JP2015197664A - 基板型光導波路素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】デバイス長を短くし、更なる小型化を図ることを可能とした基板型光導波路素子を提供する。
【解決手段】第1の導波路3と第2の導波路4とは、それぞれの入力側と出力側との間にモード変換部12を有している。モード変換部12は、第1の導波路3と第2の導波路4との間でモード結合が生じる導波路構造を有し、第1の導波路3における第1の導波モードTEと、第2の導波路4における第2の導波モードTEとの実効屈折率が、導波路構造における光の伝搬方向に垂直な少なくとも一断面において一致し、且つ、一断面を挟んで第1の導波モードTEの実効屈折率と、第2の導波モードTEの実効屈折率との大小関係が、それぞれの入力側と出力側との間で入れ替わる。
【選択図】図1

Description

本発明は、基板型光導波路素子に関する。
現在、光通信で伝送される情報量は増加の一途を辿っている。こうした情報量の増加に対応するため、伝送速度の高速化や、波長多重通信によるチャネル数の増設といった対策が進められている。特に、高速度の情報通信を目的とした次世代の100Gbpsデジタルコヒーレント伝送技術においては、電界が直交する2つの偏波モードに情報を載せる偏波多重方式が利用されている。この偏波多重方式においては、単一の偏波を利用した光伝送システムと比較して単位時間当たりの情報量を2倍にすることができる。
しかしながら、偏波多重方式を含む高速通信用の光変調方式においては、光変調器の構造が複雑になり、装置の大型化及び高額化といった問題が生じてしまう。こうした問題に対して、基板型光導波路素子を用いた光変調器の研究が行われている。
基板型光導波路素子の一例として、基板の上に、シリコン(Si)からなるコアと、コアよりも屈折率が小さい石英(SiO)からなるクラッドとを有する導波路を備えたものがある。このようなSiを用いた基板型光導波路素子は、加工が容易で屈折率が高いSiを材料として用いることで、集積化による小型化や、大量生産による低コスト化等のメリットを持つ。
ところで、このような基板型光導波路素子を用いた偏波多重方式を含む光変調器には、次のような問題点がある。すなわち、基板型光導波路素子では、導波路を形成するコアの横断面形状が、基板に対して平行な方向(幅方向)と基板に対して垂直な方向(厚み方向)で非対称となるのが一般的である。このため、電界の主成分が基板の面内方向となる偏波モード(TEモードという。)と、磁界の主成分が基板の面内方向(電界の主成分が基板の垂直方向)となる偏波モード(TMモードという。)との間で、実効屈折率などの特性が異なっている。
これら2つの偏波モードの中で多くの場合に使用されるのは、TEモードとTMモードである。このうち、TEモードは、TEモードの中で実効屈折率が一番大きいモードであり、TMモードは、TMモードの中で実効屈折率が一番大きいモードである。
しかしながら、実効屈折率などの特性が異なるこれらの偏波モードに対して光変調操作を行う場合は、単一の基板型光導波路素子を用いるだけでは困難であり、偏波モード毎に最適化された基板型光導波路素子が必要となる。したがって、基板型光導波路素子を用いた偏波多重方式には、基板型光導波路素子の開発の面で大きな労力が必要となるといった問題があった。
この問題を解決する方法として、TEモードに対して設計された基板型光導波路素子への入力光としてTEモードの光を用い、その出力光をTMモードの光に偏波変換する方法が挙げられる。ここで、「偏波変換」とは、TEモードからTMモードへの変換、若しくはTMモードからTEモードへの変換を言う。上記の光変調操作を行うためには、基板上で偏波変換を行う基板型光導波路素子が必要となる。
このような偏波変換を基板上で行う技術として、TEモードからTEモードへの変換と、TEモードからTMモードへの変換とを組み合わせたものがある(非特許文献1を参照。)。なお、TEモードは、TEモードの中で実効屈折率が2番目に高いモードを表す。
このような偏波変換を行うためには、TEモードからTEモードへの変換を行う変換素子と、TEモードからTMモードへの変換を行う変換素子(以下、高次偏波変換素子という。)との2つが必要となる。
本発明では、このうち、上述したTEモードからTEモードへの変換に着目する。さらに、この変換に鑑みて、一般的な異なるモード間の変換(以下、モード変換と呼び、この変換を行う素子をモード変換素子と呼ぶ。)に着目する。ここで、「モード変換」とは、0以上の整数i,j(但し、i≠jである。)について、TEモードの中で実効屈折率が(i+1)又は(j+1)番目に大きいモードをTEモード又はTEモードとし、TMモードの中で実効屈折率が(i+1)又は(j+1)番目に大きいモードをTMモード又はTMモードとしたときに、TEモードとTEモードとの間の変換と、TMモードとTMモードとの間の変換と、TEモードとTMモードとの間の変換と、TEモードとTMモードとの間の変換とのうち何れかの変換を言う。なお、上述したTEモードからTEモードへのモード変換は、TEモードからTEモードへのモード変換のうち、i=0,j=1の場合である。以下、変換対象となる2つのモードを対象モードと呼ぶことにする。
モード変換に関連する従来技術として、下記非特許文献2,3に記載のモード変換素子が挙げられる。具体的に、下記非特許文献2に記載のモード変換素子について、図44(A),(B)を参照して説明する。なお、図44(A)は、下記非特許文献2に記載のモード変換素子を示す斜視図であり、図44(B)は、図44(A)中に示す線分Z−Zによるモード変換素子の断面図である。
図44(A),(B)に示すモード変換素子は、2本の並列した導波路201,202を形成するコア203と、コア203を覆うクラッド204とを備えている。コア203は、Siからなる断面矩形状の導波路(いわゆる矩形導波路)201,202を形成している。クラッド204は、SiOからなる下部クラッド205と、空気層からなる上部クラッド206とから構成されている。導波路201,202は、下部クラッド205の面上に同じ厚み(高さ)で形成されている。上部クラッド206は、導波路201,202が形成された下部クラッド205の面上を覆っている。
図44(A),(B)に示すモード変換素子では、導波路201,202の幅が互いに異なっており、導波路202の幅が光の導波方向に沿って連続的(テーパ状)に変化している。これにより、2本の並列した導波路201,202の入力側と出力側との間で、導波路がテーパ化された方向性結合器が構成されている。なお、以下の説明において、2本の導波路のうち何れか一方又は両方がテーパ状の導波路からなる方向性結合器のことを「テーパ化方向性結合器」と呼ぶことにする。
図44(A),(B)に示すモード変換素子では、TEモードで導波する光(図44(A)中の矢印TEで表す。)が、一方の導波路201側から入力され、テーパ化方向性結合器でモード結合されることによって、TEモードで導波する光(図44(A)中の矢印TEで表す。)にモード変換されて、他方の導波路202側から出力される。したがって、対象モードは、一方の導波路201におけるTEモードと、他方の導波路202におけるTEモードである。
ここで、「モード結合」とは、一方の導波路の対象モードについて、その電界の一部が外部に浸み出し、隣接する他方の導波路に移ることを言う。モード結合を効率良く行うためには、隣接する導波路におけるそれぞれの対象のモードの実効屈折率が、同程度である必要がある(「同程度」とは、実効屈折率の差の絶対値が、後述する結合係数χを用いて、χ×波長/πよりも小さいときを言う。)。また、この条件が満たされていることを「位相整合している」と言う。
また、図44(A),(B)に示すモード変換素子では、TEモードで導波する光(図44(A)中の矢印TE’で表す。)が、他方の導波路202側から入力され、テーパ化方向性結合器でモード変換することなく、他方の導波路202側から出力される。これにより、TEモードの光とTEモードの光とが他方の導波路202の出力側から同時に出力される(以下、モード多重という。)。
ここで、「モード多重」とは、一方の導波路から他方の導波路へのモード変換によって生じたモード(モードAとする。)の光と、他方の導波路に入力されたモードAとは異なるモード(モードBとする。)の光とが、他方の導波路から同時に出力されることを言う。他方の導波路から入力されたモードBの光が方向性結合器においてモードBとは異なるモードにモード変換されることなく、他方の導波路から出力されるためには、モードBが一方の導波路のどのモードとも位相整合しないようにすればよい。
一方、下記非特許文献3に記載のモード変換素子(リブ導波路を用いたモード変換素子)について、図45(A),(B)を参照して説明する。なお、図45(A)は、下記非特許文献3に記載のモード変換素子を示す平面図であり、図45(B)は、図45(A)中に示す線分Z−Zによるモード変換素子の断面図である。
図45(A),(B)に示すモード変換素子は、2本の並列した導波路301,302を形成するコア303と、コア303を覆うクラッド304とを備えている。コア303は、リブ部305,306と、スラブ部307とを有している。リブ部305,306は、Siからなり、同じ厚み(高さ)で断面矩形状に形成されている。スラブ部307は、Siからなり、リブ部305,306よりも低い高さで、リブ部305,306の幅方向の両側に連続して形成されている。これにより、コア303は、リブ部305,306の幅方向の両側にスラブ部307が設けられた導波路(いわゆるリブ導波路)301,302を形成している。
クラッド304は、SiOからなる下部クラッド308と、空気層からなる上部クラッド309とから構成されている。導波路301,302(リブ部305,306及びスラブ部307)は、下部クラッド308の面上に形成されている。上部クラッド309は、リブ部305,306及びスラブ部307を形成するコア303の面上を覆っている。
図45(A),(B)に示すモード変換素子では、導波路301,302の幅が互いに異なっており、曲線状の導波路301と直線状の導波路302との間隔及び導波路301,302の幅が光の導波方向に沿って連続的(テーパ状)に変化している。これにより、2本の並列した導波路301,302の入力側と出力側との間で、テーパ化方向性結合器が構成されている。
図45(A),(B)に示すモード変換素子では、TEモード(下記非特許文献3中のthe fundamental mode of the "add" waveguide)で導波する光(図45(A)中の矢印TEで表す。)が、一方の導波路301側から入力され、テーパ化方向性結合器でモード結合されることによって、TEモード(下記非特許文献3中のthe 3rd modes of the "bus" waveguide)で導波する光(図45(A)中の矢印TEで表す。)にモード変換されて、他方の導波路302側から出力される。したがって、対象モードは、導波路301におけるTEモードと、導波路302におけるTEモードである。
Daoxin Dai and John E. Bowers, "Novel concept for ultracompact polarization splitter-rotator based on silicon nanowires," Optics Express, Vol. 19, No. 11, pp. 10940-10949 (2011) Yunhong Ding, Jing Xu, Francesco Da Ros, Bo Huang, Haiyan Ou, and Christophe Peucheret, "On-chip two-mode division multiplexing using tapered directional coupler-based mode multiplexer and demultiplexer," Optics Express, Vol. 21, No. 8, pp. 10376-10382 (2013) Maxim Greenberg and Meir Orenstein, Francesco Da Ros, Bo Huang, Haiyan Ou, and Christophe Peucheret, "Multimode add-drop multiplexing by adiabatic linearly tapered coupling," Optics Express, Vol. 13, No. 23, pp. 9381-9387 (2005)
