JP2015190577A - 駆動伝達装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】プーリ間でベルトの巻き付き長さの違いがあっても、振動や騒音の低減とプーリとベルトとの滑りの防止を図りつつプーリとベルトとの間の発熱を低く抑える。
【解決手段】ベルト23の巻き付き長さは、駆動プーリ21よりも従動プーリ22の方が長い。プーリ21、22とベルト23との間に電位差を与えて互いをジョンセンラーベック力により吸着させる。その際、電圧印加部25が、駆動プーリ21の金属層21bとベルト23との間に電位差Vを与え、電圧印加部24が、従動プーリ22の金属層22bとベルト23との間に電位差Vより小さい電位差Vを与える。これにより、ベルト巻き付きの単位長さ当たりの電流量に関し、金属層21bとベルト23との間に介在する誘電体層22aに流れる電流量i2を、金属層22bとベルト23との間に介在する誘電体層21aに流れる電流量i1よりも小さくする。
【選択図】図4

Description

本発明は、駆動プーリ及び従動プーリに巻回されるベルトによって駆動源の回転力が被駆動部に伝達される駆動伝達装置等に関する。
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置をはじめとする各種の装置において、モータ等の駆動源の回転力を被駆動部に伝達する駆動伝達装置が設けられる。
例えば、画像形成装置において、駆動源としてのモータの駆動力を、ギアを介して、被駆動部としての感光体ドラムや中間転写ベルトを駆動する駆動ローラに伝達する構成が採用されている。しかし、この構成では、駆動力が入力されるギア(駆動入力ギア)と出力されるギア(従動ギア)との間の回転伝達誤差(特にかみあい伝達誤差)が起振力となって振動が発生する。ギアで発生した振動が軸、軸受、側板などのギア支持部材や従動部品に伝わり、大きな騒音を発生させる可能性があった。画像形成装置においては、縞状の画像や濃度にムラのある画像が形成されたり、画像にスジやムラ等の劣化を生じさせたりするおそれもある。
特に、駆動入力ギアと従動ギアのかみ合い部分においては、モータの回転速度を減速させるために駆動入力ギアの歯と従動ギアの歯とが接触する。そのため、駆動伝達機構の初段においては、噛み合い部の速度が速いために振動・騒音の発生が顕著である。
そこで、プーリとベルトとを静電的に吸着させて、プーリとベルトとの滑りを抑制する技術が知られている(特許文献1)。この技術では、プーリとしての駆動ローラの芯金にバイアスを印加することにより、駆動ローラと中間転写ベルトとの間に静電吸着力を作用させ、駆動ローラの駆動力を中間転写ベルトへと伝達している。
特開平8−146783号公報
特許文献1のような構成において、モータの回転速度を減速して駆動力を駆動プーリからベルトを介して従動プーリへと伝達させる場合、駆動プーリと従動プーリの直径を異ならせる必要がある。即ち、ベルトが駆動プーリに掛け回されている長さが、ベルトが従動プーリに掛け回されている長さよりも短くした減速系とする必要がある。
ところで、静電力(ジョンセンラーベック(Johnsen-Rahbek)力)を発生させるために、ベルトの導電部とプーリの導電部との間に電圧を印加すると、介在する誘電体層に電流が流れてジュール熱が発生する。
ここで、ベルトのプーリへの巻き付き長さと電気的な抵抗値とは反比例する。例えば、ベルトの巻き付き長さの長いプーリは、巻き付き長さの短いプーリに比べて、誘電体層を介してベルトに接触する面積が大きい。そのため、巻き付き長さの長いプーリの側の方が、プーリの導電部とベルトの導電部との間の合計の抵抗値は小さくなる。
そのため、プーリとベルトを静電力で吸着させるために駆動プーリとベルトとの間、及び、従動プーリとベルトとの間に仮に等しい電圧が印加されると、抵抗値が小さいプーリ、すなわち巻き付き長さの長い従動プーリの側での電流量が多くなる。すると、従動プーリの側でのジュール熱が過剰に大きくなって、プーリ及びベルトの全体としての発熱量が大きくなってしまう。
また、全体としての発熱が大きいと、ベルトの長さやプーリの外形が変化したり、周囲の温度が上昇したりして、ベルトとプーリとの間に生じる静電吸着力が安定せず、ベルトとプーリで滑りが生じてしまうおそれがある。
一方、ベルト張力を設けることで、巻き付き長さの長いプーリでは、巻き付き長さの短いプーリよりも伝達可能な駆動力が大きく確保される。そのため、静電吸着力を用いない場合、ベルトとの滑りが発生しやすいのは通常、巻き付き長さの短いプーリである。従って、伝達可能な駆動力を静電吸着力によって大きくすることについては、巻き付き長さの長いプーリよりも、巻き付き長さの短いプーリでその必要性が大きいと考えられる。
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものである。その目的は、プーリ間でベルトの巻き付き長さの違いがあっても、振動や騒音の低減とプーリとベルトとの滑りの防止を図りつつプーリとベルトとの間の発熱を低く抑えることができるようにすることにある。
上記目的を達成するために本発明は、導電部を有し、駆動源によって回転駆動される駆動プーリと、導電部を有し、被駆動部に直接または間接的に連結される少なくとも1つの従動プーリと、導電部を有し、前記駆動プーリ及び前記従動プーリに巻回されるベルトとを有し、前記駆動源の回転力が、前記駆動プーリ、前記ベルト及び前記従動プーリを介して前記被駆動部に伝達される駆動伝達装置であって、前記駆動プーリ及び前記従動プーリに誘電体層が設けられるか、前記ベルトに誘電体層が設けられるか、または前記駆動プーリ及び前記従動プーリと前記ベルトとの双方に誘電体層が設けられ、前記設けられた誘電体層が、前記ベルトが前記駆動プーリに巻回される領域において前記ベルトの前記導電部と前記駆動プーリの前記導電部との間に介在すると共に、前記ベルトが前記従動プーリに巻回される領域において前記ベルトの前記導電部と前記従動プーリの前記導電部との間に介在し、前記駆動プーリの前記導電部と前記ベルトの前記導電部との間に電位差を与えて両者を静電的に吸着させると共に、前記従動プーリの前記導電部と前記ベルトの前記導電部との間に電位差を与えて両者を静電的に吸着させる電圧印加手段を有し、前記駆動プーリ及び前記少なくとも1つの従動プーリからなる複数のプーリには、第1のプーリと、前記ベルトの巻き付き長さが前記第1のプーリよりも長い第2のプーリとが存在し、前記第2のプーリの前記導電部と前記ベルトの前記導電部との間に介在する誘電体層に流れる前記ベルトの巻き付きの単位長さ当たりの電流量を、前記第1のプーリの前記導電部と前記ベルトの前記導電部との間に介在する誘電体層に流れる前記ベルトの巻き付きの単位長さ当たりの電流量よりも小さくすることを特徴とする。
本発明によれば、プーリ間でベルトの巻き付き長さの違いがあっても、振動や騒音の低減とプーリとベルトとの滑りの防止を図りつつプーリとベルトとの間の発熱を低く抑えることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る駆動伝達装置の斜視図である。 画像形成装置の模式的断面図である。 画像形成部、一次転写部及び二次転写部の断面図である。 図1のA−A線に沿う断面図、図4(a)のB−B線に沿う断面図、駆動伝達装置の電気的性質を表す等価回路を示す図である。 印加電圧と単位面積当たりの静電吸着力の関係の一例を示す図である。 第2の実施の形態に係る駆動伝達装置の斜視図である。 図6のC−C線に沿う断面図、図7(a)のD−D線に沿う断面図、駆動伝達装置の電気的性質を表す等価回路を示す図である。 第3の実施の形態に係る駆動伝達装置の斜視図である。 図8のE−E線に沿う断面図、図9(a)のF−F線に沿う断面図、駆動伝達装置の電気的性質を表す等価回路を示す図である。 変形例の従動プーリを採用した駆動伝達装置の断面図である。 第4の実施の形態に係る駆動伝達装置の断面図、図11(a)のG−G線に沿う断面図、駆動伝達装置の電気的性質を表す等価回路を示す図である。 誘電体層の体積抵抗率を変えた場合の従動プーリにおける印加電圧と電流との関係を示す図である。 従動プーリが2つある構成の駆動伝達装置の斜視図である。 駆動伝達装置の電気的性質を表す等価回路を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
