JP2015189776A - 誘電膜およびそれを用いたトランスデューサ - Google Patents

誘電膜およびそれを用いたトランスデューサ Download PDF

Info

Publication number
JP2015189776A
JP2015189776A JP2014065612A JP2014065612A JP2015189776A JP 2015189776 A JP2015189776 A JP 2015189776A JP 2014065612 A JP2014065612 A JP 2014065612A JP 2014065612 A JP2014065612 A JP 2014065612A JP 2015189776 A JP2015189776 A JP 2015189776A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dielectric
dielectric film
particles
film
rubber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014065612A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6249852B2 (ja
Inventor
高橋 渉
Wataru Takahashi
渉 高橋
吉川 均
Hitoshi Yoshikawa
均 吉川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP2014065612A priority Critical patent/JP6249852B2/ja
Priority to PCT/JP2015/059386 priority patent/WO2015147167A1/ja
Publication of JP2015189776A publication Critical patent/JP2015189776A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6249852B2 publication Critical patent/JP6249852B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04RLOUDSPEAKERS, MICROPHONES, GRAMOPHONE PICK-UPS OR LIKE ACOUSTIC ELECTROMECHANICAL TRANSDUCERS; DEAF-AID SETS; PUBLIC ADDRESS SYSTEMS
    • H04R19/00Electrostatic transducers
    • H04R19/04Microphones
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04RLOUDSPEAKERS, MICROPHONES, GRAMOPHONE PICK-UPS OR LIKE ACOUSTIC ELECTROMECHANICAL TRANSDUCERS; DEAF-AID SETS; PUBLIC ADDRESS SYSTEMS
    • H04R19/00Electrostatic transducers
    • H04R19/02Loudspeakers

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Acoustics & Sound (AREA)
  • Signal Processing (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Organic Insulating Materials (AREA)
  • Electrostatic, Electromagnetic, Magneto- Strictive, And Variable-Resistance Transducers (AREA)

