JP2018072392A - 駆動力伝達装置および駆動力伝達装置の駆動制御方法、画像形成装置 - Google Patents

駆動力伝達装置および駆動力伝達装置の駆動制御方法、画像形成装置 Download PDF

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徹 阪野
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星児 原
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Abstract

【課題】 プーリと平ベルトとの滑りを抑制し、かつ、静音性よく駆動力を伝達する。
【解決手段】
導電層が形成された第1のプーリが回転軸に固着され、かつ、導電層が形成された第2のプーリが駆動モータの駆動軸に固着され、第1のプーリと第2のプーリとの外周に沿って平ベルトを巻回した状態で、第2のプーリの回転駆動力を平ベルトに伝達することで第1のプーリを回動させる駆動力伝達装置において、第1のプーリの導電層と、第2のプーリの導電層とに所定の電圧を印加すると、第1のプーリまたは第2のプーリの外周曲面と接触する平ベルトの電導層との間で静電吸着力が発生することで、当該平ベルトが振動しても、当該平ベルトの振動音を積層された質量層で静音化することを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、駆動力伝達装置および駆動力伝達装置の駆動制御方法、画像形成装置に関するものである。
従来、画像形成装置をはじめとする各種の装置において、モータ等の駆動源の回転力を被駆動部に伝達する駆動力伝達装置が設けられる。
例えば、画像形成装置において、駆動源としてのモータの駆動力を、ギアを介して、被駆動部としての感光体ドラムや中間転写ベルトを駆動する駆動ローラに伝達する構成が採用されている。しかし、この構成では、駆動力が入力されるギア(駆動入力ギア)と出力されるギア(従動ギア)との間の回転伝達誤差(特にかみあい伝達誤差)が起振力となって振動が発生する。ギアで発生した振動が軸、軸受、板金などのギア支持部材に伝わり、大きな騒音を発生させてしまう可能性があった。
そこで、ギアに替えて、駆動プーリ及び従動プーリとそれらに巻回されるベルト(いわゆる平ベルト)とを用い、プーリとベルトとの間の摩擦力を利用して、モータの回転駆動力をベルトへ伝達する構成が検討されている。しかしながら、この構成において大きな駆動力を伝達しようとすると、プーリとベルトとの間で滑りが生じてしまい、モータの駆動力を被駆動部へと伝達することができないおそれがある。
そこで、プーリとベルトとを静電的に吸着させて、プーリとベルトとの滑りを抑制する技術が知られている(特許文献1)。この技術では、プーリとしての駆動ローラの芯金にバイアスを印加することにより、駆動ローラと中間転写ベルトとの間に静電吸着力を作用させ、駆動ローラの駆動力を中間転写ベルトに伝達している。
特開平8−146783号公報
特許文献1の技術では、駆動ローラ(プーリ)と中間転写ベルトとの間にだけ静電吸着力を作用させているので、駆動ローラ以外の、中間転写ベルトを張架している複数のローラ(従動ローラ)と中間転写ベルトとの間で滑りが発生するおそれがある。
特に、従動ローラによって被駆動部が駆動される構成を考えた場合、被駆動部が大きな負荷であると、従動ローラとベルトとの滑りが発生しやすくなる。つまり、特許文献1の構成では、ベルトと従動ローラの間において滑りが発生するので、駆動源の回転力を被駆動部へと高精度に伝達することができないという問題があった。
また、特許文献1の技術では、駆動ローラの芯金にバイアスを印加し、中間転写ベルトが分極することで、駆動ローラと中間転写ベルトとの間に静電吸着力を発生させているため、大きな吸着力を発生させることが困難であった。
さらに、特許文献1においては、中間転写ベルトの剥離部における吸着力ばらつき、ベルトを張架するテンションローラの押圧力変動によって、ベルト長さ、張力、質量に起因した弦振動が誘発される。
特に、静電吸着力を大きくすると、吸着力のムラが相対的に大きくなるために、ベルトの振動による騒音も大きくなるという課題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、プーリと平ベルトとの滑りを抑制し、かつ、静音性よく駆動力を伝達できる仕組みを提供することである。
上記目的を達成する本発明の駆動力伝達装置は以下に示す構成を備える。
導電層が形成された第1のプーリが回転軸に固着され、かつ、導電層が形成された第2のプーリが駆動モータの駆動軸に固着され、前記第1のプーリと第2のプーリとの外周に沿って平ベルトを巻回した状態で、前記第2のプーリの回転駆動力を前記平ベルトに伝達することで前記第1のプーリを回動させる駆動力伝達装置であって、前記第1のプーリの導電部と、前記第2のプーリの導電層とに所定の電圧を印加する電圧印加手段を有し、前記平ベルトは、前記第1、第2のプーリの外周側から誘電層と、導電層と、質量層とを所定の質量条件を満たすように積層した。
本発明によれば、プーリと平ベルトとの滑りを抑制し、かつ、静音性よく駆動力を伝達できる。
