以下に説明される本開示に係る実施形態は本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
[詰替え用包装袋(内容物充填前)の構成]
まず、図1〜図3を参照して、内容物が充填される前の詰替え用包装袋1の構成について説明する。以下では、内容物が充填される前の詰替え用包装袋1を詰替え用袋1Aと呼ぶことがある。内容物が充填された後の詰替え用包装袋1を袋詰め製品1Bと呼ぶことがある。
詰替え用袋1Aは、表積層シート2と、裏積層シート3と、底テープ4と、シール部Sとを備える。各シート2,3及び底テープ4はそれぞれ、可撓性を有し、略矩形状を呈する。各シート2,3及び底テープ4の厚みは、例えば、50μm〜200μm程度であってもよい。
各シート2,3及び底テープ4はそれぞれ、例えば図2の(a)に示されるように、基材層51と、印刷層52と、接着層53と、シーラント層54とを含んでいてもよい。基材層51、印刷層52、接着層53及びシーラント層54は、詰替え用袋1Aの外側から内側に向けてこの順に積層されている。各シート2,3及び底テープ4はそれぞれ、表面に印刷層52が形成された基材層51と、シーラント層54とが、接着層53によって接着されることにより構成される。
基材層51としては、例えば、プラスチックフィルム、紙、不織布などを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。プラスチックフィルムが所定の機械的強度や寸法安定性を発現するのであれば、その材料、材質、製造方法等について特に限定されない。例えば、プラスチックフィルムが二軸延伸されたフィルムからなるものであってもよい。プラスチックフィルムの表面にアルミニウム等の金属の蒸着層が形成されていてもよい。紙としては、例えば、上質紙、片アート紙、コート紙、キャストコート紙、模造紙などが挙げられる。紙が有する機械的強度や製袋適正に基づいて、基材層51に用いる紙を適宜決めてもよい。
印刷層52は、袋詰め製品1Bの商品名等を表示するために、インキを用いて印刷された層である。インキは、バインダー樹脂(例えば、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系など)に、例えば、各種顔料、体質顔料、及び添加剤(例えば、可塑剤、乾燥剤、安定剤など)が添加されてなる。印刷方法としては、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷などの公知の印刷方法が挙げられる。基材層51に印刷層52を形成する前に、基材層51の表面を前処理(例えば、コロナ処理、オゾン処理など)してもよい。これにより、基材層51の表面に対する印刷層52の密着性が向上する。なお、基材層51の表面に印刷層52を形成しなくてもよい。
接着層53は、印刷層52を介して基材層51とシーラント層54とを接着するための層である。接着層53は、例えば、接着剤を基材層51(印刷層52)上に層状に塗布してなるものであってもよい。接着剤としては、例えばドライラミネート用接着剤を用いてもよい。接着剤の種類としては、例えば、二液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、エポキシ系接着剤などが挙げられる。接着剤としてドライラミネート用接着剤を用いる場合には、2つの層をドライラミネート法にて貼り合わせてもよい。
シーラント層54は、熱により溶融して他のシートに融着するように構成されている。すなわち、シーラント層54は、ヒートシール可能に構成されている。シーラント層54は、例えば、ポリオレフィン系樹脂により構成されていてもよい。ポリオレフィン系樹脂として、具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EAA)、アイオノマー、ポリプロピレンなどが挙げられる。シーラント層54の材料として上記の樹脂が用いられる場合には、上記の樹脂が押出機によって膜状に成形させることでシーラント層54が構成される。シーラント層54は、単層であってもよいし、複層であってもよい。
別の例として、各シート2,3及び底テープ4はそれぞれ、図2の(b)に示されるように、基材層51と、印刷層52と、接着層53と、シーラント層54と、中間層55とを含んでいてもよい。基材層51、印刷層52、接着層53、中間層55、接着層53及びシーラント層54は、詰替え用袋1Aの外側から内側に向けてこの順に積層されている。各シート2,3及び底テープ4はそれぞれ、表面に印刷層52が形成された基材層51と中間層55とが一の接着層53によって接着されると共に、中間層55とシーラント層54とが他の接着層53によって接着されることにより構成される。
中間層55は、例えば、各シート2,3及び底テープ4の諸物性を向上させる目的で配置される。諸物性とは、例えば、剛性、落下強度、突き刺し強度、気体(例えば、水蒸気、酸素ガスなど)のバリア性、美粧性などが挙げられる。剛性、落下強度、突き刺し強度等を向上させる場合、中間層55を、例えば、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルムなどにより構成してもよい。水蒸気のバリア性を向上させる場合、中間層55を、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム、無機酸化物蒸着ポリエステルフィルムなどにより構成してもよい。無機酸化物は、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシュウム、酸化カリウム、酸化錫、酸化ナトリウム、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化イットリウムなどの金属の酸化物であってもよい。このうち、生産性及び価格を考慮して、無機酸化物として酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどを選択してもよい。美粧性を向上させる場合、中間層55を、例えば、アルミニウム蒸着層を有したポリエステルフィルムなどで構成してもよい。
表積層シート2と裏積層シート3とは、互いに略鏡像対称の関係にある。そのため、以下では、主として表積層シート2の形状について説明し、裏積層シート3の形状の説明を省略する。
図1に戻って、表積層シート2は、上縁2Tと、下縁2Bと、右側縁2Rと、左側縁2Lとを有する。なお、「上」、「下」、「左」及び「右」の各語は、図1の上下左右の各方向に対応している。
上縁2Tと下縁2Bとは共に、左右方向に沿って延びている。上縁2Tと下縁2Bとは、上下方向において互いに対向している。右側縁2Rと左側縁2Lとは共に、上下方向に沿って延びている。右側縁2Rと左側縁2Lとは、左右方向において互いに対向している。上縁2Tと右側縁2Rとが交差する領域は、表積層シート2の右上隅部2urをなしている。上縁2Tと左側縁2Lとが交差する領域は、表積層シート2の左上隅部2ulをなしている。下縁2Bと右側縁2Rとが交差する領域は、表積層シート2の右下隅部2lrをなしている。下縁2Bと左側縁2Lとが交差する領域は、表積層シート2の左下隅部2llをなしている。右上隅部2urと左下隅部2llとは互いに対角の関係にある。左上隅部2ulと右下隅部2lrとは互いに対角の関係にある。
上縁2Tのうち左上隅部2ulの近傍には、下縁2Bに向けて窪む凹部2Taが形成されている。凹部2Taは、一対の側辺2Ta1,2Ta2と、底辺2Ta3とを含む。側辺2Ta1は、凹部2Taの開口側において側辺2Ta2側に向けて突出している。側辺2Ta2は、底辺2Ta3側において側辺2Ta1側に向けて突出している。そのため、側辺2Ta1と底辺2Ta3との交差部に位置する凹部2Taの一の角部2Ta4は、左右方向において外側に向けて(左側縁2Lに向けて)張り出している。角部2Ta4は、左側縁2L側に向けて突出しており、後述する注出口部8を開封するための開封手段として機能する。側辺2Ta2と底辺2Ta3との交差部である凹部2Taの他の角部は、左右方向において外側に向けて(右側縁2Rに向けて)張り出している。