Abstract

【課題】 柔軟で、比誘電率が大きく、薄膜化しても絶縁破壊強度が大きい誘電膜を提供する。耐絶縁破壊性に優れ、大きな力を出力することができるトランスデューサを提供する。
【解決手段】 誘電膜は、エラストマー101と誘電性粒子102とを含み、走査型電子顕微鏡により撮影された膜厚方向の断面写真100において、条件(A)[基準個数の平均値が0.8個/μm以上]、条件(B)[大粒子個数の平均値が0.2個/μm以下]、および条件(C)[エラストマーの面積割合が30%以下である単位領域の個数が10個以下]を満たす。トランスデューサは、該誘電膜と、該誘電膜を介して配置される複数の電極と、を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、エラストマー材料を用いたトランスデューサに関し、特に、該トランスデューサに用いられる誘電膜に関する。
トランスデューサとしては、機械エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うアクチュエータ、センサ、発電素子等、あるいは音響エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うスピーカ、マイクロフォン等が知られている。柔軟性が高く、小型で軽量なトランスデューサを構成するためには、誘電体エラストマー等の高分子材料が有用である。例えば、誘電体エラストマーからなる誘電膜の厚さ方向両面に一対の電極を配置して、トランスデューサを構成することができる。
印加電圧に対する静電引力を大きくして、トランスデューサの性能向上を図るためには、誘電膜の比誘電率を大きくすることが必要である。このため、特許文献1、2に記載されているように、エラストマーにチタン酸バリウム等の比誘電率が大きい誘電性粒子を配合した誘電膜が種々提案されている。
特開2008−53527号公報 国際公開第2013/058237号 特開2006−244927号公報
エラストマーに誘電性粒子を配合すると、誘電膜の比誘電率を大きくすることができる。しかし、粒子径が大きい誘電性粒子が含まれる場合、その粒子が起点となり、絶縁破壊を招きやすい。また、誘電性粒子は凝集しやすいため、エラストマー中に均一に分散させることは難しい。この場合、誘電性粒子が凝集した凝集塊が起点となり、さらに絶縁破壊を招きやすくなる。
近年では、印加電圧を低電圧化することによる安全性の向上、昇圧回路のコスト低減、用途拡大等の観点から、誘電膜の薄膜化が進められている。誘電膜の厚さが小さくなるほど、膜厚に対する誘電性粒子の大きさや凝集塊の存在の影響が顕著になる。したがって、誘電膜を薄膜化する場合、誘電性粒子に起因する絶縁破壊強度の低下が大きな問題になる。
上記特許文献1には、比誘電率200以上の誘電性粒子を含み、厚さ10〜200μmの誘電性ゴム層が開示されている。しかし、特許文献1においては、誘電性ゴム層の絶縁破壊強度は問題にされておらず、誘電性粒子の粒子径や分散状態に関する記載もない。
上記特許文献2には、エラストマーと、結晶化度が80%以上のチタン酸バリウム粒子と、を含み、エラストマーおよびチタン酸バリウム粒子による架橋構造が形成されている誘電膜が開示されている。特許文献2に記載の誘電膜においては、チタン酸バリウム粒子の比誘電率は結晶性が高いほど大きくなるという知見に基づいて、結晶化度が80%以上のチタン酸バリウム粒子を用いている。また、エラストマーと結合させることにより、チタン酸バリウム粒子の凝集を抑制している。このため、チタン酸バリウム粒子の表面には、エラストマーと反応可能な官能基が必要である。このように、所望の結晶化度と官能基とを有するチタン酸バリウム粒子を製造するには、特許文献2に記載されているように、通常の製造方法ではなく、超臨界水による水熱合成法や高濃度の前駆体を用いたゾルゲル法を、採用する必要がある。また、特許文献2においても、誘電膜を薄膜化した場合の絶縁破壊強度の低下については検討されていない。
上記特許文献3には、トランジスタのゲート絶縁膜として用いられる複合材料として、体積累積分布における50%径が100nm以下で比誘電率が50以上の粒子と、絶縁性の樹脂と、を含む複合材料が開示されている。しかし、特許文献3に記載の複合材料の用途はトランスデューサではない。このため、マトリクスは樹脂であり、該複合材料は柔軟性に乏しい。また、樹脂に配合される粒子は、粒子径が比較的小さいものに限定されているが、マトリクス中における粒子の分散状態については考慮されていない。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、柔軟で、比誘電率が大きく、薄膜化しても絶縁破壊強度が大きい誘電膜を提供することを課題とする。また、該誘電膜を用いて、耐絶縁破壊性に優れ、大きな力を出力することができるトランスデューサを提供することを課題とする。
(1)本発明の誘電膜は、エラストマーと、誘電性粒子と、を含み、次の(A)、(B)、(C)の条件を満たすことを特徴とする。
(A)走査型電子顕微鏡により撮影された膜厚方向の断面写真に、該断面写真の膜厚方向長さの1/2以上の長さを持ち膜厚方向に延びる三本の直線を膜展開方向に500nmずつ離間して描き、各々の該直線ごとに、該直線と交わる該誘電性粒子の個数を数えて、該個数を該直線の長さで除することにより該直線1μm当たりの基準個数を算出した場合に、三本の該直線における該基準個数の平均値が0.8個/μm以上である。
(B)(A)において三本の該直線と交わる該誘電性粒子のうち、粒子径が誘電膜の膜厚の1/10よりも大きい大粒子の個数を各々の該直線ごとに数えて、該個数を該直線の長さで除することにより該直線1μm当たりの大粒子個数を算出した場合に、三本の該直線における該大粒子個数の平均値が0.2個/μm以下である。
(C)走査型電子顕微鏡により撮影された膜厚方向の断面写真に、200nm四方の単位領域が100個連なって形成される測定領域を設け、該単位領域ごとに該エラストマーが占める面積を測定した場合に、該測定領域における該エラストマーの面積割合が30%以下である該単位領域の個数が10個以下である。
まず、条件(A)について説明する。図1に、本発明における条件(A)を説明するための誘電膜の断面写真の模式図を示す。図1は、条件(A)の基準個数の算出手順を説明するための模式図である。図1は、誘電性粒子の大きさ、形状、数、配置、および誘電膜の厚さ等を含めて、本発明の誘電膜を何ら限定するものではない。
断面写真100は、誘電膜の膜厚方向断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影したものである。エラストマー101中には、多数の誘電性粒子102が分散している。条件(A)の充足性を判断する場合は、まず、断面写真100の任意の部分に、上下方向(誘電膜の膜厚方向)に延びる三本の直線α、β、γを描く。三本の直線α、β、γの左右方向(誘電膜の膜展開方向)の間隔は、各々500nmである。また、三本の直線α、β、γの長さは、断面写真100の上下方向長さの1/2以上のLμmである。次に、三本の直線α、β、γの各々について、直線α、β、γと交わる誘電性粒子102の個数を数える。ここでは、三本の直線α、β、γと交わる誘電性粒子102の個数を、直線αについてはX個、直線βについてはY個、直線γについてはZ個とする。続いて、各個数を、直線の長さLμmで除することにより、各直線1μm当たりの基準個数を算出する。この場合、各直線における基準個数は、X/L(個/μm)、Y/L(個/μm)、Z/L(個/μm)となる。最後に、三つの基準個数の平均値[(X+Y+Z)/(3L)]を、算出する。そして、得られた平均値が0.8個/μm以上であるか否かを判断する。このようにして、条件(A)の充足性を判断する。
条件(A)において、基準個数の平均値は、誘電性粒子の数および大きさに関係する値である。エラストマー中の誘電性粒子の数が少ないと、基準個数の平均値は小さくなる。この場合、比誘電率を大きくする効果が小さくなる。また、誘電性粒子の大きさが大きいと、誘電性粒子の数が減少する傾向にあるため、基準個数の平均値は小さくなる。この場合、誘電性粒子を起点とする絶縁破壊が生じやすい。基準個数の平均値が0.8個/μm以上であるということは、誘電性粒子の数および大きさが適当であることを示す。つまり、誘電膜は比誘電率が大きく、絶縁破壊しにくい。このように、条件(A)は、比誘電率の大きさおよび絶縁破壊強度の指標となる。
次に、条件(B)について説明する。条件(A)において三本の直線α、β、γと交わる誘電性粒子102のうち、粒子径が誘電膜の膜厚の1/10よりも大きい大粒子の個数を数える。ここでは、大粒子の個数を、直線αについてはx個、直線βについてはy個、直線γについてはz個とする。大粒子としては、粒子径が大きい単独の粒子の他、複数の粒子が凝集することにより粒子径が大きくなった凝集粒子を含む。続いて、各個数を、直線の長さLμmで除することにより、各直線1μm当たりの大粒子個数を算出する。この場合、各直線における大粒子個数は、x/L(個/μm)、y/L(個/μm)、z/L(個/μm)となる。最後に、三つの大粒子個数の平均値[(x+y+z)/(3L)]を、算出する。そして、得られた平均値が0.2個/μm以下であるか否かを判断する。このようにして、条件(B)の充足性を判断する。
条件(B)において、大粒子個数の平均値が0.2個/μm以下であるということは、膜厚に対して粒子径が大きい誘電性粒子の数が少ないことを示す。この場合、膜厚が小さくても、誘電性粒子を起点とする絶縁破壊が生じにくい。このように、(B)の条件は、絶縁破壊強度の指標となる。
次に、条件(C)について説明する。図2に、本発明における条件(C)を説明するための誘電膜の断面写真の模式図を示す。図3に、図2中の単位領域の一つを拡大した模式図を示す。なお、説明の便宜上、図2においては、エラストマーおよび誘電性粒子を省略して示す。また、図2、図3は、条件(B)の単位領域および測定領域を説明するための模式図である。図2、図3は、誘電性粒子の大きさ、形状、数、配置、および誘電膜の膜厚等を含めて、本発明の誘電膜を何ら限定するものではない。
条件(C)の充足性を判断する場合は、まず、図2に示すように、誘電膜の膜厚方向断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した断面写真100において、2μm四方の正方形の測定領域Mを設ける。測定領域Mは、上下方向10個×左右方向10個(合計100個)の単位領域Eにより、区画されている。単位領域Eは200nm四方の正方形である。単位領域Eにおいては、図3に示すように、エラストマー101と誘電性粒子102とが観察される。次に、単位領域Eごとに、エラストマー101が占める面積を測定する。それから、図2にハッチングで示すように、エラストマー101の面積割合が30%以下である単位領域Eの個数を数える。そして、該個数が、10個以下であるか否かを判断する。このようにして、条件(C)の充足性を判断する。
ここで、単位領域Eの配置の仕方は、特に限定されない。しかし、誘電性粒子の分散状態を、膜厚方向および膜展開方向について均等に検出するという観点から、単位領域Eを、膜厚方向および膜展開方向に同数(10個×10個)配置して、測定領域Mを2μm四方の正方形とすることが望ましい(図2参照)。しかし、誘電膜の厚さが2μm未満の場合等、10個の単位領域Eを膜厚方向に揃えて配置できない場合も考えられる。この場合には、膜厚方向に配置できない残りの単位領域Eを、膜展開方向に加えて配置すればよい。
