとしては、例えば、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレートなどのフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチルなどの脂肪族二塩基酸エステル類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などのエポキシ可塑剤類;ポリプロピレングリコールやその誘導体などのポリエーテル類;ビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体などがあげられる。これらの可塑剤は単独または2種類以上を併用してもよい。
安定剤の具体例としては、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などがあげられる。
酸化防止剤を使用すると硬化物の耐候性、耐熱性を高めることができる。酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、モノフェノール系、ビスフェノール系、ポリフェノール系が例示できるが、特にヒンダードフェノール系が好ましい。
酸化防止剤の使用量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A1)とビニル系重合体(A2)の合計量100重量部に対して0.1〜10重量部使用することが好ましく、0.2〜5重量部使用することがさらに好ましい。
光安定剤を使用すると硬化物の光酸化劣化を防止することができる。光安定剤としてはベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系化合物などが例示できるが、特にヒンダードアミン系が好ましい。
光安定剤の使用量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A1)とビニル系重合体(A2)の合計量100重量部に対して0.1〜10重量部使用することが好ましく、0.2〜5重量部使用することがさらに好ましい。
紫外線吸収剤を使用すると硬化物の表面耐候性を高めることができる。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチレート系、置換トリル系及び金属キレート系化合物などが例示できる。
紫外線吸収剤の使用量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A1)とビニル系重合体(A2)の合計量100重量部に対して0.1〜10重量部使用することが好ましく、0.2〜5重量部使用することがさらに好ましい。
さらに、本発明の硬化性組成物には、硬化性組成物又は硬化物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。このような添加物の例としては、例えば、硬化性調整剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤、溶剤、防かび剤などがあげられる。これらの各種添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明の硬化性組成物では、作業性などの観点から、23℃における粘度が50Pa・s以下であることが好ましい。
本発明の塗布方法により塗布する硬化性組成物の調整法には特に限定はなく、例えば上記した成分を配合し、ミキサー、ロール、ニーダーなどを用いて常温または加熱下で混練したり、適した溶剤を少量使用して成分を溶解させ、混合したりするなどの通常の方法を用いることができる。
本発明の硬化性組成物は、土木、建築、工業用途などの幅広い範囲でシーリング材、接着剤、注入材、防水材などとして使用することができる。
具体的には、内外壁、床、各種コンクリート、金属などの目地シール、船舶用シーラント、プール用目地材、防蟻用シーラント、床材、壁材、屋根材用接着剤、内外壁へのタイル、石材、化粧パネルなどの接着剤、土管、マンホール、ケーブル等のシール接着剤、ポッティング材、一般道路、高速道路、空港滑走路用の舗装材、主にコンクリートを躯体とする農業用水路の不定形目地、補修材、目地材、コンクリートビル等の地上建造物の屋上や壁面、地下やトンネル等の地下構造物の壁面、防水タンク、プール、貯水槽、浴室、防水シートなどに使用される防水材や防水シート用接着剤などの用途が挙げられる。
これらの用途の中で、本発明の硬化性組成物は、特に、コンクリートビル等の地上建造物の屋上や壁面、地下やトンネル等の地下構造物の壁面、防水タンク、プール、貯水槽、浴室、防水シートなどに使用される防水材の用途に好適である。
ここで、防水材としての施工方法について説明する。土木建築物などの下地に、本発明の硬化性組成物を通常用いられるヘラ、刷毛、スプレー等により容易に塗布できる。上述の硬化性組成物は、プライマーを使用することなく下地に十分に含浸、密着して防水層を形成するが、更に確実なものとするために、下地にプライマー層を形成した後に、本発明の硬化性組成物を塗装してもよい。プライマーとしては、一般的に公知のプライマーを使用することができる。