以下の説明で用いる部材、数値、材料等は、理解を助ける目的の例示に過ぎず、本発明を限定する趣旨のものではない。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る駆動伝達装置の斜視図である。各図を通して同一符号は同一または対応する構成要素を示す。
本実施の形態では、駆動伝達装置が適用される装置の一例として電子写真方式のプリンタである画像形成装置を挙げる。この画像形成装置の基本的な構成及び動作を、図2及び図3を参照して説明する。
図2は、この画像形成装置100の模式的断面図である。
画像形成装置100は、中間転写ベルト9に沿って、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部PY、PM、PC、PKを配置したフルカラーレーザビームプリンタである。
画像形成部PYでは、回転駆動される感光ドラム1Y上にイエロートナー像が形成され、感光ドラム1Yの回転によりイエロートナー像が担持搬送されて、第一転写部TYにて一次転写ローラ5Yによって中間転写ベルト9に一次転写される。画像形成部PM、PC、PKでも同様に、感光ドラム1M、1C、1Kにマゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像が形成される。そして各色のトナー像が、第一転写部TM、TC、TKにて一次転写ローラ5M、5C、5Kによって順次重ね合わせて中間転写ベルト9に一次転写される。
中間転写ベルト9は、駆動ローラ13、テンションローラ12、バックアップローラ10に掛け渡されて支持され、駆動ローラ13の回転に伴って図2の矢印B方向に回転する。中間転写ベルト9は一次転写ローラ5Y〜5Kによって図中上方向に張り上げられ、感光ドラム1Y〜1Kとの間で第一転写部TY〜TKが形成される。
各画像形成部PY〜PKから転写され、中間転写ベルト9に担持されたトナー像は、中間転写ベルト9の回転に伴って二次転写部T2へ搬送され、記録材Pへ二次転写される。このときに転写しきれずに中間転写ベルト9上に残ったトナーは、中間転写ベルト9に当接するクリーニングブレード18によって除去され、中間転写ベルト9は次の画像形成に供される。
記録材Pは、給紙カセット19から給紙ローラ14によって引き出され、分離装置15によって1枚ずつに分離されてレジストローラ16へ送り出される。レジストローラ16は、中間転写ベルト9に担持されたトナー像に先頭を一致させて、記録材Pを二次転写部T2へ給送する。トナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置17へ受け渡されて加熱加圧を受けることにより、表面に画像が定着される。
感光ドラム1(1Y、1M、1C、1K)の各周囲には、帯電装置2(2Y、2M、2C、2K)、露光装置3(3Y、3M、3C、3K)、現像装置4(4Y、4M、4C、4K)が配置される。さらに、一次転写ローラ5(5Y、5M、5C、5K)、クリーニング装置6(6Y、6M、6C、6K)が配置される。
続いて図3を参照して画像形成部の詳細を説明する。画像形成部PY、PM、PC、PKは、付設された現像装置4Y、4M、4C、4Kで用いるトナーがイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと、色が異なる以外は同様に構成される。従って、以下では、代表してイエローの画像形成部PYについて説明し、画像形成部PM、PC、PKについては、説明する構成の記号末尾のYをC、M、Kに読み替えて説明されるものとする。
図3は、画像形成部PY、一次転写部及び二次転写部T2の断面図である。
感光ドラム1Yは、アルミニウム製シリンダの外周面に、帯電極性が負極性の有機光導電体層を塗布して構成され、矢印A方向に回転する。帯電装置2Yは、電源D3から負極性の電圧を印加されて、感光ドラム1Yの表面に帯電粒子を照射することにより、感光ドラム1Yの表面を一様な負極性の電位に帯電させる。露光装置3Yは、イエローの分解色画像を展開した走査線画像データに従ってON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査し、感光ドラム1Yの表面へ照射する。これにより、帯電した感光ドラム1Yの表面に画像データに対応した静電像が形成される。
現像装置4Yは、トナーに磁性キャリアを混合した二成分現像剤を攪拌してトナーを負極性に帯電させる。帯電したトナーは、固定磁極4jの周囲で感光ドラム1Yとカウンタ方向に回転する現像スリーブ4sに穂立ち状態で担持されて、感光ドラム1Yを摺擦する。
電源D4は、負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧を現像スリーブ4sに印加し、現像スリーブ4sよりも相対的に正極性となった感光ドラム1Yの静電像へトナーを付着させて、静電像をトナー像として現像する。
一次転写ローラ5Yは、感光ドラム1Yとの間に中間転写ベルト9を挟持して、感光ドラム1Yと中間転写ベルト9との間に一次転写部TYを形成する。電源D1は、正極性の直流電圧を一次転写ローラ5Yに印加して、負極性に帯電して感光ドラム1Yに担持されたトナー像を、一次転写部TYを通過する中間転写ベルト9へ一次転写させる。クリーニング装置6Yは、クリーニングブレードを感光ドラム1Yに摺擦することで、一次転写部TYを通過して感光ドラム1Yの表面に残留した転写残トナーを除去する。
二次転写ローラ11は、中間転写ベルト9を介してバックアップローラ10に圧接され、中間転写ベルト9と二次転写ローラ11との間に二次転写部T2を形成する。二次転写部T2は、中間転写ベルト9のトナー像に重ね合わせて記録材Pを挟持搬送し、記録材Pが二次転写部T2を通過する過程で、中間転写ベルト9から記録材Pへトナー像を二次転写させる。
電源D2は、正極性の直流電圧を二次転写ローラ11に印加して、バックアップローラ10と中間転写ベルト9と記録材Pと二次転写ローラ11との直列回路に転写電流を流す。転写電流は中間転写ベルト9から記録材Pへのトナーの移動に関与する。
なお、画像形成装置100は4つの画像形成部を採用しているが、これに限定されず、例えばブラック用のみの1つであってもよい。
次に、図1、図4、図5を用いて本実施の形態の駆動伝達装置50の構成を説明する。この駆動伝達装置50は、静電吸着力(ジョンセンラーベック力)を利用してプーリとベルトとの静電的に吸着させて、伝達可能な駆動力を増加させるものである。
本実施の形態では、駆動伝達装置50によって、駆動源の回転駆動力が伝達されて回転駆動される被駆動部として感光ドラム1Yを例示し、駆動源としてはモータ20を例示する。
駆動伝達装置50を画像形成装置100に適用する場合、被駆動部の例としては、回転して画像形成に関わる動作を行う構成要素が適しており、感光ドラム1の他には、中間転写ベルト9を駆動する駆動ローラ13や、定着装置17内の定着ローラ等が適している。しかしこれらに限定されるものではなく、駆動プーリと従動プーリのベルト巻き付き長さが異なるような駆動伝達機構に好適である。