本発明の(C)の条件において、エラストマーの面積割合が30%以下の単位領域の個数が10個以下であるということは、エラストマー成分が多い、あるいはエラストマー成分が連続して存在する領域が多いことを示す。この場合、ポリマーネットワークにより、伸びが大きくなり、誘電膜は柔軟になる。このように、(C)の条件は、柔軟性の指標となる。また、誘電膜が柔軟な場合、伸縮を繰り返しても機械的強度が低下しにくい。このため、誘電膜が柔軟であることは、変形時の絶縁破壊強度の向上にもつながる。
以上まとめると、条件(A)、(B)、(C)を全て充足する誘電膜は、比誘電率および絶縁破壊強度が大きく、柔軟であるといえる。すなわち、条件(A)、(B)、(C)を充足する誘電性粒子の分散形態を実現することにより、柔軟で比誘電率が大きく、膜厚が小さい場合でも絶縁破壊強度が大きい誘電膜を得ることができる。
(2)本発明のトランスデューサは、上記本発明の誘電膜と、該誘電膜を介して配置される複数の電極と、を備えることを特徴とする。
本発明のトランスデューサは、上記本発明の誘電膜を備える。上述したように、本発明の誘電膜の比誘電率は大きい。このため、印加電圧に対する静電引力が大きい。加えて、本発明の誘電膜は柔軟である。このため、本発明のトランスデューサによると、実用的な電圧により、大きな力および変位量を得ることができる。また、本発明の誘電膜においては、薄膜化した場合においても絶縁破壊強度が大きい。したがって、本発明のトランスデューサは耐絶縁破壊性に優れる。そして、本発明のトランスデューサによると、薄膜状で絶縁破壊強度が大きい誘電膜を備えることにより、より低い電圧下での動作が可能になり、安全性の向上、昇圧回路のコスト低減、小型化を図ることができる。
本発明における条件(A)を説明するための誘電膜の断面写真の模式図である。 本発明における条件(B)を説明するための誘電膜の断面写真の模式図である。 図2中の単位領域の一つを拡大した模式図である。 本発明のトランスデューサの第一実施形態であるスピーカの斜視図である。 図4のV−V断面図である。 本発明のトランスデューサの第二実施形態であるアクチュエータの断面模式図であって、(a)は電圧オフ状態、(b)は電圧オン状態を示す。 本発明のトランスデューサの第三実施形態である静電容量型センサの上面図である。 図7のVIII−VIII断面図である。 本発明のトランスデューサの第四実施形態である発電素子の断面模式図であって、(a)は伸長時、(b)は収縮時を示す。 実施例2の誘電膜(膜厚10μm)の膜厚方向断面のSEM写真である。 測定装置に取り付けられたアクチュエータの表側正面図である。 図11のXII−XII断面図である。
以下、本発明の誘電膜およびトランスデューサの実施形態について説明する。なお、本発明の誘電膜およびトランスデューサは、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
<誘電膜>
本発明の誘電膜は、エラストマーと、誘電性粒子と、を含み、上記(A)、(B)、(C)の条件を満たす。
[エラストマー]
エラストマーには、架橋ゴムおよび熱可塑性エラストマーが含まれる。これらの一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。エラストマーは、トランスデューサに要求される性能に応じて、適宜選択すればよい。例えば、印加電圧に対する静電引力を大きくするという観点では、極性が大きい、すなわち比誘電率が大きいエラストマーを採用することが望ましい。具体的には、比誘電率が2.8以上(測定周波数100Hz)のものが好適である。比誘電率が大きいエラストマーとしては、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、およびウレタンゴム等が挙げられる。また、比誘電率が小さくても、電気抵抗が大きいエラストマーは、電圧印加時に絶縁破壊しにくいという点で望ましい。電気抵抗が大きいエラストマーとしては、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体等が挙げられる。また、官能基を導入するなどして変性したエラストマーを用いてもよい。変性エラストマーとしては、例えば、カルボキシル基変性ニトリルゴム(X−NBR)、カルボキシル基変性水素化ニトリルゴム(XH−NBR)等が好適である。X−NBR、XH−NBRにおいては、アクリロニトリル含有量(結合AN量)が33質量%以上のものが望ましい。結合AN量は、ゴムの全体質量を100質量%とした場合のアクリロニトリルの質量割合である。
熱可塑性エラストマーは、架橋剤を使用しないため、不純物が入りにくく、好適である。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系(SBS、SEBS、SEPS)、オレフィン系(TPO)、塩ビ系(TPVC)、ウレタン系(TPU)、エステル系(TPEE)、アミド系(TPAE)、およびこれらの共重合体やブレンド体が挙げられる。
[誘電性粒子]
誘電性粒子は、マトリクスのエラストマーよりも、比誘電率が大きい粒子であれば、材質、製造方法等は特に限定されない。例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ランタンドープチタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ビスマスバリウム等の無機粒子が好適である。誘電性粒子としては、これらの一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。また、極性が高い官能基で表面が修飾された無機粒子を用いてもよい。極性が高い官能基としては、ハロゲン、アミド、シアノ基、アミン、リン酸、スルホン酸等を含む官能基が挙げられる。官能基による修飾は、脱水反応、エン−チオール反応、加水分解反応等、公知の方法を用いればよい。誘電性粒子として有機粒子を用いる場合にも、無機粒子と同様に、表面を極性が高い官能基で修飾することができる。
誘電性粒子の比誘電率は、粒子の結晶性が高いほど大きくなる。例えば、誘電性粒子としてチタン酸バリウムを用いる場合には、結晶格子のc軸とa軸との比(c/a比)が1.001以上の粒子を用いるとよい。このような粒子としては、例えば、堺化学工業(株)製の商品「KZM−50」等が市販されている。
誘電性粒子の製造方法としては、固相反応法、水熱合成法、ゾルゲル法、シュウ酸法等がある。誘電性粒子の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、固相反応法によると、結晶性が高い粒子を得られるが、高温での焼成により粒子が凝集しやすい。焼成後に粉砕処理を行っても、粒子径が小さい粒子を得ることは難しい。一方、ゾルゲル法によると、粒子径が小さい粒子を得やすいが、得られる粒子の結晶性は低く、比誘電率が小さい。この点、水熱合成法によると、固相反応法ほどではないが比較的結晶性が高く、かつ、粒子径が小さい粒子を得やすい。したがって、水熱合成法によると、本発明の誘電膜に適した誘電性粒子を製造しやすい。
誘電膜において、膜厚に対して粒子径が大きい粒子が多く含まれていると、その粒子が起点となり絶縁破壊を招きやすい。このため、誘電膜の絶縁破壊強度を向上させるためには、誘電性粒子の粒子径を膜厚に対して小さくすることが望ましい。しかし、誘電性粒子の粒子径が小さくなると、誘電性粒子の比誘電率は小さくなる。このため、誘電膜の比誘電率を大きくするためには、誘電性粒子の粒子径をできるだけ大きくすることが望ましい。したがって、誘電性粒子の粒子径については、誘電膜の厚さと、実現したい比誘電率と、を考慮して、適宜決定すればよい。
後述するように、本発明の誘電膜は、エラストマーポリマーに、誘電性粒子の粉末と必要に応じて配合される他の成分とを混合した組成物を、所定の条件下で硬化させて製造することができる。この場合、誘電性粒子の粉末としては、誘電膜の絶縁破壊強度の観点から、粒子径の体積累積分布における95%径が誘電膜の膜厚の1/10以下である粉末を用いることが望ましい。また、誘電膜の比誘電率の観点から、個数平均粒子径が10nm以上の粉末を用いることが望ましい。
誘電性粒子の粉末の個数平均粒子径および95%径は、例えば、動的光散乱法(DLS)等による粒度分布測定装置を用いて測定することができる。本明細書においては、大塚電子(株)製「ELSZ−0S」にて測定された値を採用する。
誘電膜における誘電性粒子の含有量は、誘電膜の比誘電率および柔軟性等を考慮して、適宜決定すればよい。例えば、誘電性粒子の含有量を、エラストマーの100質量部に対して20質量部以上200質量部以下とするとよい。誘電性粒子の含有量が20質量部未満の場合には、条件(A)を充足しにくく比誘電率を大きくする効果が小さい。一方、200質量部を超えると、条件(C)を充足しにくく弾性率が増加して柔軟性が損なわれる。また、誘電性粒子の分散性が低下するため、条件(B)を充足しにくく絶縁破壊強度が損なわれるおそれがある。
[他の成分]
本発明の誘電膜は、上記エラストマーおよび誘電性粒子に加えて、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、架橋剤、補強材、可塑剤、老化防止剤、着色剤等が挙げられる。例えば、補強材として、絶縁性の無機粒子等を配合すると、誘電膜の機械的強度および電気抵抗を大きくすることができる。これにより、誘電膜の絶縁破壊強度がより大きくなり、変形を繰り返した場合における耐久性が向上する。
[誘電膜の物性など]
本発明の誘電膜の厚さは、特に限定されないが、トランスデューサに用いる場合には、1μm以上100μm以下にするとよい。本発明の誘電膜によると、50μm以下、さらには10μm以下に薄膜化した場合においても、絶縁破壊強度が大きい。印加電圧に対する静電引力を大きくするという観点から、本発明の誘電膜の比誘電率は大きい方が望ましい。例えば、比誘電率が13以上であると好適である。また、柔軟性の観点から、本発明の誘電膜の弾性率は、100MPa以下であると好適である。より好適な弾性率は、50MPa以下である。加えて、本発明の誘電膜の切断時伸びは、250%以上であると好適である。本明細書においては、弾性率を、JIS K7127:1999に規定される引張試験により得られる応力−伸び曲線から算出する(試験片には、試験片タイプ2を使用)。切断時伸びを、JIS K6251:2010に規定される引張試験により測定する(試験片には、ダンベル状5号形を使用)。
[誘電膜の製造方法]
本発明の誘電膜の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、エラストマーポリマー、誘電性粒子の粉末、および必要に応じて配合される他の成分を、ロールや混練機により混練りして、所定の条件下で薄膜状に成形すればよい。あるいは、エラストマーポリマー、誘電性粒子、および必要に応じて配合される他の成分を含む液状原料を、基材上に塗布して、所定の条件下で硬化させればよい。
上記条件(A)、(B)、(C)を充足する誘電性粒子の分散形態を実現するためには、エラストマー中に、粒子径が小さい誘電性粒子をできるだけ単分散させることが望ましい。このためには、後者の方法を採用することが望ましい。この場合、エラストマーポリマーを溶剤に溶解したポリマー溶液に、誘電性粒子が溶剤に分散されている分散液を加えて、液状原料を調製すればよい。