左側縁2Lのうち左上隅部2ulの近傍には、右側縁2Rに向けて窪む凹部2Laが形成されている。凹部2Laは、湾曲した弧状を呈している。凹部2Laは、第1及び第2の辺2La1,2La2とを含む。第1の辺2La1は、左上隅部2ulの先端近傍から凹部2Laの頂点(凹部2Laの曲率が略0となる点)に至るまで延びている。第2の辺2La2は、凹部2Laの頂点から左下隅部2llに向けて延びている。第2の辺2La2の長さは、第1の辺2La1の長さよりも小さくなるように設定されている。第2の辺2La2の曲率は、第1の辺2La1の曲率よりも大きくなるように設定されている。
表積層シート2と裏積層シート3とは、互いのシーラント層54同士が向かい合うように重ね合わされている。底テープ4は、左右方向に延びる仮想直線に沿って二つ折りにされた状態で、各シート2,3の下方において各シート2,3の間に挿入されている。底テープ4が二つ折りにされた状態において、底テープ4のシーラント層54は外側を向いている。そのため、底テープ4のシーラント層54は、表積層シート2のシーラント層54と、裏積層シート3のシーラント層54とにそれぞれ対向している。
シール部Sは、各シート2,3及び底テープ4のうち対向するシーラント層54同士がヒートシールされてなる熱融着層である。詰替え用袋1Aにおいて、シール部Sは、底シール部5と、左側の側シール部6と、右側の側シール部6´と、注出口シール部15と、広幅シール部12とを含む。
底シール部5は、詰替え用袋1Aの下部に構成されている。底シール部5は、表積層シート2と底テープ4との間に構成された第1の部分と、裏積層シート3と底テープ4との間に構成された第2の部分とを有する。
底シール部5の第1の部分は、表積層シート2のシーラント層54と、二つ折りにされた底テープ4のうち表積層シート2に対向する側のシーラント層54とが、所定の領域S1においてヒートシールされることにより構成されている。領域S1は、下縁2Bと、左側の側シール部6の内縁6aと、右側の側シール部6´の内縁6´aと、底シール部5の内縁5aとによって画定される。内縁5aは、左右方向における中央が下縁2Bに向けて膨らむ弧状を呈する。そのため、領域S1は、左側縁2L側から左右方向の中央に近づくにつれて上下方向の幅が小さくなり、左右方向の中央から右側縁2R側に近づくにつれて上下方向の幅が大きくなる。底シール部5の第2の部分は、裏積層シート3のシーラント層54と、二つ折りにされた底テープ4のうち裏積層シート3に対向する側のシーラント層54とが、領域S1と同様の所定の領域においてヒートシールされることにより構成されている。
左側の側シール部6は、所定の幅を有し、左側縁2Lに沿って左下隅部2llから注出口シール部15に至るまで延びている。左側の側シール部6は、表積層シート2と底テープ4との間に構成された第1の部分と、裏積層シート3と底テープ4との間に構成された第2の部分と、表積層シート2と裏積層シート3との間に構成された第3の部分とを有する。
左側の側シール部6の第1の部分は、表積層シート2のシーラント層54と、二つ折りにされた底テープ4のうち表積層シート2に対向する側のシーラント層54とが、左側縁2Lの近傍においてヒートシールされることにより構成されている。左側の側シール部6の第1の部分は、底シール部5の第1の部分と連続している。左側の側シール部6の第2の部分は、裏積層シート3のシーラント層54と、二つ折りにされた底テープ4のうち裏積層シート3に対向する側のシーラント層54とが、左側縁2Lの近傍においてヒートシールされることにより構成されている。左側の側シール部6の第2の部分は、底シール部5の第2の部分と連続している。左側の側シール部6の第3の部分は、表積層シート2のシーラント層54と裏積層シート3のシーラント層54とが、左側縁2Lの近傍においてヒートシールされることにより構成されている。
右側の側シール部6´は、所定の幅を有し、右側縁2Rに沿って右下隅部2lrから右上隅部2urに至るまで延びている。右側の側シール部6´は、表積層シート2と底テープ4との間に構成された第1の部分と、裏積層シート3と底テープ4との間に構成された第2の部分と、表積層シート2と裏積層シート3との間に構成された第3の部分とを有する。
右側の側シール部6´の第1の部分は、表積層シート2のシーラント層54と、二つ折りにされた底テープ4のうち表積層シート2に対向する側のシーラント層54とが、右側縁2Rの近傍においてヒートシールされることにより構成されている。右側の側シール部6´の第1の部分は、底シール部5の第1の部分と連続している。右側の側シール部6´の第2の部分は、裏積層シート3のシーラント層54と、二つ折りにされた底テープ4のうち裏積層シート3に対向する側のシーラント層54とが、右側縁2Rの近傍においてヒートシールされることにより構成されている。右側の側シール部6´の第2の部分は、底シール部5の第2の部分と連続している。右側の側シール部6´の第3の部分は、表積層シート2のシーラント層54と裏積層シート3のシーラント層54とが、右側縁2Rの近傍においてヒートシールされることにより構成されている。
注出口シール部15は、先端シール部9と、上側シール部10と、下側シール部11とを有する。先端シール部9は、左上隅部2ulの外縁に沿って、凹部2Laの頂点近傍から凹部2Ta近傍に至るまで延びている。そのため、先端シール部9は、略C字形状を呈している。先端シール部9には、開封手段としての切欠きであって、凹部2Taの角部2Ta4が設けられている。上側シール部10は、凹部2Taの外縁に沿って、先端シール部9から連続して凹部2Ta近傍から上縁2Tに至るまで延びている。そのため、上側シール部10は、略L字形状を呈している。下側シール部11は、凹部2Laの外縁に沿って、先端シール部9から連続して凹部2Laの頂点近傍から広幅シール部12に至るまで延びている。
各シート2,3のうち注出口シール部15で囲まれた部分は、左上隅部2ulに向かうにつれて細くなる先細り形状(左上隅部2ulから右下隅部2lr側に向かうにつれて広くなる三角形状)を呈しており、袋詰め製品1B内に収容された内容物を外部に注出するための注出口部8として機能する。換言すれば、注出口シール部15(先端シール部9、上側シール部10及び下側シール部11)は、注出口部8周りに延びるように形成されている。特に、先端シール部9は、注出口部8の先端部周りに延びるように形成されている。
広幅シール部12は、下側シール部11及び左側の側シール部6とそれぞれ連続している。そのため、広幅シール部12は、上下方向において注出口部8寄り(左側縁2Lの中央近傍よりも左上隅部2ul寄り)に位置している。広幅シール部12は、左側の側シール部6よりも内側(右側縁2R側)に向けて膨らんでいる。広幅シール部12の頂点、すなわち広幅シール部12のうち最も内側に膨らんだ最大幅の位置13は、凹部2Laよりも下方に位置している。広幅シール部12の頂点(広幅シール部12の最大幅の位置13)における広幅シール部12の内縁の曲率半径は、例えば、5mm〜200mm程度であってもよいし、10mm〜100mm程度であってもよいし、40mm〜80mm程度であってもよい。左側の側シール部6と広幅シール部12の頂点(広幅シール部12の最大幅の位置13)との幅Dは、例えば、5mm〜35mm程度であってもよいし、10mm〜30mm程度であってもよいし、15mm〜25mm程度であってもよいし、15mm〜20mm程度であってもよい。幅Dが5mm以上であると、袋詰め製品1Bから内容物を詰め替える際に注出口部8が下向きとなるようユーザが袋詰め製品1Bを吊り下げた場合に、注出口部8が撓みやすくなり、内容物が注出口部8に誘導されやすい傾向にある。幅Dが35mm以下であると、後述する開口部33が大きく拡がり易い傾向にある。
