JP2015193589A - 1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブタノールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブタノール(略称:HFTB)の効率的な製造方法を提供する。【解決手段】第1工程乃至第3工程を少なくとも含むHFTBの製造方法。第1工程: HFTBとジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエトキシメタンおよびジメトキシメタンからなる群から選ばれる1種以上のエーテル系溶媒とを少なくとも含む第一混合物をアルカリ金属塩基と接触させて、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシアルカリ金属塩と該エーテル溶媒とを少なくとも含む第二混合物を得る工程。第2工程: 第1工程で得た第二混合物から前記エーテル系溶媒を分離する工程。第3工程: 第2工程後の第二混合物を酸と接触させて、HFTBを得る工程。【選択図】なし

Description

本発明は、医農薬中間体や電子材料用溶剤として有用な化合物である1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブタノールの製造方法に関する。
フッ素原子の持つ電気陰性度や電子吸引効果といった特徴を利用し、含フッ素有機化合物は撥水性、透明性、低誘電性、特異な生理活性、ミミック効果、などの特徴を有する。このため先端材料分野及び医農薬中間体などの分野で活発な研究開発が行われている。
下記式(1)で表される1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブタノール(略称:HFTB)は医農薬中間体や電子材料用溶剤として有用な化合物であり、これまでにも合成例や利用例が報告されている(例えば、特許文献1および2、非特許文献1〜4など。)。
Figure 2015193589
合成例の一つとして、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン(略称:THF)などの極性溶媒中で、下記式(2)で表される1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロアセトン(略称:HFA)とメチルマグネシウムクロライドとからHFTBを得る方法が知られている(特許文献1、非特許文献1)。
Figure 2015193589
特開2002−88025号公報 特開昭61−291533号公報
Journal fuer Praktische Chemie/Chemiker-Zeitung (1997), 339(5), 479-481 Huagong Shenchan Yu Jishu (2007), 14(3), 1-3 izevestiya Akademii Nauk SSSR, Seriya Khimicheskaya(1960), 686-92 e-EROS Encyclopedia of Regents for Organic Synthesis (2005),15. OCT.
上述のように、HFTBを製造する方法がいくつか知られているが、HFTBは、反応溶媒として用いられるジエチルエーテルと共沸する。そのため、蒸留によって、HFTBとジエチルエーテルとを含む共沸混合物から高純度のHFTBを得ることは難しい。また、本明細書において開示するように、ジエチルエーテル以外にも、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエトキシメタンおよびジメトキシメタンも、HFTBと共沸混合物または共沸混合物様となる。そのため、蒸留によって、HFTBと、このようなエーテル系溶媒とを含む混合物系から高純度のHFTBを得ることは難しいことが判明した。
本発明は、HFTBと、このようなエーテル系溶媒とを含む混合物系から、HFTBを効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、HFTBと、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン(略称:2−MeTHF)、ジエトキシメタンおよびジメトキシメタンからなる群から選ばれる1種以上のエーテル系溶媒とを含む混合物をアルカリ金属塩基と接触させることで得られる、HFTBから変換されたHFTBのアルカリ金属塩(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシアルカリ金属塩)は、該エーテル系溶媒と分離が容易であることを見出した。次いで、前記エーテル系溶媒と分離した後のHFTBのアルカリ金属塩を酸と接触させてHFTBを製造し、本発明を完成させた。
本発明は以下の発明1乃至発明14を含む。
[発明1]
以下の第1工程乃至第3工程を少なくとも含むことを特徴とする、式(1):
Figure 2015193589
で表される1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブタノールを製造する方法。
第1工程:
式(1)で表される1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブタノールと、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエトキシメタンおよびジメトキシメタンからなる群から選ばれる1種以上のエーテル系溶媒とを少なくとも含む第一混合物を
