JP2015196621A - 硫化リチウムの製造方法及び無機固体電解質の製造方法 - Google Patents

硫化リチウムの製造方法及び無機固体電解質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【解決課題】有機溶媒やガス状の硫黄源を使用せず、工程数が少なく、且つ、異相の含有量が少ない硫化リチウムの製造方法を提供すること。
【解決手段】固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物を焼成して、硫化リチウムを得る焼成工程を有する硫化リチウムの製造方法であり、該焼成工程において、該固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物の一部又は全部を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア及び多孔質マグネシアから選ばれる1種又は2種以上に接触させて、600〜1200℃で、焼成すること、を特徴とする硫化リチウムの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、硫化リチウムの製造方法に関する。また、本発明は、該硫化リチウムの製造方法により得られた硫化リチウムを用いる無機固体電解質の製造方法に関する。
硫化リチウムは、リチウム二次電池の正極材や無機固体電解質の原料として有用である。
この硫化リチウムの製造方法として、例えば特許文献1には、非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを反応させて水硫化リチウムを生成させ、次いでこの反応液を脱硫化水素化して硫化リチウムを生成させる方法、或いは、非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを反応させ、直接硫化リチウムを生成させる方法が開示されている。また、特許文献2には、非プロトン性有機溶媒中で、水硫化ナトリウムと塩化リチウムを反応させて、次いで生成した水硫化リチウムを脱硫化水素化することにより硫化リチウムを生成させる方法が開示されている。
一方、有機溶媒を使用しない硫化リチウムの製造方法としては、例えば、特許文献3には、金属リチウムと硫黄蒸気或いは硫化水素とを低温域で直接反応させ、その後、不活性ガスと置換して高温域で未反応の金属リチウムを、既に生成している硫化リチウムに拡散、浸透させ、このサイクルを繰り返すことにより硫化リチウムを得る方法が開示されている。
特開平7−330312号公報 特開平10−130005号公報 特開平9−110404号公報
不燃性の無機固体電解質は、電池の安全性を高めることから特に注目されている材料である。この無機固体電解質を製造する上で、他の原料と容易に均一混合可能で反応性にも優れた微細な硫化リチウムが要望されている。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2は、非プロトン性有機溶媒中で硫化リチウムを合成する方法であり、高価な有機溶媒を使用すること、使用後の有機溶媒は、廃棄又は再生が必要となるため、それにかかる費用が高価なものとなること等から、硫化リチウムの製造コスト面で不利であるという問題があった。
また、特許文献3のように、ガス状の硫黄源を用いる方法では、ガス状の硫黄源の毒性や腐食の問題が生じる。また、硫黄蒸気や硫化水素蒸気等を扱うためには、設備が複雑なものとなる。また、高温域での反応が激しすぎるため、制御が難しく、その制御のために過分なコストがかかってしまう等の問題もある。
従って、本発明の目的は、有機溶媒やガス状の硫黄源を使用せず、工程数が少なく、且つ、異相の含有量が少ない硫化リチウムの製造方法を提供することにある。
前記目的は、以下の本発明により達成される。
すなわち、本発明(1)は、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物を焼成して、硫化リチウムを得る焼成工程を有する硫化リチウムの製造方法であり、
該焼成工程において、該固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物の一部又は全部を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア及び多孔質マグネシアから選ばれる1種又は2種以上に接触させて、600〜1200℃で、焼成すること、
を特徴とする硫化リチウムの製造方法を提供するものである。
また、本発明(2)は、本発明(1)の硫化リチウムの製造方法により、硫化リチウム得、次いで、得られた硫化リチウムと、硫化リン、硫化ケイ素、硫化ゲルマニウム、硫化ホウ素、硫化アルミニウム及び硫化ガリウムの群から選ばれる1種又は2種以上の硫化物と、を反応させることを特徴とする無機固体電解質の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、有機溶媒やガス状の硫黄源を使用せず、工程数が少なく、且つ、異相の含有量が少ない硫化リチウムの製造方法を提供することができる。
実施例及び比較例で得られた硫化リチウムのX線回折図である。 実施例及び比較例で得られた硫化リチウムのX線回折図である。 実施例で得られた硫化リチウムのX線回折図である。
本発明の硫化リチウムの製造方法は、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物を焼成して、硫化リチウムを得る焼成工程を有する硫化リチウムの製造方法であり、
該焼成工程において、該固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物の一部又は全部を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア及び多孔質マグネシアから選ばれる1種又は2種以上に接触させて、600〜1200℃で、焼成すること、
を特徴とする硫化リチウムの製造方法である。
