JP2018124331A - 駆動伝達装置及び駆動伝達装置を備えた画像形成装置 - Google Patents

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Toru Miyazawa
徹 宮澤
有里 森
Yuri Mori
有里 森
木山 耕太
Kota Kiyama
耕太 木山
直井 雅明
Masaaki Naoi
雅明 直井
馬場 久年
Hisatoshi Baba
久年 馬場
修平 浜田
Shuhei Hamada
修平 浜田
峰人 柳生
Mineto Yagyu
峰人 柳生
星児 原
Seiji Hara
星児 原
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Abstract

【課題】振動や騒音の低減を確保しつつ、駆動及び従動の双方のプーリとベルトとの滑りを防止して駆動プーリの回転力を従動プーリへ高精度に伝達する駆動伝達装置を提供する。
【解決手段】駆動源20と、回転駆動される駆動プーリ21と、被駆動部に直接または間接的に連結される従動プーリ22と、駆動プーリ21および従動プーリ22に巻き回されたベルト23を備え、駆動源20の回転力を駆動プーリ21およびベルト23および従動プーリ22を介して被駆動部に駆動を伝達する駆動伝達装置であって、駆動プーリ21または従動プーリ22の少なくとも一方に、複数に分割された導電部23bを有し、導電部23bを有するプーリとベルト23の導電部23bは誘電体層23aを介して接触するように配置され、導電部23bを有するプーリと、ベルトの導電部23b間に電位差を与えて、プーリとベルト23を静電的に吸着させて、滑りを防止する。
【選択図】図4

Description


本発明は、駆動源の回転力をベルトを介して被駆動部に伝達する駆動伝達技術に関する。
従来、画像形成装置をはじめとする各種の装置において、モータ等の駆動源の回転力を被駆動部に伝達する駆動伝達装置が設けられる。
例えば、画像形成装置において、駆動源としてのモータの駆動力を、ギアを介して、被駆動部としての感光体ドラムや中間転写ベルトを駆動する駆動ローラに伝達する構成が採用されている。しかし、この構成では、駆動力が入力されるギア(駆動入力ギア)と出力されるギア(従動ギア)との間の回転伝達誤差(特にかみあい伝達誤差)が起振力となって振動が発生する。ギアで発生した振動が軸、軸受、側板などのギア支持部材に伝わり、大きな騒音を発生させてしまう可能性があった。
そこで、ギアに替えて、駆動プーリ及び従動プーリとそれらに巻回されるベルト(いわゆる平ベルト)とを用い、プーリとベルトとの間の摩擦力を利用して、モータの回転駆動力をベルトへ伝達する構成が検討されている。しかしながら、この構成において大きな駆動力を伝達しようとすると、プーリとベルトとの間で滑りが生じてしまい、モータの駆動力を被駆動部へと伝達することができないおそれがある。
そこで、プーリとベルトとを静電的に吸着させて、プーリとベルトとの滑りを抑制する技術が知られている(特許文献1)。この技術では、プーリとしての駆動ローラの芯金にバイアスを印加することにより、駆動ローラと中間転写ベルトとの間に静電吸着力を作用させ、駆動ローラの駆動力を中間転写ベルトへと伝達している。
特開平8−146783号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、駆動ローラ(プーリ)と中間転写ベルトとの間にだけ静電吸着力を作用させているので、駆動ローラ以外の、中間転写ベルトを張架している複数のローラ(従動ローラ)と中間転写ベルトとの間で滑りが発生するおそれがある。特に、従動ローラによって被駆動部が駆動される構成を考えた場合、被駆動部が大きな負荷であると、従動ローラとベルトとの滑りが発生しやすくなる。つまり、特許文献1の構成では、ベルトと従動ローラの間において滑りが発生するので、駆動源の回転力を被駆動部へと高精度に伝達することができないという問題があった。
また、特許文献1の技術では、駆動ローラの芯金にバイアスを印加し、中間転写ベルトが分極することで、駆動ローラと中間転写ベルトとの間に静電吸着力が発生させているため、大きな吸着力を発生させることが困難であった。
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、駆動源を駆動させることによって生じる振動や騒音を低減すると共に、駆動源の回転力を被駆動部に高精度に伝達することにある。
上記目的を達成するために本発明は、駆動源と、駆動源によって回転駆動される駆動プーリと、被駆動部に直接または間接的に連結される従動プーリと、前記駆動プーリおよび前記従動プーリに巻き回されたベルトを備え、前記駆動源の回転力を前記駆動プーリおよび前記ベルトおよび前記従動プーリを介して前記被駆動部に駆動を伝達する駆動伝達装置であって、前記駆動プーリまたは前記従動プーリの少なくとも一方に、複数に分割された導電部を有し、 前記ベルトにも導電部を有し、導電部を有する前記プーリと前記ベルトの前記導電部は誘電体層を介して接触するように配置され、前記導電部を有するプーリにおいて絶縁層を介して隣り合う前記導電部に電位差を与えると共に、前記導電部を有するプーリと、前記ベルトの導電部間に電位差を与える電圧印加手段を備えることを特徴とする。
本発明によれば、駆動源を駆動させることによって生じる振動や騒音を低減すると共に、駆動源の回転力を被駆動部に高精度に伝達できる。また、ベルトへの給電が不要なため、給電部材とベルト間の摺擦音を無くせる。
第1の実施の形態に係る駆動伝達装置の斜視図 第1の実施形態の駆動伝達装置を備える画像形成装置の構成を説明する図 第1の実施形態の駆動伝達装置を備える画像形成部の構成を説明する図 図1のX−X断面図 第1の実施の形態の駆動伝達装置の電気的な等価回路を説明する図 第1の実施の形態の駆動伝達装置における印加電圧と静電吸着力と、駆動伝達力の関係を説明する図 第1の実施の形態の電圧印加手段を1つにした場合の駆動伝達装置の断面図 第1の実施の形態の電圧印加手段を1つにした場合の駆動伝達装置の電気的な等価回路を説明する図 第2の実施の形態の駆動伝達装置の断面図 第2の実施の形態の駆動伝達装置の電気的な等価回路を説明する図 第3の実施の形態の駆動伝達装置の断面図 第3の実施の形態の駆動伝達装置の電気的な等価回路を説明する図 第4の実施の形態の駆動伝達装置の断面図 第4の実施の形態の駆動伝達装置の電気的な等価回路を説明する図 第5の実施の形態に係る駆動伝達装置の斜視図と断面図 第5の実施の形態に係る駆動伝達装置の駆動プーリ表面の展開した模式図 第5の実施の形態に係る駆動伝達装置の変形例の断面図 第6の実施の形態に係る駆動伝達装置の斜視図 図18のX−X断面図 第6の実施の形態の駆動伝達装置の電気的な等価回路を説明する図 第7の実施の形態に係る駆動伝達装置の斜視図 図21のX−X断面図 巻き付き時間と静電吸着力を説明する図 第8の実施の形態の駆動伝達装置の静電吸着力の算出過程を説明する図 第8の実施の形態による静電吸着力が増加する時間を説明する図 静電吸着力および時定数に関わるパラメータを説明する図 体積抵抗により時定数調整をした際の効果の説明図 印加電圧により時定数調整をした際の効果の説明図 第9の実施の形態の駆動伝達装置の断面図 第9の実施の形態の駆動伝達装置の電気的な等価回路を説明する図 第9の実施の形態の少ない電圧印加手段により各プーリの静電吸着力を設定する場合の駆動伝達装置の断面図と電気的な等価回路を説明する図 第9の実施の形態の少ない電圧印加手段により各プーリの静電吸着力を設定する場合の駆動伝達装置の電気的な等価回路を説明する図 第9の実施の形態で外部抵抗を使う場合の駆動伝達装置の断面図 第9の実施の形態で外部抵抗を使う場合の駆動伝達装置の電気的な等価回路を説明する図 第10の実施の形態のベルトの断面構造を説明する図 第10の実施の形態の駆動伝達装置の電気的な等価回路を説明する図 第11の実施の形態に係る駆動伝達装置の断面図 第12の実施の形態の感光ドラムへの駆動伝達を説明する模式図 感光ドラムと中間転写ベルトの接触離間動作の説明図 第12の実施の形態の感光ドラムへの駆動伝達の動作フローチャート 第13の実施の形態の駆動伝達装置の側面図 第13の実施の形態のプーリ電極の別構成を説明するプーリ表面の展開した模式図 第13の実施の形態の給電を行わない導電部同士をショートさせる導電性ブラシを備えた駆動伝達装置の側面図 第13の実施の形態の給電を行わない導電部とベルトの導電部をショートさせる導電性ブラシを備えた駆動伝達装置の側面図
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施例である駆動伝達装置を備えた画像形成装置について、基本的な構成および動作を図2及び図3を参照して説明する。図2は画像形成装置の基本構成の説明図である。図2に示すように、実施例1の画像形成装置100は、中間転写ベルト9に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部PY、PM、PC、PKを配置したフルカラーレーザビームプリンタである。
画像形成部PYでは、回転駆動される感光ドラム1Y上にイエロートナー像が形成されて担持搬送された後、第一転写部TYにおいて一次転写ローラ5Yによって中間転写ベルト9に一次転写される。画像形成部PM、PC、PKでも同様に、感光ドラム1M、1C、1Kにマゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像が形成され、順次重ね合わせて中間転写ベルト9に一次転写される。
中間転写ベルト9は、駆動ローラ13、テンションローラ12、バックアップローラ10に掛け渡して支持され、駆動ローラ13の回転に伴って矢印B方向に回転する。中間転写ベルト9は一次転写ローラ5Y〜5Kによって図中上方向に張り上げられ、感光ドラム1Y〜1Kとの間で第一転写部TY〜TKが形成される。
各画像形成部から転写され、中間転写ベルト9に担持されたトナー像は、中間転写ベルト9の回転に伴って二次転写部T2へ搬送され、記録材Pへ二次転写される。記録材Pは、給紙カセット19から給紙ローラ14によって引き出され、分離装置15によって1枚ずつに分離されてレジストローラ16へ送り出される。レジストローラ16は、中間転写ベルト9に担持されたトナー像に先頭を一致させて、記録材Pを二次転写部T2へ給送する。
トナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置17へ受け渡されて、加圧ローラ40と定着ローラ41によって加熱加圧を受けることにより、表面に画像が定着される。中間転写ベルトクリーニング装置18は、不図示の駆動源によって中間転写ベルト9と接触離間可能に設置されている。通常印刷時には中間転写ベルトクリーニング装置18は中間転写ベルト9に接触し、二次転写部T2を通過して中間転写ベルト9に残った転写残トナーを除去する。中間転写ベルト9へのトナー像の転写を伴わないレーザー光量調整モード、転写電圧調整モード動作時には、中間転写ベルト9の劣化を防止するために中間転写ベルトクリーニング装置18は中間転写ベルト9と離間される。
続いて図3を参照して画像形成部の詳細を説明する。画像形成部PY、PM、PC、PKは、付設された現像装置4Y、4M、4C、4Kで用いるトナーがイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は同様に構成される。従って、以下では、イエローの画像形成部PYについて説明し、画像形成部PM、PC、PKについては、説明する構成の記号末尾のYをC、M、Kに読み替えて説明されるものとする。
図3は画像形成部、一次転写部、および二次転写部の構成説明図である。図3に示すように、画像形成部PYは、感光ドラム1Yの周囲に、帯電装置2Y、露光装置3Y、現像装置4Y、一次転写ローラ5Y、クリーニング装置6Yを配置する。感光ドラム1Yは、アルミニウム製シリンダの外周面に、帯電極性が負極性の有機光導電体層を塗布して構成され、矢印A方向に回転する。帯電装置2Yは、電源D3から負極性の電圧を印加されて、感光ドラム1Yの表面に帯電粒子を照射することにより、感光ドラム1Yの表面を一様な負極性の電位に帯電する。