図1に示すように、駆動伝達装置50は、駆動プーリ21、従動プーリ22、無端状のベルト23を備える。モータ20の回転駆動力は、駆動プーリ21、ベルト23、従動プーリ22を介して、感光ドラム1Yへと伝達される構成となっている。ベルト23は、駆動プーリ21と従動プーリ22とに掛け渡され、ベルト23と両プーリ21、22との間の摩擦力により動力伝達が行われる。ベルト23は例えば平ベルトであるが、両プーリ21、22との間で摩擦伝達を行える構造であればよく、VベルトやVリブドベルト等であってもよい。
図4(a)は、図1のA−A線に沿う断面図である。図4(b)は、図4(a)のB−B線に沿う断面図であり、印加される電圧を模式的に付加してある。図4(c)は、駆動伝達装置50の電気的性質を表す等価回路を示す図である。
図4(b)に示すように、駆動プーリ21の半径rは20mm、駆動プーリ21へのベルト23の巻き付き角度θは120度である。従動プーリ22の半径rは120mm、従動プーリ22へのベルト23の巻き付き角度θは240度である。プーリ21、22の径の違いによって、駆動プーリ21から従動プーリ22までにおいて回転が減速される減速系となっている。
また、ベルト23の巻き付き長さ(以下単に「ベルト巻き付き長さ」とも記す)は半径と巻き付き角度[rad]の積で計算できるので、駆動プーリ21への巻き付き長さは約21mm、従動プーリ22への巻き付き長さは約252mmとなる。モータ20から駆動プーリ21、及び、従動プーリ22から感光ドラム1Yまでの駆動力の伝達は、それらの回転軸同士の結合によってなされる。
また、駆動プーリ21からベルト23、及び、ベルト23から従動プーリ22までの駆動力の伝達は、互いの接触面において働く摩擦力によってなされる。後に詳細に説明するように、摩擦力発生に必要な垂直抗力は、静電吸着力、特にジョンセンラーベック力を用いて発生させる。
まず、駆動伝達装置50の各々の構成部品について説明する。図4(a)、(b)に示すように、モータ20の出力軸20aに結合された駆動プーリ21は、ベルト23に接する側(外周面)に誘電体層21aを有し、さらに誘電体層21aの下(半径方向内側)に金属層21bを有する構造となっている。誘電体層21aは、体積抵抗率1011Ω・cmのポリイミドの樹脂材料で構成され、厚さ(膜厚)は約70μm、幅は約10mmである。導電部である金属層21bは駆動プーリ21における電極の役割を担う。
感光ドラム1Yの回転軸30Yに結合された従動プーリ22も駆動プーリ21と同様で、ベルト23に接する側(外周面)に誘電体層22aを有し、さらに誘電体層22aの下(半径方向内側)に金属層22bを有する構造となっている。誘電体層22aは、体積抵抗率1011Ω・cmのポリイミドの樹脂材料で構成され、厚さは約70μm、幅は約10mmである。導電部である金属層22bは従動プーリ22における電極の役割を担う。
次に、電気的な接続構成について説明する。プーリ21、22に電圧を印加するために、各々別個の直流高圧電源である電圧印加部24、25が設けられる。駆動プーリ21の金属層21bへは、電圧印加部24から導電性ブラシ28aを介して直流電圧が印加される。駆動プーリ21の金属層21bと出力軸20aとの結合部位は、絶縁部材34aによって絶縁されている。
従動プーリ22の金属層22bへは、電圧印加部25から導電性ブラシ28bを介して直流電圧が印加される。また、従動プーリ22の金属層22bと回転軸30Yとの結合部位は、絶縁部材34bによって絶縁されている。ベルト23は、導電性のある金属材料にて形成され、図1に示すように導電性ブラシ28c(図1)を介して接地(GND)されている。
続いて、静電吸着力(ジョンセンラーベック力)を発生させる電圧について、図4(c)に示す等価回路を用いて説明する。
ベルト23と誘電体層21a、22aとの接触面(接触界面)はミクロ的にみると接触している部分と接触していない部分がある。そのため、駆動プーリ21の金属層21bとベルト23との間に電圧を印加すると、誘電体層表面とベルト23とが接触した部分で電流が流れるが、誘電体層表面とベルト23の接触点を挟んで接触抵抗に起因して局部的に大きな電圧降下が生じる。すると、誘電体層表面とベルト23との接触点の小さな間隙を隔てて相対向する面に正負の電荷が誘起され、小さな間隙に著しく大きい電界が生じ、誘起された正負の電荷によって大きな吸着力が生じる。この吸着力のことをジョンセンラーベック力と呼ぶ。一般的に、ジョンセンラーベック力は、誘電体の体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1014Ω・cm未満の場合に大きな力となる。
図4(c)に示すように、ジョンセンラーベック力は接触部の静電吸着力であるため、電気抵抗としては、プーリ21、22とベルト23との接触部S1、S2と、誘電体バルク部B1、B2とに分けて考える。駆動プーリ21の金属層21bとベルト23との間に誘電体バルク部B1及び接触部S1を考え、従動プーリ22の金属層22bとベルト23との間に誘電体バルク部B2及び接触部S2を考える。
接触部S1、S2、誘電体バルク部B1、B2は各々、抵抗成分とコンデンサ成分の並列接続で表すことができる。電圧印加部24、25によって駆動プーリ21の金属層21bと従動プーリ22の金属層22bとに電圧を印加し、ベルト23を接地した構成であるので、図4(c)に示す等価回路となる。電圧印加部24は、駆動プーリ21の金属層21bとベルト23との間に電位差Vを与える。電圧印加部25は、従動プーリ22の金属層22bとベルト23との間に電位差Vを与える。
この等価回路において、ジョンセンラーベック力を発生させる電圧は、接触部S1、S2に働く電圧Vs1、Vs2である。電圧Vs1、Vs2はそれぞれ接触部S1、S2の抵抗Rs1、s2と誘電体バルク部B1、B2の抵抗Rb1、Rb2の分圧によって求まる。これらを、下記数式1で表す。

接触部S1、S2に働く電圧によって、接触部S1、S2のコンデンサ成分に電界によってジョンセンラーベック力が生じ、ベルト23とプーリ21、22とが静電的に吸着する。
次いで、電圧を印加することで発生する静電吸着力の作用により、伝達可能な駆動力が増加することについて説明する。
一般に、ベルトによって動力伝達を行う場合、プーリの入口と出口で張力が変化することによって動力が伝達されるため、駆動力の定義としては、入口と出口でのベルト張力の差のことを指し、伝達される駆動力はこの張力差に等しい。発生可能な張力差は、プーリとベルト間に発生し得る最大の摩擦力に依存する。一般に、静電吸着力を用いないベルト駆動伝達では、伝達可能な駆動力Fはオイラーの公式より下記数式3で表される。

ここでベルトに張力を与えるテンションをTとする。ベルトのプーリへの巻き付き角度をθ、ベルト及びプーリ間の摩擦係数をμとする。
さらに、単位面積あたりの静電吸着力をP、プーリの半径をr、プーリ電極とベルトの対向幅(以下、電極対向幅とも呼称する)をbとすると、静電吸着力Pが加わった場合の伝達可能な駆動力Fは、下記数式4で表される。

つまり、静電吸着力Pが加わったことによる伝達可能な駆動力の増分ΔFは駆動力Fと駆動力Fとの差分であり、下記数式5で表される。

駆動力F、駆動力F、増分ΔFについては、駆動プーリ21、従動プーリ22のそれぞれに関して数式3〜5を用い、各々のプーリ半径r、電極対向幅b、摩擦係数μ、巻き付き角度θを代入して算出できる。
ここで、駆動プーリ21及びベルト23間に生じる単位面積当たりの静電吸着力Pは、駆動プーリ21とベルト23との接触部S1のコンデンサ成分の電極間に働く力として考えることができ、下記数式6で表される。

ここで、εairは、接触部S1の空隙すなわち空気の誘電率、dは接触部S1の空隙の平均的な距離、kは接触している面積の率によって決まる係数である。電圧Vs1は、駆動プーリ21の誘電体21bの表層部とベルト23との間にかかる電圧であり、数式1で求められる。
なお、従動プーリ22及びベルト23間に生じる単位面積当たりの静電吸着力Pを算出する場合は、数式6の右辺において、εairとして接触部S2の空隙の誘電率、dとして接触部S2の空隙の平均的な距離を用いる。さらに従動プーリ22に関する係数k、電圧Vs2を用いる。