アルカリ金属塩基と接触させて、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシアルカリ金属塩と該エーテル系溶媒とを少なくとも含む第二混合物を得る工程。
第2工程:
第1工程で得た第二混合物からエーテル系溶媒を分離する工程。
第3工程:
第2工程後の第二混合物を酸と接触させて、式(1)で表される1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブタノールを得る工程。
[発明2]
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシアルカリ金属塩が、一般式(3):
Figure 2015193589
(式中、Yはアルカリ金属原子を表す。)
で表される化合物であることを特徴とする、発明1の方法。
[発明3]
一般式(3)中のYがリチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子であることを特徴とする、発明2の方法。
[発明4]
一般式(3)中のYがナトリウム原子またはカリウム原子であることを特徴とする、発明2または発明3の方法。
[発明5]
アルカリ金属塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属水素化物およびアルカリ金属炭酸塩からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、発明1の方法。
[発明6]
アルカリ金属塩基が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、発明5の方法。
[発明7]
アルカリ金属塩基が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであることを特徴とする、発明5または発明6の方法。
[発明8]
前記第2工程後の第二混合物に含まれるエーテル系溶媒の残存量が、該1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシアルカリ金属塩に対して5質量%以下であることを特徴とする、発明1乃至発明7の何れか一の方法。
[発明9]
前記第2工程を、10℃以上50℃以下の温度での第二混合物の蒸留により行うことを特徴とする、発明1乃至発明8の何れか一の方法。
[発明10]
前記第2工程を、1kPa以上5kPa以下の圧力での第二混合物の蒸留により行うことを特徴とする、発明1乃至発明9の何れか一の方法。
[発明11]
前記第3工程において、使用される酸が一般式(4):
Figure 2015193589
(式中、Rは、水素原子または炭素数3〜6の環状、炭素数1〜6の直鎖状もしくは炭素数3〜6の分岐鎖状の炭化水素基を表す。)
で表されるカルボン酸、
または、塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸からなる群から選ばれる1種以上の無機酸であることを特徴とする、発明1乃至発明10の何れか一の方法。
[発明12]
がメチル基であることを特徴とする、発明11の方法。
[発明13]
第3工程で得た1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブタノールをさらに精製することを特徴とする、発明1乃至発明12のいずれか一の方法。
[発明14]
前記第一混合物として、
前記エーテル系溶媒存在下、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロアセトンと、メチルマグネシウムハロゲン化物またはメチルリチウムとを反応させて反応溶液を得て、次いで、該反応溶液を酸と接触させて得られる反応混合物、
を用いることを特徴とする、発明1乃至発明13の何れか一の方法。
本明細書において、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエトキシメタンおよびジメトキシメタンからなる群から選ばれる1種以上のエーテル系溶媒を、単に「エーテル系溶媒」と称することがある。
本発明によれば、HFTBと、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエトキシメタンおよびジメトキシメタンからなる群から選ばれる1種以上のエーテル系溶媒とを含む混合物系から、効率的にHFTBを製造することができる。
以下、本発明を構成する各要素について説明する。本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
<第1工程>
まず、式(1)で表される1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブタノール(略称:HFTB)と、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエトキシメタンおよびジメトキシメタンからなる群から選ばれる1種以上のエーテル系溶媒とを少なくとも含む第一混合物を、アルカリ金属塩基と接触させて、一般式(3)で表される1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシアルカリ金属塩[「HFTBアルカリ金属塩(3)」と称することがある。以下同じ。]と該エーテル系溶媒とを少なくとも含む第二混合物を得る工程(「第1工程」という。)について説明する。
