JP2015197387A - アンモニアガスセンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸素イオン伝導性の固体電解質体22Aと、固体電解質体の表面にそれぞれ設けられる検知電極2A及び基準電極4Aとを備え、検知電極は貴金属を主成分とし、BixTiyOz(但し、x、y、zは価数)を含有し、かつBixTiyOzが少なくとも検知電極と固体電解質体との界面領域に存在しているアンモニアガスセンサである。
【選択図】図3
Description
しかしながら、特許文献1の場合には、白金や金等の貴金属を主成分とする検知電極は、経時安定性に優れているものの、選択反応層に用いるビスマスバナジウム酸化物は、検知電極に比べると経時安定性が低いため、アンモニアガスセンサを長時間使用した場合に、選択反応層が劣化し、その結果、アンモニア濃度の出力が低下する虞がある。
すなわち、本発明は、熱に対する経時安定性に優れ、かつアンモニアガス以外の可燃性ガスの影響を低減してアンモニアガスのみの選択性に優れたアンモニアガスセンサの提供を目的とする。
このように、検知電極にBixTiyOzを含有している。このBixTiyOzは、熱に対する経時安定性がビスマスバナジウム酸化物に対して高い。このため、アンモニアガスセンサを高温で長期間使用しても、検知電極が劣化して、アンモニア濃度の出力が低下することを抑制
できる。
その上、検知電極にBixTiyOzを含有しつつ、且つBixTiyOzが上記界面領域に存在すると、アンモニアのみの選択性を確保できる。これは上記界面領域に介在するBixTiyOzが界面領域でのNH3以外の可燃性のガス種との電極反応を抑制するためと考えられる。
このように、固体電解質体との界面にBixTiyOzが直接接してなることで、NH3 以外の可燃性のガス種との電極反応が最も生じる固体電解質体の界面にBixTiyOzが存在するため、この電極反応をより抑制することができ、アンモニアのみの選択性をより確保できる。
図1は、本発明の実施形態に係るアンモニアガスセンサ(アンモニアセンサ)200Aの長手方向に沿う断面図を示す。アンモニアセンサ200Aは、アンモニアを検出するセンサ素子部50Aを組み付けたアッセンブリである。アンモニアセンサ200Aは、軸線方向に延びる板状のセンサ素子部50Aと、排気管に固定されるためのねじ部139が外表面に形成された筒状の主体金具138と、センサ素子部50Aの径方向周囲を取り囲むように配置される筒状のセラミックスリーブ106と、軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔168の内壁面がセンサ素子部50Aの後端部の周囲を取り囲む状態で配置される絶縁コンタクト部材166と、センサ素子部50Aと絶縁コンタクト部材166との間に配置される複数個(図1では2つのみ図示)の接続端子110とを備えている。
図2において、絶縁層6Aの上面には、長手方向に沿ってリード31Aが延び、リード31Aの末端が電極端子部41Aを形成している。さらに、絶縁層6A上には、リード31Aと平行にリード30Aが延び、リード30Aの末端(絶縁層6Aの右端部)が電極端子部40Aを形成している。なお、リード30A、31Aは絶縁層6Aの中央部分から末端にかけて長手方向に延びている。さらに、リード30A,31Aを覆うように絶縁層20Aが形成されている。但し、絶縁層6Aの先端側(リード30A、31Aが形成されていない部位)、リード30A、31Aの先端側及び電極端子部40A、41Aは、絶縁層20Aで被覆されずに露出している。
このように、基準電極4Aと検知電極2Aは固体電解質体22Aの同じ面側に露出し、被測定ガスに曝される。又、固体電解質体22A、基準電極4A、及び検知電極2Aがセル70を構成している。
また、検知電極2A及び基準電極4Aを覆うようにしてガス透過性の保護層60Aが設けられている。
この検知電極2Aは、貴金属を主成分とし、BixTiyOz(但し、x、y、zは価数)を含有し、かつBixTiyOzが少なくとも前記検知電極と前記固体電解質体との界面領域に存在していることが必要である。
ここで、特許請求の範囲の「貴金属を主成分とする」とは、検知電極2A中の貴金属の割合が50質量%を超えることをいう。又、貴金属は、Au、Pt、Ag、Ir,Ru、及びこれらの合金であり、特にAuが好ましい。又、BixTiyOzとしては、例えば、BixTiyOzは、Bi4Ti3O12、Bi12TiO12、Bi24Ti2O40、Bi20TiO32、Bi2Ti2O7、Bi2Ti4O11が挙げられる。このような種類のBixTiyOzを選択することで、アンモニアのみの選択性の向上を図ることができる。検知電極2Aは、上記したBixTiyOzの1種又は2種以上を含有することができる。