図5は、実際に作製したプーリとベルトでの測定結果から算出した印加電圧と単位面積当たりの静電吸着力Pの関係の一例を示す図である。図5に示されるように、実験的にも印加電圧に2次比例して単位面積当たりの静電吸着力Pが増加することが確認されている。
従って、駆動プーリ21からベルト23への伝達可能な駆動力の増分ΔFは、数式6で求めた静電吸着力Pを数式5のPに代入することで求められる。増分ΔFは、プーリ−ベルト間にかかる電圧に2次比例して増加することがわかる。
これまでの説明では、主に駆動プーリ21とベルト23との間の伝達可能な駆動力についてであったが、従動プーリ22とベルト23との間に関しても同様にして伝達可能な駆動力を算出できる。
これまでの説明を踏まえた上で、過剰なジュール熱を発生させる原因となっている余分な伝達可能駆動力を述べると共に、静電吸着力の過剰分を削減することでジュール熱を低減する手法を説明する。まずは、過剰なジュール熱を発生させている伝達可能駆動力について述べる。
駆動伝達装置50では、駆動プーリ21と従動プーリ22とで、ベルト23の巻き付き長さが異なる。この状態において、各プーリ21、22とベルト23との間に同じ値の電圧を印加したとする。すると、単位面積当たり静電吸着力Pが同じであることから、ベルト巻き付き長さの短い駆動プーリ21の方が、ベルト巻き付き長さの長い従動プーリ22よりもベルト23との接触面積が小さい分、静電吸着力が小さくなる。
複数のプーリに巻回されたベルト駆動においては、滑りが発生するプーリは、伝達可能な駆動力が一番小さいプーリにおいて発生するので、減速系では系全体での伝達可能な駆動力は駆動プーリ側で律速されることになる。この場合、伝達可能駆動力が大きい従動プーリの伝達可能駆動力は、駆動プーリに対して大きい分は必要のない力であり、余分(過剰)となる。本実施の形態では駆動プーリ21で律速され、従動プーリ22で余剰の伝達可能駆動力が生じる。
また、電流量について考察する。プーリ21、22間で、巻き付き長さ以外の諸条件(誘電体21b、22bの厚みtや体積抵抗率、電極対向幅b等)が同じであるとする。この場合、接触部(S1、S2)と誘電体バルク部(B1、B2)を合わせた合計の抵抗値は、それぞれ巻き付き長さに反比例することになる。
ここで、駆動プーリ21の金属層21bとベルト23との間に介在する誘電体層21aに流れるベルト巻き付きの単位長さ当たりの電流量をi1とする。従動プーリ22の金属層22bとベルト23との間に介在する誘電体層22aに流れるベルト巻き付きの単位長さ当たりの電流量をi2とする。同じ印加電圧においては、電流量i1は電流量i2にほぼ等しくなる。従って、仮に印加電圧が同じだとすると(V=V)、巻き付き長さの長い従動プーリ22では、駆動プーリ21と比べて電流量は多くなる一方で伝達可能駆動力は余り、無駄な発熱が大きい状態となる。
そこで、ベルト巻き付きの単位長さ当たりの電流量i2を電流量i1よりも小さくなるようにするのが適切である。無駄な発熱を最も適切に抑制するためには、電流量i2<電流量i1とする際、伝達可能駆動力を駆動プーリ21と従動プーリ22とで一致させることが望ましい。しかし、電流量i2をある程度減らして電流量i2<電流量i1となるようにするだけでも、それに応じた発熱抑制効果は得られる。
以降、具体的な解決方法を説明する。
本実施の形態では、2つの独立した電圧印加部24、25を備え、ベルト巻き付き長さの長い従動プーリ22への印加電圧をベルト巻き付き長さの短い駆動プーリ21への印加電圧よりも小さい値に設定する(V<V)。発熱量は、プーリにかかる電圧と流れる電流によって決まる。従って、従動プーリ22において余分な伝達可能駆動力を削減することで、従動プーリ22とベルト23との間に流れる電流量を少なくし、発生するジュール熱を小さくする。
具体例として、駆動プーリ21と従動プーリ22のそれぞれにおいて伝達可能な駆動力(F、F)として2.5kgfを確保しようとした場合の、各プーリ21、22への印加電圧の設定を考える。
各プーリ21、22で必要となる単位面積当たりの静電吸着力P(P、P)の大きさを、数式4、6を用いて算出する。ベルト23の張力を与えるテンションTが0で、ベルト23とプーリ21、22間の摩擦係数μは0.3、電極対向幅bは共通で10mmとする。また上述したように、駆動プーリ21に関して、半径r=20mm、巻き付き角度θ=120度であり、従動プーリ22に関して、半径r=120mm、巻き付き角度θ=240度である。
すると、各プーリ21、22で必要となる単位面積当たりの静電吸着力P、Pの大きさは、駆動プーリ21でP=約400kPa、従動プーリ22でP=約37kPaとなる。そのような静電吸着力Pを発生させるために必要な電圧の値は、図5より、駆動プーリ21で520V、従動プーリ22では160Vで良いと分かる。
このような電圧(V=520V、V=160V)を印加した場合、各プーリで流れる電流は、駆動プーリ21の側で0.27mA、従動プーリ22の側で0.04mAとなる。また従動プーリ22での消費電力は、160×0.04=6.4mWとなる。
これに対し、本発明による解決手法の工夫を反映させない場合、すなわち、駆動プーリ21と従動プーリ22とに同じ520Vの電圧を印加した場合(V=V=520V)は、各プーリで流れる電流は次のようになる。すなわち、電流は駆動プーリ21の側で0.27mA、従動プーリ22の側で3.25mAとなる。また従動プーリ22での消費電力は、520×3.25=1690mWとなる。
この結果、本発明による工夫を反映させることで、従動プーリ22での消費電力は、1690mWから6.4mWに削減され、発熱量が大幅に下がる。従って、各プーリ21、22での必要な駆動力を確保しつつ、ベルト23及び各プーリ21、22間の全体の発熱量を低減することができる。
このように本実施の形態では、まず、プーリ21、22とベルト23との間に電位差を与えてプーリ21、22とベルト23とを静電的に吸着させることで摩擦力を増加させ、駆動力伝達時の滑りを抑制することができる。ギアを用いた伝達機構に比し、振動や騒音の発生も著しく少なくなる。
また、ベルト23の巻き付き長さが、第1のプーリ(駆動プーリ21)よりも第2のプーリ(従動プーリ22)の方が長い構成において、V<Vとした。すなわち、第1の電圧印加手段(電圧印加部24)が、第1のプーリの導電部(金属層21b)とベルト23との間に第1の電位差を与える。さらに、第2の電圧印加手段(電圧印加部25)が、第2のプーリの導電部(金属層22b)とベルト23との間に第1の電位差より小さい第2の電位差を与えるようにした。これにより、電流量i2<電流量i1となるようにし、ジュール熱を削減した。
よって、本実施の形態によれば、プーリ間でベルトの巻き付き長さの違いがあっても、振動や騒音の低減とプーリとベルトとの滑りの防止を図りつつプーリとベルトとの間の発熱を低く抑えることができる。
ひいては、過剰な発熱によるベルト23、プーリ21、22の形状変化や劣化、機内昇温を抑制でき、また、発熱による抵抗率変化や形状変化による接触状態変化を抑えることができる。このことから、静電力の安定化が図られ、安定した駆動力伝達ができる。消費電力の削減にも寄与する。
なお、適用可能な他の構成も各種考えられる。本実施の形態では、ベルトの巻き付き長さが駆動プーリ21よりも従動プーリ22において長い構成を例示した。しかしこれとは逆の場合には、印加電圧の大小関係を逆にすればよい。また、従動プーリが複数であってもよく、駆動プーリ及び従動プーリからなる複数のプーリのうち、あるプーリ(第1のプーリ)と、第1のプーリと比べてベルト23の巻き付き長さが長いプーリ(第2のプーリ)との関係で印加電圧の設定を考えればよい。すなわち、第2のプーリへの印加電圧を、第1のプーリへの印加電圧よりも小さく設定すればよい。望ましくは、第1のプーリは複数のプーリのうちベルトの巻き付き長さが最も短いプーリとする。