第1工程で用いる第一混合物には、HFTBと、エーテル系溶媒とが、少なくとも含まれる。第一混合物はどのような経緯で得たものを用いてもよく、本工程および後述する第2工程、第3工程の実施を阻害しないものであれば副成分を含んでいてもよい。
例えば、第一混合物に含まれるHFTBの調製方法によっては、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロアセトン、メチルリチウム、ブチルリチウム、マグネシウムのハロゲン化物(ここで、ハロゲン化物とは、フッ化物、塩化物、臭化物またはヨウ化物を指す。)、メタン、ヘキサン、酢酸エチル、ジブチルエーテルなどが前記副成分として第一混合物に混入する場合もあるが、本工程および後述する第2工程、第3工程の実施を阻害しない程度の含有量であればこれらの副成分は敢えて取り除く必要はなく、第1工程に供することができる。当然、これらの副成分を意図的に第一混合物に添加して第1工程に供することもできる。
第一混合物の入手方法または調製方法は特に限定されない。その一例として、エーテル系溶媒存在下、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロアセトン(略称:HFA)と、メチルマグネシウムハロゲン化物(ここで、ハロゲン化物とは、フッ化物、塩化物、臭化物またはヨウ化物を指す。)またはメチルリチウムとを反応させて反応溶液を得て、次いで、該反応溶液を酸と接触させて得られる反応混合物を、第一混合物として用いてもよい。ここで、メチルマグネシウムハロゲン化物またはメチルリチウムの使用量は特に限定されない。メチルマグネシウムハロゲン化物またはメチルリチウムの使用量は、基本的には、HFA1当量に対して1当量であるが、HFA1モルに対して0.1モル以上10モル以下であってもよく、0.9モル以上2モル以下が好ましく、1.1モル以上1.2モル以下が特に好ましい。反応温度は特に限定されないが、−78℃以上+80℃以下であってもよく、−20℃以上+50℃以下が好ましく、0℃以上20℃以下が特に好ましい。反応時間は特に限定されないが、1時間以上24時間以内であってもよく、2時間以上8時間以内が好ましく、3時間以上6時間以内が特に好ましい。1時間以上であれば反応温度を制御しやすく、24時間以内であれば効率的に反応を進行させることができる。また、前記酸の種類は特に限定されないが、後述の第3工程で用いる酸として説明する酸と同様の種類のものを使用することができる。前記反応溶液を前記酸と接触させる際の温度は特に限定されないが、−78℃以上+80℃以下であってもよく、−20℃以上+50℃以下が好ましく、0℃以上30℃以下が特に好ましい。また、接触時間は特に限定されないが、10分間以上4時間以内であってもよく、30分間以上3時間以内が好ましく、45分間以上2時間以内が特に好ましい。10分間以上であれば反応溶液と酸との接触温度を容易に制御することができ、4時間以内であれば効率的に反応混合物を得ることができる。また、前記反応溶液を前記酸と接触させる際には、水を用いてもよい。水を用いる場合、前記反応混合物に含まれる反応原料や反応副生成物などの不純物を伴う水層を有機層から取り除き、該有機層を第一混合物として用いることが好ましい。
第1工程で用いるHFTBとエーテル系溶媒とは、共沸混合物または共沸混合物様となり互いに分離することが困難である。なお、共沸混合物様という用語は、共沸混合物のように挙動する組成物、すなわち沸騰または蒸発中に形成される蒸気の組成が元の液体の組成と同一かまたは実質的に同一であることを指す。沸騰または蒸発によって、液体の組成は、あったとしても最小または無視できる程度しか変化しない。これは、沸騰または蒸発中に液体の組成が相当な程度変化する非共沸混合物様の組成物と対比されるものである。
第1工程で用いる第一混合物におけるHFTBとエーテル系溶媒との組成比は、特に限定されない。第1混合物中に含まれるHFTB1モルに対して、エーテル系溶媒が0.1モル以上20モル以下であってもよく、3モル以上10モル以下が好ましく、5モル以上7モル以下が特に好ましい。0.1モル以上であれば、目的物の収率の低下を抑制することができ、20モル以下であれば、反応後の後処理が容易であり、経済的でもある。
第1工程において、HFTBをHFTBアルカリ金属塩(3)に十分に変換されない場合、反応系中に未反応のHFTBが残存することがある。未反応のHFTBが残存する場合、HFTBは依然として該エーテル系溶媒と分離が困難である。そのため、後述の第2工程において前記エーテル系溶媒とともにHFTBも、HFTBアルカリ金属塩(3)を含む第二混合物から分離されるため、結果として、本発明におけるHFTBの生産性が低下してしまう。したがって、HFTBを効率的にHFTBアルカリ金属塩(3)に変換することが重要となる。HFTBを効率的にHFTBアルカリ金属塩(3)に変換するための方法を以下に説明する。
第1工程では、第一混合物をアルカリ金属塩基と接触させることにより、第一混合物中に含まれるHFTBをアルカリ金属塩基と反応させて、該HFTBをHFTBアルカリ金属塩(3)に変換する。