本発明の硫化リチウムの製造方法に係る焼成工程は、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物を、600〜1200℃で焼成して、硫化リチウムを得る工程である。
本発明の硫化リチウムの製造方法に係る固体の水酸化リチウムとしては、如何なる製造方法により得られたものであってもよく、市販品であってもよい。高純度の硫化リチウムを得る上で、固体の水酸化リチウムは、不純物の含有量が少ないものほど好ましい。固体の水酸化リチウムは、一水塩であっても、無水塩であってもよい。固体の水酸化リチウムの粒径は、特に制限されない。
本発明の硫化リチウムの製造方法に係る固体の硫黄としては、特に制限されない。高純度の硫化リチウムを得る上で、固体の硫黄は、不純物の含有量が少ないものほど好ましく、純度が99質量%以上であることが特に好ましい。また、固体の硫黄の粒径は、特に制限されない。
固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物中のリチウム原子に対する硫黄原子の比は、原子換算のモル比(S/Li)で、0.5〜3が好ましく、0.6〜1.0が特に好ましい。固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物中のリチウム原子に対する硫黄原子の比が上記範囲にあることにより、純度が高く且つ回収率が高くなる。一方、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物中のリチウム原子に対する硫黄原子の比が、上記範囲未満だと、異相としてLiOが生成し易くなり、また、上記範囲を超えると、回収率が低くなり易い。固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物中のリチウム原子に対する硫黄原子の比は、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄との混合量を調節することにより調節される。
本発明の硫化リチウムの製造方法に係る固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物は、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄とを、湿式又は乾式にて撹拌混合することにより得られる。これらを混合する方法としては、特に制限されず、例えば、これらをペイントシェイカー等を用いて混合する方法が挙げられる。また、湿式にて固体の水酸化リチウムと固体の硫黄を撹拌混合する場合、混合後の混合物を乾燥させてもよい。
本発明の硫化リチウムの製造方法に係る多孔質アルミナは、多数の細孔を有するアルミナ(酸化アルミニウム)粒子の焼結体である。多孔質アルミナの気孔率は、10〜70%、好ましくは15〜50%である。同様に、本発明の硫化リチウムの製造方法に係る多孔質ジルコニアは、多数の細孔を有するジルコニア(酸化ジルコニウム)粒子の焼結体である。多孔質ジルコニアの気孔率は、10〜70%、好ましくは15〜50%である。同様に、本発明の硫化リチウムの製造方法に係る多孔質マグネシアは、多数の細孔を有するマグネシア(酸化マグネシウム)粒子の焼結体である。多孔質マグネシアの気孔率は、10〜70%、好ましくは15〜50%である。なお、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア及び多孔質マグネシアの気孔率の測定方法であるが、JIS1634−1998「ファインセラミックスの焼結体密度、開気孔率の測定方法」によって開気孔率を求め、この開気孔率を、本発明の硫化リチウムの製造方法に係る多孔質アルミナの気孔率とする。
そして、本発明の硫化リチウムの製造方法に係る焼成工程では、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物の一部又は全部を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア及び多孔質マグネシアから選ばれる1種又は2種以上に接触させて、600〜1200℃で焼成して、硫化リチウムを得る。
焼成工程において、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物の一部又は全部を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア及び多孔質マグネシアから選ばれる1種又は2種以上に接触させて、焼成するとは、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物の一部又は全部が、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア及び多孔質マグネシアから選ばれる1種又は2種以上に接触している状態で、焼成することを指す。
焼成工程において、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物の一部又は全部を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア及び多孔質マグネシアから選ばれる1種又は2種以上に接触させて、焼成する方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。
(1)多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア又は多孔質マグネシアからなる焼成容器に、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物を投入し、その焼成容器内で固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物を焼成する方法。