露光装置3Yは、イエローの分解色画像を展開した走査線画像データに従ってON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査し、感光ドラム1Y表面へ照射する。これにより、帯電した感光ドラム1Yの表面に画像データに対応した静電像が形成される。現像装置4Yは、トナーに磁性キャリアを混合した二成分現像剤を攪拌してトナーを負極性に帯電させる。帯電したトナーは、固定磁極4jの周囲で感光ドラム1Yとカウンタ方向に回転する現像スリーブ4sに穂立ち状態で担持されて、感光ドラム1Yを摺擦する。
電源D4は、負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧を現像スリーブ4sに印加し、現像スリーブ4sよりも相対的に正極性となった感光ドラム1Yの静電像へトナーを付着させて、静電像をトナー像として現像する。一次転写ローラ5Yは、感光ドラム1Yとの間に中間転写ベルト9を挟持して、感光ドラム1Yと中間転写ベルト9との間に一次転写部TYを形成する。電源D1は、正極性の直流電圧を一次転写ローラ5Yに印加して、負極性に帯電して感光ドラム1Yに担持されたトナー像を、一次転写部TYを通過する中間転写ベルト9へ一次転写させる。
クリーニング装置6Yは、クリーニングブレードを感光ドラム1Yに摺擦して、一次転写部TYを通過して感光ドラム1Yの表面に残留した転写残トナーを除去する。二次転写ローラ11は、中間転写ベルト9を介してバックアップローラ10に圧接し、中間転写ベルト9と二次転写ローラ11との間に二次転写部T2を形成する。二次転写部T2は、中間転写ベルト9のトナー像に重ね合わせて記録材Pを挟持搬送し、記録材Pが二次転写部T2を通過する過程で、中間転写ベルト9から記録材Pへトナー像を二次転写させる。
電源D2は、正極性の直流電圧を二次転写ローラ11に印加して、バックアップローラ10と中間転写ベルト9と記録材Pと二次転写ローラ11との直列回路に転写電流を流す。転写電流は中間転写ベルト9から記録材Pへのトナーの移動に関与する。
以下より、図1と図4を用いて本実施の形態の駆動伝達装置50の全体構成について説明する。図1は駆動伝達装置50の斜視図である。図4は図1のX−X断面図である。この駆動伝達装置50は、静電吸着力を利用してプーリとベルトとを静電的に吸着させて、伝達可能な駆動力を増加させるものである。
本実施の形態では、駆動伝達装置50によって、駆動源の回転駆動力が伝達されて回転駆動される被駆動部として感光ドラム1Yを例示し、駆動源としてはモータ20を例示する。駆動伝達装置50を画像形成装置100に適用する場合、被駆動部の例としては、回転して画像形成に関わる動作を行う構成要素が適しており、感光ドラム1の他には、中間転写ベルト9を駆動する駆動ローラ13や、定着装置17内の定着ローラ等が適している。しかしこれらに限定されるものではなく、駆動分配への適用等、駆動伝達を必要とするあらゆる箇所に適している。
図1に示すように、駆動伝達装置50には、駆動プーリ21、従動プーリ22、無端状のベルト23、電圧印加手段25、26が含まれる。駆動プーリ21、従動プーリ22、ベルト23は、モータ20が発生させた駆動力を感光ドラム1Yに30Yを介して伝達する。モータ20が発生させた駆動力は、出力軸20aを介して駆動プーリ21に伝達される。駆動プーリ21が駆動力を得て回転すると、駆動プーリ21とベルト23との接触面での摩擦力によってベルト23に駆動力が伝達される。ベルト23に駆動力が伝わりベルト23が回転すると、ベルト23と従動プーリ22との接触面での摩擦力によって従動プーリ22に駆動力が伝達される。従動プーリ22と感光ドラム1Yは回転軸30Yを介して接続されているので、従動プーリ22の駆動力は感光ドラム1Yに伝達される。
図4に示すように、電圧印加手段25および26は、導電性ブラシ28aと28cを介して、駆動プーリ21の絶縁層21bを介して隣り合う導電部21aと21c間に電位差を与える。そして、駆動プーリ21とベルト23の間に静電吸着力を発生させる。また駆動プーリ21と同様の構成にて、従動プーリ22側においてもベルト23との間に静電吸着力を発生させる。
以下より、駆動伝達装置50の伝達可能な駆動力について説明する。まず、駆動伝達装置50の各々の構成部品について図1と図1のX−X断面である図4にて説明する。
駆動プーリ21は、互いに異なる電圧を印加することが可能な導電部21a、21cと、導電部間に絶縁層21bを有した円筒形状のもので、モータ20の出力軸20aに絶縁部材34aを介して結合される。駆動プーリ21の半径は10mm、幅も10mmとする。また導電部21aと21cの幅は4.5mm、絶縁層21bの幅は1mmである。
従動プーリ22は、駆動プーリ21と同様に、互いに異なる電圧を印加することが可能な導電部22aと22cと、導電部間に絶縁層22bを有した円筒形状のもので、軸30Yに絶縁部材34bを介して結合される。軸30Yは、感光ドラム1Yへと接続される。従動プーリ22の半径は40mm、幅は10mmとする。また導電部22aと22cの幅は4.5mm、絶縁層22bの幅は1mmである。
駆動プーリの導電部21cと従動プーリの導電部22Cは、導電性ブラシ28aおよび28bを介して、電圧印加手段25から直流電圧が印加される。駆動プーリの導電部21aと従動プーリの導電部22aは、導電性ブラシ28cおよび28dを介して、電圧印加手段26から直流電圧が印加される。電圧印加手段25および26にはそれぞれ異なる直流電圧が印加される。
無端ベルト23は、プーリに接する側に誘電体層23aを有し、さらに誘電体層23aの上に導電部23bを有する二層構造である。誘電体層23aは、導電性カーボンが分散されたポリイミドの樹脂材料で構成され、体積抵抗率が1E9〜1E14Ω・cm程度に抵抗調整され、厚さは約70μm、幅は約10mmである。導電部23bは、Ni等のスパッタで形成され、厚さは約100nmである。また無端ベルト23の導電部23bの幅は、図4に示すように誘電体層23aの幅よりも狭く、プーリ表面との沿面距離を大きくして、放電を防止している。無端ベルト23と駆動プーリ21の巻き付き角は120°、無端ベルト23と従動プーリ22の巻き付き角は240°とする。
以上のように構成することで、駆動プーリ21および従動プーリ22と無端ベルト23の間に静電吸着力を発生させ、駆動伝達に寄与する摩擦力を増大させている。なお、無端ベルト23に付与される初期張力は小さくてよく、ここでは0.5kgfである。
続いて、図5を用いて、駆動伝達装置50の伝達可能な駆動力を増大させるために利用しているベルトとプーリの間に発生する静電吸着力について説明する。図5(a)は、図4のA部において駆動プーリ21とベルト23の断面図とその等価回路である。図5(b)は駆動伝達装置50の電気的性質を示した等価回路図である。
図5(a)に示すように、駆動プーリ21と無端ベルト23は、それぞれ表面に微小な凹凸を有して接触しているため、駆動プーリ21と無端ベルト23との間には微小な空隙が形成される。この微小な接触状態は電気的には図5(a)に示すような等価回路で表現される。ここで、Cb1は誘電層23aの静電容量成分、Rb1は誘電層23aの抵抗成分、Cg1は駆動プーリ21aと無端ベルト23によって形成された空隙の静電容量、Rg1は駆動プーリ21と無端ベルト23の接触抵抗である。またCb2は誘電層23aの静電容量成分、Rb2は誘電層23aの抵抗成分、Cg2は駆動プーリ21cと無端ベルト23によって形成された空隙の静電容量、Rg2は駆動プーリ21cと無端ベルト23の接触抵抗である。
このような構成で、駆動プーリの導電部21aと21cの間に電圧が印加され、電流が流れると、駆動プーリ21aおよび21cとベルト23の誘電体層23aとの接触点を挟んだ接触抵抗に起因して局部的に大きな電圧降下が生じる。この電圧降下をVg1、Vg2とする。すると、図5(a)に示すように、駆動プーリ21とベルト23の誘電体層23aの接触点の小さな間隙を隔てて相対向する面に正負の電荷が誘起され、小さな間隙に著しく大きな電界が生じ、誘起された正負の電荷によって大きな吸着力が生じる。この静電吸着力がジョンセン・ラーベック力である。一般的に、ジョンセン・ラーベック力は、誘電体の体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1014Ω・cm未満の場合に大きな力となる。
続いて図5(a)の等価回路における静電吸着力の算出法を示す。図5(a)において、電圧印加手段25に+E(V)と26に−E(V)と異なる極性の電圧を印加した場合、ベルト23の導電部23bは0Vとなる。よって、駆動プーリの導電部21aとベルト23aの界面における等価回路は図5(c)となる。図5(c)の等価回路において、単位面積当たりの静電吸着力Pと、駆動プーリ21aとベルト23の誘電体層23aの接触点の小さな間隙を隔てて相対向する面に誘起される単位面積当たりの電荷Qg1は、以下の式で表わされる。なお、εは、空気の誘電率である。
τは、図5(a)の等価回路の時定数である。式(1)、式(2)から、時間が経過(t=∞)してCg1に蓄えられる電荷Qg1が安定した際の単位面積当たりの静電吸着力Pは、式(3)と求めることができる。
式(3)から、静電吸着力は、印加電圧E、空隙の静電容量Cg1、接触抵抗Rg1、ベルト23の誘電体層23aの体積抵抗Rb1によって決まることが分かる。
上記は駆動プーリの導電部21aとベルト23の誘電体層23aの接触界面での静電吸着力Pを示したが、駆動プーリの導電部21cとベルト23の誘電体層23aの接触界面でも静電吸着力が同様に発生する。さらに、従動プーリの導電部22aとベルトの誘電体層23aの接触界面および、従動プーリの導電部22cとベルトの誘電体層の23aの接触界面に発生する静電吸着力も上記と同様に算出することができる。
これまで説明を行った駆動伝達装置50の構成と駆動伝達装置50で発生する静電吸着力を踏まえて、駆動伝達装置50の伝達可能な駆動力について説明する。ベルトによって駆動伝達を行う場合、駆動プーリの回転駆動力によってプーリに掛かる前後のベルト張力に差が生じ、この張力差によって従動プーリへ駆動力が伝達される。伝達可能な駆動力はこの張力差に等しい。
こうした駆動伝達において、伝達可能な駆動力即ち発生可能な張力差は、プーリとベルト間に発生し得る最大の摩擦力に依存する。一般に、静電吸着力を用いないベルト駆動伝達では、伝達可能な駆動力Fはオイラーの公式より次式(4)で表される。
式(4)で、Tはベルトに張力を与えるテンション、θはベルトのプーリへの巻き付き角度、μはベルトとプーリ間の摩擦係数である。さらに、静電吸着力が加わった場合の伝達可能な駆動力Fは、プーリベルト間に発生する単位面積あたりの静電吸着力をP、プーリの半径をr、ベルトの幅をbとすると、次式(5)で表される。
式(5)から、駆動伝達装置50の伝達可能な駆動力は、ベルトとプーリの間に電圧を加え静電吸着力が発生することで、増大することが分かる。そして、駆動伝達装置50の伝達可能な駆動力は、式(5)に式(3)を代入し、式(6)のように表すことができる。
式(6)から、駆動伝達装置50の伝達可能な駆動力も、静電吸着力と同様に印加電圧、空隙の静電容量Cg1、接触抵抗Rg1、ベルト23の誘電体層23aの体積抵抗Rb1によって決まることが分かる。続いて、式(6)を基に、印加電圧に対する駆動伝達装置50の伝達可能な駆動力について述べる。
まず、印加電圧Eを変化させた場合、式(6)より、駆動伝達装置50の伝達可能な駆動力は、印加電圧Eに2乗に比例して大きくなる。図6(a)は、実際に作製したプーリとベルトで測定した印加電圧と静電吸着力の関係、図6(b)は、図6(a)から算出した印加電圧と伝達可能駆動力の関係を示した図である。図6(a)から、印加電圧を大きくすることで、静電吸着力は大きくなることが分かる。これと同時に、図6(b)から、伝達可能駆動力も、印加電圧に応じて増大していることが分かる。実験的にも印加電圧を大きくすると、静電吸着力が増加することで伝達可能駆動力が増加することが確認されている。
なお確実に滑りを発生させないようにするために、電圧印加手段25、26による印加電圧の値は余裕を持って設定する必要がある。特に静電吸着力無しでは、もっとも滑りやすくなるプーリ(ここでは、ベルト23の巻きつき角度が小さい駆動プーリ21)にて滑りが発生しないように留意する。そのために、従動プーリ22の軸上に加わる回転負荷を従動プーリ22の半径で除算することで得られる値に安全率を乗算した数値よりも、駆動力F2が大きくなるように設定される。