ベルト巻き付き長さが、従動プーリよりも駆動プーリの方が長い構成としては、駆動プーリの径が従動プーリの径より大きい増速系や、張架ローラや張架部材の追加によりベルト巻き付き角を変化させた系が考えられる。
なお、本実施の形態では、ベルト23を接地させたが、ベルト23を接地せずに電圧を印加する構成でもよく、プーリとベルト間に、ベルト巻き付き長さの大小関係を考慮した電圧がかかり、静電吸着力が発生する構成であればよい。
なお、誘電体層は、プーリ21、22に設けたが、代わりに、ベルト23のうちプーリ21、22の外周面に対向する側の面に設けてもよいし、プーリ21、22とベルト23との双方に設けてもよい。従って、ベルト23がプーリ21、22に巻回される領域において、ベルト23の導電部(金属層等)とプーリ21、22の導電部との間に誘電体層が介在するようにすればよい。なお、プーリが3以上になる場合、ベルト23の環状形状の外側に配置されるプーリが存在する場合もある。従って、ベルト23の環状形状の外側に誘電体層が設けられる構成も除外されない。
なお、静電吸着力の作用の把握を容易にするためにテンションTが0である場合を例示したが、テンションTを設けてもよい。その場合、伝達可能な駆動力には、テンションTによるものも考慮に加えればよい。
なお、ベルト23、駆動プーリ21、従動プーリ22については、電気的接続が阻害されない限り、各々の一部に導電性を有しない部分(樹脂部等)が存在していてもよい。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、電流量i2<電流量i1とするために、2つの独立した電圧印加部24、25を設けて電位差に差異を設けた。これに対し、本発明の第2の実施の形態では、電圧印加部が単一であっても、ベルト巻き付き長さの長い従動プーリ22への印加電圧をベルト巻き付き長さの短い駆動プーリ21への印加電圧よりも小さくできるようにする。
図6は、本実施の形態に係る駆動伝達装置50の斜視図である。図7(a)は、図6のC−C線に沿う断面図であり、印加される電圧を模式的に付加してある。図7(b)は、図7(a)のD−D線に沿う断面図である。図7(c)は、駆動伝達装置50の電気的性質を表す等価回路を示す図である。
本実施の形態では、第1の実施の形態に対して、プーリ21、22とベルト23との間へ電圧を印加する構成が相違し、その他の構成は同様である。
第1の実施の形態とは異なり、1つの電圧印加部24でありながら、ベルト巻き付き長さの長いプーリ(従動プーリ22)への電圧印加経路上に、外部抵抗32を直列に接続することによって、従動プーリ22とベルト23との間の電位差を小さくしている。すなわち、外部抵抗32が、従動プーリ22の金属層22bに対して電気的に直列に接続されている。
従動プーリ22の電圧印加経路上に直列に外部抵抗32を備えることで、電圧印加部24の電圧が、金属層22bとベルト23との間の抵抗(Rs2+Rb2)と、外部抵抗32とで分圧されるようになる。これによって、従動プーリ22とベルト23との間の電位差を小さくすることが可能となる。
具体例として、駆動プーリ21と従動プーリ22のそれぞれにおいて伝達可能な駆動力(F、F)として2.5kgfを確保しようとした場合の、各プーリ21、22への印加電圧の設定を考える。駆動力2.5kgfを確保するための静電吸着力Pを発生させるために必要な電圧の値は、第1の実施の形態と同様に、駆動プーリ21で520V、従動プーリ22では160Vである。
駆動プーリ21とベルト23との間の必要十分な電圧である520Vは、電圧印加部24の電圧設定を520Vとしてそのまま印加することで実現される。一方、従動プーリ22とベルト23との間の必要十分な電圧160Vは、その電圧印加経路上に直列に外部抵抗32を備えて、電圧印加部24の電圧520Vを分圧することによって実現する。
外部抵抗32の抵抗の設定値は、分圧を算出する下記の数式7を変形した数式8で求めることができる。

ここで、Rexは、求めたい外部抵抗32の抵抗値で、Vは電圧印加部24の電圧、Vは、従動プーリ22の金属層22bとベルト23との間にかかる電圧(電位差)である。また、Rは、従動プーリ22の金属層22bとベルト23との間の抵抗であり、従動プーリ22とベルト23との接触部S2の抵抗値Rs2と従動プーリ22の誘電体バルク部B2の抵抗値Rb2の和と等しい。抵抗Rは、従動プーリ22とベルト23との間に印加される電圧値によっても変化するため、ここでは160Vの電圧が印加されている時に流れる電流から求めた抵抗値を用いるとする。なお、160Vの電圧を従動プーリ22とベルト23との間に印加した時の電流を事前に測定するためには、外部抵抗無しにして電圧印加部24の電圧Vを160Vに設定すれば良い。
外部抵抗32により、電圧印加部24の電圧Vは、従動プーリ22の金属層22bとベルト23との間の抵抗Rj(Rs2+Rb2)にかかる電圧Vと外部抵抗32にかかる電圧Vexとに分圧される。電圧Vが160Vとなるようにするために、例えば、抵抗Rjが4MΩであった場合の外部抵抗32の抵抗値Rexは、数式8より9MΩと求めることができる。
次に、電力消費の違いを算出する。本発明による工夫を反映させない場合、すなわち、プーリ21、22に共に同じ520Vの電圧を印加した場合、従動プーリ22に流れる電流は3.25mAで、消費電力は1690mWであった。
本発明による工夫を反映させて外部抵抗32を加え、従動プーリ22とベルト23との間の電圧を160Vにすると、従動プーリ22に流れる電流は0.04mAとなり、消費電力は6.4mWとなって大幅に小さくなった。
本実施の形態によれば、ベルト巻き付き長さが第1のプーリ(駆動プーリ21)よりも長い第2のプーリ(従動プーリ22)に外部抵抗32を直列に接続することで、電流量i2<電流量i1となるようにし、ジュール熱を削減した。よって、プーリ間でベルトの巻き付き長さの違いがあっても、振動や騒音の低減とプーリとベルトとの滑りの防止を図りつつプーリとベルトとの間の発熱を低く抑えることに関し、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
なお、外部抵抗32における消費電力は14.4mWであり、従動プーリ22での消費電力と外部抵抗32での消費電力を合計しても、本発明による工夫を反映させない場合に比べれば消費電力の削減効果が大きい。なお、外部抵抗32を従動プーリ22やベルト23から離間配置すれば、ベルト23に与える外部抵抗32自体での発熱の影響は少なくなる。
なお、設ける抵抗素子としては外部抵抗32に限られず、代わりにツェナーダイオードを用いることで、一方のプーリには印加電圧を、他方のプーリには印加電圧とツェナー電圧の差分の電圧を印加するといった構成も採用可能である。
なお、適用可能な他の構成としては、第1の実施の形態で他の構成として説明したものの他に、ベルト23に電圧を印加し、プーリ21、22の金属層21b、22bをそれぞれ接地する構成にしても良い。
第1、第2の実施の形態では、第1のプーリの導電部とベルト23との間に与える第1の電位差と、第2のプーリの導電部とベルト23との間に与える第2の電位差とに差異を設ける方法を採用した。これに対し、以下に説明する第3〜第5の実施の形態では、各プーリの導電部とベルト23との間の電圧(電位差)が等しいままでも、静電吸着力の過剰分を減らす構成を採用する。その構成の概略としては、各プーリの導電部とベルト23との間の抵抗値を異ならせることにより、静電吸着力や電流量の過剰分を減らすものである。
(第3の実施の形態)
図8は、第3の実施の形態に係る駆動伝達装置50の斜視図である。図9(a)は、図8のE−E線に沿う断面図であり、印加される電圧を模式的に付加してある。図9(b)は、図9(a)のF−F線に沿う断面図である。図9(c)は、駆動伝達装置50の電気的性質を表す等価回路を示す図である。
