JP6424018B2 - モード変換素子及び光導波路素子 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば光ファイバ通信において用いられるモード変換素子及び光導波路素子に関し、特に、モード変換を行うモード変換素子及び光導波路素子に関する。
現在、光通信で伝送される情報量は増加の一途をたどっている。こうした情報量の増加に対応するため、伝送速度の高速化、波長多重通信によるチャネル数の増加といった対策が進められている。特に、高速度の情報通信を目的とした次世代の100Gbpsデジタルコヒーレント伝送技術においては、電界が直交する2つの偏波モードに信号を載せる偏波多重方式が利用されている。この偏波多重方式においては、単一の偏波モードを利用した光伝送システムと比較して単位時間当たりに伝送可能情報量を2倍にすることができる。
しかしながら、偏波多重を含む高速通信の変調方式は複雑な構成の光変調器が必要になり、装置の大型化、高額化といった課題が生じる。こうした課題に対して、加工が容易であり、集積化による小型化、大量生産による低コスト等のメリットを持つシリコンを用いた基板型光導波路による光変調器が研究されている。
しかしながら、このような基板型光導波路内での偏波多重は次のような問題点がある。一般的に基板型光導波路の形状は、基板に対して平行であり光の進行方向に垂直な幅方向と、基板に対して垂直であり光の進行方向に垂直な高さ方向が非対称な形状をしており、幅方向の電界成分が主となるモード(以下、TEモードと呼ぶ)と高さ方向の電界成分が主となるモード(以下、TMモードと呼ぶ)の2種類の偏波モードに対して、実効屈折率などの特性が異なる。
これらのモードの中で多くの場合に使用されるのは、TEとTMである。ここで、TEはTEモードの中で実効屈折率が一番大きなモードを、TMはTMモードの中で実効屈折率が一番大きなモードを指すとする。特性が異なるこれらのモードに対して、光変調操作を行う場合、単一の基板型光導波路素子だけでは困難であり、各モードごとに最適化された基板型光導波路素子が必要となるが、これは基板型光導波路素子の開発の面で大きな労力が必要となる。
この問題を解決する方法として、TEに対して最適化された基板型光導波路素子への入力光としてTEを用い、その出力をTMに偏波変換する方法が挙げられる。ここで偏波変換とは、TEからTM、もしくはTMからTEへの変換を表すものとする。上記操作を行うためには、基板上で偏波変換を行う基板型光導波路素子が必要となる。
このような偏波変換を基板上で行う技術として、TEをTEに変換し(以下、TE−TEモード変換と呼ぶ)、その後TEをTMに変換するものがある。ここで、TEは2番目に実効屈折率の高いTEモードを表すものとする。このような変換素子は、TEをTEに変換させる素子とTEをTMに変換させる素子の二つが必要になる。
TE−TEモード変換の機能を持つ素子の従来技術としては、非特許文献1に記載の導波路素子が挙げられる。
ここでは、隣り合う2つの直線導波路を有し、それらのコアの幅が互いに異なる非対称方向性結合器を用いたものがTE−TEモード変換素子として使用されている。
図18(非特許文献1のFig.2(a)を引用)に、その概略を示す。ここに示す変換素子210は、コア211、212及びクラッド215を有する。コア211、212の長さ方向の一部は並設されて方向性結合器218を構成している。クラッド215は下部クラッド217と上部クラッド216とを有する。
非対称方向性結合器においては、一方のコアのTEと他方のコアのTEをある波長において高い効率で結合させるために、この波長において、それぞれのモードの実効屈折率が等しくなるようコア幅を調整している。
Daoxin Dai and John E. Bowers, "Novel concept for ultracompact polarization splitter-rotator based on silicon nanowires," Optics Express, Vol. 19, Issue 11, pp. 10940-10949 (2011)
前記モード変換素子の方向性結合器は、2つの直線導波路を有する非対称方向性結合器であって、一方の導波路のTEと、他方の導波路のTEを高効率に結合させるためには、それぞれのコアの幅を調整し、各モードの実効屈折率を互いに同程度にする必要がある。
しかしながら、リソグラフィとエッチングによるコアの作製プロセスにおいては、コアの幅が設計値に対して変動するといった製造誤差が生じ、これにより、TEとTEの実効屈折率にズレが生じて結合効率が低下し、TEとTEの間で十分な変換が行えなくなることがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、製造誤差により導波路構造が変化した場合でもモード変換の特性を確保できるモード変換素子及び光導波路素子を提供することを課題とする。
ここでモードとは、TEモードとTMモードを合わせた総称とする。 また、モードの変換は、TEとTE(i≠j)、TMとTM(i≠j)、TEとTM(i,jは同じでも異なっていてもよい)の変換を含む。i,jは0以上の整数である。モード変換素子は、モード変換を行う素子を指し、TE−TEモード変換素子を含む。
上述のように、TEをTEに変換し(TE−TEモード変換)、その後TEをTMに変換するには、TEをTEに変換させる素子とTEをTMに変換させる素子の二つが必要になる。
前記課題を解決するため、本発明は、下部クラッドと、前記下部クラッド上に形成され、前記下部クラッドより屈折率が大きい一対のコアと、を備え、前記一対のコアは、互いに離間して形成され、これらのうち一方は入力側コアであり、他方は出力側コアであり、前記入力側および出力側コアは、少なくとも一部が並設されることによって方向性結合器を構成し、前記方向性結合器は、前記入力側コアから前記出力側コアに、異なるモード間での結合が可能であり、前記入力側および出力側コアは、前記方向性結合器の少なくとも一部において、前記入力側コアを内周側とし、かつ前記出力側コアを外周側として曲がって形成された曲げ導波路とされているモード変換素子を提供する。