ところで、上述したテーパ化方向性結合器では、同じモード同士の変換(例えば、TEモードからTEモードへの変換)において同程度の変換効率を得ようとした場合、隣接する導波路における対象モード同士のモード結合の強さに依存して、デバイス長が決定される。すなわち、モード結合が強いほど、デバイス長を短くすることができる。
しかしながら、図44(A),(B)に示すモード変換素子では、上述した矩形導波路を利用したテーパ化方向性結合器であり、隣接する導波路201,202の間に上部クラッド206が配置されている。このため、一方の導波路201を導波する光は、外部に浸み出す光の量が少なく、大部分が内部に閉じ込められてしまう。したがって、矩形導波路を利用したテーパ化方向性結合器では、隣接する導波路201,202における対象モード同士のモード結合が弱いため、デバイス長が長くなってしまう。
一方、図45(A),(B)に示すモード変換素子では、上述したリブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器であり、導波路301,302を形成するリブ部305,306の間にスラブ部307が配置されている。このため、一方の導波路301を導波する光は、リブ部301からスラブ部307へと大きく浸み出すことになる。したがって、リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器では、矩形導波路を利用したテーパ化方向性結合器よりも、隣接する導波路301,302における対象モード同士のモード結合が強い。
しかしながら、リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器では、リブ部305,306の幅方向の両側にスラブ部307が存在する。このため、一方の導波路301を導波する光は、この導波路301を基準として他方の導波路302側のスラブ部307(リブ部305とリブ部306との間のスラブ部307)だけではなく、この導波路301を基準として他方の導波路302側とは反対側のスラブ部307にも大きく浸み出す。この光はモード結合に寄与しないことから、モード結合を弱める一つの要因となる。
以上のように、従来のモード変換素子では、隣接する導波路間におけるモード結合が比較的弱いために、デバイス長を長くする必要があった。特に、Siをコアとした基板型光導波路素子では、Siからなるコアと、SiO(空気層やSiNなどを含む。)からなるクラッドとの間で高い屈折率差を有する。このため、コアへの光の閉じ込めが強く、上述した問題が顕著である。
本発明の一つの態様は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、デバイス長を短くし、更なる小型化を図ることを可能とした基板型光導波路素子、並びにそのような基板型光導波路素子を用いた偏波多重4値位相変調器、コヒーレント受信機、及び偏波ダイバーシティを提供することを一つの目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一つの態様に係る基板型光導波路素子は、基板の上に、互いに並列した第1の導波路及び第2の導波路を形成するコアと、前記コアを覆うと共に前記コアよりも屈折率が小さいクラッドと、を備える。前記コアは、前記第1の導波路を形成する第1のリブ部と、前記第2の導波路を形成する第2のリブ部と、前記第1のリブ部及び前記第2のリブ部よりも小さい厚みで、前記第1のリブ部と前記第2のリブ部との間で共有されるスラブ部と、を有している。前記第1の導波路と前記第2の導波路とは、それぞれの入力側と出力側との間に前記入力側から入力された光のモードを前記光のモードとは異なるモードに変換するモード変換部を有している。前記モード変換部は、前記第1の導波路と前記第2の導波路との間でモード結合が生じる導波路構造を有し、前記第1の導波路における第1の導波モードと、前記第2の導波路における第2の導波モードとの実効屈折率が、前記導波路構造における光の伝搬方向に垂直な少なくとも一断面において一致し、且つ、前記一断面を挟んで前記第1の導波モードの実効屈折率と、前記第2の導波モードの実効屈折率との大小関係が、それぞれの入力側と出力側との間で入れ替わる。
また、前記基板型光導波路素子は、電界が前記基板の面内方向となるTEモードのうち(n,mは自然数を表す。但し、m>nである。)、前記第1の導波モードは、n番目に大きい実効屈折率を有するTE(n−1)モードであり、前記第2の導波モードは、m番目に大きい実効屈折率を有するTE(m−1)モードである構成であってもよい。
また、前記基板型光導波路素子は、n=1、m=2である構成であってもよい。
また、前記基板型光導波路素子は、前記モード変換部において、前記第1のリブ部の幅が光の導波方向に沿って連続的に小さくなり、前記第2のリブ部の幅が光の導波方向に沿って連続的に大きくなる構成であってもよい。
また、前記基板型光導波路素子は、前記モード変換部において、前記スラブ部の幅が長さ方向において一定である構成であってもよい。
また、前記基板型光導波路素子において、前記モード変換部は、前記スラブ部の幅が最も小さくなる幅狭部と、入力側から前記幅狭部に向かって前記スラブ部の幅が連続的に小さくなる縮幅部と、前記幅狭部から出力側に向かって前記スラブ部の幅が連続的に大きくなる拡幅部とを有する構成であってもよい。
また、前記基板型光導波路素子は、前記スラブ部、前記第1のリブ部及び前記第2のリブ部の厚みが長さ方向において一定である構成であってもよい。
また、前記基板型光導波路素子は、前記第1のリブ部及び前記第2のリブ部の厚みが等しい構成であってもよい。
また、前記基板型光導波路素子において、前記コアは、前記モード変換部の入力側と出力側との何れか一方側又は両側に曲げ導波路を有し、前記曲げ導波路は、前記第1のリブ部と前記第2のリブ部との少なくとも一方又は両方を面内で曲げることによって、前記第1のリブ部と前記第2のリブ部との間の間隔が光の導波方向に沿って連続的に大きくなる又は小さくなる形状を有する構成であってもよい。
また、前記基板型光導波路素子において、前記コアは、前記モード変換部の入力側と出力側との何れか一方側又は両側にテーパ導波路を有し、前記テーパ導波路は、前記第1のリブ部の前記第2のリブ部と対向する側の側面に連続して設けられた第1のスラブ部と、前記第2のリブ部の前記第1のリブ部と対向する側の側面に連続して設けられた第2のスラブ部とを有し、前記第1のスラブ部と前記第2のスラブ部とは、前記スラブ部に連続して設けられ、且つ、それぞれの幅が前記スラブ部に向かって連続的に大きくなる形状を有する構成であってもよい。
また、前記基板型光導波路素子は、前記コアがSiを含み、前記クラッドがSiOを含む構成であってもよい。
また、前記基板型光導波路素子において、前記コアは、前記モード変換部の出力側に位置して、前記第2の導波路に接続された高次偏波変換部を有し、前記高次偏波変換部は、前記第2の導波路から出力されたTEモードで導波する光を、磁界が前記基板の面内方向となるTMモードのうち、1番目に大きい実効屈折率を有するTMモードで導波する光にモード変換して出力する構成であってもよい。
また、本発明の一つの態様に係る偏波多重4値位相変調器は、前記何れかの基板型光導波路素子を用いることを特徴とする。
また、本発明の一つの態様に係るコヒーレント受信機は、前記何れかの基板型光導波路素子を用いることを特徴とする。
また、本発明の一つの態様に係る偏波ダイバーシティは、前記何れかの基板型光導波路素子を用いることを特徴とする。
以上のように、本発明の一つの態様によれば、デバイス長を短くし、更なる小型化を図ることを可能とした基板型光導波路素子、並びにそのような基板型光導波路素子を用いた偏波多重4値位相変調器、コヒーレント受信機、及び偏波ダイバーシティを提供することが可能である。
本発明の一実施形態に係る基板型光導波路素子を示し、(A)はその平面図、(B)はその断面図である。 半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器の各部の寸法の一例を示し、(A)はその平面図、(B)はその断面図である。 導波路1と導波路2がそれぞれ独立に存在するときのWに対する実効屈折率の変化をシミュレーションにより求めたときの(A)は導波路1と導波路2との各部の寸法を示す断面図、(B)はその結果を示すグラフである。 導波路1と導波路2とを隣接させたときのWに対する実効屈折率の変化をシミュレーションにより求めたグラフである。 W=−100の断面位置(a)における♯1モードの電界分布のE成分をシミュレーションにより求めたグラフである。 W=−50の断面位置(b)における♯1モードの電界分布のE成分をシミュレーションにより求めたグラフである。 W=0の断面位置(c)における♯1モードの電界分布のE成分をシミュレーションにより求めたグラフである。 W=+50の断面位置(d)における♯1モードの電界分布のE成分をシミュレーションにより求めたグラフである。 W=+100の断面位置(e)における♯1モードの電界分布のE成分をシミュレーションにより求めたグラフである。 矩形導波路におけるTEモードによる電界分布のE成分をシミュレーションにより求めたグラフである。 リブ導波路におけるTEモードによる電界分布のE成分をシミュレーションにより求めたグラフである。 半リブ導波路におけるTEモードによる電界分布のE成分をシミュレーションにより求めたグラフである。 矩形導波路を利用したテーパ化方向性結合器の各部の寸法の一例を示し、(A)はその平面図、(B)はその断面図である。 リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器の各部の寸法の一例を示し、(A)はその平面図、(B)はその断面図である。 図2、図13及び図14中に示す囲み部分Cの外側における導波路構造を示す平面図である。 矩形導波路、リブ導波路、半リブ導波路について、それぞれのテーパ長と変換効率との関係を示すグラフである。 半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器について、テーパ長と変換効率との関係を示すグラフである。 半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器について、導波路1にTEモードの光を入力したときの電界分布のy=0.1μmの断面でのE成分を示すグラフである。 半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器について、波長と変換効率との関係を示すグラフである。 半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器について、導波路2にTEモードの光を入力したときの電界分布のy=0.1μmの断面でのE成分を示すグラフである。 波長が1520nmのときの上記図3(B)に対応する実効屈折率のグラフである。 波長が1640nmのときの上記図3(B)に対応する実効屈折率のグラフである。 リブ部の幅が+30nm変化したときの上記図3(B)に示すグラフに対応する実効屈折率のグラフである。 リブ部の幅が−30nm変化したときの上記図3(B)に示すグラフに対応する実効屈折率のグラフである。 スラブ部の高さが+20nm変化したときの上記図3(B)に示すグラフに対応する実効屈折率のグラフである。 スラブ部の高さが−20nm変化したときの上記図3(B)に示すグラフに対応する実効屈折率のグラフである。 W=−100の断面位置(a)における♯0モードによる電界分布のE成分をシミュレーションにより求めたグラフである。 W=−50の断面位置(b)における♯0モードによる電界分布のE成分をシミュレーションにより求めたグラフである。 W=0の断面位置(c)における♯0モードによる電界分布のE成分をシミュレーションにより求めたグラフである。 W=+50の断面位置(d)における♯0モードによる電界分布のE成分をシミュレーションにより求めたグラフである。 W=+100の断面位置(e)における♯0モードによる電界分布のE成分をシミュレーションにより求めたグラフである。 本発明の第1の実施形態に係る基板型光導波路素子を示し、(A)はその平面図、(B)はその断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る基板型光導波路素子を示し、(A)はその平面図、(B)はそのテーパ導波路を示す平面図、(C)はテーパ導波路の変形例を示す平面図である。 本発明の第3の実施形態に係る基板型光導波路素子を示し、(A)はその平面図、(B)はその断面図である。 図34に示す基板型光導波路素子について、上記図4に対応する実効屈折率のグラフである。 図34に示す基板型光導波路素子について、W=−100の断面位置における♯1モードの電界分布のE成分をシミュレーションにより求めたグラフである。 図34に示す基板型光導波路素子について、W=+100の断面位置における♯1モードの電界分布のE成分をシミュレーションにより求めたグラフである。 本発明の第4の実施形態に係る偏波変換素子の一例を示す模式図である。 本発明の第5の実施形態に係る偏波変換素子の一例を示す模式図である。 図39に示す偏波変換素子の一例を示す平面図である。 本発明の第6の実施形態に係るDP−QPSK変調器の一例を示す模式図である。 本発明の第7の実施形態に係るコヒーレント受信機の一例を示す模式図である。 本発明の第8の実施形態に係る偏波ダイバーシティの一例を示す模式図である。 従来の矩形導波路を用いたモード変換素子の一例を示し、(A)は、その斜視図、(B)その断面図である。 従来のリブ導波路を用いたモード変換素子の一例を示し、(A)は、その平面図、(B)その断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の全ての図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
