JP2015193730A - パラ型全芳香族ポリアミド、当該パラ型全芳香族ポリアミドから得られる繊維、パラ型全芳香族ポリアミドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】力学特性に優れた繊維を得ることができ、生産安定性の高いパラ型全芳香族ポリアミド繊維を提供できるパラ型全芳香族ポリアミドの提供。
【解決手段】コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドを含む、パラ型全芳香族ポリアミドにおいて、使用する芳香族カルボン酸成分中の、モノカルボン酸成分の割合を、0.01〜0.5mol%の範囲で重合されたパラ型全芳香族ポリアミド及び前記パラ型全芳香族ポリアミドから得られるパラ型全芳香族ポリアミド繊維。引張強度が24cN/dtex以上であり、引張弾性率が550cN/dtex以上であるパラ型全芳香族ポリアミド繊維。
【選択図】なし

Description

本発明は、パラ型全芳香族ポリアミド、当該パラ型全芳香族ポリアミドから得られる繊維、およびパラ型全芳香族ポリアミドの製造方法に関する。さらに詳しくは、力学特性に優れ、生産安定性の高いパラ型全芳香族ポリアミド、当該パラ型全芳香族ポリアミドから得られる繊維、およびパラ型全芳香族ポリアミドの製造方法に関する。
従来、全芳香族ポリアミド成形体は、耐熱性、耐薬品性を有するため、主に工業用途として好適に利用されている。特に、パラ型全芳香族ポリアミド繊維は、高い機械特性を活かした金属代替用途や、耐熱性ならびに耐薬品性を活かした防護衣料用途として広く利用されており、需要が高まっている。
このようなパラ型全芳香族ポリアミド繊維としては、例えば、分子鎖の一部にエーテル基を含む特殊なパラ型全芳香族ポリアミドが提案されている(特許文献1参照)。当該パラ型全芳香族ポリアミドの等方性溶液を口金から不活性気体中へ紡出した後に、凝固液と接触させて未延伸糸とし、次いで該未延伸糸をまず100℃以下の温度で1.1〜2.0倍に予備延伸し、引き続き100℃を超え400℃を超えない温度で1.5〜3.0倍の延伸を実施し、最後に400℃を超え550℃を超えない温度で3.0〜5.0倍に延伸し、結果として、全延伸倍率が10〜14倍となる逐次延伸法を実施することより、高強力なパラ型全芳香族ポリアミド繊維が実現されている。
ところで、全芳香族ポリアミドは高価な素材であるため、製造・加工工程で発生する中間製品および各工程で発生する糸切れを少なくできれば、製造コストの低減ならびに環境負荷低減の両面から大変に望ましい。
しかしながら、特許文献1に記載された方法においては、その延伸工程において、断糸が発生する延伸倍率に対して実際の延伸倍率を十分に低い値としなければ、単糸切れによる延伸巻きつきが発生し、また、単糸切れ等による工程安定性に問題が生じていた。延伸倍率を低下させれば上記問題は解決できるものの、延伸倍率が低くなると得られる繊維の強度が低下し、また、生産性が低下する。
そこで、力学特性に優れ、生産安定性の高いパラ型全芳香族ポリアミド繊維を製造する方法が、いまだ求められていた。
特開昭60−110918号公報
本発明は、上記従来技術を背景になされたものであり、その目的とするところは、力学特性に優れた繊維を得ることができ、生産安定性の高いパラ型全芳香族ポリアミド繊維を提供できるパラ型全芳香族ポリアミドを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、パラ型全芳香族ポリアミドの原料となる芳香族カルボン酸成分において、モノカルボン酸成分の割合を、特定範囲として重合されたパラ型全芳香族ポリアミドであれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、芳香族カルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とを反応させて得られるパラ型全芳香族ポリアミドであって、前記芳香族カルボン酸成分全体におけるモノカルボン酸成分の割合が、0.01〜0.5mol%であるパラ型全芳香族ポリアミドである。
また別の本発明は、上記のパラ型全芳香族ポリアミドから得られるパラ型全芳香族ポリアミド繊維である。
さらに別の本発明は、芳香族カルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とを反応させるパラ型全芳香族ポリアミドの製造方法であって、前記芳香族カルボン酸成分全体におけるモノカルボン酸成分の割合を、0.01〜0.5mol%とするパラ型全芳香族ポリアミドの製造方法である。
本発明の全芳香族ポリアミドによれば、繊維を製造する際の延伸倍率を高くした場合であっても、延伸工程における断糸発生率を抑制し、単糸切れ/巻きつき発生を抑えることができる。また、延伸倍率を高くできる結果、得られる繊維は力学特性に優れた繊維となる。したがって、本発明の全芳香族ポリアミドによれば、高強力なパラ型全芳香族ポリアミド繊維を、工業生産レベルで、長時間安定的に生産することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<パラ型全芳香族ポリアミド>