本実施の形態では、プーリの導電部とベルトとの間の抵抗値を変化させる方法として、ベルト巻き付き長さの違いに応じてプーリの導電部とベルト23とが対向するベルト巻き付きの単位長さ当たりの接触面積を変える。
図9(a)に示すように、第1の実施の形態に対し、ベルト巻き付き長さの長い側の従動プーリ22の金属層22bの幅(電極幅Lと記す)を狭くする。電極幅Lを小さくすることに応じてベルト23との対向幅bが小さくなり、ベルト巻き付きの単位長さ当たりの接触面積が小さくなる。
電極の役割を担っている従動プーリ22の金属層22bを幅狭にし、誘電体層22aが金属層22bの外周面だけでなく側面も覆って露出する構造となっている。ただし、金属層22bに電圧印加部24から導電性ブラシ28bを用いて電圧印加するために、金属層22bの側面には誘電体層22aに覆われない部分を設ける必要がある。電圧印加手段としては第2の実施の形態と同じように電圧印加部24が1つ設けられるが、外部抵抗32は設けない(図9(b)、(c))。その他の構成は第2の実施の形態と同様である。
具体例として、駆動プーリ21の金属層21bと従動プーリ22の金属層22bの幅(電極幅L)が第1の実施の形態では共に10mmであったのに対し、本実施の形態では金属層22bの電極幅Lだけを2mmと小さくした場合を考える。
駆動プーリ21の金属層21bと従動プーリ22の金属層22bとには、共に電圧印加部24によってV=520Vの等しい電圧が印加されている。520Vの電圧印加時における金属層22bとベルト23との間の抵抗値は、電極幅Lが10mmである場合は160kΩであったが、電極幅Lを2mmにしたことで接触面積が5分の1となり、抵抗値は5倍の800kΩとなった。
従って、520Vの電圧印加時に従動プーリ22に流れる電流量は、電極幅Lが10mmの場合は3.25mAであったものが、電極幅Lを2mmにしたことで0.65mAへと減少した。電力消費については、電極幅Lが10mmの場合は1690mWであったものが、電極幅Lを2mmにしたことで338mWに大幅に低減された。
駆動プーリ21に流れる電流量は第1の実施の形態と同様に0.27mAである。従動プーリ22へのベルト巻き付き長さは駆動プーリ21の12倍であるから、ベルト巻き付きの単位長さ当たりの電流量に関して、本実施の形態でも、電流量i2<電流量i1が成立している。
次に伝達可能な駆動力を考える。520Vの電圧をプーリ及びベルト間に印加した時の単位面積当たりの静電吸着力Pは、図5より400kPaである。テンションTが0で、ベルト及びプーリ間の摩擦係数μは0.3とする。数式4から、静電吸着力Pが加わった場合の伝達可能な駆動力Fは、2.5kgfである。
従動プーリ22において、電極幅Lが10mmであった場合の伝達可能駆動力は27.3kgfで、駆動プーリ21に比べ過剰だったものが、電極幅Lを2mmとしたことで5.5kgfへと、過剰分をかなり減らすことができている。系全体の伝達可能駆動力はベルト巻き付き長さの短い駆動プーリ21の側の伝達可能駆動力で律速されるため、従動プーリ22の電極幅Lを2mmに小さくすることによる系全体の伝達可能駆動力に変化はない。
本実施の形態によれば、従動プーリ22において電極幅Lを小さくすることで、金属層22bとベルト23とが対向する接触面積を小さくし、ベルト巻き付き長さの長い従動プーリ22における過剰な伝達可能駆動力を削減することができる。これにより、プーリ間でベルトの巻き付き長さの違いがあっても、振動や騒音の低減とプーリとベルトとの滑りの防止を図りつつプーリとベルトとの間の発熱を低く抑えることに関し、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
なお、ベルト23とプーリとのベルト巻き付きの単位長さ当たりの接触面積を変更する方法は、プーリの電極幅Lの変更に限るものでない。他の方法として、プーリの誘電体層幅を小さくすることでも可能である。また、幅方向に限らず、接触面にジグザグ等の各種パターンを形成することによって接触面積を変更することも可能である。また、図10に変形例を示すように、プーリ形状をクラウン形状等にして接触面に対して高さ方向の違いを施す構成を採用してもよい。
図10は、変形例の従動プーリ22を採用した駆動伝達装置50の断面図である。従動プーリ22において、金属層22b及び誘電体層22aを共に幅方向に湾曲させて凸形状とする。すなわち、従動プーリ22の支持軸に平行な断面視において、従動プーリ22の外周部が丸みを帯びた形状となっている。これにより、電極として機能する金属層22bがベルト23と対向する実質的な接触面積が小さくなる。
また、他の方法として、ベルト23に接するプーリの外周面を粗くすることによって接触面積を小さくすることも可能である。ベルト23に接するプーリの表面粗さの変更方法としては、旋盤を用いて表面を削る方法や、遊離砥粒を分散させた研磨材によって表面を研磨するラッピング研磨や、研磨剤を吹き付けるサンドブラストなどが考えられる。
なお、誘電体層を、ベルト23のうちプーリに対向する側の面に設けた場合は、プーリの電極(金属層)の形状を変更することで接触面積を変更することが可能となる。
(第4の実施の形態)
図11(a)は、第4の実施の形態に係る駆動伝達装置50の断面図であり、図9(a)に対応する。図11(b)は、図11(a)のG−G線に沿う断面図である。図11(c)は、駆動伝達装置50の電気的性質を表す等価回路を示す図である。
本実施の形態では、プーリの導電部とベルトとの間の抵抗値を変化させる方法として、プーリの導電部である誘電体層の厚さ、すなわち膜厚tを変更する。ベルト巻き付き長さの長い従動プーリ22の誘電体層22aの膜厚tを大きくすることで従動プーリ22とベルト23との間の抵抗を大きくし、従動プーリ22に流れる電流量を減らして電力消費による発熱を抑える。
具体的には、第3の実施の形態では、駆動プーリ21と従動プーリ22の各誘電体層21a、22aの膜厚tが共に同じ70μmであったが、本第4の実施の形態では従動プーリ22の誘電体層22aのみ、膜厚tを280μmへと厚くする。電圧印加手段としては第3の実施の形態と同じように電圧印加部24が1つ設けられ、ベルト23に対する接触面積については駆動プーリ21と従動プーリ22とで同じとする。その他の構成は第3の実施の形態と同様である。
駆動プーリ21の金属層21bと従動プーリ22の金属層22bとには、共に電圧印加部24によってV=520Vの等しい電圧が印加されている。520Vの電圧印加時における従動プーリ22の金属層22bとベルト23との間の抵抗値は、誘電体層22aの膜厚t=70μmである場合には160kΩであった。このとき、従動プーリ22とベルト23との間の抵抗は、接触部S2の抵抗Rs2と誘電体バルク部B2の抵抗Rb2で構成され、それぞれの抵抗値は約120kΩ、約40kΩであった。
これに対し、本実施の形態において誘電体層22aの膜厚t=280μmとした場合の従動プーリ22とベルト23との間の抵抗は520kΩとなり、誘電体バルク部B2の抵抗Rb2は4倍の約480kΩとなった。つまり、接触部S2の抵抗Rs2は約40kΩのままで、抵抗Rb2が大きくなった。
なおここで、誘電体バルク部B2の抵抗Rb2については、ベルト23と接する従動プーリ22の誘電体層22aの表面に金属を蒸着させて、誘電体層22aの両端に電圧印加した時の電流から求めることができる。接触部S2の抵抗Rs2については、従動プーリ22の金属層22bとベルト23との間の抵抗値から抵抗Rb2を引くことで求めることができる。
本実施の形態では、誘電体層22aの膜厚tを70μmから280μmに厚くすることで抵抗が160kΩから520kΩに大きくなり、従動プーリ22に流れる電流量は、3.25mAから1mAに減らすことができた。従動プーリ22における電力消費は、1690mWから520mWに減らすことができた。