(基板型光導波路素子)
先ず、本発明の一実施形態として、例えば図1(A),(B)に示す基板型光導波路素子1について説明する。なお、図1(A)は、基板型光導波路素子1を示す平面図であり、図1(B)は、図1(A)中に示す線分Z−Zによる基板型光導波路素子1の断面図である。
図1(A),(B)に示す基板型光導波路素子1は、基板2の上に、互いに並列した第1の導波路3及び第2の導波路4を形成するコア5と、コア5を覆うと共にコア5よりも屈折率が小さいクラッド6とを備えている。
基板型光導波路素子1では、例えば、Si−SiO−SiからなるSOI(Silicon on insulator)ウェハを用いて作製できる。具体的に、このSOIウェハの最上層にあるSi層を加工することで、コア5(第1の導波路3及び第2の導波路4)を形成することができる。SOIウェハを用いた場合、最下層にあるSiが基板2となり、中間にあるSiOが後述する下部クラッド10となる。
コア5は、第1の導波路3を形成する第1のリブ部7と、第2の導波路4を形成する第2のリブ部8と、第1のリブ部7及び第2のリブ部8よりも小さい厚み(低い高さ)で、第1のリブ部7と第2のリブ部8との間で共有されるスラブ部9とを有している。
コア5(第1のリブ部7、第2のリブ部8及びスラブ部9)は、クラッド6よりも屈折率が高い材料、好ましくはSiからなる。基板型光導波路素子1では、上述したSOIウェハの最上層にあるSi層を2段階でエッチングすることで、第1のリブ部7と第2のリブ部8とスラブ部9とを一体に形成することができる。
第1のリブ部7と第2のリブ部8とは、同じ厚み(高さ)で断面矩形状に形成されている。スラブ部9は、第1のリブ部7と第2のリブ部8との互いに対向する側面の間に亘って形成されている。これにより、第1の導波路3と第2の導波路4とは、第1のリブ部7と第2のリブ部8との幅方向の片側のみにスラブ部9が設けられた導波路(いわゆる半リブ導波路)を形成している。
クラッド6は、下部クラッド10と、上部クラッド11とを有している。第1の導波路3及び第2の導波路4(第1のリブ部7、第2のリブ部8及び第3のスラブ部9)は、下部クラッド10の面上に形成されている。上部クラッド11は、第1のリブ部7、第2のリブ部8及び第3のスラブ部9が形成された下部クラッド10の面上を覆っている。
クラッド6は、コア5よりも屈折率が低い材料、具体的には、SiOやSiN、空気層(但し、空気層は上部クラッド11のみ適用可能。)などからなる。基板型光導波路素子1では、上述したSOIウェハのSiO層が下部クラッド10を形成し、その上の空気層が上部クラッド11を形成している。また、上部クラッド11は、下部クラッド10の面上を覆うSiO層により形成してもよい。
第1の導波路3と第2の導波路4とは、それぞれの入力側と出力側との間に入力側から入力された光のモードを、この光のモードとは異なるモードに変換するモード変換部(モード変換素子)12を有している。モード変換部12では、第1の導波路3と第2の導波路4との間でモード結合が生じる導波路構造を有している。
具体的に、モード結合が生じる導波路構造としては、例えば、第1のリブ部7及び第2のリブ部8の幅や厚み(高さ)、スラブ部9の厚み(高さ)などを光の導波方向Lに沿って連続的に変化させたものが挙げられる。実効屈折率は、光のコア5(第1の導波路3及び第2の導波路4)への閉じ込めに関係する。すなわち、第1の導波路3及び第2の導波路4においては、第1のリブ部7及び第2のリブ部8の幅や厚み(高さ)が大きくなることによって、実効屈折率が増加し、第1のリブ部7及び第2のリブ部8の幅や厚み(高さ)が小さくなることによって、実効屈折率が低下する。
したがって、上述した導波路構造を変化させることで、第1の導波路3及び第2の導波路4を導波する光のモードの実効屈折率を調整することができる。特に、第1のリブ部7及び第2のリブ部8とスラブ部9との厚み(高さ)を、第1の導波路3及び第2の導波路4の長さ方向において一定としたまま、第1のリブ部7及び第2のリブ部8の幅だけを変えて実効屈折率の調整を行う場合は、上述したSOIウェハの加工による作製が容易となるため、効率的である。
モード変換部12では、第1のリブ部7の幅が光の導波方向Lに沿って連続的に小さくなり、第2のリブ部8の幅が光の導波方向Lに沿って連続的に大きくなっている。一方、スラブ部9の幅は、第1のリブ部7及び第2のリブ部8の長さ方向において一定となっている。これにより、第1の導波路3及び第2の導波路4の入力側と出力側との間で、半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器が構成されている。
モード変換部12では、上述した導波路構造によって、第1の導波路3における第1の導波モードと、第2の導波路4における第2の導波モードとの実効屈折率が、導波路構造における光の伝搬方向に垂直な少なくとも一断面において一致し、且つ、この一断面を挟んで第1の導波モードの実効屈折率と、第2の導波モードの実効屈折率との大小関係が、それぞれの入力側と出力側との間で入れ替わる。
基板型光導波路素子1において、第1の導波路モードは、n(nは自然数を表す。)番目に大きい実効屈折率を有するTE(n−1)モードである。一方、第2の導波路モードは、m(mは自然数を表す。但し、m>nである。)番目に大きい実効屈折率を有するTE(m−1)モードである。具体的に、本実施形態における第1の導波路モードは、TEモード(n=1)であり(図1(A)中の矢印TEで表す。)、第2の導波路モードは、TEモード(m=2)である(図1(A)中の矢印TEで表す。)。
以上のように、本実施形態の基板型光導波路素子1では、上述したモード変換部12において、半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器が構成されている。この半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器では、第1の導波路3を形成する第1のリブ部7と第2の導波路4を形成する第2のリブ部8との間にスラブ部9が配置されている。このため、第1の導波路3を導波する光は、第1のリブ部7からスラブ部9へと大きく浸み出すことになる。一方、スラブ部9は、第1のリブ部と第2のリブ部8との間にのみ存在する。このため、第1の導波路3を導波する光は、第1のリブ部7を基準としてスラブ部9が配置されている側とは反対側へ浸み出しづらい。したがって、第1の導波路3を導波する光のうちモード結合に寄与しない光を少なくすることができる。
これにより、半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器では、上述したリブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器よりもモード結合の強さが向上するため、単位長さ辺りの変換効率を高めて高効率なモード変換が可能となる。その結果、デバイス長を短くできるため、基板型光導波路素子1(モード変換部12)の更なる小型化を図ることが可能である。
(半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器)
次に、半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器について説明する。
なお、以下の説明では、上記基板型導波路素子1と同等の部位については、必要に応じて図面等において同じ符号を付すものとする。
隣接する導波路が位相整合されている場合、一方の導波路から浸み出した光が他方の導波路へ移りきるのに要する導波路の長さは、モード結合の強さを表す結合係数χに依存する。この結合係数χは、下記式(1)のように表される。
なお、式(1)中において、E(i=1,2)は、2つの隣接する導波路i(i=1,2)を導波する結合対象のモードの電界ベクトルを表し、Nは、2つの導波路を隣接させたときの屈折率分布を表し、Nは、導波路iが単独で存在するときの屈折率分布を表し、座標x,yは、それぞれ幅方向,高さ方向を表す。
上記式(1)より、隣接する2つの導波路のうち一方のコア断面において、両方のモードの電界の内積を積分するため、コアのリブ部から外部へ浸み出す光が大きいほど導波路間の結合が強くなることがわかる。後述するように、結合係数χが大きいと、短い距離で、モード結合によるモードの変換を高効率に行うことができる。
次に、半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器によるTEモードからTEモードへのモード変換を考える。
なお、以下の説明では、結合対象のTEモードの光が導波する第1の導波路3を「導波路1」、結合対象のTEモードの光が導波する第2の導波路4を「導波路2」と呼ぶ。
また、半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器の各部の寸法を図2(A),(B)に例示する。なお、図2(A)は、半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器の各部の寸法の一例を示す平面図であり、図2(B)は、半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器の各部の寸法の一例を示す断面図である。
半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器については、図2(A),(B)に示すように、コア5(リブ部7,8及びスラブ部9)をSi(屈折率3.48(波長1580nm時))とし、クラッド6(下部クラッド10及び上部クラッド11)をSiO(屈折率1.44(波長1580nm時))とし、リブ部7,8の厚み(高さ)を220nm、スラブ部9の厚み(高さ)を95nmとし、リブ部7,8の間隔(スラブ部9の幅)を300nmとし、長さ方向に一定としている。また、第1のリブ部7の幅を400−W[nm]、第2のリブ部8の幅を908+W[nm]とし(−100≦W≦100)、それぞれの始端の断面位置(a)(W=−100の位置)と終端の断面位置(e)(W=+100の位置)との間で、第1のリブ部7の幅が一定間隔で減少し、第2のリブ部8の幅が一定間隔で増加するように、導波路1,2を光の導波方向に沿ってテーパ化している。このテーパ化している部分の長さ(テーパ長という。)をSμmとしている。また、第1のリブ部7の幅と第2のリブ部8の幅は、それぞれの中間の断面位置(c)(W=0の位置)付近で位相整合するような幅としている。なお、断面位置(b)は、断面位置(a)と断面位置(c)との中間(W=−50の位置)に位置し、断面位置(d)は、断面位置(c)と断面位置(e)との中間(W=+50の位置)に位置している。