前記入力側および出力側コアは、それぞれ前記方向性結合器の全長において、一定の曲げ半径を有する円弧状に形成されていることが好ましい。
前記入力側コアには、n番目(nは自然数)に実効屈折率が大きいTEモードであるTE(n−1)が導波し、前記出力側コアには、m番目(mは自然数。m>n)に実効屈折率が大きいTEモードであるTE(m−1)が導波し、前記入力側コアのTE(n−1)と、前記出力側コアのTE(m−1)が結合可能であることが好ましい。
前記入力側コアには、n番目(nは自然数)に実効屈折率が大きいTMモードであるTM(n−1)が導波し、前記出力側コアには、m番目(mは自然数。m>n)に実効屈折率が大きいTMモードであるTM(m−1)が導波し、前記入力側コアのTM(n−1)と、前記出力側コアのTM(m−1)が結合可能であってもよい。
前記入力側コアと出力側コアは、高さが互いに等しいことが好ましい。
前記入力側コアには、TEが導波し、かつ前記出力側コアには、TEが導波し、前記入力側コアのTE0と、前記出力側コアのTE1が結合可能であることが好ましい。
本発明のモード変換素子は、前記入力側および出力側コア、および前記下部クラッドの上に上部クラッドが設けられ、前記コアがSiからなり、前記下部クラッドと前記上部クラッドがSiOからなることが好ましい。
本発明は、前記モード変換素子と、前記出力側光コアに接続された高次偏波変換素子とを有する光導波路素子を提供する。
本発明は、前記モード変換素子を備えたDP−QPSK変調器を提供する。
本発明は、前記モード変換素子を備えた偏波ダイバーシティ・コヒーレント受信機を提供する。
本発明は、前記モード変換素子を備えた偏波ダイバーシティ方式を提供する。
本発明によれば、曲げ導波路の採用によって、製造誤差によるコア幅の変化に対する結合効率低下を抑えることができる。
具体的には、第1に、2つのコアのうち外周側のコアの実効屈折率を実効的に増加させることで、位相整合を満たすコア幅を小さくし、それによってクラッド部分に浸みだす光を増加させ、結合係数を増加させることができる。
第2に、一方のコアの実効屈折率を増大させることで、コア幅が変化したときに生じる実効屈折率のずれを補正することができる。
従って、コアの幅が変化した場合でもモード変換の特性を確保できる。
本発明のモード変換素子の一実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のI−I線に沿う断面図である。 曲げ導波路の実効屈折率を説明するための図である。 コア幅に対する実効屈折率の変化を示す図である。 コア幅の製造誤差を説明するための説明図である。 コア幅の変化と実効屈折率との関係を示す図である。 Δ(またはΔ’)の絶対値と製造誤差δとの関係を示す図である。 結合係数χと製造誤差δとの関係を示す図である。 結合効率Tと製造誤差δとの関係を示す図である。 本発明のモード変換素子の第1変形例を示す平面図である。 本発明のモード変換素子の第2変形例を示す平面図である。 本発明のモード変換素子の一例を用いた光導波路素子の一例を示す平面図である。 前図の光導波路素子に使用できる高次偏波変換素子の一例を示す模式図である。(a)はコアの平面図、(b)は光導波路の断面図である。 高次偏波変換素子の他の例を示すものであって、(a)はコアの平面図、(b)は(a)のIVb−IVb線に沿う断面図、(c)は(a)のIVc−IVc線に沿う断面図、(d)は(a)のIVd−IVd線に沿う断面図である。 DP−QPSK変調器の一例を示す模式図である。 偏波ダイバーシティ・コヒーレント受信機の一例を示す模式図である。 偏波ダイバーシティ方式の一例を示す模式図である。 モード変換素子の一例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のII−II線に沿う断面図である。 従来のモード変換素子の一例を模式的に示すもので、(a)は斜視図、(b)は(a)のIII−III線に沿う断面図である。
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明のモード変換素子の一実施形態であるモード変換素子10を示すもので、(a)は平面図、(b)は断面図である。
以下の説明では、図1(b)に示す、光の導波方向に垂直な断面において、入力側コア1と出力側コア2とが向かい合う方向の寸法を幅といい、前記向かい合う方向に垂直な方向の寸法を高さという。
図1(b)において、前記幅は基板Sに平行な方向の寸法であり、前記高さは基板Sに垂直な方向の寸法である。以下、高さ方向(図1(b)の上方)を上方とし、その反対方向を下方として各構造の位置関係を説明することがある。
図1に示すように、モード変換素子10は、コア1,2およびクラッド5を有する光導波路3を備えている。モード変換素子10は、基板S上に光導波路3を有する基板型光導波路素子である。
コア1,2は、クラッド5よりも屈折率が高い材料、好ましくはSi(シリコン)からなる。コア1,2は、Si−SiO−SiからなるSOI(Silicon on insulator)ウェハの最上層のシリコン(Si)層を加工して形成することができる。
コア1,2は、高さが一定である断面矩形状とすることができる。
2つのコア1,2のうち、一方のコア1は入力側コア1であり、他方のコア2は出力側コア2である。
出力側コア2の幅Wは、入力側コア1の幅Wより広くすることができる。
入力側コア1の高さHと出力側コア2の高さHとの関係は、特に限定されず、H>H、H=H、H<Hのいずれでもよいが、HとHとの差は極端に大きくないことが望ましい。特にH=Hの場合、SOIウェハの最上層のSi層をコアとして用いるときに、Si層の高さをそのままコアの高さにすることができるので、加工の手間が省け好ましい。図示例では、コア1,2の高さH,Hは互いに等しい。