画像形成装置の構成を説明する断面図である。 画像形成部、一次転写部、および二次転写部の詳細を示す図である。 駆動力伝達装置の構成を示す図である。 駆動力伝達装置の各々の構成部品の配置を示す断面図である。 図3の(b)のA部に示した駆動プーリとベルトの構成を示す断面図である。 駆動力伝達装置に印加する電圧の等価回路を示す図である。 駆動力伝達装置に印加する電圧と駆動力との対応を示す特性図である。 駆動プーリに回巻されるベルトの積層構造を示す拡大図である。 無端ベルトの耐久性を説明する図である。 駆動力伝達装置が発生する振動音対策を説明する特性図である。 無端ベルトの他の構成例を説明する図である。 駆動力伝達装置の他の構成例を示す図である。 駆動力伝達装置の他の構成例を示す図である。
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
<システム構成の説明>
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態を示す駆動力伝達装置を適用する画像形成装置の構成を説明する断面図である。本画像形成装置では、無端の平ベルトが巻回される駆動プーリ(図3参照)に回転駆動力を伝達する手段として、駆動力伝達装置を構成した例である。より具体的には、導電性を有する第1のプーリが回転軸に固着され、かつ、導電性を有する第2のプーリが駆動モータの駆動軸に固着され、前記第1のプーリと第2のプーリとの外周に沿って平ベルトを巻回した状態で、前記第2のプーリの回転駆動力を平ベルトに伝達することで第1のプーリを回動させる構成を備えている。
図1において、画像形成装置100は、中間転写ベルト9に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部PY、PM、PC、PKを配置したフルカラーレーザビームプリンタである。
画像形成部PYでは、後述する無端の平ベルト23により回転力が伝達される従動プーリ22が感光ドラム1Yの回転軸に固着されている。感光ドラム1Yは電子写真プロセスにより、ドラム表面に形成された潜像がイエロートナーで現像される。感光ドラム1Yが回転することで、現像されたイエロートナーは、第一転写部TYにおいて一次転写ローラ5Yによって中間転写ベルト9に一次転写される。画像形成部PM、PC、PKでも同様に、感光ドラム1M、1C、1Kにマゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像が形成され、順次重ね合わせて中間転写ベルト9に一次転写される。なお、電子写真プロセスは、図示しないコントローラ部が備えるCPUが制御プログラムを実行することで実現される。すなわち、本実施形態に示す駆動力伝達装置を上記CPUが無端の平ベルト23の回転駆動状態を制御することで、静電吸着力による振動の発生を抑制しながら画像形成を実行することが可能となる。
中間転写ベルト9は、駆動ローラ13、テンションローラ12、バックアップローラ10に掛け渡して支持され、駆動ローラ13の回転に伴って矢印B方向に回転する。中間転写ベルト9は一次転写ローラ5Y〜5Kによって図中上方向に張り上げられ、感光ドラム1Y〜1Kとの間で第一転写部TY〜TKが形成される。
各画像形成部PY、PM、PC、PKから転写され、中間転写ベルト9に担持されたトナー像は、中間転写ベルト9の回転に伴って二次転写部T2へ搬送され、記録材Pへ二次転写される。
記録材Pは、給紙カセット19から給紙ローラ14によって引き出され、分離装置15によって1枚ずつに分離されてレジストローラ16へ送り出される。レジストローラ16は、中間転写ベルト9に担持されたトナー像に先頭を一致させて、記録材Pを二次転写部T2へ給送する。
トナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置17へ受け渡されて加熱加圧を受けることにより、表面に画像が定着される。
中間転写ベルトクリーニング装置18は、不図示の駆動源によって中間転写ベルト9と接触または離間可能に設置されている。通常印刷時には中間転写ベルトクリーニング装置18は中間転写ベルト9に接触し、二次転写部T2を通過して中間転写ベルト9に残った転写残トナーを除去する。
中間転写ベルト9へのトナー像の転写を伴わないレーザー光量調整モード、転写電圧調整モード動作時には、中間転写ベルト9の劣化を防止するために中間転写ベルトクリーニング装置18は中間転写ベルト9から離間されるように位置が調整される。
続いて、図2を参照して画像形成部、一次転写部、および二次転写部の詳細を説明する。
図2は、図1に示した画像形成部、一次転写部、および二次転写部の詳細を示す図である。なお、画像形成部PY、PM、PC、PKは、付設された現像装置4Y、4M、4C、4Kで用いるトナーがイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は同様に構成される。従って、以下では、イエローの画像形成部PYについて説明し、画像形成部PM、PC、PKについては、説明を省略する。
画像形成部PYは、感光ドラム1Yの周囲に、帯電装置2Y、露光装置3Y、現像装置4Y、一次転写ローラ5Y、クリーニング装置6Yを配置する。感光ドラム1Yは、アルミニウム製シリンダの外周面に、帯電極性が負極性の有機光導電体層を塗布して構成され、矢印A方向に回転する。