先ず、図2(A),(B)に示す半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器について、導波路1のTEモードと導波路2のTEモードとが位相整合するときの実効屈折率を有限要素法(FEM:finite element method)によるシミュレーションによって求めた。計算するに当たり、導波路1と導波路2とがそれぞれ独立に存在する場合の構造を想定した。このとき用いた構造は、図3(A)に示すとおりである。具体的に、本シミュレーションでは、波長を1580nmとし、導波路1のリブ部の幅を400nmとし、導波路2のリブ部の幅を908nmとし、スラブ部の幅を1μmとした。(図3(A)において、W=0のときに該当する。)その計算結果を下記表1に示す。
本シミュレーションにおいて、導波路1のTEモードと導波路2のTEモードとの間の実効屈折率差は、約1.06×10−4となった。なお、後述する導波路1と導波路2とを300nmの幅で隣接させたときのそれぞれのモードの結合係数χは、0.163356[rad/μm]であった。これは、χ×波長/π(=0.08216)>>実効屈折率差(≒1.06×10−4)であるため、上記シミュレーションにより求めたTEモードとTEモードの実効屈折率は同程度と言える。すなわち、これらのモードは位相整合している、と言える。
次に、上記シミュレーションにより求めた位相整合する条件を基にして、隣接する導波路1と導波路2との導波路構造(例えばリブ部の幅など。)を光の導波方向に沿って連続的に変化させる(すなわちテーパ化する)。これにより、テーパ化方向性結合器の入力側と出力側で、モード結合がほとんど行われない程度まで、位相整合する条件を故意に崩すと共に、入力側と出力側との間で位相整合する条件が満たされるようにする。
このとき、テーパ化の条件としては、位相整合する条件が成り立つ導波路構造の前後で、2つの結合対象のモードの実効屈折率の大きさが入れ替わるようにする。このような条件を満たすことで、入力側から出力側に向かって、光の導波方向に沿って徐々にモード結合が行われる。また、テーパの長さを十分長く取ることにより、ほぼ損失の無いモード変換が可能となる。このとき、結合係数χが大きいほど、高効率なモード変換が可能となり、デバイス長を短くすることが可能となる。
なお、導波路の幅を変えて実効屈折率を調整する方法では、導波路サイズが大きいほどコアへの光の閉じ込めが大きくなり、コアの屈折率の影響を強く受けるため、実効屈折率が上昇するといった現象を利用している。
次に、半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器について、導波路1,2をテーパ化したときに、位相整合する断面位置(c)の前後で位相整合する条件が崩れていることを確認するため、導波路1と導波路2がそれぞれ独立に存在するときのWに対するそれぞれの実効屈折率の変化をシミュレーションにより求めた。具体的に、本シミュレーションでは、図3(A)に示すように、導波路1について第1のリブ部7の幅方向の片側にスラブ部9が設けられた半リブ導波路が単独で存在する場合と、導波路2について第2のリブ部8の幅方向の片側にスラブ部9が設けられた半リブ導波路が単独で存在する場合とに分けて、それぞれ計算を行った。また、何れの場合もスラブ部9の幅を1μmとし、波長を1580nmとして計算を行った。図3(B)は、その結果を示すグラフである。なお、図3(B)中のグラフにおいて、導波路1を導波する光のTEモードの実効屈折率を実線で示し、導波路2を導波する光のTEモードの実効屈折率を点線で示し、導波路2を導波する光のTEモードの実効屈折率を破線で示す。
図3(B)に示すグラフでは、導波路1を導波する光のTEモードの実効屈折率と、導波路2を導波する光のTEモードの実効屈折率とが、W=0付近で同程度(一致)となっており、位相整合していることがわかる。一方、Wが0から離れるに従って、互いの実効屈折率に差を生じさせながら、位相整合する条件が崩れいく。
具体的に、W=−100の位置における表1に対応する実効屈折率差は、0.2286であるのに対し、χ×波長/π=0.07844となる。また、W=+100の位置における表1に対応する実効屈折率差は、0.2442であるのに対し、χ×波長/π=0.08061となる。したがって、結合の強さを示す結合係数χに対し、実効屈折率差が大きいため、位相整合する条件が大きく崩れていることがわかる。
一般的に、実効屈折率差は、それぞれのモードの位相速度差に対応するため、実効屈折率差が大きいと、光の進行方向に対する位相のずれが大きくなり、他方の導波路とは独立した一方の導波路に局在する電界分布となる。このため、本シミュレーションでは、モード変換前後でモードの分離が可能なことがわかる。
次に、導波路1と導波路2とを隣接させたときのWに対するそれぞれの実効屈折率の変化をシミュレーションにより求めたグラフを図4に示す。なお、本シミュレーションでは、波長を1580nmとして計算を行った。また、図4中のグラフにおいて、点線で示す♯1は、導波路1と導波路2とを導波する光のモードのうち、1番目のモードの実効屈折率であり、実線で示す♯2は、導波路1と導波路2とを導波する光のモードのうち、2番目のモードの実効屈折率であり、破線で示す♯3は、導波路1と導波路2とを導波する光のモードのうち、3番目のモードの実効屈折率である。図4中のグラフにおいて、横軸には、Wに対する断面位置(a)〜(e)を示している。
図4に示すグラフでは、上記図3(B)に示すグラフに比べて、W=0付近で♯1と♯2とが交差せずに分離していることがわかる。これは、導波路1を導波する光のTEモードの実効屈折率と、導波路2を導波する光のTEモードの実効屈折率との位相整合が成り立つことから、モード結合によって2つのモードが相互作用するためである。このとき、互いのモードが混在する、いわゆるスーパーモード(図4中にSPで示す領域付近)を形成する。
一方、Wが0から離れるに従って、位相整合する条件が成立しなくなっていくため、このような相互作用は起きずに、導波路1と導波路2がそれぞれ独立に存在する場合と同様のモードの電界分布が得られる。その結果、実効屈折率も導波路1と導波路2がそれぞれ独立に存在する場合と大きく変わらなくなる。
なお、W<0とW>0では、導波路1を導波する光のTEモードの実効屈折率と、導波路2を導波する光のTEモードの実効屈折率との大小関係が入れ替わる。これにより、W=0付近で強くモード結合した光は、その前後で導波路1にTEモードがあるモード分布と、導波路2にTEモードがあるモード分布につながる。
一方、テーパ化方向性結合器では、その導波路構造を光の導波方向に徐々に変化させていくと、1つの実効屈折率の曲線上を推移するようにモードが変換されることが知られている(断熱変化という。)。このため、図4に示すグラフにおいて、TEモードで導波する光が、導波路1の始端(W=−100)から入力され、中間(W=0)付近でスーパーモードによるモード結合によって、TEモードで導波する光にモード変換されて、導波路2の終端(W=+100)から出力される。
これを確認するため、上記♯1の電界分布のE成分をWに対する断面位置(a)〜(e)毎にシミュレーションにより求めたグラフを図5〜図9に示す。なお、図5〜図9に示すグラフの座標x,yは、それぞれ幅方向,高さ方向を表す。また、シミュレーションの条件は、上記図4に示す場合と同様である。また、図5〜図9には、図2(B)中に示すコア5(リブ部7,8及びスラブ部9)の断面の輪郭線を併せて示すものとする。
図5に示すW=−100の断面位置(a)では、導波路1にTEモードで導波する光が存在している。図6に示すW=−50の断面位置(b)では、導波路1のTEモードから導波路2のTEモードへと徐々にモード結合している。図7に示すW=0の断面位置(c)では、位相整合する条件が成り立つため、導波路1のTEモードと導波路2のTEモードとが混在したモード分布となっている。図8に示すW=+50の断面位置(d)では、導波路2を導波するTEモードの実効屈折率が、導波路1を導波するTEモードの実効屈折率よりも大きくなることから、導波路2のTEモードへと移行していく。図8に示すW=+100の断面位置(e)では、導波路2をTEモードで導波する光にモード変換されている。
ここで、テーパ化方向性結合器においては、導波路1,2の長さが十分に長く、且つ、互いの導波路1,2の幅を徐々に変化(テーパ化)させないと、ある実効屈折率を持つモードの一部が、その実効屈折率曲線から別の実効屈折率を持つモードや放射モードへと変換されてしまう。したがって、別のモードへの変換は、そのまま光の損失となる。このため、導波路1,2については、十分なテーパ長を取る必要がある。また、異なるモードへの変換は、実効屈折率曲線が近い場合に起こり易い。したがって、最も実効屈折率曲線が近づく部分でテーパ長を長く取る必要があり、この部分が全体のサイズを決定することになる。
テーパ化方向性結合器では、W=0の断面位置(c)で、導波路1,2が独立に存在した場合に、それぞれの対象とするモードの実効屈折率が一致していたものが、導波路1,2を隣接させることによるモード結合によってその一致が分離している。そのため、上記図4に示すグラフのように、この断面位置(c)において実効屈折率曲線が最接近することになる。また、この部分が大きく離れているほど、所望の特性を得るためのテーパ長は短くなる。この部分の実効屈折率の分離は、一般にモード結合が大きいほど大きくなる。すなわち、結合係数χが大きいほど、実効屈折率の分離は大きくなる。そのため、隣接する導波路への光の浸み出しが大きいほど、テーパ化方向性結合器のデバイス長が短くなる。
(半リブ導波路と矩形導波路及びリブ導波路との比較)
次に、半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器と、矩形導波路を利用したテーパ化方向性結合器及びリブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器とを比較する。
矩形導波路(上記図44(B)を参照。)は、閉じ込めの強さから通常の基板型光導波路素子で頻繁に使用されている。また、リブ導波路(上記図45(B)を参照。)は、導波路の側壁荒れの影響を矩形導波路よりも低減することが可能であることからよく使用されている。一方、半リブ導波路(上記図1(B)を参照。)は、矩形導波路とリブ導波路を組み合わせた構造で、それぞれの効果が十分に発揮されないことから、使用されることは従来稀であった。
本発明では、このような半リブ導波路が異なるモード間のモード結合の観点で大きな効果を持つことを見出し、この半リブ導波路をテーパ化方向性結合器に利用することで、高効率なモード変換を可能とし、基板型光導波路素子の更なる小型化を図っている。
ここで、矩形導波路、リブ導波路及び半リブ導波路について、それぞれのTEモードによる電界分布のE成分をシミュレーションにより求めたグラフを図10〜図12に示す。なお、本シミュレーションでは、リブ部の厚み(高さ)(矩形導波路の場合はコアの厚み(高さ)。以下同様とする。)を220nmとし、スラブ部の厚み(高さ)(矩形導波路の場合は無し。以下同様とする。)を95nmとし、リブ部の幅(矩形導波路の場合はコアの幅。以下同様とする。)を400nmとして計算を行った。また、図10〜図12には、矩形導波路、リブ導波路及び半リブ導波路を形成する各コアの断面の輪郭線を併せて示すものとする。
図10〜図12に示すグラフの右側(+X方向)に、隣接する導波路が配置されたとすると、図11に示すグラフより、リブ導波路では、隣接する導波路が存在しない方向(−X方向)にも電界の浸み出しがある。この隣接する導波路が存在しない方向に染み出した光はモード結合に寄与しないため、全体の結合係数が低下してしまう。
これに対して、半リブ導波路においては、図10〜図12に示すグラフより、他の導波路に比べて最も右側まで電界が広がっている。これは、半リブ導波路の場合、隣接する導波路側(+X方向)にリブ部と同じ材料からなるスラブ部があるため、リブ部のスラブ部側(+X方向)において実効的にコアとクラッドとの屈折率差が低下し、光の浸み出しが増えるためである。このリブ部のスラブ部側(+X方向)に染み出した光は、隣接する導波路へのモード結合に大きく寄与する。したがって、半リブ導波路は、方向性結合器において非常に有利な構造である。