入力側コア1および出力側コア2の長さ方向の少なくとも一部は、互いに並設されて方向性結合器8(非対称方向性結合器)を構成している。コア1,2が並設されている部分を結合部という。
図1(a)に示すように、方向性結合器8におけるコア1,2は、入力側コア1を内周側とし、出力側コア2を外周側として、平面視において同じ方向に湾曲して形成された曲げ導波路である。
方向性結合器8におけるコア1,2は、長さ方向にわたって一定の半径を有する円弧状に形成された曲げ導波路である。図示例では、コア1,2は、中心Oを中心とする円弧状に形成されている。
なお、曲げ導波路は、平面視において滑らかな曲線をなす形状のコアを有する。曲げ導波路のコアがなす形状は、円弧状に限らず、任意の曲線であってよい。例えば楕円弧状、放物線状、双曲線状などの高次曲線状(例えば二次曲線状)を採用できる。
コア1,2は、方向性結合器8におけるコア1,2の長さ方向の一部のみが曲げ導波路であってもよいし、方向性結合器8の全長にわたって曲げ導波路であってもよい。図示例では、コア1,2は、方向性結合器8の全長にわたって円弧状に湾曲して形成されている。
また、図示例のコア1,2は一定の間隔をおいて形成されているが、コア1,2の間隔は必ずしも一定でなくてもよい。
クラッド5は、下部クラッド7と、コア1,2及び下部クラッド7の上に設けられた上部クラッド6とを有する。下部クラッド7は、例えばSOIウェハのSiO層からなる。また、上部クラッド6は、例えば、コアを形成後にSiOを堆積させることで形成できる。
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態のモード変換素子10では、図1(a)に示すように、曲げ導波路の採用によって、製造誤差等によるコア1,2の幅の変動を原因とするモード変換特性(結合効率など)の低下を抑えることができる。
具体的には、次の2つの効果が得られる。
第1は、2つのコアのうち外周側のコアを導波するモードの実効屈折率を実効的に増加させることで、位相整合を満たすコア幅を小さくし、それによってクラッド部分に浸みだす光を増加させ、結合係数を増加させる効果である。
第2は、一方のコアの実効屈折率を増大させることで、コア幅が変化したときに生じる実効屈折率のずれを補正する効果である。
以下、このことを詳しく説明するために、まず、従来技術である直線導波路からなる方向性結合器の結合効率について述べる。これを基に、非対称方向性結合器においてコア幅の変化により結合効率が低下することを示し、その後、本発明を説明する。
図17に示すモード変換素子50のように、平行な2つの直線導波路(コア11,12)からなる方向性結合器の結合効率T(モードの変換効率と同じ。入力されたモードのパワーに対する、出力されるモードのパワーの比)は、次式で表される(参考文献[1]:栖原 敏明著「光波工学」コロナ社)。
Figure 0006424018
ここで、F、qは、それぞれ以下の式で表される。
Figure 0006424018
Figure 0006424018
Δは、以下の式で表される。
Figure 0006424018
Lは方向性結合器の長さ、N(i=1,2)は方向性結合器をなす2つのコアが独立に存在する場合のそれぞれの結合対象のモードの実効屈折率を表す。
λは波長を表す。λと、β、Nとの間には「β=(2π/λ)N(i=1,2)」という関係がある。
χは方向性結合器における結合対象のモードの結合の強さを表し、結合係数と呼ばれ次式で求められる。
Figure 0006424018
ここで、E(i=1,2)は コアi(i=1,2)(直線導波路)を導波する結合対象のモードの電界ベクトルを表し、Nは2つのコアを隣接させたときの屈折率分布を表す。
式(5)は、2つのコア(直線導波路)の一方の断面において、両方のモードの電界の内積を積分するものであって、この式より、クラッド部分に浸みだす電界が大きいほど結合が強くなることがわかる。
式(1)〜(3)より、一般的に、方向性結合器でモードの変換を行うには、式(4)で示されるΔをχに対して十分小さくする必要がある。
これは、式(4)において、2つの結合対象のモードの実効屈折率NとNを同程度にすることを表し、位相整合と呼ばれる。ここで、同程度とは、Δ<χが成り立つような場合をいう。以降、位相整合が満たされる場合を結合が可能であるとする。
続いて、直線導波路による非対称方向性結合器の結合効率がコア幅の変化により劣化する理由について述べる。
高さが一定の矩形状導波路(コア)を持つ光導波路(例えば、コアがSi、クラッドがSiOからなる光導波路)に関して、一般的に全てのモード(TEモードとTMモード)は、コア幅の増加に対して、実効屈折率が増加する。
これは、コア幅の増加に従い、モードの電界分布はコア内に閉じ込められていき、電界分布の感じる屈折率が屈折率の高いコアの値に近づくためである。
そのため、並列させた2つの矩形状のコアにおいて、ある波長で、それぞれのコア幅を調整することで(例えば2つのコアの幅を互いに異なるように調整することで)、それぞれのモードの実効屈折率を互いに同程度にすることが可能である。このようにして、異なるモードを結合させることができる。
非対称方向性結合器は、このように異なるモード同士の実効屈折率を同程度にすることで位相整合を満たし、高効率な結合を可能にしている。
図3に、コアの高さを一定にしたときのコア幅に対する実効屈折率の具体的な計算例を挙げる。
ここでは、TE、TE、TMの3つのモードを示している。この図より、どのモードも幅に対して実効屈折率が単調に増加することがわかる。非対称方向性結合器の設計にあたっては、以下のようにして位相整合を図ることができる。
2つのコアのうち一方、例えばTEが導波するコアの幅を400nmと決めると、図3より、TEを導波するコアの幅を約806nmにすれば、TEとTEの実効屈折率が同程度になり、位相整合を図ることができる(図3中の矢印を参照)。
