JPH1160522A - エステル含有溶媒溶液の精製方法 - Google Patents

エステル含有溶媒溶液の精製方法

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JPH1160522A
JPH1160522A JP22391697A JP22391697A JPH1160522A JP H1160522 A JPH1160522 A JP H1160522A JP 22391697 A JP22391697 A JP 22391697A JP 22391697 A JP22391697 A JP 22391697A JP H1160522 A JPH1160522 A JP H1160522A
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JP
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lower alcohol
alkali
ester
purified
distillation column
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JP22391697A
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English (en)
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Koji Kamei
宏二 亀井
Seiji Tamaoki
清二 玉置
Shinobu Hiramatsu
忍 平松
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Kao Corp
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Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エステル類を含有する低級アルコールをアル
カリ処理を用いて精製するに際し、水およびスチームを
何れも使用せずに、1段階の処理で高純度の低級アルコ
ールを回収することのできる、設備的、経済的に優れた
精製方法の提供。 【解決手段】 導管1から連続多段式蒸留塔2のボトム
へと、精製すべき低級アルコールに溶解させたアルカリ
溶液を供給する。エステル類を含有する粗低級アルコー
ルは、導管3から蒸留塔2のボトムへと、一定の滞留時
間を持つ流量で供給する。低級アルコールは蒸留塔の塔
頂部からの留出液として、エステル類を含有しない純度
の高い低級アルコールに精製され、一部は熱交換器4を
経て蒸留塔2へと還流され、残部は連続的に回収され
る。アルカリ処理により生じたボトムの沈殿物は、運転
終了後に塔底液と共に排出される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工業的に用いられ
る溶媒の精製方法に関するものである。更に詳しくは、
エステル類を含有する炭素数1から3の低級アルコール
の精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】低級アルコールは、各種化学物質の反応
溶媒あるいは重合溶媒として、工業的に幅広く使用され
ている。従ってその回収および精製方法は、工業的に重
要な技術の一つである。特に、低沸点の物質や共沸組成
にある物質は、通常の蒸留操作で分離精製することは難
しく、より純度を上げる精製技術の開発が切望されてい
る。このような背景のもとに、アルカリを使った精製方
法が種々報告されており、例えば蒸留塔に直接アルカリ
を添加しアルコール類を精製する方法として、特開昭61
−74568号公報に記載された技術が知られている。この
技術は、濃縮塔にアルカリ水溶液を添加することによ
り、エタノール含有液中の高沸点又は低沸点不純物を沈
澱除去することを内容としている。
【0003】しかしながら、この方法ではアルカリと低
沸点又は高沸点不純物との反応は行われるものの、スチ
ームや50重量%以下のアルカリ水溶液が精製すべきエタ
ノール以外の物質として系内に連続供給されるために、
高純度のエタノールを回収するには、第2処理工程とし
てエタノールと水の分離を行うための脱水塔を設置する
必要がある。そのため設備上のスペースの問題が生じ、
またエネルギー損失も大きくなるため経済性を損なうと
いった問題を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、アルカ
リ処理を行う従来の精製法には、反応の媒体として水あ
るいはスチームを必要とするため、不純物との加水分解
反応等を行った後にエタノールを精製しなければなら
ず、操作が2段階以上となり精製プロセスが複雑になる
という問題があった。そこで本発明は、製造プロセスよ
り回収されるエステル類を含有する低級アルコールをア
ルカリ処理を用いて精製するに際し、水およびスチーム
の何れも使用せずに、1段階の処理で高純度の低級アル
コールを回収することのできる、設備的、経済的に優れ
た精製方法を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、エステル
類を含有する低級アルコールの精製方法について鋭意研
究を重ねた結果、アルカリ処理と蒸留操作を同時に行
い、しかも固体アルカリを直接低級アルコールに溶解さ
せて非水系で反応させることによっても、不純物である
エステル類を沈殿させて低級アルコールと分離すること
が可能であり、なおかつ脱水などの第2処理工程の必要
性を排除できることを見い出し、本発明を完成させた。