さらに詳しく見るために、矩形導波路、リブ導波路及び半リブ導波路の各々について、結合係数χを計算した。計算にあたって、TEモードの光が導波する導波路1は、上記図10と同じものとし、TEモードの光が導波する導波路2の幅(リブ部の幅)を位相整合するように定め、それぞれの導波路の間隔(スラブ部の幅)を全て300nmとし、リブ部の厚み(高さ)を220nm、スラブ部の厚み(高さ)を95nmとした。また、波長は、1580nmとして計算を行った。
導波路1の幅(リブ部の幅)を同じ値で固定して比較するのは次の点で妥当である。すなわち、導波路の幅が狭いほど光の浸み出しが大きくなるため、導波路1(とそれに応じて定まる導波路2)の幅(リブ導波路及び半リブ導波路はリブ部の幅)は狭い方が結合が大きくなる。しかしながら、実際の製造工程においては製造ばらつきを所定の範囲に抑えた場合に、正確に製造可能な導波路の幅(リブ部の幅)の最小サイズには限界がある。そのため、導波路の幅をある値以上の幅で作製する必要がある。すなわち、異なる導波路構造であっても導波路の幅(リブ導波路及び半リブ導波路はリブ部の幅)の最小サイズは同じになるため、この点に妥当性がある。なお、矩形導波路の幅とリブ部の幅は、同様のエッチングプロセスで作製するため、製造の困難性においてはほとんど差がない。
また、導波路の幅を300nmと固定したのも同様の理由で、隣接する導波路が接近しているほど、モード結合は大きいが、製造上ある値以下にすると、正確に作製できない。この点で、導波路の間隔(スラブ部の幅)を同じにするのは妥当である。なお、矩形導波路の間隔とスラブ部の幅も同様のエッチングプロセスで作製するため、製造の難しさは大きく違わない。
以上の計算条件から、導波路2の幅を定めた結果を下記表2に示す。
このときの結合係数χの計算結果を下記表3に示す。
この計算結果から、半リブ導波路が最もモード結合が強いことがわかる。これは、隣接する導波路への光の浸み出しの強さが、半リブ導波路では最も大きいためである、
次に、上記図2(A),(B)に示す半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器と、図13(A),(B)に示す矩形導波路を利用したテーパ化方向性結合器と、図14(A),(B)に示すリブ導波路をテーパ化方向性結合器とを比較する。なお、図13(A)は、矩形導波路を利用したテーパ化方向性結合器の各部の寸法の一例を示す平面図であり、図13(B)は、矩形導波路を利用したテーパ化方向性結合器の各部の寸法の一例を示す断面図である。また、図14(A)は、リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器の各部の寸法の一例を示す平面図であり、図14(B)は、リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器の各部の寸法の一例を示す断面図である。なお、図13(A),(B)に示す矩形導波路及び図14(A),(B)に示すリブ導波路では、上記図2(A),(B)に示す半リブ導波路と同等の部位については、図面において同じ符号を付している。
図13(B)及び図14(B)中に示すWは、−100≦W≦100の範囲で変化させている。また、W=0の位置において、波長1580nmで実効屈折率が同程度となるように定めたものである。
また、各モデルの性能の比較を行うため、図15に示す導波路構造を検討した。図15は、図2、図13及び図14中に示す囲み部分Cの外側における導波路構造を示す平面図である。図15に示す導波路構造では、図2、図13及び図14中に示す囲み部分Cの外側において、導波路1の入力側に接続された直線導波路と、導波路2の出力側に接続された曲げ導波路と、導波路2の入力側に接続された曲げ導波路と、導波路2の出力側に接続された直線導波路とを有している。
なお、図15では、図2、図13及び図14中に示す囲み部分Cの外側にある曲げ導波路及び直線導波路の平面形状をまとめて図示しているが、図15に示す曲げ導波路及び直線導波路は、それぞれ図2中に示す囲み部分Cの外側において半リブ導波路を形成し、図13中に示す囲み部分Cの外側において矩形導波路を形成し、図14中に示す囲み部分Cの外側においてリブ導波路を形成している。また、図15中に示す囲み部分Cの外側にある曲げ導波路は、曲率40μm、角度8°の曲線を2つ組み合わせてS字状に曲がって形成されている。
以上のような導波路構造において、導波路1の入力側からTEモードの光を入力したときの導波路2の出力側より出力されるTEモードの光の変換効率[dB]を、矩形導波路、リブ導波路、半リブ導波路について、それぞれのテーパ長Sを変えて計算を行った。なお、波長は1520nmとし、計算にはFDTD(Finite-difference time-domain)法を用いた。その計算結果を図16に示す。なお、ここで言う「変換効率」とは、入力側のTEモードの光のパワーに対する出力側のTEモードの光のパワーの比のことである。
図16に示すグラフから、テーパ長に対する変換効率は、半リブ導波路が最も高く、矩形導波路が最も低いことがわかる。一方、リブ導波路は、変換効率が矩形導波路よりも高いものの、テーパ長が短いと半リブ導波路よりも低く、テーパ長が長くなるに従って、変換効率が半リブ導波路に近づくものの、依然として半リブ導波路よりも低いことがわかる。したがって、変換効率を同じにした場合のテーパ長は、半リブ導波路が最も短くなり、デバイス長の短尺化が可能であることがわかる。これは、半リブ導波路によるテーパ化方向性結合器が最も結合が強い(結合係数が大きい)ためである。
次に、図16に示す計算結果から、更に半リブ導波路の変換効率についての検討を行った。具体的には、上記図2(A),(B)に示す半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器において、導波路1の入力側からTEモードの光を入力したときの導波路2の出力側より出力されるTEモードの光の変換効率[dB]を、テーパ長を変えて計算を行った。なお、波長は1520nmとし、シミュレーションにはFDTD法を用いた。その計算結果を図17に示す。なお、本シミュレーションは、上記図15に示すモデルを用いて計算を行った。
図17に示す計算結果から、半リブ導波路では、テーパ長が長いほど、変換効率は高くなることがわかる。これは、テーパ長を長くすると、導波路の幅がより徐々に変化するためである。テーパ長が100μmでは、−0.10dBとなり、高い変換効率が得られることがわかる。
また、テーパ長が100μmのときのFDTD法で計算した電界分布を図18に示す。本シミュレーションでは、波長を1520nmとした。また、図18に示すグラフは、TEモードによる電界分布のy=0.1μmの断面でのE成分を示している。なお、図18には、半リブ導波路を形成する導波路1,2を構成するリブ部の平面の輪郭線を併せて示すものとする。
図18に示すグラフから、テーパ化方向性結合器の中央付近で、TEモードの光が徐々にTEモードの光にモード変換されていることがわかる。テーパ化方向性結合器の中央付近でモード変換が行われているのは、このあたりで位相整合し、モード結合が強く行われているためである。
また、波長依存性について、導波路1の入力側からTEモードの光を入力したときの導波路2の出力側より出力されるTEモードの光の変換効率[dB]を、波長を変えてFDTD法を用いて計算を行った。その計算結果を図19に示す。なお、本シミュレーションでは、テーパ長を100μmとした。
図19に示す計算結果から、1520nmから1640nmの範囲に亘って、−0.10dB以上の高い変換効率を持つことがわかる。
また、半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器においては、導波路1から導波路2へのモード変換によって生じるTEモードとは異なるTEモードの光を導波路2に入力することによって、TEモードの光とTEモードが導波路2から同時に出力されるモード多重が可能である。
これを確認するため、導波路1及び導波路2の入力側からそれぞれTEモードの光を入力したときの導波路2の出力側より出力されるTEモードの光の透過率を、FDTD法を用いて計算を行った。なお、ここで言う「透過率」とは、導波路2に入力されるTEモードの光のパワーに対する導波路2から出力されるTEモードの光のパワーの比のことである。また、テーパ長が100μmのときのFDTD法で計算した電界分布を図20に示す。本シミュレーションでは、波長を1520nmとした。また、図20に示すグラフは、モード多重による電界分布のy=0.1μmの断面でのE成分を示している。なお、図20には、半リブ導波路を形成する導波路1,2を構成するリブ部の平面の輪郭線を併せて示すものとする。
このときの透過率は、−0.11dBとなり、ほとんど損失無く、TEモードの光が透過することがわかった。以上のことからも、半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器においては、モード多重が可能である。
(本発明による効果)
次に、本発明による効果について説明する。
[効果1]
本発明による効果1としては、テーパ化方向性結合器において半リブ導波路を利用した場合は、デバイス長を短くし、更なる小型化が可能であることが挙げられる。上述したように、変換効率を同じにした場合のテーパ長は、半リブ導波路が最も短くなるため、デバイス長の短尺化が可能である。
[効果2]
本発明による効果2としては、広い波長帯域で高効率なモード変換が可能であることが挙げられる。その理由は、次の2つの理由による。
1つ目の理由は、テーパ化方向性結合器が位相整合の条件からのズレに強いという点にある。一般に方向性結合器は、導波路の幅などの導波路構造を変えることで、ある波長で位相整合するように設計されている。このため、波長が変わると異なる電界分布を持つ2つのモードの実効屈折率にズレが生じ、変換効率が低下する場合がある。しかしながら、テーパ化方向性結合器では、光の導波方向に対して、入力と出力の間でモード結合が行われるように位相整合していればよいため、波長が変わることで位相整合する範囲が設計値からずれる場合であっても、位相整合する範囲がテーパ化方向性結合器内に収まっていれば、モード変換は行われる。
これを確認するため、波長が1520nmのときと、波長が1640nmのときの上記図3(B)に示すグラフに対応する実効屈折率のグラフを、それぞれ図21と図22に示す。なお、シミュレーションの条件は、上記図2に示す場合と同じである。波長のみ変えている。
上記図3(B)に示すグラフにおいて、1580nmのときにW=0で実効屈折率が同等であった点(導波路1のTEモードと導波路2のTEモードとの実効屈折率の交点)が、図21及び図22に示すグラフにおいて、ずれていることがわかる。しかしながら、−100<W<100の範囲に交点が収まっているため、モード変換は行われることがわかる。
2つ目の理由は、半リブ導波路によって結合係数χが上昇している点にある。波長が短くなると、導波路(コア)への光の閉じ込めが大きくなるため、隣接する導波路へと浸み出すだす光が少なくなり、結合係数χが減少する。結合係数χが小さいと、所望のモード同士の変換効率を得るのに必要なテーパ長が長くなる。したがって、テーパの長さが同じ場合、本発明の半リブ導波路は、従来の矩形導波路及びリブ導波路と比べて、結合係数χが大きくなるため、広い波長帯域に亘ってモード変換が可能となる。
[効果3]
本発明による効果3としては、製造誤差に対しても強く、高い変換効率を維持できることが挙げられる。例えば、導波路の幅(リブ部の幅)について、実際に作製したものが、製造誤差により導波路の幅の設計値よりずれる場合がある。つまり、所定の導波路サイズにおいて結合対象の2つのモードの実効屈折率を同程度となるように設計していても、実際に製造したものはそうなっていない場合がある。
しかしながら、上記効果2と同様の理由で、テーパ化方向性結合器では、光の導波方向に対して、入力と出力の間でモード結合が行われるように位相整合していればよいため、波長が変わることで位相整合する範囲が設計値からずれる場合であっても、位相整合する範囲がテーパ化方向性結合器内に収まっていれば、モード変換は可能である。このため、製造誤差に強い。なお、製造誤差については、導波路幅に対するものだけでなく、導波路の高さ(リブ部の高さ)や、スラブ部の高さ、またリブ部が完全な矩形にならず傾斜を持ち台形形状になる場合など、導波路の形状が変化する場合を含む。