(2)多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア又は多孔質マグネシアからなる内壁が、内側に設けられているロータリーキルンに、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物を投入し、そのローターキルン内で、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物を焼成する方法。
(3)球状の多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア又は多孔質マグネシアを、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物に混合し、それらの混合物を焼成する方法。
なお、上記(1)の方法では、焼成開始直後は、焼成容器内に投入された固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物のうち、一部しか焼成容器には接触していないが、焼成中に、異相成分である硫酸リチウムが融解する温度以上で加熱されることで、異相成分が融解し、流動可能な状態となり、溶融した硫酸リチウムが多孔質体に接触して、吸着されるので、生成物の全体から副生物が吸着除去される。
焼成工程において、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物を焼成するときの焼成温度は、600〜1200℃、好ましくは800〜1200℃、特に好ましくは900〜1000℃である。焼成温度が上記範囲にあることにより、異相の生成を抑えて、効率よく硫化リチウムを得ることができる。焼成工程において、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物を焼成するときの焼成時間は、未反応の水酸化リチウムが残らない範囲で、適宜選択される。焼成工程において、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物を焼成するときの焼成雰囲気は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気又は水素ガス雰囲気である。
焼成工程において、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物を焼成した後、焼成物、すなわち、生成した硫化リチウムを、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下、水素ガス雰囲気下、又は真空下で冷却し、冷却後、必要に応じて、更に、粉砕又は解砕、分級、包装等を行い、製品の硫化リチウムを得る。このとき用いる不活性ガス又は水素ガスは、不純物の混入を防止する観点から、純度が高いほど好ましい。また、水分との接触を避ける点で、不活性ガス又は水素ガスの露点は、−50℃以下が好ましく、−60℃以下が特に好ましい。
水酸化リチウムと硫黄の混合物を焼成して、水酸化リチウムと硫黄を反応させると、副生物が不純物となって、硫化リチウム中に混入してしまうが、本発明の硫化リチウムの製造方法では、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア又は多孔質マグネシアが、反応中に生成する副生物を吸着する吸着剤として機能する。よって、本発明の硫化リチウムの製造方法に係る多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア又は多孔質マグネシアとは、このような、反応中に生成する副生物を吸着することができるような孔を有するアルミナ、ジルコニア又はマグネシアである。
本発明の硫化リチウムの製造方法に係る焼成工程では、還元剤の存在下で、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物を焼成することもできる。
焼成工程において、気体の還元剤の存在下で焼成を行う場合は、雰囲気に気体の還元剤を存在させた状態で、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物を焼成する。また、焼成工程において、固体又は液体の還元剤の存在下で焼成を行う場合は、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄と還元剤を混合し、得られる混合物を焼成する。
焼成工程において、還元剤は、固体の水酸化リチウムと硫黄を600〜1200℃で焼成して反応させるときに、異相として生成するLiSOを、LiSに還元する還元剤として作用するものであり、気体であっても、液体であっても、固体であってもよい。
焼成工程において、還元剤の存在下で、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物を焼成する形態例としては、以下の形態例(i)〜(iii)が挙げられる。
形態例(i)は、還元剤として炭素材を用い、固体の水酸化リチウムと、固体の硫黄と、炭素材と、を混合して、焼成用混合物を得、次いで、焼成用混合物の一部又は全部を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア及び多孔質マグネシアから選ばれる1種又は2種以上に接触させて、焼成することにより、本発明の硫化リチウムの製造方法に係る焼成工程を行う硫化リチウムの製造方法である。
すなわち、形態例(i)は、固体の水酸化リチウムと、固体の硫黄と、炭素材と、を混合して、焼成用混合物を得、次いで、該焼成用混合物の一部又は全部を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア及び多孔質マグネシアから選ばれる1種又は2種以上に接触させて、600〜1200℃、好ましくは800〜1200℃、特に好ましくは900〜1000℃で焼成して、硫化リチウムを得る焼成工程を有することを特徴とする硫化リチウムの製造方法である。