本発明でいうパラ型全芳香族ポリアミドは、1種または2種以上の2価の芳香族基が、アミド結合により直接連結されたポリマーである。また、芳香族基には、2個の芳香環が酸素、硫黄、または、アルキレン基を介して結合されたもの、あるいは、2個以上の芳香環が直接結合したものも含む。さらに、これらの2価の芳香族基には、メチル基やエチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、クロル基等のハロゲン基等が含まれていてもよい。なお、2価の芳香族基を直接連結するアミド結合の位置は、パラ型である。
このようなパラ型全芳香族ポリアミドとしては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、テレフタル酸成分と3,4’−ジアミノジフェニルエーテル成分およびパラフェニレンジアミン成分とが共重合されたコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド、テレフタル酸成分とフェニルベンゾイミダゾール骨格を有する芳香族ジアミン成分およびパラフェニジレンジアミン成分とが共重合されたコポリパラフェニレン・フェニルベンゾイミダゾール・テレフタルアミド等を挙げることができる。なお、本発明の繊維を構成するパラ型全芳香族ポリアミドは、1種単独であっても、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、アミド系溶剤等に可溶であり、熱延伸を施すことにより強度や弾性率等の特性を向上できることから、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドが好ましい。
<パラ型全芳香族ポリアミドの製造方法>
本発明におけるパラ型全芳香族ポリアミドは、従来公知の方法にしたがって製造することができる。例えば、アミド系極性溶媒中で、芳香族カルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とを低温溶液重合、または界面重合等により反応せしめることにより得ることができる。
[パラ型全芳香族ポリアミドの原料]
(芳香族カルボン酸成分)
本発明のパラ型全芳香族ポリアミドの製造において使用される芳香族カルボン酸成分としては、特に限定されるものではなく、一般的に公知な芳香族カルボン酸クロライド成分を用いることができる。例えば、テレフタル酸クロライド、2−クロルテレフタル酸クロライド、2,5−ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6−ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライドなどが挙げられる。
これらの芳香族カルボン酸成分は、1種類のみならず2種類以上を用いることができ、その組成比は特に限定されるものではない。これらのなかでは、汎用性や得られる繊維の機械的物性等の観点から、テレフタル酸ジクロライドが好ましい。なお、イソフタル酸クロライド等、パラ位以外の結合を形成する少量の成分を用いてもよい。
〔モノカルボン酸成分〕
本発明のパラ型全芳香族ポリアミドの製造においては、芳香族カルボン酸成分全体におけるモノカルボン酸成分の割合を、0.01〜0.5mol%とすることが重要である。モノカルボン酸成分の割合が芳香族カルボン酸成分全体に対して0.5mol%を超える場合には、力学特性に優れた繊維を得ることができ、生産安定性の高いパラ型全芳香族ポリアミド繊維を提供できるパラ型全芳香族ポリアミドを得ることが困難となる。
芳香族カルボン酸成分全体におけるモノカルボン酸成分の割合を、0.01〜0.5mol%とする方法としては、例えば、芳香族ジカルボン酸成分の純度が高くなるように製造する、あるいは、精製を実施する等の方法が挙げられる。
(芳香族ジアミン成分)
パラ型全芳香族ポリアミドの製造において使用される芳香族ジアミン成分としては、特に限定されるものではなく、一般的に公知なものを用いることができる。例えば、パラフェニオレンジアミン、2−クロロ−パラフェニレンジアミン、2,5−ジクロロ−パラフェニレンジアミン、2,6−ジクロロ−パラフェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン等を挙げることができる。これらは、1種類のみならず2種類以上を用いることができ、その組成比は特に限定されるものではない。なお、m−フェニレンジアミン等、パラ位以外の結合を形成する少量の成分を用いてもよい。
本発明においては、パラ型全芳香族ポリアミドとしてコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドを用いることが好ましいため、その原料となる芳香族ジアミン成分としては、パラフェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを組み合わせて用いることが好ましい。
