JP2011202292A - パラ型全芳香族コポリアミド繊維およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】引張強度等の機械的物性に優れた見かけ上の単糸繊度が大きいパラ型芳香族コポリアミド繊維およびその製造方法を提供する。
【解決手段】パラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造にあたり、例えば、単糸同士が熱融着し得る温度で熱延伸を行うことにより、複数の単糸を熱融着により収束させ、収束後の見かけ上の単糸繊度を大きくする。
【選択図】なし

Description

本発明は、パラ型全芳香族コポリアミド繊維およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、熱融着により複数の単糸を収束した、機械的物性に優れたパラ型全芳香族コポリアミド繊維およびその製造方法に関する。
従来、芳香族ジカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とを主成分としてなるパラ型全芳香族ポリアミド繊維は、その強度、高弾性率、高耐熱性、高い耐薬品性等の特徴を有することから、樹脂やセメント、コンクリート等の補強材用途等の様々な産業資材用途で幅広く用いられている。
このようなパラ型全芳香族ポリアミド繊維は、一般的に、いわゆる「湿式紡糸法」あるいは「半乾半湿式紡糸法」によって製造される。すなわち、光学的に異方性または等方性の紡糸溶液を、口金を介して押出し、空気または不活性気体中を一旦通過させた後に、または通過させることなく直接に、凝固浴中の凝固液と接触させて凝固し、その後、水洗、延伸等の工程を経ることにより、最終的にパラ型全芳香族ポリアミド繊維を得る。
ところで、一般にパラ型全芳香族ポリアミドは、単糸繊度が太い繊維ほど、繊維自身の剛直性が上がる。また、短繊維として樹脂やセメント等の補強材として用いる場合には、同じ繊維長であれば単糸繊度が太いほどアスペクト比が小さくなるため、マトリックス中における分散性が高くなる等の利点がある。
しかし、「湿式紡糸法」あるいは「半乾半湿式紡糸法」によってパラ型全芳香族ポリアミド繊維を製造する場合には、単糸繊度が太くなるほど、凝固工程において単糸の内外で凝固ムラや凝固不良が発生しやすくなるばかりでなく、水洗工程での脱溶媒が非常に困難となり、その結果、工程通過性の悪化や糸中の欠陥の発生、さらには物性低下を招くという問題があった。
例えば、特許文献1、特許文献2、および特許文献3には、単糸繊度が太いパラ型全芳香族ポリアミド繊維が報告されている。しかしながら、凝固工程の方法や水洗工程等における脱溶媒の方法、また、糸欠陥を抑制して高い機械的物性を得るための方法等については、十分な検討がなされていない。
また、特許文献4および特許文献5には、パラ型芳香族ポリアミド繊維等の繊維束を、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂によって収束した、コンクリート等の補強用材料が報告されている。パラ型芳香族ポリアミド繊維を樹脂等で収束させた場合には、収束後の見かけ上の繊維束は繊度が大きく剛直となるため、収束繊維をカットして補強材等として用いる場合には、アスペクト比が小さくなるためマトリックス中での分散性に優れるという利点がある。
しかしながら、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いた収束繊維は、非常に煩雑な工程を経る必要がある上、収束に用いる樹脂の機械的物性がパラ型芳香族ポリアミド繊維よりも劣るため、収束繊維全体としての機械的物性が低下し、パラ型芳香族ポリアミド繊維の特長である高い機械的物性を十分に活かせない等の問題があった。
特表平4−500394号公報 特開平5−163610号公報 特開平9−310223号公報 特開2001−328853号公報 特開2007−131464号公報
本発明は、かかる従来技術を背景になされたものであり、その目的とするところは、機械的物性に優れた見かけ上の単糸繊度が大きいパラ型全芳香族コポリアミド繊維を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、一般にパラ型全芳香族コポリアミドは、ガラス転移点や融点が分解温度とほぼ同等であり、明確なガラス転移点や融点が存在しないとされているが、パラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造プロセスにおける熱延伸工程において、ある一定の条件下で熱延伸を行えば、複数の単糸同士が熱融着することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、4〜100本の単糸が熱融着により収束された収束繊維を含み、当該収束繊維の繊度が4dtex以上であるパラ型全芳香族コポリアミド繊維である。
また別の本発明は、半乾半湿式紡糸法によるパラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法であって、熱融着により4〜100本の単糸を収束させる熱延伸工程を含むパラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法である。