【0006】即ち、本発明の要旨は、エステル類を含有
する炭素数1から3の低級アルコール溶液をアルカリの
存在下、非水系で蒸留し、低級アルコールを回収するこ
とにある。本発明においては、不純物であるエステル類
がアルカリと反応し、対応するアルコールと酸塩が生成
し、アルコールは回収され、酸塩は蒸留塔の塔底部(ボ
トム)から排出される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明におけるエステル類として
は、総炭素数が3から10のものが挙げられる。総炭素数
が3から10のエステル類は、蒸気圧が低級アルコールと
同様に高いこと、また低級アルコールと共沸することが
多いこと等の理由により、エステル類と低級アルコール
の蒸留分離は困難であり、本発明が特に好適に適用され
る。例えばアクリル酸エステル類、具体的にはアクリル
酸メチル、アクリル酸エチル等が挙げられ、或いはメタ
クリル酸エステル類、具体的にはメタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル等が挙げられる。また、酢酸エステ
ル類、具体的には酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピ
ル等も挙げられる。
【0008】回収される溶媒としては、炭素数1から3
の低級アルコール、即ちメタノール、エタノール、ノル
マルプロパノール、イソプロパノールが挙げられる。不
純物であるエステル類と溶媒であるアルコールとの組み
合わせとしては、R'OHで表されるアルコールとRCOOR'で
表されるエステル類の組み合わせが適宜選ばれる。例え
ばエタノールとアクリル酸エチルといった具合である。
これは、アルカリとエステル類との反応により生じるア
ルコールがR'OHになり、分離精製する必要がないからで
ある。
【0009】アルカリとしては、例えばアルカリ金属あ
るいはアルカリ土類金属の水酸化物、具体的には水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が例
示される。特に低級アルコールヘの溶解性が良いことか
らは、水酸化カリウムが好ましく、エステル類との反応
性が良いことからは水酸化ナトリウムが好ましい。
【0010】本発明における蒸留方法は特に限定される
ものではない。バッチ式あるいは連続式の何れでもよ
く、単蒸留あるいは多段蒸留の何れでもよい。工業的に
精製を行おうとする場合は、効率的に処理ができ純度を
上げられるという観点から、連続多段式の蒸留操作が好
ましい。アルカリを添加する位置は特に限定されるもの
ではないが、アルカリが不純物であるエステル類と反応
して沈殿物を生成すること、および運転後の蒸留残渣の
抜き出しや濃縮塔内の充填物に対する付着、堆積、閉塞
等を考慮すれば、蒸留塔のボトムに添加するのが好まし
い。添加方法としては、精製すべき低級アルコールにア
ルカリを溶解させたアルカリ溶液をエステル類を含む低
級アルコールに対して添加してもよく、或いはまた精製
すべきアルコールに対してアルカリを予め溶解させて蒸
留操作を行ってもよい。またアルカリは低級アルコール
に対して、好ましくはその蒸留温度における飽和溶解度
以下、さらに好ましくはその飽和溶解度の1/2以下と
なる量で添加されるのがよい。飽和溶解度を越えて添加
した場合は、溶解しきれないアルカリが析出物としてボ
トム内壁への付着を起こし、洗浄を行う必要性が生じう
る。またアルカリは、エステル類と反応する反応当量以
上の量で存在させることが好ましい。
【0011】本発明の方法の一例を、図面により具体的
に説明する。図1に示すように、導管(1)から連続多
段式蒸留塔(2)のボトムへと、精製すべき低級アルコ
ールに溶解させたアルカリ溶液を供給する。この場合、
アルカリの濃度は上記のように、蒸留を行うボトムの温
度における飽和溶解度以下でありエステル類との反応当
量以上の濃度となるように調整される。ボトム温度は溶
媒の種類やアルカリの添加量、蒸留圧力等により適宜設
定する。エステル類を含有する低級アルコールは、導管
(3)から連続多段式蒸留塔(2)のボトムへと、一定
の滞留時間を持つ流量で供給される。ここで一定の滞留
時間とは、エステル類とアルカリとを反応させるのに必
要な時間を意味し、低級アルコール中に含まれるエステ
ル類の濃度と連続多段式蒸留塔(2)のボトムにおける
アルカリ濃度によって決定される。低級アルコールは蒸
留塔の塔頂部からの留出液として、エステル類を含有し
ない純度の高い低級アルコールに精製され、その一部は
熱交換器(4)を経て連続多段式蒸留塔(2)へと還流
され、残部は連続的に回収される。一方、アルカリ処理
により生じたボトムの沈殿物は、塔底液と共に排出され
る。
【0012】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるもので
はない。
【0013】実施例1 塔径20mmφ、塔高1100mm(充填物:住友重機械工業
(株)製のスルーザー・パッキング(BX)20エレメン
ト)、ボトムは容量500mlの梨型フラスコ、熱源はマン
トルヒーターを有する蒸留装置を用い、溶媒であるエタ
ノールに不純物としてアクリル酸エチルを100ppm添加し
た粗アルコールに固体KOHを溶解させ、かくして水酸化
カリウムの存在下にボトムに粗エタノール溶液を連続供
給しながら連続蒸留を行った。精製条件としては、常圧
下、還流比1、蒸留開始時のボトムにおけるアルカリ濃
度1%(エタノール297g、KOH 3g)、平均滞留時間
τ=110min(粗アルコール供給量2.73g/min)の条件
とした。ボトム温度は81℃、塔頂の温度すなわちトップ