その組成比は特に限定されるものではないが、芳香族ジアミンの全量に対して、パラフェニレンジアミンの組成、および、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルの組成を、それぞれ30〜70モル%、70〜30モル%とすることが好ましく、さらに好ましくは、それぞれ40〜60モル%、60〜40モル%、最も好ましくは、それぞれ45〜55モル%、55〜45モル%の範囲とする。
(反応条件)
芳香族カルボン酸成分と芳香族ジアミン成分との反応条件は、特に限定されるものではない。酸クロライドとジアミンとの反応は一般に急速であり、反応温度としては、例えば、−25℃〜100℃の範囲とすることが好ましく、−10℃〜80℃の範囲とすることがさらに好ましい。
(重合溶媒)
パラ型全芳香族ポリアミドの製造に用いるアミド系溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPともいう)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルイミダゾリジノン等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独であっても、また、2種以上の混合溶媒として用いることも可能である。なお、用いる溶媒は、脱水されていることが望ましい。
本発明に用いられるパラ型全芳香族ポリアミドの製造においては、汎用性、有害性、取り扱い性、パラ型全芳香族ポリアミドポリマーに対する溶解性等の観点から、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることが最も好ましい。
(中和反応)
反応終了後には、必要に応じて、塩基性の無機化合物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等を添加して、中和反応を実施することが好ましい。
(重合後処理等)
重合して得られる芳香族ポリアミドは、アルコール、水などの非溶媒に投入して沈殿せしめ、パルプ状にして取り出すことができる。取り出された芳香族ポリアミドを再度他の溶媒に溶解し、その後に繊維の成形に供することもできるが、重合反応によって得られたポリマー溶液を、そのまま紡糸用溶液(ドープ)に調整して用いることも可能である。一度取り出してから再度溶解させる際に用いる溶媒としては、芳香族ポリアミドを溶解するものであれば特に限定されるものではないが、上記した芳香族ポリアミドの重合に用いられる溶媒とすることが好ましい。
〔パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法〕
本発明に用いられるパラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法においては、先ず、パラ型全芳香族ポリアミドと溶媒とを含む紡糸用溶液(ポリマードープ)を、紡糸口金から吐出する。
(紡糸用溶液(ポリマードープ)の調整)
パラ型全芳香族ポリアミドおよび溶媒を含む紡糸用溶液(ドープ)を調整する方法は、特に限定されるものではない。紡糸用溶液(ドープ)の調製に用いられる溶媒としては、上記したパラ型全芳香族ポリアミドの重合に用いられる溶媒を使用することが好ましい。なお、用いられる溶媒は1種単独であっても、2種以上の溶媒を混合した混合溶媒であってもよい。パラ型全芳香族ポリアミドの製造によって得られたポリマー溶液から当該ポリマーを単離することなく、そのまま用いることも可能である。
さらに、パラ型全芳香族ポリアミドの溶媒への溶解性を高める目的で、溶解助剤として無機塩を用いることもできる。無機塩としては、例えば、塩化カルシウム、塩化リチウム等が挙げられる。ポリマードープに対する無機塩の添加量としては特に限定されるものではないが、ポリマー溶解性向上の効果や、無機塩の溶媒への溶解度等の観点から、ポリマードープ質量に対して1〜10質量%とすることが好ましい。
また、繊維に機能性等を付与する目的で、本発明の要旨を超えない範囲において添加剤等のその他の任意成分を配合してもよい。添加剤等を配合する場合には、ドープの調整において導入することができる。導入の方法は特に限定されるものではなく、例えば、ドープに対して、ルーダーやミキサ等を使用して導入することができる。
なお、紡糸用溶液(ドープ)におけるポリマー濃度、すなわちパラ型全芳香族ポリアミドの濃度は、0.5質量%以上30質量%以下の範囲とすることが好ましい。紡糸用溶液(ドープ)におけるポリマー濃度が0.5質量%未満の場合には、ポリマーの絡み合いが少ないため紡糸に必要な粘度を得ることができず、紡糸時の吐出安定性が低下してしまう。一方で、ポリマー濃度が30質量%を超える場合には、ドープの粘性が急激に増加することから紡糸時の吐出安定性が低下し、紡糸パック内の急激な圧上昇により安定した紡糸が困難となりやすい。
