JP2015194199A - ワンウェイクラッチ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内外輪43,44間には、内輪43と一体回転可能でかつ、内輪43への所定以上の正転入力で内輪43の相対的な正転を許容する内輪アウター部材45を備え、内輪アウター部材45には、内輪43側に設けたリフト面45cを臨ませるとともにリフト面45c側から順に錘体48、移動体46を収容する収容空間部45gが設けられ、リフト面45cは、内輪アウター部材45に対して内輪43が相対的に正転したときに、錘体48を外周側に移動させる。
【選択図】図5
Description
上記したアイドルストップシステムでは、アイドルストップしてからエンジンが再始動するまでの間、ACGスタータを例えば圧縮行程終了後の位置まで逆回転させる所謂スイングバック制御を行うことで、エンジン再始動時にクランクシャフトが次の圧縮上死点にいたるまでにクランクシャフトを十分加速させ、再始動時に圧縮上死点を乗り越え易くしている。
ところで、特許文献2のようなパワーユニットを備えた鞍乗り型車両にも、特許文献1のようなACGスタータを用いたアイドルストップ制御を実施したい要望がある。しかしながら、クランクシャフトとプライマリドライブギヤとの間にエンジンブレーキ用のワンウェイクラッチを設けたパワーユニットの場合、クランクシャフト上にACGスタータを設けてスイングバックをすると、このスイングバックによってクランクシャフトが逆回転する際、プライマリドライブギヤがクランクシャフトに先んじて回転しようとする状況となる。このため、ワンウェイクラッチが係合し、プライマリドライブギヤにトルクが伝達されて車両が僅かに後退してしまう。
請求項2に記載した発明は、前記内輪アウター部材(45)と前記内輪(43)との間には、これらを一体回転可能でかつ、前記内輪(43)への所定以上の正転入力で前記内輪アウター部材(45)に対する前記内輪(43)の相対的な正転を許容する回転係合部(50)が設けられ、前記回転係合部(50)は、前記内輪アウター部材(45)の内周面に設けられる内周係合部(45e)と、前記内輪(43)の外周面に設けられて前記内周係合部(45e)に係合し、その係合初期位置から前記内輪(43)の正転方向へ所定量ストローク可能な外周係合部(43b)と、前記外周係合部(43b)を前記係合初期位置に向けて付勢する内輪付勢部材(51)と、を有することを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、前記ワンウェイクラッチ(40)は、ACGスタータ(27)を接続するクランクシャフト(9)と、前記クランクシャフト(9)と変速機(4)とを連係する一次減速機構(20)と、前記クランクシャフト(9)と前記一次減速機構(20)との間に設けられる遠心クラッチ(21)と、前記一次減速機構(20)を介してクランキングを行うキックスタータ(16A)と、を備える内燃機関(1)に設けられ、前記第1の軸部材(21d)は、前記一次減速機構(20)のプライマリドライブギヤ(20a)と一体回転する部材として設けられ、前記第2の軸部材(9d)は、前記クランクシャフト(9)の一部として設けられることを特徴とする。
請求項2に記載した発明によれば、内輪への正転入力は、内輪の外周係合部から付勢部材を介して内輪アウター部材の内周係合部に伝達され、もって内輪アウター部材と内輪とが一体回転する。そして、内輪への所定以上の正転入力時には、付勢部材の付勢力に抗して内輪の外周係合部が内輪アウター部材の内周係合部に対して所定量ストロークし、内輪アウター部材に対して内輪を相対的に正転させて、錘体を外周側に移動させる。これにより、内輪の初期入力時でもワンウェイクラッチを速やかにワンウェイ作動させるとともに、内輪アウター部材及び内輪の相対回転量を規定し、かつ収容空間部及びリフト面等の位置合わせを容易に行うことができる。
請求項3に記載した発明によれば、内燃機関の通常運転時において、クランクシャフトの正転は、ワンウェイクラッチを介してはプライマリドライブギヤに伝達されず、遠心クラッチを介してプライマリドライブギヤに伝達される。また、アイドルストップ時のスイングバックでは、クランクシャフトの逆転は、ワンウェイクラッチを介してはプライマリドライブギヤに伝達されず、かつ回転数が低ければ遠心クラッチも係合せず、プライマリドライブギヤには伝達されない。一方、エンジンブレーキ時には、プライマリドライブギヤの正転は、その回転数が所定以上であれば、遠心クラッチの係合が解除されても、ワンウェイクラッチが係合してクランクシャフトに伝達される。そして、キック始動時には、プライマリドライブギヤの正転は、キックアームの踏み降ろしの勢いがあれば、その回転数が所定未満であっても、回転入力の初期からワンウェイクラッチが係合し、クランクシャフトに伝達される。このように、遠心作動式のワンウェイクラッチを備えた内燃機関において、キックアームの踏み降ろしの初期からクランキングを可能にし、キック始動を容易にすることができる。