帯電装置2Yは、電源D3から負極性の電圧を印加されて、感光ドラム1Yの表面に帯電粒子を照射することにより、感光ドラム1Yの表面を一様な負極性の電位に帯電する。
露光装置3Yは、イエローの分解色画像を展開した走査線画像データに従ってON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査し、感光ドラム1Y表面へ照射する。これにより、帯電した感光ドラム1Yの表面に画像データに対応した静電像が形成される。
現像装置4Yは、トナーに磁性キャリアを混合した二成分現像剤を攪拌してトナーを負極性に帯電させる。帯電したトナーは、固定磁極4jの周囲で感光ドラム1Yとカウンタ方向に回転する現像スリーブ4sに穂立ち状態で担持されて、感光ドラム1Yを摺擦する。
電源D4は、負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧を現像スリーブ4sに印加し、現像スリーブ4sよりも相対的に正極性となった感光ドラム1Yの静電像へトナーを付着させて、静電像をトナー像として現像する。
一次転写ローラ5Yは、感光ドラム1Yとの間に中間転写ベルト9を挟持して、感光ドラム1Yと中間転写ベルト9との間に一次転写部TYを形成する。電源D1は、正極性の直流電圧を一次転写ローラ5Yに印加して、負極性に帯電して感光ドラム1Yに担持されたトナー像を、一次転写部TYを通過する中間転写ベルト9へ一次転写させる。クリーニング装置6Yは、クリーニングブレードを感光ドラム1Yに摺擦して、一次転写部TYを通過して感光ドラム1Yの表面に残留した転写残トナーを除去する。
二次転写ローラ11は、中間転写ベルト9を介してバックアップローラ10に圧接し、中間転写ベルト9と二次転写ローラ11との間に二次転写部T2を形成する。
二次転写部T2は、中間転写ベルト9のトナー像に重ね合わせて記録材Pを挟持搬送し、記録材Pが二次転写部T2を通過する過程で、中間転写ベルト9から記録材Pへトナー像を二次転写させる。
電源D2は、正極性の直流電圧を二次転写ローラ11に印加して、バックアップローラ10と中間転写ベルト9と記録材Pと二次転写ローラ11との直列回路に転写電流を流す。転写電流は中間転写ベルト9から記録材Pへのトナーの移動に関与する。
図3は、本実施形態を示す駆動力伝達装置の構成を示す図である。なお、図3の(a)は、駆動プーリ21、従動プーリ22と無端の平ベルト23との配置状態を斜視的に示した図であり、図3の(b)は、図3の(a)中のX−Xで示す斜め破断線における断面図である。つまり、図3の(b)はモータ20の回転軸の軸方向の断面図である。
図3において、駆動力伝達装置50は、図3の(a)に示すように、無端の平ベルト23が駆動プーリ21と従動プーリ22とに掛け回されている。更に、駆動力伝達装置50は、平ベルト23の外周面にテンションローラ35が接触している。なお、平ベルト23の内周面には駆動プーリ21と従動プーリ22が接触している。電圧印加手段24a、24bは、駆動プーリ21、従動プーリ22と平ベルト23とを静電的に吸着させるため、ブラシ28a、28b、及び28cを介して電圧を印加する。これにより、平ベルト23と駆動プーリ21との摩擦力が増大して平ベルト23と駆動プーリ21との滑りが抑制され、平ベルト23と従動プーリ22との摩擦力が増大して平ベルト23と従動プーリ22との滑りが抑制される。
なお、本実施形態では、駆動力伝達装置50によって、駆動源の回転駆動力が伝達されて回転駆動する感光ドラム1Kの回転軸30Kを例示し、駆動プーリ21を回転させる駆動源としてはモータ20を例示する。
駆動力伝達装置50を画像形成装置100に適用する場合、被駆動部の例としては、回転して画像形成に関わる動作を行う構成要素が適しており、感光ドラム1Kの他には、中間転写ベルト9を駆動する駆動ローラ13や、定着装置17内の定着ローラ等が適している。しかしこれらに限定されるものではなく、駆動分配への適用など、駆動伝達を必要とするあらゆる箇所に適している。
駆動プーリ21は、電圧印加手段24aにより電圧を印加することが可能な導電性を有した円筒形状のもので、モータ20の出力軸20aに絶縁部材34aを介して結合される。駆動プーリ21の半径は、例えば10[mm]、幅も10[mm]とする。
従動プーリ22は、駆動プーリ21と同様に、電圧印加手段24bにより電圧を印加することが可能な導電性を有した円筒形状のもので、軸30Kに絶縁部材34bを介して結合される。軸30Kは、感光ドラム1Kへと接続される。従動プーリ22の半径は、例えば40[mm]、幅は10[mm]とする。
テンションローラ35は円筒形状の導電性部材である。テンションローラ35の半径は、例えば5[mm]、幅も10[mm]とする。テンションローラ35は、軸34cに結合しており、軸34cは圧縮バネ36によって平ベルト23へ付勢されている。圧縮バネ36はテンションローラ35の軸34cを押し上げ、テンションローラ35が平ベルト23を押圧した状態を保持する。