上述したように、膜厚に対して粒子径が大きい誘電性粒子を少なくして絶縁破壊強度を向上させるという観点から、粒子径の体積累積分布における95%径が誘電膜の膜厚の1/10以下である誘電性粒子の粉末を用いることが望ましい。例えば、ナノメートルサイズの誘電性粒子の分散液は、誘電性粒子の粉末を溶剤に分散した予備分散液をメカノケミカル処理して製造することができる。メカノケミカル処理の方法は、均一で微細分散可能な方法であれば、特に限定されない。例えば、湿式ビーズミル、湿式ボールミル、ジェットミル、ニーダー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサー等を用いて行えばよい。なかでも、湿式ビーズミル、湿式ボールミルが好適である。使用するメディアの大きさは、0.3mm以下、さらには0.1mm以下が好適である。また、メカノケミカル処理の後、得られた分散液をフィルター処理することにより、粒子径の大きい誘電性粒子を除去することができる。こうすることにより、粒子径の体積累積分布における95%径が誘電膜の膜厚の1/10以下である誘電性粒子の粉末が溶剤に分散されている分散液を、容易に製造することができる。
分散液を製造する場合、誘電性粒子の分散性を向上させるため、表面修飾剤により誘電性粒子を表面処理してもよい。表面修飾剤としては、誘電性粒子と化学結合するもの、あるいは誘電膜を形成する際に揮発するものが望ましい。表面修飾剤が単独で誘電膜中に残存すると、イオン化して誘電膜の電気抵抗を低下させ、絶縁破壊強度の低下を招くおそれがある。表面修飾剤としては、シラン系、チタネート系、アルミネート系、リン酸系等のカップリング剤等が挙げられる。
<トランスデューサ>
本発明のトランスデューサは、本発明の誘電膜と、該誘電膜を介して配置される複数の電極と、を備える。本発明のトランスデューサは、複数の誘電膜と複数の電極とを交互に積層させて構成してもよい。誘電膜と電極との間に、これらの中間の電気抵抗を有する中間層を介在させてもよい。積層構造を採用すると、より大きな力を発生させることができる。本発明の誘電膜の構成および製造方法については、上述した通りである。よって、ここでは説明を省略する。なお、本発明のトランスデューサにおいても、本発明の誘電膜における好適な態様を採用することが望ましい。
本発明のトランスデューサにおいて、電極の材質は、特に限定されるものではない。電極は、誘電膜の変形に追従して、伸縮可能であることが望ましい。この場合、誘電膜の変形が、電極により規制されにくい。したがって、本発明のトランスデューサにおいて、所望の出力を得やすくなる。例えば、オイル、エラストマー等のバインダーに導電材を混合した導電ペーストや導電塗料から、電極を形成することができる。導電材としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン等の炭素材料、銀等の金属粉末を使用すればよい。また、炭素繊維や金属繊維をメッシュ状に編んで、電極を形成してもよい。
本発明のトランスデューサは、電極間に電圧を印加することによりアクチュエータとして動作して応力を発生する。また、誘電膜が変形して電極間距離が変化すると、静電容量が変化する。これにより、本発明のトランスデューサは、静電容量型センサとして機能する。また、誘電膜が変形した時に発生する電荷を電流として利用することにより、本発明のトランスデューサは、発電素子としても機能する。以下、本発明のトランスデューサの実施形態として、スピーカ、アクチュエータ、静電容量型センサ、発電素子の実施形態を説明する。
[第一実施形態]
本発明のトランスデューサをスピーカに具現化した実施形態を説明する。図4に、本実施形態のスピーカの斜視図を示す。図5に、図4のV−V断面図を示す。図4においては、前側の絶縁膜を透過して示す。まず、本実施形態のスピーカの構成について説明する。図4、図5に示すように、スピーカ2は、振動部材20と、前側フレーム30aと、後側フレーム30bと、を備えている。
前側フレーム30aおよび後側フレーム30bは、各々、樹脂製であり、リング状を呈している。前側フレーム30aおよび後側フレーム30bは、振動部材20の周縁部を挟んで対向して配置されている。前側フレーム30aと後側フレーム30bとは、八つのボルト31、八つのナット32により、固定されている。「ボルト31−ナット32」のセットは、スピーカ2の周方向に所定間隔ずつ離間して配置されている。ボルト31は、前側フレーム30a前面から後側フレーム30b後面までを貫通している。ナット32は、ボルト31の貫通端に螺着されている。
振動部材20は、前側フレーム30aと後側フレーム30bとの間に介装されている。振動部材20は、三つの誘電膜21a〜21cと、四つの電極22a〜22dと、二つの絶縁膜23a、23bと、を備えている。振動部材20において、誘電膜21a〜21cと、電極22a〜22dと、は交互に積層されている。
誘電膜21a〜21cは、いずれも、カルボキシル基変性水素化ニトリルゴムとチタン酸バリウム粒子とを含み、円形の薄膜状を呈している。誘電膜21a〜21cの厚さは20μmである。誘電膜21a〜21cは、本発明の誘電膜に含まれる。電極22a〜22dは、いずれも、シリコーンゴムと銀粒子とを含んでいる。電極22a〜22dは、各々、誘電膜21a〜21cよりも小径の、円形の薄膜状を呈している。電極22a〜22dは、各々、誘電膜21a〜21cと略同心円状に配置されている。電極22a〜22dは、各々、端子部220a〜220dを有している。端子部220a〜220dは、各々、電極22a〜22dの上方の外周縁から拡径方向に突出している。端子部220a〜220dは、各々、短冊状を呈している。端子部220a〜220dには、配線(図略)を介して、外部から電圧が印加される。絶縁膜23a、23bは、いずれも、アクリルゴム製であり、誘電膜21a〜21cと同じ大きさの円形の薄膜状を呈している。
次に、本実施形態のスピーカ2の製造方法について説明する。まず、誘電膜21a〜21cを準備する。次に、誘電膜21aの前後両面に、シリコーンゴムに銀粉末を混合した導電塗料を印刷し、電極22a、22bを形成する。そして、形成した電極22aの前面、および電極22aが形成されていない誘電膜21aの前面全体に、アクリルゴムを含む絶縁塗料を印刷し、絶縁膜23aを形成する。同様に、誘電膜21cの前後両面に、導電塗料を印刷し、電極22c、22dを形成する。そして、形成した電極22dの後面、および電極22dが形成されていない誘電膜21cの後面全体に、絶縁塗料を印刷し、絶縁膜23bを形成する。それから、電極22a、22bおよび絶縁膜23aを有する誘電膜21aと、誘電膜21bと、電極22c、22dおよび絶縁膜23bを有する誘電膜21cと、を積層し、振動部材20を作製する。次に、作製された積層体の周縁部を、前側フレーム30aと後側フレーム30bとにより、挟持する。この状態で、前側フレーム30aと後側フレーム30bとを、八つのボルト31、八つのナット32により、固定する。このようにして、スピーカ2を製造する。
次に、本実施形態のスピーカ2の動きについて説明する。初期状態において、電極22a〜22dには、図示しない配線を介して、所定のバイアス電圧が印加されている。この状態で、音の電気信号としての交流電圧を電極22a〜22dに印加する。すると、誘電膜21a〜21cの膜厚の変化により、図5に白抜き矢印で示すように、振動部材20が前後方向に振動する。これにより、空気が振動し、音声が発生する。
次に、本実施形態のスピーカ2の作用効果について説明する。本実施形態のスピーカ2において、誘電膜21a〜21cは、柔軟で伸縮性に優れる。加えて、誘電膜21a〜21cの比誘電率は大きい。また、電極22a〜22dも、柔軟で、誘電膜21a〜21cと一体となって伸縮可能である。したがって、スピーカ2においては、印加電圧に対する振動部材20の変形量が大きくなり、出力される音圧が大きくなる。また、誘電膜21a〜21cは厚さ20μmの薄膜であるが、絶縁破壊強度は大きい。このため、スピーカ2は耐久性に優れる。また、誘電膜21a〜21cが薄膜であるため、より低い電圧で大きな音圧を出すことができる。
振動部材20は、電極22a〜22dを介して積層された三つの誘電膜21a〜21cを備えている。このため、一つの誘電膜の両面に電極を配置した形態と比較して、印加電圧に対する振動部材20の変形量が大きくなり、出力される音圧が大きくなる。また、誘電膜21a〜21cの各々の膜厚が小さいため、スピーカ2は、軽量小型で、比較的安価である。
[第二実施形態]
本発明のトランスデューサをアクチュエータに具現化した実施形態を説明する。図6に、本実施形態のアクチュエータの断面模式図を示す。(a)は電圧オフ状態、(b)は電圧オン状態を示す。
図6に示すように、アクチュエータ1は、誘電膜10と、電極11a、11bと、配線12a、12bと、を備えている。誘電膜10は、シリコーンゴムとチタン酸バリウム粒子とを含み、円形の薄膜状を呈している。誘電膜10の厚さは50μmである。誘電膜10は、本発明の誘電膜に含まれる。電極11aは、誘電膜10の上面の略全体を覆うように、配置されている。同様に、電極11bは、誘電膜10の下面の略全体を覆うように、配置されている。電極11a、11bは、各々、配線12a、12bを介して電源13に接続されている。電極11a、11bは、アクリルゴムとカーボンブラックとを含んでい。電極11a、11bの厚さは、各々、10μmである。
オフ状態からオン状態に切り替える際は、一対の電極11a、11b間に電圧を印加する。電圧の印加により、誘電膜10の厚さは薄くなり、その分だけ、図6(b)中白抜き矢印で示すように、拡径方向に伸長する。これにより、アクチュエータ1は、図中上下方向および左右方向の駆動力を出力する。
本実施形態によると、誘電膜10は、柔軟で伸縮性に優れる。加えて、誘電膜10の比誘電率は大きい。また、電極11a、11bも柔軟で、誘電膜10と一体となって伸縮可能である。したがって、アクチュエータ1によると、印加電圧に対する誘電膜10の変形量が大きいため、大きな力および変位量を得ることができる。また、誘電膜10の絶縁破壊強度は大きい。このため、アクチュエータ1は、耐絶縁破壊性に優れる。
[第三実施形態]
本発明のトランスデューサを静電容量型センサに具現化した実施形態を説明する。まず、本実施形態の静電容量型センサの構成について説明する。図7に、静電容量型センサの上面図を示す。図8に、図7のVIII−VIII断面図を示す。図7、図8に示すように、静電容量型センサ4は、誘電膜40と、一対の電極41a、41bと、配線42a、42bと、カバーフィルム43a、43bと、を備えている。
誘電膜40は、ウレタンゴムとチタン酸バリウム粒子とを含み、左右方向に延びる帯状を呈している。誘電膜40の厚さは、20μmである。誘電膜40は、本発明の誘電膜に含まれる。
電極41aは、長方形状を呈している。電極41aは、誘電膜40の上面に、スクリーン印刷により三つ形成されている。同様に、電極41bは、長方形状を呈している。電極41bは、誘電膜40を挟んで電極41aと対向するように、誘電膜40の下面に三つ形成されている。電極41bは、誘電膜40の下面に、スクリーン印刷されている。このように、誘電膜40を挟んで、電極41a、41bが三対配置されている。電極41a、41bは、アクリルゴムとカーボンブラックとを含んでいる。電極41a、41bの厚さは、各々、10μmである。
配線42aは、誘電膜40の上面に形成された電極41aの一つ一つに、それぞれ接続されている。配線42aにより、電極41aとコネクタ44とが結線されている。配線42aは、誘電膜40の上面に、スクリーン印刷により形成されている。同様に、配線42bは、誘電膜40の下面に形成された電極41bの一つ一つに、それぞれ接続されている(図7中、点線で示す)。配線42bにより、電極41bとコネクタ(図略)とが結線されている。配線42bは、誘電膜40の下面に、スクリーン印刷により形成されている。配線42a、42bは、アクリルゴムと銀粒子とを含んでいる。
カバーフィルム43aは、アクリルゴム製であって、左右方向に延びる帯状を呈している。カバーフィルム43aは、誘電膜40、電極41a、配線42aの上面を覆っている。同様に、カバーフィルム43bは、アクリルゴム製であって、左右方向に延びる帯状を呈している。カバーフィルム43bは、誘電膜40、電極41b、配線42bの下面を覆っている。