図2を併せて参照し、エンジン1は、クランクシャフト9の回転中心軸線(クランク軸線)C1を左右方向に沿わせた空冷単気筒エンジンであり、クランクケース2の前端部から前方に向けてシリンダ3を略水平に(詳細にはやや前上がりに)突出させる。
クランクシャフト9は、クランクピン9aを支持する左右クランクウェブ9bと、左右クランクウェブ9bから左右外側に突出する左右ジャーナル部9cと、左右ジャーナル部9cからさらに左右外側に延びる左右延長軸9dと、を有する。
図中符号15はシリンダ3の左側部内に設けられるカムチェーン室、符号17はシリンダヘッド3bに取り付けられる点火プラグ、符号18はシリンダヘッド3bの上側(吸気側)に接続されるスロットルボディ、符号19はシリンダヘッド3bの下側(排気側)に接続される排気管をそれぞれ示す。
遠心クラッチ21は、右方に開放する有底円筒状をなしてクランクシャフト9の右端部に相対回転可能に支持されるクラッチアウター21aと、クラッチアウター21aの内周側でクランクシャフト9の右端部に一体回転可能に支持されるクラッチインナー21bと、クラッチアウター21aの内周側でクラッチインナー21bに拡開作動可能に支持される複数の遠心ウェイト21cと、を有する。図中符号26はクラッチインナー21bの右側に形成される遠心分離式のオイルフィルタを示す。
多板クラッチ22は変速用クラッチであり、右方に開放する有底円筒状をなしてメインシャフト5の右端部に相対回転可能に支持されるクラッチアウター22aと、クラッチアウター22aの内周側に配置されてメインシャフト5の右端部に一体回転可能に支持されるクラッチインナー22bと、クラッチアウター22a及びクラッチインナー22b間で軸方向に積層される複数のクラッチ板22cと、を有する。クラッチアウター22aの底壁左側には、プライマリドリブンギヤ20bが一体回転可能に支持される。
ACGスタータ27は、三相交流式の発電電動機であり、エンジン1を始動するスタータモーターとして機能すると共に、エンジン1の運転に伴い発電する交流発電機としても機能する。ACGスタータ27の作動は、図3に示すECU(Electronic Control Unit)60により制御される。
ステージ判定部64は、ローター角度センサー28の出力信号に基づいて、クランクシャフト9の一回転をステージ#0〜#35の36ステージに分割し、ローター角度センサー28が点火パルサーとして発生するパルス信号の検知タイミングを基準ステージ(ステージ#0)として現在のステージを判定する。
ステージ通過時間検知部65は、ステージ判定部64が新たなステージを判定してから次のステージを判定するまでの時間に基づいて、当該ステージの通過時間Δtnを検知する。
デューティー比設定部67は、ステージ判定部64による判定結果に基づいて、モータードライブ回路61の各パワーFETに供給するゲート電圧のデューティー比を動的に制御する。
図4、図5を参照し、ワンウェイクラッチ40は、クランクシャフト9と同軸の円環状のもので、クラッチアウター21aの内周側カラー部41に一体回転可能に外嵌する内輪43と、クラッチインナー21bの外周側カラー部42に一体に設けられる外輪44と、内外輪43,44間に配置される内輪アウター部材45と、を有する。以下、ワンウェイクラッチ40の軸方向をクラッチ軸方向、径方向をクラッチ径方向、周方向をクラッチ周方向という。図中矢印Fはクランクシャフト9の正転方向、矢印Rはクランクシャフト9の逆転方向をそれぞれ示す。なお、外輪44は、外周側カラー部42と一体ではなく、外周側カラー部42に一体回転可能に内嵌するものであってもよい。
内輪アウター部材45は、内周面の一部に、クラッチ周方向に長さを有して凹状の付勢部材収容部45dを形成しており、内周面の他の一部に、外周係合部43bにクラッチ周方向で所定量ストローク可能に係合するとともに回転係合部50の他の一部を構成する凸状の内周係合部45eを形成する。
付勢部材収容部45dと付勢部材収容部43aとには、回転係合部50の残りの一部を
構成するコイルスプリング等からなる内輪付勢部材51が収容される。
凹部52には、錘作動面45hと対向するようにリフト面45cが形成される。リフト面45cは、錘作動面45hと同様、クラッチ径方向外側ほど逆転方向に位置するように傾斜した面であるが、錘作動面45hよりも内輪43の接線方向に対する角度が小さい。
このように設定することにより、遠心式の発進クラッチを有する小型車両用の内燃機関に、キックスタータ16Aを装備するために、伝動軸上にワンウェイクラッチ40を設けたものであっても、始動電動機兼用の発電機装置を装着し、高効率のスイングバック制御を行うことができる。
一方、本実施形態のワンウェイクラッチでは、キックの踏み込みの勢いを利用してワンウェイ作動状態となるので、キックスタータの回転想定域の内、速度V1より低い回転速度域(破線で示す領域)からキック駆動が有効になり、クランキングのキックストロークが確保される。