駆動プーリ21と無端の平ベルト23との接触面で摩擦力によって平ベルト23に駆動力が伝達される。無端の平ベルト23に駆動力が伝わり無端の平ベルト23が回転すると、無端の平ベルト23と従動プーリ22との接触面での摩擦力によって従動プーリ22に駆動力が伝達される。従動プーリ22と感光ドラム1Kは回転軸30Kを介して接続されているので、従動プーリ22の駆動力は感光ドラム1Kに伝達される。以下より、駆動力伝達装置50の伝達可能な駆動力について説明する。
図4は、図3の(b)に示したY−Y破線における断面図である。本実施形態では、軸支される導電性の第1のプーリである従動プーリ22と、駆動モータの駆動軸に固着される導電性の第2のプーリである駆動プーリ21とが位置決めされた状態で、第1のプーリと第2のプーリの外周曲面に沿うように巻回される平ベルトを有する駆動力伝達装置を例とする。
図4に示すように、無端の平ベルト23は、駆動プーリ21、従動プーリ22に接する側に誘電層23a、中間層に導電層23b、外側に質量層23cを有する3層構造である。誘電層23aは、導電性カーボンが分散されたポリイミドの樹脂材料で構成され、体積抵抗率が1×109〜1×1014[Ω・cm]程度に抵抗調整され、厚さは約70[μm]、幅は約10[mm]である。導電層23bはNiで形成され、厚さは100[nm]程度である。質量層23cは導電性カーボンが分散されたゴムで構成され、体積抵抗率が5〜1×103[Ω・cm]、厚さは600[μm]である。
電圧印加手段24aは、導電性ブラシ28aを介して駆動プーリ21に直流電圧を印加する。導電性ブラシ28cは、平ベルト23を接地するため、平ベルト23に接触するテンションローラ35に接触している。これによって、駆動プーリ21と無端の平ベルト23の間には電位差が生じるので、駆動プーリ21と平ベルト23の間に静電吸着力が発生する。また、電圧印加手段24bは、導電性ブラシ28bを介して従動プーリ22に直流電圧を印加する。なお、テンションローラ35は導電性ブラシ28cを介して接地されている。これによって、従動プーリ22と無端の平ベルト23の間には電位差が生じるので、従動プーリ22と平ベルト23との間に静電吸着力が発生する。
テンションローラ35は駆動プーリ21と無端の平ベルト23の巻き付き角を大きくすることで、静電吸着力が作用する面積を大きくしている。無端の平ベルト23と駆動プーリ21の巻き付き角は、例えば180°、無端の平ベルト23と従動プーリ22の巻き付き角は例えば265°とする。
図5は、図3のA部に示した駆動プーリ21と無端の平ベルト23の構成を示す断面図である。無端の平ベルト23には、その外周側に誘電層と、導電層と、質量層とが所定の質量条件を満たすように積層される。
図5において、無端の平ベルト23の導電層23b、質量層23cの幅は、誘電層23aの幅よりも狭く、プーリ表面との沿面距離を長くして、誘電層23aを回り込んでプーリ21、及び22と導電層23bとの間に生じる放電を防止している。なお、平ベルト23の搬送中に平ベルト23の蛇行を抑制するために、駆動伝達装置はベルト規制部材としてプーリ21、及び22にリブが形成される可能性がある。この場合、平ベルト23の誘電層23aの幅を導電層23bの幅よりも狭くすることによって、導電層23bとリブとの間に生じる放電を防止することができる。以上のように構成することで、駆動プーリ21および従動プーリ22と無端の平ベルト23の間に静電吸着力を発生させ、駆動伝達に必要とする摩擦力を増大させている。なお、無端の平ベルト23に付与される初期張力は例えば0.5[kgf]である。
なお、本実施形態において、無端の平ベルト23の各層の質量条件は、導電層23bと、誘電層23aとの各質量を加算した加算値が質量層23cの質量より小さくなるように設定している。
図6は、本実施形態を示す駆動力伝達装置に印加する電圧の等価回路を示す図である。図6の(a)は、誘電層23a、及び質量層23cの電圧状態を説明する等価回路図である。図6の(b)は、駆動伝達装置50の電気的性質を示す等価回路図である。
以下、駆動力伝達装置50の伝達可能な駆動力の最大値を増大させるために利用している駆動プーリ21と無端の平ベルト23の間に発生する静電吸着力について説明する。
駆動プーリ21と無端の平ベルト23との電気的接続状態は、図6の(a)に示すような等価回路で表現される。ここで、Cb1は誘電層23aの静電容量成分、Rb1は誘電層23aの抵抗成分である。質量層23cの抵抗値は誘電層23aの抵抗値に比べて非常に小さいので、接地された質量層23cと導電層23bは同電位であるとみなし、説明を進める。このような構成で、電圧印加手段24aにより駆動プーリ21に直流電圧を印加すると、静電容量成分Cb1、抵抗成分Rb1の大きさに応じて、静電容量成分Cb1に電荷が蓄積され、その結果静電吸着力が発生する。
また、駆動力伝達装置50の全体の等価回路は、図6の(b)に示す回路図で表現できる。図6の(b)は、図6の(a)の等価回路に、従動プーリ22の構成を加えたものである。ここでも、印加電圧、各静電容量成分Cb1、Cb2、抵抗成分Rb1、Rb2の大きさに応じて電荷が蓄積され、駆動プーリ21および従動プーリ22と無端の平ベルト23の導電層23bとの間には静電力が発生し、電気的に吸着する。