第1工程で用いるアルカリ金属塩基の種類は、特に限定されず、アルカリ金属を有する無機塩基化合物または有機塩基化合物を使用することができる。中でも、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属水素化物およびアルカリ金属炭酸塩からなる群から選ばれる1種以上を好ましく用いることができる。このアルカリ金属塩基におけるアルカリ金属の種類は、特に限定されないが、工業的な製造においてはリチウム、ナトリウムおよびカリウムが好ましい。アルカリ金属水酸化物としては、具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられ、アルカリ金属水素化物としては、具体的には、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどが挙げられ、アルカリ金属炭酸塩としては、具体的には、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。これらの中でも、得られるHFTBアルカリ金属塩(3)の熱安定性に優れ、エーテル系溶媒との分離が容易であることから、アルカリ金属がナトリウム原子またはカリウム原子である塩基化合物、すなわち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが好ましい。また、水に対する高い溶解度を示し、所望の反応が円滑に進行するため、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが特に好ましく、水酸化カリウムがさらに好ましい。これらのアルカリ金属塩基は単独で用いてもよいし、複数種類を併用してもよい。HFTBアルカリ金属塩(3)における一般式(3)中のYは、第1工程で用いるアルカリ金属塩基のアルカリ金属原子に由来する。
第1工程におけるアルカリ金属塩基の使用量は、第一混合物中に含まれるHFTBがHFTBアルカリ金属塩(3)に変換されれば、特に限定されない。アルカリ金属塩基の使用量は、基本的には、第一混合物中に含まれるHFTB1当量に対して1当量であるが、0.1当量以上10当量以下であってもよく、0.9当量以上2当量以下が好ましく、1.0当量以上1.5当量以下が特に好ましい。0.1当量未満の場合、目的物の収率が低下することがあり、10当量を越える場合、反応に関与しないアルカリ金属塩基が多くなるため反応後の後処理が煩雑となることがあり、経済的にも無駄となる。アルカリ金属塩基の使用量をモル換算で表すと、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属水素化物のような1個のアルカリ金属原子を構成成分として含むアルカリ金属塩基の場合には、HFTB1モルに対して0.1モル以上10モル以下であってもよく、0.9モル以上2モル以下が好ましく、1.0モル以上1.5モル以下が特に好ましい。アルカリ金属炭酸塩のような2個のアルカリ金属原子を構成成分として含むアルカリ金属塩基の場合には、HFTB1モルに対して0.05モル以上5モル以下であってもよく、0.45モル以上1モル以下が好ましく、0.50モル以上0.75モル以下が特に好ましい。
第1工程に用いるアルカリ金属塩基は、第一混合物と直接接触させることができるが、反応効率の観点から、アルカリ金属塩基の水溶液として第一混合物と接触させることが好ましい。このときの前記アルカリ金属塩基の水溶液中のアルカリ金属塩基の濃度は特に限定されない。反応効率、反応後の後処理、経済的な観点から、30質量%以上50質量%以下が好ましい。
第1工程ではさらに反応溶媒を用いてもよい。反応溶媒を用いる場合、その種類は、用いる反応原料、目的物が可溶であり、所望の反応を阻害しないものであれば特に限定されない。具体的にはジオキサンなどの環式エーテル類や、ジイソプロピルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどの鎖状エーテル類や、キシレン、トルエンなどの芳香族系溶媒、フロン、代替フロン、パーフルオロ化合物などのフッ素系溶剤などが使用可能である。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
第1工程において反応溶媒を使用する場合、その使用量は、第1混合物中に含まれるHFTBに対して1質量%以上1000質量%以下であればよい。中でも30質量%以上500質量%以下が好ましく、50質量%以上200質量%以下が特に好ましい。
第1工程における反応温度は、−78℃以上+80℃以下であればよい。中でも−20℃以上+50℃以下が好ましく、0℃以上30℃以下が特に好ましい。
第1工程は、バッチ型反応だけでなく、フロー型反応で行うこともできる。
第1工程で得られる第二混合物には、HFTBアルカリ金属塩(3)の他に、第一混合物中に含まれていたエーテル系溶媒も含まれる。その他に未反応原料、前記反応溶媒などが含まれることがある。
第1工程で得られた第二混合物は、特別な処理をすることなくそのまま第2工程に供することができる。
<第2工程>
次に、第1工程で得られた第二混合物からエーテル系溶媒を分離する工程(「第2工程」という。)について説明する。
第二混合物からエーテル系溶媒を分離する方法は、特に限定されない。例えば、蒸留などの一般的な分離操作を採用することができる。分離後の第二混合物には、完全に分離することができなかったエーテル系溶媒が含まれることもあるが、前記分離後の第二混合物に含まれるエーテル系溶媒の残存量は、前記分離後の第二混合物に含まれるHFTBアルカリ金属塩(3)に対して5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