次に、静電容量型センサ4の動きについて説明する。例えば、静電容量型センサ4が上方から押圧されると、誘電膜40、電極41a、カバーフィルム43aは一体となって、下方に湾曲する。圧縮により、誘電膜40の厚さは薄くなる。その結果、電極41a、41b間のキャパシタンスは大きくなる。このキャパシタンス変化により、圧縮による変形が検出される。
次に、静電容量型センサ4の作用効果について説明する。本実施形態によると、誘電膜40は、柔軟で伸縮性に優れる。加えて、誘電膜40の比誘電率は大きい。また、電極41a、41bおよび配線42a、42bも、柔軟で、誘電膜40と一体となって伸縮可能である。したがって、静電容量型センサ4の応答性は良好である。また、誘電膜40の絶縁破壊強度は大きい。このため、静電容量型センサ4は、耐絶縁破壊性に優れる。なお、静電容量型センサ4には、誘電膜40を狭んで対向する電極41a、41bが、三対形成されている。しかし、電極の数、大きさ、形状、配置等は、用途に応じて、適宜決定すればよい。
[第四実施形態]
本発明のトランスデューサを発電素子に具現化した実施形態を説明する。図9に、本実施形態の発電素子の断面模式図を示す。(a)は伸長時、(b)は収縮時を示す。
図9に示すように、発電素子6は、誘電膜60と、電極61a、61bと、配線62a〜62cと、を備えている。誘電膜60は、ウレタンゴムとチタン酸バリウム粒子とを含み、円形の薄膜状を呈している。誘電膜60の厚さは50μmである。誘電膜60は、本発明の誘電膜に含まれる。電極61aは、誘電膜60の上面の略全体を覆うように、配置されている。同様に、電極61bは、誘電膜60の下面の略全体を覆うように、配置されている。電極61aには、配線62a、62bが接続されている。すなわち、電極61aは、配線62aを介して、外部負荷(図略)に接続されている。また、電極61aは、配線62bを介して、電源(図略)に接続されている。電極61bは、配線62cにより接地されている。電極61a、61bは、いずれも、アクリルゴムとカーボンブラックとを含んでいる。電極61a、61bの厚さは、各々、10μmである。
次に、発電素子6の動きについて説明する。図9(a)中白抜き矢印で示すように、発電素子6を圧縮し、誘電膜60を電極61a、61b面に対して平行方向に伸長すると、誘電膜60の厚さは薄くなり、電極61a、61b間に電荷が蓄えられる。その後、圧縮力を除去すると、図9(b)に示すように、誘電膜60の弾性復元力により誘電膜60は収縮し、厚さが厚くなる。その際、蓄えられた電荷が配線62aを通して放出される。
次に、発電素子6の作用効果について説明する。本実施形態によると、誘電膜60の比誘電率は大きく、絶縁破壊強度も大きい。このため、発電素子6は、電極61a、61b間に多くの電荷を蓄えることができると共に、耐久性に優れる。また、誘電膜60は、柔軟で伸縮性に優れる。加えて、電極61a、61bも柔軟で、誘電膜60と一体となって伸縮可能である。このため、発電素子6の全体が柔軟であり、誘電膜60の動きが、電極61a、61bにより規制されにくい。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
<誘電膜の製造>
[実施例1]
まず、カルボキシル基変性水素化ニトリルゴム(ランクセス社製「テルバン(登録商標)XT8889」)を、アセチルアセトンに溶解して、固形分濃度が12質量%のポリマー溶液を調製した。次に、調製したポリマー溶液に、ポリマー分100質量部に対して、架橋剤Aとして有機金属化合物のテトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン5質量部と、補強材として二酸化チタン(TiO)ゾル5質量部と、を混合した。続いて、この溶液に、チタン酸バリウム粒子の分散液を加えて、液状原料を調製した。チタン酸バリウム粒子の分散液は、ポリマー分100質量部に対して、チタン酸バリウム粒子が20質量部になるように加えた。それから、調製した液状原料を基材上に塗布し、乾燥させた後、150℃で約60分間加熱して、誘電膜を得た。誘電膜としては、厚さが3μm、10μm、50μmの三種類を製造した。
チタン酸バリウム粒子の分散液は、次のようにして製造した。まず、チタン酸バリウム粒子の粉末(戸田工業(株)製「BT−TO−020RF」、水熱合成法により製造、c/a比=1.002)を溶剤のアセチルアセトンに加えて予備分散液を調製した。次に、予備分散液を湿式ビーズミル(ウィリー・エ・バッコーフェン社製「リサーチラボ」、使用メディア径:0.1mm)を用いてメカノケミカル処理した。処理後の液を、フィルター((株)ロキテクノ製「LPJ−MPX−006−N2」)に通して分散液とした。
使用したチタン酸バリウム粒子の粉末を、粉末Aと称す。製造されたチタン酸バリウム粒子の分散液中のチタン酸バリウム粒子(誘電性粒子)の個数平均粒子径は20nm、95%径は150nmであった。粒度分布については、分散液中のチタン酸バリウム粒子が全体の7質量%となるように調整した測定液を使用して、大塚電子(株)製の粒度分布測定装置「ELSZ−0S」を用いて測定した(以下同じ)。
TiOゾルは、次のようにして製造した。まず、有機金属化合物のテトラi−プロポキシチタン0.01molに、2−メトキシエタノール174mLを加えて、125℃で2時間攪拌した。次に、この溶液に、2−メトキシエタノール180mLと、水5.4mоlと、を加え、70℃で5時間攪拌した。その後、溶液を濾過し、得られた固形分をアセチルアセトンに分散して、TiOゾルとした。
[実施例2〜4]
チタン酸バリウム粒子の分散液の配合量、すなわち、チタン酸バリウム粒子の配合量を変えた点以外は、実施例1と同様にして誘電膜を製造した。
[実施例5]
チタン酸バリウム粒子の粉末として、堺化学工業(株)製「KZM−50」(水熱合成法により製造、c/a比=1.005)を用いた点、およびチタン酸バリウム粒子の配合量を60質量部にした点以外は、実施例1と同様にして誘電膜を製造した。使用したチタン酸バリウム粒子の粉末を、粉末Bと称す。製造されたチタン酸バリウム粒子の分散液中のチタン酸バリウム粒子の個数平均粒子径は50nm、95%径は300nmであった。
[実施例6]
まず、シリコーンゴム(信越化学工業(株)製「KE−1935」)のA液に、チタン酸バリウム粒子の分散液を加えて、攪拌機で攪拌した。ここに、シリコーンゴム(同上)のB液を加えてさらに攪拌し、液状原料を調製した。チタン酸バリウム粒子の分散液は、ポリマー分100質量部に対して、チタン酸バリウム粒子が150質量部になるように加えた。次に、調製した液状原料を基材上に塗布し、乾燥させた後、150℃で約60分間加熱して、誘電膜を得た。誘電膜としては、厚さが3μm、10μm、50μmの三種類を製造した。
チタン酸バリウム粒子の分散液は、次のようにして製造した。まず、実施例1と同じ粉末Aをエタノールに投入して、超音波分散機を用いて分散した。ここに、表面修飾剤のデシリルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)と蒸留水とを加え、80℃下で2時間攪拌して、チタン酸バリウム粒子の表面処理を行った。デシリルトリメトキシシランの添加量は、チタン酸バリウム粒子1molに対して0.02mol、蒸留水の添加量は、チタン酸バリウム粒子1molに対して0.001molとした。次に、処理後の液を濾過し、得られた固形分をトルエンに投入した。この液を、超音波分散機を用いて分散して、予備分散液を調製した。続いて、予備分散液を湿式ビーズミル(同上)を用いてメカノケミカル処理した。処理後の液を、フィルター(同上)に通して分散液とした。製造されたチタン酸バリウム粒子の分散液中のチタン酸バリウム粒子の個数平均粒子径は49nm、95%径は295nmであった。
[実施例7]
まず、ウレタンゴム(日本ポリウレタン工業(株)製「N5230」)を、アセチルアセトンに溶解して、固形分濃度が12質量%のポリマー溶液を調製した。次に、調製したポリマー溶液に、ポリマー分100質量部に対して、架橋剤Bとしてポリイソシアネート(同社製「コロネート(登録商標)L」)1質量部を混合した。続いて、この溶液に、実施例1と同じチタン酸バリウム粒子の分散液を加えて、液状原料を調製した。チタン酸バリウム粒子の分散液は、ポリマー分100質量部に対して、チタン酸バリウム粒子が150質量部になるように加えた。それから、調製した液状原料を基材上に塗布し、乾燥させた後、150℃で約60分間加熱して、誘電膜を得た。誘電膜としては、厚さが3μm、10μm、50μmの三種類を製造した。
[実施例8]
チタン酸バリウム粒子の分散液を製造する際に、チタン酸バリウム粒子の表面処理を行った点以外は、実施例5と同様にして誘電膜を製造した。チタン酸バリウム粒子の分散液は、次のようにして製造した。まず、実施例5と同じ粉末Bをアセチルアセトンに投入して予備分散液を調製すると共に、表面修飾剤のトリ−n−オクチルホスフィンオキシド(東京化成工業(株)製)を加えて、チタン酸バリウム粒子の表面処理を行った。トリ−n−オクチルホスフィンオキシドの添加量は、チタン酸バリウム粒子1molに対して0.01molとした。次に、予備分散液を湿式ビーズミル(同上)を用いてメカノケミカル処理した。処理後の液を、フィルター(同上)に通して分散液とした。製造されたチタン酸バリウム粒子の分散液中のチタン酸バリウム粒子の個数平均粒子径は48nm、95%径は180nmであった。
[比較例1]
チタン酸バリウム粒子の分散液を配合しない点以外は、実施例1と同様にして誘電膜を製造した。
[比較例2、3]
チタン酸バリウム粒子の分散液の配合量、すなわち、チタン酸バリウム粒子の配合量を変えた点以外は、実施例1と同様にして誘電膜を製造した。
[比較例4]
チタン酸バリウム粒子の配合量を60質量部にした点、およびチタン酸バリウム粒子の分散液の製造において、予備分散液を湿式ビーズミルではなく超音波分散機(シャープ(株)製、超音波発振機「UT304R」、超音波発振子「UI304R」)を用いて処理し、処理後の液のフィルター処理を行わなかった点以外は、実施例1と同様にして誘電膜を製造した。製造されたチタン酸バリウム粒子の分散液中のチタン酸バリウム粒子の個数平均粒子径は24nm、95%径は3800nmであった。
[比較例5]
チタン酸バリウム粒子の分散液の製造において、処理後の液のフィルター処理を行わなかった点以外は、実施例5と同様にして誘電膜を製造した。製造されたチタン酸バリウム粒子の分散液中のチタン酸バリウム粒子の個数平均粒子径は50nm、95%径は2480nmであった。
[比較例6]
チタン酸バリウム粒子の粉末として、共立マテリアル(株)製「BT−HP9DX−100」(固相反応法により製造、c/a比=1.005)を用いた点、およびチタン酸バリウム粒子の配合量を60質量部にした点以外は、実施例1と同様にして誘電膜を製造した。使用したチタン酸バリウム粒子の粉末を、粉末Cと称す。製造されたチタン酸バリウム粒子の分散液中のチタン酸バリウム粒子の個数平均粒子径は180nm、95%径は1000nmであった。
[比較例7]
チタン酸バリウム粒子の粉末として、共立マテリアル(株)製「BT−HP9DX−400」(固相反応法により製造、c/a比=1.005)を用いた点、チタン酸バリウム粒子の配合量を60質量部にした点、および処理後の液のフィルター処理を行わなかった点以外は、実施例1と同様にして誘電膜を製造した。使用したチタン酸バリウム粒子の粉末を、粉末Dと称す。製造されたチタン酸バリウム粒子の分散液中のチタン酸バリウム粒子の個数平均粒子径は590nm、95%径は6000nmであった。
[比較例8]