本発明のパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、見かけ上の単糸繊度が太い、機械的物性に優れた収束繊維を含む繊維となる。このため、本発明のパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、樹脂やセメント、コンクリート等の補強材用途や、その他様々な産業資材用途において、非常に有用である。
また、本発明のパラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法は、収束用の他の樹脂を用いることなく熱融着にて作成するものであるため、機械的物性に優れた収束繊維を含む繊維束を簡便に得ることができ、また、通常の半乾半湿式紡糸法や湿式紡糸法では極めて作製が困難であった単糸繊度が大きい繊維を、簡便に作製することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<パラ型全芳香族コポリアミド>
本発明の繊維を構成するパラ型全芳香族コポリアミドとは、1種または2種以上の2価の芳香族基が、パラ位にてアミド結合により直接連結されたポリマーである。このとき、該芳香族基は、複数個の芳香環が、酸素、硫黄、または、アルキレン基等を介して結合されたものであってもよい。さらに、これらの2価の芳香族基は、メチル基やエチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、またはクロル基等のハロゲン基等で置換されていても、あるいは、複素環等が結合されたものであっても特に差し支えはなく、その置換基の種類や置換基の数は特に限定されるものではない。
<パラ型全芳香族コポリアミドの製造方法>
本発明におけるパラ型全芳香族コポリアミドは、従来公知の方法にしたがって製造することができる。例えば、アミド系極性溶媒中で、芳香族ジカルボン酸クロライド成分と、芳香族ジアミン成分とを反応せしめることにより、芳香族コポリアミドのポリマー溶液を得ることができる。
[パラ型全芳香族コポリアミドの原料]
(芳香族ジカルボン酸ジクロライド成分)
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミドの原料となる芳香族ジカルボン酸ジクロライド成分は、特に限定されるものではなく、一般的に公知なものを用いることができる。例えば、テレフタル酸ジクロライド、2−クロロテレフタル酸ジクロライド、3−メチルテレフタル酸ジクロライド、4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジクロライド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジクロライド等を挙げることができる。これらのなかでは、汎用性や繊維の機械的物性等の観点から、テレフタル酸ジクロライドを用いることが最も好ましい。
また、これらの芳香族ジカルボン酸ジクロライドは、1種類のみならず2種類以上を用いることもでき、その組成比は特に限定されるものではない。
(芳香族ジアミン成分)
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミドの原料となる芳香族ジアミン成分としては、例えば、パラフェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、パラビフェニレンジアミン、5−アミノ−2−(4−アミノフェニレン)ベンズイミダゾール、1,4−ジクロロパラフェニレンジアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。芳香族環に置換基がついていたり、その他複素環等が存在していたりしても差し支えない。
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミドの原料としては、これらの内、2種類以上を用いる。その組み合わせとしては、汎用性や繊維の機械的物性等の観点から、パラフェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとの組み合わせが最も好ましい。また、パラフェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを組み合わせて用いる場合には、その組成比は特に限定されるものではないが、全芳香族ジアミン量に対して、それぞれ30〜70モル%、70〜30モル%とすることが好ましく、さらに好ましくは、それぞれ40〜60モル%、60〜40モル%、最も好ましくは、それぞれ45〜55モル%、55〜45モル%とする。
[原料組成比]
パラ型全芳香族コポリアミドの原料となる上記の芳香族ジカルボン酸クロライド成分と芳香族ジアミン成分との比は、芳香族ジアミン成分に対する芳香族ジカルボン酸クロライド成分のモル比として、0.90以上1.10以下の範囲とすることが好ましく、0.95以上1.05以下の範囲とすることがより好ましい。芳香族ジカルボン酸クロライド成分のモル比が0.90未満または1.10を超える場合には、芳香族ジアミン成分との反応が十分に進まず、高い重合度が得られないため好ましくない。