このように静電吸着力が発生した結果、無端の平ベルト23と駆動プーリ21および従動プーリ22との間の垂直抗力が増して摩擦力が増大するため、滑りを抑制し、伝達可能な駆動力を増加させることが可能となる。
次に、電圧印加手段24a,24bにより直流電圧を印加することで発生する静電吸着力の作用により、伝達可能な駆動力が増加することについて説明する。
無端の平ベルト23によって駆動伝達を行う場合、駆動プーリ21の回転駆動力によってプーリに掛かる前後のベルト張力に差が生じ、この張力差によって従動プーリ22へ駆動力が伝達される。ここで、従動プーリ22に伝達される駆動力はこの張力差に等しい。
こうした駆動伝達において、伝達可能な駆動力即ち発生可能な張力差は、駆動プーリ21、従動プーリ22とベルト間に発生し得る最大の摩擦力に依存する。一般に、静電吸着力を用いないベルト駆動伝達では、伝達可能な駆動力F1はオイラーの公式より数1で表される。
Figure 2018072392

数1で、Tはベルトに張力を与えるテンション、θはベルトのプーリへの巻き付き角度、μはベルトとプーリ間の摩擦係数である。さらに、静電吸着力が加わった場合の伝達可能な駆動力F2は、単位面積あたりの静電吸着力をP、プーリの半径をr、ベルトの幅をbとすると、数2で表される。
Figure 2018072392

つまり、静電吸着力が加わったことによる伝達可能な駆動力の増分FはF2とF1の差分であり、数3で表される。
Figure 2018072392

ここで、本実施形態における駆動プーリ21と無端の平ベルト23間に生じる単位面積当たりの静電吸着力P1は、コンデンサの電極間に働く力として考えることができ、数4で表される。
Figure 2018072392

数4で、εは無端の平ベルト23の誘電層23aの誘電率、dは厚さ、V1は駆動プーリ21と無端の平ベルト23の導電層23cとの間にかかる電圧である。
したがって、駆動プーリ21から無端の平ベルト23への伝達可能な駆動力は数4を数3に代入することで求められ、伝達可能な駆動力はプーリ−ベルト間にかかる電圧の二乗に比例して増加することがわかる。
図7は、印加電圧と伝達可能駆動力との実験結果である。縦軸は伝達可能駆動力[kgft」を示し、横軸は印加電圧[V]を示す。図7の実験結果からもわかるように、印加電圧の二乗に比例して伝達可能駆動力が増加する。
さて、上述した説明は駆動プーリ21と無端の平ベルト23との間の伝達可能駆動力についてであったが、従動プーリ22に関しても同様に伝達可能駆動力が算出できる。
但し、本実施形態の駆動力伝達装置50において、従動プーリ22と駆動プーリ21とは、無端の平ベルト23の巻き付き角度θ、プーリの半径rが異なるため、伝達可能な駆動力が異なる。
従動プーリ22は、駆動プーリ21に比べて無端の平ベルト23の巻き付き角度θおよびプーリの半径rが大きい。つまり、従動プーリ22と平ベルト23との接触面積は駆動プーリ21と平ベルト23との接触面積よりも大きい。
すると、従動プーリ22と無端の平ベルト23との間の静電吸着力は駆動プーリ21と平ベルト23との間の静電吸着力より大きくなる。
その結果、従動プーリ22は駆動プーリ21よりも伝達可能な駆動力が大きくなる。駆動力伝達装置50は、例えば、従動プーリ22に印加される電圧が駆動プーリ21に印加される電圧よりも小さくても、平ベルト23の滑りを発生することなく、駆動力を伝達することが可能である。以上が駆動力伝達装置50全体の伝達可能駆動力についての説明である。
以下、画像形成装置のベルトの弦振動の発生要因について説明する。
上記で説明した静電吸着力はマクロな視点からみると、均一に働いているように見えるが、ミクロな視点で見ると、無端の平ベルト23の誘電層23aのカーボン分散のばらつきや、表面凸凹の影響により、吸着力は不均一に働いている。したがって、プーリ21、及び22と平ベルト23との剥離位置はばらつきが生じるため、無端の平ベルト23がばたつく。これによって、無端の平ベルト23の弦振動が図4のC1、C2部において誘発される。またテンションローラ36の押圧力の変動によっても誘発される。
誘発される無端の平ベルト23の弦振動の固有振動数は数5で表される。
Figure 2018072392

数5でfnはn次のベルト固有振動数、Lはベルト弦の長さ、Sはベルト張力、ρは無端の平ベルト23の線密度である。
次いで、無端の平ベルト23の弦振動を抑制する駆動制御方法について説明する。
無端の平ベルト23の弦振動を抑制するには、弦振動を誘発する起振源を抑え、弦振動の振幅を低減すればよい。または、無端の平ベルト23の弦振動によって発生する音を抑制するには、平ベルト23の重量を増加させ、固有振動数を低周波域、つまり聴覚特性の低い周波数域にシフトさせればより。
弦振動の原因は、剥離位置のばらつきによる平ベルト23のばたつき、テンションローラ35の押圧力の変動が挙げられる。剥離位置のばらつきを抑えるためにローラを配置することが考えられるが、ローラ支持部材も必要となり、スペースが必要となる。またテンションローラ36の押圧力の変動は抑制しきれない。
一方で、無端の平ベルト23に質量を増加し、弦振動の固有振動数を聴覚特性の低い周波数域にシフトさせ、騒音を抑える方法は、剥離部にローラを配置するよりも安価で、テンションローラ36の押圧力変動に対しても効果的である。