このようにして、2つの異なるTEモードが結合可能な非対称方向性結合器を設計することができる。
この例では、コアはSi(屈折率:3.47)からなり、上部クラッドおよび下部クラッドはSiO(屈折率:1.44)からなり、コアの高さは220nmとし、光の波長は1550nmとした。
しかしながら、このようにして異なるモードの実効屈折率を合わせた場合、隣接する2つのコアの幅が、製造誤差等により互いに同じだけ増減したときの、それぞれのコアの結合対象のモードの実効屈折率の変化量は異なる。
以下では、図4に示すように、一般的な製造誤差として、例えばリソグラフィやエッチングにおいてマスク等で規定したコア幅(設計値)に対し、2つのコアの幅が同程度の量だけ変化する場合を考える。図4では、コア1,2の幅が、設計値W、Wに対してそれぞれ製造誤差δだけ増加する例を挙げる。この例では、コア1,2がそれぞれ両側方にδ/2ずつ広がることを想定している。
一般に、同一の偏波モード(TEモード、TMモード)を比べた場合、高次モードになるにつれ、広がった電界分布を持つため、コア幅の変化に対する、コアへの閉じ込めの程度が緩やかになり、実効屈折率変化も小さくなる。
図5にその一例を示す。この図では、TEとTEの実効屈折率の値に対する、実効屈折率のコア幅に対する変化量(実効屈折率をコア幅で微分した値)を示している。実効屈折率は、図4に示したように、高さ一定の矩形導波路のコア幅を変化させることで変えている。
この例では、コアはSi(屈折率:3.47)からなり、上部クラッドおよび下部クラッドはSiO(屈折率:1.44)からなり、コアの高さは220nmとし、光の波長は1550nmとした。
図5より、実効屈折率が互いに等しい場合、TEの方が、TEより、コア幅が変化したときの実効屈折率の変化量は小さいことがわかる。
このため、高さが同じ2つのコアの幅を調整することで、異なるモードの実効屈折率を同程度にしても、製造誤差によってコア幅が変化すると、それぞれの実効屈折率はズレが生じ、式(1)〜(4)より、結合効率の低下を招いてしまう。
なお、この問題は、2つのコアが高さも幅も互いに等しく、かつ同じモードの結合を取り扱う対称な方向性結合器では生じない問題であり、異なるモードの結合を扱う非対称方向性結合器に特異的に生じる問題である。また、上記の問題は、矩形状のコアを有する導波路に限定された問題ではなく、リブ導波路や、円系/楕円形コアを有する光ファイバなど、コアとクラッドからなる光導波路の一般的な問題である。
本発明は、曲げ導波路の採用により、この問題を解決している。曲げ導波路により前記問題が解決できるのは、定性的には次の理由による。
位相整合を考えた場合、2つの隣接するコアを曲げると、外側のコアのモードの実効屈折率が内側のコアのモードの実効屈折率に対して、2つのコアの曲げ半径の比に関係した量だけ実効的に増加する。これは以下の理由による。
位相整合条件とは、2つのコアを伝搬する異なるモードの光の位相速度を一致させる条件を意味する。
2つの光の速度が近いほど干渉による結合は大きくなり、2つの光の速度のずれが大きいと干渉が生じず結合は低下する。
コアが曲がっている場合には、外側のコアを伝搬する光と内側のコアを伝搬する光の光路が異なり、外側のコアの光の方が長い距離を伝搬することになる。そのため、外側のコアの光は、内側のコアの光に対して実効的に速度が低下する。
速度の低下は実効屈折率の増加と等価(位相速度=真空中の光速/実効屈折率)であるため、速度整合(すなわち位相整合)を考えた場合、外側の導波路の実効屈折率が実効的に増加することになる。
このことを定量的に述べると以下のようになる。
まず、図1に示すように、中心が同じで、それぞれ一定の半径の円弧状に曲げた2つのコアを有する非対称方向性結合器の結合効率を導出する。ここでも、参考文献[1](栖原 敏明著「光波工学」コロナ社)を参考にしている。
図1において、コア1,2の半径R、Rは、曲げの中心Oからそれぞれのコアの幅方向中央までの長さとする。
また、コア1,2の間隔をGとすると、Gはコア1,2が隣接する区間では一定である。コア1の幅をW、コア2の幅をWとしたとき、R=R+G+W/2+W/2となる。
図1に示す座標系では、伝播する光の位相はθにのみ依存し、またθの変化に対して振幅が変化することを考慮すると、参考文献[1]のp.131の式(5.1)は次のように書き換えられる。
Figure 0006424018
ここで、rは中心Oに対してコアの幅方向の座標、yは高さ方向の座標を表す。E(r,y,θ)は、隣接する2つのコアの電界モードを示しており、右辺の第一項はコア1が独立に存在した場合にコア1を導波する光のモードの電界分布(a(・)E(r,y))に位相項(e[・])をかけたものを示し、第二項はコア2の場合を示す。
a(θ)、b(θ)はそれぞれのモードの電界分布のθで変化する項を示し、E(r,y)、E(r,y)はr,yで変化する項を示している。
、Nはそれぞれの曲げ導波路が独立に存在する際の、コア断面(コアの径方向に沿う断面)に垂直な方向(図2の矢印参照)に光が伝搬する際の実効屈折率を示している。
式(6)において以下のように置くと、参考文献[1]のp.131〜134の議論がzをθに置き換えることで成り立つ。
Figure 0006424018
その結果、曲げ導波路による方向性結合器の結合効率T’は次のように書ける。
Figure 0006424018
また、次の式が成立する。
Figure 0006424018
Figure 0006424018
Figure 0006424018
さらに、式(8)〜(11)を、式(1)〜(4)で表される直線導波路による方向性結合器と比較するために、光が内周の曲げ導波路である導波路1を光が伝搬する距離の成分(R×θ)の式に書き換えると、以下のとおりとなる。
Figure 0006424018
Figure 0006424018
Figure 0006424018
Figure 0006424018