チタン酸バリウム粒子の分散液を配合しない点以外は、実施例6と同様にして誘電膜を製造した。
[比較例9]
チタン酸バリウム粒子の粉末として比較例6と同じ粉末Cを用いた点以外は、実施例6と同様にしてチタン酸バリウム粒子の分散液を製造し、誘電膜を製造した。製造されたチタン酸バリウム粒子の分散液中のチタン酸バリウム粒子の個数平均粒子径は280nm、95%径は1985nmであった。
[比較例10]
チタン酸バリウム粒子の分散液を配合しない点以外は、実施例7と同様にして誘電膜を製造した。
[比較例11]
粉末Cを用いた比較例6と同じチタン酸バリウム粒子の分散液を配合した点以外は、実施例7と同様にして誘電膜を製造した。
[比較例12]
まず、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「jER(登録商標)828」)100質量部に、硬化剤としてフェノールノボラック樹脂(昭和電工(株)製「BRG#558」)4.8質量部を加えて、ポリマー溶液を調製した。次に、調製したポリマー溶液に、実施例5と同じチタン酸バリウム粒子の分散液を加えて、液状原料を調製した。チタン酸バリウム粒子の分散液は、ポリマー分100質量部に対して、チタン酸バリウム粒子が60質量部になるように加えた。それから、調製した液状原料を基材上に塗布し、乾燥させた後、150℃で約60分間加熱して、誘電膜を得た。誘電膜としては、厚さが3μm、10μm、50μmの三種類を製造した。
実施例および比較例の誘電膜の製造に使用した原料の種類および配合量については、後出の表1、表2にまとめて示す。
<誘電膜の評価>
製造した誘電膜を、以下の項目により評価した。誘電膜の評価結果については、後出の表1、表2にまとめて示す。
[条件(A)、(B)、(C)の充足性]
製造した誘電膜について、膜厚方向断面のSEM写真を撮影し、条件(A)、(B)、(C)を満たすか否かを調べた。まず、各誘電膜をエポキシ樹脂で包埋し、ミクロトームにより膜厚方向の断面を切り出した。次に、該断面のSEM写真を撮影した(倍率1000〜5000倍)。SEM写真の一例として、図10に、膜厚10μmの実施例2の誘電膜の膜厚方向断面のSEM写真を示す。図10に示すように、実施例2の誘電膜においては、エラストマー中に微小なチタン酸バリウム粒子が略均一に分散されていることが確認された。
1.条件(A)
図10に示すように、まず、SEM写真の右側の領域に、膜厚方向に延びる長さ2μmの三本の直線を、500nm間隔で描いた。次に、各々の直線ごとに、直線と交わるチタン酸バリウム粒子の個数を数えた(図10中、黒線で囲んで示す)。続いて、得られた個数を直線の長さで除して、各々の直線ごとに基準個数を算出した。そして、三つの基準個数の平均値を算出した。
2.条件(B)
条件(A)において三本の直線と交わるチタン酸バリウム粒子のうち、粒子径が誘電膜の膜厚の1/10よりも大きい、すなわち粒子径が1μmを超える大粒子の個数を数えた。次に、得られた個数を直線の長さで除して、各々の直線ごとに大粒子個数を算出した。そして、三つの大粒子個数の平均値を算出した。
3.条件(C)
図10に示すように、まず、SEM写真の左側の領域に、2μm四方の正方形の測定領域を設けた。次に、測定領域を、200nm四方の正方形の単位領域100個(縦10個×横10個)に分割した。続いて、バイナリ画像解析ソフトを用いて、各単位領域を白黒のビットマップに変換した。そして、単位領域ごとに、エラストマーおよびチタン酸バリウム粒子の画素数から、エラストマーの占める面積割合を算出した。
[比誘電率]
誘電膜の比誘電率については、誘電膜をサンプルホルダー(ソーラトロン社製、12962A型)に設置して、誘電率測定インターフェイス(同社製、1296型)、および周波数応答アナライザー(同社製、1255B型)を併用して測定した(周波数100Hz)。
[弾性率]
誘電膜の弾性率については、JIS K7127:1999に規定される引張試験を行い、得られた応力−伸び曲線から算出した。試験片には、試験片タイプ2を使用した。
[切断時伸び]
誘電膜の切断時伸びについては、JIS K6251:2010に規定される引張試験を行って測定した。試験片には、ダンベル状5号形を使用した。
[体積抵抗率]
誘電膜の体積抵抗率については、JIS K6271:2008に規定される平行端子電極法に準じて測定した。測定は、直流電圧100Vを印加して行った。
<アクチュエータ特性の評価>
製造した誘電膜を用いて、トランスデューサの一形態であるアクチュエータを製造し、アクチュエータ特性を評価した。まず、アクリルゴムポリマー溶液にカーボンブラックを混合、分散させて導電塗料を調製した。次に、導電塗料を、製造した誘電膜の厚さ方向両面にスクリーン印刷して、電極を形成した。実施例の誘電膜を備えるアクチュエータは、本発明のトランスデューサに含まれる。
製造したアクチュエータの特性として、絶縁破壊強度および最大発生応力を測定した。まず、測定装置および測定方法について説明する。図11に、測定装置に取り付けられたアクチュエータの表側正面図を示す。図12に、図11のXII−XII断面図を示す。
図11、図12に示すように、アクチュエータ5の上端は、測定装置における上側チャック52により把持されている。アクチュエータ5の下端は、下側チャック53により把持されている。アクチュエータ5は、予め上下方向に延伸された状態で、上側チャック52と下側チャック53との間に、取り付けられている(延伸率25%)。上側チャック52の上方には、ロードセル(図略)が配置されている。
アクチュエータ5は、誘電膜50と一対の電極51a、51bとからなる。誘電膜50は、自然状態で、縦50mm、横25mmの長方形の薄膜状を呈している。電極51a、51bは、誘電膜50を挟んで表裏方向に対向するよう配置されている。電極51a、51bは、自然状態で、各々、縦40mm、横25mm、厚さ10μmの長方形の薄膜状を呈している。電極51a、51bは、上下方向に10mmずれた状態で配置されている。つまり、電極51a、51bは、誘電膜50を介して、縦30mm、横25mmの範囲で重なっている。電極51aの下端には、配線(図略)が接続されている。同様に、電極51bの上端には、配線(図略)が接続されている。電極51a、51bは、各々の配線を介して、電源(図略)に接続されている。
電極51a、51b間に電圧を印加すると、電極51a、51b間に静電引力が生じて、誘電膜50を圧縮する。これにより、誘電膜50の厚さは薄くなり、延伸方向(上下方向)に伸長する。誘電膜50の伸長により、上下方向の延伸力は減少する。電圧印加前後において減少した延伸力を、ロードセルにより測定して、発生応力とした。発生応力の測定は、印加する電圧を段階的に増加させて、誘電膜50が破壊されるまで行った。そして、誘電膜50が破壊される寸前における発生応力を、最大発生応力とした。また、その時の電圧値を誘電膜50の膜厚で除した値を、絶縁破壊強度とした。絶縁破壊強度および最大発生応力の測定結果については、後出の表1、表2にまとめて示す。
<スピーカへの適用性>
アクチュエータの評価において、最大発生応力が2.8MPa以上であり、膜厚10μmの場合の絶縁破壊強度が70V/μm以上である誘電膜については、スピーカに用いると、優れた音圧特性を発揮し耐久性にも優れる。したがって、最大発生応力および絶縁破壊強度の観点から、誘電膜のスピーカへの適用性を評価した。すなわち、上記特性を満足する場合を適用可能(後出表1、表2中、○印で示す)、満足しない場合を適用不可(後出表1、表2中、×印で示す)とした。
誘電膜の製造に使用した原料の種類および配合量と、誘電膜、アクチュエータ特性、およびスピーカへの適用性の評価結果とを、表1、表2にまとめて示す。実施例については表1に、比較例については表2に示す。
実施例の誘電膜については、95%径が誘電膜の膜厚の1/10以下であるチタン酸バリウム粒子の粉末が溶剤に分散した分散液を用いて製造した。これにより、実施例の誘電膜は、いずれも条件(A)〜(C)を全て満たす。したがって、実施例の誘電膜においては、比誘電率および絶縁破壊強度の両方が大きくなった。実施例の誘電膜によると、10μm以下の薄膜の場合でも、大きな絶縁破壊強度を維持できることが確認された。また、実施例の誘電膜は、いずれも大きな体積抵抗率を有していた。また、実施例の誘電膜の弾性率は最大でも49MPaであった。このように、実施例の誘電膜は柔軟であるため、アクチュエータを構成した場合に変形しやすい。このため、実施例のアクチュエータは、大きな力を出力できることが確認された。また、実施例5と実施例8とを比較すると、チタン酸バリウム粒子に表面処理を施した実施例8の誘電膜の方が、粒子の分散性が向上したことにより、絶縁破壊強度が大きくなった。
一方、比較例1、8、10の誘電膜には、チタン酸バリウム粒子が配合されていない。このため、比較例1、8、10の誘電膜の比誘電率は、小さかった。したがって、比較例1、8、10の誘電膜を用いてアクチュエータを構成しても、発生応力が小さく、充分な力を出力することができなかった。これに対して、比較例2〜7、9、11の誘電膜には、チタン酸バリウム粒子が配合されている。よって、その分だけ比誘電率は大きくなった。しかし、比較例2の誘電膜は、チタン酸バリウム粒子の配合量が少ないため、条件(A)を満たさない。このため、比誘電率の向上効果は小さく、アクチュエータの発生応力は小さかった。反対に、比較例3の誘電膜は、チタン酸バリウム粒子の配合量が多いため、条件(C)を満たさない。このため、弾性率が大きくなり、伸びが低下した。また、10μm以下の薄膜の場合には、条件(B)も満たさない。このため、絶縁破壊強度が小さくなった。
比較例4〜7、9、11の誘電膜の製造に用いた分散液は、粒子径が大きいチタン酸バリウム粒子を多く含む。このため、膜厚が小さくなるほど、条件(B)を満たしにくくなる。条件(B)を満たさない場合には、絶縁破壊強度が小さくなった。
比較例12の誘電膜のマトリクスは、エラストマーではなく樹脂である。このため、比較例12の誘電膜においては、弾性率が大幅に大きくなった。したがって、比較例12の誘電膜を用いてアクチュエータを構成しても、ほとんど変形せず、力を取り出すことはできなかった。
全ての実施例の誘電膜は、所望のアクチュエータ特性を満たしており、スピーカに好適であることが確認された。一方、比較例の誘電膜は、いずれも所望のアクチュエータ特性を満たさなかったため、スピーカには適用できないという結果になった。
本発明の誘電膜を用いたトランスデューサは、機械エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うアクチュエータ、センサ、発電素子等、あるいは音響エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うスピーカ、マイクロフォン、ノイズキャンセラ等として、広く用いることができる。
1:アクチュエータ(トランスデューサ)、10:誘電膜、11a、11b:電極、12a、12b:配線、13:電源。
2:スピーカ(トランスデューサ)、20:振動部材、21a〜21c:誘電膜、22a〜22d:電極、23a、23b:絶縁膜、220a〜220d:端子部、30a:前側フレーム、30b:後側フレーム、31:ボルト、32:ナット。
4:静電容量型センサ(トランスデューサ)、40:誘電膜、41a、41b:電極、42a、42b:配線、43a、43b:カバーフィルム、44:コネクタ。
5:アクチュエータ(トランスデューサ)、50:誘電膜、51a、51b:電極、52:上側チャック、53:下側チャック。
6:発電素子(トランスデューサ)、60:誘電膜、61a、61b:電極、62a〜62c:配線。
100:断面写真、101:エラストマー、102:誘電性粒子、E:単位領域、M:測定領域。