詰替え用袋1Aにおいて、上縁2Tのうち右側の側シール部6´と上側シール部10との間はシールされていない。そのため、上縁2Tのうち右側の側シール部6´と上側シール部10との間には、開閉可能な開口部OPが形成されている。従って、詰替え用袋1Aにおいて、各シート2,3の周縁全体がシールされてはおらず、シール部Sは各シート2,3の周縁同士が部分的にシールされることにより構成されている。
各シート2,3の注出口部8近傍には、エンボス線30,31(第1及び第2のエンボス線)が形成されている。図3に示されるように、エンボス線30,31は共に、外方に突出している。エンボス線30,31の断面は共に、C字形状を呈している。表積層シート2のエンボス線30と裏積層シート3のエンボス線30とは、互いに対向している。そのため、各エンボス線30同士の間に空間V1が形成されている。表積層シート2のエンボス線31と裏積層シート3のエンボス線31とは、互いに対向している。そのため、各エンボス線31同士の間に空間V2が形成されている。一方、詰替え用袋1Aの状態や、袋詰め製品1Bの内容物が注出口部8に移動していない状態では、エンボス線30とエンボス線31との中間部32において、各シート2,3は近接している。
エンボス線30,31の高さHは、例えば、1mm〜4mm程度であってもよいし、2mm〜3mm程度であってもよいし、2mm程度であってもよい。高さHが1mm以上であると、後述する開口部33が大きく拡がり易い傾向にある。高さHが4mm以下であると、詰替え用袋1Aを出荷する際に多数の詰替え用袋1Aを積み重ねた場合であっても、エンボス線30,31が潰れ難くその形状を保ちやすい傾向にある。エンボス線30,31の幅Wは、例えば、1mm〜10mm程度であってもよいし、2mm〜8mm程度であってもよいし、3mm〜7mm程度であってもよいし、4mm程度であってもよい。幅Wが1mm以上であると、エンボス線30,31を成型しやすい傾向にある。幅Wが10mm以下であると、詰替え用袋1Aを出荷する際に多数の詰替え用袋1Aを積み重ねた場合であっても、エンボス線30,31が潰れ難くその形状を保ちやすい傾向にある。エンボス線30,31に比較的高い剛性を付与する観点から、基材層51としてポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリプロピレン(PP)を用いてもよく、シーラント層54としてポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)を用いてもよく、中間層55としてアルミニウムを用いてもよい。
図1に戻って、エンボス線30は、直線状を呈している。エンボス線30の先端30aは、注出口部8の先端近傍に位置し、注出口部8の先端側に向かっている。エンボス線30の下端30bは、右下隅部2lr側(右側縁2Rの下端側)に向かっている。すなわち、エンボス線30は、注出口部8の先端近傍から右下隅部2lrに向けて直線状に延びている。換言すれば、エンボス線30は、注出口部8の先端と右下隅部2lr(右側縁2Rの下端)とを結ぶ仮想直線VLに沿って延びている。エンボス線30の下端30bは、上下方向において、エンボス線30の先端30aと広幅シール部12の頂点(広幅シール部12の最大幅の位置13)との間に位置している。
エンボス線31は、エンボス線30よりも上側(上縁2T側)に位置している。エンボス線31は、エンボス線30に向けて突出するように湾曲した曲線状に延びている。エンボス線31の先端31aは、注出口部8の先端近傍に位置し、注出口部8の先端側に向かっている。エンボス線31の下端31bは、上縁2T側に向かっている。エンボス線31の頂点(先端31aと下端31bとを結ぶ仮想直線からの直線距離が最も大きくなる点)における曲率半径は、例えば、1mm〜200mm程度であってもよいし、10mm〜100mm程度であってもよいし、30mm〜80mm程度であってもよい。
エンボス線30に直交する方向において、エンボス線30と注出口シール部15及び広幅シール部12との間の長さは、注出口部8の先端側から右下隅部2lr側(右側縁2Rの下端側)に向かうにつれて大きくなるように設定されている。エンボス線30と広幅シール部12及び注出口シール部15のうち左側縁2L側の部分とがなす角αは、例えば、5°〜50°程度であってもよいし、10°〜40°程度であってもよいし、20°〜30°程度であってもよい。エンボス線30に直交する方向において、エンボス線30とエンボス線31との間の長さは、注出口部8の先端側から右下隅部2lr側(右側縁2Rの下端側)に向かうにつれて大きくなるように設定されている。エンボス線30とエンボス線31のうち先端31a側の部分とがなす角βは、例えば、5°〜50°程度であってもよいし、10°〜40°程度であってもよいし、20°〜30°程度であってもよい。エンボス線30に直交する方向において、エンボス線31と注出口シール部15との間の長さは、注出口部8の先端側から右下隅部2lr側(右側縁2Rの下端側)に向かうにつれて大きくなるように設定されている。エンボス線31と注出口シール部15のうち上縁2T側の部分とがなす角γは、例えば、5°〜50°程度であってもよいし、10°〜40°程度であってもよいし、20°〜30°程度であってもよい。
各シート2,3の注出口部8近傍には、注出口部8、注出口シール部15及びエンボス線30,31を横断するように開封誘導線20が形成されている。開封誘導線20は、直線状を呈している。開封誘導線20は、先端シール部9と上側シール部10との境界近傍から、先端シール部9と下側シール部11との境界近傍にかけて、延びている。開封誘導線20は、図2に示されるように、表側の基材層51からシーラント層54に達する溝(ハーフカット溝)であり、各シート2,3を完全には切断していない。注出口部8近傍に形成される開封誘導線20は、1つでもよいし、複数であってもよい。複数の開封誘導線20が注出口部8近傍に形成される場合、各開封誘導線20はそれぞれ略平行に延びていてもよいし、略平行に延びていなくてもよい。開封誘導線20は、例えば、トムソン刃によって形成されてもよいし、レーザ加工によって形成されてもよい。レーザ加工による場合には、より均一なハーフカット溝とすることができる。レーザの種類は、例えば、炭酸ガスレーザが挙げられる。
[詰替え用包装袋(内容物充填後)の製造方法]
続いて、図4及び図5を参照して、袋詰め製品1Bの製造方法を説明する。
まず、所定の大きさのシートを裁断して、所定形状に成形された表積層シート2、裏積層シート3及び底テープ4を得る。次に、各シート2,3のうち注出口部8となる部分に、エンボス線30,31を形成する。エンボス線30,31の形成方法としては、例えば図4に示されるように、各シート2,3の注出口部8となる部分が隣り合うように各シート2,3を並べた状態で、エンボス型が形成されたプレス金型Rを当該部分に押圧し、シート2,3の双方に同時にエンボス線30,31を形成してもよい。
次に、各シート2,3及び底テープ4を重ね合わせて、各シート2,3及び底テープ4の周縁同士を部分的にシールする。具体的には、底シール部5と、左側の側シール部6と、右側の側シール部6´と、注出口シール部15と、広幅シール部12とを形成し、シール部Sを得る。これにより、開口部OPを有する詰替え用袋1Aが形成される。なお、開封誘導線20の加工は、詰替え用袋1Aが形成される前後のどちらで行ってもよい。
次に、詰替え用袋1Aのうちシールされていない部分、すなわち開口部OPから内容物を充填する。内容物は、液状などの流動性を有する流動物である。内容物としては、例えば、日用品(液体洗剤、柔軟剤、薬品、化粧品、パーソナルケア用品(衛生用品)など)、食品(食用油、インスタントコーヒーなど)が挙げられる。