また、本発明の駆動伝達装置は、ここまで説明した構成に限定されるものではなく、他の構成でも実施可能である。具体的には、無端ベルトの導電部23b上に誘電体層を有する構成でもよい。またプーリに設けられた導電部や絶縁層が2つより多い構成でもよい。またプーリに設けられた導電部をスパッタにて形成することも可能である。さらに無端ベルトは平ベルトに限らず、プーリとの間で摩擦伝達を行うVベルトやVリブドベルトなどでもよい。
また、電圧印加手段を1つにしてもよい。図7は電圧印加手段を1つにしたときの模式的断面である。駆動プーリの導電部21cと従動プーリの導電部22cは、導電性ブラシ28aおよび28bを介して、電圧印加手段25′の正の直流電圧が印加される。駆動プーリの導電部21aと従動プーリの導電部22aは、導電性ブラシ28cおよび28dを介して、電圧印加手段25′の負の直流電圧が印加される。
図8は図7に示す構成における電気的性質を示した等価回路図である。電圧印加手段25′を2倍の電圧2Eにすることで、ベルトの導電部とプーリの導電部間には、Eの電位差が働き、静電吸着力は図5(b)に示す回路の場合と同じになる。このように、1つの電圧印加手段25′を用いても、絶縁層を介して隣り合う導電部間に電位差を与えることが可能である。
以上のように、本実施の形態では、駆動伝達装置において、プーリに複数に分割された導電部と、ベルトにも導電部を有し、プーリにおいて絶縁層を介して隣り合う導電部に電位差を与えるとともに、導電部を有するプーリとベルトの導電部間に電位差が与えられ、静電吸着力を発生させた。その結果、伝達可能な駆動力を増加させることで、ベルトとプーリ間の滑りを抑制し、安定して被駆動部に駆動を伝達することが可能となった。またギアを用いた伝達機構に比べ、振動や騒音の発生も著しく少なくなる。またベルトは非接地でよいことから、ベルトへの給電が不要で摺擦音を抑制可能である。
さらに、静電吸着力で摩擦力が大きくなることから、ベルト初期張力を過大な値に設定しなくて済むため、長期使用による精度変化(プーリの支持軸の平行度等の変化)が抑制され、駆動伝達装置50の耐久性の維持に有利である。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施形態では、第1の実施形態に対して、駆動伝達装置50の無端ベルト23の構成が異なる。それ以外の駆動伝達装置50および画像形成装置100の構成は同様である。
図9は、本実施形態の駆動伝達装置50の模式的断面図である。図10は、図9のA部において駆動プーリ21とベルト23の断面図とその等価回路である。
第1の実施形態では、図4および図5(a)に示したように、無端ベルト23の誘電体層23aの外周面に、導電部23bを有した。これに対し、第2の実施形態では、図9や図10に示すように、無端ベルト23の誘電体層23aの外周面に、低抵抗層23cを有している。
ベルト23の外周面に低抵抗層23cを有することで、駆動伝達装置50の電気的性質を表す等価回路は、図10となる。誘電体層23aは、導電性カーボンが分散されたポリイミドの樹脂材料で構成され、体積抵抗率が1E9〜1E14Ω・cm程度に抵抗調整され、厚さは約70μm、幅は約10mmである。低抵抗層23cは、、導電性カーボンが分散されたポリイミドの樹脂材料で構成され、体積抵抗率が誘電体層23aよりも低く、1E2〜1E8Ωcmであり、厚さは約10μmである。
以下に、第2の実施形態において、駆動伝達装置50の伝達可能な駆動力を増大させるために利用しているベルトとプーリの間の発生する静電吸着力について説明する。
図10に示すように、駆動プーリ21と無端ベルト23は、それぞれ表面に微小な凹凸を有して接触しているため、駆動プーリ21と無端ベルト23との間には微小な空隙が形成される。この微小な接触状態は電気的には図10に示すような等価回路で表現される。ここで、Cb1は誘電層23aの静電容量成分、Rb1は誘電層23aの抵抗成分、Cg1は駆動プーリ21aと無端ベルト23によって形成された空隙の静電容量、Rg1は駆動プーリ21と無端ベルト23の接触抵抗である。
またCb2は誘電層23aの静電容量成分、Rb2は誘電層23aの抵抗成分、Cg2は駆動プーリ21cと無端ベルト23によって形成された空隙の静電容量、Rg2は駆動プーリ21cと無端ベルト23の接触抵抗である。また、Cb5は低抵抗層23cの静電容量成分、Rb5は低抵抗層23cの抵抗成分である。
このような構成で、駆動プーリの導電部21aと21cの間に電圧が印加され、電流が流れると、駆動プーリ21aおよび21cとベルト23の誘電体層23aとの接触点を挟んで接触抵抗に起因して局部的に大きな電圧降下が生じる。この電圧降下をVg1、Vg2とする。すると、図10に示すように、駆動プーリ21とベルト23の誘電体層23aの接触点の小さな間隙を隔てて相対向する面に正負の電荷が誘起され、小さな間隙に著しく大きな電界が生じ、誘起された正負の電荷によって大きな吸着力が生じる。この吸着力がジョンセン・ラーベック力である。
続いて図10の等価回路における静電吸着力の算出法を示す。図10において、電圧印加手段25に+E(V)と26に−E(V)と異なる極性の電圧を印加した場合、単位面積当たりの静電吸着力Pと、駆動プーリ21aとベルト23の誘電体層23aの接触点の小さな間隙を隔てて相対向する面に誘起される単位面積当たりの電荷Qg1は、印加電圧、空隙の静電容量、誘電体層および低抵抗層および空隙の抵抗成分で決定され、以下の式で表わされる。なお、εは、空気の誘電率である。
式(9)から、静電吸着力は、印加電圧E、空隙の静電容量Cg1、接触抵抗Rg1、Rg2、ベルト23の誘電体層23aの体積抵抗Rb1、Rb2、ベルト23の低抵抗層23cの体積抵抗Rb5によって決まることが分かる。
静電吸着力を大きくするためには、ベルト23の低抵抗層23cの体積抵抗率を小さくしたり、プーリの導電部21aと21c間の絶縁層21bの距離を小さくして、導電部21aおよび21c、絶縁層21cの数を増やしたりした構成でもよい。
上記は駆動プーリの導電部21aとベルト23の誘電体層23aの接触界面での静電吸着力Pを示したが、駆動プーリの導電部21cとベルト23の誘電体層23aの接触界面での静電吸着力も同様に力が発生する。さらに、従動プーリの導電部22aとベルトの誘電体層23aの接触界面および、従動プーリの導電部22cとベルトの誘電体層の23aの接触界面に発生する静電吸着力も上記と同様に算出することができる。続いて、静電吸着力により伝達可能な駆動力については、第1の実施形態の式(5)に第二の実施形態の式(9)を代入して求められる。
なお確実に滑りを発生させないようにするための印加電圧手段25および26への印加電圧の決定法は実施例1と同様である。また、本発明の駆動伝達装置は、ここまで説明した構成に限定されるものではなく、他の構成でも実施可能である。具体的には、プーリに設けられた導電部をスパッタにて形成することも可能である。さらに無端ベルトは平ベルトに限らず、プーリとの間で摩擦伝達を行うVベルトやVリブドベルトなどでもよい。
以上のように、本実施の形態では、駆動伝達装置において、プーリに複数に分割された導電部と、ベルトに誘電体層と低抵抗層を有し、プーリにおいて絶縁層を介して隣り合う導電部に電位差を与えるとともに、プーリの導電部とベルトの低抵抗層間に電位差が与えられ、静電吸着力を発生させた。その結果、伝達可能な駆動力が増加させることで、ベルトとプーリ間の滑りを抑制し、安定して被駆動部に駆動を伝達することが可能となった。またギアを用いた伝達機構に比べ、振動や騒音の発生も著しく少なくなる。またベルトは非接地でよいことから、ベルトへの給電が不要で摺擦音を抑制可能である。
さらに、静電吸着力で摩擦力が大きくなることから、ベルト初期張力を過大な値に設定しなくて済むため、長期使用による精度変化(プーリの支持軸の平行度等の変化)が抑制され、駆動伝達装置50の耐久性の維持に有利である。さらに、ベルトに導電部である金属層を有しないため、金属層が金属疲労によって割れることで発生する静電吸着力の変動という課題も解決可能である。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施形態では、第1の実施形態に対して、駆動伝達装置50の無端ベルト23の構成が異なる。それ以外の駆動伝達装置50および画像形成装置100の構成は同様である。
図11は、本実施形態の駆動伝達装置50の模式的断面図である。図12は、図11のA部において駆動プーリ21とベルト23の断面図とその等価回路である。
第1の実施形態では、図4および図5(a)に示したように、無端ベルト23の誘電体層23aの外周面に、導電部23bを有した。これに対し、第3の実施形態では、図11や図12に示すように、無端ベルト23の内周面に絶縁体層23dを有している。
ベルト23の内周面に絶縁体層23dを有することで、駆動伝達装置50の電気的性質を表す等価回路は、図12となる。絶縁体層23dは、ポリイミドの樹脂材料で構成され、体積抵抗率が1E15Ω・cm以上であり、厚さは約70μm、幅は約10mmである。導電部23bは、Ni等のスパッタで形成され、厚さは約100nmである。また無端ベルト23の導電部23bの幅は、図4に示すように誘電体層23aの幅よりも狭く、プーリ表面との沿面距離を大きくして、放電を防止している。
以下に、第3の実施形態において、駆動伝達装置50の伝達可能な駆動力を増大させるために利用しているベルトとプーリの間の発生する静電吸着力について説明する。第3の実施形態における等価回路は図12にて表現され、ここで、Cb1、Cb2は絶縁体層23dの静電容量成分である。このような構成で、駆動プーリの導電部21aと21cの間に電圧が印加されると、図12に示すように、駆動プーリ21とベルト23の導電部23bに対して、絶縁層23dを隔てて相対向する面に正負の電荷が誘起される。誘起された正負の電荷によって静電吸着力が生じる。この吸着力がクーロン力である。
続いて図12の等価回路における静電吸着力の算出法を示す。図10において、電圧印加手段25に+E(V)と26に−E(V)と異なる極性の電圧を印加した場合、単位面積当たりの静電吸着力Pと、駆動プーリ21aとベルト23の導電部23bに対して、絶縁層23dを隔てて相対向する面に誘起される単位面積当たりの電荷Qb1は、絶縁体層の静電容量成分で決定され、以下の式で表わされる。なお、ε0は、空気の誘電率である。
式(12)から、静電吸着力は、印加電圧E、ベルトの絶縁層の静電容量Cb1、Cb2によって決まることが分かる。
上記は駆動プーリの導電部21aとベルト23の導電部23b間に発生する静電吸着力Pを示したが、駆動プーリの導電部21cとベルト23の導電部23b間の静電吸着力も同様に力が発生する。さらに、従動プーリの導電部22aとベルトの導電部23b間および、従動プーリの導電部22cとベルトの導電部23b間に発生する静電吸着力も上記と同様に算出することができる。
続いて、静電吸着力により伝達可能な駆動力については、第1の実施形態の式(5)に第3の実施形態の式(12)を代入して求められる。なお確実に滑りを発生させないようにするための印加電圧手段25および26への印加電圧の決定法は実施例1と同様である。
また、本発明の駆動伝達装置は、ここまで説明した構成に限定されるものではなく、他の構成でも実施可能である。具体的には、ベルト23の導電部23bの外周に誘電体を設けることも可能である。またプーリに設けられた導電部をスパッタにて形成することも可能である。さらに無端ベルトは平ベルトに限らず、プーリとの間で摩擦伝達を行うVベルトやVリブドベルトなどでもよい。
以上のように、本実施の形態では、駆動伝達装置において、プーリに複数に分割された導電部と、ベルトに絶縁体層と導電部を有し、プーリにおいて絶縁層を介して隣り合う導電部に電位差を与えるとともに、プーリの導電部とベルトの導電部間に電位差が与えられ、静電吸着力を発生させた。その結果、伝達可能な駆動力が増加させることで、ベルトとプーリ間の滑りを抑制し、安定して被駆動部に駆動を伝達することが可能となった。またギアを用いた伝達機構に比べ、振動や騒音の発生も著しく少なくなる。またベルトは非接地でよいことから、ベルトへの給電が不要で摺擦音を抑制可能である。
さらに、静電吸着力で摩擦力が大きくなることから、ベルト初期張力を過大な値に設定しなくて済むため、長期使用による精度変化(プーリの支持軸の平行度等の変化)が抑制され、駆動伝達装置50の耐久性の維持に有利である。さらに、本実施形態においては、静電吸着力としてクーロン力を利用しているため、耐久によってベルトとプーリの表面粗さが変化し静電吸着力が低下する影響を受けず、安定した静電吸着力を発生可能である。