Figure 0006424018
曲げ導波路の位相整合に関係する式(15)と、直線導波路に関する式(4)とを比較すると、曲げ導波路の場合、NにR/R(>1)が乗算され、実効的に2つのコアのうち外側のコアの実効屈折率が増加することがわかる。
曲げ導波路に関する式(15)の「(R/R)N」は、外側のコアの実効屈折率Nに(R/R)(>1)が乗算されているため、Nの波長に対する実効屈折率変化量も(R/R)倍され、波長に対する実効屈折率のずれを補償することができる。
本明細書において「実効的に実効屈折率が増加する」とは、このように、位相整合を考慮した場合に、外側のコアの実効屈折率が見かけ上大きくなることをいう。なお、曲げ導波路における位相整合は、Δ’<χ’が成り立つときをいうものとする。
以上のように、曲げ導波路によって実効屈折率が実効的に増加することを本発明では利用している。
具体的には、例えば、コア1を結合対象の低次のTEモード(またはTMモード)、コア2を結合対象の高次のTEモード(またはTMモード)が導波するように定める。このため、コア2の方がコア1より幅が太くなる。
このとき、次の2つの理由により、製造誤差によるコア幅の変化によって2つのコアの結合対象のモードの実効屈折率がずれ、それによって結合効率の低下する問題を解決する。
第1に、外側のコアのより高次のモードは、式(15)に示すように、実効的に実効屈折率が増加するため、直線導波路のときに比べ、より狭いコア幅で位相整合Δ’<<χ’を満たすことができる。
同じモードを考えた場合、コア幅は狭いほどコアへの閉じ込めが弱くなり、電界はクラッドに浸み出す。そのため、コア幅が狭くすることができることにより、隣接するコアへ漏れる光が増大し、結合係数χが向上する。これにより、製造誤差により実効屈折率がずれ、位相整合の度合いが低下してもχが大きくなるため、結合効率低下を抑えることができる。
第2に、外側のコアのより高次のモードの実効屈折率は、式(15)に示すように、定数倍(R/R)だけ実効屈折率が増加し、この定数は製造誤差によるコア幅の変化には影響しない。そのため、より高次のモードのコア幅に対する実効屈折率の変化量(実効屈折率のコア幅による微分)は、この定数倍だけ増加する。
前述したように、より高次のモードほど、コア幅に対する実効屈折率の変化量は小さく、コア幅が変化したときの低次のモードとの実効屈折率のずれが大きくなってしまうが、より高次のモードの実効屈折率の変化量が定数倍されることで、このずれを低減することができる。例えば、図5のTEの線を上に移動させて、TEの線とのずれを補正することができる。
以上2つの理由により、本発明では、製造誤差によるコア幅の変化に対する結合効率低下を抑えることができる。
従って、コアの幅が変化した場合でもモード変換の特性を確保できる。
なお、ここでは矩形導波路の場合について説明したが、本発明は矩形導波路に限らず、例えば、リブ導波路からなる方向性結合器などにも適応可能である。リブ導波路は、リブ部とスラブ部とを有する構造のコアを備えている。スラブ部は、リブ部より薄く、かつリブ部の幅方向に延出して形成される。本発明は、そのほかにも、任意の導波路に適用可能である。
本発明は、異なる次数のTEモード間の変換、異なる次数のTMモード間での変換、さらにTEモードとTMモードの変換において利用することが可能である。
本発明で扱うモードの変換は、TEとTE(i≠j)、TMとTM(i≠j)、TEとTM(i,jは同じでも異なっていてもよい)の変換を含む。
本発明のモード変換素子は、入力側コアに、n番目(nは自然数)に実効屈折率が大きいTEモードであるTE(n−1)が導波し、出力側コアに、m番目(mは自然数。m>n)に実効屈折率が大きいTEモードであるTE(m−1)が導波し、入力側コアのTE(n−1)と、出力側光コアのTE(m−1)とが結合可能である構成とすることができる。
本発明のモード変換素子は、入力側コアに、n番目(nは自然数)に実効屈折率が大きいTMモードであるTM(n−1)が導波し、出力側コアに、m番目(mは自然数。m>n)に実効屈折率が大きいTMモードであるTM(m−1)次モードが導波し、入力側コアのTM(n−1)と、出力側コアのTM(m−1)が結合可能である構成とすることができる。
図1に示す例では、曲げ導波路(コア1,2)は、一定の曲率半径をもつように湾曲しているが、これに限らず、曲率半径が長手方向に変化してもよい。例えばクロソイド曲線のように直線部分と曲げ部分の曲率半径を連続的に変化させた構造を用いることで、曲げによる損失を低減した構造が可能である。この際、位相整合が成り立つように、曲げ半径に応じてコア幅も、光の伝搬方向に変化していることが好ましい。コアの幅が変化する部分は、その変化が緩やかになるように、テーパ状に形成することができる。これは、任意の曲線の場合に言える。
なお、本発明のモード変換素子は、基板型導波路に限らず、2本の光ファイバを融着した光ファイバカプラや、2つのコアを有するマルチコアファイバによって構成することが可能である。これは、結合効率を表す式(8)〜(11)、もしくは(12)〜(16)が、特定の光導波路構造を規定しなくても成り立つためである。
位相整合は、コア幅を変えるだけでなく、コアの高さを変えることでも可能である。また、リブ導波路の場合、スラブ部の高さを変化させることでも可能である。
しかしながら、一回のエッチングでコアを作製する場合は、コアの高さは一定とし、コア幅を変えることで位相整合を図ることが好ましい。逆に言うと、コア幅のみで位相整合を満たすようにすれば、一回のエッチングプロセスでコアを形成可能であり、製造の単純化を図ることができる。
本発明は、コア幅の誤差以外にも、コアの高さや、リブ導波路の場合はスラブ部の高さ、スラブ部のマスクずれ等の、コア形状が変化した際のモードの実効屈折率の変化の違いを補償することができる。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
<実施例1>