[反応条件]
芳香族ジカルボン酸クロライド成分と芳香族ジアミン成分との反応条件は、特に限定されるものではない。酸クロライドとジアミンとの反応は一般に急速であり、反応温度としては、例えば、−25℃以上100℃以下の範囲とすること好ましく、−10℃以上80℃以下の範囲とすることがさらに好ましい。
[重合溶媒]
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミドの製造に用いられるアミド系溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPともいう)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルイミダゾリジノン等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独であっても、また、2種以上の混合溶媒として用いることも可能である。なお、用いられる溶媒は、脱水されていることが望ましい。
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミドの製造においては、汎用性、有害性、取り扱い性、パラ型芳香族コポリアミドに対する溶解性等の観点から、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることが最も好ましい。
[中和反応]
反応終了後には、必要に応じて、塩基性の無機化合物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等を添加して、中和反応を実施することが好ましい。
[重合後処理等]
上記のように重合して得られるパラ型全芳香族コポリアミドは、アルコール、水等の非溶媒に投入して沈殿せしめ、単離することができる。取り出されたパラ型全芳香族コポリアミドを再度他の溶媒に溶解し、その後の繊維の成形に供することもできるが、重合反応によって得られたポリマー溶液を、そのまま紡糸用溶液(ポリマードープ)に調整して用いることも可能である。
<パラ型全芳香族コポリアミド繊維の製糸>
本発明のパラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法においては、熱延伸工程にて収束繊維の作成を実施する以外は、製糸におけるその他の工程は、特に限定されるものではない。パラ型全芳香族コポリアミドを製造するための公知の方法を採用することができ、各工程における条件は、公知の工程条件を基に、曳糸性や工程通過性、得られる繊維の品位や機械的物性等の観点から、適宜調整することができる。
[紡糸用溶液(ポリマードープ)の調整]
本発明のパラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造にあたっては、先ず、紡糸口金から吐出するためのパラ型全芳香族コポリアミドと溶媒とを含む紡糸用溶液(ポリマードープ)を調製する。
パラ型全芳香族コポリアミドおよび溶媒を含むポリマードープを調整する方法は、特に限定されるものではない。また、ポリマードープの調製に用いられる溶媒としては、上記したパラ型全芳香族コポリアミドの重合に用いられる溶媒を使用することが好ましい。なお、用いられる溶媒は1種単独であっても、2種以上の溶媒を混合した混合溶媒であってもよい。本発明においては、パラ型全芳香族コポリアミドの製造によって得られたポリマー溶液から当該ポリマーを単離することなく、そのまま用いることも可能である。
さらに、パラ型全芳香族コポリアミドの溶媒への溶解性を高める目的で、溶解助剤として無機塩を用いることもできる。無機塩としては、例えば、塩化カルシウム、塩化リチウム等が挙げられる。ポリマードープに対する無機塩の添加量としては特に限定されるものではないが、ポリマー溶解性向上の効果や、無機塩の溶媒への溶解度等の観点から、ポリマードープ質量に対して1〜10質量%とすることが好ましい。
また、繊維に機能性等を付与する目的で、本発明の要旨を超えない範囲において添加剤等のその他の任意成分を配合してもよい。添加剤等を配合する場合には、ドープの調整において導入することができる。導入の方法は特に限定されるものではなく、例えば、ポリマードープに対して、ルーダーやミキサ等を使用して導入することができる。
なお、ポリマードープにおけるポリマー濃度、すなわちパラ型全芳香族コポリアミドの濃度は、特に限定されるものではないが、曳糸性等の観点から0.5質量%以上30質量%以下の範囲とすることが好ましい。ポリマードープにおけるポリマー濃度が0.5質量%未満の場合には、ポリマーの絡み合いが少ないため紡糸に必要な粘度を得ることができず、紡糸時の吐出安定性が低下してしまう。一方で、ポリマー濃度が30質量%を超える場合には、ポリマードープの粘性が急激に増加することから、紡糸時の吐出安定性が低下し、紡糸パック内に急激な圧上昇が起こり、安定した紡糸が困難となりやすい。
[紡糸・凝固工程]