Claims (10)

  1. エラストマーと、誘電性粒子と、を含み、次の(A)、(B)、(C)の条件を満たすことを特徴とする誘電膜。
    (A)走査型電子顕微鏡により撮影された膜厚方向の断面写真に、該断面写真の膜厚方向長さの1/2以上の長さを持ち膜厚方向に延びる三本の直線を膜展開方向に500nmずつ離間して描き、各々の該直線ごとに、該直線と交わる該誘電性粒子の個数を数えて、該個数を該直線の長さで除することにより該直線1μm当たりの基準個数を算出した場合に、三本の該直線における該基準個数の平均値が0.8個/μm以上である。
    (B)(A)において三本の該直線と交わる該誘電性粒子のうち、粒子径が誘電膜の膜厚の1/10よりも大きい大粒子の個数を各々の該直線ごとに数えて、該個数を該直線の長さで除することにより該直線1μm当たりの大粒子個数を算出した場合に、三本の該直線における該大粒子個数の平均値が0.2個/μm以下である。
    (C)走査型電子顕微鏡により撮影された膜厚方向の断面写真に、200nm四方の単位領域が100個連なって形成される測定領域を設け、該単位領域ごとに該エラストマーが占める面積を測定した場合に、該測定領域における該エラストマーの面積割合が30%以下である該単位領域の個数が10個以下である。
  2. 膜厚が1μm以上100μm以下である請求項1に記載の誘電膜。
  3. 弾性率が100MPa以下である請求項1または請求項2に記載の誘電膜。
  4. 前記誘電性粒子の含有量は、前記エラストマーの100質量部に対して20質量部以上200質量部以下である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の誘電膜。
  5. 粒子径の体積累積分布における95%径が誘電膜の膜厚の1/10以下である誘電性粒子の粉末が溶剤に分散されている分散液を用いて製造される請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の誘電膜。
  6. 前記分散液は、誘電性粒子の粉末を溶剤に分散した予備分散液をメカノケミカル処理して製造される請求項5に記載の誘電膜。
  7. 前記分散液は、前記メカノケミカル処理の後、さらにフィルター処理して製造される請求項6に記載の誘電膜。
  8. 前記誘電性粒子は、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ランタンドープチタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ビスマスバリウムから選ばれる一種以上である請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の誘電膜。
  9. 前記エラストマーは、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、アクリルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、およびウレタンゴムから選ばれる一種以上である請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の誘電膜。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の誘電膜と、
    該誘電膜を介して配置される複数の電極と、
    を備えることを特徴とするトランスデューサ。
JP2014065612A 2014-03-27 2014-03-27 誘電膜の製造方法 Active JP6249852B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014065612A JP6249852B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 誘電膜の製造方法
PCT/JP2015/059386 WO2015147167A1 (ja) 2014-03-27 2015-03-26 誘電膜およびそれを用いたトランスデューサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014065612A JP6249852B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 誘電膜の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015189776A true JP2015189776A (ja) 2015-11-02
JP6249852B2 JP6249852B2 (ja) 2017-12-20