これを確認するため、リブ部の幅が+30nm変化したときと、リブ部の幅が−30nm変化したときの上記図3(B)に示すグラフに対応する実効屈折率のグラフを、それぞれ図23と図24に示す。また、スラブ部の高さが+20nm変化したときと、スラブ部の高さが−20nm変化したときの上記図3(B)に示すグラフに対応する実効屈折率のグラフを、それぞれ図25と図26に示す。なお、シミュレーションの条件は、上記図2に示す場合と同じである。波長は1580nmとしいている。
上記図3(B)に示すグラフにおいて、W=0で実効屈折率が同等であった点(導波路1のTEモードと導波路2のTEモードとの実効屈折率の交点)が、図23〜図26に示すグラフにおいて、ずれていることがわかる。しかしながら、−100<W<100の範囲に交点が収まっているため、モード変換は行われることがわかる。
さらに、本発明の半リブ導波路は、従来の矩形導波路及びリブ導波路と比べて、結合係数χが大きくなる。このため、隣接する導波路への光の浸み出しが小さくなるような製造誤差が生じる場合、例えば、リブ部の幅が大きくなり、光の閉じ込めが強くなる場合や、スラブ部の高さが減って浸み出しが小さくなる場合などでも、上記効果2と同様の理由で、高い結合効率を維持できる。したがって、本発明の半リブ導波路は、従来の矩形導波路及びリブ導波路と比べて、製造誤差に強い構造となっている。
[効果4]
本発明による効果4としては、モード多重が可能になることが挙げられる。すなわち、導波路2の入力側から入力されたモード変換に寄与しないTEモードの光は、テーパ化方向性結合器でモード変換されずに、導波路1側に移ることなく、そのまま導波路2の出力側へと出力される。これにより、導波路1から導波路2へのモード変換によって生じたTEモードの光と、導波路2に入力されたTEモードの光とを、導波路2から同時に出力することができる。
ここで、上記図2に示す半リブ導波路を利用したテーパ化方向性結合器を例にして、導波路1から導波路2へのモード変換によって生じたTEモード(モードA)とは異なるTEモード(モードB)の光を導波路2に入力することによって、モードAの光とモードBの光が導波路2から同時に出力されるモード多重が可能であることを説明する。
上記図3(B)に示すグラフから、導波路2のTEモードの実効屈折率曲線は、導波路1のどのモードの実効屈折率曲線とも交わっていない。このため、モード結合は非常に弱く、導波路2に入力されたTEモードの光は、導波路1のどのモードにもほとんどモード変換しない。
また、上記図5〜図9に示すグラフに対応して、導波路2の♯0モード(TEモードに対応)よる電界分布のE成分をWに対する断面位置(a)〜(e)毎にシミュレーションにより求めたグラフを図27〜図31に示す。この図27〜図31に示すグラフからも、導波路2のTEモードの光は、導波路1のモードにモード結合していないことがわかる。
以上のように、導波路2のTEモードの光は、モード変換されずに、導波路2の出力側にほぼそのまま出力される。これにより、導波路1からモード変換されて導波路2から出力されるTEモードの光とのモード多重が可能である。
[効果5]
本発明による効果5としては、上述したTEモードからTEモードへのモード変換に限らず、その他の異なるモード間でのモード変換が可能なことが挙げられる。すなわち、隣接する2つの導波路の所望のモードの実効屈折率が交差するようにテーパ化することで、同様の効果が得られる。このとき、半リブ導波路を利用していることから、従来の矩形導波路やリブ導波路よりも大きな結合係数χが得られ、デバイス長を短くすることができる。
なお、本発明は、特にTE偏波が関係する変換に対して大きな効果を有する。これは以下の理由による。TE偏波は、一般的に幅方向の導波路構造の変化に対して、閉じ込めの程度(電界分布や実効屈折率)が大きく変化する。そのため、半リブ導波路のスラブ部への光の浸み出しは、TM偏波よりもTE偏波の方が大きい。そのため、半リブ導波路を採用した際の結合係数χの増加の効果は、TE偏波の方が大きな効果が得られる。
[効果6]
本発明による効果6としては、リブ型位相変調部を備えた光変調器や、その他のリブ導波路を有する光導波路素子との集積が容易な構造となっていることが挙げられる。すなわち、本発明では、リブ部とスラブ部の高さは変えずに、リブ部の幅を変えることで、テーパ化方向性結合器を作製することが可能である。このため、リブ型位相変調部のリブ導波路のスラブ部の高さとリブ部の高さに合わせて、同一のものを設計することが可能である。また、リブ型位相変調部と同一のエッチングプロセスが適用できるため、一括作製することが可能である。さらに、他のリブ導波路を有する光導波路素子との集積が容易という大きな効果がある。
[効果7]
本発明による効果7としては、半リブ導波路の場合、リブ部の幅方向の片側にスラブ部があることから、リブ部のスラブ部が設けられた側の側壁部分の面積が小さくなる。このため、従来のリブ部のみからなる矩形導波路よりも製造誤差で生じる導波路の側壁の荒れによる影響(光散乱による損失増大)が小さいことが挙げられる。
(第1の実施形態)
<基板型光導波路素子>
次に、本発明の第1の実施形態として図32(A),(B)に示す基板型光導波路素子101について説明する。なお、図32(A)は、基板型光導波路素子101を示す平面図であり、図32(B)は、図32(A)中に破線で示す囲み部分Cにおける基板型光導波路素子101の断面図である。また、以下の説明では、上記図1(A),(B)に示す基板型光導波路素子1と同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
図32(A),(B)に示す基板型光導波路素子101は、囲み部分Cにおいて上記基板型光導波路素子1に対応した構成を有している。また、基板型光導波路素子101は、囲み部分Cの外側において、第1の導波路3の入力側に接続された第1の直線導波路102と、第1の導波路3の出力側に接続された第1の曲げ導波路103と、第2の導波路4の入力側に接続された第2の曲げ導波路104と、第2の導波路4の出力側に接続された第2の直線導波路105とを有している。それ以外は、上記基板型光導波路素子1と基本的に同じ構成を有している。
コア5は、第1の直線導波路102を形成する第1のリブ部7Aと、第2の曲げ導波路104を形成する第2のリブ部8Aと、第1のリブ部7A及び第2のリブ部8Aよりも小さい厚み(低い高さ)で、第1のリブ部7Aと第2のリブ部8Aとの間で共有されるスラブ部9Aとを有している。また、コア5は、第1の曲げ導波路103を形成する第1のリブ部7Bと、第2の直線導波路105を形成する第2のリブ部8Bと、第1のリブ部7B及び第2のリブ部8Bよりも小さい厚み(低い高さ)で、第1のリブ部7Bと第2のリブ部8Bとの間で共有されるスラブ部9Bとを有している。
第1の直線導波路102及び第2の直線導波路105は、長さ方向において幅及び厚み(高さ)が一定となる第1のリブ部7A及び第2のリブ部8Bにより直線状に形成されている。第1のリブ部7Aと第2のリブ部8Bとは、第1のリブ部7の一端側(入力側)と、第2のリブ部8の他端側(出力側)とにそれぞれ連続して形成されている。すなわち、第1のリブ部7Aは、第1のリブ部7の一端側(入力側)と同じ幅及び厚み(高さ)で断面矩形状に形成されている。一方、第2のリブ部8Bは、第2のリブ部8の他端側(出力側)と同じ幅及び厚み(高さ)で断面矩形状に形成されている。
第1の曲げ導波路103及び第2の曲げ導波路104は、長さ方向において幅及び厚み(高さ)が一定となる第1のリブ部7B及び第2のリブ部8Aにより面内で曲げるように形成されている。第1のリブ部7Bと第2のリブ部8Aとは、第1のリブ部7の他端側(出力側)と、第2のリブ部8の一端側(入力側)とにそれぞれ連続して形成されている。すなわち、第1のリブ部7Bは、第1のリブ部7の他端側(出力側)と同じ幅及び厚み(高さ)で断面矩形状に形成されている。一方、第2のリブ部8Aは、第2のリブ部8の一端側(入力側)と同じ幅及び厚み(高さ)で断面矩形状に形成されている。
第1の曲げ導波路103は、第1のリブ部7Aと第2のリブ部8Aとの間の間隔が光の導波方向Lに沿って連続的に小さくなるように、所定の曲率及び角度でS字状に曲がって形成されている。一方、第2の曲げ導波路104は、第1のリブ部7Bと第2のリブ部8Bとの間の間隔が光の導波方向Lに沿って連続的に大きくなるように、所定の曲率及び角度でS字状に曲がって形成されている。なお、上記図2に示す寸法の場合、第1の曲げ導波路103及び第2の曲げ導波路104は、曲率40μm、角度8°の曲線を2つ組み合わせてS字状に曲がって形成されている。
スラブ部9Aは、スラブ部9と同じ厚み(高さ)でスラブ部9に連続して形成されている。スラブ部9Aは、第1のリブ部7Aと第2のリブ部8Aとの互いに対向する側面の間に亘って形成されている。これにより、第1の直線導波路102と第2の曲げ導波路104とは、第1のリブ部7Aと第2のリブ部8Aとの幅方向の片側のみにスラブ部9Aが設けられた半リブ導波路を形成している。
スラブ部9Bは、スラブ部9と同じ厚み(高さ)でスラブ部9に連続して形成されている。スラブ部9Bは、第1のリブ部7Bと第2のリブ部8Bとの互いに対向する側面の間に亘って形成されている。これにより、第1の曲げ導波路103と第2の直線導波路105とは、第1のリブ部7Bと第2のリブ部8Bとの幅方向の片側のみにスラブ部9Bが設けられた半リブ導波路を形成している。
なお、基板型光導波路素子101では、上述したSOIウェハの最上層にあるSi層を加工することで、第1の直線導波路102、第1の曲げ導波路103、第2の曲げ導波路104及び第2の直線導波路105(第1のリブ部7A,7B、第2のリブ部8A,8B及びスラブ部9A,9B)を形成することができる。
本実施形態の基板型光導波路素子101では、TEモードで導波する光(図32(A)中の矢印TEで表す。)が、第1の直線導波路102側から入力され、モード変換部12でモード結合されることによって、TEモードで導波する光(図32(A)中の矢印TEで表す。)にモード変換されて、第2の直線導波路105側から出力される。
本実施形態の基板型光導波路素子101では、TEモードで導波する光が入力される第1の直線導波路102と、TEモードで導波する光が出力される第2の直線導波路105とをそれぞれ直線導波路とすることで、曲げによる損失が増加するのを防止している。
また、本実施形態の基板型光導波路素子101では、第2の曲げ導波路104を隣接する第1の直線導波路102に対して徐々に接近させ、第1の曲げ導波路103を隣接する第2の直線導波路105に対して徐々に離間させることで、反射を低減している。また、上述した導波路のテーパ化により位相整合しない条件にする方法に加えて、入力側と出力側で、隣接する導波路を離間することで、隣接する導波路への光の浸み出しを小さくし、それによってモード結合をさらに弱めて、位相整合の条件を大きく崩すことが可能となる。位相整合の条件が大きく崩れると、モードの電界分布は、一方の導波路へ局在するので、明確なモード変換が可能となり、高効率な変換が可能となる。
(第2の実施形態)
<基板型光導波路素子>
次に、第2の実施形態として図33(A),(B),(C)に示す基板型光導波路素子101Aについて説明する。なお、図33(A)は、基板型光導波路素子101Aを示す平面図であり、図33(B)は、基板型光導波路素子101Aが備えるテーパ導波路106を示す平面図、図33(C)は、テーパ導波路107の変形例を示す平面図である。
図33(A)に示す本実施形態の基板型光導波路素子101Aは、上記囲み部分Cの外側において、スラブ部9C〜9Fの形状が異なる以外は、上記基板型光導波路素子101と基本的に同じ構成を有している。
本実施形態の基板型光導波路素子101Aは、第1の直線導波路102、第1の曲げ導波路103、第2の曲げ導波路104及び第2の直線導波路105に、それぞれ図33(B)に示すようなテーパ導波路106が接続された構成となっている。
テーパ導波路106では、図33(A),(B)に示すように、半リブ導波路と矩形導波路との間で、導波路構造が光の導波方向Lに沿って連続的に変化している。具体的に、このテーパ導波路106は、第1のリブ部7A,7Bの第2のリブ部8A,8Bと対向する側の側面にそれぞれ連続して設けられた第1のスラブ部9C,9Dと、第2のリブ部8A,8Bの第1のリブ部7A,7Bと対向する側の側面にそれぞれ連続して設けられた第2のスラブ部9E,9Fとを有している。第1のスラブ部9C,9D及び第2のスラブ部9E,9Fは、スラブ部9に連続して設けられ、且つ、それぞれの幅がスラブ部9に向かって連続的に大きくなっている。