したがって、本実施形態では固有振動数を変化させ、騒音を抑えることを目的として、無端の平ベルト23は、質量層23cが積層された3層ベルトを採用している。数5に示す式を用いて、1次の固有振動数fが例えば、1[kHz]未満となる線密度ρ_tgtを求め、平ベルト23の線密度がρ_tgtとなるように質量層23cの質量を設定すればよい。なお、線密度ρは平ベルト23の質量Mを平ベルト23の面積Sで除算した値を、さらに、平ベルト23の長さLで除算した単位長さ当たりの密度に相当する。平ベルト23の面積Sと長さLとは予め決まっているので、線密度の目標値ρ_tgtとなるように質量Mを調整すればよい。
以下より、本実施形態を示す駆動力伝達装置における弦振動抑制する構成を説明する。
最初に、誘電層23a、導電層23bの2層構成ではなく、質量層23cを新たに付与した3層構成にする理由を2層構成での課題をあげて説明する。以下の説明では、2層構成で質量を4倍にし、弦振動の固有振動数を半分にする場合を例にとって説明する。なお、質量を増加する方法は3つあるので、順に説明する。
〔第1の課題〕
まず誘電層23aの質量を増す場合について説明する。この方法で所望の質量を得るためにはおよそ500[μm]厚くしなければならない。すると、抵抗値が8倍に増加するため、消費電力も8倍に増加してしまう。
〔第2の課題〕
次に無端の平ベルト23の幅を広くする場合について説明する。この方法で所望の質量を得る場合は、幅を2倍にしなければならない。したがって、スペースが2倍必要になる。さらに、平ベルト23の幅が2倍になると、弦振動の起振源の面積が2倍になり、聴覚特性の低い周波数にシフトできたとしても音圧レベルが増加してしまうという問題もある。
〔第3の課題〕
最後に導電層23bの質量を増す場合について説明する。この方法で、所望の質量を得るためには、250[μm]厚くしなければならないため、平ベルト23の耐久性に課題が発生し得る。詳細について図8を用いて、以下で説明する。
図8は、図1に示した駆動プーリ21に回巻されるベルトの積層構造を示す拡大図である。
図8において、駆動プーリ21に無端の平ベルト23が架かったときを示している。無端の平ベルト23内部の中立面位置をd、ベルト内側をマイナス、外側をプラス、また中立面位置での曲率半径をR、中立面の位置からの距離をyとする。中立面とは圧縮ひずみ、引張ひずみの起こらない架空の面のことをいい、2層の場合の中立面の位置を求める式は数6で表される。
Figure 2018072392

数6で、dは中立面の位置であり、誘電層23a、導電層23bの境界層からの距離とし、導電層23bのヤング率をE1・厚みをh1とし、誘電層23aのヤング率をE2とし、厚みをh2とする。この中立面を境にベルトの各層には圧縮あるいは引張応力が生じる。圧縮・引張応力を求める式は数7で表される。
Figure 2018072392

数7で、σは応力、Eはヤング率、yは中立面からの位置、Rは中立面位置の曲率半径を示す。
上記数6より、導電層23bを厚くする場合、中立面の位置dが厚みの大きい導電層23bに移動し、誘電層23aの最外部は中立面からの距離yが大きくなるため、誘電層23aにかかる繰り返し圧縮・引張応力の和、すなわち応力振幅が増加する。
図9は、図3に示した無端の平ベルト23の耐久性を説明する図であり、縦軸に応力振幅、横軸に耐久回数を示す。
図9には、誘電層23aのSN曲線に対し、2層の平ベルトにおいて導電層の厚みを変えていない状態での耐久回数(図9の"ref")と、2層の平ベルトにおいて導電層の厚みを厚くした耐久回数(図9の"導電層厚み大")と、3層構造の平ベルトの耐久回数(図9の"質量層有")とをプロットした。2層の平ベルトにおいては、導電層の厚みが増加すると当該導電層の応力振幅が5倍程度に増加するため、耐久回数は指数関数的に減少する。発明者の実験によれば8分の1程度になる。以上で説明したように、2層ベルトでは騒音、消費電力、耐久性の課題が発生する。
本実施形態では、誘電層23a、導電層23bを薄層化し、無端の平ベルト23自体の質量を大きくするために、新たに質量層23cを設けることで、消費電力、高耐久性、低騒音化の課題1〜3を解決するものである。以下に課題1〜3の順番に沿ってその詳細について説明する。
〔第1の課題の考察〕
平ベルト23は、薄層化した2層ベルトに新たに質量層23cを付与するものであり、誘電層23aの厚みを増加させないので消費電力はほとんど変わらない。
〔第3の課題の考察〕
平ベルト23は、3層における中立面の位置dを保護対象の2層の内部に存在するようにしておけばよく、数8の3層構成における中立面の位置dが数9に示す2層の範囲内に存在すればよい。
Figure 2018072392

数8で、導電層のヤング率・厚みをE1、h1、誘電層のヤング率・厚みをE2、h2、質量層のヤング率・厚みをE3、h3する。
高耐久性を満たす条件式は数9で示される。
Figure 2018072392
例えば、誘電層23aの厚み70[μm]、ヤング率20[GPa]、導電層23bの厚み0.1[μm]、ヤング率70[GPa]、所望の質量に相当する厚み600[μm]、ヤング率280[MPa]の導電ゴムで構成された質量層23cの3層構成の場合、上記中立面の位置dは-32[μm]となり、誘電層内部に存在する。誘電層にかかる応力振幅は図9の質量層有のプロットで示すように、refの場合とほとんど変わらないため、耐久回数もrefに比べてほとんど変わらないことから、導電層23bを厚くする方法に対して有利であることが分かる。