Family

ID=54195673

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014065612A Active JP6249852B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 誘電膜の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6249852B2 (ja)
WO (1) WO2015147167A1 (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016021490A (ja) * 2014-07-14 2016-02-04 藤倉化成株式会社 塗膜
JP6034543B1 (ja) * 2015-07-16 2016-11-30 住友理工株式会社 圧電センサ
WO2017010135A1 (ja) * 2015-07-16 2017-01-19 住友理工株式会社 圧電センサ
JP2017132829A (ja) * 2016-01-25 2017-08-03 大塚化学株式会社 ゴム組成物及びタイヤ
JP2017183814A (ja) * 2016-03-28 2017-10-05 住友理工株式会社 静電型トランスデューサ
JP2018108309A (ja) * 2017-01-05 2018-07-12 株式会社スタートトゥデイ 身体測定装置及び身体測定システム
JP2019006887A (ja) * 2017-06-23 2019-01-17 正毅 千葉 誘電体粒子含有誘電エラストマー及びその製造方法
JPWO2018128121A1 (ja) * 2017-01-04 2020-01-30 東洋紡株式会社 アクチュエータ
WO2020262129A1 (ja) * 2019-06-24 2020-12-30 正毅 千葉 誘電エラストマートランスデューサ
WO2023149075A1 (ja) * 2022-02-02 2023-08-10 富士フイルム株式会社 圧電フィルム

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022172854A1 (ja) * 2021-02-09 2022-08-18 ソニーグループ株式会社 アクチュエータおよび電子機器

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008112147A (ja) * 2006-09-27 2008-05-15 Toray Ind Inc 感光性樹脂組成物およびそれを用いた誘電体組成物、半導体装置
JP2011201993A (ja) * 2010-03-25 2011-10-13 Tokai Rubber Ind Ltd 誘電材料およびそれを用いたトランスデューサ
WO2011145411A1 (ja) * 2010-05-19 2011-11-24 東海ゴム工業株式会社 導電膜、およびそれを用いたトランスデューサ、フレキシブル配線板
JP2012248340A (ja) * 2011-05-25 2012-12-13 Bando Chem Ind Ltd 誘電性エラストマー構造体及び誘電部材
JP2013060576A (ja) * 2011-08-25 2013-04-04 Nitto Denko Corp 絶縁フィルム
WO2013058237A1 (ja) * 2011-10-17 2013-04-25 東海ゴム工業株式会社 誘電膜およびそれを用いたトランスデューサ
JP2016505693A (ja) * 2012-12-28 2016-02-25 ダウ コーニング コーポレーションDow Corning Corporation トランスデューサー用硬化性オルガノシロキサン組成物及び硬化性シリコーン組成物のトランスデューサーへの使用

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008112147A (ja) * 2006-09-27 2008-05-15 Toray Ind Inc 感光性樹脂組成物およびそれを用いた誘電体組成物、半導体装置
JP2011201993A (ja) * 2010-03-25 2011-10-13 Tokai Rubber Ind Ltd 誘電材料およびそれを用いたトランスデューサ
WO2011145411A1 (ja) * 2010-05-19 2011-11-24 東海ゴム工業株式会社 導電膜、およびそれを用いたトランスデューサ、フレキシブル配線板
JP2012248340A (ja) * 2011-05-25 2012-12-13 Bando Chem Ind Ltd 誘電性エラストマー構造体及び誘電部材
JP2013060576A (ja) * 2011-08-25 2013-04-04 Nitto Denko Corp 絶縁フィルム
WO2013058237A1 (ja) * 2011-10-17 2013-04-25 東海ゴム工業株式会社 誘電膜およびそれを用いたトランスデューサ
JP2016505693A (ja) * 2012-12-28 2016-02-25 ダウ コーニング コーポレーションDow Corning Corporation トランスデューサー用硬化性オルガノシロキサン組成物及び硬化性シリコーン組成物のトランスデューサーへの使用

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016021490A (ja) * 2014-07-14 2016-02-04 藤倉化成株式会社 塗膜
JP6034543B1 (ja) * 2015-07-16 2016-11-30 住友理工株式会社 圧電センサ
WO2017010135A1 (ja) * 2015-07-16 2017-01-19 住友理工株式会社 圧電センサ
JP2017132829A (ja) * 2016-01-25 2017-08-03 大塚化学株式会社 ゴム組成物及びタイヤ
JP2017183814A (ja) * 2016-03-28 2017-10-05 住友理工株式会社 静電型トランスデューサ
JPWO2018128121A1 (ja) * 2017-01-04 2020-01-30 東洋紡株式会社 アクチュエータ
JP7056582B2 (ja) 2017-01-04 2022-04-19 東洋紡株式会社 アクチュエータ
WO2018128050A1 (ja) * 2017-01-05 2018-07-12 株式会社スタートトゥデイ 身体測定装置及び身体測定システム
JP2018108309A (ja) * 2017-01-05 2018-07-12 株式会社スタートトゥデイ 身体測定装置及び身体測定システム
US11206900B2 (en) * 2017-01-05 2021-12-28 ZOZO, Inc. Body weight measuring device and body weight measuring system
TWI766914B (zh) * 2017-01-05 2022-06-11 日商今日起程股份有限公司 身體測定裝置及身體測定系統
IL267270B1 (en) * 2017-01-05 2023-06-01 Zozo Inc Device and system for measuring body weight
JP2019006887A (ja) * 2017-06-23 2019-01-17 正毅 千葉 誘電体粒子含有誘電エラストマー及びその製造方法
WO2020262129A1 (ja) * 2019-06-24 2020-12-30 正毅 千葉 誘電エラストマートランスデューサ
US11904358B2 (en) 2019-06-24 2024-02-20 Seiki Chiba Dielectric elastomer transducer
WO2023149075A1 (ja) * 2022-02-02 2023-08-10 富士フイルム株式会社 圧電フィルム

Also Published As

Publication number Publication date
WO2015147167A1 (ja) 2015-10-01
JP6249852B2 (ja) 2017-12-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6249852B2 (ja) 誘電膜の製造方法
JP6696885B2 (ja) 圧電センサ
WO2013058237A1 (ja) 誘電膜およびそれを用いたトランスデューサ
JP5633769B1 (ja) 柔軟なトランスデューサ
JP5711124B2 (ja) 柔軟導電材料およびトランスデューサ
US9685254B2 (en) Dielectric film, method for manufacturing the same, and transducer including the same
JP5486369B2 (ja) 誘電材料およびそれを用いたトランスデューサ
US10381547B2 (en) Dielectric film, method for manufacturing the same, and transducer including the same
JP5119176B2 (ja) 誘電材料の製造方法およびそれにより製造された誘電膜
EP2787747B1 (en) Polymer speaker
WO2013054614A1 (ja) トランスデューサ
WO2018207707A1 (ja) アクチュエータ、駆動部材、触覚提示装置および駆動装置
JP6022281B2 (ja) トランスデューサ
JP5559229B2 (ja) トランスデューサ
EP3993439A1 (en) Piezoelectric film
WO2019150850A1 (ja) トランスデューサおよびそれを用いた発電システム
JP6034543B1 (ja) 圧電センサ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161205

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170912

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171023

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171121

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6249852

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150