第2工程におけるエーテル系溶媒の分離は、蒸留により行うことが好ましい。蒸留を行う場合の操作温度は、操作圧力に依存するが、下限としては通常0℃以上であればよく、10℃以上が好ましく、30℃以上が特に好ましい。上限としては通常80℃以下であればよく、HFTBアルカリ金属塩(3)からHFTBが放出され難いことから、50℃以下が好ましい。これらの中でも、10℃以上50℃以下が好ましく、30℃以上50℃以下が特に好ましい。また、この蒸留操作における圧力は、1kPa以上80kPa以下であればよい。中でも1kPa以上40kPa以下が好ましく、1kPa以上5kPa以下が特に好ましい。このような温度範囲であり、かつ、このような圧力範囲で蒸留を行うことで、エーテル系溶媒を効率的に第二混合物から分離することができ、続く第3工程を経ることで、効率的にHFTBを得ることができる。
前記蒸留操作に用いる蒸留装置は特に限定されない。例えば、エバポレーターや蒸留塔などを用いることができる。蒸留塔の形式は、特に制限されない。充填塔、棚段塔などの一般的に用いられる蒸留塔を用いることができる。さらには棚段部分と充填物の充填された部分とをあわせもつ棚段−充填混合塔方式のものも用いられる。充填塔に充填する充填物としては、たとえばラシヒリング、ポールリング、テラレット(登録商標)等、既存のものを用いることができる。
前記蒸留操作は、連続式で行なうことも、回分式で行なうことも可能である。
第2工程における蒸留操作の好ましい態様の一例を示す。まず、HFTBアルカリ金属塩(3)とエーテル系溶媒を含む混合溶液(第二混合物)を、蒸留装置を備えた容器に投入する。次いで、容器内温度が40℃以上50℃以下となるまで加熱しつつ、圧力が10kPa以上20kPa以下となるまで徐々に減圧し、エーテル系溶媒を混合溶液から留去する。エーテル系溶媒の留去が進むと、混合溶液中からHFTBアルカリ金属塩(3)が析出し、取り扱いづらくなる場合がある。この場合、水を加えることで、析出したHFTBアルカリ金属塩(3)を溶解することができ、取り扱いやすくなる。このとき、水の添加量は特に限定されないが、HFTBアルカリ金属塩(3)の質量に対して50質量%以上1000質量%以下であってもよく、50質量%以上500質量%以下が好ましく、50質量%以上300質量%以下が特に好ましい。最終的に、前記容器内の温度が約50℃、圧力が約2kPaとなるように調節する。蒸留操作の終点は、容器内に残存する混合溶液をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーなどの定量分析により決定する。このときの分析結果として、HFTBアルカリ金属塩(3)の質量に対して前記エーテル系溶媒が5質量%以下、より好ましくは1質量%以下になるまで、蒸留を継続することが好ましい。
<第3工程>
次に、第2工程でエーテル系溶媒を分離した後の第二混合物を酸と接触させて、HFTBを得る工程(「第3工程」という。)について説明する。第3工程では、第2工程後の第二混合物に含まれるHFTBアルカリ金属塩(3)が酸によって中和され、HFTBに変換される。
第3工程で用いる酸は、特に限定されない。具体的に例えば、下記一般式(4)で表されるカルボン酸や、塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸からなる群から選ばれる1種以上の無機酸を用いることが好ましい。
Figure 2015193589
(式中、Rは水素原子または炭素数3〜6の環状、炭素数1〜6の直鎖状もしくは炭素数3〜6の分岐鎖状の炭化水素基を表す。)
このカルボン酸としては、具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸などの直鎖状のカルボン酸や、2−メチルペンタン酸、3−メチルペンタン酸、2,2−ジメチルブタン酸、2,3−ジメチルブタン酸、3,3−ジメチルブタン酸、2−エチルブタン酸、ピバル酸、ヒドロアンゲリカ酸、イソ吉草酸、イソ酪酸などの分岐鎖を有するカルボン酸や、ギ酸などが挙げられる。これらのカルボン酸は公知の方法で合成することができる他、試薬としても容易に入手可能である。中でも、酢酸が特に好ましい。これらのカルボン酸や無機酸は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
第3工程における酸の使用量は、基本的には、第1工程で使用されたアルカリ金属塩基1当量に対して1当量であるが、前記アルカリ金属塩基1モルに対して0.1モル以上2モル以下であってもよく、0.9モル以上2モル以下が好ましく、1.0モル以上1.5モル以下が特に好ましい。0.1モル未満の場合、中和が不十分となり目的物の収率が低下することがあり、2モルを越える場合、反応に関与しない酸が多くなるため中和後の後処理が煩雑となり、経済的にも無駄となる。
第3工程におけるHFTBアルカリ金属塩(3)と酸とを接触させる際の温度は、特に限定されない。0〜100℃であってもよく、0〜50℃が好ましく、0〜30℃が特に好ましい。