また、防水層の補強を目的として補強布などを用いても良い。補強布としては、特に代表的なものを例示すれば、ガラス繊維、ポリエステル繊維、アミド繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、フェノール繊維等の各種有機繊維類、カーボン繊維、金属繊維、セラミック繊維等の各種の無機繊維類、更にこれらを種々組み合わせたものを挙げることができる。中でも、ガラス繊維が好適に使用される。
本発明の硬化性組成物により形成された塗膜は、美観に優れ、また塗膜表面の粘着性もなく、防水性、耐候性および低温での柔軟性に優れた塗膜であり、すぐれた防水性を長期にわたって保持する特徴を有している。
本発明の硬化性組成物を実施例に基づいて説明する。以下合成例、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの合成例、実施例に限定されるものではない。
以下に加水分解性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A1)、ビニル系重合体(A2)の合成例を示す。
(合成例1)
数平均分子量が約2,000のポリオキシプロピレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、分子量14,000のポリオキシプロピレングリコールを得た。続いてこの水酸基末端ポリオキシプロピレングリコールの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに3−クロロ−1−プロペンを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。次に得られたアリル基末端ポリオキシプロピレン500gに対し白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50μlを加え、撹拌しながら、TES(トリエトキシシラン)11.5gをゆっくりと滴下した。その混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のTESを減圧下留去した。さらにメタノール100g、HCl12ppmを添加して末端のエトキシ基をメトキシ基に変換する事により、末端がトリメトキシシリル基であり1分子あたりのケイ素基が平均1.3個である加水分解性ケイ素基含有ポリオキシプロピレン重合体を得た(ポリマーA)。
(合成例2)
数平均分子量2,000のポリオキシプロピレンジオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒を用いてプロピレンオキシドを重合することにより数平均分子量20,000(GPCより求めたポリスチレン換算値)のポリオキシプロピレンジオールを得た。得られたポリオキシプロピレンジオールとナトリウムメトキシドを反応させた後、塩化アリルを反応させて、末端水酸基を不飽和基に変換した。
この不飽和基末端ポリオキシプロピレン重合体の不飽和基1モルに対して、メチルジメトキシシラン0.65モルを白金ジビニルジシロキサン錯体の存在下反応させて、分子末端にメチルジメトキシシリル基を有する数平均分子量21,000(GPCより求めたポリスチレン換算値)、分子量分布が1.28の加水分解性ケイ素基を有するポリオキシプロピレン重合体を得た(ポリマーB)。
以下にビニル系重合体(A2)の合成例を示す。
(合成例3)
105℃に加熱したトルエン40g中に、メタクリル酸メチル67g、アクリル酸ブチル5g、メタクリル酸ステアリル15g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5g、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン8g、および重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3gをトルエン15gに溶かした溶液を5時間かけて滴下した後、2時間撹拌した。さらに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3gをトルエン10gに溶かした溶液を追加して2時間撹拌することにより、固形分濃度60重量%、数平均分子量が3,000(GPCより求めたポリスチレン換算値)、分子量分布が1.62のアクリル系共重合体を得た(ポリマーC)。
(合成例4)
105℃に加熱したトルエン40g中に、メタクリル酸メチル67g、アクリル酸ブチル5g、メタクリル酸ステアリル15g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5g、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン8g、および重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3gをトルエン15gに溶かした溶液を5時間かけて滴下した後、2時間撹拌した。さらに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3gをトルエン10gに溶かした溶液を追加して2時間撹拌することにより、固形分濃度60重量%、数平均分子量が3,100(GPCより求めたポリスチレン換算値)、分子量分布が1.66のアクリル系共重合体を得た(ポリマーD)。