実施例1のモード変換素子10は、曲げ導波路を用いた非対称方向性結合器を備えており、図1に示す構造を有する。
本実施例のモード変換素子10は、SOIウェハの中間のSiO層(屈折率:1.44)を下部クラッドとし、Si層(屈折率:3.47)をコア1,2として用いる。コア1,2の形成後、上部クラッドとしてSiO層を設ける。
本実施例では、TEとTEのモード変換における変換効率をシミュレーションした。以下のシミュレーションは有限要素法(FEM:finite element method)による。
<比較例1>
比較のため、図17に示すように、直線的に形成されたコア11,12(入力側コア11および出力側コア12)以外は実施例1と同様の構成を有するモード変換素子50についても、同様のシミュレーションを行った。
ここに示すモード変換素子50では、入力側コア11および出力側コア12は、互いに並設されて方向性結合器18(非対称方向性結合器)を構成している。
実施例1および比較例1では、入力側コアのTEを出力側コアのTEに結合させることを考える。なお、製造上、コア幅を小さくしすぎると製造時の再現性が低下するため、幅が狭い方のコアである入力側コアのコア幅を固定して考える。
ここでは、入力側コアの幅を、実施例1、比較例1ともに400nmとしている。また、コア間隔は300nm、実施例1のコア1の半径Rを40μmとした。このとき、波長1550nmにおいて、実効屈折率が入力側コアと同程度になるように出力側コアの幅を定めた。結果を表1に示す。
このときの結合係数χは、実施例1では、χ’=0.042[rad/μm]、比較例1では、χ=0.038[rad/μm]となる。これらはともに、Δ’<χ’(Δ<χ)が成り立つため、位相整合の条件が満たされている。
Figure 0006424018
直線導波路(比較例1)におけるΔ、および曲げ導波路(実施例1)におけるΔ'が、コア幅の製造誤差に対してどのように変化するかを見るため、コア幅の製造誤差(図4におけるδ)に対するΔおよびΔ'の絶対値を調べた。結果を図6に示す。
この図より、実施例1(曲げ導波路)の方が、製造誤差δに対してΔ’が低く抑えられていることがわかる。
これは、前述したように、コア2を導波するモードの実効屈折率が定数倍されることにより、異なるモードの製造誤差による実効屈折率変化量を補償しているからである。
また、表1において、位相整合を満たす出力側コアの幅を比較すると、直線導波路(比較例1)では836nmであったのに対し、曲げ導波路(実施例1)では定数倍(R/R)が加味されるため、より小さいコア幅806nmで位相整合が成り立っている。
そのため、出力側コア2のTEはよりクラッド部分に浸み出し、結合が向上する。
これを確認するために、直線導波路(比較例1)におけるχと、曲げ導波路(実施例1)におけるχ'とを、製造誤差δに関して比較した結果を図7に示す。
この図より、実施例1(曲げ導波路)の方が、結合係数が高くなっていることがわかる。
以上を踏まえ、製造誤差δに対して結合効率を計算した結果を図8に示す。結合部の長さであるL、Rθは、式(1)、式(8)のsin(・)の項が1となる長さ(結合長と呼ばれる)に設定し、その値は直線導波路(比較例1)ではL=41.1μm、曲げ導波路(実施例1)ではRθ=37.0μmとなる。
この図より、Δ’(Δ)とχ’(χ)がそれぞれ向上しているため、実施例1(曲げ導波路)では製造誤差に対する結合効率の劣化が低減されていることがわかる。
また、実施例1では結合長を短くできるため、モード変換素子10の小型化を図ることができる。
<実施例2>
図9は、モード変換素子10の第1変形例であるモード変換素子10Aを示す図である。
モード変換素子10Aでは、方向性結合器8の入力側コア1の入力側の端部には直線導波路13aが接続され、入力側コア1の出力側の端部には曲げ導波路13bが接続されている。
方向性結合器8の出力側コア2の入力側の端部には曲げ導波路14aが接続され、出力側コア2の出力側の端部には直線導波路14bが接続されている。
方向性結合器8の入力側では、入力側コア1に接続された直線導波路13aと、出力側コア2に接続された曲げ導波路14aとは、方向性結合器8に近づくほど互いに接近している。
方向性結合器8の出力側では、入力側コア1に接続された曲げ導波路13bと出力側コア2に接続された直線導波路14bとは、方向性結合器8から離れるほど互いに離間している。
モード変換素子10Aでは、方向性結合器8の一方側および他方側において、2つのコアが徐々に接近/離間して形成されているため、不要な光の反射を抑えることができる。
<実施例3>
図10は、モード変換素子10の第2変形例であるモード変換素子10Bを示す図である。
モード変換素子10Bでは、方向性結合器8の入力側コア1の入力側の端部に、直線導波路13aに代えて曲げ導波路13cが接続されていること、および、出力側コア2の出力側の端部に直線導波路14bに代えて曲げ導波路14cが接続されている点で、図9に示すモード変換素子10Aと異なる。
方向性結合器8の入力側では、曲げ導波路13cと曲げ導波路14aとは、方向性結合器8に近づくほど互いに接近している。方向性結合器8の出力側では、曲げ導波路13bと曲げ導波路14cとは、方向性結合器8から離れるほど互いに離間している。
モード変換素子10Bでは、方向性結合器8の一方側および他方側において、2つのコアが徐々に接近/離間して形成されているため、不要な光の反射を抑えることができる。
なお、コア1,2の入力側および出力側に曲げ導波路または直線導波路を接続する構造は、図9および図10に示すものに限定されず、これら以外の組み合わせの導波路(曲げ導波路、直線導波路)をコア1,2に接続してもよい。
<実施例4>
図11は、モード変換素子10と、高次偏波変換素子101とを組み合わせた光導波路素子の一例を示す。