第3工程後の後処理は、有機合成における一般的な精製操作を採用することにより、高純度のHFTBを得ることができる。この精製操作としては、例えば、精密蒸留、エバポレータによる留去、単蒸留などが挙げられ、これらの精製操作は組み合わせて行ってもよい。このHFTBには、第1工程、第2工程で用いた反応原料、反応溶媒、副反応生成物などが含まれることがあるが、その場合にはさらに精製操作を施すことで、さらに高純度のHFTBを得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[調製例1](メチル化剤:MeMgCl、溶媒:THF)
2M濃度のMeMgCl/THF溶液198g(0.4モル)を攪拌器、温度計、圧力計、サンプリング管を備えたSUS製1000mL−オートクレーブに投入し、気密を確認した。その後、内温が30℃を超えないように1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロアセトン60g(0.36モル)を導入し、導入終了後室温で1時間反応した。次に攪拌羽根、温度計、滴下漏斗を備えた1000mLの4つ口ガラスフラスコに、酢酸26g(0.44モル)と水200gを混合した。ここに反応液を内温が30℃を超えないように滴下し、滴下終了後30分間攪拌した。分液漏斗に移し、有機層と水層との二層に分離し、有機層を220g得た。得られたTHFを成分として含む有機層を19F−NMRにより定量したところ、この有機層中にHFTBは62g含まれており、粗収率は、導入した1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロアセトンを基準として95%であった。このTHFとHFTBを含む有機相を調製混合物1と呼ぶ。
[調製例2](メチル化剤:メチルリチウム、溶媒:ジエトキシメタン)
2M濃度のMeMgCl/THF溶液198g(0.4モル)の代わりに3M濃度のメチルリチウム/ジエトキシメタン溶液132g(0.4モル)を用いた以外は調製例1と同様の方法によりHFTBを調製した。その結果、ジエトキシメタンを含み、HFTBを58g含む調製混合物2を得た。
[調製例3](メチル化剤:MeMgCl、溶媒:2−MeTHF)
2M濃度のMeMgCl/THF溶液198g(0.4モル)の代わりに2M濃度のMeMgCl/2−MeTHF溶液198g(0.4モル)を用いた以外は調製例1と同様の方法によりHFTBを調製した。その結果、2−MeTHFを含み、HFTBを56g含む調製混合物3を得た。
[調製例4](メチル化剤:メチルリチウム、溶媒:ジメトキシメタン)
2M濃度のMeMgCl/THF溶液198g(0.4モル)の代わりに3M濃度のメチルリチウム/ジメトキシメタン溶液132g(0.4モル)を用いた以外は調製例1と同様の方法によりHFTBを調製した。その結果、ジメトキシメタンを含み、HFTBを57g含む調製混合物4を得た。
[実施例1](HFTBカリウム塩)
ポリテトラフルオロエチレン被覆攪拌子、温度計、滴下漏斗を備えた300mLの4つ口ガラスフラスコに、調製例1で調製した調製混合物1(220g)を移し、内温が30℃を超えないように50質量%水酸化カリウム水溶液[KOH:27g(0.48モル)]を滴下し、滴下終了後30分間攪拌した。この反応液を50℃に加熱し、2kPaまで徐々に減圧を行い、THFが1質量%以下になるまで留去して1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシカリウム(純度73%)を得た。THF留去終了後、内温が30℃を超えないように酢酸29g(0.48モル)を滴下し1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシカリウムを中和した。滴下終了後、120℃まで徐々に加熱し、炊き上がってくる留分(72g)を得た。この留分をガスクロマトグラフィーで分析したところ、目的物であるHFTBが98GC面積%、酢酸が0.1GC面積%、THFが0.5GC面積%、その他の成分が1.4GC面積%であった。また、19F−NMRにより定量したところ、この留分中にHFTBは58g含まれており、粗収率は88%であった。この粗HFTBを精密蒸留し、純度99.9%のHFTBを55g得た。全収率は84%であった。
[実施例2]
酢酸29g(0.48モル)の代わりに硫酸24g(0.24モル)を用いた以外は実施例1と同様の方法で反応を実施した。その結果、純度99.9%のHFTBを50g得た。全収率は76%であった。
[実施例3](HFTBナトリウム塩)
50質量%水酸化カリウム水溶液[KOH:27g(0.48モル)]の代わりに50質量%水酸化ナトリウム水溶液[NaOH:19g(0.48モル)]を用いた以外は実施例1と同様の方法で反応を実施して反応液を得た。この反応液を50℃に加熱し、2kPaまで徐々に減圧を行い、THFが1質量%以下になるまで留去して1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシナトリウム(純度68%)を得た。THF留去終了後、実施例1と同様の方法で中和、精製を行った。その結果、純度99.9%のHFTBを54g得た。全収率は82%であった。
[実施例4](HFTBリチウム塩)
50質量%水酸化カリウム水溶液[KOH:27g(0.48モル)]の代わりに10質量%水酸化リチウム水溶液[LiOH:11g(0.48モル)]を用いた以外は実施例1と同様の方法で反応を実施して反応液を得た。この反応液を50℃に加熱し、2kPaまで徐々に減圧を行い、THFが1質量%以下になるまで留去して1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシリチウム(純度83%)を得た。THF留去終了後、実施例1と同様の方法で中和、精製を行った。その結果、純度99.9%のHFTBを46g得た。全収率は70%であった。