〔第2の課題の考察〕
駆動力伝達装置50の静音効果の実験結果を説明する。
図10は、駆動力伝達装置50が発生する振動音対策を説明する特性図である。なお、縦軸は音圧パワー[db]を示し、横軸は周波数[Hz]を示す。
図10に示す実験例では、図1に示した駆動力伝達装置で行ない、駆動速度は600[rpm]、印加電圧は400[V]で吸着力を発生させ、図1に示したC1部の騒音を測定し、スペクトルを解析した。騒音データを質量層有りと、質量層無しと、に分けて測定した例である。
図10において、質量層無において、弦振動の1次、2次のピークがa、bに見られる。一方で、質量層有は弦振動のピークがa'、b'にシフトしていることが分かる。a'、b'のピークレベルはA特性Filterの影響により、a、bに比べて低減しており、質量層有の音圧レベルの低減効果は3[dBA]である。
駆動力伝達装置50によれば、低振動・低騒音化を目的とした噛み合いのないベルトとプーリを用いた構成において、特有の課題であるプーリとベルトとの滑りを抑えることができる。
さらに無端ベルトを質量層を含む3層構造にし、無端ベルトの質量を増加させ、弦振動の固有振動数を聴覚特性の低い周波数域にシフトさせることで、特有の課題である弦振動音を低減できる。
さらに、無端ベルトの質量層のヤング率・厚みを調整し、中立面の位置が誘電層あるいは導電層内部に存在するようにすることで、2層構造と同様の耐久性を維持できる。
なお、駆動力伝達装置50は上記構成に限定されるものではなく、無端ベルトを導電層、質量層としてプーリ表面に誘電層を有する構成としてもよいし、ベルト・プーリ両方に誘電層を有する構成でもよい。さらに無端ベルトは平ベルトに限らず、プーリとの間で摩擦伝達を行うVベルトやVリブベルトなどでもよい。
また、質量層23cに絶縁性材料を適用する場合は図11に示すように、質量層23cの幅を導電層23bよりも小さくし、導電層23bの端部を導電性ブラシで接地してもよい。また図3の(a)のテンションローラ35の形状はローラ形状に限らず、ブレード形状、クラウン形状であってもよい。支持方法はバネに限定されず、所定の位置に押圧されているのであれば、どんな支持方法であってもよい。
〔第2実施形態〕
図12は、本実施形態を示す駆動力伝達装置の構成を説明する図であり、図12の(a)は断面図を示し、図12の(b)は駆動力伝達装置50に印加する電圧系統を示す電気的な等価回路を示す。なお、第1実施形態と同一のものには同一の符号を付して、説明を省略する。
図12の(a)のように、印加電圧の構成は、駆動プーリ21を接地し、従動プーリ22に電圧を印加し、無端の平ベルト23の導電層23bをフロートとしている。ここで、第1実施形態の電気的な構成を並列構成、本実施形態の電気的な構成を直列構成と呼ぶ。
このような直列構成にすると、無端の平ベルト23の導電層23bは、駆動プーリ21と従動プーリ22の電位の中間電位となる。すると、駆動プーリ21と無端の平ベルト23、および従動プーリ22と無端の平ベルト23の間にはそれぞれ電位差が発生し、それぞれのプーリと無端の平ベルト23との間に静電吸着力が発生し、プーリと無端の平ベルト23の滑りを抑制する。
本実施形態を示す駆動力伝達装置50においても、第1実施形態と同様に、静電吸着力から伝達可能駆動力を算出することができる。ただし、第1実施形態の並列構成では、径の小さい駆動プーリ21で伝達可能駆動力が小さくなったが、本実施形態の直列構成では、径の大きい従動プーリ22で伝達可能駆動力が小さくなる。その理由を以下に説明する。
従動プーリ22と駆動プーリ21とで、無端の平ベルト23の巻き付き角度θ、各プーリの半径r、各プーリとベルト間にかかる電圧Vが異なるため、伝達可能な駆動力は異なる。
従動プーリ22では、駆動プーリ21に比べて無端の平ベルト23の巻き付き角度θおよびプーリの半径rは大きくなっている。
一方、従動プーリ22の方が駆動プーリ21よりも無端の平ベルト23との接触面積が大きいため、図12の(b)に示した等価回路における抵抗成分が小さくなり、プーリとベルト間にかかる電圧Vは小さくなる。
即ち図12の(b)においてV1>V2となる。前述したように伝達可能な駆動力はプーリ−ベルト間にかかる電圧Vに依存する。このため、伝達可能な駆動力は、巻き付き角度θおよびプーリ半径rが大きくなることよりもプーリとベルト間に係る電圧Vが小さくなることがより大きく作用し、従動プーリ22の方が駆動プーリ21よりも小さくなる。
このように、従動プーリ−ベルト間にかかる伝達可能な駆動力が小さくなる点が第1実施形態に示した駆動力伝達装置とは構成が異なる。
本実施形態に示す駆動力伝達装置によれば、第1実施形態と同様に、無端の平ベルト23に質量層23cを設けることで、弦振動の固有振動数を低域にシフトさせることができるため、騒音を低減することが可能である。
なお、本実施形態の駆動力伝達装置は、上記構成に限定されるものではなく、無端ベルトを導電層、質量層としてプーリ表面に誘電層を有する構成としてもよいし、ベルト・プーリ両方に誘電層を有する構成でもよい。