方向性結合器8の入力側コア1に接続される入力側の導波路をポート1aとし、方向性結合器8の出力側コア2の入力側に接続される導波路をポート2aとする。出力側コア2の出力側にあるポート2bは、高次偏波変換素子101に接続される。なお、高次偏波変換とは、TEとTMとの間の変換をいう。
図12は、高次偏波変換素子101の構造の一例を示すもので(非特許文献1を参照)、(a)はコアの平面図、(b)は光導波路の断面図である。高次偏波変換素子101は、コア102と、屈折率がコア102より低い下部クラッド103と、屈折率がコア102より低い上部クラッド104とを有する光導波路を備えている。
コア102は例えばSiからなる。下部クラッド103は例えばSiOからなる。上部クラッド104は例えば空気からなる。
高次偏波変換を行うには、上部クラッド104と下部クラッド103が互いに異なる屈折率を持つことが必要である。
図11の光導波路素子は、TEを非対称方向性結合器8によってTEに変換し、TEを高次偏波変換素子101によってTMに変換することができる。
高次偏波変換素子101では、TE(およびTE’)は別のモードへの変換が行われないため、ポート1a、2aにそれぞれTE、TE’を入力すると、高次偏波変換素子101の出力側から、TMとTE’とが合波した出力が得られる。これにより、この光導波路素子は、偏波多重を行うための素子として用いることが可能である。
<実施例5>
図11の光導波路素子においては、高次偏波変換素子101に代えて、図13に示す高次偏波変換素子111(特願2013−135490を参照)を用いることもできる。
図13(a)にコア112の平面図、図13(b)〜図13(d)にそれぞれコア112の終了部、中間部、開始部の断面図を示す。コア112の周囲には図示しないクラッドが設けられている。図13(a)では下部コア114に網かけを付した。
高次偏波変換素子111では、コア112は、断面矩形状の下部コア114と、下部コア114の上に形成された断面矩形状の上部コア113とを有する。開始部118と終了部119では、上部コア113の両側縁がそれぞれ下部コア114の両側縁と重なる位置にあるため、コア112は断面矩形状である。
開始部118のコア幅Wは終了部119のコア幅Wより大きい。開始部118と終了部119のコア高さはいずれもHであり、下部コア114の高さHはコア高さHより低い。
開始部118から中間部120までの区間Lでは、下部コア114の幅は一定である一方、上部コア13の幅は開始部118から中間部120にかけて徐々に小さくなる。
中間部120から終了部119までの区間Lでは、下部コア114の幅は中間部120から終了部119にかけて徐々に小さくなる一方、上部コア113の幅は一定である。
高次偏波変換素子111では、開始部118の断面の導波モードは、実効屈折率がTE、TE、TMの順に小さくなり、終了部119の断面の導波モードは、実効屈折率がTE、TM、TEの順に小さくなる。その間を上下非対称なコア断面によるテーパ導波路で構成しているため、TEとTMの変換が可能となる。
<実施例6>
(DP−QPSK変調器)
本発明のモード変換素子は、参考文献[2](P. Dong, C. Xie, L. Chen, L. L. Buhl, andY.−K. Chen, “112−Gb/s Monolithic PDM−QPSK Modulator in Silicon,” European Conference and Exhibition on Optical Communication, Vol. 1, p. Th.3.B.1, June 16, 2012)で開示されているような偏波多重4値位相変調(DP−QPSK:Dual Polarization−Quadrature Phase Shift Keying)に使用することが可能である。
図14にDP−QPSK変調器の一例を模式的に示す。このDP−QPSK変調器20は、通常の光導波路にTEとTMの2つのモードが存在できることを利用して、TE/TMの両モードに独立したQPSK信号を有する、DP−QPSK変調を行う。具体的には、入力部21からTEで入力した光を2つの光導波路22,22に分岐し、QPSK変調器23,23により各々QPSK信号に変調した後、光導波路24,24の片側のTEを偏波変換素子25によりTMに変換させて、2つのモードを偏波ビームコンバイナで同一の光導波路上に合成し、TEとTMに独立した信号を出力部26に出力する。
<実施例7>
(偏波ダイバーシティ・コヒーレント受信機)
本発明の偏波変換素子は、参考文献[3](C. Doerr et al., “Packaged Monolithic Silicon 112−Gb/s Coherent Receiver,” IEEE Photonics Technology Letters, Vol. 23, pp. 762−764, 2011)で開示されているような、TEとTMを同時に伝送した偏波多重信号のSi光導波路上のコヒーレント受信機に使用することが可能である。
図15に、偏波ダイバーシティ・コヒーレント受信機の一例を模式的に示す。このコヒーレント受信機30は、TEとTMを同時に伝送した偏波多重信号の光導波路31を、偏波変換と偏波ビームスプリッタが同時に行える偏波変換素子32に接続し、光導波路33,33の一方にはTEの信号を、また、光導波路33,33の他方にはTMから変換したTEの信号を分岐させる。局発光34として、一般的に用いられる半導体レーザ光源は片偏波のみ、例えばTE(local)の出力を用いる。このような光源を用いる場合、従来では局発光の偏波変換が必要となる。
しかし、このコヒーレント受信機30では、信号光は偏波分離後にいずれもTEの信号(signal)となるので、局発光の偏波変換が不要になる。信号光と局発光は、光合波部35を経て、結合部36から出力される。