また、各実施形態においては、遠心クラッチ21のクラッチアウター21a側に、ワンウェイクラッチ40の内輪43が外嵌され、クラッチインナー21b側に、ワンウェイクラッチ40の外輪44が内嵌されているが、この配置に限定されず、遠心クラッチ21のクラッチインナー21b側にワンウェイクラッチ40の内輪43が装着され、遠心クラッチ21のクラッチアウター21a側にワンウェイクラッチ40の外輪44が装着されるものであってもよい。
また、付勢部材47や内輪付勢部材51は、図示したコイルスプリングに代えて、弾性反発力を蓄積した、例えば、ゴム部材やスポンジ部材等を適用することもできる。回転係合部50の凹凸関係は内外周で逆でもよく、かつ凹凸係合に限るものではない。
また、本発明は、自動二輪車に限らず三輪又は四輪の小型車両に適用してもよい。クランクケース2の前方にシリンダ3を突出させたエンジン1に限らずクランクケース2の上方にシリンダ3を起立させたエンジンに適用してもよい。
そして、上記各実施形態における構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
4 トランスミッション(変速機)
9 クランクシャフト
9d 左右延長軸(第2の軸部材)
16A キックスタータ
20 一次減速機構
20a プライマリドライブギヤ
21 遠心クラッチ
21d 伝動筒(第1の軸部材)
27 ACGスタータ
40 ワンウェイクラッチ
43 内輪
43b 外周係合部
44 外輪
45 内輪アウター部材
45a 内周カム面
45b 外周カム面
45c リフト面
45e 内周係合部
45g 収容空間部
46 ローラ(移動体)
47 付勢部材
49 楔状空間部
48 錘体
50 回転係合部
51 内輪付勢部材
Claims (3)
- 第1の軸部材(21d)に接続される内輪(43)と、
前記内輪(43)の径方向外側に配置されて第2の軸部材(9d)に接続される外輪(44)と、を備え、
前記内外輪(43,44)間には、
前記内輪(43)に対する前記外輪(44)の正転時は前記内輪(43)にトルクを伝達せず、前記外輪(44)に対する前記内輪(43)の正転時は前記外輪(44)にトルクを伝達可能とするべく、前記外輪(44)側の内周カム面(45a)と前記内輪(43)側の外周カム面(45b)との間の楔状空間部(49)で前記両カム面(45a,45b)に圧接可能に設けられる移動体(46)と、
前記移動体(46)を前記両カム面(45a,45b)への圧接可能位置から離脱する側に付勢する付勢部材(47)と、
前記付勢部材(47)の付勢力に抗して前記移動体(46)を前記圧接可能位置に移動させるべく、前記内輪(43)の回転による遠心力を受けて外周側に移動する錘体(48)と、
を備える遠心作動式のワンウェイクラッチ(40)において、
前記内外輪(43,44)間には、前記内輪(43)と一体回転可能でかつ、前記内輪(43)への所定以上の正転入力で前記内輪(43)の相対的な正転を許容する内輪アウター部材(45)を備え、
前記内輪アウター部材(45)には、内輪(43)側に設けたリフト面(45c)を臨ませるとともに該リフト面(45c)側から順に前記錘体(48)、前記移動体(46)を収容する収容空間部(45g)が設けられ、
前記リフト面(45c)は、前記内輪アウター部材(45)に対して前記内輪(43)が相対的に正転したときに、前記錘体(48)を外周側に移動させることを特徴とするワンウェイクラッチ。 - 前記内輪アウター部材(45)と前記内輪(43)との間には、これらを一体回転可能でかつ、前記内輪(43)への所定以上の正転入力で前記内輪アウター部材(45)に対する前記内輪(43)の相対的な正転を許容する回転係合部(50)が設けられ、
前記回転係合部(50)は、前記内輪アウター部材(45)の内周面に設けられる内周係合部(45e)と、前記内輪(43)の外周面に設けられて前記内周係合部(45e)に係合し、その係合初期位置から前記内輪(43)の正転方向へ所定量ストローク可能な外周係合部(43b)と、前記外周係合部(43b)を前記係合初期位置に向けて付勢する内輪付勢部材(51)と、を有することを特徴とする請求項1に記載のワンウェイクラッチ。 - 前記ワンウェイクラッチ(40)は、ACGスタータ(27)を接続するクランクシャフト(9)と、前記クランクシャフト(9)と変速機(4)とを連係する一次減速機構(20)と、前記クランクシャフト(9)と前記一次減速機構(20)との間に設けられる遠心クラッチ(21)と、前記一次減速機構(20)を介してクランキングを行うキックスタータ(16A)と、を備える内燃機関(1)に設けられ、
前記第1の軸部材(21d)は、前記一次減速機構(20)のプライマリドライブギヤ(20a)と一体回転する部材として設けられ、
前記第2の軸部材(9d)は、前記クランクシャフト(9)の一部として設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のワンウェイクラッチ。
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