[実施例5]
調製例1で調製した調製混合物1の代わりに、調製例2で調製した調製混合物2を用いた以外は実施例1と同様の方法で反応を実施した。その結果、純度99.9%のHFTBを46g得た。全収率は70%であった。
[比較例1]
調製例1で調製した調製混合物1を理論段数10段で精密蒸留したところ、過剰に含まれるTHF(120g)が蒸気温度66℃で留出した後に、蒸気温度95℃でHFTBとTHFの共沸混合物が留出した(75g)。この留分をガスクロマトグラフィーで分析したところ、目的物であるHFTBが41GC面積%、THFが58GC面積%であった。この時の蒸留釜中の液体を同様にして分析したところ、HFTBが41GC面積%、THFが58GC面積%であった。これらの組成は留出終了まで変化がなく、高純度のHFTBを得ることは出来なかった。
[比較例2]
調製例1で調製した調製混合物1の代わりに、調製例2で調製した調製混合物2を用いた以外は、比較例1と同様の操作により精密蒸留を行った。その結果、共沸混合物が蒸気温度94℃で留出した。この留分をガスクロマトグラフィーで分析したところ、目的物であるHFTBが29GC面積%、ジエトキシメタンが70GC面積%であった。この時の蒸留釜中の液体を同様にして分析したところ、HFTBが29GC面積%、ジエトキシメタンが70GC面積%であった。これらの組成は留出終了まで変化がなく、高純度のHFTBを得ることは出来なかった。
[比較例3]
調製例1で調製した調製混合物1の代わりに、調製例3で調製した調製混合物3を用いた以外は、比較例1と同様の操作により精密蒸留を行った。その結果、共沸混合物が蒸気温度99℃で留出した。この留分をガスクロマトグラフィーで分析したところ、目的物であるHFTBが33GC面積%、2−MeTHFが66GC面積%であった。この時の蒸留釜中の液体を同様にして分析したところ、HFTBが33GC面積%、2−MeTHFが66GC面積%であった。これらの組成は留出終了まで変化がなく、高純度のHFTBを得ることは出来なかった。
[比較例4]
調製例1で調製した調製混合物1の代わりに、調製例4で調製した調製混合物4を用いた以外は、比較例1と同様の操作により精密蒸留を行った。その結果、共沸混合物が蒸気温度78℃で留出した。この留分をガスクロマトグラフィーで分析したところ、目的物であるHFTBが68GC面積%、ジメトキシメタンが31GC面積%であった。この時の蒸留釜中の液体を同様にして分析したところ、HFTBが68GC面積%、ジメトキシメタンが31GC面積%であった。これらの組成は留出終了まで変化がなく、高純度のHFTBを得ることは出来なかった。
[比較例5]
ポリテトラフルオロエチレン被覆攪拌子、温度計、滴下漏斗を備えた300mLの4つ口ガラスフラスコに、調製例1で調製した調製混合物1(220g)を移し、内温が30℃を超えないように0.2質量%水酸化カルシウム水溶液[Ca(OH):13.3g(0.24モル)]を滴下し、滴下終了後30分間攪拌した。この反応液を50℃に加熱し、2kPaまで徐々に減圧を行い、THFおよび水を留去した。留去後の残渣について、試験例1で後述するように、TG−MS分析を行ったが、MS検出、重量減少ともに見られなかった。このことから、ジ(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシ)カルシウムが形成されていないことが推測された。
[試験例1] HFTB金属塩の熱分解温度の測定(TG−MS測定)
Rigaku製TG−DTA−PIMS410/Sを用い、窒素気流下で、試料を5℃/分で20℃から200℃まで昇温した。昇温過程で試料から排出されるガスを質量分析計で分析し、HFTBに特徴的なm/z値である147、113、および63が確認されたときの温度を熱分解温度として求めた。ここで、試料としては、実施例1、実施例3および実施例4で得られた1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシカリウム(純度73%)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシナトリウム(純度68%)および1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシリチウム(純度83%)と、比較例5で得られた残渣を用いた。これらの結果を表1に示す。
Figure 2015193589
表1から、実施例1、実施例3および実施例4で得られた1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシカリウム、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシナトリウムおよび1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシリチウムの熱分解温度は、いずれもHFTBの沸点(62℃)よりも高く、熱に対する安定性に優れることがわかった。中でも、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシカリウムおよび1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシナトリウムは熱に対する安定性に特に優れることがわかった。

