JP2012224955A - パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法および当該方法によって得られる繊維 - Google Patents

パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法および当該方法によって得られる繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】力学特性に優れた繊維を得ることができ、生産安定性の高いパラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法および当該製造方法から得られた繊維を提供する。
【解決手段】特定範囲の水分を含有させた紡糸用溶液を用いてパラ型全芳香族ポリアミド繊維を製造する。すなわち、湿式紡糸法または半乾半湿式紡糸法によりパラ型全芳香族ポリアミド繊維を製造に際し、紡糸用溶液における水分率を、パラ型全芳香族ポリアミド100質量部に対して20〜200質量部含有させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法および当該方法によって得られる繊維に関する。さらに詳しくは、力学特性に優れ、生産安定性の高いパラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法および当該方法によって得られる繊維に関する。
全芳香族ポリアミド繊維は、優れた耐熱性、耐薬品性といった種々の特性を有する。なかでも、パラ型全芳香族ポリアミド繊維は、高強度、高弾性率といった機械的特性に優れていることから、各種マトリックスの補強材やロープ等の工業資材として用いられている。
ここで、一般に、パラ型全芳香族ポリアミド繊維が高強力・高弾性率を発現するためには、高温下における延伸および/または熱処理が施される。例えば、特許文献1においては、高倍率での高熱延伸を施すことにより、高強力なパラ型全芳香族ポリアミド繊維を得ている。
また、特許文献2では、分子鎖の一部にエーテル基を含む特殊なパラ型全芳香族コポリアミドが提案されている。特許文献2によれば、当該パラ型全芳香族コポリアミドポリマーの等方性溶液を口金から不活性気体中へ紡出した後に、凝固液と接触させて未延伸糸とし、次いで該未延伸糸をまず100℃以下の温度で1.1〜2.0倍に予備延伸し、引き続き100℃を超え400℃を超えない温度で1.5〜3.0倍の延伸を実施し、最後に400℃を超え550℃を超えない温度で3.0〜5.0倍に延伸し、結果として、全延伸倍率が10〜14倍となる逐次延伸法を実施することより、高強力なパラ型全芳香族コポリアミド繊維が実現されている。
しかしながら、特許文献1および2に記載された方法においては、その延伸工程において、断糸が発生する延伸倍率に対して実際の延伸倍率を十分に低い値としなければ、単糸切れによる延伸巻きつきが発生し、また、単糸切れ等による工程安定性に問題が生じていた。延伸倍率を低下させれば上記問題は解決できるものの、延伸倍率が低くなると得られる繊維の強度が低下し、また、生産性が低下する。
そこで、力学特性に優れ、生産安定性の高いパラ型全芳香族ポリアミド繊維を製造する方法が、いまだ求められていた。
特開昭59−179818号公報 特開昭60−110918号公報
本発明は、上記従来技術を背景になされたものであり、その目的とするところは、力学特性に優れた繊維を得ることができ、生産安定性の高いパラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法および当該製造方法から得られた繊維を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、特定範囲の水分を含有させた紡糸用溶液を用いてパラ型全芳香族ポリアミド繊維を製造することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、湿式紡糸法または半乾半湿式紡糸法によりパラ型全芳香族ポリアミド繊維を製造する方法であって、紡糸用溶液において、パラ型全芳香族ポリアミド100質量部に対して20〜200質量部の水分を含有させることを特徴とするパラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法である。
また別の本発明は、上記のパラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法によって得られる繊維であって、引張強度が24cN/dtex以上、かつ、引張弾性率が550cN/dtex以上であるパラ型全芳香族ポリアミド繊維である。
本発明によれば、延伸倍率を高くした場合であっても、延伸工程における断糸発生率を抑制し、単糸切れ/巻きつき発生を抑えることができる。また、延伸倍率を高くできる結果、力学特性に優れた繊維を得ることができる。したがって、本発明によれば、高強力なパラ型全芳香族ポリアミド繊維を、工業生産レベルで、長時間安定的に生産することができる。
また、本発明は、パラ型全芳香族ポリアミド繊維を得るにあたり、紡糸用溶液に特定範囲の水分を含有させるため、従来、延伸が困難であった高極限粘度(IV)を有するパラ型全芳香族ポリアミドであっても、紡糸を可能とすることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<パラ型全芳香族ポリアミド繊維>