次に、図5に示されるように、上縁2Tのうち右側の側シール部6´と上側シール部10との間をシールし、天シール部7を形成する。すなわち、天シール部7は、上側シール部10の先端(上端)と右側の側シール部6´の先端(上端)との間で連続的に延びている。これにより、詰替え用袋1Aの周縁全体がシールされたシール部Sが得られる。以上により、詰替え用袋1Aの内部に内容物が充填された袋詰め製品1Bが得られる。このとき、各シート2,3の下縁2Bが、詰替え用袋1Aの厚さ方向に底テープ4と共に拡がる。そのため、各シート2,3の下縁2Bによって、略円形状の仮想設置面が形成される。従って、袋詰め製品1Bが自立するので、袋詰め製品1Bが起立した状態で袋詰め製品1Bを陳列及び販売することができる。
天シール部7の内縁と、上側シール部10の内縁の下端部を通り且つ当該内縁に略平行に延びる仮想平行線Bとの直線距離A、すなわち当該内縁と仮想平行線Bとの幅Aは、8mm以下であってもよいし、6mm以下であってもよいし、4mm以下であってもよいし、2mm以下であってもよい。このとき、袋詰め製品1Bから内容物を詰め替える際に注出口部8が下向きとなるようユーザが袋詰め製品1Bを吊り下げた場合に、天シール部7の近傍に内容物が滞留し難くなる。そのため、内容物の全部又は大部分を容易に後述の容器61(図8参照)に詰め替えることができる。
[内容物の詰替方法]
続いて、図6〜図8を参照して、袋詰め製品1Bから容器61へと内容物を詰め替える方法を説明する。容器61は、例えば、プラスチック製又はガラス製のボトルである。
まず、図6に示されるように、ユーザが先端シール部9を手で摘まんで、凹部2Taの角部2Ta4から開封誘導線20に沿って注出口部8の先端部を引き裂く。これにより、袋詰め製品1Bが注出口部8において開封される。このとき、エンボス線30,31は所定の形状を保持する一方、エンボス線30とエンボス線31との中間部32は可撓性を有するので、注出口部8に側方から内向きの力が作用することにより、中間部32が撓んで外方に向けて大きく拡がる。従って、引き裂かれた注出口部8の先端には、図7に示されるように、開口部33が形成される。開口部33は、六角形に内接するような外形を呈する。
次に、図8に示されるように、容器61の口部62に注出口部8を差し込んで、袋詰め製品1Bの内容物を注出口部8から容器61内に注ぎ入れる。このとき、右下隅部2lrがユーザによって指で摘ままれ、注出口部8が下向きとなるように袋詰め製品1Bが宙に吊り下げられた状態とされる。袋詰め製品1B内の内容物の全て又はほとんどが容器61に移送されると、詰め替え処理が完了する。
[作用及び効果]
(1)以上のような本実施形態では、広幅シール部12が、左側縁2Lのうち少なくとも注出口部8寄りにおいて、右側縁2Rに向けて突出するように形成されている。そのため、本実施形態に係る袋詰め製品1B内に充填された内容物を容器61に詰め替える際、ユーザが右側縁2Rの下端(右下隅部2lr)を指で摘まんで注出口部8が下向きとなるよう袋詰め製品1Bを吊り下げた場合に、内容物の重量が注出口部8に作用して、注出口部8が外方に向けて膨らむ。これにより、開口部33がさらに大きく拡げられ、広幅シール部12がその内縁で折れ曲がり、広幅シール部12が右側縁2R側に引き寄せられる。こうして、エンボス線30,31の形状に沿って、注出口部8が漏斗状に拡がり、内容物の詰め替え時に内容物が自然と注出口部8に誘導されるようになる。
(2)本実施形態では、各シート2,3がそれぞれ、外方に向けて突出し且つ線状を呈するようにエンボス加工されたエンボス線30,31を有しており、エンボス線30,31の各一端30a,30bが注出口部8の先端近傍に位置している。そのため、内容物の詰め替え時に内容物が注出口部8に集まると、各エンボス線30,31の形状に沿って注出口部8が膨らむ。従って、注出口部8がより漏斗状に拡がりやすくなる。
(3)本実施形態では、エンボス線30が、注出口部8の先端近傍から右下隅部2lrに向けて直線状に延びている。そのため、ユーザが右下隅部2lrを指で摘まんで注出口部8が下向きとなるよう袋詰め製品1Bを吊り下げた場合に、袋詰め製品1Bに作用する力の作用線に沿ってエンボス線30が延びる。従って、内容物がエンボス線30に沿って流れやすくなる。
(4)本実施形態では、エンボス線31が、エンボス線30よりも上縁2T側に位置し、エンボス線30に向けて突出するように湾曲した曲線状に延びており、エンボス線31の他端31bが上縁2T側に向かっている。そのため、注出口部8から離れる側においてエンボス線30とエンボス線31との間隙が大きくなる。従って、詰め替え時に、注出口部8のうち右下隅部2lr側がより大きく拡がりやすくなる。
(5)本実施形態では、エンボス線31が、エンボス線30よりも上縁2T側に位置し、エンボス線30に向けて突出するように湾曲した曲線状に延びており、エンボス線31の他端31bが上縁2T側に向かっている。そのため、ユーザが右下隅部2lrを指で摘まんで注出口部8が下向きとなるよう袋詰め製品1Bを吊り下げた場合に、上縁2T側に溜まっている内容物が、エンボス線31により注出口部8側に向けて誘導される。従って、一般に、上縁2T側に溜まっている内容物は詰め替え時に滞留しやすい傾向にあるが、エンボス線31に沿って当該内容物が上縁2T側から注出口部8へと流れやすくなる。
本実施形態によれば、上記(1)〜(5)の作用により、内容物の開口部33(注出口)からの注出をよりスムーズに行うことが可能となる。
本実施形態では、エンボス線30が仮想直線VLに沿って延びている。そのため、ユーザが右下隅部2lrを指で摘まんで注出口部8が下向きとなるよう袋詰め製品1Bを吊り下げた場合に、袋詰め製品1Bに作用する力の作用線にエンボス線30がより沿いやすくなる。従って、内容物がエンボス線30に沿って流れやすくなる。
本実施形態では、エンボス線30に直交する方向において、エンボス線30と注出口シール部15及び広幅シール部12との間の長さ、エンボス線30とエンボス線31との間の長さ、及びエンボス線31と注出口シール部15との間の長さがいずれも、注出口部8の先端側から右下隅部2lr側に向かうにつれて大きくなるように設定されている。そのため、広幅シール部12、エンボス線30,31及び注出口シール部15(先端シール部9)のうち隣り合う2者の間隙がいずれも、注出口部8から離れるにつれて大きくなる。従って、詰め替え時に、注出口部8のうち右下隅部2lr側がよりいっそう大きく拡がりやすくなる。
本実施形態では、エンボス線30の下端30bは、右側縁2R(左側縁2L)の延在方向(上下方向)において、広幅シール部12の頂点(広幅シール部12の最大幅の位置13)とエンボス線30の先端30aとの間に位置している。そのため、ユーザが右下隅部2lrを指で摘まんで注出口部8が下向きとなるよう袋詰め製品1Bを吊り下げて、注出口部8が外方に向けて膨らむ際に、エンボス線30の下端30bによって注出口部8の膨らみが抑制され難くなる。
本実施形態では、先端シール部9に、開封手段としての切欠きであって、凹部2Taの角部2Ta4が設けられている。そのため、注出口部8の先端部を角部2Ta4(開封手段)によって開封しやすくなる。
本実施形態では、注出口部8及び先端シール部9に、注出口部8、注出口シール部15及びエンボス線30,31を横切るように延びる開封誘導線20が形成されている。そのため、開封誘導線20に沿って注出口部8の先端部を開封できる。従って、開封後に注出口部8に形成される開口部33(注出口)の形状が崩れ難い。これにより、開口部33から内容物がスムーズに流出しやすくなる。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、各シート2,3に、エンボス線30,31に加えて他のエンボス線が形成されていてもよい。すなわち、各シート2,3に3本以上のエンボス線が形成されていてもよい。