入力側の第1のスラブ部9Cと第2のスラブ部9Eとは、第1のリブ部7Aと第2のリブ部8Aとの中途部から、一定のテーパ角を有して徐々に幅を拡大させながら、スラブ部9まで延長して設けられている。これにより、第1の直線導波路102及び第2の曲げ導波路104は、矩形導波路から半リブ導波路に変換される導波路構造を形成している。
一方、出力側の第1のスラブ部9Dと第2のスラブ部9Fとは、第1のリブ部7Bと第2のリブ部8Bとの中途部から、一定のテーパ角を有して徐々に幅を拡大させながら、スラブ部9まで延長して設けられている。これにより、第2の曲げ導波路104及び第2の直線導波路105は、矩形導波路から半リブ導波路に変換される導波路構造を形成している。
本実施形態の基板型光導波路素子101Aでは、このようなテーパ導波路106を用いることで、矩形導波路と半リブ導波路との間でスラブ部9C,9D,9E,9Fの幅を連続的に変化させることができる。これにより、矩形導波路と半リブ導波路との接続が容易なものとなる。
一方、図33(C)に示すようなテーパ導波路107を用いた場合は、リブ導波路から半リブ導波路に変換される導波路構造、若しくは半リブ導波路からリブ導波路に変換される導波路構造が得られる。
具体的に、このテーパ導波路107は、第1のリブ部7C及び/又は第2のリブ部8Cの幅方向の両側にそれぞれ連続して設けられたスラブ部9G,9Hを有している。このうち、一方のスラブ部9Gは、リブ部9Cの一端から、一定のテーパ角を有して徐々に幅を拡大させながら、リブ部9の他端まで延長して設けられている。他方のスラブ部9Gは、リブ部9Cの一端と他端との間に亘って所定の幅だけ延長して設けられている。なお、テーパ導波路107の場合、スラブ部9Gの幅が変化すると共に、リブ部9Cの幅が変化する構成としてもよい。
このようなテーパ導波路107を用いた場合は、リブ導波路と半リブ導波路との間でスラブ部の幅9G,9Hを連続的に変化させることができる。これにより、リブ導波路と半リブ導波路との接続が容易なものとなる。
(第3の実施形態)
<基板型光導波路素子>
次に、第3の実施形態として図34(A),(B)に示す基板型光導波路素子101Cについて説明する。なお、図34(A)は、基板型光導波路素子101Cを示す平面図であり、図34(B)は、図34(A)中に示す線分Z−Zによる基板型光導波路素子101Cの断面図である。また、以下の説明では、上記基板型光導波路素子1と同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
上記基板型光導波路素子1では、スラブ部9の幅が第1のリブ部7及び第2のリブ部8の長さ方向において一定となる構成であるのに対して、図34(A),(B)に示す基板型光導波路素子101Cでは、スラブ部9の幅が第1のリブ部7及び第2のリブ部8の長さ方向において変化している構成である。
具体的に、この基板型光導波路素子101Cは、第1の曲げ導波路108と第2の曲げ導波路109とが、それぞれの入力側と出力側との間で、異なるモードで結合されるモード変換部(モード変換素子)12Aを有している。
モード変換部12Aは、スラブ部9の幅が最も小さくなる幅狭部110と、入力側から幅狭部110に向かってスラブ部9の幅が連続的に小さくなる縮幅部111と、幅狭部110から出力側に向かってスラブ部9の幅が連続的に大きくなる拡幅部112とを有している。
第1のリブ部7と第2のリブ部8とは、このようなスラブ部9を挟んだ両側に、内側に向かって湾曲した形状を有している。また、モード変換部12Aでは、第1のリブ部7の幅が光の導波方向Lに沿って連続的に小さくなり、第2のリブ部8の幅が光の導波方向Lに沿って連続的に大きくなっている。
本実施形態の基板型光導波路素子101Cでは、TEモードで導波する光(図34(A)中の矢印TEで表す。)が、第1の曲げ導波路108側から入力され、モード変換部12でモード結合されることによって、TEモードで導波する光(図34(A)中の矢印TEで表す。)にモード変換されて、第2の曲げ導波路109側から出力される。
本実施形態の基板型光導波路素子101Cでは、光の導波方向Lにおいて、第1の曲げ導波路108と第2の曲げ導波路109とを徐々に接近させた後、第1の曲げ導波路108と第2の曲げ導波路109とを徐々に離間させることで、上記基板型光導波路素子1と同様に、位相整合する条件が成り立つ前後で、2つの結合対象のモードの実効屈折率の大きさが入れ替わっている。
ここで、基板型光導波路素子101Cについて、第1の曲げ導波路108と第2の曲げ導波路109とを隣接させたときのWに対するそれぞれの実効屈折率の変化をシミュレーションにより求めたグラフを図35に示す。なお、本シミュレーションの条件は、上記図4に示す場合と同様である。
図35に示すグラフから、TEモードで導波する光が、第1の曲げ導波路108の始端(W=−100)から入力され、中間(W=0)付近でスーパーモードによるモード結合によって、TEモードで導波する光にモード変換されて、第2の曲げ導波路109の終端(W=+100)から出力されることがわかる。
これを確認するため、W=−100の断面位置における電界分布のE成分と、W=+100の断面位置における電界分布のE成分とをシミュレーションにより求めたグラフを図36及び図37に示す。なお、図36及び図37に示すグラフの座標x,yは、それぞれ幅方向,高さ方向を表す。また、シミュレーションの条件は、上記図35に示す場合と同様である。
一方、図36及び図37に示すグラフと、上記図5及び図9に示すグラフとを比較すると、導波路の幅が同じであるにも関わらず、基板型光導波路素子101Cの方が一方の導波路への光の閉じ込めが強く、結合を十分弱められていることがわかる。これは、基板型光導波路素子101Cにおいては、導波路の幅を変えることでTEモードとTEモードとの実効屈折率をずらして位相整合を成り立たせなくする効果に加えて、導波路の間隔を離すことで、隣接する導波路への結合を弱めるといった別の効果を持つためである。
本発明では、位相整合が成り立つW=0の付近より離れた位置では、十分に結合を弱める必要がある。仮に、この結合が弱められていない場合は、入力されたTEモードの光は、別の電界を励起し、変換効率を低下させてしまう。
本発明では、半リブ導波路を用いてモード結合を強める導波路構造になっているため、導波路の幅を変えることによって結合を弱める効果に加え、導波路の間隔を離間することで結合を弱める別の効果を持つ。したがって、基板型光導波路素子101Cは、導波路の幅を変えつつ、導波路の間隔を離すことによって、より効率的にモード変換を行うことが可能であり、デバイス長を短くことが可能である。なお、導波路を離間させる方法としては、上述した基板型光導波路素子101Cの構成に限らず、導波路を連続的に離間される方法であれば、特に限定されるものではない。
また、本実施形態の基板型光導波路素子101Cでは、上記基板型光導波路素子1と同様に、第1の曲げ導波路108から第2の曲げ導波路109へのモード変換によって生じるTEモードとは異なるTEモードの光を第2の曲げ導波路109に入力することによって、TEモードの光とTEモードが第2の曲げ導波路109から同時に出力されるモード多重が可能である。
(第4の実施形態)
<偏波変換素子>
次に、第4の実施形態として図38に示す偏波変換素子50について説明する。
なお、図38は、偏波変換素子(基板型光導波路素子)50の一例を示す模式図である。
図38に示す偏波変換素子50は、上記基板型光導波路素子1のモード変換部12の出力側に位置して、第2の導波路4に接続された高次偏波変換部(高次偏波変換素子)51を有している。高次偏波変換部51には、例えば、上記非特許文献1で開示されているような高次偏波変換素子を用いることができる。この場合、偏波変換素子51を使用するためには、下部クラッド10と上部クラッド11との屈折率を変える必要がある。
本実施形態の偏波変換素子50では、上記基板型光導波路素子1のモード変換部12の出力側において、第2の導波路4から出力されたTEモードで導波する光(図38中の矢印TEで表す。)が、高次偏波変換部51に入力され、TMモードで導波する光(図38中の矢印TMで表す。)にモード変換されて、高次偏波変換部51から出力される。
これにより、本実施形態の偏波変換素子50では、TEモードをTEモードに変換するモード変換部(モード変換素子)12と、TEモードをTMモードに変換する高次偏波変換部(高次偏波変換素子)51との組み合わせによって、TEモードをTMモードに変換することが可能である。
また、本実施形態の偏波変換素子50では、上述したモード変換部12でのモード多重に影響を与えないことから、TEモードの光(図38中の矢印TE’で表す。)とTMモードの光との偏波多重も可能である。この場合、モード変換部12の第2の導波路4に多重対象となるTEモードの光を入力すればよい。
(第5の実施形態)
<偏波変換素子>
次に、第5の実施形態として図39に示す偏波変換素子について説明する。
なお、図39は、偏波変換素子60の一例を示す模式図である。
図39に示す偏波変換素子60は、上記基板型光導波路素子1のモード変換部12の出力側に位置して、第2の導波路4に接続された高次偏波変換部(高次偏波変換素子)61を有している。高次偏波変換部61には、例えば図40に示すような本出願人が特願2013−135490で開示した高次偏波変換素子を用いることができる。なお、図40においては、上記基板型光導波路素子101と同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
これにより、本実施形態の偏波変換素子60では、TEモードをTEモードに変換するモード変換部(モード変換素子)12と、TEモードをTMモードに変換する高次偏波変換部(高次偏波変換素子)61との組み合わせによって、TEモードをTMモードに変換することが可能である。
特に、この構成の場合は、上記偏波変換素子51を使用したときのように、下部クラッド10と上部クラッド11との屈折率を変える必要がない。さらに、モード変換部12の出力側の屈折率断面が上下非対称構造であるため、図40に示すように、上記高次偏波変換素子61を連続的に接続することも可能である。
(第6の実施形態)
<偏波多重4値位相(DP−QPSK:Dual Polarization-Quadrature Phase Shift Keying)変調器>
次に、第6の実施形態として図41に示すDP−QPSK変調器20について説明する。なお、図41にDP−QPSK変調器の一例を示す模式図である。
本発明の基板型導波路素子は、例えば、参考文献[1](P. Dong, C. Xie, L. Chen, L. L. Buhl, and Y.-K. Chen, "112-Gb/s Monolithic PDM-QPSK Modulator in Silicon," in European Conference and Exhibition on Optical Communication (2012), Vol. 1, p. Th.3.B.1)で開示されているようなDP−QPSK変調器に使用することが可能である。
このDP−QPSK変調器20は、通常の光導波路にTEモードとTMモードの2つのモードが存在できることを利用して、TEモード/TMモードの両モードに独立したQPSK信号を有する、DP−QPSK変調を行う。具体的には、入力部21からTEモードで入力した光を2つの光導波路22,22に分岐し、QPSK変調器23,23により各々QPSK信号に変調した後、光導波路24,24の片側のTEモードを偏波変換素子25によりTMモードに変換させて、2つのモードを偏波ビームコンバイナで同一の光導波路上に合成し、TEモードとTMモードに独立した信号を出力部26に出力する。
(第7の実施形態)
<コヒーレント受信機>
次に、第7の実施形態として図42に示すコヒーレント受信機30について説明する。なお、図42は、コヒーレント受信機30の一例を模式図である。