(合成例5)
(1)重合工程
アクリル酸n−ブチル62.7部アクリル酸18.3部、アクリル酸ステアリル19部を混合した後、脱酸素した。攪拌機付ステンレス製反応容器の内部を脱酸素し、臭化第一銅0.84部、脱酸素した混合モノマーのうち20部を仕込み、加熱攪拌した。アセトニトリル8.8部、開始剤としてジエチル2,5−ジブロモアジペート1.75部を添加、混合し、混合液の温度を約80℃に調節した段階でペンタメチルジエチレントリアミン(以下、トリアミンと略す)0.018部を添加し、重合反応を開始した。残りの混合モノマー80部を逐次添加し、重合反応を進めた。重合途中、適宜トリアミンを追加し、重合速度を調整した。重合時に使用したトリアミンの総量は0.15部であった。重合が進行すると重合熱により内温が上昇するので内温を約80℃〜約90℃に調整しながら重合を進行させた。モノマー転化率(重合反応率)が約95%以上の時点で揮発分を減圧脱揮して除去し、重合体濃縮物を得た。
(2)ジエン反応工程
上記濃縮物に1,7−オクタジエン(以下ジエン若しくはオクタジエンと略す)21部、アセトニトリル35部を添加し、トリアミン0.68部を追加した。内温を約80℃〜約90℃に調節しながら数時間加熱攪拌させて、重合体末端にオクタジエンを反応させた。
(3)酸素処理工程
ジエン反応が終了した時点で反応容器気相部に酸素‐窒素混合ガスを導入した。内温を約80℃〜約90℃に保ちながら反応液を数時間加熱攪拌して反応液中の重合触媒と酸素を接触させた。アセトニトリル及び未反応のオクタジエンを減圧脱揮して除去し、重合体を含有する濃縮物を得た。
(4)第一粗精製工程
酢酸ブチルを重合体の希釈溶媒として使用した。重合体に対して100〜150重量部程度の酢酸ブチルで濃縮物を希釈し、ろ過助剤を添加して攪拌した後、不溶な触媒成分をろ過除去した。ろ液は重合触媒残渣によって濁っていた。
(5)第二粗精製工程
ろ液を攪拌機付ステンレス製反応容器に仕込み、吸着剤としてアルミニウムシリケート(キョーワード700SEN:協和化学製)、ハイドロタルサイト(キョーワード500SH:協和化学製)を添加した。気相部に酸素−窒素混合ガスを導入して約100℃で1時間加熱攪拌した後、吸着剤等の不溶成分をろ過除去した。着色は有するものの清澄なろ液を得た。ろ液を濃縮し、重合体粗精製物を得た。
(6)脱ハロゲン化工程(高温加熱処理工程)・吸着精製工程
重合体粗精製物、熱安定剤(スミライザーGS:住友化学(株)製)、吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加し、減圧脱揮、加熱攪拌しながら昇温し、約170℃〜約200℃の高温状態で数時間程度加熱攪拌、減圧脱揮を行ない、重合体中のハロゲン基の脱離、吸着精製を実施した。吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を更に追加、希釈溶媒として重合体に対して約10重量部の酢酸ブチルを添加、気相部を酸素−窒素混合ガス雰囲気にし、約170℃〜約200℃の高温状態で更に数時間程度加熱攪拌し、吸着精製を継続した。吸着処理後、重合体に対して90重量部の酢酸ブチルで希釈し、ろ過して吸着剤を除去した。ろ液を濃縮し、両末端にアルケニル基を有する重合体を得た。
(7)シリル化工程
上記方法により得られた重合体に、メチルジメトキシシラン(DMS)3.2部、オルト蟻酸メチル(MOF)1.6部、白金触媒[ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒のイソプロパノール溶液:以下白金触媒という]0.0010部を混合し、約100℃に加熱攪拌した。1時間程度加熱攪拌後、未反応のDMS等の揮発分を減圧留去し、両末端に架橋性シリル基としてメチルジメトキシシリル基を有する重合体(ポリマーE)を得た。得られた重合体の数平均分子量は約26000、分子量分布は1.3であった。重合体1分子当たりに導入された平均のシリル基の数をH NMR分析により求めたところ、約1.8個であった。
以下に硬化性組成物の製造例を示す。
〔実施例1〕合成例1で得られたポリマーA100重量部にエポライト4000(共栄社化学(株)製エポキシ樹脂)50重量部、テラージュC−60(ブーデンハイムイベリカ製ポリリン酸アンモニウム)55重量部、2、4、6−トリスー(ジメチルアミノメチル)フェノール(エアープロダクツジャパン(株)製エポキシ硬化剤)10重量部、N−β―(アミノエチル)−γ―アミノプロピルトリメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製)1.5重量部、U810(日東化成(株)製)1重量部を添加し、よく混練して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物を以下の方法にて評価し、結果を表1に示した。
(引っ張り物性)
23℃50%RH条件下にて、上記硬化性組成物を厚さ3mmのシート状にして3日間置き、更に50℃で4日間置いて養生を行った。JIS K 6253に準拠して、硬化物をダンベル状3号形に打ち抜いた後、島津(株)製のオートグラフを用いて引張速度200mm/分で引張試験を行い、破断強度、破断伸びを測定した。