(紡糸・凝固工程)
紡糸・凝固工程においては、湿式法、半乾半湿式法などにより繊維を成形する。例えば半乾半湿式法においては、紡糸用溶液(ドープ)を紡糸口金から吐出し、貧溶媒からなる凝固浴中で凝固させて未延伸糸を得る。本発明において用いる紡糸口金は、ホール数が2以上のものである。得られる繊維の単糸繊度を10〜50dtexの範囲にできるものであれば、穴径やノズル長、材質等は特に限定されるものではなく、曳糸性等を考慮して適宜調整することができる。
紡糸口金を通過する際のポリマードープの温度、および紡糸口金の温度は、特に限定されるものではないが、曵糸性やポリマードープの吐出圧の観点から、80〜120℃とすることが好ましい。
次に、紡糸口金から吐出したポリマードープを、凝固液中で凝固する。このとき、紡糸口金と凝固液との温度が大きく異なる場合には、紡糸口金と凝固液とが接触するとそれぞれの温度が変化し、その結果、紡糸工程の制御が困難となる。そこで、紡糸口金と凝固液との温度が大きく異なる場合には、エアギャップを設けた半乾半湿式紡糸を行うことが好ましい。エアギャップの長さは、特に限定されるものではないが、温度の制御性、曵糸性等の観点から、5〜15mmの範囲とすることが好ましい。
ここで用いる凝固液は、例えば、NMP水溶液であり、その温度や濃度は、特に限定されるものではない。形成された糸の凝固状態や後の工程通過性等に問題がない範囲で、適宜調整することができる。
(水洗工程)
次に、上記で得られた凝固糸を水洗する。水洗工程は、糸中に含まれるNMP等の溶媒を水に拡散させ、糸中から溶媒を除去することを目的とする。本発明に用いられる繊維は、繊度の大きいものであるが、フィラメント毎の残存溶媒量のばらつきが少なく、かつ、高いレベルで溶媒が除去されたものである。水洗工程通過後の糸中の残存溶媒量が高い場合には、後の工程での工程通過性や得られる繊維の物性、品位が低下するため好ましくない。
なお、水洗工程においては繊維束が絶えず通過するため、それにより水洗浴の溶媒濃度が高くなる問題がある。このため、溶媒を含まない水を絶えず供給し、水洗浴内の溶媒濃度を一定に保つことが好ましい。
水洗後の糸に対しては、後の乾燥工程や熱延伸工程における単繊維同士の融着を抑制する目的で、無機微粒子を付与することが好ましい。付与する無機微粒子の種類や付着量は、単繊維同士の融着を抑制できれば特に限定されるものではない。またここで付着した無機微粒子は、熱延伸工程後の除去工程において、水シャワーや圧空を吹き付けることにより、除去することができる。
(乾燥工程)
次に、乾燥工程において、溶媒を除去した繊維を乾燥する。乾燥条件は特に限定されるものではなく、繊維に付着した水分を十分に除去できる条件であれば問題はないが、作業性や繊維の熱による劣化を考慮すると、150〜250℃の範囲とすることが好ましい。また、乾燥は、ローラー等の接触型の乾燥装置、あるいは、乾燥炉中に繊維を通過させる等といった非接触型の乾燥装置のいずれを用いることもできる。
(熱延伸工程)
次いで、乾燥後の繊維を熱延伸する。この工程は、繊維の熱延伸することにより、繊維中のポリマー分子を高度に配向させ、強度を付与することを目的とする。このときの熱延伸温度は、300〜600℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは320℃〜580℃、最も好ましくは350〜550℃の範囲である。熱延伸温度が300℃未満の場合には、糸の延伸が十分に得られず好ましくない。一方で、600℃を超える場合には、ポリマーの熱分解が起こるために繊維が劣化し、高強度の糸を得ることが困難となる。
熱延伸工程における延伸倍率は、5倍〜15倍とすることが好ましいが、特にこの範囲に限定されるものではない。またこの熱延伸工程は、必要に応じて多段階に分けて行っても特に差し支えはない。
(微粒子除去)
次いで、単繊維同士の融着を抑制する目的で予め無機微粒子を付与した場合には、除去することが好ましい。無機微粒子の除去は、必要に応じて省略することも可能であるが、無機微粒子は、繊維の色相に影響し、また、スカム発生の原因となるため、過剰に付着している場合には除去することが好ましい。
除去方法については特に限定されるものではないが、水シャワーや圧空を吹き付けることで、過剰分の無機微粒子を除去することができる。
(巻き取り)
その後、必要に応じて、繊維に対して帯電抑制や潤滑性を付与する目的で油剤を付与し、最後にワインダーで巻き取る。付与する油剤の種類や付与する量等は、特に限定されるものではなく、公知の方法をそのまま適用することができる。また、ワインダーでの巻き取り方法についても特に限定されるものではなく、公知のワインダーを用いて、適宜巻き取り条件を調整して巻き取ることができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳しく具体的に説明する。ただし、これらは本発明の理解を助けるためのものであって、これらの記載によって本発明の範囲が限定されるものではない。
<測定方法>