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施形態では、第1の実施形態に対して、駆動伝達装置50のベルト23の内周面に設けられていた誘電体層が、駆動プーリ21と従動プーリ22の外周面に設けられたという点で異なる。それ以外の駆動伝達装置50および画像形成装置100の構成は同様である。
図13は、本実施形態の駆動伝達装置50の模式的断面図である。図14は、図13のA部において駆動プーリ21とベルト23の断面図とその等価回路である。駆動プーリ21と従動プーリ22の外周面に設けられた誘電体層21dおよび22dは、第1の実施形態と同様に、導電性カーボンが分散されたポリイミドの樹脂材料で構成され、体積抵抗率が1E9〜1E14Ω・cm程度に抵抗調整され、厚さは約70μm、幅は約10mmである。
以下に、第4の実施形態において、駆動伝達装置50の伝達可能な駆動力を増大させるために利用しているベルトとプーリの間の発生する静電吸着力について説明する。
図14に示すように、駆動プーリ21と無端ベルト23は、それぞれ表面に微小な凹凸を有して接触しているため、駆動プーリ21と無端ベルト23との間には微小な空隙が形成される。この微小な接触状態は電気的には図14に示すような等価回路で表現される。ここで、Cb1は誘電層23aの静電容量成分、Rb1は誘電層23aの抵抗成分、Cg1は駆動プーリ21aと無端ベルト23によって形成された空隙の静電容量、Rg1は駆動プーリ21と無端ベルト23の接触抵抗である。またCb2は誘電層23aの静電容量成分、Rb2は誘電層23aの抵抗成分、Cg2は駆動プーリ21cと無端ベルト23によって形成された空隙の静電容量、Rg2は駆動プーリ21cと無端ベルト23の接触抵抗である。
このような構成で、駆動プーリの導電部21aと21cの間に電圧が印加され、電流が流れると、駆動プーリ21a上の21dおよび駆動プーリ21c上の21dとベルト23の導電部23bとの接触点を挟んで接触抵抗に起因して局部的に大きな電圧降下が生じる。この電圧降下をVg1、Vg2とする。すると、図14に示すように、駆動プーリ21上の21dとベルト23の導電部23bの接触点の小さな間隙を隔てて相対向する面に正負の電荷が誘起され、小さな間隙に著しく大きな電界が生じ、誘起された正負の電荷によって大きな吸着力が生じる。この吸着力がジョンセン・ラーベック力である。
図14の等価回路における静電吸着力および、静電吸着力により伝達可能な駆動力については、第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。なお確実に滑りを発生させないようにするための印加電圧手段25および26への印加電圧の決定法は実施例1と同様である。
また、本発明の駆動伝達装置は、ここまで説明した構成に限定されるものではなく、他の構成でも実施可能である。具体的には、プーリに設けられた導電部をスパッタにて形成することも可能である。ベルトの導電部のさらに外周面に誘電体層を設けてもよい。さらにベルトの導電部が実施形態2のように低抵抗層で構成してもよく、また各プーリ上の誘電体層が実施形態3のように絶縁層でもよい。さらに無端ベルトは平ベルトに限らず、プーリとの間で摩擦伝達を行うVベルトやVリブドベルトなどでもよい。
以上のように、本実施の形態では、駆動伝達装置において、プーリに複数に分割された導電部とその外周面に誘電体層と、ベルトに導電部を有し、プーリにおいて絶縁層を介して隣り合う導電部に電位差を与えるとともに、プーリの導電部とベルトの導電部間に電位差が与えられ、静電吸着力を発生させた。その結果、伝達可能な駆動力が増加させることで、ベルトとプーリ間の滑りを抑制し、安定して被駆動部に駆動を伝達することが可能となった。またギアを用いた伝達機構に比べ、振動や騒音の発生も著しく少なくなる。またベルトは非接地でよいことから、ベルトへの給電が不要で摺擦音を抑制可能である。
さらに、静電吸着力で摩擦力が大きくなることから、ベルト初期張力を過大な値に設定しなくて済むため、長期使用による精度変化(プーリの支持軸の平行度等の変化)が抑制され、駆動伝達装置50の耐久性の維持に有利である。
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施形態では、第1の実施形態に対して、駆動伝達装置50の各プーリに設けられた導電部および絶縁層がベルトの搬送方向と垂直に設けられたという点で異なる。それ以外の駆動伝達装置50および画像形成装置100の構成は同様である。
図15(a)は、本実施形態の駆動伝達装置50の斜視図、図15(b)は図15(a)のX−X断面図、図15(c)は図15(b)のY−Y断面図である。
第1の実施形態では、図1および図4に示したように、駆動伝達装置50の各プーリに設けられた導電部および絶縁層は、ベルトの搬送方向と平行に設けられた。これに対し、第5の実施形態では、図15(a)や図15(c)に示すように、各プーリの設けられた導電部および絶縁層は、ベルトの搬送方向と垂直に設けられる。
以下に、第5の実施形態に特有な駆動伝達装置の構成部品について示す。図15(a)および(c)の従動プーリ22に示すように、導電部22aおよび導電部22cは、複数の導電部により構成され、従動プーリ22の円周部には導電部22aと22cが絶縁層22bを介して、交互に互いに隣接して形成される。図15(a)に示すように、導電部22cはプーリの中心で結合され、導電性ブラシ28bを介して、電圧印加手段25から直流電圧が印加される。導電部22aにおいても、導電部22cとは反対側のプーリ表面の中心で結合され、導電性ブラシ28dを介して、電圧印加手段26から直流電圧が印加される。そして、導電部22aと22cには異なる電圧が印加される。
駆動プーリ21も従動プーリ22と同様に、導電部21aと21cが絶縁層21bを介して、交互に互いに隣接して形成される。導電部21aは、導電ブラシ28cを介して、電圧印加手段26から直流電圧が印加され、導電部21cは、導電ブラシ28aを介して、電圧印加手段25から直流電圧が印加される。また導電部21aと21cには異なる電圧が印加される。
また駆動プーリの導電部21aおよび21c、従動プーリの導電部22aおよび22cは、金属スパッタにて形成される。
ここで、プーリが回転しても、ベルトとプーリの導電部の対面する面積は常に一定になる構成が望ましい。なぜなら、プーリの回転に伴ってベルトとプーリの導電部の対面する面積が変動すると、抵抗や静電容量が変化し、静電吸着力や電流が変動してしまうためである。変動が大きければ、滑りが発生する恐れが出てしまう。また、それを防止しようとして伝達可能駆動力の余力を増やせば、消費電力が増えてしまう。
プーリが回転しても、ベルトとプーリの導電部の対面面積を常に一定にする条件を、駆動プーリ表面を展開した模式図、図16を用いて説明する。
図16において、導電部21aの電極角度Aと、導電部21aから導電部21cまでの間の絶縁層の角度Bと、導電部21cの電極角度Cと、導電部21aから導電部21cまでの間の絶縁層21bの角度D、ベルト23巻き付き角度Zとしたとき、
Z=(A+B+C+D)×n ・・・ただしnは整数
を満たすようにする。
すなわち、ベルト巻き付き角度Zを、導電部21aの端から、絶縁層21b、もう一方の導電部21c、絶縁層21bを介して、次の導電部21aの端までの合計角度(A+B+C+D)の整数倍に等しくする。すると、プーリが回転に伴い、プーリとベルトの接している部分がZ(t=1)からZ(t=2)になっても、剥離する面積と同じだけ新たに同じ電圧層(導電部または絶縁層)が対面するので、ベルトとプーリの導電部の対面面積を一定に保つことができる。
ここでは、駆動プーリのベルト巻き付き角度は、120度である。n=2として計算すると、{A+B+C+D}は60度である。そこで、Aを25度、Bを25度、Cを5度とした。また、従動プーリも同様の条件を満たすように構成すればよい。駆動プーリの巻き付き角度は240度であるので、n=8として計算して、{A+B+(2×C)}は30度となる。そこで、Aを10度、Bを10度、Cを5度とした。また駆動伝達装置50の電気的性質を表す等価回路は実施例1と同様となる。
なお確実に滑りを発生させないようにするための印加電圧手段25および26への印加電圧の決定法は実施例1と同様である。また、本発明の駆動伝達装置は、ここまで説明した構成に限定されるものではなく、他の構成でも実施可能である。具体的には、ベルトの導電部のさらに外周面に誘電体層を設けてもよい。さらにベルトの導電部が実施形態2のように低抵抗層で構成されてもよく、また各ベルト内周面に形成された誘電体層が実施形態3のように絶縁層でもよい。
また図17に示すように、ベルト23が導電部23bのみで形成され、誘電体層が各プーリ21および22の外周面に形成されていてもよい。さらに無端ベルトは平ベルトに限らず、プーリとの間で摩擦伝達を行うVベルトやVリブドベルトなどでもよい。
以上のように、本実施の形態では、駆動伝達装置において、プーリに放射状に複数に分割された導電部と、ベルトに導電部を有し、プーリにおいて絶縁層を介して隣り合う導電部に電位差を与えるとともに、プーリの導電部とベルトの導電部間に電位差が与えられ、静電吸着力を発生させた。その結果、伝達可能な駆動力が増加させることで、ベルトとプーリ間の滑りを抑制し、安定して被駆動部に駆動を伝達することが可能となった。またギアを用いた伝達機構に比べ、振動や騒音の発生も著しく少なくなる。またベルトは非接地でよいことから、ベルトへの給電が不要で摺擦音を抑制可能である。
さらに、静電吸着力で摩擦力が大きくなることから、ベルト初期張力を過大な値に設定しなくて済むため、長期使用による精度変化(プーリの支持軸の平行度等の変化)が抑制され、駆動伝達装置50の耐久性の維持に有利である。
(第6の実施の形態)
第1から第5の実施形態では、ベルト23を介して駆動プーリ21の回転が伝達される従動プーリは1つであった。これに対し、第6の実施形態では、従動プーリを複数(例えば2つ)とする。
図18は、第6の実施形態の駆動伝達装置50の斜視図である。図18に示すように、一本のベルト23を駆動プーリ21と従動プーリ22と従動プーリ24とに掛け渡す。従動プーリ22と従動プーリ24の構成は同様である。モータ20により回転駆動される駆動プーリ21の回転を、ベルト23を介して従動プーリ22、24に伝達し、2つの感光体ドラムに結合される軸30Y、30Mを回転させる構成である。なお、従動プーリの数は3以上であってもよい。
図19は、図18のX−X断面図であり、図20は図18、19に示す駆動伝達装置50の電気的性質を示す等価回路を示した図である。
ベルト23、駆動プーリ21、従動プーリ22、24の基本的構成は、第1の実施形態に示した、ベルト23、駆動プーリ21、従動プーリ22と同様である。図18、図19に示すように、駆動プーリの導電部21a、従動プーリの導電部22a、従動プーリの導電部24aは、それぞれ導電ブラシ28c、28d、28fを介して電圧印加手段26から同一の直流電圧が印加される。一方、駆動プーリの導電部21c、従動プーリの導電部22c、従動プーリの導電部24cは、それぞれ導電ブラシ28a、28b、28eを介して電圧印加手段25から同一の直流電圧が印加される。ここで電圧印加手段25と26には異なる電圧が印加される。
すると、第6の実施形態は図20に示すような等価回路で表現される。駆動プーリの導電部21aおよび21cと、従動プーリの導電部22aおよび22cと、従動プーリの導電部24aと24cと、ベルト23の誘電体層23aとの接触点の小さな間隔に接触抵抗に起因した局部的に大きな電圧効果が生じる。すると、各プーリとベルト23の誘電体層23aの接触点の小さな間隔を隔てて相対向する面に正負の電荷が誘起され、小さな間隔に著しく大きな電界が生じ、誘起された正負の電荷によって大きな吸着力が生じる。
なお、なお確実に滑りを発生させないようにするための印加電圧手段25および26への印加電圧の決定法は実施例1と同様である。また、本発明の駆動伝達装置は、ここまで説明した構成に限定されるものではなく、他の構成でも実施可能である。具体的には、ベルトの導電部のさらに外周面に誘電体層を設けてもよい。さらにベルトの導電部が実施形態2のように低抵抗層で構成してもよく、また各ベルト内周面に形成された誘電体層が実施形態3のように絶縁層でもよい。また実施形態4のように、ベルト23が導電部23bのみで形成され、誘電体層が各プーリ21および22および24の外周面に形成されていてもよい。