(難燃性)
23℃50%RH条件下にて、上記硬化性組成物を縦、横50mm×150mm、厚さ2mmのシート状にして3日間置き、更に50℃で4日間置いて養生を行った。このシートの中央部に下部に、着火源として0.5gのかんなくずを置き、着火源に着火した。着火源が燃え尽きた後に、シートが全焼しなかった場合は○、全焼した場合は×とした。
(粘度)
23℃50%RH条件下にて、上記硬化性組成物を東京計器(株)製のBM型粘度計、ローターNo.4を使用して、6rpm粘度を測定した(単位Pa・s)。〔実施例2〕ポリマーAの代わりにポリマーBを100重量部用いた以外は、実施例1と同様の組成で評価を行った。
〔実施例3〕ポリマーA 100重量部の代わりにポリマーAを60重量部、ポリマーCを40重量部用いた以外は、実施例1と同様の組成で評価を行った。
〔実施例4〕ポリマーA 100重量部の代わりにポリマーAを60重量部、ポリマーDを40重量部用いた以外は、実施例1と同様の組成で評価を行った。
〔実施例5〕ポリマーAの代わりにポリマーEを100重量部用いた以外は、実施例1と同様の組成で評価を行った。
〔実施例6〕ポリマーA 100重量部の代わりにポリマーAを70重量部、ポリマーEを30重量部用いた以外は、実施例1と同様の組成で評価を行った。
〔実施例7〕テラージュC−60を55重量部加える代わりにテラージュC−60を15重量部、メラミン(和光純薬工業(株)製)2.0重量部、ペンタエリトリトール(和光純薬工業(株)製)6重量部を用いた以外は、実施例6と同様の組成で評価を行った。
〔比較例1〕ポリリン酸アンモニウムの代わりに水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製)を55重量部用いた以外は、実施例6と同様の組成で評価を行った。
〔比較例2〕ポリリン酸アンモニウムの代わりに水酸化アルミニウムを150重量部用いた以外は、実施例6と同様の組成で評価を行った。
〔比較例3〕ポリリン酸アンモニウムの代わりにリン酸エステル(大八化学工業(株)製CDP)を55重量部用いた以外は、実施例6と同様の組成で評価を行った。
Figure 2012111792
表1に示すように、加水分解性ケイ素基を有する有機重合体、エポキシ樹脂、ポリリン酸アンモニウムからなる硬化性組成物は高強度、難燃性を併せ持っていることが分かる。リン酸エステルを用いた比較例3では、難燃性は優れるものの十分な強度は得られなかった。

Claims (11)

  1. (A)加水分解性ケイ素基を有する有機重合体100重量部に対し、(B)エポキシ樹脂10〜100重量部、(C1)ポリリン酸アンモニウム20〜100重量部を含むことを特徴とする硬化性組成物。
  2. (A)加水分解性ケイ素基を有する有機重合体100重量部に対し、(B)エポキシ樹脂10〜100重量部、(C2)ポリリン酸アンモニウム1〜20重量部、多価アルコール1〜20重量部、及び含窒素化合物1〜20重量部を含むことを特徴とする硬化性組成物。
  3. 加水分解性ケイ素基を有する有機重合体の主鎖がポリオキシアルキレン系重合体(A1)であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  4. 加水分解性ケイ素基を有する有機重合体の主鎖がビニル系重合体(A2)であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  5. 加水分解性ケイ素基を有する有機重合体が、ポリオキシアルキレン系重合体(A1)とビニル系重合体(A2)の混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  6. ポリオキシアルキレン系重合体(A1)の分子量分布が1.6以下であることを特徴とする請求項3、5のいずれかに記載の硬化性組成物。
  7. 加水分解性ケイ素基を有する有機重合体が加水分解性シリル基を重合体末端に少なくとも1個有するビニル系重合体(A2)であることを特徴とする請求項1、2、4〜6のいずれかに記載の硬化性組成物。
  8. ビニル系重合体(A2)の分子量分布が1.8以下であることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の硬化性組成物。
  9. (C)ポリリン酸アンモニウムが耐水性を与える表面処理剤により表面処理されたポリリン酸アンモニウムであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の硬化性組成物。
  10. 硬化性組成物の粘度が23℃でBM型粘度計での粘度が50Pa・s以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の硬化性組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の硬化性組成物を含有する塗膜防水材組成物。
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