形態例(i)に係る炭素材は、炭素原子のみからなる材料であり、例えば、カーボンブラック、炭素繊維、黒鉛、活性炭等が挙げられる。炭素材に係るカーボンブラックは、如何なる製造方法により得られたものであるかは制限されず、例えば、ファーネス法で得られたファーネスブラック、チャンネル法で得られたチャンネルブラック、アセチレン法で得られたアセチレンブラック、サーマル法で得られたサーマルブラック等が挙げられる。炭素材に係る炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。そして、形態例(i)に係る炭素材としては、カーボンブラックが、異相の含有量が少ない硫化リチウムを得るという効果が高くなる点で、好ましい。
形態例(i)では、焼成用混合物中のリチウム原子に対する炭素原子の比が、原子換算のモル比(C/Li)で、0.05〜0.5が好ましく、0.1〜0.3が特に好ましい。焼成用混合物中のリチウム原子に対する炭素原子の比が上記範囲にあることにより、焼成後の硫化リチウム中のカーボンの残存が少なくなる。焼成用混合物中のリチウム原子に対する炭素原子の比は、固体の水酸化リチウムと炭素材との混合量を調節することにより調節される。
形態例(ii)は、還元剤として水素ガスを用い、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物の一部又は全部を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア及び多孔質マグネシアから選ばれる1種又は2種以上に接触させて、焼成することにより、本発明の硫化リチウムの製造方法に係る焼成工程を行う硫化リチウムの製造方法である。
すなわち、形態例(ii)は、水素ガス雰囲気下で、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物の一部又は全部を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア及び多孔質マグネシアから選ばれる1種又は2種以上に接触させて、600〜1200℃、好ましくは800〜1200℃、特に好ましくは900〜1000℃で焼成して、硫化リチウムを得る焼成工程を有することを特徴とする硫化リチウムの製造方法である。
形態例(iii)は、還元剤として、固体、液体又は気体の還元剤であるアスコルビン酸、シュウ酸、ギ酸、ヒドラジン、一酸化炭素、メタン又はプロパンガスを用い、固体の水酸化リチウムと、固体の硫黄と、還元剤と、を混合して、焼成用混合物を得、次いで、焼成用混合物の一部又は全部を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア及び多孔質マグネシアから選ばれる1種又は2種以上に接触させて、焼成することにより、本発明の硫化リチウムの製造方法に係る焼成工程を行う硫化リチウムの製造方法である。形態例(iii)において、還元剤として、固体又は液体の還元剤を用いる場合は、固体の水酸化リチウムと、固体の硫黄と、上記の固体又は液体の還元剤と、を混合して、焼成用混合物を得、次いで、焼成用混合物を焼成することにより、形態例(iii)に係る焼成工程を行う。また、形態例(iii)において、還元剤として、気体の還元剤を用いる場合は、固体の水酸化リチウムと、固体の硫黄とを混合して、これらの混合物を得、次いで、気体の還元剤を導入しながら、混合物を焼成することにより、形態例(iii)に係る焼成工程を行う。
すなわち、還元剤が固体又は液体の場合、形態例(iii)は、固体の水酸化リチウムと、固体の硫黄と、固体又は液体の上記還元剤と、を混合して、焼成用混合物を得、次いで、該焼成用混合物の一部又は全部を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア及び多孔質マグネシアから選ばれる1種又は2種以上に接触させて、600〜1200℃、好ましくは800〜1200℃、特に好ましくは900〜1000℃で焼成して、硫化リチウムを得る焼成工程を有することを特徴とする硫化リチウムの製造方法である。また、還元剤が気体の場合、形態例(iii)は、固体の水酸化リチウムと、固体の硫黄とを混合して、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物(焼成用混合物)を得、次いで、気体の還元剤を導入しながら、この固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物(焼成用混合物)の一部又は全部を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア及び多孔質マグネシアから選ばれる1種又は2種以上に接触させて、600〜1200℃、好ましくは800〜1200℃、特に好ましくは900〜1000℃で焼成して、硫化リチウムを得る焼成工程を有することを特徴とする硫化リチウムの製造方法である。
形態例(iii)に係る還元剤としては、アスコルビン酸、シュウ酸、ギ酸、ヒドラジン、一酸化炭素、メタン、プロパンガスが挙げられる。
形態例(iii)において、還元剤の混合量は、焼成用混合物中のリチウム原子の原子換算のモル数に対する還元剤の分子量換算のモル数の比(還元剤/Li)で、0.02〜0.5が好ましく、0.03〜0.3が特に好ましい。焼成用混合物中のリチウム原子に対する還元剤の比が上記範囲にあることにより、生産性良く硫化リチウムを得ることができる。
形態例(i)〜(iii)のうち、形態例(i)が、還元剤である炭素材を、水酸化リチウム及び硫黄の混合物の内部にまで、分散させて存在させることができるので、異相の含有量が少ない硫化リチウムを得るという効果が高くなる点で、好ましい。
また、本発明の硫化リチウムの製造方法では、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物に、更に、複数の水酸基を有する有機化合物を混合させて、複数の水酸基を有する有機化合物の存在下で、焼成工程を行うこと、すなわち、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄と複数の水酸基を有する有機化合物の混合物を、混合して得られる混合物を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア及び多孔質マグネシアから選ばれる1種又は2種以上に接触させて、焼成することもできる。