エンボス線30は、仮想直線VLと略一致するように延びていてもよい。
本実施形態では、上縁2Tのうち右側の側シール部6´と上側シール部10との間に、詰替え用袋1A内に内容物を充填するための開口部OPが形成されていたが、開口部OPは、上縁2T、下縁2B、右側縁2R及び左側縁2Lのいずれかに形成されていてもよい。
1枚のシートを折り返して詰替え用袋1Aを構成することにより、詰替え用袋1Aが底テープ4を備えていなくてもよい。この場合、互いに対向する一対のシートが、本実施形態の表積層シート2及び裏積層シート3に対応する。
図9に示されるように、エンボス線30の下端30bは、上下方向において、広幅シール部12の頂点(広幅シール部12の最大幅の位置13)の側方に位置していてもよい。
図10に示されるように、注出口シール部15が下側シール部11を有しておらず、先端シール部9と広幅シール部12との間にフック部Fが形成されていてもよい。フック部Fは、注出口部8に向けて窪むように切り欠かれている。袋詰め製品1Bの内容物の詰め替え時にフック部Fを容器61の口部62に引っ掛けることにより、注出口部8を容器61の口部62に導きやすくなる。フック部Fの切り欠き形状としては、円弧状、矩形状、V字形状などの種々の形状を採用してもよい。
図11に示されるように、開封手段として機能する角部2Ta4が凹部2Taに設けられておらず、凹部2Laに開封手段としての角部2La3が設けられていてもよい。第1及び第2の辺2La1,2La2の交差部に位置する凹部2Laの角部2La3は、上縁2Tに向けて張り出している。
図12に示されるように、開封手段として機能する角部2Ta4が鋭角状(V字形状)を呈していてもよい。
図13に示されるように、左側縁2Lに凹部2Laが形成されていないと共に、開封手段として機能する角部2Ta4が凹部2Taに設けられておらず、開封手段として切り欠き部81及び切り込み線82を設けてもよい。切り欠き部81は、左側縁2Lのうち広幅シール部12と注出口シール部15との間に位置している。切り欠き部81は、V字形状を呈している。切り込み線82は、シート2,3を貫通している。切り込み線82は、切り欠き部81の先端からいったん下縁2B側に向けて延びてから屈曲し、開封誘導線20の左端に向けて延びている。そのため、切り込み線82は、J字形状を呈するように湾曲した曲線である。ユーザが切り欠き部81の上下の部分をそれぞれ指で摘まんで、互いに逆方向の力を切り欠き部81近傍に作用させることで、切り欠き部81及び切り込み線82が連続するようにシート2,3が引き裂かれる。ユーザが引き続き互いに逆方向の力を切り欠き部81近傍に作用させることで、切り込み線82から連続するように開封誘導線20に沿ってシート2,3(注出口部8)が引き裂かれる。
上述した開封手段の他に、傷痕群又は易開封加工部を上縁2T、下縁2B、右側縁2R及び左側縁2Lのいずれかに形成してもよい。傷痕群は、シート2,3を貫通する微小な貫通孔が多数形成されてなる。易開封加工部は、所定の領域においてシート2,3からシーラント層54よりも外側の層を取り除くことによって形成される。
図14に示されるように、広幅シール部12がエンボス線30に近接するように、右側縁2R側に向けてさらに膨らんでいてもよい。この場合、注出口部8がより細くなるので、詰め替え時に注出口部8を容器61の口部62に差し込みやすくなる。
(実施例1)
まず、ポリエステルフィルム(厚さ12μm)の内面にグラビアインキを用いて印刷層を設けた。印刷は、グラビア印刷にて行った。次に、ポリエステルフィルムの印刷面と、ナイロンフィルム(厚さ15μm)とを、二液硬化型ウレタン系接着剤を介して、ドライラミネート法により貼り合わせた。次に、ナイロンフィルムと、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE:linear low-density polyethylene)フィルム(厚さ120μm)とを、二液硬化型ウレタン系接着剤を介して、ドライラミネート法により貼り合わせた。これにより、ポリエステルフィルム、印刷層、接着剤層、ナイロンフィルム、接着剤層、及びLLPDEフィルムがこの順で積層された積層シートを得た。
次に、得られた積層シートを所定の形状となるように裁断し、表積層シート2と裏積層シート3とを得た。各シート2,3の幅は140mmであり、各シート2,3の高さは220mmであった。次に、プレス金型Rを用いて、各シート2,3の所定箇所にエンボス線30,31を形成した。エンボス線30,31の幅は3mmであり、エンボス線30,31の高さは2mmであった。次に、炭酸ガスレーザを用いて、所定の箇所に開封誘導線20を5本形成した。次に、製袋機上で底テープ4をシート2,3の下端部の間に挟み込んで、底シール部5、左側の側シール部6、右側の側シール部6´、注出口シール部15、及び広幅シール部12を形成した。これにより、上縁2Tのうち右側の側シール部6´と上側シール部10との間に開口部OPが形成された詰替え用袋1Aを得た。
次に、粘性の高いシャンプー400mlを、開口部OPから詰替え用袋1A内に充填した。次に、開口部OPをシールして天シール部7を形成することにより、実施例1に係る袋詰め製品1Bを得た。
次に、凹部2Taの角部2Ta4から開封誘導線20に沿って注出口部8の先端部を引き裂き、袋詰め製品1Bを注出口部8において開封した。次に、袋詰め製品1Bの内容物を注出口部8からプラスチック製の容器61に詰め替えた。この際、袋詰め製品1Bの状態を観察すると共に、詰め替えに要した時間を計測することにより、袋詰め製品1Bによる内容物の詰め替え性能の評価を行った。
(比較例1)
主としてエンボス線130の構成が異なる以外は、実施例1に係る袋詰め製品1Bと同様に構成された比較例1に係る袋詰め製品101Bを用意した。比較例1に係る袋詰め製品101Bを用いて、実施例1に係る袋詰め製品1Bと同様に、内容物の詰め替え性能の評価を行った。
エンボス線130は、図15に示されるように、注出口部8に位置しており、直線状を呈していた。エンボス線130の先端130aは、注出口部8の先端近傍に位置し、注出口部8の先端側に向かっていた。エンボス線130の下端130bは、右下隅部2lr側(右側縁2Rの下端側)に向かっていた。エンボス線130は、実施例1に係る袋詰め製品1Bのエンボス線30,31よりも幅広であった。エンボス線130の幅は、先端130aに向かうにつれて小さくなっていた。エンボス線130の先端130a側の幅は100mmであり、エンボス線130の下端130b側の幅は250mmであった。表積層シート2のエンボス線130と裏積層シート3のエンボス線130とは互いに対向しており、各エンボス線130同士の間に空間V3が形成されていた。
(比較例2)
主として、広幅シール部12が設けられておらず、エンボス線131〜134の構成が異なる以外は、実施例1に係る袋詰め製品1Bと同様に構成された比較例2に係る袋詰め製品102Bを用意した。比較例2に係る袋詰め製品102Bを用いて、実施例1に係る袋詰め製品1Bと同様に、内容物の詰め替え性能の評価を行った。
エンボス線131〜134は、図16に示されるように、注出口部8に位置していた。エンボス線131〜134の幅はいずれも2mmであった。エンボス線131は、直線状を呈しており、注出口部8の先端側から右下隅部2lr側に向かっていた。エンボス線132は、エンボス線131よりも左側縁2L側に位置しており、注出口部8の先端から離れるにつれて左側縁2L側に近づくように湾曲していた。エンボス線133は、エンボス線131よりも右側縁2R側に位置しており、注出口部8の先端から離れるにつれて右側縁2R側に近づくように湾曲していた。エンボス線134は、頂点が右下隅部2lr側に向かうように、半円の円弧状を呈していた。エンボス線134の一端はエンボス線132の下端と対向しており、エンボス線134の他端はエンボス線133の下端と対向していた。