実施例および比較例における各特性値は、以下の方法で測定した。
(1)繊維の引張強度、初期弾性率
引張試験機(INSTRON社製、商品名:INSTRON、型式:5565型)により、糸試験用チャックを用いて、ASTM D885の手順に基づき、以下の条件で測定を実施した。
[測定条件]
温度 :室温
試験片 :75cm
試験速度 :250mm/分
チャック間距離 :500mm
(2)破断延伸倍率
2段目の延伸において、糸が破断する延伸倍率を測定した。
<実施例1>
[パラ型全芳香族ポリアミド溶液の製造]
窒素を内部にフローしている攪拌槽に、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記する)を入れ、パラフェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテルが当モルとなるよう秤量して投入し、溶解させた。得られたジアミン溶液に、ベンゾイルクロリドとテレフタル酸ジクロライドの合計のmol数がジアミンのmol数と同一となるよう投入し、反応させた。この時のベンゾイルクロリドのカルボン酸成分全体(テレフタル酸クロライドとベンゾイルクロリドの合計)に対する含有量は、0.5mol%であった。反応終了後、水酸化カルシウムで中和し、パラ型全芳香族ポリアミド溶液(コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド溶液)を得た。
[パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
穴径0.3mm、穴数24の紡糸口金を105℃に加熱した後、105℃に加熱した上記で得られたポリマー溶液(ドープ)を吐出し、10mmのエアギャップを介して、NMP濃度30質量%の50℃の水溶液で満たされた凝固浴を通過させることにより、ポリマーが凝固した繊維束を得た。
次いで、50℃に調整した水洗浴に、凝固後の繊維束を通過させ、水洗を行った。
次いで、乾燥工程や熱延伸工程における単糸同士の融着を抑制する目的で、タルクおよびオスモスを、繊維質量に対して2質量%付着させた。
タルクおよびオスモスが付着した繊維を、200℃の乾燥ローラーにて乾燥後、380℃で1段目の熱延伸を行った。このときの延伸倍率は2.4倍であった。その後、続けて530℃で2段目の熱延伸を行った。このときの延伸倍率は4倍であった。
最後に、延伸された繊維をワインダーで紙管に巻き取って、パラ型全芳香族ポリアミド繊維を得た。得られた繊維の物性を、表1に示す。
<実施例2>
パラ型全芳香族ポリアミド溶液の製造において、ベンゾイルクロリドのカルボン酸成分全体に対する含有量を0.25%とした以外は、実施例1と同様に実施し、パラ型全方向族ポリアミド溶液を得た。得られた繊維の物性を、表1に示す。
<比較例1>
パラ型全芳香族ポリアミド溶液の製造において、ベンゾイルクロライドのカルボン酸成分全体に対する含有量を0%とした以外は、実施例1と同様に実施し、パラ型全方向族ポリアミド溶液を得た。得られた繊維の物性を、表1に示す。
<比較例2>
パラ型全芳香族ポリアミド溶液の製造において、ベンゾイルクロライドのカルボン酸成分全体に対する含有量を0.8%とした以外は、実施例1と同様に実施し、パラ型全方向族ポリアミド溶液を得た。得られた繊維の物性を、表1に示す。
Figure 2015193730

Claims (5)

  1. 芳香族カルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とを反応させて得られるパラ型全芳香族ポリアミドであって、
    前記芳香族カルボン酸成分全体におけるモノカルボン酸成分の割合が、0.01〜0.5mol%であるパラ型全芳香族ポリアミド。
  2. 前記パラ型全芳香族ポリアミドが、コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドである請求項1に記載のパラ型全芳香族ポリアミド。
  3. 請求項1または2に記載のパラ型全芳香族ポリアミドから得られるパラ型全芳香族ポリアミド繊維。
  4. 引張強度が24cN/dtex以上であり、引張弾性率が550cN/dtex以上である請求項3に記載のパラ型全芳香族ポリアミド繊維。
  5. 芳香族カルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とを反応させるパラ型全芳香族ポリアミドの製造方法であって、
    前記芳香族カルボン酸成分全体におけるモノカルボン酸成分の割合を、0.01〜0.5mol%とするパラ型全芳香族ポリアミドの製造方法。
JP2014072258A 2014-03-31 2014-03-31 パラ型全芳香族ポリアミド、当該パラ型全芳香族ポリアミドから得られる繊維、パラ型全芳香族ポリアミドの製造方法 Pending JP2015193730A (ja)

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