Claims (14)

  1. 以下の第1工程乃至第3工程を少なくとも含むことを特徴とする、式(1):
    Figure 2015193589
    で表される1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブタノールを製造する方法。
    第1工程:
    式(1)で表される1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブタノールと、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエトキシメタンおよびジメトキシメタンからなる群から選ばれる1種以上のエーテル系溶媒とを少なくとも含む第一混合物を
    アルカリ金属塩基と接触させて、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシアルカリ金属塩と該エーテル系溶媒とを少なくとも含む第二混合物を得る工程。
    第2工程:
    第1工程で得た第二混合物から前記エーテル系溶媒を分離する工程。
    第3工程:
    第2工程後の第二混合物を酸と接触させて、式(1)で表される1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブタノールを得る工程。
  2. 1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシアルカリ金属塩が、一般式(3):
    Figure 2015193589
    (式中、Yはアルカリ金属原子を表す。)
    で表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 一般式(3)中のYがリチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 一般式(3)中のYがナトリウム原子またはカリウム原子であることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の方法。
  5. 前記アルカリ金属塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属水素化物およびアルカリ金属炭酸塩からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  6. 前記アルカリ金属塩基が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 前記アルカリ金属塩基が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであることを特徴とする、請求項5または請求項6に記載の方法。
  8. 前記第2工程後の第二混合物に含まれるエーテル系溶媒の残存量が、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブトキシアルカリ金属塩に対して5質量%以下であることを特徴とする、請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の方法。
  9. 前記第2工程を、10℃以上50℃以下の温度での第二混合物の蒸留により行うことを特徴とする、請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の方法。
  10. 前記第2工程を、1kPa以上5kPa以下の圧力での第二混合物の蒸留により行うことを特徴とする、請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載の方法。
  11. 前記第3工程において、使用される酸が一般式(4):
    Figure 2015193589
    (式中、Rは、水素原子または炭素数1〜6の環状、鎖状もしくは分岐鎖状の炭化水素基を表す。)
    で表されるカルボン酸、
    または、塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸からなる群から選ばれる1種以上の無機酸であることを特徴とする、請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載の方法。
  12. がメチル基であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  13. 第3工程で得た1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブタノールをさらに精製することを特徴とする、請求項1乃至請求項12の何れか一項に記載の方法。
  14. 前記第一混合物として、
    前記エーテル系溶媒存在下、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロアセトンと、メチルマグネシウムハロゲン化物またはメチルリチウムとを反応させて反応溶液を得て、次いで、該反応溶液を酸と接触させて得られる反応混合物、
    を用いることを特徴とする、請求項1乃至請求項13の何れか一項に記載の方法。
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