焼成工程において、複数の水酸基を有する有機化合物を用いる場合、複数の水酸基を有する有機化合物とは、炭素原子と水素原子と酸素原子とからなり、分子中に2以上の水酸基を有する化合物である。この複数の水酸基を有する化合物は、固体であっても、液体であってもよい。また、複数の水酸基を有する化合物中に、炭素原子、水素原子及び酸素原子以外の原子が存在すると、硫化リチウムの純度を低下させる要因となるので、複数の水酸基を有する有機化合物は、炭素原子、水素原子及び酸素原子のみからなる化合物であることが好ましい。
複数の水酸基を有する有機化合物としては、糖類、多価アルコール類等が挙げられる。複数の水酸基を有する有機化合物に係る糖類としては、フルクトース等の単糖類、スクロース、ラクトース等の二糖類、単糖が3〜20分子程度結合したオリゴ糖類、でんぷん、セルロース等の多糖類、キシリトール、ソルビトール等の糖アルコール類が挙げられる。複数の水酸基を有する有機化合物に係る多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等の2価のアルコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価のアルコール類、分子中に4以上のヒドロキシル基を有する4価以上のアルコール類、ポリビニルアルコール等の多数のヒドロキシル基を有するポリマー等が挙げられる。これらのうち、複数の水酸基を有する有機化合物としては、異相の含有量が少ない硫化リチウムを得るという効果が高まると共に、硫化リチウム中に残存するカーボンの量が少なくなる点で、単糖類又は二糖類が好ましく、スクロースが特に好ましい。
焼成工程において、複数の水酸基を有する有機化合物を用いる場合、焼成用混合物中のリチウム原子に対する炭素原子の比は、原子換算のモル比(C/Li)で、0.05〜0.5が好ましく、0.1〜0.3が特に好ましい。焼成用混合物中のリチウム原子に対する炭素原子の比が上記範囲にあることにより、焼成後の硫化リチウム中のカーボンの残存が少なくなる。焼成用混合物中のリチウム原子に対する炭素原子の比は、固体の水酸化リチウムと複数の水酸基を有する有機化合物との混合量を調節することにより調節される。
本発明の硫化リチウムの製造方法により得られる硫化リチウムの平均粒子径は、好ましくは1〜100μm、特に好ましくは10〜50μmである。硫化リチウムの平均粒子径が上記範囲にあることにより、無機固体電解質の製造に用いる場合に、その製造が容易になる。
固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア又は多孔質マグネシアに接触させないで、あるいは、表面が緻密な黒鉛、アルミナ、ジルコニア、マグネシア等に接触させて、焼成して、水酸化リチウムと硫黄を反応させて硫化リチウムを得る場合、反応中に生成する副生物が、生成物である硫化リチウム中に混入してしまう。それに対して、本発明の硫化リチウムの製造方法では、焼成工程において、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物を焼成して、水酸化リチウムと硫黄を反応させるときに、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア又は多孔質マグネシアが存在していることにより、副生物を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア又は多孔質マグネシアが吸着するので、焼成工程を行い得られる硫化リチウム中の不純物を少なくすることができる。そのため、本発明の硫化リチウムの製造方法により得られる硫化リチウムは高純度となるので、無機固体電解質として用いられた場合に、イオン伝導度を高くすることできる。
また、本発明の硫化リチウムの製造方法では、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄とを反応させているので、本発明の硫化リチウムの製造方法は、有機溶媒を用いる製造方法ではなく、且つ、硫化水素等の気体の硫黄源を用いる製造方法ではない。また、本発明の硫化リチウムの製造方法では、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄と混合し、あるいは、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄と還元剤とを混合し、次いで、焼成することにより、硫化リチウムが得られるので、本発明の硫化リチウムの製造方法は、工程数が少ない製造方法である。
本発明の硫化リチウムの製造方法により得られる硫化リチウムは、リチウムイオン二次電池の無機固体電解質の原料として好適に用いられる。
本発明の無機固体電解質の製造方法は、本発明の硫化リチウムの製造方法により硫化リチウムを得、次いで、得られた硫化リチウムと、硫化リン、硫化ケイ素、硫化ゲルマニウム、硫化ホウ素、硫化アルミニウム及び硫化ガリウムの群から選ばれる1種又は2種以上の硫化物(A)とを反応させることを特徴とする無機固体電解質の製造方法である。なお、以下、本発明の無機固体電解質の製造方法において、硫化リチウムと反応させる硫化物を、硫化リチウムと区別するために硫化物(A)と記載する。
本発明の無機固体電解質の製造方法により得られる無機固体電解質は、LiS−P、LiS−SiS、LiS−GeS、LiS−Ga、LiS−B、LiS−Al等が挙げられる。
本発明の無機固体電解質の製造方法に用いられる硫化物(A)の物性等は、特に制限されないが、硫化リチウムとの均一混合が容易になる点で、硫化物(A)の平均粒子径は、20μm以下が好ましく、1〜10μmが特に好ましい。