本発明におけるパラ型全芳香族ポリアミドとは、1種または2種以上の2価の芳香族基が、アミド結合により直接連結されたポリマーである。また、芳香族基には、2個の芳香環が酸素、硫黄、または、アルキレン基を介して結合されたもの、あるいは、2個以上の芳香環が直接結合したものも含む。さらに、これらの2価の芳香族基には、メチル基やエチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、クロル基等のハロゲン基等が含まれていてもよい。なお、2価の芳香族基を直接連結するアミド結合の位置は、パラ型である。
<パラ型全芳香族ポリアミドの製造方法>
本発明におけるパラ型全芳香族ポリアミドは、従来公知の方法にしたがって製造することができる。例えば、アミド系極性溶媒中で、芳香族ジカルボン酸クロライド成分と、芳香族ジアミン成分とを反応せしめることにより、芳香族コポリアミドのポリマー溶液を得ることができる。
[パラ型全芳香族コポリアミドの原料]
(芳香族ジカルボン酸ジクロライド成分)
本発明に用いられるパラ型全芳香族ポリアミドの原料となるジカルボン酸クロライド成分は、特に限定されるものではなく、一般的に公知なものを用いることができる。例えば、テレフタル酸クロライド、2−クロルテレフタル酸クロライド、2,5−ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6−ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド等が挙げられる。また、これらの芳香族ジカルボン酸ジクロライドは、1種類のみならず2種類以上を用いることができ、その組成比は特に限定されるものではない。これらのなかでは、汎用性や得られる繊維の機械的物性等の観点から、テレフタル酸ジクロライドが好ましい。なお、本発明においては、パラ位以外の結合を形成するイソフタル酸ジクロライド等の成分が、少量が含まれていてもよい。
(芳香族ジアミン成分)
本発明に用いられるパラ型全芳香族ポリアミドの原料となるジアミン成分としては、特に限定されるものではなく、一般的に公知なものを用いることができる。例えば、p−フェニレンジアミン、2−クロル−p−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジクロル−p−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、等を挙げることができる。これらは、1種類のみならず2種類以上を用いることができ、その組成比は特に限定されるものではない。なお、本発明においては、パラ位以外の結合を形成するメタフェニレンジアミン等の成分が、少量含まれていてもよい。
これらのなかでは、高温熱延伸における安定性の観点から、p−フェニレンジアミン、および、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを単独で使用、あるいは併用することが好ましく、p−フェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとの組み合わせが最も好ましい。パラフェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを組み合わせて用いる場合には、その組成比は特に限定されるものではないが、全芳香族ジアミン量に対して、それぞれ30〜70モル%、70〜30モル%とすることが好ましく、さらに好ましくは、それぞれ40〜60モル%、60〜40モル%、最も好ましくは、それぞれ45〜55モル%、55〜45モル%とする。
(芳香族ジカルボン酸ジクロライド成分と芳香族ジアミン成分の組み合わせ)
したがって、本発明に用いられるパラ型全芳香族ポリアミドとしては、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド、ポリパラフェニレンテレフタルアミド等を挙げることができる。
[原料組成比]
芳香族ポリアミドの原料となる上記の芳香族ジカルボン酸クロライド成分と芳香族ジアミン成分との比は、芳香族ジアミン成分に対する芳香族ジカルボン酸クロライド成分のモル比として、0.90〜1.10の範囲とすることが好ましく、0.95〜1.05の範囲とすることがより好ましい。芳香族ジカルボン酸クロライド成分のモル比が0.90未満または1.10を超える場合には、芳香族ジアミン成分との反応が十分に進まず、高い重合度が得られないため好ましくない。
[反応条件]
芳香族ジカルボン酸クロライド成分と芳香族ジアミン成分との反応条件は、特に限定されるものではない。酸クロライドとジアミンとの反応は一般に急速であり、反応温度としては、例えば、−25℃〜100℃の範囲とすることが好ましく、−10℃〜80℃の範囲とすることがさらに好ましい。
[重合溶媒]
本発明に用いられるパラ型全芳香族ポリアミドの重合に用いられる溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという場合もある)、N−メチルカプロラクタム等の有機極性アミド系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の水溶性エーテル化合物、メタノール、エタノール、エチレングリコール等の水溶性アルコール系化合物、アセトン、メチルエチルケトン等の水溶性ケトン系化合物、アセトニトリル、プロピオニトリル等の水溶性ニトリル化合物等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独であっても、また、2種以上の混合溶媒として使用することも可能である。なお、用いられる溶媒は、脱水されていることが望ましい。