(評価結果)
詰め替え時における実施例1に係る袋詰め製品1Bの状態を観察したところ、注出口部8が漏斗状に拡がりやすく、注出口部8での折れ曲がり及び閉塞は確認されなかった。実施例1に係る袋詰め製品1Bにおいて、詰め替えに要した時間を3回計測したところ、21秒、28秒及び23秒であり、素早く且つスムーズに詰替作業が完了した。
詰め替え時における比較例1に係る袋詰め製品101Bの状態を観察したところ、注出口部8での折れ曲がり及び閉塞は確認されなかったが、注出口部8が拡がりにくかった。比較例1に係る袋詰め製品101Bにおいて、詰め替えに要した時間を3回計測したところ、56秒、69秒及び56秒であり、詰替作業に長時間を要した。
詰め替え時における比較例2に係る袋詰め製品102Bの状態を観察したところ、注出口部8での折れ曲がり及び閉塞は確認されなかったが、注出口部8がやや拡がりにくかった。比較例1に係る袋詰め製品101Bにおいて、詰め替えに要した時間を3回計測したところ、30秒、48秒及び34秒であり、詰替作業にやや時間を要した。
<第2実施形態>
[技術分野]
第2実施形態は、液体洗剤、柔軟剤などのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒーなどの食品を収納する詰替え用包装袋に関するものである。
[背景技術]
液体洗剤、柔軟剤などのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒーなどの食品を収納する容器は、それぞれ使い易い形状の専用容器、例えば、プラスチックボトルやガラス瓶などが使用されている。これらの専用容器は、構造もしっかりしており、従って高価であることから、内容物が無くなった段階で、繰り返し使用することができるようになっている。このような専用容器に内容物を補充する詰替え用包装袋が別途販売されている。
しかし、これらの専用容器は、もっぱら内容物を注出し易いように設計されているため、詰替え用包装袋から内容物を補充する詰替え操作の利便性を考慮したものでは必ずしもなかった。
従来、液状などの流動性を有する内容物を収納する詰替え用包装袋としては、内容物の専用容器への詰替えを容易に、かつ安全に行えると同時に、安価で空袋が嵩張らず、使用後の廃棄処理も容易に行えることが望ましく、この点から、袋の上部の一部にヒートシールにより狭い幅の注出口部を設けた注出口部付き包装袋が多く使用されるようになっている。
しかし、このような包装袋は、共通の欠点として、注出口部の幅が狭いため、開封された注出口部の開口性が悪く、また、開口させたとしても、注出口部は、袋本体と同じ柔軟性材料で形成されているため、剛性に劣り、注出の途中で開口された注出口部が閉塞したり、また、注出口部だけでなく、内容物によっては、注出口部より内側領域部でも、表裏積層フィルム同士が接近して閉塞し、この部分で内容物の注出口部への流動が部分的に妨げられ、特に注出の後半では、内容物を注出し難くなるという問題があった。特に、粘度のある液体洗剤や化粧品などの内容物の場合は、より注出し難くなる問題があった。
これらを、改善する方法として、上記特許文献1のような提案がある。フィルムの周辺をシールすることによって形成した袋であって、袋の上隅部に、注出口部が袋の外郭に沿って斜め上方に先細りになるように突出して設けられ、該注出口部に、フィルムの変形加工により形成された1本または複数本の線状変形からなる補強機構が2個以上備えられ、補強機構は、それぞれ注出口部のフィルム面上において、袋の外郭に沿って互いに鋭角をなして配置され、かつ互いの間隔がより大きい方の端部において別の補強機構によって相互に連結されているものである。これは、注出口部の折り曲げを防止するものであるが、注出口部より内側の領域部で、表裏フィルム同士が接近して閉塞したり、また、注出の後半で、内容物を注出し難くなる問題がある。
また、特許文献2のような別の提案がある。袋の上部の一部に外周をヒートシールしてなる狭い幅の注出口部が設けられた積層フィルム製の袋において、該注出口部の先端部近傍の開封位置に開封手段が設けられるともに、該注出口部の先端部近傍に袋内部に向けて、該注出口部の開口を補助し、かつその折れ曲がりを防止する第1のエンボスが棒状に設けられ、また、該注出口部の基部から袋内部側の領域部には、内容物を注出する際に、この部分の両面の積層フィルムの外側への広がりを補助し、積層フィルム同士の密着によるこの部分の閉塞を防止する第2のエンボス部が、その両端間が注出口部の基部の幅より広くかつ下向きの円弧状またはV字形状をなすように、棒状に設けられているものである。注出口部の開口を補助し、折れ曲がりを防止し、かつ注出口部の基部より内側の領域部での閉塞を防ぐものであるが、第1エンボス線ならびに第2エンボス線が注出口部およびその内側の領域部に多様に形成されるために、袋の見栄えが悪くなる傾向にあり、また、注出の後半で、内容物を注出し難くい問題もある。
よって、注出口部での折れ曲がりがなく、かつ、注出の後半でも、内容物をスムーズに注出することができる詰替え用包装袋の要望がある。
[課題]
第2実施形態は、このような背景に鑑みなされたものであり、注出口部での折れ曲がりがなく、かつ、注出の後半でも、内容物をスムーズに注出することができる詰替え用包装袋を提供することにある。
[課題を解決するための手段]
上記の課題を解決するために、発明者は鋭意検討を行い、第2実施形態を完成した。
(A)第2実施形態の1つめの例は、天シール部、左右側シール部および底シール部からなり、内部に収納部を形成し、天シール部と左右側シール部の一方の側シール部との上隅部に斜め上方向に向くように先端シール部、上側シール部および下側シール部を形成してなる注出口部を有し、かつ注出口部の先端部に開封誘導線を形成してなる詰替え用包装袋において、注出口部を形成する下側シール部と連接する側シール部に、下側シール部と連接して内側に凸状の円弧状広幅シール部を形成し、注出口部に、開封誘導線を超えた1箇所を基点とし、底部に向け想定される対角線上に、略直線状の第1エンボス線を形成し、かつ天シール部の下部に、開封誘導線を超えた1箇所を基点とし、第2エンボス線を形成したことを特徴とする詰替え用包装袋である。
(B)第2実施形態の2つめの例は、第1エンボス線が、円弧状広幅シール部の最大幅の位置まで形成されていることを特徴とする(A)に記載の詰替え用包装袋である。
(C)第2実施形態の3つめの例は、天シール部の内側端縁と、上側シール部の凹み部の最低部を起点として、内側端縁と平行して平行線を引いたとき、内側端縁と平行線との幅が8mm以下であることを特徴とする(A)又は(B)に記載の詰替え用包装袋である。
[効果]
第2実施形態の詰替え用包装袋は、注出口部での折れ曲がりや閉塞がなく、かつ注出口部の内側領域部での閉塞もなく、内容物をスムーズに注出させることができる。
また、注出口部を形成する下側シール部と連接した側シール部に、該下側シール部と連接して内側に広がる円弧状広幅シール部を形成することにより、内容物をスムーズに注出することができる。
また、注出口部に、開封誘導線を超えた一箇所を基点とし、底部に向け想定される対角線上に、略直線状の第1エンボス線を形成し、かつ、天シール部の下部に、開封誘導線を超えた一箇所を基点とし、第2エンボス線を形成することで、注出する際、注出口部の折れ曲げや閉塞を防ぐとともに、注出口部を拡張して開口することができる。
また、第2エンボス線を天シール部の下部に形成することにより、注出する際に、漏斗のような形で、注出口部の内側領域部を拡張した状態にすることができるため、第1エンボス線と相俟って、スムーズに注出させることができる。
また、第1エンボス線を円弧状広幅シール部の最大幅の位置まで形成することにより、第2エンボス線と相俟って注出口部の内側領域部を効果的に拡張し、注出口部から内容物をスムーズに注出させることができ、特に、粘度の高い内容物を注出するのに、従来の詰め替え用包装袋に比べて時間が掛かからず、詰替えることができる。