ここで、保護層60Aはアルミナ等の無機酸化物を含むペーストを焼成して形成されるため、なるべく高温(例えば1000〜1400℃)で焼成して皮膜強度を向上させることが好ましい。これに対し、本発明のアンモニアガスセンサにおいては、検知電極2Aが熱に対する経時安定性の高いBixTiyOzを含有するため、センサ素子部50Aを高温で焼成して製造することができる。その結果、保護層60Aの皮膜強度を向上させることができる。
BixTiyOzが界面領域に存在することは、検知電極2Aと固体電解質体22Aを含むアンモニアガスセンサの断面をEPMA(電子線マイクロアナライザ)分析することで確認することができる。
ここで、図4に示すように、固体電解質体22A側から検知電極2Aに向かって上記断面を厚み方向にEPMA分析すると、固体電解質体22Aの成分(この例では、YSZ(イットリア安定化ジルコニア))の濃度がほぼ一定の最大値(Max)から急激に減少し、やがてほぼ一定の最小値(Min)になる。この際、最大値(Max)から所定の割合で減少した地点の濃度をP1とし、最小値(Min)から所定の割合で増加した地点の濃度をP2とし、各濃度P1,P2のときの厚み方向の位置をL1、L2とする。このとき、L1〜L2の間の領域を、特許請求の範囲の「界面領域R」と規定する。そして、界面領域RでEPMAの検出限界を超えてBixTiyOzが検出されれば、これらの成分が界面領域Rに存在しているとみなす。また、L1を固体電解質体22Aの界面とみなす。
又、EPMA分析は、上記した断面のうち、15μm四方の視野を複数箇所(例えば、3箇所)測定と、界面領域Rを特定する精度が向上するので、より好ましい。
同様に、図5(f)に示すように、図5(e)とは逆に、界面領域R内で、検知電極2Aが、固体電解質層22A側から順に、Auを含む層2AF、AuとBixTiyOzとの混合物からなる層2AEの2層構造となっている場合も、固体電解質体22Aの界面にBixTiyOzが存在していないため、アンモニアのみの選択性が劣ることがある。
なお、図5(a)〜図5(f)の層2AA、層2AB、層2AC、層2AD、層2AE、層2AFには、固体電解質体22Aの成分が含有されていることは言うまでもない。
なお、図6に示す検知電極2A2において、検知電極層2AXをAu又はBixTiyOzとしてもよい。又、被覆層2CをAu、BixTiyOz又はAuとBixTiyOzとの混合物としてもよい。すなわち、検知電極2A2の場合、検知電極層2AX又は被覆層2Cの少なくとも一方がBixTiyOzを含んでいれば、BixTiyOzが固体電解質層22Aに直接接しているので、BixTiyOzが界面領域Rに確実に存在する。
さらに、界面領域には、貴金属が存在していても良い。これにより、アンモニアのみの選択性
をさらに確保できる。
又、検知電極は貴金属を70質量%以上含有すると集電能力に優れるので好ましい。検知電極中の貴金属が70質量%未満になると、集電体としての能力が得られず、導通不良が生じてアンモニアガスが検出できないことがある。
各リード30A、31A、32A、34A、35A,36A、電極端子部40A〜44A、温度検出手段14A及び発熱抵抗体16Aは、例えばPt、Pd又はこれらの合金を主成分とする材料で構成されている。
各絶縁層6A、11A、20A及び26Aは、例えばアルミナ等の絶縁性セラミックで構成されている。
次に、検知電極2A、基準電極4Aを含む所定領域を覆うように、アルミナ系ペーストをスクリーン印刷し、所定温度(例えば、1000℃)で焼成して保護層を形成する。
これにより、センサ素子部50Aが完成する。なお、その後は、公知の製造方法により、センサ素子部50Aを主体金具138等に組み付けアンモニアガスセンサ200Aを作成する。
又、固体電解質体を筒状として、筒の外面と内面とにそれぞれ検知電極と基準電極とを設け、筒内面を大気雰囲気に曝し、筒外面の検知電極を被測定ガスに曝すようなセンサ構造としてもよい。
次に、センサ素子部の本体となる比較的厚い(例えば300μm)グリーンシートのアルミナ絶縁層6Aを、発熱抵抗体16Aに積層した。そして、絶縁層6Aの上にPtペーストをスクリーン印刷してリード30A、31A、及び電極端子部40A、41Aを形成し、さらにリード30A、31Aを覆うようにして絶縁層20Aをスクリーン印刷した。その後、14500℃で60分間焼成した。
次に、絶縁層6A上に固体電解質体22Aの材料となるYSZ(Y安定化ジルコニア)ペーストを印刷した。この積層体を1500℃で60分間焼成した。YSZペーストは、乳鉢にYSZ、有機溶剤、分散剤を入れ、らいかい機で4時間分散混合した後、バインダー、粘度調整剤を所定量添加し、更に4時間湿式混合を行い調製した。