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミドの製造においては、汎用性、有害性、取り扱い性、パラ型全芳香族コポリアミドに対する溶解性等の観点から、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることが最も好ましい。
[その他重合条件等]
生成するパラ型全芳香族ポリアミドの溶解性を挙げるために、重合前、途中、終了時のいずれかに、一般に公知の無機塩を適当量添加しても差し支えない。このような無機塩としては、例えば、塩化リチウム、塩化カルシウム等が挙げられる。
また、パラ型全芳香族ポリアミドの末端は、封止することもできる。末端封止剤を用いて末端を封止する場合には、例えば、フタル酸クロライドおよびその置換体、アニリンおよびその置換体等を末端封止剤として用いることができる。
また、生成する塩化水素のごとき酸を捕捉するために、脂肪族や芳香族のアミン、第4級アンモニウム塩等を併用することもできる。
反応の終了後は、必要に応じて、塩基性の無機化合物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等を添加し、中和反応を実施してもよい。
[重合後処理等]
上記のようにして得られるパラ型全芳香族ポリアミドは、アルコール、水等の非溶媒に投入して沈殿せしめ、パルプ状にして取り出すことができる。取り出されたパラ型全芳香族ポリアミドを再度他の溶媒に溶解し、その後に繊維の成形に供することもできるが、重合反応によって得たポリマー溶液をそのまま紡糸用溶液(ドープ)に調整して用いることも可能である。一度取り出してから再度溶解させる際に用いる溶媒としては、パラ型全芳香族ポリアミドを溶解するものであれば特に限定されるものではないが、上記パラ型全芳香族ポリアミドの重合に用いられる溶媒とすることが好ましい。
<パラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法>
本発明のパラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法においては、湿式紡糸法または半乾半湿式紡糸法が採用される。すなわち、先ず、パラ型全芳香族コポリアミドと溶媒とを含む紡糸用溶液(ポリマードープ)を、紡糸口金から吐出する。
[紡糸用溶液(ポリマードープ)の調整]
パラ型全芳香族ポリアミドおよび溶媒を含む紡糸用溶液(ドープ)を調整する方法としては、特に限定されるものではない。また、紡糸用溶液(ドープ)の調製に用いられる溶媒としては、上記したパラ型全芳香族コポリアミドの重合に用いられる溶媒を使用することが好ましい。なお、用いられる溶媒は1種単独であっても、2種以上の溶媒を混合した混合溶媒であってもよい。本発明の製造方法においては、パラ型全芳香族ポリアミドの製造によって得られたポリマー溶液から当該ポリマーを単離することなく、そのまま用いることも可能である。
また、繊維に機能性等を付与する目的で、本発明の要旨を超えない範囲において、添加剤等のその他の任意成分を配合してもよい。添加剤等を配合する場合には、ドープの調整において導入することができる。導入の方法は特に限定されるものではなく、例えば、ドープに対して、ルーダーやミキサ等を使用して導入することができる。
なお、紡糸用溶液(ドープ)におけるポリマー濃度、すなわちパラ型全芳香族ポリアミドの濃度は、0.5〜30質量%の範囲とすることが好ましく、2〜20質量%の範囲とすることがさらに好ましい。紡糸用溶液(ドープ)におけるポリマー濃度が0.5質量%未満の場合には、ポリマーの絡み合いが少ないため紡糸に必要な粘度を得ることができず、紡糸時の吐出安定性が低下してしまう。一方で、ポリマー濃度が30質量%を超える場合には、ドープの粘性が急激に増加することから紡糸時の吐出安定性が低下し、紡糸パック内の急激な圧上昇により、安定的に紡糸することが困難となる。
本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法においては、紡糸用溶液において、パラ型全芳香族ポリアミド100質量部に対して20〜200質量部となるように水分を含有させることが必要である。さらに好ましくは、50〜100質量部となるように水分を含有させる。パラ系全芳香族ポリアミド100質量部に対して水分が20質量部未満である場合には、本願発明の効果が見られず、得られる繊維の強度が低く、また、断糸の発生率が高く、生産安定性の低い製造プロセスとなってしまう。一方で、パラ系全芳香族ポリアミド100質量部に対して水分が200質量部を超える場合には、紡糸溶液の安定性が著しく低下し、パラ系全芳香族ポリアミドおよび有機溶媒からなる混合溶液(紡糸用溶液)の透明性が低くなり、成形性が乏しくなるため好ましくない。
[紡糸・凝固]
本発明においては、上述の如く調整された紡糸用溶液(ドープ)を用いて、湿式紡糸法または半乾半湿式紡糸法によって繊維を成形する。すなわち、先ず、上記で得られた紡糸用溶液(ドープ)をノズルから吐出し、続いて、凝固浴中の凝固液に接触させて凝固糸を形成する。
[その他の工程]
凝固液から凝固糸条を引き上げた後は、公知の方法によって、最終的な芳香族ポリアミド繊維を得ることができる。例えば、水洗工程を実施して形成された未延伸糸から溶媒を除去し、必要に応じて延伸することにより配向糸とし、さらに、乾燥工程等を経ることにより、最終的な繊維を得ることができる。
[延伸工程]
延伸の方法としては、凝固糸状態での水洗延伸、沸水延伸のみならず、乾燥糸状態での加熱延伸等も行うことができる。延伸倍率については特に制限はないが、1.05倍以上であることが好ましく、1.1倍以上であることがさらに好ましい。延伸倍率を制御することにより、得られる芳香族ポリアミド繊維の伸度および強度を制御することができる。