また、無端ベルトは平ベルトに限らず、プーリとの間で摩擦伝達を行うVベルトやVリブベルトなどでもよい。さらに質量層の材料は絶縁性、導電性どちらでもよい。
〔第3実施形態〕
本実施形態は、第1実施形態と同様の画像形成装置であり、備えられる駆動伝達経路、ベルトの構成、駆動力伝達装置における電圧の印加方法に関する構成が第1実施形態と異なる。本実施形態ではその相違点についてのみ説明し、他の部分に関する詳細な説明は省略する。
図13は、本実施形態を示す駆動力伝達装置の構成を説明する断面図である。本例では駆動力伝達装置50に印加される電圧を模式的に示してある。
本実施形態では、駆動伝達力は駆動プーリ21と無端の平ベルト23との接触面で摩擦力によって無端の平ベルト23に駆動力が伝達される。無端の平ベルト23に駆動力が伝わり無端の平ベルト23が回転すると、無端の平ベルト23と従動プーリ22、60との接触面での摩擦力によって従動プーリ22、60に駆動力が伝達される。
従動プーリ22、60と回転体である感光ドラム1K、1Cは回転軸30K、30Cを介して接続されているので、従動プーリ22、60の駆動力は感光ドラム1K、1Cに伝達される。駆動プーリ21の伝達の経路が2つに分岐されている点、無端の平ベルト23の構成は、従動プーリ22、60に接触する面から誘電層23a、導電層23b、導電性ゴムで構成された質量層23c、導電層23b、誘電層23aの5層となっている点、また駆動力伝達装置の印加電圧方法は駆動プーリ21、従動プーリ22、60に電圧印加手段24によって印加電圧を発生させ、無端の平ベルト23の質量層23cに接地をし、プーリ21、22、60と無端の平ベルト23に静電吸着力を発生させており、ベルト両面に静電吸着力を発生させている点が、上記第1実施形態および第2実施形態とで構成が異なる。
本実施形態に示した駆動力伝達装置によれば、第1、第2実施形態と同様に、プーリ、ベルト間に静電吸着力を発生し、駆動力を伝達することができ、弦振動による騒音を低減することが可能である。
なお、本実施形態に示す駆動力伝達装置は、ここまで説明した構成に限定されるものではなく、質量層23cを絶縁性材料で構成し、導電層23bの2か所を接地する構成としてもよい。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステムまたは装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えばASIC)によっても実現可能である。
20・・・モータ
21・・・駆動プーリ
22・・・従動プーリ
23・・・無端ベルト
23a・・・誘電層
23b・・・導電層
23c・・・質量層
24a・・・電圧印加手段
24b・・・電圧印加手段

Claims (7)

  1. 導電性を有する第1のプーリが回転軸に固着され、かつ、導電性を有する第2のプーリが駆動モータの駆動軸に固着され、前記第1のプーリと第2のプーリとの外周に沿って平ベルトを巻回した状態で、前記第2のプーリの回転駆動力を前記平ベルトに伝達することで前記第1のプーリを回動させる駆動力伝達装置であって、
    前記第1のプーリと、前記第2のプーリとに所定の電圧を印加する電圧印加手段を有し、
    前記平ベルトは、前記第1、第2のプーリの外周側から誘電層と、導電層と、質量層とを所定の質量条件を満たすように積層したことを特徴とする駆動力伝達装置。
  2. 前記質量条件は、導電層と、誘電層との各質量を加算した加算値が質量層の質量より小さいことを特徴とする請求項1に記載の駆動力伝達装置。
  3. 前記平ベルトの外周側から接触して、前記第1のプーリと、前記第2のプーリとに巻回される前記平ベルトの巻き付け角を調整するテンションローラを備えることを特徴とする請求項1に記載の駆動力伝達装置。
  4. 導電性を有する第1のプーリが回転軸に固着され、かつ、導電性を有する第2のプーリが駆動モータの駆動軸に固着され、前記第1のプーリと第2のプーリとの外周に沿って誘電層と、導電層と、質量層とを所定の質量条件を満たすように積層した平ベルトを巻回した状態で、前記第2のプーリの回転駆動力を前記平ベルトに伝達することで前記第1のプーリを回動させる駆動力伝達装置の駆動制御方法であって、
    前記第1のプーリと前記第2のプーリに所定の電圧を印加し、前記第1のプーリと前記平ベルトとが接触する曲面、および前記第2のプーリと前記平ベルトとが接触する曲面との間で静電吸着力を発生させることを特徴とする駆動力伝達装置の駆動制御方法。
  5. 請求項1に記載の駆動力伝達装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
  6. 前記画像形成装置が備える第1のプーリは、前記画像形成装置の回転体の回転軸に固着したことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 前記回転体は、感光ドラムであることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
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