本発明の無機固体電解質の製造方法において、硫化リチウムと硫化物(A)とを反応させる方法としては、例えば、(i)硫化リチウムと、硫化物(A)とをメカニカルミリングによりガラス化する方法、(ii)硫化リチウムと硫化物(A)とを混合し、得られる混合物を不活性ガス雰囲気中で、加熱して溶融させた後、急冷する方法等が挙げられる。また、(i)や(ii)で得られたガラス化物をガラス転移以上の温度で加熱処理する加熱処理工程を行うことにより、導電率を向上させる方法が挙げられる。
前記(i)及び(ii)の方法において、目的とする無機固体電解質の組成に合わせて、硫化リチウムと硫化物(A)との配合割合を適宜選択する。例えば、無機固体電解質として、硫化リチウムと五硫化リンからLiS−Pの組成のものを得る場合には、硫化リチウム1モルに対する五硫化リンの配合量は、0.1〜0.7モル、好ましくは0.25〜0.5モルである。
また、(i)及び(ii)の方法において、硫化リチウムと硫化物(A)以外に、組成調整を目的として、必要により硫黄を配合してもよい。
(i)の方法に係るガラス化工程は、所定量の硫化リチウムと、所定量の硫化物(A)とを、遊星ボールミル等の機械的手段を用いて、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下でメカニカルミリングする。メカニカルミリングを行う機器としては、例えば、ビーズミル、遊星型ボールミル、振動ミル等の粉砕機器、つまり、混合対象である粉体中に粒状媒体を存在させて、それらを高速で流動させる機器が挙げられる。そして、それらを高速で流動させることで、粒状媒体により、混合対象である粉体に、機械的エネルギーが加えられる。メカニカルミリングの回転速度及び回転時間をコントロールすることで、より微細で均質なガラス粉末を調製することができるが、装置の種類や原料の種類或いは使用用途に応じて適切な条件を適宜選択してメカニカルミリングを行うことが好ましい。なお、回転速度が速いほどがガラスの生成速度は速くなり、回転時間が長いほどガラスへの転化率は高くなる傾向にある。
(ii)の方法は、硫化リチウムと硫化物(A)とを混合し、得られる混合物を不活性ガス雰囲気中で、加熱して溶融させる溶融工程と、溶融物を急冷する急冷工程と、を有する。
(ii)の方法に係る溶融工程は、所定量の硫化リチウムと、所定量の硫化物(A)とを、機械的手段を用いて、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で混合を行って均一混合物を得る。用いることができる混合装置としては、均一混合ができるものであれば特に制限はなく、例えば、ビーズミル、ボールミル、ペイントシェイカー、アトライタ、サンドミルが挙げられる。次いで、原料の混合物を、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で、加熱して混合物を溶融させる。加熱温度は、溶融させる混合物の組成により異なるが、LiS−Pの組成のものを得る場合には、加熱温度は700〜1000℃、好ましくは800〜950℃であり、加熱時間は1時間以上、好ましくは3〜6時間である。
(ii)の方法に係る急冷工程では、溶融工程で得た溶融物を急冷して無機固体電解質を得る。急冷工程では、急冷により溶融物を、10℃以下、好ましくは0℃以下まで冷却する。また、そのときの冷却速度は、1〜1000℃/秒、好ましくは100〜1000℃/秒である。急冷する方法としては、例えば、水冷、液体窒素による急冷、双ローラー急冷、スプラット急冷方法等の常用の方法が挙げられる。
(i)又は(ii)の方法で得られたガラス化物を、更に加熱処理する方法では、得られたガラス化物を、更にそのガラス転移温度以上の温度で追加加熱して、加熱処理することにより加熱処理工程を行う。この加熱処理工程により、ガラス化工程のみを行ったものに比べて、リチウムイオン伝導性を向上させることができる。加熱処理工程での加熱温度は、用いる原料の種類や配合量により異なるが、例えば、LiS−Pの組成の無機固体電解質を得る場合は、200℃以上、好ましくは250〜400℃である。また、加熱時間は、1時間以上、好ましくは3〜12時間である。また、固体電解質の酸化による、リチウムイオン伝導性の低下を抑制する観点から、不活性ガス雰囲気又は真空下で加熱を行うことが好ましい。
本発明の無機固体電解質の製造方法により無機固体電解質を得た後、必要により、無機固体電解質を粉砕して、或いはシート状に成形し、例えば、少なくとも正極と負極と無機固体電解質から構成される全固体リチウム電池の無機固体電解質、あるいは、正極、負極、セパレータ、及びリチウム塩を含有する非水の有機電解液からなるリチウム二次電池において、正極材或いは負極に使用するリチウム金属又はリチウム合金の被覆材として使用する。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)X線回折測定
装置名:D8 ADVANCE、メーカー:Bruker AXSを用いて、測定条件:ターゲットCu−Kα、管電圧40kV、管電流40mA、走査速度0.1°/sec、により、X線回折測定を行った。
また、以下により、硫化リチウム結晶中の異相のLiSO、LiO及びLiCOの存在度を求めた。なお、回折ピーク強度比は、回折ピークの面積比である。
<LiSOの存在度>
回折ピークの強度比(b/a)=(b)硫酸リチウムに由来する2θ=22°付近(002面)の回折ピーク強度/(a)硫化リチウムに由来する2θ=27°付近(111面)の回折ピーク強度
<LiOの存在度>
回折ピークの強度比(c/a)=(c)酸化リチウムに由来する2θ=33.6°付近(111面)の回折ピーク強度/(a)硫化リチウムに由来する2θ=27°付近(111面)の回折ピーク強度
<LiCOの存在度>
回折ピークの強度比(d/a)=(d)炭酸リチウムに由来する2θ=21°付近(110面)の回折ピーク強度/(a)硫化リチウムに由来する2θ=27°付近(111面)の回折ピーク強度
(2)イオン伝導度測定