なお、上記Au系ペーストは以下のようにして調製した。まず、Bi2O3粉末とTiO2粉末(79.5:20.5(質量比))とを、らいかい機で1時間乾式混合した後、得られた混合粉末をルツボに入れ、電気炉で1000℃で3時間焼成し、Bi4Ti3O12粉末を得た。さらに、焼成後の粉末を、らいかい機で1時間乾式混合した。次に、市販のAuペーストに対し、Bi4Ti3O12粉末を(90.0:10.0 (質量比))の割合で混入し、さらに有機溶剤、バインダー及び分散剤を加え、らいかい機で4時間混合し、Au系ペーストを調製した。
又、上記Pt系ペーストは、乳鉢にPt粉末、Pt粉末に対し10wt%のYSZ粉末、及び有機溶剤を入れ、らいかい機で4時間分散混合した後、有機バインダー、粘度調整剤を所定量添加し、更に4時間湿式混合して調製した。
また、検知電極2A用の上記Au系ペースト中にBi4Ti3O12粉末を入れずに、比較例2のアンモニアガスセンサを作製した。
1.アンモニアガスセンサの選択性試験
モデルガス発生装置のガス流中に実施例及び各比較例のアンモニアガスセンサを取り付け、アンモニアのガス選択性の評価を行った。モデルガスのガス温度150℃、センサ素子部の制御温度(ヒータ加熱)を700℃とした。そして、モデルガス発生装置に流すガス組成をO2=7% H2O=4% N2=bal.(基準ガス)とし、この基準ガスにNH3をそれぞれ0ppm〜150ppmさらに添加した。同様にして上記基準ガスにC3H6 をそれぞれ0ppm〜150ppmさらに添加して評価を行った。
そして、それぞれNH3あるいはC3H6濃度に対するアンモニアガスセンサのEMF出力を求め、「EMF出力-アンモニア濃度」換算式に基づき、NH3濃度に換算した。
図7、図8に示すように、実施例、比較例1のアンモニアガスセンサは、C3H6に対するNH3濃度の出力変化は生じなかったが、図9に示すように、比較例2のアンモニアガスセンサは、C3H6に対するNH3濃度の出力変化が生じた。これより、実施例、比較例1のアンモニアガスセンサは、アンモニアガスのみの選択性が得られていることが分かる。
モデルガス発生装置のガス流中に実施例及び比較例1のアンモニアガスセンサを取り付け、センサの感度の評価(以下、感度評価と言う)を行った。モデルガスのガス温度150℃、センサ素子部の制御温度(ヒータ加熱)を700℃とし、ガス組成をO2=7% H2O=4% N2=bal.とし、さらにNH3をそれぞれ20,50,100ppm添加した。そして、NH3 をそれぞれ10,50,100ppm の間でモデルガスに混合してガスを流したときのアンモニアガスセンサのEMF出力を測定し、上記換算式に基づいてNH3 濃度に換算し、初期特性を算出した。
得られた結果を図10、図11に示す。なお、図10は、ヒータ連続通電時のセンサ素子部の制御温度(ヒータ加熱)を700℃としたときの耐久試験の結果であり、図11は、ヒータ連続通電時のセンサ素子部の制御温度800℃としたときの耐久試験の結果である。
図10に示すように、700℃の耐久試験の場合、実施例、比較例1ともに、長時間(2000時間)試験後もセンサのEMF出力(NH3濃度出力)はほとんど変化しなかった。
一方、図11に示すように、800℃の耐久試験の場合、実施例は長時間(2000時間)試験後もEMF出力(NH3濃度出力)はほとんど変化せず、高温での熱に対する経時安定性に優れていた。これに対し、比較例1は試験時間が経過すると共にEMF出力(NH3濃度出力)が低下し、高温での熱に対する経時安定性が劣った。
4A 基準電極
22A 固体電解質体
50A ガスセンサ素子
60A 保護層
200A アンモニアガスセンサ
Claims (4)
- 酸素イオン伝導性の固体電解質体と、前記固体電解質体の表面にそれぞれ設けられる検知電極及び基準電極とを備え、
前記検知電極は貴金属を主成分とし、BixTiyOz(但し、x、y、zは価数)を含有し、かつBixTiyOzが少なくとも前記検知電極と前記固体電解質体との界面領域に存在しているアンモニアガスセンサ。 - 前記BixTiyOzは、少なくとも前記界面領域のうち前記固体電解質体との界面に接してなる請求項1に記載のアンモニアガスセンサ。
- 前記BixTiyOzは、Bi4Ti3O12、Bi12TiO12、Bi24Ti2O40、Bi20TiO32、Bi2Ti2O7、及びBi2Ti4O11の群から選ばれる1種以上である請求項1又は2に記載のアンモニアガスセンサ。
- 前記検知電極の表面を覆う保護層をさらに設けてなる請求項1〜3のいずれかに記載のアンモニアガスセンサ。
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