また、天シール部の内側端縁と、上側シール部の凹み部の最低部を起点として、内側端縁と平行して平行線を引いたとき、内側端縁と平行線との幅が8mm以下であることにより、漏斗を逆さにしたような形で、注出口部の内側領域部を拡張した状態に保つことができる。
第2実施形態の詰替え用包装袋は、注出口部での折れ曲げや閉塞、また、注出口部より内側の領域部での閉塞もなく、注出の後半でも、内容物をスムーズに詰替えることができる。従来の詰替え用包装袋よりスピーディに詰替えることができる。
[第2実施形態の詳細な説明]
以下、第2実施形態につき説明する。
図17は、第2実施形態に係る詰替え用包装袋の一例を示す説明図である。詰替え用包装袋1は、自立タイプの包装袋の一例を示している。上隅部に、外方向に注出口部を有する詰替え用包装袋1である。表裏二枚の積層シート2,3と底テープ4からなっている。表裏の積層シート2,3と底テープ4は、可撓性を有したシートである。表裏二枚の積層シート2,3の下部の間に底テープ4を折り畳みながら挿入し、底部をシールし底シール部5を、左右側部をシールし側シール部6,6´を、天部をシールし天シール部7を形成してなっている。注出口部8は、先端シール部9と上側シール部10と下側シール部11からなり、上側シール部10は、先端シール部9および天シール部7へと連接されている。また、下側シール部11は、先端シール部9および側シール部6に形成された内側に凸状の円弧状広幅シール部12へと連接されている。
注出口部8の先端部には、注出口部8を開封するための開封誘導線20が、先端シール部9と上側シール部10および下側シール部11との境界に形成され、上側シール部10から注出口部8を横断して下側シール部11まで形成されている。
また、注出口部8には、開封誘導線20を越えた一箇所を基点として、底部に向けて想定される対角線上に略直線状の第1エンボス線30が形成されている。また、天シール部7の下部に、開封誘導線20を越えた一箇所を基点として、天シール部7の方向に向けて湾曲された第2エンボス線31が形成されている。
このように、下側シール部と連接した円弧状広幅シール部12と第1エンボス線30および第2エンボス線31を設けることで、注出口部8での折れ曲げを防ぎ、かつ注出口部および注出口部の内側領域部を拡張させ開口させ、かつ、内容物をスムーズに注出させることができる。注出の後半でも、内容物をスムーズに注出させることができる。
また、天シール部7の内側端縁と、上側シール部10の凹み部の最低部を起点として、内側端縁と平行して平行線Bを引いたとき、内側端縁と平行線との幅Aが8mm以下であることにより、漏斗のような形で、注出口部の内側領域部を拡張した状態に保つことができる。
図18は、第2実施形態に係る詰替え用包装袋の他の一例を示す説明図である。第1エンボス線が円弧状広幅シール部12の最大幅の位置13まで形成されている一例を示している。注出口部8には、開封誘導線20を越えた1箇所を基点とし、底部に向け想定される対角線上に、略直線状に第1エンボス線30が形成されている。また、天シール部7の下部には、開封誘導線20を越えた1箇所を基点とし、天シール部7方向に向けて湾曲された第2エンボス線31が形成されている。また、下側シール部11と連接して、内側に凸状の円弧状広幅シール部12が形成されている。また、注出口部の内側には、内側領域部40が形成されている。第1エンボス線30が、円弧状広幅シール部12の最大幅の位置13まで形成することで、注出口部の内側領域部40を拡張させ開口させることができ、注出の後半でも、閉塞することがなく、内容物をスムーズに注出させることができる。
また、開封誘導線20は、先端シール部9と上側シール部10および下側シール部11との境界に形成されている。また、開封誘導線20を、基本となる開封誘導線の上下に設け、複数形成してもよい。図17及び図18には、開封誘導線が5本形成されている一例を示している。
図19は、注出口部の断面の一例を示す説明図である。表積層シート2と裏積層シート3は、上側シール部10と下側シール部11でシールされ、注出口部8が形成されている。表積層シート2および裏積層シート3には、第1エンボス線30が、それぞれ相対称して形成されている。また、第2エンボス線31も、それぞれ相対称して形成されている。第1エンボス線30および第2エンボス線31は、積層シートの内面から外面に向けてエンボスされているため、それぞれ相対称して形成されたエンボス部では、空洞の状態を示している。
図20は、注出時での注出口部の断面の一例を示す説明図である。表積層シート2と裏積層シート3は、内容物の自重で拡張した状態になっている。表積層シート2と裏積層シート3に形成された第1エンボス線30および第2エンボス線31は拡張し、また、第1エンボス線30および第2エンボス線31との中間部32も拡張し、注出口部全体が開口33した状態を示している。内容物をスムーズに注出することができる。また、図18に示すように、第1エンボス線を広幅シール部の最大幅の位置13まで形成することにより、さらに注出口部の内側領域部も拡張され開口され、内容物をスムーズに注出することができる。
図21は、第2実施形態の詰替え用包装袋をプラスチックボトルに詰替えている状態の一例を示している。開封誘導線に沿って、先端シール部を切り取り、注出口を形成した後、注出口をプラスチックボトル61の口部62に挿入して包装袋1を上側にして注出している状態を示している。内容物の自重により、第1エンボス線30や第2エンボス線31が拡張され、注出口部8および注出口部の内側領域部40が拡張され開口され、スムーズに注出されている状態を示している。また、内容物が円弧状広幅シール部12に沿って流れ易くなっているために、スピーディに注出することができる。
図22は、第2実施形態の詰替え用包装袋を形成する積層シートの断面の一例を示す説明図である。図22の(a)に示す、積層シート50は、少なくとも、印刷層52を有する基材層51とシーラント層54とが接着層53を介して積層されている一例を示している。表側から基材層51/印刷層52/接着層53/シーラント層54からなるものである。
図23は、図17の開封誘導線が形成された部分の積層シートの断面の一例を示す説明図である。図23の(a)に示す、積層シート50は、開封誘導線が、表側から基材層51を貫通してシーラント層54まで達するハーフカット56が形成されている。このハーフカット56が、一定の間隔で形成されている一例を示している。
第2実施形態の詰替え用包装袋は、注出口部の折れ曲がりや閉塞、かつ注出口部の内側領域部での閉塞もなくスムーズに注出することができる。注出の後半でも、表裏積層フィルムが接着して閉塞することはなく詰替えることができる。従来の詰替え用包装袋に比べて、スピーディに詰替えることができる。
さらに、第2実施形態につき詳しく説明する。
第2実施形態の詰替え用包装袋1は、使用形態や内容物の容量、デザインなどにより、自立タイプの包装袋の他に、三方シールタイプの包装袋やガゼットタイプの包装袋などにも可能である。
基材層51としては、プラスチックフィルム、紙、不織布などが使用できる。プラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。機械的強度や寸法安定性を有するものであれば、特に限定されない。特に二軸延伸されたフィルムが好ましい。また、これらのフィルムにアルミニウム蒸着層を設けたものでもよい。
紙としては、上質紙、片アート紙、コート紙、キャストコート紙、模造紙などを用いることができる。機械的強度や製袋適正から適宜決めればよい。