また実施形態5のように、プーリに形成された導電部がベルト23の搬送方向と平行に形成されていてもよい。さらに無端ベルトは平ベルトに限らず、プーリとの間で摩擦伝達を行うVベルトやVリブドベルトなどでもよい。
以上のように、本実施の形態では、駆動伝達装置において、複数のプーリに複数に分割された導電部とその外周面に誘電体層と、ベルトに導電部を有し、プーリにおいて絶縁層を介して隣り合う導電部に電位差を与えるとともに、プーリの導電部とベルトの導電部間に電位差が与えられ、静電吸着力を発生させた。その結果、伝達可能な駆動力が増加させることで、ベルトとプーリ間の滑りを抑制し、安定して複数の被駆動部に駆動を伝達することが可能となった。またギアを用いた伝達機構に比べ、振動や騒音の発生も著しく少なくなる。またベルトは非接地でよいことから、ベルトへの給電が不要で摺擦音を抑制可能である。
さらに、静電吸着力で摩擦力が大きくなることから、ベルト初期張力を過大な値に設定しなくて済むため、長期使用による精度変化(プーリの支持軸の平行度等の変化)が抑制され、駆動伝達装置50の耐久性の維持に有利である。
(第7の実施の形態)
第1から第6の実施形態では、全てのプーリが無端ベルト23の内側に配置された構成であったが、図21に例示するように、一部のプーリがベルト23の外側に配置されてもよい。
図21は、第7の実施形態の駆動伝達装置50の斜視図である。図22は、図21のX−X断面図である。第7の実施形態では、第6の実施形態に対して、駆動プーリ21がベルト23の外側に配置される点が異なる。また図22に示すように、誘電体層23aは、ベルト23の導電部23bの内側だけではなく、導電部23bの外側にも設けられる。その他の構成は第6の実施形態と同様であり、駆動伝達装置50の電気的性質を表す等価回路も実施形態6と同様となる。
なお、なお確実に滑りを発生させないようにするための印加電圧手段25および26への印加電圧の決定法は実施例1と同様である。
また、本発明の駆動伝達装置は、ここまで説明した構成に限定されるものではなく、他の構成でも実施可能である。具体的には、ベルトの導電部が実施形態2のように低抵抗層で構成してもよく、また各ベルト内周面に形成された誘電体層が実施形態3のように絶縁層でもよい。また実施形態4のように、ベルト23が導電部23bのみで形成され、誘電体層が各プーリ21および22および24の外周面に形成されていてもよい。また実施形態5のように、プーリに形成された導電部がベルト23の搬送方向と平行に形成されていてもよい。さらに無端ベルトは平ベルトに限らず、プーリとの間で摩擦伝達を行うVベルトやVリブドベルトなどでもよい。
以上のように、本実施の形態では、駆動伝達装置において、複数のプーリに複数に分割された導電部とその外周面に誘電体層と、ベルトに導電部を有し、プーリにおいて絶縁層を介して隣り合う導電部に電位差を与えるとともに、プーリの導電部とベルトの導電部間に電位差が与えられ、静電吸着力を発生させた。その結果、伝達可能な駆動力が増加させることで、ベルトとプーリ間の滑りを抑制し、安定して複数の被駆動部に駆動を伝達することが可能となった。またギアを用いた伝達機構に比べ、振動や騒音の発生も著しく少なくなる。またベルトは非接地でよいことから、ベルトへの給電が不要で摺擦音を抑制可能である。
さらに、静電吸着力で摩擦力が大きくなることから、ベルト初期張力を過大な値に設定しなくて済むため、長期使用による精度変化(プーリの支持軸の平行度等の変化)が抑制され、駆動伝達装置50の耐久性の維持に有利である。
(第8の実施の形態)
第1の実施形態では、導電部を有するプーリとベルトの巻き付き時間がジョンセン・ラーベック力による強い静電吸着力の発現する時間に対して十分長いものとして扱ってきた。本実施形態では、静電吸着力が発生するまでの時間(時定数)の影響を考慮して、プーリが高速回転時においても、プーリとベルトを吸着させて確実に滑りを防止する。
静電吸着力の大きさは、電圧印加を開始してからの経過時間に応じて変わる。特にプーリが高速回転する場合、プーリとベルトの巻き付き時間が小さくなり、静電吸着力は低下してしまう。静電吸着力が低下すると、プーリとベルトの間に滑りが発生する恐れがある。そこで、本実施の形態の駆動伝達装置では、静電吸着力が発生するまでの時間(時定数)を小さくすることによって、高速回転時にもプーリとベルトを吸着させ、滑りを防止する。
ここで、図23を参照して、プーリの高速回転時の滑り防止についての概要を述べる。図23は、駆動プーリ21と無端ベルト23の巻き付き時間と静電吸着力の関係を算出した結果である。条件は、駆動プーリ21は直径20mm、無端ベルト23との巻き付き角は180°、正極または負極の電極との合計の接触幅は10mm、無端ベルト23の誘電層23aは厚さ70μmのカーボン分散のポリイミドで体積抵抗率は1E11Ω・cmである。なお、以下では、ベルトに誘電層を有し、ベルトの金属層として厚さが0.1μm程度のNiスパッタ、プーリとしてアルミを用いた結果である。
図23に示したように、印加電圧が200Vの場合は、静電吸着力の時定数τは120msecである。このとき、駆動プーリ21を回転数1200rpmで回転させた場合、駆動プーリ21と無端ベルト23の巻き付き時間は10msecとなる。巻き付き時間が、時定数に対して非常に小さいため、静電吸着力も4.5N(図中の●)と小さい。そこで、時定数を小さくし、静電吸着力は素早く発生させるために、印加電圧を300Vに大きくする。すると、時定数τは27msecとなり、それに伴って静電吸着力は16.9N(図中の■)まで上昇する。印加電圧による静電吸着力上昇の効果もあるが、印加電圧を大きくすることでτを小さくでき、これによってさらに静電吸着力を増大させることが可能である。
このように、静電吸着力が発生するまでの時間(時定数)を小さくすることによって、高速回転するプーリでもベルトとの吸着力を発動させ、プーリとベルトとの滑りを防止することを可能としている。
続いて、図5(c)、図24を参照して、時定数も考慮に入れたプーリとベルトの静電吸着力の算出方法について説明する。図5(c)は、実施形態1で述べたとおり、駆動プーリにある互いに異なる電圧を印加することが可能な導電部21a、21cのうちの、片方の導電部21aと無端ベルト23に電位差が発生させるときの等価回路である。もう片側の導電部21cと無端ベルト23も同様の回路になるので、以下では、この図5(c)の部分について説明を進める。
図24(a)は、吸着界面の電荷量の時間変化、図24(b)は、静電吸着力の時間変化、図24(c)は、プーリとベルトの巻き付き時間と静電吸着力の関係を示した図、図24(d)は、プーリとベルトの巻き付き時間と伝達可能駆動力の関係を示した図である。
図5(c)で示した等価回路において、静電吸着力は、吸着界面の静電容量Cg1に蓄えられる電荷Qg1によって発生する。単位面積当たりの静電吸着力Pと、Cg1に蓄えられる電荷Qg1は、以下の式で表わされる。なお、ε0は、空気の誘電率である。
式(14)では、Qg1を、qc(t)とqj(t)に分けて表記している。qc(t)は、主に誘電体あるいは空隙の静電容量成分で決まる電荷量で、時間と共に減衰する。qj(t)は、主に誘電体あるいは空隙の抵抗成分で決まる電荷量で、時間と共に増加する。電圧を印加した直後は、Qg1のqj(t)は無視され、qc(t)のみとなる。このとき、Qg1は誘電体あるいは空隙の静電容量成分で決まるので、Pも誘電体あるいは空隙の静電容量成分で決定される。これをクーロン力と呼ぶ。
一方、誘電体の体積抵抗率が小さく、かつ時定数τよりも十分に時間が経過した場合、Qg1のqc(t)は無視され、qj(t)のみとなる。このとき、Qg1は誘電体あるいは空隙の抵抗成分で決まるので、Pも誘電体あるいは空隙の抵抗成分で決定される。これをジョンセン・ラーベック力と呼ぶ。ジョンセン・ラーベック力を働かせるには、誘電体の体積抵抗率は1E9〜1E14Ω・cm程度とすることが必要で、このように設定すると、比誘電率が10以下の一般的な誘電体材料では、クーロン力よりもジョンセン・ラーベック力が大きくなる。
以上のように、静電吸着力は、ある時間を有して(時定数τに従って)、クーロン力からジョンセン・ラーベック力へと移行し、その力が増大する。
図24(a)は、式(14)、式(15)を用いて、界面電荷Qg1の時間応答を計算した結果である。なお、式(14)に用いるRb1、Rg1、Cb1、Cg1は測定値を用いている。また、誘電体の体積抵抗率は1E11Ω・cm、プーリは材質がアルミで、表面粗さがRa=0.1μm、印加電圧は200Vである。
図24(a)および(b)から分かるように、電圧印加時刻t=0から時間が経過するとともに、界面電荷Qg1が大きくなり、それと共に、静電吸着力Pも増大していることが分かる。これは、前述したように、界面電荷Qg1が静電容量比から抵抗比へと移行したためである。なお、この時の時定数は、110msecである。また、図24(c)は、(b)で求めた静電吸着力Pを積分することで、プーリとベルトの巻き付き時間に対するプーリとベルトの静電吸着力を求めた結果である。
図24(c)から、プーリとベルトの巻き付き時間に応じて静電吸着力が変化することが分かる。プーリとベルトの巻き付き時間は、プーリの回転数と、プーリに対するベルトの巻き付き角で決まる。巻き付き角を一定で考えると、回転数を変化させると、巻き付き時間が変化し、静電吸着力も変化することが分かる。また、図24(d)は、(c)で求めた静電吸着力から、伝達可能な駆動力を算出した結果である。伝達可能駆動力に関しても、巻き付き時間が変化すると、変化することが分かる。
以上のようにして、界面に蓄えられる電荷量から、プーリとベルトの静電吸着力を算出し、伝達可能駆動力を求めることができる。
次に、ジョンセン・ラーベック力が支配的になる時間について述べる。図25は、式(14)における、QcとQjの変化を別々に算出した結果である。横軸は時間であり、時刻0で電圧を印加している。また、この結果は、誘電体の体積抵抗率1E11Ω・cm、印加電圧200V、プーリ表面粗さRa=0.1μmの条件で測定したインピーダンスをもとに計算した結果である。
図25から分かるように、Qcは時間と共に減衰し、Qjは時間と共に増加し、これに伴い合計の電荷量は時間と共に増加する。QcとQjがクロスする時間tcjから、Qjが支配的になり、ジョンセン・ラーベック力による強い吸着力が発生する。したがって、プーリとベルトの吸着を考えたとき、このtcjよりも巻き付き時間を大きく設定することによって、大きな静電吸着力が得られると言える。tcjは、Qc=Qjとすれば求められ、以下のようになる。
式(16)で示すように、QcとQjが交わる時間tcjは、時定数τと、誘電体23aの体積抵抗Rb1と、静電容量Cb1から算出される。したがって、プーリとベルトの巻き付き時間をtcjよりも大きくするように設定することで、プーリとベルト間にジョンセン・ラーベック力による強い静電吸着力を発生させることができる。
次に、静電吸着の時定数に関わるパラメータとして、印加電圧、体積抵抗率の影響について述べる。
図26は、実機のRb1、Rg1、Cb1、Cg1を用いて算出した静電吸着力と時定数と、実測値の比較を行なった結果である。実機のRb1、Rg1、Cb1、Cg1はAC電圧印加時の電流応答から算出するインピーダンス測定によって得た。また、静電吸着力の実測値は、プーリとベルトを低速(10rpm)で動かした状態で、負荷トルクを徐々に大きくし、滑りだした時の負荷トルクを測定し、式(5)を用いて算出した。また、静電吸着力は、計算値、実測値とも十分時間が経過したときの値を算出した。時定数の実測値は、印加電圧に対する電流の応答の測定により算出した。
図26(a)は、印加電圧をパラメータとしたときの静電吸着力である。計算値と実測値がよく一致している。印加電圧を大きくすると、静電吸着力が大きくなっているが、これは、式(13)、式(14)から、印加電圧によって界面電荷が増え、吸着力が増したものと理解できる。
図26(b)は、誘電体23aの体積抵抗率をパラメータとしたときの静電吸着力である。体積抵抗率を小さくすることで、静電吸着力は大きくなっていることが分かる。これは、前述したようにジョンセン・ラーベック力による効果である。
図26(c)は、印加電圧をパラメータとしたときの時定数である。プーリとベルトの静電吸着の時定数は、式(15)から分かるように、電気的には、各抵抗Rb1、Rg1、各静電容量Cb1、Cg1を並列に接続した場合の電流応答の時定数と一致し、時定数=抵抗×静電容量と考えればよい。したがって、各抵抗、各静電容量が小さいと、時定数は小さくなる傾向にある。図26(c)では、印加電圧を大きくすると、時定数は低下しているが、これは、印加電圧によって誘電体の体積抵抗Rb1および接触抵抗Rg1が著しく低下する影響が大きいためと言える。