紡糸・凝固工程においては、公知の湿式紡糸法や半乾半湿式紡糸法等により繊維を成形する。例えば半乾半湿式紡糸法においては、ポリマードープを紡糸口金から吐出し、貧溶媒からなる凝固浴中で凝固させて未延伸糸を得る。本発明において用いる紡糸口金は、特に限定されるものではないが、4〜100本の単糸を熱融着により収束させるため、ホール数が4以上であることが好ましい。また、紡糸口金の穴径やノズル長、材質等は特に限定されるものではなく、曳糸性等を考慮して適宜調整することができる。
紡糸口金を通過する際のポリマードープの温度、および紡糸口金の温度は、特に限定されるものではないが、曵糸性やポリマードープの吐出圧の観点から、80〜120℃とすることが好ましい。
次に、紡糸口金から吐出したポリマードープを、凝固液中で凝固する。このとき、紡糸口金と凝固液との温度が大きく異なる場合には、紡糸口金と凝固液とが接触するとそれぞれの温度が変化し、その結果、紡糸工程の制御が困難となる。そこで、紡糸口金と凝固液との温度が大きく異なる場合には、エアギャップを設けた半乾半湿式紡糸を適用することが好ましい。エアギャップの長さは、特に限定されるものではないが、温度の制御性、曵糸性等の観点から、5〜15mmの範囲とすることが好ましい。
ここで用いる凝固液は、パラ型全芳香族コポリアミドを溶解した溶媒の水溶液を用いることが好ましく、その温度や濃度は、特に限定されるものではない。形成された糸の凝固状態や後の工程通過性等に問題がない範囲で、適宜調整することができる。
[水洗工程]
次に、上記で得られた凝固糸を水洗する。水洗工程は、水を用いて糸中のNMPを拡散させ、糸中から除去することを目的とする。本発明においては、水洗工程において十分に水洗し、水洗工程通過後の糸中の残存溶媒量をポリマー成分に対して3000ppm以下とすることが好ましく、さらに好ましくは2000ppm以下、最も好ましくは1500ppm以下とする。工程通過後の糸中の残存溶媒量がポリマー成分に対して3000ppmを超える場合には、後の工程での工程通過性や得られる繊維の物性、品位が低下するため好ましくない。
本発明において、水洗工程通過後の糸中の残存溶媒量をポリマー成分に対して3000ppm以下とするためには、例えば、凝固糸の単糸繊度を細くしたり、水洗工程を通過する繊維束のトウ幅を広げたり、また水洗工程における温度や濃度勾配を適宜調整すること等が挙げられる。
[無機微粒子付与工程]
なお、パラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造プロセスにおいては、後の熱延伸工程における単糸同士の熱融着を「抑制」する目的で、水洗後に無機微粒子を付与することが知られている。しかしながら、本発明においては、単糸同士の熱融着を促進させる必要があるため、熱融着を「抑制」する程度まで無機微粒子を付与する必要はない。したがって、本発明においては、無機微粒子を付与することなく熱延伸工程を実施してもよく、あるいは、熱融着の度合いや熱融着させる単糸数を調整する等の目的で、多少の無機微粒子を用いても特に差し支えはない。その際、付与する無機微粒子の種類は、特に限定されるものではない。またここで付着した無機微粒子は熱延伸工程後の工程において、水シャワーや圧空を吹き付けることにより、除去することができる。
[乾燥工程]
次に、乾燥工程において、水洗後、あるいは無機微粒子付着後の繊維を乾燥する。乾燥条件は特に限定されるものではなく、繊維に付着した水分を十分に除去できる条件であれば問題はない。作業性や繊維の熱による劣化を考慮すると、150〜250℃の範囲で乾燥を実施することが好ましい。また、乾燥は、ローラー等の接触型の乾燥装置、あるいは、乾燥炉中に繊維を通過させる等といった非接触型の乾燥装置のいずれを用いることもできる。
[熱延伸工程]
次いで、乾燥後の繊維を熱延伸する。本発明において熱延伸工程は、複数の単糸同士を熱融着させて収束させるために必須であり、また同時に、繊維の熱延伸により繊維中のポリマー分子を高度に配向させ、強度を付与することを目的とする。このときの温度は、一般には300〜600℃の範囲とすることが好ましいが、ポリマーの種類や共重合比等によりガラス転移点や融点等が異なるため、ポリマー種により適宜温度を調整することができる。
パラ型全芳香族コポリアミドが、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドである場合には、熱融着により複数の単糸を収束させるためには、熱延伸工程の温度を、530〜600℃の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは535〜590℃、最も好ましくは540〜580℃の範囲とする。
熱延伸工程は多段階に実施することもでき、一段階で実施する場合であっても多段階で実施するであっても総延伸倍率を5倍〜15倍の範囲とすることが好ましいが、収束繊維の強度が18cN/dtex以上を達成できれば、特にこの範囲に限定されるものではない。多段階で熱延伸を行う場合においても、その温度や延伸倍率比は特に限定されるものではなく、少なくとも熱延伸工程の最後に、熱融着させ得る温度による熱延伸工程を含むことが好ましい。