一般に、延伸倍率に対して断糸発生延伸倍率(延伸にて繊維束が破断する最低延伸倍率)が高い場合(すなわち、延伸倍率/断糸発生延伸倍率の値が低い場合)には、繊維の伸度が増加し、配向が低下することによる繊維強度の低下が懸念される。しかしながら、驚くべきことに、本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法によれば、断糸発生延伸倍率が高くなるにもかかわらず、すなわち、延伸倍率/断糸発生延伸倍率の値が低下するにもかかわらず、繊維の強度および伸度を維持することができる。
特に、本発明においては、下記式(1)を満たす延伸条件にて延伸を実施すると、十分な繊維強度を発現させることができる。下記式(1)の値が0.4未満の場合には、必要な繊維強度を発現することができず、0.6を超える場合には、延伸断糸発生頻度が著しく増加する。
0.4 ≦ 延伸倍率/断糸発生延伸倍率 ≦ 0.6 (1)
(式中、断糸発生延伸倍率とは、延伸にて繊維束が破断する最低延伸倍率をいう。)
<芳香族ポリアミド繊維の物性>
本発明の製造方法によれば、力学特性に優れた繊維を得ることができる。本発明の製造方法によって得られるパラ型全芳香族ポリアミド繊維は、引張強度が24cN/dtex以上であり、かつ、引張弾性率が550cN/dtex以上である。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によって何ら限定されるのものではない。
<測定・評価方法>
実施例および比較例における各特性値は、以下の方法により測定・評価を行った。
(1)繊度
得られた繊維を、公知の検尺機を用いて100m巻き取り、その質量を測定した。得られた質量に100を乗じた値を、10000mあたりの繊度(dtex)として算出した。
(2)引張強度、引張伸度、引張弾性率
引張試験機(INSTRON社製、商品名:INSTRON、型式:5565型)により、糸試験用チャックを用いて、ASTM D885の手順に基づき、以下の条件で測定を実施した。
[測定条件]
温度 :室温
試験片 :75cm
試験速度 :250mm/分
チャック間距離 :500mm
(3)断糸発生倍率の測定
延伸送り側のローラー回転速度をA(m/min)、延伸断糸が発生する最小のローラー回転速度をB(m/min)とし、下式により得られる値を、断糸発生倍率とした。
断糸発生倍率=B/A
(4)工程調子(断糸回数)
24時間連続紡糸を行い、延伸工程において断糸回数(N)をカウントし、下式により得られる数値を、断糸回数とした。
断糸回数(回/時間)=N/24
<実施例1〜6、比較例1〜3>
コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド(共重合モル比が1:1の芳香族ポリアミド)の濃度6質量%の重合N−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液中に、NMP80〜90質量部、水10〜20質量部の割合のNMP水溶液を添加して、芳香族ポリアミドの全質量を基準とした水分率が、表1に示される所定の割合となるよう調整し、引き続き、温度80℃下で4時間の撹拌混合を実施することにより、パラ型全芳香族ポリアミド溶液を得た。
得られたパラ型全芳香族ポリアミド溶液を紡糸用溶液(ドープ)として用いて、孔数100ホールの紡糸口金から吐出し、エアーギャップ約10mmを介して、NMP濃度30質量%の水溶液中に紡出して凝固させた後(半乾半湿式紡糸法)、水洗、乾燥し、次いで、温度530℃下で表1に記載した倍率で延伸した後巻き取ることにより、パラ型全芳香族ポリアミド繊維を得た。
紡糸用溶液(ドープ)の水分率、断糸発生延伸倍率、延伸倍率、得られた繊維の物性、および、工程調子(断糸回数)等を、表1に示す。
Figure 2012224955

Claims (4)

  1. 湿式紡糸法または半乾半湿式紡糸法によりパラ型全芳香族ポリアミド繊維を製造する方法であって、
    紡糸用溶液において、パラ型全芳香族ポリアミド100質量部に対して20〜200質量部の水分を含有させることを特徴とするパラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。
  2. 下記式(1)を満足する延伸工程を含む請求項1記載のパラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。
    0.4 ≦ 延伸倍率/断糸発生延伸倍率 ≦ 0.6 (1)
    (式中、断糸発生延伸倍率とは、延伸にて繊維束が破断する最低延伸倍率をいう。)
  3. 前記パラ型全芳香族ポリアミド繊維が、コポリパラフェニレン−3、4’オキシジフェニレンテレフタラミド繊維である請求項1または2記載のパラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。
  4. 請求項1から3いずれか記載のパラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法によって得られる繊維であって、
    引張強度が24cN/dtex以上、かつ、引張弾性率が550cN/dtex以上であるパラ型全芳香族ポリアミド繊維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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