印加電圧を大きくして体積抵抗Rb1が下がるのは、一般的に起こりうる現象で、材料の温度特性や非オーミック機構に依る現象である。また、印加電圧を大きくして接触抵抗Rg1が下がるのは、静電吸着力が増加しプーリとベルトのミクロな接触面積が増え、その結果、電流のパスが増えたためである。
図26(d)は、誘電体23aの体積抵抗率をパラメータとしたときの時定数である。体積抵抗率を小さくすることで、時定数は小さくなっていることが分かる。これは、体積抵抗率を小さくすることで、Rb1およびRg1が小さくなり、その結果、時定数が小さくなったものと考えられる。
また、図26(a)〜(d)のいずれにおいても、計算値と実測値がよく一致していることが分かる。このことから、インピーダンス測定で求めた各抵抗Rb1、Rg1、各静電容量Cb1、Cg1が現実に即しており、比較するために用いた式(13)〜(15)も正しいものと言える。
以上まとめると、静電吸着の時定数に関わるパラメータとして、印加電圧、体積抵抗率の影響について述べた。この他にも、誘電層23aの膜厚、誘電率、あるいは接触界面の凹凸形状によっても時定数を変えることができる。誘電層23aの膜厚はRb1とCb1に関わり、例えば膜厚を薄くすると時定数は小さくなる。これは、膜厚を薄くすることでRb1は小さくなりCb1は大きくなり、一方、Rg1およびCg1は変化しないためである。また、誘電率はCb1に関わり、誘電率を小さくすると、時定数は小さくなる。さらに、接触界面の凹凸形状はRg1およびCg1に関わる。
例えば、誘電層23aと、それに相対するプーリの表面粗さを小さくすると、誘電層23aとプーリの空隙距離が小さくなり、Cg1は大きくなる。それに伴い、誘電層23aとプーリの接触面積が大きくなるため、Rg1は小さくなる。Cg1が大きくなる程度と、Rg1が小さくなる程度によって、時定数の大小が決定される。したがって、接触界面の凹凸形状を変えることでも、時定数を変化させることができる。
以上に述べたパラメータによって、時定数を設定することができる。
本実施例の最後に、図27、図28を参照して、図1の駆動伝達装置50の駆動プーリに対して上記の時定数設定を適用した場合について述べる。まず、図27は、駆動プーリ21と無端ベルト23の静電吸着力と巻き付き時間の関係を算出した結果であり、時定数を調整するパラメータとして誘電層23bの体積抵抗率を用いている。なお、駆動プーリ21は直径20mmで、無端ベルト23との巻き付き角は120°、巻き付き幅は10mmであり、導電部21c、21aへの印加電圧はそれぞれ+200V、−200Vである。
モータの回転数を2000rpmとすると、駆動プーリ21と無端ベルト23の巻き付き時間は10msecとなる。このとき、図27の1E11Ω・cmの結果をみると、時定数が110msecと巻き付き時間が10msecよりも非常に大きいために、静電吸着力が4.45Nと小さく、静電吸着力が大きくなる前に駆動プーリ21と無端ベルト23が離れてしまっていることが分かる(図中の●)。そこで、時定数を小さくするために、無端ベルト23の誘電層23bの体積抵抗率を1E10Ω・cmに小さくする。すると、時定数は15msecまで小さくなり、その結果、駆動プーリ21と無端ベルトの静電吸着力は24.6Nまで大きくなることが分かる(図中の■)。
このように、誘電層23bの体積抵抗率を小さくすることで、時定数を小さくすることができ、その結果、静電吸着力を大きくすることが可能である。特に、回転数が大きく、巻き付き時間が小さい駆動プーリ21では、相対的に静電吸着力が小さくなるため、時定数の調整をすることが必要である。
次に、図28は、時定数を調整するパラメータとして印加電圧を用いている。導電部21c、21aへの印加電圧が+200V、−200Vの場合は時定数が110msecであり、静電吸着力の大きくなる前に駆動プーリ21と無端ベルト23が離れてしまう。そこで、駆動プーリ21の時定数を小さくするために、導電部21c、21aへの印加電圧を+300V、−300Vに大きくする。すると、時定数τが27msecまで小さくなっている。その結果、駆動プーリ21と無端ベルト23の静電吸着力が16.9N(図中の▲)まで飛躍していることが分かる。その結果、駆動伝達装置50の系全体の伝達可能な駆動力が大きくなる。
このように、印加電圧を大きくすることでも、時定数を小さくすることができ、その結果、静電吸着力を大きくすることが可能である。
以上説明してきたように、本実施例では、静電吸着力を用いたベルト駆動伝達装置において、静電吸着力が発生するまでの時間(時定数)を小さくすることで、高速に回転するプーリにおいても静電吸着力が増やすことができ、その結果、プーリとベルトの滑りを防止できる。
(第9の実施の形態)
本発明の第9の実施形態は、実施形態1と同様のプーリとベルトを持った駆動伝達装置であるが、電位差を与える構成が実施形態1と異なる。本実施形態は、減速系に代表されるプーリのベルト巻き付き長さの異なるベルト駆動伝達装置において、過剰な消費電力や発熱を抑えるものである。
まず、本実施形態の課題について詳しく説明する。はじめに、静電吸着力を用いたベルト駆動伝達装置の伝達可能な駆動力と電力消費について述べる。ベルトの導電体とプーリの導電体の間に電位差を与えると、ジョンセン・ラーベック力が発現し、伝達可能な駆動力が増加する。一方で、誘電体に電流が流れてジュール熱(電力消費)も生じる。ジュール熱が多いと、ベルトやプーリの形状変化や劣化、機内昇温や、誘電体の形状変化や材料特性変化による静電吸着力の不安定といった問題が発生する。そのため、各プーリでは、電力消費が少ないことが望まれる。
次に、本実施形態の課題としている過剰なジュール熱を発生させている伝達可能駆動力について述べる。駆動伝達装置50では、駆動プーリ21と従動プーリ22とで、ベルト23の巻き付き長さが異なる。この状態において、図5(b)のように各プーリの導電体21a,22aおよび21c、22cに同じ値の電圧を印加したとする。すると、単位面積当たり静電吸着力Pが同じであることから、ベルト巻き付き長さの短い駆動プーリ21の方が、ベルト巻き付き長さの長い従動プーリ22よりもベルト23との接触面積が小さい分、静電吸着力が小さくなる。
複数のプーリに巻回されたベルト駆動においては、滑りが発生するプーリは、伝達可能な駆動力が一番小さいプーリにおいて発生するので、減速系では系全体での伝達可能な駆動力は駆動プーリ側で制限されることになる。この場合、伝達可能駆動力が大きい従動プーリの伝達可能駆動力は、駆動プーリに対して差分は必要のない力であり、余分(過剰)となる。
また、電流量について考察する。プーリ21、22間で、巻き付き長さ以外の諸条件(誘電体の厚みや体積抵抗率、ベルト巻き付き長さ当たりの電極面積等)が同じであるとする。この場合、接触部と誘電体バルク部を合わせた合計の抵抗値は、それぞれ巻き付き長さに反比例することになる。
ここで、駆動プーリの導電部21aからベルトを介して21cへと流れるベルト巻き付きの単位長さ当たりの電流量をi1とする。駆動プーリの導電部22aからベルトを介して22cへと流れるベルト巻き付きの単位長さ当たりの電流量をi2とする。同じ印加電圧においては、電流量i1は電流量i2にほぼ等しくなる。従って、仮に印加電圧が同じだとすると、巻き付き長さの長い従動プーリ22では、駆動プーリ21と比べて電流量は多くなる一方で伝達可能駆動力は余り、無駄な発熱が大きい状態となる。以上が本実施形態の課題である。
この課題を解決するために、各プーリの静電吸着力を各プーリの伝達可能な駆動力の差を小さくするように設定することで、無駄な消費電力を削減することができる。その方法として、プーリの導電体とベルトの間の電位差を、巻き付き長さの長い従動プーリ側を巻き付き長さの短い駆動プーリ側より小さくする。すると、従動プーリ側の過剰な伝達可能駆動力が抑えられ、また、電流が減ることで消費電力も削減できる。
具体的な回路接続を、図29に示す。電圧源25、26、35、36はそれぞれ+E,−E、+E2、−E2とする。従動プーリ電圧E2を駆動プーリ電圧Eより小さくする(E2<E)とする。これにより、従動プーリ側の導電体とベルトの電位差が駆動プーリの導電体とベルトの電位差より小さくなることで、従動プーリ側の過剰な伝達可能駆動力と電流を削減することができる。
ここで具体的に、駆動プーリ21と従動プーリ22それぞれにおいて伝達可能な駆動力1kgfを達成しようとした場合の各プーリへの印加電圧の設定を考える。
各プーリで必要となる単位面積当たりの静電吸着力Pを、(5)式を用いて算出する。駆動プーリの半径r1は10mm、駆動プーリのベルトの巻き付き角度θ1は120度、従動プーリの半径r2は40mm、従動プーリのベルトの巻き付き角度θ2は240度である。導電部21a、21c、22a、22cの幅は4.5mmである。また、ここではベルトの張力を与えるテンションを0とし、ベルトとプーリ間の摩擦係数μは0.3として算出する。
すると、各プーリで必要となる単位面積当たりの静電吸着力の大きさは、駆動プーリで約180kPa、従動プーリで約25kPaとなる。図6(a)より、必要な単位面積当たりの静電吸着力を発生させるための電圧は、駆動プーリの導電部21a、21cに±340V、従動プーリの導電部22a、22cでは±130Vで良いと分かる。
しかし、本実施例を用いないで、従動プーリに必要な電圧±130Vではなく、駆動プーリと同じ±340Vの電圧を印加した場合、従動プーリで流れる電流は、従動プーリ0.8mAとなった。よって従動プーリの消費電力は、544mWとなる。
ここで、従動プーリに必要な分の静電吸着力を発生させる電圧±130Vを印加した場合、従動プーリで流れる電流は、従動プーリで0.03mAとなった。よって従動プーリでの消費電力は、7.8mWと小さくて済む。このように消費電力を下げることで、発熱量を大幅に下げることができる。
上記までは、1つのプーリに対して正と負の2つの電圧源を用意し、電圧を印加していた。しかし、1つのプーリの導電部への電圧印加を、1つの電圧源で行うことも可能である。
駆動プーリと従動プーリにそれぞれに対して、電圧印加手段を1つずつ用いて導電部に電圧印加を行った場合の駆動伝達装置の模式的断面図と等価回路を図31、図32に示す。駆動プーリの導電部21aと21cに、電圧源25′の+と−を接続する。また、従動プーリの導電部22a、22cにも、電圧源26’の+と−を接続する。そして、ベルト巻き付き長さの長い従動側の過剰な伝達可能駆動力と電流を抑えるために、電圧源25′の電圧Ekと電圧源26′の電圧Ejの関係を、Ek>Ejに設定する。
ここで、ポイントになるのが、ベルトを介したプーリ間電流の防止である。Ej≠Ekの場合、各プーリのベルトに電位差が発生し、プーリからもう片方のプーリにベルトを介して電流が流れてしまう。すると、従動プーリの吸着力を下げるために従動プーリの電圧Ejを変えても、駆動プーリ側の回路にも影響を与え、個別に吸着力がコントロールできない課題が出てきてしまう。そこで、図31のように、片側の電圧源をフロートにする。従動側の電圧源26′をGNDに接続しないフロート状態にしている。等価回路は図32となる。
GNDに接続したプーリ側でベルトの電圧が決まり、そのベルト電圧を基準にして、電圧源をフロートにしたプーリ側の電圧が決まる。これによって、ベルトを介したプーリ間電流を防止し、各電源で、各プーリにおける静電吸着力をコントロールすることが可能になる。
以上によって、各プーリの静電吸着力をコントロールし、電力消費を抑えることができる。
また、駆動プーリと従動プーリにおける導電体とベルトの間の電位差を変化させる方法は、ここまで説明した構成に限定されるものではなく、他の構成でも実施可能である。具体的には、電圧源の電圧を変えるのではなく、図33のようにベルトの巻き付き長さの長いプーリへの電圧印加経路上に直列に外部抵抗37を備えることによって、プーリの導電部とベルト間に印加される電圧を小さくする方法でも良い。図34に等価回路を示す。電圧印加経路上に直列に外部抵抗37を備えると、電圧印加手段25′の電圧が、プーリの導電体とベルト間の抵抗と、外部抵抗37とで分圧されるようになる。
これによって、プーリとベルト間への電圧を小さくすることが可能となり、巻き付き長さの長いプーリ側の余剰な伝達可能駆動力を減らすことができる。また、電圧印加経路上に直列に外部抵抗37を備えることで電圧印加経路の抵抗が大きくなるため、電流が小さくなり消費電力低減させることができる。