固体電解質の両面を電極(95重量%のNiと、5重量%のSnで構成される)0.30gで挟んだのち、20MPaで5分間保持することにより3層構造の成型体を作成した。当該成型体を測定サンプルとして、交流インピーダンス測定装置(ソーラトロン社製)を用いることにより、イオン伝導度を測定した。
(実施例1)
水酸化リチウム一水塩(日本化学工業社製、BQ品)をミル(ワンダーブレンダー)で15秒粉砕した後、212μm篩でふるい、次いで、ボックス炉内で窒素ガス雰囲気下200℃で4時間乾燥して、水酸化リチウムの脱水処理物を得た。次いで、得られた水酸化リチウムと、硫黄とを、原子換算のモル比でLi原子:S原子=1:0.6となるように秤量し、ペイントシェイカーで40分混合した。
次いで、得られた混合物を、多孔質マグネシア(気孔率15%)からなる鉢に入れて、焼成炉中、窒素ガス雰囲気下、5℃/分で900℃まで昇温後、900℃で6時間保持して焼成を行った。焼成後、窒素ガス雰囲気下で室温まで冷却し、硫化リチウムを得た。得られた硫化リチウムの収率及び異相の存在度を表1に示す。また、得られた硫化リチウムのX線回折チャートを図1に示す。
なお、焼成で用いた多孔質マグネシア(気孔率15%)からなる鉢をICP−AESによって分析したところ、不純物である硫酸リチウムに起因するLi及びSOの吸着が見られた。
(実施例2)
脱水処理しない水酸化リチウムを用いること、すなわち、水酸化リチウム一水塩(日本化学工業社製、BQ品)をミル(ワンダーブレンダー)で15秒粉砕した後、212μm篩でふるい、次いで、ボックス炉内で窒素ガス雰囲気下200℃で4時間乾燥して得た水酸化リチウムの脱水処理物に代えて、水酸化リチウム一水塩(日本化学工業社製、BQ品)をミル(ワンダーブレンダー)で15秒粉砕した後、212μm篩でふるって得た水酸化リチウムとすること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1及び図1に示す。
(実施例3)
多孔質マグネシアからなる鉢に代えて、多孔質アルミナ(気孔率25%)からなる鉢を用いること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1及び図1に示す。
(実施例4)
多孔質マグネシアからなる鉢に代えて、多孔質ジルコニア(気孔率25%)からなる鉢を用いること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1及び図1に示す。
(比較例1)
多孔質マグネシアからなる鉢に代えて、等方性黒鉛からなる鉢(気孔率12%)を用いること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1及び図1に示す。
(比較例2)
多孔質マグネシアからなる鉢に代えて、緻密黒鉛からなる鉢(気孔率0%)を用いること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
Figure 2015196621
(比較例3)
多孔質マグネシアからなる鉢に代えて、表面が緻密なマグネシア(気孔率0%)からなる鉢を用いること以外は、実施例1と同様に行った。その結果、X線回折チャート中に硫酸リチウムの異相ピークが確認された。
(実施例5)
焼成温度を900℃とすることに代えて、焼成温度を800℃とすること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表2に示す。
(実施例6)
焼成温度を900℃とすることに代えて、焼成温度を700℃とすること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表2に示す。
(実施例7)
焼成温度を900℃とすることに代えて、焼成温度を600℃とすること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表2に示す。
(比較例4)
焼成温度を900℃とすることに代えて、焼成温度を500℃とすること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表2に示す。
(比較例5)
焼成温度を900℃とすることに代えて、焼成温度を400℃とすること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表2に示す。
Figure 2015196621
(実施例8)
水酸化リチウム一水塩(日本化学工業社製、BQ品)をミル(ワンダーブレンダー)で15秒粉砕した後、212μm篩でふるい、次いで、ボックス炉内で窒素ガス雰囲気下200℃で4時間乾燥して、水酸化リチウムの脱水処理物を得た。次いで、得られた水酸化リチウムと、硫黄と、アセチレンブラックを、原子換算のモル比でLi原子:S原子:C原子=1:0.6:0.2となるように秤量し、ペイントシェイカーで40分混合した。
次いで、得られた混合物を、多孔質マグネシア(気孔率15%)からなる鉢に入れて、焼成炉中、窒素ガス雰囲気下、5℃/分で900℃まで昇温後、900℃で6時間保持して焼成を行った。焼成後、窒素ガス雰囲気下で室温まで冷却し、硫化リチウムを得た。得られた硫化リチウムの収率及び異相の存在度を表3に示す。また、得られた硫化リチウムのX線回折チャートを図2に示す。
(実施例9)
水酸化リチウム一水塩(日本化学工業社製、BQ品)をミル(ワンダーブレンダー)で15秒粉砕した後、212μm篩でふるい、次いで、ボックス炉内で窒素ガス雰囲気下200℃で4時間乾燥して、水酸化リチウムの脱水処理物を得た。次いで、得られた水酸化リチウムと、硫黄とを、原子換算のモル比でLi原子:S原子=1:0.6となるように秤量し、ペイントシェイカーで40分混合した。
次いで、得られた混合物を、多孔質マグネシア(気孔率15%)からなる鉢に入れて、焼成炉中、水素ガス雰囲気下で、5℃/分で900℃まで昇温後、900℃で6時間保持して焼成を行った。焼成後、水素ガス雰囲気下で室温まで冷却し、硫化リチウムを得た。得られた硫化リチウムの収率及び異相の存在度を表3に示す。また、得られた硫化リチウムのX線回折チャートを図2に示す。
(実施例10)