また、熱延伸工程においては、より効率的に単糸同士を熱融着させる目的で、熱延伸工程に入る前の繊維束を、ガイドを用いて収束させる等の処置を行うことができる。
また、多フィラメントからなる繊維束を熱延伸する場合には、必要に応じて繊維束を単糸が4〜100本となるように分繊し、分繊した各々の束において熱融着により収束させても特に差し支えはない。
なお、本発明における熱融着により収束した収束繊維とは、熱融着する前の4〜100本の単糸が、隣接する少なくとも1本以上の単糸と熱融着して得られる繊維の束を指す。ここで、熱融着は、ある単糸と、当該単糸と隣接する少なくとも1本以上の単糸が、繊維の長軸方向にわたって全部が融着して収束していてもよいが、少なくとも一部が熱融着して収束していればよく、したがって、収束繊維には、熱融着していない部分が含まれていてもよい。さらに、単糸同士が熱融着している部分と熱融着していない部分との割合については、特に限定されるものではない。
さらに、本発明のパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、上述の収束繊維を含むものであればよく、必ずしもパラ型全芳香族コポリアミド繊維を構成する全ての単糸が熱融着して収束繊維を構成している必要はない。熱融着しない単糸が含まれる場合においては、繊維を構成する単糸の内、少なくとも4〜100本の単糸が、隣接する少なくとも1本以上の単糸と熱融着して収束繊維を形成していればよい。
単糸同士が融着しているか否かについは、例えば、収束繊維を無張力下で解して直接融着しているかどうか確認したり、実体顕微鏡や光学顕微鏡、また電子顕微鏡等で確認したりする方法等が挙げられる。
[その他の工程]
本発明のパラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法においては、例えば、前記した工程等を通過の後、巻き取り工程等を経て、最終的にパラ型全芳香族コポリアミド繊維を得ることができる。その際、使用する用途等に応じて油剤や加工剤等を付与しても特に差し支えない。
<パラ型全芳香族コポリアミド繊維の物性>
[収束繊維の物性]
本発明のパラ型全芳香族コポリアミド繊維に含まれる収束繊維は、4〜100本の単糸が熱融着により収束されたものである。収束繊維の繊度は、通常4dtex以上であり、例えばセメント補強材用途に用いる場合には、10dtex以上であることが好ましく、20dtex以上であることが最も好ましい。
また、収束繊維の引張強度は、18cN/dtex以上であることが好ましく、引張弾性率は、400cN/dtex以上であることが好ましい。収束繊維の引張強度は、19cN/dtex以上であることがさらに好ましく、20cN/dtex以上であることが最も好ましい。また、収束繊維の引張弾性率は、500cN/dtex以上であることがさらに好ましく、550cN/dtex以上であることが最も好ましい。
以下、本発明を実施例等によりさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらに何等限定されるものではない。
<測定・評価方法>
実施例および比較例においては、下記の項目について、下記の方法によって測定・評価を行った。
(1)パラ型全芳香族コポリアミド繊維の繊度
得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維繊維を、公知の検尺機を用いて100m巻き取り、その質量を測定した。得られた質量に100を乗じた値を、10000mあたりの繊度(dtex)として算出した。
(2)熱融着の有無
得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維を約10cmカットして取り出し、ピンセットを用いて軽く解して、熱融着の有無を確認した。
(3)収束繊維を構成している単糸本数
(2)で熱融着を確認できた収束繊維を取り出し、収束繊維の繊維軸方向に垂直な断面が得られるようカッター等でカットし、得られた断面を光学顕微鏡で観察し、収束繊維を構成している単糸の本数を数えた。
(4)収束繊維の繊度
(2)で熱融着を確認できた収束繊維を取り出し、オートバイブロ式繊度測定器(サーチ株式会社製、商品名:DENICON、型式:DC−21B)により、以下の条件で繊度の測定を実施し、その平均値を平均単糸繊度として算出した。
[測定条件]
温度 :室温
試験片 :70mm
荷重 :1〜8g
測定周波数 :1800Hz
測定本数 :20
(5)収束繊維の引張強度および引張弾性率
引張試験機(INSTRON社製、商品名:INSTRON、型式:5565型)により、糸試験用チャックを用いて、ASTM D885の手順に基づき、以下の条件で測定を実施した。
[測定条件]
温度 :室温
試験片 :75cm
試験速度 :250mm/分
チャック間距離 :500mm
<実施例1>
[パラ型全芳香族コポリアミドの製造]
公知の方法により、パラフェニレンジアミン27質量部と3,4’−ジアミノジフェニルエーテル50質量部をNMPに溶解し、これに、テレフタル酸ジクロライド100質量部を添加し、重縮合反応を行い、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドのポリマー溶液(ポリマードープ)を得た。このときのポリマー濃度は6質量%、ポリマーの極限粘度(IV)は3.38であった。
[パラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造]
穴径0.3mm、穴数が50の紡糸口金を105℃に加熱した後、105℃に加熱した上記で得られたポリマードープを吐出し、10mmのエアギャップを介して、NMP濃度が30質量%の50℃の水溶液で満たされた凝固浴を通過させ、凝固させた。
次いで、55℃に調整した水洗浴に、凝固後の繊維束を通過させて水洗を行い、200℃の乾燥ローラーにて乾燥後、380℃で1段目の熱延伸を行った。このときの延伸倍率は2.4倍であった。その後、ガイドを用いて繊維束を収束させた状態で、熱融着を目的とした2段目の熱延伸を実施した。2段目の熱延伸は、550℃にて延伸倍率4倍で実施した。
最後に、延伸された繊維をワインダーで紙管に巻き取って、パラ型全芳香族コポリアミド繊維を得た。得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維の繊度、熱融着の有無、収束繊維を構成している単糸本数、収束繊維の繊度、ならびに引張強度および引張弾性率を、表1に示す。
<実施例2>
熱融着を目的とした2段目の熱延伸を540℃で行った以外は、実施例1と同じ手法により、パラ型全芳香族コポリアミド繊維を得た。
得られたラ型全芳香族コポリアミド繊維の繊度、熱融着の有無、収束繊維を構成している単糸本数、収束繊維の繊度、ならびに引張強度および引張弾性率を、表1に示す。
<実施例3>
熱融着を目的とした2段目の熱延伸を575℃で行った以外は、実施例1と同じ手法により、パラ型全芳香族コポリアミド繊維を得た。
得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維の繊度、熱融着の有無、収束繊維を構成している単糸本数、収束繊維の繊度、ならびに引張強度および引張弾性率を、表1に示す。
<実施例4>
水洗工程通過後の繊維に対し、熱延伸工程における単糸同士の融着度合いを調整する目的で、タルクおよびオスモスを、繊維質量に対して0.1質量%付着させた以外は、実施例1と同じ手法により、パラ型全芳香族コポリアミド繊維を得た。
得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維の繊度、熱融着の有無、収束繊維を構成している単糸本数、収束繊維の繊度、ならびに引張強度および引張弾性率を、表1に示す。
<比較例1>
2段目の熱延伸を、熱融着させないよう500℃にて行った以外は、実施例1と同じ手法により、パラ型全芳香族コポリアミド繊維を得た。
得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維の繊度、熱融着の有無、収束繊維を構成している単糸本数、収束繊維の繊度、ならびに引張強度および引張弾性率を、表1に示す。
<比較例2>
水洗工程通過後の繊維に対し、熱延伸工程における単糸同士の融着を抑制する目的で、タルクおよびオスモスを、繊維重量に対して2質量%付着させ、無機微粒子が付着した状態で、2段目の熱延伸を540℃で行った以外は、実施例1と同じ手法により、パラ型全芳香族コポリアミド繊維を得た。
得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維の繊度、熱融着の有無、収束繊維を構成している単糸本数、収束繊維の繊度、ならびに引張強度および引張弾性率を、表1に示す。
Figure 2011202292
本発明のパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、見かけ上の単糸繊度が太い、機械的物性に優れた収束繊維を含む繊維となる。このため、本発明のパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、様々な産業資材として有用であり、とりわけ、樹脂やセメント、コンクリート等の補強材用途において、特に有用である。

Claims (4)

  1. 4〜100本の単糸が熱融着により収束された収束繊維を含み、当該収束繊維の繊度が4dtex以上であるパラ型全芳香族コポリアミド繊維。
  2. 前記パラ型全芳香族コポリアミドが、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドである請求項1記載のパラ型全芳香族コポリアミド繊維。
  3. 前記収束繊維は、引張強度が18cN/dtex以上であり、引張弾性率が400cN/dtex以上である請求項1または2のパラ型全芳香族コポリアミド繊維。
  4. 半乾半湿式紡糸法によるパラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法であって、
    熱融着により4〜100本の単糸を収束させる熱延伸工程を含むパラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法。
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