(第10の実施の形態)
第9の実施形態では、片側の電圧源のGNDをフロートにすることでベルトを介したプーリ間電流を防止していたが、本実施形態では、フロート電源を用いることなくベルトを介したプーリ間電流を防止する。
図35は、ベルトの断面構造を説明する図である。誘電体層23bの上の金属層23aが搬送方向(図中S方向)で一部なくなっている。これにより、ベルト金属層が搬送方向で電気的に分断されてベルトを介したプーリ間の電流が流れなくなる。金属層のなくなるギャップは、絶縁破壊の起きない距離が望ましくここでは2mmとした。またギャップを設置部の間隔は、ベルトがプーリから剥離する位置から次のプーリの巻き付き開始位置までの距離の間に、必ず1つ以上のギャップが入る間隔に設定する。
駆動伝達装置の電気的な等価回路は図36となる。駆動プーリと従動プーリの回路が独立となり、電圧源25′、26′の電圧が各プーリに独立に作用できるようになる。
本発明の駆動伝達装置は、ここまで説明した構成に限定されるものではなく、他の構成でも実施可能である。具体的には、エアギャップを設けてベルトが搬送方向で電気的に絶縁するようにしたが、エアギャップではなく絶縁層に置き換えしても良い。また、無端ベルトの導電部23b表面上に更に誘電体層を有する構成でもよい。さらに無端ベルトは平ベルトに限らず、プーリとの間で摩擦伝達を行うVベルトやVリブドベルトなどでもよい。
以上、本実施の形態では、ベルト金属層が搬送方向で分断することによって、ベルトを介したプーリ間の電流が流れなくなる。これにより、各プーリの印加電圧を変えて各プーリの静電吸着力を個別にコントロールすることが可能となる。
(第11の実施の形態)
第9の実施形態では、各プーリの伝達可能な駆動力の差を小さくする方法として、第1のプーリの導電部とベルト23との間に与える電位差と、第2のプーリの導電部とベルト23との間に与える第2の電位差とに差異を設ける方法を採用した。これに対し、第11の実施の形態では、各プーリの導電部への印加電圧が等しいままでも、静電吸着力の過剰分を減らす構成を採用する。その構成の概略としては、各プーリの導電部とベルト23との間の抵抗値を異ならせることにより、静電吸着力や電流量の過剰分を減らすものである。
プーリの導電部とベルトとの間の抵抗値を変化させる方法として、ベルト巻き付き長さの違いに応じてプーリの導電部とベルト23とが対向するベルト巻き付きの単位長さ当たりの接触面積を変える。
その方法として、図37に示すように、導電部間にある絶縁層22bの面積変える方法がある。ベルト巻き付き長さの長い従動プーリ側で、絶縁層22bの幅を広くすることで絶縁層の面積を大きくし、導電部22a、22cの面積が小さくなる。これにより、従動プーリ22のプーリの導電部とベルト23とが対向するベルト巻き付き長さ当たりの接触面積を小さくなり、従動プーリ22とベルト23との間の抵抗が大きくなり、従動プーリ22に流れる電流量を減らして電力消費による発熱を抑えることができる。
このように、巻き付き長さの長い従動プーリ側のベルト巻き付き当たりのプーリの導電部とベルトの対向面積を、ベルト巻き付き長さの短い駆動プーリより小さくすることで、従動プーリ側の過剰な電流と静電吸着力を抑えることができる。なお、実施形態5の図15に示すような導電部および絶縁層がベルトの搬送方向と垂直に設けられた構成でも同様に、導電体部間にある絶縁層の面積を変えることで抵抗を変えることができる。
また、プーリの導電部とベルトとの間の抵抗値を変化させる他の構成として、誘電体層をプーリ側に持たせ、誘電体の厚さを厚くする構成にしても良い。ベルト巻き付き長さの長い従動プーリ22の誘電体層22aの膜厚を大きくすることで従動プーリ22とベルト23との間の抵抗を大きくし、従動プーリ22に流れる電流量を減らして電力消費による発熱を抑えることができる。
また、他の構成として、誘電体をプーリに持たせ、誘電体層の体積抵抗率を変更する構成にしても良い。ベルト巻き付き長さの長い従動プーリ22の誘電体層22aの体積抵抗率を大きくすることで従動プーリ22とベルト23との間の抵抗を大きくし、従動プーリ22に流れる電流量を減らして電力消費による発熱を抑えることができる。
以上のように、巻き付き当たりの接触面積や、各プーリの誘電体の厚さや体積抵抗を変化させることによって、プーリの導電部とベルトとの間の抵抗値を変化させ、静電吸着力や電流量の過剰分を減らすことができる。
(第12の実施の形態)
本発明の第12の実施形態は、負荷や環境などの状態によって印加電圧を変化させるものである。これにより、静電吸着力の不足を防ぐことでプーリとベルトの滑りを防止し、また、過剰な静電吸着力を削減することで消費電力を低減する。
本実施例の画像形成装置は、カラー印刷モードと白黒印刷モードを有しており、カラー印刷モードでは図2の4色の画像形成部PY〜PKにおいてトナー像の形成が行われる。白黒印刷モードでは画像形成部PY〜PCは動作せず、画像形成部PKのみでトナー像の形成が行われる。
図38を用いて感光ドラム1Y〜1Kへの駆動伝達を説明する。図38において、モータ20の回転駆動力は、駆動プーリ21、無端ベルト23、従動プーリ22、ギア31K〜31Y、33K〜33Yを介して、感光ドラム1Y〜1Kへと伝達される。ギア31K〜31Y、33K〜33Yはそれぞれ軸30K〜30Y、32K〜32Yに取り付けられている。
ギア31Kの取り付け軸30Kとギア31Cの取り付け軸30Cの間には電磁クラッチ29が備えられており、電磁クラッチ29がONの場合に軸30Kの回転が軸30Cに伝達され、OFFの場合には伝達が遮断される。即ち電磁クラッチ29がONの場合には感光ドラム1Y〜1Kが回転し、電磁クラッチ29がOFFの場合には感光ドラム1Kのみが回転する。
既に述べたように本実施例の画像形成装置は、カラー印刷モードと白黒印刷モードを有している。
図38において、不図示のCPUから印刷モード情報が入力されると、駆動切替手段39は、入力された情報に基づいて電磁クラッチ29のON/OFFを切り替える。入力された印刷モード情報がカラー印刷モードの場合、電磁クラッチ29をONして軸30Kの回転が軸30Cへと伝達される状態にする。白黒印刷モードの場合には、電磁クラッチ29をOFFして軸30Kと軸30Cとの間の回転伝達を遮断する。このように、カラー印刷モードでは感光ドラム1Y〜1K全てが、白黒印刷モードでは感光ドラム1Kのみが回転するように制御される。
なお、白黒印刷モードで感光ドラム1Y〜1Cが回転しない場合、これらの感光ドラム1Y〜1Cは中間転写ベルト9と離間させる。この動作を図39で説明する。図39(a)はカラー印刷モード時を表しており、中間転写ベルト9は一次転写ローラ5Y〜5Kによって図中上方向に張り上げられて感光ドラム1Y〜1Kと接触している。図39(b)は白黒印刷モード時を表している。この場合、不図示の駆動源によってカム8が回転し、一次転写ローラ5Y〜5Cはこれらを支持する支持部材7とともに下降させられる。このようにして白黒印刷モード時には感光ドラム1Y〜1Cは中間転写ベルト9と離間される。
さて、図38において、駆動切替手段39に入力される印刷モード情報は同時に電圧指示手段38へも入力される。
電圧指示手段38には、カラー印刷モードと白黒印刷モードそれぞれの場合に従動プーリ22および駆動プーリ21にあらかじめ印加すべき電圧値が記憶されており、入力された印刷モード情報に応じて、電圧指示値として出力する。以下では従動プーリへの電圧印加について詳しく説明する説明する。
電圧指示手段38に記憶されている電圧値はあらかじめ算出あるいは測定されて格納されたものである。白黒印刷モードでは、カラー印刷モードに対して回転駆動される感光ドラムが4本から1本になって負荷トルクが約1/4となり、即ち駆動プーリ21から無端ベルト23、従動プーリ22へ伝達するべき駆動力が約1/4となる。よって、前述した伝達可能な駆動力が印加電圧に2次比例する関係に従い、白黒印刷モード時の印加電圧は、カラー印刷モード時の印加電圧の約1/2となっている。具体的な電圧値としては、例えばカラー印刷モード時が800V、白黒印刷モード時が400Vである。
電圧指示手段38から出力された電圧指示値は電圧印加手段26′へと入力され、電圧印加手段26′は入力された電圧指示値に従った電圧を出力し、導電性ブラシ28を介して従動プーリ22へ印加される。
ここで、駆動伝達装置50の動作フローについて図40を参照して説明する。駆動伝達装置50の動作開始前には、従動プーリの導電部および駆動プーリの導電部への電圧印加はOFFとなっている。不図示のCPUから駆動伝達装置50に動作開始指令が出されると、まず電圧指示手段25において、入力される印刷モード情報からカラー印刷モードか白黒印刷モードかが判断される(S101)。カラー印刷モードの場合には、電圧指示値を予め記憶されているカラー印刷モード時の印加電圧であるVcolに設定する(S102)。
白黒印刷モードの場合には、電圧指示値を予め記憶されている白黒印刷モード時の印加電圧であるVbwに設定する(S103)。その後、電圧印加手段24から従動プーリ22へ電圧指示値に従った電圧が印加され(S104)、不図示のモータ制御手段によってモータ20の回転が開始される(S105)。その後、CPUから停止指令が出されるまで待機する(S106)。停止指令が出されると、モータ20の回転を停止(S107)した後に、従動プーリ22への電圧印加をOFFする(S108)。
このように駆動伝達装置50では、回転駆動される感光ドラムの本数変更に伴う負荷トルクの変化に対応した適切な静電吸着力が発生させられ、滑りが発生することなく駆動力の伝達が行われる。
なお、以上は従動プーリに関しての説明であったが、駆動プーリに関しても同様に実施することができる。また、カラー印刷モードと白黒印刷モードで、駆動負荷が変化した場合を示したが、他の負荷変動に適用しても良い。電圧指示手段の切換え情報として、モータ制御のトルク情報を用いても良い。
また、ベルトの滑り検出情報を用いても良い。滑り検出は、駆動プーリ21の回転数と従動プーリ22の回転数を比較し、滑りの発生を検出する。駆動プーリから従動プーリまでに減速されている場合は、減速を考慮すればよい。例えば、減速比が0.25であるときは、従動プーリの回転数の4倍の値と、駆動プーリの回転数を比較し、差分の絶対値が所定の閾値を超えたときに滑りを判断する。
また、負荷の状態変化の対応以外に、環境の状態変化に対応して印加電圧を変化させても良い。例えば、機内に設置した温湿度センサによって検知した温湿度情報や、ジョンセン・ラーベック力と相間のある電流応答の検出情報を元に、印加電圧を変更させても良い。
以上のように、本実施の形態では、駆動伝達装置において負荷の状態や環境の状態によって印加電圧を変化させることで、静電吸着力の不足を防ぐことでプーリとベルトの滑りを防止し、また、過剰な静電吸着力を削減することで消費電力を低減する。
(第13の実施の形態)
本発明の第13の実施形態は、プーリとベルトの剥離部や巻き付き開始部における騒音や放電を抑制するものである。静電吸着力は、製造上のばらつきや劣化等により均一でなくムラがある。そのため、剥離部ではプーリとベルトの剥離位置が変動して、ベルトの振動による騒音が発生する。また、ベルトの巻き付き開始部や剥離部において放電が発生する恐れがある。
そこで、本実施形態では、プーリの導電部を回転方向に分割し、一部の導電部のみに給電を行う。具体的には、ベルトがプーリに巻き付いた後に給電を開始し、剥離する前に給電を停止する。
図41は、プーリ側面方向から駆動伝達装置を見た図である。プーリの導電部は回転方向に分割されている。図41で見えている従動プーリの側面において、導電部22cはプーリ中心部まで広がっていて、導電ブラシ28bを介して電圧印加できるようになっている。また、導電ブラシ28bは、従動プーリの導電部22cのすべてに対して給電するのではなく、ベルトの巻き付き開始部(図Eの領域)や剥離部(図Fの領域)やベルトが巻き付いてない部分を除いて給電する構成にする。導電部22cへの部分的な給電と同様のことを、もう一方の導電部22aに対しても、反対側のプーリ側面で実施する。また、駆動プーリの導電部21a,21cに関しても、同様に部分的な給電を行う。
従動プーリの巻き付き開始部Eの放電について詳しく説明する。巻き付き開始部Eではベルト23と従動プーリ22との距離が次第に近づき、密着して巻き付きが開始される。この時、巻き付き開始位置において導電部22a,22cに静電吸着のための電圧が給電されていると放電が起こる。この放電を防止するため、巻き付き開始位置の導電部22a,22cを電気的にどこにも接続せず、給電しない状態にする。給電しないので、電荷や電位差はなく、放電を発生させずに済む。これを、駆動プーリでも実施する。