本発明の基板型光導波路素子は、例えば、参考文献[2](C. Doerr, et al., "Packaged Monolithic Silicon 112-Gb/s Coherent Receiver," IEEE Photonics Technology Letters, Vol. 23, p.p. 762, 2011)で開示されているような、TEモードとTMモードを同時に伝送した偏波多重信号のSi光導波路上の偏波ダイバーシティ・コヒーレント受信機に使用することが可能である。
このコヒーレント受信機30は、TEモードとTMモードを同時に伝送した偏波多重信号の光導波路31を、偏波変換と偏波ビームスプリッタが同時に行える偏波変換素子32に接続し、光導波路33,33の一方にはTE0の信号を、また、光導波路33,33の他方にはTM0から変換したTEモードの信号を分岐させる。局発光34として、一般的に用いられる半導体レーザ光源は片偏波のみ、例えばTEモード(local)の出力を用いる。このような光源を用いる場合、従来では局発光の偏波変換が必要となる。
しかし、このコヒーレント受信機30では、信号光は偏波分離後にいずれもTEモードの信号(signal)となるので、局発光の偏波変換が不要になる。信号光と局発光は、光合波部35を経て、結合部36から出力される。
偏波変換素子32に光導波路型の構造を用いる場合、結合部36における素子外部との光の結合には、基板側方より結合する逆テーパ型のモードフィールド変換器など、偏波分離機能を持たない結合器を利用することが可能である。結合器には、例えば参考文献[3](Qing Fang, et al., "Suspended optical fiber-to-waveguide mode size converter for Silicon photonics", OPTICS EXPRESS, Vol. 18, No. 8, 7763( 2010))に開示されている、逆テーパ型の構造が開示できる。
(第8の実施形態)
<偏波ダイバーシティ>
次に、第8の実施形態として図43に示す偏波ダイバーシティについて説明する。
なお、図43は、偏波ダイバーシティ40の一例を模式図である。
本発明の基板型光導波路素子は、例えば、参考文献[4](Hiroshi Fukuda, et al.,"Silicon photonic circuit with polarization diversity," Optics Express, Vol. 16, No. 7, 2008)で開示されているような、TEモードとTMモードが同時に伝送される偏波多重伝送や、片方の偏波がランダムに伝送されるときに、両モードに対して同様の操作を与えるための素子を利用したい場合、偏波ダイバーシティ方式を実行するために用いることができる。
図43に示す偏波ダイバーシティ40では、TEモードとTMモードが同時に伝送される偏波多重信号の光導波路41を、偏波変換と偏波ビームスプリッタが同時に行える偏波変換素子42に接続し、光導波路43,43の一方にはTEモードの信号を、また、光導波路43,43の他方にはTMモードから変換したTE0の信号を分岐させる。素子44,44で操作されたTE0の信号光は、光導波路45,45から偏波変換素子46で合成して、TEモードとTMモードが同時に伝送される偏波多重信号の光導波路47に出力する。
偏波変換素子42には、偏波ダイバーシティ・コヒーレント受信機と同様に、偏波変換と偏波ビームスプリッタが同時に行える本発明の偏波変換素子を用いることができる。
偏波変換素子46には、DP−QPSK変調器と同様に、偏波変換と偏波ビームコンバイナが同時に行える本発明の偏波変換素子を用いることができる。
(その他の実施形態)
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記テーパ化方向性結合器では、リブ部7,8の間隔(スラブ部9の幅)が長さ方向において一定なっているが、その途中で幅が変化していてもよい。
また、上記テーパ化方向性結合器では、第1のリブ部7の幅が光の導波方向に沿って連続的に小さくなり、第2のリブ部8の幅が光の導波方向に沿って連続的に大きくなっているが、上述したテーパ化の条件を満足する範囲で任意の形状とすることができる。すなわち、位相整合する条件が成り立つ導波路構造の前後で、2つの結合対象のモードの実効屈折率の大きさが入れ替わるようにすればよい。この場合、2つの隣接する導波路の両方が光の導波方向に対してテーパ化されている導波路構造以外にも、何れか片方の導波路のみテーパ化された導波路構造としてもよい。
また、テーパ化の方法としては、上述したリブ部の幅を直線状に変化させる場合に限らず、曲線状に変化させてもよい。さらに、リブ部の幅以外にも、リブ部の高さやスラブ部の高さなどが光の導波方向に変化することで、実効屈折率を調整してもよい。
また、上記テーパ化方向性結合器では、上述した隣接する2つの導波路の入力側と出力側が光の導波方向に対して垂直となっているが、角度を持っていてもよい。
1…基板型光導波路素子 2…基板 3…第1の導波路 4…第2の導波路 5…コア 6…クラッド 7…第1のリブ部 8…第2のリブ部 9…スラブ部 9C,9D…第1のスラブ部 9E,9F…第2のスラブ部 10…下部クラッド 11…上部クラッド 12…モード変換部(モード変換素子)
101,101A,101B,101C…基板型光導波路素子 102…第1の直線導波路 103…第1の曲げ導波路 104…第2の曲げ導波路 105…第2の直線導波路 106,107…テーパ導波路 108…第1の曲げ導波路 109…第2の曲げ導波路 110…幅狭部 111…縮幅部 112…拡幅部
50,60…偏波変換素子(基板型光導波路素子) 51,61…高次偏波変換部(高次偏波変換素子)
20…DP−QPSK変調器 30…コヒーレント受信機 40…偏波ダイバーシティ
上記目的を達成するために、本発明の一つの態様に係る基板型光導波路素子は、基板の上に、互いに並列した第1の導波路及び第2の導波路を形成するコアと、前記コアを覆うと共に前記コアよりも屈折率が小さいクラッドと、を備える。前記コアは、前記第1の導波路を形成する第1のリブ部と、前記第2の導波路を形成する第2のリブ部と、前記第1のリブ部及び前記第2のリブ部よりも小さい厚みで前記第1のリブ部と前記第2のリブ部との幅方向の片側のみに設けられ、前記第1のリブ部と前記第2のリブ部との間で共有されるスラブ部と、を有している。前記第1の導波路と前記第2の導波路とは、それぞれの入力側と出力側との間に前記入力側から入力された光のモードを前記光のモードとは異なるモードに変換するモード変換部を有している。前記モード変換部は、前記第1の導波路と前記第2の導波路との間でモード結合が生じる導波路構造を有し、前記第1の導波路における第1の導波モードと、前記第2の導波路における第2の導波モードとの実効屈折率が、前記導波路構造における光の伝搬方向に垂直な少なくとも一断面において一致し、且つ、前記一断面を挟んで前記第1の導波モードの実効屈折率と、前記第2の導波モードの実効屈折率との大小関係が、それぞれの入力側と出力側との間で入れ替わる。

Claims (15)

  1. 基板の上に、互いに並列した第1の導波路及び第2の導波路を形成するコアと、前記コアを覆うと共に前記コアよりも屈折率が小さいクラッドと、を備える基板型光導波路素子であって、
    前記コアは、前記第1の導波路を形成する第1のリブ部と、前記第2の導波路を形成する第2のリブ部と、前記第1のリブ部及び前記第2のリブ部よりも小さい厚みで、前記第1のリブ部と前記第2のリブ部との間で共有されるスラブ部と、を有し、
    前記第1の導波路と前記第2の導波路とは、それぞれの入力側と出力側との間に前記入力側から入力された光のモードを前記光のモードとは異なるモードに変換するモード変換部を有し、
    前記モード変換部は、前記第1の導波路と前記第2の導波路との間でモード結合が生じる導波路構造を有し、
    前記第1の導波路における第1の導波モードと、前記第2の導波路における第2の導波モードとの実効屈折率が、前記導波路構造における光の伝搬方向に垂直な少なくとも一断面において一致し、
    且つ、前記一断面を挟んで前記第1の導波モードの実効屈折率と、前記第2の導波モードの実効屈折率との大小関係が、それぞれの入力側と出力側との間で入れ替わることを特徴とする基板型光導波路素子。
  2. 電界が前記基板の面内方向となるTEモードのうち(n,mは自然数を表す。但し、m>nである。)、前記第1の導波モードは、n番目に大きい実効屈折率を有するTE(n−1)モードであり、前記第2の導波モードは、m番目に大きい実効屈折率を有するTE(m−1)モードであることを特徴とする請求項1に記載の基板型光導波路素子。
  3. n=1、m=2であることを特徴とする請求項2に記載の基板型光導波路素子。
  4. 前記モード変換部において、前記第1のリブ部の幅が光の導波方向に沿って連続的に小さくなり、前記第2のリブ部の幅が光の導波方向に沿って連続的に大きくなることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の基板型光導波路素子。
  5. 前記モード変換部において、前記スラブ部の幅が長さ方向において一定であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の基板型光導波路素子。
  6. 前記モード変換部は、前記スラブ部の幅が最も小さくなる幅狭部と、入力側から前記幅狭部に向かって前記スラブ部の幅が連続的に小さくなる縮幅部と、前記幅狭部から出力側に向かって前記スラブ部の幅が連続的に大きくなる拡幅部とを有することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の基板型光導波路素子。
  7. 前記スラブ部、前記第1のリブ部及び前記第2のリブ部の厚みが長さ方向において一定であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の基板型光導波路素子。
  8. 前記第1のリブ部及び前記第2のリブ部の厚みが等しいことを特徴とする請求項4〜7の何れか一項に記載の基板型光導波路素子。
  9. 前記コアは、前記モード変換部の入力側と出力側との何れか一方側又は両側に曲げ導波路を有し、
    前記曲げ導波路は、前記第1のリブ部と前記第2のリブ部との少なくとも一方又は両方を面内で曲げることによって、前記第1のリブ部と前記第2のリブ部との間の間隔が光の導波方向に沿って連続的に大きくなる又は小さくなる形状を有することを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の基板型光導波路素子。
  10. 前記コアは、前記モード変換部の入力側と出力側との何れか一方側又は両側にテーパ導波路を有し、
    前記テーパ導波路は、前記第1のリブ部の前記第2のリブ部と対向する側の側面に連続して設けられた第1のスラブ部と、前記第2のリブ部の前記第1のリブ部と対向する側の側面に連続して設けられた第2のスラブ部とを有し、
    前記第1のスラブ部と前記第2のスラブ部とは、前記スラブ部に連続して設けられ、且つ、それぞれの幅が前記スラブ部に向かって連続的に大きくなる形状を有することを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の基板型光導波路素子。
  11. 前記コアがSiを含み、前記クラッドがSiOを含むことを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の基板型光導波路素子。
  12. 前記コアは、前記モード変換部の出力側に位置して、前記第2の導波路に接続された高次偏波変換部を有し、
    前記高次偏波変換部は、前記第2の導波路から出力されたTEモードで導波する光を、磁界が前記基板の面内方向となるTMモードのうち、1番目に大きい実効屈折率を有するTMモードで導波する光にモード変換して出力することを特徴とする請求項3〜11の何れか一項に記載の基板型光導波路素子。
  13. 請求項1〜12の何れか一項に記載の基板型光導波路素子を用いた偏波多重4値位相変調器。
  14. 請求項1〜12の何れか一項に記載の基板型光導波路素子を用いたコヒーレント受信機。
  15. 請求項1〜12の何れか一項に記載の基板型光導波路素子を用いた偏波ダイバーシティ。
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