温度は80℃であり、精製留分中のアクリル酸エチル濃度
は高速液体クロマトグラフ法により定量した。使用した
カラムは(株)ワイエムシィ製のYMC-Pack ODS-AQ, AQ3
02, AQ12S05-1546WT, 150×4.6mml.D.、検出器はUV検
出器(210nm,)、移動相は45/55=メタノール/水(vo
l%)、流速1.0ml/min、注入量20μlという測定条件に
て行った。また、同時に精製留分中の水分濃度もカール
フィッシャー法にて定量した。
【0014】実施例2 アルカリの種類としてNaOHを用いた以外は、実施例1と
同様の条件にてボトムフィードの連続蒸留を行い、精製
留分中のアクリル酸エチルと水分を定量した。
【0015】実施例3 アルカリの種類としてCa(OH)2を用いた以外は、実施例
1と同様の条件にてボトムフィードの連続蒸留を行い、
精製留分中のアクリル酸エチルと水分を定量した。
【0016】実施例4 不純物として酢酸エチルを用いた以外は、実施例1と同
様の条件にてボトムフィードの連続蒸留を行い、精製留
分中の酢酸エチルと水分を定量した。
【0017】実施例5 不純物としてアクリル酸メチル、溶媒としてメタノール
を用い、ボトム温度としては66℃、トップ温度としては
65℃の運転条件とした以外は、実施例1と同様の条件に
てボトムフィードの連続蒸留を行い、精製留分中のアク
リル酸メチルと水分を定量した。
【0018】比較例1 実施例1の操作条件において、アルカリを用いないでボ
トムフィードの連続蒸留を行い、精製留分中のアクリル
酸エチルを定量した。
【0019】比較例2 実施例1の操作条件において、固体アルカりではなし
に、30%水酸化カリウム水溶液10gと粗エタノール290
gを混合したものを供給してボトムにおけるアルカリ濃
度を1%とした。それ以外は実施例1と同様の条件にて
ボトムフィードの連続蒸留を行い、精製留分中のアクリ
ル酸エチルと水分を定量した。
【0020】連続処理による精製アルコール中のエステ
ルの濃度を、平均滞留時間τをパラメーターとしてプロ
ットした結果を図2に示す。また図3に、やはり平均滞
留時間τをパラメーターとして精製アルコール中の水分
量をプロットした結果を示す。アルカリを用いない比較
例1に対して、実施例1〜5においては、精製アルコー
ル中のエステルはごく僅かに検出されるのみであり、十
分に分離精製されていることがわかる。また図3におい
て見られるように、30%水酸化カリウム水溶液を用いた
比較例2に対して、実施例1〜5の場合には初留から水
分はほとんど検出されない。従って初留カットによる収
率の低下を招くことはなく、また脱水塔を設置する等の
設備の増設の必要もない。
【0021】
【発明の効果】本発明の方法に従うと、エステル類を含
有する低級アルコールから高純度の低級アルコールを高
収率で回収できる。またエステル類をアルカリで反応
(分解)させることにより、対応するアルコールを回収
できる。さらに非水系であることから、従来法の欠点で
あった複雑な精製プロセスが簡略化され、設備的にも、
また経済的にも優れた精製方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の精製方法を実施するための蒸留設備の
一例を示す概略図である。
【図2】精製物中の不純物の濃度を、平均滞留時間τを
パラメーターとしてプロットしたグラフである。
【図3】精製物中の水分量を、平均滞留時間τをパラメ
ーターとしてプロットしたグラフである。
【符号の説明】
1 導管 2 蒸留塔 3 導管 4 熱交換器

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エステル類を含有する炭素数1から3の
    低級アルコール溶液をアルカリの存在下、非水系で蒸留
    し、低級アルコールを回収することを特徴とする精製方
    法。
  2. 【請求項2】 エステル類の総炭素数が3から10であ
    る、請求項1の精製方法。
  3. 【請求項3】 エステル類がアクリル酸エステル類、メ
    タクリル酸エステル類、又は酢酸エステル類である、請
    求項1又は2の精製方法。
  4. 【請求項4】 エステル類がアクリル酸エステルであ
    る、請求項1から3の何れか1の精製方法。
  5. 【請求項5】 アクリル酸エステルがアクリル酸エチル
    であり、低級アルコールがエタノールである、請求項4
    の精製方法。
  6. 【請求項6】 アルカリがアルカリ金属の水酸化物であ
    る、請求項1から5の何れか1の精製方法。
JP22391697A 1997-08-20 1997-08-20 エステル含有溶媒溶液の精製方法 Pending JPH1160522A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015146553A1 (ja) * 2014-03-26 2015-10-01 セントラル硝子株式会社 1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-tert-ブタノールの製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015146553A1 (ja) * 2014-03-26 2015-10-01 セントラル硝子株式会社 1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-tert-ブタノールの製造方法

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