また、基材層51には、必要に応じて適宜印刷層52を設けることができる。印刷層52は、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系などのバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料および可塑剤、乾燥剤、安定剤などを添加されてなるインキにより印刷された層である。印刷方法としては、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷などの公知の印刷方法を用いることができる。また基材層の表面を、予め前処理としてコロナ処理またはオゾン処理を施すことにより、印刷層の密着性を向上させることができる。
シーラント層54としては、ポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EAA)、アイオノマー、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂が使用できる。これらの樹脂を押出し機により製膜して可能である。単層または複層でもよい。フィルムの厚みとしては、50〜200μmの範囲であることが好ましい。
接着層53としては、ドライラミネート用接着剤が使用できる。例えば、二液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、エポキシ系接着剤などを使用することができる。貼り合わせ方法としては、ドライラミネート法にて可能である。
また、積層シートの諸物性を向上する必要があれば、例えば、積層シートの剛性や落下強度、突き刺し強度などを向上させる場合、水蒸気や酸素ガスなどのバリア性を向上させる場合、などには中間層を設けることも可能である。
中間層55としては、例えば、剛性や落下強度、突き刺し強度などを向上させるには、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルムなどを使用することができ、また、水蒸気バリア性を向上させるには、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム、無機酸化物蒸着ポリエステルフィルムなどを使用することができる。また、美粧性を向上させるには、アルミニウム蒸着層を有したポリエステルフィルムなどを使用することができる。また、中間層を積層するには、接着層を介してドライラミネート法にて貼り合わせることができる。例えば、図22の(b)に示すように、表側から、基材層51/印刷層52/接着層53/中間層55/接着層53/シーラント層54の構成になる。また、開封誘導線が形成された積層シートの構成では、図23の(b)に示すように、ハーフカット56を基材層51および中間層55を貫通させ、シーラント層54まで達するように形成したものになる。
無機酸化物としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシュウム、酸化カリウム、酸化錫、酸化ナトリウム、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化イットリウムなどの金属の酸化物が使用できる。中でも生産性、価格面から酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどが好ましい。
第1エンボス線30および第2エンボス線31は、線状のエンボス型が形成されたプレス金型やエンボスロール版を用いて加熱成型または低温成型して形成することができる。線状のエンボスは、積層シートの外方向を凸状にして形成される。内面側が空洞になった状態で形成される。第1エンボス線30は、開封誘導線を越えた1箇所を基点とし、底部に向け想定される対角線上に、略直線状に形成する。また、第2エンボス線31は、天シール部の下部に、開封誘導線を越えた1箇所を基点とし、天シール部方向に向けて湾曲させて形成する。湾曲して形成することにより、注出口部の内側領域部を広くすることができる。
第1エンボス線および第2エンボス線は、製袋機上で表裏積層シートにそれぞれエンボス加工することで可能である。エンボスの断面形状は、通常は半円形で形成されるが、特に形状を限定する必要はない。内容物の粘度などで適正な形状を適宜決めればよい。エンボスの幅および高さは、特に限定されないが、幅が1〜15mm程度、高さが2〜4mm程度が好ましい。
開封誘導線20は、基材層を貫通しシーラント層まで達するハーフカットであることが好ましい。開封誘導線20は、1本でもよく、中心の開封誘導線の上下に各1本または各2本などのように複数の開封誘導線が平行に設けることも可能である。開封誘導線は、トムソン刃によって形成する方法や、レーザーによって形成する方法が可能であるが、レーザーによる方法が均一にハーフカットできるので好ましい。レーザーの種類としては、炭酸ガスレーザーが好ましい。開封誘導線の加工は、製袋前や製袋後で所定に位置に形成される。
また、開封開始部は、トムソン刃による打抜き、また、金型によるプレス打抜きで可能である。また、開封開始部は、直線や曲線のスリット線やV字型切り口でも可能である。製袋後、所望の位置に形成することにより可能である。
第2実施形態の詰替え用包装袋は、包装袋の形状に対応して、製袋可能な製袋機を選択し、これに注出口部を形成するヒートシール装置や打抜き装置、開封誘導線を設けるためのレーザー光照射装置、そしてエンボス線を設けるためのエンボス装置などを適宜追加付設することにより作成することができる。
以下、第2実施形態の具体的実施例について説明する。
[第2実施形態の実施例]
ポリエステルフィルム12μmの内面にグラビアインキを用いて印刷層を設けた。印刷は、グラビア印刷にて行った。
上記ポリエステルフィルムの印刷面と、ナイロンフィルム15μmを二液硬化型ウレタン系接着剤を介してドライラミネート法により貼り合わせた。
次いで、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)120μmを、上記ナイロンフィルム面に、二液硬化型ウレタン系接着剤を介してドライラミネート法により貼り合わせた。積層シートを作成した。積層シートの層構成は、ポリエステルフィルム12μm/印刷層/接着剤/ナイロンフィルム15μm/接着剤/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム120μmである。
次いで、この積層シートを、表裏二枚の積層シートと底テープに所定の幅でスリットし、表裏二枚の積層シートの所望の位置に、エンボス型が形成されたプレス金型を用い熱成型し、図17に示すような第1エンボス線および第2エンボス線を形成した。第1エンボス線および第2エンボス線は、エンボス幅が3mm、エンボス高さが、2mmで形成した。次いで、所望の位置に炭酸ガスレーザーにより、開封誘導線を5本形成した。次いで、製袋機上で底テープを表裏二枚の積層シートの下部の間に挟み込んで、底部と両側部をシールして、底シール部、それぞれ側シール部を形成しながら、先端シール部、上側シール部、下側シール部を形成して注出口部を形成した。この際、下側シール部と連接して側シール部に内側に凸状の円弧状広幅シール部を形成した。天部には、内容物を充填させるための開口部を有した包装袋を形成した。注出口部には、第1エンボス線が、開封誘導線を超えた一箇所を基点とし、底部に向けて想定される対角線上に、略直線上に形成され、また、第2エンボス線も、開封誘導線を超えた一箇所を基点とし、開口部の下部に湾曲させて形成した。
この包装袋の開口部から粘性の高いシャンプー400mlを充填し、開口部をシールして天シール部を形成し密封された自立タイプの包装袋を作成した。
[評価方法]
自立タイプの包装袋を50袋作成し、プラスチックボトルへの詰替え性の評価を行った。注出口部での折れ曲がりや閉塞、かつ注出口部の内側領域部の閉塞をそれぞれ確認した。
注出口部での折れ曲がりや閉塞、かつ注出口部の内側領域部の閉塞はなく、スムーズに注出させることができた。