駆動プーリ21に流れる電流量は第1の実施の形態と同様に0.27mAである。従動プーリ22へのベルト巻き付き長さは駆動プーリ21の12倍であるから、ベルト巻き付きの単位長さ当たりの電流量に関して、本実施の形態でも、電流量i2<電流量i1が成立している。
本実施の形態によれば、プーリ間でベルトの巻き付き長さの違いがあっても、振動や騒音の低減とプーリとベルトとの滑りの防止を図りつつプーリとベルトとの間の発熱を低く抑えることに関し、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
なお、誘電体バルク部B2の抵抗Rb2を大きくすることにより、接触部S2にかかる電圧が小さくなり、静電吸着力は小さくなる。その結果、従動プーリ22における過剰な静電吸着力を小さくすることもできている。
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態では、プーリの導電部とベルトとの間の抵抗値を変化させる方法として、プーリの導電部である誘電体層の体積抵抗率を変更する。ベルト巻き付き長さの長い従動プーリ22の誘電体層22aの体積抵抗率を大きくすることで従動プーリ22とベルト23との間の抵抗を大きくし、従動プーリ22に流れる電流量を減らして電力消費による発熱を抑える。
図12は、誘電体層22aの体積抵抗率を変えた場合の従動プーリ22における印加電圧と電流との関係を示す図である。図12からわかるように、誘電体層22aの体積抵抗率を大きくすることによって、流れる電流が小さくなり、電力消費が抑制される。
第1〜第4の実施の形態では、ベルト巻き付き長さの短い駆動プーリ21の誘電体層21aとベルト巻き付き長さの長い従動プーリ22の誘電体層22aの体積抵抗率が共に同じ1×1011Ω・cmであった。これに対し本実施の形態では、従動プーリ22の誘電体層22aのみ、体積抵抗率を5×1011Ω・cmへと大きくする。電圧印加手段としては第3の実施の形態と同じように電圧印加部24が1つ設けられ、ベルト23に対する接触面積については駆動プーリ21と従動プーリ22とで同じとする。その他の構成は第3の実施の形態と同様である。
駆動プーリ21の金属層21bと従動プーリ22の金属層22bには、共に電圧印加部24によってV=520Vの等しい電圧が印加されている。誘電体層22aの体積抵抗率を1×1011Ω・cmである場合には、従動プーリ22に流れる電流量が3.25mAであった。しかし、誘電体層22aの体積抵抗率を5×1011Ω・cmに大きくしたことで電流量は0.15mAに減少した。従動プーリ22における電力消費は1690mWから78mWに減少し、電力消費による発熱が抑えられた。
駆動プーリ21に流れる電流量は第1の実施の形態と同様に0.27mAである。従動プーリ22へのベルト巻き付き長さは駆動プーリ21の12倍であるから、ベルト巻き付きの単位長さ当たりの電流量に関して、本実施の形態でも、電流量i2<電流量i1が成立している。
本実施の形態によれば、プーリ間でベルトの巻き付き長さの違いがあっても、振動や騒音の低減とプーリとベルトとの滑りの防止を図りつつプーリとベルトとの間の発熱を低く抑えることに関し、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
なお、誘電体層22aが大きくなると、同じ印加電圧がかかった場合の静電吸着力は小さくなる。その結果、従動プーリ22における過剰な静電吸着力を小さくすることもできている。
ところで、これまで説明した第3〜第5の実施の形態は、ベルト巻き付き長さの異なるプーリ間において、プーリの導電部とベルトとの間の抵抗値を変更することにより電流量や静電吸着力の過剰分を減らす構成であった。しかし、このような工夫を施さない場合、すなわち、巻き付きの単位長さ当たりの誘電体層とベルトとの接触面積、誘電体層の体積抵抗率、及び、誘電体層の膜厚tが、プーリ間で等しいままである場合を考える。この場合は、プーリへのベルト巻き付き長さとプーリとベルトとの間の抵抗値を乗じた値は等しい。これは、ベルト巻き付き長さが長いほど抵抗値が小さくなるからである。
この例として、第1の実施の形態と同様に駆動プーリ21の半径rが20mm、駆動プーリ21へのベルト巻き付き角度θが120度、従動プーリ22の半径rが120mm、従動プーリ22へのベルト巻き付き角度θが240度の場合を述べる。従動プーリ22側のベルト巻き付き長さは駆動プーリ21側より12倍だけ長い。このときのベルト23との間の抵抗値は、従動プーリ22については160kΩ、駆動プーリ21については1920kΩであり、従動プーリ22の抵抗値は駆動プーリ21の抵抗値の12分の1の値であった。このように、他の諸条件が同じであるとすると、プーリへのベルト巻き付き長さとプーリとベルトとの間の抵抗値を乗じた値は等しい。
第3〜第5の実施の形態において、ベルト巻き付き長さに抵抗値を乗じた値をプーリ間で比較してみる。まず、ベルト巻き付き長さの長い側の従動プーリ22のベルト巻き付き長さと従動プーリ22とベルト23との間の抵抗値を乗じた値を乗算値R−22と記す。一方、ベルト巻き付き長さの短い側の駆動プーリ21のベルト巻き付き長さと駆動プーリ21とベルト23との間の抵抗値を乗じた値を乗算値R−21とする。第3〜第5の実施の形態ではいずれも、乗算値R−22が乗算値R−21よりも大きくなっている。このように、巻き付きの単位長さ当たりの接触面積、誘電体層の膜厚、または誘電体層の体積抵抗率の少なくともいずれかをプーリ間で異ならせて、R−22>R−21となるようにすることで、電流量や静電吸着力の過剰分を減らすことができる。
なお、R−22>R−21とすることに関して、ベルト巻き付き長さに接触部Sの抵抗Rを乗じた値で考えてもよい。すなわち、ベルト巻き付き長さに電気的な接触抵抗値を乗じた値につき、ベルト巻き付き長さの短い側よりも長い側のプーリの値を大きくする。これは例えば、ベルト巻き付きの単位長さ当たりの接触面積を、ベルト巻き付き長さの長い側のプーリにおいて小さくすることで実現される。
ところで、上記各実施の形態において、ベルト23が巻回されるプーリは複数でもよく、例えば従動プーリが2つである構成例を図13、図14を用いて説明する。
図13は、変形例として従動プーリが2つある構成の駆動伝達装置50の斜視図である。図14は、駆動伝達装置50の電気的性質を表す等価回路を示す図である。
この構成においては、一本のベルト23と、駆動プーリ21と、複数(ここでは2つ)の従動プーリ22、27とを備える。モータ20によって回転駆動される駆動プーリ21の回転力を、ベルト23を介して従動プーリ22と従動プーリ27とに伝達し、それぞれ回転軸30Y、30Mを介して感光ドラム1Y、1Mへと伝達させる構成となっている。
駆動プーリ21の半径やベルトの巻き付き角度は第1の実施の形態と同じである。従動プーリ22、27の半径は共に120mm、ベルトの巻き付き角度は共に120度であり、プーリ径の違いによって駆動プーリ21から従動プーリ22、27までにおいて減速される減速系となっている。
図14において、従動プーリ27の金属層27bは、従動プーリ22の金属層22bに対応する。電位差V3、接触部S3、電圧Vs3、抵抗Rs3、誘電体バルク部B3、抵抗Rb3は、電位差V2、接触部S2、電圧Vs2、抵抗Rs2、誘電体バルク部B2、抵抗Rb2に対応する。
従動プーリ22、27におけるベルト巻き付きの単位長さ当たりの電流量i2を駆動プーリ21における電流量i1よりも小さくなるようにする構成について、第1の実施の形態と同じ手法を採用した例を代表として説明する。
第1の実施の形態に対して、電圧加手段として従動プーリ27に対応する電圧印加部26を追加する。そして、ベルト巻き付き長さの長い従動プーリ22、27への印加電圧をベルト巻き付き長さの短い駆動プーリ21への印加電圧より小さい値とする。これにより、第1の実施の形態と同様に、従動プーリ22、27における過剰な伝達可能駆動力を削減し、また、流れる電流が小さくなることで発生するジュール熱を小さくすることができる。