還元剤としてアセチレンブラックを用いることに代えて、還元剤としてアスコルビン酸を用いること、及び水酸化リチウムと、硫黄と、アスコルビン酸とを、水酸化リチウム及び硫黄については、原子換算のモル比でLi原子:S原子=1:0.6となるように秤量し、アスコルビン酸については、リチウム原子の原子換算のモル数に対するアスコルビン酸の分子量換算のモル数の比(還元剤/Li)で、0.03となるように秤量すること以外は、実施例8と同様に行った。その結果を表3及び図2に示す。
(実施例11)
脱水処理しない水酸化リチウムを用いること、すなわち、水酸化リチウム一水塩(日本化学工業社製、BQ品)をミル(ワンダーブレンダー)で15秒粉砕した後、212μm篩でふるい、次いで、ボックス炉内で窒素ガス雰囲気下200℃で4時間乾燥して得た水酸化リチウムの脱水処理物に代えて、水酸化リチウム一水塩(日本化学工業社製、BQ品)をミル(ワンダーブレンダー)で15秒粉砕した後、212μm篩でふるって得た水酸化リチウムとすること以外は、実施例8と同様に行った。その結果を表3及び図2に示す。
Figure 2015196621

Claims (15)

  1. 固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物を焼成して、硫化リチウムを得る焼成工程を有する硫化リチウムの製造方法であり、
    該焼成工程において、該固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物の一部又は全部を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア及び多孔質マグネシアから選ばれる1種又は2種以上に接触させて、600〜1200℃で、焼成すること、
    を特徴とする硫化リチウムの製造方法。
  2. 前記固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア又は多孔質マグネシアからなる焼成容器内で焼成することにより、前記焼成工程を行うことを特徴とする請求項1記載の硫化リチウムの製造方法。
  3. 前記固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア又は多孔質マグネシアからなる内壁を有するロータリーキルン内で焼成することにより、前記焼成工程を行うことを特徴とする請求項1記載の硫化リチウムの製造方法。
  4. 前記固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物中のリチウム原子に対する硫黄原子の比が、原子換算のモル比(S/Li)で、0.5〜3であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の硫化リチウムの製造方法。
  5. 前記焼成工程を、還元剤の存在下で行うことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の硫化リチウムの製造方法。
  6. 前記還元剤が炭素材であり、固体の水酸化リチウムと、固体の硫黄と、該炭素材と、を混合して、焼成用混合物を得、次いで、該焼成用混合物を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア及び多孔質マグネシアから選ばれる1種又は2種以上に接触させて、焼成することにより、前記焼成工程を行うことを特徴とする請求項5記載の硫化リチウムの製造方法。
  7. 前記炭素材が、カーボンブラックであることを特徴とする請求項6記載の硫化リチウムの製造方法。
  8. 前記焼成用混合物中のリチウム原子に対する炭素原子の比が、原子換算のモル比(C/Li)で、0.05〜0.5であることを特徴とする請求項6又は7いずれか1項記載の硫化リチウムの製造方法。
  9. 前記還元剤が水素ガスであり、水素ガス雰囲気下で、固体の水酸化リチウムと固体の硫黄の混合物の一部又は全部を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア及び多孔質マグネシアから選ばれる1種又は2種以上に接触させて、焼成することにより、前記焼成工程を行うことを特徴とする請求項5記載の硫化リチウムの製造方法。
  10. 前記還元剤が、アスコルビン酸、シュウ酸、ギ酸、ヒドラジン、一酸化炭素、メタン又はプロパンガスであることを特徴とする請求項5記載の硫化リチウムの製造方法。
  11. 前記固体の水酸化リチウムと固体の硫黄と複数の水酸基を有する有機化合物を混合し、焼成用混合物を得、次いで、該焼成用混合物を、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニア及び多孔質マグネシアから選ばれる1種又は2種以上に接触させて、焼成することにより、前記焼成工程を行うことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の硫化リチウムの製造方法。
  12. 前記複数の水酸基を有する有機化合物が、糖類又は多価アルコール類であることを特徴とする請求項11記載の硫化リチウムの製造方法。
  13. 前記焼成用混合物中のリチウム原子に対する炭素原子の比が、原子換算のモル比(C/Li)で、0.05〜0.5であることを特徴とする請求項11又は12いずれか1項記載の硫化リチウムの製造方法。
  14. 前記複数の水酸基を有する有機化合物が、スクロースであることを特徴とする請求項11〜13いずれか1項記載の硫化リチウムの製造方法。
  15. 請求項1〜14いずれか1項記載の硫化リチウムの製造方法により、硫化リチウム得、次いで、得られた硫化リチウムと、硫化リン、硫化ケイ素、硫化ゲルマニウム、硫化ホウ素、硫化アルミニウム及び硫化ガリウムの群から選ばれる1種又は2種以上の硫化物と、を反応させることを特徴とする無機固体電解質の製造方法。
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