次に従動プーリの剥離部Fの放電と騒音について詳しく説明する。剥離部Fではベルト23が従動プーリ21から次第に離れていくため、剥離開始位置の導電部22a,22cに給電されていると巻き付き開始部Eと同様に放電が起こる。また、この放電の他にベルト23が振動し騒音が発生することが分かっている。ベルト23の振動は次のようなメカニズムで発生すると考えられる。従動プーリ22とベルト23にはマクロでみると一様な吸着力が働いているように見えるが、ミクロな視点で見ると、ベルト23の誘電体層23aの膜圧のバラつきや、表面凹凸の影響により吸着力は不均一に働いている。
したがって、剥離位置において静電吸着力が働いていると、静電吸着力が小さい時は上流側ですぐ剥離されるが、静電吸着力が大きい時はしばらく巻き付いて剥離位置が下流側に変動する。このように剥離する位置が周期的に変動するとベルト23はベルト面の垂直方向に周期的に変動する。その結果、ベルトが振動して騒音が発生すると考えられる。
このような剥離位置変動によるベルトの振動発生を防止するため、剥離部Fの導電部22a,22cに電圧印加手段26から給電を行わない構成をとる。電圧印加手段26が接続されていないため、放電および静電吸着力が発生しない。静電吸着力を発生させないことにより、静電吸着力のムラによる剥離位置変動によるベルト剥離騒音を低減させることができる。これを駆動プーリでも実施する。
なお、プーリの電極の構成として、図42に示すプーリ表面の展開図のように、プーリの複数の導電部を搬送方向Sに対し垂直方向と平行方向とに分割した構成して、ベルトとプーリとが接触している領域に位置する搬送方向に対し垂直に隣り合う導電部21a、21cへ電位差を与えるようにしても良い。
また、上記まででは、給電を行わない電極部をフローティングにするという構成を取ったが、他の構成として、給電を行わない電極部22a、22c同士をショートさせる構成にしても良い。図43のように導電体ブラシ39a、39bを給電しない導電部に当てることでショートさせる。フローティングの場合には、導電部22a、22cの電荷は、ベルトとプーリの導電部の間の抵抗を通ってベルト23に放出される。この時、抵抗値が大きいと電荷が抜けるために時間が掛かり、抜けきれず残った電荷により静電吸着力が残る恐れがある。
そこで、給電を停止したあと電極22a,22cの残留電荷は互いに逆極性であることに着目し、互いをショートさせる。すると、導電部22a,22cの電荷と相殺でき、より早く静電吸着力を低減できる。
また、他の構成として、給電をさせない電極部をベルト23と接続してベルトと同電位にする構成にしても良い。ベルトに接続させる構成にすることで、導電部の電荷は瞬時にベルトに放出されるため、電荷は残らず静電吸着力の低減をより確実にできる。実現する構成は、図44に示すように、導電性ブラシ39a,39bと新たにベルト表面に接する導電性ブラシ40を電気的に接続することで実現できる。
以上、ベルトがプーリに巻き付いた後に給電を開始し、剥離する前に給電を停止する構成にすることで、巻き付き開始部や剥離部ではプーリ側導電部に給電させずに放電を防止できる。また、剥離部における静電吸着力を低減させることで、静電吸着力のムラによる剥離位置変動を抑え、ベルトの振動による騒音を低減することができる。
1Y、1M、1C、1K・・・感光ドラム
2Y、2M、2C、2K・・・帯電装置
3Y、3M、3C、3K・・・露光装置
4Y、4M、4C、4K・・・現像装置
4j・・・固定磁極
4s・・・現像スリーブ
5Y、5M、5C、5K・・・一次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K・・・クリーニング装置
9・・・中間転写ベルト
10・・・バックアップローラ
11・・・二次転写ローラ
12・・・テンションローラ
13・・・駆動ローラ
14・・・給紙ローラ
15・・・分離装置
16・・・レジストローラ
17・・・定着装置
18・・・中間転写ベルトクリーニング装置
20・・・モータ
20a・・・モータ軸
21・・・ 駆動プーリ
21a、21c・・・ 駆動プーリの導電部
21b・・・駆動プーリの絶縁層
22、24・・・従動プーリ
22a、22c、24a、24c・・・従動プーリの導電部
22b、24b・・・従動プーリの絶縁層
23・・・ベルト
23a・・・誘電体層
23b・・・導電部
23c・・・低抵抗層
23d・・・絶縁層
25、26、35、36・・・電圧印加手段
28a、28b、28c、28d、28e、28f、39a、39b、40・・・導電性ブラシ
30Y、30M・・・軸
37・・・外部抵抗
38・・・電圧指示手段
39・・・駆動切換手段
40・・・加圧ローラ
41・・・定着ローラ
50・・・駆動伝達装置
100・・・画像形成装置

Claims (25)

  1. 駆動源と、 駆動源によって回転駆動される駆動プーリと、 被駆動部に直接または間接的に連結される従動プーリと、 前記駆動プーリおよび前記従動プーリに巻き回されたベルトを備え、 前記駆動源の回転力を前記駆動プーリおよび前記ベルトおよび前記従動プーリを介して 前記被駆動部に駆動を伝達する駆動伝達装置であって、
    前記駆動プーリまたは前記従動プーリの少なくとも一方に、複数に分割された導電部を有し、 前記ベルトにも導電部を有し、前記導電部を有するプーリと前記ベルトの導電部は誘電体層を介して接触するように配置され、前記導電部を有するプーリにおいて絶縁層を介して隣り合う導電部に電位差を与えると共に、前記導電部を有するプーリと、前記ベルトの導電部間に電位差を与える電圧印加手段を備えることを特徴とする駆動伝達装置。
  2. 前記誘電体層の体積抵抗は、前記ベルトおよび前記プーリの導電部の体積抵抗よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置。
  3. 前記誘電体層の体積抵抗は、1E+9Ωcmから1E+14Ωcmの範囲である ことを特徴とする請求項2に記載の駆動伝達装置。
  4. 前記誘電体層の体積抵抗は、1E+14Ωcmより大きいことを特徴とする請求項2に記載の駆動伝達装置。
  5. 前記ベルトの導電部が金属層であることを特徴とする請求項3または4に記載の駆動伝達装置。
  6. 前記駆動プーリと前記従動プーリはいずれもベルトの内側に配置され、前記誘電体層はベルトの内周面に設けられる ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の駆動伝達装置。
  7. 前記誘電体層は、前記駆動プーリの外周面および前記従動プーリの外周面に設けられる ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の駆動伝達装置。
  8. 前記プーリに設けられた複数に分割された導電部は、前記ベルトの搬送方向と平行に配置されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の駆動伝達装置。
  9. 前記プーリに設けられた複数に分割された導電部は、搬送方向と垂直に配置される ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の駆動伝達装置。
  10. 前記駆動プーリまたは前記従動プーリの少なくとも一方のプーリにおいて、ベルト巻き付き角度は、隣り合う導電部に電位差を与える一方の導電部の端から、絶縁層、もう一方の導電部、絶縁層、そして同じ電位を与える導電部の端までの合計角度の整数倍と等しくすることを特徴とする請求項9に記載の駆動伝達装置。
  11. 前記導電部を有するプーリは、前記駆動プーリと前記ベルト、および前記従動プーリと前記ベルト間に発生する静電吸着力が 最も小さいプーリであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の駆動伝達装置。
  12. 前記導体部を有するプーリと前記ベルトの接触時間tは、
    クーロン力よりも、ジョンセン・ラーベック力が大きくなるために必要な時間tcjに対して、
    tcj < t を満たすように、
    前記tcjおよび前記接触時間tを決定したことを特徴とする請求項3に記載の駆動伝達装置。
  13. 前記駆動プーリの絶縁層を介して隣り合う導電部に電位差を与える第1の電圧印加手段と前記従動プーリの絶縁層を介して隣り合う導電部に電位差を与える第2の電圧印加手段を持ち、前記第1の電圧印加手段と前記第2の電圧印加手段とを絶縁することを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置。
  14. 前記ベルトの導電層は、2つのプーリ間に渡されているベルトの各々のプーリと接触していない部分の長さ以下の間隔で、1つ以上の分断を有することを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置。
  15. ベルト巻き付き長さの長いプーリ側の絶縁層を介して隣り合う導電部間に電位差を、
    ベルト巻き付き長さの短いプーリ側の絶縁層を介して隣り合う導電部間に電位差より
    小さくすることを特徴とする請求項1に記載の駆動力伝達装置。
  16. ベルト巻き付き長さの長いプーリ側のプーリのベルト巻き付き長さ当たりのプーリの導電部とベルトの接触面積が、
    ベルト巻き付き長さの短いプーリ側のプーリのベルト巻き付き長さ当たりのプーリの導電部とベルトの接触面積がより小さいことを特徴とする請求項1に記載の駆動力伝達装置。
  17. ベルト巻き付き長さの長いプーリの誘電体の体積抵抗率が、
    ベルト巻き付き長さの短いプーリの誘電体の体積抵抗率より大きいことを特徴とする請求項7に記載の駆動力伝達装置。
  18. ベルト巻き付き長さの長いプーリの誘電体膜厚が、
    ベルト巻き付き長さの短いプーリの誘電体膜厚より大きいことを特徴とする請求項7に記載の駆動力伝達装置。
  19. 前記電圧印加手段に印加電圧を指示する電圧指示手段を備え、
    前記被駆動部の動作状態を識別する被駆動部動作状態識別手段を備え、
    前記電圧指示手段は前記被駆動部動作状態識別手段の識別情報に基づいて印加電圧指示値を決定することを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置
  20. 請求項1に記載の駆動伝達装置において、
    前記プーリの少なくともひとつのプーリにおいて、前記複数の導電部は搬送方向に対し垂直方向に分割され、前記複数の導電部は電気的に独立させ、前記複数の導電部への前記電圧印加手段は、前記ベルトが前記プーリから剥離する領域または巻き付き開始領域に位置する導電部への電圧印加を行わず、前記ベルトと前記プーリとが接触している領域に位置する搬送方向に隣り合う導電部へ電位差を与えることを特徴とする駆動伝達装置。
  21. 請求項1に記載の駆動伝達装置において、
    前記プーリの少なくともひとつのプーリにおいて、前記複数の導電部は搬送方向に対し垂直方向と平行方向とに分割され、前記複数の導電部は電気的に独立させ、前記複数の導電部への前記電圧印加手段は、前記ベルトが前記プーリから剥離する領域または巻き付き開始領域に位置する導電部への電圧印加を行わず、前記ベルトと前記プーリとが接触している領域に位置する搬送方向に対し垂直に隣り合う導電部へ電位差を与えることを特徴とする駆動伝達装置。
  22. 前記給電を行わない領域において、絶縁層を介して隣り合う導電部と同時に接触する接触手段を有することを特徴とする請求項20または21に記載の駆動伝達装置
  23. 前記給電を行わない領域において、前記導電部と前記ベルトの導電部が接触する接触手段を有することを特徴とする請求項20または21に記載の駆動伝達装置
  24. 請求項1乃至23のいずれか1項に記載の駆動伝達装置を備えた画像形成装置であって、 前記被駆動部は、トナー像が担持される像担持体である ことを特徴とする画像形成装置。
  25. 請求項1乃至23のいずれか1項に記載の駆動伝達装置を備えた画像形成装置であって、前記被駆動部は、感光体に形成されたトナー像が転写される中間転写ベルトを駆動させるためのローラである ことを特徴とする画像形成装置。
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