具体的に、駆動プーリ21、従動プーリ22、27における伝達可能な駆動力として2.5kgfを達成しようとした場合の各プーリへの印加電圧の設定を考える。ベルト23の張力を与えるテンションTが0で、ベルト23と各プーリ21、22、27間の摩擦係数μは0.3とする。各プーリで必要となる単位面積当たりの静電吸着力の大きさを、数式4を用いて算出する。
必要となる単位面積当たりの静電吸着力の大きさは、駆動プーリ21で約400kPa、従動プーリ22、27で約67kPaとなる。図5から、必要な単位面積当たりの静電吸着力を発生させるための印加電圧は、駆動プーリ21でV=520V、従動プーリ22、27ではV=V=210Vで良いと分かる。
従動プーリ22、27に210Vの電圧を印加した時に従動プーリ22、27に流れる電流量は0.14mAとなり、消費電力はそれぞれ29.4mWとなる。
一方、このような工夫を反映させないで駆動プーリ21と従動プーリ22、27とに同じ520Vの電圧を印加した場合は、各プーリで流れる電流は、駆動プーリ21で0.27mA、従動プーリ22、27で1.63mAとなる。従動プーリ22、27での消費電力はそれぞれ845mWとなる。
よって、従動プーリ22、27への印加電圧を小さくすることで、電流量、消費電力が削減され、発熱量も減少する。
なお、図13、図14の構成において、印加電圧を下げる工夫を従動プーリ22、27のいずれか1つのみに施した場合であっても、それに応じた発熱抑制効果は得られる。
なお、図13、図14に例示したような従動プーリが複数ある構成において、第2〜第5の実施の形態で挙げたのと同様の工夫を採用してもよい。
なお、上記各実施の形態において、駆動伝達装置50による回転力の伝達対象となる被駆動部と駆動源とは、複数組設けてもよく、各組に対して本発明を適用することができる。また、被駆動部と従動プーリとの連結、駆動源と駆動プーリとの連結は、直接でなく間接的であってもよい。
本発明は、画像形成装置に限られず、シート処理装置やその他の各種装置にも適用可能である。また、画像形成装置に適用する場合でも、電子写真方式に限られず、熱転写方式、インクジェット方式等の他の方式の画像形成装置にも適用可能である。例えば、インクジェット方式においては、キャリッジを駆動するためのキャリッジベルトが被駆動部となり得る。熱転写方式においては、プラテンローラが被駆動部となり得る。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
1 感光ドラム
20 モータ
21 駆動プーリ
22、27 従動プーリ
21a、22a 誘電体層
21b、22b 金属層
23 ベルト
24、25、26 電圧印加部
50 駆動伝達装置

Claims (10)

  1. 導電部を有し、駆動源によって回転駆動される駆動プーリと、
    導電部を有し、被駆動部に直接または間接的に連結される少なくとも1つの従動プーリと、
    導電部を有し、前記駆動プーリ及び前記従動プーリに巻回されるベルトとを有し、
    前記駆動源の回転力が、前記駆動プーリ、前記ベルト及び前記従動プーリを介して前記被駆動部に伝達される駆動伝達装置であって、
    前記駆動プーリ及び前記従動プーリに誘電体層が設けられるか、前記ベルトに誘電体層が設けられるか、または前記駆動プーリ及び前記従動プーリと前記ベルトとの双方に誘電体層が設けられ、前記設けられた誘電体層が、前記ベルトが前記駆動プーリに巻回される領域において前記ベルトの前記導電部と前記駆動プーリの前記導電部との間に介在すると共に、前記ベルトが前記従動プーリに巻回される領域において前記ベルトの前記導電部と前記従動プーリの前記導電部との間に介在し、
    前記駆動プーリの前記導電部と前記ベルトの前記導電部との間に電位差を与えて両者を静電的に吸着させると共に、前記従動プーリの前記導電部と前記ベルトの前記導電部との間に電位差を与えて両者を静電的に吸着させる電圧印加手段を有し、
    前記駆動プーリ及び前記少なくとも1つの従動プーリからなる複数のプーリには、第1のプーリと、前記ベルトの巻き付き長さが前記第1のプーリよりも長い第2のプーリとが存在し、
    前記第2のプーリの前記導電部と前記ベルトの前記導電部との間に介在する前記誘電体層に流れる前記ベルトの巻き付きの単位長さ当たりの電流量を、前記第1のプーリの前記導電部と前記ベルトの前記導電部との間に介在する前記誘電体層に流れる前記ベルトの巻き付きの単位長さ当たりの電流量よりも小さくすることを特徴とする駆動伝達装置。
  2. 前記電圧印加手段は、第1の電圧印加手段と、該第1の電圧印加手段とは別個の第2の電圧印加手段とを有し、
    前記第1の電圧印加手段は、前記第1のプーリの前記導電部と前記ベルトの前記導電部との間に第1の電位差を与えると共に、
    前記第2の電圧印加手段は、前記第2のプーリの前記導電部と前記ベルトの前記導電部との間に前記第1の電位差より小さい第2の電位差を与えることを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置。
  3. 前記第2のプーリの前記導電部に対して電気的に直列に接続される抵抗素子を有し、
    前記電圧印加手段は、前記抵抗素子と前記ベルトの前記導電部との間に電位差を与えることを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置。
  4. 前記第2のプーリへの前記ベルトの巻き付き長さに前記第2のプーリの前記導電部と前記ベルトの前記導電部との間の電気的な抵抗値を乗じた値は、前記第1のプーリへの前記ベルトの巻き付き長さに前記第1のプーリの前記導電部と前記ベルトの前記導電部との間の電気的な抵抗値を乗じた値より大きいことを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置。
  5. 前記第2のプーリへの前記ベルトの巻き付き長さに前記第2のプーリの前記導電部と前記ベルトの前記導電部との間の電気的な接触抵抗値を乗じた値は、前記第1のプーリへの前記ベルトの巻き付き長さに前記第1のプーリの前記導電部と前記ベルトの前記導電部との間の電気的な接触抵抗値を乗じた値より大きいことを特徴とする請求項4に記載の駆動伝達装置。
  6. 前記第2のプーリと前記ベルトとの、巻き付きの単位長さ当たりの接触面積は、前記第1のプーリと前記ベルトとの、巻き付きの単位長さ当たりの接触面積より小さいことを特徴とする請求項5に記載の駆動伝達装置。
  7. 前記誘電体層は、前記第1のプーリと前記第2のプーリとに設けられ、前記第2のプーリに設けられた前記誘電体層の体積抵抗率は、前記第1のプーリに設けられた前記誘電体層の体積抵抗率より大きいことを特徴とする請求項4に記載の駆動伝達装置。
  8. 前記誘電体層は、前記第1のプーリと前記第2のプーリとに設けられ、前記第2のプーリに設けられた前記誘電体層の膜厚は、前記第1のプーリに設けられた前記誘電体層の膜厚より大きいことを特徴とする請求項4に記載の駆動伝達装置。
  9. 前記誘電体層の体積抵抗率は1×10Ω・cm以上1×1014Ω・cm未満であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の駆動伝達装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の駆動伝達装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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