偏波変換素子32に光導波路型の構造を用いる場合、結合部36における素子外部との光の結合には、基板側方より結合する逆テーパ型のモードフィールド変換器など、偏波分離機能を持たない結合器を利用することが可能である。結合器には、例えば参考文献[4](Qing Fang, et al., “Suspended optical fiber−to−waveguide mode size converter for silicon photonics,” Optics Express, Vol. 18, Issue 8, pp. 7763−7769 (2010))に開示されている、逆テーパ型の構造が開示できる。
<実施例8>
(偏波ダイバーシティ方式)
本発明の偏波変換素子は、参考文献[5](Hiroshi Fukuda et al., “Silicon photoniccircuit with polarization diversity,” Optics Express, Vol. 16, Issue 7, pp. 4872−4880 (2008))で開示されているような、TEとTMが同時に伝送される偏波多重伝送や、片方の偏波がランダムに伝送されるときに、両モードに対して同様の操作を与えるための素子を利用したい場合、偏波ダイバーシティ方式を実行するために用いることができる。
図16に示す偏波ダイバーシティ方式40では、TEとTMが同時に伝送される偏波多重信号の光導波路41を、偏波変換と偏波ビームスプリッタが同時に行える偏波変換素子42に接続し、光導波路43,43の一方にはTEの信号を、また、光導波路43,43の他方にはTMから変換したTEの信号を分岐させる。素子44,44で操作されたTEの信号光は、光導波路45,45から偏波変換素子46で合成して、TEとTMが同時に伝送される偏波多重信号の光導波路47に出力する。
偏波変換素子42には、偏波ダイバーシティ・コヒーレント受信機と同様に、偏波変換と偏波ビームスプリッタが同時に行える本発明の偏波変換素子を用いることができる。
偏波変換素子46には、DP−QPSK変調器と同様に、偏波変換と偏波ビームコンバイナが同時に行える本発明の偏波変換素子を用いることができる。
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1…入力側コア、2…出力側コア、5…クラッド、6…上部クラッド、7…下部クラッド、8…方向性結合器(非対称方向性結合器)、10…モード変換素子。

Claims (11)

  1. 下部クラッドと、前記下部クラッド上に形成され、前記下部クラッドより屈折率が大きい一対のコアと、を備え、
    前記一対のコアは、コア幅が互いに異なり、且つ互いに離間して形成され、これらのうち一方は入力側コアであり、他方は出力側コアであり、
    前記入力側および出力側コアは、少なくとも一部が並設されることによって方向性結合器を構成し、
    前記方向性結合器は、前記入力側コアから前記出力側コアに、異なるモード間での結合が可能であり、
    前記入力側および出力側コアは、前記方向性結合器の少なくとも一部において、前記入力側コアを内周側とし、かつ前記出力側コアを外周側として曲がって形成された曲げ導波路とされていることを特徴とするモード変換素子。
  2. 前記入力側および出力側コアは、それぞれ前記方向性結合器の全長において、一定の曲げ半径を有する円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のモード変換素子。
  3. 前記入力側コアには、n番目(nは自然数)に実効屈折率が大きいTEモードであるTE(n−1)が導波し、
    前記出力側コアには、m番目(mは自然数。m>n)に実効屈折率が大きいTEモードであるTE(m−1)が導波し、
    前記入力側コアのTE(n−1)と、前記出力側コアのTE(m−1)が結合可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のモード変換素子。
  4. 前記入力側コアには、n番目(nは自然数)に実効屈折率が大きいTMモードであるTM(n−1)が導波し、
    前記出力側コアには、m番目(mは自然数。m>n)に実効屈折率が大きいTMモードであるTM(m−1)が導波し、
    前記入力側コアのTM(n−1)と、前記出力側コアのTM(m−1)が結合可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のモード変換素子。
  5. 前記入力側コアと出力側コアは、高さが互いに等しいことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のモード変換素子。
  6. 前記入力側コアには、TEが導波し、かつ前記出力側コアには、TEが導波し、前記入力側コアのTEと、前記出力側コアのTEが結合可能であることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載のモード変換素子。
  7. 前記入力側および出力側コア、および前記下部クラッドの上に上部クラッドが設けられ、
    前記コアがSiからなり、前記下部クラッドと前記上部クラッドがSiOからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のモード変換素子。
  8. 請求項1〜7のうちいずれか1項に記載のモード変換素子と、前記出力側コアに接続された高次偏波変換素子とを有することを特徴とする光導波路素子。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のモード変換素子を備えたDP−QPSK変調器。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のモード変換素子を備えた偏波ダイバーシティ・コヒーレント受信機。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のモード変換素子を備えた偏波ダイバーシティ方式。
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